JP2015230351A - 反射フィルム、及びこれを備えてなる液晶表示装置、照明装置、装飾用物品 - Google Patents

反射フィルム、及びこれを備えてなる液晶表示装置、照明装置、装飾用物品 Download PDF

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Abstract

【課題】光を反射して金属のような光沢を有し、高い反射率と正反射特性を有する反射フィルムを提供する。【解決手段】 少なくとも2種の熱可塑性樹脂を含有し、連続相(I)と分散相(II)による海島構造を有する正反射フィルム(X)と、ポリオレフィン系樹脂と微粉状充填剤との混合物を主成分とする拡散反射フィルム(Y)とが、熱可塑性樹脂からなる接着層(Z)を介して共押出により積層一体化された反射フィルムであって、前記分散相(II)の流れ方向の平均寸法(L1)、及び、幅方向の平均寸法(L2)が、0.45μm以上、100μm以下であり、前記分散相(II)の厚み方向の平均寸法(L3)が、0.01μm以上、0.45μm以下であり、該連続相(I)を形成する熱可塑性樹脂(A)と、該分散相(II)を形成する熱可塑性樹脂(B)の平均屈折率差が0.05以上であり、かつ、測定波長400nm〜700nmにおける平均反射率が90%以上であることを特徴とする反射フィルム。【選択図】 なし

Description

本発明は、光を反射して金属のような光沢を有し、高い反射率と正反射特性を有する反射フィルムに関する。
従来、反射面に金属のような光沢を付与する方法として、金属を高度に研磨して、反射面を形成する方法が用いられてきた。この方法は生産性が低く、用いる金属に加工上の問題があるため、近年では、プラスチックに金属を薄く被覆した金属被覆プラスチックが、表示装置や照明等の反射フィルムとして用いられている。通常、金属層の被覆には、電気メッキ、真空蒸着、蒸着、化学吸着などの手法が用いられる。しかしながら、このような金属被覆においては、経時と共に金属が腐食するため、金属被覆層の上にさらに保護層を設けなければならず、さらに生産性や費用の面で不利となる。
また、別の手法として、複数の層を有する多層光学フィルムを用いる方法がある。これらの金属光沢の反射フィルムは積層界面での反射特性を用いて、反射特性を付与し、各層の厚みを緻密に制御することにより、高い反射特性を発現させるものである。
複数の層を有する多層光学フィルムを用いる方法として、少なくとも第1及び、第2の異種ポリマーを含む反射ポリマー体が報告されている(特許文献1〜3)。これら、特許文献には、互いに屈折率が0.03以上異なる第1及び第2のポリマー材による交互の層を十分含んでおり、各層の過半量が0.09μm以下、あるいは0.45μm以上の光学的厚みを有する反射ポリマー体が報告されている。
特開平03−041401号公報 特開平04−295804号公報 特開平05−193040号公報
しかしながら、上記特許文献1〜3に開示されている多層光学フィルムでは、均一な多層積層化や各層厚みの緻密な制御が必要とされるために、製造工程が複雑化し、生産性を著しく落とす懸念点がある。
すなわち、本発明の目的は、高い反射率と正反射特性を有し、金属のような光沢を持ちかつ、高い生産性を有する反射フィルムを提供することにある。
本発明者らは、高い反射率と正反射特性の両方を十分に高める因子として、連続相(I)と分散相(II)による海島構造を有する正反射フィルム(X)と、微粉状充填剤を含有する拡散反射フィルム(Y)とを、熱可塑性樹脂からなる接着層(Z)を介して共押出により積層一体化することが重要であることを究明し、本発明を完成するに至った。
すなわち本発明は、少なくとも2種の熱可塑性樹脂を含有し、連続相(I)と分散相(II)による海島構造を有する正反射フィルム(X)と、微粉状充填剤を含有する拡散反射フィルム(Y)とが、熱可塑性樹脂からなる接着層(Z)を介して共押出により積層一体化された反射フィルムであって、前記分散相(II)の流れ方向の平均寸法(L1)、及び、幅方向の平均寸法(L2)が、0.45μm以上、100μm以下であり、前記分散相(II)の厚み方向の平均寸法(L3)が、0.01μm以上、0.45μm以下であり、該連続相(I)を形成する熱可塑性樹脂(A)と、該分散相(II)を形成する熱可塑性樹脂(B)の平均屈折率差が0.05以上であることを特徴とする反射フィルムである。
本発明が提案する反射フィルムは、従来の複数の層を有する多層光学フィルムに求められる均一な多層積層化や各層厚みの緻密な制御が必要としないため、高い生産性を有すると共に、連続相(I)と分散相(II)による海島構造を有する正反射フィルム(X)と、微粉状充填剤を含有する拡散反射フィルム(Y)とを、熱可塑性樹脂からなる接着層(Z)を介して共押出により積層一体化することにより、正反射フィルム(X)の疑似的な多層効果と微粉状充填剤を含有する拡散反射フィルム(Y)の多孔構造を同時に発現させることができ、高い反射率と正反射特性を有し、金属のような光沢を有する反射フィルムを提供することができる。
以下、本発明の実施形態の一例としての反射フィルム(「本反射フィルム」と称する)
について説明する。
なお、本発明において、「主成分」と表現した場合には、特に記載しない限り、当該主成分の機能を妨げない範囲で他の成分を含有することを許容する意を包含し、特に当該主成分の含有割合を特定するものではないが、主成分は組成物中の50質量%以上、好ましくは70質量%以上、特に好ましくは90質量%以上(100%含む)を占める意を包含するものである。また、2種類以上の樹脂が主成分を構成する場合、各樹脂の組成物中の割合は10質量%以上、好ましくは20質量%以上、特に好ましくは30質量%以上である。
また、本明細書において「X〜Y」(X,Yは任意の数字)と表現する場合、特にことわらない限り「X以上Y以下」の意と共に、「好ましくはXより大きい」或いは「好ましくはYより小さい」の意も包含する。
さらにまた、「X以上」(Xは任意の数字)或いは「Y以下」(Yは任意の数字)と表現した場合、「Xより大きいことが好ましい」或いは「Y未満であることが好ましい」旨の意図も包含する。
<本反射フィルム>
本反射フィルムは、連続相(I)と分散相(II)による海島構造を有する正反射フィルム(X)と、微粉状充填剤を含有する拡散反射フィルム(Y)とを、熱可塑性樹脂からなる接着層(Z)を介して共押出により積層一体化された反射フィルムである。
一般に、異なる樹脂同士を混合する場合、その相状態を大別すると(1)完全相溶(単相)、(2)海島構造(多相)、(3)共連続構造(多相)、(4)層状構造(多相)の4つに分けられる。ここで、(2)海島構造とは、複数成分の片方が連続する相の中に、もう一方が粒子状(島状)に分散している構造を言う。また(3)共連続構造とは、複数成分のそれぞれが連続した相を形成しながら互いに混じり合っている構造を言う。更に、(4)層状構造とはそれぞれの成分が連続相を形成するが、互いの成分が混じりあうことなく独立している構造を言う。
本反射フィルムを構成する正反射フィルム(X)における海島構造とは、上記(2)のことを言う。通常、分散相である島部は、不連続であり、かつ、微小な略球状構造を示すが、本反射フィルムにおける島部は、流れ方向及び幅方向に延伸されるため、扁平した楕円状構造、又は、円盤状構造を示す。このような構造の有無は、本反射フィルムのMD断面、もしくは、TD断面を走査型電子顕微鏡(SEM)にて観察することにより、確認することができる。
<正反射フィルム(X)>
