JP2015509091A - ヒト化抗体 - Google Patents

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Abstract

本開示は、(例えばウシの)極めて長いCDR3を含む抗体を含むヒト化抗体およびその使用を提供する。

Description

関連特許出願の相互参照
本出願は、2012年1月9日に出願された米国仮特許出願第61/584,680号の恩典を主張し、これは全体として参照により本明細書に組み入れられる。
分野
本開示は、極めて長いCDR3を含む抗体を含むヒト化抗体に関する。
背景
抗体は、主に感染に対する防御のために、脊椎動物免疫系が外来物質(抗原)に応答して形成する天然タンパク質である。1世紀以上もの間、抗体は、人工条件下において動物で誘導され、疾患状態の治療もしくは診断における使用のため、または生物学的研究のために回収されてきた。個々の抗体産生細胞はそれぞれ、組成が既知の単一の型の抗体を産生するが、抗原接種に応答して動物血清から直接得られた抗体は、実際には、個々の抗体産生細胞の集合物から作られた同一でない分子の集合物(すなわち、ポリクローナル抗体)を含む。
一部のウシ抗体は、他の脊椎動物と比較して異常に長いVH CDR3配列を有する。例えば、IgMの約10%は「極めて長い」CDR3配列を含み、この配列は最長で61アミノ酸長であってもよい。これらの異常なCDR3は、複数のシステインを有する場合が多い。機能的なVH遺伝子は、V(D)J組換えと称されるプロセスを通じて生じ、ここではD領域がCDR3のかなりの割合をコードする。極めて長い配列をコードする特有のD領域がウシで同定された。極めて長いCDR3はウシゲノムにおいて部分的にコードされ、それらの抗体レパートリーについて、ヒトと比較して特有の特徴を提供する。Kaushik et al.(米国特許第6,740,747号(特許文献1)および第7,196,185号(特許文献2))は、プローブとして有用であると述べられている、ウシに特有のいくつかのウシ生殖系列D遺伝子配列、およびワクチンベクターとして有用であると述べられているVDJカセットを開示している。
米国特許第6,740,747号 米国特許第7,196,185号
概要
本開示は、極めて長いCDR3を含む抗体を含むヒト化抗体、それを作製する方法、およびその使用を提供する。
本開示は、極めて長いCDR3を含むヒト化抗体またはその結合断片を提供する。
いくつかの態様において、ヒト化抗体またはその結合断片は、1つまたは複数のヒト可変領域フレームワーク配列を含む。
上記態様または下記態様のいずれかであるいくつかの態様において、極めて長いCDR3は、35アミノ酸長以上、40アミノ酸長以上、45アミノ酸長以上、50アミノ酸長以上、55アミノ酸長以上、または60アミノ酸長以上である。
上記態様または下記態様のいずれかであるいくつかの態様において、極めて長いCDR3は35アミノ酸長以上である。
上記態様または下記態様のいずれかであるいくつかの態様において、極めて長いCDR3は、3個以上のシステイン残基、4個以上のシステイン残基、5個以上のシステイン残基、6個以上のシステイン残基、7個以上のシステイン残基、8個以上のシステイン残基、9個以上のシステイン残基、10個以上のシステイン残基、11個以上のシステイン残基、または12個以上のシステイン残基を含む。
上記態様または下記態様のいずれかであるいくつかの態様において、極めて長いCDR3は3個以上のシステイン残基を含む。
上記態様または下記態様のいずれかであるいくつかの態様において、ヒト化抗体またはその結合断片はシステインモチーフを含む。
上記態様または下記態様のいずれかであるいくつかの態様において、システインモチーフは、
Figure 2015509091
からなる群より選択される。
上記態様または下記態様のいずれかであるいくつかの態様において、システインモチーフは、
Figure 2015509091
からなる群より選択される。
上記態様または下記態様のいずれかであるいくつかの態様において、極めて長いCDR3は2〜6個のジスルフィド結合を含む。
上記態様または下記態様のいずれかであるいくつかの態様において、極めて長いCDR3はSEQ ID NO: 40またはその誘導体を含む。
上記態様または下記態様のいずれかであるいくつかの態様において、極めて長いCDR3は、SEQ ID NO: 1〜4のうちのいずれか1つのアミノ酸残基3〜6を含む。
上記態様または下記態様のいずれかであるいくつかの態様において、極めて長いCDR3は非ヒトDHまたはその誘導体を含む。
上記態様または下記態様のいずれかであるいくつかの態様において、非ヒトDHは、SEQ ID NO: 5、SEQ ID NO: 6、SEQ ID NO: 7、SEQ ID NO: 8、SEQ ID NO: 9、SEQ ID NO: 10、SEQ ID NO: 11、またはSEQ ID NO: 12である。
上記態様または下記態様のいずれかであるいくつかの態様において、極めて長いCDR3はJH配列またはその誘導体を含む。
上記態様または下記態様のいずれかであるいくつかの態様において、JH配列は、SEQ ID NO: 13、SEQ ID NO: 14、SEQ ID NO: 15、SEQ ID NO: 16、またはSEQ ID NO: 17である。
上記態様または下記態様のいずれかであるいくつかの態様において、極めて長いCDR3は、非ヒトもしくはヒトVH配列(例えば生殖系列VH)またはその誘導体;非ヒトDH配列またはその誘導体;および/あるいはJH配列またはその誘導体を含む。
上記態様または下記態様のいずれかであるいくつかの態様において、極めて長いCDR3は、VH配列とDH配列との間に位置する2〜6個またはそれより多いアミノ酸残基を含む付加的なアミノ酸配列を含む。
上記態様または下記態様のいずれかであるいくつかの態様において、付加的なアミノ酸配列は、IR、IF、SEQ ID NO: 18、SEQ ID NO: 19、SEQ ID NO: 20、またはSEQ ID NO: 21からなる群より選択される。
上記態様または下記態様のいずれかであるいくつかの態様において、極めて長いCDR3は、SEQ ID NO: 22、SEQ ID NO: 23、SEQ ID NO: 24、SEQ ID NO: 25、SEQ ID NO: 26、SEQ ID NO: 27、またはSEQ ID NO: 28に由来するかまたはこれらに基づく配列を含む。
上記態様または下記態様のいずれかであるいくつかの態様において、極めて長いCDR3は非ウシ配列または非抗体配列を含む。
上記態様または下記態様のいずれかであるいくつかの態様において、非抗体配列は合成配列である。
上記態様または下記態様のいずれかであるいくつかの態様において、非抗体配列は、サイトカイン配列、リンホカイン配列、ケモカイン配列、増殖因子配列、ホルモン配列、または毒素配列である。
上記態様または下記態様のいずれかであるいくつかの態様において、非抗体配列は、IL-8配列、IL-21配列、SDF-1(α) 配列、ソマトスタチン配列、クロロトキシン配列、Pro-TxII配列、またはジコノチド配列である。
上記態様または下記態様のいずれかであるいくつかの態様において、非抗体配列はSEQ ID NO: 475〜481のうちのいずれか1つである。
上記態様または下記態様のいずれかであるいくつかの態様において、非抗体配列は、極めて長いCDR3の少なくとも一部と置き換わっている。
上記態様または下記態様のいずれかであるいくつかの態様において、極めて長いCDR3は、X1X2X3X4X5モチーフ
(式中、X1はスレオニン (T)、グリシン (G)、アラニン (A)、セリン (S)、またはバリン (V) であり、X2はセリン (S)、スレオニン (T)、プロリン (P)、イソロイシン (I)、アラニン (A)、バリン (V)、またはアスパラギン (N) であり、X3はバリン (V)、アラニン (A)、スレオニン (T)、またはアスパラギン酸 (D) であり、X4はヒスチジン (H)、スレオニン (T)、アルギニン (R)、チロシン (Y)、フェニルアラニン (F)、またはロイシン (L) であり、かつX5はグルタミン (Q) である)
を含む。
上記態様または下記態様のいずれかであるいくつかの態様において、X1X2X3X4X5モチーフは、
Figure 2015509091
である。
上記態様または下記態様のいずれかであるいくつかの態様において、極めて長いCDR3はCX1X2X3X4X5モチーフを含む。
上記態様または下記態様のいずれかであるいくつかの態様において、CX1X2X3X4X5モチーフは、
Figure 2015509091
である。
上記態様または下記態様のいずれかであるいくつかの態様において、極めて長いCDR3は、(XaXb)zモチーフ
(式中、Xaは任意のアミノ酸残基であり、Xbは、チロシン (Y)、フェニルアラニン (F)、トリプトファン (W)、およびヒスチジン (H) からなる群より選択される芳香族アミノ酸であり、かつzは1〜4である)
を含む。
上記態様または下記態様のいずれかであるいくつかの態様において、(XaXb)zモチーフは、
Figure 2015509091
である。
上記態様または下記態様のいずれかであるいくつかの態様において、(XaXb)zモチーフはYXYXYXである。
上記態様または下記態様のいずれかであるいくつかの態様において、極めて長いCDR3は、X1X2X3X4X5Xnモチーフ
(式中、X1はスレオニン (T)、グリシン (G)、アラニン (A)、セリン (S)、またはバリン (V) であり、X2はセリン (S)、スレオニン (T)、プロリン (P)、イソロイシン (I)、アラニン (A)、バリン (V)、またはアスパラギン (N) であり、X3はバリン (V)、アラニン (A)、スレオニン (T)、またはアスパラギン酸 (D) であり、X4はヒスチジン (H)、スレオニン (T)、アルギニン (R)、チロシン (Y)、フェニルアラニン (F)、またはロイシン (L) であり、X5はグルタミン (Q) であり、かつnは27〜54である)
を含む。
上記態様または下記態様のいずれかであるいくつかの態様において、極めて長いCDR3は、Xn(XaXb)zモチーフ
(式中、Xaは任意のアミノ酸残基であり、Xbは、チロシン (Y)、フェニルアラニン (F)、トリプトファン (W)、およびヒスチジン (H) からなる群より選択される芳香族アミノ酸であり、nは27〜54であり、かつzは1〜4である)
を含む。
上記態様または下記態様のいずれかであるいくつかの態様において、極めて長いCDR3は、X1X2X3X4X5Xn(XaXb)zモチーフ
(式中、X1はスレオニン (T)、グリシン (G)、アラニン (A)、セリン (S)、またはバリン (V) であり、X2はセリン (S)、スレオニン (T)、プロリン (P)、イソロイシン (I)、アラニン (A)、バリン (V)、またはアスパラギン (N) であり、X3はバリン (V)、アラニン (A)、スレオニン (T)、またはアスパラギン酸 (D) であり、X4はヒスチジン (H)、スレオニン (T)、アルギニン (R)、チロシン (Y)、フェニルアラニン (F)、またはロイシン (L) であり、かつX5はグルタミン (Q) であり、Xaは任意のアミノ酸残基であり、Xbは、チロシン (Y)、フェニルアラニン (F)、トリプトファン (W)、およびヒスチジン (H) からなる群より選択される芳香族アミノ酸であり、nは27〜54であり、かつzは1〜4である)
を含む。
上記態様または下記態様のいずれかであるいくつかの態様において、X1X2X3X4X5モチーフはTTVHQ (SEQ ID NO: 153) またはTSVHQ (SEQ ID NO: 154)であり、かつ (XaXb)zモチーフはYXYXYXである。
上記態様または下記態様のいずれかであるいくつかの態様において、極めて長いCDR3は、CX1X2X3X4X5モチーフ(式中、X1はスレオニン (T)、グリシン (G)、アラニン (A)、セリン (S)、またはバリン (V) であり、X2はセリン (S)、スレオニン (T)、プロリン (P)、イソロイシン (I)、アラニン (A)、バリン (V)、またはアスパラギン (N) であり、X3はバリン (V)、アラニン (A)、スレオニン (T)、またはアスパラギン酸 (D) であり、X4はヒスチジン (H)、スレオニン (T)、アルギニン (R)、チロシン (Y)、フェニルアラニン (F)、またはロイシン (L) であり、かつX5はグルタミン (Q) である)、以下からなる群より選択されるシステインモチーフ:
Figure 2015509091
、(XaXb)zモチーフ(式中、Xaは任意のアミノ酸残基であり、Xbは、チロシン (Y)、フェニルアラニン (F)、トリプトファン (W)、およびヒスチジン (H) からなる群より選択される芳香族アミノ酸であり、かつzは1〜4である)を含む。
上記態様または下記態様のいずれかであるいくつかの態様において、極めて長いCDR3は、CX1X2X3X4X5モチーフ(式中、X1はスレオニン (T)、グリシン (G)、アラニン (A)、セリン (S)、またはバリン (V) であり、X2はセリン (S)、スレオニン (T)、プロリン (P)、イソロイシン (I)、アラニン (A)、バリン (V)、またはアスパラギン (N) であり、X3はバリン (V)、アラニン (A)、スレオニン (T)、またはアスパラギン酸 (D) であり、X4はヒスチジン (H)、スレオニン (T)、アルギニン (R)、チロシン (Y)、フェニルアラニン (F)、またはロイシン (L) であり、かつX5はグルタミン (Q) である);以下からなる群より選択されるシステインモチーフ:
Figure 2015509091
;ならびに(XaXb)zモチーフ(式中、Xaは任意のアミノ酸残基であり、Xbは、チロシン (Y)、フェニルアラニン (F)、トリプトファン (W)、およびヒスチジン (H) からなる群より選択される芳香族アミノ酸であり、かつzは1〜4である)を含む。
上記態様または下記態様のいずれかであるいくつかの態様において、極めて長いCDR3は、リンカーである付加的な配列を含む。
上記態様または下記態様のいずれかであるいくつかの態様において、リンカーは、非抗体配列のC末端、N末端、またはC末端およびN末端の両方に連結されている。
上記態様または下記態様のいずれかであるいくつかの態様において、極めて長いCDR3は反芻動物のCDR3である。
上記態様または下記態様のいずれかであるいくつかの態様において、反芻動物はウシである。
上記態様または下記態様のいずれかであるいくつかの態様において、ヒト化抗体またはその結合断片は、ヒト重鎖可変領域フレームワーク配列を含む。
上記態様または下記態様のいずれかであるいくつかの態様において、ヒト化抗体またはその結合断片は、ヒト重鎖生殖系列配列を含むか、またはヒト重鎖生殖系列配列に由来する。
上記態様または下記態様のいずれかであるいくつかの態様において、ヒト化抗体またはその結合断片は、VH4ファミリーメンバー生殖系列配列であるヒト重鎖生殖系列配列を含む。
上記態様または下記態様のいずれかであるいくつかの態様において、ヒト化抗体またはその結合断片は、VH4-34生殖系列配列を含む。
上記態様または下記態様のいずれかであるいくつかの態様において、ヒト化抗体またはその結合断片は、VH4-34生殖系列配列に由来するヒト重鎖生殖系列配列を含む。
上記態様または下記態様のいずれかであるいくつかの態様において、VH4-34生殖系列配列は、Kabat番号付けに基づくGly31AspおよびTyr32Lys置換を含むCDR1を含む。
上記態様または下記態様のいずれかであるいくつかの態様において、VH4-34生殖系列配列は、Kabat番号付けに基づくGlu50Ser置換を含むCDR2を含む。
上記態様または下記態様のいずれかであるいくつかの態様において、VH4-34生殖系列配列は、Kabat番号付けに基づく、Ala23Thr、Val24Ala、Tyr25Ser、Gly27Phe、Phe29Leu、Gly31Asp、Tyr32Lys、Tyr33Ala、Trp34Val、およびSer35Gly置換を含むCDR1、ならびにIle48Leu、Glu50Ser、Asn52Asp、His53Thr、Ser54Gly、Ser56Asn、およびAsn58Gly置換を含むCDR2を含む。
上記態様または下記態様のいずれかであるいくつかの態様において、ヒト化抗体またはその結合断片は、SEQ ID NO: 461、462、463、464、465、466、467、468、または469に記載されるアミノ酸配列を含む。
上記態様または下記態様のいずれかであるいくつかの態様において、ヒト化抗体またはその結合断片は、SEQ ID NO: 470に記載されるアミノ酸配列を含む。
上記態様または下記態様のいずれかであるいくつかの態様において、ヒト化抗体またはその結合断片は、SEQ ID NO: 461、462、463、464、465、466、467、468、または469に記載されるアミノ酸配列;およびSEQ ID NO: 470に記載されるアミノ酸配列を含む。
上記態様または下記態様のいずれかであるいくつかの態様において、ヒト化抗体またはその結合断片は、SEQ ID NO: 461、462、463、464、465、466、467、468、または469に記載されるアミノ酸配列; SEQ ID NO: 470に記載されるアミノ酸配列;およびSEQ ID NO: 461、462、463、464、465、466、467、468、または469とSEQ ID NO: 470との間に位置するペプチド配列を含む。
上記態様または下記態様のいずれかであるいくつかの態様において、ペプチド配列はウシ配列、非ウシ配列、抗体配列、または非抗体配列である。
上記態様または下記態様のいずれかであるいくつかの態様において、ヒト化抗体またはその結合断片は、ヒト軽鎖可変領域フレームワーク配列を含む。
上記態様または下記態様のいずれかであるいくつかの態様において、ヒト化抗体またはその結合断片は、λ軽鎖可変領域配列である軽鎖可変領域配列を含む。
上記態様または下記態様のいずれかであるいくつかの態様において、λ軽鎖可変領域配列はウシλ軽鎖可変領域配列であるか、またはウシλ軽鎖可変領域配列に由来する。
上記態様または下記態様のいずれかであるいくつかの態様において、λ軽鎖可変領域配列は、ヒトλ軽鎖可変領域配列であるか、またはヒトλ軽鎖可変領域配列に由来する。
上記態様または下記態様のいずれかであるいくつかの態様において、ヒトλ軽鎖可変領域配列は、VL1-51生殖系列配列である。
上記態様または下記態様のいずれかであるいくつかの態様において、ヒトλ軽鎖可変領域配列は、VL1-51生殖系列配列に由来する。
上記態様または下記態様のいずれかであるいくつかの態様において、VL1-51生殖系列配列は、Kabat番号付けに基づくIle29ValおよびAsn32Gly置換を含むCDR1を含む。
上記態様または下記態様のいずれかであるいくつかの態様において、VL1-51生殖系列配列は、DNNからGDTへの置換を含むCDR2を含む。
上記態様または下記態様のいずれかであるいくつかの態様において、VL1-51生殖系列配列は、DNNKRP (SEQ ID NO: 471) からGDTSRA (SEQ ID NO: 472) への置換を含むCDR2を含む。
上記態様または下記態様のいずれかであるいくつかの態様において、VL1-51生殖系列配列は、Kabat番号付けに基づくS2A、T5N、P8S、A12G、A13S、およびP14L置換を含む。
上記態様または下記態様のいずれかであるいくつかの態様において、VL1-51生殖系列配列は、Kabat番号付けに基づくS2A、T5N、P8S、A12G、A13S、およびP14L置換、ならびにDNNからGDTへの置換を含むCDR2を含む。
上記態様または下記態様のいずれかであるいくつかの態様において、ヒト化抗体またはその結合断片は、SEQ ID NO: 440、441、442、443、または444に記載されるアミノ酸配列を含む。
本開示は、本明細書に開示のヒト化抗体またはその結合断片をコードするポリヌクレオチドも提供する。
本開示は、極めて長いCDR3を含むヒト化抗体またはその結合断片をコードするポリヌクレオチドも提供する。
本開示は、極めて長いCDR3を含むヒト化可変領域をコードするポリヌクレオチドも提供する。
本開示は、本明細書に開示のポリヌクレオチドを含むベクターも提供する。
本開示は、本明細書に開示のベクターを含む宿主細胞も提供する。
本開示は、極めて長いCDR3を含むヒト化抗体またはその結合断片をコードする配列を含む複数のポリヌクレオチドを含む核酸ライブラリーも提供する。
本開示は、極めて長いCDR3を含むヒト化抗体またはその結合断片のライブラリーも提供する。
上記態様または下記態様のいずれかであるいくつかの態様において、極めて長いCDR3は、35アミノ酸長以上、40アミノ酸長以上、45アミノ酸長以上、50アミノ酸長以上、55アミノ酸長以上、または60アミノ酸長以上である。
上記態様または下記態様のいずれかであるいくつかの態様において、極めて長いCDR3は35アミノ酸長以上である。
上記態様または下記態様のいずれかであるいくつかの態様において、極めて長いCDR3は、3個以上のシステイン残基、4個以上のシステイン残基、5個以上のシステイン残基、6個以上のシステイン残基、7個以上のシステイン残基、8個以上のシステイン残基、9個以上のシステイン残基、10個以上のシステイン残基、11個以上のシステイン残基、または12個以上のシステイン残基を含む。
上記態様または下記態様のいずれかであるいくつかの態様において、極めて長いCDR3は3個以上のシステイン残基を含む。
上記態様または下記態様のいずれかであるいくつかの態様において、抗体またはその結合断片はシステインモチーフを含む。
上記態様または下記態様のいずれかであるいくつかの態様において、システインモチーフは、
Figure 2015509091
からなる群より選択される。
上記態様または下記態様のいずれかであるいくつかの態様において、システインモチーフは、
Figure 2015509091
からなる群より選択される。
上記態様または下記態様のいずれかであるいくつかの態様において、極めて長いCDR3は2〜6個のジスルフィド結合を含む。
上記態様または下記態様のいずれかであるいくつかの態様において、極めて長いCDR3はSEQ ID NO: 40またはその誘導体を含む。
上記態様または下記態様のいずれかであるいくつかの態様において、極めて長いCDR3は、SEQ ID NO: 1〜4のうちのいずれか1つのアミノ酸残基3〜6を含む。
上記態様または下記態様のいずれかであるいくつかの態様において、極めて長いCDR3は非ヒトDHまたはその誘導体を含む。
上記態様または下記態様のいずれかであるいくつかの態様において、非ヒトDHは、SEQ ID NO: 5、SEQ ID NO: 6、SEQ ID NO: 7、SEQ ID NO: 8、SEQ ID NO: 9、SEQ ID NO: 10、SEQ ID NO: 11、またはSEQ ID NO: 12である。
上記態様または下記態様のいずれかであるいくつかの態様において、極めて長いCDR3はJH配列またはその誘導体を含む。
上記態様または下記態様のいずれかであるいくつかの態様において、JH配列は、SEQ ID NO: 13、SEQ ID NO: 14、SEQ ID NO: 15、SEQ ID NO: 16、またはSEQ ID NO: 17である。
上記態様または下記態様のいずれかであるいくつかの態様において、極めて長いCDR3は、非ヒトVH配列もしくはその誘導体;非ヒトDH配列もしくはその誘導体;および/またはJH配列もしくはその誘導体を含む。
上記態様または下記態様のいずれかであるいくつかの態様において、極めて長いCDR3は、VH配列とDH配列との間に位置する2〜6個またはそれより多いアミノ酸残基を含む付加的なアミノ酸配列を含む。
上記態様または下記態様のいずれかであるいくつかの態様において、付加的なアミノ酸配列は、IR、IF、SEQ ID NO: 18、SEQ ID NO: 19、SEQ ID NO: 20、またはSEQ ID NO: 21からなる群より選択される。
上記態様または下記態様のいずれかであるいくつかの態様において、極めて長いCDR3は、SEQ ID NO: 22、SEQ ID NO: 23、SEQ ID NO: 24、SEQ ID NO: 25、SEQ ID NO: 26、SEQ ID NO: 27、またはSEQ ID NO: 28に由来するかまたはこれらに基づく配列を含む。
上記態様または下記態様のいずれかであるいくつかの態様において、極めて長いCDR3は非ウシ配列または非抗体配列を含む。
上記態様または下記態様のいずれかであるいくつかの態様において、非抗体配列は合成配列である。
上記態様または下記態様のいずれかであるいくつかの態様において、非抗体配列は、サイトカイン配列、リンホカイン配列、ケモカイン配列、増殖因子配列、ホルモン配列、または毒素配列である。
上記態様または下記態様のいずれかであるいくつかの態様において、非抗体配列は、IL-8配列、IL-21配列、SDF-1(α) 配列、ソマトスタチン配列、クロロトキシン配列、Pro-TxII配列、またはジコノチド配列である。
上記態様または下記態様のいずれかであるいくつかの態様において、非抗体配列はSEQ ID NO: 475〜481のうちのいずれか1つである。
上記態様または下記態様のいずれかであるいくつかの態様において、極めて長いCDR3は、X1X2X3X4X5モチーフ
(式中、X1はスレオニン (T)、グリシン (G)、アラニン (A)、セリン (S)、またはバリン (V) であり、X2はセリン (S)、スレオニン (T)、プロリン (P)、イソロイシン (I)、アラニン (A)、バリン (V)、またはアスパラギン (N) であり、X3はバリン (V)、アラニン (A)、スレオニン (T)、またはアスパラギン酸 (D) であり、X4はヒスチジン (H)、スレオニン (T)、アルギニン (R)、チロシン (Y)、フェニルアラニン (F)、またはロイシン (L) であり、かつX5はグルタミン (Q) である)
を含む。
上記態様または下記態様のいずれかであるいくつかの態様において、X1X2X3X4X5モチーフは、
Figure 2015509091
である。
上記態様または下記態様のいずれかであるいくつかの態様において、極めて長いCDR3はCX1X2X3X4X5モチーフを含む。
上記態様または下記態様のいずれかであるいくつかの態様において、CX1X2X3X4X5モチーフは、
Figure 2015509091
である。
上記態様または下記態様のいずれかであるいくつかの態様において、極めて長いCDR3は、(XaXb)zモチーフ
(式中、Xaは任意のアミノ酸残基であり、Xbは、チロシン (Y)、フェニルアラニン (F)、トリプトファン (W)、およびヒスチジン (H) からなる群より選択される芳香族アミノ酸であり、かつzは1〜4である)
を含む。
上記態様または下記態様のいずれかであるいくつかの態様において、(XaXb)zモチーフは、
Figure 2015509091
である。
上記態様または下記態様のいずれかであるいくつかの態様において、(XaXb)zモチーフはYXYXYXである。
上記態様または下記態様のいずれかであるいくつかの態様において、極めて長いCDR3は、X1X2X3X4X5Xnモチーフ
(式中、X1はスレオニン (T)、グリシン (G)、アラニン (A)、セリン (S)、またはバリン (V) であり、X2はセリン (S)、スレオニン (T)、プロリン (P)、イソロイシン (I)、アラニン (A)、バリン (V)、またはアスパラギン (N) であり、X3はバリン (V)、アラニン (A)、スレオニン (T)、またはアスパラギン酸 (D) であり、X4はヒスチジン (H)、スレオニン (T)、アルギニン (R)、チロシン (Y)、フェニルアラニン (F)、またはロイシン (L) であり、かつX5はグルタミン (Q) であり、かつnは27〜54である)
を含む。
上記態様または下記態様のいずれかであるいくつかの態様において、極めて長いCDR3は、Xn(XaXb)zモチーフ
(式中、Xaは任意のアミノ酸残基であり、Xbは、チロシン (Y)、フェニルアラニン (F)、トリプトファン (W)、およびヒスチジン (H) からなる群より選択される芳香族アミノ酸であり、nは27〜54であり、かつzは1〜4である)
を含む。
上記態様または下記態様のいずれかであるいくつかの態様において、極めて長いCDR3は、X1X2X3X4X5Xn(XaXb)zモチーフ
(式中、X1はスレオニン (T)、グリシン (G)、アラニン (A)、セリン (S)、またはバリン (V) であり、X2はセリン (S)、スレオニン (T)、プロリン (P)、イソロイシン (I)、アラニン (A)、バリン (V)、またはアスパラギン (N) であり、X3はバリン (V)、アラニン (A)、スレオニン (T)、またはアスパラギン酸 (D) であり、X4はヒスチジン (H)、スレオニン (T)、アルギニン (R)、チロシン (Y)、フェニルアラニン (F)、またはロイシン (L) であり、X5はグルタミン (Q) であり、Xaは任意のアミノ酸残基であり、Xbは、チロシン (Y)、フェニルアラニン (F)、トリプトファン (W)、およびヒスチジン (H) からなる群より選択される芳香族アミノ酸であり、nは27〜54であり、かつzは1〜4である)
を含む。
上記態様または下記態様のいずれかであるいくつかの態様において、X1X2X3X4X5モチーフはTTVHQ (SEQ ID NO: 153) またはTSVHQ (SEQ ID NO: 154)であり、かつ (XaXb)zモチーフはYXYXYXである。
上記態様または下記態様のいずれかであるいくつかの態様において、極めて長いCDR3は、CX1X2X3X4X5モチーフ(式中、X1はスレオニン (T)、グリシン (G)、アラニン (A)、セリン (S)、またはバリン (V) であり、X2はセリン (S)、スレオニン (T)、プロリン (P)、イソロイシン (I)、アラニン (A)、バリン (V)、またはアスパラギン (N) であり、X3はバリン (V)、アラニン (A)、スレオニン (T)、またはアスパラギン酸 (D) であり、X4はヒスチジン (H)、スレオニン (T)、アルギニン (R)、チロシン (Y)、フェニルアラニン (F)、またはロイシン (L) であり、かつX5はグルタミン (Q) である)、以下からなる群より選択されるシステインモチーフ:
Figure 2015509091
、ならびに(XaXb)zモチーフ(式中、Xaは任意のアミノ酸残基であり、Xbは、チロシン (Y)、フェニルアラニン (F)、トリプトファン (W)、およびヒスチジン (H) からなる群より選択される芳香族アミノ酸であり、かつzは1〜4である)を含む。
上記態様または下記態様のいずれかであるいくつかの態様において、極めて長いCDR3は、CX1X2X3X4X5モチーフ(式中、X1はスレオニン (T)、グリシン (G)、アラニン (A)、セリン (S)、またはバリン (V) であり、X2はセリン (S)、スレオニン (T)、プロリン (P)、イソロイシン (I)、アラニン (A)、バリン (V)、またはアスパラギン (N) であり、X3はバリン (V)、アラニン (A)、スレオニン (T)、またはアスパラギン酸 (D) であり、X4はヒスチジン (H)、スレオニン (T)、アルギニン (R)、チロシン (Y)、フェニルアラニン (F)、またはロイシン (L) であり、かつX5はグルタミン (Q) である);以下からなる群より選択されるシステインモチーフ:
Figure 2015509091
;ならびに(XaXb)zモチーフ(式中、Xaは任意のアミノ酸残基であり、Xbは、チロシン (Y)、フェニルアラニン (F)、トリプトファン (W)、およびヒスチジン (H) からなる群より選択される芳香族アミノ酸であり、かつzは1〜4である)を含む。
上記態様または下記態様のいずれかであるいくつかの態様において、極めて長いCDR3は、リンカーである付加的な配列を含む。
上記態様または下記態様のいずれかであるいくつかの態様において、リンカーは、非抗体配列のC末端、N末端、またはC末端およびN末端の両方に連結されている。
上記態様または下記態様のいずれかであるいくつかの態様において、極めて長いCDR3は反芻動物のCDR3である。
上記態様または下記態様のいずれかであるいくつかの態様において、反芻動物はウシである。
上記態様または下記態様のいずれかであるいくつかの態様において、ヒト化抗体またはその結合断片は、ヒト重鎖可変領域フレームワーク配列を含む。
上記態様または下記態様のいずれかであるいくつかの態様において、ヒト化抗体またはその結合断片は、ヒト重鎖生殖系列配列を含むか、またはヒト重鎖生殖系列配列に由来する。
上記態様または下記態様のいずれかであるいくつかの態様において、ヒト化抗体またはその結合断片は、VH4ファミリーメンバー生殖系列配列であるヒト重鎖生殖系列配列を含む。
上記態様または下記態様のいずれかであるいくつかの態様において、ヒト化抗体またはその結合断片はVH4-34生殖系列配列を含む。
上記態様または下記態様のいずれかであるいくつかの態様において、ヒト化抗体またはその結合断片は、VH4-34に由来するヒト重鎖生殖系列配列を含む。
上記態様または下記態様のいずれかであるいくつかの態様において、VH4-34生殖系列配列は、Kabat番号付けに基づくGly31AspおよびTyr32Lys置換を含むCDR1を含む。
上記態様または下記態様のいずれかであるいくつかの態様において、VH4-34生殖系列配列は、Kabat番号付けに基づくGlu50Ser置換を含むCDR2を含む。
上記態様または下記態様のいずれかであるいくつかの態様において、VH4-34生殖系列配列は、Kabat番号付けに基づく、Ala23Thr、Val24Ala、Tyr25Ser、Gly27Phe、Phe29Leu、Gly31Asp、Tyr32Lys、Tyr33Ala、Trp34Val、およびSer35Gly置換を含むCDR1、ならびにIle48Leu、Glu50Ser、Asn52Asp、His53Thr、Ser54Gly、Ser56Asn、およびAsn58Gly置換を含むCDR2を含む。
上記態様または下記態様のいずれかであるいくつかの態様において、ヒト化抗体またはその結合断片は、SEQ ID NO: 470に記載されるアミノ酸配列を含む。
上記態様または下記態様のいずれかであるいくつかの態様において、ヒト化抗体またはその結合断片は、SEQ ID NO: 461、462、463、464、465、466、467、468、または469に記載されるアミノ酸配列;およびSEQ ID NO: 470に記載されるアミノ酸配列を含む。
上記態様または下記態様のいずれかであるいくつかの態様において、ヒト化抗体またはその結合断片は、SEQ ID NO: 461、462、463、464、465、466、467、468、または469に記載されるアミノ酸配列; SEQ ID NO: 470に記載されるアミノ酸配列;およびSEQ ID NO: 461、462、463、464、465、466、467、468、または469とSEQ ID NO: 470との間に位置するペプチド配列を含む。
上記態様または下記態様のいずれかであるいくつかの態様において、ペプチド配列はウシ配列、非ウシ配列、抗体配列、または非抗体配列である。
上記態様または下記態様のいずれかであるいくつかの態様において、ヒト化抗体またはその結合断片は、λ軽鎖可変領域配列を含む。
上記態様または下記態様のいずれかであるいくつかの態様において、ヒト化抗体またはその結合断片は、λ軽鎖可変領域配列である軽鎖可変領域配列を含む。
上記態様または下記態様のいずれかであるいくつかの態様において、λ軽鎖可変領域配列はウシλ軽鎖可変領域配列である。
上記態様または下記態様のいずれかであるいくつかの態様において、λ軽鎖可変領域配列はヒトλ軽鎖可変領域配列である。
上記態様または下記態様のいずれかであるいくつかの態様において、ヒトλ軽鎖可変領域配列はVL1-51である。
上記態様または下記態様のいずれかであるいくつかの態様において、ヒトλ軽鎖可変領域配列はVL1-51に由来する。
上記態様または下記態様のいずれかであるいくつかの態様において、VL1-51生殖系列配列は、Kabat番号付けに基づくIle29ValおよびAsn32Gly置換を含むCDR1を含む。
上記態様または下記態様のいずれかであるいくつかの態様において、VL1-51生殖系列配列は、DNNからGDTへの置換を含むCDR2を含む。
上記態様または下記態様のいずれかであるいくつかの態様において、VL1-51生殖系列配列は、DNNKRP (SEQ ID NO: 471) からGDTSRA (SEQ ID NO: 472) への置換を含むCDR2を含む。
上記態様または下記態様のいずれかであるいくつかの態様において、VL1-51生殖系列配列は、Kabat番号付けに基づくS2A、T5N、P8S、A12G、A13S、およびP14L置換を含む。
上記態様または下記態様のいずれかであるいくつかの態様において、VL1-51生殖系列配列は、Kabat番号付けに基づくS2A、T5N、P8S、A12G、A13S、およびP14L置換、ならびにDNNからGDTへの置換を含むCDR2を含む。
上記態様または下記態様のいずれかであるいくつかの態様において、ヒト化抗体またはその結合断片は、SEQ ID NO: 440、441、442、443、または444に記載されるアミノ酸配列を含む。
上記態様または下記態様のいずれかであるいくつかの態様において、ヒト化抗体またはその結合断片は、空間的にアドレス指定された形式で存在する。
本開示は、ヒト以外の極めて長いCDR3をコードする核酸配列を、ヒト可変領域フレームワーク (FR) 配列をコードする核酸配列と遺伝的に組み合わせる段階を含む、抗体可変領域をヒト化する方法を提供する。
本開示は、極めて長いCDR3をコードする核酸配列を、ヒト可変領域フレームワーク (FR) 配列をコードする核酸配列と組み合わせて、極めて長いCDR3を含むヒト化抗体をコードする核酸を生成する段階;および極めて長いCDR3を含むヒト化抗体をコードする該核酸を発現させて、極めて長いCDR3を含むヒト化抗体のライブラリーを作製する段階を含む、極めて長いCDR3を含むヒト化抗体のライブラリーを作製する方法も提供する。
本開示は、極めて長いCDR3をコードする核酸配列、ヒト可変領域フレームワーク (FR) 配列をコードする核酸配列、および非抗体配列をコードする核酸配列を組み合わせて、極めて長いCDR3および非抗体配列を含むヒト化抗体またはその結合断片をコードする核酸を生成する段階、ならびに極めて長いCDR3および非抗体配列を含むヒト化抗体またはその結合断片をコードする該核酸を発現させて、極めて長いCDR3および非抗体配列を含むヒト化抗体またはその結合断片のライブラリーを作製する段階を含む、非抗体配列を含む極めて長いCDR3を含むヒト化抗体またはその結合断片のライブラリーを作製する方法も提供する。いくつかの態様において、極めて長いCDR3は、ウシ配列、非ウシ配列、抗体配列、または非抗体配列を含む。
本開示は、非ウシ配列または非抗体配列を含む極めて長いCDR3を含むヒト化抗体またはその結合断片のライブラリーも提供する。
本開示は、ヒト可変領域フレームワーク (FR) 配列と、極めて長いCDR3およびシステインモチーフをコードする核酸配列とを組み合わせる段階;該システインモチーフ中の1つまたは複数のシステイン残基間に位置する1つまたは複数のアミノ酸残基をコードする核酸配列に、異なるアミノ酸残基をコードするヌクレオチドへと変える1つまたは複数のヌクレオチド改変を導入して、極めて長いCDR3と、システインドメイン中の1つまたは複数のシステイン残基間に1つまたは複数のヌクレオチド改変が導入されたシステインモチーフとを含むヒト化抗体またはその結合断片をコードする核酸を生成する段階;ならびに極めて長いCDR3と、システインドメイン中の1つまたは複数のシステイン残基間に1つまたは複数のヌクレオチド改変が導入されたシステインモチーフとを含むヒト化抗体またはその結合断片をコードする該核酸を発現させて、極めて長いCDR3と、システインドメイン中の1つまたは複数のシステイン残基間に1つまたは複数のアミノ酸改変が導入されたシステインモチーフとを含むヒト化抗体またはその結合断片のライブラリーを作製する段階を含む、システインモチーフを含む極めて長いCDR3を含むヒト化抗体またはその結合断片のライブラリーを作製する方法も提供する。
本開示は、システインモチーフを含む極めて長いCDR3を含むヒト化抗体またはその結合断片のライブラリーであって、該抗体またはその結合断片が、該システインモチーフ中のシステイン残基間に位置するアミノ酸残基の1つまたは複数の置換を含む、前記ライブラリーも提供する。
本開示は、ヒト可変領域フレームワーク (FR) 配列をコードする核酸配列と、ウシの極めて長いCDR3をコードする核酸とを組み合わせる段階、ならびにヒト可変領域フレームワーク (FR) 配列をコードする該核酸およびウシの極めて長いCDR3をコードする該核酸を発現させて、ウシの極めて長いCDR3を含むヒト化抗体またはその結合断片のライブラリーを作製する段階を含む、ウシの極めて長いCDR3を含むヒト化抗体またはその結合断片のライブラリーを作製する方法も提供する。
本開示は、CDR3骨格を含む抗体を含むヒト化抗体、それを作製する方法、およびその使用を提供する。
本開示は、CDR3骨格を含むヒト化抗体またはその結合断片を提供する。
いくつかの態様において、CDR3骨格は、1つまたは複数のヒト可変領域フレームワーク配列を含む。
本開示は、ウシの極めて長いCDR3を含むヒト化抗体またはその結合断片のライブラリーも提供する。
上記態様または下記態様のいずれかであるいくつかの態様において、CDR3骨格は、X1X2X3X4X5モチーフ(式中、X1はスレオニン (T)、グリシン (G)、アラニン (A)、セリン (S)、またはバリン (V) であり、X2はセリン (S)、スレオニン (T)、プロリン (P)、イソロイシン (I)、アラニン (A)、バリン (V)、またはアスパラギン (N) であり、X3はバリン (V)、アラニン (A)、スレオニン (T)、またはアスパラギン酸 (D) であり、X4はヒスチジン (H)、スレオニン (T)、アルギニン (R)、チロシン (Y)、フェニルアラニン (F)、またはロイシン (L) であり、かつX5はグルタミン (Q)である)を含む。
上記態様または下記態様のいずれかであるいくつかの態様において、CDR3骨格は、35アミノ酸長以上、40アミノ酸長以上、45アミノ酸長以上、50アミノ酸長以上、55アミノ酸長以上、または60アミノ酸長以上である。
上記態様または下記態様のいずれかであるいくつかの態様において、CDR3骨格は、35アミノ酸長以上である。
上記態様または下記態様のいずれかであるいくつかの態様において、CDR3骨格は、3個以上のシステイン残基、4個以上のシステイン残基、5個以上のシステイン残基、6個以上のシステイン残基、7個以上のシステイン残基、8個以上のシステイン残基、9個以上のシステイン残基、10個以上のシステイン残基、11個以上のシステイン残基、または12個以上のシステイン残基を含む。
上記態様または下記態様のいずれかであるいくつかの態様において、CDR3骨格は、3個以上のシステイン残基を含む。
上記態様または下記態様のいずれかであるいくつかの態様において、CDR3骨格は、システインモチーフを含む。
上記態様または下記態様のいずれかであるいくつかの態様において、システインモチーフは、
Figure 2015509091
からなる群より選択される。
上記態様または下記態様のいずれかであるいくつかの態様において、システインモチーフは、
Figure 2015509091
からなる群より選択される。
上記態様または下記態様のいずれかであるいくつかの態様において、CDR3骨格は、2〜6個のジスルフィド結合を含む。
上記態様または下記態様のいずれかであるいくつかの態様において、CDR3骨格中のX1X2X3X4X5モチーフは、
Figure 2015509091
である。
上記態様または下記態様のいずれかであるいくつかの態様において、CDR3骨格は、CX1X2X3X4X5モチーフを含む。
上記態様または下記態様のいずれかであるいくつかの態様において、CX1X2X3X4X5モチーフは、
Figure 2015509091
である。
上記態様または下記態様のいずれかであるいくつかの態様において、CDR3骨格は、(XaXb)zモチーフ(式中、Xaは任意のアミノ酸残基であり、Xbは、チロシン (Y)、フェニルアラニン (F)、トリプトファン (W)、およびヒスチジン (H) からなる群より選択される芳香族アミノ酸であり、かつzは1〜4である)を含む。
上記態様または下記態様のいずれかであるいくつかの態様において、(XaXb)zモチーフは、
Figure 2015509091
である。
上記態様または下記態様のいずれかであるいくつかの態様において、(XaXb)zモチーフはYXYXYXである。
上記態様または下記態様のいずれかであるいくつかの態様において、CDR3骨格は、X1X2X3X4X5Xnモチーフ(式中、X1はスレオニン (T)、グリシン (G)、アラニン (A)、セリン (S)、またはバリン (V) であり、X2はセリン (S)、スレオニン (T)、プロリン (P)、イソロイシン (I)、アラニン (A)、バリン (V)、またはアスパラギン (N) であり、X3はバリン (V)、アラニン (A)、スレオニン (T)、またはアスパラギン酸 (D) であり、X4はヒスチジン (H)、スレオニン (T)、アルギニン (R)、チロシン (Y)、フェニルアラニン (F)、またはロイシン (L) であり、かつX5はグルタミン (Q) であり、かつnは27〜54である)を含む。
上記態様または下記態様のいずれかであるいくつかの態様において、CDR3骨格は、Xn(XaXb)zモチーフ(式中、Xaは任意のアミノ酸残基であり、Xbは、チロシン (Y)、フェニルアラニン (F)、トリプトファン (W)、およびヒスチジン (H) からなる群より選択される芳香族アミノ酸であり、nは27〜54であり、かつzは1〜4である)を含む。
上記態様または下記態様のいずれかであるいくつかの態様において、CDR3骨格は、X1X2X3X4X5Xn(XaXb)zモチーフ(式中、X1はスレオニン (T)、グリシン (G)、アラニン (A)、セリン (S)、またはバリン (V) であり、X2はセリン (S)、スレオニン (T)、プロリン (P)、イソロイシン (I)、アラニン (A)、バリン (V)、またはアスパラギン (N) であり、X3はバリン (V)、アラニン (A)、スレオニン (T)、またはアスパラギン酸 (D) であり、X4はヒスチジン (H)、スレオニン (T)、アルギニン (R)、チロシン (Y)、フェニルアラニン (F)、またはロイシン (L) であり、X5はグルタミン (Q) であり、Xaは任意のアミノ酸残基であり、Xbは、チロシン (Y)、フェニルアラニン (F)、トリプトファン (W)、およびヒスチジン (H) からなる群より選択される芳香族アミノ酸であり、nは27〜54であり、かつzは1〜4である)を含む。
上記態様または下記態様のいずれかであるいくつかの態様において、CDR3骨格中のX1X2X3X4X5モチーフはTTVHQ (SEQ ID NO: 153) またはTSVHQ (SEQ ID NO: 154)であり、かつ (XaXb)zモチーフはYXYXYXである。
上記態様または下記態様のいずれかであるいくつかの態様において、CDR3骨格は、CX1X2X3X4X5モチーフ(式中、X1はスレオニン (T)、グリシン (G)、アラニン (A)、セリン (S)、またはバリン (V) であり、X2はセリン (S)、スレオニン (T)、プロリン (P)、イソロイシン (I)、アラニン (A)、バリン (V)、またはアスパラギン (N) であり、X3はバリン (V)、アラニン (A)、スレオニン (T)、またはアスパラギン酸 (D) であり、X4はヒスチジン (H)、スレオニン (T)、アルギニン (R)、チロシン (Y)、フェニルアラニン (F)、またはロイシン (L) であり、かつX5はグルタミン (Q) である)、以下からなる群より選択されるシステインモチーフ:
Figure 2015509091
、ならびに(XaXb)zモチーフ(式中、Xaは任意のアミノ酸残基であり、Xbは、チロシン (Y)、フェニルアラニン (F)、トリプトファン (W)、およびヒスチジン (H) からなる群より選択される芳香族アミノ酸であり、かつzは1〜4である)を含む。
上記態様または下記態様のいずれかであるいくつかの態様において、CDR3骨格は、CX1X2X3X4X5モチーフ(式中、X1はスレオニン (T)、グリシン (G)、アラニン (A)、セリン (S)、またはバリン (V) であり、X2はセリン (S)、スレオニン (T)、プロリン (P)、イソロイシン (I)、アラニン (A)、バリン (V)、またはアスパラギン (N) であり、X3はバリン (V)、アラニン (A)、スレオニン (T)、またはアスパラギン酸 (D) であり、X4はヒスチジン (H)、スレオニン (T)、アルギニン (R)、チロシン (Y)、フェニルアラニン (F)、またはロイシン (L) であり、かつX5はグルタミン (Q) である);以下からなる群より選択されるシステインモチーフ:
Figure 2015509091
;ならびに(XaXb)zモチーフ(式中、Xaは任意のアミノ酸残基であり、Xbは、チロシン (Y)、フェニルアラニン (F)、トリプトファン (W)、およびヒスチジン (H) からなる群より選択される芳香族アミノ酸であり、かつzは1〜4である)を含む。
上記態様または下記態様のいずれかであるいくつかの態様において、CDR3骨格は、SEQ ID NO: 40またはその誘導体を含む。
上記態様または下記態様のいずれかであるいくつかの態様において、CDR3骨格は、SEQ ID NO: 1〜4のうちのいずれか1つのアミノ酸残基3〜6を含む。
上記態様または下記態様のいずれかであるいくつかの態様において、CDR3骨格は、非ヒトDHまたはその誘導体を含む。
上記態様または下記態様のいずれかであるいくつかの態様において、非ヒトDHは、SEQ ID NO: 5、SEQ ID NO: 6、SEQ ID NO: 7、SEQ ID NO: 8、SEQ ID NO: 9、SEQ ID NO: 10、SEQ ID NO: 11、またはSEQ ID NO: 12である。
上記態様または下記態様のいずれかであるいくつかの態様において、CDR3骨格は、JH配列またはその誘導体を含む。
上記態様または下記態様のいずれかであるいくつかの態様において、JH配列は、SEQ ID NO: 13、SEQ ID NO: 14、SEQ ID NO: 15、SEQ ID NO: 16、またはSEQ ID NO: 17である。
上記態様または下記態様のいずれかであるいくつかの態様において、CDR3骨格は、非ヒトVH配列もしくはその誘導体;非ヒトDH配列もしくはその誘導体;および/またはJH配列もしくはその誘導体を含む。
上記態様または下記態様のいずれかであるいくつかの態様において、CDR3骨格は、VH配列とDH配列との間に位置する2〜6個またはそれより多いアミノ酸残基を含む付加的なアミノ酸配列を含む。
上記態様または下記態様のいずれかであるいくつかの態様において、付加的なアミノ酸配列は、IR、IF、SEQ ID NO: 18、SEQ ID NO: 19、SEQ ID NO: 20、またはSEQ ID NO: 21からなる群より選択される。
上記態様または下記態様のいずれかであるいくつかの態様において、CDR3骨格は、SEQ ID NO: 22、SEQ ID NO: 23、SEQ ID NO: 24、SEQ ID NO: 25、SEQ ID NO: 26、SEQ ID NO: 27、またはSEQ ID NO: 28に由来するかまたはこれらに基づく配列を含む。
上記態様または下記態様のいずれかであるいくつかの態様において、CDR3骨格は、反芻動物のCDR3骨格である。
上記態様または下記態様のいずれかであるいくつかの態様において、反芻動物はウシである。
本開示は、本明細書に開示のCDR3骨格を含むライブラリーも提供する。
本開示は、本明細書に開示のCDR3骨格をコードするポリヌクレオチドも提供する。
本開示は、本明細書に開示のポリヌクレオチドのうちいずれかを含むベクターも提供する。
本開示は、本明細書に開示のベクターのうちいずれかを含む宿主細胞も提供する。
本開示は、も提供する。
上記態様または下記態様のいずれかであるいくつかの態様において、細胞は、細菌、ウイルス、またはバクテリオファージである。
本開示の前述の概要および以下の詳細な説明は、添付の図面と併せて読んだ場合に、より良く理解されるであろう。本開示を説明するために、現時点で好ましい態様を図面に示してある。しかしながら、本開示が、示された厳密な配置、例、および手段に限定されないことは理解されるべきである。
極めて長いCDR3配列を含む、BLV1H12、BLV5B8、BLV5D3、BLV8C11、BF4E9、BF1H1、またはF18と命名された、ウシ由来の例示的な抗体可変領域配列の配列アライメントを示す。 図2A〜Cは、極めて長いCDR3配列を示す。(最上部)生殖系列VHBUL、DH2、およびJHからの翻訳。文献で報告されている5つの極めて長いCDR H3は、全長で4〜8個のシステインを含み、互いにそれほど相同的ではないものの、これらのCDR H3の第1システインを「固定」してからアラインした場合には、DH2とのシステイン残基のいくらかの保存を見出すことができる。7つの配列のうち4つ(BLV1H12、BLV5D3、BLV8C11、およびBF4E9)は、DH2と同じ位置に4つのシステインを含むばかりでなく、付加的なシステインも有する。BLV5B8は、生殖系列DH2と共通したシステインを2つ有する。いくらかのシステイン保存を伴うこの限定された相同性から、DH2の変異によってこれらの配列が生じた可能性があることが示唆される。B-L1およびB-L2はウシ脾臓からの最初の配列であり、残りは、大規模シークエンシングのデータから選択された極めて長いCDR H3配列である。第1グループは、同定された中で最も長いCDR H3を含み、クローン的に関連していると考えられる。*は167回にわたって再現された配列を示しており、このことから、これが機能に関して強く選択されたことが示唆される。システインが8個の配列のうちのいくつかは、括弧内に表示の複数回にわたって再現されたために、機能に関して選択されたと考えられる。様々な長さの他の代表的な配列を、最後のグループに示す。CDR H3の境界を規定するフレームワークのシステイン残基およびトリプトファン残基に二重下線を引いてある。表2A〜C中に示される配列BLV1H12〜UL-77(最も左側の列)は、特定の生殖系列配列およびV/D/J結合配列に由来するアミノ酸残基のセグメントを区別するために、4つのセグメントに分割して示している。左側から右側に進んでいき、第1セグメントはVH生殖系列に由来し、本開示においてX1X2X3X4X5モチーフとして表される。第2セグメントはV-D結合部由来の配列を表し、本開示においてXnとして表される。第3セグメントは、DH2生殖系列に由来する一連のアミノ酸残基であり、第4セグメントは、JH1生殖系列領域に由来する一連のアミノ酸残基である。 BLV1H12、BLV5B8、BLV5D3、BLV8C11、BF4E9、BF1H1、またはF18と命名された、ウシ由来の例示的な極めて長いCDR3配列の配列アライメントを示す。 改変または極めて長いCDR3配列との使用に適している、VH-ULと命名された例示的なウシ生殖系列重鎖可変領域 (VH) 配列を示す。 図5A〜Bは、改変または極めて長いCDR3配列との使用に適している、4-39、4-59*03、4-34*09、および4-34*02と命名された例示的なヒト生殖系列重鎖可変領域配列 (A)、ならびにこれらの配列のアライメント (B) を示す。 改変または極めて長いCDR3配列(例えば、極めて長いCDR3配列を含む重鎖可変領域配列)との使用に適している、BLV1H12と命名された例示的なウシ軽鎖可変領域配列を示す。 図7A〜Bは、改変または極めて長いCDR3配列との使用に適している、VI1-47、VI1-40*1、VI1-51*01、およびVI2-18*02と命名された例示的な軽鎖可変領域配列 (A)、ならびにこれらの配列のアライメント (B) を示す。
詳細な説明
本開示は、極めて長いCDR3配列を含むヒト化抗体を、そのような抗体を作製するための材料(例えば、タンパク質配列、遺伝子配列、細胞、ライブラリー)および方法(例えば、ヒト化方法、ライブラリー方法)と共に提供する。このようなヒト化抗体は、様々な疾患状態または障害の治療または予防に有用であり得る。
本開示はまた、非常に長いCDR3配列を含むヒト化抗体を提供し、ここで該CDR3配列は35アミノ酸長以上(例えば、40以上、45以上、50以上、55以上、60以上)であり、かつ/または該CDR3配列は少なくとも3個以上のシステイン残基(例えば、3個以上のシステイン残基、4個以上のシステイン残基、5個以上のシステイン残基、6個以上のシステイン残基、7個以上のシステイン残基、8個以上のシステイン残基、9個以上のシステイン残基、10個以上のシステイン残基、11個以上のシステイン残基、または12個以上のシステイン残基)を有する。本明細書に記載されているこのような抗体は、例えば、膜貫通タンパク質(例えば、GPCR、イオンチャネル、輸送体、細胞表面受容体)などのタンパク質標的を含む様々な標的と結合する(例えば、特異的または選択的に結合する)。
本開示はまた、極めて長いCDR3配列を含むヒト化抗体を調製または作製するための方法および材料を提供する。このような材料には、タンパク質、遺伝子配列、細胞、およびライブラリーが含まれる。このような方法には、ヒト化の方法、およびライブラリーを作製しスクリーニングする方法が含まれる。
本開示は、極めて長いCDR3を含むヒト化抗体またはその結合断片を提供する。いくつかの態様において、極めて長いCDR3は、35アミノ酸長以上、40アミノ酸長以上、45アミノ酸長以上、50アミノ酸長以上、55アミノ酸長以上、または60アミノ酸長以上でもよい。いくつかの態様において、極めて長いCDR3は、3個以上のシステイン残基、4個以上のシステイン残基、5個以上のシステイン残基、6個以上のシステイン残基、7個以上のシステイン残基、8個以上のシステイン残基、9個以上のシステイン残基、10個以上のシステイン残基、11個以上のシステイン残基、または12個以上のシステイン残基を含み得る。非常に長いCDR3はシステインモチーフを含んでもよく、これには例えば、システインモチーフが、
Figure 2015509091
からなる群より選択される場合が含まれる。あるいは、極めて長いCDR3はシステインモチーフを含んでもよく、これには例えば、システインモチーフが、
Figure 2015509091
からなる群より選択される場合が含まれる。
本開示はまた、極めて長いCDR3を含むヒト化抗体またはその結合断片を提供し、この場合、該極めて長いCDR3は、X1X2X3X4X5モチーフ(式中、X1はスレオニン (T)、グリシン (G)、アラニン (A)、セリン (S)、またはバリン (V) であり、X2はセリン (S)、スレオニン (T)、プロリン (P)、イソロイシン (I)、アラニン (A)、バリン (V)、またはアスパラギン (N) であり、X3はバリン (V)、アラニン (A)、スレオニン (T)、またはアスパラギン酸 (D) であり、X4はヒスチジン (H)、スレオニン (T)、アルギニン (R)、チロシン (Y)、フェニルアラニン (F)、またはロイシン (L) であり、かつX5はグルタミン (Q) である)を含む。いくつかの態様において、X1X2X3X4X5モチーフは、
Figure 2015509091
であってもよい。
本開示は、極めて長いCDR3を含むヒト化抗体またはその結合断片を提供し、この場合、該極めて長いCDR3は、(XaXb)zモチーフ(式中、Xaは任意のアミノ酸残基であり、Xbは、チロシン (Y)、フェニルアラニン (F)、トリプトファン (W)、およびヒスチジン (H) からなる群より選択される芳香族アミノ酸であり、かつzは1〜4である)を含む。いくつかの態様において、(XaXb)zモチーフは、
Figure 2015509091
であってもよい。
本開示は、極めて長いCDR3を含むヒト化抗体またはその結合断片を提供し、この場合、該極めて長いCDR3は、X1X2X3X4X5Xn(XaXb)zモチーフ(式中、X1はスレオニン (T)、グリシン (G)、アラニン (A)、セリン (S)、またはバリン (V) であり、X2はセリン (S)、スレオニン (T)、プロリン (P)、イソロイシン (I)、アラニン (A)、バリン (V)、またはアスパラギン (N) であり、X3はバリン (V)、アラニン (A)、スレオニン (T)、またはアスパラギン酸 (D) であり、X4はヒスチジン (H)、スレオニン (T)、アルギニン (R)、チロシン (Y)、フェニルアラニン (F)、またはロイシン (L) であり、かつX5はグルタミン (Q) であり、Xaは任意のアミノ酸残基であり、Xbは、チロシン (Y)、フェニルアラニン (F)、トリプトファン (W)、およびヒスチジン (H) からなる群より選択される芳香族アミノ酸であり、nは27〜54であり、かつzは1〜4である)を含む。
本開示は、極めて長いCDR3を含むヒト化抗体またはその結合断片を提供し、この場合、該極めて長いCDR3は、CX1X2X3X4X5モチーフ(式中、X1はスレオニン (T)、グリシン (G)、アラニン (A)、セリン (S)、またはバリン (V) であり、X2はセリン (S)、スレオニン (T)、プロリン (P)、イソロイシン (I)、アラニン (A)、バリン (V)、またはアスパラギン (N) であり、X3はバリン (V)、アラニン (A)、スレオニン (T)、またはアスパラギン酸 (D) であり、X4はヒスチジン (H)、スレオニン (T)、アルギニン (R)、チロシン (Y)、フェニルアラニン (F)、またはロイシン (L) であり、かつX5はグルタミン (Q) である)と、
Figure 2015509091
からなる群より選択されるシステインモチーフと、 (XaXb)zモチーフ(式中、Xaは任意のアミノ酸残基であり、Xbは、チロシン (Y)、フェニルアラニン (F)、トリプトファン (W)、およびヒスチジン (H) からなる群より選択される芳香族アミノ酸であり、かつzは1〜4である)とを含む。
本開示は、極めて長いCDR3を含むヒト化抗体またはその結合断片を提供し、この場合、該極めて長いCDR3は、CX1X2X3X4X5モチーフ(式中、X1はスレオニン (T)、グリシン (G)、アラニン (A)、セリン (S)、またはバリン (V) であり、X2はセリン (S)、スレオニン (T)、プロリン (P)、イソロイシン (I)、アラニン (A)、バリン (V)、またはアスパラギン (N) であり、X3はバリン (V)、アラニン (A)、スレオニン (T)、またはアスパラギン酸 (D) であり、X4はヒスチジン (H)、スレオニン (T)、アルギニン (R)、チロシン (Y)、フェニルアラニン (F)、またはロイシン (L) であり、かつX5はグルタミン (Q) である)と;
Figure 2015509091
からなる群より選択されるシステインモチーフと; (XaXb)zモチーフ(式中、Xaは任意のアミノ酸残基であり、Xbは、チロシン (Y)、フェニルアラニン (F)、トリプトファン (W)、およびヒスチジン (H) からなる群より選択される芳香族アミノ酸であり、かつzは1〜4である)とを含む。
本開示はまた、極めて長いCDR3をコードする核酸配列を、ヒト可変領域フレームワーク (FR) 配列をコードする核酸配列と組み合わせて、極めて長いCDR3を含むヒト化抗体をコードする核酸を生成する段階;および極めて長いCDR3を含むヒト化抗体をコードする該核酸を発現させて、極めて長いCDR3を含むヒト化抗体のライブラリーを作製する段階を含む、極めて長いCDR3を含むヒト化抗体のライブラリーを作製する方法を提供する。
本開示はまた、極めて長いCDR3をコードする核酸配列、ヒト可変領域フレームワーク (FR) 配列をコードする核酸配列、および非抗体配列をコードする核酸配列を組み合わせて、極めて長いCDR3および非抗体配列を含むヒト化抗体またはその結合断片をコードする核酸を生成する段階、ならびに極めて長いCDR3および非抗体配列を含むヒト化抗体またはその結合断片をコードする該核酸を発現させて、極めて長いCDR3および非抗体配列を含むヒト化抗体またはその結合断片のライブラリーを作製する段階を含む、非抗体配列を含む極めて長いCDR3を含むヒト化抗体またはその結合断片のライブラリーを作製する方法を提供する。
本開示はまた、非抗体配列を含む極めて長いCDR3を含むヒト化抗体またはその結合断片のライブラリーを提供する。
本開示はまた、ヒト可変領域フレームワーク (FR) 配列と、極めて長いCDR3およびシステインモチーフをコードする核酸配列とを組み合わせる段階;該システインモチーフ中の1つまたは複数のシステイン残基間に位置する1つまたは複数のアミノ酸残基をコードする核酸配列に、異なるアミノ酸残基をコードするヌクレオチドへと変える1つまたは複数のヌクレオチド改変を導入して、極めて長いCDR3と、システインドメイン中の1つまたは複数のシステイン残基間に1つまたは複数のヌクレオチド改変が導入されたシステインモチーフとを含むヒト化抗体またはその結合断片をコードする核酸を生成する段階;ならびに、極めて長いCDR3と、システインドメイン中の1つまたは複数のシステイン残基間に1つまたは複数のヌクレオチド改変が導入されたシステインモチーフとを含むヒト化抗体またはその結合断片をコードする該核酸を発現させて、極めて長いCDR3と、システインドメイン中の1つまたは複数のシステイン残基間に1つまたは複数のアミノ酸改変が導入されたシステインモチーフとを含むヒト化抗体またはその結合断片のライブラリーを作製する段階を含む、システインモチーフを含む極めて長いCDR3を含むヒト化抗体またはその結合断片のライブラリーを作製する方法を提供する。
