JP2013148607A - 反射材 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】反射使用面である最外層に、面角度の標準偏差(σ、δ(n))が8.0以上である拡散反射面を備えた樹脂層(A)を有することを特徴とする反射材を提案する。また、好ましくは、前記樹脂層(A)が、溶解度パラメータ(SP値)の差の絶対値が0.3〜3.0(cal/cm3)0.5である2種以上の熱可塑性樹脂の混合により構成される、反射材を提案する。
【選択図】なし
Description
しかし、反射材の材料として芳香族ポリエステル系樹脂を用いた場合、芳香族ポリエステル系樹脂の分子鎖中に含まれる芳香環が紫外線を吸収するため、液晶表示装置等の光源から発せられる紫外線によって、フィルムが劣化、黄変して、反射フィルムの光反射性が低下するという問題があった。
このようなオレフィン系樹脂を用いた反射フィルムは、紫外線によるフィルムの劣化や黄変の問題が少ないという特徴を有する。
この反射シートは、無機粉末を多量に含まなくとも、坪量、密度が同程度の従来の反射シートに比べてより高い反射率を示すという特徴を備える。
そこで、この画面の輝度ムラの問題を解決するため、表面に有機微粒子などをコーティングして凹凸を形成させることにより、高光拡散性を付与した反射シートが提案されている(特許文献5参照)。
すなわち、本発明は、反射使用面である最外層に、高さプロファイルにより算出される面角度の標準偏差(σ、δ(n))が8.0以上である拡散反射面を備えた樹脂層(A)を有することを特徴とする反射材を提案するものである。
よって、この反射材は、液晶ディスプレイ、照明器具、或いは照明看板などの反射材として好適に用いることができる。
本反射材は、高さプロファイルにより算出される面角度の標準偏差(σ、δ(n))が8.0以上である、拡散反射面を備えた樹脂層(A)を有する反射材である。
高さプロファイルとは、測定エリア面の任意の線分における断面高さを離散的に表現したもので、位置(Xn、Yn)に対して、基準面からの高さをZnとした場合に(Xn、Yn、Zn)の集合として示される。(Xn、Yn)は下記式を満たす。
dx=Xn+1−Xn=一定値、 dy=Yn+1−Yn=一定値
面角度δ(n)とは、高さプロファイルにより算出された値であって、具体的には下記の式によって求められる。得られた面角度δ(n)の標準偏差(σ、δ(n))を算出し、統計値として用いた。
δ(n)=arctan(Z’(n))*180/π
Z’(n)= (Zn+1−Zn)/(dx2+dy2)0.5 ただし、dx2+dy2≠0
樹脂層(A)は、反射使用面である最外層に位置するものであり、特定の面角度の標準偏差(σ、δ(n))を備えた表面状態(拡散反射面)を有し、輝度ムラの発生を防止する役割を担う層である。なお、上記の面角度の標準偏差(σ、δ(n))となる限りにおいて、樹脂層(A)の構成材料は、特に制限されることなく、各種の熱可塑性樹脂等を使用することができる。
このような面角度の標準偏差を有する、凹凸構造による拡散反射面を樹脂層(A)に形成したことで、樹脂層(A)が高い拡散反射性を有し、輝度ムラを防止する。
通常、反射光は正反射方向に最も強度が強く、表面の形状に応じて、正反射方向以外の拡散反射成分を併せ持つ。一方で、微小領域において、拡散反射成分の反射角は、面角度が大きいほど大きくなると考えられる。そのため、面角度のバラツキが大きいほど、光拡散性が良好となり、面角度の標準偏差(σ、δ(n))が、光拡散性と良い相関を示すことが想定される。
(1)エンボス加工を施す方法としては、例えば、一方がエンボス目を設けたロール、他方が表面に弾性体を設けたロールからなる一対の加圧ロールに、加熱溶融した樹脂をTダイから押し出し、エンボス目を有するフィルムを製膜する方法、熱プレス盤とエンボス賦形型との間でフィルムを加圧することでフィルムにエンボス目を付与する方法、一方がエンボス目を設けたロール、他方が加熱ロールからなる一対の加熱加圧ロールにフィルムを加熱加圧しながら通過させることでフィルムにエンボス目を付与する方法などが挙げられる。エンボス加工の場合、エンボス形状の面角度の設計により、任意の面角度を有する表面を形成できる点で有利である。ただし、これらに限定する趣旨ではない。
(2)プレス転写による方法としては、例えば、ロール状に巻かれたシート材料の表面に微細凹凸形状を間欠的にプレス成形することによって、該シート材料の表面に微細形状パターンを転写し賦形させていく方法が挙げられる。
