JP2015517016A - 架橋ヒアルロナン誘導体,その調製法,前記誘導体をベースとするハイドロゲル及びマイクロファイバー - Google Patents

架橋ヒアルロナン誘導体,その調製法,前記誘導体をベースとするハイドロゲル及びマイクロファイバー Download PDF

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Abstract

本発明はハイドロゲル又はマイクロファイバーの形態の架橋ヒアルロナン誘導体,及びC‐Cカップリング反応から成るその調製方法に関する。C‐Cカップリング反応は,水,リン酸緩衝液又は有機酸とアルコールとの混合液中,パラジウム活性触媒の存在下で,末端アリール‐ハロゲン化物及び/又はアリール‐ホウ酸塩基を有するヒアルロナン誘導体と,アルケニル又はアルキニル基を有するヒアルロナン誘導体との反応を介して行う。パラジウム活性触媒は例えば,パラジウム(II)アセテートと無機若しくは有機塩基との錯体,又はパラジウム(II)と2‐アミノ‐4,6‐ジヒドロキシピリミジンとの錯体でもよい。【選択図】図2

Description

本発明は,水,場合により塩基に安定的である均質なパラジウム触媒で触媒される修飾ヒアルロン酸(HA)の架橋プロセスに関する。当該プロセスは,炭素‐炭素反応又はクロスカップリング反応に適した前駆体として使用可能な誘導体の合成から構成される。これらの前駆体はハイドロゲルの合成,並びにその誘導体から形成されるマイクロファイバーの架橋に適用できる。
ヒアルロン酸(HA又はヒアルロナン)はグリコサミノグリカンとして知られるポリマーのクラスの一種である。HAは長鎖直線状多糖類であり,通常,分子式(C1420NNaO11を有するナトリウム塩で表され,その分子量は原料,単離手順及び測定法により変化する。しかし,14×10以下の分子量で報告されている。本明細書に記載された分子量は別段の指定がない限り重量平均分子量とする。
HAは非免疫原性であることから,医療における可能性は大きい。その粘弾特性のために,高分子量(1,000,000以上)のHAは特に,創傷治療,眼科手術及び整形外科手術など多様な臨床分野で有用であることが分かっている。HAは化粧用途など多様な非医療分野でも有用である可能性が高い。
しかし,ヒトへの投与後にHAはヒアルロニダーゼやフリーラジカルなどの酵素により容易に分解されるということから,これらの用途の一部ではHAの使用は限定的となる。更に,HAは室温では水溶性であり,このことにより特定の用途にはあまり適していない。粘度を増加させるために,或いは架橋誘導体を得るために,外部物質を使用する必要がある。
したがって,より好適な形態のHAを,特に架橋によって調製することが多様に試みられている。例えば米国特許第4,582,865号には架橋剤としてジビニルスルホンを使用してヒアルロン酸の架橋ゲルを調製することが記載されている;しかし,後に米国特許第7131492号に記載されているように,架橋材料には毒性及び発熱原性の可能性がある遊離ジビニルスルホンがカプセル化されている可能性がある。HAベースのハイドロゲルの他の例はブタンジオールジグリシジルエーテル又はグルタルアルデヒドなどの架橋剤により得られている(Collins & Birkinshaw,2007年)。しかし,これらの生成物に対するアレルギー反応に関する報告もいくつか存在する(Matarasso & Herwick,2006年)。本願は架橋の際に報告されているいくつかの短所,より具体的には,架橋が失敗し,一般的に高度な反応試薬である第2架橋剤を使用しなければならないという事実を解消しており,よって第2工程で多糖類及び架橋を直接的に修飾することが好ましい(Schante,Zuber,Herlin & Vandamme;Yeomら)。
先行技術では,本明細書で「金属」と総称されている金属,遷移金属,半金属を含む他の架橋剤が記載されている。例としてはホウ素,アルミニウム,ジルコニウム,マグネシウム,鉄,銅,鉛又はチタンが挙げられる(米国特許公開2001/0002411号)。一般的に,金属は少なくとも2種のゲル化分子と相互作用し,両者の間に化学結合を形成する。報告されたこれらの架橋剤の多くには使用に関連する欠点がある。例えば,ホウ素含有架橋剤の使用はpH8に限定されており,外部塩類を反応混合液に含ませて使用する必要がある。更にホウ素は,巨大分子に存在するヒドロキシル基,又は反応生成物の付加的処理及び単離に使用するアルコール類若しくはグリコール類などの添加剤と反応する。チタニウムも高コストや緩徐な架橋速度といった短所を持つ。ジルコニウムをベースとする架橋剤も欠点を有し;例えば調剤に使用される一般的なゲル化剤キサンタンを架橋することができない(米国特許公開2008/0207470号)。
ハイドロゲルを形成する架橋の他の方法は非共有結合を含み,米国特許第7807656号に報告された鉄,銅,亜鉛,カルシウム及び他のキレートイオンなどの複数の荷電イオンを使用する。しかし,挿入された金属には未知の毒性作用が多少存在する可能性がある。
架橋はハイドロゲルを形成するだけではなく,不溶マイクロファイバーの形成にも応用できる。それどころか,最近,天然のヒアルロン酸から形成されたマイクロフィラメント(又はファイバー)が米国特許公開2010/0310631号にて報告されており,それらは完全に水溶性の特性を有している。その他には,カルボジイミド及びエポキシドタイプの架橋剤(架橋剤,例えば米国特許公開2007/066816号に記載の非網羅的なリスト)の存在下でのヒアルロン酸の架橋により,ヒアルロン酸ファイバーをベースとする材料が得られた。しかし,これらの材料にはヒトに対して毒性であるという無視できない短所があり,インビボでの全ての使用が大幅に制限される。
ここ数年,金属媒介有機合成の分野には多大な努力が投じられている。この点において,炭素‐炭素カップリング反応とは,金属触媒を用いて2つの炭化水素フラグメントをカップリングする多様な反応が含まれるという考え方をする。カップリング反応には,2種の異なるパートナーの反応を含むクロスカップリング,及び2つの同種のパートナーをカップリングさせるホモカップリングの2タイプがあることが認められている。遷移金属は多様な有機化合物を活性化する特有の能力を有し,この活性化を通じて遷移金属は新たな結合の形成を触媒し得る。パラジウムで触媒したクロスカップリングの原理は,金属‐炭素結合の形成を介して2つの分子が金属上で会合することである。この方法では,パラジウムに結合した炭素原子らは互いに非常に接近する。次の工程でそれらは互いにカップリングし,このことにより新たな炭素‐炭素単結合が形成される。これは下記のスキーム1に図説する:
Figure 2015517016