正反射フィルム(X)における前記連続相(I)を形成する熱可塑性樹脂(A)と、前記分散相(II)を形成する熱可塑性樹脂(B)としては、本発明において規定する範囲を逸脱しなければ、特に限定されることはないが、該連続相(I)を形成する熱可塑性樹脂(A)と、該分散相(II)を形成する熱可塑性樹脂(B)の平均屈折率差が0.05以上であることが重要である。平均屈折率差を0.05以上とすることにより、連続相と分散相との界面における光の反射が生じやすくなるため、高い反射特性を付与することが可能となる。
かかる理由により、該連続相(I)を形成する熱可塑性樹脂(A)と、該分散相(II)を形成する熱可塑性樹脂(B)の平均屈折率差は、0.10以上であることがより好ましく、0.15以上であることがさらに好ましい。
このような観点から、前記連続相(I)を形成する熱可塑性樹脂(A)と、前記分散相(II)を形成する熱可塑性樹脂(B)のどちらか一方が、ポリエステル系樹脂を主成分としてなり、もう一方が、フッ素系樹脂を主成分としてなることが好ましい。
また、本反射フィルムは、少なくとも一方向に配向していることが好ましく、フィルムの流れ方向(以下、MDと表記することがある)と幅方向(以下、TDと表記することがある)の二軸方向に配向していることがさらに好ましい。延伸操作等により、フィルムに配向を付与させることにより、前記連続相(I)を形成する熱可塑性樹脂(A)と、前記分散相(II)を形成する熱可塑性樹脂(B)の屈折率を変化させることにより、前記(A)と前記(B)の屈折率差を更に増大させることが可能となる。また、前記分散相(II)の流れ方向、幅方向、および厚み方向の平均寸法を本発明の規定する範囲に調節することができ、本発明のフィルムに、より高い反射特性を付与することができる。
本反射フィルムを少なくとも一方向に配向し、より屈折率差を大きくする手段としては、例えば前記連続相(I)を形成する熱可塑性樹脂(A)と、前記分散相(II)を形成する熱可塑性樹脂(B)との平均屈折率の差の絶対値が0.05より大きくなるように、前記熱可塑性樹脂(A)と前記熱可塑性樹脂(B)を選択すると共に、延伸によって、前記連続相(I)を形成する熱可塑性樹脂(A)、及び/又は、前記分散相(II)を形成する熱可塑性樹脂(B)を配向させ、熱可塑性樹脂(A)と熱可塑性樹脂(B)の複屈折率の違いを利用して、好ましい範囲に調整する方法を挙げることができる。この際の延伸法としては、例えば自由幅1軸延伸、一定幅1軸延伸、引っ張り延伸法、ロール間延伸法、ロール圧延法などの延伸法を挙げることができる。
また、他の手段として、前記連続相(I)を形成する熱可塑性樹脂(A)、及び/又は、前記分散相(II)を形成する熱可塑性樹脂(B)に、相溶する他の熱可塑性樹脂や屈折率調整剤などを添加し、好ましい範囲に調整する方法などを挙げることができる。
前記連続相(I)を形成する熱可塑性樹脂(A)の固有複屈折率と前記分散相(II)
を形成する熱可塑性樹脂(B)の固有複屈折率は、共に正であってもよく、共に負であってもよい。或いは、いずれか一方が正で、他方が負であってもよい。
固有複屈折率とは、高分子鎖が完全に一軸配向した状態、すなわち高分子鎖が一軸方向に完全に伸びきった状態の複屈折率であり、複屈折率とは、延伸方向に対し平行方向の屈折率から、延伸方向に対し垂直方向の屈折率を差し引いた値である。よって、固有複屈折率が正とは、一軸延伸した場合における延伸方向に対し平行方向の屈折率の方が、延伸方向に対し垂直方向の屈折率よりも大きい状態を示す。
一般に、固有複屈折率が正の場合、延伸方向に対し平行な方向の屈折率は平均屈折率よりも増大する。一方、固有複屈折率が負の場合、延伸方向に対し平行な方向の屈折率は平均屈折率よりも減少する。
実際には、高分子鎖を完全に一軸配向させることは困難であるため、固有複屈折率の算出は困難である。しかし、固有複屈折率が正であるか負であるかは、適当な倍率で一軸延伸させたときの複屈折率の値が正であるか負であるかを確認することにより、判別することができる。つまり、複屈折率が正であれば、固有複屈折率も正であると判断できる。
また、前記(A)と前記(B)との平均屈折率の大小関係と、前記(A)と前記(B)
の複屈折率の大小関係とが等しいことが好ましい。すなわち、仮に、前記(A)と前記(B)との平均屈折率の大小関係が(A)>(B)とした場合、前記(A)と前記(B)の複屈折率の大小関係は(A)>(B)であることが好ましい。該大小関係が合致しない場合、仮に、本反射フィルムを延伸等により配向を付与した際、連続相(I)と分散相(II)の配向方向における屈折率差が生じにくいと考えられる。
しかしながら、少なくとも一軸方向に配向した本反射フィルムが、本発明の規定する範囲に属するのであれば、前記(A)と前記(B)との、平均屈折率と複屈折率の大小関係の合致はこの限りではない。
前記連続相(I)を形成する熱可塑性樹脂(A)と、前記分散相(II)を形成する熱可塑性樹脂(B)は、一種類の熱可塑性樹脂であってもよいし、二種類以上の熱可塑樹脂の混合樹脂であってもよい。
中でも、前記連続相(I)を形成する熱可塑性樹脂(A)と、前記分散相(II)を形成する熱可塑性樹脂(B)の少なくとも一方が、結晶性の熱可塑性樹脂であることが好ましい。結晶性の熱可塑性樹脂であれば、高分子鎖が配向しやすく、配向方向に対する連続相(I)と分散相(II)の屈折率差を増大させやすく、反射特性を向上させやすいため好ましい。また、熱処理の際に、結晶性の熱可塑性樹脂は、配向結晶化しやすくなり、寸法安定性の観点からも好ましい。
なお、結晶性の熱可塑性樹脂とは、一般に結晶融解ピーク温度(融点)が存在するとされる熱可塑性樹脂を指し、より具体的にはJIS K7121に準拠して行う示差走査熱量測定(DSC)において融点が観測される熱可塑性樹脂であって、いわゆる半結晶性の状態のものを包含する。逆に、DSCにおいて融点が観測されない熱可塑性樹脂を「非晶性」と称する。
このような結晶性の熱可塑性樹脂としては、特にその種類を限定するものではない。例えばポリエチレンテレフタレートやポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリ−1,4−シクロへキシレンジメチレンテレフタレート、ポリエチレンサクシネート、ポリブチレンサクシネート、ポリ乳酸、ポリ−ε−カプロラクタム等のポリエステル系樹脂、高密度ポリエチレンや低密度ポリエチレン、直鎖状ポリエチレン等のポリエチレン系樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体や、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、エチレン−ビニルアルコール共重合体、エチレン−塩化ビニル共重合体、エチレン−酢酸ビニル−一酸化炭素共重合体、エチレン−酢酸ビニル−塩化ビニル共重合体、エチン−αオレフィン共重合体等のエチレン系共重合体、ポリプロピレン系樹脂、ポリブテン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリオキシメチレン系樹脂、ポリメチルペンテン系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、ポリテトラフルオロエチレンや、ポリフッ化ビニリデン、エチレン−テトラフルオロエチレン系樹脂等のフッ素系樹脂、セルロース系樹脂、ポリエーテルエーテルケトンやポリエーテルケトン、ポリフェニレンサルファイド、ポリパラフェニレンテレフタルアミド等のエンジニアリングプラスチック、スーパーエンジニアリングプラスチックなどを挙げることができる。これらの中でもポリエステル系樹脂が好ましく、結晶性の芳香族ポリエステル系樹脂であることがさらに好ましい。
