JP2005126482A - ポリオレフィン樹脂水性分散体およびその製造方法 - Google Patents
ポリオレフィン樹脂水性分散体およびその製造方法 Download PDFInfo
- Publication number
- JP2005126482A JP2005126482A JP2003360690A JP2003360690A JP2005126482A JP 2005126482 A JP2005126482 A JP 2005126482A JP 2003360690 A JP2003360690 A JP 2003360690A JP 2003360690 A JP2003360690 A JP 2003360690A JP 2005126482 A JP2005126482 A JP 2005126482A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- polyolefin resin
- aqueous
- aqueous dispersion
- mass
- resin
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Pending
Links
Landscapes
- Paints Or Removers (AREA)
- Inks, Pencil-Leads, Or Crayons (AREA)
- Adhesives Or Adhesive Processes (AREA)
- Processes Of Treating Macromolecular Substances (AREA)
- Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)
Abstract
【課題】 耐水性、接着性、ヒートシール性に優れ、各種コーティング剤、塗料、インキ、接着剤のバインダー等の用途に好適な、ポリオレフィン樹脂水性分散体とその製造方法を提供する。
【解決手段】 炭素数3〜6の不飽和炭化水素50〜98質量%および(メタ)アクリル酸エステル0.1〜25質量%をモノマー単位として含む酸価が5〜100mgKOH/gのポリオレフィン樹脂、塩基性化合物、不揮発性水性化助剤ならびに水性媒体を含有する水性分散体であって、不揮発性水性化助剤の含有量がポリオレフィン樹脂100質量部あたり10質量部以下であり、ポリオレフィン樹脂の水性分散体中での数平均粒子径が1μm以下であることを特徴とするポリオレフィン樹脂水性分散体。また、その製造方法。
【選択図】 なし
【解決手段】 炭素数3〜6の不飽和炭化水素50〜98質量%および(メタ)アクリル酸エステル0.1〜25質量%をモノマー単位として含む酸価が5〜100mgKOH/gのポリオレフィン樹脂、塩基性化合物、不揮発性水性化助剤ならびに水性媒体を含有する水性分散体であって、不揮発性水性化助剤の含有量がポリオレフィン樹脂100質量部あたり10質量部以下であり、ポリオレフィン樹脂の水性分散体中での数平均粒子径が1μm以下であることを特徴とするポリオレフィン樹脂水性分散体。また、その製造方法。
【選択図】 なし
Description
本発明は、各種基材との密着性、ヒートシール性に優れており、各種コーティング剤、塗料、インキ、接着剤のバインダーとして好適なポリオレフィン樹脂水性分散体およびその製造方法に関する。
プロピレン樹脂等のポリオレフィン樹脂は、電気特性、力学特性、化学特性、賦形性、衛生性、リサイクル性等が優れていることから、自動車、電気、包装、日用雑貨を中心に大量に使用されている。しかし、通常、ポリオレフィン樹脂は分子鎖に極性基を含まないためコーティングや接着が困難であるという問題がある。このため、プロピレン樹脂等のポリオレフィン樹脂のコーティングや接着には塩素化ポリオレフィン樹脂を主成分とした樹脂を使用する方法が提案されている。しかし、塩素化した樹脂は、焼却時に酸性ガス等の有害物質を発生するため、近年環境への関心が高まるとともに非塩素系材料への移行が強く望まれている。そこで、酸などで変性した変性ポリオレフィン樹脂の開発が行われている。変性ポリオレフィン樹脂をコーティングや接着の用途に使用するためには、樹脂を液状化する必要があり、例えば、a)樹脂を溶融して用いる、b)樹脂を有機溶剤に溶解または分散して用いる、c)樹脂を水性媒体に分散して用いる、といった方法が使われている。しかし、a)では用途が限定される、樹脂の溶融粘度との兼ね合いで薄肉化が困難であるといった問題がある。b)とc)を比べた場合、環境保護、省資源、消防法等による危険物規制、職場環境改善の立場から有機溶剤の使用が制限される傾向にあり、c)の方が望まれている。
上記のような背景から、変性ポリオレフィン樹脂の水性化の検討が盛んに行われている。例えば、特許文献1〜10には、変性ポリオレフィン樹脂を水性媒体中に安定に分散するために各種の界面活性剤を必須として用いることが記載されている。
上記文献に記載されているポリオレフィン樹脂では、一定量以上の界面活性剤を用いているために、各種基材との密着性、ヒートシール性は不十分であった。また、上記のような界面活性剤は不揮発性であり、乾燥後も変性ポリオレフィン樹脂の塗膜中に残存するため、その使用量が多い場合は、塗膜の耐水性や基材との密着性を著しく低下させ、さらに塗膜からブリードアウトする恐れがあるために、環境的、衛生的にも好ましくないばかりか、経時的に性能が変化してしまう恐れがある。
本発明者らは、上記のような現状に対して、各種基材との密着性、ヒートシール性が良好であり、しかも乾燥後に塗膜中に残存するような不揮発性化合物の添加量をできる限り低下させ(好ましくは、使用せず)、変性ポリオレフィン樹脂を水性媒体中に微細、かつ均一に分散させた、変性ポリオレフィン樹脂の特性を損なうことがない水性分散体を提供しようとするものである。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、特定組成のポリオレフィン樹脂は、少量の高沸点の水性化助剤または有機溶剤の添加によって水性媒体中に安定に分散できることを見出し、本発明に到達した。
すなわち、本発明の要旨は以下のとおりである。
(1)炭素数3〜6の不飽和炭化水素50〜98質量%および(メタ)アクリル酸エステル0.1〜25質量%をモノマー単位として含む酸価が5〜100mgKOH/gのポリオレフィン樹脂、塩基性化合物、不揮発性水性化助剤ならびに水性媒体を含有する水性分散体であって、不揮発性水性化助剤の含有量がポリオレフィン樹脂100質量部あたり10質量部以下であり、ポリオレフィン樹脂の水性分散体中での数平均粒子径が1μm以下であることを特徴とするポリオレフィン樹脂水性分散体。
(2)前記ポリオレフィン樹脂に含まれる炭素数3〜6の不飽和炭化水素が、プロピレンおよび/またはブテンであることを特徴とする(1)記載のポリオレフィン樹脂水性分散体。
(3)前記ポリオレフィン樹脂が、さらにエチレンを含むことを特徴とする(1)または(2)記載のポリオレフィン樹脂水性分散体。
(4)不揮発性水性化助剤を実質的に含有していないことを特徴とする(1)〜(3)記載のポリオレフィン樹脂水性分散体。
(5)(1)〜(4)いずれかに記載のポリオレフィン樹脂水性分散体を含有してなるコーティング組成物、塗料組成物、インキ組成物、または接着剤組成物。
(6)炭素数3〜6の不飽和炭化水素50〜98質量%および(メタ)アクリル酸エステル0.1〜25質量%をモノマー単位として含み酸価が5〜100mgKOH/gであるポリオレフィン樹脂、塩基性化合物、水性媒体およびポリオレフィン樹脂100質量部あたり10質量部以下の不揮発性水性化助剤または/および有機溶剤を密閉容器中、60〜220℃の温度で加熱、攪拌する工程を含むポリオレフィン樹脂水性分散体の製造方法。
(1)炭素数3〜6の不飽和炭化水素50〜98質量%および(メタ)アクリル酸エステル0.1〜25質量%をモノマー単位として含む酸価が5〜100mgKOH/gのポリオレフィン樹脂、塩基性化合物、不揮発性水性化助剤ならびに水性媒体を含有する水性分散体であって、不揮発性水性化助剤の含有量がポリオレフィン樹脂100質量部あたり10質量部以下であり、ポリオレフィン樹脂の水性分散体中での数平均粒子径が1μm以下であることを特徴とするポリオレフィン樹脂水性分散体。
(2)前記ポリオレフィン樹脂に含まれる炭素数3〜6の不飽和炭化水素が、プロピレンおよび/またはブテンであることを特徴とする(1)記載のポリオレフィン樹脂水性分散体。
(3)前記ポリオレフィン樹脂が、さらにエチレンを含むことを特徴とする(1)または(2)記載のポリオレフィン樹脂水性分散体。
(4)不揮発性水性化助剤を実質的に含有していないことを特徴とする(1)〜(3)記載のポリオレフィン樹脂水性分散体。
(5)(1)〜(4)いずれかに記載のポリオレフィン樹脂水性分散体を含有してなるコーティング組成物、塗料組成物、インキ組成物、または接着剤組成物。
(6)炭素数3〜6の不飽和炭化水素50〜98質量%および(メタ)アクリル酸エステル0.1〜25質量%をモノマー単位として含み酸価が5〜100mgKOH/gであるポリオレフィン樹脂、塩基性化合物、水性媒体およびポリオレフィン樹脂100質量部あたり10質量部以下の不揮発性水性化助剤または/および有機溶剤を密閉容器中、60〜220℃の温度で加熱、攪拌する工程を含むポリオレフィン樹脂水性分散体の製造方法。
本発明によれば、特定組成のポリオレフィン樹脂の水性分散体を少量の不揮発性水性化助剤の添加、または有機溶剤の添加によって、数平均粒子径が1μm以下に微細かつ安定に製造することができる。さらに、低沸点(揮発性)の有機溶剤のみを使用して製造した場合には、この水性分散体から得られる塗膜は不揮発性水性化助剤を含まないため、ポリオレフィン樹脂本来の特性を損なうことなく、特に耐水性や耐アルカリ性、各種基材との密着性、ヒートシール性に優れており、長期的にもこれらの性能は殆ど変化しない。したがって、各種コーティング剤、塗料、インキ、接着剤のバインダー等の用途に好適である。また、本発明の製造方法ではホモジナイザーやミキサー型乳化器等の高速攪拌装置を用いる必要がないため、設備の簡略化やコストダウンにも寄与することができる。さらに、ポリオレフィン樹脂として非塩素系のものを選択すれば、焼却時に酸性ガス等の有害物質を発生することはなく環境にも配慮したものとなる。
以下本発明を詳細に説明する。
まず、ポリオレフィン樹脂について説明する。
本発明におけるポリオレフィン樹脂は、モノマー単位として炭素数3〜6の不飽和炭化水素の含有量が50〜98質量%、好ましくは60〜98質量%、より好ましくは70〜98質量%、特に好ましくは75〜95質量%のポリオレフィン樹脂である。炭素数3〜6の不飽和炭化水素の含有量が50質量%未満ではポリプロピレン等のポリオレフィン材料に対する接着性が低下し、98質量%を超えると、相対的に後述する不飽和カルボン酸単位の含有量が低下してしまうため、樹脂の水性化が困難になる。炭素数3〜6の不飽和炭化水素としては、プロピレン、1−ブテン、イソブテン、1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、3−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン等のアルケン類やブタジエンやイソプレン等のジエン類が挙げられ、樹脂の製造のし易さ、水性化のし易さ、各種材料に対する接着性、ブロッキング性等の点から、プロピレン成分またはブテン成分(1−ブテン、イソブテンなど)であることが好ましく、両者を併用することもできる。本発明に用いるポリオレフィン樹脂としては、上記した炭素数3〜6の不飽和炭化水素以外にさらにエチレン成分を2〜50質量%含有していることが好ましい。エチレン成分を含有することで樹脂の水性化や塗膜性能が向上する。