本開示はまた、システインモチーフを含む極めて長いCDR3を含むヒト化抗体またはその結合断片のライブラリーを提供し、この場合、該抗体またはその結合断片は、該システインモチーフ中のシステイン残基間に位置するアミノ酸残基の1つまたは複数の置換を含む。
本開示はまた、ヒト可変領域フレームワーク (FR) 配列をコードする核酸配列と、ウシの極めて長いCDR3をコードする核酸とを組み合わせる段階、ならびにヒト可変領域フレームワーク (FR) 配列をコードする該核酸およびウシの極めて長いCDR3をコードする該核酸を発現させて、ウシの極めて長いCDR3を含むヒト化抗体またはその結合断片のライブラリーを作製する段階を含む、ウシの極めて長いCDR3を含むヒト化抗体またはその結合断片のライブラリーを作製する方法を提供する。
本開示はまた、X1X2X3X4X5モチーフ(式中、X1はスレオニン (T)、グリシン (G)、アラニン (A)、セリン (S)、またはバリン (V) であり、X2はセリン (S)、スレオニン (T)、プロリン (P)、イソロイシン (I)、アラニン (A)、バリン (V)、またはアスパラギン (N) であり、X3はバリン (V)、アラニン (A)、スレオニン (T)、またはアスパラギン酸 (D) であり、X4はヒスチジン (H)、スレオニン (T)、アルギニン (R)、チロシン (Y)、フェニルアラニン (F)、またはロイシン (L) であり、かつX5はグルタミン (Q) である)を含むCDR3骨格を提供する。
タンパク質
本開示は、極めて長いCDR3配列を含むヒト化抗体を提供する。
1つの態様において、本開示は極めて長いCDR3を含むヒト化抗体を提供し、この場合、該CDR3は35アミノ酸長以上(例えば、40以上、45以上、50以上、55以上、60以上)である。このようなヒト化抗体は、極めて長いCDR3内に少なくとも3個以上(例えば、4個以上、6個以上、8個以上)のシステイン残基を含み得る。
別の態様において、本開示は極めて長いCDR3を含むヒト化抗体を提供し、この場合、該CDR3は35アミノ酸長以上であり、非ヒト配列に由来するかまたはこれに基づく。極めて長いCDR3配列は、ウシ(ボス・タウルス(Bos taurus))などの反芻動物を含む、極めて長いCDR3抗体を天然に産生する任意の種に由来し得る。
別の態様において、本開示は極めて長いCDR3を含むヒト化抗体を提供し、この場合、該CDR3は35アミノ酸長以上であり、非抗体配列に由来する。非抗体配列は、ケモカイン、増殖因子、ペプチド、サイトカイン、細胞表面タンパク質、血清タンパク質、毒素、細胞外基質タンパク質、凝固因子、分泌タンパク質等を含むがこれらに限定されない任意のタンパク質ファミリーに由来し得る。非抗体配列は、ヒト起源または非ヒト起源のものであってもよく、ペプチドまたはドメインなどの非抗体タンパク質の一部を含み得る。極めて長いCDR3の非抗体配列は、アミノ酸の改変(例えば、置換)、挿入、または欠失を含む、その天然配列からの変異を含み得る。非抗体配列との間の結合部に付加的なアミノ酸を遺伝子操作で作り、ヒト化抗体内の非抗体配列の適切な折りたたみを促進するかまたは強化することができる。
別の態様において、本開示は極めて長いCDR3を含むヒト化抗体を提供し、この場合、該CDR3は35アミノ酸長以上であり、例えば、4個以上、6個以上、および8個以上といった、少なくとも3個以上のシステイン残基を含む。
別の態様において、本開示は極めて長いCDR3を含むヒト化抗体を提供し、この場合、該CDR3は35アミノ酸長以上であり、少なくとも3個以上のシステイン残基を含み、かつ該極めて長いCDR3は多重特異性抗体の成分である。多重特異性抗体は二重特異性であってもよいし、またはより多くの結合価を含んでもよい。
別の態様において、本開示は極めて長いCDR3を含むヒト化抗体を提供し、この場合、該CDR3は35アミノ酸長以上であり、少なくとも3個以上のシステイン残基を含み、部分的にヒトの該極めて長いCDR3は免疫複合物の成分である。
別の態様において、本開示は極めて長いCDR3を含むヒト化抗体を提供し、この場合、該CDR3は35アミノ酸長以上であり、少なくとも3個以上のシステイン残基を含み、極めて長いCDR3を含む該ヒト化抗体は膜貫通タンパク質標的に結合する。このような膜貫通標的には、GPCR、イオンチャネル、輸送体、および細胞表面受容体が含まれ得るが、これらに限定されない。
遺伝子配列
本開示は、極めて長いCDR配列を含むヒト化抗体をコードする遺伝子配列(例えば、遺伝子、核酸、ポリヌクレオチド)を提供する。
本開示はまた、極めて長いCDR3をコードする遺伝子配列(例えば、遺伝子、核酸、ポリヌクレオチド)を提供する。
1つの態様において、本開示は、極めて長いCDR3を含むヒト化抗体をコードする遺伝子配列を提供し、この場合、該CDR3は35アミノ酸長以上(例えば、40以上、45以上、50以上、55以上、60以上)である。このようなヒト化抗体は、極めて長いCDR3内に少なくとも3個以上のシステイン残基(例えば、4個以上、6個以上、8個以上)を含み得る。
別の態様において、本開示は、極めて長いCDR3を含むヒト化抗体をコードする遺伝子配列を提供し、この場合、該CDR3は35アミノ酸長以上であり、非ヒト配列に由来するかまたはこれに基づく。極めて長いCDR3をコードする遺伝子配列は、ウシ(ボス・タウルス(Bos taurus))などの反芻動物を含む、極めて長いCDR3抗体を天然に産生する任意の種に由来し得る。
別の態様において、本開示は、極めて長いCDR3を含むヒト化抗体をコードする遺伝子配列を提供し、この場合、該CDR3は35アミノ酸長以上であり、非抗体タンパク質配列に由来する。非抗体タンパク質配列をコードする遺伝子配列は、ケモカイン、増殖因子、ペプチド、サイトカイン、細胞表面タンパク質、血清タンパク質、毒素、細胞外基質タンパク質、凝固因子、分泌タンパク質等を含むがこれらに限定されない任意のタンパク質ファミリーに由来し得る。非抗体タンパク質配列は、ヒト起源または非ヒト起源のものであってもよく、ペプチドまたはドメインなどの非抗体タンパク質の一部を含み得る。極めて長いCDR3の非抗体タンパク質配列は、アミノ酸の改変(例えば、置換)、挿入、または欠失を含む、その天然配列からの変異を含み得る。非抗体配列との間の結合部に付加的なアミノ酸を遺伝子操作により作り、ヒト化抗体内の非抗体配列の適切な折りたたみを促進するまたは強化することができる。
別の態様において、本開示は極めて長いCDR3を含むヒト化抗体をコードする遺伝子配列を提供し、この場合、該CDR3は35アミノ酸長以上であり、例えば、4個以上、6個以上、および8個以上といった、少なくとも3個以上のシステイン残基を含む。
別の態様において、本開示は極めて長いCDR3を含むヒト化抗体をコードする遺伝子配列を提供し、この場合、該CDR3は35アミノ酸長以上であり、少なくとも3個以上のシステイン残基を含み、かつ該極めて長いCDR3は多重特異性抗体の成分である。多重特異性抗体は二重特異性であってもよいし、またはより多くの結合価を含んでもよい。
別の態様において、本開示は極めて長いCDR3を含むヒト化抗体をコードする遺伝子配列を提供し、この場合、該CDR3は35アミノ酸長以上であり、少なくとも3個以上のシステイン残基を含み、該極めて長いCDR3は免疫複合物の成分である。
別の態様において、本開示は極めて長いCDR3を含むヒト化抗体をコードする遺伝子配列を提供し、この場合、該CDR3は35アミノ酸長以上であり、少なくとも3個以上のシステイン残基を含み、かつ極めて長いCDR3を含む該ヒト化抗体は膜貫通タンパク質標的に結合する。このような膜貫通標的には、GPCR、イオンチャネル、輸送体、および細胞表面受容体が含まれ得るが、これらに限定されない。
ライブラリーおよびアレイ
本開示は、極めて長いCDR3配列を含むヒト化抗体の収集物、ライブラリー、およびアレイを提供する。
1つの態様において、本開示は、極めて長いCDR3配列を含むヒト化抗体のライブラリーまたはアレイを提供し、この場合、該ライブラリーまたはアレイの少なくとも2つのメンバーは、極めて長いCDR3配列中のシステインの少なくとも1つの位置が異なる。極めて長いCDR3配列中のシステインの異なる数(例えば、4個以上、6個以上、および8個以上などの、少なくとも3個以上のシステイン残基)により、ならびに/または異なるジスルフィド結合形成、およびしたがって異なるループ構造により、構造多様性が強化され得る。
別の態様において、本開示は、極めて長いCDR3配列を含むヒト化抗体のライブラリーまたはアレイを提供し、この場合、該ライブラリーまたはアレイの少なくとも2つのメンバーは、極めて長いCDR3中のシステイン間に位置する少なくとも1つのアミノ酸が異なる。この関連で、該ライブラリーまたはアレイのメンバーは、CDR3の同じ位置にシステインを含んでもよく、結果として同様の全体的な構造的折りたたみをもたらすが、異なるアミノ酸側鎖によって微細な違いが生じる。このようなライブラリーまたはアレイは、親和性成熟に有用であり得る。
別の態様において、本開示は、極めて長いCDR3配列を含むヒト化抗体のライブラリーまたはアレイを提供し、この場合、該極めて長いCDR3配列の少なくとも2つは長さ(例えば、40以上、45以上、50以上、55以上、および60以上などの、35アミノ酸長以上)が異なる。アミノ酸およびシステイン含量は、ライブラリーまたはアレイのメンバー間で異なってもまたはそうでなくてもよい。極めて長いCDR3配列の異なる長さは、例えば長さが異なることによる立体的な違いに起因する場合を含め、特有の結合部位を提供し得る。
別の態様において、本開示は、極めて長いCDR3配列を含むヒト化抗体のライブラリーまたはアレイを提供し、この場合、該ライブラリーの少なくとも2つメンバーは、極めて長いCDR3を含むヒト化抗体を構築するために用いられるヒトフレームワークが異なる。
別の態様において、本開示は、極めて長いCDR3配列を含むヒト化抗体のライブラリーまたはアレイを提供し、この場合、該ライブラリーまたはアレイの少なくとも2つメンバーは、極めて長いCDR3の一部を構成する非抗体タンパク質配列を有する点で異なる。このようなライブラリーまたはアレイは、ケモカイン、増殖因子、ペプチド、サイトカイン、細胞表面タンパク質、血清タンパク質、毒素、細胞外基質タンパク質、凝固因子、分泌タンパク質、ウイルスまたは細菌タンパク質等を含む、複数の非抗体タンパク質配列を含み得る。非抗体タンパク質配列は、ヒト起源または非ヒト起源のものであってもよく、ペプチドまたはドメインなどの非抗体タンパク質の一部からなり得る。極めて長いCDR3の非抗体タンパク質配列は、アミノ酸の改変(例えば、置換)、挿入、または欠失を含む、その天然配列からの変異を含み得る。極めて長いCDR3内の非抗体配列との間の結合部に付加的なアミノ酸を遺伝子操作により作り、ヒト化抗体内の非抗体配列の適切な折りたたみを促進するまたは強化することができる。
本開示のライブラリーまたはアレイは、当技術分野で周知のいくつかの形式であってもよい。ライブラリーまたはアレイは、アドレス指定可能なライブラリーまたはアドレス指定可能なアレイであってもよい。ライブラリーまたはアレイはディスプレイ形式であってもよく、例えば、抗体配列は、ファージ、リボソーム、mRNA、酵母、または哺乳動物細胞上に発現され得る。
細胞
本開示は、極めて長いCDR3配列を含むヒト化抗体をコードする遺伝子配列を含む細胞を提供する。
1つの態様において、本開示は、極めて長いCDR3を含むヒト化抗体を発現する細胞を提供する。細胞は原核生物または真核生物であってもよく、極めて長いCDR3を含むヒト化抗体は、細胞表面上に発現され得るか、または培地中に分泌され得る。細胞表面上に提示される場合、ヒト化抗体は好ましくは、C末端における膜貫通ドメインまたは脂質結合部位などの、プラスミド膜 (plasmid membrane) 中に挿入するためのモチーフを含む。細菌細胞に関しては、極めて長いCDR3を含むヒト化抗体は、ペリプラズム中に分泌され得る。細胞が真核生物である場合には、細胞に、極めて長いCDR3を含むヒト化抗体をコードする遺伝子配列を一過性にトランスフェクトすることができる。あるいは、当技術分野で周知の方法により、極めて長いCDR3を含むヒト化抗体をコードする遺伝子配列をトランスフェクトするかまたは形質導入することにより、安定した細胞株または安定したプールを作製することもできる。蛍光活性化細胞選別 (FACS) により、または薬物耐性をコードする遺伝子に関する選択により、細胞を選択することができる。極めて長いCDR3配列を含むヒト化抗体の産生に有用な細胞には、大腸菌 (E. coli) のような原核細胞、酵母サッカロミセス・セレビシエ (Saccharomyces cerevisiae) およびピキア・パストリス (Pichia pastoris) のような真核細胞、チャイニーズハムスター卵巣 (CHO) 細胞、COS-1のようなサル細胞、またはHEK-293、HeLa、SP-1のようなヒト細胞が含まれる。
ヒト化方法
本開示は、非ヒトCDR3に由来する極めて長いCDR3配列をヒトフレームワーク中へと遺伝子操作する段階を含む、極めて長いCDR3配列を含むヒト化抗体を作製する方法を提供する。ヒトフレームワークは、生殖系列起源のものであってもよく、または非生殖系列(例えば、変異したまたは親和性成熟した)配列に由来し得る。本明細書に開示されるものを含む、当業者に周知の遺伝子操作技法を用いて、ヒトフレームワークおよびヒト以外の極めて長いCDR3を含むハイブリッドDNA配列を作製することができる。7つのファミリーのうちの1つに由来するV領域遺伝子によってコードされ得るヒト抗体とは異なり、極めて長いCDR3配列を生じるウシ抗体は、ヒトVH4ファミリーと最も相同的であると見なされ得る単一のV領域ファミリーを使用するようである。極めて長いCDR3を含む抗体を生成するために、ウシに由来する極めて長いCDR3配列がヒト化される場合の好ましい態様では、VH4ファミリー由来のヒトV領域配列を、ウシ由来の極めて長いCDR3配列に遺伝的に融合させることができる。ヒト抗体遺伝子座における例示的なVH4生殖系列遺伝子配列を図5Aに示す(例えば、SEQ ID NO: 31〜34;および368〜371)。
本開示はまた、ヒト以外の極めて長いCDR3 (ULCDR3) をコードする核酸配列を、ヒト可変領域フレームワーク (FR) 配列をコードする核酸配列と遺伝的に組み合わせる段階を含む、抗体可変領域をヒト化する方法を提供する。FR1、FR2、およびFR3を含むヒトフレームワーク配列を選択すること;CDR1配列を選択すること;CDR2配列を選択すること;極めて長いCDR3配列を選択すること;および該配列をFR1-CDR1-FR2-CDR2-FR3-ULCDR3として組み合わせることを含む、ヒト化抗体可変領域を作製する方法もまた提供する。FR1-CDR1-FR2-CDR2-FR3をコードする配列を含むヒト抗体可変領域配列を選択すること;ヒト以外の極めて長いCDR3 (ULCDR3) をコードする配列を選択すること;および段階 (a) のヒト配列を段階 (b) の非ヒト配列とインフレームで遺伝的に融合して、FR1-CDR1-FR2-CDR2-FR3-ULCDR3をコードする配列を作製することを含む、ヒト化抗体可変領域配列を作製する方法もまた提供する。
1つの態様において、本開示は、例えば以下の段階によって達成され得るような、ヒトVH4フレームワーク配列の、ウシ由来の極めて長いCDR3への融合物を提供する。第一に、V領域遺伝子配列の第2システインを、該第2システインをコードするヌクレオチド配列と共に同定する。一般的に、第2システインは、フレームワークとCDR3の境界であって、該CDR3の2残基上流側(N末端側)を示す。第二に、同様にCDR3の2残基上流(N末端側)を示す、ウシ由来V領域配列中の第2システインを同定する。第三に、ヒトV領域をコードする遺伝子材料を、極めて長いCDR3をコードする遺伝子配列と組み合わせる。このようにして、遺伝子融合物を作製することができ、この場合、該極めて長いCDR3配列は、ヒトV領域配列のインフレームに配置する。好ましくは、極めて長いCDR3を含むヒト化抗体は、アミノ酸組成ができるだけヒトに近い。任意で、J領域配列を、ウシ由来配列からヒト配列に変異させることができる。同様に任意で、ヒト化重鎖をヒト軽鎖と対形成させることができる。
別の態様において、本開示は、ヒトの極めて長いCDR3重鎖と非ヒト軽鎖の対形成を提供する。
別の態様において、本開示は、極めて長いCDR3を含むヒト化重鎖とヒト軽鎖の対形成を提供する。好ましくは、当該軽鎖は、ウシの極めて長いCDR3重鎖と対形成することが知られているウシ軽鎖と相同的である。例示的なウシ軽鎖を図7Aに示す(例えば、SEQ ID NO: 36〜39;および373〜376)。
ライブラリー方法
本開示は、極めて長いCDR3配列を含むヒト化抗体を含むライブラリーを作製する方法を提供する。空間的にアドレス指定されたライブラリーの作製方法は、WO 2010/054007に記載されている。酵母、ファージ、大腸菌、または哺乳動物細胞においてライブラリーを作製する方法が、当技術分野で周知である。
本開示はまた、極めて長いCDR3配列を含むヒト化抗体のライブラリーをスクリーニングする方法を提供する。
定義
本明細書で互換的に用いられる「極めて長いCDR3」または「極めて長いCDR3配列」は、ヒト抗体配列に由来しないCDR3またはCDR3配列を含む。極めて長いCDR3は、35アミノ酸長以上であってもよく、例えば、40アミノ酸長以上、45アミノ酸長以上、50アミノ酸長以上、55アミノ酸長以上、または60アミノ酸長以上であってもよい。極めて長いCDR3の全長は、非抗体配列を含み得る。極めて長いCDR3は、例えば、インターロイキン配列、ホルモン配列、サイトカイン配列、毒素配列、リンホカイン配列、増殖因子配列、ケモカイン配列、毒素配列、またはそれらの組み合わせを含む、非抗体配列を含み得る。好ましくは、極めて長いCDR3は、重鎖CDR3(CDR3-H3またはCDRH3)である。好ましくは、極めて長いCDR3は、反芻動物(例えば、ウシ)配列に由来するかまたはこれに基づく配列である。極めて長いCDR3は、少なくとも3個以上のシステイン残基、例えば、4個以上のシステイン残基、6個以上のシステイン残基、8個以上のシステイン残基、10個以上のシステイン残基、または12個以上のシステイン残基(例えば、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、11個、12個、またはそれより多い)を含み得る。極めて長いCDR3は、以下のモチーフのうちの1つまたは複数を含み得る:システインモチーフ、X1X2X3X4X5モチーフ、CX1X2X3X4X5モチーフ、または (XaXb)zモチーフ。「システインモチーフ」は、4個以上のシステイン残基、5個以上のシステイン残基、6個以上のシステイン残基、7個以上のシステイン残基、8個以上のシステイン残基、9個以上のシステイン残基、10個以上のシステイン残基、11個以上のシステイン残基、または12個以上のシステイン残基をはじめとする3個以上のシステイン残基を含む、極めて長いCDR3中のアミノ酸残基のセグメントである。システインモチーフは、
Figure 2015509091
からなる群より選択されるアミノ酸配列を含み得る。あるいは、システインモチーフは、
Figure 2015509091
からなる群より選択されるアミノ酸配列を含み得る。システインモチーフは好ましくは、極めて長いCDR3内でX1X2X3X4X5モチーフと (XaXb)zモチーフの間に位置する。「X1X2X3X4X5モチーフ」は、極めて長いCDR3中の一連の連続した5アミノ酸残基であり、式中、X1はスレオニン (T)、グリシン (G)、アラニン (A)、セリン (S)、またはバリン (V) であり、X2はセリン (S)、スレオニン (T)、プロリン (P)、イソロイシン (I)、アラニン (A)、バリン (V)、またはアスパラギン (N) であり、X3はバリン (V)、アラニン (A)、スレオニン (T)、またはアスパラギン酸 (D) であり、X4はヒスチジン (H)、スレオニン (T)、アルギニン (R)、チロシン (Y)、フェニルアラニン (F)、またはロイシン (L) であり、かつX5はグルタミン (Q) である。いくつかの態様において、X1X2X3X4X5モチーフは、
Figure 2015509091
であってもよい。「CX1X2X3X4X5モチーフ」は、極めて長いCDR3中の一連の連続した6アミノ酸残基であり、この場合、第1のアミノ酸残基はシステインであり、式中、X1はスレオニン (T)、グリシン (G)、アラニン (A)、セリン (S)、またはバリン (V) であり、X2はセリン (S)、スレオニン (T)、プロリン (P)、イソロイシン (I)、アラニン (A)、バリン (V)、またはアスパラギン (N) であり、X3はバリン (V)、アラニン (A)、スレオニン (T)、またはアスパラギン酸 (D) であり、X4はヒスチジン (H)、スレオニン (T)、アルギニン (R)、チロシン (Y)、フェニルアラニン (F)、またはロイシン (L) であり、かつX5はグルタミン (Q) である。いくつかの態様において、CX1X2X3X4X5モチーフは、
Figure 2015509091
であってもよい。(XaXb)zモチーフは、極めて長いCDR3中の2アミノ酸残基の繰り返しの連続であり、式中、Xaは任意のアミノ酸残基であり、Xbは、チロシン (Y)、フェニルアラニン (F)、トリプトファン (W)、およびヒスチジン (H) からなる群より選択される芳香族アミノ酸であり、かつzは1〜4である。いくつかの態様において、(XaXb)zモチーフは、
Figure 2015509091
を含み得る。いくつかの態様において、(XaXb)zモチーフはYXYXYXである。極めて長いCDR3は、SEQ ID NO: 40に由来するかまたはこれに基づくアミノ酸配列(例えば、SEQ ID NO: 1〜4のアミノ酸残基3〜6を参照されたい;例えば、図2A〜C中のVH生殖系列配列もまた参照されたい)を含み得る。極めて長いCDR3を含む可変領域は、SEQ ID NO: 1 (CTTVHQ)、SEQ ID NO:2 (CTSVHQ)、SEQ ID NO:3 (CSSVTQ)、またはSEQ ID NO: 4 (CTTVHP) であるアミノ酸配列を含み得る。このような配列は、ウシ生殖系列VH遺伝子配列(例えば、SEQ ID NO: 1)に由来し得るか、またはこれに基づき得る。極めて長いCDR3は、非ヒトDH遺伝子配列に由来するかまたはこれに基づく配列、例えば、SEQ ID NO: 5(例えば、Koti, et al. (2010) Mol. Immunol. 47: 2119-2128もまた参照されたい)、またはSEQ ID NO: 6、7、8、9、10、11、もしくは12などの別の配列(例えば、図2A〜C中のDH2生殖系列配列もまた参照されたい)を含み得る。極めて長いCDR3は、JH配列に由来するかまたはこれに基づく配列、例えば、SEQ ID NO: 13(例えば、Hosseini, et al. (2004) Int. Immunol. 16: 843-852もまた参照されたい)、またはSEQ ID NO: 14、15、16、もしくは17などの別の配列(例えば、図2A〜C中のJH1生殖系列配列もまた参照されたい)を含み得る。1つの態様において、極めて長いCDR3は、非ヒトVH配列に由来するかもしくはこれに基づく配列(例えば、SEQ ID NO: 1、2、3、または4;あるいは図2A〜C中のVH配列)、および/または非ヒトDH配列に由来するかもしくはこれに基づく配列(例えば、SEQ ID NO: 5、6、7、8、9、10、11、または12;あるいは図2A〜C中のDH配列)、および/またはJH配列に由来するかもしくはこれに基づく配列(例えば、SEQ ID NO: 13、14、15、16、または17;あるいは図2A〜C中のJH配列)、および任意で、例えばVH由来配列とDH由来配列との間にあるような、2〜6個もしくはそれより多いアミノ酸を含む付加的な配列(例えば、IR、IF、SEQ ID NO: 18、19、20、または21)を含み得る。別の態様において、極めて長いCDR3は、SEQ ID NO: 22、23、24、25、26、27、もしくは28に由来するかまたはこれらに基づく配列(例えば、図2A〜C中のSEQ ID NO: 276〜359もまた参照されたい)を含み得る。
「単離された」生物学的分子、例えば、本明細書に開示される種々のポリペプチド、ポリヌクレオチド、および抗体などは、同定されており、かつその自然環境の少なくとも1つの成分から分離および/または回収された生物学的分子を指す。
「アンタゴニスト」は、ポリペプチドの活性(例えば、生物学的活性)を部分的にまたは完全に遮断する、阻害する、または中和する任意の分子を指す。「アンタゴニスト」には、そのポリペプチドをコードするmRNAの転写または翻訳を完全にまたは部分的に阻害する分子も包含される。好適なアンタゴニスト分子としては、例えば、アンタゴニスト抗体または抗体断片;天然ポリペプチドの断片またはアミノ酸配列変異体;ペプチド;アンチセンスオリゴヌクレオチド;小有機分子;およびポリペプチドアンタゴニストまたはアンタゴニスト抗体をコードする核酸が挙げられる。「1つ(an)」のアンタゴニストへの言及は、単一のアンタゴニストまたは2つ以上の異なるアンタゴニストの組み合わせを包含する。
「アゴニスト」は、ポリペプチドの生物学的活性を部分的にまたは完全に模倣する任意の分子を指す。「アゴニスト」には、そのポリペプチドをコードするmRNAの転写または翻訳を刺激する分子も包含される。好適なアゴニスト分子としては、例えば、アゴニスト抗体または抗体断片;天然ポリペプチド;天然ポリペプチドの断片またはアミノ酸配列変異体;ペプチド;アンチセンスオリゴヌクレオチド;小有機分子;およびポリペプチドアゴニストまたは抗体をコードする核酸が挙げられる。「1つ(an)」のアゴニストへの言及は、単一のアゴニストまたは2つ以上の異なるアゴニストの組み合わせを包含する。
「単離された」抗体は、同定されておりかつその自然環境の成分から分離および/または回収された抗体を指す。その自然環境の混入成分は、抗体の診断または治療上の使用を妨害する物質であり、酵素、ホルモン、および他のタンパク質性または非タンパク質性溶質が含まれる。好ましい態様では、抗体は、(1)(例えば、ローリー法で測定して)95重量%超、好ましくは99重量%超の抗体にまで、(2)(例えば、スピニングカップシークエネーターの使用により)N末端または内部アミノ酸配列の少なくとも15残基を得るのに十分な程度にまで、あるいは(3)(例えば、クーマシー(Coomassie(商標))ブルーまたは好ましくは銀染色を用いて)還元または非還元条件下でのSDS-PAGEにより均一になるまで、精製される。単離された抗体には、抗体の自然環境の少なくとも1つの成分が存在しないため、組換え細胞内のインサイチューの抗体が含まれる。同様に、単離された抗体には、組換え細胞の周囲の培地中の抗体が含まれる。単離された抗体は、少なくとも1つの精製工程で調製され得る。
「単離された」核酸分子は、同定されておりかつ抗体核酸の天然源において通常付随している少なくとも1つの混入核酸分子から分離された核酸分子を指す。単離された核酸分子は、天然に見出される形態または状況以外にある。したがって、単離された核酸分子は、それが天然の細胞内に存在するときの核酸分子とは区別される。しかしながら、単離された核酸分子は、例えば、その核酸分子が天然の細胞のものとは異なる染色体位置にある場合、抗体を発現する細胞内に含まれる核酸分子を包含する。
Kabatにおけるような可変ドメイン残基番号付けまたはKabatにおけるようなアミノ酸位置番号付け、およびその変形は、Kabat et al., Sequences of Proteins of Immunological Interest, 第5版 Public Health Service, National Institutes of Health, Bethesda, Md. (1991)において、抗体の編集の重鎖可変ドメインまたは軽鎖可変ドメインのために用いられる番号付けシステムを指す。この番号付けシステムを用いると、実際の線状アミノ酸配列は、可変ドメインのFRもしくはCDRの短縮またはFRもしくはCDRへの挿入に対応する、より少ないまたは追加的なアミノ酸を含むことができる。例えば、重鎖可変ドメインは、H2の残基52の後に単一のアミノ酸挿入物(例えば、Kabatに従う残基52a)および重鎖FR残基82の後に挿入残基(例えば、Kabatに従う残基82a、82b、および82cなど)を含むことができる。残基のKabat番号付けは、抗体の配列の相同領域で「標準」Kabat番号付け配列とアライメントすることによって、所与の抗体について決定することができる。
「実質的に類似」または「実質的に同一」とは、2つの数値(概して、一方は本明細書に開示された抗体に関係しており、他方は参照/比較抗体に関係している)間の十分に高度の類似性を指し、そのため、当業者は、これら2つの数値間の差を、前記数値(例えば、Kd値)によって測定された生物学的特性において生物学的および/または統計的有意性がほとんどないまたはまったくないと考えるだろう。前記2つの数値間の差は、参照/比較抗体の値の関数として好ましくは約50%未満、好ましくは約40%未満、好ましくは約30%未満、好ましくは約20%未満、好ましくは約10%未満である。
「結合親和性」は一般的に、ある分子(例えば、抗体)とその結合パートナー(例えば、抗原)の単一の結合部位間の非共有結合相互作用の合計の強さを指す。特に明記しない限り、「結合親和性」は、結合対のメンバー(例えば、抗体と抗原)間の1:1相互作用を反映する固有の結合親和性を指す。ある分子XのそのパートナーYに対する親和性は、一般に解離定数で表すことができる。親和性は、本明細書に記載したものを含めて、当技術分野で知られた一般的な方法によって測定することができる。低親和性抗体は一般に、抗原にゆっくりと結合し、容易に解離する傾向があるのに対し、高親和性抗体は一般に、抗原により速く結合し、長く結合したままである傾向がある。結合親和性を測定する種々の方法が当技術分野で知られており、それらのいずれも本開示の目的のために使用することができる。
「オン速度」または「結合の速度」または「結合速度」または「kon」は、表面プラズモン共鳴技術、例えばBiacore(例:Biacore A100、Biacore(商標)-2000、Biacore(商標)-3000;Biacore社, Piscataway, N.J.)カルボキシメチル化デキストランバイオセンサーチップ(CM5, Biacore社)を用いて、供給業者の指示に従って測定することができる。
「ベクター」は、それに連結された別の核酸を輸送することができる核酸分子を指す。ベクターの1つのタイプは「プラスミド」であり、それは、追加のDNAセグメントをライゲートすることができる環状二本鎖DNAループを指す。別のタイプのベクターはファージベクターである。別のタイプのベクターは、追加のDNAセグメントをウイルスゲノムにライゲートすることができる、ウイルスベクターである。ある種のベクターは、それらが導入される宿主細胞内で自律複製が可能である(例えば、細菌の複製起点を有する細菌ベクターおよびエピソーム哺乳動物ベクター)。他のベクター(例えば、非エピソーム哺乳動物ベクター)は、宿主細胞への導入時に宿主細胞のゲノムに組み込まれ、それによって宿主ゲノムとともに複製される。さらに、特定のベクターは、それらに機能的に連結された遺伝子の発現を指令することが可能である。このようなベクターを本明細書では「組換え発現ベクター」(または単に「組換えベクター」)と呼ぶ。一般的に、組換えDNA技術において有用な発現ベクターは、しばしばプラスミドの形態である。したがって、プラスミドはベクターのよく用いられる形態であるので、「プラスミド」と「ベクター」は、時に、互換的に用いることができる。
「遺伝子」は、ポリペプチド、前駆体、またはRNA(例:rRNA、tRNA)の生産に必要なコード配列を含む核酸(例:DNA)配列を指す。ポリペプチドは、完全長のコード配列によってコードされるか、あるいは完全長または断片の所望の活性もしくは機能的特性(例えば、酵素活性、リガンド結合、シグナル伝達、免疫原性など)が保持される限り、コード配列の任意の部分によってコードされてもよい。この用語はまた、その遺伝子が完全長mRNAの長さに対応するように、構造遺伝子のコード領域と、その5'末端および3'末端の両方で該コード領域に隣接して両端に約1kb以上にわたって位置する配列とを包含する。コード領域の5'側に位置して、mRNA上に存在する配列は、5'非翻訳配列と呼ばれる。コード領域の3'側つまり下流に位置して、mRNA上に存在する配列は、3'非翻訳配列と呼ばれる。用語「遺伝子」は、遺伝子のcDNA形態とゲノム形態の両方を包含する。遺伝子のゲノム形態またはクローンは、「イントロン」または「介在領域」または「介在配列」と呼ばれる非コード配列で中断されるコード領域を含む。イントロンは核RNA(hnRNA)に転写される遺伝子のセグメントである;イントロンは、エンハンサーなどの調節エレメントを含むことができる。イントロンは、核もしくは一次転写産物から除去または「スプライスアウト」される;したがって、イントロンはメッセンジャーRNA(mRNA)転写産物には存在しない。mRNAは、翻訳時に、新生ポリペプチドのアミノ酸の配列または順序を指定するように機能する。イントロンを含むことに加えて、遺伝子のゲノム形態はまた、RNA転写産物上に存在する配列の5'および3'末端の両方に位置する配列を含むことができる。これらの配列は「フランキング」配列または領域と呼ばれる(これらのフランキング配列は、mRNA転写産物に存在する非翻訳配列の5'または3'側に位置する)。5'フランキング領域は、遺伝子の転写を制御するかまたはそれに影響を及ぼす、プロモーターおよびエンハンサーなどの調節配列を含むことができる。3'フランキング領域は、転写の終結、転写後切断およびポリアデニル化を指令する配列を含むことができる。
本明細書で互換的に用いられる「ポリヌクレオチド」または「核酸」は、任意の長さのヌクレオチドのポリマーを指し、DNAおよびRNAが含まれる。ヌクレオチドは、デオキシリボヌクレオチド、リボヌクレオチド、修飾ヌクレオチドもしくは塩基、および/またはそれらの類似体、あるいはDNAもしくはRNAポリメラーゼにより、または合成反応により、ポリマー中に組み込むことができる任意の基質であり得る。ポリヌクレオチドは、メチル化ヌクレオチドおよびそれらの類似体などの修飾ヌクレオチドを含むことができる。存在する場合、ヌクレオチド構造への修飾は、ポリマーの組み立ての前または後に付与することができる。ヌクレオチドの配列は非ヌクレオチド成分により中断されていてもよい。ポリヌクレオチドは、例えば標識との結合などによって、合成後にさらに修飾され得る。他のタイプの修飾には、例えば、以下が含まれる:「キャップ」、天然に存在するヌクレオチドの1個または複数の類似体による置換、ヌクレオチド間修飾、例えば非荷電結合(linkage)(例:メチルホスホネート、ホスホトリエステル、ホスホアミデート、カルバメートなど)を有するものおよび荷電結合(例:ホスホロチオエート、ホスホロジチオエートなど)を有するもの、タンパク質(例:ヌクレアーゼ、毒素、抗体、シグナルペプチド、ポリ-L-リジンなど)などのペンダント部分を含むもの、インターカレーター(例:アクリジン、ソラレンなど)を有するもの、キレート剤(例:金属、放射性金属、ホウ素、酸化金属など)を含有するもの、アルキル化剤を含有するもの、修飾された結合(例:αアノマー核酸など)を有するもの、ならびにポリヌクレオチドの未修飾形態。さらに、糖において通常存在するヒドロキシル基はどれも、例えばホスホン酸基、リン酸基で置換したり、標準的な保護基で保護したり、または追加のヌクレオチドへのさらなる連結を可能にするために活性化したり、あるいは固体もしくは半固体支持体に結合させたりすることができる。5'および3'末端のOHは、リン酸化したり、またはアミンもしくは1〜20個の炭素原子の有機キャッピング基部分で置換したりすることができる。他のヒドロキシルはまた、標準的な保護基へと誘導体化することもできる。ポリヌクレオチドはまた、一般に当技術分野で知られているリボースまたはデオキシリボース糖の類似形態、例えば、2'-O-メチル-、2'-O-アリル、2'-フルオロ-または2'-アジド-リボース、炭素環式糖類似体、α-アノマー糖、エピマー糖、例えばアラビノース、キシロースもしくはリキソース、ピラノース糖、フラノース糖、セドヘプツロース、非環式類似体および基本的なヌクレオシド類似体、例えばメチルリボシドなど、を含むことができる。1つまたは複数のホスホジエステル結合を代替の連結基で置き換えてもよい。こうした代替の連結基としては、限定するものではないが、リン酸基がP(O)S(「チオエート」)、P(S)S(「ジチオエート」)、(O)NR2(「アミデート」)、P(O)R、P(O)OR'、COまたはCH2(「ホルムアセタール」)で置き換えられた態様が挙げられ、ここで、各RまたはR'は、独立して、Hまたは、任意でエーテル(-O-)結合を含む置換もしくは非置換アルキル(1〜20C)、アリール、アルケニル、シクロアルキル、シクロアルケニルもしくはアラルキルである。ポリヌクレオチド中のすべての結合が同一である必要はない。先の記述は、RNAおよびDNAを含めて、本明細書で言及するすべてのポリヌクレオチドに適用される。
「オリゴヌクレオチド」は、短い、一般に一本鎖の、一般に合成のポリヌクレオチドを指し、一般には、しかし必ずしもそうではないが、長さが約200ヌクレオチド未満である。用語「オリゴヌクレオチド」および「ポリヌクレオチド」は相互に排他的ではない。ポリヌクレオチドに関する上記の説明は、オリゴヌクレオチドにも同様におよび完全に適用可能である。
「ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件」は、プローブが、典型的には核酸の複雑な混合物中で、その標的部分配列にハイブリダイズするが、他の配列にはハイブリダイズしない条件を指す。ストリンジェントな条件は配列依存的であり、さまざまな状況において異なるであろう。より長い配列は、より高い温度で特異的にハイブリダイズする。核酸のハイブリダイゼーションの広範な指針は、Tijssen, Techniques in Biochemistry and Molecular Biology -- Hybridization with Nucleic Probes, "Overview of principles of hybridization and the strategy of nucleic acid assays" (1993)に見出せる。一般的に、ストリンジェントな条件は、規定したイオン強度pHで特定の配列の熱融解点(Tm)より約5〜10℃低くなるように選択される。Tmは、標的に相補的なプローブの50%が平衡状態で標的配列にハイブリダイズする(規定のイオン強度、pH、および核酸濃度の下での)温度である(標的配列は過剰に存在するので、Tmでは、平衡状態でプローブの50%が占有される)。ストリンジェントな条件はまた、ホルムアミドなどの不安定化剤の添加によって達成され得る。選択的または特異的なハイブリダイゼーションでは、陽性シグナルは、バックグラウンドの少なくとも2倍、好ましくはバックグラウンドのハイブリダイゼーションの10倍である。ストリンジェントなハイブリダイゼーションの例示的な条件は、次のとおりであり得る:50%ホルムアミド、5×SSC、および1%SDS、42℃でインキュベーション、または5×SSC、1%SDS、65℃でインキュベーション、0.2×SSCおよび0.1%SDS中65℃で洗浄。
「組換え」は、細胞、核酸、タンパク質またはベクターに関して用いられる場合、その細胞、核酸、タンパク質もしくはベクターが異種の核酸またはタンパク質の導入、天然の核酸もしくはタンパク質の変更によって改変されていること、または細胞がそのように改変された細胞に由来していることを示す。例えば、組換え細胞は、天然(非組換え)形態の細胞において見出されない遺伝子を発現するか、または過剰に発現されるかそうでなければ異常に発現される、例えば天然に存在しない断片もしくはスプライス変異体として発現される、天然の遺伝子を発現する。本明細書中で用語「組換え核酸」とは、一般的に、例えばポリメラーゼおよびエンドヌクレアーゼを用いた核酸の操作によって、もともとインビトロで形成された、通常は天然に見出されない形態での核酸を意味する。このようにして、さまざまな配列の機能的な連結が達成される。かくして、線状形態の単離された核酸、または通常は結合されないDNA分子をライゲートすることによってインビトロで形成された発現ベクターは、両方とも、本開示の目的では組換えと見なされる。組換え核酸が作られて、宿主細胞または生物に導入されると、それは、例えばインビトロ操作ではなく宿主細胞のインビボ細胞機構を用いて、非組換え的に複製することが理解される;しかし、このような核酸は、いったん組換えにより生産されると、その後非組換え的に複製されるけれども、本明細書に開示された目的では依然として組換えと見なされる。同様に、「組換えタンパク質」は、例えば上で示した組換え核酸の発現を介して、組換え技術を用いて作られたタンパク質である。
ペプチドまたはポリペプチド配列に関する「アミノ酸配列同一性パーセント(%)」は、配列をアライメントさせかつ最大の配列同一性パーセントを達成するために必要に応じてギャップを導入した後に、どのような保存的置換も配列同一性の一部として考慮しないで、特定のペプチドまたはポリペプチド配列中のアミノ酸残基と同一である、候補配列中のアミノ酸残基の割合を指す。アミノ酸配列同一性パーセントを決定するためのアライメントは、当業者の技量の範囲にある種々の方法で、例えばBLAST、BLAST-2、ALIGNまたはMegAlign (DNASTAR)ソフトウェアなどの公表されているコンピュータソフトウェアを用いて、達成することができる。当業者は、比較される配列の全長にわたって最大のアライメントを達成するために必要なアルゴリズムを含めて、アライメントを測定するための適切なパラメータを決定することができる。
「ポリペプチド」、「ペプチド」、「タンパク質」および「タンパク質断片」は、アミノ酸残基のポリマーを指すために互換的に使用することができる。これらの用語は、天然型アミノ酸ポリマーおよび非天然型アミノ酸ポリマーに適用されるだけでなく、1個または複数のアミノ酸残基が対応する天然型アミノ酸の人工的な化学模倣体であるアミノ酸ポリマーにも適用される。
「アミノ酸」は、天然および合成アミノ酸、ならびに天然に存在するアミノ酸と同様に機能するアミノ酸類似体およびアミノ酸模倣体を指す。天然に存在するアミノ酸は、遺伝コードによりコードされたもの、ならびに後で修飾されるアミノ酸、例えば、ヒドロキシプロリン、γ-カルボキシグルタミン酸、およびO-ホスホセリンである。アミノ酸類似体は、天然に存在するアミノ酸と同じ基本化学構造、例えば、水素、カルボキシル基、アミノ基、およびR基に結合しているα炭素、を有する化合物、例えば、ホモセリン、ノルロイシン、メチオニンスルホキシド、メチオニンメチルスルホニウムを指す。このような類似体は、修飾されたR基(例:ノルロイシン)または修飾されたペプチド骨格をもつことができるが、天然に存在するアミノ酸と同じ基本化学構造を保持する。アミノ酸模倣体は、アミノ酸の一般的化学構造とは異なる構造を有するが、天然に存在するアミノ酸と同様に機能する化合物を指す。
「保存的に改変された変異体」は、アミノ酸配列と核酸配列の両方に適用され、「アミノ酸変異体」はアミノ酸配列に適用される。特定の核酸配列に関して、保存的に改変された変異体は、同一または本質的に同一のアミノ酸配列をコードする核酸を指し、あるいは核酸がアミノ酸配列をコードしない場合には、本質的に同一のまたは付随した(例えば、天然で連続した)配列を指す。遺伝子コードの縮重のため、ほとんどのタンパク質は多数の機能的に同一の核酸によりコードされる。例えば、コドンGCA、GCC、GCGおよびGCUはすべて、アミノ酸アラニンをコードする。したがって、アラニンがあるコドンによって特定されているあらゆる位置で、そのコドンは、コードされたポリペプチドを変更することなく、記載された対応するコドンの別のものに変えることができる。このような核酸変異は「サイレント変異」であり、保存的に改変された変異の一種である。ポリペプチドをコードする本明細書中のどの核酸配列も、その核酸のサイレント変異についても記載している。当業者には認識されるように、特定の状況では、核酸の各コドン(通常はメチオニンの唯一のコドンであるAUG、および通常はトリプトファンの唯一のコドンであるTGGを除く)は、機能的に同一の分子を生じるように改変することができる。したがって、ポリペプチドをコードする核酸のサイレント変異は、発現産物に関して記載された配列に暗に示されているが、実際のプローブ配列に関してはそうではない。アミノ酸配列に関して、当業者には理解されるように、コードされた配列中の単一のアミノ酸または少数のアミノ酸を改変、付加または欠失する、核酸、ペプチド、ポリペプチド、またはタンパク質配列への個々の置換、欠失または付加は、その改変があるアミノ酸の化学的に類似するアミノ酸による置換をもたらす場合を含めて、「保存的に改変された変異体」である。機能的に類似するアミノ酸を提供する保存的置換の表は、当技術分野で周知である。このような保存的に改変された変異体は、本明細書に開示された多型変異体、種間のホモログ、および対立遺伝子に追加され、これらを排除するものではない。典型的には、保存的置換は以下を含む:1)アラニン(A)、グリシン(G);2)アスパラギン酸(D)、グルタミン酸(E);3)アスパラギン(N)、グルタミン(Q);4)アルギニン(R)、リジン(K);5)イソロイシン(I)、ロイシン(L)、メチオニン(M)、バリン(V);6)フェニルアラニン(F)、チロシン(Y)、トリプトファン(W);7)セリン(S)、スレオニン(T);および8)システイン(C)、メチオニン(M)(例えば、Creighton, Proteins (1984)を参照されたい)。
「抗体(Ab)」および「免疫グロブリン(Ig)」は、類似の構造的特徴を有する糖タンパク質である。抗体は特定の抗原に対する結合特異性を示すことができるが、免疫グロブリンは、抗体と、一般には抗原特異性を欠く他の抗体様分子の両方を含むことができる。後者の種類のポリペプチドは、例えば、リンパ系によって低レベルで、骨髄腫によって増大したレベルで産生される。
「抗体」および「免疫グロブリン」は、最も広い意味において互換的に使用され、モノクローナル抗体(例えば、完全長のまたはインタクトなモノクローナル抗体)、ポリクローナル抗体、多価抗体、多重特異性抗体(例えば、所望の生物学活性を示す限り二重特異性抗体)を含み、さらに(本明細書でより詳細に記載されている)特定の抗体断片をも含むことができる。抗体はヒト型、ヒト化型および/または親和性成熟型であり得る。抗体は、天然であろうと部分的もしくは全体的に合成であろうと、例えば組換えにより生産されようと、免疫グロブリンおよび免疫グロブリン部分を指すことができ、抗原結合部位を形成するのに十分な免疫グロブリン分子の可変領域の少なくとも一部を含有する、その任意の部分を含む。かくして、抗体またはその一部は、免疫グロブリンの抗原結合部位に相同であるかまたは実質的に相同である結合ドメインを有する任意のタンパク質を含む。例えば、抗体は、2本の重鎖(HおよびH'で表される)と2本の軽鎖(LおよびL'で表される)を含む抗体を指すことができ、ここで、各重鎖は、完全長の免疫グロブリン重鎖または抗原結合部位を形成するのに十分なその一部(例えば、重鎖にはVH鎖、VH-CH1鎖およびVH-CH1-CH2-CH3鎖が含まれるが、これらに限定されない)とすることができ、各軽鎖は、完全長の軽鎖または抗原結合部位を形成するのに十分なその一部(例えば、軽鎖にはVL鎖およびVL-CL鎖が含まれるが、これらに限定されない)とすることができる。各重鎖(HおよびH')は一方もしくは可変軽(VL)鎖の全部または少なくとも一部を最小限に含む。抗体はまた、定常領域の全部または一部を含むことができる。例えば、完全長の抗体は、2本の全長重鎖(例えばVH-CH1-CH2-CH3またはVH-CH1-CH2-CH3-CH4)および2本の全長軽鎖(VL-CL)およびヒンジ領域を有する抗体であり、例えば、抗体分泌B細胞により産生された抗体および合成的に生産される同じドメインを有する抗体などである。さらに、「抗体」は、免疫グロブリンファミリーのタンパク質、または、対応する抗原に非共有結合で可逆的に特異的に結合することが可能な免疫グロブリンの断片を含むポリペプチドを指す。典型的な抗体の構造単位は四量体を含む。各四量体はポリペプチド鎖の2つの同一の対から構成され、各対はジスルフィド結合を介して結合された1本の「軽」鎖(約25kD)と1本の「重」鎖(約50〜70kD)を有する。認識された免疫グロブリン遺伝子には、κ、λ、α、γ、δ、ε、およびμ定常領域遺伝子、ならびに無数の免疫グロブリン可変領域遺伝子が含まれる。軽鎖はκまたはλのいずれかに分類される。重鎖はγ、μ、α、δ、またはεに分類され、これらは順に、それぞれ、免疫グロブリンクラスIgG、IgM、IgA、IgD、およびIgEを規定する。各鎖のN末端は、抗原認識を主に担う約100〜110またはそれより多いアミノ酸の可変領域を規定する。可変軽鎖(VL)および可変重鎖(VH)という用語は、それぞれ、軽鎖および重鎖のこれらの領域を指す。
「可変」とは、可変ドメイン(可変領域とも呼ばれる)の特定の部分が、抗体間で配列に大きな違いがあり、特定の抗体それぞれのその特定の抗原に対する結合および特異性に使用されるという事実を意味する。しかしながら、可変性は抗体の可変ドメインにわたって一様には分布していない。それは、軽鎖および重鎖の可変ドメインの両方で相補性決定領域(CDR)または超可変領域(HVR)と呼ばれる3つのセグメントに集中している。CDRには、可変領域配列内で本明細書に示されるKabat、Chothia、およびIMGTと指定されたものが含まれる。可変ドメインのより高度に保存された部分は、フレームワーク(FR)と呼ばれる。天然の重鎖および軽鎖の可変ドメインは、それぞれ、3つのCDRによって連結された、主にβシート形状をとる、4つのFR領域を含み、これらのCDRは、そのβシート構造を連結する、ある場合にはβシート構造の一部を形成する、ループを形成している。各鎖のCDRはFR領域によってごく接近して一緒に保持されて、他方の鎖に由来するCDRとともに、抗体の抗原結合部位の形成に寄与している(Kabat et al., Sequences of Proteins of Immunological Interest, 第5版, National Institute of Health, Bethesda, Md. (1991)を参照されたい)。定常ドメインは抗体の抗原への結合に直接関与しないが、抗体依存性細胞傷害性への抗体の関与など、さまざまなエフェクター機能を示す。
抗体のパパイン消化は、「Fab」断片と呼ばれる、それぞれが単一の抗原結合部位を有する、2つの同一の抗原結合断片、および残りの「Fc」断片(その名称は容易に結晶化する能力を反映している)を生成する。ペプシン処理は、2つの抗原結合部位を有しかつ依然として抗原を架橋することができるF(ab')2断片を生じる。
「Fv」は、抗原認識および抗原結合部位を含む抗体断片を指す。二本鎖Fv種において、この領域は、非共有結合で会合した1つの重鎖可変ドメインと1つの軽鎖可変ドメインの二量体からなる。一本鎖Fv(scFv)種では、軽鎖と重鎖が二本鎖Fv(scFv)種のそれと同様の「二量体」構造で会合できるように、1つの重鎖可変ドメインと1つの軽鎖可変ドメインが柔軟なペプチドリンカーによって共有結合で連結され得る。各可変ドメインの3つのCDRが相互作用してVH-VL二量体の表面に抗原結合部位を規定するのは、この構成においてである。まとまって、6つのCDRは抗体に抗原結合特異性を付与する。しかし、単一の可変ドメイン(または抗原に特異的な3つのCDRのみを含むFvの半分)でさえも、完全な結合部位よりも低い親和性ではあるが、抗原を認識して結合する能力がある。
また、Fab断片は、軽鎖の定常ドメインと重鎖の第1定常ドメイン(CH1)を含む。Fab'断片は、重鎖CH1ドメインのカルボキシ末端に数個の残基、例えば抗体ヒンジ部に由来する1個または複数のシステインなど、が付加していることにより、Fab断片とは異なる。Fab'-SHは、定常ドメインのシステイン残基が遊離のチオール基を有するFab'についての本明細書での名称である。F(ab')2抗体断片は、もともとは、Fab'断片間にヒンジ部のシステインを有する、Fab'断片の対として生成された。抗体断片の他の化学的結合も知られている。
脊椎動物種由来の抗体(免疫グロブリン)の「軽鎖」は、その定常ドメインのアミノ酸配列に基づいて、カッパ(κ)およびラムダ(λ)と呼ばれる、2つの明確に区別されるタイプの1つに割り当てることができる。
免疫グロブリンは、その重鎖の定常ドメインのアミノ酸配列に応じて、異なるクラスに割り当てることができる。5つの主要な免疫グロブリンのクラス:IgA、IgD、IgE、IgG、およびIgMがあり、これらのいくつかはサブクラス(アイソタイプ)、例えば、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1、およびIgA2にさらに分けることができる。免疫グロブリンの異なるクラスに対応する重鎖定常ドメインは、それぞれ、α、δ、ε、γ、およびμと呼ばれる。免疫グロブリンの異なるクラスのサブユニット構造および三次元立体配置は、よく知られている。
「抗体断片」はインタクトな抗体の一部分のみを含み、その際、該部分は、インタクトな抗体中に存在するときの該部分と通常関連している機能の少なくとも1つ、好ましくは大半または全部、を保持することが好ましい。抗体断片の例としては、以下が挙げられる:Fab、Fab'、F(ab')2、一本鎖Fv(scFv)、Fv、dsFv、ダイアボディ、FdおよびFd'断片、Fab断片、Fd断片、scFv断片、線状抗体、一本鎖抗体分子、ならびに抗体断片から形成された多重特異性抗体(例えば、Methods in Molecular Biology, Vol 207: Recombinant Antibodies for Cancer Therapy Methods and Protocols (2003); Chapter 1; p 3-25, Kipriyanovを参照されたい)。他の既知の断片としては、限定するものではないが、scFab断片が挙げられる(Hust et al., BMC Biotechnology (2007), 7:14)。一態様では、抗体断片はインタクトな抗体の抗原結合部位を含み、それゆえ抗原に結合する能力を保持している。別の態様では、抗体断片、例えばFc領域を含むものは、インタクトな抗体中に存在するときのFc領域と通常関連している生物学的機能の少なくとも1つ、例えばFcRn結合、抗体半減期調節、ADCC機能および補体結合など、を保持している。一態様では、抗体断片は、インタクトな抗体と実質的に同様のインビボ半減期を有する一価抗体である。例えば、このような抗体断片は、該断片にインビボ安定性を付与することができるFc配列に連結された抗原結合アームを含むことができる。別の例として、抗体断片または抗体部分は、完全長より短いが、抗原結合部位を形成するのに十分な抗体の可変領域の少なくとも一部(例えば、1つまたは複数のCDR)を含み、したがって完全長抗体の結合特異性および/または活性を保持している、完全長抗体の任意の部分を指す;抗体断片には、完全長抗体の酵素処理により生成された抗体誘導体、ならびに合成的に、例えば組換えにより、生産された誘導体が含まれる。
「dsFv」は、VH-VL対を安定化する、人工的に作製された分子間ジスルフィド結合を有するFvを指す。
「Fd断片」は、抗体重鎖の可変ドメイン(VH)と1つの定常領域ドメイン(CH1)を含有する抗体の断片を指す。
「Fab断片」は、完全長免疫グロブリンのパパインによる消化から生じる完全長抗体の一部を含有する抗体断片、または合成的に、例えば組換えにより、生産される同じ構造を有する断片を指す。Fab断片は、軽鎖(VLおよびCL部分を含む)と、重鎖の可変ドメイン(VH)および重鎖の1つの定常領域ドメイン(CH1)を含有する別の鎖を含む;それは組換えにより生産することができる。
「F(ab')2断片」は、pH4.0〜4.5での免疫グロブリンのペプシンによる消化から生じる抗体断片、または合成的に、例えば組換えにより、生産された同じ構造を有する抗体を指す。F(ab')2断片は、2つのFab断片を含むが、ここで各重鎖部分は、2つの断片を結合するジスルフィド結合を形成するシステイン残基を含む、いくつかの追加のアミノ酸を含有する;それは組換えにより生産することができる。
「Fab'断片」は、F(ab')2断片の半分(1本の重鎖と1本の軽鎖)を含む断片を指す。
「Fd'断片」は、F(ab')2断片の1つの重鎖部分を含む抗体の断片を指す。
「Fv'断片」は、抗体分子のVHおよびVLドメインのみを含む断片を指す。
「scFv断片」は、任意の順序でポリペプチドリンカーによって共有結合で連結された、可変軽鎖(VL)と可変重鎖(VH)を含む抗体断片を指す。リンカーは、2つの可変ドメインが実質的な干渉なしに架橋されるような長さである。例示的なリンカーは、溶解性を高めるために全体に分散された数個のGluまたはLys残基を有する(Gly-Ser)n残基である。
ダイアボディは二量体のscFvである;ダイアボディは典型的にはscFvよりも短いペプチドリンカーを有し、それらは優先的に二量体化する。
「hsFv」は、Fab断片中に通常存在する定常ドメインがヘテロ二量体のコイルドコイルドメインで置換された抗体断片を指す(例えば、Arndt et al. (2001) J Mol Biol. 7:312:221-228を参照されたい)。
「超可変領域」、「HVR」または「HV」、ならびに「相補性決定領域」または「CDR」は、配列が超可変性でありかつ/または構造的に規定されたループを形成する、抗体可変ドメインの領域を指すことができる。一般に、抗体は6つの超可変領域またはCDR領域を含む;VHに3つ(H1、H2、H3)、およびVLに3つ(L1、L2、L3)。いくつかの超可変領域またはCDRの記述が使われており、本明細書に包含される。Kabatの相補性決定領域(Kabat CDR)は、配列の多様性に基づいており、最も一般的に使用されている(Kabat et al., Sequences of Proteins of Immunological Interest, 第5版 Public Health Service, National Institutes of Health, Bethesda, Md. (1991))。Chothiaは、代わりに、構造ループの位置を指す(Chothia and Lesk, J. Mol. Biol. 196:901-917 (1987))。AbMの超可変領域は、KabatのCDRとChothiaの構造ループ(Chothia「CDR」)との折衷案を表し、Oxford Molecular社のAbM抗体モデリングソフトウェアによって使用される。「contact」の超可変領域は、利用可能な複合体結晶構造の解析に基づいている。これらの超可変領域のそれぞれに由来する残基を以下に示す。
Figure 2015509091
IMGTは、Lefrace et al., Nucl. Acids, Res. 37; D1006-D1012 (2009)に記載されているように、国際免疫遺伝学情報システム(the international ImMunoGeneTics Information System)を指し、例えば、抗体のIMGT指定CDRを含む。
超可変領域は、以下のような「延長された超可変領域」を含むことができる:VL中の24-36または24-34(L1)、46-56または50-56(L2)および89-97(L3)、ならびにVH中の26-35(H1)、50-65または49-65(H2)および93-102、94-102または95-102(H3)。可変ドメイン残基は、これらの定義のそれぞれについて前出のKabatらに従って番号付けされる。
「フレームワーク」または「FR」残基は、本明細書で定義した超可変領域残基以外の可変ドメイン残基である。「フレームワーク領域(FR)」は、βシート内に位置するフレームワーク残基を含む抗体可変領域ドメイン内のドメインである;FR領域は、それらのアミノ酸配列に関して、超可変領域よりも比較的保存されている。
「モノクローナル抗体」は、実質的に均一な抗体の集団から得られる抗体を指し、すなわち、例えば、その集団を構成する個々の抗体は、モノクローナル抗体の作製中に生じる可能性のある変異体(こうした変異体は一般に少量で存在する)を除いて、同一であり、かつ/または同じエピトープに結合する。このようなモノクローナル抗体には、典型的には、標的に結合するポリペプチド配列を含む抗体が含まれるが、その標的結合ポリペプチド配列は、複数のポリペプチド配列から単一の標的結合ポリペプチド配列を選択することを含むプロセスによって得られたものである。例えば、選択プロセスは、ハイブリドーマクローン、ファージクローンまたは組換えDNAクローンのプールなど、複数のクローンから唯一のクローンを選択することであり得る。当然のことながら、選択された標的結合配列は、例えば、標的に対する親和性を向上させる、標的結合配列をヒト化する、細胞培養におけるその生産を改善する、インビボでのその免疫原性を低減させる、多重特異性抗体を作製するなどのために、さらに改変することができ、改変された標的結合配列を含む抗体もまた、本開示のモノクローナル抗体である。異なる決定基(例えば、エピトープ)に対する異なる抗体を一般に含むポリクローナル抗体調製物とは対照的に、モノクローナル抗体調製物の各モノクローナル抗体は、抗原上の単一の決定基に対するものである。その特異性に加えて、モノクローナル抗体調製物は、概ね他の免疫グロブリンの混入がないという点で有利である。修飾語「モノクローナル」は、実質的に均一な抗体の集団から得られるという抗体の特徴を示しており、特定の方法による抗体の生産を要求するものと解釈されるべきでない。例えば、本開示に従って使用されるモノクローナル抗体は、例えば以下の方法を含む、さまざまな技術によって作製することができる:ハイブリドーマ法(例えば、Kohler et al., Nature, 256:495 (1975); Harlow et al., Antibodies: A Laboratory Manual, (Cold Spring Harbor Laboratory Press, 2nd ed. 1988); Hammerling et al., in: Monoclonal Antibodies and T-Cell Hybridomas 563-681, (Elsevier, N.Y., 1981))、組換えDNA法(例えば、米国特許第4,816,567号参照)、ファージディスプレイ法(例えば、Clackson et al., Nature, 352:624-628 (1991); Marks et al., J. Mol. Biol., 222:581-597 (1991); Sidhu et al., J. Mol. Biol. 338(2):299-310 (2004); Lee et al., J. Mol. Biol. 340(5):1073-1093 (2004); Fellouse, Proc. Nat. Acad. Sci. USA 101(34):12467-12472 (2004); およびLee et al. J. Immunol. Methods 284(1-2):119-132 (2004)参照)、ならびにヒト免疫グロブリン配列をコードするヒト免疫グロブリン遺伝子座または遺伝子の一部または全部を有する動物においてヒトまたはヒト様抗体を産生するための技術(例えば、WO 1998/24893; WO 1996/34096; WO 1996/33735; WO 1991/10741; Jakobovits et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 90:2551 (1993); Jakobovits et al., Nature, 362:255-258 (1993); Bruggemann et al., Year in Immuno., 7:33 (1993); 米国特許第5,545,806号; 第5,569,825号; 第5,591 ,669号; 第5,545,807号; WO 1997/17852; 米国特許第5,545,807号; 第5,545,806号; 第5,569,825号; 第5,625,126号; 第5,633,425号; および第5,661,016号; Marks et al., Bio/Technology, 10: 779-783 (1992); Lonberg et al., Nature, 368: 856-859 (1994); Morrison, Nature, 368: 812-813 (1994); Fishwild et al., Nature Biotechnology, 14: 845-851 (1996); Neuberger, Nature Biotechnology, 14: 826 (1996); およびLonberg and Huszar, Intern. Rev. Immunol., 13: 65-93 (1995)参照)。