また、前記連続相(I)を形成する熱可塑性樹脂(A)と、前記分散相(II)を形成する熱可塑性樹脂(B)の少なくともどちらか一方が、ポリエステル系樹脂を主成分としてなることが好ましい。
(ポリエステル系樹脂)
上記のポリエステル系樹脂は、結晶性の熱可塑性樹脂であることが好ましい。結晶性のポリエステル系樹脂は、延伸を行うと、高分子鎖が配向しやすく、配向方向に対する連続相(I)と分散相(II)の屈折率差を増大させやすく、反射特性を向上させやすいため好ましい。また、熱処理の際に、配向結晶化しやすくなり、寸法安定性の観点からも好ましい。
一般に、ポリエステル系樹脂は、固有複屈折率が正となることが多く、中でも芳香族ポリエステル系樹脂は高い複屈折率を有する為、配向方向に対する連続相(I)と分散相(II)の屈折率差を増大させやすく、反射特性を向上させやすいため好ましい。
また、前記連続相(I)を形成する熱可塑性樹脂(A)と、前記分散相(II)を形成する熱可塑性樹脂(B)のどちらか一方が、ポリエステル系樹脂を主成分として含有し、もう一方が、フッ素系樹脂を主成分として含有することが好ましい。
一般にポリエステル系樹脂、特に芳香族ポリエステル系樹脂は平均屈折率が高く、フッ素系樹脂は平均屈折率が低いため、連続相(I)と分散相(II)の屈折率差を増大させやすく、反射特性を向上させやすいため好ましい。
ポリエステル系樹脂としては、特にその種類を限定するものではない。例えばポリエチレンテレフタレートやポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリ−1,4−シクロへキシレンジメチレンテレフタレート、ポリエチレンサクシネート、ポリブチレンサクシネート、ポリ乳酸、ポリ−ε−カプロラクタム等のポリエステル系樹脂などを挙げることができる。
これらの中でも、結晶性の芳香族ポリエステル系樹脂であることが好ましく、特にポリエチレンナフタレート系樹脂であることが、高い平均屈折率と高い複屈折率を有するという観点から好ましい。また、ガラス転移温度(Tg)や屈折率を調整する観点から、上記樹脂を組み合わせて用いてもよい。
また、ポリエチレンテレフタレート(PET)とポリエチレンナフタレート(PEN)
との混合樹脂も好ましい一例である。PENとPETは相溶するためで、PENにPETを混ぜることによって、Tgや屈折率が調整することができる。
ポリエチレンナフタレート系樹脂を使用する場合、該樹脂の重量平均分子量は、耐衝撃性や製膜性の観点から、3万以上であることが好ましく、4万以上であることがより好ま
しい。
上記ポリエステル系樹脂の固有粘度は、製膜性の観点から、0.5dl/g以上であることがより好ましい。
上記ポリエステル系樹脂のガラス転移温度(Tg)は、70℃〜120℃の範囲が好ましく、80℃〜120℃の範囲であることがより好ましい。ガラス転移温度が70℃以上であれば、フィルムの剛性を保持することができ、120℃以下であれば延伸が容易となるため好ましい。
さらに、上記ポリエステル系樹脂の融点(Tm)は、240℃〜270℃の範囲が好ましく、250℃〜270℃の範囲であることがより好ましい。融点が240℃以上であれば、十分な耐熱性を付与することができ、270℃以下であれば溶融押出時に、ポリエチレンナフタレート系樹脂以外の共存する熱可塑性樹脂の熱分解を抑制するため好ましい。
上記ポリエステル系樹脂としてポリエチレンナフタレート系樹脂を使用する場合、YI値が−10〜10の範囲内、特に−3〜3の範囲内であるものを用いるのが好ましい。また、ポリエチレンナフタレート系樹脂が各々混合物からなる場合には、各樹脂ともにYI値が−10〜10の範囲内であることが好ましい。YI値が−10〜10の範囲内であれば、例えば液晶ディスプレイ等に組み込むことにより、画像の精彩性をより一層良好にすることができ、輝度向上率をより一層高めることができる。
ポリエチレンナフタレート系樹脂としては、市販品を用いることもできる。例えば、テオネックスTN8065S(ポリエチレンナフタレートのホモポリマー、帝人化成(株)製、固有粘度0.71dl/g)、テオネックスTN8065SC(ポリエチレンナフタレートのホモポリマー、帝人化成(株)製、固有粘度0.55dl/g)、テオネックスTN8756C(ポリエチレンナフタレートとポリエチレンテレフタレートのコポリマー、帝人化成(株)製、固有粘度0.65dl/g)などを好ましい例として挙げることができる。
(フッ素系樹脂)
一方、前記フッ素系樹脂は、融解吸熱ピーク温度が130℃以上250℃以下であるのが好ましい。
フッ素系樹脂の融解吸熱ピーク温度が130℃未満の場合、ポリエステル系樹脂との混練・押出の際に表面荒れが生じたり、反射フィルムの耐熱性が低下したりするため、好ましくない。反射フィルムは、その性質上、光源周辺に配置されることが多いため、耐熱性が求められる。そのため、前記フッ素系樹脂の融解吸熱ピーク温度が130℃以上であることが好ましく、中でも好ましくは150℃以上、特に好ましくは180℃以上である。
また、フッ素系樹脂の融解吸熱ピーク温度が300℃を超える場合、ポリエステル系樹脂との混練・押出の際に、ポリエステル系樹脂の分解が促進されやすくなり、成形が困難となるため好ましくない。さらに、フッ素系樹脂の融解吸熱ピーク温度が250℃より大きく300℃未満の場合、表面荒れが生じたり、分散相(II)のモルフォロジーが粗雑になりやすくなったりするため、好ましくない。かかる理由により、フッ素系樹脂の融解吸熱ピーク温度は、245℃以下であることが好ましく、240℃以下であることがより好ましく、235℃以下であることが特に好ましい。
前記フッ素系樹脂は、低い平均屈折率を有する点、優れた延伸性を有することから、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン−ビニリデンフルオライド系樹脂、または、エチレン−テトラフルオロエチレン系樹脂であることが好ましい。
例えば、前記テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン−ビニリデンフルオライド系樹脂、または、エチレン−テトラフルオロエチレン系樹脂を使用する場合、該フッ素系樹脂の融点(Tm)は、耐熱性付与の理由において、130℃〜250℃の範囲が好ましく、中でも180℃〜240℃以下の範囲が更に好ましい。
テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン−ビニリデンフルオライド系樹脂やエチレン−テトラフルオロエチレン系樹脂は、市販品を用いることもできる。例えば、Dyneonシリーズ(3M社製)、Fluon ETFE、Fluon LM−ETFE、Fluon LM−ETFE AHシリーズ(旭硝子社製)、ネオフロンETFE EPシリーズ(ダイキン工業社製)などを好ましい例として挙げることができる。
(正反射フィルム(X)の組成)
正反射フィルム(X)を構成する、前記連続相(I)を形成する熱可塑性樹脂(A)と前記分散相(II)を形成する熱可塑性樹脂(B)の混合質量比は、(A)/(B)=90質量%/10質量%〜50質量%/50質量%であることが好ましく、中でも80質量%/20質量%〜55質量%/45質量%、その中でも75質量%/25質量%〜60質量%/40質量%であるのが特に好ましい。このような混合質量比とすることにより、分散相が少なくなり過ぎず、連続相と分散相との界面における散乱が小さくなり反射特性が低下するなどのおそれがないため好ましい。