本発明に用いるポリオレフィン樹脂として特に好ましい構成は、プロピレン成分、ブテン成分、エチレン成分の3成分をモノマー単位として含有するものであり、その構成比率は、この3成分の総和を100質量部としたとき、プロピレン成分8〜90質量部、ブテン成分8〜90質量部、エチレン成分2〜50質量部である。
上記のポリオレフィン樹脂において、各成分の共重合形態は限定されず、ランダム共重合、ブロック共重合等が挙げられるが、重合のし易さの点から、ランダム共重合されていることが好ましい。また、本発明の構成成分比率となるように2種以上のポリオレフィン樹脂を混合してもよい。
ポリオレフィン樹脂の酸価は、不飽和カルボン酸単位を導入することで付与することができる。不飽和カルボン酸単位は、不飽和カルボン酸や、その無水物により導入され、具体例としては、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、イタコン酸、無水イタコン酸、アコニット酸、無水アコニット酸、フマル酸、クロトン酸、シトラコン酸、メサコン酸、アリルコハク酸等のほか、不飽和ジカルボン酸のハーフエステル、ハーフアミド等のように、分子内(モノマー単位内)に少なくとも1個のカルボキシル基または酸無水物基を有する化合物を用いることができる。中でもポリオレフィン樹脂への導入のし易さの点から無水マレイン酸、アクリル酸、メタクリル酸が好ましく、無水マレイン酸がより好ましい。不飽和カルボン酸単位は、ポリオレフィン樹脂中に共重合されていれば良く、その形態は限定されるものではなく、例えばランダム共重合、ブロック共重合、グラフト共重合等が挙げられる。なお、ポリオレフィン樹脂に導入された酸無水物単位は、乾燥状態では酸無水物構造を取りやすく、前述した塩基性化合物を含有する水性媒体中ではその一部または全部が開環してカルボン酸またはその塩の構造となる傾向がある。
不飽和カルボン酸は、ポリオレフィン樹脂中に共重合されていれば良く、その形態は限定されるものではなく、例えばランダム共重合、ブロック共重合、グラフト共重合等が挙げられる。例えば、グラフト共重合する場合、例えば、ラジカル発生剤存在下、ポリオレフィン樹脂と不飽和カルボン酸とをポリオレフィン樹脂の融点以上に加熱溶融して反応させる方法や、ポリオレフィン樹脂を有機溶剤に溶解させた後、ラジカル発生剤の存在下で加熱、攪拌して反応させる方法等によりポリオレフィン樹脂に不飽和カルボン酸単位をグラフト共重合する方法が挙げられる。グラフト共重合に使用するラジカル発生剤としては、例えば、ジ−tert−ブチルパーオキシド、ジクミルパーオキシド、tert−ブチルヒドロパーオキシド、tert−ブチルクミルパーオキシド、ベンゾイルパーオキシド、ジラウリルパーオキシド、クメンハイドロパーオキシド、tert−ブチルパーオキシベンゾエート、エチルエチルケトンパーオキシド、ジ−tert−ブチルジパーフタレート等の有機過酸化物類やアゾビスイソブチロニトリル等のアゾニトリル類が挙げられる。これらは反応温度によって適宜、選択して使用すればよい。
さらに、本発明のポリオレフィン樹脂は、各種基材との接着性や水性化のし易さの点から、ポリオレフィン樹脂の構造中にモノマー単位として(メタ)アクリル酸エステルを0.1〜25質量%含有している必要がある。この単位は0.5〜20質量%であることが好ましく、0.5〜18質量%がより好ましく、1〜18質量%がさらに好ましく、2〜15質量%が特に好ましい。(メタ)アクリル酸エステルの含有量が0.1質量%未満の場合は、ポリオレフィン樹脂の水性化のし易さ向上の程度が小さくなったり、ポリプロピレン等のポリオレフィン樹脂材料への接着性が低下する傾向にあり、一方、25質量%を超えた場合は、ポリプロピレン等のポリオレフィン樹脂材料への接着性や耐ブロッキング性が低下する傾向にある。(メタ)アクリル酸エステルとしては、(メタ)アクリル酸と炭素数1〜30のアルコールとのエステル化物が挙げられ、中でも入手のし易さの点から、(メタ)アクリル酸と炭素数1〜20のアルコールとのエステル化物が好ましく、ポリプロピレン等のポリオレフィン樹脂との接着性の点から、(メタ)アクリル酸と炭素数2〜18のアルコールとのエステル化物がより好ましい。そのような化合物の具体例としては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸ステアリル等が挙げられる。
(メタ)アクリル酸エステルは、ポリオレフィン樹脂中に共重合されていれば良く、その形態は限定されるものではなく、例えばランダム共重合、ブロック共重合、グラフト共重合等が挙げられる。例えば、グラフト共重合する場合、前述したような不飽和カルボン酸単位を導入した方法と同様の操作で行うことができる。
また、上記成分以外に他の成分をポリオレフィン樹脂全体の10質量%以下程度、含有していてもよく、他の成分としては、1−オクテン、ノルボルネン類等の炭素数6以上のアルケン類やジエン類、シクロオレフィン類、マレイン酸ジメチル、マレイン酸ジエチル、マレイン酸ジブチル等のマレイン酸エステル類、(メタ)アクリル酸アミド類、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテルなどのアルキルビニルエーテル類、ぎ酸ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ピバリン酸ビニル、バーサチック酸ビニル等のビニルエステル類ならびにビニルエステル類を塩基性化合物等でケン化して得られるビニルアルコール、2−ヒドロキシエチルアクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロニトリル、スチレン、置換スチレン、ハロゲン化ビニル類、ハロゲン化ビリニデン類、一酸化炭素、二酸化硫黄、などが挙げられ、これらの混合物を用いることもできる。
ポリオレフィン樹脂の重量平均分子量は5,000〜150,000であることが好ましく、20,000〜120,000であることがより好ましく、30,000〜100,000であることがさらに好ましく、35,000〜90,000であることが特に好ましく、40,000〜80,000であることが最も好ましい。重量平均分子量が5,000未満の場合は、基材との接着性が低下したり、得られる塗膜が硬くてもろくなる傾向がある。重量平均分子量が150,000を超える場合は、樹脂の水性化が困難になる傾向がある。なお、樹脂の重量平均分子量はゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いてポリスチレン樹脂を標準として求めることができる。
本発明の水性分散体は、上記のポリオレフィン樹脂が水性媒体中に分散もしくは溶解されている。ここで、水性媒体とは、後述する水溶性の有機溶剤や塩基性化合物を含有する、水を主成分とする液体である。
本発明の水性分散体中に分散しているポリオレフィン樹脂粒子の数平均粒子径は、1μm以下である。さらに、低温造膜性の観点から0.5μm以下が好ましく、0.3μm以下がより好ましく、0.2μm以下がさらに好ましい。数平均粒子径が1μmを超えると低温造膜性が著しく悪化したり、水性分散体の保存安定性が低下したりする。また、体積平均粒子径に関しても、低温造膜性や保存安定性の点から、2μm以下が好ましく、1μm以下がより好ましく、0.5μm以下がさらに好ましく、0.3μm以下が特に好ましい。数平均粒子径、体積平均粒子径の好ましい下限としては0.01μmである。粒子径が0.01μm未満の場合、水性分散体の固形分濃度を上げると粘度が高くなる場合がある。
本発明の水性分散体における、樹脂含有率は、成膜条件、目的とする樹脂塗膜の厚さや性能等により適宜選択でき、特に限定されるものではないが、コーティング組成物の粘性を適度に保ち、かつ良好な塗膜形成能を発現させる点で、1〜60質量%が好ましく、3〜55質量%がより好ましく、5〜50質量%がさらに好ましく、10〜45質量%が特に好ましい。
本発明の水性分散体には、塩基性化合物が含まれている必要がある。塩基性化合物はポリオレフィン樹脂中のカルボキシル基を中和し、中和によって生成したカルボキシルアニオンが、その電気反発力によって樹脂微粒子間の凝集を防ぎ、水性分散体に安定性が付与される。水性分散体に含まれる塩基性化合物はカルボキシル基を中和できるものであればよい。塩基性化合物は、本発明の効果を損なわないために、揮発性(例えば沸点300℃以下)のものを用いることが好ましい。
塩基性化合物としては、被膜形成時に揮発するアンモニアまたは沸点が30〜250℃の有機アミン化合物が被膜の耐水性の面から好ましく、中でも50〜200℃の有機アミン化合物がより好ましい。沸点が30℃未満の場合は、後述する樹脂の水性化時に揮発する割合が多くなり、水性化が完全に進行しない場合がある。沸点が250℃を超えると樹脂被膜から乾燥によって有機アミン化合物を飛散させることが困難になり、被膜の耐水性が悪化する場合がある。また、塩基性化合物の添加量はポリオレフィン樹脂中のカルボキシル基に対して0.5〜3.0倍当量であることが好ましく、0.8〜2.5倍当量がより好ましく、0.9〜2.0倍当量が特に好ましい。0.5倍当量未満では、塩基性化合物の添加効果が認められず、3.0倍当量を超えると塗膜形成時の乾燥時間が長くなったり、水性分散体の安定性が悪化する場合がある。
有機アミン化合物の具体例としては、トリエチルアミン、N,N−ジメチルエタノールアミン、イソプロピルアミン、アミノエタノール、ジメチルアミノエタノール、ジエチルアミノエタノール、エチルアミン、ジエチルアミン、イソブチルアミン、ジプロピルアミン、3−エトキシプロピルアミン、3−ジエチルアミノプロピルアミン、sec−ブチルアミン、プロピルアミン、n−ブチルアミン、2−メトキシエチルアミン、3−メトキシプロピルアミン、2,2−ジメトキシエチルアミン、モノエタノールアミン、モルホリン、N−メチルモルホリン、N−エチルモルホリン、ピロール、ピリジン等を挙げることができる。
本発明の水性分散体の製造の際には、後述のように、ポリオレフィン樹脂の水性化を促進し、分散粒子径を小さくするために、不揮発性水性化助剤または有機溶剤を使用する必要があるので、得られる水性分散体には、これらが含まれる場合がある。不揮発性水性化助剤と有機溶剤は組み合わせて用いてもよい。
不揮発性水性化助剤が被膜形成後のポリオレフィン樹脂に残存すると耐水性、接着性、ヒートシール性等の特性を損ねる傾向があるので、含有量は少ない方がよく、ポリオレフィン樹脂100質量部に対して10質量部以下であることが好ましく、7質量部以下であることがより好ましく、5質量部以下であることがさらに好ましい。また、不揮発性水性化助剤を使用する場合には、その効果を得るためには、0.1質量部以上使用することが好ましい。なお、「水性化助剤」とは、水性分散体の製造において、水性化促進や水性分散体の安定化の目的で添加される薬剤や化合物のことであり、「不揮発性」とは、常圧での沸点を有さないか、もしくは、常圧で高沸点(例えば300℃以上)であることを指す。