非ヒト(例えば、マウス)抗体の「ヒト化」型または「ヒト遺伝子操作(human engineered)」型は、例えば、最小配列が非ヒト免疫グロブリンに由来するものを含む、ヒト免疫グロブリン配列で表されるアミノ酸を含むキメラ抗体である。例えば、ヒト化抗体は、いくつかの超可変領域残基とおそらくはいくつかのFR残基が非ヒト(例えば、げっ歯類)抗体の類似部位に由来する残基によって置換されたヒト抗体とすることができる。あるいは、ヒト化抗体またはヒト遺伝子操作抗体は、いくつかの残基がヒト抗体中の類似部位に由来する残基によって置換されている非ヒト(例えば、げっ歯類)抗体とすることもできる(例えば、米国特許第5,766,886号参照)。ヒト化抗体は、レシピエントの超可変領域に由来する残基が、所望の特異性、親和性、および能力を有するマウス、ラット、ウサギまたは非ヒト霊長類などの非ヒト種(ドナー抗体)の超可変領域に由来する残基によって置換されているヒト免疫グロブリン(レシピエント抗体)を含む。場合によっては、ヒト免疫グロブリンのフレームワーク領域(FR)残基が、対応する非ヒト残基によって置換されている。さらに、ヒト化抗体は、レシピエント抗体にもドナー抗体にも見出されない残基、例えば、ケモカイン、成長因子、ペプチド、サイトカイン、細胞表面タンパク質、血清タンパク質、毒素、細胞外マトリックス、凝固因子、または分泌タンパク質配列などの非抗体配列を含んでもよい。これらの修飾は、抗体の性能をさらに洗練するために行うことができる。ヒト化抗体は、改変された抗体可変ドメインを調製する方法を含めて、例えば米国特許第5,766,886号に記載されているようなヒト遺伝子操作抗体を含む。ヒト化抗体は、超可変ループのすべてまたは実質的にすべてが非ヒト免疫グロブリンのそれに対応し、かつFRのすべてまたは実質的にすべてがヒト免疫グロブリンのそれである、少なくとも1つの、典型的には2つの、可変ドメインの実質的にすべてを含むことができる。ヒト化抗体はまた、任意で、免疫グロブリンの定常領域(Fc)の少なくとも一部、典型的にはヒト免疫グロブリンのそれを含んでもよい。さらなる詳細については、Jones et al., Nature 321:522-525 (1986); Riechmann et al., Nature 332:323-329 (1988); およびPresta, Curr. Op. Struct. Biol. 2:593-596 (1992)を参照されたい。また、本明細書に引用されている以下の総説記事および参考文献を参照されたい:Vaswani and Hamilton, Ann. Allergy, Asthma & Immunol. 1: 105-115 (1998); Harris, Biochem. Soc. Transactions 23:1035-1038 (1995); Hurle and Gross, Curr. Op. Biotech. 5:428-433 (1994)。
「ハイブリッド抗体」は、異なる抗原決定領域を有する抗体に由来する重鎖と軽鎖の対が一緒に組み立てられた免疫グロブリン分子を指し、その結果として得られる四量体によって、2つの異なるエピトープまたは2つの異なる抗原が認識され、かつ結合され得るようになる。
「キメラ」抗体(免疫グロブリン)は、特定の種に由来するかまたは特定の抗体クラスもしくはサブクラスに属する抗体における対応する配列と同一または相同の重鎖および/または軽鎖の一部を有するが、該鎖の残部は、別の種に由来するかまたは別の抗体クラスもしくはサブクラスに属する抗体における対応する配列と同一または相同であり、ならびに所望の生物学的活性を示す限り、このような抗体の断片である(例えば、Morrison et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 81:6851-6855 (1984)を参照されたい)。ヒト化抗体はキメラ抗体のサブセットを指す。
「一本鎖Fv」または「scFv」抗体断片は、抗体のVHおよびVLドメインを含むことができ、その際、これらのドメインは単一のポリペプチド鎖として存在する。一般的に、scFvポリペプチドはさらに、scFvが抗原結合のための所望の構造を形成することを可能にするポリペプチドリンカーを、VHおよびVLドメイン間に含む。scFvの総説に関しては、例えば、Pluckthun, The Pharmacology of Monoclonal Antibodies, vol. 113, Rosenburg and Moore編, Springer-Verlag, New York, pp. 269-315 (1994)を参照されたい。
「抗原」は、抗体が選択的に結合することができる所定の抗原を指す。標的抗原は、ポリペプチド、糖質、核酸、脂質、ハプテン、または他の天然に存在するもしくは合成の化合物であり得る。好ましくは、標的抗原はポリペプチドである。
「エピトープ」または「抗原決定基」は、本明細書中で互換的に用いられ、抗原における、特定の抗体によって認識されて特異的に結合されることが可能な部分を指す。抗原がポリペプチドである場合、エピトープは、連続するアミノ酸と、タンパク質の三次フォールディングによって並置された不連続アミノ酸の両方から形成され得る。連続するアミノ酸から形成されたエピトープは、一般に、タンパク質変性の際に保持されるのに対し、三次フォールディングによって形成されたエピトープは、一般に、タンパク質変性の際に失われる。エピトープは、典型的には、ユニークな空間的コンホメーションで少なくとも3個、通常は少なくとも5個または8〜10個のアミノ酸を含む。抗体は抗原上の同じまたは異なるエピトープに結合することができる。抗体は異なるエピトープビン(epitope bin)に特徴づけることができる。ある抗体が別の抗体(例えば、参照抗体またはベンチマーク抗体)と同じまたは異なるエピトープに結合するかどうかは、アッセイ(例えば、競合結合アッセイ)で抗体間の競合によって決定することができる。
抗体間の競合は、試験用の免疫グロブリンが共通抗原への参照抗体の特異的結合を阻害するアッセイによって測定することができる。競合結合アッセイの多くのタイプが知られており、例えば、以下のアッセイが知られている:固相直接もしくは間接ラジオイムノアッセイ(RIA)、固相直接もしくは間接酵素イムノアッセイまたは酵素結合免疫吸着アッセイ(EIAまたはELISA)、ELISAアッセイを含むサンドイッチ競合アッセイ(Stahli et al., Methods in Enzymology 9:242-253 (1983)参照);固相直接ビオチン-アビジンEIA(Kirkland et al., J. Immunol. 137:3614-3619 (1986)参照);固相直接標識アッセイ、固相直接標識サンドイッチアッセイ(Harlow and Lane, "Antibodies, A Laboratory Manual," Cold Spring Harbor Press (1988)参照);I-125標識を用いる固相直接標識RIA(Morel et al., Molec. Immunol. 25(1):7-15 (1988)参照);固相直接ビオチン-アビジンEIA(Cheung et al., Virology 176:546-552 (1990));ならびに直接標識RIA(Moldenhauer et al., Scand. J. Immunol., 32:77-82 (1990))。競合結合アッセイは、表面プラズモン共鳴(SPR)を用いて、例えば、結合相互作用の速度論的解析のためのBiacore(登録商標)機器により、実施することができる。このようなアッセイでは、未知のエピトープ特異性の極めて長いCDR3を含むヒト化抗体が、比較抗体(例えば、本明細書に記載されているBA1またはBA2抗体)に対して、結合について競合するその能力を評価され得る。アッセイは、固体表面に結合された精製抗原またはこれらのいずれかを保有する細胞、非標識の試験免疫グロブリンおよび標識した参照免疫グロブリンの使用を含み得る。競合阻害は、試験免疫グロブリンの存在下で固体表面または細胞に結合した標識の量を調べることによって測定することができる。通常、試験免疫グロブリンは過剰に存在する。アッセイ(競合用抗体)は、参照抗体と同じエピトープに結合する抗体、および立体障害が起こるために参照抗体により結合されるエピトープに十分近位の隣接エピトープに結合する抗体を含むことができる。通常、競合用抗体が過剰に存在する場合、それは、共通抗原への参照抗体の特異的結合を、少なくとも50%、または少なくとも約70%、または少なくとも約80%、または少なくとも約90%、または少なくとも約95%、または少なくとも約99%、または約100%阻害する。
抗体が「選択的に結合する」または「特異的に結合する」ということは、その抗体が、無関係のタンパク質などの代替物質とよりも頻繁に、迅速に、長い期間で、高い親和性で、または上記のいくつかの組み合わせで、抗原またはエピトープと反応または会合することを意味している。「選択的に結合する」または「特異的に結合する」とは、例えば、抗体がタンパク質に少なくとも約0.1mM、または少なくとも約1μMまたは少なくとも約0.1μMもしくはそれ以上、または少なくとも約0.01μMもしくはそれ以上のKDで結合することを意味しうる。異なる種における相同タンパク質間の配列同一性のため、特異的結合は、複数の種において所定の抗原を認識する抗体を含むことができる。
「非特異的結合」および「バックグラウンド結合」は、抗体とタンパク質またはペプチドの相互作用に関連して用いられる場合、特定の構造の存在に依存しない相互作用を指す(例えば、その抗体は、エピトープなどの特定の構造ではなく、一般的なタンパク質に結合している)。
「ダイアボディ」とは、2つの抗原結合部位を有する小さい抗体断片を指し、該断片は同じポリペプチド鎖(VH-VL)内で軽鎖可変ドメイン(VL)に連結された重鎖可変ドメイン(VH)を含む。同じ鎖上の2つのドメイン間での対形成を可能にするには短すぎるリンカーを用いることで、これらのドメインは別の鎖の相補的ドメインと対形成するほかなく、2つの抗原結合部位を形成するようになる。ダイアボディは、例えば、EP 404,097、WO 93/11161、およびHollinger et. al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 90:6444-6448 (1993)に詳述されている。
「ヒト抗体」は、ヒトによって産生された抗体のアミノ酸配列に対応する該配列を有するもの、および/または本明細書に開示されたヒト抗体を作製する技術のいずれかを使用して作られたものを指す。ヒト抗体のこの定義は特に、非ヒト抗原結合残基を含むヒト化抗体を除外する。
「親和性成熟」した抗体は、改変されていない親抗体と比較して、抗原に対する抗体の親和性の向上をもたらす1つまたは複数の改変を1つまたは複数のCDR中に有するものを指す。好ましい親和性成熟抗体は、標的抗原に対してナノモルまたはピコモルもの親和性をもつことになる。親和性成熟抗体は当技術分野で公知の手順によって作製される。Marks et al., Bio/Technology 10:779-783 (1992)には、VHおよびVLドメインシャッフリングによる親和性成熟が記載されている。CDRおよび/またはフレームワーク残基のランダム変異誘発は、Barbas et al., Proc Nat. Acad. Sci. USA 91:3809-3813 (1994); Schier et al., Gene 169:147-155 (1995); Yelton et al., J. Immunol. 155:1994-2004 (1995); Jackson et al., J. Immunol. 154(7):3310-9 (1995); およびHawkins et al., J. Mol. Biol. 226:889-896 (1992)に記述される。
抗体の「エフェクター機能」は、抗体のFc領域(天然配列のFc領域またはアミノ酸配列変異体のFc領域)に帰せられる生物学的活性を意味し、抗体のアイソタイプによって異なる。抗体のエフェクター機能の例としては、以下が挙げられる:C1qの結合および補体依存性細胞傷害;Fc受容体結合;抗体依存性細胞傷害(ADCC);食作用;細胞表面受容体(例えばB細胞受容体)のダウンレギュレーション;およびB細胞活性化。
「抗体依存性細胞傷害」または「ADCC」は、以下の細胞傷害の形態を意味する:特定の細胞傷害性細胞(例えば、ナチュラルキラー(NK)細胞、好中球、およびマクロファージ)上に存在するFc受容体(FcR)に結合した、分泌されたIgは、これらの細胞傷害性エフェクター細胞が抗原担持標的細胞に特異的に結合し、続いて細胞毒により該標的細胞を死滅させることを可能にする。抗体は細胞傷害性細胞を「武装させ(arm)」、このような死滅には絶対に必要である。ADCCを媒介するための一次細胞であるNK細胞はFcγRIIIのみを発現するのに対して、単球はFcγRI、FcγRIIおよびFcγRIIIを発現する。造血細胞上のFcR発現は、Ravetch and Kinet, Annu. Rev. Immunol 9:457-92 (1991)の464ページの表3に概要が示されている。関心対象の分子のADCC活性を評価するために、インビトロADCCアッセイを実施することができる。このようなアッセイに有用なエフェクター細胞としては、末梢血単核細胞(PBMC)およびナチュラルキラー(NK)細胞が挙げられる。あるいは、またはさらに、関心対象の分子のADCC活性は、例えばClynes et al. Proc. Natl. Acad. Sci. USA 95:652-656 (1998)に開示されるような動物モデルにおいて、インビボで評価することができる。
「ヒトエフェクター細胞」は、1つまたは複数のFcRを発現しかつエフェクター機能を果たす白血球である。好ましくは、該細胞は少なくともFcγRIIIを発現して、ADCCエフェクター機能を果たす。ADCCを媒介するヒト白血球の例としては、末梢血単核細胞(PBMC)、ナチュラルキラー(NK)細胞、単球、細胞傷害性T細胞および好中球が挙げられる;PBMCおよびNK細胞が好適である。エフェクター細胞は、天然の供給源から、例えば血液から、単離することができる。
「Fc受容体」または「FcR」は、抗体のFc領域に結合する受容体のことである。好ましいFcRは天然配列ヒトFcRである。さらに、好ましいFcRは、IgG抗体(ガンマ受容体)に結合するものであり、FcγRI、FcγRIIおよびFcγRIIIサブクラスの受容体が、これらの受容体の対立遺伝子変異体および選択的スプライシング型を含めて、含まれる。FcγRII受容体はFcγRIIA(「活性化受容体」)およびFcγRIIB(「阻害受容体」)を含み、これらは主にその細胞質ドメインにおいて異なる、同様のアミノ酸配列を有する。活性化受容体FcγRIIAは、その細胞質ドメインに免疫受容体チロシンベース活性化モチーフ(ITAM)を含む。阻害受容体FcγRIIBは、その細胞質ドメインに免疫受容体チロシンベース阻害モチーフ(ITIM)を含む(M. in Daeron, Annu. Rev. Immunol. 15:203-234 (1997)を参照されたい)。FcRは、Ravetch and Kinet, Annu. Rev. Immunol 9:457-92 (1991 ); Capel et al., Immunomethods 4:25-34 (1994); およびde Haas et al., J. Lab. Clin. Med. 126:330-41 (1995)に概説される。他のFcRは、今後同定されるものを含めて、本明細書中の用語「FcR」に包含される。この用語はまた、新生児受容体FcRnを含み、これは母親のIgGの胎児への移行を担っており(Guyer et al., J. Immunol. 117:587 (1976)およびKim et al., J. Immunol. 24:249 (1994))、かつ免疫グロブリンのホメオスタシスを調節している。例えば、FcRへの結合が改善されたまたは低下した抗体変異体が記載されている(例えば、Shields et al. J. Biol. Chem. 9(2): 6591-6604 (2001)を参照されたい)。
FcRnへの結合を測定する方法は知られている(例えば、Ghetie 1997, Hinton 2004を参照されたい)。ヒトFcRn高親和性結合ポリペプチドのインビボでのヒトFcRnへの結合および血清半減期は、例えば、ヒトFcRnを発現するトランスジェニックマウスまたはトランスフェクトされたヒト細胞株において、あるいはFc変異体ポリペプチドを投与された霊長類において、アッセイすることができる。
「補体依存性細胞傷害」または「CDC」は、補体の存在下で標的細胞を溶解することを意味する。古典的補体経路の活性化は、コグネイト抗原に結合している(適切なサブクラスの)抗体への補体系の第1成分(C1q)の結合によって開始される。補体活性化を評価するために、例えばGazzano-Santoro et al., J. Immunol. Methods 202:163 (1996)に記載されているような、CDCアッセイを実施することができる。
改変されたFc領域アミノ酸配列を有しかつC1q結合能を増加または低下させたポリペプチド変異体は記載されている(例えば、さらにIdusogie et al. J. Immunol. 164: 4178-4184 (2000)を参照されたい)。
「Fc領域含有ポリペプチド」は、Fc領域を含む、抗体またはイムノアドヘシン(下記の定義を参照のこと)などの、ポリペプチドを指す。Fc領域のC末端リジン(EU番号付けシステムによれば残基447)は、例えば、ポリペプチドの精製中に、またはポリペプチドをコードする核酸を組換え操作することによって、除去することができる。
「ブロッキング」抗体または「アンタゴニスト」抗体は、それが結合する抗原の生物学的活性を阻害または減少させるものを指す。好適なブロッキング抗体またはアンタゴニスト抗体は、抗原の生物学的活性を実質的にまたは完全に阻害する。
「アゴニスト」抗体は、関心対象のポリペプチドの機能的活性の少なくとも1つを(例えば、部分的にまたは完全に)模倣する抗体を指す。
「アクセプターヒトフレームワーク」は、ヒト免疫グロブリンフレームワークに由来するか、またはヒトコンセンサスフレームワークに由来する、VLまたはVHフレームワークのアミノ酸配列を含むフレームワークを指す。ヒト免疫グロブリンフレームワークまたはヒトコンセンサスフレームワーク「に由来する」アクセプターヒトフレームワークは、同じそのアミノ酸配列を含んでもよく、既存のアミノ酸配列改変を含んでもよい。既存のアミノ酸改変が存在する場合、好ましくはせいぜい5個の、好ましくは4個以下の、または3個以下の、既存のアミノ酸改変が存在する。
「ヒトコンセンサスフレームワーク」は、ヒト免疫グロブリンVLまたはVHフレームワーク配列の選択において最も共通して存在するアミノ酸残基を表すフレームワークを指す。一般に、ヒト免疫グロブリンVLまたはVH配列の選択は、可変ドメイン配列のサブグループからである。一般的には、配列のサブグループは、Kabat et al., Sequences of Proteins of Immunological Interest, 第5版, NIH Publication 91-3242, Bethesda Md. (1991), vols. 1-3に見られるようなサブグループである。一態様において、VLでは、そのサブグループは、前出のKabatらに見られるような、サブグループκIである。一態様において、VHでは、そのサブグループは、前出のKabatらに見られるような、サブグループIIIである。
「障害」または「疾患」は、物質/分子(例えば、本明細書に開示される極めて長いCDR3を含むヒト化抗体)または本明細書に開示される方法で治療することによって利益を得る任意の症状を指す。これには、問題の疾患に哺乳動物をかかりやすくする病的状態を含めて、慢性および急性の障害または疾患が含まれる。
「治療」は、治療される個体または細胞の自然経過を改変するための臨床的介入を指し、予防のためにまたは臨床病理の経過中に実施することができる。望ましい治療効果には、以下が含まれる:疾患の発生または再発の予防、症状の緩和、疾患の直接的または間接的な病理学的結果の軽減、転移の予防、疾患進行速度の減少、疾患状態の改善または軽減、および寛解または予後の改善。いくつかの態様において、本明細書に開示される抗体は、疾患または障害の発症を遅延させるために使用される。
「個体」(例えば、「対象」)は、脊椎動物、好ましくは哺乳動物、より好ましくはヒトを指す。哺乳動物としては、農場動物(例えば、ウシ)、競技用動物、ペット(例えば、ネコ、イヌおよびウマ)、霊長類、マウスおよびラットが挙げられるが、これらに限定されない。
治療の目的のための「哺乳動物」は、ヒト、げっ歯類(例えば、マウスおよびラット)、およびサル;家畜・農場動物;ならびに動物園、スポーツ、実験室、またはペット用の動物、例えば、イヌ、ネコ、ウシ、ウマ、ヒツジ、ブタ、ヤギ、ウサギなどを含めて、哺乳動物として分類される任意の動物を指す。いくつかの態様では、哺乳動物はヒト、げっ歯類、またはサルから選択される。
「薬学的に許容される」とは、連邦または州政府の規制当局によって承認されたまたは承認見込みであること、あるいは米国薬局方またはヒトを含む動物での使用のための他の一般に認められた薬局方に掲載されていることを意味する。
「薬学的に許容される塩」は、薬学的に許容されかつ親化合物の所望の薬理活性を保持している化合物の塩を指す。
「薬学的に許容される賦形剤、担体またはアジュバント」は、本開示の少なくとも1種の抗体と共に対象に投与することができ、その薬理活性を破壊せずかつ該化合物の治療量を送達するのに十分な用量で投与したとき非毒性である、賦形剤、担体またはアジュバントを指す。
「薬学的に許容されるビヒクル」とは、本開示の少なくとも1種の抗体と共に投与される希釈剤、アジュバント、賦形剤または担体を指す。
「予後を提供する」、「予後情報」または「予兆情報」とは、対象者の将来の健康状態(例えば、予想される罹患率または死亡率、癌になる可能性、および転移のリスク)に及ぼす癌の存在(例えば、本開示の診断法により判定される)の影響に関する、例えば対象者の腫瘍中の癌細胞の存在を含む、情報を提供することを意味する。
「治療する」もしくは「治療」もしくは「治療するために」または「緩和する」もしくは「緩和するために」などの用語は、1)診断された病的状態もしくは障害の症状を治す、抑制する、軽くする、および/またはその進行を止める治療的手段と、2)標的とする病的状態もしくは障害の発症を予防するおよび/または遅らせる予防的または未然防止的手段の両方を指す。したがって、治療を必要とするものには、既に障害を有するもの、障害を起こしやすいもの、および障害を予防しようとするものが含まれる。
「診断を提供する」または「診断情報」とは、患者に疾患や症状があるかどうかを判定するのに有用であり、かつ/または疾患や症状を表現型のカテゴリーに、または疾患や症状の予後もしくはその治療(一般的な治療または特別な治療のいずれか)への予想される応答に関して重要な意味をもつ任意のカテゴリーに分類するのに有用である、例えば癌細胞の存在を含む、任意の情報を指す。同様に、診断は、以下を含むがこれらに限定されない、任意のタイプの診断情報を提供することを指す:対象者が疾患(腫瘍など)をもつ可能性があるかどうか、対象者の腫瘍が癌幹細胞を含むかどうか、例えば高リスク腫瘍もしくは低リスク腫瘍としての腫瘍の性質または分類に関する情報、予後に関する情報、および/または適切な治療を選択するのに有用な情報。治療の選択は、特定の化学療法剤または手術もしくは放射線などの他の治療法の選択、あるいは治療を控えるか、実行するかどうかについての選択を含むことができる。
「ヒトコンセンサスフレームワーク」は、ヒト免疫グロブリンVLまたはVHフレームワーク配列の選択において最も共通して存在するアミノ酸残基を表すフレームワークを指す。一般に、ヒト免疫グロブリンVLまたはVH配列の選択は、可変ドメイン配列のサブグループからである。一般的には、配列のサブグループは、Kabat et al., Sequences of Proteins of Immunological Interest, 第5版, NIH Publication 91-3242, Bethesda Md. (1991), vols. 1-3に見られるようなサブグループである。一態様において、VLでは、そのサブグループは、前出のKabatらに見られるような、サブグループκIである。一態様において、VHでは、そのサブグループは、前出のKabatらに見られるような、サブグループIIIである。
本明細書での目的のための「アクセプターヒトフレームワーク」は、以下で定義するように、ヒト免疫グロブリンフレームワークまたはヒトコンセンサスフレームワークに由来する軽鎖可変ドメイン(VL)フレームワークまたは重鎖可変ドメイン(VH)フレームワークのアミノ酸配列を含むフレームワークを指す。ヒト免疫グロブリンフレームワークまたはヒトコンセンサスフレームワーク「に由来する」アクセプターヒトフレームワークは、同じそのアミノ酸配列を含んでもよく、またはそれはアミノ酸配列の改変を含んでもよい。いくつかの態様では、アミノ酸改変の数は10以下、9以下、8以下、7以下、6以下、5以下、4以下、3以下、または2以下である。いくつかの態様では、VLアクセプターヒトフレームワークは、VLヒト免疫グロブリンフレームワーク配列またはヒトコンセンサスフレームワーク配列と配列において同一である。
「抗原結合部位」は、1つまたは複数の相補性決定領域により形成された接触面を指す。抗体分子は2つの抗原結合部位を有し、それぞれが重鎖可変領域の部分と軽鎖可変領域の部分を含む。抗原結合部位は、CDRに加えて、可変領域ドメインの他の部分を含むことができる。
「抗体軽鎖」または「抗体重鎖」は、それぞれVLまたはVHを含むポリペプチドを指す。VLは、ミニ遺伝子V(可変部)およびJ(結合部)によってコードされ、VHは、ミニ遺伝子V、D(多様部)、およびJによってコードされる。VLまたはVHの各々は、CDRならびにフレームワーク領域を含む。本出願では、抗体軽鎖および/または抗体重鎖は、時に、まとめて「抗体鎖」と呼ぶことができる。当業者には容易に認識されるように、これらの用語はVLまたはVHの基本構造を破壊しない突然変異を含む抗体鎖を包含する。
「天然の抗体」は、さまざまな構造を有する天然の免疫グロブリン分子を指す。例えば、天然のIgG抗体は、ジスルフィド結合された2本の同一の軽鎖と2本の同一の重鎖からなる、約150,000ダルトンのヘテロ四量体糖タンパク質である。N末端からC末端へ、各重鎖は、可変重鎖ドメインまたは重鎖可変ドメインとも呼ばれる可変領域(VH)と、これに続く3つの定常ドメイン(CH1、CH2、およびCH3)を有する。同様に、N末端からC末端へ、各軽鎖は、可変軽鎖ドメインまたは軽鎖可変ドメインとも呼ばれる可変領域(VL)と、これに続く定常軽鎖(CL)ドメインを有する。抗体の軽鎖は、その定常ドメインのアミノ酸配列に基づいて、κ(K)およびλ(K)と呼ばれる2つのタイプのうちの1つに割り当てることができる。
「コンビナトリアルライブラリー」は、ビルディングブロックの入れ替えに基づいて化合物のコレクションを生成するために、交換可能な化学的「ビルディングブロック」の異なる組み合わせを反応させることにより形成された化合物のコレクションを指す。抗体のコンビナトリアルライブラリーについては、ビルディングブロックは、抗体が形成される成分V、D、およびJ領域(またはその改変形態)である。本明細書での目的のために、用語「ライブラリー」または「コレクション」は互換的に使用される。
「コンビナトリアル抗体ライブラリー」は、抗体がV、DおよびJ遺伝子セグメント、特にヒトV、DおよびJ生殖細胞系列セグメント、の組み合わせによって生成された核酸分子によりコードされる、抗体(例えば、Fabなどのその一部)のコレクションを指す。本明細書におけるコンビナトリアルライブラリーは、典型的には、少なくとも50の異なる抗体(または抗体部分もしくは断片)メンバーを含み、通常は約50、100、500、103、1×103、2×103、3×103、4×103、5×103、6×103、7×103、8×103、9×103、1×104、2×104、3×104、4×104、5×104、6×104、7×104、8×104、9×104、1×105、2×105、3×105、4×105、5×105、6×105、7×105、8×105、9×105、106、107、108、109、1010、またはそれより多い異なるメンバーを含む。得られた抗体もしくはその一部のライブラリーまたはコレクションは、標的タンパク質への結合または機能活性の調節についてスクリーニングすることができる。
「ヒトコンビナトリアル抗体ライブラリー」は、各メンバーが、本明細書に記載されているように産生されたヒト生殖細胞系列セグメントを含む核酸によってコードされるVLおよびVH鎖、または抗原結合部位を形成するのに十分なその一部を含む、抗体またはその一部のコレクションを指す。
「可変生殖細胞系列セグメント」は、V、DおよびJグループ、サブグループ、遺伝子またはその対立遺伝子を指す。遺伝子セグメント配列は、例えば、以下の公知のデータベースからアクセス可能である:国立生物工学情報センター(National Center for Biotechnology Information: NCBI)、国際免疫遺伝学情報システム(the international ImMunoGeneTics information system(登録商標): IMGT)、KabatデータベースおよびTomlinson's Vbaseデータベース(Lefranc (2003) Nucleic Acids Res., 31:307-310; Martin et al., Bioinformatics Tools for Antibody Engineering in Handbook of Therapeutic Antibodies, Wiley-VCH (2007), pp. 104-107)。表3〜5は、代表的なヒト可変生殖細胞系列セグメントを示す。生殖細胞系列セグメントである、代表的なVH、DH、JH、Vκ、Jκ、Vλおよび/またはJλの配列は、配列番号10〜451および868に記載されている。本明細書での目的のために、生殖細胞系列セグメントは、前記方法の実施を可能にするために本明細書に提供される配列編集の規則に従って改変された、その改変配列を含む。例えば、生殖細胞系列遺伝子セグメントには、配列番号10〜451、868に記載のヌクレオチド配列のいずれかと比較して、5'もしくは3'末端に1つのアミノ酸欠失または挿入を含むものが含まれる。
「編集(compilation)」、「編集する」、「組み合わせる」、「組み合わせ」、「再配置する」、「再配置」、または他の類似の用語もしくはその文法上の変形は、生殖細胞系列セグメントを、遺伝子を表す核酸配列へと順序付けるかまたは組み立てるプロセスをいう。例えば、可変重鎖生殖細胞系列セグメントは、VHセグメントがDHセグメントに対して5'側であり、該DHセグメントがJHセグメントに対して5'側であり、それによってVH鎖をコードする核酸配列を生じるように、組み立てられる。可変軽鎖生殖細胞系列セグメントは、VLセグメントがJLセグメントに対して5'側であり、それによってVL鎖をコードする核酸配列を生じるように、組み立てられる。また、定常遺伝子セグメントを、VHまたはVL鎖をコードする核酸の3'末端に組み立てることが可能である。
生殖細胞系列セグメントに関して「連結された」もしくは「連結」またはその他の文法上の変形は、生殖細胞系列セグメントの結合を指す。連結は直接的もしくは間接的であり得る。生殖細胞系列セグメントをセグメント間に追加のヌクレオチドなしで直接連結したり、追加のヌクレオチドを付加してセグメント全体をインフレーム(in-frame)にしたり、またはヌクレオチドを欠失させて得られるセグメントをインフレームにすることが可能である。当然のことながら、リンカーヌクレオチドの選択は、得られる核酸分子がインフレームであって、機能的かつ生産的な抗体をコードするように行われる。
ヒト生殖細胞系列セグメントの連結に関して「インフレーム」または「インフレームで連結された」は、得られる核酸分子を5'開始コドン(ATG)とインフレームにするために結合部でヌクレオチド生殖細胞系列セグメント中に挿入および/または欠失が存在し、それによって「生産的」または「機能的」な全長ポリペプチドを生産することを意味する。特にさまざまなVD、DJおよびVJセグメントを結合する結合部において、生殖細胞系列セグメントに挿入されるかまたは当該セグメントから欠失されるヌクレオチドの選択は、V(D)J結合部形成のための本明細書中の方法で提供される規則に従う。例えば、生殖細胞系列セグメントは、VHセグメントがDHセグメントに対して5'側であり、該DHセグメントがJHセグメントに対して5'側であるように組み立てられる。VHおよびDHセグメントをつなぐ結合部とDHおよびJHセグメントをつなぐ結合部では、ヌクレオチドが個々のVH、DHもしくはJHセグメントに挿入されるか、またはこれから欠失され、その結果として得られる、結合されたVDJセグメントを含む核酸分子は、5'開始コドン(ATG)とインフレームになる。
抗体の一部には、抗原結合部位を形成するのに十分なアミノ酸が含まれる。
「リーディングフレーム」は、DNAまたはRNA中の3ヌクレオチドコドンの連続する非重複セットを指す。3コドンが1つのアミノ酸をコードするので、所与のヌクレオチド配列のための3つの可能なリーディングフレーム、リーディングフレーム1、2または3が存在する。例えば、配列ACTGGTCAは、リーディングフレーム1についてはACT GGT CA、リーディングフレーム2についてはA CTG GTC A、リーディングフレーム3についてはAC TGG TCAとなる。一般的に、本明細書に記載の方法を実施するために、核酸配列は、V配列がリーディングフレーム1を有するように組み合わされる。
「終止コドン」は、翻訳中にタンパク質合成の停止を知らせる3ヌクレオチド配列を指すか、またはアンバー終止コドン(UAGまたはTAG)、オーカー終止コドン(UAAまたはTAA)、およびオパール終止コドン(UGAまたはTGA)を含めて、その配列をコードする任意の配列(例えば、RNA終止コドン配列をコードするDNA配列)を指す。終止コドンは、あらゆる細胞またはあらゆる生物において翻訳の終了を知らしめる必要はない。例えば、アンバーサプレッサー株および部分的アンバーサプレッサー株などの、サプレッサー株宿主細胞では、1つまたは複数の終止コドン(例えば、アンバーサプレッサー株ではアンバー終止コドン)を介して、少なくとも一時期、翻訳が進行する。
「可変重(VH)」鎖または「可変軽(VL)」鎖(VHドメインまたはVLドメインとも呼ばれる)は、抗体の可変ドメインを構成するポリペプチド鎖を指す。本明細書での目的のために、重鎖生殖細胞系列セグメントはVH、DHおよびJHとして指定され、その編集はVH鎖をコードする核酸をもたらす。軽鎖生殖細胞系列セグメントは、VLまたはJLとして指定され、かつκおよびλ軽鎖を含み(VκおよびJκ;VλおよびJλ)、その編集はVL鎖をコードする核酸をもたらす。軽鎖はκ軽鎖またはλ軽鎖のいずれかであり、VκおよびJλの編集によるκ/λの組み合わせを含まないことが理解される。
「縮重コドン」は、親ヌクレオチド配列におけるコドンと同じアミノ酸を指定する3ヌクレオチドコドンを指す。当業者は遺伝コードの縮重に精通しており、縮重コドンを識別することができる。
コレクション内のメンバーに関して「多様性」とは、コレクション内のユニークなメンバーの数を指す。したがって、多様性は、そのコレクションの類似するポリペプチドメンバー間で、それぞれ、異なるアミノ酸配列または核酸配列の数を指す。例えば、104の多様性を有するポリヌクレオチドのコレクションは、類似するポリヌクレオチドメンバー間に104の異なる核酸配列を含む。一例では、ポリヌクレオチドおよび/またはポリペプチドの提供されたコレクションは、少なくとも約102、103、104、105、106、107、108、109、1010またはそれより多い多様性を有する。
「配列多様性」は、核酸配列類似性の表現を指し、配列アライメント、多様性スコア、および/または配列クラスタリングを用いて決定される。任意の2つの配列は、それらの配列を並置させ、該配列の長さに沿ってあらゆる位置でヌクレオチド同士の差異を解析することによって、アライメントすることができる。配列アライメントは、核酸および/またはタンパク質配列を比較するためのNCBIツールであるBasic Local Alignment Search Tool (BLAST)を用いてインシリコ(in silico)で評価することができる。配列アライメントのためのBLASTの使用は、当業者によく知られている。Blast検索アルゴリズムは2つの配列を比較し、各マッチの統計的有意性を算出する(Blastスコア)。互いに最も類似する配列は高いBlastスコアを有するのに対して、最も変化に富んだ配列は低いBlastスコアをもつことになる。
「ポリペプチドドメイン」は、構造的および/または機能的に区別または範囲を定めることができるポリペプチドの一部分(3個以上、一般的には5個または7個以上のアミノ酸の配列)を指す。ポリペプチドドメインの例は、1つまたは複数の構造モチーフ(例えば、ループ領域により連結されたαへリックスおよび/またはβ鎖の組み合わせ)で構成されたポリペプチド内に独立して折りたたまれた構造を形成することができ、かつ/または酵素活性もしくは抗原結合などの特定の機能活性によって認識されるポリペプチドの一部分である。ポリペプチドは、1つのドメイン、一般的には複数の異なるドメインをもつことができる。例えば、ポリペプチドは、1つまたは複数の構造ドメインおよび1つまたは複数の機能的ドメインをもつことができる。単一のポリペプチドドメインは構造および機能に基づいて区別され得る。ドメインはアミノ酸の連続線状配列を包含することができる。あるいは、ドメインは、ポリペプチドのアミノ酸の線状配列に沿って不連続である、不連続アミノ酸部分を複数含むことができる。典型的には、ポリペプチドは複数のドメインを含む。例えば、抗体分子の各重鎖および各軽鎖は、それぞれ約110アミノ酸長の、複数の免疫グロブリン(Ig)ドメインを含む。
「Igドメイン」は、それぞれがループで連結されたアミノ酸の逆平行β鎖を含む、2つのβプリーツシートを含有する、免疫グロブリン(Ig)フォールドと呼ばれる構造によって区別される、当業者によってそのように認識されたドメインを指す。Igフォールド内の2つのβシートは、疎水性相互作用および保存された鎖内ジスルフィド結合によって一緒に挟まれている。抗体鎖内の個々の免疫グロブリンドメインは、機能に基づいてさらに区別することができる。例えば、軽鎖は1つの可変領域ドメイン(VL)と1つの定常領域ドメイン(CL)を含み、一方、重鎖は1つの可変領域ドメイン(VH)と3つまたは4つの定常領域ドメイン(CH)を含む。各VL、CL、VHおよびCHドメインは免疫グロブリンドメインの例である。
抗体に関して「可変ドメイン」とは、異なる抗体間で異なるアミノ酸の配列を含む抗体重鎖または軽鎖の特定のIgドメインを指す。各軽鎖および各重鎖は、1つの可変領域ドメイン(VL、および、VH)を有する。可変ドメインは抗原特異性を提供し、したがって抗原認識に関与している。各可変領域は、抗原結合部位ドメインの一部であるCDRおよびフレームワーク領域(FR)を含有する。
「定常領域ドメイン」は、可変領域ドメインよりも抗体間で比較的保存されたアミノ酸配列を含む抗体重鎖または軽鎖のドメインを指す。各軽鎖は単一の軽鎖定常領域(CL)ドメインを有し、各重鎖は1つまたは複数の重鎖定常領域(CH)ドメインを含み、CH1、CH2、CH3およびCH4が含まれる。全長IgA、IgDおよびIgGアイソタイプはCH1、CH2、CH3およびヒンジ領域を含み、一方IgEおよびIgMはCH1、CH2、CH3およびCH4を含む。CH1およびCLドメインは抗体分子のFabアームを延長し、かくして抗原との相互作用および抗体アームの回転に寄与する。抗体の定常領域は、限定するものではないが、例えば種々の細胞、生体分子および組織との相互作用を介して、抗体が特異的に結合する抗原、病原体および毒素のクリアランスといった、エフェクター機能を果たすことができる。
「抗体または抗原結合部位を形成するのに十分なその一部」とは、抗体またはその一部が、全6つのCDRを含む対応する全長抗体の結合特異性の少なくとも一部を保持するのに十分なVHおよびVLの少なくとも1つまたは2つ、典型的には3つ、4つ、5つまたは全6つのCDRを含むことを意味する。一般的に、十分な抗原結合部位は、少なくとも重鎖のCDR3(CDRH3)を必要とする。それは典型的には軽鎖のCDR3(CDRL3)をさらに必要とする。本明細書に記載されているように、当業者は、KabatまたはChothiaの番号付けに基づいてCDRを識別および特定することができる(例えば、Kabat, E.A. et al. (1991 ) Sequences of Proteins of Immunological Interest, 第5版, U.S. Department of Health and Human Services, NIH Publication No. 91-3242;およびChothia, C. et al. (1987) J. Mol. Biol. 196:901-917を参照されたい)。例えば、Kabatの番号付けに基づくと、CDR-L1は残基L24-L34に対応し;CDR-L2は残基L50-L56に対応し;CDR-L3は残基L89-L97に対応し;CDR-H1は長さに応じて残基H31-H35、35aまたは35bに対応し;CDR-H2は残基H50-H65に対応し;かつCDR-H3は残基H95-H102に対応する。
「ペプチド模倣体」は、ポリペプチドの活性を模倣するペプチドを指す。例えば、エリスロポエチン(EPO)ペプチド模倣体は、例えばEPO受容体の結合および活性化のために、Epoの活性を模倣するペプチドである。
「アドレス」は、コレクション内の各位置についての一意の識別子(unique identifier)を指し、それによってアドレス指定されたメンバー(例えば、抗体)を識別することができる。アドレス指定された成分は、その位置または場所によって識別することができるものである。アドレス指定は、例えばマイクロプレートのウェルなどの、表面上の位置によって行うことができる。例えば、F9であるマイクロウェルプレート中のタンパク質のアドレスは、そのタンパク質がマイクロウェルプレートのF行、9列に位置していることを意味する。アドレス指定はまた、他の識別子、例えば、バーコードもしくは他のコードで符号化されたタグ、化学タグ、電子タグ、例えばRFタグ、色分けされたタグ、または他のそのような識別子によって行うことができる。
「アレイ」は、3つ以上のメンバーを含む、抗体などの要素のコレクションを指す。
「空間アレイ」は、メンバーが分離されているかまたはアレイ内の異なる空間を占有している場合のアレイを指す。それゆえ、空間アレイはアドレス指定可能なアレイの1つのタイプである。空間アレイの例にはマイクロタイタープレートが含まれ、ここではプレートの各ウェルがアレイでのアドレスとなる。空間アレイは、複数の異なる分子、例えばポリペプチドが、保持されている、提示されている、位置付けされている、配置されている、または支持されている、任意の配置(arrangement)を含む。アレイは、マイクロタイタープレート、例えば、48ウェル、96ウェル、144ウェル、192ウェル、240ウェル、288ウェル、336ウェル、384ウェル、432ウェル、480ウェル、576ウェル、672ウェル、768ウェル、864ウェル、960ウェル、1056ウェル、1152ウェル、1248ウェル、1344ウェル、1440ウェル、もしくは1536ウェルのプレート、チューブ、スライド、チップ、フラスコ、または他のいずれかの適切な実験器具を含むことができる。さらに、アレイは複数のサブアレイを含むことができる。複数のサブアレイは、ポリペプチドを位置決めするために2つ以上の配置が使用されるアレイを包含する。例えば、多数の96ウェルプレートは、複数のサブアレイおよび単一のアレイを構成し得る。
「アドレス指定可能なライブラリー」または「空間的にアドレス指定されたライブラリー」は、核酸分子または抗体のようなタンパク質物質などの分子のコレクションを指し、該コレクションの各メンバーは、そのアドレスのおかげで識別可能である。
「アドレス指定可能なアレイ」は、アレイのメンバーがそのアドレス、マイクロタイタープレートのウェルなどの空間アレイ内もしくは固相支持体上の位置によって、または識別可能もしくは検出可能な標識によって、例えば、色、蛍光、電子信号(すなわち、RF、マイクロ波、または対象となる分子の相互作用を実質的に変化させない他の周波数)、バーコードもしくは他のコード、化学標識または他のそのような標識によって、識別可能であるものを指す。したがって、一般的には、アレイのメンバーは、固相の表面上の識別可能な位置に配置されるか、または識別可能な標識に直接もしくは間接的に連結されるかもしくは他の方法で結合され、例えば、マイクロスフェアもしくは他の粒状支持体(本明細書ではビーズと呼ばれる)に固定されて、溶液中に浮遊されるか、または表面上に広げられる。
「アドレス指定可能なコンビナトリアル抗体ライブラリー」は、メンバーの抗体が識別可能であり、空間アレイ内もしくは固相支持体上の位置、または化学的タグもしくはRFタグなどの、同じ識別子をもつすべての抗体が、同じ抗原に結合し、かつ一般にアミノ酸配列において実質的に同一である、抗体のコレクションを指す。本明細書での目的のために、「アドレス指定可能なアレイ化コンビナトリアル抗体ライブラリー」への言及は、抗体メンバーがアレイにおいてアドレス指定されていることを意味する。
「インシリコ」は、コンピュータを用いて実施した研究および実験を指す。インシリコ方法には、限定するものではないが、分子モデリング研究、生体分子ドッキング実験、ならびに分子相互作用などの分子構造および/またはプロセスの仮想表現が含まれる。本明細書での目的のために、ライブラリーの抗体メンバーは、コンピュータへの入力の中から成分V、DおよびJ生殖細胞系列セグメントを選択し、それらをインフレームで結合して合成用の核酸分子のリストを出力するコンピュータプログラムを用いて、設計することができる。したがって、本明細書で提供されるコレクションまたはライブラリー中の抗体の成分の組み換えは、そうするための規則を含むソフトウェアに従って各ビルディングブロックのヌクレオチド配列を組み合わせることにより、インシリコで行うことができる。このプロセスは、コンピュータを使わずに手動で行うことができるが、コンピュータはスピードの利便性を提供する。
「データベース」は、データ項目の集合を指す。本明細書での目的のために、データベースへの言及は、一般的に、抗体遺伝子および配列についての配列および構造情報の集合を提供する抗体データベースに関係する。代表的な抗体データベースとしては、限定するものではないが、IMGT(登録商標)、国際免疫遺伝学情報システム(the international ImMunoGeneTics information system)(imgt.cines.fr;例えば、Lefranc et al. (2008) Briefings in Bioinformatics, 9:263-275参照)、国立生物工学情報センター(National Center for Biotechnology Information: NCBI)、KabatデータベースおよびTomlinson's VBaseデータベース(Lefranc (2003) Nucleic Acids Res., 31:307-310; Martin et al., Bioinformatics Tools for Antibody Engineering in Handbook of Therapeutic Antibodies, Wiley-VCH (2007), pp. 104-107)が挙げられる。また、データベースは、任意の所望の配列を含むように、ユーザが作成することもできる。データベースは、配列が所望のフォーマット(例えば、特定のリーディングフレームで;終止コドンを欠く;シグナル配列を欠く)で入力されるように作成することができる。データベースはまた、抗体配列に加えて配列を含むように作成することができる。
「スクリーニング」とは、抗体もしくはその一部の活性または性質の測定に基づいて、抗体および/もしくはその一部のコレクションまたはライブラリーから、ある抗体もしくはその一部を同定または選択することをいう。スクリーニングは、さまざまな方法のいずれかで行うことができ、例えば、標的タンパク質への抗体の直接結合(例えば、結合親和性)を評価するアッセイ、または標的タンパク質の活性の調節を評価する機能的アッセイなどによって行うことができる。
「標的タンパク質に対する活性」とは、結合特異性および/もしくは標的タンパク質の機能的活性の調節、または標的タンパク質に対する抗体もしくはその一部の活性を反映する他の測定を指す。
「標的タンパク質」は、抗体もしくはその一部によって特異的に認識され、かつ/またはその活性が抗体もしくはその一部によって調節される、候補タンパク質またはペプチドを指す。標的タンパク質には、抗体認識のためのエピトープを含む任意のペプチドまたはタンパク質が含まれる。標的タンパク質には、発現または活性によって疾患または障害の病因に関与しているタンパク質が含まれる。例示的な標的タンパク質は本明細書に記載されている。
「ヒット」は、スクリーニングアッセイにおいて活性を有するとして同定された、認識された、または選択された抗体またはその一部を指す。
スクリーニングに関して「反復」とは、その活性が最適化されるかまたは以前の反復に比べて改善される「ヒット」が同定されるまで、スクリーニングが複数回、例えば2回、3回、4回、5回、またはそれより多く繰り返されることを意味する。
「ハイスループット」は、多数の分子または化合物、一般的には何十何百何千という化合物、の操作を可能にする大規模な方法またはプロセスを指す。例えば、精製およびスクリーニング方法をハイスループットにすることが可能である。ハイスループット法は手動で実施することができる。しかし、一般的に、ハイスループット法では自動化、ロボットまたはソフトウェアが必要である。
基本局所配列検索ツール(Basic Local Alignment Search Tool: BLAST)は、例えば、配列同一性に基づいて、タンパク質またはDNAデータベースを個別に検索するための、Altschul et al. (1990)によって開発された検索アルゴリズムである。例えば、blastnは、ヌクレオチド配列データベース(例えばGenBank)に対してヌクレオチドクエリー配列を比較するプログラムである。BlastPは、タンパク質配列データベースに対してアミノ酸クエリー配列を比較するプログラムである。
BLASTビットスコア(bit score)は、それぞれのアライメントした配列に関連するギャップおよび置換の数から算出された値である。このスコアが高いほど、アライメントはより有意である。
「ヒトタンパク質」は、そのすべての対立遺伝子変異体および保存的変異を含めて、ヒトのゲノムに存在するDNAのような核酸分子によってコードされたタンパク質を指す。タンパク質の変異体または修飾体は、その修飾がヒトタンパク質の野生型または顕著な配列に基づいている場合、ヒトタンパク質である。
「天然に存在するアミノ酸」とは、ポリペプチド中に存在する20種のL-アミノ酸を指す。残基は、ヒトではそのコグネイトmRNAコドンを有する帯電したtRNA分子の特異的認識によりタンパク質に組み込まれる、自然界に見られる20種のα-アミノ酸である。
「天然に存在しないアミノ酸」とは、遺伝的にコードされていないアミノ酸を指す。例えば、非天然アミノ酸は、天然アミノ酸と類似する構造を有するが、天然アミノ酸の構造および反応性を模倣するように構造的に修飾されている有機化合物である。したがって、天然に存在しないアミノ酸には、例えば、20種の天然に存在するアミノ酸以外のアミノ酸またはアミノ酸の類似体が含まれ、限定するものではないが、アミノ酸のD-立体異性体が含まれる。典型的な非天然アミノ酸は当業者に知られている。
「核酸」には、DNA、RNA、ならびにそのペプチド核酸(PNA)および混合物を含むその類似体が含まれる。核酸は一本鎖または二本鎖であり得る。例えば、蛍光または放射性標識などの検出可能な標識で、任意で標識されていてもよい、プローブまたはプライマーに言及する場合には、一本鎖分子が企図される。このような分子は、典型的には、その標的がライブラリーのプロービングまたはプライミングのために統計的にただ1つであるかまたは低コピー数(通常は5未満、一般的には3未満)のものであるような長さである。一般に、プローブまたはプライマーは、関心対象の遺伝子に相補的であるかまたは同一である配列の少なくとも14、16または30個連続したヌクレオチドを含む。プローブおよびプライマーは、10、20、30、50、100またはそれより長い核酸長とすることができる。
「ペプチド」は、長さが2〜40アミノ酸であるポリペプチドを指す。
本明細書に提供されるアミノ酸の各種配列中に存在するアミノ酸は、それらの公知の3文字または1文字表記に従って識別される(表1)。各種の核酸断片中に存在するヌクレオチドは、当技術分野で日常的に使用される標準的な1文字表記で示される。
「アミノ酸」は、アミノ基とカルボン酸基を含む有機化合物である。ポリペプチドは2個以上のアミノ酸を含む。本明細書での目的のために、アミノ酸には、20種の天然に存在するアミノ酸、非天然アミノ酸、およびアミノ酸類似体(例えば、α炭素が側鎖をもつアミノ酸)が含まれる。
「アミノ酸残基」とは、ポリペプチドのそのペプチド結合での化学的消化(加水分解)時に形成されるアミノ酸を指す。本明細書に記載のアミノ酸残基は、「L」異性体であると推定される。「D」異性体と指定された、そのような残基は、所望の機能特性がポリペプチドによって保持される限り、L-アミノ酸残基に代えて使用することができる。NH2は、ポリペプチドのアミノ末端に存在する遊離アミノ基を指す。COOHは、ポリペプチドのカルボキシル末端に存在する遊離カルボキシ基を指す。J. Biol. Chem., 243: 3552-3559 (1969)に記載され、かつ37 C.F.R.§§ 1.821-1.822で採用された標準ポリペプチド命名法に従って、アミノ酸残基の略語を以下に示す:
Figure 2015509091
式によって本明細書に示される全てのアミノ酸残基の配列は、アミノ末端からカルボキシル末端への通常の方向で左から右への配向を有することに留意すべきである。さらに、語句「アミノ酸残基」は、対応表(Table of Correspondence)(表1)に列挙されたアミノ酸、ならびに修飾アミノ酸および異常なアミノ酸、例えば37 C.F.R.§§ 1.821-1.822で言及されかつ参照により本明細書に組み込まれるもの、を含むように広く定義される。さらに、アミノ酸残基配列の最初または最後のダッシュは、1個または複数のアミノ酸残基のさらなる配列への、NH2などのアミノ末端基への、またはCOOHなどのカルボキシル末端基へのペプチド結合を示すことに留意すべきである。保護基、アミノ酸および他の化合物の略語は、別段の指示がない限り、それらの一般的な使用法、認識された略語、または生化学命名法IUPAC-IUB委員会((1972) Biochem. 11:1726参照)に従うものとする。天然に存在する各L-アミノ酸は、標準3文字コード(もしくは1文字コード)または接頭語「L-」を有する標準3文字コード(もしくは1文字コード)によって識別される;接頭語「D-」は、アミノ酸の立体異性体の形態がDであることを示す。
「免疫結合体」は、細胞傷害性薬剤を含むがこれに限定されない1種または複数種の異種分子に結合体化された抗体を指す。免疫結合体は非抗体配列を含んでもよい。
一般的技術
本開示は、組換え遺伝学の分野における日常的な技術に依存している。本開示において使用される一般的方法を記載する基本的なテキストには、以下が含まれる:Sambrook and Russell, Molecular Cloning: A Laboratory Manual 第3版 (2001); Kriegler, Gene Transfer and Expression: A Laboratory Manual (1990); およびAusubel et al., Current Protocols in Molecular Biology (1994)。
核酸について、サイズはキロベース(Kb)または塩基対(bp)のいずれかで示される。これらは、アガロースもしくはポリアクリルアミドゲル電気泳動から、配列決定された核酸から、または公開されたDNA配列から、誘導された推定値である。タンパク質では、サイズはキロダルトン(kD)またはアミノ酸残基数で示される。タンパク質のサイズは、ゲル電気泳動から、配列決定されたタンパク質から、誘導されたアミノ酸配列から、または公開されたタンパク質配列から推定される。
市販されていないオリゴヌクレオチドは、Beaucage and Caruthers, Tetrahedron Letters, 22:1859-1862 (1981)に最初に記載された固相ホスホルアミダイトトリエステル法により、自動合成装置を使って、Van Devanter et al., Nucleic Acids Res., 12:6159-6168 (1984)に記載されているように、化学的に合成することができる。オリゴヌクレオチドの精製は、未変性ポリアクリルアミドゲル電気泳動により、またはPearson & Reanier, J. Chrom., 255:137-149 (1983)に記載されているような陰イオン交換クロマトグラフィーにより行うことができる。クローン化遺伝子および合成オリゴヌクレオチドの配列は、クローニング後に、例えば、Wallace et al., Gene, 16:21-26 (1981)の二本鎖鋳型を配列決定するためのチェーンターミネーション法を用いて、検証することができる。
本開示の組換えポリペプチドをコードする核酸は、複製および/または発現のための原核または真核細胞への形質転換の前に、中間ベクターにクローニングすることができる。中間ベクターは、プラスミドまたはシャトルベクターなどの原核生物ベクターとすることができる。
極めて長いCDR3配列を有するヒト化抗体
今日まで、ウシは、極めて長いCDR3配列が同定されている唯一の生物種である。しかし、他の種、例えば他の反芻動物もまた、極めて長いCDR3配列をもつ抗体を保有している可能性がある。
ウシで同定された極めて長いCDR3配列を含む代表的な抗体可変領域配列としては、以下に指定されたものが挙げられる:BLV1H12(配列番号22参照)、BLV5B8(配列番号23参照)、BLV5D3(配列番号24参照)およびBLV8C11(配列番号25参照)(例えば、Saini, et al. (1999) Eur. Immunol. 29: 2420-2426; およびSaini and Kaushik (2002) Scand. J. Immunol. 55: 140-148参照); BF4E9(配列番号26参照)およびBF1H1(配列番号27参照)(例えば、Saini and Kaushik (2002) Scand. J. Immunol. 55: 140-148参照); ならびにF18(配列番号28参照)(例えば、Berens, et al. (1997) Int. Immunol. 9: 189-199参照)。
一態様では、ウシ抗体が同定されて、ヒト化される。抗体を同定するために多数の技術が存在する。
本開示の抗体は、所望の活性を有する抗体についてコンビナトリアルライブラリーをスクリーニングすることによって単離することができる。例えば、ファージディスプレイライブラリーを作製し、このようなライブラリーを所望の結合特性を有する抗体についてスクリーニングするための多様な方法が当技術分野で知られている。こうした方法は、例えば、Hoogenboom et al. in Methods in Molecular Biology 178:1-37 (O'Brien et al.編, Human Press, Totowa, N.J., 2001)に概説されており、さらに、例えば、McCafferty et al., Nature 348:552-554; Clackson et al., Nature 352:624-628 (1991); Marks et al., J. Mol. Biol. 222:581-597 (1992); Marks and Bradbury, Methods in Molecular Biology 248:161-175 (Lo編, Human Press, Totowa, N.J., 2003); Sidhu et al., J. Mol. Biol. 338(2): 299-310 (2004); Lee et al., J. Mol. Biol. 340(5): 1073-1093 (2004); Fellouse, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 101(34): 12467-12472 (2004); およびLee et al., J. Immunol. Methods 284(1-2): 119-132 (2004)に記載されている。
特定のファージディスプレイ法では、VHおよびVL遺伝子のレパートリーをポリメラーゼ連鎖反応(PCR)によって個別にクローニングし、ファージライブラリーにおいてランダムに組み換えて、その後、Winter et al., Ann. Rev. Immunol., 12: 433-455 (1994)に記載されているように、抗原結合ファージについてスクリーニングすることができる。ファージは、典型的には、一本鎖Fv(scFv)断片またはFab断片のいずれかとして、抗体断片を提示する。免疫した供給源に由来するライブラリーは、ハイブリドーマを構築する必要性なしに、免疫原に対して高親和性の抗体を提供する。ウシ抗体のファージディスプレイライブラリーは、極めて長いCDR3配列を含むウシ抗体遺伝子配列の供給源であり得る。
典型的には、非ヒト抗体は、親非ヒト抗体の特異性および親和性を保持しながら、ヒトへの免疫原性を低減させるためにヒト化される。一般的に、ヒト化抗体は、CDR(またはその一部)が非ヒト抗体に由来し、かつFR(またはその一部)がヒト抗体配列に由来する、1つまたは複数の可変ドメインを含む。ヒト化抗体は任意で、ヒト定常領域の少なくとも一部を含む。いくつかの態様では、ヒト化抗体の一部のFR残基は、例えば、抗体の特異性もしくは親和性を回復させるかまたは向上させるために、非ヒト抗体(例えば、CDR残基が由来する抗体)に由来する対応する残基で置換される。
ヒト化抗体およびそれらを作製する方法は、例えば、Almagro and Fransson, Front. Biosci. 13:1619-1633 (2008)に概説されており、さらに、例えば、Riechmann et al., Nature 332:323-329 (1988); Queen et al., Proc. Nat'l Acad. Sci. USA 86:10029-10033 (1989); 米国特許第5,821,337号、第7,527,791号、第6,982,321号、および第7,087,409号; Kashmiri et al., Methods 36:25-34 (2005)(SDR (a-CDR)グラフティングについて記載); Padlan, Mol. Immunol. 28:489-498 (1991)(「リサーフェシング(resurfacing)」について記載); Dall'Acqua et al., Methods 36:43-60 (2005)(「FRシャッフリング」について記載); およびOsbourn et al., Methods 36:61-68 (2005); Klimka et al., Br. J. Cancer, 83:252-260 (2000)(FRシャッフリングに対する「誘導選択(guided selection)」アプローチについて記載); ならびにStudnicka et al., 米国特許第5,766,886号に記載されている。
ヒト化に使用することができるヒト可変領域フレームワーク配列には、限定するものではないが、以下が含まれる:「ベストフィット」法を使用して選択されたフレームワーク配列(例えば、Sims et al. J. Immunol. 151:2296 (1993)参照);軽鎖または重鎖可変領域の特定のサブグループのヒト抗体のコンセンサス配列に由来するフレームワーク配列(例えば、Carter et al. Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 89:4285 (1992); およびPresta et al. J. Immunol., 151:2623 (1993)参照);ヒト成熟(体細胞変異した)フレームワーク配列またはヒト生殖細胞系列フレームワーク配列(例えば、Almagro and Fransson, Front. Biosci. 13:1619-1633 (2008)参照); ならびにFRライブラリーをスクリーニングすることから誘導されたフレームワーク配列(例えば、Baca et al., Biol. Chem. 272:10678-10684 (1997)およびRosok et al., J. Biol. Chem. 271:22611-22618 (1996)参照)。