なお、本反射フィルムは、前記熱可塑性樹脂(A)と前記熱可塑性樹脂(B)を少なくとも1種ずつ含有していれば、さらに他の熱可塑性樹脂を含有しても構わず、例えば前記熱可塑性樹脂(B)に該当する熱可塑性樹脂を2種以上含んでいても構わない。
(その他成分)
本反射フィルムには、正反射フィルム(X)の分散性を向上させる目的で、必要に応じて相溶化剤(C)などの添加剤を添加してもよい。
相溶化剤(C)としては、正反射フィルム(X)における連続相及び分散相の種類に応じて慣用の相溶化剤から選択することができ、例えば、ポリカーボネート樹脂、エステル系樹脂、エポキシ基を持つ樹脂、オキサゾリン環を持つ樹脂、アズラクトン基を持つ樹脂から選ばれた少なくとも1つの樹脂と、スチレン系樹脂、ポリフェニレンオキシド、ポリアミドから選ばれた少なくとも1つの樹脂とからなるブロックコポリマー、あるいはグラフトコポリマーを挙げることができる。中でも、分散性向上の点で、エポキシ基やオキサゾリン基を持つ樹脂などが特に好ましく、特にエポキシ変性のものが好ましい。
相溶化剤(C)を添加する場合の配合割合は、前記熱可塑性樹脂(A)及び前記熱可塑性樹脂(B)の合計100質量部に対して、0.1〜20質量部、好ましくは0.2〜15質量部、特に0.2〜10質量部、さらに好ましくは1〜10質量部とするのが好ましい。
また、前記相溶化剤(C)以外の添加剤として、本発明の効果を著しく阻害しない範囲内で、一般に樹脂組成物に配合される添加剤を適宜添加できる。前記添加剤としては、成形加工性、生産性および本反射フィルムの諸物性を改良・調整する目的で添加される、、難燃剤、耐候性安定剤、耐熱安定剤、帯電防止剤、溶融粘度改良剤、架橋剤、滑剤、核剤、可塑剤、老化防止剤、酸化防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤、中和剤、防曇剤、アンチブロッキング剤、スリップ剤または着色剤などの添加剤が挙げられる。具体的には、「プラスチックス配合剤」のP154〜P158に記載されている酸化防止剤、P178〜P182に記載されている紫外線吸収剤、P271〜P275に記載されている帯電防止剤としての界面活性剤、P283〜P294に記載されている滑剤などが挙げられる。
(分散相(II)の分散径)
本反射フィルムは、前記分散相(II)の流れ方向の平均寸法(L1)、及び、幅方向の平均寸法(L2)が、0.45μm以上、100μm以下であり、前記分散相(II)の厚み方向の平均寸法(L3)が、0.01μm以上、0.45μm以下であることが重要である。分散径は、後述する方法により測定することができる。
本反射フィルムは、分散相(II)が、扁平した楕円状、又は、円盤状となる。前記分散相(II)の流れ方向の平均寸法(L1)、及び、幅方向の平均寸法(L2)が、0.45μm以上であれば、光の波長オーダーよりも十分大きい為、フィルム面内に入射された光が連続相(I)と分散相(II)の界面で十分反射させることが可能となり、高い反射特性を付与することができる。かかる観点から、前記L1、およびL2の下限値は0.80μm以上であることがより好ましく、1.20μm以上であることがさらに好ましい。
一方、前記L1、およびL2の上限値は、分散性向上の理由から、80μm以下であることが好ましく、50μm以下であることがより好ましく、20μm以下であることがさらに好ましい。
また、前記分散相(II)の厚み方向の平均寸法(L3)が、0.01μm以上、0.
45μm以下であることが重要である。前記(L3)が、0.01μm以上であることにより、本反射フィルムの厚み方向の断面において、前記分散相(II)で形成される非常に薄い断面が何層も重なった状態となる。すなわち、連続相(I)と分散相(II)による海島構造を有する、少なくとも2種の熱可塑性樹脂の含有物で、擬似的な超多層構造を形成することが可能となる。かかる観点から、(L3)の下限値は、0.02μm以上であることがより好ましく、0.03μm以上であることがさらに好ましい。
また、前記(L3)が、0.45μm以下であれば、分散相の厚みが十分に薄い為、フィルム表面の表面粗さを抑制し、金属のような光沢を有した、高い反射率と正反射特性を付与することが可能となる。かかる観点から、(L3)の上限値は0.35μm以下であることがより好ましく、0.25μm以下であることがさらに好ましい。
前記分散相(II)の流れ方向の平均寸法(L1)、及び、幅方向の平均寸法(L2)
が、0.45μm以上、100μm以下であり、前記分散相(II)の厚み方向の平均寸法(L3)が、0.01μm以上、0.45μm以下とする手法としては、前記連続相(I)を形成する熱可塑性樹脂(A)と、前記分散相(II)を形成する熱可塑性樹脂(B)とを、単軸押出機、又は、二軸押出機等を用いて相溶しない程度に十分に混錬する手法、一軸延伸により前記分散相(II)を形成する熱可塑性樹脂(B)を十分に伸長する方法、同時二軸延伸により前記分散相(II)を形成する熱可塑性樹脂(B)を十分に伸長する方法、逐次二軸延伸により前記分散相(II)を形成する熱可塑性樹脂(B)を十分に伸長する方法、Tダイキャスト法において製膜する際に、引き取り速度(キャストロールの速度)を速くすることによって前記分散相(II)を形成する熱可塑性樹脂(B)を十分に伸長する方法、キャスト法で引き取り速度を速くし、前記分散相(II)を形成する熱可塑性樹脂(B)を伸長した後、さらに、幅方向に一軸延伸し、分散相(II)を形成する熱可塑性樹脂(B)を伸長する方法、インフレーション法によって製膜する際に、引き取り速度を速くすることによって前記分散相(II)を形成する熱可塑性樹脂(B)を十分に伸長する方法、圧延やプレスにより前記分散相(II)を形成する熱可塑性樹脂(B)を十分に伸長する方法などが挙げられる。
<拡散反射フィルム(Y)>
本反射フィルムを構成する微粉状充填剤を含有する拡散反射フィルム(Y)は、微粉状充填剤を含有することで、ポリオレフィン系樹脂との屈折率差による屈折散乱のほか、微粉状充填剤の周囲に形成される空洞との屈折率差による屈折散乱、さらに微粉状充填剤の周囲に形成される空洞と微粉状充填剤との屈折率差による屈折散乱などからも光反射性を得ることができる。率差による屈折散乱のほか、微粉状充填剤の周囲に形成される空洞との屈折率差による屈折散乱、さらに微粉状充填剤の周囲に形成される空洞と微粉状充填剤との屈折率差による屈折散乱などからも光反射性を得ることができる。
(ポリオレフィン系樹脂)
ポリオレフィン系樹脂層としては、例えばポリプロピレン、プロピレン−エチレン共重合体等のポリプロピレン樹脂や、ポリエチレン、高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン等のポリエチレン樹脂や、エチレン−環状オレフィン共重合体等のシクロオレフィン系樹脂や、エチレン−プロピレンゴム(EPR)、エチレン−プロピレン−ジエンターポリマー(EPDM)等のオレフィン系エラストマーから選ばれた少なくとも一種のポリオレフィン樹脂を挙げることができる。これらの中でも、機械的性質、柔軟性などから、ポリプロピレン樹脂(PP)やポリエチレン樹脂(PE)、シクロオレフィン系樹脂が好ましく、その中でも特に、耐熱性に優れており、弾性率等の機械特性が高いという観点から、ポリプロピレン樹脂(PP)、シクロオレフィン系樹脂(COC, COP)が好ましい。
(微粉状充填剤)
拡散反射フィルム(Y)に用いる微粉状充填剤としては、無機質微粉体、有機質微粉体等を挙げることができる。
