JP7219796B2 - 分散樹脂組成物及びその用途 - Google Patents
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Description
即ち、本発明者らは、下記の〔1〕~〔11〕を提供する。
〔1〕下記成分(A)~(C)を含有する分散樹脂組成物。
成分(A):不飽和カルボン酸、不飽和カルボン酸の誘導体、不飽和カルボン酸の無水物、及びラジカル重合性モノマーからなる群から選ばれる一種以上の極性付与剤を用いてポリオレフィン樹脂を変性した変性ポリオレフィン樹脂。
成分(B):セルロースナノファイバー。
成分(C):分散媒。
〔2〕前記成分(B)に由来する平均粒子径150μm以上の凝集物の個数割合が、1%未満である上記〔1〕に記載の分散樹脂組成物。
〔3〕前記成分(A)が、前記極性付与剤と、塩素と、を用いて前記ポリオレフィン樹脂を変性した塩素化変性ポリオレフィン樹脂である上記〔1〕又は〔2〕に記載の分散樹脂組成物。
〔4〕前記成分(A)100重量部に対し、前記成分(B)の含有量が0.01~20重量部である上記〔1〕~〔3〕のいずれかに記載の分散樹脂組成物。
〔5〕前記成分(C)が、水又は親水性物質を含む上記〔1〕~〔4〕のいずれかに記載の分散樹脂組成物。
〔6〕前記ポリオレフィン樹脂が、プロピレンのホモ重合体、エチレン-プロピレン共重合体、プロピレン-1-ブテン共重合体、及びエチレン-プロピレン-1-ブテン共重合体からなる群から選ばれる少なくとも1種のポリオレフィン樹脂を含む上記〔1〕~〔5〕のいずれかに記載の分散樹脂組成物。
〔7〕前記成分(A)中の前記極性付与剤による変性重量が、0.1~30重量%である上記〔1〕~〔6〕のいずれかに記載の分散樹脂組成物。
〔8〕前記成分(A)の重量平均分子量が、10,000~500,000である上記〔1〕~〔7〕のいずれかに記載の分散樹脂組成物。
〔9〕上記〔1〕~〔8〕のいずれかに記載の分散樹脂組成物を含む塗料。
〔10〕上記〔1〕~〔8〕のいずれかに記載の分散樹脂組成物を含む、プライマー塗料。
〔11〕上記〔10〕に記載のプライマー塗料を塗装し、ウェットオンプライマー層を形成する工程と、前記ウェットオンプライマー層上に、上塗り塗料を塗装し、乾燥させる工程と、を有する積層塗膜形成方法。
なお、本明細書中、変性ポリオレフィン樹脂中の極性付与剤による変性重量を「グラフト重量」ともいう。
本発明の分散樹脂組成物は、成分(A):不飽和カルボン酸、不飽和カルボン酸の誘導体、不飽和カルボン酸の無水物、及びラジカル重合性モノマーからなる選ばれる一種以上の極性付与剤を用いてポリオレフィン樹脂を変性した変性ポリオレフィン樹脂、成分(B):セルロースナノファイバー、並びに成分(C):分散媒、を含有する。
本発明の分散樹脂組成物は、第1の成分として成分(A):変性ポリオレフィン樹脂を含有する。
成分(A)に用いるポリオレフィン樹脂としては、例えば、重合触媒としてチーグラー・ナッタ触媒、或いはメタロセン触媒を用いてエチレン又はα-オレフィンを共重合して得られるものが挙げられる。具体的には、プロピレンのホモ重合体(ポリプロピレン)、エチレン-プロピレン共重合体、プロピレン-1-ブテン共重合体等のプロピレン-ブテン共重合体、エチレン-プロピレン-1-ブテン共重合体等のエチレン-プロピレン-ブテン共重合体(以下、これらの共重合体を併せて「プロピレン系共重合体」ということがある)などから選ばれる樹脂を例示することができる。これらの樹脂は、単独で用いても良いし、複数の樹脂を混合して用いても良い。
・成分(1);共役五員環配位子を少なくとも一個有する周期律表4~6族の遷移金属化合物であるメタロセン錯体。
・成分(2);イオン交換性層状ケイ酸塩。
・成分(3);有機アルミニウム化合物。
なお、GPCの測定としては、例えば、下記の条件が挙げられる。
測定機器:HLC-8320GPC(東ソー社製)
溶離液:テトラヒドロフラン
カラム:TSKgel(東ソー社製)