スキーム1 クロスカップリングのための一般的な触媒サイクル
パラジウムで触媒したクロスカップリング反応は例えば,棒砂糖の合成に応用しており,それ以後は炭水化物クラスターの合成にも応用されている(Roy,Das,Santoyo‐Gonzalez,Hernandez‐Mateo,Dam & Brewer,2000年)。このタイプの化学作用の例はVasellaら(Murty & Vasella,2001年)の一連の論文にいくつか記載されている。しかし,この有用な反応は炭水化物又は多糖の化学作用にはほとんど使用されていない。国際特許公開WO90/14353号には診断目的及び治療目的でのオリゴヌクレオチドのパラジウム媒介カップリングが報告されている。新規なパラジウム媒介炭素‐炭素結合は,DNAをテンプレートにした化学作用の形成に使用できるように国際特許公開WO2007/008226号に開示された。
本明細書では,本発明者らはパラジウム触媒型クロスカップリング反応によるHAの架橋の新規な方法を報告している。他の金属,例えば銅などの特別な添加剤を使用せずに反応が達成される。反応は水又はリン酸緩衝液中,並びにアルコールと一般的な有機及び無機の高価ではない塩基及び酸中で行ってもよい。条件の最適化により,反応に必要なのは微量の触媒,比較的低い温度及び短い反応時間であることが分かっている。架橋後,残留パラジウムを除去するため,本明細書ではハイドロゲルやマイクロファイバーと呼ばれる生成物を十分に洗浄した。驚くべきことに,触媒の効果的な除去により,医療用途,一般的にはヒトへの使用のための不溶材料を形成する反応の用途の可能性が確実なものとなり,したがってクロスカップリング反応は生物活性的多糖の修飾化学の分野において現実的な革新をもたらすものである。
発明の概要
本発明は多糖類,より具体的にはヒアルロン酸を架橋する方法に関する。上述のとおり,本発明はヒアルロン酸の不溶誘導体を形成する方法を提供する。より具体的には,そのプロセスは化学修飾HAをベースとする複数の架橋ハイドロゲル又はマイクロファイバーの調製に関する。本方法論では,ヒアルロン酸をベースとするハイドロゲルの効果的な調製が記載されており,また,本方法論は修飾HAをベースとする架橋マイクロファイバーに適用できる。架橋ヒアルロナン誘導体の調製プロセスは,水,リン酸緩衝液,又は有機酸とアルコールとの混合液中,パラジウム活性触媒の存在下でC‐Cカップリング反応により行い,ここではC‐Cカップリング反応は,末端アリール‐ハロゲン化物及び/又はアリール‐ホウ酸塩基を有するヒアルロナン誘導体と,アルケニル又はアルキニル基を有するヒアルロナン誘導体との間で起こる。
本開示にしたがったファイバーは,クロスカップリング反応の反応性を有することが分かっている少なくとも1つの官能基を各々が持つ第1及び第2前駆体の混合物を湿式紡糸するか,或いは押出成形することにより調製する。フィラメントの生成には公知の紡糸装置が使用できる。本開示にしたがって形成された架橋材料は,パラジウム活性触媒により触媒されて,官能基化された(functionalized)第1前駆体と第2前駆体とを反応させ,その2つの前駆体が互いに共有結合することで作成してもよい。すなわち,当該方法は炭素‐炭素カップリングを介してHAの別の分子にHAを共有結合させる工程を含む。更に言い換えれば,水性媒体中のヒアルロン酸の架橋に薗頭反応の改変法を適用した。
本発明が解決する課題は,インビボでの利用に適した簡単で安価かつ高効率な方法で水不溶性のヒアルロン酸をベースとするハイドロゲル及びマイクロファイバーを得ることである。この課題は好適な前駆体を架橋した後に除去可能なパラジウム触媒を使用することで解決される。得られる材料が生体適合性であり,吸収可能であることからヒアルロン酸の使用が好ましい。本方法論により得られたハイドロゲルは3次元構造及び相互結合された孔を有する。更に,本方法論により架橋されたマイクロファイバーは非架橋ファイバーと比較して機械的特性が高度に改善されている。
架橋前と異なり,マイクロファイバーは水不溶性である。本願に報告された架橋材料は粘弾性ゲルが必要な用途に組み入れてもよい。本願で調製された架橋ファイバーは,多様な外科的用途及び創傷治療用途,並びに医療機器の一部に使用してもよい。その他の目的は以下の記述及び主張に基づき,明らかになるであろう。
第1の実施態様では,本発明は式(A)又は(B)に表される架橋HAベースの誘導体を生成するヒアルロン酸誘導体の架橋方法を提供するものであり:
Figure 2015517016
式中,Rは脂肪族C1‐15置換基であり,これらは両誘導体中で同一又は異なっていてもよい。Rの非限定的な例としては,メチレン又はエチレンが挙げられる。
更に,本発明は架橋反応用の誘導体の調製プロセスに関するものであり,以下の工程を含む:
i)式(I)にしたがった第1前駆体とも称される末端アリール置換基を有する第2級アミンヒアルロナン誘導体の調製:
Figure 2015517016
式中,Xはハロゲン又はホウ酸塩官能基である。Xの非限定的な例としては,‐I,‐Br又はB‐(OH)が挙げられる。すなわち,好ましくは,工程i)には,a)C‐6位でヒアルロナンを酸化させる工程,及びb)臭化物,ヨウ素又はホウ素を含有する末端基であることが好ましい末端置換基を有する芳香族第1級アミンをカップリングしてタイプ(I)の成分を得る工程が含まれる。第1級アミンは,下記の工程iii)に記載されたクロスカップリング反応の基質となるタイプ(I)の誘導体を得るp‐置換アニリンのタイプの芳香族であり,よって,化学修飾したヒアルロン酸の末端基としてヨウ素(Ia),臭素(Ib)又はホウ酸塩(Ic)を使用することで架橋反応の効果的な調節を可能にし得る成分がもたらされる。本発明者らが知る限り,芳香環のパラ置換基は触媒サイクルの酸化的付加工程に影響を及ぼし,変化させる可能性がある(上記スキーム1)。すなわち,第1成分(I)は架橋速度を変化させることが可能であり,そうすることでゲル化が速度,時間,温度及び収率により多様になり,クロスカップリング反応の範囲が広がる可能性がある。これらの好ましい性質は典型的に,アリール置換基‐Xのパラ位に付着する置換基の脱離能によるものと思われ,このことは第1前駆体(I)とタイプII又はIIIの第2前駆体とが架橋する速度を制御するものと考えている。
工程ii)は,第2前駆体とも称される,式(II)又は(III)の3重又は2重結合を含む不飽和化合物を有する第2アミンヒアルロナン誘導体の調製である:
Figure 2015517016