一方、水性分散体の製造時に有機溶剤を使用した場合には、不揮発性水性化助剤を必ずしも使用する必要がないため、不揮発性水性化助剤を実質的に含まない水性分散体を製造することができる。さらに用いた有機溶剤が揮発性(例えば沸点300℃未満)であれば、水性分散体に含まれていても使用時に被膜に残存しないため、物性に与える影響はほとんどない。さらに、後述のように製造工程の一部にストリッピング操作を行うことによって実質的に用いた有機溶剤のすべてを除去して有機溶剤を含まない水性分散体を得ることもできる。
本発明でいう不揮発性水性化助剤としては、例えば、後述する界面活性剤、保護コロイド作用を有する化合物、変性ワックス類、高酸価の酸変性化合物、水溶性高分子などが挙げられる。
界面活性剤としては、カチオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、ノニオン性(非イオン性)界面活性剤、両性界面活性剤、フッ素系界面活性剤、反応性界面活性剤が挙げられ、一般に乳化重合に用いられるもののほか、乳化剤類も含まれる。例えば、アニオン性界面活性剤としては、高級アルコールの硫酸エステル塩、高級アルキルスルホン酸およびその塩、オレイン酸、ステアリン酸、パルチミン酸等の高級カルボン酸およびその塩、アルキルベンゼンスルホン酸およびその塩、ポリオキシエチレンアルキルサルフェート塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルサルフェート塩、ビニルスルホサクシネート等が挙げられ、ノニオン性界面活性剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、エチレンオキサイドプロピレンオキサイドブロック共重合体、ポリオキシエチレン脂肪酸アミド、エチレンオキサイド−プロピレンオキサイド共重合体等のポリオキシエチレン構造を有する化合物やポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル等のソルビタン誘導体等が挙げられ、両性界面活性剤としては、ラウリルベタイン、ラウリルジメチルアミンオキサイド等が挙げられる。反応性界面活性剤としては、アルキルプロペニルフェノールポリエチレンオキサイド付加物やこれらの硫酸エステル塩、アリルアルキルフェノールポリエチレンオキサイド付加物やこれらの硫酸エステル塩、アリルジアルキルフェノールポリエチレンオキサイド付加物やこれらの硫酸エステル塩等の反応性2重結合を有する化合物が挙げられる。
保護コロイド作用を有する化合物、変性ワックス類、高酸価の酸変性化合物、水溶性高分子、としては、ポリビニルアルコール、カルボキシル基変性ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、変性デンプン、ポリビニルピロリドン、ポリアクリル酸およびその塩、カルボキシル基含有ポリエチレンワックス、カルボキシル基含有ポリプロピレンワックス、カルボキシル基含有ポリエチレン−プロピレンワックス等の重量平均分子量が通常は5,000以下の酸変性ポリオレフィンワックス類およびその塩、アクリル酸−無水マレイン酸共重合体およびその塩、スチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、イソブチレン−無水マレイン酸交互共重合体、(メタ)アクリル酸−(メタ)アクリル酸エステル共重合体等の不飽和カルボン酸含有量が17質量%以上のカルボキシル基含有ポリマーおよびその塩、ポリイタコン酸およびその塩、アミノ基を有する水溶性アクリル系共重合体、ゼラチン、アラビアゴム、カゼイン等、一般に微粒子の分散安定剤として用いられている化合物が挙げられる。
一方、本発明の水性分散体の製造に有機溶剤を使用する場合、その添加量は特に限定されないが、水性媒体中の50質量%以下が好ましく、1〜45質量%であることがより好ましく、2〜40質量%がさらに好ましく、3〜35質量%が特に好ましい。有機溶剤量が50質量%を超える場合には、実質的に水性媒体とはみなせなくなり、本発明の目的のひとつ(環境保護)を逸脱するだけでなく、使用する有機溶剤によっては水性分散体の安定性が低下してしまう場合がある。
有機溶剤は、良好な水性分散体を得るという点から、20℃における水に対する溶解性が10g/L以上のものが好ましく用いられ、さらに好ましくは20g/L以上、特に好ましくは50g/L以上である。
また、有機溶剤は、塗膜から除去し易い点から沸点が250℃以下のものが好ましく、50〜200℃のものがより好ましく、50〜185℃のものが特に好ましい。沸点が250℃を超える有機溶剤は樹脂塗膜から乾燥によって飛散させることが困難であり、特に低温乾燥時の塗膜の耐水性や基材との接着性等が悪化する場合がある。使用される有機溶剤の具体例としては、例えば、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノール、sec−ブタノール、tert−ブタノール、n−アミルアルコール、イソアミルアルコール、sec−アミルアルコール、tert−アミルアルコール、1−エチル−1−プロパノール、2−メチル−1−ブタノール、n−ヘキサノール、シクロヘキサノール等のアルコール類、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、エチルブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類、酢酸エチル、酢酸−n−プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸−n−ブチル、酢酸イソブチル、酢酸−sec−ブチル、酢酸−3−メトキシブチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、炭酸ジエチル、炭酸ジメチル等のエステル類、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールエチルエーテルアセテート等のグリコール誘導体、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールエチルエーテルアセテート、1−メトキシ−2−プロパノール、1−エトキシ−2−プロパノール、3−メトキシ−3−メチル−1−ブタノール、メトキシブタノール、アセトニトリル、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジアセトンアルコール、アセト酢酸エチル、1,2−ジメチルグリセリン、1,3−ジメチルグリセリン、トリメチルグリセリン等が挙げられる。これらの有機溶剤は2種以上を混合して使用してもよい。
上記の有機溶剤の中でも、樹脂の水性化促進に効果が高いという点から、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、テトラヒドロフラン、ジオキサン、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテルが好ましく、これらの中でも水酸基を分子内に1つ有する有機溶剤がより好ましい。中でも、少量の添加で樹脂を水性化できる点からエチレングリコールアルキルエーテル類がさらに好ましく、また、後述するストリッピングがし易い点から、n−プロパノール、イソプロパノールがさらに好ましい。
水性分散体の製造時に上記の有機溶剤を用いた場合には、樹脂の水性化の後に、その一部を、一般に「ストリッピング」と呼ばれる脱溶剤処理によって系外へ留去させ、有機溶剤量の低減を図ることができる。ストリッピングにより、水性分散体中の有機溶剤含有量は、10質量%以下とすることができ、5質量%以下とすれば、環境上好ましい。ストリッピングの工程では、水性化に使用した有機溶剤を実質的にすべて留去することが可能であるが、装置の減圧度を高めたり、操業時間を長くしたりする必要があるため、こうした生産性を考慮した有機溶剤量の下限は0.01質量%程度である。しかし、0.01質量%未満であっても、特に性能面での影響はなく、良好に使用することができる。
ストリッピングの方法としては、常圧または減圧下で水性分散体を攪拌しながら加熱し、有機溶剤を留去する方法を挙げることができる。また、水性媒体が留去されることにより、固形分濃度が高くなるために、例えば、粘度が上昇し作業性が悪くなるような場合には、予め水性分散体に水を添加しておいてもよい。
次に、ポリオレフィン樹脂水性分散体の製造方法について説明する。
本発明のポリオレフィン樹脂水性分散体を得るためには、既述の各成分、すなわち、ポリオレフィン樹脂、塩基性化合物、水性媒体に加えて、不揮発性水性化助剤または/および有機溶剤を用いる必要がある。これらを密閉可能な容器中で加熱、攪拌することにより、本発明の水性分散体を得ることができる。
容器としては、固/液撹拌装置や乳化機として広く当業者に知られている装置を使用することができ、0.1MPa以上の加圧が可能な装置を使用することが好ましい。撹拌の方法、撹拌の回転速度は特に限定されないが、樹脂が水性媒体中で浮遊状態となる程度の低速の撹拌でよい。したがって、高速撹拌(例えば1,000rpm以上)は必須ではなく、簡便な装置でも水性分散体の製造が可能である。
上記の装置に原料を投入し、好ましくは40℃以下の温度で攪拌混合しておく。次いで、槽内の温度を60〜220℃、好ましくは80〜200℃、さらに好ましくは100〜190℃、特に好ましくは100〜180℃の温度に保ちつつ、好ましくは粗大粒子が無くなるまで(例えば、5〜120分間)攪拌を続けることによりポリオレフィン樹脂を十分に水性化させ、その後、好ましくは攪拌下で40℃以下に冷却することにより、水性分散体を得ることができる。槽内の温度が60℃未満の場合は、ポリオレフィン樹脂の水性化が困難になる。槽内の温度が220℃を超える場合は、ポリオレフィン樹脂の分子量が低下する恐れがある。
この後、必要に応じてさらにジェット粉砕処理を行ってもよい。ジェット粉砕処理とは、ポリオレフィン樹脂水性分散体を、高圧下でノズルやスリットのような細孔より噴出させ、樹脂粒子同士や樹脂粒子と衝突板等とを衝突させて、機械的なエネルギーによって樹脂粒子をさらに細粒化することであり、そのための装置の具体例としA.P.V.GAULIN社製ホモジナイザー、みずほ工業社製マイクロフルイタイザーM−110E/H等が挙げられる。
このようにして得られた水性分散体の固形分濃度の調整方法としては、例えば、所望の固形分濃度となるように水性媒体を留去したり、水により希釈したりする方法が挙げられる。
上記の製法を採ることで、本発明の水性分散体は、ポリオレフィン樹脂が水性媒体中に分散または溶解され、均一な液状に調製されて得られる。ここで、均一な液状であるとは、外観上、水性分散体中に沈殿、相分離あるいは皮張りといった、固形分濃度が局部的に他の部分と相違する部分が見いだされない状態にあることをいう。