成分(A)は、変性ポリオレフィン樹脂である。変性ポリオレフィン樹脂は、上述のポリオレフィン樹脂を変性させて得られるものを意味する。変性は、不飽和カルボン酸、不飽和カルボン酸の誘導体、不飽和カルボン酸の無水物、及びラジカル重合性モノマーからなる群から選ばれる一種以上の極性付与剤を用いて行う。これらの極性付与剤を用いて変性することにより、付着性、耐ガソホール性等の物性を向上させることができる。尚、極性付与剤は、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
不飽和カルボン酸、不飽和カルボン酸の誘導体、及び不飽和カルボン酸の無水物としては、例えば、フマル酸、マレイン酸、イタコン酸、シトラコン酸、アコニット酸、ナジック酸及びこれらの無水物、フマル酸メチル、フマル酸エチル、フマル酸プロピル、フマル酸ブチル、フマル酸ジメチル、フマル酸ジエチル、フマル酸ジプロピル、フマル酸ジブチル、マレイン酸メチル、マレイン酸エチル、マレイン酸プロピル、マレイン酸ブチル、マレイン酸ジメチル、マレイン酸ジエチル、マレイン酸ジプロピル、マレイン酸ジブチル、マレイミド、N-フェニルマレイミドが挙げられる。中でも、好ましくは、無水イタコン酸、無水マレイン酸である。不飽和カルボン酸、不飽和カルボン酸の誘導体、及び不飽和カルボン酸の無水物は、単独或いは2種以上を混合して使用することができる。
不飽和カルボン酸、不飽和カルボン酸の誘導体及び不飽和カルボン酸の無水物のグラフト重量は、アルカリ滴定法或いはフーリエ変換赤外分光法により求めることができる。後述の実施例において示すグラフト重量の数値は、アルカリ滴定法にて測定された数値である。
ラジカル重合性モノマーの例としては、(メタ)アクリル酸、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、1-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、N,N-ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、アセトアセトキシエチル(メタ)アクリレート、N-メチル(メタ)アクリルアミド、N-エチル(メタ)アクリルアミド、N-プロピル(メタ)アクリルアミド、N-イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N-ブチル(メタ)アクリルアミド、N-イソブチル(メタ)アクリルアミド、N-t-ブチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N-メチレン-ビス(メタ)アクリルアミド、N-メチロール(メタ)アクリルアミド、ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリロイルモルホリン、n-ブチルビニルエーテル、4-ヒドロキシブチルビニルエーテル、ドデシルビニルエーテルが挙げられる。中でも、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレートが好ましく、メチルメタアクリレート、エチルメタアクリレート、シクロヘキシルメタアクリレート、ラウリルメタアクリレートがより好ましい。ラジカル重合性モノマーは単独、或いは2種以上を混合して使用することができ、その混合割合を自由に設定することができる。
CH2=CR1COOR2 ・・・(I)
(一般式(I)中、R1=H又はCH3、R2=CnH2n+1、n=1~18の整数)
尚、上記一般式(I)中のR2におけるnは、8~18の整数であることが好ましい。
変性ポリオレフィン樹脂として塩素化変性ポリオレフィン樹脂を用いる場合、塩素化変性ポリオレフィン樹脂中の塩素含有量は、特に限定されるものではないが、好ましくは2~35重量%であり、より好ましくは4~25重量%である。2重量%以上であると、各種非極性基材への接着性を確保しつつ、有機溶剤への溶解性が低下することを防止し得る。また、35重量%以下であると、各種非極性基材への接着性が低下することを防止し得る。
安定剤の添加量は、上記効果を得るために、樹脂成分(固形分)に対して、0.1~5重量%が好ましい。安定剤としては、エポキシ化合物が例示でき、中でも塩素化変性ポリオレフィン樹脂と相溶するエポキシ化合物が好ましい。かかるエポキシ化合物の好ましい例として、エポキシ当量が100から500程度で、一分子中にエポキシ基を1個以上有するエポキシ化合物が挙げられる。
