JP2024054898A - 反射フィルム - Google Patents

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Abstract

【課題】バックライトユニット等の構成部材に用いた際に、構成部材の汚染を抑制することができる反射フィルムを提供する。【解決手段】本発明の一態様に係る反射フィルムは、基材層の少なくとも一方の面に表面層を備え、前記表面層の動摩擦係数が0.29以上であり、かつ、前記表面層の最大高さSzが25μm以下である。当該反射フィルムは、前記表面層が、熱可塑性樹脂と無機粒子及び/又は有機粒子とを含むことが好ましい。また、前記基材層の両方の面に前記表面層を備えることが好ましい。【選択図】なし

Description

本発明は反射フィルムに関する。更に詳しくは、本発明は、液晶ディスプレイ、照明器具、照明看板などの構成部材として好適に使用することができる反射フィルムに関する。
液晶ディスプレイをはじめ、照明器具や照明看板など多くの分野で反射フィルムが使用されている。最近では、液晶ディスプレイの分野において装置の大型化及び表示性能の高度化が進み、少しでも多くの光を液晶に供給してバックライトユニットの性能を向上させることが求められるようになり、反射フィルムに対しても、よりいっそう優れた光反射性(単に「反射性」ともいう)が求められている。
この種の反射フィルムとしては、例えば芳香族ポリエステル系樹脂を主原料とする白色ポリエステルフィルムを用いた液晶ディスプレイ用の反射フィルムが知られている(特許文献1参照)。
また、ポリプロピレン樹脂に充填剤を添加して形成されたフィルムを延伸することによって、フィルム内に微細な空隙を形成させ、光散乱反射を生じさせた反射フィルム(特許文献2参照)や、ポリオレフィン樹脂とフィラーを含有する基材層と、ポリオレフィン樹脂を含む層より構成された積層構成のポリオレフィン樹脂光反射体も知られている(特許文献3参照)。
さらに、ポリプロピレン樹脂と、該ポリプロピレン樹脂と非相溶性の樹脂の少なくとも1種以上とを含む、熱収縮率が低減された二軸延伸反射シートが知られている(特許文献4参照)。
また、バックライトユニットを構成する導光板と反射フィルムとの貼り付きを抑制するため、あるいは、導光板と反射フィルムとの接触により導光板又は反射フィルムに傷がつくのを防ぐために、粒子を表層に含有させた反射フィルムが提案されている(特許文献5及び特許文献6参照)。
特開平04-239540号公報 特開平11-174213号公報 特開2005-031653号公報 特開2008-158134号公報 特開2015-163986号公報 特開2015-001596号公報
しかしながら、上記特許文献5及び特許文献6に記載の技術において、表層に含有する粒子の種類によっては導光板が削れて傷が付いたり、表層の粒子が脱落したりして、バックライトユニット等の構成部材の汚染を生じる場合があることがわかってきた。
そこで本発明の目的は、バックライトユニット等の構成部材に用いた際に、構成部材の汚染を抑制することができる反射フィルムを提供することにある。
本発明者らは、反射フィルムの表面に突起を形成し、導光板との接触面を減らすことを検討した。突起が小さすぎると導光板との接触によってフィルム表面が削れてしまう一方で、突起を形成しすぎると凸部(粒子)が脱落しやすくなり、構成部材を汚染する場合があることがわかってきた。
そこで、基材層の少なくとも一方の面に設けた表面層に適度な突起を形成することにより、導光板と接触したときのフィルム表面の削れが低減でき、かつ、凸部(粒子)の脱落も低減できることを見出した。
すなわち、本発明は、以下の態様を有する。
[1]基材層の少なくとも一方の面に表面層を備え、前記表面層の動摩擦係数が0.29以上であり、かつ、前記表面層の最大高さSzが25μm以下である反射フィルム。
[2]前記表面層の算術平均粗さSaが2500nm以下である、上記[1]に記載の反射フィルム。
[3]前記表面層の二乗平均平方根高さSqが3000nm以下である、上記[1]又は[2]に記載の反射フィルム。
[4]前記反射フィルム全体の空孔率が40%以上である、上記[1]~[3]のいずれか1つに記載の反射フィルム。
[5]前記表面層が、熱可塑性樹脂と無機粒子及び/又は有機粒子とを含む、上記[1]~[4]のいずれか1つに記載の反射フィルム。
[6]前記表面層が、無機粒子及び/又は有機粒子を0.01質量%以上1質量%未満含む、上記[1]~[5]のいずれか1つに記載の反射フィルム。