ただし、金型の微細形状パターンの設計により、任意の面角度を賦形できるものの、大サイズや太幅のシートの加工の場合、加熱・冷却に多大な時間を要し、1サイクルタイムが著しく長くなり、生産性が悪くなることが懸念される。
(3)2種以上の熱可塑性樹脂の混合により、所望の面角度の標準偏差(σ、δ(n))を有する樹脂層(A)を形成する場合は、熱可塑性樹脂樹脂(I)及びこれに非相溶な熱可塑性樹脂(II)として、混合される2種の樹脂の溶解度パラメーター(以下「SP値」と表記する)または見かけ粘度の差の絶対値、あるいはこれら両方に着目する。
SP値については、SP値の差の絶対値が0.3〜3.0(cal/cm3)0.5、より好ましくは0.5〜1.5(cal/cm3)0.5となるような組合せを選択すればよい。
このような範囲に調整することで、2種の樹脂の分散性が適度に調整され、形成される樹脂層(A)の面角度の標準偏差を上記の値とすることができる。混合される樹脂のSP値の差の絶対値が0.5(cal/cm3)0.5以上であれば、樹脂層(A)中に非相溶な熱可塑性樹脂(II)の分散相が形成されて、樹脂層(A)の表面の面角度が調整され、高い拡散性を発現できるので好ましい。
一方、混合される樹脂のSP値の差の絶対値が3.0(cal/cm3)0.5以下であれば、樹脂層(A)中の非相溶な熱可塑性樹脂(II)の分散相が安定して形成され、樹脂層(B)の製膜性も安定するので好ましい。
このような2種以上の熱可塑性樹脂の混合による方法によれば、有機系または無機系の球状微粒子によって形成された凹凸構造を有する塗布層によって樹脂層(A)が形成れた場合と比較して、工程数の増加、コストの増大を抑制できるといった利点を有することができることが大きな特徴である。
また選択した2種の熱可塑性樹脂間のSP値の差が小さいほど、見かけ粘度の差は小さくすることが好ましい。見かけ粘度(η)を一定以下に調整することで、非相溶樹脂の分散径が微細化し、形成される樹脂層(A)の面角度の標準偏差(σ、δ(n))を8.0以上とすることができる。
また、他方の熱可塑性樹脂(II)のSP値は5.3〜14.7(cal/cm3)0.5であるのが好ましく、中でも7.3(cal/cm3)0.5以上或いは11.7(cal/cm3)0.5以下であるのがより好ましい。
SP値(cal/cm3)0.5=(ΣΔei/ΣΔvi)0.5
ここで、ΔeiおよびΔviには、Fedorsの提案した定数を用いた(表1参照)。表1は、Fedorsによる原子および原子団の蒸発エネルギーとモル体積の抜粋である。
また、熱可塑性樹脂(I−1)とこれに非相溶な熱可塑性樹脂(II−1)が含まれているほかに、熱可塑性樹脂(I−2)とこれに非相溶な熱可塑性樹脂(II−2)というように2種類以上の組み合わせが含まれていてもよい。
熱可塑性樹脂(熱可塑性樹脂(I−1)とこれに非相溶な熱可塑性樹脂(II−1)とによって形成された海−島構造において、複数の島相または複数の海相が存在する場合、これら海相と島相の最大SP値同士の差の絶対値を求めればよい。
ただし、熱可塑性樹脂(I)及び熱可塑性樹脂(II)のいずれが多くなっても、いずれかが母相或いは分散相となるかの違いであるから、樹脂層(A)の表面を粗面化する効果の点では同様である。
よって、見かけ粘度の差の絶対値は、先述のSP値の差の絶対値と共に混合系における、面角度、および、そのバラつきの増大に寄与することが考えられる。
そのため、使用する樹脂間のSP値差に応じて、見かけ粘度を調整することがより好ましい。具体的には、樹脂間のSP値差が大きいほど、見かけ粘度の差の絶対値は大きくてもよく、使用する樹脂間のSP値差が小さいほど、見かけ粘度の差の絶対値を小さくすることが好ましい。
例えば、後述の実施例、すなわち、COP(SP値:7.4)とPP(SP値:8.0)の組み合わせ(SP値差:0.6)のように、SP値の差の絶対値が0.6以上1.4以未満の場合には、形成される海−島構造において、押出し加工温度(230℃)での、海相と島相の見かけ粘度(η)(せん断速度:100(1/sec)での値)の差の絶対値が、1200(Pa・s)以下であるのが好ましく、1000(Pa・s)以下であるのが、より好ましい。
なお、熱可塑性樹脂(熱可塑性樹脂(I−1)とこれに非相溶な熱可塑性樹脂(II−1)とによって形成された海−島構造において、複数の島相または複数の海相が存在する場合、複数の海相と島相のそれぞれの差の絶対値が上記範囲であることが好ましい。