本発明の水性分散体から得られる樹脂組成物は、様々な基材、例えば、金属、ガラス、プラスチックの成形体、フィルム、合成紙、紙等との接着性に優れるため、これらの基材へのコーティング剤、塗料、インキ、接着剤として好適である。
本発明の水性分散体には、性能をさらに向上させるため、他の重合体の水性分散体、粘着付与剤、無機粒子、架橋剤、顔料、染料等を添加することができる。
他の重合体の水性分散体としては、特に限定されない。例えば、ポリ酢酸ビニル、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビリニデン、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸エステル−無水マレイン酸共重合体、スチレン−マレイン酸樹脂、スチレン−ブタジエン樹脂、ブタジエン樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン樹脂、ポリ(メタ)アクリロニトリル樹脂、(メタ)アクリルアミド樹脂、塩素化ポリエチレン樹脂、塩素化ポリプロピレン樹脂、ポリエステル樹脂、変性ナイロン樹脂、ウレタン樹脂、ロジンなどの粘着付与樹脂、フェノール樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂等の水性分散体を挙げることができる。これらは、2種以上を混合して使用してもよい。
無機粒子としては、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、酸化すず等の金属酸化物、炭酸カルシウム、シリカ等の無機粒子や、バーミキュライト、モンモリロナイト、ヘクトライト、ハイドロタルサイト、合成雲母等の層状無機化合物を添加することができる。これらの無機粒子の平均粒子径は水性分散体の安定性の面から0.005〜10μmが好ましく、より好ましくは0.005〜5μmである。なお、無機粒子は、2種以上を混合して使用してもよい。なお、酸化亜鉛は紫外線遮蔽、酸化すずは帯電防止の目的にそれぞれ使用できる。
耐水性や耐溶剤性等の各種の塗膜性能をさらに向上させるために、架橋剤を水性分散体中の樹脂100質量部に対して0.01〜80質量部、好ましくは0.1〜50質量部、より好ましくは0.5〜30質量部添加することができる。架橋剤の添加量が0.01質量部未満の場合は、塗膜性能の向上の程度が小さく、80質量部を超える場合は、加工性等の性能が低下してしまう。架橋剤としては、自己架橋性を有する架橋剤、カルボキシル基と反応する官能基を分子内に複数個有する化合物、多価の配位座を有する金属等を用いることができ、このうちイソシアネート化合物、メラミン化合物、尿素化合物、エポキシ化合物、カルボジイミド化合物、オキサゾリン基含有化合物、ジルコニウム塩化合物、シランカップリング剤等が好ましい。また、これらの架橋剤を組み合わせて使用しても良い。
顔料・染料としては、酸化チタン、亜鉛華、カーボンブラック等が挙げられる。
本発明の水性分散体には、さらに必要に応じて、レベリング剤、消泡剤、ワキ防止剤、顔料分散剤、紫外線吸収剤、増粘剤、耐候剤、難燃剤等の各種薬剤を添加することも可能である。
次に、本発明のポリオレフィン樹脂水性分散体の使用方法について説明する。
本発明の水性分散体は、塗膜形成能に優れているので、公知の成膜方法、例えばグラビアロールコーティング、リバースロールコーティング、ワイヤーバーコーティング、リップコーティング、エアナイフコーティング、カーテンフローコーティング、スプレーコーティング、浸漬コーティング、はけ塗り法等により各種基材表面に均一にコーティングし、必要に応じて室温付近でセッティングした後、乾燥又は乾燥と焼き付けのための加熱処理に供することにより、均一な樹脂塗膜を各種基材表面に接着させて形成することができる。このときの加熱装置としては、通常の熱風循環型のオーブンや赤外線ヒーター等を使用すればよい。また、加熱温度や加熱時間としては、被コーティング物である基材の特性や後述する硬化剤の種類、配合量等により適宜選択されるものであるが、経済性を考慮した場合、加熱温度としては、30〜250℃が好ましく、60〜230℃がより好ましく、80〜210℃が特に好ましく、加熱時間としては、1秒〜20分が好ましく、5秒〜15分がより好ましく、5秒〜10分が特に好ましい。なお、架橋剤を添加した場合は、ポリオレフィン樹脂中のカルボキシル基と架橋剤との反応を十分進行させるために、加熱温度および時間は架橋剤の種類によって適宜選定することが望ましい。
また、本発明の水性分散体の塗布量としては、その用途によって適宜選択されるものであるが、乾燥後の塗布量として0.01〜100g/m2が好ましく、0.1〜50g/m2がより好ましく、0.2〜30g/m2が特に好ましい。0.01〜100g/m2の範囲となるように成膜すれば、均一性に優れた樹脂塗膜が得られる。
なお、塗布量を調節するためには、コーティングに用いる装置やその使用条件を適宜選択することに加えて、目的とする樹脂塗膜の厚さに適した濃度の水性分散体を使用することが好ましい。このときの濃度は、調製時の仕込み組成により調節することができる。また、一旦調製した水性分散体を適宜希釈、あるいは濃縮して調節してもよい。
以下、実施例によって本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
なお、各種の特性は以下の方法によって測定または評価した。
(1)ポリオレフィン樹脂の酸価:
ポリオレフィン樹脂の酸価(mgKOH/g)をJIS K5407に準じて測定した。
(1)ポリオレフィン樹脂の酸価:
ポリオレフィン樹脂の酸価(mgKOH/g)をJIS K5407に準じて測定した。
(2)不飽和カルボン酸単位以外の樹脂の構成:
オルトジクロロベンゼン(d4)中、120℃にて1H-NMR、13C-NMR分析(バリアン社製、300MHz)を行い求めた。13C-NMR分析では定量性を考慮したゲート付きデカップリング法を用いて測定した。
オルトジクロロベンゼン(d4)中、120℃にて1H-NMR、13C-NMR分析(バリアン社製、300MHz)を行い求めた。13C-NMR分析では定量性を考慮したゲート付きデカップリング法を用いて測定した。
(3)樹脂の重量平均分子量:
重量平均分子量は、GPC分析(東ソー社製HLC-8020、カラムはTSK-GEL)を用いて、試料をテトラヒドロフランに溶解して40℃で測定し、ポリスチレン標準試料で作成した検量線から重量平均分子量を求めた。
重量平均分子量は、GPC分析(東ソー社製HLC-8020、カラムはTSK-GEL)を用いて、試料をテトラヒドロフランに溶解して40℃で測定し、ポリスチレン標準試料で作成した検量線から重量平均分子量を求めた。
(4)水性化収率:
水性化後の水性分散体を300メッシュのステンレス製フィルター(線径0.035mm、平織)で加圧濾過(空気圧0.2MPa)した際に、フィルター上に残存する樹脂質量を測定し、仕込み樹脂質量より収率を算出した。水性化収率が100%とは、フィルター上に残存する樹脂はなく、完全に水性化されたことを意味する。
水性化後の水性分散体を300メッシュのステンレス製フィルター(線径0.035mm、平織)で加圧濾過(空気圧0.2MPa)した際に、フィルター上に残存する樹脂質量を測定し、仕込み樹脂質量より収率を算出した。水性化収率が100%とは、フィルター上に残存する樹脂はなく、完全に水性化されたことを意味する。
(5)水性分散体の固形分濃度:
ポリオレフィン分散体を適量秤量し、これを150℃で残存物(固形分)の質量が恒量に達するまで加熱し、ポリオレフィン樹脂固形分濃度を求めた。
ポリオレフィン分散体を適量秤量し、これを150℃で残存物(固形分)の質量が恒量に達するまで加熱し、ポリオレフィン樹脂固形分濃度を求めた。
(6)ポリオレフィン樹脂粒子の数平均および体積平均粒子径:
日機装社製、マイクロトラック粒度分布計UPA150(MODEL No.9340)を用い、数平均粒子径(mn)および体積平均粒子径(mv)を求めた。なお、樹脂の屈折率は1.5とした。
日機装社製、マイクロトラック粒度分布計UPA150(MODEL No.9340)を用い、数平均粒子径(mn)および体積平均粒子径(mv)を求めた。なお、樹脂の屈折率は1.5とした。
(7)ポットライフ:
水性分散体を室温で90日放置したときの外観を、次の3段階で評価した。
○:外観に変化なし。
△:増粘がみられる。
×:固化、凝集や沈殿物の発生が見られる。
また、外観の評価が○の場合は90日後の数平均粒子径も上記方法で測定した。
水性分散体を室温で90日放置したときの外観を、次の3段階で評価した。
○:外観に変化なし。
△:増粘がみられる。
×:固化、凝集や沈殿物の発生が見られる。
また、外観の評価が○の場合は90日後の数平均粒子径も上記方法で測定した。
(8)水性分散体中の有機溶剤の含有率:
島津製作所社製ガスクロマトグラフGC−8A〔FID検出器使用、キャリアーガス:窒素、カラム充填物質(ジーエルサイエンス社製):PEG−HT(5%)−Uniport HP(60/80メッシュ)、カラムサイズ:直径3mm×3m、試料投入温度(インジェクション温度):180℃、カラム温度:80℃、内部標準物質:n−ブタノール〕を用い、水性分散体を必要に応じて水で希釈したものを直接装置内に投入して、有機溶剤の含有率を求めた。検出限界は0.01質量%であった。
島津製作所社製ガスクロマトグラフGC−8A〔FID検出器使用、キャリアーガス:窒素、カラム充填物質(ジーエルサイエンス社製):PEG−HT(5%)−Uniport HP(60/80メッシュ)、カラムサイズ:直径3mm×3m、試料投入温度(インジェクション温度):180℃、カラム温度:80℃、内部標準物質:n−ブタノール〕を用い、水性分散体を必要に応じて水で希釈したものを直接装置内に投入して、有機溶剤の含有率を求めた。検出限界は0.01質量%であった。
(9)塗膜の耐水性:
水性分散体を延伸ポリプロピレン(PP)フィルム(東セロ社製、OP U−1)の未処理面上に乾燥後の塗布量が約2g/m2になるようにメイヤーバーでコートし、100℃で2分間乾燥した。このようにして作製したコートフィルムを60℃の温水に1日、浸漬した後、コート面の状態を目視で評価した。
○:外観に変化なし。
△:塗膜が白化する。
×:コート層が溶解、あるいは剥離する。
水性分散体を延伸ポリプロピレン(PP)フィルム(東セロ社製、OP U−1)の未処理面上に乾燥後の塗布量が約2g/m2になるようにメイヤーバーでコートし、100℃で2分間乾燥した。このようにして作製したコートフィルムを60℃の温水に1日、浸漬した後、コート面の状態を目視で評価した。
○:外観に変化なし。
△:塗膜が白化する。
×:コート層が溶解、あるいは剥離する。
(10)塗膜の耐アルカリ性:
水性分散体を延伸ポリプロピレン(PP)フィルム(東セロ社製、OP U−1)の未処理面上に乾燥後の塗布量が約2g/m2になるようにメイヤーバーでコートし、100℃で2分間乾燥した。このようにして作製したコートフィルムを40℃の5質量%KOH水溶液に1日、浸漬した後、コート面の状態を目視で評価した。
○:外観に変化なし。
△:塗膜が白化する。
×:コート層が溶解、あるいは剥離する。