式中,Rは上記に明記してある。工程ii)のヒアルロン酸の化学修飾には,好ましくは,a)C‐6位のヒアルロナンの酸化工程,及びb)アルキン(II)又はアルケン(III)とすることが可能な末端不飽和基を有する多糖骨格,例えば(II)ではプロパギルアミン若しくはブチニルアミン,又は(III)ではアリルアミンなどのアルケニル基内に脂肪族第1級アミンを付着させる工程が含まれ,この場合,アルキン(II)は通常,アルケン(III)より反応性が高い。材料の架橋速度及び最終的な性質は第2前駆体II又はIIIの反応性により調整可能である。
更なる工程である工程iii)には,末端アルキン(II)又はアルケン(III)と,(I)の誘導体のアリール,ハロゲン化ビニル又はボランとで「パラジウム活性触媒」触媒型カップリングを行って炭素‐炭素結合の形成を介して架橋する工程が含まれる。この反応はクロスカップリング反応とも呼ばれる。したがって,工程iii)は,式(I)の誘導体と式II(又はIII)の誘導体及びパラジウム活性触媒とを混合してヒアルロン酸のクロスカップリングを行う工程から構成される。架橋生成物は上記のスキームA又はBで表された式により特徴づけられる。クロスカップリングはある程度任意に,スキーム2に示される式で定義され,式中,R及びRはアリール又はビニル基を有するHA誘導体であり,Xはハロゲン原子又は関連のヘテロ原子脱離基である。金属(M)には,H,C及び第15〜18族元素以外の全ての元素が当てはまる。
‐M+R‐X→R‐R+M‐X スキーム2
この場合,クロスカップリングとホモカップリングとは明確に区別すべきである。主にR,R及びRの統計学的或いは無作為的な混合物をもたらす反応は,クロスカップリングから排除すべきなのかもしれない。
本明細書に記載のとおり,反応は触媒量の塩化銅(I)を使用しても使用しなくてもよく,通常はクロスカップリング反応と考えられている。架橋材料を得るために,スキーム2に記載され,スキーム1に記載の触媒サイクルにより特徴付けられるクロスカップリング反応を工程iii)に応用する。クロスカップリングには,パラジウム(II)アセテートと無機若しくは有機塩基との錯体,又はパラジウム(II)と2‐アミノ‐4,6‐ジヒドロキシピリミジンとの錯体であることが好ましいパラジウム活性触媒により触媒されたアルケニル又はアルキニル誘導体などの不飽和基と,末端ハロゲン化物及び/又はアリール‐ホウ酸塩との間の反応が含まれ,この場合,反応混合液中のパラジウム活性触媒の濃度は1×10−5〜1×10−3Mの範囲内である。ハイドロゲルの形態の架橋HA誘導体を調製するには,パラジウム活性触媒として,パラジウム(II)アセテートと,DABCO,TEMED,TEAなどの無機又は有機塩基,KHPOなどの第2リン酸,CsCOなどの炭酸塩,より好ましくはTEMED又はDABCOとの錯体を使用することが好ましく,反応混合液中のこのようなパラジウム活性触媒の好ましい濃度は1×10−4〜1×10−3M,好ましくは5×10−4の範囲内であることが分かった。
マイクロファイバーの形態の架橋HA誘導体を調製するには,式(I)の誘導体を式(II)又は(III)の誘導体と混合し,混合物を凝固浴槽内に押出成形した後,マイクロファイバーを,パラジウム活性触媒が入った架橋浴槽に移す。マイクロファイバー架橋のための好ましいパラジウム活性触媒はパラジウム(II)と2‐アミノ‐4,6‐ジヒドロキシピリミジンとの錯体であり,架橋浴槽中のその好ましい濃度は1×10−5〜1×10−4M,好ましくは5×10−5の範囲内であることが分かった。凝固浴槽はアルコールと有機酸との混合物から成るが,HAベースのマイクロファイバーの生成に適している凝固浴槽であればどのようなものでも使用可能であり,架橋浴槽はアルコール,例えばメタノール,エタノール又はイソプロパノールと乳酸との混合物,及びパラジウム活性触媒から成る。架橋浴槽の好ましい組成は,乳酸とイソプロパノールの比が1:1〜1:5の範囲内,好ましくは1:4である。
クロスカップリング反応を行うために,ポリマーは巨大分子中に少なくとも1つの脱離基(ハロゲン化物,ホウ素含有基)及び1つの不飽和(アルケン又はアルキン)部分を有する必要がある。
クロスカップリング反応は,アルキンの場合はスキーム3に,アルケンの場合はスキーム4に図示した。
Figure 2015517016
スキーム3
Figure 2015517016
スキーム4
実施例2に記載の生成物IbのH NMRスペクトルを示す。 実施例5に記載の生成物IIbのH NMRスペクトルを示す。 実施例8に記載の架橋材料(TEMEDを使用している)のSEM微細構造を示す。 (a)は(25℃)で測定したゲル化点を示し,(b)は実施例8に記載の誘導体Ia及びIIaの架橋の際の60℃で測定したゲル化点を示し,TEMEDは塩基として使用する。 実施例12に記載の架橋材料のSEM微細構造を示し,反応はKHPO緩衝液を使用して行った。 実施例10に記載の架橋材料のSEM微細構造を示し,DABCOは塩基として使用する。 実施例2及び実施例4に記載の誘導体で調製したマイクロファイバーの微細構造を示し,両誘導体の濃度は12%である。図7aはクロスカップリング反応前のファイバーの微細構造を示し,図7bはクロスカップリング後の微細構造を示す。 実施例2及び実施例4に記載の誘導体で調製したマイクロファイバーの微細構造を示し,両誘導体の濃度は14%である。図8aはクロスカップリング前のファイバーの微細構造を示し,図8bはクロスカップリング後の微細構造を示す。 実施例2及び実施例4に記載の誘導体で調製したマイクロファイバーの微細構造を示し,両誘導体の濃度は15%である。(A)はクロスカップリング前のファイバーの微細構造を示し,(B)はクロスカップリング後の微細構造を示す。 PBS浸漬後における実施例16,17及び18で調製したファイバーの,時間に対する膨張度を示す。平均径は光学顕微鏡で判定した時間の関数として測定した。 実施例17で調製したマイクロファイバーについて試験した生体適合性のグラフ。 実施例18で調製したマイクロファイバーの引張強度を示す。
定義
本明細書では,特定の表現は,特徴や実施態様について重要な技術的側面にそれらが関連している程度にしたがってより多く使用されている。これらのいくつかの表現について,それらが使われている具体的な文脈が特段の解釈を必要としない限り,以下の定義を使用すべきである。
本明細書で使用されているとおり,ヒアルロン酸はポリカルボン酸の形態の多糖と,ナトリウム,カリウム,マグネシウム及びカルシウム塩などのその塩の両方を意味し,その重量平均分子量は50,000〜3,000,000Daとすることも可能である。
本明細書で使用されているとおり,多糖骨格の場合の置換度は,(ヒアルロン酸の多糖の場合)100個のサッカライド二量体当たりの反応性部分として定義しており,すなわち化学修飾された二量体の数を表している。