なお、安定剤としては、ポリ塩化ビニル樹脂の安定剤として使用されている、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸鉛等の金属石鹸類、ジブチル錫ジラウレート、ジブチルマレート等の有機金属化合物類、ハイドロタルサイト類も使用できる。
ここでポリオレフィン樹脂としては、前記ポリオレフィン樹脂として例示列挙したものから適宜選択して用いることができる。
ラジカル反応開始剤のポリオレフィン樹脂に対する添加量は、0.01~10重量%が好ましく、0.03~5重量%がより好ましい。この範囲よりもラジカル反応開始剤の添加量が少ない場合、グラフト重合率が低下する場合がある。ラジカル反応開始剤の添加量がこの範囲を超える場合は、不経済である。
なお、粘度は、B型粘度計を用い、回転数は60rpm、#1又は#2ローターを使用して測定することができる。
なお、平均粒子径は、ゼータサイザー3000HS(シスメックス社製)を用いて測定することができる。
本発明の分散樹脂組成物は、第2の成分として、成分(B):セルロースナノファイバー(CNF)を含有する。本明細書において、セルロースナノファイバーとは、繊維幅が2~500nm程度、アスペクト比が10以上の微細繊維をいう。セルロースナノファイバーは、化学処理(カチオン化:カルボキシル化(酸化)、カルボキシメチル化、エステル化等のアニオン化:機能性官能基導入)したセルロース(以下、「化学変性セルロース」ともいう)を解繊することによって得ることができる。
化学変性セルロースを製造するためのセルロース原料としては、例えば、植物性材料(例えば、木材、竹、麻、ジュート、ケナフ、農地残廃物、布、パルプ(針葉樹未漂白クラフトパルプ(NUKP)、針葉樹漂白クラフトパルプ(NBKP)、広葉樹未漂白クラフトパルプ(LUKP)、広葉樹漂白クラフトパルプ(LBKP)、針葉樹未漂白サルファイトパルプ(NUSP)、針葉樹漂白サルファイトパルプ(NBSP)、サーモメカニカルパルプ(TMP)、再生パルプ、古紙等))、動物性材料(例えば、ホヤ類)、藻類、微生物(例えば、酢酸菌(アセトバクター))、微生物産生物等を起源とするセルロース繊維を挙げることができ、それらのいずれも使用できる。好ましくは植物又は微生物由来のセルロース繊維であり、より好ましくは植物由来のセルロース繊維である。
化学変性セルロースとして、カルボキシメチル化したセルロースを用いる場合、カルボキシメチル化したセルロースは、上記のセルロース原料を公知の方法でカルボキシメチル化することにより得てもよいし、市販品を用いてもよい。いずれの場合も、セルロースの無水グルコース単位当たりのカルボキシメチル置換度は、0.01~0.50が好ましい。そのようなカルボキシメチル化したセルロースを製造する方法の一例として次のような方法を挙げることができる。
セルロース原料を出発原料にし、3~20質量倍の溶媒の存在下でマーセル化処理を行った後、エーテル化反応を行うことでカルボキシメチル化したセルロースを製造し得る。溶媒としては、例えば、水、メタノール、エタノール、n-プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n-ブチルアルコール、イソブチルアルコール、第3級ブタノール等を1種単独で、又は2種以上の混合溶媒を使用し得る。なお、低級アルコールを混合する場合、低級アルコールの混合割合は、60~95質量%である。
マーセル化剤としては、出発原料の無水グルコース残基当たり、モル換算で、0.5~20倍のアルカリ金属の水酸化物(例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム)を使用する。
出発原料と溶媒、マーセル化剤を混合し、反応温度0~70℃、好ましくは10~60℃、かつ反応時間15分~8時間、好ましくは30分~7時間、マーセル化処理を行う。その後、カルボキシメチル化剤(例えば、モノクロロ酢酸ナトリウム)をグルコース残基当たり、モル換算で、0.05~10.0倍添加し、反応温度30~90℃、好ましくは40~80℃、かつ反応時間30分~10時間、好ましくは1時間~4時間、エーテル化反応を行うことでカルボキシメチル化したセルロースを製造し得る。