極めて長いCDR3配列を有するヒト化抗体はまた、結果として得られるヒト化抗体が例えば腫瘍転移を阻害するのに有効であるように、サイトカインまたは増殖因子などの遺伝子操作された非抗体配列を該CDR3領域に含んでもよい。非抗体配列としては、インターロイキン配列、ホルモン配列、サイトカイン配列、毒素配列、リンホカイン配列、増殖因子配列、ケモカイン配列、毒素配列、またはこれらの組み合わせを挙げることができる。非抗体配列はヒト配列、非ヒト配列、または合成配列であってもよい。いくつかの態様では、サイトカインまたは増殖因子は、少なくとも1つの細胞集団に対して抗増殖効果をもつことが示される可能性がある。このようなサイトカイン、リンホカイン、増殖因子、または他の造血因子としては、M-CSF、GM-CSF、TNF、IL-1、IL-2、IL-3、IL-4、IL-5、IL-6、IL-7、IL-8、IL-9、IL-10、IL-11、IL-12、IL-13、IL-14、IL-15、IL-16、IL-17、IL-18、IFN、TNFo1、TNF1、TNF2、G-CSF、Meg-CSF、GM-CSF、トロンボポエチン、幹細胞因子、およびエリスロポエチンが挙げられる。本開示のヒト化抗体および/または薬学的組成物において使用するための追加の増殖因子としては、以下が挙げられる:アンギオゲニン、骨形成タンパク質1、骨形成タンパク質2、骨形成タンパク質3、骨形成タンパク質4、骨形成タンパク質5、骨形成タンパク質6、骨形成タンパク質7、骨形成タンパク質8、骨形成タンパク質9、骨形成タンパク質10、骨形成タンパク質11、骨形成タンパク質12、骨形成タンパク質13、骨形成タンパク質14、骨形成タンパク質15、骨形成タンパク質受容体IA、骨形成タンパク質受容体IBが、脳由来神経栄養因子、毛様体神経栄養因子、毛様体神経栄養因子受容体、サイトカイン誘導好中球走化性因子1、サイトカイン誘導好中球、走化性因子2、サイトカイン誘導好中球走化性因子2、内皮細胞増殖因子、エンドセリン1、上皮成長因子、上皮由来好中球誘引物質、線維芽細胞増殖因子4、繊維芽細胞増殖因子5、繊維芽細胞増殖因子6、線維芽細胞増殖因子7、線維芽細胞増殖因子8、線維芽細胞増殖因子8b、線維芽細胞増殖因子8c、線維芽細胞増殖因子9、線維芽細胞増殖因子10、酸性線維芽細胞増殖因子、塩基性線維芽細胞増殖因子、グリア細胞株由来神経栄養因子受容体1、グリア細胞株由来神経栄養因子受容体2、成長関連タンパク質、成長関連タンパク質1、成長関連タンパク質2、成長関連タンパク質3、ヘパリン結合上皮成長因子、肝細胞増殖因子、肝細胞増殖因子受容体、インスリン様成長因子I、インスリン様成長因子受容体、インスリン様成長因子II、インスリン様成長因子結合タンパク質、ケラチノサイト増殖因子、白血病抑制因子、白血病抑制因子受容体1、神経成長因子、神経成長因子受容体、ニューロトロフィン3、ニューロトロフィン4、胎盤成長因子、胎盤成長因子2、血小板由来内皮細胞増殖因子、血小板由来増殖因子、血小板由来増殖因子A鎖、血小板由来増殖因子AA、血小板由来増殖因子AB、血小板由来増殖因子B鎖、血小板由来増殖因子BB、血小板由来増殖因子受容体1、血小板由来増殖因子受容体2、プレB細胞増殖刺激因子、幹細胞因子、幹細胞因子受容体、トランスフォーミング増殖因子1、トランスフォーミング増殖因子2、トランスフォーミング増殖因子1、トランスフォーミング増殖因子1.2、トランスフォーミング増殖因子2、トランスフォーミング増殖因子3、トランスフォーミング増殖因子S、潜在型トランスフォーミング増殖因子1、トランスフォーミング増殖因子1結合タンパク質I、トランスフォーミング増殖因子1結合タンパク質II、トランスフォーミング増殖因子1結合タンパク質III、腫瘍壊死因子受容体タイプI、腫瘍壊死因子受容体タイプII、ウロキナーゼ型プラスミノーゲン活性化因子受容体、血管内皮増殖因子、ならびにキメラタンパク質およびその生物学的または免疫学的に活性な断片。代表的な非抗体配列としては、インターロイキン8(IL-8、配列番号475)、インターロイキン21(IL-21、配列番号480)、CXCL12/SDF-1α(配列番号479)、ソマトスタチン(配列番号477)、ProTx-II(配列番号481)、クロロトキシン(配列番号478)、およびジコノチド(配列番号476)が挙げられる。
非ヒト抗体は、親非ヒト抗体の特異性および親和性を保持しながら、ヒトへの免疫原性を低減させるためにヒト化することができる。一般的に、ヒト化抗体は、HVR、例えばCDR(またはその一部)が非ヒト抗体に由来し、かつFR(またはその一部)がヒト抗体配列に由来する、1つまたは複数の可変ドメインを含む。ヒト化抗体は任意で、ヒト定常領域の少なくとも一部をも含む。いくつかの態様では、ヒト化抗体の一部のFR残基は、例えば、抗体の特異性もしくは親和性を回復させるかまたは向上させるために、非ヒト抗体(例えば、HVR残基が由来する抗体)に由来する対応する残基で置換される。
本明細書に開示される極めて長いCDR3を含むヒト化抗体は、好ましくはモノクローナルである。本明細書に提供される極めて長いCDR3を含むヒト化抗体のFab、Fab'、Fab'-SHおよびF(ab')2断片もまた、本開示の範囲内に包含される。これらの抗体断片は、酵素消化などの従来の手段によって生成することができ、あるいは組換え技術によって作製することができる。このような抗体断片はキメラまたはヒト化型であり得る。これらの断片は、以下に記載する診断および治療目的に有用である。
モノクローナル抗体は、実質的に均一な抗体の集団から得られ、例えば、その集団を構成する個々の抗体は、少量存在しうる自然に発生する可能性のある突然変異を除いて、同一である。したがって、修飾語「モノクローナル」は、個別の抗体の混合物ではないという抗体の特徴を示している。
本明細書に開示される極めて長いCDR3を含むヒト化抗体は、Kohler et al., Nature, 256:495 (1975)に最初に記載されたハイブリドーマ細胞ベースの方法を用いて作製することができ、あるいは組換えDNA法により作製することができる。
ハイブリドーマ細胞は、所望の抗体を産生するB細胞を、不死化細胞株、通常はミエローマ細胞株と融合することによって、作製することができ、その結果得られる融合細胞は、特定の抗体を分泌する不死化細胞株となる。同じ原理によって、ミエローマ細胞を、まず生殖細胞系列抗体V領域をコードする核酸でトランスフェクトし、生殖細胞系列V領域の発現についてスクリーニングすることができる。タンパク質分解性の軽鎖発現が最高レベルのミエローマ細胞を、その後、所望の標的タンパク質特異性を有する抗体を産生するB細胞と融合させることができる。その融合細胞は2種類の抗体を産生することになる:一方は、組換え生殖細胞系列V領域(重鎖または軽鎖のいずれか)に機能的に結合された内因性抗体鎖(重鎖または軽鎖のいずれか)を含む異種抗体であり、他方は、親B細胞が分泌するのと同じ抗体(例えば、内因性の重鎖および軽鎖の両方)である。機能的に結合された異種重鎖および軽鎖は、クロマトグラフィーなどの従来の方法によって単離することができ、識別は、標的タンパク質結合アッセイ、生殖細胞系列ポリペプチドのユニークなタグを識別するアッセイ、または本開示の他のセクションに記載されているエンドペプチダーゼ活性アッセイにより確認することができる。異種抗体が2種類の抗体のうち量の面で優勢である場合には、そのような単離が必要でないかもしれない。
ハイブリドーマ細胞は、好ましくは未融合の親ミエローマ細胞の増殖または生存を阻害する1種または複数種の物質を含有する適切な培地に播種して増やすことができる。例えば、親ミエローマ細胞が酵素ヒポキサンチングアニンホスホリボシルトランスフェラーゼ(HGPRTまたはHPRT)を欠く場合、ハイブリドーマ用の培地は一般的に、ヒポキサンチン、アミノプテリン、およびチミジンを含み(HAT培地)、これらの物質はHGPRT欠損細胞の増殖を妨げるだろう。
好ましいミエローマ細胞は、効率的に融合し、選択された抗体産生細胞による抗体の安定な高レベル産生を支持し、かつHAT培地などの培地に対して感受性であるものである。これらの中で、ミエローマ細胞株は、Salk Institute Cell Distribution Center(San Diego, Calif. USA)から入手できるMOPC-21およびMPC-11マウス腫瘍に由来するようなマウスミエローマ株、ならびにAmerican Type Culture Collection(Rockville, Md. USA)から入手できるSP-2またはX63-Ag8-653細胞であってもよい。ヒトミエローマおよびマウス-ヒトヘテロミエローマ細胞株も、ヒトモノクローナル抗体の産生について記載されている(Kozbor, J. Immunol., 133:3001 (1984); Brodeur et al., Monoclonal Antibody Production Techniques and Applications, pp. 51-63 (Marcel Dekker社, New York, 1987))。
ハイブリドーマ細胞が増殖している培地は、極めて長いCDR3を含むヒト化抗体の産生についてアッセイされる。例えば、ハイブリドーマ細胞によって産生されたモノクローナル抗体の結合特異性を、免疫沈降によって、または酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)などのインビトロ結合アッセイによって、確認することができる。
モノクローナル抗体の結合親和性は、例えばMunson et al., Anal. Biochem., 107:220 (1980)のスキャッチャード解析(Scatchard analysis)によって決定することができる。
所望の特異性、親和性、および/または活性を有する抗体を産生するハイブリドーマ細胞を同定した後、そのクローンを限界希釈法によりサブクローニングし、標準的な方法により増殖させることができる(Goding, Monoclonal Antibodies: Principles and Practice, pp. 59-103 (Academic Press, 1986))。この目的に適した培地には、例えば、D-MEMまたはRPMI-1640培地が含まれる。さらに、ハイブリドーマ細胞は、動物において腹水腫瘍としてインビボで増殖させることができる。
サブクローンにより分泌されたモノクローナル抗体は、従来の免疫グロブリン精製手順、例えば、プロテインA-セファロース、ヒドロキシアパタイトクロマトグラフィー、ゲル電気泳動、透析、またはアフィニティークロマトグラフィーなどによって、培地、腹水、または血清から適切に分離される。
本明細書に開示される極めて長いCDR3を含むヒト化抗体は、コンビナトリアルライブラリーを用いることにより作製して、所望の活性を有する合成抗体クローンをスクリーニングすることができる。例えば、合成抗体クローンは、ファージコートタンパク質に融合された抗体可変領域のさまざまな断片(例えば、scFvまたはFab)を提示するファージを含むファージライブラリーをスクリーニングすることによって選択される。このようなファージライブラリーは、例えば、所望の抗原に対するアフィニティークロマトグラフィーによって、パニングすることができる。所望の抗原に結合することが可能な抗体断片を発現するクローンは、抗原に吸着され、それによって、ライブラリーの非結合クローンから分離することができる。次いで、この結合クローンを、抗原から溶出することができ、さらに、抗原吸着/溶出の追加的サイクルにより濃縮することができる。本明細書に開示される極めて長いCDR3を含むヒト化抗体はいずれも、適切な抗原スクリーニング法を設計して対象となるファージクローンを選択し、続いて対象のファージクローン由来のVHおよびVL(例えば、scFvまたはFab由来)配列と、Kabat et al., Sequences of Proteins of Immunological Interest, 第5版, NIH Publication 91-3242, Bethesda Md. (1991), vols. 1-3に記載されている適切な定常領域(Fc)配列とを用いて極めて長いCDR3を含む全長抗体を構築することによって得ることができる。
抗体の抗原結合ドメインは、それぞれが3つの超可変ループまたは相補性決定領域(CDR)を提示する、軽鎖(VL)と重鎖(VH)から各1つずつの2つの可変(V)領域から形成される。可変ドメインは、VHおよびVLが短い柔軟なペプチドを介して共有結合で連結されている一本鎖Fv(scFv、一本鎖抗体(SCA)とも呼ばれる)断片として、またはそれらがそれぞれ定常ドメインに融合されて非共有結合的に相互作用しているFab断片として、ファージ上に機能的に提示することができ、Winter et al., Ann. Rev. Immunol., 12:433-455 (1994)に記載されているとおりである。scFvまたはSCAをコードするファージクローンおよびFabをコードするファージクローンは、個別にまたは集合的に「Fvファージクローン」または「Fvクローン」と呼ぶことができる。
VHおよびVL遺伝子のレパートリーは、個別にポリメラーゼ連鎖反応(PCR)によってクローニングし、ファージライブラリーにおいてランダムに組み換えることができ、その後、抗原結合クローンについて探索することができ、Winter et al., Ann. Rev. Immunol., 12:433-455 (1994)に記載されているとおりである。免疫した供給源に由来するライブラリーは、ハイブリドーマを構築する必要性なしに、免疫原に対して高親和性の抗体を提供する。あるいは、どのような免疫処置も行わずに、ナイーブなレパートリーをクローニングして、広範囲の非自己抗原と自己抗原に対するヒト抗体の単一の供給源を提供することができ、Griffiths et al., EMBO J. 12: 725-734 (1993)に記載されているとおりである。最後に、ナイーブなライブラリーはまた、高可変CDR3領域をコードするために、かつインビトロで再配列を達成するために、幹細胞由来の再配列されてないV遺伝子セグメントをクローニングして、ランダムな配列を含むPCRプライマーを用いることにより合成的に作製することができ、Hoogenboom and Winter, J. Mol. Biol., 227: 381-388 (1992)に記載されているとおりである。
繊維状ファージは、マイナーコートタンパク質pIIIへの融合によって、抗体断片を提示するために使用される。タンパク質pIIIは、pIIIのトランケート型を含むことができる。抗体断片は、VHおよびVLドメインが柔軟なポリペプチドスペーサーによって同じポリペプチド鎖に連結されている一本鎖Fv断片として(例えば、Marks et al., J. Mol. Biol., 222: 581-597 (1991)に記載されている)、またはFab断片として提示され得るが、ここで、Fab断片の一方の鎖はpIII(例えば、トランケート型pIII)に融合され、他方は細菌宿主細胞のペリプラズムに分泌され、そこではFab-コートタンパク質構造のアセンブリが野生型コートタンパク質の一部に取って換わってファージ表面上に提示されるようになる(例えば、Hoogenboom et al., Nucl. Acids Res., 19: 4133-4137 (1991)に記載されている)。
抗体可変遺伝子セグメント(VHおよびVLセグメントを含む)をコードする核酸は、対象となる細胞から回収して増幅することができ、または組換えDNA法(例えば、Kunkel突然変異誘発法)でコピーを作製することができる。例えば、再配列されたVHおよびVL遺伝子ライブラリーの場合に、所望のDNAは、リンパ球からゲノムDNAまたはmRNAを単離し、続いてOrlandi et al., Proc. Natl. Acad. Sci. (USA), 86: 3833-3837 (1989)に記載されているように、再配列されたVHおよびVL遺伝子の5'および3'末端に一致するプライマーを用いてポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を行うことにより得ることができ、それによって、発現のための多様なV遺伝子レパートリーを作製する。V遺伝子は、成熟Vドメインをコードするエクソンの5'末端のバックプライマーおよびJセグメント内部に基づくフォワードプライマーを用いて、cDNAおよびゲノムDNAから増幅することができ、Orlandi et al. (1989)およびWard et al., Nature, 341: 544-546 (1989)に記載されているとおりである。cDNAから増幅する場合、バックプライマーはまた、Jones et al., Biotechnol., 9: 88-89 (1991)に記載されているように、リーダーエクソンに基づくことができ、フォワードプライマーは、Sastry et al., Proc. Natl. Acad. Sci. (USA), 86: 5728-5732 (1989)に記載されているように、定常領域内部に基づくことができる。相補性を高めるか最大にするために、Orlandi et al. (1989)またはSastry et al. (1989)に記載されているように、縮重をプライマーに組み込むことが可能である。ライブラリーの多様性を高めるか最大にするには、免疫細胞の核酸サンプル中に存在する利用可能なVHおよびVLの配列を増幅するために、各V遺伝子ファミリーを標的とするPCRプライマーを用いることによって行うことができ、例えば、Marks et al., J. Mol. Biol., 222: 581-597 (1991)の方法に記載されているか、またはOrum et al., Nucleic Acids Res., 21: 4491-4498 (1993)の方法に記載されているとおりである。発現ベクターへの増幅DNAのクローニングのために、まれな制限が、Orlandi et al. (1989)に記載されているようにPCRプライマー内にタグとして一端で導入されるか、あるいはClackson et al., Nature, 352: 624-628 (1991)に記載されているようにタグ付けされたプライマーによるさらなるPCR増幅によって導入され得る。
合成的に再配列されたV遺伝子のレパートリーは、V遺伝子セグメントからインビボで誘導することができる。ヒトVH遺伝子セグメントの大半はクローニングされて配列決定されており(例えば、Tomlinson et al., J. Mol. Biol., 227: 776-798 (1992)に報告される)、かつマッピングされている(例えば、Matsuda et al., Nature Genet., 3: 88-94 (1993)に報告される);これらのクローニングされたセグメント(H1およびH2ループのすべての主要なコンホメーションを含む)は、Hoogenboom and Winter, J. Mol. Biol., 227: 381-388 (1992)に記載されているように、多様な配列および長さのH3ループをコードするPCRプライマーを用いて多様なVH遺伝子レパートリーを生成するために使用することができる。VHレパートリーはまた、Barbas et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 89: 4457-4461 (1992)に記載されているように、すべての配列多様性が単一の長さの長いH3ループに集中するように作製することも可能である。ヒトVκおよびVλセグメントはクローニングされて配列決定されており(Williams and Winter, Eur. J. Immunol., 23: 1456-1461 (1993)に報告される)、合成軽鎖レパートリーを作製するために使用することができる。さまざまなVHおよびVLフォールド、ならびにL3およびH3の長さに基づいた、合成V遺伝子レパートリーは、かなりの数の構造多様性の抗体をコードするだろう。V遺伝子をコードするDNAの増幅に続いて、生殖細胞系列V遺伝子セグメントを、Hoogenboom and Winter, J. Mol. Biol., 227: 381-388 (1992)の方法に従って、インビトロで再配列することができる。
抗体断片のレパートリーは、いくつかの方法でVHおよびVL遺伝子レパートリーを一緒に組み合わせることによって構築することができる。各レパートリーを異なるベクター内に生成させて、例えば、Hogrefe et al., Gene, 128: 119-126 (1993)に記載されているように、これらのベクターをインビトロで組み換えるか、またはコンビナトリアル感染により、例えば、Waterhouse et al., Nucl. Acids Res., 21: 2265-2266 (1993)に記載されているloxPシステムにより、インビボで組み換えることができる。インビボ組換え法は、大腸菌(E. coli)の形質転換効率によって課せられたライブラリーサイズの限界を克服するために、Fab断片の二本鎖の性質を利用している。ナイーブVHおよびVLレパートリーは、一方がファージミドに、他方がファージベクターへと、別々にクローニングされる。その後、これら2つのライブラリーをファージミド含有細菌のファージ感染によって組み合わせて、各細胞が異なる組合せを含み、かつライブラリーサイズが存在する細胞の数(約1012個のクローン)によってのみ制限されるようにする。両方のベクターはインビボ組み換えシグナルを含むため、VHおよびVL遺伝子は単一のレプリコンへ組み換えられて、ファージビリオンに共パッケージングされる。これらの大きなライブラリーは、良好な親和性(約10-8MのKd -1)の多様な抗体を多数提供することができる。
あるいはまた、レパートリーは、例えば、Barbas et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 88: 7978-7982 (1991)に記載されているように、同じベクターに連続してクローニングするか、または、例えば、Clackson et al., Nature, 352: 624-628 (1991)に記載されているように、PCRで一緒にアセンブルした後にクローニングすることができる。PCRアセンブリはまた、VHおよびVL DNAを柔軟なペプチドスペーサーをコードするDNAと連結させて一本鎖Fv(scFv)レパートリーを形成するために使用することができる。さらに別の技術では、Embleton et al., Nucl. Acids Res., 20: 3831-3837 (1992)に記載されているように、「細胞内PCRアセンブリ」を用いて、VHおよびVL遺伝子をPCRによってリンパ球内で組み合わせた後、連結された遺伝子のレパートリーをクローニングすることが可能である。
ナイーブライブラリー(天然または合成のいずれか)により産生された抗体は、中程度の親和性(約106〜107M-1のKd -1)のものであり得るが、前出のWinter et al. (1994)に記載されているように、二次ライブラリーを構築して、そこから再選択することにより、親和性成熟をインビトロで模倣することができる。例えば、Hawkins et al., J. Mol. Biol., 226: 889-896 (1992)の方法で、またはGram et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 89: 3576-3580 (1992)の方法で、エラープローンポリメラーゼ(Leung et al., Technique, 1: 11-15 (1989)に報告される)を用いることによって、変異をインビトロでランダムに導入することができる。さらに、選択された各Fvクローンにおいて、例えば、関心対象のCDRにわたってランダムな配列を有するプライマーによるPCRを使用して、1つまたは複数のCDRをランダムに突然変異させ、より高い親和性のクローンをスクリーニングすることによって、親和性成熟を行うことができる。WO 9607754は、軽鎖遺伝子のライブラリーを作成するために、免疫グロブリン軽鎖の相補性決定領域に突然変異誘発を誘導するための方法を記載している。別の効果的なアプローチは、Marks et al., Biotechnol., 10: 779-783 (1992)に記載されているように、非免疫ドナーから得られた天然に存在するVドメイン変異体のレパートリーを有するファージディスプレイによって選択されたVHまたはVLドメインを組み換えて、数ラウンドの連鎖再シャッフリングでより高い親和性についてスクリーニングすることである。この技術は、10-9Mの範囲の親和性を有する抗体および抗体断片の産生を可能にする。
ファージライブラリーサンプルは、ファージ粒子の少なくとも一部と固定化タンパク質との結合に適した条件下で、その吸着剤に接触させる。通常、その条件は、pH、イオン強度、温度などを含めて、生理学的条件を模倣するように選択される。固相に結合されたファージは、洗浄した後、例えば、Barbas et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 88: 7978-7982 (1991)に記載されているように、酸によって、またはアルカリによって(例えば、Marks et al., J. Mol. Biol., 222: 581-597 (1991)に記載されている)、または抗原競合によって(例えば、Clackson et al., Nature, 352: 624-628 (1991)の抗原競合法に類似する手順で)溶出される。ファージは、1ラウンドの選択で20〜1,000倍に濃縮され得る。さらに、濃縮されたファージは、細菌培養液で増殖させて、さらなるラウンドの選択に供することができる。
選択の効率は、洗浄中の解離速度、および単一のファージ上の複数の抗体断片が同時に抗原と結合するかどうかを含めて、多くの要因に依存している。速い解離速度(および弱い結合親和性)を有する抗体は、短い洗浄、多価ファージディスプレイ、および固相における抗原の高いコーティング密度を使用することによって保持され得る。高い密度は、多価相互作用を介してファージを安定化するだけでなく、解離したファージの再結合に有利に働く。遅い解離速度(および良好な結合親和性)を有する抗体の選択は、Bass et al., Proteins, 8: 309-314 (1990)およびWO 92/09690に記載されているように長い洗浄および1価ファージディスプレイ、ならびにMarks et al., Biotechnol., 10: 779-783 (1992)に記載されているように抗原の低いコーティング密度を使用することによって促進され得る。
本明細書に開示されたハイブリドーマ由来のモノクローナル抗体またはファージディスプレイFvクローンをコードするDNAは、従来の手法を用いて(例えば、ハイブリドーマまたはファージDNA鋳型から関心対象の重鎖および軽鎖コード領域を特異的に増幅するように設計されたオリゴヌクレオチドプライマーを用いることによって)、容易に単離され、配列決定される。いったん単離されたら、組換え宿主細胞内での所望のモノクローナル抗体の合成を得るために、そのDNAを発現ベクターに入れ、次に、トランスフェクトしなければ免疫グロブリンタンパク質を産生することのない大腸菌細胞、サルCOS細胞、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞、またはミエローマ細胞などの宿主細胞にトランスフェクトすることができる。抗体をコードするDNAの細菌内での組換え発現は、Betterら、米国特許第6,204,023号に記載されている(さらに、例えば、Skerra et al., Curr. Opinion in Immunol., 5: 256 (1993)およびPluckthun, Immunol. Revs, 130: 151 (1992)も参照されたい)。
本明細書に開示されるFvクローンをコードするDNAは、完全長または部分長の重鎖および/または軽鎖をコードするクローンを形成するために、重鎖および/または軽鎖の定常領域をコードする既知のDNA配列(例えば、適切なDNA配列は、前出のKabat et al.から得ることができる)と組み合わせることができる。当然のことながら、IgG、IgM、IgA、IgDおよびIgEの定常領域を含めて、任意のアイソタイプの定常領域をこの目的のために使用することができ、そのような定常領域はヒトまたは動物種から得ることができる。「ハイブリッド」全長重鎖および/または軽鎖のコード配列を形成するために、ある動物(例えば、ヒト)種の可変ドメインDNAから誘導されかつその後別の動物種の定常領域DNAに融合されたFvクローンは、本明細書で用いられる「キメラ」および「ハイブリッド」抗体の定義に含まれる。好ましいFvクローンの態様では、ヒト可変DNAから誘導されたFvクローンは、すべてのヒト完全長または部分長重鎖および/または軽鎖のコード配列を形成するために、ヒト定常領域DNAに融合される。
本明細書に開示されるハイブリドーマ由来の極めて長いCDR3を含むヒト化抗体をコードするDNAはまた、例えば、ハイブリドーマクローン由来の相同なマウス配列の代わりにヒト重鎖および軽鎖定常ドメインのコード配列を使用することによって、改変することができる(例えば、Morrison et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 81: 6851-6855 (1984)の方法に見られる)。ハイブリドーマまたはFvクローン由来の抗体もしくは断片をコードするDNAは、その免疫グロブリンコード配列に非免疫グロブリンポリペプチドのコード配列の全部または一部を共有結合で連結することによって、さらに改変することができる。このようにして、「キメラ」または「ハイブリッド」抗体は、本明細書に開示されたFvクローンまたはハイブリドーマクローン由来の抗体の結合特異性を有するように調製される。
抗体遺伝子およびタンパク質
本開示は、例えば、極めて長いCDR3配列および/またはCDR3骨格を含むヒト化抗体遺伝子またはタンパク質を含む、抗体遺伝子およびタンパク質を提供する。本開示は、極めて長いCDR3配列の調製に有用なVH、DH、およびJH配列をさらに提供する。そのような配列は、本明細書において開示される多くの態様において記載されているものを含む、本明細書において記載されているモチーフ(例えば、システインモチーフ)を含んでもよい。いくつかの態様において、本明細書において開示される抗体は、標的タンパク質のエピトープに選択的または特異的に結合し得る。いくつかの態様において、抗体はアンタゴニスト(例えば、遮断)抗体またはアゴニスト抗体であってもよい。
重鎖および軽鎖の可変領域は、非コード領域すなわちイントロンによって分離された多数の生殖系列遺伝子セグメントによってコードされ、異なる染色体上に存在していることが多い。例えば、ヒト免疫グロブリン重鎖領域の遺伝子は、およそ65個の可変部(VH)遺伝子、27個の多様部(DH)遺伝子、および6個の結合部(JH)遺伝子を含有する。ヒトのカッパ(κ)およびラムダ(λ)軽鎖もそれぞれ、同程度の数のVLおよびJL遺伝子セグメントによってコードされるが、いかなるD遺伝子セグメントも含まない。例示的なVH、DH、JH、ならびにVL(VκまたはVλ)およびJL(JκまたはJλ)生殖系列遺伝子セグメントは、WO 2010/054007に明記されている。
B細胞分化の間、生殖系列DNAは再編成され、それによって重鎖遺伝子座の1個のDH遺伝子セグメントおよび1個のJH遺伝子セグメントが組み換えられ、その後、1個のVH遺伝子セグメントが結合されて、VH鎖をコードする再編成VDJ遺伝子が形成される。再編成は、対立遺伝子排除の過程によって1つの重鎖対立遺伝子上でのみ生じる。対立遺伝子排除は、可変重鎖のVDJ組換えの約1/3のみで生じる、VDJセグメントのインフレームまたは「生産的」組換えによって調節される。そのような生産的組換え事象が細胞内で初めて生じた場合、これは、プレB細胞の表面上に発現されかつシグナルを伝達してさらなる重鎖組換えを止めるμ重鎖の産生を引き起こし、それによって対立遺伝子重鎖遺伝子座の発現が妨げられる。表面に発現したμ重鎖は、再編成のためにカッパ(κ)遺伝子座を活性化するようにも作用する。ラムダ(λ)遺伝子座は、κ組換えが両方の遺伝子座で非生産的であった場合にのみ、再編成のために活性化される。軽鎖の再編成事象は、VLおよびJLセグメントのみが組み換えられるという点を除き、重鎖と同様である。それぞれの一次転写の前に、相当する定常鎖遺伝子が付加される。それに続く転写およびRNAスプライシングは、インタクトな軽鎖または重鎖に翻訳されるmRNAをもたらす。
抗体の可変領域は、個々の生殖系列V、D、およびJセグメントの組換え事象により、抗原結合および抗原特異性を与え、それによって、可変領域ドメインをコードする結果的に生じた組換え核酸配列は、抗体間で異なりかつ特定の抗体に対する抗原特異性を与える。しかしながら、変動は、重鎖(H)および(L)鎖の可変領域のN末ドメイン内に見出される3つの相補性決定領域(CDR1、CDR2、およびCDR3)に限定される。CDRには、「フレームワーク領域」(FR)と称されるより保存されている領域が点在している。フレームワーク領域およびCDRの範囲は正確に規定されている(例えば、Kabat, E.A. et al. (1991) Sequences of Proteins of Immunological Interest, Fifth Edition, U.S. Department of Health and Human Services, NIH Publication No. 91-3242、およびChothia, C. et al. (1987) J. Mol. Biol. 196:901-917を参照されたい)。各VHおよびVLは、典型的に、以下の:FR1、CDR1、FR2、CDR2、FR3、CDR3、およびFR4の順序でアミノ末端からカルボキシ末端に配置されている、3つのCDRおよび4つのFRから構成される。VLおよびVHドメイン間での配列多様性は、一般的に、抗原結合部位を形成する領域であるCDRに限定される。例えば、重鎖について、一般的に、VH遺伝子はN末の3つのフレームワーク領域、最初の2つの完全なCDR、および第3CDRの最初の部分をコードし、DH遺伝子は第3CDRの中央部をコードし、かつJH遺伝子は第3CDRの最後の部分および第4フレームワーク領域をコードする。軽鎖について、VL遺伝子は第1CDRおよび第2CDRをコードする。第3CDR(CDRL3)は、VLおよびJL遺伝子セグメントの結合によって形成される。ゆえに、CDR1および2は、生殖系列V遺伝子セグメント配列によってのみコードされる。VHおよびVL鎖のCDR3はAg結合部位の中央を形成し、それとともにCDR1および2は外側の境界線を形成し;FRはHおよびLのCDRを正しい位置に置くことによって足場を支持する。平均して、抗原結合部位は、少なくとも4つのCDRが抗原エピトープと接触すること、それとともに重鎖および軽鎖の両方のCDR3が最も可変でありかつ抗原結合に対する特異性に最も寄与することを要する(例えば、Janis Kuby, Immunology, Third Edition, New York, W.H. Freeman and Company, 1998, pp. 115-118を参照されたい)。D遺伝子セグメントのすべてを含むCDRH3は、Abの結合部位の最も多様な構成要素であり、典型的に、Abの特異性を規定する決定的な役割を担う。配列の変動に加えて、重鎖および軽鎖間のCDRの長さの変動が存在する。
一方、定常領域は、抗体間でより保存されている配列によってコードされる。これらのドメインは、機能的特性、例えば免疫系の細胞および血清タンパク質と相互作用して感染物質の一掃をもたらす能力を抗体に与える。抗体の異なるクラス、例えばIgM、IgD、IgG、IgE、およびIgAは、それらが別個のエフェクター機能を果たすことを可能にする、異なる定常領域を有する。
V、D、およびJのこれらの天然の組換え事象は、高い親和性および特異性の両方を有する2×107種近くの異なる抗体を提供し得る。さらなる多様性は、結合セグメントにおけるヌクレオチドの挿入および欠失によって、ならびにV領域の体細胞超変異によっても導入される。その結果として、個体には異なる抗原特異性を有するおよそ1010種の抗体が存在している。
抗体には、ウシ抗体BLVH12(例えば、SEQ ID NO: 482に示される重鎖可変領域、およびSEQ ID NO: 483に示される軽鎖可変領域);およびウシ抗体BLV5B8(例えば、SEQ ID NO: 484に示される重鎖可変領域、およびSEQ ID NO: 485に示される軽鎖可変領域)が含まれる。
抗体断片
本開示は抗体断片を包含する。特定の状況においては、抗体全体よりもむしろ抗体断片を用いる利点がある。より小さなサイズの断片は迅速な一掃を可能にし、かつ固形腫瘍への接近の向上をもたらし得る。抗体断片には、Fab、Fab'、Fab'-SH、F(ab')2、Fv、およびscFv断片、ならびに以下に記載されている他の断片が含まれるが、それらに限定されるわけではない。特定の抗体断片の総説に関しては、Hudson et al. Nat. Med. 9:129-134 (2003)を参照されたい。scFv断片の総説に関しては、例えばPluckthun, in The Pharmacology of Monoclonal Antibodies, vol. 113, Rosenburg and Moore eds., (Springer-Verlag, New York), pp. 269-315 (1994)を参照されたく;WO 93/16185;ならびにU.S. Pat. No. 5,571,894およびNo. 5,587,458も参照されたい。サルベージ受容体結合エピトープ残基を含み、増加したインビボ半減期を有するFabおよびF(ab')2断片の記述に関しては、U.S. Pat. No. 5,869,046を参照されたい。
ダイアボディは、二価または二重特異性であり得る、2箇所の抗原結合部位を有する抗体断片である。例えば、EP 404,097;WO 1993/01161;Hudson et al., Nat. Med. 9:129-134 (2003);およびHollinger et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 90: 6444-6448 (1993)を参照されたい。トリアボディおよびテトラボディも、Hudson et al., Nat. Med. 9: 129134 (2003)に記載されている。
単一ドメイン抗体は、抗体の重鎖可変ドメインのすべてもしくは一部、または軽鎖可変ドメインのすべてもしくは一部を含む抗体断片である。特定の態様において、単一ドメイン抗体はヒト単一ドメイン抗体である(Domantis, Inc., Waltham, Mass.;例えばU.S. Pat. No. 6,248,516を参照されたい)。抗体断片を、本明細書において記載されているインタクトな抗体のタンパク質分解消化ならびに組換え宿主細胞(例えば、大腸菌またはファージ)による産生を含むがそれらに限定されない様々な技術によって作製することができる。
抗体断片の産生のために、様々な技術が開発されている。慣例上、これらの断片は、インタクトな抗体のタンパク質分解消化によって得ていた(例えば、Morimoto et al., Journal of Biochemical and Biophysical Methods 24:107-117 (1992);およびBrennan et al., Science, 229:81 (1985)を参照されたい)。しかし、現在、これらの断片は、組換え宿主細胞によって直接産生することができる。Fab、Fv、およびScFv抗体断片のすべてを、大腸菌内で発現させて大腸菌から分泌させることができ、ゆえに大量のこれらの断片の容易な産生が可能となる(例えば、U.S. Pat. No. 6,204,023を参照されたい)。上述のように、抗体断片を抗体ファージライブラリーから単離することができる。あるいは、Fab'-SH断片を大腸菌から直接回収し、化学的にカップリングさせてF(ab')2断片を形成させることができる(例えば、Carter et al., Bio/Technology 10: 163-167 (1992)を参照されたい)。別の手法によれば、F(ab')2断片を組換え宿主細胞培養物から直接単離することができる。サルベージ受容体結合エピトープ残基を含む、インビボ半減期が増大したFabおよびF(ab')2断片(例えば、U.S. Pat. No. 5,869,046におけるものを参照されたい)。抗体断片の産生のための他の技術は、当業者に明白であろう。他の態様において、選択される抗体は一本鎖Fv断片(scFvまたは一本鎖抗体(SCA))である。WO 93/16185;U.S. Pat. No. 5,571,894;およびNo. 5,587,458を参照されたい。FvおよびsFvは、定常領域を欠き、インタクトな結合部位を有する唯一の種であり;ゆえに、それらはインビボで使用する間の非特異的結合の低下に適している。sFvのアミノ末端またはカルボキシ末端のいずれかにおけるエフェクタータンパク質の融合をもたらすように、sFv融合タンパク質を構築してもよい。上記Antibody Engineering, ed. Borrebaeckを参照されたい。抗体断片は、例えばU.S. Pat. No. 5,641,870に記載されているような「直鎖状抗体」であってもよい。そのような直鎖状抗体断片は、単一特異性または二重特異性であり得る。
ヒト化抗体
本開示は、極めて長いCDR3を含むヒト化抗体を提供する。ヒト化抗体には、ヒト遺伝子操作抗体が含まれてもよい(例えば、Studnicka et al. (1994) Protein Eng.. 7(6) 805-814;およびU.S. Pat. No. 5,766,886を参照されたい)。非ヒト抗体をヒト化するための様々な方法が当技術分野において公知である。例えば、ヒト化抗体は、その中に導入された、ヒトまたは非ヒトである供給源由来の1個または複数個のアミノ酸残基を有してもよい。改変した抗体可変ドメインの調製を含む、Studnickaの方法(例えば、Studnicka et al. (1994) Protein Eng.. 7(6) 805-814;およびU.S. Pat. No. 5,766,886を参照されたい)に従ってヒト化を実施してもよい。あるいは、Winterおよび共同研究者らの方法(Jones et al. (1986) Nature 321:522-525;Riechmann et al. (1988) Nature 332:323-327;Verhoeyen et al. (1988) Science 239:1534-1536)に従って、超可変領域配列を、ヒト抗体の相当する配列と置換することによってヒト化を実施してもよい。したがって、そのような「ヒト化」抗体または「ヒト遺伝子操作」抗体は、インタクトを実質的に下回るヒト可変ドメインが、非ヒト種由来の相当する配列によって置換されているまたはその中に組み入れられているものを含む、キメラ抗体である。例えば、ヒト化抗体は、ヒト抗体の一部の超可変領域残基および場合によっては一部のFR残基が、齧歯類抗体における相似部位に由来する残基によって置換されている抗体であってもよい。あるいは、ヒト化抗体またはヒト遺伝子操作抗体は、非ヒト(例えば、齧歯類)抗体の一部の残基が、ヒト抗体における相似部位に由来する残基によって置換されている抗体であってもよい(例えば、Studnicka et al. (1994) Protein Eng.. 7(6) 805-814;およびU.S. Pat. No. 5,766,886を参照されたい)。
抗原性を低下させるには、ヒト化抗体を作製する際に用いる軽鎖および重鎖の両方のヒト可変ドメインの選定が重要である。例えば、いわゆる「ベストフィット」法では、齧歯類抗体の可変ドメインの配列を、既知のヒト可変ドメイン配列のライブラリー全体に対してスクリーニングする。次に、齧歯類の配列に最も近いヒト配列を、ヒト化抗体のヒトフレームワークとして受け入れる(Sims et al. (1993) J. Immunol. 151:2296;Chothia et al. (1987) J. Mol. Biol. 196:901)。別の方法では、軽鎖または重鎖の特定のサブグループのヒト抗体全てのコンセンサス配列に由来する特定のフレームワークを用いる。同じフレームワークをいくつかの異なるヒト化抗体に用いることができる(Carter et al. (1992) Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 89:4285;Presta et al. (1993) J. Immunol., 151:2623)。
抗原に対する高い親和性および他の好ましい生物学的特性を保持して、抗体をヒト化することはさらに重要である。この目標を達成するために、一方法によれば、親配列およびヒト化配列の3次元モデルを用いた親配列および様々な概念的ヒト化産物についての分析プロセスによって、ヒト化抗体を調製する。3次元免疫グロブリンモデルは一般に利用可能であり、当業者によく知られている。選択された候補免疫グロブリン配列の可能性の高い3次元立体配座構造を図示するコンピュータープログラムが利用可能である。これらの表示についての検査により、候補免疫グロブリン配列の機能性における残基の推定役割の分析、例えば候補免疫グロブリンのその抗原への結合能に影響を与え得る残基の分析が可能となる。このようにして、レシピエント配列およびインポート配列からFR残基を選択して組み合わせることができ、それによって、標的抗原に対する親和性の増大などの所望の抗体特徴が達成される。一般的に、超可変領域残基は、抗原結合に影響を与えるのに直接的かつ最も実質的に関与する。
いくつかの態様において、極めて長いCDR3を含むヒト化抗体を脱免疫してもよい。抗体またはタンパク質を脱免疫する方法は、当技術分野において周知である。抗体などの治療用タンパク質の免疫原性は、MHCクラスII分子に結合し得、かつCD4+ヘルパーT細胞における増殖応答およびサイトカイン応答を生じさせ得るT細胞エピトープの存在によって生じると考えられる。次いで、これらのCD4+ヘルパー細胞はB細胞と協調して、治療用タンパク質に対する抗体応答を生じさせる。T細胞エピトープの除去は、組換えタンパク質を脱免疫することにおける主要な工程であると考えられる。MHCに結合するのに必要とされる残基を同定するインシリコのアルゴリズムによって、T細胞エピトープを予測することができる。あるいは、ヒトドナーのパネル由来の末梢血単核細胞を利用することによって、および抗原提示細胞とインキュベートした場合の治療用タンパク質に対するそれらの応答を測定することによって、エピトープを直接同定することができる。そのようなインシリコおよびインビトロの系は、当技術分野において周知である(Jones TD, Crompton LJ, Carr FJ, Baker MP. Methods Mol Biol. 2009;525:405-23,Deimmunization of monoclonal antibodies;およびBaker M, and Jones TD. The identification and removal of immunogenicity in therapeutic proteins. Curr. Opin. Drug Discovery Dev. 2007; (2007); 10(2): 219-227)。MHC IIに結合するかまたはそうではなくCD4+細胞活性化を刺激するペプチドを同定する場合、MHC II結合およびT細胞活性化を崩壊させる変異が見出されるまで、該ペプチドの残基を1つずつ変異させ、T細胞活性化について試験することができる。そのような変異を、個々のペプチドにおいて見出した場合、組換え治療用タンパク質において直接コードすることができる。当該タンパク質全体と抗原提示細胞とのインキュベーションは有意なCD4+応答を誘発しないと考えられ、それは脱免疫の成功を示している。
二重特異性抗体
二重特異性抗体は、少なくとも2種の異なる抗原に対する結合特異性を有する、モノクローナルの、好ましくはヒト抗体またはヒト化抗体である。例えば、結合特異性の一方は第一の抗原に対するものであってもよく、もう一方は任意の別の抗原に対するものであってもよい。例示的な二重特異性抗体は、同じタンパク質の2つの異なるエピトープに結合し得る。二重特異性抗体を用いて、特定のタンパク質を発現する細胞に細胞傷害性物質を局在させてもよい。これらの抗体は、特定のタンパク質に特異的な結合アームと、細胞傷害性物質(例えば、サポリン、抗インターフェロンα、ビンカアルカロイド、リシンA鎖、メトトレキサート、または放射性同位体ハプテン)に結合するアームとを持つ。二重特異性抗体を、全長抗体または抗体断片(例えば、F(ab')2二重特異性抗体)として調製してもよい。
二重特異性抗体を作製するための方法は、当技術分野において公知である。慣例上、二重特異性抗体の組換え産生は、2つの重鎖が異なる特異性を有する2組の免疫グロブリン重鎖−軽鎖ペアの共発現に基づく(Milstein and Cuello, Nature, 305: 537 (1983))。免疫グロブリンの重鎖および軽鎖のランダムな取り合わせが理由で、これらのハイブリドーマ(クアドローマ)は、10種の異なる抗体分子の潜在的混合物を産生し、そのうち1種のみが正しい二重特異性構造を有する。アフィニティークロマトグラフィー工程によって通常行われる正しい分子の精製は、むしろ煩雑でありかつ産物収量が低い。同様の手順は、WO 93/08829およびTraunecker et al., EMBO J., 10: 3655 (1991)に開示されている。
異なる手法によれば、所望の結合特異性(抗体−抗原結合部位)を有する抗体可変ドメインを、免疫グロブリン定常ドメイン配列と融合させる。融合は、好ましくは、ヒンジの少なくとも一部、CH2、およびCH3領域を含む免疫グロブリン重鎖定常ドメインとの融合である。融合体の少なくとも1つに存在している、軽鎖結合に必要な部位を含有する第一の重鎖定常領域(CH1)を有することが好ましい。免疫グロブリン重鎖融合体および所望の場合には免疫グロブリン軽鎖をコードするDNAを、別々の発現ベクター内に挿入し、適切な宿主生物内に共トランスフェクトする。これは、構築に用いられた不均等な割合の3種のポリペプチド鎖が最適な収量を提供する場合の態様において、3種のポリペプチド断片の相互比率の調整における柔軟性を提供する。しかしながら、均等な割合の少なくとも2種のポリペプチド鎖が高収量をもたらす場合、または割合がとくに重大でない場合には、2種または3種すべてのポリペプチド鎖に対するコード配列を1つの発現ベクターに挿入することが可能である。
この手法の好ましい態様において、二重特異性抗体は、一方のアームに、第一の結合特異性を有するハイブリッド免疫グロブリン重鎖、およびもう一方のアームに、(第二の結合特異性を提供する)ハイブリッド免疫グロブリン重鎖−軽鎖ペアから構成される。この非対称構造は、二重特異性分子の半分のみにおける免疫グロブリン軽鎖の存在は容易な分離法を提供するため、望ましくない免疫グロブリン鎖の組み合わせからの所望の二重特異性化合物の分離を容易にし得る。この手法はWO 94/04690に開示されている。二重特異性抗体を作製するさらなる詳細に関しては、例えばSuresh et al., Methods in Enzymology, 121:210 (1986)を参照されたい。
別の手法によれば、抗体分子のペア間の境界面を操作して、組換え細胞培養物から回収されるヘテロ二量体のパーセンテージを最大化することができる。好ましい境界面は、抗体定常ドメインのCH3ドメインの少なくとも一部を含む。この方法では、第一の抗体分子の境界面からの1つまたは複数の小さなアミノ酸側鎖を、より大きな側鎖(例えば、チロシンまたはトリプトファン)に置き換える。大きなアミノ酸側鎖をより小さなもの(例えば、アラニンまたはスレオニン)に置き換えることによって、第二の抗体分子の境界面上に大きな側鎖と同一または同程度のサイズの補償的「空洞」が作り出される。これは、ホモ二量体などの他の望ましくない最終産物を上回って、ヘテロ二量体の収量を増大させるためのメカニズムを提供する。
二重特異性抗体には、架橋抗体または「ヘテロ結合体」抗体が含まれる。例えば、ヘテロ結合体中の抗体の一方をアビジンに、もう一方をビオチンにカップリングしてもよい。そのような抗体は、例えば、望ましくない細胞に対して(U.S. Pat. No. 4,676,980)およびHIV感染症の治療のために(WO 91/00360、WO 92/00373、およびEP 03089)、免疫系細胞を標的化することが提案されている。任意の簡便な架橋方法を用いて、ヘテロ結合体抗体を作製してもよい。適切な架橋剤は、多数の架橋技術とともに、当技術分野において周知でありかつU.S. Pat. No. 4,676,980に開示されている。
抗体断片から二重特異性抗体を作製するための技術も文献に記載されている。例えば、化学的連結を用いて、二重特異性抗体を調製してもよい。Brennan et al., Science, 229: 81 (1985)は、インタクトな抗体をタンパク質分解により切断して、F(ab')2断片を作製する手順を記載している。隣接ジチオールを安定化して分子間ジスルフィド形成を妨げるジチオール錯化剤の亜ヒ酸ナトリウムの存在下で、これらの断片は還元される。次いで、作製されたFab'断片をチオニトロベンゾエート(TNB)誘導体に変換する。次いで、Fab'-TNB誘導体の一方を、メルカプトエチルアミンによる還元によってFab'-チオールに再変換し、等モル量のもう一方のFab'-TNB誘導体と混合して、二重特異性抗体を形成する。産生された二重特異性抗体を、酵素の選択的固定のための作用物質として用いてもよい。
最近の進歩により、Fab'-SH断片の大腸菌からの直接的回収が容易になっており、それを化学的にカップリングさせて二重特異性抗体を形成することができる。Shalaby et al., J. Exp. Med., 175: 217-225 (1992)は、完全にヒト化した二重特異性抗体F(ab')2分子の産生を記載している。各Fab'断片は大腸菌から別々に分泌され、インビトロで指向性(directed)化学的カップリングに供されて、二重特異性抗体を形成した。ゆえに形成された二重特異性抗体は、HER2受容体を過剰発現している細胞および正常なヒトT細胞に結合し得、ならびにヒト乳房腫瘍標的に対してヒト細胞傷害性リンパ球の溶解活性を誘発し得た。
二重特異性抗体断片を、組換え細胞培養物から直接的に作製して単離するための様々な技術も記載されている。例えば、二重特異性抗体は、ロイシンジッパーを用いて産生されている。例えば、Kostelny et al., J. Immunol., 148(5):1547-1553 (1992)を参照されたい。FosおよびJunタンパク質由来のロイシンジッパーペプチドを、遺伝子融合によって2種の異なる抗体のFab'部分に連結させた。抗体ホモ二量体をヒンジ領域で還元して単量体を形成し、次いで再酸化して抗体ヘテロ二量体を形成した。Hollinger et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 90:6444-6448 (1993)によって記載されている「ダイアボディ」技術は、二重特異性抗体断片を作製するための代替的メカニズムを提供している。断片は、同じ鎖上の2つのドメイン間での対形成を可能にするには短すぎる、リンカーによって軽鎖可変ドメイン(VL)に連結された重鎖可変ドメイン(VH)を含む。したがって、一方の断片のVHおよびVLドメインを、別の断片の相補的VLおよびVHドメインと対形成させて、それによって2箇所の抗原結合部位が形成される。一本鎖Fv(sFv)二量体の使用によって二重特異性抗体断片を作製するための別のストラテジーも報告されている。Gruber et al., J. Immunol., 152:5368 (1994)を参照されたい。
2価を上回る価数を有する抗体が企図される。例えば、三重特異性抗体を調製することができる。例えば、Tutt et al. J. Immunol. 147: 60 (1991)を参照されたい。
多価抗体
多価抗体は、抗体が結合する抗原を発現している細胞によって、二価抗体よりも速く内部移行(かつ/または異化)され得る。本開示の抗体は、抗体のポリペプチド鎖をコードする核酸の組換え発現によって産生され得る、3箇所以上の抗原結合部位を有する(IgMクラスのもの以外である)多価抗体(例えば、四価抗体)であってもよい。多価抗体は、二量化ドメインおよび3箇所以上の抗原結合部位を含んでもよい。好ましい二量化ドメインは、Fc領域またはヒンジ領域を含んでもよい(またはそれらからなってもよい)。この文脈において、抗体は、Fc領域、およびFc領域に対してアミノ末端側にある3箇所以上の抗原結合部位を含むと考えられる。好ましい多価抗体は、3〜約8箇所、しかしながら好ましくは4箇所の抗原結合部位を含んでもよい(またはそれらからなってもよい)。多価抗体は、2つ以上の可変ドメインを含む少なくとも1種のポリペプチド鎖(好ましくは2種のポリペプチド鎖)を含む。例えば、ポリペプチド鎖はVD1-(X1)n-VD2-(X2)n-Fcを含んでもよく、VD1は第一の可変ドメインであり、VD2は第二の可変ドメインであり、FcはFc領域の1本のポリペプチド鎖であり、X1およびX2はアミノ酸またはポリペプチドを表し、かつnは0または1である。例えば、ポリペプチド鎖は、VH-CH1-可動性リンカー-VH-CH1-Fc領域の鎖またはVH-CH1-VH-CH1-Fc領域の鎖を含んでもよい。多価抗体は、好ましくは、少なくとも2種(好ましくは4種)の軽鎖可変ドメインポリペプチドをさらに含んでもよい。多価抗体は、例えば、約2〜約8種の軽鎖可変ドメインポリペプチドを含んでもよい。軽鎖可変ドメインポリペプチドは、軽鎖可変ドメインを含んでもよく、任意でCLドメインをさらに含んでもよい。
抗体改変体
いくつかの態様において、本明細書において記載されている極めて長いCDR3を含むヒト化抗体のアミノ酸配列の改変が企図される。例えば、抗体の結合親和性および/または他の生物学的特性を改善することが望ましい可能性がある。抗体のアミノ酸配列改変体は、抗体核酸内に適当なヌクレオチド改変を導入することによってまたはペプチド合成によって調製される。そのような改変には、例えば、抗体のアミノ酸配列内の残基の欠失および/もしくはそこへの挿入、ならびに/またはそれらの置換が含まれる。最終構築物が所望の特徴を持つという条件で、最終構築物に達するように欠失、挿入、および置換の任意の組み合わせを作製する。配列が作製される時点で、アミノ酸の変更を対象抗体アミノ酸配列に導入してもよい。
突然変異誘発に好ましい位置である、抗体の特定の残基または領域の同定のための有用な方法は、Cunningham and Wells (1989) Science, 244:1081-1085によって記載されている「アラニンスキャン突然変異誘発」と呼ばれる。ここでは、残基または標的残基の群(例えば、arg、asp、his、lys、およびgluなどの荷電残基)を同定し、中性または負に荷電したアミノ酸(最も好ましくはアラニンまたはポリアラニン)に置き換えて、アミノ酸と抗原との相互作用に影響を与える。次いで、置換の部位において、すなわちその部位に対してさらなるまたは他の改変を導入することによって、置換に対する機能的感受性を示すそのアミノ酸位を精選する。ゆえに、アミノ酸配列の変動を導入するための部位をあらかじめ決定するが、変異の性質それ自体をあらかじめ決定する必要はない。例えば、所定の部位における変異の性能を分析するために、標的コドンまたは領域においてalaスキャンまたはランダム突然変異誘発を行い、発現した免疫グロブリンを所望の活性についてスクリーニングする。
アミノ酸配列の挿入には、1個の残基から、100個以上の残基を含有するポリペプチドまで長さが及ぶ、アミノ末端および/またはカルボキシル末端融合、ならびに単一または多数のアミノ酸残基の配列内挿入が含まれる。末端挿入の例には、N末にメチオニル残基を有する抗体、または細胞傷害性ポリペプチドに融合した抗体が含まれる。抗体分子の他の挿入改変には、抗体の血清中半減期を増加させる酵素(例えば、ADEPT用の)またはポリペプチドに対する、抗体のN末またはC末への融合が含まれる。
ポリペプチドの糖鎖付加は、典型的にN-結合型またはO-結合型のいずれかである。N-結合型とは、アスパラギン残基の側鎖への糖質成分の結合を指す。Xがプロリンを除く任意のアミノ酸である、トリペプチド配列のアスパラギン-X-セリンおよびアスパラギン-X-スレオニンは、アスパラギン側鎖への糖質成分の酵素的結合のための認識配列である。ゆえに、ポリペプチドにおけるこれらトリペプチド配列のいずれかの存在により、潜在的糖鎖付加部位が作り出される。O-結合型糖鎖付加とは、5-ヒドロキシプロリンまたは5-ヒドロキシリジンを用いてもよいが、ヒドロキシアミノ酸、最も一般的にはセリンまたはスレオニンへの糖類N-アセチルガラクトサミン、ガラクトース、またはキシロースのうちの1つの結合を指す。
アミノ酸配列を、それが上記トリペプチド配列のうちの1つまたは複数を含有するように変更することによって、抗体への糖鎖付加部位の付加は好都合に遂行される(N-結合型糖鎖付加部位に対して)。元の抗体の配列に対する1個または複数個のセリンまたはスレオニン残基の付加またはそれらによる置換によって変更してもよい(O-結合型糖鎖付加部位に対して)。
抗体がFc領域を含む場合、そこに結合する糖質を変更してもよい。例えば、抗体のFc領域に結合するフコースを欠いている成熟した糖質構造を有する抗体が記載されている(例えば、US 2003/0157108、US 2004/0093621を参照されたい)。抗体のFc領域に結合した糖質において分岐N-アセチルグルコサミン(GlcNAc)を有する抗体が記載されている(例えば、WO 2003/011878およびU.S. Pat. No. 6,602,684を参照されたい)。抗体のFc領域に結合したオリゴ糖において少なくとも1個のガラクトース残基を有する抗体(WO 1997/30087;そのFc領域に結合した変更された糖質を有する抗体に関するWO 1998/58964およびWO 1999/22764も参照されたい)。改変した糖鎖付加を有する抗原結合分子が記載されている(例えば、WO 99/54342、U.S. Pat. No. 6,602,684およびNo. 7,517,670、ならびに US 2004/0072290を参照されたい;例えば、U.S. Pat. No. 7,214,775 およびNo. 7,682,610も参照されたい)。
本明細書における好ましい糖鎖付加改変体は、Fc領域に結合した糖質構造がフコースを欠いている、Fc領域を含む。そのような改変体は、向上したADCC機能を有する。任意で、Fc領域は、ADCCをさらに向上させる1個または複数個のアミノ酸置換、例えばFc領域の298位、333位、および/または334位(残基のEu番号付け)における置換をその中にさらに含む。「脱フコシル化した」または「フコース欠損」抗体に関連した刊行物の例には、:US 2003/0157108;WO 2000/61739;WO 2001/29246;US 2003/0115614(現在、U.S. Pat. No.6,946,292);US 2002/0164328(現在、U.S. Pat. No. 7,064,191);US 2004/0093621;US 2004/0132140;US 2004/0110704;US 2004/0110282(現在、U.S. Pat. No 7,749,753);US 2004/0109865;WO 2003/085119;WO 2003/084570;WO 2005/035586;WO 2005/035778;WO2005/053742;Okazaki et al. J. Mol. Biol. 336:1239-1249 (2004);Yamane-Ohnuki et al. Biotech. Bioeng. 87: 614 (2004)が含まれる。脱フコシル化抗体を産生する細胞株の例には、タンパク質フコシル化を欠損しているLec13 CHO細胞(Ripka et al. Arch. Biochem. Biophys. 249:533-545 (1986);米国特許出願第US 2003/0157108 A1号, Presta, L;およびWO 2004/056312 A1, Adams et al., とくに実施例11において)、およびα-1,6-フコシルトランスフェラーゼ遺伝子FUT8ノックアウトCHO細胞などのノックアウト細胞株(Yamane-Ohnuki et al. Biotech. Bioeng. 87: 614 (2004))が含まれる。
別のタイプの改変体はアミノ酸置換改変体である。これらの改変体は、抗体分子中の少なくとも1個のアミノ酸残基が異なる残基に置き換えられている。置換による突然変異誘発にとっての最大の関心対象の部位には超可変領域が含まれるが、FR変更も企図される。保存的置換を、表2において「好ましい置換」という見出しの下に示している。そのような置換が生物学的活性の変化をもたらす場合、「例示的な置換」と指定されるかまたはアミノ酸クラスに関して下記にさらに記載されているより実質的な変化を導入し、産物をスクリーニングしてもよい。
Figure 2015509091
抗体の生物学的特性の実質的な改変は、(a)例えばシートもしくはヘリックス立体配座のような、置換の領域におけるポリペプチド骨格の構造、(b)標的部位における分子の電荷もしくは疎水性、または(c)側鎖の大きさ、の維持に対するそれらの効果が有意に異なる置換を選択することによって遂行される。天然に存在する残基は、共通の側鎖特性に基づいて、:(1)疎水性:ノルロイシン、met、ala、val、leu、ile;(2)中性親水性:Cys、Ser、Thr、Asn、Gln;(3)酸性:asp、glu;(4)塩基性:his、lys、arg;(5)鎖配向に影響を与える残基:gly、pro;および(6)芳香族:trp、tyr、phe、に分けられる。
非保存的置換は、これらのクラスのうちの1つのメンバーを別のクラスと交換することを必要とする。