水性分散体を延伸ポリプロピレン(PP)フィルム(東セロ社製、OP U−1)の未処理面上に乾燥後の塗布量が約2g/m2になるようにメイヤーバーでコートし、100℃で2分間乾燥した。このようにして作製したコートフィルムを40℃の5質量%KOH水溶液に1日、浸漬した後、コート面の状態を目視で評価した。
○:外観に変化なし。
△:塗膜が白化する。
×:コート層が溶解、あるいは剥離する。
(11)塗膜の接着性評価
水性分散体を延伸ポリプロピレン(PP)フィルム(東セロ社製、OP U−1)、2軸延伸ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(ユニチカ社製エンブレットPET12、厚み12μm)、2軸延伸ナイロン6(Ny6)フィルム(ユニチカ社製エンブレム、厚み15μm)の未処理面上に乾燥後の塗布量が約2g/m2になるようにメイヤーバーでコートし、100℃で2分間乾燥した後、塗膜面に粘着テープ(ニチバン社製TF−12)を貼り付けた後、勢いよくテープを剥離した。塗膜面の状態を目視で観察して、以下のように評価した。
○:全く剥がれがなかった。
△:一部に剥がれが生じた。
×:全て剥がれた。
水性分散体を延伸ポリプロピレン(PP)フィルム(東セロ社製、OP U−1)、2軸延伸ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(ユニチカ社製エンブレットPET12、厚み12μm)、2軸延伸ナイロン6(Ny6)フィルム(ユニチカ社製エンブレム、厚み15μm)の未処理面上に乾燥後の塗布量が約2g/m2になるようにメイヤーバーでコートし、100℃で2分間乾燥した後、塗膜面に粘着テープ(ニチバン社製TF−12)を貼り付けた後、勢いよくテープを剥離した。塗膜面の状態を目視で観察して、以下のように評価した。
○:全く剥がれがなかった。
△:一部に剥がれが生じた。
×:全て剥がれた。
(12)ヒートシール強度評価
水性分散体を含むコート液を延伸ポリプロピレン(PP)フィルム(東セロ社製、OP U−1)の未処理面、アルミニウム箔(三菱アルミニウム社製)、及びA4サイズの上質紙(大昭和製紙製)上に乾燥後の塗布量が約5g/m2になるようにメイヤーバーでコートし、100℃で2分間乾燥した。PPフィルムとPPフィルムのコート面、及びPPフィルムと上質紙のコート面が接するようにして、ヒートプレス機(シール圧0.3MPaで5秒間)にて110℃でプレスした。このサンプルを15mm幅で切り出し、1日後、引張り試験機(インテスコ社製精密万能材料試験機2020型)を用い、引張り速度200mm/分、引張り角度180度で塗膜の剥離強度を測定することでヒートシール強度を評価した。
水性分散体を含むコート液を延伸ポリプロピレン(PP)フィルム(東セロ社製、OP U−1)の未処理面、アルミニウム箔(三菱アルミニウム社製)、及びA4サイズの上質紙(大昭和製紙製)上に乾燥後の塗布量が約5g/m2になるようにメイヤーバーでコートし、100℃で2分間乾燥した。PPフィルムとPPフィルムのコート面、及びPPフィルムと上質紙のコート面が接するようにして、ヒートプレス機(シール圧0.3MPaで5秒間)にて110℃でプレスした。このサンプルを15mm幅で切り出し、1日後、引張り試験機(インテスコ社製精密万能材料試験機2020型)を用い、引張り速度200mm/分、引張り角度180度で塗膜の剥離強度を測定することでヒートシール強度を評価した。
(13)長期保存後のヒートシール強度評価
(12)で示した方法で作製したPPフィルム同士をヒートシールしたサンプルを15mm幅で切り出し、40℃、90%RHの条件下で30日間、保存した後、引張り試験機(インテスコ株式会社製のインテスコ精密万能材料試験機2020型)を用い、引張り速度200mm/分、引張り角度180度で塗膜の剥離強度を測定することで保存後のヒートシール強度を評価した。
(12)で示した方法で作製したPPフィルム同士をヒートシールしたサンプルを15mm幅で切り出し、40℃、90%RHの条件下で30日間、保存した後、引張り試験機(インテスコ株式会社製のインテスコ精密万能材料試験機2020型)を用い、引張り速度200mm/分、引張り角度180度で塗膜の剥離強度を測定することで保存後のヒートシール強度を評価した。
参考例1(ポリオレフィン樹脂P−1の製造)
プロピレン−ブテン−エチレン三元共重合体(ヒュルスジャパン社製、ベストプラスト708、プロピレン/ブテン/エチレン=64.8/23.9/11.3質量%)100g、トルエン500gを、攪拌機、冷却管、滴下ロートを取り付けた4つ口フラスコ中、窒素雰囲気下で加熱溶融させた後、系内温度を110℃に保って攪拌下、ラジカル発生剤としてジクミルパーオキサイド1.0gのヘプタン20g溶液を1時間かけて加えた後、不飽和カルボン酸として無水マレイン酸7.0g、アクリル酸ラウリル10.0g、ジクミルパーオキサイド0.5gのヘプタン10g溶液をそれぞれ1時間かけて滴下し、その後30分間反応させた。反応終了後、室温まで冷却した後、得られた反応物を多量のアセトン中に投入し、樹脂を析出させた。この樹脂をさらにアセトンで数回洗浄し、未反応物を除去した後、減圧乾燥機中で減圧乾燥してポリオレフィン樹脂P−1を得た。P−1の重量平均分子量は50,000、酸価48mgKOH/g、アクリル酸オクチルの樹脂中の含有量は6.5質量%であった。
プロピレン−ブテン−エチレン三元共重合体(ヒュルスジャパン社製、ベストプラスト708、プロピレン/ブテン/エチレン=64.8/23.9/11.3質量%)100g、トルエン500gを、攪拌機、冷却管、滴下ロートを取り付けた4つ口フラスコ中、窒素雰囲気下で加熱溶融させた後、系内温度を110℃に保って攪拌下、ラジカル発生剤としてジクミルパーオキサイド1.0gのヘプタン20g溶液を1時間かけて加えた後、不飽和カルボン酸として無水マレイン酸7.0g、アクリル酸ラウリル10.0g、ジクミルパーオキサイド0.5gのヘプタン10g溶液をそれぞれ1時間かけて滴下し、その後30分間反応させた。反応終了後、室温まで冷却した後、得られた反応物を多量のアセトン中に投入し、樹脂を析出させた。この樹脂をさらにアセトンで数回洗浄し、未反応物を除去した後、減圧乾燥機中で減圧乾燥してポリオレフィン樹脂P−1を得た。P−1の重量平均分子量は50,000、酸価48mgKOH/g、アクリル酸オクチルの樹脂中の含有量は6.5質量%であった。
参考例2(ポリオレフィン樹脂P−2の製造)
プロピレン−ブテン−エチレン三元共重合体(ヒュルスジャパン社製、ベストプラスト708、プロピレン/ブテン/エチレン=64.8/23.9/11.3質量%)100g、トルエン500gを、攪拌機、冷却管、滴下ロートを取り付けた4つ口フラスコ中、窒素雰囲気下で加熱溶融させた後、系内温度を110℃に保って攪拌下、ラジカル発生剤としてジクミルパーオキサイド1.0gのヘプタン20g溶液を1時間かけて加えた後、不飽和カルボン酸として無水マレイン酸7.0g、アクリル酸−n−ブチル7.0g、ジクミルパーオキサイド0.5gのヘプタン10g溶液をそれぞれ1時間かけて滴下し、その後30分間反応させた。反応終了後、室温まで冷却した後、得られた反応物を多量のアセトン中に投入し、樹脂を析出させた。この樹脂をさらにアセトンで数回洗浄し、未反応物を除去した後、減圧乾燥機中で減圧乾燥してポリオレフィン樹脂P−2を得た。P−2の重量平均分子量は44,000、酸価51mgKOH/g、アクリル酸−n−ブチルの樹脂中の含有量は3.1質量%であった。
プロピレン−ブテン−エチレン三元共重合体(ヒュルスジャパン社製、ベストプラスト708、プロピレン/ブテン/エチレン=64.8/23.9/11.3質量%)100g、トルエン500gを、攪拌機、冷却管、滴下ロートを取り付けた4つ口フラスコ中、窒素雰囲気下で加熱溶融させた後、系内温度を110℃に保って攪拌下、ラジカル発生剤としてジクミルパーオキサイド1.0gのヘプタン20g溶液を1時間かけて加えた後、不飽和カルボン酸として無水マレイン酸7.0g、アクリル酸−n−ブチル7.0g、ジクミルパーオキサイド0.5gのヘプタン10g溶液をそれぞれ1時間かけて滴下し、その後30分間反応させた。反応終了後、室温まで冷却した後、得られた反応物を多量のアセトン中に投入し、樹脂を析出させた。この樹脂をさらにアセトンで数回洗浄し、未反応物を除去した後、減圧乾燥機中で減圧乾燥してポリオレフィン樹脂P−2を得た。P−2の重量平均分子量は44,000、酸価51mgKOH/g、アクリル酸−n−ブチルの樹脂中の含有量は3.1質量%であった。
参考例3(ポリオレフィン樹脂P−3の製造)
プロピレン−ブテン−エチレン三元共重合体(ヒュルスジャパン社製、ベストプラスト708、プロピレン/ブテン/エチレン=64.8/23.9/11.3質量%)100g、トルエン500gを、攪拌機、冷却管、滴下ロートを取り付けた4つ口フラスコ中、窒素雰囲気下で加熱溶融させた後、系内温度を110℃に保って攪拌下、ラジカル発生剤としてジクミルパーオキサイド1.0gのヘプタン20g溶液を1時間かけて加えた後、不飽和カルボン酸として無水マレイン酸7.0g、ジクミルパーオキサイド0.5gのヘプタン10g溶液をそれぞれ1時間かけて滴下し、その後30分間反応させた。反応終了後、室温まで冷却した後、得られた反応物を多量のアセトン中に投入し、樹脂を析出させた。この樹脂をさらにアセトンで数回洗浄し、未反応物を除去した後、減圧乾燥機中で減圧乾燥してポリオレフィン樹脂P−3を得た。P−3の重量平均分子量は41,000、酸価50mgKOH/gであった。
プロピレン−ブテン−エチレン三元共重合体(ヒュルスジャパン社製、ベストプラスト708、プロピレン/ブテン/エチレン=64.8/23.9/11.3質量%)100g、トルエン500gを、攪拌機、冷却管、滴下ロートを取り付けた4つ口フラスコ中、窒素雰囲気下で加熱溶融させた後、系内温度を110℃に保って攪拌下、ラジカル発生剤としてジクミルパーオキサイド1.0gのヘプタン20g溶液を1時間かけて加えた後、不飽和カルボン酸として無水マレイン酸7.0g、ジクミルパーオキサイド0.5gのヘプタン10g溶液をそれぞれ1時間かけて滴下し、その後30分間反応させた。反応終了後、室温まで冷却した後、得られた反応物を多量のアセトン中に投入し、樹脂を析出させた。この樹脂をさらにアセトンで数回洗浄し、未反応物を除去した後、減圧乾燥機中で減圧乾燥してポリオレフィン樹脂P−3を得た。P−3の重量平均分子量は41,000、酸価50mgKOH/gであった。
参考例4(ポリオレフィン樹脂P−4の製造)
プロピレン−ブテン−エチレン三元共重合体(ヒュルスジャパン社製、ベストプラスト708、プロピレン/ブテン/エチレン=64.8/23.9/11.3質量%)100g、トルエン500gを、攪拌機、冷却管、滴下ロートを取り付けた4つ口フラスコ中、窒素雰囲気下で加熱溶融させた後、系内温度を110℃に保って攪拌下、ラジカル発生剤としてジクミルパーオキサイド1.0gのヘプタン20g溶液を1時間かけて加えた後、不飽和カルボン酸として無水マレイン酸25.0gのヘプタン30g液、及びアクリル酸ラウリル10.0g、ジクミルパーオキサイド0.5gのヘプタン10g溶液をそれぞれ1時間かけて滴下し、その後30分間反応させた。反応終了後、室温まで冷却した後、得られた反応物を多量のアセトン中に投入し、樹脂を析出させた。この樹脂をさらにアセトンで数回洗浄し、未反応物を除去した後、減圧乾燥機中で減圧乾燥してポリオレフィン樹脂P−4を得た。P−4の重量平均分子量は43,000、酸価125mgKOH/g、アクリル酸オクチルの樹脂中の含有量は5.8質量%であった。