化学変性セルロースとして、カルボキシル化(酸化)したセルロースを用いる場合、カルボキシル化セルロース(酸化セルロースとも呼ぶ)は、上記のセルロース原料を公知の方法でカルボキシル化(酸化)することにより得ることができる。特に限定されるものではないが、カルボキシル化の際には、カルボキシル化セルロースナノファイバーの絶乾質量に対して、カルボキシル基量が、0.6~2.0mmol/gとなるように調整することが好ましく、1.0~2.0mmol/gになるように調整することがさらに好ましい。
オゾン処理を施した後に、酸化剤を用いて、追酸化処理を行ってもよい。追酸化処理に用いる酸化剤は、特に限定されないが、二酸化塩素、亜塩素酸ナトリウム等の塩素系化合物や、酸素、過酸化水素、過硫酸、過酢酸などが挙げられる。例えば、これらの酸化剤を水またはアルコール等の極性有機溶媒中に溶解して酸化剤溶液を作製し、溶液中に酸化セルロースを浸漬させることにより追酸化処理を行うことができる。
化学変性セルロースとして、カチオン化したセルロース(以下、「カチオン化セルロース」ともいう)を用いる場合、上記のセルロース原料にグリシジルトリメチルアンモニウムクロリド、3-クロロ-2-ヒドロキシプロピルトリアルキルアンモニウムハイドライト又はそのハロヒドリン型などのカチオン化剤と、触媒であるアルカリ金属の水酸化物(水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなど)を、水及び/又は炭素数1~4のアルコールの存在下で反応させることによって、カチオン化セルロースを得ることができる。なお、この方法において、得られるカチオン化セルロースのグルコース単位当たりのカチオン置換度は、反応させるカチオン化剤の添加量、水及び/又は炭素数1~4のアルコールの組成比率をコントロールすることによって、調整することができる。
化学変性セルロースとして、リン酸基を導入したセルロースを用いる場合、セルロース原料に、リン酸基を有する化合物を反応させることで、リン酸基を導入したセルロースを得ることができる。リン酸基を有する化合物としては、リン酸、リン酸二水素ナトリウム、リン酸水素二ナトリウム、リン酸三ナトリウム、ピロリン酸ナトリウム、メタリン酸ナトリウム、リン酸二水素カリウム、リン酸水素二カリウム、リン酸三カリウム、ピロリン酸カリウム、メタリン酸カリウム、リン酸二水素アンモニウム、リン酸水素二アンモニウム、リン酸三アンモニウム、ピロリン酸アンモニウム、メタリン酸アンモニウム等が挙げられる。リン酸基を有する化合物は1種、あるいは2種以上を併用することができる。セルロース原料に対するリン酸基を有する化合物の添加量は、セルロース原料の固形分100質量部に対して、リン元素換算で、0.1~500質量部が好ましく、1~400質量部がより好ましく、2~200質量部がさらに好ましい。
化学変性セルロースを解繊する際に用いる装置は、特に限定されないが、高速回転式、コロイドミル式、高圧式、ロールミル式、超音波式などの装置を用いることができる。解繊は、化学変性セルロースの水分散体に、強力なせん断力を印加する、物理的解繊処理が好ましい。特に、効率よく解繊するには、前記水分散体に50MPa以上の圧力を印加し、かつ強力なせん断力を印加できる湿式の高圧または超高圧ホモジナイザーを用いることが好ましい。前記圧力は、より好ましくは100MPa以上であり、さらに好ましくは140MPa以上である。また、高圧ホモジナイザーでの解繊及び分散処理に先立って、必要に応じて、高速せん断ミキサーなどの公知の混合、攪拌、乳化、分散装置を用いて、前記水分散体に予備処理を施してもよい。
本発明の分散樹脂組成物は、第3の成分として、成分(C):分散媒を含有する。
本発明の分散樹脂組成物は、上記の成分(A)~(C)を公知の分散方法で分散させて得ることができる。例えば、成分(A)を成分(C)に分散させ、成分(B)を成分(C)に分散させたのち、それぞれの分散物を撹拌混合することで得ることができる。
なお、「成分(B)に由来する」とは、成分(B)それ単独の凝集物のみならず、成分(B)と成分(A)等の他の成分の複合凝集物も含む。
工程(1):固形分1.0質量%の分散樹脂組成物を調整する工程。
工程(2):上記分散樹脂組成物に、色材を添加し撹拌する工程。
工程(3):色材を添加した分散樹脂組成物を、光学顕微鏡(倍率100倍)で3mm×2.3mm範囲を観察する工程。