無機質微粉体としては、例えば炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム、硫酸マグネシウム、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化チタン、酸化亜鉛、アルミナ、水酸化アルミニウム、ヒドロキシアパタイト、シリカ、マイカ、タルク、カオリン、クレー、ガラス粉、アスベスト粉、ゼオライト、珪酸白土等を挙げることができる。これらは、いずれか1種または2種以上を混合して用いることができる。
これらの中でも、シートを構成するポリオレフィン系樹脂との屈折率差を考慮すると、屈折率の大きいものが好ましく、屈折率が1.6以上である、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、酸化チタン又は酸化亜鉛を用いることが特に好ましい。
中でも、酸化チタンは、他の微粉状充填剤に比べて屈折率が顕著に高く、ポリオレフィン系樹脂との屈折率差が顕著に大きいため、他の微粉状充填剤を使用した場合よりも少ない配合量で優れた反射性を得ることができる。さらに、酸化チタンを用いることにより、反射材の厚みを薄くしても高い光反射性を得ることができる。
従って、少なくとも酸化チタンを含む充填剤を用いるのがより好ましく、この場合、酸化チタンの量は、無機充填剤の合計質量の30質量%以上、又は有機充填剤と無機充填剤とを組み合わせて使用する場合はその合計質量の30質量%以上とするのが好ましい。
また、無機質微粉体の樹脂への分散性を向上させるために、微粉状充填剤の表面に、シリコン系化合物、多価アルコール系化合物、アミン系化合物、脂肪酸、脂肪酸エステル等で表面処理を施したものを使用してもよい。
他方、上記の有機質微粉体としては、ポリマービーズ、ポリマー中空粒子等が挙げられ、これらは、いずれか1種または2種以上を混合して用いることができる。また、無機質微粉体と有機質微粉体とを組み合わせて用いてもよい。
上記微粉状充填剤は、粒径が0.05μm〜15μmであることが好ましく、より好ましくは粒径が0.1μm以上或いは10μm以下である。充填剤の粒径が0.05μm以上であれば、オレフィン系樹脂への分散性が低下することがないので、均質なシートが得られる。また粒径が15μm以下であれば、オレフィン系樹脂と微粉状充填剤との界面が緻密に形成されて、高反射性の反射シートが得られる。
拡散反射フィルム(Y)おける、ポリオレフィン系樹脂と微粉状充填剤の含有割合としては、光反射性、機械的強度及び生産性等の観点から、ポリオレフィン系樹脂:微粉状充填剤=80:20〜30:70、特に80:20〜60:40とするのが好ましい。微粉状充填剤の含有量が20質量%以上であれば、ベース樹脂と微粉状充填剤との界面の面積を充分に確保することができ、反射材に高反射性を付与することができる。微粉状充填剤の含有量が80質量%以下であれば、反射シートに必要な機械的強度を確保することができる。
なお、拡散反射フィルム(Y)に空隙を形成させる方法としては、例えば、少なくとも一軸方向に延伸させることによる方法や、発泡性粒子を添加し、溶融押出することによってフィルム内部にて発泡させる方法のほか、不活性ガスを高圧で溶解させ、その後、圧力を開放することにより多孔質層を形成させる方法などがある。なお、これらの方法の何れか一種の方法を採用してもよいし、複数の方法を組み合わせて採用してもよい。
(空隙率)
拡散反射フィルム(Y)は、反射性能を確保する観点から、内部に20%以上80%以下の範囲で微細な空隙を有するのが好ましい。より好ましくは25%〜75%以下、更に好ましくは30%〜70%以下である。
<接着層(Z)>
本反射フィルムの内、熱可塑性樹脂からなる接着層(Z)は、本発明において規定する範囲を逸脱しなければ、特に限定されることはない。例えば、無水マレイン酸変性ポリオレフィン系樹脂、アクリル系粘着樹脂、または、前記正反射フィルム(X)を構成する熱可塑性樹脂と前記拡散反射フィルム(Y)を構成する熱可塑性樹脂との混合物等が挙げられる。これらの中でも、接着性と入手の容易さとの両面を考慮すると、無水マレイン酸により変性されたポリオレフィン系樹脂が好ましい。
当該無水マレイン酸により酸変性されたポリオレフィン系樹脂としては、市販品を用いることもできる。例えば、アドマー(三井化学社製)、アウローレン(日本製紙社製)、DPA(デュポン社製)などを好ましい例として挙げることができる。
<本反射フィルムの形状および物性>
(層構成)
本反射フィルムは、少なくとも2種の熱可塑性樹脂を含有し、連続相(I)と分散相(II)による海島構造を有する正反射フィルム(X)と、ポリオレフィン系樹脂と微粉状充填剤との混合物を主成分とする拡散反射フィルム(Y)とが、熱可塑性樹脂からなる接着層(Z)を介して共押出により積層一体化された構成であれば、特に限定されない。また、本発明の主旨を超えない範囲で、力学特性やその他の改良など、必要に応じて他の層Pを適宜導入してもよい。例えば、力学特性向上のため金属板と重ね合わせることができる。
例えば、X/Z/Yの3層構成の他にも、X/Z/Y/P等の4層構成、X/Z/Y/Z/X、X/Z/Y/P/Y、X/Z/Y/P/X、X/Z/Y/Z/P等の5層構成、X/Z/Y/P/Y/Z/X等の7層構成、X/Z/Y/Z/P/Z/Y/Z/X等の9層構成とすることもできる。また、積層構成とするにあたり、各層の樹脂組成に関しては同一であっても異なっていてもよい。
(厚み)
本反射フィルムの厚みは、40〜1000μmであるのが好ましい。本反射フィルムの厚みが40μm以上であれば、十分な反射率と正反射特性を得ることができ、1000μm以下であれば十分な実用面の取扱い性を有することができる。かかる観点から、より好ましくは、50〜800μm、さらに好ましくは60〜400μmである。
(厚み比)
本反射フィルムの厚みに対し、前記正反射フィルム(X)の厚みは、8〜23%、好ましくは10〜17%、さらに好ましくは12〜14%である。また、前記拡散反射フィルム(Y)の厚みは、70〜90%、好ましくは77〜87%、さらに好ましくは82〜84%である。前記接着層(Z)の厚みは、2〜7%、好ましくは3〜6%、さらに好ましくは4〜5%である。
各層の厚み比が上記範囲であれば、本反射フィルムに正反射特性と高反射率とを効率よく付与することができる。また、前記正反射フィルム(X)と前記拡散反射フィルム(Y)との接着性を十分に担保することができる。
(平均反射率および平均透過率)
本反射フィルムは、測定波長400nm〜700nmの平均反射率が90%以上であることが重要である。前記平均反射率が90%以上であることにより、フィルムの反射特性を担保することができる。かかる理由により、95%以上であることがさらに好ましく、97%以上であることが特に好ましい。このような反射性能を有するものであれば、反射材として良好な反射特性を示し、この反射材を組み込んだ液晶ディスプレイ等はその画面が十分な明るさを実現することができる。
また、本反射フィルムは、可視光領域(380−780nm)での透過率が当該全領域の波長にわたり5%以下であるのが好ましい。これにより、反射面の裏側の光の透過を抑制でき、光隠蔽性に優れた反射フィルムを得ることができる。
平均反射率および平均透過率を所望の範囲とするためには、前記連続相(I)を形成する熱可塑性樹脂(A)の平均屈折率と前記分散相(II)を形成する熱可塑性樹脂(B)の平均屈折率との差の絶対値や、前記分散相(II)の分散径の制御により、達成可能である。
(製膜方法)
本反射フィルムの製造方法としては、特に制限されるものではなく、公知の方法を採用することができる。以下に、積層構成を備えた本反射フィルムの製造方法について、一例を挙げて説明するが、下記製造方法に何ら限定されるものではない。