プロピレン−ブテン−エチレン三元共重合体(ヒュルスジャパン社製、ベストプラスト708、プロピレン/ブテン/エチレン=64.8/23.9/11.3質量%)100g、トルエン500gを、攪拌機、冷却管、滴下ロートを取り付けた4つ口フラスコ中、窒素雰囲気下で加熱溶融させた後、系内温度を110℃に保って攪拌下、ラジカル発生剤としてジクミルパーオキサイド1.0gのヘプタン20g溶液を1時間かけて加えた後、不飽和カルボン酸として無水マレイン酸25.0gのヘプタン30g液、及びアクリル酸ラウリル10.0g、ジクミルパーオキサイド0.5gのヘプタン10g溶液をそれぞれ1時間かけて滴下し、その後30分間反応させた。反応終了後、室温まで冷却した後、得られた反応物を多量のアセトン中に投入し、樹脂を析出させた。この樹脂をさらにアセトンで数回洗浄し、未反応物を除去した後、減圧乾燥機中で減圧乾燥してポリオレフィン樹脂P−4を得た。P−4の重量平均分子量は43,000、酸価125mgKOH/g、アクリル酸オクチルの樹脂中の含有量は5.8質量%であった。
ポリオレフィン樹脂の各種物性を表1にまとめた。
実施例1
ヒーター付きの密閉できる耐圧1L容ガラス容器を備えた撹拌機を用いて、60.0gのポリオレフィン樹脂(P−1)、36.0gのエチレングリコールモノブチルエーテル(和光純薬社製、特級、沸点171℃)、5.5gのN,N−ジメチルエタノールアミン(和光純薬社製、特級、沸点134℃)及び198.5gの蒸留水をガラス容器内に仕込み、撹拌翼の回転速度を300rpmとして撹拌したところ、容器底部には樹脂の沈澱は認められず、浮遊状態となっていることが確認された。そこでこの状態を保ちつつ、10分後にヒーターの電源を入れ加熱した。そして系内温度を140℃に保ってさらに60分間撹拌した。その後、空冷にて、回転速度300rpmのまま攪拌しつつ室温(約25℃)まで冷却した後、300メッシュのステンレス製フィルター(線径0.035mm、平織)で加圧濾過(空気圧0.2MPa)し、乳白黄色の均一なポリオレフィン樹脂水性分散体E−1を得た。水性分散体の各種特性および塗膜性能を表2に示した。
ヒーター付きの密閉できる耐圧1L容ガラス容器を備えた撹拌機を用いて、60.0gのポリオレフィン樹脂(P−1)、36.0gのエチレングリコールモノブチルエーテル(和光純薬社製、特級、沸点171℃)、5.5gのN,N−ジメチルエタノールアミン(和光純薬社製、特級、沸点134℃)及び198.5gの蒸留水をガラス容器内に仕込み、撹拌翼の回転速度を300rpmとして撹拌したところ、容器底部には樹脂の沈澱は認められず、浮遊状態となっていることが確認された。そこでこの状態を保ちつつ、10分後にヒーターの電源を入れ加熱した。そして系内温度を140℃に保ってさらに60分間撹拌した。その後、空冷にて、回転速度300rpmのまま攪拌しつつ室温(約25℃)まで冷却した後、300メッシュのステンレス製フィルター(線径0.035mm、平織)で加圧濾過(空気圧0.2MPa)し、乳白黄色の均一なポリオレフィン樹脂水性分散体E−1を得た。水性分散体の各種特性および塗膜性能を表2に示した。
実施例2
ポリオレフィン樹脂をP−2に変更した以外は実施例1と同様の方法で水性分散体E−2を得た。水性分散体の各種特性および塗膜性能を表2に示した。
ポリオレフィン樹脂をP−2に変更した以外は実施例1と同様の方法で水性分散体E−2を得た。水性分散体の各種特性および塗膜性能を表2に示した。
実施例3
ヒーター付きの密閉できる耐圧1L容ガラス容器を備えた撹拌機を用いて、60.0gのポリオレフィン樹脂(P−1)、90.0gのn−プロパノール(和光純薬社製、特級、沸点97℃)、6.2gのトリエチルアミン(和光純薬社製、特級、沸点89℃)及び143.8gの蒸留水をガラス容器内に仕込み、撹拌翼の回転速度を300rpmとして撹拌したところ、容器底部には樹脂の沈澱は認められず、浮遊状態となっていることが確認された。そこでこの状態を保ちつつ、10分後にヒーターの電源を入れ加熱した。そして系内温度を140℃に保ってさらに60分間撹拌した。その後、空冷にて、回転速度300rpmのまま攪拌しつつ室温(約25℃)まで冷却した後、300メッシュのステンレス製フィルター(線径0.035mm、平織)で加圧濾過(空気圧0.2MPa)し、乳白黄色の均一なポリオレフィン樹脂水性分散体E−3を得た。水性分散体の各種特性および塗膜性能を表2に示した。
ヒーター付きの密閉できる耐圧1L容ガラス容器を備えた撹拌機を用いて、60.0gのポリオレフィン樹脂(P−1)、90.0gのn−プロパノール(和光純薬社製、特級、沸点97℃)、6.2gのトリエチルアミン(和光純薬社製、特級、沸点89℃)及び143.8gの蒸留水をガラス容器内に仕込み、撹拌翼の回転速度を300rpmとして撹拌したところ、容器底部には樹脂の沈澱は認められず、浮遊状態となっていることが確認された。そこでこの状態を保ちつつ、10分後にヒーターの電源を入れ加熱した。そして系内温度を140℃に保ってさらに60分間撹拌した。その後、空冷にて、回転速度300rpmのまま攪拌しつつ室温(約25℃)まで冷却した後、300メッシュのステンレス製フィルター(線径0.035mm、平織)で加圧濾過(空気圧0.2MPa)し、乳白黄色の均一なポリオレフィン樹脂水性分散体E−3を得た。水性分散体の各種特性および塗膜性能を表2に示した。
実施例4
ポリオレフィン樹脂をP−2に変更した以外は実施例3と同様の方法で水性分散体E−4を得た。水性分散体の各種特性および塗膜性能を表2に示した。
ポリオレフィン樹脂をP−2に変更した以外は実施例3と同様の方法で水性分散体E−4を得た。水性分散体の各種特性および塗膜性能を表2に示した。
実施例5
実施例1において、ノイゲンEA−190D(第一工業製薬社製、ノニオン性界面活性剤)をポリオレフィン樹脂100質部に対して8質量部となるように添加した以外は実施例1に準じた方法で樹脂の水性化を行った。水性分散体の各種特性および塗膜性能を表2に示した。
実施例1において、ノイゲンEA−190D(第一工業製薬社製、ノニオン性界面活性剤)をポリオレフィン樹脂100質部に対して8質量部となるように添加した以外は実施例1に準じた方法で樹脂の水性化を行った。水性分散体の各種特性および塗膜性能を表2に示した。
実施例6
実施例3で得られたE−3 200g、蒸留水150gを0.5Lの2口丸底フラスコに仕込み、メカニカルスターラーとリービッヒ型冷却器を設置し、フラスコをオイルバスで加熱していき、水性媒体を留去した。約150gの水性媒体を留去したところで、加熱を終了し、室温まで冷却した。冷却後、フラスコ内の液状成分を300メッシュのステンレス製フィルター(線径0.035mm、平織)で加圧濾過(空気圧0.2MPa)し、乳白色の均一なポリオレフィン樹脂水性分散体E−6を得た。水性分散体の各種特性および塗膜性能を表2に示した。この水性分散体中の有機溶剤の含有率は0.8質量%であった。
実施例3で得られたE−3 200g、蒸留水150gを0.5Lの2口丸底フラスコに仕込み、メカニカルスターラーとリービッヒ型冷却器を設置し、フラスコをオイルバスで加熱していき、水性媒体を留去した。約150gの水性媒体を留去したところで、加熱を終了し、室温まで冷却した。冷却後、フラスコ内の液状成分を300メッシュのステンレス製フィルター(線径0.035mm、平織)で加圧濾過(空気圧0.2MPa)し、乳白色の均一なポリオレフィン樹脂水性分散体E−6を得た。水性分散体の各種特性および塗膜性能を表2に示した。この水性分散体中の有機溶剤の含有率は0.8質量%であった。
実施例1〜6の結果を表2に示す。
比較例1
ポリオレフィン樹脂をP−3に変更した以外は実施例1と同様の方法で水性分散体H−1を得た。水性分散体の各種特性および塗膜性能を表3に示した。
ポリオレフィン樹脂をP−3に変更した以外は実施例1と同様の方法で水性分散体H−1を得た。水性分散体の各種特性および塗膜性能を表3に示した。
比較例2
ポリオレフィン樹脂をP−3に変更した以外は実施例3と同様の方法で水性分散体H−2を得た。水性分散体の各種特性および塗膜性能を表3に示した。
ポリオレフィン樹脂をP−3に変更した以外は実施例3と同様の方法で水性分散体H−2を得た。水性分散体の各種特性および塗膜性能を表3に示した。
比較例3
ポリオレフィン樹脂をP−4に変更した以外は実施例1と同様の方法で水性分散体H−3を得た。水性分散体の各種特性および塗膜性能を表3に示した。
ポリオレフィン樹脂をP−4に変更した以外は実施例1と同様の方法で水性分散体H−3を得た。水性分散体の各種特性および塗膜性能を表3に示した。
比較例4
塩基性化合物(N,N−ジメチルエタノールアミン)を添加しなかった以外は実施例1と同様の方法を行ったが、140℃で20分間撹拌しても粗大粒子の存在が目視で観察された。そこで、系内温度を160℃まで上げて20分間撹拌したがなお粗大粒子の存在が目視で観察された。室温まで冷却した後、300メッシュのステンレス製フィルター(線径0.035mm、平織)で加圧濾過(空気圧0.2MPa)したが多量の樹脂がフィルター上に認められた。実質的に樹脂の水性化はできなかった。
塩基性化合物(N,N−ジメチルエタノールアミン)を添加しなかった以外は実施例1と同様の方法を行ったが、140℃で20分間撹拌しても粗大粒子の存在が目視で観察された。そこで、系内温度を160℃まで上げて20分間撹拌したがなお粗大粒子の存在が目視で観察された。室温まで冷却した後、300メッシュのステンレス製フィルター(線径0.035mm、平織)で加圧濾過(空気圧0.2MPa)したが多量の樹脂がフィルター上に認められた。実質的に樹脂の水性化はできなかった。
比較例5
水溶性有機溶剤(n−プロパノール)を添加しなかった以外は実施例3と同様の方法を行ったが、140℃で20分間撹拌しても粗大粒子の存在が目視で観察された。そこで、系内温度を160℃まで上げて20分間撹拌したがなお粗大粒子の存在が目視で観察された。室温まで冷却した後、300メッシュのステンレス製フィルター(線径0.035mm、平織)で加圧濾過(空気圧0.2MPa)したが多量の樹脂がフィルター上に認められた。実質的に樹脂の水性化はできなかった。
水溶性有機溶剤(n−プロパノール)を添加しなかった以外は実施例3と同様の方法を行ったが、140℃で20分間撹拌しても粗大粒子の存在が目視で観察された。そこで、系内温度を160℃まで上げて20分間撹拌したがなお粗大粒子の存在が目視で観察された。室温まで冷却した後、300メッシュのステンレス製フィルター(線径0.035mm、平織)で加圧濾過(空気圧0.2MPa)したが多量の樹脂がフィルター上に認められた。実質的に樹脂の水性化はできなかった。
比較例6
実施例1において、ノイゲンEA−190D(第一工業製薬社製、ノニオン性界面活性剤)をポリオレフィン樹脂100質部に対して12質量部となるように添加した以外は実施例1に準じた方法で水性分散体H−6を得た。水性分散体の各種特性および塗膜性能を表3に示した。