[7]前記無機粒子及び/又は有機粒子の平均粒径が0.05μm以上10μm以下である、上記[5]又は[6]に記載の反射フィルム。
[8]前記基材層の両方の面に前記表面層を備える、上記[1]~[7]のいずれか1つに記載の反射フィルム。
[9]バックライトユニットのいずれかの構成部材として使用することを特徴とする上記[1]~[8]のいずれか1つに記載の反射フィルム。
[10]液晶ディスプレイ、照明器具及び照明看板のうちのいずれかの構成部材として使用することを特徴とする上記[1]~[8]のいずれか1つに記載の反射フィルム。
[11]上記[1]~[8]のいずれか1つに記載の反射フィルムを構成部材とする液晶ディスプレイ、照明器具又は照明看板。
本発明が提案する反射フィルムをバックライトユニット等の構成部材に用いると、構成部材の汚染を抑制することができる。よって、本発明が提案する反射フィルムは、液晶ディスプレイ、照明器具或いは照明看板等の反射フィルムとして好適に用いることができる。
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。但し、本発明は以下に説明する実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、任意に変形して実施することができる。
<<反射フィルム>>
本発明の実施形態の一例に係る反射フィルム(以下、「本反射フィルム」ともいう。)は、基材層の少なくとも一方の面に表面層を有する反射フィルムである。
なお、本発明において「反射フィルム」とは、光反射性能を有するフィルムをいい、具体的には波長550nmの光反射率が90%以上、好ましくは95%以上、より好ましくは98%以上であるフィルムをいう。
また、本発明において「主成分樹脂」とは、各層を構成する樹脂のうち最も質量割合の大きな樹脂を意味し、当該主成分樹脂の機能を妨げない範囲で他の樹脂を含有することを許容する。この際、当該主成分樹脂の含有割合は、各層を構成する樹脂の50質量%以上、好ましくは60質量%以上、より好ましくは70質量%以上、さらに好ましくは80質量%以上、特に好ましくは90質量%以上(100質量%でもよい)を占めるものである。
<基材層>
本反射フィルムにおける基材層は、熱可塑性樹脂を含む層であるのが好ましい。
当該熱可塑性樹脂としては、反射性及び優れた耐久性を保持できるものであれば特に限定されないが、例えば、ポリオレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、アクリル系樹脂、ポリイミド系樹脂、フッ素系樹脂等が挙げられる。これらの熱可塑性樹脂はそれぞれ単体で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
上記のうち、例えば反射特性、生産コスト、耐加水分解性等を重視する場合には、基材層の主成分樹脂として、ポリオレフィン系樹脂を選択することが好ましい。
当該ポリオレフィン系樹脂としては、例えばポリプロピレン、プロピレン-エチレン共重合体等のポリプロピレン樹脂;ポリエチレン、高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン等のポリエチレン樹脂;エチレン-環状オレフィン共重合体等のシクロオレフィン系樹脂;エチレン-プロピレンゴム(EPR)、エチレン-プロピレン-ジエンターポリマー(EPDM)等のオレフィン系エラストマーが挙げられる。
上記の中でも、機械的性質、柔軟性等の観点から、ポリプロピレン樹脂(PP)やポリエチレン樹脂(PE)、シクロオレフィン系樹脂が好ましく、その中でも特に、耐熱性に優れており、弾性率等の機械特性が高いという観点から、ポリプロピレン樹脂(PP)又はシクロオレフィン系樹脂(COC、COP)が好ましい。
一方、フィルムの剛性や耐熱性を重視する場合には、基材層の主成分樹脂として、ポリエステル系樹脂を選択することが好ましい。
当該ポリエステル系樹脂としては、耐熱性や耐加水分解性等の観点から芳香族ポリエステルが好ましく、中でも、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン-2,6-ナフタレンジカルボキシレート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートがより好ましい。
基材層に用いる熱可塑性樹脂は、押出成形性の観点から、JIS K7210に準拠して230℃、荷重21.18Nで測定されるメルトフローレート(MFR)が0.1~20g/10分であるのが好ましく、0.2~10g/10分以下であるのがより好ましく、0.5~5g/10分以下であるのがさらに好ましい。