なお、色材の添加量は、色材を添加した分散樹脂組成物中、5~20重量%程度である。撹拌条件については特に限定されず、通常の条件にて色材を混ぜることができる。例えば、ボルテックスミキサーなどを用いて、1分間撹拌することができる。
色材とは、白、黒、青、赤、黄、緑などの色を有する材料である。本発明においては色材として、有色顔料又は染料を使用できる。好ましくは、墨汁である。
有色顔料とは、白、黒、青、赤、黄、緑等の色を有する顔料であり、その形状も板状、球状、鱗片状等特に限定されない。有色顔料としては、無機顔料、有機顔料が挙げられる。
無機顔料としては、カーボンブラック、鉄黒、複合金属酸化物ブラック、クロム酸亜鉛、クロム酸鉛、鉛丹、リン酸亜鉛、リン酸バナジウム、リン酸カルシウム、リンモリブデン酸アルミニウム、モリブデン酸カルシウム、トリポリリン酸アルミニウム、酸化ビスマス、水酸化ビスマス、塩基性炭酸ビスマス、硝酸ビスマス、ケイ酸ビスマス、ハイドロタルサイト、亜鉛末、雲母状酸化鉄、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、アルミナホワイト、シリカ、ケイソウ土、カオリン、タルク、クレー、マイカ、バリタ、有機ベントナイト、ホワイトカーボン、酸化チタン、亜鉛華、酸化アンチモン、リトポン、鉛白、ペリレンブラック、モリブデン赤、カドミウムレッド、ベンガラ、硫化セリウム、黄鉛、カドミウムイエロー、黄色酸化鉄、黄土、ビスマスイエロー、シェナ、アンバー、緑土、マルスバイオレット、群青、紺青、塩基性硫酸鉛、塩基性ケイ酸鉛、硫化亜鉛、三酸化アンチモン、カルシウム複合物、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン、オーカ、アルミニウム粉、銅粉、真鍮粉、ステンレス粉、酸化チタン被覆雲母、酸化鉄被覆雲母、亜鉛酸化銅、銀粒子、アナターゼ型酸化チタン、酸化鉄系焼成顔料、導電性金属粉、電磁波吸収フェライト等が例示できる。
有機顔料としては、キナクリドンレッド、ポリアゾイエロー、アンスラキノンレッド、アンスラキノンイエロー、ポリアゾレッド、アゾレーキイエロー、ベリレン、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン、イソインドリノンイエロー、ウォッチングレッド、パーマネントレッド、パラレッド、トルイジンマルーン、ベンジジンイエロー、ファーストスカイブルー、ブリリアントカーミン6B等が例示できる。
これらの顔料は単独または2種類以上を併用して使用できる。
染料とは、可視光線を選択吸収又は反射して固有の色を持つ有機色素のうち、適当な染色法により繊維や顔料等に染着するものをいう。染料としては、アゾ染料、ジフェニル及びトリフェニルメタン染料、アジン染料、オキサジン染料、チアジン染料等が挙げられる。
これらの染料は単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
本発明の分散樹脂組成物は、プライマーとして用いた際に、プレヒートを行わなくとも混層の発生を抑制できるチキソ性を有するという性質を有する。そのため、本発明の分散樹脂組成物は、例えば、塗料、特にプライマー塗料として好適に用いることができる。
本発明の積層塗膜形成方法は、本発明の分散樹脂組成物を含むプライマー塗料を塗装し、ウェットオンプライマー層を形成する工程、ウェットオンプライマー層上に、上塗り塗料を塗装し、乾燥させる工程、を有する。本発明の分散樹脂組成物が、プライマーとして用いた際に、プレヒートを行わなくとも混層の発生を抑制できるチキソ性を有するので、ウェットオンプライマー層をプレヒートすることなく、上塗りしても、混層の発生を防止し得る。従って、塗装ラインにおいて加熱ラインとその後の冷却ラインを必要とせず、コストアップを防止し得る。
なお、ウェットオンプライマー層とは、プレヒートを行わない湿潤状態をいう。上塗り塗装とは、水性ベース塗装等をいう。
されるものではない。なお、物性値等の測定方法は、別途記載がない限り、上記に記載した測定方法である。また、「部」は、特に断らない限り、重量部を意味する。