樹脂層(A)を構成する樹脂の一種、好ましくはベース樹脂の一種、例えば熱可塑性樹脂(I)または(II)として、ガラス転移温度(JIS K−7121、Tg)が85〜150℃である非晶性樹脂を用いることで、本反射材に耐熱性を付与することもできる。
なお、樹脂層(A)のベース樹脂とは、樹脂層(A)全体の質量に対して、50質量%以上、より好ましくは70質量%以上、特に好ましくは90質量%以上を占める樹脂の意味である。
非晶性樹脂は、環境温度が変化してもガラス転移点以下では安定した特性を示し、ガラス転移点付近の温度までは、収縮率が小さく寸法安定性に優れるという性質から、反射材に高い耐熱性を付与させることができる。
かかる観点から、樹脂層(A)のベース樹脂のガラス転移温度(Tg)は、90℃以上、150℃以下であるのがさらに好ましく、中でも100℃以上、150℃以下であるのがより一層好ましい。
中でも、延伸性、ガラス転移温度の範囲、透明性を考慮した場合、シクロオレフィン系樹脂、ポリスチレン、ポリカーボネート樹脂が好ましく、その中でもシクロオレフィン系樹脂が特に好ましい。
シクロオレフィン系樹脂とは、主鎖が炭素−炭素結合からなり、主鎖の少なくとも一部に環状炭化水素構造を有する高分子化合物である。この環状炭化水素構造は、ノルボルネンやテトラシクロドデセンに代表されるような、環状炭化水素構造中に少なくとも一つのオレフィン性二重結合を有する化合物(シクロオレフィン)を単量体として用いることで導入される。
これらのシクロオレフィンは、それぞれ単独であるいは2種以上組み合わせて用いることができる。
これらのα−オレフィンは、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて使用することができる。
この際、2種類以上のシクロオレフィン樹脂を組み合わせて混合し、混合樹脂のガラス転移温度(Tg)を上記範囲に調整するようにしてもよい。
また、シクロオレフィン系樹脂のMFRも前記の範囲に調整することが好ましい。このように両者のMFRを調整すると、シクロオレフィン系樹脂以外のオレフィン系樹脂および/または熱可塑性エラストマーが、シクロオレフィン系樹脂中に配向して、反射材としての機械特性を極端に悪化させてしまう虞がないので、特に好ましい。
また、押出成形性の観点から、ポリプロピレン樹脂の中でも、MFR(230℃、21.18N)が0.1〜20、特に0.2〜10、中でも特に0.5〜5であるポリプロピレン樹脂が特に好ましい。
スチレン系エラストマーの好ましい例としては、例えばスチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体、スチレン−エチレン−ブチレン−スチレンブロック共重合体、スチレン−エチレン−プロピレン−スチレンブロック共重合体を挙げることができる。
中でも特に、水素添加により共役ジエン成分の二重結合をなくした、スチレン−エチレン−ブチレン−スチレンブロック共重合体、スチレン−エチレン−プロピレン−スチレンブロック共重合体(水素添加されたスチレン系エラストマーともいう。)が好ましい。
樹脂層(A)は、微粉状充填剤を含有してもよい。微粉状充填剤の種類、粒径および表面処理方法に関しては、下述する樹脂層(B)で説明した内容と同様であり、好ましい例も同様である。
樹脂層(A)は、シート体からなる層であってもよいし、また、溶融樹脂組成物を押出或いは塗布などによって(シートを形成することなく)薄膜形成してなる層であってもよい。シート体からなる場合、そのシート体は未延伸フィルムであっても、1軸或いは2軸延伸フィルムであってもよいが、少なくとも1軸方向に1.1倍以上延伸して得られる延伸フィルム、特に2軸延伸フィルムであるのが好ましい。
樹脂層(A)は、酸化防止剤、光安定剤、熱安定剤、紫外線吸収剤、蛍光増白剤、滑剤および光拡散材その他の添加剤を含有してもよい。
なお、相溶化剤、および分散剤なども少量であれば配合することも可能である。
樹脂層(B)は、内部に空隙を有する層であり、好ましくは本反射材に高い反射性を付与すると共に、さらに好ましくは本反射材の耐折曲性を高めることのできる層である。
樹脂層(B)は、内部に空隙を有する層であり、その空隙率、すなわち空隙が当該層に占める体積割合は、反射性を確保する観点から、10〜90%であることが好ましい。
このような範囲の空隙を設けることで、反射材の白化が十分に進行するので高い反射性を達成することができ、また、反射材の機械的強度が低下して、破断することがない。