基材層における熱可塑性樹脂の含有量は特に限定されないが、15質量%以上が好ましく、20質量%以上がより好ましく、25質量%以上がさらに好ましく、30質量%以上がよりさらに好ましく、35質量%以上がいっそう好ましく、40質量%以上がよりいっそう好ましい。また、90質量%以下が好ましく、80質量%以下がより好ましく、70質量%以下がさらに好ましい。
熱可塑性樹脂の含有量が上記下限値以上であれば、基材層の強度が保たれやすい。
また、熱可塑性樹脂の含有量が上記上限値以下であれば、反射率が良好となりやすい。
基材層は、よりいっそうの反射性能を得る観点から、充填剤を含有することが好ましい。
基材層が充填剤を含有することにより、当該充填剤によって入射光が乱反射して反射特性が向上するとともに、基材層が延伸体である場合には、空隙を形成することが容易となる。
充填剤は特に限定されないが、無機質微粉体、有機質微粉体等が挙げられる。
無機質微粉体としては、例えば、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム、硫酸マグネシウム、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化チタン、酸化亜鉛、アルミナ、水酸化アルミニウム、ヒドロキシアパタイト、シリカ、マイカ、タルク、カオリン、クレー、ガラス粉、アスベスト粉、ゼオライト、珪酸白土等が挙げられ、これらの中から1種又は2種以上を混合して用いることができる。
上記の中でも、熱可塑性樹脂との屈折率差を考慮すると、屈折率の大きいものが好ましく、屈折率が1.6以上である、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、酸化チタン又は酸化亜鉛がより好ましい。
中でも酸化チタンは、他の無機質微粉体に比べて屈折率が顕著に高く、基材層を構成する樹脂との屈折率差を顕著に大きくすることができるため、他の充填剤を使用した場合よりも少ない配合量で優れた光反射性を得ることができる。さらに、酸化チタンを用いることにより、本反射フィルムの厚みを薄くしても高い光反射性を得ることができる。
酸化チタンの含有量は、基材層に含まれる無機質微粉体及び有機質微粉体の総量のうち30質量%以上が好ましく、40質量%以上がより好ましく、50質量%以上がさらに好ましく、100質量%であってもよい。
これら無機質微粉体の樹脂への分散性を向上させるために、その表面に、シリコン系化合物、多価アルコール系化合物、アミン系化合物、脂肪酸、脂肪酸エステル等で表面処理を施した無機質微粉体を使用してもよい。
有機質微粉体としては、例えば、ポリマービーズ、ポリマー中空粒子等が挙げられ、これらの中から1種又は2種以上を混合して用いることができる。具体的には、例えば、(メタ)アクリレート系樹脂粒子、スチレン系樹脂粒子、シリコーン系樹脂粒子、ナイロン系樹脂粒子、ポリエチレン系樹脂粒子、ベンゾグアナミン系樹脂粒子、ウレタン系樹脂粒子等が挙げられる。
これらの有機質微粉体は、単独重合体であっても、共重合体であってもよい。これらは、いずれか1種又は2種以上を混合して用いることができる。
基材層は、熱可塑性樹脂及び充填剤以外に、その他の成分を含有してもよい。
上記「その他の成分」としては、酸化防止剤、光安定剤、熱安定剤、分散剤、紫外線吸
収剤、蛍光増白剤、相溶化剤、滑剤等を挙げることができる。
また、基材層の性能を阻害しない範囲で、本反射フィルムの製造工程等で発生した再生原料を基材層中に添加してもよい。再生原料の含有割合は特に限定されないが、再生原料を用いることでのコストメリットと、光反射性及び機械的強度の観点から、基材層の総量のうち1~60質量%であるのが好ましく、10~50質量%であるのがより好ましい。
充填剤の平均粒径は0.05~10μmが好ましく、0.1~5μmがより好ましく、0.15~3μmがさらに好ましく、0.2~1μmがよりさらに好ましい。
充填剤の平均粒径が上記下限値以上であると、基材層を構成する樹脂への分散性が良好となり、より均質な反射フィルムを得ることができる。また、充填剤の平均粒径が上記上限値以下であると、基材層を構成する樹脂と充填剤との界面が緻密に形成されて、より高い反射性の反射フィルムを得ることができる。
なお、充填剤の平均粒径は、以下の通り測定することができる。
原料としての充填剤の平均粒径は、動的光散乱法等によって測定される体積基準粒度分布から求められる平均粒径(D50)、或いは、遠心沈降式粒度分布測定装置を使用して測定した等価球形分布における積算(質量基準)50%の粒径を平均粒径(D50)として測定することができる。