実施例1において、ノイゲンEA−190D(第一工業製薬社製、ノニオン性界面活性剤)をポリオレフィン樹脂100質部に対して12質量部となるように添加した以外は実施例1に準じた方法で水性分散体H−6を得た。水性分散体の各種特性および塗膜性能を表3に示した。
比較例1〜6の結果を表3にまとめて示す。
実施例7
実施例1で得られたポリオレフィン樹脂水性分散体E−1と他の重合体の水性分散体とを混合した。他の重合体の水性分散体としては、ポリウレタン水性分散体(アデカボンタイターHUX−380、旭電化工業社製)を用いた。E−1を撹拌しておき、E−1の固形分100質量部に対して上記水性分散体を固形分換算で50質量部添加し、室温で30分間、撹拌した(M−1とする)。この液から得られる塗膜の接着性評価結果を表4に示す。
実施例1で得られたポリオレフィン樹脂水性分散体E−1と他の重合体の水性分散体とを混合した。他の重合体の水性分散体としては、ポリウレタン水性分散体(アデカボンタイターHUX−380、旭電化工業社製)を用いた。E−1を撹拌しておき、E−1の固形分100質量部に対して上記水性分散体を固形分換算で50質量部添加し、室温で30分間、撹拌した(M−1とする)。この液から得られる塗膜の接着性評価結果を表4に示す。
実施例8〜10
実施例3で得られたポリオレフィン樹脂水性分散体E−3と架橋剤とを混合した。架橋剤としては、メラミン化合物(サイメル327、三井サイテック社製、実施例8)、イソシアネート化合物(バイヒジュール3100、住友バイエルウレタン社製、実施例9)、オキサゾリン基含有化合物(エポクロスWS−700、日本触媒社製、実施例10)を用いた。E−3を撹拌しておき、E−3の固形分100質量部に対して上記架橋剤を固形分換算で表4に示す量を添加し、室温で10分間、撹拌した(それぞれ、M−2〜M−4とする)。これらの液から得られる塗膜の接着性評価結果を表4に示す。
実施例3で得られたポリオレフィン樹脂水性分散体E−3と架橋剤とを混合した。架橋剤としては、メラミン化合物(サイメル327、三井サイテック社製、実施例8)、イソシアネート化合物(バイヒジュール3100、住友バイエルウレタン社製、実施例9)、オキサゾリン基含有化合物(エポクロスWS−700、日本触媒社製、実施例10)を用いた。E−3を撹拌しておき、E−3の固形分100質量部に対して上記架橋剤を固形分換算で表4に示す量を添加し、室温で10分間、撹拌した(それぞれ、M−2〜M−4とする)。これらの液から得られる塗膜の接着性評価結果を表4に示す。
実施例11
実施例1で得られたポリオレフィン樹脂水性分散体E−1の固形分100質量部に対して、顔料としてカーボンブラックを含有する水性分散体(ライオン社製、ライオンペーストW-376R)を固形分が80質量部となるよう混合し、プロペラ攪拌して水性塗料M−5を作製した。この液から得られる塗膜の接着性評価結果を表4に示す。
実施例1で得られたポリオレフィン樹脂水性分散体E−1の固形分100質量部に対して、顔料としてカーボンブラックを含有する水性分散体(ライオン社製、ライオンペーストW-376R)を固形分が80質量部となるよう混合し、プロペラ攪拌して水性塗料M−5を作製した。この液から得られる塗膜の接着性評価結果を表4に示す。
実施例1〜4、6では、界面活性剤等の不揮発性水性化助剤を添加することなしに、ポリオレフィン樹脂の数平均粒子径が1μm以下の微細でかつ安定な水性分散体を得ることができた。この水性分散体から得られる塗膜は、耐水性、接着性、ヒートシール性に優れていた。さらに、塗膜中に界面活性剤等を含まないため長期間、保存しておいてもシートシール性は殆ど変化しなかった。界面活性剤を添加した場合でも、ポリオレフィン樹脂の数平均粒子径が1μm以下の微細でかつ安定な水性分散体を得ることができたが、ヒートシール性能が低下する傾向が認められた(実施例5)。また、他の樹脂水分散体、架橋剤、顔料を添加した場合(実施例7〜11)でも、接着性等の性能は低下することはなく良好であった。
これに対して、比較例1、2はポリオレフィン樹脂の組成が本発明の範囲外であるために、有機溶剤の種類によっては水性化収率が低下し、ポットライフもよくなかった。また、ポリオレフィン樹脂中に(メタ)アクリル酸エステル成分を含有していないため実施例1、2に比べヒートシール性も低かった。比較例1では、ポリオレフィン樹脂の酸価が本発明の範囲外であるため、塗膜の耐アルカリ性は悪く、PETやPPに対する密着性やヒートシール性も低下した。比較例4、5は、塩基性化合物や水溶性の有機溶剤を添加しなかったためポリオレフィン樹脂の水性化は殆ど進行せず、実質的に水性分散体は得られなかった。比較例6は不揮発性の水性化助剤を本発明の範囲を超えて使用したため、塗膜の耐水性、耐アルカリ性、各種基材への密着性、ヒートシール性に劣っていた。
Claims (6)
- 炭素数3〜6の不飽和炭化水素50〜98質量%および(メタ)アクリル酸エステル0.1〜25質量%をモノマー単位として含む酸価が5〜100mgKOH/gのポリオレフィン樹脂、塩基性化合物、不揮発性水性化助剤ならびに水性媒体を含有する水性分散体であって、不揮発性水性化助剤の含有量がポリオレフィン樹脂100質量部あたり10質量部以下であり、ポリオレフィン樹脂の水性分散体中での数平均粒子径が1μm以下であることを特徴とするポリオレフィン樹脂水性分散体。
- ポリオレフィン樹脂に含まれる炭素数3〜6の不飽和炭化水素が、プロピレンおよび/またはブテンであることを特徴とする請求項1記載のポリオレフィン樹脂水性分散体。
- ポリオレフィン樹脂が、さらにエチレンを含むことを特徴とする請求項1または2記載のポリオレフィン樹脂水性分散体。
- 不揮発性水性化助剤を実質的に含有していないことを特徴とする請求項1〜3記載のポリオレフィン樹脂水性分散体。
- 請求項1〜4いずれかに記載のポリオレフィン樹脂水性分散体を含有してなるコーティング組成物、塗料組成物、インキ組成物または接着剤組成物。
- 炭素数3〜6の不飽和炭化水素50〜98質量%および(メタ)アクリル酸エステル0.1〜25質量%をモノマー単位として含み酸価が5〜100mgKOH/gであるポリオレフィン樹脂、塩基性化合物、水性媒体およびポリオレフィン樹脂100質量部あたり10質量部以下の不揮発性水性化助剤または/および有機溶剤を密閉容器中、60〜220℃の温度で加熱、攪拌する工程を含むポリオレフィン樹脂水性分散体の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003360690A JP2005126482A (ja) | 2003-10-21 | 2003-10-21 | ポリオレフィン樹脂水性分散体およびその製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003360690A JP2005126482A (ja) | 2003-10-21 | 2003-10-21 | ポリオレフィン樹脂水性分散体およびその製造方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2005126482A true JP2005126482A (ja) | 2005-05-19 |
Family
ID=34640927
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2003360690A Pending JP2005126482A (ja) | 2003-10-21 | 2003-10-21 | ポリオレフィン樹脂水性分散体およびその製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2005126482A (ja) |
Cited By (22)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2007011032A1 (ja) | 2005-07-22 | 2007-01-25 | Toyo Kasei Kogyo Co., Ltd. | 水性樹脂組成物およびその製造方法 |
JP2007056131A (ja) * | 2005-08-24 | 2007-03-08 | Arakawa Chem Ind Co Ltd | 粘着付与樹脂エマルジョン、その製造方法および水性粘接着剤組成物 |
WO2007105344A1 (ja) | 2006-03-10 | 2007-09-20 | Mitsubishi Chemical Corporation | 樹脂分散体、塗料、積層体及びその製造方法 |
JP2007262211A (ja) * | 2006-03-28 | 2007-10-11 | Unitika Ltd | 水性分散体および積層体 |
JP2007269826A (ja) * | 2006-03-30 | 2007-10-18 | Unitika Ltd | 水性分散体及び積層体 |
JP2007291173A (ja) * | 2006-04-21 | 2007-11-08 | Unitika Ltd | 樹脂水性分散体および積層体 |
WO2008072689A1 (ja) * | 2006-12-13 | 2008-06-19 | Nippon Paper Chemicals Co., Ltd. | ポリオレフィン樹脂分散組成物およびその製造方法 |
JP2008137273A (ja) * | 2006-12-01 | 2008-06-19 | Mitsubishi Chemicals Corp | 積層体の製造方法及びこれに用いる水性塗料 |
JP2008137274A (ja) * | 2006-12-01 | 2008-06-19 | Mitsubishi Chemicals Corp | ポリプロピレン系積層体及びその製造方法、並びにこれに用いる塗料 |
JP2009040920A (ja) * | 2007-08-09 | 2009-02-26 | Seiko Pmc Corp | 変性ポリオレフィン樹脂水性分散体組成物 |
JP2009101680A (ja) * | 2007-10-04 | 2009-05-14 | Unitika Ltd | 離型用シート |
JP2009114319A (ja) * | 2007-11-06 | 2009-05-28 | Mitsui Chemicals Inc | 水性樹脂組成物 |
JP2009114318A (ja) * | 2007-11-06 | 2009-05-28 | Mitsui Chemicals Inc | 接着剤組成物およびそれを用いた熱シール接着用材料 |
JP2009529069A (ja) * | 2006-03-03 | 2009-08-13 | ダウ グローバル テクノロジーズ インコーポレイティド | トナーとして使用するための水性分散体 |
JP2009226870A (ja) * | 2008-03-25 | 2009-10-08 | Unitika Ltd | 積層フィルム |
JP2010212070A (ja) * | 2009-03-10 | 2010-09-24 | Unitika Ltd | 電池およびその製造方法 |