このような観点から、樹脂層(B)の空隙率は、上記範囲の中でも、特に20%以上或いは80%以下、その中でも25%以上或いは75%以下、その中でも特に30%以上或いは70%以下であるのが好ましい。
延伸方法の具体例としては、例えばロール延伸法、圧延法、テンター延伸法などを挙げることができる。これらのうち本発明においてはロール延伸法、及び/又はテンター延伸法が延伸条件の選択幅が広いためにこれらを単独であるいは組み合わせて少なくとも1方向に延伸する方法が好適に用いられる。
該延伸は、ロール延伸法等により縦方向(MD)に延伸する一軸延伸法、縦方向への一軸延伸後引き続きテンター延伸法等により横方向(TD)に延伸する逐次二軸延伸法、又はテンター延伸法を用いて縦方向および横方向に同時に延伸する同時二軸延伸法を挙げることができる。なお、反射性を高める観点からは、二軸延伸するのが好ましい。
樹脂層(B)の主成分をなす樹脂(ベース樹脂)としては、例えば、オレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、アクリル系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリ塩化ビニリデン系樹脂、フッ素系樹脂、ポリエーテル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ジエン系樹脂等を挙げることができる。中でも、反射性を高める観点から、オレフィン系樹脂が好ましい。
これらの中でも、機械的性質、柔軟性などから、ポリプロピレン樹脂(PP)やポリエチレン樹脂(PE)が好ましく、その中でも特に、PEに比べて融点が高く耐熱性に優れており、また、弾性率等の機械特性が高いという観点から、ポリプロピレン樹脂(PP)が好ましい。
また、押出成形性の観点から、ポリプロピレン樹脂(PP)の中でも、MFR(230℃ 21.18N)が0.1〜20、特に0.2〜10、中でも特に0.5〜5であるポリプロピレン樹脂(PP)が特に好ましい。
樹脂層(B)は、優れた反射性を得るために、微粉状充填剤を含有することが好ましい。微粉状充填剤を含有することで、ベース樹脂と微粉状充填剤との屈折率差による屈折散乱のほか、微粉状充填剤の周囲に形成される空洞との屈折率差による屈折散乱、さらに微粉状充填剤の周囲に形成される空洞と微粉状充填剤との屈折率差による屈折散乱などからも反射性を得ることができる。
無機質微粉体としては、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム、硫酸マグネシウム、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化チタン、酸化亜鉛、アルミナ、水酸化アルミニウム、ヒドロキシアパタイト、シリカ、マイカ、タルク、カオリン、クレー、ガラス粉、アスベスト粉、ゼオライト、珪酸白土等を挙げることができる。これらは、いずれか1種または2種以上を混合して用いることができる。これらの中でも、シートを構成する樹脂との屈折率差を考慮すると、屈折率の大きいものが好ましく、屈折率が1.6以上である、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、酸化チタン又は酸化亜鉛を用いることが特に好ましい。
従って、少なくとも酸化チタンを含む充填剤を用いるのがより好ましく、この場合、酸化チタンの量は、無機充填剤の合計質量の30%以上、または有機充填剤と無機充填剤とを組み合わせて使用する場合はその合計質量の30%以上とするのが好ましい。
また、無機質微粉体の樹脂への分散性を向上させるために、微粉状充填剤の表面に、シリコン系化合物、多価アルコール系化合物、アミン系化合物、脂肪酸、脂肪酸エステル等で表面処理を施したものを使用してもよい。
微粉状充填剤の含有量が20質量%以上であれば、ベース樹脂と微粉状充填剤との界面の面積を充分に確保することができ、反射材に高反射性を付与することができる。微粉状充填剤の含有量が70質量%以下であれば、反射材に必要な機械的強度を確保することができる。
樹脂層(B)は、上述した以外の他の樹脂を含有してもよい。また、酸化防止剤、光安定剤、熱安定剤、分散剤、紫外線吸収剤、蛍光増白剤、相溶化剤、滑剤及びその他の添加剤を含有してもよい。