基材層における充填剤の平均粒径は、光学顕微鏡や走査型電子顕微鏡(SEM)を使用し、基材層の断面を観察し、10個以上の粒子の直径を測定し、その平均値として求めることができる。その際、断面形状が円形でない場合は、最長径と最短径の平均値を各粒子の直径として測定することができる。
なお、基材層における充填剤の形状が、原料の充填剤の形状から有意な変形が見られない場合は、原料の充填剤の平均粒径をもって基材層に含有している充填剤の平均粒径とみなすことができる。
基材層における充填剤の含有量は、本反射フィルムの光反射性、機械的強度、生産性等の観点から、10質量%以上が好ましく、20質量%以上がより好ましく、30質量%以上がさらに好ましく、40質量%以上がよりさらに好ましく、50質量%以上がいっそう好ましい。また、90質量%以下が好ましく、80質量%以下がより好ましく、75質量%以下がさらに好ましく、70質量%以下がよりさらに好ましい。
充填剤の含有量が上記下限値以上であると、基材層を構成する樹脂と充填剤との界面の面積を充分に確保することができ、より高い反射性を付与できる。一方、充填剤の含有量が上記上限値以下であれば、反射フィルムに必要な機械的強度をより効果的に確保することができる。
<表面層>
本反射フィルムにおける表面層は、熱可塑性樹脂と、無機粒子及び/又は有機粒子(以下、「粒子」ともいう。)を含む層であるのが好ましい。
表面層が粒子を含有することにより、本反射フィルムの表面に適度な突起を形成することができ、輝度ムラを抑制することができる。
表面層における熱可塑性樹脂の含有量は限定されないが、50質量%以上が好ましく、60質量%以上がより好ましく、70質量%以上がさらに好ましく、80質量%以上がよりさらに好ましく、90質量%以上がいっそう好ましく、95質量%以上がよりいっそう好ましく、さらにその中でも、99質量%以上がより好ましく、99.2質量%以上がさらに好ましく、99.5質量%以上がよりさらに好ましい。一方、100質量%未満が好ましく、99.99質量%以下がより好ましく、99.95質量%以下がさらに好ましく、99.9質量%以下がよりさらに好ましい。
熱可塑性樹脂の含有量が上記下限値以上であれば、本反射フィルムに良好な柔軟性を付与できる。一方、熱可塑性樹脂の含有量が上記上限値以下であれば、本反射フィルムの耐破断性、耐折り曲げ性や輝度ムラ防止性等が良好となる。
表面層における熱可塑性樹脂は、上記基材層で例示したものを用いることができる。
中でも、表面層の主成分樹脂がポリオレフィン系樹脂である場合は、機械的性質、柔軟性等の観点から、ポリプロピレン樹脂、ポリエチレン樹脂及びシクロオレフィン樹脂から選ばれる1種以上が好ましく、その中でも、シクロオレフィン樹脂を主成分樹脂とすることがより好ましい。シクロオレフィン樹脂は可視光の吸収が少なく、耐熱性を有するため、表面層の主成分樹脂として好適である。
シクロオレフィン樹脂とは、主鎖が炭素-炭素結合からなり、主鎖の少なくとも一部に環状炭化水素構造を有する高分子化合物である。この環状炭化水素構造は、ノルボルネンやテトラシクロドデセンに代表されるような、環状炭化水素構造中に少なくとも一つのオレフィン性二重結合を有する化合物(シクロオレフィン)を単量体として用いることで導入される。
シクロオレフィン樹脂は、シクロオレフィンの付加重合体又はその水素添加物、シクロオレフィンとα-オレフィンの付加重合体又はその水素添加物、シクロオレフィンの開環重合体又はその水素添加物に分類され、いずれもシクロオレフィン樹脂として用いることができる。また、シクロオレフィン樹脂は、シクロオレフィン単独重合体、シクロオレフィン共重合体の何れであってもよい。
シクロオレフィン樹脂の具体例としては、シクロペンテン、シクロヘキセン、シクロオクテン、シクロペンタジエン、1,3-シクロヘキサジエン等の1環シクロオレフィン;
ビシクロ[2.2.1]ヘプタ-2-エン(慣用名:ノルボルネン)、5-メチル-ビシクロ[2.2.1]ヘプタ-2-エン、5,5-ジメチル-ビシクロ[2.2.1]ヘプタ-2-エン、5-エチル-ビシクロ[2.2.1]ヘプタ-2-エン、5-ブチル-ビシクロ[2.2.1]ヘプタ-2-エン、5-エチリデン-ビシクロ[2.2.1]ヘプタ-2-エン、5-ヘキシル-ビシクロ[2.2.1]ヘプタ-2-エン、5-オクチル-ビシクロ[2.2.1]ヘプタ-2-エン、5-オクタデシル-ビシクロ[2.2.1]ヘプタ-2-エン、5-メチリデン-ビシクロ[2.2.1]ヘプタ-2-エン、5-ビニル-ビシクロ[2.2.1]ヘプタ-2-エン、5-プロペニル-ビシクロ[2.2.1]ヘプタ-2-エン等の2環シクロオレフィン;