本明細書で使用されているとおり,架橋材料は1種以上の親水性ポリマーの化学的架橋により形成された3次元ポリマーネットワークである。この誘導体は膨張可能であるが,水との接触で溶解することはない。
本明細書で使用されているとおり,マイクロファイバー又はファイバーは,明確な縦軸又は軸方向形状を有し,更に,約1,000μm(すなわち1mm)未満,場合により約100μm(すなわち100,000nm)以下の少なくとも1つの空間次元を有する成分である。本明細書で使用した用語「超小型」又は「ミクロンサイズ」は一般的に,平均約500μm未満(すなわち0.5mm)であると当業者から理解されている。
本明細書で記述されているとおり,パラジウム活性触媒はパラジウム(II)と塩基との錯体,又はパラジウム(II)と2‐アミノ‐4,6‐ジヒドロキシピリミジンとの錯体であり,これはクロスカップリング反応を触媒するために使用され,パラジウム溶液の保存を可能にするものである。反応は不活性雰囲気下で行っても,そうでなくてもよい。
クロスカップリング反応に使用可能な塩基には,有機又は無機塩基,例えばDABCO(1,4‐ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン),TEMED又はTMEDA(N,N,N’,N’‐テトラメチル‐エタン‐1,2‐ジアミン),TEA(トリエチルアミン),KHPOなどの第2級リン酸塩,CsCOなどの炭酸塩等が挙げられる。
前述のとおり,タイプI,II又はIIIの誘導体を得るために「酸化還元アミノ化」によりヒアルロン酸の化学修飾を行った。更に,化学修飾は反応条件によって8〜15%変化する。例えば,図1は,DS6%に特徴づけられるタイプIbの化学修飾されたHAのH NMRスペクトルを示している。図2は,DS12%のタイプIIの化学修飾されたHAのH NMRスペクトルを示している。クロスカップリング反応性部分は安定的な第2級アミン結合を含むリンカーによりポリマー骨格に結合させる;本明細書で使用されているとおり,第2級アミンは式‐C‐NH‐Rで表され,式中,Rは任意の炭素鎖を意味する。
架橋反応の過程中に収集された動的粘弾性データの測定によりゲル化をモニターした。25℃の架橋では図4(a)に,60℃では図4(b)にそれぞれ示されるとおり,系が粘弾性固体に発展することが明らかに解明された。初めにポリマー成分をバイアル中で混合した。パラジウム(II)触媒及び塩基をポリマー溶液に添加し,ボルテックス撹拌した。溶液を迅速にレオメーターに移し,ゲル化をインサイツで測定した。反応速度(架橋/ゲル化に必要な時間)を評価して架橋/ゲル化の発生を証明するために流動度測定を行った。架橋反応中,5Hzの周波数で振動掃引運動を印加した。実験の代表的な結果を図4(a)及び図4(b)に示す。流動学的測定の目的は,「ゲル点」に関し,HAベースのゲルのパラジウム触媒架橋プロセスの過程を特徴付けることであり,すなわち,この時点でG=G**であり,式中,Gは保存モジュール又は弾性モジュールと定義され,G**は損失モジュールと定義される。時間の関数としてGとG**の曲線が交差しているところでは(すなわちG=G**),材料がゲル化していることを意味する。この結果から,2種のゲルでは,ゲル化を60℃で行う場合には架橋プロセスは660秒という比較的短い時間が特徴的であり(図4(b)),25℃で行う場合は4000秒まで延長される(図4(a))ことが示された。
図3,図5及び図6は架橋材料(乾燥足場材料(dried scaffold))の微細構造を示す。化学的に1,4‐ジアザビシクロ[2.2.2]オクタンと同定されたDABCOは薗頭反応に効果的なリガンドであることが分かった。したがって1,4‐ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン(図6)は均一な多孔性,及びテトラメチルエチレンジアミン(TMEDA又はTEMED)に比べて小さい孔径を形成していた(図3)。塩基としてKHPOを使用した架橋試料の構造も調査し(図5),ここでは塩基の毒性が無いことからKHPOの使用が好ましい。SEM顕微鏡写真によれば,塩基がHA架橋中に重要な役割を担っていることは明らかである。反応条件はハイドロゲルの微細構造に強く影響を及ぼす。骨格の多孔は300〜900μmと測定された。
工程iii)に記載された架橋反応も水不溶性マイクロファイバーの形成に応用できる。誘導体(I)及び(III)又は(II)から構成されるマイクロファイバーは100〜250μMの直径と円形断面を特徴とし,湿式紡糸により生成され;その後これらのマイクロファイバーはパラジウム(II)アセテート又はパラジウム活性触媒により触媒されて架橋する。マイクロファイバーの調製及び架橋のプロセスは以下の工程を含む:a)(II)又は(III)のタイプの誘導体をタイプ(I)の誘導体と混合し,水又はリン酸緩衝液に溶解し,単純な物理的混合物を形成する。成分(I+III)又は(II+III)から成るポリマー溶液は反応の最終的な使用にしたがって1〜15重量%の固体修飾HAから調製するが,ハイドロゲルでは1〜5%組成が好ましく(実施例7〜15),マイクロファイバーでは12〜15%が好ましい(実施例16〜18)。マイクロファイバーの架橋用として本明細書の記載どおりに使用された特定濃度の成分は引張強度の高いファイバーを生成している。b)架橋マイクロファイバーを得るための実施例16〜18に記載された濃度の誘導体の物理的混合物を,紡糸の少なくとも24時間前に調製した。c)湿式紡糸プロセスによりファイバーを調製した;d)その後,ファイバーを乾燥させ,e)第2浴槽に移し(架橋浴槽),40〜80℃の範囲内の高温で,好ましくは60℃でファイバーをクロスカップリングにより2時間架橋した。f)イソプロパノール‐水の混合液を使用してファイバーを成分から洗い出し,24時間再乾燥した。図7,図8及び図9には,組成が変化するマイクロファイバーの走査電子顕微鏡法(SEM)により得られた顕微鏡写真が示されている。紡糸プロセス後に得られた均一性を表すため,図7,図8,図9のA及びB部(上段)は常に,得られたファイバーの断裂を示している;例えば図7(A)は架橋前のファイバー(断裂)の断面図を示し,(B)は架橋後を示している。下段では,架橋前(C)及び架橋後(D)のファイバー表面の縦軸図が示されている。マイクロファイバーを約12,14及び15重量%の組成物を使用して調製した。同じファイバーの長さ全体に渡って様々な位置で行った少なくとも4つの異なる測定から走査電子顕微鏡により,各紡糸速度でフィラメントの平均径を測定した。組成物はファイバーの直径に影響を与えることが分かった。図7(C)は,12重量%から得られたマイクロファイバーの直径が,架橋前では平均径として147.3μmであったことを示し,(D)は架橋後では128μmであったことを示している。図8(C)は,14重量%から得られたファイバーの直径が,架橋前では223.4μmであったことを示し,架橋後では直径は再度減少して151.6μmになったことを示している(図8(D))。