樹脂層(B)は、シート体からなる層であってもよいし、また、溶融樹脂組成物を押出或いは塗布などによって(シートを形成することなく)薄膜形成してなる層であってもよい。シート体からなる場合、そのシート体は未延伸フィルムであっても、一軸或いは二軸延伸フィルムであってもよいが、少なくとも一軸方向に1.1倍以上延伸して得られる延伸フィルム、特に二軸延伸フィルムであるのが好ましい。
本反射材は、樹脂層(A)と樹脂層(B)を設けた積層構成を有することが好ましい。このような構成とすることで、樹脂層(B)に反射性を付与しつつ、耐折曲性などの加工性を保持し、樹脂層(A)に輝度ムラ防止性を付与することができる。
このように本反射材は、樹脂層(A)及び(B)の相互作用により、相乗効果を発揮することができ、極めて優れた反射性を奏することができる。
本反射材の厚みは、特に限定するものではなく、例えば30μm〜1500μmであるのが好ましく、特に、実用面における取り扱い性を考慮すると50μm〜1000μm程度であるのが好ましい。
例えば、液晶ディスプレイ用途の反射材としては、厚みが50μm〜700μmであるのが好ましく、例えば、照明器具、照明看板用途の反射材としては、厚みが100μm〜1000μmであるのが好ましい。
このような観点から、樹脂層(A)と樹脂層(B)の各層合計厚み比(例えば樹脂層(B)が2層ある場合には2層の合計厚みの比率)は、1:3〜1:15であることが好ましく、特に1:3〜1:10であるのがさらに好ましい。
本反射材は、少なくとも片面の平均反射率が、波長420nm〜700nmの光に対して97%以上とすることが好ましい。このような反射性を有するものであれば、反射材として良好な反射特性を示し、この反射材を組み込んだ液晶ディスプレイ等はその画面が十分な明るさを実現することができる。
本反射材は、反射性を高めるために、空隙を有する樹脂層(B)層を備えていることが好ましいが、樹脂層(B)の空隙率、すなわち延伸によって空隙を形成する場合の空隙率は、樹脂層(B)を構成するフィルムを対象として次の式によって求めることができる。
空隙率(%)={(延伸前のフィルムの密度−延伸後のフィルムの密度)/延伸前のフィルムの密度}×100
本反射材の製造方法としては、特に制限されるものではなく、公知の方法を採用することができる。以下に、積層構成を備えた反射材の製造方法について、一例を挙げて説明するが、下記製造方法に何ら限定されるものではない。
具体的には、シクロオレフィン系樹脂に、オレフィン系樹脂および/または熱可塑性エラストマー、その他酸化防止剤等を必要に応じて加えて、リボンブレンダー、タンブラー、ヘンシェルミキサー等で混合した後、バンバリーミキサー、1軸または2軸押出機等を用いて、樹脂の融点以上の温度(例えば、220℃〜280℃)で混練することにより、樹脂組成物Aを得ることができる。
または、シクロオレフィン系樹脂、オレフィン系樹脂および/または熱可塑性エラストマー等を別々のフィーダー等により所定量を添加することにより樹脂組成物Aを得ることができる。
また、オレフィン系樹脂および/または熱可塑性エラストマーとその他の酸化防止剤等を予めに高濃度に配合したいわゆるマスターバッチを作っておき、このマスターバッチとシクロオレフィン系樹脂、オレフィン系樹脂および/または熱可塑性エラストマーとを混合して所望の濃度の樹脂組成物Aとすることもできる。
または、オレフィン系樹脂、微粉状充填剤等を別々のフィーダー等により所定量を添加することにより樹脂組成物Bを得ることができる。
また、微粉状充填剤、その他の添加剤等を予めオレフィン系樹脂に高濃度に配合した、いわゆるマスターバッチを作っておきこのマスターバッチとオレフィン系樹脂とを混合して所望の濃度の樹脂組成物Bとすることもできる。
押出温度等の条件は、分解によって分子量が低下すること等を考慮して設定されることが必要であるが、例えば、樹脂組成物Aの押出温度は220℃〜280℃、樹脂組成物Bの押出温度は190℃〜270℃であることが好ましい。
その後、溶融した樹脂組成物A及び樹脂組成物Bを2種3層用のTダイに合流させ、Tダイのスリット状の吐出口から積層状に押出し、冷却ロールに密着固化させてキャストシートを形成する。
延伸することにより、樹脂層(B)内部のオレフィン系樹脂と微粉状充填剤の界面が剥離して空隙が形成され、シートの白化が進行して、フィルムの光反射性を高めることができる。
さらに、キャストシートは2軸方向に延伸されていることが特に好ましい。1軸延伸をしたのみでは形成される空隙は一方向に伸びた繊維状形態にしかならないが、2軸延伸することによって、その空隙は縦横両方向に伸ばされたものとなり円盤状形態になる。