メタロセン触媒を重合触媒として製造したプロピレン系ランダム共重合体(プロピレン約97%、エチレン約3%、融点:125℃)100部に対し、無水マレイン酸2.5部、ジクミルパーオキサイド2部を混合し、L/D=60、φ=40mmの二軸押出機に定量フィーダを用いて供給した。滞留時間は15分、バレル温度は180℃(第3バレル~第7バレル)として反応を開始し、第9バレルにて減圧して未反応の無水マレイン酸を除去することにより、プロピレン系ランダム共重合体を無水マレイン酸で変性した変性プロピレン系ランダム共重合物(変性ポリオレフィン樹脂(1)、無水マレイン酸のグラフト量:1.9重量%)を得た。
なお、固形分の平均粒子径は、ゼータサイザー3000HS(シスメックス社製)を用いて測定した。
無水マレイン酸の配合量を0.7部、ジクミルパーオキサイドを2.1部、バレル温度を200℃としたこと以外は製造例1と同様にして変性ポリオレフィン樹脂(2)と塩素化変性ポリオレフィン樹脂(2)を得た。変性ポリオレフィン樹脂(2)の無水マレイン酸のグラフト量は0.6重量%であり、塩素化変性ポリオレフィン樹脂(2)の重量平均分子量は120,000であった。塩素化変性ポリオレフィン樹脂(2)を用いたこと、及び2-アミノ-2-メチル-1-プロパノールの使用量を4gとしたこと以外は、製造例1と同様にして塩素化変性ポリオレフィン樹脂(2)の水性分散液を得た。該水性分散液の固形分は35重量%、pHは7.8、粘度は10mPa・s/25℃、平均粒子径は130nmであった。
無水マレイン酸の配合量を5部、ジクミルパーオキサイドを4部としたこと以外は製造例1と同様にして変性ポリオレフィン樹脂(3)と塩素化変性ポリオレフィン樹脂(3)を得た。変性ポリオレフィン樹脂(3)の無水マレイン酸のグラフト量は3.5重量%であり、塩素化変性ポリオレフィン樹脂(3)の重量平均分子量80,000であった。塩素化変性ポリオレフィン樹脂(3)を用いたこと、及び2-アミノ-2-メチル-1-プロパノールの使用量を15gとしたこと以外は、製造例1と同様にして塩素化変性ポリオレフィン樹脂(3)の水性分散液を得た。該水性分散液の固形分は35重量%、pHは7.2、粘度は15mPa・s/25℃、平均粒子径は75nmであった。
塩素含有量が13重量%となるように塩素ガスを吹き込んだこと以外は製造例1と同様にして変性ポリオレフィン樹脂(4)と塩素化変性ポリオレフィン樹脂(4)を得た。変性ポリオレフィン樹脂(4)の無水マレイン酸のグラフト量は1.9重量%であり、塩素化変性ポリオレフィン樹脂(4)の重量平均分子量96,000であった。塩素化変性ポリオレフィン樹脂(4)を用いたこと、及び2-アミノ-2-メチル-1-プロパノールの使用量を10gとしたこと以外は、製造例1と同様にして塩素化変性ポリオレフィン樹脂(4)の水性分散液を得た。該水性分散液の固形分は35重量%、pHは7.5、粘度は14mPa・s/25℃、平均粒子径は120nmであった。
塩素含有量25重量%となるように塩素ガスを吹き込んだこと以外は製造例1と同様にして変性ポリオレフィン樹脂(5)と塩素化変性ポリオレフィン樹脂(5)を得た。変性ポリオレフィン樹脂(5)の無水マレイン酸のグラフト量は1.9重量%であり、塩素化変性ポリオレフィン樹脂(5)の重量平均分子量105,000であった。塩素化変性ポリオレフィン樹脂(5)を用いたこと、及び2-アミノ-2-メチル-1-プロパノールの使用量を10gとしたこと以外は、製造例1と同様にして塩素化変性ポリオレフィン樹脂(5)の水性分散液を得た。該水性分散液の固形分は35重量%、pHは7.4、粘度は12mPa・s/25℃、平均粒子径は95nmであった。
チーグラー・ナッタ系触媒を重合触媒として製造したプロピレン系ランダム共重合体(プロピレン約97%、エチレン約3%、融点:146℃)100部に対し、無水マレイン酸3部、ジクミルパーオキサイド2.5部を混合し、L/D=60、φ=40mmの二軸押出機に定量フィーダを用いて供給した。滞留時間は15分、バレル温度は190℃(第3バレル~第7バレル)として反応を開始し、第9バレルにて減圧して未反応の無水マレイン酸を除去することにより、プロピレン系ランダム共重合体を無水マレイン酸で変性した変性プロピレン系ランダム共重合物(変性ポリオレフィン樹脂(6)、無水マレイン酸のグラフト量:1.7重量%)を得た。