置換改変体の一タイプは、親抗体(例えば、ヒト化またはヒト抗体)の1個または複数個の超可変領域残基を置換することを伴う。一般的に、さらなる開発のために選択された結果的に生じた改変体は、それらの由来の親抗体と比較して、改善した生物学的特性を有する。そのような置換改変体を作製するための好都合な手段は、ファージディスプレイを用いた親和性成熟を伴う。簡潔には、いくつかの超可変領域部位(例えば、6〜7箇所の部位)を変異させて、各部位における可能性のあるすべてのアミノ酸置換をもたらす。ゆえに、作製された抗体は、各粒子内にパッケージされたM13の遺伝子III産物に対する融合体として、繊維状ファージ粒子から提示される。次いで、ファージディスプレイによる改変体を、本明細書において開示されるそれらの生物学的活性(例えば、結合親和性)についてスクリーニングする。改変のための候補超可変領域部位を同定するために、アラニンスキャン突然変異誘発を実施して、抗原結合に重大に寄与している超可変領域残基を同定することができる。あるいはまたは加えて、抗原−抗体複合体の結晶構造を分析して、抗体と抗原との間の接触点を同定することが有益であり得る。そのような接触残基および近隣残基は、本明細書において詳述される技術に従った置換の候補である。そのような改変体が作製され次第、改変体のパネルを本明細書において記載されているスクリーニングに供し、1種または複数種の関連アッセイにおいて優れた特性を有する抗体をさらなる開発のために選択してもよい。
抗体のアミノ酸配列改変体をコードする核酸分子は、当技術分野において公知の様々な方法によって調製される。これらの方法には、天然供給源からの単離(天然に存在するアミノ酸配列改変体の場合)、または抗体の事前調製された改変体もしくは非改変型についてのオリゴヌクレオチド介在性(もしくは部位指向性)突然変異誘発、PCR突然変異誘発、およびカセット突然変異誘発による調製が含まれるが、それらに限定されるわけではない。
本明細書において開示される免疫グロブリンポリペプチドのFc領域に1個または複数個のアミノ酸改変を導入し、それによってFc領域改変体を作製することが望ましい可能性がある。Fc領域改変体は、ヒンジのシステインのものを含む、1箇所または複数箇所のアミノ酸位置におけるアミノ酸改変(例えば、置換)を含むヒトFc領域配列(例えば、ヒトIgG1、IgG2、IgG3、またはIgG4 Fc領域)を含んでもよい。
本記載および当技術分野の教示によれば、いくつかの態様において、本明細書において開示される方法に用いられる抗体は、例えばFc領域において、野生型の対応する抗体と比較して1つまたは複数の変更を含んでもよいことが企図される。それにもかかわらず、これらの抗体は、それらの野生型対応物と比較して、治療用途に必要とされる実質的に同じ特徴を保持するであろう。例えば、WO99/51642に記載されている、変更した(例えば、向上したまたは減退した)C1q結合および/または補体依存性細胞傷害(CDC)をもたらすであろう特定の変更をFc領域に行うことができると考えられる。Fc領域改変体の他の例に関する、Duncan & Winter Nature 322:738-40 (1988);U.S. Pat. No. 5,648,260;U.S. Pat. No. 5,624,821;およびW094/29351も参照されたい。WO00/42072およびWO 2004/056312は、FcRへの向上したまたは減退した結合を有する抗体改変体を記載している。Shields et al. J. Biol. Chem. 9(2): 6591-6604 (2001)も参照されたい。増加した半減期、および胎児への母体IgGの移動に関与している新生児Fc受容体(FcRn)(Guyer et al., J. Immunol. 117:587 (1976)およびKim et al., J. Immunol. 24:249 (1994))への向上した結合を有する抗体は、US2005/0014934(Hinton et al.)に記載されている。これらの抗体は、FcRnへのFc領域の結合を向上させる1個または複数個の置換をその中に有するFc領域を含む。変更したFc領域アミノ酸配列および増大または減少したC1q結合能を有するポリペプチド改変体は、U.S. Pat. No. 6,194,551、W099/51642に記載されている。Idusogie et al. J. Immunol. 164:4178-4184 (2000)も参照されたい。
特定の態様において、本開示は、すべてではないが一部のエフェクター機能を持つ抗体改変体を企図し、それは、インビボにおける抗体の半減期は重要であるが特定のエフェクター機能(補体およびADCCなど)は不要または有害である適用に対して、それを望ましい候補にする。インビトロおよび/またはインビボの細胞傷害性アッセイを行って、CDCおよび/またはADCC活性の低下/喪失を確認することができる。例えば、Fc受容体(FcR)結合アッセイを行って、抗体がFcγR結合を欠いている(ゆえに、ADCC活性を欠いている可能性がある)が、FcRn結合能を保持していることを確かめることができる。ADCCを仲介するための主な細胞であるNK細胞はFcγRIIIのみを発現し、一方で単球はFcγRI、FcγRII、およびFcγRIIIを発現する。造血細胞上でのFcR発現は、Ravetch and Kinet, Annu. Rev. Immunol. 9:457-492 (1991)の464ページの表3に概要が示されている。関心対象の分子のADCC活性を査定するためのインビトロアッセイの非限定的な例は、U.S. Pat. No. 5,500,362に記載されている(例えば、Hellstrom, I. et al. Proc. Nat'l Acad. Sci. USA 83:7059-7063 (1986)を参照されたい)、およびHellstrom, I et al., Proc. Nat'l Acad. Sci. USA 82:1499-1502 (1985);5,821,337(Bruggemann, M. et al., Exp. Med. 166:1351-1361 (1987)を参照されたい)。あるいは、非放射性アッセイ法を採用してもよい(例えば、フローサイトメトリー用のACTITM非放射性細胞傷害性アッセイ(CellTechnology, Inc. Mountain View, Calif.);およびCytoTox 96(登録商標)非放射性細胞傷害性アッセイ(Promega, Madison, Wis.)を参照されたい)。そのようなアッセイに対する有用なエフェクター細胞には、末梢血単核細胞(PBMC)およびナチュラルキラー(NK)細胞が含まれる。あるいはまたは加えて、関心対象の分子のADCC活性を、インビボで、例えばClynes et al. Proc. Nat'l Acad. Sci. USA 95:652-656 (1998)に開示されているものなどの動物モデルで査定してもよい。C1q結合アッセイを行って、抗体がC1qに結合し得ず、ゆえにCDC活性を欠いていることを確認してもよい。例えば、WO 2006/029879およびWO 2005/100402におけるC1qおよびC3c結合ELISAを参照されたい。補体活性化を査定するために、CDCアッセイを実施してもよい(例えば、Gazzano-Santoro et al., Immunol. Methods 202:163 (1996);Cragg, M. S. et al., Blood 101:1045-1052 (2003);およびCragg, M. S, and M. J. Glennie, Blood 103:27382743 (2004)を参照されたい)。FcRn結合およびインビボでのクリアランス/半減期の決定を、当技術分野において公知の方法を用いて実施することもできる(例えば、Petkova, S. B. et al., Int'l Immunol. 18(12):1759-1769 (2006)を参照されたい)。
エフェクター機能が低下した抗体には、Fc領域残基238、265、269、270、297、327、および329のうちの1個または複数個の置換を有するものが含まれる(U.S. Pat. No. 6,737,056)。そのようなFc変異体には、残基265および297のアラニンへの置換を有するいわゆる「DANA」Fc変異体を含む、アミノ酸位265、269、270、297、および327のうちの2箇所以上での置換を有するFc変異体が含まれる(U .S. Pat. No. 7,332,581)。
FcRへの結合が向上または減退した特定の抗体改変体が記載されている(例えば、U.S. Pat. No. 6,737,056;WO 2004/056312、およびShields et al., Biol. Chem. 9(2): 6591-6604 (2001)を参照されたい)。
特定の態様において、抗体改変体は、ADCCを向上させる1個または複数個の置換、例えばFc領域の298位、333位、および/または334位(残基のEU番号付け)における置換を有するFc領域を含む。
いくつかの態様において、例えばU.S. Pat. No. 6,194,551、WO 99/51642、およびIdusogie et al. Immunol. 164: 41784184 (2000)に記載されている、変更した(すなわち、向上したまたは減退した)C1q結合および/または補体依存性細胞傷害(CDC)をもたらす変更をFc領域に行う。
半減期が増加し、かつ胎児への母体IgGの移動に関与している新生児Fc受容体(FcRn)(Guyer et al., J. Immunol. 117:587 (1976)およびKim et al., J. Immunol. 24:249 (1994))への結合が向上した抗体が、US2005/0014934(Hinton et al.)に記載されている。それらの抗体は、FcRnへのFc領域の結合を向上させる1個または複数個の置換を有するFc領域を含む。そのようなFc改変体には、Fc領域残基:238、256、265、272、286、303、305、307、311、312、317、340、356、360、362、376、378、380、382、413、424、または434のうちの1箇所または複数箇所における置換、例えばFc領域残基434の置換を有するものが含まれる(U.S. Pat. No. 7,371,826)。
Fc領域改変体の他の例に関する、Duncan & Winter Nature 322:738-40 (1988);U.S. Pat. No. 5,648,260;U.S. Pat. No. 5,624,821;およびW0 94/29351も参照されたい。
抗体誘導体
本明細書において開示される極めて長いCDR3を含むヒト化抗体を、当技術分野において公知でありかつ容易に利用可能であるさらなる非タンパク質性成分を含有するようにさらに改変してもよい。好ましくは、抗体の誘導体化に適した成分は水溶性ポリマーである。水溶性ポリマーの非限定的な例には、ポリエチレングリコール(PEG)、エチレングリコール/プロピレングリコールのコポリマー、カルボキシメチルセルロース、デキストラン、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリ-1,3-ジオキソラン、ポリ-1,3,6-トリオキサン、エチレン/無水マレイン酸コポリマー、ポリアミノ酸(ホモポリマーまたはランダムコポリマー)、およびデキストランまたはポリ(n-ビニルピロリドン)ポリエチレングリコール、プロプロピレングリコールホモポリマー、ポリプロピレンオキシド/エチレンオキシドコポリマー、ポリオキシエチル化ポリオール(例えば、グリセロール)、ポリビニルアルコール、ならびにそれらの混合物が含まれるが、それらに限定されるわけではない。ポリエチレングリコールプロピオンアルデヒドは、水中でのその安定性により製造における利点を有し得る。ポリマーは任意の分子量のものであってもよく、分岐していても分岐していなくてもよい。抗体に結合したポリマーの数は多様であってもよく、複数のポリマーが結合している場合、それらは同じまたは異なる分子であってもよい。一般的に、誘導体化に用いられるポリマーの数および/またはタイプは、改善される対象となる抗体の特定の特性または機能、抗体誘導体が規定条件下での治療に用いられるかどうかなどを含むがそれらに限定されない検討事項に基づいて決定され得る。
ベクター、宿主細胞、および組換え方法
本明細書において開示される抗体またはその断片の組換え産生のために、それをコードする核酸を単離し、さらなるクローニング(DNAの増幅)用または発現用の複製可能なベクター内に挿入する。抗体をコードするDNAは、従来の手順を用いて(例えば、抗体の重鎖および軽鎖をコードする遺伝子に特異的に結合し得るオリゴヌクレオチドプローブを用いることによって)容易に単離されかつシークエンシングされる。例示的な態様において、極めて長いCDR3を含むヒト化抗体、極めて長いCDR3を含む可変領域、または極めて長いCDR3をコードする核酸を単離し、さらなるクローニング(DNAの増幅)用または発現用の複製可能なベクター内に挿入する。多くのベクターが利用可能である。ベクターの選定は、用いられる対象となる宿主細胞に部分的に依存する。一般的に、好ましい宿主細胞は、原核起源または真核(一般的に哺乳動物)起源のいずれかのものである。IgG、IgM、IgA、IgD、およびIgE定常領域を含めた任意のアイソタイプの定常領域を本目的のために用いることができ、そのような定常領域を任意のヒトまたは動物種から獲得することができると理解されるであろう。
真核性ウイルス由来の調節エレメントを含有する発現ベクターは、典型的に、真核生物用発現ベクター、例えばSV40ベクター、パピローマウイルスベクター、およびエプスタイン・バールウイルスに由来するベクターに用いられる。他の例示的な真核生物用ベクターには、CMVプロモーター、SV40初期プロモーター、SV40後期プロモーター、メタロチオネインプロモーター、マウス乳癌ウイルスプロモーター、ラウス肉腫ウイルスプロモーター、ポリヘドリンプロモーター、または真核細胞における発現に有効であることが示された他のプロモーターの指揮下でタンパク質の発現を可能にする、pMSG、pAV009/A+、pMTO10/A+、pMAMneo-5、バキュロウイルスpDSVE、および他の任意のベクターが含まれる。
一部の発現系は、チミジンキナーゼおよびジヒドロ葉酸レダクターゼなど、遺伝子増幅を提供するマーカーを有する。あるいは、昆虫細胞でバキュロウイルスベクターを用いるなど、ポリヘドリンプロモーターまたは他の強力なバキュロウイルスプロモーターの指揮下に部分的ヒト極めて長いCDR3抗体鎖をコードする核酸配列を有した、遺伝子増幅を伴わない高収量発現系も適している。
a.原核宿主細胞または真核宿主細胞を用いた抗体の作製:
i.ベクター構築
標準的組換え技術を用いて、本明細書において開示される抗体のポリペプチド構成要素をコードするポリヌクレオチド配列を獲得することができる。ハイブリドーマ細胞などの抗体産生細胞から、所望のポリヌクレオチド配列を単離してシークエンシングしてもよい。あるいは、ヌクレオチド合成器またはPCR技術を用いて、ポリヌクレオチドを合成することができる。獲得され次第、ポリペプチドをコードする配列を、原核宿主内で複製し得かつ異種ポリヌクレオチドを発現し得る組換えベクター内に挿入する。利用可能でありかつ当技術分野において公知である多くのベクターを、本開示の目的のために用いることができる。適当なベクターの選択は、ベクター内に挿入される対象となる核酸のサイズ、およびベクターで形質転換される対象となる特定の宿主細胞に主に依存する。各ベクターは、その機能(異種ポリヌクレオチドの増幅もしくは発現、またはその両方)およびそれが滞在する特定の宿主細胞とのその適合性に応じて、様々な構成要素を含有する。ベクター構成要素には、:複製起点、選択マーカー遺伝子、プロモーター、リボソーム結合部位(RBS)、シグナル配列、異種核酸挿入物、および転写終結配列が一般的に含まれるが、それらに限定されるわけではない。加えて、極めて長いCDR3を含むV領域をC領域に任意で融合させて、定常領域を含む抗体を産生してもよい。
一般的に、宿主細胞と適合する種に由来する、レプリコンおよび制御配列を含有するプラスミドベクターをこれらの宿主とともに用いる。ベクターは、複製部位、ならびに形質転換された細胞において表現型選択を提供し得るマーキング配列を通常保持する。例えば、大腸菌は、大腸菌種に由来するプラスミドのpBR322を用いて典型的に形質転換される。pBR322は、アンピシリン(Amp)およびテトラサイクリン(Tet)耐性をコードする遺伝子を含有し、ゆえに形質転換された細胞を同定するための容易な手段を提供する。pBR322、その誘導体、または他の微生物プラスミドもしくはバクテリオファージも、内在性タンパク質の発現のために微生物生命体によって用いられ得るプロモーターを含有してもよく、または含有するように改変されてもよい。特定の抗体の発現のために用いられるpBR322誘導体の例が記載されている(例えば、U.S. Pat. No. 5,648,237を参照されたい)。
加えて、宿主微小生物と適合する、レプリコンおよび制御配列を含有するファージベクターを、これらの宿主とともに形質転換用ベクターとして用いることができる。例えば、λGEM(商標)-11などのバクテリオファージを、大腸菌LE392などの感受性宿主細胞を形質転換するために用いられ得る組換えベクターを作製するのに利用してもよい。
本明細書において開示される発現ベクターは、ポリペプチド構成要素のそれぞれをコードする、2つ以上のプロモーター−シストロンペアを含んでもよい。プロモーターとは、その発現を調節するシストロンに対して上流(5')に位置した非翻訳調節配列である。原核生物プロモーターは、典型的に、誘導性および構成性の2つのクラスに分類される。誘導性プロモーターとは、その制御下において、培養条件の変化、例えば栄養素の有無または温度の変化に応答してシストロンの転写レベルの増大を引き起こすプロモーターである。
様々な潜在的宿主細胞によって認識される多数のプロモーターが周知である。制限酵素消化により供給源DNAからプロモーターを取り出し、単離したプロモーター配列を本明細書において開示されるベクター内に挿入することによって、選択したプロモーターを、軽鎖または重鎖をコードするシストロンDNAに機能的に連結することができる。天然プロモーター配列および多くの異種プロモーターの両方を用いて、標的遺伝子の増幅および/または発現を指揮してもよい。いくつかの態様において、異種プロモーターは、一般的に、天然標的ポリペプチドプロモーターと比較してより多量の転写およびより高収量の標的遺伝子の発現を可能にするため、それらを利用する。
原核宿主との併用に適したプロモーターには、ara Bプロモーター、PhoAプロモーター、β-ガラクタマーゼおよびラクトースプロモーター系、トリプトファン(trp)プロモーター系、ならびにtacまたはtrcプロモーターなどのハイブリッドプロモーターが含まれる。しかしながら、細菌内で機能的である他のプロモーター(他の公知の細菌プロモーターまたはファージプロモーターなど)も同様に適している。それらのヌクレオチド配列は公開されており、それによって、当業者は、任意の必要とされる制限部位を供給するリンカーまたはアダプターを用いて、標的軽鎖および重鎖をコードするシストロンにそれらを機能的にライゲーションすることが可能である(例えば、Siebenlist et al. (1980) Cell 20: 269)。
適切な細菌プロモーターは、当技術分野において周知であり、かつ上記Sambrook and Russellおよび上記Ausubelらなどの科学的文献に十分に記載されている。組換え触媒ポリペプチドの抗体鎖を発現させるための細菌発現系は、例えば大腸菌、バシラス(Bacillus)属、およびサルモネラ(Salmonella)において利用可能である(Palva et al., Gene, 22:229-235 (1983);Mosbach et al., Nature, 302:543-545 (1983))。
本明細書において開示される一局面において、組換えベクター内の各シストロンは、発現したポリペプチドの膜を横断した移行を指揮する分泌シグナル配列構成要素を含む。一般的に、シグナル配列はベクターの構成要素であってもよく、またはそれはベクター内に挿入される標的ポリペプチドDNAの一部であってもよい。シグナル配列は、宿主細胞によって認識されかつプロセシングされる(例えば、シグナルペプチダーゼによって切断される)ものでなければならない。異種ポリペプチドにとって天然型のシグナル配列を認識かつプロセシングしない原核宿主細胞に対しては、該シグナル配列を、選択された原核生物シグナル配列、例えばPelB、OmpA、アルカリホスファターゼ、ペニシリナーゼ、Ipp、または熱安定性エンテロトキシンII(STII)リーダー、LamB、PhoE、およびMBPによって置換する。本明細書において開示される一態様において、発現系の両シストロンに用いられるシグナル配列は、STIIシグナル配列またはそれらの異種である。
別の局面において、本開示に従った免疫グロブリンの産生は、宿主細胞の細胞質内で起こり得、したがって各シストロン内の分泌シグナル配列の存在を必要としない。それに関して、免疫グロブリン軽鎖および重鎖は、細胞質内で発現し、折り畳まれ、会合して機能的免疫グロブリンを形成する。特定の宿主株(例えば、大腸菌trxB株)は、ジスルフィド結合形成に好ましい細胞質条件を提供し、それによって、発現したタンパク質サブユニットの正確な折り畳みおよび会合が可能となる(例えば、Proba and Pluckthun Gene, 159:203 (1995)を参照されたい)。
抗体をコードするベクターのクローニングまたは発現に適切な宿主細胞には、本明細書において開示される原核細胞または真核細胞が含まれる。一態様において、宿主細胞は真核性、例えばチャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞、ヒト胎児腎臓(HEK)細胞、またはリンパ系細胞(YO、NSO、Sp20細胞)である。例えば、とくに糖鎖付加およびFcエフェクター機能が必要でない場合には、抗体を細菌内で産生してもよい。細菌内での抗体断片およびポリペプチドの発現に関しては、例えばU.S. Pat. No. 5,648,237、No. 5,789,199、およびNo. 5,840,523を参照されたい。(大腸菌における抗体断片の発現を記載している、Charlton, Methods in Molecular Biology, Vol. 248 (B.K.C. Lo, ed., Humana Press, Totowa, N.J., 2003), pp. 245-254も参照されたい。)発現後、可溶性画分中の細菌細胞ペーストから抗体を単離してもよく、さらに精製することができる。原核生物に加えて、その糖鎖付加経路が「ヒト化」されており、部分的にまたは完全にヒトの糖鎖付加パターンを有する抗体の産生をもたらす真菌および酵母株を含む、繊維状の真菌または酵母などの真核性微生物は、抗体をコードするベクターに対する適切なクローニング用または発現用宿主である。Gemgross, Nat. Biotech. 22: 1409-1414 (2004)、およびLi et al., Nat. Biotech. 24:210-215 (2006)を参照されたい。糖鎖付加された抗体の発現に適切な宿主細胞は、多細胞生物(無脊椎動物および脊椎動物)にも由来する。無脊椎動物細胞の例には、植物および昆虫細胞が含まれる。昆虫細胞と併せて、とくにスポドプテラ・フルギペルダ(Spodoptera frugiperda)細胞のトランスフェクションに用いられ得る、多数のバキュロウイルス株が同定されている。これらの例は、限定的というよりむしろ例証的である。規定の遺伝子型を有する上述の細菌のいずれかの誘導体を構築するための方法は、当技術分野において公知であり、例えばBass et al., Proteins, 8:309-314 (1990)に記載されている。細菌の細胞におけるレプリコンの複製能を考慮に入れて、適当な細菌を選択することが一般的に必要である。例えば、pBR322、pBR325、pACYC177、またはpKN410などの周知のプラスミドを用いてレプリコンを供給する場合、大腸菌、セラチア(Serratia)、またはサルモネラ種を宿主として適切に用いることができる。典型的に、宿主細胞は、最少量のタンパク質分解酵素を分泌すべきであり、付加的なプロテアーゼ阻害剤を細胞培養物に望ましく組み入れてもよい。
植物細胞培養物も宿主として利用することができる。例えば、(トランスジェニック植物において抗体を産生するためのPLANTIBODIESTM技術を記載している)U.S. Pat. No. 5,959,177、No. 6,040,498、No. 6,420,548、No. 7,125,978、およびNo. 6,417,429を参照されたい。脊椎動物も宿主として用いてもよい。例えば、浮遊状態での増殖に適応する哺乳動物細胞株は有用であり得る。有用な哺乳動物宿主細胞株の他の例は、SV40によって形質転換されたサル腎臓CV1株(COS-7);ヒト胎児腎臓株(293、または例えばGraham et al., Gen Virol. 36:59 (1977)に記載されている293細胞);ベビーハムスター腎臓細胞(BHK);マウスセルトリ細胞(例えばMather, Biol. Reprod. 23:243-251 (1980)に記載されているTM4細胞);サル腎臓細胞(CV1);アフリカミドリザル腎臓細胞(VERO-76);ヒト子宮頸癌細胞(HELA);イヌ腎臓細胞(MDCK);バッファローラット肝臓細胞(BRL 3A);ヒト肺細胞(W138);ヒト肝臓細胞(Hep G2);マウス乳癌(MMT 060562);例えばMather et al., Annals N.Y. Acad. Sci. 383:44-68 (1982)に記載されているTR1細胞;MRC 5細胞;およびFS4細胞である。他の有用な哺乳動物宿主細胞株には、DHFR' CHO細胞(Urlaub et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 77:4216 (1980)を含めたチャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞;ならびにYO、NSO、およびSp2/0などの骨髄腫細胞株が含まれる。抗体産生に適した特定の哺乳動物宿主細胞株の総説に関しては、例えばYazaki and Wu, Methods in Molecular Biology, Vol. 248 (B.K.C. Lo, ed., Humana Press, Totowa, N.J.), pp. 255-268 (2003)を参照されたい。
そのような一態様において、宿主細胞は、:(1)抗体のVLを含むアミノ酸配列および抗体のVHを含むアミノ酸配列をコードする核酸を含むベクター、または(2)抗体のVLを含むアミノ酸配列をコードする核酸を含む第一のベクター、および抗体のVHを含むアミノ酸配列をコードする核酸を含む第二のベクター、を含む(例えば、それらで形質転換されている)。
ii.抗体産生
部分的なヒト極めて長いCDR3抗体の組換え産生のために、極めて長いCDR3を含むヒト化抗体をコードする核酸を、宿主細胞におけるさらなるクローニング用および/または発現用の1種または複数種の発現ベクター内に挿入する。そのような核酸は、従来の手順を用いて(例えば、抗体の重鎖および軽鎖をコードする遺伝子に特異的に結合し得るオリゴヌクレオチドプローブを用いることによって)容易に単離されかつシークエンシングされ得る。宿主細胞をそのような発現ベクターで形質転換し、プロモーターを誘導し、形質転換体を選択し、または所望の配列をコードする遺伝子を増幅するのに適当であるように改変した従来の栄養培地中で培養する。
形質転換とは、染色体外エレメントとしてまたは染色体成分によって、DNAが複製可能であるようにDNAを原核宿主内に導入することを意味する。用いられる宿主に応じて、そのような細胞に適当な標準的技術を用いて形質転換を行う。実質的な細胞壁バリアを含有する細菌細胞には、塩化カルシウムを採用するカルシウム処理が一般的に用いられる。形質転換のための別の方法は、ポリエチレングリコール/DMSOを採用する。用いられるさらに別の技術はエレクトロポレーションである。
本明細書において開示されるポリペプチドを産生するために用いられる原核細胞を、当技術分野において公知でありかつ選択された宿主細胞の培養に適した培地中で増殖させる。適切な培地の例には、必要な栄養補給剤を加えたルリアブロス(LB)が含まれる。いくつかの態様において、培地は、発現ベクターを含有する原核細胞の増殖を選択的に可能にする、発現ベクターの構築に基づいて選定された選択剤も含有する。例えば、アンピシリン耐性遺伝子を発現している細胞の増殖には、アンピシリンを培地に添加する。
炭素、窒素、および無機リン酸塩の供給源に加えて任意の必要な補給剤も、導入される適当な濃度で、単独でまたは別の補給剤もしくは複合窒素供給源などの培地との混合物として含まれてもよい。任意で、培養培地は、グルタチオン、システイン、シスタミン、チオグリコレート、ジチオエリトリトール、およびジチオトレイトールからなる群より選択される1種または複数種の還元剤を含有してもよい。
原核宿主細胞を適切な温度で培養する。大腸菌の増殖について、例えば、好ましい温度は約20℃〜約39℃、より好ましくは約25℃〜約37℃、さらにより好ましくは約30℃に及ぶ。培地のpHは、宿主生物に主に依存して、約5〜約9に及ぶ任意のpHであってもよい。大腸菌について、pHは、好ましくは約6.8〜約7.4、より好ましくは約7.0である。
本明細書において開示される発現ベクターにおいて誘導性プロモーターを用いる場合、該プロモーターの活性化に適した条件下でタンパク質発現が誘導される。例えば、ポリペプチドの転写を制御するために、ara BまたはphoAプロモーターを用いてもよい。当技術分野において公知であるように、採用されるベクター構築物に従って、様々な誘導因子を用いてもよい。
本開示の発現したポリペプチドは、宿主細胞のペリプラズム内に分泌され、そこから回収されるまたは培養培地中に輸送される。ペリプラズムからのタンパク質回収は、一般的に浸透圧ショック、超音波処理、または溶解などの手段による微小生物の破壊を典型的に伴う。細胞が破壊され次第、遠心分離または濾過によって細胞残屑またはホールセルを除去してもよい。例えばアフィニティー樹脂クロマトグラフィーによって、タンパク質をさらに精製してもよい。あるいは、培養培地中に輸送されたタンパク質をそこで単離してもよい。培養物から細胞を除去し、産生されたタンパク質のさらなる精製のために、培養上清を濾過して濃縮してもよい。ポリアクリルアミドゲル電気泳動(PAGE)およびウェスタンブロットアッセイなどの一般に知られる方法を用いて、発現したポリペプチドをさらに単離して同定することができる。
発酵プロセスによって、抗体産生を大量に行ってもよい。組換えタンパク質の産生に、様々な大規模フェッドバッチ発酵プロセスが利用可能である。大規模発酵は、少なくとも1000リットルの容量、好ましくは約1,000〜100,000リットルの容量を有する。これらの発酵槽は、酸素および栄養素、とりわけグルコース(好ましい炭素/エネルギー供給源)を分配する撹拌インペラを用いる。小規模発酵とは、容積がおよそ100リットルしかない、約1リットル〜約100リットルに及び得る発酵槽における発酵を一般的に指す。
発酵プロセスにおいて、タンパク質発現の誘導は、典型的に、適切な条件下で所望の密度まで、例えば、その段階において細胞は初期定常期にある、約180〜220のOD550まで増殖した後に開始される。当技術分野において公知でありかつ上記のように、採用されるベクター構築物に従って、様々な誘導因子を用いてもよい。誘導前に、細胞をより短期間増殖させてもよい。より長いまたはより短い誘導時間を用いてもよいが、通常、細胞を約12〜50時間誘導する。
本明細書において開示されるポリペプチドの産生収量および質を向上させるために、様々な発酵条件を改変することができる。例えば、分泌される抗体ポリペプチドの正確な会合および折り畳みを向上させるために、Dsbタンパク質(DsbA、DsbB、DsbC、DsbD、および/またはDsbG)またはFkpA(シャペロン活性を有するペプチジルプロリル・シス,トランス−イソメラーゼ)などのシャペロンタンパク質を過剰発現するさらなるベクターを用いて、宿主原核細胞を共形質転換してもよい。シャペロンタンパク質は、細菌宿主細胞において産生された異種タンパク質の正確な折り畳みおよび溶解性を促進することが実証されている(例えば、Chen et al. (1999) J Bio Chem 274:19601-19605; U.S. Pat. No. 6,083,715;U.S. Pat. No. 6,027,888;Bothmann and Pluckthun (2000) J. Biol. Chem. 275:17100-17105;Ramm and Pluckthun (2000) J. Biol. Chem. 275:17106-17113;Arie et al. (2001) Mol. Microbiol. 39:199-210を参照されたい)。
発現した異種タンパク質(とりわけ、タンパク質分解に感受性の高いもの)のタンパク質分解を最小限に抑えるために、タンパク質分解酵素を欠損している特定の宿主株を本開示に用いることができる。例えば、宿主細胞株を改変して、プロテアーゼIII、OmpT、DegP、Tsp、プロテアーゼI、プロテアーゼMi、プロテアーゼV、プロテアーゼVI、およびそれらの組み合わせなどの公知の細菌プロテアーゼをコードする遺伝子に遺伝子変異をもたらしてもよい。いくつかの大腸菌プロテアーゼ欠損株が利用可能である(例えば、上記Joly et al. (1998);U.S. Pat. No. 5,264,365; U.S. Pat. No. 5,508,192;Hara er al., Microbial Drug Resistance, 2:63-72 (1996)を参照されたい)。
タンパク質分解酵素を欠損しており、1種または複数種のシャペロンタンパク質を過剰発現するプラスミドで形質転換された大腸菌株を、本明細書において開示される発現系における宿主細胞として用いてもよい。
iii.抗体精製
当技術分野において公知の標準的タンパク質精製方法を採用することができる。以下の手順は、適切な精製手順の例示的なものである:免疫親和性またはイオン交換カラムでの分画、エタノール沈殿、逆相HPLC、シリカでのまたはDEAEなどの陽イオン交換樹脂でのクロマトグラフィー、クロマトフォーカシング、SDS-PAGE、硫酸アンモニウム沈殿、および例えばSephadex G-75を用いたゲル濾過。
一局面において、本明細書において開示される全長抗体産物の免疫アフィニティー精製に、固相上に固定化されたプロテインAを用いる。プロテインAとは、抗体のFc領域に高い親和性で結合する、スタフィロコッカス・アウレウス(Staphylococcus aureas)由来の41kDの細胞壁タンパク質である(例えば、Lindmark et al (1983) J. Immunol. Meth. 62:1-13を参照されたい)。プロテインAを固定化する固相は、好ましくはガラスまたはシリカ表面を含むカラム、より好ましくは定孔ガラス(controlled pore glass)カラムまたはケイ酸カラムである。いくつかの適用において、混入物質の非特異的付着を防ぐ目的で、カラムはグリセロールなどの試薬でコーティングされている。
精製の第一工程として、上記の細胞培養物由来調製物を、固相に固定化したプロテインAに適用して、関心対象の抗体をプロテインAに特異的に結合させる。次いで、固相を洗浄して、該固相に非特異的に結合している混入物質を除去する。最後に、関心対象の抗体を溶出によって固相から回収する。
b.真核宿主細胞を用いた抗体の作製:
ベクター構成要素には、一般的に、シグナル配列、複製起点、1種もしくは複数種のマーカー遺伝子、エンハンサーエレメント、プロモーター、および転写終結配列のうちの1つまたは複数が含まれるが、それらに限定されるわけではない。
(i)シグナル配列構成要素
真核宿主細胞において使用するためのベクターは、関心対象の成熟タンパク質またはポリペプチドのN末に、シグナル配列または特異的切断部位を有する他のポリペプチドも含有してもよい。好ましく選択された異種シグナル配列は、宿主細胞によって認識されかつプロセシングされる(例えば、シグナルペプチダーゼによって切断される)ものである。哺乳動物細胞発現では、哺乳動物シグナル配列、ならびにウイルス性分泌リーダー、例えば単純ヘルペスgDシグナルが利用可能である。
そのような前駆領域に対するDNAを、抗体をコードするDNAにリーディングフレームでライゲーションする。
(ii)複製起点
一般的に、複製起点構成要素は、哺乳動物発現ベクターに必要とされない。例えば、SV40起点は、それが初期プロモーターを含有するという理由だけで用いられ得る。
(iii)選択遺伝子構成要素
発現用およびクローニング用ベクターは、選択可能なマーカーとも称される選択遺伝子を含有してもよい。典型的な選択遺伝子は、(a)抗生物質または他の毒素、例えばアンピシリン、ネオマイシン、メトトレキサート、もしくはテトラサイクリンに対する耐性を与えるタンパク質、(b)関係する場合には、栄養要求性欠損を補うタンパク質、または(c)複合培地から入手不能な決定的栄養素を供給するタンパク質をコードする。
選択スキームの一例は、宿主細胞の増殖を停止させる薬物を利用する。異種遺伝子で上手く形質転換されたその細胞は、薬物耐性を与えるタンパク質を産生し、ゆえに選択レジメンを生き残る。そのような優性選択の例は、薬物のネオマイシン、ミコフェノール酸、およびハイグロマイシンを用いる。
哺乳動物細胞に適切な選択可能なマーカーの別の例は、DHFR、チミジンキナーゼ、メタロチオネイン-Iおよび-II、好ましくは霊長類メタロチオネイン遺伝子、アデノシンデアミナーゼ、オルニチンデカルボキシラーゼ等、抗体核酸を取り込む能力を有する細胞の同定を可能にするものである。
例えば、DHFR選択遺伝子で形質転換された細胞は、DHFRの競合的アンタゴニストであるメトトレキサート(Mtx)を含有する培養培地中で形質転換体のすべてを培養することによってまず同定される。野生型DHFRが採用される場合、適当な宿主細胞は、DHFR活性を欠損しているチャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞株(例えば、ATCC CRL-9096)である。
あるいは、抗体、野生型DHFRタンパク質、およびアミノグリコシド3'-ホスホトランスフェラーゼ(APH)などの別の選択可能なマーカーをコードするDNA配列で形質転換されたまたは共形質転換された宿主細胞(とくに、内在性DHFRを含有する野生型宿主)を、アミノグリコシド系抗生物質、例えばカナマイシン、ネオマイシン、またはG418などの選択可能なマーカーに対する選択物質を含有する培地中での細胞増殖によって選択することができる。U.S. Pat. No. 4,965,199を参照されたい。
(iv)プロモーター構成要素
発現用およびクローニング用ベクターは、宿主生物によって認識され、抗体ポリペプチド核酸に機能的に連結されているプロモーターを通常含有する。真核生物に対するプロモーター配列は公知である。事実上、すべての真核生物遺伝子は、転写が開始される部位からおよそ25〜30塩基上流に位置するATリッチ領域を有する。多くの遺伝子の転写の始まりから70〜80塩基上流に見出される別の配列は、Nが任意のヌクレオチドであってもよいCNCAAT領域である。ほとんどの真核生物遺伝子の3'末端には、コード配列の3'末端へのポリA尾部の付加のためのシグナルであり得るAATAAA配列がある。これらの配列のすべてを、真核生物用発現ベクター内に適切に挿入する。
哺乳動物宿主細胞におけるベクターからの抗体ポリペプチドの転写は、例えば、ポリオーマウイルス、鶏痘ウイルス、アデノウイルス(アデノウイルス2など)、ウシパピローマウイルス、トリ肉腫ウイルス、サイトメガロウイルス、レトロウイルス、B型肝炎ウイルス、およびサルウイルス40(SV40)などのウイルスのゲノムから獲得されたプロモーターによって、異種哺乳動物プロモーター(例えばアクチンプロモーターまたは免疫グロブリンプロモーター)によって、ヒートショックプロモーターによって、そのようなプロモーターが宿主細胞系と適合する限りにおいて、制御される。
SV40ウイルスの初期および後期プロモーターは、SV40ウイルス複製起点も含有するSV40制限断片として好都合に獲得される。ヒトサイトメガロウイルスの前初期プロモーターは、HindIII E制限断片として好都合に獲得される。ウシパピローマウイルスをベクターとして用いた、哺乳動物宿主においてDNAを発現するための系は、U.S. Pat. No. 4,419,446に開示されている。この系の改変は、U.S. Pat. No. 4,601,978に記載されている。あるいは、ラウス肉腫ウイルスの長い末端反復をプロモーターとして用いることができる。
(v)エンハンサーエレメント構成要素
高等真核生物による、本開示の抗体ポリペプチドをコードするDNAの転写は、ベクター内にエンハンサー配列を挿入することによってしばしば増大される。多くのエンハンサー配列が、哺乳動物遺伝子から知られている(グロビン、エラスターゼ、アルブミン、α-フェトプロテイン、およびインシュリン)。真核細胞ウイルス由来のエンハンサーも用いてもよい。例には、複製起点の後部側(bp 100〜270)のSV40エンハンサー、サイトメガロウイルス初期プロモーターエンハンサー、複製起点の後部側のポリオーマエンハンサー、およびアデノウイルスエンハンサーが含まれる。真核生物プロモーターの活性化のための増強エレメントに関して、Yaniv, Nature 297:17-18 (1982)も参照されたい。エンハンサーは、抗体ポリペプチドコード配列に対して5'または3'の場所でベクターに連結され得るが、好ましくはプロモーターから5'の部位に位置する。
(vi)転写終結構成要素
真核宿主細胞に用いられる発現ベクターは、転写の終結におよびmRNAを安定化するために必要な配列も典型的に含有する。そのような配列は、真核生物またはウイルスのDNAまたはcDNAの5'、および時には3'の非翻訳領域から一般に利用可能である。この領域は、抗体をコードするmRNAの非翻訳部分において、ポリアデニル化断片として転写されたヌクレオチドセグメントを含有する。1つの有用な転写終結構成要素は、ウシ成長ホルモンポリアデニル化領域である。W094/11026およびそこに開示されている発現ベクターを参照されたい。
(vii)宿主細胞の選択および形質転換
本明細書におけるベクター内のDNAをクローニングするまたは発現させるための適切な宿主細胞には、脊椎動物宿主細胞を含む、本明細書において記載されている高等真核生物細胞が含まれる。培養(組織培養)下の脊椎動物細胞の増殖は、ルーチン的手順になっている。有用な哺乳動物宿主細胞の例は、SV40によって形質転換されたサル腎臓CV1株(COS-7、ATCC CRL 1651);ヒト胎児腎臓株(293、または浮遊培養での増殖のためにサブクローン化された293細胞、Graham et al., J. Gen Virol. 36:59 (1977));ベビーハムスター腎臓細胞(BHK、ATCC CCL 10);チャイニーズハムスター卵巣細胞/-DHFR(CHO、Urlaub et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 77:4216 (1980));マウスセルトリ細胞(TM4、Mather, Biol. Reprod. 23:243-251 (1980));サル腎臓細胞(CV1 ATCC CCL 70);アフリカミドリザル腎臓細胞(VERO-76、ATCC CRL-1587);ヒト子宮頸癌細胞(HELA、ATCC CCL 2);イヌ腎臓細胞(MDCK、ATCC CCL 34);バッファローラット肝臓細胞(BRL 3A、ATCC CRL 1442);ヒト肺細胞(W138、ATCC CCL 75);ヒト肝臓細胞(Hep G2、HB 8065);マウス乳癌(MMT 060562、ATCC CCL51);TR1細胞(Mather et al., Annals N.Y. Acad. Sci. 383:44-68 (1982));MRC 5細胞;FS4細胞;およびヒト肝細胞癌株(Hep G2)である。
宿主細胞内に外来ヌクレオチド配列を導入するための周知の手順のいずれかを用いてもよい。これらには、リン酸カルシウムトランスフェクション、ポリブレン、原形質融合、エレクトロポレーション、微粒子銃、リポソーム、マイクロインジェクション、プラスミドベクター、ウイルスベクター、およびクローン化したゲノムDNA、cDNA、合成DNA、または他の外来遺伝物質を宿主細胞内に導入するための他の周知の方法のいずれかが含まれる(例えば、上記Sambrook and Russellを参照されたい)。用いられる特定の遺伝学的操作手順は、生殖系列抗体ポリペプチドを発現し得る宿主細胞内に少なくとも両遺伝子を上手く導入し得ることだけが必要である。
宿主細胞を、抗体産生のための上記の発現用またはクローニング用ベクターで形質転換し、プロモーターを誘導し、形質転換体を選択し、または所望の配列をコードする遺伝子を増幅するのに適当であるように改変した従来の栄養培地中で培養する。
(viii)宿主細胞の培養
本開示の抗体を産生するために用いられる宿主細胞を、様々な培地中で培養してもよい。Ham's F10(Sigma)、最小必須培地((MEM)、Sigma)、RPMI-1640(Sigma)、およびDulbecco's Modified Eagle's Medium((DMEM)、Sigma)などの市販の培地は、宿主細胞を培養するのに適している。加えて、Ham et al., Meth. Enz. 58:44 (1979)、Barnes et al., Anal. Biochem. 102:255 (1980)、U.S. Pat. No. 4,767,704;No. 4,657,866;No. 4,927,762;No. 4,560,655;もしくはNo. 5,122,469;WO 90/03430;WO 87/00195;または米国再発行特許第30,985号に記載されている培地のいずれかを、宿主細胞用の培養培地として用いてもよい。これらの培地のいずれかに、必要に応じて、ホルモンおよび/または他の成長因子(インシュリン、トランスフェリン、または上皮成長因子など)、塩(塩化ナトリウム、カルシウム、マグネシウム、およびリン酸塩など)、緩衝液(HEPESなど)、ヌクレオチド(アデノシンおよびチミジンなど)、抗生物質(GENTAMYCIN(商標)薬物など)、微量エレメント(マイクロモル範囲の最終濃度で通常存在している無機化合物として定義される)、ならびにグルコースまたは同等のエネルギー供給源を補給してもよい。他の任意の必要な補給剤も、当業者に公知であろう適当な濃度で含まれてもよい。温度、pH等の培養条件は、発現のために選択された宿主細胞に関して以前に用いられたものであり、当業者に明らかであろう。
(ix)抗体の精製
組換え技術を用いる場合、抗体を細胞内に産生することができ、または培地中に直接分泌させることができる。抗体を細胞内に産生する場合、第一工程として、例えば遠心分離または限外濾過によって、微粒子残屑、宿主細胞または溶解断片を除去する。抗体を培地中に分泌させる場合、一般的に、そのような発現系からの上清を、市販のタンパク質濃縮フィルター、例えばAmiconまたはMillipore Pellicon(登録商標)限外濾過ユニットを用いてまず濃縮する。タンパク質分解を阻害するために、前述の工程のいずれかでPMSFなどのプロテアーゼ阻害剤を含んでもよく、偶発的混入物質の成長を防ぐために、抗生物質を含んでもよい。
細胞から調製された抗体組成物を、例えばヒドロキシルアパタイトクロマトグラフィー、ゲル電気泳動、透析、およびアフィニティークロマトグラフィーを用いて精製することができ、アフィニティークロマトグラフィーが好ましい精製技術である。アフィニティーリガンドとしてのプロテインAの適合性は、抗体内に存在している任意の免疫グロブリンFcドメインの種およびアイソタイプに依存する。プロテインAを用いて、ヒトγ1、γ2、またはγ4重鎖に基づく抗体を精製することができる(Lindmark et al., J. Immunol. Meth. 62:1-13 (1983))。すべてのマウスアイソタイプに対しておよびヒトγ3に対して、プロテインGが推奨される(Guss et al., EMBO J. 5:15671575 (1986))。アフィニティーリガンドを結合させるマトリックスは、最も頻繁にはアガロースであるが、他のマトリックスが利用可能である。定孔ガラスまたはポリ(スチレンジビニル)ベンゼンなどの機械的に安定なマトリックスは、アガロースを用いて達成され得るよりも、より速い流速およびより短い処理時間を可能にする。抗体がCH3ドメインを含む場合、精製にはBakerbond ABX(商標)樹脂(J. T. Baker, Phillipsburg, N.J.)が有用である。イオン交換カラムでの分画、エタノール沈殿、逆相HPLC、シリカでのクロマトグラフィー、ヘパリンSEPHAROSE(商標)でのクロマトグラフィー、陰イオンまたは陽イオン交換樹脂(ポリアスパラギン酸カラムなど)でのクロマトグラフィー、クロマトフォーカシング、SDS-PAGE、および硫酸アンモニウム沈殿などのタンパク質精製のための他の技術も、回収される対象となる抗体に応じて利用可能である。
細胞質内に存在しているまたはペリプラズム空間から放出される可溶型の抗体または断片を、当技術分野において公知の方法を用いてさらに精製してもよく、例えばFab断片は、浸透圧ショック技術によって細菌のペリプラズム空間から放出される。
抗体または断片を含む封入体が形成されている場合、それらは、内側および/または外側の細胞膜にしばしば結合し得、ゆえに遠心分離後のペレット物質中に主に見出される。次いで、アルカリ性pHではジチオトレイトールまたは酸性pHではトリスカルボキシエチルホスフィンなどの還元剤の存在下で、ペレット物質を、極端なpHでまたはカオトロピック剤、例えば洗剤、グアニジン、グアニジン誘導体、尿素、もしくは尿素誘導体などで処理して、封入体を放出し、引き離し、可溶化することができる。次いで、可溶性の抗体または断片を、ゲル電気泳動、免疫沈降等を用いて分析することができる。可溶化した抗体または抗原結合断片を単離することが所望される場合、下記およびMarston et al.(Meth. Enz., 182:264-275 (1990))に示されているものなどの標準的方法を用いて、単離を遂行してもよい。
任意の予備精製工程の後、関心対象の抗体および混入物質を含む混合物を、約2.5〜4.5の間のpHでの溶出緩衝液を用いた低pH疎水性相互作用クロマトグラフィーに供してもよく、好ましくは低塩濃度(例えば、約0〜0.25Mの塩)で実施する。
ある場合には、抗体または断片は、単離した時点で生物学的に活性がない可能性がある。ポリペプチドをその三次構造に「再折り畳み」または変換し、ジスルフィド結合をもたらすための様々な方法を用いて、生物学的活性を回復させることができる。そのような方法には、可溶化したポリペプチドを、特定の濃度のカオトロープの存在下で、通常7を上回るpHに曝露することが含まれる。カオトロープの選択は、封入体可溶化に用いられた選定と非常に類似しているが、通常カオトロープはより低濃度で用いられ、可溶化に用いられたカオトロープと必ずしも同じとは限らない。ほとんどの場合、再折り畳み/酸化溶液は、タンパク質のシステインブリッジの形成の際にジスルフィドシャッフリングが生じるのを可能にする特定の酸化還元電位をもたらす特定の割合で、還元剤またはその酸化型を加えた還元剤も含有する。一般に用いられる酸化還元対の一部には、システイン/シスタミン、グルタチオン(GSH)/ジチオビスGSH、塩化第二銅、ジチオトレイトール(DTT)/ジチアンDTT、および2-メルカプトエタノール(bME)/ジ-チオ-b(ME)が含まれる。多くの場合、共溶媒を用いて再折り畳みの効率を増大させてもよく、この目的に用いられる一般的試薬には、グリセロール、様々な分子量のポリエチレングリコール、アルギニン等が含まれる。
免疫結合体
本開示は、化学療法剤、薬物、増殖阻害物質、毒素(例えば、細菌、真菌、植物、または動物起源の酵素的に活性のある毒素、またはそれらの断片)、または放射性同位体(例えば、放射性結合体)などの細胞傷害性物質に結合体化した、本明細書において記載されている極めて長いCDR3を含むヒト化抗体のいずれかを含む免疫結合体(「抗体−薬物結合体」または「ADC」と代替可能に称される)も提供する。
細胞傷害性または細胞増殖抑制性物質の局所送達のための、抗体−薬物結合体の使用。例えば、癌の治療における腫瘍細胞を殺傷または阻害する薬物(Syrigos and Epenetos (1999) Anticancer Research 19:605-614;Niculescu-Duvaz and Springer (1997) Adv. Drg Del. Rev. 26:151-172;U.S. Pat. No. 4,975,278)は、腫瘍への薬物成分の標的送達、およびそこでの細胞内蓄積を可能にし、その場合にこれらの非結合型薬物物質の全身投与は、排除されることが求められる腫瘍細胞だけでなく、正常細胞に許容されないレベルの毒性をもたらし得る(Baldwin et al., (1986) Lancet pp. (Mar. 15, 1986):603-05;Thorpe, (1985) "Antibody Carriers Of Cytotoxic Agents In Cancer Therapy: A Review," in Monoclonal Antibodies '84: Biological And Clinical Applications, A. Pinchera et al. (ed.s), pp. 475-506)。それゆえ、最小限の毒性を有する最大の有効性が求められる。ポリクローナル抗体およびモノクローナル抗体の両方が、これらのストラテジーにおいて有用であると報告されている(Rowland et al., (1986) Cancer Immunol. Immunother., 21 :183-87)。これらの方法に用いられる薬物には、ダウノマイシン、ドキソルビシン、メトトレキサート、およびビンデシンが含まれる(上記Rowland et al., (1986))。抗体−毒素結合体に用いられる毒素には、ジフテリア毒素などの細菌毒素、リシンなどの植物毒素、ゲルダナマイシン(Mandler et al (2000) Jour. of the Nat. Cancer Inst. 92(19):1573-1581;Mandler et al (2000) Bioorganic & Med. Chem. Letters 10: 1025-1028;Mandler et al (2002) Bioconjugate Chem. 13:786-791)、メイタンシノイド(EP 1391213;Liu et al., (1996) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 93:8618-8623)、およびカリケアマイシン(Lode et al (1998) Cancer Res. 58:2928;Hinman et al (1993) Cancer Res. 53:3336-3342)などの小分子毒素が含まれる。毒素は、チューブリン結合、DNA結合、またはトポイソメラーゼ阻害を含めたメカニズムによって、それらの細胞傷害性および細胞増殖抑制性効果をもたらし得る。一部の細胞傷害性薬物は、大きな抗体またはタンパク質受容体リガンドに結合体化した場合に不活性であるまたは活性が低い傾向がある。
ZEVALIN(登録商標)(イブリツモマブチウキセタン、Biogen/Idec)は、チオ尿素リンカー−キレート剤によって結合した、正常および悪性Bリンパ球の表面上に見出されるCD20抗原に対するマウスIgG1κモノクローナル抗体、ならびに111Inまたは90Y放射性同位体から構成される抗体−放射性同位体結合体である(Wiseman et al (2000) Eur. Jour. Nucl. Med. 27(7):766-77;Wiseman et al (2002) Blood 99(12):4336-42;Witzig et al (2002) J. Clin. Oncol. 20(10):2453-63;Witzig et al (2002) J. Clin. Oncol. 20(15):3262-69)。ZEVALINは、B細胞非ホジキンリンパ腫(NHL)に対する活性を有するが、投与により、ほとんどの患者において重度かつ長期の血球減少症をもたらす。カリケアマイシンに連結されたhu CD33抗体から構成される抗体薬物結合体であるMYLOTARG(商標)(ゲムツズマブオゾガマイシン、Wyeth Pharmaceuticals)は、急性骨髄性白血病の注射による治療に対して2000年に認可された(Drugs of the Future (2000) 25(7):686;U.S. Pat. No. 4,970,198;No. 5,079,233;No. 5,585,089;No. 5,606,040;No. 5,693,762;No. 5,739,116;No. 5,767,285;No. 5,773,001)。ジスルフィドリンカーSPPを介してメイタンシノイド薬物成分DM1に連結されたhuC242抗体から構成される抗体薬物結合体であるカンツズマブメルタンシン(Immunogen, Inc.)は、結腸癌、膵臓癌、胃癌、および他の癌など、CanAgを発現する癌の治療のための第II相試験に進んでいるところである。メイタンシノイド薬物成分DM1に連結された抗前立腺特異的膜抗原(PSMA)モノクローナル抗体から構成される抗体薬物結合体であるMLN-2704(Millennium Pharm.、BZL Biologics、Immunogen Inc.)は、前立腺腫瘍の潜在的治療のために開発中である。ドラスタチンの合成類似体であるオーリスタチンペプチドのオーリスタチンE(AE)およびモノメチルオーリスタチン(MMAE)は、キメラモノクローナル抗体cBR96(癌腫上のルイスYに特異的)およびcAC10(血液悪性腫瘍上のCD30に特異的)に結合体化され(Doronina et al (2003) Nature Biotechnology 21 (7):778-784)、かつ治療法開発中である。
免疫結合体の作製に有用な化学療法剤は、本明細書において記載されている。用いられ得る酵素的に活性のある毒素およびそれらの断片には、ジフテリアA鎖、ジフテリア毒素の非結合活性断片、外毒素A鎖(シュードモナス・エルギノーサ(Pseudomonas aeruginosa)由来)、リシンA鎖、アブリンA鎖、モデシンA鎖、α-サルシン、アレウリテス・フォルディ(Aleurites fordii)タンパク質、ジアンチンタンパク質、フィトラッカ・アメリカーナ(Phytolaca americana)タンパク質(PAPI、PAPII、およびPAP-S)、モモルディカ・カランティア(momordica charantia)阻害剤、クルシン、クロチン、サポナリア・オフィシナリス(sapaonaria officinalis)阻害剤、ゲロニン、ミトゲリン(mitogellin)、レストリクトシン、フェノマイシン、エノマイシン、およびトリコテセン類(tricothecene)が含まれる。例えば、1993年10月28日に刊行されたWO 93/21232を参照されたい。放射性結合体化した抗体の産生のために、様々な放射性核種が利用可能である。例には、212Bi、131I、131In、90Y、および186Reが含まれる。N-スクシンイミジル-3-(2-ピリジルジチオール) プロピオネート(SPDP)、イミノチオラン(IT)、イミドエステルの二官能性誘導体(ジメチルアジピミデートHClなど)、活性エステル(ジスクシンイミジルスベレートなど)、アルデヒド(グルタルアルデヒドなど)、ビス-アジド化合物(ビス(p-アジドベンゾイル)ヘジサンジアミンなど)、ビス-ジアゾニウム誘導体(ビス(p-ジアゾニウムベンゾイル)-エチレンジアミンなど)、ジイソシアネート(トルエン2,6-ジイソシアネートなど)、およびビス-活性フッ素化合物(1,5-ジフルオロ-2,4-ジニトロベンゼンなど)などの様々な二官能性タンパク質カップリング剤を用いて、抗体と細胞傷害性物質との結合体を作製する。例えば、Vitetta et al., Science, 238: 1098 (1987)に記載されているように、リシン免疫毒素を調製してもよい。炭素-14標識した1-イソチオシアナトベンジル-3-メチルジエチレン・トリアミン五酢酸(MX-DTPA)は、抗体への放射性ヌクレオチドの結合体化のための例示的なキレート剤である。WO94/11026を参照されたい。
抗体と1種または複数種の小分子毒素、例えばカリケアマイシン、メイタンシノイド、ドラスタチン、オーリスタチン、トリコテセン、およびCC1065、ならびに毒素活性を有するこれらの毒素の誘導体との結合体も、本明細書において企図される。
a.メイタンシンおよびメイタンシノイド
いくつかの態様において、免疫結合体は、1個または複数個のメイタンシノイド分子に結合体化した、本明細書において開示される極めて長いCDR3を含むヒト化抗体(全長または断片)を含む。
メイタンシノイドは、チューブリン重合を阻害することによって作用する有糸分裂阻害剤である。メイタンシンは、東アフリカの低木メイテナス・セラタ(Maytenus serrata)から最初に単離された(U.S. Pat. No. 3,896,111)。その後、特定の微生物も、メイタンシノールおよびC-3メイタンシノールエステルなどのメイタンシノイドを産生することが発見された(U.S. Pat. No. 4,151,042)。合成メイタンシノール、ならびにそれらの誘導体および類似体は、例えばU.S. Pat. No. 4,137,230;No. 4,248,870;No. 4,256,746;No. 4,260,608;No. 4,265,814;No. 4,294,757;No. 4,307,016;No. 4,308,268;No. 4,308,269;No. 4,309,428;No. 4,313,946;No. 4,315,929;No. 4,317,821;No. 4,322,348;No. 4,331,598;No. 4,361,650;No. 4,364,866;No. 4,424,219;No. 4,450,254;No. 4,362,663;およびNo. 4,371,533に開示されている。
メイタンシノイドは、抗体薬物結合体における魅力的な薬物成分であり、なぜならそれらは、:(i)比較的入手しやすく、発酵または化学修飾、発酵産物の誘導体化によって調製され、(ii)抗体への非ジスルフィドリンカーを介した結合体化に適した官能基による誘導体化の影響を受けやすく、(iii)血漿中で安定であり、かつ(iv)様々な腫瘍細胞株に対して有効であるからである。
メイタンシノイドを含有する免疫結合体、それを作製する方法、およびそれらの治療上の使用は、例えばU.S. Pat. No. 5,208,020、No. 5,416,064、およびEP 0 425 235に開示されている。Liu et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 93:8618-8623 (1996)は、ヒト結腸直腸癌に対するモノクローナル抗体C242に連結されたDM1と称される、メイタンシノイドを含む免疫結合体を記載した。結合体は、培養された結腸癌細胞に対して非常に細胞傷害性であることが見出され、かつインビボ腫瘍成長アッセイにおいて抗腫瘍活性を示した。Chari et al., Cancer Research 52:127-131 (1992)は、メイタンシノイドが、ヒト結腸癌細胞株上の抗原に結合するマウス抗体A7に、またはHER-2/neu癌遺伝子に結合する別のマウスモノクローナル抗体TA.1にジスルフィドリンカーを介して結合体化された免疫結合体を記載している。細胞1個あたり3×105個のHER-2表面抗原を発現するヒト乳癌細胞株SK-BR-3に対して、TA.1−メイタンシノイド結合体の細胞傷害性をインビトロで試験した。薬物結合体は、遊離メイタンシノイド薬物と同様の細胞傷害性の程度を達成し、それは、抗体分子1個あたりのメイタンシノイド分子の数を増大することによって増大され得た。A7−メイタンシノイド結合体は、マウスにおいて低い全身的細胞傷害性を示した。
抗体またはメイタンシノイド分子のいずれかの生物学的活性を大幅に減退させることなく、メイタンシノイド分子に抗体を化学的に連結することによって、抗体−メイタンシノイド結合体を調製する。例えば、U.S. Pat. No. 5,208,020を参照されたい。1分子の毒素/抗体でさえ、裸の抗体の使用を上回って細胞傷害性を増強することが期待されるが、抗体分子1個あたり平均3〜4個の結合体化したメイタンシノイド分子は、抗体の機能または溶解性に負の影響を及ぼすことなく、標的細胞の細胞傷害性を増強するのに有効性を示した。メイタンシノイドは当技術分野において周知であり、公知の技術によって合成され得または天然供給源から単離され得る。適切なメイタンシノイドは、例えばU.S. Pat. No. 5,208,020、ならびに上記で参照された他の特許および非特許刊行物に開示されている。好ましいメイタンシノイドは、メイタンシノール、およびメイタンシノールの芳香環でまたは他の位置で修飾されたメイタンシノール類似体、例えば様々なメイタンシノールエステルである。
例えばU.S. Pat. No. 5,208,020、No. 6,441,163、またはEP Pat. 0 425 235、Chari et al., Cancer Research 52:127-131 (1992)に開示されているものを含む、抗体−メイタンシノイド結合体を作製するための、当技術分野において公知の多くの連結基が存在する。リンカー構成要素SMCCを含む抗体−メイタンシノイド結合体を調製してもよい。連結基には、上記で特定した特許に開示されるジスルフィド基、チオエーテル基、酸不安定性基、光不安定性基、ペプチダーゼ不安定性基、またはエステラーゼ不安定性基が含まれ、ジスルフィド基およびチオエーテル基が好ましい。さらなる連結基は、本明細書において記載されかつ例示されている。