トリシクロ[4.3.0.12,5]デカ-3,7-ジエン(慣用名:ジシクロペンタジエン)等の3環シクロオレフィン;
テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ-3-エン(単にテトラシクロドデセンともいう)等の4環シクロオレフィン;
8-シクロペンチル-テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ-3-エン、テトラシクロ[8.4.14,7.01,10.03,8]ペンタデカ-5,10,12,14-テトラエン(1,4-メタノ-1,4,4a,5,10,10a-へキサヒドロアントラセンともいう);シクロペンタジエンの4量体などの多環のシクロオレフィンなどを挙げることができる。
これらのシクロオレフィン樹脂は、それぞれ単独であるいは2種以上組み合わせて共重合体として用いることができる。
シクロオレフィンと共重合可能なα-オレフィンの具体例としては、エチレン、プロピレン、1-ブテン、1-ペンテン、1-へキセン、3-メチル-1-ブテン、3-メチル-1-ペンテン、3-エチル-1-ペンテン、4-メチル-1-ペンテン、4-メチル-1-へキセン、4,4-ジメチル-1-ヘキセン、4,4-ジメチル-1-ペンテン、4-エチル-1-へキセン、3-エチル-1-ヘキセン、1-オクテン、1-デセン、1-ドデセン、1-テトラデセン、1-ヘキサデセン、1-オクタデセン、1-エイコセンなどの炭素数2~20、好ましくは炭素数2~8のエチレン又はα-オレフィンなどを挙げることができる。これらのα-オレフィンは、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて使用することができる。
シクロオレフィン樹脂がノルボルネン等のシクロオレフィンとα-オレフィンとの共重合体である場合、α-オレフィンを共重合成分とすることによる延伸加工等の加工性能の向上の効果と、シクロオレフィンを共重合成分の主成分とすることによる耐熱性の効果とをバランスよく得る観点から、シクロオレフィン樹脂中のシクロオレフィン成分の含有割合は60~90質量%であることが好ましく、65~80質量%であることがより好ましい。
シクロオレフィン又はシクロオレフィンとα-オレフィンとの重合方法及び得られた重合体の水素添加方法に格別な制限はなく、公知の方法に従って行うことができる。
シクロオレフィン樹脂のメルトフローレート(MFR)は、限定するものではない。例えば、JIS K7210に準拠し、230℃、荷重21.18Nで測定した値として0.1~20g/10分であることが好ましく、中でも0.5g/10分以上或いは15g/10分以下であることがより好ましい。
シクロオレフィン樹脂は、結晶性であっても非晶性であってもよい。中でも、非晶性であることが好ましい。
シクロオレフィン樹脂のガラス転移温度(Tg)は限定するものではない。耐熱性の観点からは、好ましくは70℃以上、より好ましくは80℃以上、更に好ましくは85℃以上であり、好ましくは170℃以下、より好ましくは160℃以下、更に好ましくは150℃以下である。
シクロオレフィン樹脂のガラス転移温度が上記範囲であると、延伸加工性が良好となる傾向がある。
ここで「ガラス転移点(Tg)」は、示差走査型熱量計により、10℃/分の速度で-50℃から250℃まで昇温後、1分間等温で維持し、10℃/分の速度で-50℃まで冷却し、1分間等温で維持後、再度10℃/分の速度で250℃まで昇温した際に読み取った値とする。
なお、2種類以上のシクロオレフィン樹脂を組み合わせて混合し、混合樹脂のガラス転移点(Tg)を上記範囲に調整するようにしてもよい。
シクロオレフィン樹脂は、1種を単独で用いてもよく、組成や物性等の異なるものを2種以上混合して用いてもよい。例えば、2種類以上のシクロオレフィン樹脂を組み合わせて混合し、混合樹脂のMFRやTgを上記範囲に調整するようにしてもよい。
表面層におけるシクロオレフィン樹脂の含有量は特に限定されないが、30質量%以上が好ましく、40質量%以上がより好ましく、50質量%以上がさらに好ましく、60質量%以上がよりさらに好ましく、70質量%以上がいっそう好ましい。また、90質量%以下が好ましく、85質量%以下がより好ましく、80質量%以下がさらに好ましい。