変性ポリオレフィン樹脂(6)を用いたこと以外は、製造例1と同様にして塩素化変性ポリオレフィン樹脂(6)を得た。塩素化変性ポリオレフィン樹脂(6)の重量平均分子量65,000であった。塩素化変性ポリオレフィン樹脂(6)を用いたこと、及び2-アミノ-2-メチル-1-プロパノール8gを、モルホリン15gに変更したこと以外は、製造例1と同様にして塩素化変性ポリオレフィン樹脂(6)の水性分散液を得た。該水性分散液の固形分は35重量%、pHは7.6、粘度は12mPa・s/25℃、平均粒子径は110nmであった。
メタロセン触媒を重合触媒として製造したプロピレン系ランダム共重合体(プロピレン成分97%、エチレン成分3モル%、Tm=125℃)100部、無水マレイン酸5部、ジ-t-ブチルパーオキシド2部を160℃に設定した二軸押出機を用いて反応した。押出機内にて脱気も行い、残留する未反応物を除去した。得られた変性ポリオレフィン樹脂(7)の重量平均分子量は98,000、分子量分布(Mw/Mn)が2.7、無水マレイン酸のグラフト重量は3.6重量%であった。
攪拌機、冷却管、温度計および滴下ロートを取り付けた4つ口フラスコ中に、上記で得られた変性ポリオレフィン樹脂(7)100g及び界面活性剤(エマルゲンLS―106、花王製)20gを添加し、120℃で30分混練した。
次に、ジメチルエタノールアミン6gを5分かけて添加し、30分保持した後、90℃のイオン交換水300gを40分かけて添加した。引き続き、室温まで攪拌しながら冷却し、変性ポリオレフィン樹脂(7)の水性分散液を得た。該水性分散液の固形分は35重量%、pH=7.5で、粘度は47mPa・s/25℃であり、平均粒子径は122nmであった。
攪拌機、冷却管、温度計及び滴下ロートを取り付けた4つ口フラスコ中に、上記で得られた変性ポリオレフィン樹脂(7)200g、トルエン40g、プロピレングリコールモノプロピルエーテル100gを添加し、フラスコ内温90℃で30分混練した。次に、ジメチルエタノールアミン12gを添加し、フラスコ内温90℃で60分混練した。その後、90℃の脱イオン交換水580gを60分かけて添加した。引き続き、トルエン、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、水の一部を減圧下にて除去後、室温まで撹拌しながら冷却し、変性ポリオレフィン樹脂(8)の水性分散液を得た。変性ポリオレフィン樹脂水分散体組成物中のトルエンの含有率をガスクロマトグラフィーにより確認した結果、変性ポリオレフィン樹脂水分散体組成物に対して1重量%以下であった。
該水性分散液の固形分は35重量%、pH=9.0で、粘度は15mPa・s/25℃であり、平均粒子径は135nmであった。
針葉樹由来の漂白済み未叩解クラフトパルプ(白色度85%)5g(絶乾)を、TEMPO(Sigma Aldrich社)39mgと臭化ナトリウム514mgを溶解した水溶液500mlに加え、パルプが均一に分散するまで撹拌した。反応系に次亜塩素酸ナトリウム水溶液を5.7mmol/gになるように添加し、酸化反応を開始した。反応中は系内のpHが低下するので、3M水酸化ナトリウム水溶液を逐次添加し、pH10に調整した。次亜塩素酸ナトリウムを消費し、系内のpHが変化しなくなった時点で反応を終了した。反応後の混合物をガラスフィルターで濾過してパルプ分離し、パルプを十分に水洗して酸化されたパルプ(カルボキシル化セルロース)を得た。パルプ収率は90%であり、酸化反応に要した時間は90分、カルボキシル基量は1.67mmol/gであった。
針葉樹由来の漂白済み未叩解クラフトパルプ(日本製紙社製、白色度84%)5g(絶乾)を、TEMPO(Sigma Aldrich社)78mg(0.5mmol)と臭化ナトリウム755mg(7mmol)を溶解した水溶液500mlに加え、パルプが均一に分散するまで撹拌した。反応液に次亜塩素酸ナトリウム水溶液(有効塩素5%)18mlを添加した後、0.5N塩酸水溶液でpHを10.3に調整し、酸化反応を開始した。反応中は反応液のpHは低下するので、0.5N水酸化ナトリウム水溶液を逐次添加し、pH10に調整した。2時間反応させた後、ガラスフィルターで濾過し、十分に水洗することで、酸化されたパルプを得た。