すなわち、2軸延伸することによって、樹脂層(B)内部のオレフィン系樹脂と微粉状充填剤との界面の剥離面積が増大し、シートの白化がさらに進行し、その結果、フィルムの光反射性をさらに高めることができる。
また、2軸延伸するとフィルムの収縮方向の異方性が少なくなるので、フィルムに耐熱性を向上させることができ、またフィルムの機械的強度を増加させることもできる。
延伸温度がガラス転移温度(Tg)以上であれば、延伸時にフィルムが破断することなく安定して行うことができる。また、延伸温度が(Tg+50)℃以下の温度であれば、延伸配向が高くなり、その結果、空隙率が大きくなるので、高反射性のフィルムが得られやすい。
2軸延伸の場合の延伸倍率は、面積倍率として6倍以上延伸することが好ましい。面積倍率を6倍以上延伸することによって、樹脂層(A)および樹脂層(B)で構成される反射フィルム全体の空隙率が40%以上を実現することができる場合がある。
本反射材は、そのまま反射材として使用することも可能であるが、本反射材を金属板又は樹脂板に積層してなる構成として使用することも可能であり、例えば、液晶ディスプレイ等の液晶表示装置、照明器具、照明看板等に用いられる反射板として有用である。
かかる方法においては、リバースロールコーター、キスロールコーター等の一般的に使用されるコーティング設備を使用し、反射材を貼り合わせる金属板等の表面に、乾燥後の接着剤膜厚が2μm〜4μm程度となるように接着剤を塗布する。
次いで、赤外線ヒーター及び熱風加熱炉により塗布面の乾燥及び加熱を行い、金属板等の表面を所定の温度に保持しつつ、直ちにロールラミネーターを用いて、反射材を被覆、冷却することにより、反射板を得ることできる。
一般に液晶ディスプレイは、液晶パネル、偏光反射シート、拡散シート、導光板、反射シート、光源、光源リフレクタ等から構成されている。
本反射材は、光源からの光を効率よく液晶パネルや導光板へ入射させる役割をする反射材として使用することもできるし、エッジ部に配置された光源からの照射光を集光し導光板に入射させる役割を有する光源リフレクタとして使用することもできる。
一般的に「フィルム」とは、長さ及び幅に比べて厚みが極めて小さく、最大厚みが任意に限定されている薄い平らな製品で、通常、ロールの形で供給されるものをいい(日本工業規格JISK6900)、一般的に「シート」とは、JISにおける定義上、薄く、一般にその厚みが長さと幅のわりには小さく平らな製品をいう。しかし、シートとフィルムの境界は定かでなく、本発明において文言上両者を区別する必要がないので、本発明においては、「フィルム」と称する場合でも「シート」を含むものとし、「シート」と称する場合でも「フィルム」を含むものとする。
この際、当該主成分の含有割合を特定するものではないが、主成分(2成分以上が主成分である場合には、これらの合計量)は組成物中の50質量%以上、好ましくは70質量%以上、特に好ましくは90質量%以上(100%含む)を占めるものである。
また、本発明において、「X以上」(Xは任意の数字)と表現した場合、特にことわらない限り「好ましくはXより大きい」の意を包含し、「Y以下」(Yは任意の数字)と表現した場合、特にことわらない限り「好ましくはYより小さい」の意を包含する。
先ずは、実施例・比較例で得たサンプルの各種物性値の測定方法及び評価方法について説明する。以下、フィルムの引取り(流れ)方向をMD、その直交方向をTDと表示する。
測定装置:高化式フローテスタ(CFT−500C/島津製作所)
測定条件:ノズルφ1×L10mm
温度:230(℃)
せん断速度:100(1/sec)
下記の装置および条件により、反射材(サンプル)の反射光強度を測定し、次の式に代入して、正反射成分と拡散反射成分の強度比を計算した。
反射成分強度比β=Σ(55度〜65度の反射光強度)/Σ(25度〜35度の反射光強度)
光源:ハロゲンランプ
光束しぼり径:10.5mm
受光しぼり径:4.5mm
光入射方向:フィルムのTD
光入射角:−30度
反射光の受光測定範囲:−30度〜90度
測定間隔:1度
=評価基準=
「○」:反射成分強度比αおよびβがともに、0.5以上
「△」:反射成分強度比αあるいはβのいずれかが、0.5以上
「×」:反射成分強度比αおよびβがともに、0.5未満
下記の装置、条件により、反射材(サンプル)の表面(樹脂層A)を観察し、得られた高さプロファイルについて解析を行い、面角度(δ(n))を算出し、その標準偏差(σ、δ(n))を統計値として用いた。