先ず、ポリオレフィン系樹脂に、微粉状充填剤、および、必要に応じてその他添加剤を予め配合しておく。具体的には、ポリオレフィン系樹脂に微粉状充填剤その他酸化防止剤等を必要に応じて加えて、リボンブレンダー、タンブラー、ヘンシェルミキサー等で混合した後、バンバリーミキサー、1軸又は2軸押出機等を用いて、樹脂の流動開始温度以上の温度で混練することにより、シート(Y)用の樹脂組成物を得ることができる。又は、ポリオレフィン系樹脂、微粉状充填剤等を別々のフィーダー等により所定量を添加して混練することにより得ることができる。また、ポリオレフィン系樹脂とその他の酸化防止剤等を予めに高濃度に配合したいわゆるマスターバッチを作っておき、このマスターバッチとポリオレフィン系樹脂や微粉状充填剤とを混合して所望の濃度に調整することもできる。
他方、熱可塑性樹脂(A)および熱可塑性樹脂(B)に、必要に応じて相溶化剤(C)、酸化防止剤等を添加しシート(X)用の樹脂組成物とする。具体的にはリボンブレンダー、タンブラー、ヘンシェルミキサー等で混合した後、バンバリーミキサー、1軸又は2軸押出機等を用いて、樹脂の流動開始温度以上の温度で混練することにより、得ることができる。また、熱可塑性樹脂(A)および熱可塑性樹脂(B)とその他の相溶化剤(C)や酸化防止剤等を予めに高濃度に配合したいわゆるマスターバッチを作っておき、このマスターバッチと熱可塑性樹脂(A)および熱可塑性樹脂(B)とを混合して所望の濃度に調整することもできる。
次に、このようにして得られたシート(X)用の樹脂組成物、及び、シート(Y)用の樹脂組成物を乾燥させた後、接着層(Z)用の熱可塑性樹脂と共にそれぞれ別の押出機に供給し、それぞれ所定の温度以上に加熱して溶融させる。
押出温度等の条件は、各層に用いる熱可塑性樹脂により異なるが、いずれの樹脂を用いる場合においても分解によって分子量が低下すること等を考慮して設定されることが必要である。例えば、各層において、上述の例に挙げた熱可塑性樹脂を用いる場合には、前記シート(Y)用の樹脂組成物および前記接着層(Z)用の熱可塑性樹脂の押出温度は220℃〜290℃、前記シート(X)用の樹脂組成物の押出温度は270℃〜290℃であることが好ましい。
その後、溶融した各樹脂組成物を3種5層あるいは、3種3層用のTダイに合流させ、Tダイのスリット状の吐出口から積層状に押出し、冷却ロールに密着固化させてキャストシートを形成する。
本反射フィルムは、少なくとも一軸方向に延伸されてなることが好ましい。延伸方向としては、MDとTDのいずれかでも、両軸でもよい。但し、本反射フィルムの有する特性をより効果的に発現させるためには、MD、TD両方向に延伸し、フィルムを配向させること好ましい。延伸することにより、樹脂組成物Aにおいて内部のポリオレフィン系樹脂と微粉状充填剤の界面が剥離して空隙が形成され、シートの白化が進行して、フィルムの光反射性を高めることができる。
MD、TD両方向にフィルムを配向させる方法としては、上述の延伸による方法以外にも、例えば、Tダイキャスト法において製膜する際に、引き取り速度(キャストロールの速度)を速くすることによってMDにドラフトをかけた後にTDに延伸する方法、インフレーション法によって製膜する際に、引き取り速度を速くすることによってMDにドラフトをかけた後にTDに延伸する方法などを例示できる。
中でも、製膜安定性や生産効率化を考慮する場合には、上述の通りTダイキャスト法によって製膜したシートを、MD、TDに二軸延伸する方法を選択することが好ましい。
このように二軸延伸することにより、連続相(I)中に分散相(II)をほぼ一定方向に配列させて固定させることができるため、連続相(I)と分散相(II)との屈折率差は延伸方向に大きくなるとともに、分散相(II)が延伸方向に伸長され、分散相の分散径が、本発明の好ましい範囲内に含まれてくる。そのため、分散相(II)が擬似的な超多層構造を有するようになり、金属のような光沢を有する反射フィルムを作製することができる。また、、2軸延伸することによって、樹脂組成物Aにおけるポリオレフィン系樹脂と微粉状充填剤との界面の剥離面積が増大し、シートの白化がさらに進行し、その結果、フィルムの光反射性をさらに高めることができる。
また、2軸延伸するとフィルムの収縮方向の異方性が少なくなるので、フィルムに耐熱性を向上させることができ、またフィルムの機械的強度を増加させることもできる。
延伸方法は、引っ張り延伸法、ロール間延伸法、ロール圧延法、その他の方法のいずれを採用してもよい。
延伸温度は、樹脂のガラス転移温度(Tg)程度から(Tg+50℃)の範囲内の温度とするのが好ましい。延伸温度がこの範囲であれば、延伸時に破断することなく安定して延伸を行うことができる。
延伸倍率は、特に限定するものではない。例えば、MD及び/又はTDに2〜9倍好
ましくはMD及び/又はTDに3〜9倍、特にMD及び/又はTDに4〜7倍とするのが好ましい。延伸倍率が、MD及び/又はTDに2倍以上であれば、正反射シート(X)における分散相(II)が伸長し、本発明の規定する範囲に調整しやすくなり、かつ拡散反射シート(Y)におけるポリオレフィン系樹脂と微粉状充填剤との界面の剥離面積が増大するため好ましい。また、配向が付与され、連続相(I)を形成する熱可塑性樹脂(A)と分散相を形成する熱可塑性樹脂(B)との屈折率差が増大し、反射率向上の効果が得られるため好ましい。一方、9倍以下であれば、フィルムの破断を抑制できる為、好ましい。
延伸したシートは、耐熱性及び寸法安定性を付与するべく、熱処理するのが好ましい。
熱処理温度は、使用する樹脂にもよるが、上述の例に挙げた樹脂組成物を使用する場合には、140〜170℃とするのが好ましく、150〜160℃とするのがさらに好ましい。熱処理に要す処理時間は、好ましくは1秒〜5分である。
(剥離強度)
本反射フィルムにおける正反射フィルム(X)と拡散反射フィルム(Y)の剥離強度は、0.7N/cm以上であることが好ましく、0.8N/cm以上であることがより好ましく、1.0N/cm以上であることがさらに好ましい。剥離強度が0.7以上であれば、実用面における取扱いにおいて、正反射フィルム(X)と拡散反射フィルム(Y)が剥離しない十分な接着力を得ることができる。
(正反射特性)
本反射フィルムの反射特性として、正反射性を示すことが好ましい。反射特性の評価方法としては、変角光度測定があり、例えば、フィルムの面に対して法線方向を0°とし、入射角を、−X°として、サンプルに光を入射した時、サンプルが拡散反射性を示す場合においては、その反射光は様々な角度に広がりを持って反射される。一方、サンプルが正反射性を示す場合、反射光の分布は、反射角X°をピークとした反射光分布を示す。このとき、正反射性が高い程、ピークがシャープに現れる。このとき、反射された光のピークの最大強度を100%と規格化し、横軸受光角、縦軸受光相対ピーク強度としたときの受光相対ピーク強度が1%、10%となる受光角幅が正反射特性の指標となる。
この受光相対ピーク強度10%の受光角幅は、10°以下であることが好ましい。10°以下であれば、入射角に対して、指向性の強い反射光を得ることができ、優れた正反射特性を示す。また、受光相対ピーク強度1%の受光角幅は、50°以下であることが好ましい。50°以下であれば、入射角に対して、入射した光のロスを防ぐことができ、指向性の強い反射光を得ることができ、優れた正反射特性を示す。
(表面粗さ)
本反射フィルムの表面粗さは、少なくとも片方の表面の算術平均粗さRaとして、0.