図9(C)は,15重量%で得られたマイクロファイバーの直径が217.1から153.2μmまで減少したことを示している。しかし,この組成物は300秒後には一定の膨張比を示している(図10)。ファイバーは溶解することなく水及び生理学的媒体に接触して膨張することが可能である。PBSとの接触後,材料の直径増加を測定するために光学顕微鏡を使用した。図10は実施例16〜18で調製したファイバーの膨張度を示している。更に,マイクロファイバーの生体適合性を架橋の前後で特徴付けた。マイクロファイバーを滅菌し,1.8及び3.6μ/mlの濃度で12ウェルプレートに設置し,細胞とファイバーとを直接接触させることで生体適合性を試験した。試験は架橋反応の前後で三重に行った。図11には,NIH‐3T3線維芽細胞での試験後にマイクロファイバーは細胞適合性であることが示されている。更に,洗浄後,マイクロファイバーにはパラジウムが無くなり,インビボでの使用に好適なものとなっている。図12は引張強度が最も高いと報告されている組成物(15重量%)の引張強度を示している。張力は万能引張応力装置(インストロン社(Instron))で測定した。架橋の前後で引張強度を得た。すなわち,引張強度とは糸切れするまでの繊維の伸長に必要な応力の尺度である。初めに,初速度1mm/分で0.05Nの力(負荷)を加えてファイバーを伸長し,その後,切断されるまで10mm/分の速度で引張応力を掛ける。各タイプの試料について最低でも4回の試験を行い,データを統計学的に分析した。実験データから,成分15重量%の物理的混合物で最良の組成物が得られることが分かった。これらファイバーの引張強度の数値を測定し,表1及び2に示した。測定は架橋の前後で行った。表1に示すとおり,ファイバーは51.05±3.5MPaの引張強度値を示し,一方,架橋後の同一の組成物は2倍を超える引張強度を示し,この場合114.63±4.23MPaであった(表2)。
実施例
これらの実施例は単に説明することのみを目的としており,特許請求の範囲を限定する手段ではない。実施例の部分,割合,比率等すべては特段の明記がない限り重量換算である。
実施例1.末端基としてのヨウ素含有成分(Ia)の調製
HAの単量体単位0.025mmolに相当する平均分子量498kDaのヒアルロナン10gを室温で1000mLの蒸留水に可溶化した。該混合液に2.57gのNaBr及び38.84gのNaHPO・12HOを添加した。反応物のpHは0.1MのNaOHを添加して9.0に調整した。反応物を5℃まで冷却し,脱気し,窒素を再充填した。53.3mgの4‐アセタミド‐TEMPOを添加し,次いで3mLの次亜塩素酸ナトリウムを添加した。酸化反応を15分間行った。酢酸を添加して反応混合液のpHを7.0に調整した。その後,混合液に1.159gのp‐ヨード‐アニリンを添加した。反応物を室温で5時間静置した。最終的に,0.566gのピコリンボランを反応物に添加し,反応物を一晩撹拌した。溶液を1000mLの水で希釈し,分画分子量10kDaでCentramateカセット(Paal社)を使用して限外濾過した。生成物をIPAで沈殿させ,IPA:水(100:0,80:20,及び60:40)で3回洗浄し,60℃のオーブンで乾燥させた。分析的方法論により反応生成物を完全に特徴化した。反応収率:90%。SEC‐MALLSにより測定した分子量は556kDaであり,多分散性は1.59であると報告された。置換度(DS)=6% NMRH(500MHz,NaOD,δppm):2.02(s,3H,‐NH‐CO‐CH),3.35〜3.84(m,14H),4.46(d,2H),6.68(d,2H,J=8.35),7.56(d,2H,J=8.35)。
Figure 2015517016
DS=(n+m)=100%;n=4〜8%
実施例2.末端基としての臭素含有成分(Ib)の調製
平均分子量498kDaのヒアルロナン10g(0.025mmol)を室温で1000mLの蒸留水に可溶化した。該混合液に2.57gのNaBr及び38.84gのNaHPO・12HOを添加した。反応物のpHは0.1MのNaOHを添加して9.0に調整した。反応物を5℃まで冷却し,脱気し,窒素を再充填した。53.3mgの4‐アセタミド‐TEMPOを添加し,次いで3mLの次亜塩素酸ナトリウムを添加した。酸化反応を15分間行った。酢酸を添加して反応混合液のpHを7.0に調整した。その後,反応物に0.910gのp‐ブロモ‐アニリン(0.2当量)を添加した。反応物を室温で5時間静置した。最終的に,0.566gのピコリンボラン(0.2当量)を反応物に添加した。反応物を室温で一晩撹拌した。溶液を1000mLの水で希釈し,分画分子量10kDaでCentramateカセットを使用して限外濾過した。生成物をIPAで沈殿させ,3回IPA:水(100:0,80:20,及び60:40)で洗浄した。沈殿物を60℃のオーブンで乾燥させた。その後,分析的方法論により反応生成物を完全に特徴化した。反応生成量:10.5g。SEC‐MALLSにより測定した分子量は平均値853kDaであり,多分散性は2.01である。置換度(DS)=6%。
NMRH(500MHz,NaOD,δppm):2.02(s,3H,‐NH‐CO‐CH),3.35〜3.84(m,14H),4.46(d,2H),6.68(d,2H,J=8.35),7.39(d,2H,J=8.35)。
実施例3.末端基としてのホウ酸塩含有成分(Ic)の調製
平均分子量251.2kDaの酸化ヒアルロナン1.0gをpH8のリン酸緩衝液100mLに溶解した。その溶液に0.086gのアミノフェニルボロン酸塩酸塩を添加した。反応物を室温で5時間撹拌した。0.084gのピコリンボランを添加した(HA二量体に対して0.03当量)。反応物を一晩撹拌した。NaHCO/NaClの0.5%(w/v)溶液に対する十分な透析により反応生成物を精製し,その後,水に対しても十分に行った。反応生成量は1.04gであった。生成物の分子量は121.8kDaであり,多分散性は1.46であった。NMRで測定された置換度は8%である。NMRH(500MHz,NaOD,δppm):2.0(s,3H),2.85(m,2H),3.1(m,2H),3.4〜4.0(m,10H),4.5(d,2H),7.34(m,5H)
実施例4.三重結合含有成分(プロパルギル)IIaの調製