N-スクシンイミジル-3-(2-ピリジルジチオ)プロピオネート(SPDP)、スクシンイミジル-4-(N-マレイミドメチル)シクロヘキサン-1-カルボキシレート(SMCC)、イミノチオラン(IT)、イミドエステルの二官能性誘導体(ジメチルアジピミデートHClなど)、活性エステル(ジスクシンイミジルスベレートなど)、アルデヒド(グルタルアルデヒドなど)、ビス-アジド化合物(ビス(p-アジドベンゾイル)ヘジサンジアミンなど)、ビス-ジアゾニウム誘導体(ビス(p-ジアゾニウムベンゾイル)-エチレンジアミンなど)、ジイソシアネート(トルエン2,6-ジイソシアネートなど)、およびビス-活性フッ素化合物(1,5-ジフルオロ-2,4-ジニトロベンゼンなど)などの様々な二官能性タンパク質カップリング剤を用いて、抗体とメイタンシノイドとの結合体を作製してもよい。ジスルフィド連結を提供するとくに好ましいカップリング剤には、N-スクシンイミジル-3-(2-ピリジルジチオ)プロピオネート(SPDP)(Carlsson et al., Biochem. J. 173:723-737 (1978))およびN-スクシンイミジル-4-(2-ピリジルチオ)ペンタノエート(SPP)が含まれる。
連結のタイプに応じて、様々な位置でリンカーをメイタンシノイド分子に結合させてもよい。例えば、従来のカップリング技術を用いたヒドロキシル基との反応によって、エステル連結を形成してもよい。反応は、ヒドロキシル基を有するC-3位、ヒドロキシメチルで修飾されたC-14位、ヒドロキシル基で修飾されたC-15位、およびヒドロキシル基を有するC-20位で生じ得る。好ましい態様において、メイタンシノールまたはメイタンシノール類似体のC-3位で連結を形成する。
b.オーリスタチンおよびドラスタチン
いくつかの態様において、免疫結合体は、ドラスタチン、またはドラスタチンのペプチド性類似体および誘導体であるオーリスタチン(U.S. Pat. No. 5,635,483;No. 5,780,588)に結合体化した、本明細書において開示される抗体を含む。ドラスタチンおよびオーリスタチンは、微小管動態、GTP加水分解、ならびに核および細胞の分裂を妨害し(Woyke et al (2001) Antimicrob. Agents and Chemother. 45(12):3580-3584)、抗癌活性(U.S. Pat. No. 5,663,149)および抗真菌活性(Pettit et al (1998) Antimicrob. Agents Chemother. 42:2961-2965)を有することが示されている。ドラスタチンまたはオーリスタチン薬物成分を、ペプチド性薬物成分のN(アミノ)末端またはC(カルボキシル)末端を介して抗体に結合させてもよい(WO 02/088172)。
例示的なオーリスタチンの態様には、N末端連結したモノメチルオーリスタチン薬物成分DEおよびDFが含まれる(例えば、U.S. Pat. No. 7,498,298を参照されたい)。
典型的には、2個以上のアミノ酸間および/またはペプチド断片間にペプチド結合を形成することによって、ペプチドベースの薬物成分を調製することができる。例えば、ペプチド合成の分野において周知である液相合成法(例えば、E. Schroder and K. Lubke, "The Peptides", volume 1, pp 76-136, 1965, Academic Pressを参照されたい)に従って、そのようなペプチド結合を調製することができる。U.S. Pat. No. 5,635,483;U.S. Pat. No. 5,780,588;Pettit et al (1989) J. Am. Chem. Soc. 111:5463-5465;Pettit et al. (1998) Anti-Cancer Drug Design 13:243-277;Pettit, G. R., et al. Synthesis, 1996, 719-725;およびPettit et al. (1996) J. Chem. Soc. Perkin Trans. 1 5:859-863の方法に従って、オーリスタチン/ドラスタチン薬物成分を調製してもよい。(リンカー、ならびにリンカーに結合体化したMMAEおよびMMAFなどのモノメチルバリン化合物を調製する方法を開示している)Doronina (2003) Nat Biotechnol 21(7):778-784;U.S. Pat. No. 7,498,289も参照されたい。
c.カリケアマイシン
他の態様において、免疫結合体は、1個または複数個のカリケアマイシン分子に結合体化した、本明細書において開示される抗体を含む。抗生物質のカリケアマイシンファミリーは、ピコモル未満の濃度で二本鎖DNA破壊をもたらし得る。カリケアマイシンファミリーの結合体の調製に関しては、U.S. Pat. No. 5,712,374、No. 5,714,586、No. 5,739,116、No. 5,767,285、No. 5,770,701、No. 5,770,710、No. 5,773,001、No. 5,877,296を参照されたい。用いられ得るカリケアマイシンの構造類似体には、γ1'、α2'、α3'、N-アセチル-γ1'、PSAG、およびθ'1が含まれるが、それらに限定されるわけではない(例えば、Hinman et al., Cancer Research 53:3336-3342 (1993)、Lode et al., Cancer Research 58:2925-2928 (1998)、および前述の米国特許を参照されたい)。抗体を結合体化させ得る別の抗腫瘍薬物は、抗葉酸剤であるQFAである。カリケアマイシンおよびQFAの両方とも、細胞内の作用部位を有し、かつ原形質膜を容易に横断しない。したがって、抗体仲介性内部移行によるこれらの作用物質の細胞取り込みによって、それらの細胞傷害性効果は大いに増強される。
d.他の細胞傷害性物質
本明細書において開示される抗体に結合体化させ得る他の抗腫瘍剤には、BCNU、ストレプトゾシン、ビンクリスチン、および5-フルオロウラシル、U.S. Pat. No. 5,053,394、No. 5,770,710に記載されているLL-E33288複合体で集合的に知られる作用物質のファミリー、ならびにエスペラマイシン(U.S. Pat. No. 5,877,296)が含まれる。
用いられ得る酵素的に活性のある毒素およびそれらの断片には、ジフテリアA鎖、ジフテリア毒素の非結合活性断片、外毒素A鎖(シュードモナス・エルギノーサ由来)、リシンA鎖、アブリンA鎖、モデシンA鎖、α-サルシン、アレウリテス・フォルディタンパク質、ジアンチンタンパク質、フィトラッカ・アメリカーナタンパク質(PAPI、PAPII、およびPAP-S)、モモルディカ・カランティア阻害剤、クルシン、クロチン、サポナリア・オフィシナリス阻害剤、ゲロニン、ミトゲリン、レストリクトシン、フェノマイシン、エノマイシン、およびトリコテセン類が含まれる。例えば、1993年10月28日に刊行されたWO 93/21232を参照されたい。
本開示は、抗体と核酸分解活性(例えば、リボヌクレアーゼ、またはデオキシリボヌクレアーゼなどのDNAエンドヌクレアーゼ;DNase)を有する化合物との間に形成される免疫結合体をさらに企図する。
腫瘍の選択的破壊のために、抗体は高放射性原子を含んでもよい。放射性結合体化した抗体の産生のために、様々な放射性同位体が利用可能である。例には、At211、I131、I125、Y90、Re186、Re188、Sm153、Bi212、P32、Pb212、およびLuの放射性同位体が含まれる。結合体を検出に用いる場合、それは、シンチグラフィー調査用の放射性原子、例えばtc99mもしくはI123、または核磁気共鳴(NMR)イメージング(磁気共鳴イメージング、mriとしても知られる)用のスピン標識、例えば再度ヨウ素-123、ヨウ素-131、インジウム-111、フッ素-19、炭素-13、窒素-15、酸素-17、ガドリニウム、マンガン、もしくは鉄を含んでもよい。
放射性標識または他の標識を、公知の手段で結合体に組み入れてもよい。例えば、ペプチドを生合成してもよく、または例えば水素の代わりにフッ素-19を伴う適切なアミノ酸前駆体を用いた化学的アミノ酸合成によって合成してもよい。ペプチド中のシステイン残基を介して、tc99mまたはI123、Re186、Re188、およびIn111などの標識を結合させることができる。リジン残基を介して、イットリウム-90を結合させることができる。IODOGEN法(Fraker et al (1978) Biochem. Biophys. Res. Commun. 80: 49-57)を用いて、ヨウ素-123を組み入れることができる。"Monoclonal Antibodies in Immunoscintigraphy" (Chatal, CRC Press 1989)は、他の方法を記載している。
N-スクシンイミジル-3-(2-ピリジルジチオ)プロピオネート(SPDP)、スクシンイミジル-4-(N-マレイミドメチル)シクロヘキサン-1-カルボキシレート(SMCC)、イミノチオラン(IT)、イミドエステルの二官能性誘導体(ジメチルアジピミデートHClなど)、活性エステル(ジスクシンイミジルスベレートなど)、アルデヒド(グルタルアルデヒドなど)、ビス-アジド化合物(ビス(p-アジドベンゾイル)ヘジサンジアミンなど)、ビス-ジアゾニウム誘導体(ビス(p-ジアゾニウムベンゾイル)-エチレンジアミンなど)、ジイソシアネート(トルエン2,6-ジイソシアネートなど)、およびビス-活性フッ素化合物(1,5-ジフルオロ-2,4-ジニトロベンゼンなど)などの様々な二官能性タンパク質カップリング剤を用いて、抗体と細胞傷害性物質との結合体を作製してもよい。例えば、Vitetta et al., Science, 238: 1098 (1987)に記載されているように、リシン免疫毒素を調製することができる。炭素-14標識した1-イソチオシアナトベンジル-3-メチルジエチレン・トリアミン五酢酸(MX-DTPA)は、抗体への放射性ヌクレオチドの結合体化のための例示的なキレート剤である。WO94/11026を参照されたい。リンカーは、細胞内での細胞傷害性薬物の放出を促進する「切断可能なリンカー」であってもよい。例えば、酸不安定性リンカー、ペプチダーゼ感受性リンカー、光不安定性リンカー、ジメチルリンカー、またはジスルフィド含有リンカー(Chari et al., Cancer Research 52:127-131 (1992);U.S. Pat. No. 5,208,020)を用いてもよい。
本明細書において開示される化合物は、架橋剤試薬:(例えば、Pierce Biotechnology, Inc., Rockford, Ill., U.S.Aから)市販されているBMPS、EMCS、GMBS、HBVS、LC-SMCC、MBS, MPBH、SBAP、SIA、SIAB、SMCC、SMPB、SMPH、スルホ-EMCS、スルホ-GMBS、スルホ-KMUS、スルホ-MBS、スルホ-SIAB、スルホ-SMCC、およびスルホ-SMPB、ならびにSVSB(スクシンイミジル-(4-ビニルスルホン)ベンゾエート)を用いて調製されたADCを明確に企図するが、それらに限定されるわけではない。2003-2004 Applications Handbook and Catalogのpp. 467-498を参照されたい。
e.抗体薬物結合体の調製
本明細書において開示される抗体薬物結合体(ADC)では、抗体(Ab)は、1個または複数個の薬物成分(D)、例えば抗体1個あたり約1〜約20個の薬物成分にリンカー(L)を介して結合体化されている。式I[Ab-(L-D)p]のADCを、:(1)Ab-Lを形成する、抗体の求核基と二価リンカー試薬との共有結合を介した反応、それに続く薬物成分Dとの反応;および(2)D-Lを形成する、薬物成分の求核基と二価リンカー試薬との共有結合を介した反応、それに続く抗体の求核基との反応を含む、当業者に公知の有機化学の反応、条件、および試薬を採用するいくつかの経路によって調製してもよい。ADCを調製するためのさらなる方法は、本明細書において記載されている。
リンカーは、1種または複数種のリンカー構成要素から構成されてもよい。例示的なリンカー構成要素には、6-マレイミドカプロイル(「MC」)、マレイミドプロパノイル(「MP」)、バリン-シトルリン(「val-cit」)、アラニン-フェニルアラニン(「ala-phe」)、p-アミノベンジルオキシカルボニル(「PAB」)、N-スクシンイミジル-4-(2-ピリジルチオ)ペンタノエート(「SPP」)、N-スクシンイミジル4-(N-マレイミドメチル)シクロヘキサン-1カルボキシレート(SMCC)、およびN-スクシンイミジル(4-ヨード-アセチル)アミノベンゾエート(「SIAB」)が含まれる。さらなるリンカー構成要素は当技術分野において公知であり、一部は本明細書において開示されている(例えば、U.S. Pat. No. 7,498,298を参照されたい)。
いくつかの態様において、リンカーはアミノ酸残基を含んでもよい。例示的なアミノ酸リンカー構成要素には、ジペプチド、トリペプチド、テトラペプチド、またはペンタペプチドが含まれる。例示的なジペプチドには、:バリン-シトルリン(vcまたはval-cit)、アラニン-フェニルアラニン(afまたはala-phe)が含まれる。例示的なトリペプチドには、:グリシン-バリン-シトルリン(gly-val-cit)およびグリシン-グリシン-グリシン(gly-gly-gly)が含まれる。アミノ酸リンカー構成要素を含むアミノ酸残基には、天然に存在するもの、ならびに少数アミノ酸および天然に存在しないアミノ酸類似体、例えばシトルリンが含まれる。アミノ酸リンカー構成要素を、特定の酵素、例えば腫瘍関連プロテアーゼ、カテプシンB、C、およびD、またはプラスミンプロテアーゼによる酵素的切断に対するそれらの選択性の点で設計して最適化することができる。
抗体上の求核基には、:(i)N末端アミン基、(ii)側鎖アミン基、例えばリジン、(iii)側鎖チオール基、例えばシステイン、および(iv)抗体が糖鎖付加される、糖類のヒドロキシル基またはアミノ基、が含まれるがそれらに限定されるわけではない。アミン基、チオール基、およびヒドロキシル基は求核性であり、かつ(i)活性エステル、例えばNHSエステル、HOBtエステル、ハロホルメート、および酸ハロゲン化物;(ii)ハロゲン化アルキルおよびハロゲン化ベンジル、例えばハロアセトアミド;(iii)アルデヒド、ケトン、カルボキシル基、およびマレイミド基、を含めたリンカー成分およびリンカー試薬上の求電子基と反応して共有結合を形成し得る。特定の抗体は、還元性鎖間ジスルフィド、例えばシステインブリッジを有する。DTT(ジチオトレイトール)などの還元剤での処理によって、リンカー試薬での結合体化に対して抗体を反応性にしてもよい。ゆえに、各システインブリッジは、理論上、2つの反応性チオール求核を形成すると考えられる。アミンのチオールへの変換をもたらす2-イミノチオラン(Traut試薬)とリジンとの反応により、さらなる求核基を抗体内に導入することができる。1個、2個、3個、4個、またはそれより多いシステイン残基を導入することによって、反応性チオール基を抗体(またはその断片)内に導入してもよい(例えば、1個または複数個の非天然システインアミノ酸残基を含む変異抗体を調製する)。
リンカー試薬または薬物上の求核性置換基と反応し得る求電子性成分を導入する抗体の改変によって、本明細書において開示される抗体薬物結合体を産生してもよい。糖鎖付加された抗体の糖類を、例えば過ヨウ素酸塩酸化試薬で酸化して、リンカー試薬または薬物成分のアミン基と反応し得るアルデヒド基またはケトン基を形成してもよい。結果として生じたイミンSchiff塩基の基は、安定した連結を形成し得、または例えばホウ化水素試薬によって還元されて、安定したアミン連結を形成し得る。一態様において、糖鎖付加された抗体の糖質部分とガラクトースオキシダーゼまたはメタ過ヨウ素酸ナトリウムのいずれかとの反応は、薬物上の適当な基と反応し得るカルボニル(アルデヒドおよびケトン)基をタンパク質にもたらし得る(Hermanson, Bioconjugate Techniques)。別の態様において、N末端セリンまたはスレオニン残基を含有するタンパク質は、メタ過ヨウ素酸ナトリウムと反応し得、第一のアミノ酸の代わりにアルデヒドの産生をもたらす(Geoghegan & Stroh, (1992) Bioconjugate Chem. 3:138-146;U.S. Pat. No. 5,362,852)。そのようなアルデヒドは、薬物成分またはリンカー求核と反応し得る。
同様に、薬物成分上の求核基には、(i)活性エステル、例えばNHSエステル、HOBtエステル、ハロホルメート、および酸ハロゲン化物;(ii)ハロゲン化アルキルおよびハロゲン化ベンジル、例えばハロアセトアミド;(iii)アルデヒド、ケトン、カルボキシル基、およびマレイミド基、を含めたリンカー成分およびリンカー試薬上の求電子基と反応して共有結合を形成し得る:アミン基、チオール基、ヒドロキシル基、ヒドラジド基、オキシム基、ヒドラジン基、チオセミカルバゾン基、カルボン酸ヒドラジン基、およびアリールヒドラジン基が含まれるが、それらに限定されるわけではない。
あるいは、抗体および細胞傷害性物質を含む融合タンパク質を、例えば組換え技術またはペプチド合成によって作製してもよい。DNA長は、互いに隣接した、または結合体の所望の特性を破壊しない、リンカーペプチドをコードする領域によって分離した、結合体の2つの部分をコードするそれぞれの領域を含んでもよい。
さらに別の態様において、抗体−受容体結合体を患者に投与し、その後に洗浄剤を用いた結合していない結合体の循環からの除去、次いで細胞傷害性物質(例えば、放射性ヌクレオチド)に結合体化した「リガンド」(例えば、アビジン)の投与が続く、腫瘍のプレ標的化における利用のために、抗体を「受容体」(ストレプトアビジンなど)に結合体化させてもよい。
遺伝子操作したハイブリドーマ
所望の抗体を産生するB細胞を不死化細胞株、通常は骨髄腫細胞株と融合させることによって、ハイブリドーマ細胞を作製することができ、それにより結果として生じた融合細胞は、特定の抗体を分泌する不死化細胞株である。同じ原理によって、黒色腫細胞を、生殖系列抗体V領域をコードする核酸でまずトランスフェクションすることができ、生殖系列V領域の発現についてスクリーニングすることができる。最も高レベルのタンパク質分解軽鎖発現を有するその黒色腫細胞を、所望の標的タンパク質特異性を有する抗体を産生するB細胞とその後融合させることができる。融合細胞は2つのタイプの抗体を産生すると考えられ、:一方は、組換え生殖系列V領域(重鎖または軽鎖)に機能的に結合されている内在性抗体鎖(重鎖または軽鎖)を含有する異種抗体であり、もう一方は、親B細胞が分泌するであろう同じ抗体(例えば、内在性の重鎖および軽鎖の両方)である。機能的に結合されている異種重鎖および軽鎖をクロマトグラフィーなどの従来の方法によって単離することができ、本開示の他節に記載されている標的タンパク質結合アッセイ、生殖系列ポリペプチドの固有のタグを同定するアッセイ、またはエンドペプチダーゼ活性アッセイによって同定を確認することができる。ある場合には、2つのタイプの抗体のうち異種抗体が分量で優勢タイプである場合、そのような単離は必要とされない可能性がある。ウシハイブリドーマを含めたハイブリドーマは、極めて長いCDR3配列を含めたウシ抗体遺伝子配列の供給源であってもよい。
トランスジェニック哺乳動物
本開示の生殖系列抗体ポリペプチドをコードする核酸配列を非ヒト哺乳動物に導入して、生殖系列抗体ポリペプチドを発現するトランスジェニック動物を作製することができる。より一般に見られるトランスジェニック動物モデルとは異なって、本開示のトランスジェニック哺乳動物によって発現される導入遺伝子は、体細胞組換え後に、抗体鎖の可変領域に関与する内在性コード配列の少なくとも一方の対立遺伝子を置き換える必要がない。対立遺伝子排除により、外因性の体細胞再編成後バージョンの生殖系列V領域DNAの存在は、体細胞再編成前Vミニ遺伝子の内在性対立遺伝子が体細胞再編成を受けること、およびこの哺乳動物が産生し得る抗体鎖の構成に寄与することを阻害すると考えられる。ゆえに、特定の抗原に曝露された場合、哺乳動物は、内在的に再編成された1つの抗体鎖、および先天的に(a priori)再編成された1つのトランスジェニック遺伝子を含む異種抗体を作製すると考えられる。そのような異種抗体は、研究の上でおよび生きた対象における特定の病状を治療する上で貴重である。一方、内在性対立遺伝子の遺伝子座への導入遺伝子の組み込みを指揮する方法は、同様に、本開示を実施するという目的を十分に果たすと考えられる。
トランスジェニック動物を作製する一般的方法は十分に確立されており、頻繁に実施されている。トランスジェニック動物を作製するための概説およびプロトコール、ならびに遺伝子操作のための関連方法に関しては、例えばMansour et al., Nature 336:348-352 (1988);Capecchi et al., Trends Genet. 5:70-76 (1989);Capecchi, Science 244:1288-1292 (1989);Capecchi et al., Current Communications in Molecular Biology, pp45-52, Capecchi, M.R. (ed.), Cold Spring Harbor Press, Cold Spring Harbor, N.Y. (1989);Frohman et al., Cell 56: 145-147 (1989);Brinster et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 82:4438-4442 (1985);Evans et al., Nature 292:154-156 (1981);Bradley et al., Nature 309:255-258 (1984);Gossler et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 83:9065-9069 (1986);Robertson et al., Nature 322:445-448 (1986);Jaenisch Science 240:1468-1474 (1988);およびSiedel, G. E., Jr., "Critical review of embryo transfer procedures with cattle" in Fertilization and Embryonic Development in Vitro, page 323, L. Mastroianni, Jr. and J. D. Biggers, ed., Plenum Press, New York, N.Y. (1981)を参照されたい。
本開示の例示的なトランスジェニック動物はマウスであるが、同じ一般的方法を用いて、多数の他のトランスジェニック動物を作製することもできる。これらの動物には、:ウサギ、ヒツジ、ウシ、およびブタが含まれるが、それらに限定されるわけではない(Jaenisch Science 240:1468-1474 (1988);Hammer et al., J. Animal. Sci. 63:269 (1986);Hammer et al. Nature 315:680 (1985);Wagner et al., Theriogenology 21:29 (1984))。
薬学的組成物
本明細書において開示される極めて長いCDR3を含むヒト化抗体、抗体断片、核酸、またはベクターを、組成物、とりわけ薬学的組成物に調合することができる。極めて長いCDR3を含むヒト化抗体を有するそのような組成物は、適切なキャリア、例えば薬学的に許容される剤と混和した、治療上または予防上有効量の、本明細書において開示される極めて長いCDR3を含むヒト化抗体、抗体断片、核酸、またはベクターを含む。典型的には、本明細書において開示される極めて長いCDR3を含むヒト化抗体、抗体断片、核酸、またはベクターを、薬学的組成物に調合する前に、投与のために十分に精製する。
本薬学的組成物において使用するための薬学的に許容される剤には、キャリア、賦形剤、希釈物、抗酸化剤、防腐剤、着色料、香味剤および希釈剤、乳化剤、懸濁化剤、溶媒、充填剤、増量剤、緩衝液、送達媒体、等張化剤、共溶媒、湿潤剤、錯化剤、緩衝剤、抗微生物剤、ならびに界面活性剤が含まれる。
中性緩衝食塩水または血清アルブミンと混合した食塩水は、例示的な適当なキャリアである。薬学的組成物は、抗酸化剤、例えばアスコルビン酸;低分子量ポリペプチド;タンパク質、例えば血清アルブミン、ゼラチン、もしくは免疫グロブリン;親水性ポリマー、例えばポリビニルピロリドン;アミノ酸、例えばグリシン、グルタミン、アスパラギン、アルギニン、もしくはリジン;単糖類、二糖類、およびグルコース、マンノース、もしくはデキストリンを含めた他の糖質;キレート剤、例えばEDTA;糖アルコール、例えばマンニトールもしくはソルビトール;塩形成対イオン、例えばナトリウム;ならびに/または非イオン性界面活性剤、例えばTween、pluronic、もしくはポリエチレングリコール(PEG)を含んでもよい。また一例として、適切な等張化促進剤には、アルカリ金属ハロゲン化物(好ましくは、塩化ナトリウムまたは塩化カリウム)、マンニトール、ソルビトール等が含まれる。適切な防腐剤には、塩化ベンザルコニウム、チメロサール、フェネチルアルコール、メチルパラベン、プロピルパラベン、クロルヘキシジン、ソルビン酸等が含まれる。過酸化水素も防腐剤として用いてもよい。適切な共溶媒には、グリセリン、プロピレングリコール、およびPEGが含まれる。適切な錯化剤には、カフェイン、ポリビニルピロリドン、β-シクロデキストリン、またはヒドロキシ-プロピル-β-シクロデキストリンが含まれる。適切な界面活性剤または湿潤剤には、ソルビタンエステル、ポリソルベート80などのポリソルベート、トロメタミン、レシチン、コレステロール、チロキサポール(tyloxapal)等が含まれる。緩衝液は、酢酸塩、ホウ酸塩、クエン酸塩、リン酸塩、重炭酸塩、またはTris-HClなどの従来の緩衝液であってもよい。酢酸塩緩衝液は約pH4〜5.5であってもよく、Tris緩衝液は約pH7〜8.5であってもよい。さらなる薬剤は、Remington's Pharmaceutical Sciences, 18th Edition, A. R. Gennaro, ed., Mack Publishing Company, 1990に明記されている。
組成物は、液体形態または凍結乾燥もしくはフリーズドライ形態であってもよく、かつ1種または複数種の乾燥保護剤、賦形剤、界面活性剤、高分子量構造添加剤(structural additive)、および/または増量剤を含んでもよい(例えば、U.S. Pat. No. 6,685,940、No. 6,566,329、およびNo. 6,372,716を参照されたい)。一態様において、スクロース、ラクトース、またはトレハロースなどの非還元糖類である乾燥保護剤が含まれる。一般的に含まれる乾燥保護剤の量は、高張性またはわずかに低張性の製剤も適切であり得るが、再構成時に、結果として生じた製剤が等張性であるような量である。加えて、乾燥保護剤の量は、凍結乾燥時に、許容されない量のタンパク質の分解および/または凝集を防ぐのに十分でなければならない。凍結乾燥前の製剤における糖類(例えば、スクロース、ラクトース、トレハロース)に対する例示的な乾燥保護剤濃度は、約10mM〜約400mMである。別の態様において、例えば非イオン性界面活性剤およびイオン性界面活性剤、例えばポリソルベート(例えば、ポリソルベート20、ポリソルベート80);ポロキサマー(例えば、ポロキサマー188);ポリ(エチレングリコール)フェニルエーテル(例えば、Triton);ドデシル硫酸ナトリウム(SDS);ラウリル硫酸ナトリウム(sodium laurel sulfate);オクチルグリコシドナトリウム;ラウリル-、ミリスチル-、リノレイル-、またはステアリル-スルホベタイン;ラウリル-、ミリスチル-、リノレイル-、またはステアリル-サルコシン;リノレイル-、ミリスチル-、またはセチル-ベタイン;ラウラミドプロピル(lauroamidopropyl)-、コカミドプロピル-、リノレアミドプロピル-、ミリスタミドプロピル-、パルミドプロピル(palmidopropyl)-、またはイソステアラミドプロピル-ベタイン(例えば、ラウラミドプロピル);ミリスタミドプロピル-、パルミドプロピル-、またはイソステアラミドプロピル-ジメチルアミン;ココイルメチルタウリンナトリウムまたはオレイルメチルタウリン二ナトリウム(disodium methyl ofeyl-taurate);ならびにMONAQUAT(商標)シリーズ(Mona Industries, Inc., Paterson, N.J.)、ポリエチルグリコール、ポリプロピルグリコール、およびエチレングリコールとプロピレングリコールとのコポリマー(例えば、Pluronic、PF68等)などの界面活性剤が含まれる。凍結乾燥前の製剤中に存在し得る界面活性剤の例示的な量は、約0.001〜0.5%である。高分子量構造添加剤(例えば、充填剤、バインダー)には、例えばアカシア、アルブミン、アルギン酸、リン酸カルシウム(二塩基性)、セルロース、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、微結晶性セルロース、デキストラン、デキストリン、デキストレート(dextrate)、スクロース、チロース、α化デンプン、硫酸カルシウム、アミロース、グリシン、ベントナイト、マルトース、ソルビトール、エチルセルロース、リン酸水素二ナトリウム、リン酸二ナトリウム(disodium phosphate)、ピロ亜硫酸二ナトリウム(disodium pyrosulfite)、ポリビニルアルコール、ゼラチン、グルコース、グアーガム、液状グルコース、圧縮性糖類、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、マルトデキストリン、ポリエチレンオキシド、ポリメタクリレート、ポビドン、アルギン酸ナトリウム、トラガカント微結晶性セルロース、デンプン、およびゼインが含まれてもよい。高分子量構造添加剤の例示的な濃度は、0.1重量%〜10重量%である。他の態様において、増量剤(例えば、マンニトール、グリシン)が含まれてもよい。
組成物は非経口投与に適していてもよい。例示的な組成物は、関節内、皮下、静脈内、筋肉内、腹腔内、脳内(実質内)、脳室内、筋肉内、眼球内、動脈内、または病巣内経路など、当業者が利用可能な任意の経路による動物への注射または注入に適している。非経口用製剤は、典型的に、薬学的に許容される防腐剤を任意で含有する、無菌の、発熱物質を含まない、等張性の水溶液である。
非水溶媒の例は、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、オリーブ油などの植物油、およびオレイン酸エチルなどの注射可能な有機エステルである。水性キャリアには、食塩水および緩衝媒質を含む、水、アルコール溶液/水溶液、乳濁液、または懸濁液が含まれる。非経口用媒体には、塩化ナトリウム溶液、リンゲルデキストロース、デキストロースおよび塩化ナトリウム、乳酸加リンゲル液、または固定油が含まれる。静脈内用媒体には、流体および栄養素補給薬、電解質補給薬、例えばリンゲルデキストロースに基づくもの等が含まれる。防腐剤および他の添加剤、例えば抗微生物剤、抗酸化剤、キレート剤、不活性ガス等も存在してもよい。一般的に、Remington's Pharmaceutical Science, 16th Ed., Mack Eds., 1980を参照されたい。
本明細書において記載されている薬学的組成物を、産物の局所濃度(例えば、ボーラス、デポ効果)および/または特定の局所環境における増大した安定性もしくは半減期を提供する様式での制御送達または持続送達用に調合してもよい。組成物は、ポリ乳酸、ポリグリコール酸等のポリマー化合物、ならびに生体分解性マトリックス、注射可能なミクロスフェア、マイクロカプセル粒子、マイクロカプセル、生体浸食性粒子ビーズ、リポソーム、および次いでデポ注射として送達され得る活性物質の制御放出または持続放出を提供する埋め込み可能な送達デバイスなどの作用物質の微粒子調製物とともに、本明細書において開示される極めて長いCDR3を含むヒト化抗体、抗体断片、核酸、またはベクターの製剤を含んでもよい。そのような持続送達または制御送達手段を策定するための技術は公知であり、薬物の制御された放出および送達のために、様々なポリマーが開発されかつ用いられている。そのようなポリマーは、典型的に生体分解性かつ生体適合性である。鏡像異性体ポリマーまたはポリペプチドセグメントの錯体形成によって形成されるものを含めた高分子ヒドロゲル、および温度またはpH感受性特性を有するヒドロゲルは、生物活性タンパク質物質(例えば、極めて長いCDR3を含むヒト化抗体)を捕捉するのに関与する穏和でかつ水性の条件が理由で、薬物デポ効果を提供するのに望ましい可能性がある。例えば、WO 93/15722における薬学的組成物の送達のための制御放出多孔質ポリマー微小粒子についての記載を参照されたい。
この目的のための適切な材料には、ポリラクチド(例えば、U.S. Pat. No. 3,773,919を参照されたい)、ポリ-D-(-)-3-ヒドロキシ酪酸(EP 133,988A)などのポリ-(a-ヒドロキシカルボン酸)のポリマー、L-グルタミン酸とγエチル-L-グルタメートとのコポリマー(Sidman et al., Biopolymers, 22: 547-556 (1983))、ポリ(2-ヒドロキシエチル-メタクリレート)(Langer et al., J. Biomed. Mater. Res., 15: 167-277 (1981)、およびLanger, Chem. Tech., 12: 98-105 (1982))、エチレン酢酸ビニル、またはポリ-D(-)-3-ヒドロキシ酪酸が含まれる。他の生体分解性ポリマーには、ポリ(ラクトン)、ポリ(アセタール)、ポリ(オルトエステル)、およびポリ(オルトカーボネート)が含まれる。持続放出組成物は、当技術分野において公知のいくつかの方法のうちのいずれかによって調製され得るリポソームも含んでもよい(例えば、Eppstein et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 82: 3688-92 (1985)を参照されたい)。キャリアそれ自体またはその分解産物は、標的組織において非毒性であるべきであり、病状をさらに悪化させるべきではない。これは、標的疾患の動物モデルにおける、またはそのようなモデルが入手不能である場合には正常な動物における、ルーチン的スクリーニングによって決定され得る。
持続放出のための組換えタンパク質のマイクロカプセル化は、ヒト成長ホルモン(rhGH)、インターフェロン-(rhIFN-)、インターロイキン-2、およびMN rgp120に関して上手く実施されている。Johnson et al., Nat. Med., 2:795-799 (1996);Yasuda, Biomed. Ther., 27:1221-1223 (1993);Hora et al., Bio/Technology. 8:755-758 (1990);Cleland, "Design and Production of Single Immunization Vaccines Using Polylactide Polyglycolide Microsphere Systems," in Vaccine Design: The Subunit and Adjuvant Approach, Powell and Newman, eds, (Plenum Press: New York, 1995), pp. 439-462;WO 97/03692、WO 96/40072、WO 96/07399;およびU.S. Pat. No. 5,654,010。ポリ-乳酸-コ-グリコール酸(PLGA)ポリマーを用いて、その生体適合性および広範な生体分解特性により、これらのタンパク質の持続放出型製剤を開発した。PLGAの分解産物である乳酸およびグリコール酸は、ヒト体内で迅速に一掃され得る。さらに、このポリマーの分解性は、その分子量および組成に依存し得る。Lewis, "Controlled release of bioactive agents from lactide/glycolide polymer," in: M. Chasin and R. Langer (Eds.), Biodegradable Polymers as Drug Delivery Systems (Marcel Dekker: New York, 1990), pp. 1-41。持続放出型組成物のさらなる例には、例えばEP 58,481A、U.S. Pat. No. 3,887,699、EP 158,277A、カナダ特許第1176565号、U. Sidman et al., Biopolymers 22, 547 [1983]、R. Langer et al., Chem. Tech. 12, 98 [1982]、Sinha et al., J. Control. Release 90, 261 [2003]、Zhu et al., Nat. Biotechnol. 18, 24 [2000]、およびDai et al., Colloids Surf B Biointerfaces 41, 117 [2005]が含まれる。
生体付着性ポリマーも、本開示の組成物における使用またはそれと併せた使用を企図される。生体付着物とは、長期間にわたって生物学的基質に付着し得る合成および天然に存在する材料である。例えば、Carbopolおよびポリカルボフィルは両方とも、ポリ(アクリル酸)の合成架橋誘導体である。天然に存在する物質に基づく生体付着性送達システムには、例えばヒアルロナンとしても知られるヒアルロン酸が含まれる。ヒアルロン酸は、D-グルクロン酸およびN-アセチル-D-グルコサミンの残基からなる、天然に存在するムコ多糖である。ヒアルロン酸は、結合組織、ならびに滑液および眼球の硝子体液と房水を含む、脊椎動物の細胞外組織マトリックスにおいて見出される。ヒアルロン酸のエステル化誘導体は、生体適合性かつ生体分解性である、送達において使用するためのミクロスフェアを産生するために用いられている(例えば、Cortivo et al., Biomaterials (1991) 12:727-730;EP 517,565;WO 96/29998;Illum et al., J. Controlled Rel. (1994) 29:133-141を参照されたい)。本開示の例示的なヒアルロン酸含有組成物は、ヒアルロン酸ポリマーに対して、極めて長いCDR3を含むヒト化抗体のおよそ0.1%〜約40%(重量/重量)の量でヒアルロン酸エステルポリマーを含む。
生体分解性および非生体分解性ポリマーマトリックスの両方を用いて本開示の組成物を送達してもよいし、そのようなポリマーマトリックスは天然または合成ポリマーを含んでもよい。生体分解性マトリックスが好ましい。放出が生じる期間は、ポリマーの選択に基づく。典型的には、数時間と3〜12ヶ月との間に及ぶ期間にわたる放出が最も望ましい。生体分解性送達システムを形成するために用いられ得る例示的な合成ポリマーには、:乳酸とグリコール酸とのポリマー、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリアルキレン、ポリアルキレングリコール、ポリアルキレンオキシド、ポリアルキレンテレフタレート(terepthalate)、ポリビニルアルコール、ポリビニルエーテル、ポリビニルエステル、ポリビニルハロゲン化物、ポリビニルピロリドン、ポリグリコリド、ポリシロキサン、ポリ無水物、ポリウレタン、およびそれらのコポリマー、ポリ(酪酸)(butic acid)、ポリ(吉草酸)、アルキルセルロース、ヒドロキシアルキルセルロース、セルロースエーテル、セルロースエステル、ニトロセルロース、アクリル酸エステルとメタクリル酸エステルとのポリマー、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシブチルメチルセルロース、酢酸セルロース、プロピオン酸セルロース、酢酸酪酸セルロース、酢酸フタル酸セルロース、カルボキシエチル(carboxylethyl)セルロース、セルローストリアセテート、硫酸セルロースナトリウム塩、ポリ(メチルメタクリレート)、ポリ(エチルメタクリレート)、ポリ(ブチルメタクリレート)、ポリ(イソブチルメタクリレート)、ポリ(ヘキシルメタクリレート)、ポリ(イソデシルメタクリレート)、ポリ(ラウリルメタクリレート)、ポリ(フェニルメタクリレート)、ポリ(メチルアクリレート)、ポリ(イソプロピルアクリレート)、ポリ(イソブチルアクリレート)、ポリ(オクタデシルアクリレート)、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ(エチレングリコール)、ポリ(エチレンオキシド)、ポリ(エチレンテレフタレート)、ポリ(ビニルアルコール)、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、およびポリビニルピロリドンが含まれる。例示的な天然ポリマーには、アルギネートならびにデキストランおよびセルロースを含めた他の多糖類、コラーゲン、それらの化学的誘導体(化学基の置換、付加、例えばアルキル、アルキレン、水酸化、酸化、および当業者によってルーチン的になされる他の修飾)、アルブミンおよび他の親水性タンパク質、ゼインおよび他のプロラミンおよび疎水性タンパク質、それらのコポリマーおよび混合物が含まれる。一般的に、これらの材料は、酵素的加水分解またはインビボでの水への曝露によって、表面浸食またはバルク浸食によって分解する。ポリマーは、任意で、水中でのその重量の最大約90%を吸収し得るヒドロゲルの形態であり(例えば、WO 04/009664、WO 05/087201、Sawhney, et al., Macromolecules, 1993, 26, 581-587)、かつさらに、任意で、多価イオンまたは他のポリマーで架橋される。
送達システムには、コレステロール、コレステロールエステル、および脂肪酸などのステロールを含めた脂質、またはモノ-、ジ-、トリ-グリセリドなどの中性脂肪である非ポリマーシステム;ヒドロゲル放出システム;silasticシステム;ペプチドベースのシステム;ワックスコーティング;従来のバインダーおよび賦形剤を用いた圧縮錠剤;部分融合した埋め込み片等も含まれる。具体的な例には、:(a)U.S. Pat. No. 4,452,775、No. 4,675,189、およびNo. 5,736,152に記載されているものなど、産物がマトリックス内の形成物中に含有されている浸食システム、および(b)U.S. Pat. No. 3,854,480、No. 5,133,974、およびNo. 5,407,686に記載されているものなど、産物が制御された速度でポリマーから浸透する拡散システム、が含まれるがそれらに限定されるわけではない。産物を含有するリポソームを、例えば(DE 3,218,121;Epstein et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 82: 3688-3692 (1985);Hwang et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 77: 4030-4034 (1980);EP 52,322;EP 36,676;EP 88,046;EP 143,949;EP 142,641;JP 83-118008;U.S. Pat. No. 4,485,045およびNo. 4,544,545;ならびにEP 102,324)など、公知の方法によって調製してもよい。
あるいはまたは加えて、罹患領域への、本明細書において開示される極めて長いCDR3を含むヒト化抗体、抗体断片、核酸、またはベクターが吸収されているまたはカプセル化されている膜、スポンジ、または他の適当な材料の埋め込みにより、組成物を局所的に投与してもよい。埋め込み型デバイスを用いる場合、任意の適切な組織または器官内にデバイスを埋め込んでもよく、かつ本明細書において開示される極めて長いCDR3を含むヒト化抗体、抗体断片、核酸、またはベクターの送達は、ボーラスによる、または連続投与による、すなわち連続注入を用いたカテーテルによる、デバイスからの直接的なものであってもよい。
本明細書において開示される極めて長いCDR3を含むヒト化抗体、抗体断片、核酸、またはベクターを含む薬学的組成物を、例えば乾燥粉末としてなど、吸入用に調合してもよい。吸入液を、エアロゾル送達のための液化噴射剤に調合してもよい。さらに別の製剤において、溶液を噴霧化してもよい。肺内投与用のさらなる薬学的組成物には、例えば、化学修飾されたタンパク質の肺内送達を開示しているWO 94/20069に記載されているものが含まれる。肺内投与のために、粒子サイズは、末梢肺への送達に適していなければならない。例えば、粒子サイズは1μm〜5μmであってもよく;しかしながら、例えば各粒子がかなり多孔質である場合には、より大きな粒子を用いてもよい。
本明細書において開示される極めて長いCDR3を含むヒト化抗体、抗体断片、核酸、またはベクターを含有する特定の製剤を、経口投与してもよい。この形式で投与される製剤を、錠剤およびカプセルなどの固形投薬形態の配合に通例用いられるそのキャリアの有無にかかわらず調合してもよい。例えば、生体内利用率が最大限に高まり、かつ前全身性(pre-systemic)分解が最小限に抑えられる場合に、消化管にある時点で製剤の活性部分が放出されるように、カプセルを設計することができる。選択的結合剤の吸収を促進するために、さらなる作用物質が含まれてもよい。希釈物、香味剤、低融点ワックス、植物油、潤滑油、懸濁化剤、錠剤崩壊剤、およびバインダーも採用することができる。
別の調製物は、錠剤の製造に適している非毒性賦形剤と混合した、有効分量の、本明細書において開示される極めて長いCDR3を含むヒト化抗体、抗体断片、核酸、またはベクターを伴ってもよい。滅菌水または別の適当な媒体に錠剤を溶解することによって、溶液を単位用量形態に調製してもよい。適切な賦形剤には、不活性希釈物、例えば炭酸カルシウム、炭酸ナトリウムもしくは重炭酸塩、ラクトース、またはリン酸カルシウム;あるいは結合剤、例えばデンプン、ゼラチン、またはアカシア;あるいは潤滑剤、例えばステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸、またはタルクが含まれるが、それらに限定されるわけではない。
意図される投与の経路、送達形式、および所望の投薬量に応じて、本開示および調合技術の一般的知識を考慮して、適切なかつ/または好ましい薬学的製剤を決定してもよい。投与の様式にかかわらず、患者の体重、体表面積、または器官サイズに従って、有効用量を算出してもよい。本明細書において記載されている製剤のそれぞれを伴う治療に対する適当な投薬量を決定するための算出のさらなる洗練は、当技術分野においてルーチン的になされており、当技術分野においてルーチン的に実施される課題の領域内にある。適当な用量反応データの使用によって、適当な投薬量を確定してもよい。
いくつかの態様において、極めて長いCDR3を含むヒト化抗体またはその断片に、天然に存在するFc領域が、生物学的環境における該抗体または断片の半減期、例えば血清中半減期またはインビトロアッセイによって測定される半減期を増加させるように改変されている改変Fc領域を提供する。IgGのFc領域の元の形態を変更するための方法は、U.S. Pat. No. 6,998,253にも記載されている。
特定の態様において、抗体または断片を、その血清中半減期を増加させるために改変すること、例えば抗体断片に、PEGまたは、多糖類ポリマーを含めた他の水溶性ポリマーなどの分子を添加して、半減期を増加させることが望ましい可能性がある。これは、例えば抗体断片内へのサルベージ受容体結合エピトープの組み入れによって(例えば、抗体断片における適当な領域の変異によって、または例えばDNAもしくはペプチド合成によって、いずれかの末端にもしくは中央において抗体断片に後に融合されるペプチドタグ内にエピトープを組み入れることによって)も達成され得る(国際公開公報第WO96/32478号を参照されたい)。サルベージ受容体結合エピトープとは、IgG分子のインビボ血清中半減期を増加させることに関与しているIgG分子(例えば、IgG1、IgG2、IgG3、またはIgG4)のFc領域のエピトープを指す。
サルベージ受容体結合エピトープは、Fcドメインの1つまたは2つのループ由来の任意の1個または複数個のアミノ酸残基が抗体断片の相似位置に移動している領域を含んでもよい。さらにより好ましくは、Fcドメインの1つまたは2つのループ由来の3個以上のアミノ酸残基が移動している。なお一層より好ましくは、エピトープは(例えば、IgGの)Fc領域のCH2ドメインから選ばれ、抗体のCH1、CH3、もしくはVH領域、または複数のそのような領域に移動している。あるいは、エピトープはFc領域のCH2ドメインから選ばれ、抗体断片のCL領域もしくはVL領域、またはその両方に移動している。Fc改変体、およびサルベージ受容体とのそれらの相互作用を記載している、WO 97/34631およびWO 96/32478も参照されたい。
Fc受容体結合部位内の残基の変異は、ADCCもしくはCDC活性の変更、または半減期の変更など、エフェクター機能の変更をもたらし得る。潜在的変異には、1個または複数個の残基の挿入、欠失、またはアラニンによる置換、保存的置換、非保存的置換、もしくは同じ位置における異なるIgGサブクラス由来の相当するアミノ酸残基による置き換え(例えば、IgG1残基をその位置において相当するIgG2残基で置き換えること)を含めた置換が含まれる。例えば、IgG4におけるアミノ酸241位のセリンをプロリン(IgG1およびIgG2においてその位置で見出される)に変異させることにより、同種抗体の産生、ならびに元のキメラIgG4と比較した血清中半減期の延長および組織分布の改善につながることが報告されている。(Angal et al., Mol. Immunol. 30:105-8, 1993)。
キット/製品
さらなる局面として、本開示には、本開示の方法を実施するためのそれらの使用を促進する様式でパッケージされた1種または複数種の化合物または組成物を含むキットが含まれる。一態様において、そのようなキットは、容器に貼られたラベルを有する容器内にパッケージされた本明細書において記載されている化合物もしくは組成物(例えば、単独でまたは第二の作用物質と組み合わせた、極めて長いCDR3を含むヒト化抗体を含む組成物)、または方法を実施する際の該化合物もしくは組成物の使用を記載している添付文書を含む。適切な容器には、例えば瓶、バイアル、シリンジ等が含まれる。容器は、ガラスまたはプラスチックなどの様々な材料から形成されていてもよい。容器は、無菌のアクセスポートを有してもよい(例えば、容器は、静脈注射用溶液バック、または皮下注射針によって貫通可能な栓を有するバイアルであってもよい)。製品は、(a)その中に含有された組成物を有する第一の容器であって、該組成物は本明細書において開示される極めて長いCDR3を含むヒト化抗体を含む容器;および(b)その中に含有された組成物を有する第二の容器であって、該組成物はさらなる治療剤を含む容器、を含んでもよい。本明細書において開示される本態様における製品は、第一および第二の組成物を用いて特定の病状を治療し得ることを示した添付文書をさらに含んでもよい。あるいはまたは加えて、製品は、注射用静菌水(BWFI)、リン酸緩衝生理食塩水、リンゲル溶液、およびデキストロース溶液など、薬学的に許容される緩衝液を含む第二(または第三の)容器をさらに含んでもよい。それは、他の緩衝液、希釈物、フィルター、針、およびシリンジを含む、商業的観点およびユーザーの観点から望ましい他の材料をさらに含んでもよい。好ましくは、化合物または組成物は、単位投薬形態でパッケージされている。キットは、特異的な投与の経路に従って組成物を投与するのに適した、またはスクリーニングアッセイを実施するのに適したデバイスをさらに含んでもよい。好ましくは、キットは、極めて長いCDR3を含むヒト化抗体の組成物の使用を記載しているラベルを含有する。
以下は、本開示の方法および組成物の実施例である。上記に提供される概略的記載を前提として、様々な他の態様が実施され得ると理解される。
実施例1.極めて長いCDR3配列を有するヒト化抗体の作製
ウシ起源の極めて長いCDR3を含む、少なくとも7種の抗体重鎖可変領域配列が公的に利用可能である。これらの配列は、図1におけるアライメントに示されている。図1に示されているように、これらの可変領域配列内に存在している極めて長いCDR3は、長さが56〜61個のアミノ酸に及ぶ。際立ったことには、配列アライメントは、CDR3のN末端に位置するアミノ酸残基がとくに保存されていることを示している。これらの可変領域配列のそれぞれにおける第一のシステイン残基に続いて、「TTVHQ」のアミノ酸配列パターンおよびその改変体が見出される。これは、ほとんどの種のほとんどの重鎖可変領域が「CAK」または「CAR」というアミノ酸配列で終わるという点で異例である。この異例の配列モチーフ(例えば、「TTVHQ」)は、極めて長いCDR3の構造の特徴であり得る。
加えて、ボス・タウルス(Bos taurus)ゲノムを検索し、「CTTVHQ」モチーフをコードする、抗体遺伝子座における記載されていない重鎖可変領域DNA配列を見出した(例えば、SEQ ID NO: 1)。本明細書において、この可変領域配列をVH-ULと呼ぶ(SEQ ID NO: 29)。ウシゲノムを検索した際に最初に発見されたこの配列モチーフは、極めて長いCDR3を含む抗体において重要である。
極めて長いCDR3を含むヒト化抗体を産生するために、ウシ由来VH-UL配列(SEQ ID NO: 29)と相同である、アクセプターヒトフレームワークに対するヒト可変領域を同定した。ヒトVH4ファミリーのいくつかのメンバーがVH-UL配列と相同であることが同定されたが、VH4ファミリーのどれも「CTTVHQ」モチーフを含有していなかった。VH4-34*02(SEQ ID NO: 33)、VH4-39(SEQ ID NO: 31)、およびVH4-59*03(SEQ ID NO: 32)の配列は、VH-UL配列と最も相同である(例えば、図4Bを参照されたい)。
極めて長いCDR3を含むヒト化抗体を産生する第一の例示的な方法では、VH4-39ヒトアクセプターフレームワーク(SEQ ID NO: 31)を用いる。VH4-39ヒトアクセプターフレームワークから、VH4-39の最後の2個のアミノ酸残基(例えば、「AR」)をコードするヌクレオチドを除去し、VH4-39ヒトアクセプターフレームワークの第二のシステイン残基をコードするヌクレオチド(例えば、SEQ ID NO: 31のアミノ酸97位をコードするヌクレオチド)の後の、VH4-39ヒトアクセプターフレームワークをコードするDNA配列の3'末端に、「TTVHQ」モチーフをコードするヌクレオチドを付加する。次に、「TTVHQ」モチーフをコードするポリヌクレオチドの3'末端に、BLV1H12由来の極めて長いCDR3の一部(BLV1H12における第一のグルタミン酸(E)で始まる極めて長いCDR3の一部:
Figure 2015509091
)をコードするDNAを融合させる。最後に、BLV1H12に由来する極めて長いCDR3配列の一部の3'末端に、J領域配列に共通する保存されたトリプトファン残基で始まる部分的ヒトJH4領域をコードするDNAを付加する。極めて長いCDR3を含む部分的ヒト抗体をコードする以下の抗体遺伝子が得られる。
Figure 2015509091
-標準フォント−ヒトVH4-39に由来
-下線−VH-ULに由来
-太字の黒−ウシBLVH12に由来する極めて長いCDR3
-イタリック体−ヒトJH4に由来
この部分的ヒト可変領域遺伝子から翻訳されるアミノ酸配列は
Figure 2015509091
である。
一態様において、このヒト化VH配列を、ヒト重鎖定常領域とインフレームで組換えにより融合させ、組換え抗体産生のために軽鎖と対形成させる。
極めて長いCDR3を含むヒト化抗体を産生する別の例示的な方法では、BLV5B8に由来する極めて長いCDR3(SEQ ID NO: 7)を、ヒトJH2領域の一部とともに、VH4-34ヒトアクセプターフレームワーク(例えば、4-34*02(SEQ ID NO: 33);または4-34*09(SEQ ID NO: 34))内に組み入れて、極めて長いCDR3を含むヒト化抗体を産生する。次に、VH4-34ヒトアクセプターフレームワークから、VH4-34ヒトアクセプターフレームワークの最後の2個のアミノ酸残基(例えば、「AR」)をコードするヌクレオチドを除去し、VH4-34ヒトアクセプターフレームワークにおける第二の保存されたシステイン残基をコードするヌクレオチド(例えば、SEQ ID NO: 33または34のアミノ酸95位をコードするヌクレオチド)の後の、VH4-34ヒトアクセプターフレームワークの3'末端に、「TTVHQ」モチーフをコードするヌクレオチドを付加する。最後に、BLV5B8に由来する極めて長いCDR3配列の一部の3'末端に、J領域配列に共通する保存されたトリプトファン残基で始まる部分的ヒトJH2領域をコードするDNAを付加する。ゆえに、極めて長いCDR3を含むヒト化抗体可変領域をコードする以下の配列が産生される。
Figure 2015509091
-標準フォント−ヒトVH4-39に由来
-下線−VH-ULに由来
-太字の黒−ウシBLVH12に由来する極めて長いCDR3
-イタリック体−ヒトJH2に由来
この部分的ヒト可変領域遺伝子から翻訳されるアミノ酸配列は
Figure 2015509091
である。
一態様において、次いで、このヒト化VH配列を、ヒト重鎖定常領域とインフレームで組換えにより融合させ、組換え抗体産生のために軽鎖と対形成させる。
ゆえに、任意の重鎖可変領域を軽鎖可変領域と対形成させて、組換え抗体を産生することができる。極めて長いVH CDR3を含有するウシ抗体を、典型的に、λ軽鎖の制限されたセットと対形成させる。ボス・タウルス(Bos taurus)に由来するλ領域と相同である、VL1-47、VL1-40、VL1-51、VL2-18を含めたいくつかのヒトVL配列を用いて、上記の配列と対形成させることができる。
実施例2:極めて長いCDR3を含む抗体をコードするポリヌクレオチドのライブラリーの作製
極めて長いCDR3を含む抗体をコードするポリヌクレオチドのライブラリーを、当技術分野において公知の任意の方法によって構築してもよい。そのようなポリヌクレオチドライブラリーは、例えば複数の宿主細胞(例えば、宿主細胞のライブラリー)内に存在しているベクターを含む、複数のベクター(例えば、ベクターのライブラリー)内に存在してもよい。ライブラリーは、空間的にアドレス指定された形式を含めた任意の公知の形式で存在してもよい(例えば、WO 11/056997;およびMao et al. (2010) Nat Biotech 28:1195-1202を参照されたい)。
例示的な方法では、ウシの脾臓およびリンパ節をAnimal Technologies(Tyler, TX)から、またはTexas A&M Universityから入手した。TRIzol試薬(Invitrogen, Carlsbad, CA, USA)を用いて、3匹の異なるウシ(MID1、MID10、およびMID11)由来のウシ組織から全RNAを単離し、続いて、RNeasy Mini Kit(Qiagen, Valencia, CA, USA)を用いたカラムでのDNAの消化を行った。あるいは、抗原(例えば、BVDV)で免疫したウシのリンパ節からcDNAを獲得してもよい。次に、メーカーのプロトコールに従って、Nanodrop(Thermal Scientific)、Qubit RNA、およびAgilent 2100 Bioanalyzer(Agilent, Santa Clara, CA, USA)でRNAの分量および品質を査定した。全RNAを、Superscript II(Invitrogen)によって触媒されるcDNA合成のための鋳型として用いた。
次いで、増幅した抗体可変領域のライブラリーを、大規模シークエンシングに供した。簡潔には、3匹のウシ(MID1、MID10、およびMID11)のそれぞれに対するバーコード化プライマー(表1)を用いて、ウシ脾臓cDNA由来のVHを増幅した。
(表1)大規模シークエンシング用のバーコード化プライマー
Figure 2015509091
次に、VHのアンプリコンを2%アガロースゲルから精製し、Roche 454 GS FLX指示書に従って大規模シークエンシングを行った。MUSCLEアルゴリズム(Edgar (2004) Nucleic Acids Research 32:1792-1797)を用いて、多重アライメントを実施した。MUSCLEを実行して、配列内に観察される大量の不均一性による、比較的高いギャップ開始ペナルティ(-20.0)およびギャップ伸張ペナルティ(-10.0)を有する長いCDR H3ヌクレオチド多重アライメントを作製した。以下の設定、一致スコア=2.0、不一致ペナルティ=-1.0、ギャップ開始ペナルティ=-2.0、およびギャップ伸張ペナルティ=-0.5を有するSmith-Watermanアルゴリズムを用いて、局所アライメントを実行した。CDR H3を、フレームワーク4における保存されたトリプトファンの直前の残基に対して、フレームワーク3における保存されたシステインに続く第三の残基によって規定した。大規模シークエンシングによって同定された多数の極めて長いVH配列を用いてウシゲノム(assembly Btau_4.6.1)をBLAST検索することによって、VHBULを同定した。大規模シークエンシングにより、44〜69個のアミノ酸残基の長さを有する合計11,728種の極めて長いCDR3配列が同定された。大規模シークエンシングの結果は、下記の表2に概要が示されている。
(表2)ウシ脾臓からの大規模シークエンシング結果の概要
Figure 2015509091
大規模シークエンシングの結果により、CDR3は、3〜12個のシステイン残基を含むシステインモチーフ(例えば、システイン残基のパターン)を含むことも明らかになった。3匹の異なるウシ(MID1、MID10、およびMID11)についての大規模シークエンシングランについて、システインパターンの代表的な例、および当該ランにおけるそれらの存在率を示している(表3〜5)。極めて長いCDR3領域内のシステインは、「C」として記号で表されている。2個のシステイン間のアミノ酸は、「Xn」として記号で表されている。大規模シークエンシングから同定されたシステインモチーフを含む例示的な配列を、図2A〜Cに提示する。
(表3)MID1由来の極めて長いCDR3において同定されたシステインパターン
Figure 2015509091
(表4)MID10由来の極めて長いCDR3において同定されたシステインパターン
Figure 2015509091
(表5)MID11由来の極めて長いCDR3において同定されたシステインパターン
Figure 2015509091
極めて長いCDRにバイアスをかけた抗体可変領域cDNAライブラリーを産生する、
Figure 2015509091
のプライマーを用いて、実施例9において調製されたcDNAからウシVH領域を増幅した。次に、オーバーラップPCRによって、VH領域の混合物をウシCH1およびヒトIgG Fcと会合させた。簡潔には、ライゲーションのために、EcoRIおよびNheI部位をpFUSE発現ベクター内に組み入れて、哺乳動物細胞における発現に備えた全長重鎖ライブラリーを与えた。ライゲーション産物を大腸菌に形質転換し、500個のシングル大腸菌形質転換体を選んだ。次いで、各形質転換体を別々の管内で一晩増殖させ、Qiagenミニプレップ(minprep)キット(Qiagen, Inc.)を用いて各コロニーからDNAを抽出し、
Figure 2015509091
のオリゴを用いて、BATJ, Inc.(San Diego, CA)によってシークエンシングした。VectorNTI(Invitrogen, Inc. Carlsbad, CA)を用いて、配列を分析した。重複配列、挿入物を含まない配列、および35残基よりも短いCDRをコードする配列を排除した。ユニークな長いCDR重鎖配列を含有する132個のクローンを選択した。次いで、メンバーが132種のライブラリー中の各重鎖を、不変ウシ軽鎖BLV1H12(SEQ ID NO: 412)をコードするpFUSE発現ベクターと同時に、293T細胞内に共トランスフェクトして、空間的にアドレス指定された小さなライブラリーを作製した(Mao et al. (2010) Nat Biotech 28:1195-1202)。1ウェルあたり130,000個の293T細胞を24ウェルプレートにプレーティングし、10% FBS(Invitrogen)およびペニシリン/ストレプトマイシン/グルタミン(Invitrogen)を含む500ul DMEM培地(Invitrogen)中で37℃および5% CO2で一晩増殖させた。0.5μgのHcコードpFuseベクターおよび0.5μgのLcコードpFuseベクターを、25μlのoptimem(Invitrogen)に添加した。1μlのLipofectamine 2000または293Fectinトランスフェクション試薬(Invitrogen)を、25μlのoptimemに添加し、5分間インキュベートした。次に、DNA−optimem混合物とトランスフェクション試薬−optimem混合物とを混ぜ合わせ、15分間インキュベートし、293T細胞に添加して細胞上で4〜6時間インキュベートした。次いで、培地をウェルから吸引し、新しい培地で置き換え、細胞を4日間増殖させて培地中にIgGを分泌させた。さらなる試験のために、IgGを含有する細胞培養上清を96ウェルフォーマットで回収した。ヒトFcを検出するサンドイッチELISAによってキメラ抗体を定量化し、BVDVへの結合についてELISAによりスクリーニングした。