シクロオレフィン樹脂の含有量が上記下限値以上であると、本反射フィルムに良好な耐熱性を付与できる。一方、シクロオレフィン樹脂の含有量が上記上限値以下であれば、本反射フィルムの耐破断性、耐折り曲げ性や輝度ムラ防止機能等が良好となる。
シクロオレフィン樹脂としては、市販製品を用いることができる。例えば、日本ゼオン社製「ゼオノア(登録商標)」(環状オレフィンの開環重合体の水素添加物)、三井化学社製「アペル(登録商標)」(エチレンとテトラシクロドデセンの付加共重合体)や、ポリプラスチックス社製「TOPAS(登録商標)」(エチレンとノルボルネンの付加共重合体)等を挙げることができる。中でも、「ゼオノア」及び「TOPAS」は光吸収作用が少ないことから、高い反射性能を有する反射フィルムを得ることができるので好ましい。
表面層の主成分樹脂としてシクロオレフィン樹脂を用いる場合、シクロオレフィン樹脂以外のポリオレフィン樹脂(以下、「その他のポリオレフィン樹脂」という。)を配合することで、耐折性と耐熱性をさらに高めることができる場合がある。
「その他のポリオレフィン樹脂」のメルトフローレート(MFR)は限定するものではない。中でも、JIS K7210に準拠し、230℃、荷重21.18Nで測定した値として0.1~20g/10分であることが好ましく、中でも0.5g/10分以上或いは10g/10分以下であることがより好ましい。
また、シクロオレフィン樹脂と「その他のポリオレフィン樹脂」を併用する場合、シクロオレフィン樹脂のMFRも前記の範囲に調整することが好ましい。このように両者のMFRを調整すると、反射フィルムとしての機械特性が良好となる傾向がある。
上記MFRが好ましくは20~100g/10分、より好ましくは30~80g/10分であるポリオレフィン樹脂(以下、「低粘度のポリオレフィン樹脂」ともいう。)をさらに含むことも好ましい。このような低粘度のポリオレフィン樹脂を併用すると、粒子がより脱落しにくくなり、構成部材の汚染を防ぐことができる。
「その他のポリオレフィン樹脂」としては、ポリプロピレン、プロピレン-エチレン共重合体等のポリプロピレン樹脂;ポリエチレン、高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン等のポリエチレン樹脂;エチレン-プロピレンゴム(EPR)、エチレン-プロピレン-ジエンターポリマー(EPDM)等のオレフィン系エラストマーが挙げられる。中でも、ポリエチレン系樹脂やポリプロピレン系樹脂が好ましく、その中でも、融点が高く耐熱性に優れており、また、弾性率等の機械特性が高いという観点から、ポリプロピレン系樹脂が好ましい。但し、これらに限定するものではない。
表面層を構成する樹脂成分として、シクロオレフィン樹脂と「その他のポリオレフィン樹脂」とを組み合わせて用いる場合、シクロオレフィン樹脂のMFR(「MFR(COP)」)と、「その他のポリオレフィン樹脂」のMFR(「MFR(PO)」)との関係が、MFR(COP):MFR(PO)=1:0.05~1:20であることが好ましく、1:0.1~1:10であることがより好ましい。
両者のMFRの関係が上記範囲内であると、その他のポリオレフィン樹脂がシクロオレフィン樹脂中に配向し、反射フィルムとしての機械特性を良好にすることができる傾向にあるので好ましい。
表面層における「その他のポリオレフィン樹脂」の含有量は特に限定されないが、5質量%以上が好ましく、10質量%以上がより好ましく、15質量%以上がさらに好ましく、20質量%以上がよりさらに好ましい。また、40質量%以下が好ましく、35質量%以下がより好ましく、30質量%以下がさらに好ましい。
「その他のポリオレフィン樹脂」の含有量が上記下限値以上であると、延伸時に表面層が破断することをより効果的に抑えられると共に、表面層と基材層との層間接着性がよりいっそう高く保たれる。一方、「その他のポリオレフィン樹脂」の含有量が上記上限値以下であると、耐熱性や輝度ムラ防止機能をよりいっそう良好にできる傾向がある。
また、「その他のポリオレフィン樹脂」として低粘度のポリオレフィン樹脂を併用する場合、低粘度のポリオレフィン樹脂の含有量は0.1質量%以上が好ましく、0.5質量%以上がより好ましい。また、10質量%以下が好ましく、5質量%以下がより好ましく、3質量%以下がよりさらに好ましい。
低粘度のポリオレフィン樹脂の含有量が上記範囲であると、反射フィルムとしての機械特性を維持しつつ、粒子がより脱落しにくくなり、構成部材の汚染を防ぐことができる。