平均分子量798kDaの酸化ヒアルロナン10.0gを960mLの水に溶解した。反応混合液にプロパルギルアミン塩酸塩(HA‐二量体に対して0.3当量)を添加した。混合液がpH5.5になるまで,1mLの酢酸を添加して反応物のpHを調整した。室温で5時間撹拌した後,0.424gのピコリンボランを添加した(ヒアルロン酸反復型二量体0.3当量に相当する)。反応を一晩進行させた。生成物を限外濾過により精製した。一般的な分析技術により,プロパルギル修飾HA生成物を完全に特徴化した。HAに結合したプロパルギルアミン部分の定量的評価に使用するシグナルは,修飾多糖の場合のメチレンと比較するHAの場合のメチルである。SEC‐MALLSにより測定した分子量は平均値として604.4kDaであり,多分散性は2.15である。置換度(DS)=12%。FT‐IR(KBr,cm‐1):3379(υ,‐O‐H),2894,2131(υ,C≡C),1614,1407,1078,613。NMRH(500MHz,NaOD,δppm):2.0(s,3H),2.85(m,2H),3.1(m,2H),3.4〜4.0(m,10H),4.5(d,2H)。
Figure 2015517016
DS=n=8〜15%
実施例5.三重結合含有成分(ブチニル)IIbの調製
通常どおり,平均分子量130kDaのヒアルロン酸ナトリウム10.0gを960mlの水に溶解した。その溶液に,2.57gの臭化ナトリウムを添加した(2.5mmol)。pH=9.0にするために,38.8gのリン酸ナトリウムを反応混合液に添加した。以下の反応物を順次添加した:事前に水(1ml)に溶解した53.3mgの4‐アセタミド‐TEMPO,次いで3.0mlの次亜塩素酸ナトリウム。混合液を撹拌しながら5時間放置した。反応物を室温にした。この時,酢酸を添加して電位差滴定によりpHを調整し,pH=5.5にした。ここに,混合物n‐ブチニル‐アミン(0.3mmol)を添加した。還元的アミノ化を5時間行った。その後,0.424gのピコリンボランを添加した(ヒアルロン酸反復型二量体0.3当量に相当する)。反応を室温で一晩進行させた。生成物を限外濾過により精製した。一般的な分析技術により,プロパルギル修飾HA生成物を完全に特徴化した。HAに結合したプロパルギルアミン部分の定量的評価に使用するシグナルは,修飾多糖の場合のメチレンと比較するHAの場合のメチルである。SEC‐MALLSにより測定した分子量は,平均値として440.1kDaであり,多分散性は1.57である。置換度(DS)=12%。NMRH(500MHz,δppm):2.03(3H,‐N‐CO‐CH),2.64(2H,t J=6.6,‐NH‐CHCH ‐),2.70(1H,t;J=6.6),3.18(2H t;J=6.5,‐NH‐CH ‐CH‐),3.30〜3.90(10H,骨格),4.46(2H,1a,1b)。FT‐IR(KBr,cm‐1):3379(υ,‐O‐H),2894,2131(υ,C≡C),1614,1407,1078,613。
実施例6.二重結合含有成分(アリル)IIIの調製
通常どおり,平均分子量130kDaで多分散性1.9の酸化ヒアルロン酸ナトリウム1.0g(2.5mmol)を100mlの水に溶解した。アリルアミン(0.285g,0.5mmol)を前記溶液に添加した。反応物を室温で5時間撹拌した。その後,0.0535gのピコリンボランを添加した(0.5mmol)。反応を室温で一晩進行させた。10kDa分画のチューブを使用して透析により反応物を精製した。反応生成量は0.6932gであった。SEC‐MALLSデータから分子量は203.05kDaであり,多分散性は1.574であることが分かった。アセトアミド部分の統合からアルケニルシグナルと比較して測定した置換度は8%であることが分かる。
実施例7.TEMED及びパラジウム活性触媒を使用して25℃で行った架橋反応
Pd‐ピリミジン「活性触媒」の調製をここに説明する:10mLメスフラスコに,2‐アミノ‐4,6‐ジヒドロキシピリミジン(13mg,0.10mmol)及び0.10MのNaOH原液2mLを添加した。65℃に事前に加熱した水浴中,ピリミジンリガンドを2分間撹拌して完全に溶解させた。得られた溶液に,Pd(OAc)(22.4mg,0.1mmol)を添加した。混合液を65℃で30分間強く撹拌し(解放空気),均質な黄橙色の溶液を得た。室温まで冷却した後,撹拌棒を取り除き,蒸留水で溶液を希釈して5.00mLにし,0.01MのPd(II)触媒溶液が得られた。架橋反応の一般的手順をここに説明する:10mgの成分Ia(0.025mmol)及び10mgの成分IIa(0.025mmol)を2mlの蒸留水に溶解した。その溶液に,10μl(0.0006mmol)のTEMED(テトラメチルエチレンジアミン(TMEDA又はTEMED))及び10μlのパラジウム活性触媒溶液を順次添加した。触媒添加後,十分な均質化を確保するためにボルテックス撹拌を利用した。反応物に窒素を充填し,25℃で6時間維持した。触媒を除去するため,調製したハイドロゲルをPBS(3×100ml)と蒸留水(3×100ml)で十分に洗浄した。残留しているパラジウムを定量したところ,乾燥質量で215±25ng/gとなった。
実施例8.TEMED及びパラジウム(II)アセテートを使用した25及び60℃での架橋
20mgの成分Ia(0.5mmol)及び20mgの成分IIa(0.5mmol)を1mlの蒸留水に溶解した。その溶液に,10μl(0.0006mmol)のTEMED(テトラメチルエチレンジアミン)及び3mgのパラジウム(IIアセテート(0.013mmol))を順次添加した。触媒添加後,十分な均質化を確保するためにボルテックス撹拌を利用した。反応物に窒素を充填し,60℃で6時間加温した。触媒を除去するため,ハイドロゲルをPBS(3×100ml)と蒸留水(3×100ml)で十分に洗浄した。乾燥した後,SEMにより乾燥材料の構造を調べた(図3)。架橋反応の過程の後に,レオロジー分析を行った。円錐形状及びプレート形状のTAレオメータでレオロジー測定を室温で行った。測定パラメータはτ=10000Pa,及びf=1s−1であった。成分Ia及びIIaの溶液を濃度2%(w/v)で調製した。したがって,2mgのパラジウム(II)アセテートをボルテックス撹拌によりポリマー混合物に組み入れ,その後,10μlのTEMEDを組み入れた。混合液を十分に均質化した後,調製した溶液(500μl)をそれぞれ25又は60℃で一定の温度に維持したレオメーターの円筒状セルに移した(図4(a)及び図4(b))。
実施例9.CsCO及びパラジウム活性触媒を使用した60℃での架橋
20mgの成分Ia(0.5mmol)及び20mgの成分IIa(0.5mmol)を1mlの蒸留水に溶解した。その溶液に,炭酸セシウム10mg(0.028mmol),及び実施例7の記載どおりに調製したパラジウム活性触媒溶液10μl(0.01M)を順次添加した。十分な均質化を確保するためにボルテックス撹拌を利用した。反応物に窒素を充填し,60℃で24時間撹拌した。触媒を除去するため,ハイドロゲルをPBSと蒸留水で十分に洗浄した。