CN101228230B (zh) * | 2005-07-22 | 2011-08-10 | 东洋纺织株式会社 | 水性树脂组合物及其制造方法 |
WO2014088109A1 (ja) * | 2012-12-04 | 2014-06-12 | 住友化学株式会社 | 混合液、混合液の製造方法、および多層構造体 |
JP2016011420A (ja) * | 2014-06-04 | 2016-01-21 | ユニチカ株式会社 | シクロオレフィンポリマー用塗工剤および積層体 |
KR20160091817A (ko) * | 2013-11-26 | 2016-08-03 | 도요보 가부시키가이샤 | 변성 폴리올레핀 함유 수성 분산체 조성물 |
JP2017105518A (ja) * | 2015-12-11 | 2017-06-15 | 住友ベークライト株式会社 | 電子部品包装用カバーテープ |
WO2018180612A1 (ja) * | 2017-03-29 | 2018-10-04 | 三井化学株式会社 | ゴム組成物および当該組成物の製造方法 |
-
2003
- 2003-10-21 JP JP2003360690A patent/JP2005126482A/ja active Pending
Cited By (32)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US9290625B2 (en) | 2005-07-22 | 2016-03-22 | Toyo Boseki Kabushiki Kaisha | Aqueous resin composition and method of producing the same |
WO2007011032A1 (ja) | 2005-07-22 | 2007-01-25 | Toyo Kasei Kogyo Co., Ltd. | 水性樹脂組成物およびその製造方法 |
CN101228230B (zh) * | 2005-07-22 | 2011-08-10 | 东洋纺织株式会社 | 水性树脂组合物及其制造方法 |
EP1911804A4 (en) * | 2005-07-22 | 2009-06-17 | Toyo Kasei Kogyo Co Ltd | AQUEOUS RESIN COMPOSITION AND METHOD OF MANUFACTURING THEREOF |
EP1911804A1 (en) * | 2005-07-22 | 2008-04-16 | Toyo Kasei Kogyo Company Limited | Aqueous resin composition and method for producing same |
JP2007056131A (ja) * | 2005-08-24 | 2007-03-08 | Arakawa Chem Ind Co Ltd | 粘着付与樹脂エマルジョン、その製造方法および水性粘接着剤組成物 |
US8329812B2 (en) | 2006-03-03 | 2012-12-11 | Dow Global Technologies Llc | Aqueous dispersions for use as toners |
JP2009529069A (ja) * | 2006-03-03 | 2009-08-13 | ダウ グローバル テクノロジーズ インコーポレイティド | トナーとして使用するための水性分散体 |
KR101354871B1 (ko) * | 2006-03-10 | 2014-01-22 | 미쓰비시 가가꾸 가부시키가이샤 | 수지 분산체, 도료, 적층체 및 그 제조 방법 |
US10259966B2 (en) | 2006-03-10 | 2019-04-16 | Mitsubishi Chemical Corporation | Resin dispersion, coating material, laminate, and processes for their production |
WO2007105344A1 (ja) | 2006-03-10 | 2007-09-20 | Mitsubishi Chemical Corporation | 樹脂分散体、塗料、積層体及びその製造方法 |
JP2007262211A (ja) * | 2006-03-28 | 2007-10-11 | Unitika Ltd | 水性分散体および積層体 |
JP2007269826A (ja) * | 2006-03-30 | 2007-10-18 | Unitika Ltd | 水性分散体及び積層体 |
JP2007291173A (ja) * | 2006-04-21 | 2007-11-08 | Unitika Ltd | 樹脂水性分散体および積層体 |
JP2008137273A (ja) * | 2006-12-01 | 2008-06-19 | Mitsubishi Chemicals Corp | 積層体の製造方法及びこれに用いる水性塗料 |
JP2008137274A (ja) * | 2006-12-01 | 2008-06-19 | Mitsubishi Chemicals Corp | ポリプロピレン系積層体及びその製造方法、並びにこれに用いる塗料 |
US8519046B2 (en) | 2006-12-13 | 2013-08-27 | Nippon Paper Chemicals Co., Ltd. | Polyolefin resin dispersion composition and process for producing the same |
WO2008072689A1 (ja) * | 2006-12-13 | 2008-06-19 | Nippon Paper Chemicals Co., Ltd. | ポリオレフィン樹脂分散組成物およびその製造方法 |
JP2009040920A (ja) * | 2007-08-09 | 2009-02-26 | Seiko Pmc Corp | 変性ポリオレフィン樹脂水性分散体組成物 |
JP2009101680A (ja) * | 2007-10-04 | 2009-05-14 | Unitika Ltd | 離型用シート |
JP2009114319A (ja) * | 2007-11-06 | 2009-05-28 | Mitsui Chemicals Inc | 水性樹脂組成物 |
JP2009114318A (ja) * | 2007-11-06 | 2009-05-28 | Mitsui Chemicals Inc | 接着剤組成物およびそれを用いた熱シール接着用材料 |
JP2009226870A (ja) * | 2008-03-25 | 2009-10-08 | Unitika Ltd | 積層フィルム |
JP2010212070A (ja) * | 2009-03-10 | 2010-09-24 | Unitika Ltd | 電池およびその製造方法 |
CN104837913B (zh) * | 2012-12-04 | 2017-03-08 | 住友化学株式会社 | 混合液、混合液的制造方法、及多层结构体 |
JPWO2014088109A1 (ja) * | 2012-12-04 | 2017-01-05 | 住友化学株式会社 | 混合液、混合液の製造方法、および多層構造体 |
WO2014088109A1 (ja) * | 2012-12-04 | 2014-06-12 | 住友化学株式会社 | 混合液、混合液の製造方法、および多層構造体 |
KR20160091817A (ko) * | 2013-11-26 | 2016-08-03 | 도요보 가부시키가이샤 | 변성 폴리올레핀 함유 수성 분산체 조성물 |
KR102266686B1 (ko) | 2013-11-26 | 2021-06-21 | 도요보 가부시키가이샤 | 변성 폴리올레핀 함유 수성 분산체 조성물 |
JP2016011420A (ja) * | 2014-06-04 | 2016-01-21 | ユニチカ株式会社 | シクロオレフィンポリマー用塗工剤および積層体 |
JP2017105518A (ja) * | 2015-12-11 | 2017-06-15 | 住友ベークライト株式会社 | 電子部品包装用カバーテープ |
WO2018180612A1 (ja) * | 2017-03-29 | 2018-10-04 | 三井化学株式会社 | ゴム組成物および当該組成物の製造方法 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP2005126482A (ja) | ポリオレフィン樹脂水性分散体およびその製造方法 | |
JP5174057B2 (ja) | 塩素化ポリオレフィン樹脂水性分散体 | |
JP3759160B2 (ja) | ポリオレフィン樹脂水性分散体、その製造方法およびこれを用いた水性塗料 | |
JP3699935B2 (ja) | ポリオレフィン樹脂水性分散体及びその製造方法 | |
JP4987473B2 (ja) | 塩素化プロピレン系ランダム共重合体及びこれを含む組成物 | |
JP2009091426A (ja) | 水性分散体、その製造法および積層体 | |
JP4451084B2 (ja) | ポリオレフィン樹脂分散体およびその製造方法 | |
JP6452282B2 (ja) | 金属板用接着剤 | |
JP5037012B2 (ja) | ポリオレフィン樹脂水性分散体の製造方法 | |
JP4873828B2 (ja) | 塩素化ポリオレフィン樹脂水性分散体の製造方法 | |
JP4270790B2 (ja) | 紙用水性接着剤及び積層体 | |
JP6381196B2 (ja) | 樹脂成形体用プライマー | |
JP2008069254A (ja) | 水性接着剤およびそれを用いた積層体 | |
JP2007031580A (ja) | ポリオレフィン樹脂水性分散体 | |
JP6587375B2 (ja) | ポリオレフィン樹脂水性分散体及びその製造方法 | |
JP4270791B2 (ja) | 合成紙用水性接着剤及び積層体 | |
JP7505662B2 (ja) | 水性分散体組成物 | |
JP2018138668A (ja) | 金属板用接着剤 | |
JP6362722B1 (ja) | 酸変性ポリオレフィン樹脂水性分散体の製造方法 | |
JP2005008647A (ja) | 塩素化ポリオレフィン樹脂水性分散体およびその製造方法 | |
CN117715972A (zh) | 聚烯烃树脂水性分散体及其制造方法 | |
JP6139132B2 (ja) | インモールド転写箔用水性分散体、インモールド転写箔及び成型品 | |
JP2023119572A (ja) | ポリオレフィン樹脂水性分散体、およびその製造方法 | |
JP2023119571A (ja) | ポリオレフィン樹脂水性分散体およびその製造方法 | |
JP2014189685A (ja) | 酸変性塩素化ポリオレフィン樹脂水性分散体の製造方法 |