表面層に含まれる無機粒子としては、例えば、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム、硫酸マグネシウム、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化チタン、酸化亜鉛、アルミナ、水酸化アルミニウム、ヒドロキシアパタイト、シリカ、マイカ、タルク、カオリン、クレー、ガラス粉、アスベスト粉、ゼオライト、珪酸白土等が挙げられ、これらの中から1種又は2種以上を混合して用いることができる。
上記の中でも、表面層の動摩擦係数及び最大高さSzを調整しやすくする観点から、炭酸カルシウム、酸化亜鉛、シリカ、ガラス粉が好ましく、シリカが特に好ましい。
表面層に含まれる有機粒子としては、例えば、ポリマービーズ、ポリマー中空粒子等が挙げられ、これらの中から1種又は2種以上を混合して用いることができる。具体的には、例えば、(メタ)アクリレート系樹脂粒子、スチレン系樹脂粒子、シリコーン系樹脂粒子、ナイロン系樹脂粒子、ポリエチレン系樹脂粒子、ベンゾグアナミン系樹脂粒子、ウレタン系樹脂粒子等が挙げられる。
これらの有機粒子は、単独重合体であっても、共重合体であってもよい。これらは、いずれか1種又は2種以上を混合して用いることができる。
表面層における粒子の形状は限定されるものではなく、例えば球状、棒状、平板状や、特定の形状を有さない粉砕物や凝集物、無定形のものであってもよい。
粒子の平均粒径は、0.05~10μmが好ましく、0.1~8μmがより好ましく、0.15~5μmがさらに好ましく、0.2~3μmがよりさらに好ましい。
粒子の平均粒径が上記下限値以上であると、表面層を構成する樹脂への分散性が良好となり、より均質な反射フィルムを得ることができる。また、粒子の平均粒径が上記上限値以下であると、表面層を構成する樹脂と粒子との界面が緻密に形成されて、より高い反射性を持った反射フィルムを得ることができる。
なお、本発明における「粒子の平均粒径」とは、走査型電子顕微鏡(SEM)を使用し、表面層の表面及び/又は断面を観察し、10個以上の粒子の直径を測定し、その平均値として算出した値である。その際、断面形状が円形でない場合は、最長径と最短径の平均値を各粒子の直径として測定することができる。
表面層に含有している粒子の形状が、原料としての粒子の形状から有意な変形が見られない場合は、原料の粒子の平均粒径をもって表面層に含有している粒子の平均粒径とみなすことができる。その場合、原料の粒子の平均粒径は、動的光散乱法等によって測定される体積基準粒度分布から求められる平均粒径(D50)、或いは、遠心沈降式粒度分布測定装置を使用して測定した等価球形分布における積算(質量基準)50%の粒径を平均粒径(D50)として測定することができる。
粒子の比表面積は、10~300m/gが好ましく、30~270m/gがより好ましく、50~250m/gがさらに好ましい。
粒子の比表面積が上記下限値以上であると、粒子体積に対する表面積が十分に大きいため、樹脂と接する界面が多くなり、粒子の脱落を生じ難い。また、粒子の比表面積が上記上限値以下であると、粒子径が小さくなり過ぎず、フィルム最表面に粒子が露出しやすい。
なお、本発明における「粒子の比表面積」は、原料の粒子をJIS Z8830:2013に準拠し、BET一点法により測定した値である。
表面層における粒子の含有量は、0.01~1質量%が好ましく、0.05~0.8質量%がより好ましく、0.1~0.5質量%がさらに好ましい。
粒子の含有量が前記下限値以上であれば、本反射フィルム表面へ特定の硬さや粗さの付与がより容易に可能となるから好ましく、粒子の含有量が前記上限値以下であれば、押出製膜時の連続生産性を損なうことなく、よりいっそう効率的に生産が可能となるから好ましい。
表面層は、熱可塑性樹脂、無機粒子及び/又は有機粒子以外に、その他の成分を含有してもよい。
上記「その他の成分」としては、酸化防止剤、光安定剤、熱安定剤、分散剤、紫外線吸
収剤、蛍光増白剤、相溶化剤、滑剤等を挙げることができる。
また、表面層の性能を阻害しない範囲で、本反射フィルムの製造工程等で発生した再生原料を表面層中に添加してもよい。再生原料の含有割合は特に限定されないが、再生原料を用いることでのコストメリットと、光反射性及び機械的強度の観点から、表面層の総量のうち1~60質量%であるのが好ましく、10~50質量%であるのがより好ましい。
但し、再生原料を表面層中に含有させると、本反射フィルムの表面粗さが不安定になる場合や、反射率が不安定になる場合があるので、そのような場合は、基材層中に含有させることが好ましい。
<空隙>
本反射フィルムでは、いずれかの層が空隙を有することにより、反射特性を高めることができる。