実施例10.パラジウム(II)アセテート及びDABCOを使用した37℃での架橋
20mgの成分Ia(0.5mmol)及び20mgの成分IIa(0.5mmol)を1mlの蒸留水に溶解した。その溶液に,DABCO(又は1,4‐ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン)10mg(0.09mmol),及び事前に水に溶解したパラジウム(II)アセテート1mg(0.004mmol)を順次添加した。触媒を添加した後,十分な均質化を確保するためにボルテックス撹拌を利用した。反応物に窒素を充填し,37℃で24時間撹拌した。触媒を除去するため,調製したハイドロゲルをPBSと蒸留水で十分に洗浄した。ハイドロゲルの構造を図6に示す。
実施例11.パラジウム(II)アセテート及びTEAを使用した37℃での架橋
20mgの成分Ia(0.5mmol)及び20mgの成分IIa(0.5mmol)を1mlの蒸留水に溶解した。その溶液に,TEA10μl(0.010mmol),及びパラジウム(II)アセテート水溶液10μl(3%w/v)を順次添加した。各成分を添加した後,十分な均質化を確保するためにボルテックス撹拌を利用した。反応物に窒素を充填し,37℃で24時間撹拌した。触媒を除去するため,調製したハイドロゲルをPBSと蒸留水で十分に洗浄した。
実施例12.パラジウム(II)アセテート及びKHPOを使用した60℃での架橋
20mgの成分Ib(0.5mmol)及び20mgの成分IIb(0.5mmol)を1mlの蒸留水に溶解した。その溶液に,10mg(0.057mmol)のKHPO及び10μlのパラジウム(II)アセテート水溶液(3%w/v)を順次添加した。触媒を添加した後,十分な均質化を確保するためにボルテックス撹拌を利用した。反応物に窒素を充填し,60℃で24時間撹拌した。触媒を除去するため,調製したハイドロゲルをPBSと蒸留水で十分に洗浄した。SEM顕微鏡写真による構造的特徴化を図5に示す。
実施例13.パラジウム活性触媒及びKHPOを使用した60℃での架橋
20mgの成分Ib(0.5mmol)及び20mgの成分IIc(0.5mmol)を1mlの蒸留水に溶解した。その溶液に,KHPOを10mg(0.057mmol),及び実施例7の記載どおりに調製したパラジウム活性触媒溶液10μl(0.01M)を順次添加した。各成分を添加した後,十分な均質化を確保するためにボルテックス撹拌を利用した。反応を60℃で5時間行った。
実施例14.リン酸緩衝液(pH6.0)中でパラジウム(II)アセテートを使用した架橋
20mgの成分Ia(0.5mmol)及び20mgの成分IIa(0.5mmol)を2mlのリン酸緩衝液pH;6.0に溶解した。その溶液に,TEMED10mg(0.028mmol)及びパラジウム(II)アセテート10mg(0.04mmol)を順次添加した。触媒及び塩基を添加した後,十分な均質化を確保するためにボルテックス撹拌を利用した。反応物に窒素を充填し,60℃で24時間撹拌した。触媒を除去するため,調製したハイドロゲルをPBSと蒸留水で十分に洗浄した。
実施例15.リン酸緩衝液(pH6.0)中でパラジウム(II)アセテートを使用した架橋
20mgの成分Ib(0.5mmol)及び20mgの成分IIa(0.5mmol)を2mlのリン酸緩衝液pH;8.0に溶解した。その溶液に,TEMED10mg(0.028mmol),及びパラジウム(II)アセテート10mg(0.04mmol)を順次添加した。触媒及び塩基を添加した後,十分な均質化を確保するためにボルテックス撹拌を利用した。反応物に窒素を充填し,60℃で24時間撹拌した。触媒を除去するため,調製したハイドロゲルをPBSと蒸留水で十分に洗浄した。
実施例16.濃度12%(w/v)の誘導体及びパラジウム活性触媒を使用した60℃でのマイクロファイバーの架橋
マイクロファイバーの形成:Ib及びIIaに記載の誘導体の物理的混合物を水に溶解し,12重量%の水溶液を形成した。懸濁液の粘度が高いことから,紡糸プロセスに先立って混合物を強く撹拌し(最低でも24時間),完全な均一性を得た。混合物をシリンジに移し,これを開口したままにして,入り込んだ空気を逃がした。ファイバーの形成に使用する基本的な実験用装備にはポリマー溶液が入るシリンジがあり,これはホルダーで固定される。シリンジは直線状シリンジポンプ(Nexus5000,ケミックス社(Chemyx))内に設置した。シリンジを注射管に取り付け,ポリマー混合物を凝固浴槽内に直接射出し,そうすることで湿式紡糸プロセスによりマイクロファイバーが得られた。平均押出速度260μl/分で,室温で実験を行う。例えば凝固浴槽はアルコール,例えばメタノール又はエタノール,及び有機酸,例えばギ酸又は酢酸の水溶液から構成される場合もある。しかし,本発明の対象は形成されたファイバーの架橋であるから,凝固浴槽の組成は本発明の範囲を制限するように意図されたものではない。当技術分野でこれまで報告されているように,ヒアルロナンフィラメントの生成に有用な他の方法も当然存在する。得られたファイバーは浴槽から外に出し,2つのコイルの間を回転することで伸長される。その後,最終ファイバーを室温で脱水する。乾燥工程により,マイクロファイバーの沈殿に使用した揮発性成分が徐々に蒸発する。
マイクロファイバー架橋の反応条件の設定:マイクロファイバーを浴槽に移した:以下,この浴槽はイソプロパノールと乳酸(8:2の割合)の混合物が入った架橋浴槽のことを言う。しかし,架橋浴槽の組成は多様であり,架橋反応に影響を及ぼすことのない他のアルコールや有機酸は含んでもよい。実施例7で前述したとおりに調製した「パラジウム活性触媒」溶液の量を50から100μlに変えると,マイクロファイバーは架橋浴槽内で反応した。架橋浴槽内で使用したパラジウム活性触媒の最終濃度は,例えば5×10−5から1×10−4Mに変えることが可能である。3つの異なる温度:室温,37℃及び60℃:で架橋反応を行うことを試みた。実験的に,ファイバーは温度60℃で架橋されることが観察された。架橋時間をモニターするため,ファイバー片を反応物から抽出し,水中のファイバーの溶解度を試験した。したがって,反応を2時間進行させ,最適な時間を見出した。その後,マイクロファイバーをイソプロパノール:水の混合液で十分に洗浄し,再度乾燥させた。走査電子顕微鏡(SEM)によりマイクロファイバーの特徴化を行った:アルミニウム基質の上でマイクロファイバーの足場材料を紡糸し,金でスパッタコーティングし,その表面形態を走査電子顕微鏡で調べる。架橋の前後でマイクロファイバーの形態及び構造的性質をSEMで把握し,図7に示した。張力試験装置Instron3343で張力試験を行い,Bluehill2ソフトウエアを使用して分析した。