装置 :電子線三次元粗さ解析装置「ERA−4000」(エリオニクス社製)
蒸着条件 :10mA×100sec、Pt−Pd蒸着
加速電圧 :10kV
観察倍率 :250倍
解析エリア:360(μm)×480(μm)
(樹脂層(A)の樹脂組成物Aの作製)
非晶性シクロオレフィン系樹脂A(日本ゼオン株式会社製、商品名「ゼオノア RCY15」、環状オレフィンの開環重合体の水素添加物、密度(ISO1183):1.01g/cm3、MFR(230℃、21.18N、JISK7210:1.2g/10min、ガラス転移温度Tg(JISK7121):127℃、SP値:7.4)のペレットと、非晶性シクロオレフィン系樹脂B(日本ゼオン株式会社製、商品名「ゼオノア 1060R」、環状オレフィンの開環重合体の水素添加物、密度(ISO1183):1.01g/cm3、MFR(230℃、21.18N、JISK7210):12g/10min、ガラス転移温度Tg(JISK7121):100℃、SP値:7.4)のペレットと、ポリプロピレン樹脂(日本ポリプロ株式会社製、商品名「ノバテックPP EA9」、密度(JISK7112):0.9g/cm3、MFR(230℃、21.18N、JISK−7210):0.5g/10min、SP値:8.0)のペレットとを、50:25:25の質量割合で混合した後、230℃に加熱された二軸押出機を用いてペレット化して、樹脂組成物Aを作製した。
ポリプロピレン樹脂(日本ポリプロ株式会社製、商品名「ノバテックPP FY6HA」、密度(JISK7112):0.9g/cm3、MFR(230℃、21.18N、JISK−7210):2.4g/10min)のペレットと、酸化チタン(KRONOS社製、商品名「KRONOS2230」、密度4.2g/cm3、ルチル型酸化チタン、Al,Si表面処理、TiO2含有量96.0%、製造法:塩素法)とを、50:50の質量割合で混合した後、270℃で加熱された二軸押出機を用いてペレット化し、樹脂組成物Bを作製した。
上記樹脂組成物A、Bをそれぞれ、230℃、200℃に加熱された押出機A及びBに供給し、各押出機において、230℃および200℃で溶融混練した後、2種3層用のTダイに合流させ、樹脂層(A)/樹脂層(B)/樹脂層(A)の3層構成になるようにシート状に押出し、冷却固化して積層シートを形成した。
得られた積層シートを、温度135℃でMDに2.5倍にロール延伸した後、さらに150℃でTDに2.5倍テンター延伸することで二軸延伸を行い、厚さ225μm(樹脂層(A):185μm、樹脂層(B):20μm 積層比A:B=4.6:1)の反射材(サンプル)を得た。
得られた反射材について、光拡散性の評価を行った。
実施例1の樹脂組成物Aの作製において、非晶性シクロオレフィン系樹脂A(日本ゼオン株式会社製、商品名「ゼオノア RCY15」)のペレットと、非晶性シクロオレフィン系樹脂B(日本ゼオン株式会社製、商品名「ゼオノア 1060R」)のペレットと、ポリプロピレン樹脂(日本ポリプロ株式会社製、商品名「ノバテックPP EA9」)のペレットとの質量割合を70:10:20のとした点を除いて、実施例1と同様にして厚さ225μmの反射材(サンプル)を得た。得られた反射材について実施例1と同様の評価を行った。
実施例1の樹脂組成物Aの作製において、非晶性シクロオレフィン系樹脂A(日本ゼオン株式会社製、商品名「ゼオノア RCY15」)のペレットと、ポリプロピレン樹脂(日本ポリプロ株式会社製、商品名「ノバテックPP EA9」)のペレットと、非晶性シクロオレフィン系樹脂C(Topas Advanced Polymers GmbH製、商品名「TOPAS 8007F」、密度(ISO1183):1.01g/cm3、MVR(260℃、2.16kg、ISO1133):32ml/10min、ガラス転移温度Tg(DSC、ISO11375−1、2、3):78℃、SP値8.8)のペレットを、60:20:20の質量割合で混合した点を除いて、実施例1と同様にして厚さ225μmの反射材(サンプル)を得た。得られた反射材について実施例1と同様の評価を行った。
実施例1の樹脂組成物Aの作製において、非晶性シクロオレフィン系樹脂A(日本ゼオン株式会社製、商品名「ゼオノア RCY15」)のペレットと、ポリプロピレン樹脂(日本ポリプロ株式会社製、商品名「ノバテックPP EA9」)のペレットを、60:40の質量割合で混合した点を除いて、実施例1と同様にして厚さ225μmの反射材(サンプル)を得た。得られた反射材について実施例1と同様の評価を行った。