次いで、抗体は培地中に分泌されて96ウェル形式で収集され、BVDVへの結合についてのELISAによるスクリーニングを含めたさらなる試験のために、空間的にアドレス指定された小さなライブラリーを作製した。例えば、ELISAを行って、BVDVへの結合について抗体ライブラリーをスクリーニングした。簡潔には、100μL のDPBS中の死滅BVDV(0.2μg)を96ウェルMaxiSorp ELISAプレート(Nunc)上に37℃で1時間コーティングした。次に、プレートを200μLのDPBST(Dulbecco'sリン酸緩衝生理食塩水、0.25% Tween 20)中3% BSA溶液で37℃で1時間ブロッキングした。次いで、サンプルをDPBST中3% BSAと37℃で1時間インキュベートした。その後、ウェルを200μL DPBSTで5回洗浄した。次に、ヤギ抗ヒトIgG(Fc)−HRP結合型抗体(KPL Inc.)を1:1,000希釈でブロッキング溶液中に添加し、37℃で1時間インキュベートした。次いで、ウェルを200μL DPBSTで10回洗浄した。100μLのQuantaBlu(Pierce)の希釈標準溶液(working solution)を各ウェルに添加し、室温で5分間インキュベートし、その後にプレートをSpectraMax M5プレートリーダーにおいてex325/em420 nmで読み取った。いくつかの候補結合体を同定した。クローンH12は6個のシステイン残基を含む63残基のCDR3を有し、用量依存的形式でBVDVに強力に結合し得た。
加えて、BVDV抗原へのキメラ組換え抗体の結合を、以前に記載されているように(例えば、Njongmeta et al. (2012) Vaccine 30:1624-1635を参照されたい)、トランスフェクトしたヒト胎児腎臓(HEK)293A細胞(Invitrogen)についてのイムノサイトメトリー分析によって評価した。簡潔には、6ウェル組織培養プレート中の成長したHEK 293A単分子層に、BVDV抗原(Npro、E2、または非構造タンパク質NS2-3)をコードする2μg/ウェルのプラスミド(pCDNA3.3、Invitrogen)をLipofectamine 2000試薬(Invitrogen)を用いてトランスフェクトし、5% CO2で37℃にて48時間インキュベートした。単分子層を氷冷100%メタノールで10分間固定し、PBSですすぎ、5%ウシ胎児血清を含有するPBS(ブロッキング緩衝液)で1時間ブロッキングした後、単分子層を、10μg/mlのブロッキング緩衝液中マウス抗FLAG M2アルカリホスファターゼ(AP)−結合体(Sigma)、または10μg/mlのキメラ組換え抗体(H12またはB8)と室温で1時間インキュベートした。空ベクターをトランスフェクトされた単分子層は、同様に反応して陰性対照としての役割を果たし、ブロッキング緩衝液での洗浄後、キメラ組換え抗体でプローブされた単分子層を、ブロッキング緩衝液中1/200希釈のAP結合型ヤギ抗ヒトIgG(Fc特異的)mAb(Sigma)と1時間インキュベートした。ブロッキング緩衝液での洗浄後、すべてのウェル中のAP活性を、Fast Red AS-MX基質(Sigma)を用いて検出した。カメラを装備したIS70 倒立光学顕微鏡(Olympus, Japan)を用いて、染色された細胞を可視化して撮影した。H12は、BVDVのNS2-3非構造タンパク質をトランスフェクトされたHEK293A細胞と強力に結合するが、トランスフェクトされていない細胞とは弱く結合し、一方でB8は、BVDVのNS2-3非構造タンパク質をトランスフェクトされたHEK293A細胞およびトランスフェクトされていない細胞の両方への弱い結合を有した。
実施例3:極めて長いCDR3を有する抗体を含むベクターの構築
極めて長いCDR3を含む重鎖可変領域をコードするヌクレオチド配列のクローニングおよび/または発現のために、当技術分野において公知の任意のベクターを用いてもよいし、または用いられるように改変してもよい。そのようなベクターは、極めて長いCDR3を含む重鎖可変領域をコードするヌクレオチド配列に連結された、ヒト免疫グロブリン(例えば、IgG)のFc部分をコードするヌクレオチド配列を任意で含んでもよいし、または含むように改変されてもよい。加えて、極めて長いCDR3を含む重鎖可変領域をコードするヌクレオチド配列を、該極めて長いCDR3が、非ウシ(例えば、非抗体またはヒト)配列をコードするヌクレオチド配列を許容し得るように、例えば制限酵素を用いた一方向性クローニングによるものを含めた公知の方法に従って改変してもよい。軽鎖可変領域をコードするヌクレオチド配列のクローニングおよび/または発現のために、当技術分野において公知の任意のベクターを用いてもよいし、または用いられるように改変してもよい。
例示的な方法では、IgG Fcをコードするヌクレオチド配列に極めて長いCDR3が連結された重鎖可変領域をコードするヌクレオチド配列を含むように、ベクターを組換え技術によって改変してもよい。簡潔には、ヒトIgG1のCH1-CH2-CH3をコードするヌクレオチド配列(SEQ ID NO: 390)をPCRによって増幅し、鎖重複伸長により会合させた。次に、適合性粘着末端ストラテジーを用いて、pFUSE-hIgG2-Fc2ベクター(SEQ ID NO: 457、InVivogen, San Diego CA)においてコードされるヒトFc配列をヒトIgG1のCH1-CH2-CH3で置換し、それによって、pFUSE-hIgG2-Fc2ベクターにおける既存の3' NheI部位が破壊され、かつSEQ ID NO: 390の5'末端におけるNheI部位がもたらされた。改変されたpFUSE-hIgG2-Fc2ベクター(「HC pFuse」、SEQ ID NO: 458)は、既存のEcoRI部位および新たに導入されたNheI部位を利用して、シグナル配列と、ヒトIgG1のCH1-CH2-CH3をコードするヌクレオチド配列との間にVH断片を挿入することが可能である。例えば、ウシ抗体BLV1H12由来のVH領域(SEQ ID NO: 392)をPCRによって増幅し、HC pFuseベクターにおけるシグナル配列とヒトIgG1のCH1-CH2-CH3をコードするヌクレオチド配列との間に、EcoRIおよびNheI制限酵素を用いてインフレームでサブクローニングし、SEQ ID NO: 393を作製した。
一方、非ウシ配列をコードするヌクレオチド配列を、BLV1H12重鎖のCDR3をコードするヌクレオチド配列内に挿入した。簡潔には、PCR鎖重複伸長によって、BLV1H12のCDR3をコードするヌクレオチド配列内に1対のBsaI部位を導入した(SEQ ID NO: 395)。BLV1H12のCDR3コード配列内にBsaI部位を組み入れている改変したヌクレオチド配列を、上記のHC pFuseベクターにおけるシグナル配列とヒトIgG1のCH1-CH2-CH3をコードするヌクレオチド配列との間に、EcoRIおよびNheI制限酵素を用いてインフレームでサブクローニングした。次に、インターロイキン8(IL-8、SEQ ID NO: 475)、インターロイキン21 (IL-21、SEQ ID NO: 480)、およびCXCL12/SDF-1α(SEQ ID NO: 479)をコードするcDNA(Origene)、ならびにペプチドホルモンであるソマトスタチン(SEQ ID NO: 477)、有毒ペプチドであるProTx-II(SEQ ID NO: 481)とクロロトキシン(SEQ ID NO: 478)、および合成コノトキシンペプチドであるジコノチド(SEQ ID NO: 476)(IDTDNA)をコードするオリゴプライマーを含む非抗体配列を、BsaIフランキング部を有するオリゴプライマーを用いたPCR増幅によってBsaIフランキング部を含むように改変して、BLV1H12のCDR3内への挿入のためのBsaIフランキング部を有する非ウシ配列を産生した。次に、改変した非抗体配列におけるBsaIフランキング部をBsaIで切断し、BLV1H12用BsaI消化ベクターとインフレームでライゲーションし、それによって、非抗体配列をコードするヌクレオチド配列をBLV1H12重鎖可変領域内に挿入し、極めて長いCDR3の一部(例えば、システインリッチ部分)をBLV1H12可変領域およびCH1-CH2-CH3をコードする配列とインフレームで置き換えた。
同様に、軽鎖をコードするヌクレオチド配列を含むように、ベクターを組換え技術によって改変した。簡潔には、BLV1H12軽鎖配列(SEQ ID NO: 412)をPCRによって増幅し、EcoRI末端およびNheI末端を導入した。次に、BLV1H12軽鎖可変領域配列をEcoRIおよびNheIで消化してpFUSE-hIgG2-Fc2内にサブクローニングした。すなわち、pFUSE-hIgG2-Fc2におけるFcをコードする部分を欠失させて、それを軽鎖配列のみと置き換えた(SEQ ID NO: 459)。
加えて、オーバーラップPCRを用いて、BLV1H12軽鎖可変領域およびヒトλ軽鎖定常領域由来の配列を増幅して連結した(SEQ ID NO: 474)。これをPCRによって増幅して、EcoRI末端およびNheI末端を導入した。次に、ヒトλ配列とのハイブリッドBLV1H12をEcoRIおよびNheIで消化してpFUSE-hIgG2-Fc2内にサブクローニングした。すなわち、pFUSE-hIgG2-Fc2におけるFcをコードする部分を欠失させて、それを軽鎖配列のみと置き換えた。
実施例4:極めて長いCDR3を含む抗体をコードするポリヌクレオチドの発現
極めて長いCDR3を含む抗体をコードするポリヌクレオチドを、当技術分野において公知の任意の方法によって、宿主細胞内で発現(一過性発現を含む)させてもよい。
例示的な方法では、実施例2において作製された重鎖および軽鎖を含むベクターを、293T細胞またはFreestyle(商標)293-F細胞のいずれかにトランスフェクトしてもよい。
例えば、1ウェルあたり130,000個の293T細胞を24ウェルプレートにプレーティングし、10% FBS(Invitrogen)およびペニシリン/ストレプトマイシン/グルタミン(Invitrogen)を含む500μl DMEM培地(Invitrogen)中で37℃および5% CO2で一晩増殖させた。次に、0.5μgの重鎖コードpFuseベクター(例えば、実施例2において作製された)および0.5μgの軽鎖コードpFuseベクター(例えば、実施例2において作製された)を、25μlのOpti-MEM(Invitrogen)に添加した。その後、25μlのOpti-MEMに1μlのLipofectamine 2000または293Fectinトランスフェクション試薬(Invitrogen)を添加して5分間インキュベートした。次いで、dna−Opti-MEM溶液とトランスフェクション試薬−Opti-MEM溶液とを混ぜ合わせて15分間インキュベートし、293T細胞に添加して細胞上で4〜6時間インキュベートした。次いで、培地をウェルから吸引して新しい培地で置き換え、細胞を2〜6日間増殖させて培地中にIgGを分泌させた。
加えて、例えば1mlあたり1×106個の293Freestyle浮遊細胞を、Freestyle(商標)293 Expression Medium(Invitrogen)およびペニシリン/ストレプトマイシン/グルタミン(Invitrogen)中で37℃および5% CO2で一晩増殖させた。次に、細胞1ml当たり0.5μgの重鎖コードpFuse DNAおよび0.5μgのLcコードpFuseを含む30μl溶液をPBS緩衝液中で作製した。加えて、細胞1ml当たり1μlの293Fectinトランスフェクション試薬を含む溶液を30μlのPBSに添加して5分間インキュベートした。その後、DNA溶液とlipofectamine溶液とを混ぜ合わせ、15分間インキュベートし、その後に混合物を細胞に添加した。次いで、細胞を2〜6日間増殖させて培地中にIgGを分泌させた。
293T細胞またはFreestyle(商標)293-F浮遊細胞についての増殖期間の後、培地を収集し、上清中に分泌されたIgGをサンドイッチELISAによって評価した。簡潔には、Fc特異的抗ヒトIgG(Cat I2136、Sigma-Aldrich)をPBS中に1:1000に希釈し、MaxiSorpプレート(Nunc)上をコーティングした。次に、プレートをTBST中2% BSAでブロッキングし、洗浄し、IgGが分泌された上清を1時間インキュベートした。TBSTでの洗浄後、適当なHRP結合型抗軽鎖抗体をTBSTで1:1000に希釈して1時間インキュベートした(抗κ-HRP、Cat# A-7164、Sigma-Aldrich;抗λ-HRP、Cat# 2070-05、Southern Biotech)。TBSTでの洗浄後、HRPをTMB(Cat# TMBS-1000-01、BioFX)で検出し、0.6M H2SO4で中和した。その後、吸光度(A450)を測定し、既知のIgG濃度の検量線と比較して、細胞培養上清中のヒト抗体の濃度を決定した。
ヒトCH1-CH2-CH3を有し、かつCDR3の少なくとも一部(実施例3において作製された)およびBLV1H12 LV-ヒトλLCをコードする軽鎖構築物の置き換えを有するBLV1H12をコードする重鎖構築物をトランスフェクトした細胞からの上清からの抗体の収量をELISAによって決定し、BLV1H12-IL8の収量に対して正規化した(表6)。ELISAにより、BLV1H12-IL8(最も高い発現体)と比較して、CDR3の一部を置き換えるために用いられたいくつかの配列(例えば、ジコノチド)は、抗体の発現に対して軽度の影響を有するが、一方でCDR3の一部を置き換えるために用いられたいくつかの配列(例えば、ソマトスタチン、クロロトキシン、SDF1(α)、IL21)は、抗体の発現に対して中程度の影響を有し、他の配列(ProTxII)は、抗体の発現に対してさらにより大きな影響を有したことが示された(表6)。
(表6)長いCDR3に置き換えられたBLV1H12の発現収量
Figure 2015509091
実施例5:非ウシ配列を有する極めて長いCDR3を含むヒト生殖系列配列の評価
極めて長いCDR3を含むヒト生殖系列配列を、当技術分野において公知の任意の方法によって評価して、非ウシ配列を含む極めて長いCDR3の発現を可能にするそのヒト生殖系列配列を同定してもよい。
例示的な方法では、オーバーラップPCRを用いて、ヒト生殖系列可変領域のVH1-24、VH1-46、VH1-69、VH3-23、VH4-4、およびVH4-34内にBsaI部位を挿入した。次に、PCRを用いて、シグナル配列と、実施例2において作製されたBLV1H12を含むHC pFuseベクターのCH1-CH2-CH3領域との間に、サブクローニングのためのEcoRI部位およびNheI部位を導入した。その後、各ヒト生殖系列構築物のBsaI部位にIL-8-GSGカセット(SEQ ID NO: 399)を導入し、VH1-24+CDR3-IL8(SEQ ID NO: 425)、VH1-46+CDR3-IL8(SEQ ID NO: 426)、VH1-69+CDR3-IL8(SEQ ID NO: 427)、VH3-23+CDR3-IL8(SEQ ID NO: 428)、VH4-4+CDR3-IL8(SEQ ID NO: 429)、およびVH4-34+CDR3-IL8(SEQ ID NO: 430)を作製した。次に、ヒト生殖系列重鎖とCDR3-IL8構築物とをコードする各pFuseベクターを、BLV1H12 LV(SEQ ID NO: 474)をコードするpFuseベクターと共に共トランスフェクトし、実施例4に記載されているように、これらのIgGを発現させて培地中に分泌させた。次いで、実施例4に記載されているように、ELISAを用いてIgG収量を決定した。構築物の収量を決定し、最も高い発現構築物に対して正規化した。驚くべきことに、ウシ由来のCDR3は、いかなるヒト重鎖可変領域にも容易に入れ換え可能なわけではない。VH4-34がBLV1H12配列と最も近い配列相同性を有するにもかかわらず、VH4-4が最も高い収量を有した(表7)。
(表7)極めて長いCDR3を有するヒト化重鎖の発現収量(IgG nMに関する最後の欄の値を除去し、正規化した値のみを示す)
Figure 2015509091
実施例6:非ウシ配列を有する極めて長いCDR3を含む抗体の評価
非ウシ配列を有する(例えば、CDR3の少なくとも一部を非ウシ配列で置き換えた)極めて長いCDR3を含む抗体(ヒト化抗体を含む)を、その結合パートナーへの非ウシ配列の結合について、当技術分野において公知の任意の方法(例えばフローサイトメトリーを含む)によって評価してもよい。
例示的な方法では、IL-8挿入物(例えば、CDR3の一部を置き換えたIL-8配列)を有するCDR3を含むBLV1H12 IgGのCXCR1発現細胞への結合を、フローサイトメトリーによって評価した。簡潔には、U2OS細胞に由来する機能的に検証済のCXCR1発現細胞株をDiscoveRxから入手し、メーカーの指示どおりに培養した(Cat# 93-0226C3、DiscoveRx Corporation, Freemont, CA)。親細胞株U2OSをATCCから入手し、CXCR1細胞と同じ条件下で培養した。次いで、細胞培養上清を、フローサイトメトリーによって細胞への結合について試験した。付着性U2OSまたはCXCR1-U2OS細胞をAccutase(Innovative Cell Technologies, Inc., San Diego, CA)で解離し、10%血清を含有する等量の培地で中和し、1000gで遠心分離し、2% BSAを含むPBS中に再懸濁した。次に、細胞を1ウェルあたり30,000〜300,000個の細胞に達するようにマイクロタイタープレートに分注し、再度遠心分離し、発現したIgGを含有する細胞培養上清中またはIgG含有細胞培養上清の希釈液中に再懸濁した。蛍光結合型抗ヒトFc抗体を用いて、細胞への発現した抗体の結合を検出した。その後、細胞蛍光をフローサイトメトリー(例えば、FACS)によって測定し、試験した抗体と細胞タイプとの各組み合わせに対する任意蛍光単位(Arbitrary Fluorescence Units)(AFU)中央値を算出し、それらの細胞へのIgG結合の程度を明らかにした。CXCR1-U2OS細胞対U2OS親細胞の蛍光中央値(IgG結合)の比は、IL-8挿入物を有するCDR3を含むBLV1H12 IgGがCXCR1に対する特異性を有することを示している(表8)。
(表8)CXCR1 U2OS細胞へのBLV1H12フレームワークの結合
Figure 2015509091
加えて、上記のように、実施例5に記載されているヒト生殖系列CDR3-IL8 IgGを、CXCR1発現細胞への結合についてフローサイトメトリーによって評価した。CXCR1-U2OS細胞へのIgG結合は、より高い蛍光値によって示されるが、U2OS親細胞への非特異的結合も検出可能である。CDR3-IL8を有する所定のIgGについて、CXCR1への特異的結合は、親U2OS細胞に対する蛍光に対してのCXCR1-U2OS細胞に対する蛍光の比によって明らかになる(表9)。BLV1H12は、CXCR1への強力かつ特異的な結合を支持したが(表8)、ヒト生殖系列IgGにおけるIL-8は、CXCR1へのより弱い結合を示したか、またはCXCR1-U2OS細胞および親対照細胞の両方への強力な結合に見られるように非特異的相互作用を示した。CXCR1へのヒト生殖系列IgG内のIL-8の最も特異的な相互作用は、VH4-34に関して見られた。
(表9)CXCR1 U2OS細胞へのCDR3-IL8を有するIgGの結合
Figure 2015509091
別の例示的な方法では、上記のCXCR1-U2OS DiscoveRx細胞(Cat# 93-0226C3、DiscoveRx)を用いて、IL-8によるCXCR1受容体の活性化を試験した。DiscoveRx細胞は、リガンドによって活性化されると、結果として生じたGPCRへのβ-アレスチンの動員によって、細胞株に提示された発光性レポーター酵素の活性化も引き起こされるように操作されている。メーカーの指示書に従って用いられたPathHunter Detection Kit(Cat# 93-001、DiscoveRx)には、溶解試薬および発光性基質が含まれる。U2OS-CXCR1細胞を1ウェルあたり15,000個でプレーティングし、血清なしのEMEM培地中で一晩血清飢餓させた。次に、培地を除去し、IL-8の希釈物、もしくはCDR3内にIL-8が挿入されたIgGの希釈物のいずれか、または対照抗体を含有する、80μlの1:1のEMEMおよびPBSと37℃で1時間インキュベートした。1時間後、40μlのPathHunter Detection reagent混合液を添加した。その後、室温で1時間後に、各ウェルにおける発光を発光プレートリーダーを用いて測定した。より高い発光シグナルは、試験した濃度のIL-8またはIgGによるCXCR1受容体のより高い活性化を表す。実施例4のトランスフェクション法をスケールアップし、メーカーの指示書に従ったプロテインA sepharose(Cat# 17-1279-03 GE Healthcare)を用いた培地からのIgGの精製、および溶出後のPBSへの透析によって、IgGを精製した。タンパク質収量をA280によって決定し、モル吸光係数を算出した。、BLV1H12-IL8 IgGの濃度を増加させると、IL-8に関して観察された活性化とある程度同様にCXCR1を活性化したが、BLV1H12 IgGの濃度を増加させてもCXCR1活性化に効果がなかった(表10)。
(表10)可溶性サイトカインとしてのまたはCDR3置き換え体としてのIL-8によるCXCR1の活性化
Figure 2015509091
加えて、VH4-4ヒト生殖系列可変領域内にIL-8が融合されている抗体を、CXCR1の活性化について試験した。VH4-4+CDR3-IL8(SEQ ID NO: 429)を有するIgGを、BLV1H12+CDR3-IL8およびIgGVH4-4 CDR3 BsaI(IL-8挿入物を欠く)(SEQ ID NO: 431)と比較した。単一濃度の可溶性IL-8が、アッセイ機能のための陽性対照として31.5nMで試験され、55525の平均RLUという活性化を与えた。(表11)ヒトVH4-4可変領域内へのIL-8の挿入を有するIgGはCXCR1を活性化したが、それは、等用量のBLV1H12配列含有IgGほど強力なわけではなかった。
(表11)CDR3 IL-8を有するIgGによるCXCR1の活性化
Figure 2015509091
実施例7:極めて長いCDR3を含むヒト化抗体の改変
実施例5において作製されたヒト化抗体を、重鎖CDR1および/またはCDR2において1個または複数個のアミノ酸置換を含むように改変してもよい。そのようなアミノ酸置換を、CDR3と相互作用すると仮定される位置でヒト生殖系列CDR1およびCDR2内に導入してもよい。
例示的な方法では、VH4-34 CDR1および/またはCDR2における特定の残基を、BLV1H12由来の相当するCDR1および/またはCDR2残基で置換した。簡潔には、重鎖VH4-34 CDR3-IL8をコードするpFuseベクターを、CDR1のすべてをBLV1H12由来の配列で置き換えるように(VH4-34+CDR3-IL8_CDR1ウシ、SEQ ID NO: 432)、またはCDR2のすべてをBLV1H12由来の配列で置き換えるように(VH4-34+CDR3-IL8_CDR2ウシ、SEQ ID NO: 433)、オーバーラップPCRによって改変した。加えて、オーバーラップPCRを用いて、CDR1内に点変異G31DおよびY32K(VH4-34+CDR3-IL8_CDR1 G31D, Y32K、SEQ ID NO: 434)を、またはCDR2内に点変異E50S(VH4-34+CDR3-IL8_CDR2 E50S、SEQ ID NO: 435)を導入した。これらの重鎖構築物をBLV1H12軽鎖と対形成させ、実施例4に記載されているように発現させた。実施例6に記載されているように、収量およびCXCR1結合を決定した(表12)。
(表12)VH4-34 CDR3-IL8 IgGのCDR1および2の改変
Figure 2015509091
実施例8:ヒト軽鎖と極めて長いCDR3を含む重鎖との対形成
CDR3の少なくとも一部が非ウシ配列によって置き換えられている極めて長いCDR3を含む抗体を含む、極めて長いCDR3を含む抗体をヒト軽鎖と対形成させてもよい。
例示的な方法では、重鎖BLV1H12+CDR3-IL8をコードするpFuseベクターを、いくつかのヒト生殖系列軽鎖(例えば、SEQ ID NO: 445〜456)のそれぞれまたはBLV1H12軽鎖(SEQ ID NO: 412)をコードするpFuseベクターとともに共トランスフェクトすることによって、ヒト生殖系列軽鎖と生産的に対形成するBLV1H12+CDR3-IL8の柔軟性を調査した。実施例3に記載されたように、EcoRIおよびNheIを介してpFUSE LCベクター内にサブクローニングするように、これらのヒト生殖系列軽鎖配列を合成し(Genscript, Inc)、PCRによって増幅した。BLV1H12+CDR3-IL8コードpFUSEベクターを、実施例3に記載された軽鎖をコードするpFUSEベクターとともに共トランスフェクトした。次いで、実施例5に記載されたように、分泌されたIgGのCXCR1細胞への特異的結合についてFACSによって試験した(表13)。ヒト生殖系列軽鎖は、発現させた場合にBLV1H12+CDR3ほど容易にはIL-8の機能を支持しなかった。
(表13)生殖系列ヒト軽鎖と対形成させた場合のBLV1H12+CDR3-IL8の評価
Figure 2015509091
あるいは、BLV1H12軽鎖可変領域をガイドとして用いて、最も近い相同性を有すると同定されたヒト生殖系列配列はV1-47およびV1-51であった。pFuseベクター内へのサブクローニング用に所望のEcoRIおよびNheI制限部位を有するこれらの軽鎖配列を合成した(SEQ ID NO: 455、456)(IDTDNA, Inc.)。その後、V1-47またはV1-51をコードするpFuseベクターを、VH4-34+CDR3-IL8、実施例6に記載のCDR1またはCDR2改変を有するVH4-34+CDR3-IL8(SEQ ID NO: 432〜435)をコードするpFuseベクター、ならびにCDR1およびCDR2改変の両方の組み合わせ(例えば、VH4-34+CDR3-IL8_CDR1ウシ_CDR2ウシ、SEQ ID NO: 436;VH4-34+CDR3-IL8_CDR1ウシ_CDR2 E50S、SEQ ID NO: 437;VH4-34+CDR3-IL8_CDR1 G31 D,Y32K_CDR2ウシ、SEQ ID NO: 438;VH4-34+CDR3-IL8_CDR1 G31D,Y32K_CDR2 E50S、SEQ ID NO: 439)をコードするベクターと対形成させた。上記のように、これらのIgGを発現させ、収量をELISAによって決定し、CXCR1結合特異性をフローサイトメトリーによって測定した(表14)。
(表14)CDR1およびCDR2改変を有しかつLc V1-47またはV1-51と対形成した、VH4-34 CDR3-IL8 IgGについての発現収量およびCXCR1特異性
Figure 2015509091
実施例9:ヒト軽鎖の改変、および極めて長いCDR3を含む重鎖との対形成
極めて長いCDR3を含む重鎖と対形成させ得る軽鎖を含むヒト生殖系列軽鎖を、当技術分野において公知の任意の方法によって改変してもよい。そのような改変には、ヒト軽鎖における特定のアミノ酸残基を、ウシ軽鎖配列内の相当する位置におけるアミノ酸残基に置換することが含まれ得る。改変した軽鎖は、極めて長いCDR3を含む抗体の収量を向上させ得、かつ/またはその結合特異性を増大させ得る。
例示的な方法では、実施例4に記載されているように、V1-51の改変体をオーバーラップPCRによって作製し、発現のためにpFuseベクター内にサブクローニングした。V1-51の遺伝子を操作した改変体は、:i)CDR1に導入されたI29VおよびN32G置換(SEQ ID NO: 440)、ii)CDR2におけるDNN残基(アミノ酸51〜53)のGDTへの改変(SEQ ID NO: 441)、iii)CDR2およびその付近におけるDNNKRP残基(SEQ ID NO: 471)のGDTSRAへの改変(SEQ ID NO: 472)、もしくはiv)N末端における14残基をBLV1H12軽鎖の最初の14残基と同一にする、点変異S2A、T5N、P8S、A12G、A13S、およびP14L(SEQ ID NO: 443)、またはv)ii)およびiv)に明記される改変の組み合わせ(SEQ ID NO: 444)を有した。これらのV1-51改変体を、VH4-34+CDR3-IL8(SEQ ID NO: 430)、VH4-34+CDR3-IL8_CDR1ウシ(SEQ ID NO: 432)、VH4-34+CDR3-IL8_CDR2ウシ(SEQ ID NO: 433)、またはVH4-34+CDR3-IL8_CDR1ウシ_CDR2ウシ(SEQ ID NO: 436)をコードする重鎖と対形成させた。上記のようにトランスフェクションおよびELISAを行い、2ug/mlヘパリン硫酸を加えたPBS中2% BSA中に細胞を再懸濁する改変を有する前記のフローサイトメトリーを用いてCXCR1結合特異性を評価し、細胞上でのインキュベーションの間10nMに対してIgGを正規化した。重鎖と軽鎖との特定の組み合わせのみ、検出可能な発現を支持した(表15)。重鎖および軽鎖を発現したそれらの組み合わせを、CXCR1結合特異性について試験した(表16)。
(表15)VH4-34+CDR3-IL8改変体およびV1-51改変体についての発現収量(nM IgG)
Figure 2015509091
(表16)VH4-34+CDR3-IL8改変体およびV1-51改変体についてのCXCR1特異性
Figure 2015509091
実施例10:極めて長いCDR3配列を有する抗体ライブラリーの調製
抗体フレームワーク(例えば、重鎖フレームワーク)内に極めて長いCDR3の少なくとも一部を含むライブラリーを例として含む、極めて長いCDR3を含むライブラリーを作製してもよい。そのようなライブラリーは、多様な極めて長いCDR3配列を含んでもよく、極めて長いCDR3のシステインドメインにおける1個もしくは複数個のシステイン残基間に位置する多様な1個もしくは複数個の残基を含んでもよく、または極めて長いCDR3内に挿入され得る(例えば、その一部を置き換え得る)多様な非ウシペプチドを含んでもよい。抗体フレームワークは、VH-ULなどのウシ配列、ヒト生殖系列配列、または実施例7に記載されたような改変したヒト生殖系列配列に由来してもよい。多様な極めて長いCDR3を含む抗体または抗体断片のライブラリーの発現のために、多様な極めて長いCDR3を有する重鎖を、ウシ、ヒト、または改変した組成(例えば、実施例9を参照されたい)の軽鎖と対形成させてもよい。
例示的な方法では、多様な極めて長いCDR3配列を含むライブラリーを作製する(例えば、ライブラリーの多様性は、当該ライブラリーが複数の多様な極めて長いCDR3配列を含有することにある)。例えば、複数の多様な極めて長いCDR3配列を、免疫されたまたは免疫されていないウシ由来の脾臓および/またはリンパ節から抽出したcDNAから獲得する。あるいは、複数の多様な極めて長いCDR3配列を、実施例2に記載されたようなシークエンシング技術によってcDNAからの情報として得る。次いで、単離したcDNAからcDNA由来のウシ配列を増幅するか、またはcDNAのシークエンシングから合成し、極めて長いCDR3配列を有するIgGの発現のために、多様なCDR3配列を抗体フレームワーク内に挿入し、ウシ由来のCDR3を有するIgGのライブラリーを産生する。当該IgGライブラリーは、空間的にアドレス指定されたアレイとしてのライブラリーを含む任意の構成で存在してもよく、例えばWO 11/056997;およびMao et al. (2010) Nat Biotech 28:1195-1202を参照されたい。
別の例示的な方法では、ライブラリーのメンバーが、特定のシステインドメイン、または多数のシステインドメインを有する極めて長いCDR3を含み、該メンバーが、システインドメインにおける1個または複数個のシステイン残基間に位置する1個または複数個の残基において多様である、ライブラリーを作製する。例えば、CX10CX5CX5CXCX7C(SEQ ID NO: 41)の配列において、任意のX残基が変化してまたはX残基の組み合わせが変化して、CDR3内に多様性をもたらす、ライブラリーを作製する。そのような多様性を、縮重ヌクレオチド合成、エラープローンPCR、遺伝子合成、または当技術分野において公知の他の任意の方法によって導入して、ヌクレオチド配列を改変する。次いで、これらの極めて長いCDR3ループを、抗体フレームワークをコードする配列と一体化する。次いで、共トランスフェクション、およびウシCDR3から遺伝子操作された抗体ライブラリーを含む発現のために、重鎖配列をヒト軽鎖または改変したヒト軽鎖配列と対形成させる。
別の例示的な方法では、ライブラリーのメンバーが、極めて長いCDR3内に挿入された(例えば、その一部を置き換える)非ウシ配列に多様性を有する極めて長いCDR3を含む、ライブラリーを作製する。極めて長いCDR3は、例えば抗体フレームワーク内へのシステインリッチ挿入を含む、大型の非ウシ配列(例えば、サイトカイン、ペプチドホルモン、シグナル伝達ドメイン、および節足動物毒素または爬虫類毒の構成タンパク質)の挿入を許容し、かつ実施例4および実施例6において実証された、非ウシ配列によってコードされるペプチドの独立した機能を支持する。非ウシ配列をコードする配列をcDNAからPCRによって増幅または合成し、それらが極めて長いCDR3内で発現されるか、極めて長いCDR3の代わりに発現されるか、または極めて長いCDR3の少なくとも一部を置き換えて発現されるように、それらをリンカー配列有りまたは無しで抗体配列内に組み入れる。発現のために非ウシ配列をベクター内に挿入する例示的な方法は、上記の実施例3に明記されている。次いで、共トランスフェクションおよび発現のために、重鎖配列をヒト軽鎖または改変したヒト軽鎖と対形成させる。例えば、BLV1H12由来のCDR1改変およびCDR3改変を有するVH4-34*02をコードするHC pFUSE内に非ウシ配列を挿入する。簡潔には、両側が極めて長いCDR3の一部(下記の下線が引かれた配列)に隣接しているBsaIカセット(実施例3;下記の配列における太字を参照されたい)を含むHC pFuseベクターの一部を非ウシ配列によって置き換える。
Figure 2015509091
BsaIカセットを非ウシ配列で置き換えた後、非ウシ配列(下記の配列における太字テキストの挿入物として表される)を、その両側に極めて長いCDR3の一部が隣接するように配置する。
Figure 2015509091
次いで、共トランスフェクションおよび発現のために、重鎖配列をヒト軽鎖または改変したヒト軽鎖と対形成させる。
その一部が下記に明記される、上記の本主題の態様は、単独で、または1つもしくは複数の他の態様と組み合わせて有益であり得る。そのような態様には、以下が含まれる。
態様1。 極めて長いCDR3を含むヒト化抗体またはその結合断片。いくつかの態様において、当該ヒト化抗体またはその結合断片は、1つまたは複数のヒト可変領域フレームワーク配列を含む。
態様2。 極めて長いCDR3が、35アミノ酸長以上、40アミノ酸長以上、45アミノ酸長以上、50アミノ酸長以上、55アミノ酸長以上、または60アミノ酸長以上である、態様1のヒト化抗体またはその結合断片。
態様3。 極めて長いCDR3が35アミノ酸長以上である、態様2のヒト化抗体またはその結合断片。
態様4。 極めて長いCDR3が、3個以上のシステイン残基、4個以上のシステイン残基、5個以上のシステイン残基、6個以上のシステイン残基、7個以上のシステイン残基、8個以上のシステイン残基、9個以上のシステイン残基、10個以上のシステイン残基、11個以上のシステイン残基、または12個以上のシステイン残基を含む、態様1のヒト化抗体またはその結合断片。
態様5。 極めて長いCDR3が3個以上のシステイン残基を含む、態様4のヒト化抗体またはその結合断片。
態様6。 システインモチーフを含む、態様1のヒト化抗体またはその結合断片。
態様7。 システインモチーフが、
Figure 2015509091
からなる群より選択される、態様6のヒト化抗体またはその結合断片。
態様8。 システインモチーフが、
Figure 2015509091
からなる群より選択される、態様6のヒト化抗体またはその結合断片。
態様9。 極めて長いCDR3が2〜6個のジスルフィド結合を含む、態様1のヒト化抗体またはその結合断片。
態様10。 極めて長いCDR3がSEQ ID NO: 40またはその誘導体を含む、態様1のヒト化抗体またはその結合断片。
態様11。 極めて長いCDR3が、SEQ ID NO: 1〜4のうちのいずれか1つのアミノ酸残基3〜6を含む、態様1のヒト化抗体またはその結合断片。
態様12。 極めて長いCDR3が非ヒトDHまたはその誘導体を含む、態様1のヒト化抗体またはその結合断片。
態様13。 非ヒトDHが、SEQ ID NO: 5、SEQ ID NO: 6、SEQ ID NO: 7、SEQ ID NO: 8、SEQ ID NO: 9、SEQ ID NO: 10、SEQ ID NO: 11、またはSEQ ID NO: 12である、態様12のヒト化抗体またはその結合断片。
態様14。 極めて長いCDR3がJH配列またはその誘導体を含む、態様1のヒト化抗体またはその結合断片。
態様15。 JH配列が、SEQ ID NO: 13、SEQ ID NO: 14、SEQ ID NO: 15、SEQ ID NO: 16、またはSEQ ID NO: 17である、態様14のヒト化抗体またはその結合断片。
態様16。 極めて長いCDR3が、非ヒトVH配列もしくはその誘導体;非ヒトDH配列もしくはその誘導体;および/またはJH配列もしくはその誘導体を含む、態様1のヒト化抗体またはその結合断片。
態様17。 極めて長いCDR3が、VH配列とDH配列との間に位置する2〜6個またはそれより多いアミノ酸残基含む付加的なアミノ酸配列を含む、態様16のヒト化抗体またはその結合断片。
態様18。 付加的なアミノ酸配列が、IR、IF、SEQ ID NO: 18、SEQ ID NO: 19、SEQ ID NO: 20、またはSEQ ID NO: 21からなる群より選択される、態様17のヒト化抗体またはその結合断片。
態様19。 極めて長いCDR3が、SEQ ID NO: 22、SEQ ID NO: 23、SEQ ID NO: 24、SEQ ID NO: 25、SEQ ID NO: 26、SEQ ID NO: 27、またはSEQ ID NO: 28に由来するかまたはこれらに基づく配列を含む、態様1のヒト化抗体またはその結合断片。
態様20。 極めて長いCDR3が非ウシ配列または非抗体配列を含む、態様1のヒト化抗体またはその結合断片。
態様21。 非抗体配列が合成配列である、態様20のヒト化抗体またはその結合断片。
態様22。 非抗体配列が、サイトカイン配列、リンホカイン配列、ケモカイン配列、増殖因子配列、ホルモン配列、または毒素配列である、態様20のヒト化抗体またはその結合断片。
態様23。 非抗体配列が、IL-8配列、IL-21配列、SDF-1(α) 配列、ソマトスタチン配列、クロロトキシン配列、Pro-TxII配列、またはジコノチド配列である、態様20のヒト化抗体またはその結合断片。
態様24。 非抗体配列がSEQ ID NO: 475〜481のうちのいずれか1つである、態様20のヒト化抗体またはその結合断片。
態様25。 非抗体配列が、極めて長いCDR3の少なくとも一部と置き換わっている、態様20のヒト化抗体またはその結合断片。
態様26。 極めて長いCDR3がX1X2X3X4X5モチーフを含み、式中、X1はスレオニン (T)、グリシン (G)、アラニン (A)、セリン (S)、またはバリン (V) であり、X2はセリン (S)、スレオニン (T)、プロリン (P)、イソロイシン (I)、アラニン (A)、バリン (V)、またはアスパラギン (N) であり、X3はバリン (V)、アラニン (A)、スレオニン (T)、またはアスパラギン酸 (D) であり、X4はヒスチジン (H)、スレオニン (T)、アルギニン (R)、チロシン (Y)、フェニルアラニン (F)、またはロイシン (L) であり、かつX5はグルタミン (Q) である、態様1のヒト化抗体またはその結合断片。
態様27。 X1X2X3X4X5モチーフが、
Figure 2015509091
である、態様26のヒト化抗体またはその結合断片。
態様28。 極めて長いCDR3がCX1X2X3X4X5モチーフを含む、態様1のヒト化抗体またはその結合断片。
態様29。 CX1X2X3X4X5モチーフが、
Figure 2015509091
である、態様28のヒト化抗体またはその結合断片。
態様30。 極めて長いCDR3が(XaXb)zモチーフを含み、式中、Xaは任意のアミノ酸残基であり、Xbは、チロシン (Y)、フェニルアラニン (F)、トリプトファン (W)、およびヒスチジン (H) からなる群より選択される芳香族アミノ酸であり、かつzは1〜4である、態様1のヒト化抗体またはその結合断片。
態様31。 (XaXb)zモチーフが、
Figure 2015509091
である、態様30のヒト化抗体またはその結合断片。
態様32。 (XaXb)zモチーフがYXYXYXである、態様30のヒト化抗体またはその結合断片。
態様33。 極めて長いCDR3がX1X2X3X4X5Xnモチーフを含み、式中、X1はスレオニン (T)、グリシン (G)、アラニン (A)、セリン (S)、またはバリン (V) であり、X2はセリン (S)、スレオニン (T)、プロリン (P)、イソロイシン (I)、アラニン (A)、バリン (V)、またはアスパラギン (N) であり、X3はバリン (V)、アラニン (A)、スレオニン (T)、またはアスパラギン酸 (D) であり、X4はヒスチジン (H)、スレオニン (T)、アルギニン (R)、チロシン (Y)、フェニルアラニン (F)、またはロイシン (L) であり、X5はグルタミン (Q) であり、かつnは27〜54である、態様1のヒト化抗体またはその結合断片。
態様34。 極めて長いCDR3がXn(XaXb)zモチーフを含み、式中、Xaは任意のアミノ酸残基であり、Xbは、チロシン (Y)、フェニルアラニン (F)、トリプトファン (W)、およびヒスチジン (H) からなる群より選択される芳香族アミノ酸であり、nは27〜54であり、かつzは1〜4である、態様1のヒト化抗体またはその結合断片。
態様35。 極めて長いCDR3がX1X2X3X4X5Xn(XaXb)zモチーフを含み、式中、X1はスレオニン (T)、グリシン (G)、アラニン (A)、セリン (S)、またはバリン (V) であり、X2はセリン (S)、スレオニン (T)、プロリン (P)、イソロイシン (I)、アラニン (A)、バリン (V)、またはアスパラギン (N) であり、X3はバリン (V)、アラニン (A)、スレオニン (T)、またはアスパラギン酸 (D) であり、X4はヒスチジン (H)、スレオニン (T)、アルギニン (R)、チロシン (Y)、フェニルアラニン (F)、またはロイシン (L) であり、かつX5はグルタミン (Q) であり、Xaは任意のアミノ酸残基であり、Xbは、チロシン (Y)、フェニルアラニン (F)、トリプトファン (W)、およびヒスチジン (H) からなる群より選択される芳香族アミノ酸であり、nは27〜54であり、かつzは1〜4である、態様1のヒト化抗体またはその結合断片。
態様36。 X1X2X3X4X5モチーフがTTVHQ (SEQ ID NO: 153) またはTSVHQ (SEQ ID NO: 154)であり、かつ (XaXb)zモチーフがYXYXYXである、態様35のヒト化抗体またはその結合断片。
態様37。 極めて長いCDR3が、CX1X2X3X4X5モチーフ(式中、X1はスレオニン (T)、グリシン (G)、アラニン (A)、セリン (S)、またはバリン (V) であり、X2はセリン (S)、スレオニン (T)、プロリン (P)、イソロイシン (I)、アラニン (A)、バリン (V)、またはアスパラギン (N) であり、X3はバリン (V)、アラニン (A)、スレオニン (T)、またはアスパラギン酸 (D) であり、X4はヒスチジン (H)、スレオニン (T)、アルギニン (R)、チロシン (Y)、フェニルアラニン (F)、またはロイシン (L) であり、かつX5はグルタミン (Q) である);以下からなる群より選択されるシステインモチーフ:
Figure 2015509091
;ならびに(XaXb)zモチーフ(式中、Xaは任意のアミノ酸残基であり、Xbは、チロシン (Y)、フェニルアラニン (F)、トリプトファン (W)、およびヒスチジン (H) からなる群より選択される芳香族アミノ酸であり、かつzは1〜4である)を含む、態様1のヒト化抗体またはその結合断片。
態様38。 極めて長いCDR3が、CX1X2X3X4X5モチーフ(式中、X1はスレオニン (T)、グリシン (G)、アラニン (A)、セリン (S)、またはバリン (V) であり、X2はセリン (S)、スレオニン (T)、プロリン (P)、イソロイシン (I)、アラニン (A)、バリン (V)、またはアスパラギン (N) であり、X3はバリン (V)、アラニン (A)、スレオニン (T)、またはアスパラギン酸 (D) であり、X4はヒスチジン (H)、スレオニン (T)、アルギニン (R)、チロシン (Y)、フェニルアラニン (F)、またはロイシン (L) であり、かつX5はグルタミン (Q) である);以下からなる群より選択されるシステインモチーフ:
Figure 2015509091
;ならびに(XaXb)zモチーフ(式中、Xaは任意のアミノ酸残基であり、Xbは、チロシン (Y)、フェニルアラニン (F)、トリプトファン (W)、およびヒスチジン (H) からなる群より選択される芳香族アミノ酸であり、かつzは1〜4である)を含む、態様1のヒト化抗体またはその結合断片。
態様39。 極めて長いCDR3が、リンカーである付加的な配列を含む、態様20のヒト化抗体またはその結合断片。
態様40。 リンカーが、非抗体配列のC末端、N末端、またはC末端およびN末端の両方に連結されている、態様39のヒト化抗体またはその結合断片。
態様41。 極めて長いCDR3が反芻動物のCDR3である、態様1のヒト化抗体またはその結合断片。
態様42。 反芻動物がウシである、態様41のヒト化抗体またはその結合断片。
態様43。 VH4ファミリーメンバー生殖系列配列であるヒト重鎖生殖系列配列を含む、態様1のヒト化抗体またはその結合断片。
態様44。 VH4-34生殖系列配列を含む、態様1のヒト化抗体またはその結合断片。
態様45。 VH4-34生殖系列配列に由来するヒト重鎖生殖系列配列を含む、態様44のヒト化抗体またはその結合断片。
態様46。 VH4-34生殖系列配列が、Kabat番号付けに基づくGly31AspおよびTyr32Lys置換を含むCDR1を含む、態様45のヒト化抗体またはその結合断片。
態様47。 VH4-34生殖系列配列が、Kabat番号付けに基づくGlu50Ser置換を含むCDR2を含む、態様45のヒト化抗体またはその結合断片。
態様48。 VH4-34生殖系列配列が、Kabat番号付けに基づく、Ala23Thr、Val24Ala、Tyr25Ser、Gly27Phe、Phe29Leu、Gly31Asp、Tyr32Lys、Tyr33Ala、Trp34Val、およびSer35Gly置換を含むCDR1、ならびにIle48Leu、Glu50Ser、Asn52Asp、His53Thr、Ser54Gly、Ser56Asn、およびAsn58Gly置換を含むCDR2を含む、態様45のヒト化抗体またはその結合断片。
態様49。 SEQ ID NO: 461、462、463、464、465、466、467、468、または469に記載されるアミノ酸配列を含む、態様1のヒト化抗体またはその結合断片。
態様50。 SEQ ID NO: 470に記載されるアミノ酸配列を含む、態様1のヒト化抗体またはその結合断片。
態様51。 SEQ ID NO: 461、462、463、464、465、466、467、468、または469に記載されるアミノ酸配列;およびSEQ ID NO: 470に記載されるアミノ酸配列を含む、態様1のヒト化抗体またはその結合断片。
態様52。 SEQ ID NO: 461、462、463、464、465、466、467、468、または469に記載されるアミノ酸配列; SEQ ID NO: 470に記載されるアミノ酸配列;およびSEQ ID NO: 461、462、463、464、465、466、467、468、または469とSEQ ID NO: 470との間に位置するペプチド配列を含む、態様1のヒト化抗体またはその結合断片。
態様53。 前記ペプチド配列がウシ配列、非ウシ配列、抗体配列、または非抗体配列である、態様52のヒト化抗体またはその結合断片。
態様54。 λ軽鎖可変領域配列である軽鎖可変領域配列を含む、態様1のヒト化抗体またはその結合断片。
態様55。 λ軽鎖可変領域配列がウシλ軽鎖可変領域配列である、態様54のヒト化抗体またはその結合断片。
態様56。 λ軽鎖可変領域配列がヒトλ軽鎖可変領域配列である、態様54のヒト化抗体またはその結合断片。
態様57。 ヒトλ軽鎖可変領域配列がVL1-51生殖系列配列である、態様56のヒト化抗体またはその結合断片。
態様58。 ヒトλ軽鎖可変領域配列がVL1-51生殖系列配列に由来する、態様56のヒト化抗体またはその結合断片。
態様59。 VL1-51生殖系列配列が、Kabat番号付けに基づくIle29ValおよびAsn32Gly置換を含むCDR1を含む、態様58のヒト化抗体またはその結合断片。
態様60。 VL1-51生殖系列配列が、DNNからGDTへの置換を含むCDR2を含む、態様58のヒト化抗体またはその結合断片。
態様61。 VL1-51生殖系列配列が、DNNKRP (SEQ ID NO: 471) からGDTSRA (SEQ ID NO: 472) への置換を含むCDR2を含む、態様58のヒト化抗体またはその結合断片。
態様62。 VL1-51生殖系列配列が、Kabat番号付けに基づくS2A、T5N、P8S、A12G、A13S、およびP14L置換を含む、態様58のヒト化抗体またはその結合断片。
態様63。 VL1-51生殖系列配列が、Kabat番号付けに基づくS2A、T5N、P8S、A12G、A13S、およびP14L置換、ならびにDNNからGDTへの置換を含むCDR2を含む、態様58のヒト化抗体またはその結合断片。
態様64。 SEQ ID NO: 440、441、442、443、または444に記載されるアミノ酸配列を含む、態様1のヒト化抗体またはその結合断片。
態様65。 態様1〜64のいずれか一項のヒト化抗体またはその結合断片をコードするポリヌクレオチド。
態様66。 極めて長いCDR3を含むヒト化抗体またはその結合断片をコードするポリヌクレオチド。
態様67。 極めて長いCDR3を含むヒト化可変領域をコードするポリヌクレオチド。
態様68。 態様65〜67のいずれか一項のポリヌクレオチドを含むベクター。
態様69。 態様68のベクターを含む宿主細胞。
態様70。 極めて長いCDR3を含むヒト化抗体またはその結合断片をコードする配列を含む複数のポリヌクレオチドを含む核酸ライブラリー。
態様71。 極めて長いCDR3を含むヒト化抗体またはその結合断片のライブラリー。いくつかの態様において、当該ライブラリーにおけるヒト化抗体またはその結合断片は、1つまたは複数のヒト可変領域フレームワーク配列を含む。
態様72。 極めて長いCDR3が、35アミノ酸長以上、40アミノ酸長以上、45アミノ酸長以上、50アミノ酸長以上、55アミノ酸長以上、または60アミノ酸長以上である、態様71のライブラリー。
態様73。 極めて長いCDR3が35アミノ酸長以上である、態様72のライブラリー。
態様74。 極めて長いCDR3が、3個以上のシステイン残基、4個以上のシステイン残基、5個以上のシステイン残基、6個以上のシステイン残基、7個以上のシステイン残基、8個以上のシステイン残基、9個以上のシステイン残基、10個以上のシステイン残基、11個以上のシステイン残基、または12個以上のシステイン残基を含む、態様71のライブラリー。
態様75。 極めて長いCDR3が3個以上のシステイン残基を含む、態様74のライブラリー。
態様76。 抗体またはその結合断片がシステインモチーフを含む、態様71のライブラリー。
態様77。 システインモチーフが、
Figure 2015509091
からなる群より選択される、態様76のライブラリー。
態様78。 システインモチーフが、
Figure 2015509091
からなる群より選択される、態様76のライブラリー。
態様79。 極めて長いCDR3が2〜6個のジスルフィド結合を含む、態様71のライブラリー。
態様80。 極めて長いCDR3がSEQ ID NO: 40またはその誘導体を含む、態様71のライブラリー。
態様81。 極めて長いCDR3が、SEQ ID NO: 1〜4のうちのいずれか1つのアミノ酸残基3〜6を含む、態様71のライブラリー。
態様82。 極めて長いCDR3が非ヒトDHまたはその誘導体を含む、態様71のライブラリー。
態様83。 非ヒトDHが、SEQ ID NO: 5、SEQ ID NO: 6、SEQ ID NO: 7、SEQ ID NO: 8、SEQ ID NO: 9、SEQ ID NO: 10、SEQ ID NO: 11、またはSEQ ID NO: 12である、態様82のライブラリー。
態様84。 極めて長いCDR3がJH配列またはその誘導体を含む、態様71のライブラリー。
態様85。 JH配列が、SEQ ID NO: 13、SEQ ID NO: 14、SEQ ID NO: 15、SEQ ID NO: 16、またはSEQ ID NO: 17である、態様84のライブラリー。
態様86。 極めて長いCDR3が、非ヒトVH配列もしくはその誘導体;非ヒトDH配列もしくはその誘導体;および/またはJH配列もしくはその誘導体を含む、態様71のライブラリー。
態様87。 極めて長いCDR3が、VH配列とDH配列との間に位置する2〜6個またはそれより多いアミノ酸残基含む付加的なアミノ酸配列を含む、態様86のライブラリー。
態様88。 付加的なアミノ酸配列が、IR、IF、SEQ ID NO: 18、SEQ ID NO: 19、SEQ ID NO: 20、またはSEQ ID NO: 21からなる群より選択される、態様87のライブラリー。
態様89。 極めて長いCDR3が、SEQ ID NO: 22、SEQ ID NO: 23、SEQ ID NO: 24、SEQ ID NO: 25、SEQ ID NO: 26、SEQ ID NO: 27、またはSEQ ID NO: 28に由来するかまたはこれらに基づく配列を含む、態様88のライブラリー。
態様90。 極めて長いCDR3が非ウシ配列または非抗体配列を含む、態様71のライブラリー。
態様91。 非抗体配列が合成配列である、態様90のライブラリー。
態様92。 非抗体配列が、サイトカイン配列、リンホカイン配列、ケモカイン配列、増殖因子配列、ホルモン配列、または毒素配列である、態様90のライブラリー。
態様93。 非抗体配列が、IL-8配列、IL-21配列、SDF-1(α) 配列、ソマトスタチン配列、クロロトキシン配列、Pro-TxII配列、またはジコノチド配列である、態様90のライブラリー。
態様94。 非抗体配列がSEQ ID NO: 475〜481のうちのいずれか1つである、態様90のライブラリー。
態様95。 極めて長いCDR3がX1X2X3X4X5モチーフを含み、式中、X1はスレオニン (T)、グリシン (G)、アラニン (A)、セリン (S)、またはバリン (V) であり、X2はセリン (S)、スレオニン (T)、プロリン (P)、イソロイシン (I)、アラニン (A)、バリン (V)、またはアスパラギン (N) であり、X3はバリン (V)、アラニン (A)、スレオニン (T)、またはアスパラギン酸 (D) であり、X4はヒスチジン (H)、スレオニン (T)、アルギニン (R)、チロシン (Y)、フェニルアラニン (F)、またはロイシン (L) であり、かつX5はグルタミン (Q) である、態様71のライブラリー。
態様96。 X1X2X3X4X5モチーフが、
Figure 2015509091
である、態様95のライブラリー。
態様97。 極めて長いCDR3がCX1X2X3X4X5モチーフを含む、態様95のライブラリー。
態様98。 CX1X2X3X4X5モチーフが、
Figure 2015509091
である、態様97のライブラリー。
態様99。 極めて長いCDR3が(XaXb)zモチーフを含み、式中、Xaは任意のアミノ酸残基であり、Xbは、チロシン (Y)、フェニルアラニン (F)、トリプトファン (W)、およびヒスチジン (H) からなる群より選択される芳香族アミノ酸であり、かつzは1〜4である、態様71のヒト化抗体またはその結合断片。
態様100。 (XaXb)zモチーフが、
Figure 2015509091
である、態様99のヒト化抗体またはその結合断片。
態様101。 (XaXb)zモチーフがYXYXYXである、態様99のヒト化抗体またはその結合断片。
態様102。 極めて長いCDR3がX1X2X3X4X5Xnモチーフを含み、式中、X1はスレオニン (T)、グリシン (G)、アラニン (A)、セリン (S)、またはバリン (V) であり、X2はセリン (S)、スレオニン (T)、プロリン (P)、イソロイシン (I)、アラニン (A)、バリン (V)、またはアスパラギン (N) であり、X3はバリン (V)、アラニン (A)、スレオニン (T)、またはアスパラギン酸 (D) であり、X4はヒスチジン (H)、スレオニン (T)、アルギニン (R)、チロシン (Y)、フェニルアラニン (F)、またはロイシン (L) であり、かつX5はグルタミン (Q) であり、かつnは27〜54である、態様71のライブラリー。
態様103。 極めて長いCDR3がXn(XaXb)zモチーフを含み、式中、Xaは任意のアミノ酸残基であり、Xbは、チロシン (Y)、フェニルアラニン (F)、トリプトファン (W)、およびヒスチジン (H) からなる群より選択される芳香族アミノ酸であり、nは27〜54であり、かつzは1〜4である、態様71のライブラリー。
態様104。 極めて長いCDR3がX1X2X3X4X5Xn(XaXb)zモチーフを含み、式中、X1はスレオニン (T)、グリシン (G)、アラニン (A)、セリン (S)、またはバリン (V) であり、X2はセリン (S)、スレオニン (T)、プロリン (P)、イソロイシン (I)、アラニン (A)、バリン (V)、またはアスパラギン (N) であり、X3はバリン (V)、アラニン (A)、スレオニン (T)、またはアスパラギン酸 (D) であり、X4はヒスチジン (H)、スレオニン (T)、アルギニン (R)、チロシン (Y)、フェニルアラニン (F)、またはロイシン (L) であり、X5はグルタミン (Q) であり、Xaは任意のアミノ酸残基であり、Xbは、チロシン (Y)、フェニルアラニン (F)、トリプトファン (W)、およびヒスチジン (H) からなる群より選択される芳香族アミノ酸であり、nは27〜54であり、かつzは1〜4である、態様71のライブラリー。
態様105。 X1X2X3X4X5モチーフがTTVHQ (SEQ ID NO: 153) またはTSVHQ (SEQ ID NO: 154)であり、かつ (XaXb)zモチーフがYXYXYXである、態様104のライブラリー。
態様106。 極めて長いCDR3が、CX1X2X3X4X5モチーフ、(式中、X1はスレオニン (T)、グリシン (G)、アラニン (A)、セリン (S)、またはバリン (V) であり、X2はセリン (S)、スレオニン (T)、プロリン (P)、イソロイシン (I)、アラニン (A)、バリン (V)、またはアスパラギン (N) であり、X3はバリン (V)、アラニン (A)、スレオニン (T)、またはアスパラギン酸 (D) であり、X4はヒスチジン (H)、スレオニン (T)、アルギニン (R)、チロシン (Y)、フェニルアラニン (F)、またはロイシン (L) であり、かつX5はグルタミン (Q) である)、以下からなる群より選択されるシステインモチーフ:
Figure 2015509091
、ならびに(XaXb)zモチーフ(式中、Xaは任意のアミノ酸残基であり、Xbは、チロシン (Y)、フェニルアラニン (F)、トリプトファン (W)、およびヒスチジン (H) からなる群より選択される芳香族アミノ酸であり、かつzは1〜4である)を含む、態様71のライブラリー。
態様107。 極めて長いCDR3が、CX1X2X3X4X5モチーフ(式中、X1はスレオニン (T)、グリシン (G)、アラニン (A)、セリン (S)、またはバリン (V) であり、X2はセリン (S)、スレオニン (T)、プロリン (P)、イソロイシン (I)、アラニン (A)、バリン (V)、またはアスパラギン (N) であり、X3はバリン (V)、アラニン (A)、スレオニン (T)、またはアスパラギン酸 (D) であり、X4はヒスチジン (H)、スレオニン (T)、アルギニン (R)、チロシン (Y)、フェニルアラニン (F)、またはロイシン (L) であり、かつX5はグルタミン (Q) である);以下からなる群より選択されるシステインモチーフ:
Figure 2015509091
;ならびに(XaXb)zモチーフ(式中、Xaは任意のアミノ酸残基であり、Xbは、チロシン (Y)、フェニルアラニン (F)、トリプトファン (W)、およびヒスチジン (H) からなる群より選択される芳香族アミノ酸であり、かつzは1〜4である)を含む、態様71のライブラリー。
態様108。 極めて長いCDR3が、リンカーである付加的な配列を含む、態様90のライブラリー。
態様109。 リンカーが、非抗体配列のC末端、N末端、またはC末端およびN末端の両方に連結されている、態様108のライブラリー。
態様110。 極めて長いCDR3が反芻動物のCDR3である、態様71のライブラリー。
態様111。 反芻動物がウシである、態様110のライブラリー。
態様112。 ヒト化抗体またはその結合断片が、VH4ファミリーメンバー生殖系列配列であるヒト重鎖生殖系列配列を含む、態様71のライブラリー。
態様113。 ヒト化抗体またはその結合断片がVH4-34生殖系列配列を含む、態様71のライブラリー。
態様114。 ヒト化抗体またはその結合断片が、VH4-34に由来するヒト重鎖生殖系列配列を含む、態様71のライブラリー。
態様115。 VH4-34生殖系列配列が、Kabat番号付けに基づくGly31AspおよびTyr32Lys置換を含むCDR1を含む、態様114のライブラリー。
態様116。 VH4-34生殖系列配列が、Kabat番号付けに基づくGlu50Ser置換を含むCDR2を含む、態様114のライブラリー。
態様117。 VH4-34生殖系列配列が、Kabat番号付けに基づく、Ala23Thr、Val24Ala、Tyr25Ser、Gly27Phe、Phe29Leu、Gly31Asp、Tyr32Lys、Tyr33Ala、Trp34Val、およびSer35Gly置換を含むCDR1、ならびにIle48Leu、Glu50Ser、Asn52Asp、His53Thr、Ser54Gly、Ser56Asn、およびAsn58Gly置換を含むCDR2を含む、態様114のライブラリー。
態様118。 ヒト化抗体またはその結合断片が、SEQ ID NO: 470に記載されるアミノ酸配列を含む、態様71のライブラリー。
態様119。 ヒト化抗体またはその結合断片が、SEQ ID NO: 461、462、463、464、465、466、467、468、または469に記載されるアミノ酸配列;およびSEQ ID NO: 470に記載されるアミノ酸配列を含む、態様71のライブラリー。
態様120。 ヒト化抗体またはその結合断片が、SEQ ID NO: 461、462、463、464、465、466、467、468、または469に記載されるアミノ酸配列; SEQ ID NO: 470に記載されるアミノ酸配列;およびSEQ ID NO: 461、462、463、464、465、466、467、468、または469とSEQ ID NO: 470との間に位置するペプチド配列を含む、態様71のライブラリー。
態様121。 前記ペプチド配列がウシ配列、非ウシ配列、抗体配列、または非抗体配列である、態様120のライブラリー。
態様122。 ヒト化抗体またはその結合断片が、λ軽鎖可変領域配列である軽鎖可変領域配列を含む、態様71のライブラリー。
態様123。 λ軽鎖可変領域配列がウシλ軽鎖可変領域配列である、態様122のライブラリー。
態様124。 λ軽鎖可変領域配列がヒトλ軽鎖可変領域配列である、態様122のライブラリー。
態様125。 ヒトλ軽鎖可変領域配列がVL1-51である、態様124のライブラリー。
態様126。 ヒトλ軽鎖可変領域配列がVL1-51に由来する、態様124のライブラリー。
態様127。 VL1-51生殖系列配列が、Kabat番号付けに基づくIle29ValおよびAsn32Gly置換を含むCDR1を含む、態様126のライブラリー。
態様128。 VL1-51生殖系列配列が、DNNからGDTへの置換を含むCDR2を含む、態様126のライブラリー。
態様129。 VL1-51生殖系列配列が、DNNKRP (SEQ ID NO: 471) からGDTSRA (SEQ ID NO: 472) への置換を含むCDR2を含む、態様126のライブラリー。