実施例17.濃度14%(w/v)の誘導体及びパラジウム活性触媒を使用した60℃でのマイクロファイバーの架橋
実施例16に記載されたものと類似の手順でファイバーを調製したが,成分濃度だけは14重量%に増量した。押出速度280μl/分で湿式紡糸プロセスによりファイバーを得た。
実施例18.濃度15%(w/v)の誘導体及びパラジウム活性触媒を使用した60℃でのマイクロファイバーの架橋
実施例16に記載されたものと類似の手順でファイバーを調製したが,成分濃度だけは15重量%に増量した。押出速度300μl/分で湿式紡糸プロセスによりファイバーを得た。
下記の表1は実施例18に記述された(架橋前の)マイクロファイバーの機械的特性を示している。表2は実施例18に記述された(架橋後の)マイクロファイバーの機械的特性を示したものである。
Figure 2015517016
Figure 2015517016
実施例19.架橋反応前後の細胞生存率の測定
実施例16の記述どおりに調製されたファイバーをオートクレーブ(120℃/20分)内で滅菌し,次いで10%のウシ胎仔血清を含むダルベッコ変法イーグル培地,5g/lのD‐グルコース,20uMのL‐グルタミン,100U/mlのペニシリン,及び100μg/mlのストレプトマイシンから成る培地に移した。培地1mL当たり,試料3.6mgの濃度でファイバー溶液を調製した。ファイバーを一晩懸濁させた。この懸濁液を2つの異なる濃度:1.8及び3.6mg/mlで試験した。細胞株NIH‐3T3について細胞株と生存率を試験した。細胞を12ウェルの培養プレートに播種し,24時間培養し,その後,1ウェル当たり3000細胞個の密度で使用した。予備培養後,細胞を培地に移し,ファイバー及び溶解生成物と直接接触させた。インキュベーションはそれぞれ24,48及び72時間行った。各インキュベーション期間後に,細胞生存率を調べるために試験MTT(3‐(4,5‐ジメチルチアゾール‐2‐イル)‐2,5‐ジフェニルテトラゾリウムブロミド)を使用した。試薬を以下に示すとおりに調製した;培地中5mg/mlの濃度になるようにMTTを溶解した。20μlのMTT溶液をウェルに移し,2.5時間インキュベートした。2つの異なる吸光度値,この場合570及び690nmでVersaMaxを使用し,吸光マイクロプレートの測定値を読み取った。生体適合性の図示的証拠を図11に示した。

Claims (16)

  1. 架橋ヒアルロナン誘導体の調製プロセスであって,水,リン酸緩衝液,又は有機酸とアルコールとの混合液中及び,パラジウム活性触媒の存在下でC‐Cカップリング反応により行い,前記C‐Cカップリング反応は,末端アリール‐ハロゲン化物及び/又はアリール‐ホウ酸塩基を有するヒアルロナン誘導体と,アルケニル又はアルキニル基を有するヒアルロナン誘導体との間で起こることを特徴とするプロセス。
  2. 初めに,式(I)にしたがった末端アリール置換基を有する第2級アミンヒアルロナン誘導体を調製し:
    Figure 2015517016
    式中,X=ハロゲン又はホウ酸塩官能基であり:
    次いで,式(II)又は(III)にしたがった3重又は2重結合を含む不飽和化合物を有する第2アミンヒアルロナン誘導体を調製し:
    Figure 2015517016
    式中,Rは脂肪族C1‐15基であり:
    その後,前記式(I)の誘導体を前記式(II)又は(III)の誘導体と混合し,次いで,架橋ヒアルロナン誘導体を得るため,水中で安定的なパラジウム活性触媒を添加することを特徴とする請求項1記載のプロセス。
  3. XがI,Br又はB‐(OH)であり,Rはメチレン又はエチレンであることを特徴とする請求項2記載のプロセス。
  4. パラジウム活性触媒がパラジウム(II)アセテートと無機又は有機塩基との錯体,及びパラジウム(II)と2‐アミノ‐4,6‐ジヒドロキシピリミジンとの錯体から成る群より選択され,反応混合物中のパラジウム活性触媒の濃度が1×10−5〜1×10−3Mの範囲内であることを特徴とする請求項1〜3いずれか1項記載のプロセス。
  5. パラジウム活性触媒がパラジウム(II)アセテートと無機又は有機塩基との錯体であり,反応混合液中のパラジウム活性触媒の濃度が1×10−4〜1×10−3Mの範囲内,好ましくは5×10−4であり,得られた架橋ヒアルロナン誘導体がハイドロゲルの形態であることを特徴とする請求項4記載のプロセス。
  6. 塩基がDABCO,TEMED,TEA,KHPOなどの第2リン酸塩,CsCOなどの炭酸塩から成る群より選択されることを特徴とする請求項5記載のプロセス。
  7. 塩基がTEMED又はDABCOであることを特徴とする請求項5記載のプロセス。
  8. 式(I)の誘導体と式(II)又は(III)の誘導体とを混合し,前記混合物を凝固浴槽に押出成形してヒアルロナン誘導体マイクロファイバーを得た後,パラジウム活性触媒が入った架橋浴槽に前記マイクロファイバーを移し,架橋ヒアルロナン誘導体マイクロファイバーを得ることを特徴とする請求項4記載のプロセス。
  9. 前記パラジウム活性触媒がパラジウム(II)と2‐アミノ‐4,6‐ジヒドロキシピリミジンとの錯体であり,前記架橋浴槽中の前記パラジウム活性触媒の濃度が1×10−5〜1×10−4Mの範囲内,好ましくは5×10−5であることを特徴とする請求項8記載のプロセス。
  10. 前記凝固浴槽がアルコールと有機酸との混合液から成り,前記架橋浴槽がアルコールと乳酸との混合物及び前記パラジウム活性触媒から成ることを特徴とする請求項8又は9記載のプロセス。
  11. 前記架橋浴槽内のアルコールがメタノール,エタノール及びイソプロパノールから選択されることを特徴とする請求項10記載のプロセス。
  12. 架橋が25〜100℃,好ましくは60℃の温度で行われることを特徴とする請求項1〜11いずれか1項記載のプロセス。
  13. 式A又は式Bにしたがったハイドロゲルであって:
    Figure 2015517016
    式中,Rは脂肪族C1‐15置換基であるハイドロゲル。
  14. がメチレン又はエチレンであることを特徴とする請求項13記載のハイドロゲル。
  15. 式A又はBにしたがったヒアルロナン誘導体をベースとするマイクロファイバーであって:
    Figure 2015517016
    式中,Rは脂肪族C1‐15置換基であるハイドロゲル。
  16. 直径が100〜300μmであることを特徴とする請求項15記載のマイクロファイバー。
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