実施例1の樹脂組成物Aの作製において、非晶性シクロオレフィン系樹脂A(日本ゼオン株式会社製、商品名「ゼオノア RCY15」)のペレットと、ポリプロピレン樹脂(日本ポリプロ株式会社製、商品名「ノバテックPP EA9」)のペレットを、70:30の質量割合で混合した点を除いて、実施例1と同様にして厚さ225μmの反射材(サンプル)を得た。得られた反射材について実施例1と同様の評価を行った。
実施例1の樹脂組成物Aの作製において、非晶性シクロオレフィン系樹脂A(日本ゼオン株式会社製、商品名「ゼオノア RCY15」)のペレットと、非晶性シクロオレフィン系樹脂B(日本ゼオン株式会社製、商品名「ゼオノア 1060R」)のペレットと、ポリプロピレン樹脂(日本ポリプロ株式会社製、商品名「ノバテックPP EA9」)のペレットの質量割合を、50:10:40とした点を除いて、実施例1と同様にして厚さ225μmの反射材(サンプル)を得た。得られた反射材について実施例1と同様の評価を行った。
(1)樹脂層(A)の面角度の標準偏差(σ、δ(n))が大きいほど、光拡散性を発現でき、なかでも、面角度の標準偏差(σ、δ(n))の値を8.0以上とすることで、十分な光拡散性を発現できる。
(2)海相(実施例では、COP相)と島相のSP値差が大きいほど、面角度の標準偏差(σ、δ(n))を大きくでき、なかでも、海相と島相の最大SP値差を1.4以上とすることで、樹脂層(A)の面角度の標準偏差(σ、δ(n))を8.0以上とできる。
(3)海相と島相の見かけ粘度の差の絶対値が小さいほど、面角度の標準偏差(σ、δ(n))を大きくできる。例えば、海相−島相の最大SP値の差の絶対値が0.8のときは、海−島構造の海相(実施例では、COP相)と島相の見かけ粘度の差の絶対値:|η(Pa・s)|が1000(Pa・s)以下であることで、樹脂層(A)の面角度の標準偏差(σ、δ(n))を8.0以上とできる。
(4)実施例2と比較例3の比較から、島相の配合量が少ないほど、面角度の標準偏差(σ、δ(n))を大きくでき、光拡散性を増大できる。
Claims (14)
- 反射使用面である最外層に、高さプロファイルから算出された面角度の標準偏差(σ、δ(n))が8.0以上である拡散反射面を備えた樹脂層(A)を有することを特徴とする反射材。
- 前記樹脂層(A)が、溶解度パラメータ(SP値)の差の絶対値が0.3〜3.0(cal/cm3)0.5である2種以上の熱可塑性樹脂の混合により構成される、請求項1記載の反射材。
- 前記樹脂層(A)が、2種以上の熱可塑性樹脂の混合により形成された海−島構造を有し、海相と島相のSP値の差の絶対値(ただし、島相が複数の相から成る場合は海相と島相の最大SP値の差の絶対値)が1.4(cal/cm3)0.5以上、または、海相と島相のSP値の差が0.6(cal/cm3)0.5以上1.4未満であって、かつ、海島と島相の見かけ粘度の差の絶対値が1000(Pa・s)以下である、請求項1記載の反射材。
- 前記2種以上の熱可塑性樹脂が、樹脂層(A)を構成する樹脂全体の70質量%以上を占める、請求項2または3記載の反射材。
- 前記樹脂層(A)を構成する樹脂の少なくとも一種が、ガラス転移温度(JISK7121)が85〜150℃である非晶性樹脂であることを特徴とする請求項1〜4の何れか一項記載の反射材。
- 前記非晶性樹脂が、シクロオレフィン系樹脂であることを特徴とする請求項5記載の反射材。
- 樹脂層(A)以外に、内部に空隙を有する樹脂層(B)を有する構成を備えた、請求項1〜6の何れか一項記載の反射材。
- 前記樹脂層(B)が微粉状充填剤を含有する、請求項7記載の反射材。
- 前記樹脂層(B)の空隙率が20%以上70%以下である、請求項7または8記載の反射材。
- 前記樹脂層(B)がオレフィン系樹脂を含有する、請求項7〜9の何れか一項記載の反射材。
- 樹脂層(A)と樹脂層(B)との各層合計厚み比が、(A):(B)=1:3〜1:15である、請求項7〜10の何れか一項記載の反射材。
- 請求項1〜11の何れか一項記載の反射材を用いた液晶ディスプレイ。
- 請求項1〜11の何れか一項記載の反射材を用いた照明器具。
- 請求項1〜11の何れか一項記載の反射材を用いた照明看板。
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