態様130。 VL1-51生殖系列配列が、Kabat番号付けに基づくS2A、T5N、P8S、A12G、A13S、およびP14L置換を含む、態様126のライブラリー。
態様131。 VL1-51生殖系列配列が、Kabat番号付けに基づくS2A、T5N、P8S、A12G、A13S、およびP14L置換、ならびにDNNからGDTへの置換を含むCDR2を含む、態様126のライブラリー。
態様132。 ヒト化抗体またはその結合断片が、SEQ ID NO: 440、441、442、443、または444に記載されるアミノ酸配列を含む、態様71のライブラリー。
態様133。 ヒト化抗体またはその結合断片が、空間的にアドレス指定された形式で存在する、態様71〜132のいずれか一項のライブラリー。
態様134。 ヒト以外の極めて長いCDR3をコードする核酸配列を、ヒト可変領域フレームワーク (FR) 配列をコードする核酸配列と遺伝的に組み合わせる段階を含む、抗体可変領域をヒト化する方法。
態様135。 以下の段階を含む、極めて長いCDR3を含むヒト化抗体のライブラリーを作製する方法:極めて長いCDR3をコードする核酸配列を、ヒト可変領域フレームワーク (FR) 配列をコードする核酸配列と組み合わせて、極めて長いCDR3を含むヒト化抗体をコードする核酸を生成する段階;および極めて長いCDR3を含むヒト化抗体をコードする該核酸を発現させて、極めて長いCDR3を含むヒト化抗体のライブラリーを作製する段階。
態様136。 以下の段階を含む、非抗体配列を含む極めて長いCDR3を含むヒト化抗体またはその結合断片のライブラリーを作製する方法:極めて長いCDR3をコードする核酸配列、ヒト可変領域フレームワーク (FR) 配列をコードする核酸配列、および非抗体配列をコードする核酸配列を組み合わせて、極めて長いCDR3および非抗体配列を含むヒト化抗体またはその結合断片をコードする核酸を生成する段階、ならびに極めて長いCDR3および非抗体配列を含むヒト化抗体またはその結合断片をコードする該核酸を発現させて、極めて長いCDR3および非抗体配列を含むヒト化抗体またはその結合断片のライブラリーを作製する段階。
態様137。 非抗体配列を含む極めて長いCDR3を含むヒト化抗体またはその結合断片のライブラリー。
態様138。 以下の段階を含む、システインモチーフを含む極めて長いCDR3を含むヒト化抗体またはその結合断片のライブラリーを作製する方法:ヒト可変領域フレームワーク (FR) 配列と、に極めて長いCDR3およびシステインモチーフをコードする核酸配列とを組み合わせる段階;該システインモチーフ中の1つまたは複数のシステイン残基間に位置する1つまたは複数のアミノ酸残基をコードする核酸配列に、異なるアミノ酸残基をコードするヌクレオチドへと変える1つまたは複数のヌクレオチド改変を導入して、極めて長いCDR3と、システインドメイン中の1つまたは複数のシステイン残基間に1つまたは複数のヌクレオチド改変が導入されたシステインモチーフとを含むヒト化抗体またはその結合断片をコードする核酸を生成する段階;ならびに極めて長いCDR3と、システインドメイン中の1つまたは複数のシステイン残基間に1つまたは複数のヌクレオチド改変が導入されたシステインモチーフとを含むヒト化抗体またはその結合断片をコードする該核酸を発現させて、極めて長いCDR3と、システインドメイン中の1つまたは複数のシステイン残基間に1つまたは複数のアミノ酸改変が導入されたシステインモチーフとを含むヒト化抗体またはその結合断片のライブラリーを作製する段階。
態様139。 システインモチーフを含む極めて長いCDR3を含むヒト化抗体またはその結合断片のライブラリーであって、該抗体またはその結合断片が、該システインモチーフ中のシステイン残基間に位置するアミノ酸残基の1つまたは複数の置換を含む、前記ライブラリー。
態様140。 以下の段階を含む、ウシの極めて長いCDR3を含むヒト化抗体またはその結合断片のライブラリーを作製する方法:ヒト可変領域フレームワーク (FR) 配列をコードする核酸配列と、ウシの極めて長いCDR3をコードする核酸とを組み合わせる段階、ならびにヒト可変領域フレームワーク (FR) 配列をコードする該核酸およびウシの極めて長いCDR3をコードする該核酸を発現させて、ウシの極めて長いCDR3を含むヒト化抗体またはその結合断片のライブラリーを作製する段階。
態様141。 ウシの極めて長いCDR3を含むヒト化抗体またはその結合断片のライブラリー。
態様142。 X1X2X3X4X5モチーフを含み、式中、X1はスレオニン (T)、グリシン (G)、アラニン (A)、セリン (S)、またはバリン (V) であり、X2はセリン (S)、スレオニン (T)、プロリン (P)、イソロイシン (I)、アラニン (A)、バリン (V)、またはアスパラギン (N) であり、X3はバリン (V)、アラニン (A)、スレオニン (T)、またはアスパラギン酸 (D) であり、X4はヒスチジン (H)、スレオニン (T)、アルギニン (R)、チロシン (Y)、フェニルアラニン (F)、またはロイシン (L) であり、かつX5はグルタミン (Q)である、CDR3骨格。
態様143。 35アミノ酸長以上、40アミノ酸長以上、45アミノ酸長以上、50アミノ酸長以上、55アミノ酸長以上、または60アミノ酸長以上である、態様142のCDR3骨格。
態様144。 35アミノ酸長以上である、態様143のCDR3骨格。
態様145。 3個以上のシステイン残基、4個以上のシステイン残基、5個以上のシステイン残基、6個以上のシステイン残基、7個以上のシステイン残基、8個以上のシステイン残基、9個以上のシステイン残基、10個以上のシステイン残基、11個以上のシステイン残基、または12個以上のシステイン残基を含む、態様143のCDR3骨格。
態様146。 3個以上のシステイン残基を含む、態様145のCDR3骨格。
態様147。 システインモチーフを含む、態様142のCDR3骨格。
態様148。 システインモチーフが、
Figure 2015509091
からなる群より選択される、態様147のCDR3骨格。
態様149。 システインモチーフが、
Figure 2015509091
からなる群より選択される、態様147のCDR3骨格。
態様150。 2〜6個のジスルフィド結合を含む、態様142のCDR3骨格。
態様151。 CDR3骨格中のX1X2X3X4X5モチーフが、
Figure 2015509091
である、態様142のCDR3骨格。
態様152。 CX1X2X3X4X5モチーフを含む、態様142のCDR3骨格。
態様153。 CDR3骨格中のCX1X2X3X4X5モチーフが、
Figure 2015509091
である、態様152のCDR3骨格。
態様154。 (XaXb)zモチーフを含み、式中、Xaは任意のアミノ酸残基であり、Xbは、チロシン (Y)、フェニルアラニン (F)、トリプトファン (W)、およびヒスチジン (H) からなる群より選択される芳香族アミノ酸であり、かつzは1〜4である、態様142のCDR3骨格。
態様155。 CDR3骨格中の(XaXb)zモチーフが、
Figure 2015509091
である、態様154のCDR3骨格。
態様156。 CDR3骨格中の(XaXb)zモチーフがYXYXYXである、態様154のCDR3骨格。
態様157。 X1X2X3X4X5Xnモチーフを含み、式中、X1はスレオニン (T)、グリシン (G)、アラニン (A)、セリン (S)、またはバリン (V) であり、X2はセリン (S)、スレオニン (T)、プロリン (P)、イソロイシン (I)、アラニン (A)、バリン (V)、またはアスパラギン (N) であり、X3はバリン (V)、アラニン (A)、スレオニン (T)、またはアスパラギン酸 (D) であり、X4はヒスチジン (H)、スレオニン (T)、アルギニン (R)、チロシン (Y)、フェニルアラニン (F)、またはロイシン (L) であり、かつX5はグルタミン (Q) であり、かつnは27〜54である、態様142のCDR3骨格。
態様158。 Xn(XaXb)zモチーフを含み、式中、Xaは任意のアミノ酸残基であり、Xbは、チロシン (Y)、フェニルアラニン (F)、トリプトファン (W)、およびヒスチジン (H) からなる群より選択される芳香族アミノ酸であり、nは27〜54であり、かつzは1〜4である、態様142のCDR3骨格。
態様159。 X1X2X3X4X5Xn(XaXb)zモチーフを含み、式中、X1はスレオニン (T)、グリシン (G)、アラニン (A)、セリン (S)、またはバリン (V) であり、X2はセリン (S)、スレオニン (T)、プロリン (P)、イソロイシン (I)、アラニン (A)、バリン (V)、またはアスパラギン (N) であり、X3はバリン (V)、アラニン (A)、スレオニン (T)、またはアスパラギン酸 (D) であり、X4はヒスチジン (H)、スレオニン (T)、アルギニン (R)、チロシン (Y)、フェニルアラニン (F)、またはロイシン (L) であり、X5はグルタミン (Q) であり、Xaは任意のアミノ酸残基であり、Xbは、チロシン (Y)、フェニルアラニン (F)、トリプトファン (W)、およびヒスチジン (H) からなる群より選択される芳香族アミノ酸であり、nは27〜54であり、かつzは1〜4である、態様142のCDR3骨格。
態様160。 CDR3骨格中のX1X2X3X4X5モチーフがTTVHQ (SEQ ID NO: 153) またはTSVHQ (SEQ ID NO: 154)であり、かつ (XaXb)zモチーフがYXYXYXである、態様159のCDR3骨格。
態様161。 CX1X2X3X4X5モチーフ(式中、X1はスレオニン (T)、グリシン (G)、アラニン (A)、セリン (S)、またはバリン (V) であり、X2はセリン (S)、スレオニン (T)、プロリン (P)、イソロイシン (I)、アラニン (A)、バリン (V)、またはアスパラギン (N) であり、X3はバリン (V)、アラニン (A)、スレオニン (T)、またはアスパラギン酸 (D) であり、X4はヒスチジン (H)、スレオニン (T)、アルギニン (R)、チロシン (Y)、フェニルアラニン (F)、またはロイシン (L) であり、かつX5はグルタミン (Q) である);以下からなる群より選択されるシステインモチーフ:
Figure 2015509091
、ならびに(XaXb)zモチーフ(式中、Xaは任意のアミノ酸残基であり、Xbは、チロシン (Y)、フェニルアラニン (F)、トリプトファン (W)、およびヒスチジン (H) からなる群より選択される芳香族アミノ酸であり、かつzは1〜4である)を含む、態様142のCDR3骨格。
態様162。 CX1X2X3X4X5モチーフ(式中、X1はスレオニン (T)、グリシン (G)、アラニン (A)、セリン (S)、またはバリン (V) であり、X2はセリン (S)、スレオニン (T)、プロリン (P)、イソロイシン (I)、アラニン (A)、バリン (V)、またはアスパラギン (N) であり、X3はバリン (V)、アラニン (A)、スレオニン (T)、またはアスパラギン酸 (D) であり、X4はヒスチジン (H)、スレオニン (T)、アルギニン (R)、チロシン (Y)、フェニルアラニン (F)、またはロイシン (L) であり、かつX5はグルタミン (Q) である);以下からなる群より選択されるシステインモチーフ:
Figure 2015509091
;ならびに(XaXb)zモチーフ(式中、Xaは任意のアミノ酸残基であり、Xbは、チロシン (Y)、フェニルアラニン (F)、トリプトファン (W)、およびヒスチジン (H) からなる群より選択される芳香族アミノ酸であり、かつzは1〜4である)を含む、態様142のCDR3骨格。
態様163。 SEQ ID NO: 40またはその誘導体を含む、態様142のCDR3骨格。
態様164。 SEQ ID NO: 1〜4のうちのいずれか1つのアミノ酸残基3〜6を含む、態様142のCDR3骨格。
態様165。 非ヒトDHまたはその誘導体を含む、態様142のCDR3骨格。
態様166。 非ヒトDHが、SEQ ID NO: 5、SEQ ID NO: 6、SEQ ID NO: 7、SEQ ID NO: 8、SEQ ID NO: 9、SEQ ID NO: 10、SEQ ID NO: 11、またはSEQ ID NO: 12である、態様165のCDR3骨格。
態様167。 JH配列またはその誘導体を含む、態様142のCDR3骨格。
態様168。 JH配列が、SEQ ID NO: 13、SEQ ID NO: 14、SEQ ID NO: 15、SEQ ID NO: 16、またはSEQ ID NO: 17である、態様167のCDR3骨格。
態様169。非ヒトVH配列もしくはその誘導体;非ヒトDH配列もしくはその誘導体;および/またはJH配列もしくはその誘導体を含む、態様142のCDR3骨格。
態様170。 VH配列とDH配列との間に位置する2〜6個またはそれより多いアミノ酸残基含む付加的なアミノ酸配列を含む、態様169のCDR3骨格。
態様171。 付加的なアミノ酸配列が、IR、IF、SEQ ID NO: 18、SEQ ID NO: 19、SEQ ID NO: 20、またはSEQ ID NO: 21からなる群より選択される、態様170のCDR3骨格。
態様172。 SEQ ID NO: 22、SEQ ID NO: 23、SEQ ID NO: 24、SEQ ID NO: 25、SEQ ID NO: 26、SEQ ID NO: 27、またはSEQ ID NO: 28に由来するかまたはこれらに基づく配列を含む、態様142のCDR3骨格。
態様173。 反芻動物のCDR3骨格である、態様142のCDR3骨格。
態様174。 反芻動物がウシである、態様173のCDR3骨格。
態様175。 態様142〜174のいずれか一項のCDR3骨格を含むライブラリー。
態様176。 態様142〜174のいずれか一項に記載CDR3骨格をコードするポリヌクレオチド。
態様177。 態様176のポリヌクレオチドを含むベクター。
態様178。 態様177のベクターを含む宿主細胞。
態様179。 細菌、ウイルス、またはバクテリオファージである、態様178の宿主細胞。
本明細書における開示に関して、少なくとも、かつ特許請求の範囲の範囲と同等である原則の適用を限定しようとする試みとしてではなく、それぞれの数値パラメーターは、報告された有意な桁の数を踏まえかつ通常の四捨五入(rounding)技術を適用することによって少なくとも解釈されるべきである。本開示の広い範囲を明記している数値範囲およびパラメーターは近似値であるにもかかわらず、具体的な実施例において明記される数値は、できる限り正確に報告されている。しかしながら、いかなる数値も、それらそれぞれの試験測定結果において見出される標準偏差から必然的に生じるある程度の誤差を生得的に含有する。
例示的な態様を記載する文脈において(とりわけ、以下の特許請求の範囲の文脈において)用いられる「a」、「an」、「the」、および同様の指示対象の用語は、本明細書において別様に示されないまたは文脈によってはっきりと否定されない限り、単数形および複数形の両方を網羅すると解釈されるべきである。本明細書における値の範囲の記述は、該範囲内にあるそれぞれ別々の値を個々に表すことの簡略法としての役割を果たすことを単に意図するにすぎない。本明細書において別様に示されない限り、それぞれ個々の値は、あたかもそれが本明細書において記述されているかのように、本明細書に組み入れられる。本明細書において記載されるすべての方法は、本明細書において別様に示されないまたは文脈によって別様にはっきりと否定されない限り、任意の適切な順序で実施され得る。本明細書において提供されるあらゆる例または例示的な言葉(例えば、「など」)の使用は、例示的な態様をより明瞭に照らすことを単に意図するにすぎず、別様に主張された例示的な態様の範囲に対して限定を課すものではない。本明細書における言葉は、例示的な態様の実施に必須である主張されていない任意の要素を示すものとして解釈されるべきではない。
本明細書において開示される代替的な要素または態様の集団は、限定として解釈されるべきではない。それぞれの群メンバーは、個々に、または本明細書において見出される群の他のメンバーもしくは他の要素との任意の組み合わせで表され得かつ主張され得る。群の1つまたは複数のメンバーは、利便性および/または特許性の理由で、群に含まれ得るまたは群から削除され得ると予測される。任意のそのような包含または削除が生じた場合、本明細書は、改変され、ゆえに添付の特許請求の範囲において用いられたすべてのMarkush群の書かれている記載を満たす群を含有すると見なされる。
例示的な態様を実施するための本発明者らに知られる最良の形態を含む、特定の態様が本明細書において記載される。当然、これらの記載される態様の変動は、前述の記載を読めば当業者に明白になるであろう。本発明者は、当業者がそのような変動を必要に応じて採用することを期待し、かつ本発明者らは、本明細書において具体的に記載されるよりも別様に態様が実施されることを意図する。したがって、本開示には、適用可能な法律によって認められる、それに添付される特許請求の範囲において記述される主題のすべての改変および同等物が含まれる。さらに、すべての可能性があるその変動の状態にある上記の要素の任意の組み合わせは、本明細書において別様に示されないまたは文脈によって別様にはっきりと否定されない限り、本開示によって包含される。
さらには、多数の参照が特許および印刷刊行物に対してなされている。上記に引用される参考文献のそれぞれは、参照によりそれらの全体として本明細書に個々に組み入れられる。
本明細書において開示される具体的な態様は、からなるおよび/またはから本質的になるという言葉を用いて、特許請求の範囲においてさらに限定され得る。特許請求の範囲において用いられた場合、出願されたものまたは補正によって付加されたものであろうとなかろうと、「からなる」という移行用語(transition term)は、特許請求の範囲において特定されていない任意の要素、工程、または構成成分を排除する。「から本質的になる」という移行用語は、特許請求の範囲の範囲を、特定された材料または工程、および基本的かつ新規な特徴に著しく影響を及ぼさないものに限定する。そのように主張される例示的な態様が、本明細書において固有にまたは明示的に記載されかつ可能となっている。
終わりに、本明細書において開示される例示的な態様は、本開示の原理の例証であると理解されるべきである。採用され得る他の改変は、本開示の範囲内にある。ゆえに、例として、しかしながら限定するものではなく、例示的な本態様の代替的な形状を、本明細書における教示に従って利用することができる。したがって、例示的な本態様は、正確に示されかつ記載されているものに限定されない。

Claims (179)

  1. 極めて長いCDR3を含むヒト化抗体またはその結合断片。
  2. 極めて長いCDR3が、35アミノ酸長以上、40アミノ酸長以上、45アミノ酸長以上、50アミノ酸長以上、55アミノ酸長以上、または60アミノ酸長以上である、請求項1に記載のヒト化抗体またはその結合断片。
  3. 極めて長いCDR3が35アミノ酸長以上である、請求項2に記載のヒト化抗体またはその結合断片。
  4. 極めて長いCDR3が、3個以上のシステイン残基、4個以上のシステイン残基、5個以上のシステイン残基、6個以上のシステイン残基、7個以上のシステイン残基、8個以上のシステイン残基、9個以上のシステイン残基、10個以上のシステイン残基、11個以上のシステイン残基、または12個以上のシステイン残基を含む、請求項1に記載のヒト化抗体またはその結合断片。
  5. 極めて長いCDR3が3個以上のシステイン残基を含む、請求項4に記載のヒト化抗体またはその結合断片。
  6. システインモチーフを含む、請求項1に記載のヒト化抗体またはその結合断片。
  7. システインモチーフが、
    Figure 2015509091
    からなる群より選択される、請求項6に記載のヒト化抗体またはその結合断片。
  8. システインモチーフが、
    Figure 2015509091
    からなる群より選択される、請求項6に記載のヒト化抗体またはその結合断片。
  9. 極めて長いCDR3が2〜6個のジスルフィド結合を含む、請求項1に記載のヒト化抗体またはその結合断片。
  10. 極めて長いCDR3がSEQ ID NO: 40またはその誘導体を含む、請求項1に記載のヒト化抗体またはその結合断片。
  11. 極めて長いCDR3が、SEQ ID NO: 1〜4のうちのいずれか1つのアミノ酸残基3〜6を含む、請求項1に記載のヒト化抗体またはその結合断片。
  12. 極めて長いCDR3が非ヒトDHまたはその誘導体を含む、請求項1に記載のヒト化抗体またはその結合断片。
  13. 非ヒトDHが、SEQ ID NO: 5、SEQ ID NO: 6、SEQ ID NO: 7、SEQ ID NO: 8、SEQ ID NO: 9、SEQ ID NO: 10、SEQ ID NO: 11、またはSEQ ID NO: 12である、請求項12に記載のヒト化抗体またはその結合断片。
  14. 極めて長いCDR3がJH配列またはその誘導体を含む、請求項1に記載のヒト化抗体またはその結合断片。
  15. JH配列が、SEQ ID NO: 13、SEQ ID NO: 14、SEQ ID NO: 15、SEQ ID NO: 16、またはSEQ ID NO: 17である、請求項14に記載のヒト化抗体またはその結合断片。
  16. 極めて長いCDR3が、
    ‐非ヒトVH配列もしくはその誘導体;
    ‐非ヒトDH配列もしくはその誘導体;および/または
    ‐JH配列もしくはその誘導体
    を含む、請求項1に記載のヒト化抗体またはその結合断片。
  17. 極めて長いCDR3が、VH配列とDH配列との間に位置する2〜6個またはそれより多いアミノ酸残基を含む付加的なアミノ酸配列を含む、請求項16に記載のヒト化抗体またはその結合断片。
  18. 付加的なアミノ酸配列が、IR、IF、SEQ ID NO: 18、SEQ ID NO: 19、SEQ ID NO: 20、またはSEQ ID NO: 21からなる群より選択される、請求項17に記載のヒト化抗体またはその結合断片。
  19. 極めて長いCDR3が、SEQ ID NO: 22、SEQ ID NO: 23、SEQ ID NO: 24、SEQ ID NO: 25、SEQ ID NO: 26、SEQ ID NO: 27、またはSEQ ID NO: 28に由来するかまたはこれらに基づく配列を含む、請求項1に記載のヒト化抗体またはその結合断片。
  20. 極めて長いCDR3が非ウシ配列または非抗体配列を含む、請求項1に記載のヒト化抗体またはその結合断片。
  21. 非抗体配列が合成配列である、請求項20に記載のヒト化抗体またはその結合断片。
  22. 非抗体配列が、サイトカイン配列、リンホカイン配列、ケモカイン配列、増殖因子配列、ホルモン配列、または毒素配列である、請求項20に記載のヒト化抗体またはその結合断片。
  23. 非抗体配列が、IL-8配列、IL-21配列、SDF-1(α) 配列、ソマトスタチン配列、クロロトキシン配列、Pro-TxII配列、またはジコノチド配列である、請求項20に記載のヒト化抗体またはその結合断片。
  24. 非抗体配列がSEQ ID NO: 475〜481のうちのいずれか1つである、請求項20に記載のヒト化抗体またはその結合断片。
  25. 非抗体配列が、極めて長いCDR3の少なくとも一部と置き換わっている、請求項20に記載のヒト化抗体またはその結合断片。
  26. 極めて長いCDR3がX1X2X3X4X5モチーフを含み、
    式中、X1はスレオニン (T)、グリシン (G)、アラニン (A)、セリン (S)、またはバリン (V) であり、X2はセリン (S)、スレオニン (T)、プロリン (P)、イソロイシン (I)、アラニン (A)、バリン (V)、またはアスパラギン (N) であり、X3はバリン (V)、アラニン (A)、スレオニン (T)、またはアスパラギン酸 (D) であり、X4はヒスチジン (H)、スレオニン (T)、アルギニン (R)、チロシン (Y)、フェニルアラニン (F)、またはロイシン (L) であり、かつX5はグルタミン (Q) である、請求項1に記載のヒト化抗体またはその結合断片。
  27. X1X2X3X4X5モチーフが、
    Figure 2015509091
    である、請求項26に記載のヒト化抗体またはその結合断片。
  28. 極めて長いCDR3がCX1X2X3X4X5モチーフを含む、請求項1に記載のヒト化抗体またはその結合断片。
  29. CX1X2X3X4X5モチーフが、
    Figure 2015509091
    である、請求項28に記載のヒト化抗体またはその結合断片。
  30. 極めて長いCDR3が(XaXb)zモチーフを含み、
    式中、Xaは任意のアミノ酸残基であり、Xbは、チロシン (Y)、フェニルアラニン (F)、トリプトファン (W)、およびヒスチジン (H) からなる群より選択される芳香族アミノ酸であり、かつzは1〜4である、請求項1に記載のヒト化抗体またはその結合断片。
  31. (XaXb)zモチーフが、
    Figure 2015509091
    である、請求項30に記載のヒト化抗体またはその結合断片。
  32. (XaXb)zモチーフがYXYXYXである、請求項30に記載のヒト化抗体またはその結合断片。
  33. 極めて長いCDR3がX1X2X3X4X5Xnモチーフを含み、
    式中、X1はスレオニン (T)、グリシン (G)、アラニン (A)、セリン (S)、またはバリン (V) であり、X2はセリン (S)、スレオニン (T)、プロリン (P)、イソロイシン (I)、アラニン (A)、バリン (V)、またはアスパラギン (N) であり、X3はバリン (V)、アラニン (A)、スレオニン (T)、またはアスパラギン酸 (D) であり、X4はヒスチジン (H)、スレオニン (T)、アルギニン (R)、チロシン (Y)、フェニルアラニン (F)、またはロイシン (L) であり、X5はグルタミン (Q) であり、かつnは27〜54である、請求項1に記載のヒト化抗体またはその結合断片。
  34. 極めて長いCDR3がXn(XaXb)zモチーフを含み、
    式中、Xaは任意のアミノ酸残基であり、Xbは、チロシン (Y)、フェニルアラニン (F)、トリプトファン (W)、およびヒスチジン (H) からなる群より選択される芳香族アミノ酸であり、nは27〜54であり、かつzは1〜4である、請求項1に記載のヒト化抗体またはその結合断片。
  35. 極めて長いCDR3がX1X2X3X4X5Xn(XaXb)zモチーフを含み、
    式中、X1はスレオニン (T)、グリシン (G)、アラニン (A)、セリン (S)、またはバリン (V) であり、X2はセリン (S)、スレオニン (T)、プロリン (P)、イソロイシン (I)、アラニン (A)、バリン (V)、またはアスパラギン (N) であり、X3はバリン (V)、アラニン (A)、スレオニン (T)、またはアスパラギン酸 (D) であり、X4はヒスチジン (H)、スレオニン (T)、アルギニン (R)、チロシン (Y)、フェニルアラニン (F)、またはロイシン (L) であり、かつX5はグルタミン (Q) であり、Xaは任意のアミノ酸残基であり、Xbは、チロシン (Y)、フェニルアラニン (F)、トリプトファン (W)、およびヒスチジン (H) からなる群より選択される芳香族アミノ酸であり、nは27〜54であり、かつzは1〜4である、請求項1に記載のヒト化抗体またはその結合断片。
  36. X1X2X3X4X5モチーフがTTVHQ (SEQ ID NO: 153) またはTSVHQ (SEQ ID NO: 154)であり、かつ (XaXb)zモチーフがYXYXYXである、請求項35に記載のヒト化抗体またはその結合断片。
  37. 極めて長いCDR3が、
    ‐CX1X2X3X4X5モチーフ、式中、X1はスレオニン (T)、グリシン (G)、アラニン (A)、セリン (S)、またはバリン (V) であり、X2はセリン (S)、スレオニン (T)、プロリン (P)、イソロイシン (I)、アラニン (A)、バリン (V)、またはアスパラギン (N) であり、X3はバリン (V)、アラニン (A)、スレオニン (T)、またはアスパラギン酸 (D) であり、X4はヒスチジン (H)、スレオニン (T)、アルギニン (R)、チロシン (Y)、フェニルアラニン (F)、またはロイシン (L) であり、かつX5はグルタミン (Q) である、
    ‐以下からなる群より選択されるシステインモチーフ:
    Figure 2015509091

    ‐(XaXb)zモチーフ、式中、Xaは任意のアミノ酸残基であり、Xbは、チロシン (Y)、フェニルアラニン (F)、トリプトファン (W)、およびヒスチジン (H) からなる群より選択される芳香族アミノ酸であり、かつzは1〜4である
    を含む、請求項1に記載のヒト化抗体またはその結合断片。
  38. 極めて長いCDR3が、
    ‐CX1X2X3X4X5モチーフ、式中、X1はスレオニン (T)、グリシン (G)、アラニン (A)、セリン (S)、またはバリン (V) であり、X2はセリン (S)、スレオニン (T)、プロリン (P)、イソロイシン (I)、アラニン (A)、バリン (V)、またはアスパラギン (N) であり、X3はバリン (V)、アラニン (A)、スレオニン (T)、またはアスパラギン酸 (D) であり、X4はヒスチジン (H)、スレオニン (T)、アルギニン (R)、チロシン (Y)、フェニルアラニン (F)、またはロイシン (L) であり、かつX5はグルタミン (Q) である;
    ‐以下からなる群より選択されるシステインモチーフ:
    Figure 2015509091
    ;ならびに
    ‐(XaXb)zモチーフ、式中、Xaは任意のアミノ酸残基であり、Xbは、チロシン (Y)、フェニルアラニン (F)、トリプトファン (W)、およびヒスチジン (H) からなる群より選択される芳香族アミノ酸であり、かつzは1〜4である
    を含む、請求項1に記載のヒト化抗体またはその結合断片。
  39. 極めて長いCDR3が、リンカーである付加的な配列を含む、請求項20に記載のヒト化抗体またはその結合断片。
  40. リンカーが、非抗体配列のC末端、N末端、またはC末端およびN末端の両方に連結されている、請求項39に記載のヒト化抗体またはその結合断片。
  41. 極めて長いCDR3が反芻動物のCDR3である、請求項1に記載のヒト化抗体またはその結合断片。
  42. 反芻動物がウシである、請求項41に記載のヒト化抗体またはその結合断片。
  43. VH4ファミリーメンバー生殖系列配列であるヒト重鎖生殖系列配列を含む、請求項1に記載のヒト化抗体またはその結合断片。
  44. VH4-34生殖系列配列を含む、請求項1に記載のヒト化抗体またはその結合断片。
  45. VH4-34生殖系列配列に由来するヒト重鎖生殖系列配列を含む、請求項44に記載のヒト化抗体またはその結合断片。
  46. VH4-34生殖系列配列が、Kabat番号付けに基づくGly31AspおよびTyr32Lys置換を含むCDR1を含む、請求項45に記載のヒト化抗体またはその結合断片。
  47. VH4-34生殖系列配列が、Kabat番号付けに基づくGlu50Ser置換を含むCDR2を含む、請求項45に記載のヒト化抗体またはその結合断片。
  48. VH4-34生殖系列配列が、Kabat番号付けに基づく、Ala23Thr、Val24Ala、Tyr25Ser、Gly27Phe、Phe29Leu、Gly31Asp、Tyr32Lys、Tyr33Ala、Trp34Val、およびSer35Gly置換を含むCDR1、ならびにIle48Leu、Glu50Ser、Asn52Asp、His53Thr、Ser54Gly、Ser56Asn、およびAsn58Gly置換を含むCDR2を含む、請求項45に記載のヒト化抗体またはその結合断片。
  49. SEQ ID NO: 461、462、463、464、465、466、467、468、または469に記載されるアミノ酸配列を含む、請求項1に記載のヒト化抗体またはその結合断片。
  50. SEQ ID NO: 470に記載されるアミノ酸配列を含む、請求項1に記載のヒト化抗体またはその結合断片。
  51. SEQ ID NO: 461、462、463、464、465、466、467、468、または469に記載されるアミノ酸配列;およびSEQ ID NO: 470に記載されるアミノ酸配列を含む、請求項1に記載のヒト化抗体またはその結合断片。
  52. SEQ ID NO: 461、462、463、464、465、466、467、468、または469に記載されるアミノ酸配列; SEQ ID NO: 470に記載されるアミノ酸配列;およびSEQ ID NO: 461、462、463、464、465、466、467、468、または469とSEQ ID NO: 470との間に位置するペプチド配列を含む、請求項1に記載のヒト化抗体またはその結合断片。
  53. 前記ペプチド配列がウシ配列、非ウシ配列、抗体配列、または非抗体配列である、請求項52に記載のヒト化抗体またはその結合断片。
  54. λ軽鎖可変領域配列である軽鎖可変領域配列を含む、請求項1に記載のヒト化抗体またはその結合断片。
  55. λ軽鎖可変領域配列がウシλ軽鎖可変領域配列である、請求項54に記載のヒト化抗体またはその結合断片。
  56. λ軽鎖可変領域配列がヒトλ軽鎖可変領域配列である、請求項54に記載のヒト化抗体またはその結合断片。
  57. ヒトλ軽鎖可変領域配列がVL1-51生殖系列配列である、請求項56に記載のヒト化抗体またはその結合断片。
  58. ヒトλ軽鎖可変領域配列がVL1-51生殖系列配列に由来する、請求項56に記載のヒト化抗体またはその結合断片。
  59. VL1-51生殖系列配列が、Kabat番号付けに基づくIle29ValおよびAsn32Gly置換を含むCDR1を含む、請求項58に記載のヒト化抗体またはその結合断片。
  60. VL1-51生殖系列配列が、DNNからGDTへの置換を含むCDR2を含む、請求項58に記載のヒト化抗体またはその結合断片。
  61. VL1-51生殖系列配列が、DNNKRP (SEQ ID NO: 471) からGDTSRA (SEQ ID NO: 472) への置換を含むCDR2を含む、請求項58に記載のヒト化抗体またはその結合断片。
  62. VL1-51生殖系列配列が、Kabat番号付けに基づくS2A、T5N、P8S、A12G、A13S、およびP14L置換を含む、請求項58に記載のヒト化抗体またはその結合断片。
  63. VL1-51生殖系列配列が、Kabat番号付けに基づくS2A、T5N、P8S、A12G、A13S、およびP14L置換、ならびにDNNからGDTへの置換を含むCDR2を含む、請求項58に記載のヒト化抗体またはその結合断片。
  64. SEQ ID NO: 440、441、442、443、または444に記載されるアミノ酸配列を含む、請求項1に記載のヒト化抗体またはその結合断片。
  65. 請求項1〜64のいずれか一項に記載のヒト化抗体またはその結合断片をコードするポリヌクレオチド。
  66. 極めて長いCDR3を含むヒト化抗体またはその結合断片をコードするポリヌクレオチド。
  67. 極めて長いCDR3を含むヒト化可変領域をコードするポリヌクレオチド。
  68. 請求項65〜67のいずれか一項に記載のポリヌクレオチドを含むベクター。
  69. 請求項68に記載のベクターを含む宿主細胞。
  70. 極めて長いCDR3を含むヒト化抗体またはその結合断片をコードする配列を含む複数のポリヌクレオチドを含む核酸ライブラリー。
  71. 極めて長いCDR3を含むヒト化抗体またはその結合断片のライブラリー。
  72. 極めて長いCDR3が、35アミノ酸長以上、40アミノ酸長以上、45アミノ酸長以上、50アミノ酸長以上、55アミノ酸長以上、または60アミノ酸長以上である、請求項71に記載のライブラリー。
  73. 極めて長いCDR3が35アミノ酸長以上である、請求項72に記載のライブラリー。
  74. 極めて長いCDR3が、3個以上のシステイン残基、4個以上のシステイン残基、5個以上のシステイン残基、6個以上のシステイン残基、7個以上のシステイン残基、8個以上のシステイン残基、9個以上のシステイン残基、10個以上のシステイン残基、11個以上のシステイン残基、または12個以上のシステイン残基を含む、請求項71に記載のライブラリー。
  75. 極めて長いCDR3が3個以上のシステイン残基を含む、請求項74に記載のライブラリー。
  76. 抗体またはその結合断片がシステインモチーフを含む、請求項71に記載のライブラリー。
  77. システインモチーフが、
    Figure 2015509091
    からなる群より選択される、請求項76に記載のライブラリー。
  78. システインモチーフが、
    Figure 2015509091
    からなる群より選択される、請求項76に記載のライブラリー。
  79. 極めて長いCDR3が2〜6個のジスルフィド結合を含む、請求項71に記載のライブラリー。
  80. 極めて長いCDR3がSEQ ID NO: 40またはその誘導体を含む、請求項71に記載のライブラリー。
  81. 極めて長いCDR3が、SEQ ID NO: 1〜4のうちのいずれか1つのアミノ酸残基3〜6を含む、請求項71に記載のライブラリー。
  82. 極めて長いCDR3が非ヒトDHまたはその誘導体を含む、請求項71に記載のライブラリー。
  83. 非ヒトDHが、SEQ ID NO: 5、SEQ ID NO: 6、SEQ ID NO: 7、SEQ ID NO: 8、SEQ ID NO: 9、SEQ ID NO: 10、SEQ ID NO: 11、またはSEQ ID NO: 12である、請求項82に記載のライブラリー。
  84. 極めて長いCDR3がJH配列またはその誘導体を含む、請求項71に記載のライブラリー。
  85. JH配列が、SEQ ID NO: 13、SEQ ID NO: 14、SEQ ID NO: 15、SEQ ID NO: 16、またはSEQ ID NO: 17である、請求項84に記載のライブラリー。
  86. 極めて長いCDR3が、
    ‐非ヒトVH配列もしくはその誘導体;
    ‐非ヒトDH配列もしくはその誘導体;および/または
    ‐JH配列もしくはその誘導体
    を含む、請求項71に記載のライブラリー。
  87. 極めて長いCDR3が、VH配列とDH配列との間に位置する2〜6個またはそれより多いアミノ酸残基を含む付加的なアミノ酸配列を含む、請求項86に記載のライブラリー。
  88. 付加的なアミノ酸配列が、IR、IF、SEQ ID NO: 18、SEQ ID NO: 19、SEQ ID NO: 20、またはSEQ ID NO: 21からなる群より選択される、請求項87に記載のライブラリー。
  89. 極めて長いCDR3が、SEQ ID NO: 22、SEQ ID NO: 23、SEQ ID NO: 24、SEQ ID NO: 25、SEQ ID NO: 26、SEQ ID NO: 27、またはSEQ ID NO: 28に由来するかまたはこれらに基づく配列を含む、請求項71に記載のライブラリー。
  90. 極めて長いCDR3が非ウシ配列または非抗体配列を含む、請求項71に記載のライブラリー。
  91. 非抗体配列が合成配列である、請求項90に記載のライブラリー。
  92. 非抗体配列が、サイトカイン配列、リンホカイン配列、ケモカイン配列、増殖因子配列、ホルモン配列、または毒素配列である、請求項90に記載のライブラリー。
  93. 非抗体配列が、IL-8配列、IL-21配列、SDF-1(α) 配列、ソマトスタチン配列、クロロトキシン配列、Pro-TxII配列、またはジコノチド配列である、請求項90に記載のライブラリー。
  94. 非抗体配列がSEQ ID NO: 475〜481のうちのいずれか1つである、請求項90に記載のライブラリー。
  95. 極めて長いCDR3がX1X2X3X4X5モチーフを含み、
    式中、X1はスレオニン (T)、グリシン (G)、アラニン (A)、セリン (S)、またはバリン (V) であり、X2はセリン (S)、スレオニン (T)、プロリン (P)、イソロイシン (I)、アラニン (A)、バリン (V)、またはアスパラギン (N) であり、X3はバリン (V)、アラニン (A)、スレオニン (T)、またはアスパラギン酸 (D) であり、X4はヒスチジン (H)、スレオニン (T)、アルギニン (R)、チロシン (Y)、フェニルアラニン (F)、またはロイシン (L) であり、かつX5はグルタミン (Q) である、請求項71に記載のライブラリー。
  96. X1X2X3X4X5モチーフが、
    Figure 2015509091
    である、請求項95に記載のライブラリー。
  97. 極めて長いCDR3がCX1X2X3X4X5モチーフを含む、請求項71に記載のライブラリー。
  98. CX1X2X3X4X5モチーフが、
    Figure 2015509091
    である、請求項97に記載のライブラリー。
  99. 極めて長いCDR3が(XaXb)zモチーフを含み、
    式中、Xaは任意のアミノ酸残基であり、Xbは、チロシン (Y)、フェニルアラニン (F)、トリプトファン (W)、およびヒスチジン (H) からなる群より選択される芳香族アミノ酸であり、かつzは1〜4である、請求項71に記載のライブラリー。
  100. (XaXb)zモチーフが、
    Figure 2015509091
    である、請求項99に記載のライブラリー。
  101. (XaXb)zモチーフがYXYXYXである、請求項99に記載のライブラリー。
  102. 極めて長いCDR3がX1X2X3X4X5Xnモチーフを含み、
    式中、X1はスレオニン (T)、グリシン (G)、アラニン (A)、セリン (S)、またはバリン (V) であり、X2はセリン (S)、スレオニン (T)、プロリン (P)、イソロイシン (I)、アラニン (A)、バリン (V)、またはアスパラギン (N) であり、X3はバリン (V)、アラニン (A)、スレオニン (T)、またはアスパラギン酸 (D) であり、X4はヒスチジン (H)、スレオニン (T)、アルギニン (R)、チロシン (Y)、フェニルアラニン (F)、またはロイシン (L) であり、かつX5はグルタミン (Q) であり、かつnは27〜54である、請求項71に記載のライブラリー。
  103. 極めて長いCDR3がXn(XaXb)zモチーフを含み、
    式中、Xaは任意のアミノ酸残基であり、Xbは、チロシン (Y)、フェニルアラニン (F)、トリプトファン (W)、およびヒスチジン (H) からなる群より選択される芳香族アミノ酸であり、nは27〜54であり、かつzは1〜4である、請求項71に記載のライブラリー。
  104. 極めて長いCDR3がX1X2X3X4X5Xn(XaXb)zモチーフを含み、
    式中、X1はスレオニン (T)、グリシン (G)、アラニン (A)、セリン (S)、またはバリン (V) であり、X2はセリン (S)、スレオニン (T)、プロリン (P)、イソロイシン (I)、アラニン (A)、バリン (V)、またはアスパラギン (N) であり、X3はバリン (V)、アラニン (A)、スレオニン (T)、またはアスパラギン酸 (D) であり、X4はヒスチジン (H)、スレオニン (T)、アルギニン (R)、チロシン (Y)、フェニルアラニン (F)、またはロイシン (L) であり、X5はグルタミン (Q) であり、Xaは任意のアミノ酸残基であり、Xbは、チロシン (Y)、フェニルアラニン (F)、トリプトファン (W)、およびヒスチジン (H) からなる群より選択される芳香族アミノ酸であり、nは27〜54であり、かつzは1〜4である、請求項71に記載のライブラリー。
  105. X1X2X3X4X5モチーフがTTVHQ (SEQ ID NO: 153) またはTSVHQ (SEQ ID NO: 154)であり、かつ (XaXb)zモチーフがYXYXYXである、請求項104に記載のライブラリー。
  106. 極めて長いCDR3が、
    ‐CX1X2X3X4X5モチーフ、式中、X1はスレオニン (T)、グリシン (G)、アラニン (A)、セリン (S)、またはバリン (V) であり、X2はセリン (S)、スレオニン (T)、プロリン (P)、イソロイシン (I)、アラニン (A)、バリン (V)、またはアスパラギン (N) であり、X3はバリン (V)、アラニン (A)、スレオニン (T)、またはアスパラギン酸 (D) であり、X4はヒスチジン (H)、スレオニン (T)、アルギニン (R)、チロシン (Y)、フェニルアラニン (F)、またはロイシン (L) であり、かつX5はグルタミン (Q) である、
    ‐以下からなる群より選択されるシステインモチーフ:
    Figure 2015509091
    、ならびに
    ‐(XaXb)zモチーフ、式中、Xaは任意のアミノ酸残基であり、Xbは、チロシン (Y)、フェニルアラニン (F)、トリプトファン (W)、およびヒスチジン (H) からなる群より選択される芳香族アミノ酸であり、かつzは1〜4である
    を含む、請求項71に記載のライブラリー。
  107. 極めて長いCDR3が、
    ‐CX1X2X3X4X5モチーフ、式中、X1はスレオニン (T)、グリシン (G)、アラニン (A)、セリン (S)、またはバリン (V) であり、X2はセリン (S)、スレオニン (T)、プロリン (P)、イソロイシン (I)、アラニン (A)、バリン (V)、またはアスパラギン (N) であり、X3はバリン (V)、アラニン (A)、スレオニン (T)、またはアスパラギン酸 (D) であり、X4はヒスチジン (H)、スレオニン (T)、アルギニン (R)、チロシン (Y)、フェニルアラニン (F)、またはロイシン (L) であり、かつX5はグルタミン (Q) である;
    ‐以下からなる群より選択されるシステインモチーフ:
    Figure 2015509091
    ;ならびに
    ‐(XaXb)zモチーフ、式中、Xaは任意のアミノ酸残基であり、Xbは、チロシン (Y)、フェニルアラニン (F)、トリプトファン (W)、およびヒスチジン (H) からなる群より選択される芳香族アミノ酸であり、かつzは1〜4である
    を含む、請求項71に記載のライブラリー。
  108. 極めて長いCDR3が、リンカーである付加的な配列を含む、請求項90に記載のライブラリー。
  109. リンカーが、非抗体配列のC末端、N末端、またはC末端およびN末端の両方に連結されている、請求項108に記載のライブラリー。
  110. 極めて長いCDR3が反芻動物のCDR3である、請求項71に記載のライブラリー。
  111. 反芻動物がウシである、請求項110に記載のライブラリー。
  112. ヒト化抗体またはその結合断片が、VH4ファミリーメンバー生殖系列配列であるヒト重鎖生殖系列配列を含む、請求項71に記載のライブラリー。
  113. ヒト化抗体またはその結合断片がVH4-34生殖系列配列を含む、請求項71に記載のライブラリー。
  114. ヒト化抗体またはその結合断片が、VH4-34に由来するヒト重鎖生殖系列配列を含む、請求項71に記載のライブラリー。
  115. VH4-34生殖系列配列が、Kabat番号付けに基づくGly31AspおよびTyr32Lys置換を含むCDR1を含む、請求項114に記載のライブラリー。
  116. VH4-34生殖系列配列が、Kabat番号付けに基づくGlu50Ser置換を含むCDR2を含む、請求項114に記載のライブラリー。
  117. VH4-34生殖系列配列が、Kabat番号付けに基づく、Ala23Thr、Val24Ala、Tyr25Ser、Gly27Phe、Phe29Leu、Gly31Asp、Tyr32Lys、Tyr33Ala、Trp34Val、およびSer35Gly置換を含むCDR1、ならびにIle48Leu、Glu50Ser、Asn52Asp、His53Thr、Ser54Gly、Ser56Asn、およびAsn58Gly置換を含むCDR2を含む、請求項114に記載のライブラリー。
  118. ヒト化抗体またはその結合断片が、SEQ ID NO: 470に記載されるアミノ酸配列を含む、請求項71に記載のライブラリー。
  119. ヒト化抗体またはその結合断片が、SEQ ID NO: 461、462、463、464、465、466、467、468、または469に記載されるアミノ酸配列;およびSEQ ID NO: 470に記載されるアミノ酸配列を含む、請求項71に記載のライブラリー。
  120. ヒト化抗体またはその結合断片が、SEQ ID NO: 461、462、463、464、465、466、467、468、または469に記載されるアミノ酸配列; SEQ ID NO: 470に記載されるアミノ酸配列;およびSEQ ID NO: 461、462、463、464、465、466、467、468、または469とSEQ ID NO: 470との間に位置するペプチド配列を含む、請求項71に記載のライブラリー。
  121. 前記ペプチド配列がウシ配列、非ウシ配列、抗体配列、または非抗体配列である、請求項120に記載のライブラリー。
  122. ヒト化抗体またはその結合断片が、λ軽鎖可変領域配列である軽鎖可変領域配列を含む、請求項71に記載のライブラリー。
  123. λ軽鎖可変領域配列がウシλ軽鎖可変領域配列である、請求項122に記載のライブラリー。
  124. λ軽鎖可変領域配列がヒトλ軽鎖可変領域配列である、請求項122に記載のライブラリー。
  125. ヒトλ軽鎖可変領域配列がVL1-51である、請求項124に記載のライブラリー。
  126. ヒトλ軽鎖可変領域配列がVL1-51に由来する、請求項124に記載のライブラリー。
  127. VL1-51生殖系列配列が、Kabat番号付けに基づくIle29ValおよびAsn32Gly置換を含むCDR1を含む、請求項126に記載のライブラリー。
  128. VL1-51生殖系列配列が、DNNからGDTへの置換を含むCDR2を含む、請求項126に記載のライブラリー。
  129. VL1-51生殖系列配列が、DNNKRP (SEQ ID NO: 471) からGDTSRA (SEQ ID NO: 472) への置換を含むCDR2を含む、請求項126に記載のライブラリー。
  130. VL1-51生殖系列配列が、Kabat番号付けに基づくS2A、T5N、P8S、A12G、A13S、およびP14L置換を含む、請求項126に記載のライブラリー。
  131. VL1-51生殖系列配列が、Kabat番号付けに基づくS2A、T5N、P8S、A12G、A13S、およびP14L置換、ならびにDNNからGDTへの置換を含むCDR2を含む、請求項126に記載のライブラリー。
  132. ヒト化抗体またはその結合断片が、SEQ ID NO: 440、441、442、443、または444に記載されるアミノ酸配列を含む、請求項71に記載のライブラリー。
  133. ヒト化抗体またはその結合断片が、空間的にアドレス指定された形式で存在する、請求項71〜132のいずれか一項に記載のライブラリー。
  134. ヒト以外の極めて長いCDR3をコードする核酸配列を、ヒト可変領域フレームワーク (FR) 配列をコードする核酸配列と遺伝的に組み合わせる段階を含む、抗体可変領域をヒト化する方法。
  135. 以下の段階を含む、極めて長いCDR3を含むヒト化抗体のライブラリーを作製する方法:
    (a.)極めて長いCDR3をコードする核酸配列を、ヒト可変領域フレームワーク (FR) 配列をコードする核酸配列と組み合わせて、極めて長いCDR3を含むヒト化抗体をコードする核酸を生成する段階;および
    (b.)極めて長いCDR3を含むヒト化抗体をコードする該核酸を発現させて、極めて長いCDR3を含むヒト化抗体のライブラリーを作製する段階。
  136. 以下の段階を含む、非抗体配列を含む極めて長いCDR3を含むヒト化抗体またはその結合断片のライブラリーを作製する方法:
    (a.)極めて長いCDR3をコードする核酸配列、ヒト可変領域フレームワーク (FR) 配列をコードする核酸配列、および非抗体配列をコードする核酸配列を組み合わせて、極めて長いCDR3および非抗体配列を含むヒト化抗体またはその結合断片をコードする核酸を生成する段階、ならびに
    (b.)極めて長いCDR3および非抗体配列を含むヒト化抗体またはその結合断片をコードする該核酸を発現させて、極めて長いCDR3および非抗体配列を含むヒト化抗体またはその結合断片のライブラリーを作製する段階。
  137. 非抗体配列を含む極めて長いCDR3を含むヒト化抗体またはその結合断片のライブラリー。
  138. 以下の段階を含む、システインモチーフを含む極めて長いCDR3を含むヒト化抗体またはその結合断片のライブラリーを作製する方法:
    (a.)ヒト可変領域フレームワーク (FR) 配列と、極めて長いCDR3およびシステインモチーフをコードする核酸配列とを組み合わせる段階;
    (b.)該システインモチーフ中の1つまたは複数のシステイン残基間に位置する1つまたは複数のアミノ酸残基をコードする核酸配列に、異なるアミノ酸残基をコードするヌクレオチドへと変える1つまたは複数のヌクレオチド改変を導入して、極めて長いCDR3と、システインドメイン中の1つまたは複数のシステイン残基間に1つまたは複数のヌクレオチド改変が導入されたシステインモチーフとを含むヒト化抗体またはその結合断片をコードする核酸を生成する段階;ならびに
    (c.)極めて長いCDR3と、システインドメイン中の1つまたは複数のシステイン残基間に1つまたは複数のヌクレオチド改変が導入されたシステインモチーフとを含むヒト化抗体またはその結合断片をコードする該核酸を発現させて、極めて長いCDR3と、システインドメイン中の1つまたは複数のシステイン残基間に1つまたは複数のアミノ酸改変が導入されたシステインモチーフとを含むヒト化抗体またはその結合断片のライブラリーを作製する段階。
  139. システインモチーフを含む極めて長いCDR3を含むヒト化抗体またはその結合断片のライブラリーであって、該抗体またはその結合断片が、該システインモチーフ中のシステイン残基間に位置するアミノ酸残基の1つまたは複数の置換を含む、前記ライブラリー。
  140. 以下の段階を含む、ウシの極めて長いCDR3を含むヒト化抗体またはその結合断片のライブラリーを作製する方法:
    (a.)ヒト可変領域フレームワーク (FR) 配列をコードする核酸配列と、ウシの極めて長いCDR3をコードする核酸とを組み合わせる段階、ならびに
    (b.)ヒト可変領域フレームワーク (FR) 配列をコードする該核酸およびウシの極めて長いCDR3をコードする該核酸を発現させて、ウシの極めて長いCDR3を含むヒト化抗体またはその結合断片のライブラリーを作製する段階。
  141. ウシの極めて長いCDR3を含むヒト化抗体またはその結合断片のライブラリー。
  142. X1X2X3X4X5モチーフを含み、
    式中、X1はスレオニン (T)、グリシン (G)、アラニン (A)、セリン (S)、またはバリン (V) であり、X2はセリン (S)、スレオニン (T)、プロリン (P)、イソロイシン (I)、アラニン (A)、バリン (V)、またはアスパラギン (N) であり、X3はバリン (V)、アラニン (A)、スレオニン (T)、またはアスパラギン酸 (D) であり、X4はヒスチジン (H)、スレオニン (T)、アルギニン (R)、チロシン (Y)、フェニルアラニン (F)、またはロイシン (L) であり、かつX5はグルタミン (Q)である、CDR3骨格。
  143. 35アミノ酸長以上、40アミノ酸長以上、45アミノ酸長以上、50アミノ酸長以上、55アミノ酸長以上、または60アミノ酸長以上である、請求項142に記載のCDR3骨格。
  144. 35アミノ酸長以上である、請求項143に記載のCDR3骨格。
  145. 3個以上のシステイン残基、4個以上のシステイン残基、5個以上のシステイン残基、6個以上のシステイン残基、7個以上のシステイン残基、8個以上のシステイン残基、9個以上のシステイン残基、10個以上のシステイン残基、11個以上のシステイン残基、または12個以上のシステイン残基を含む、請求項142に記載のCDR3骨格。
  146. 3個以上のシステイン残基を含む、請求項145に記載のCDR3骨格。
  147. システインモチーフを含む、請求項142に記載のCDR3骨格。
  148. システインモチーフが、
    Figure 2015509091
    からなる群より選択される、請求項147に記載のCDR3骨格。
  149. システインモチーフが、
    Figure 2015509091
    からなる群より選択される、請求項147に記載のCDR3骨格。
  150. 2〜6個のジスルフィド結合を含む、請求項142に記載のCDR3骨格。
  151. CDR3骨格中のX1X2X3X4X5モチーフが、
    Figure 2015509091
    である、請求項142に記載のCDR3骨格。
  152. CX1X2X3X4X5モチーフを含む、請求項142に記載のCDR3骨格。
  153. CDR3骨格中のCX1X2X3X4X5モチーフが、
    Figure 2015509091
    である、請求項152に記載のCDR3骨格。
  154. (XaXb)zモチーフを含み、
    式中、Xaは任意のアミノ酸残基であり、Xbは、チロシン (Y)、フェニルアラニン (F)、トリプトファン (W)、およびヒスチジン (H) からなる群より選択される芳香族アミノ酸であり、かつzは1〜4である、請求項142に記載のCDR3骨格。
  155. CDR3骨格中の(XaXb)zモチーフが、
    Figure 2015509091
    である、請求項154に記載のCDR3骨格。
  156. CDR3骨格中の(XaXb)zモチーフがYXYXYXである、請求項154に記載のCDR3骨格。
  157. X1X2X3X4X5Xnモチーフを含み、
    式中、X1はスレオニン (T)、グリシン (G)、アラニン (A)、セリン (S)、またはバリン (V) であり、X2はセリン (S)、スレオニン (T)、プロリン (P)、イソロイシン (I)、アラニン (A)、バリン (V)、またはアスパラギン (N) であり、X3はバリン (V)、アラニン (A)、スレオニン (T)、またはアスパラギン酸 (D) であり、X4はヒスチジン (H)、スレオニン (T)、アルギニン (R)、チロシン (Y)、フェニルアラニン (F)、またはロイシン (L) であり、かつX5はグルタミン (Q) であり、かつnは27〜54である、請求項142に記載のCDR3骨格。
  158. Xn(XaXb)zモチーフを含み、
    式中、Xaは任意のアミノ酸残基であり、Xbは、チロシン (Y)、フェニルアラニン (F)、トリプトファン (W)、およびヒスチジン (H) からなる群より選択される芳香族アミノ酸であり、nは27〜54であり、かつzは1〜4である、請求項142に記載のCDR3骨格。
  159. X1X2X3X4X5Xn(XaXb)zモチーフを含み、
    式中、X1はスレオニン (T)、グリシン (G)、アラニン (A)、セリン (S)、またはバリン (V) であり、X2はセリン (S)、スレオニン (T)、プロリン (P)、イソロイシン (I)、アラニン (A)、バリン (V)、またはアスパラギン (N) であり、X3はバリン (V)、アラニン (A)、スレオニン (T)、またはアスパラギン酸 (D) であり、X4はヒスチジン (H)、スレオニン (T)、アルギニン (R)、チロシン (Y)、フェニルアラニン (F)、またはロイシン (L) であり、X5はグルタミン (Q) であり、Xaは任意のアミノ酸残基であり、Xbは、チロシン (Y)、フェニルアラニン (F)、トリプトファン (W)、およびヒスチジン (H) からなる群より選択される芳香族アミノ酸であり、nは27〜54であり、かつzは1〜4である、請求項142に記載のCDR3骨格。
  160. CDR3骨格中のX1X2X3X4X5モチーフがTTVHQ (SEQ ID NO: 153) またはTSVHQ (SEQ ID NO: 154)であり、かつ (XaXb)zモチーフがYXYXYXである、請求項159に記載のCDR3骨格。
  161. ‐CX1X2X3X4X5モチーフ、式中、X1はスレオニン (T)、グリシン (G)、アラニン (A)、セリン (S)、またはバリン (V) であり、X2はセリン (S)、スレオニン (T)、プロリン (P)、イソロイシン (I)、アラニン (A)、バリン (V)、またはアスパラギン (N) であり、X3はバリン (V)、アラニン (A)、スレオニン (T)、またはアスパラギン酸 (D) であり、X4はヒスチジン (H)、スレオニン (T)、アルギニン (R)、チロシン (Y)、フェニルアラニン (F)、またはロイシン (L) であり、かつX5はグルタミン (Q) である、
    ‐以下からなる群より選択されるシステインモチーフ:
    Figure 2015509091
    、ならびに
    ‐(XaXb)zモチーフ、式中、Xaは任意のアミノ酸残基であり、Xbは、チロシン (Y)、フェニルアラニン (F)、トリプトファン (W)、およびヒスチジン (H) からなる群より選択される芳香族アミノ酸であり、かつzは1〜4である
    を含む、請求項142に記載のCDR3骨格。
  162. ‐CX1X2X3X4X5モチーフ、式中、X1はスレオニン (T)、グリシン (G)、アラニン (A)、セリン (S)、またはバリン (V) であり、X2はセリン (S)、スレオニン (T)、プロリン (P)、イソロイシン (I)、アラニン (A)、バリン (V)、またはアスパラギン (N) であり、X3はバリン (V)、アラニン (A)、スレオニン (T)、またはアスパラギン酸 (D) であり、X4はヒスチジン (H)、スレオニン (T)、アルギニン (R)、チロシン (Y)、フェニルアラニン (F)、またはロイシン (L) であり、かつX5はグルタミン (Q) である;
    ‐以下からなる群より選択されるシステインモチーフ:
    Figure 2015509091
    ;ならびに
    ‐(XaXb)zモチーフ、式中、Xaは任意のアミノ酸残基であり、Xbは、チロシン (Y)、フェニルアラニン (F)、トリプトファン (W)、およびヒスチジン (H) からなる群より選択される芳香族アミノ酸であり、かつzは1〜4である
    を含む、請求項142に記載のCDR3骨格。
  163. SEQ ID NO: 40またはその誘導体を含む、請求項142に記載のCDR3骨格。
  164. SEQ ID NO: 1〜4のうちのいずれか1つのアミノ酸残基3〜6を含む、請求項142に記載のCDR3骨格。
  165. 非ヒトDHまたはその誘導体を含む、請求項142に記載のCDR3骨格。
  166. 非ヒトDHが、SEQ ID NO: 5、SEQ ID NO: 6、SEQ ID NO: 7、SEQ ID NO: 8、SEQ ID NO: 9、SEQ ID NO: 10、SEQ ID NO: 11、またはSEQ ID NO: 12である、請求項165に記載のCDR3骨格。
  167. JH配列またはその誘導体を含む、請求項142に記載のCDR3骨格。
  168. JH配列が、SEQ ID NO: 13、SEQ ID NO: 14、SEQ ID NO: 15、SEQ ID NO: 16、またはSEQ ID NO: 17である、請求項167に記載のCDR3骨格。
  169. ‐非ヒトVH配列もしくはその誘導体;
    ‐非ヒトDH配列もしくはその誘導体;および/または
    ‐JH配列もしくはその誘導体
    を含む、請求項142に記載のCDR3骨格。
  170. VH配列とDH配列との間に位置する2〜6個またはそれより多いアミノ酸残基を含む付加的なアミノ酸配列を含む、請求項169に記載のCDR3骨格。
  171. 付加的なアミノ酸配列が、IR、IF、SEQ ID NO: 18、SEQ ID NO: 19、SEQ ID NO: 20、またはSEQ ID NO: 21からなる群より選択される、請求項170に記載のCDR3骨格。
  172. SEQ ID NO: 22、SEQ ID NO: 23、SEQ ID NO: 24、SEQ ID NO: 25、SEQ ID NO: 26、SEQ ID NO: 27、またはSEQ ID NO: 28に由来するかまたはこれらに基づく配列を含む、請求項142に記載のCDR3骨格。
  173. 反芻動物のCDR3骨格である、請求項142に記載のCDR3骨格。
  174. 反芻動物がウシである、請求項173に記載のCDR3骨格。
  175. 請求項142〜174のいずれか一項に記載のCDR3骨格を含むライブラリー。
  176. 請求項142〜174のいずれか一項に記載のCDR3骨格をコードするポリヌクレオチド。
  177. 請求項176に記載のポリヌクレオチドを含むベクター。
  178. 請求項177に記載のベクターを含む宿主細胞。
  179. 細菌、ウイルス、またはバクテリオファージである、請求項178に記載の宿主細胞。
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