製造例1-1で得られた塩素化変性ポリオレフィン樹脂(1)の水性分散液に対し、製造例2-1で得られたセルロースナノファイバー1を、固形分比で塩素化変性ポリオレフィン樹脂(1):セルロースナノファイバー1=100:0.5になるよう添加した後、TKホモジナイザー(プライミクス社製)にて3000rpmの撹拌速度で15分間撹拌処理し、固形分濃度が30%になる様に水を添加することで、分散樹脂組成物1を得た。なお、分散液のpHは8.3であった。
粘度は、得られた分散樹脂組成物1を20℃で24時間静置後のB型粘度(60rpm、20℃、B60粘度という)及びB型粘度(6rpm、20℃、B6粘度という)を、TV-10型粘度計(東機産業社製)を用いて測定した。チキソ性については、T.I.=B6粘度/B60粘度から評価した。
実施例1で用いた塩素化変性ポリオレフィン樹脂1、セルロースナノファイバー1、水を表1に記載した種類に変更したこと以外は、実施例1と同様にして分散樹脂組成物2~11を得た。
なお、実施例2のみ、塩素化変性ポリオレフィン樹脂(1)とセルロースナノファイバー2の固形分比率を100:2.5とした。
超高剛性ポリプロピレン板(商品名:TX-933A、三菱化学社製)にエアー式スプレーガンによって膜厚が約10μmになるように、調製した水性プライマー塗料を用いてプライマー層を塗装した後、プレヒートを行うことなく、水性メタリック色ベースコート塗料を乾燥膜厚15μmとなるように塗装した。その後、塗装板を80℃で3分間プレヒートし、ベースコート塗料からなる塗膜上にアクリルウレタン系溶剤型クリヤー塗料を膜厚30μmとなるように塗装した。塗装板を80℃で30分乾燥し、室温にて72時間放置した後、積層塗膜を持つ試験片を得て、下記の付着性評価と、外観評価を行った。結果を表2に示す。
塗面上に1mm間隔で素地に達する100個の碁盤目を作製し、その上にセロハン粘着テープを密着させて180゜方向に引き剥し、塗膜の残存する程度で判定した。
塗面を目視にて観察し、外観を下記の通り評価した。
○:外観が均一であり、良好である。
×:ムラやハジキ等の外観異常が認められる。
Claims (11)
- 下記成分(A)~(C)を含有する分散樹脂組成物。
成分(A):不飽和カルボン酸、不飽和カルボン酸の誘導体、不飽和カルボン酸の無水物、及びラジカル重合性モノマーからなる群から選ばれる一種以上の極性付与剤を用いてポリオレフィン樹脂を変性した変性ポリオレフィン樹脂。
成分(B):カルボキシル化セルロースナノファイバー。
成分(C):水又は親水性の分散媒。 - 前記成分(B)に由来する平均粒子径150μm以上の凝集物の個数割合が、1%未満である請求項1に記載の分散樹脂組成物。
- 前記成分(A)が、前記極性付与剤と、塩素と、を用いて前記ポリオレフィン樹脂を変性した塩素化変性ポリオレフィン樹脂である請求項1又は2に記載の分散樹脂組成物。
- 前記成分(A)100重量部に対し、前記成分(B)の含有量が0.01~20重量部である請求項1~3のいずれか1項に記載の分散樹脂組成物。
- 前記成分(C)が、水、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、及びアセトンから選ばれる1種又は2種以上の混合溶媒である請求項1~4のいずれか1項に記載の分散樹脂組成物。
- 前記ポリオレフィン樹脂が、プロピレンのホモ重合体、エチレン-プロピレン共重合体、プロピレン-1-ブテン共重合体、及びエチレン-プロピレン-1-ブテン共重合体からなる群から選ばれる少なくとも1種のポリオレフィン樹脂を含む請求項1~5のいずれか1項に記載の分散樹脂組成物。
- 前記成分(A)中の前記極性付与剤による変性重量が、0.1~30重量%である請求項1~6のいずれか1項に記載の分散樹脂組成物。
- 前記成分(A)の重量平均分子量が、10,000~500,000である請求項1~7のいずれか1項に記載の分散樹脂組成物。
- 請求項1~8のいずれか1項に記載の分散樹脂組成物を含む塗料。
- 請求項1~8のいずれか1項に記載の分散樹脂組成物を含む、プライマー塗料。
- 請求項10に記載のプライマー塗料を塗装し、ウェットオンプライマー層を形成する工程と、
前記ウェットオンプライマー層上に、上塗り塗料を塗装し、乾燥させる工程と、を有する積層塗膜形成方法。
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