2μm以下であることが好ましく、0.15μm以下であることがより好ましい。算術平均粗さRaを上述の範囲にする手段としては、例えば、分散相(II)にフッ素系樹脂であるエチレン−テトラフルオロエチレン系樹脂を用いた場合、その融点が所定の範囲にあるものを選択することにより、調整することができる。該樹脂の融点が130℃以上250℃以下であることにより、伸長変形が容易となるため、表面荒れを防止することができる。
また、製膜時において、溶融した組成物をTダイのスリット状の吐出口から押し出し、
冷却ロールに密着固化させる際に、溶融した樹脂組成物の両面を平滑性の優れたフィルムにより挟み込む、もしくは、溶融した樹脂組成物の片面を平滑性の優れたフィルムにより貼りあわせることや、平滑性の優れた金属膜や金属ベルトを押し当てること等によっても表面粗荒れを防止することができる。
<用語の説明>
本反射フィルムの形態は特に限定するものではなく、板状、シート状、フィルム状その他の形態を包含する。
一般的に「フィルム」とは、長さ及び幅に比べて厚みが極めて小さく、最大厚みが任意に限定されている薄い平らな製品で、通常、ロールの形で供給されるものをいい(日本工業規格JISK6900)、一般的に「シート」とは、JISにおける定義上、薄く、一般にその厚みが長さと幅のわりには小さく平らな製品をいう。しかし、シートとフィルムの境界は定かでなく、本発明において文言上両者を区別する必要がないので、本発明においては、「フィルム」と称する場合でも「シート」を含むものとし、「シート」と称する場合でも「フィルム」を含むものとする。
本発明が提案する反射フィルムは、高い反射特性と正反射特性を有し、金属のような光沢を有することから、液晶表示装置、照明装置、装飾用物品などの用途に幅広く使用することができる。
以下に実施例を示し、本発明を更に具体的に説明する。但し、本発明はこれらに限定されるものではなく、本発明の技術的思想を逸脱しない範囲内で種々の応用が可能である。
<測定及び評価方法>
先ずは、実施例・比較例で得たサンプルの各種物性値の測定方法及び評価方法について説明する。
(1)熱可塑性樹脂(A)および熱可塑性樹脂(B)の平均屈折率差
アタゴ製アッベ屈折率計を用い、ナトリウムD線(589nm)を光源とし、JIS
K7124により、実施例、及び、比較例に用いたそれぞれの原料の平均屈折率を測定した後、平均屈折率差を算出した。
(2)厚み
得られた反射フィルムの全厚みについては、1/1000mmのダイヤルゲージにて、面内を不特定に5箇所測定しその平均を厚みとした。
正反射フィルム(X)、拡散反射フィルム(Y)、接着層(Z)の各層厚みについては 走査型電子顕微鏡(SEM)にて得られたフィルムの断面を観察し、得られた写真を用いて測定した。
(3)反射率の評価方法
分光光度計(「U―3900H」、(株)日立製作所製)に積分球を取付け、アルミナ白板を100%とした時の反射率を、波長300nm〜800nmにわたって0.5nm間隔で測定し、反射率を得た。得られた測定値をもとに各波長領域での平均値を計算し、この値を平均反射率(%)とした。
(4)透過率の評価方法
分光光度計(「U―3900H」、(株)日立製作所製)に積分球を取付け、波長300nm〜800nmにわたって0.5nm間隔で測定し、透過率(%)を得た。なお、測定前にアルミナ白板を標準板として校正を行った。
(5)分散相(II)の流れ方向の平均寸法(L1)
走査型電子顕微鏡(SEM)にて得られたフィルムのMD断面を観察し、得られた写真より分散相(II)の分散径の平均値を算出し、下記基準にて判断した。
○:平均寸法(L1)が、0.45μm以上、100μm以下である。
×:平均寸法(L1)が、0.45μm未満、または、100μmより大きい。
(6)分散相(II)の幅方向の平均寸法(L2)
走査型電子顕微鏡(SEM)にて得られたフィルムのTD断面を観察し、得られた写真より分散相(II)の分散径の平均値を算出し、下記基準にて判断した。
○:平均寸法(L2)が、0.45μm以上、100μm以下である。
×:平均寸法(L2)が、0.45μm未満、または、100μmより大きい。
(7)分散相(II)の厚み方向の平均寸法(L3)
走査型電子顕微鏡(SEM)にて得られたフィルムのMD断面、TD断面を観察し、得られた写真より分散相(II)の分散径の平均値を算出し、下記基準にて判断した。
○:平均寸法(L3)が、0.01μm以上、0.45μm以下である。
×:平均寸法(L3)が、0.01μm未満、または、0.45μmより大きい。
(8)変角光度測定
ゴニオフォトメーターGR200(村上色彩研究所製、自動変角光度測定機)を用い、
フィルムの面に対して法線方向0°とし、入射角を−45°として、サンプルに光を入射し、−60°から90°の範囲でフィルムに反射された光を受光した。このとき、得られるピークの最大強度を100%と規格化し、横軸受光角、縦軸受光相対ピーク強度のグラフを作成した。得られたグラフより、受光相対ピーク強度が1%、10%となる受光角幅を算出した。この受光角幅が狭い方がより正反射性が強いことを示す。得られた結果より、下記基準にて判断した。
○;受光相対ピーク強度10%の受光角幅が10°以下である。
×;受光相対ピーク強度10%の受光角幅が10°より大きい。
○;受光相対ピーク強度1%の受光角幅が50°以下である。
×;受光相対ピーク強度1%の受光角幅が50°より大きい。
(9)算術平均粗さRa
JIS B0601−2001に準拠する。
まず、反射フィルムを9mm幅×6mm長さで切り出す。切り出した反射フィルムを、
観察用ホルダーにカーボン両面テープ(日新EM株式会社製)に貼り付ける。その後、観察時の試料表面での帯電(チャージアップ)を防止するため、試料の周囲6箇所に導電ペーストを乗せ、表面にPt−Pdを10mAで100秒蒸着する。前記サンプルをESA−2000(エリオニクス社製、非接触式三次元粗さ計)にて、測定倍率250倍(測定範囲:480μmx360μm)にて観察し、算術平均粗さRaを算出した。
○;算術平均粗さRaが0.15μm以下
×;算術平均粗さRaが0.15μmを超える。
(10)熱収縮率
得られた反射フィルムについて、測定方向に沿って100mmの間隔の標線を引き、予め90℃に予熱したオーブンの中に吊るした。30分後サンプルを取り出し、室温まで放冷した後、サンプルの標線間の長さを金属スケールで測定し、加熱前後の変化を収縮率とした。測定方向はMD、TD両方向にて測定した。
○;熱収縮率が0.5%以下
×;熱収縮率が0.5%を超える。
(11)空隙率
延伸前のフィルムの密度(ρと表記する)と、延伸後のフィルムの密度(ρと表記する)を測定し、下記式に代入してフィルムの空隙率(%)を求めた。
空隙率(%)={(ρ−ρ)/ρ}×100
(12)剥離強度
JIS Z0237に準拠して、正反射フィルム(X)と拡散反射フィルム(Y)との引き剥がし強度を測定した。まず、サンプルを横50mm×縦150mmに切り出し、当該サンプルの縦方向にテープ43として、セロハンテープ(ニチバン社製、JIS Z1522)を貼付け、当該テープ背面が重なるように180°に折り返し、当該サンプルから25mm剥がした。次に、引張試験機(インテスコ社製、インテスコIM−20ST)の下部チャックに剥がした部分のサンプルの片端を固定し、上部チャックにテープを固定し、試験速度300mm/分にて接着強度を測定した。測定後、最初の25mmの長さの測定値は無視し、試験片から引き剥がされた50mmの長さの剥離強度測定値を平均し、その強度値をテープ幅で除し、剥離強度とした。測定方向はMD、TD両方向にて測定した。
○;剥離強度が1.0N/cm以上
×;剥離強度が1.0N/cm未満
<正反射フィルム(X)用の樹脂組成物>
熱可塑性樹脂(A)としてのポリエチレンナフタレート樹脂(平均屈折率:1.646、Tg:118℃、Tm:261℃、固有粘度0.71dl/g、重量平均分子量5万、固有複屈折率:正、以下、A−1と表記)と、熱可塑性樹脂(B)としてのテトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン−ビニリデンフルオライド系(3M社製、Dyneon THV815GZ;平均屈折率:1.3547、Tm:223℃、以下B−1と表記)とをそれぞれ70:30の質量混合比で配合し、十分混合した後、290℃で加熱された二軸押出機を用いてペレット化し、正反射フィルム(X)用の樹脂組成物を作製した。
<拡散反射フィルム(Y)用の樹脂組成物>
ポリプロピレン樹脂(日本ポリプロ株式会社製、商品名「ノバテックPP FY6HA)のペレットと、酸化チタン(KRONOS社製、商品名「KRONOS2450)と、55:45の質量割合で混合した後、金属石鹸(日本化成工業 ZS−6)、酸化防止剤(ADEKA PEP36およびAO−80)、β晶核剤(3,9−ビス[4−(N−シクロヘキシルカルバモイル)フェニル]−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン)をそれぞれ混合質量100に対して0.2、0.1、0.1、0.08部添加し、250℃で加熱された二軸押出機を用いてペレット化し、拡散反射フィルム(Y)用の樹脂組成物を作製した。
<実施例1>
上記正反射フィルム(X)用の樹脂組成物、拡散反射フィルム(Y)用の樹脂組成物、そして接着層(Z)用の熱可塑性樹脂として、無水マレイン酸変性PO(三井化学社製 アドマー SF731)とをそれぞれ、290℃、230℃、230℃に加熱された押し出し機A、B、Cに供給し、各押出機において、290℃および230℃で溶融混練した後、3種5層用のTダイに合流させ、正反射フィルム(X)/接着層(Z)/拡散反射フィルム(Y)/接着層(Z)/正反射フィルム(X)の5層構成になるようにシート状に押出し、ロール温度127℃のキャストロールにて冷却固化して、積層シートを得た。
得られたキャストシートを、予熱ロール、延伸ロール、冷却ロールからなる縦延伸機にて、予熱温度120℃、延伸温度130℃、冷却温度60℃にて、延伸ロール間でのロール速度差によりMDに2.7倍延伸した。
その後、得られた縦延伸フィルムを、予熱ゾーン、延伸ゾーン、熱処理ゾーンからなるテンターにて、予熱140℃、延伸136℃、熱処理155℃にてTDに4.2倍延伸した。予熱ゾーン、延伸ゾーン、熱処理ゾーンの通過時間はそれぞれ32秒であった。得られた反射フィルムの評価結果を表1に示す。
<実施例2>
実施例1において、熱可塑性樹脂B−1の代わりに、エチレン−テトラフルオロエチレン系樹脂(旭硝子社製、Fluon LM−720AP;平均屈折率:1.3795、Tm:227℃、以下、B−2と表記)を用いた以外は、実施例1と同様にして反射フィルムを得た。得られた反射フィルムの評価結果を表1に示す。
<比較例1>
実施例2において、正反射フィルム(X)/拡散反射フィルム(Y)/正反射フィルム(X)の3層構成になるようにシート状に押出した以外は、実施例2と同様にした。ただし、接着層(Z)を有していないことから、得られたキャストシートにおいて正反射フィルム(X)と拡散反射フィルム(Y)とが接着せず、延伸させることができなかった。
<比較例2>
実施例2において、正反射フィルム(X)用の樹脂組成物を溶融混練した後、ロール温度110℃のキャストロールにて冷却固化して厚さ950μmの正反射フィルム(X)単層シートとなるように押出た以外は、実施例2と同様にして作製した。
得られたシートを、予熱ロール、延伸ロール、冷却ロールからなる縦延伸機にて、予熱温度120℃、延伸温度130℃、冷却温度70℃にて、延伸ロール間でのロール速度差によりMDに3倍延伸した。
その後、得られた縦延伸フィルムを、予熱ゾーン、延伸ゾーン、熱処理ゾーンからなるテンターにて、予熱130℃、延伸130℃、熱処理180℃にてTDに4倍延伸した。予熱ゾーン、延伸ゾーン、熱処理ゾーンの通過時間はそれぞれ32秒であった。得られたフィルムの評価結果を表1に示す。
<比較例3>
比較例2において、熱可塑性樹脂B−2の代わりに、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン−ビニリデンフルオライド系樹脂(3M社製、THV221GZ;平均屈折率:1.363、Tm:113℃、固有複屈折率:正、以下、B−3と表記)を用いた以外は、比較例2と同様にしてフィルムを得た。得られたフィルムの評価結果を表1に示す。
Figure 2015230351
上記結果より明らかであるように、実施例1〜2の反射フィルムは、連続相(I)と分散相(II)による海島構造を有する正反射フィルム(X)と、ポリオレフィン系樹脂と微粉状充填剤との混合物を主成分とする拡散反射フィルム(Y)とが、熱可塑性樹脂からなる接着層(Z)を介して共押出により積層一体化されていることにより、積層構造に由来する高い反射率と、高い正反射特性、そして優れた表面平滑性を有し、金属のような光沢を有する好適な反射フィルムであることがわかる。
これに対し、接着層(Z)を有さない場合には(比較例1)、評価に値するシートが得られなかった。また、拡散反射フィルム(Y)を有さない場合(比較例2)には、反射特性が不十分であった。さらに、厚み方向の平均寸法(L3)が規定値以上となるシート(比較例3)は、比較例2と比べても、さらに正反射特性、反射率が劣るものであった。

Claims (10)

  1. 少なくとも2種の熱可塑性樹脂を含有し、連続相(I)と分散相(II)による海島構造を有する正反射フィルム(X)と、ポリオレフィン系樹脂と微粉状充填剤との混合物を主成分とする拡散反射フィルム(Y)とが、熱可塑性樹脂からなる接着層(Z)を介して共押出により積層一体化された反射フィルムであって、
    前記分散相(II)の流れ方向の平均寸法(L1)、及び、幅方向の平均寸法(L2)が、0.45μm以上、100μm以下であり、前記分散相(II)の厚み方向の平均寸法(L3)が、0.01μm以上、0.45μm以下であり、該連続相(I)を形成する熱可塑性樹脂(A)と、該分散相(II)を形成する熱可塑性樹脂(B)の平均屈折率差が0.05以上であり、
    かつ、測定波長400nm〜700nmにおける平均反射率が90%以上であることを特徴とする反射フィルム。
  2. 前記連続相(I)を形成する熱可塑性樹脂(A)と、前記分散相(II)を形成する熱可塑性樹脂(B)のどちらか一方が、ポリエステル系樹脂を主成分としてなり、もう一方が、フッ素系樹脂を主成分としてなることを特徴とする請求項1に記載の反射フィルム。
  3. 前記ポリエステル系熱可塑性樹脂が、ポリエチレンナフタレート系樹脂であることを特徴とする請求項2に記載の反射フィルム。
  4. 前記フッ素系熱可塑性樹脂が、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン−ビニリデンフルオライド系樹脂、または、エチレン−テトラフルオロエチレン系樹脂であることを特徴とする請求項2または3に記載の反射フィルム。
  5. 少なくとも一軸方向に延伸されてなることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の反射フィルム。
  6. フィルムの流れ方向、及び/又は、フィルムの幅方向に2〜9倍延伸されてなることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の反射フィルム。
  7. 少なくとも片方の表面の算術平均粗さRaが0.2μm以下であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の反射フィルム。
  8. 請求項1〜7のいずれか1項に記載の反射フィルムを備えてなる液晶表示装置。
  9. 請求項1〜7のいずれか1項に記載の反射フィルムを備えてなる照明装置。
  10. 請求項1〜7のいずれか1項に記載の反射フィルムを備えてなる装飾用物品。
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