当該空隙は、表面層、基材層のうちいずれかの層のみが有していても、これらの層のうち任意の2つの層が有していても、全ての層が有していてもよい。或いは、これらの層以外の層(その他の層)が有していてもよい。表面層に空隙を設けると耐熱性や弾性率等の機械特性が低下するような場合は、基材層にのみ上記の空隙を設けるのが好ましい。このような空隙を基材層のみに設けることで、フィルム全体の耐熱性を高めることができる。
当該空隙は、各層を構成する組成物中に微粉状充填剤を含有させておき、延伸、好ましくは2軸延伸することで形成することができる。或いは、各層を構成するポリオレフィン樹脂に非相溶な樹脂を含有させておき、延伸、好ましくは2軸延伸することで形成することもできる。
<本反射フィルム>
(層構成)
本反射フィルムは、基材層の少なくとも一方の面に表面層が積層されていれば、他の任意の層を有する構成であってもよい。例えば、基材層の表面に、「他の層」を有する構成であってもよいし、表面層と基材層の層間に、例えば接着層等の「他の層」を介在させるようにしてもよい。
当該「他の層」としては、コーティングや蒸着によって設けられる層も包含する。
また、表面層、基材層のうち少なくともいずれかの層を2層以上有する3層以上の構成であってもよい。3層以上の構成である場合、基材層をコア層とする構成が好ましく、基材層の両面に表面層を有する構成、すなわち「表面層/基材層/表面層」の構成であることがより好ましい。
基材層の両面に表面層を積層することにより、反射フィルムがロール状に巻回された際のフィルム同士による削れを防止できる。
本反射フィルムは何れの層を最表層としてもよいが、反射使用面である最外層として表面層を配置することが好ましい。
(厚み)
本反射フィルムの厚みは、特に限定するものではない。中でも、30μm~1500μmであるのが好ましい。実用面における取り扱い性を考慮すると、本反射フィルムの厚みは50~1000μm程度であることが好ましい。
例えば、液晶ディスプレイ用途の反射フィルムとしては、厚みが50~700μmであることが好ましく、照明器具、照明看板用途の反射フィルムとしては、厚みが70~1000μmであることが好ましい。
表面層の厚みは特に限定するものではなく、例えば5~100μmであることが好ましく、中でも10μm以上或いは80μm以下であるのがより好ましい。表面層の厚みが上記範囲内であると、輝度ムラがよりいっそう効果的に抑制される傾向がある。ここで、表面層の厚みは平均厚みを意味し、粒子による凸部をも平均化した厚みである。また、本反射フィルム中に表面層を複数有する場合は、各層ごとの厚みを意味する。
基材層の厚み(基材層を2層以上有する場合はその合計厚み)は、特に限定するものではない。例えば20~1400μmであることが好ましく、中でも50μm以上或いは600μm以下であるのがより好ましい。基材層の厚みが上記範囲内であると、反射特性が良好になる傾向がある。ここで、基材層の厚みは、平均厚みを意味する。
なお、表面層における主成分樹脂と、基材層の主成分樹脂とが同一である場合や親和性が高い場合において、本反射フィルムにおいて表面層と基材層の境界が存在しない、或いは確認できない場合がある。このような場合、各層の厚みや厚み比は、本反射フィルムを製造する際の各層の原料の使用割合や押出量の比率から求めることができる。
本反射フィルムにおいて、表面層の厚みに対する基材層の厚みの比率((B)/(A))は、2~15であることが好ましい。表面層に対する基材層の厚み比が2倍以上であれば、反射特性が良好になる傾向があり、更に柔軟性が良好になるため折り曲げ加工性が向上する傾向がある。また、表面層に対する基材層の厚み比が15倍以下であれば、耐熱性が良好となる傾向がある。
なお、上記厚み比は、表面層或いは基材層を2層以上有する構成である場合は、各層の合計厚みの厚み比を意味する。
(動摩擦係数)
本反射フィルムは、表面層の動摩擦係数が0.29以上であるのが好ましく、0.30以上であるのがより好ましい。また、0.75以下であるのが好ましく、0.50以下であるのがより好ましく、0.40以下であるのがさらに好ましく、0.34以下であるのがよりさらに好ましい。
表面層の動摩擦係数が上記下限値以上であると、反射特性が良好であるとともに、粒子の脱離を抑制できる傾向にある。一方、表面層の動摩擦係数が上記上限値以下であると、反射特性が良好であるとともに、輝度ムラがよりいっそう抑制される傾向にある。
なお、本発明において動摩擦係数は、JIS K7125に準拠して、2枚の反射フィルムのTD方向を揃えて重ね合わせ、TD方向に滑らせて測定される値である。
表面層の動摩擦係数は、表面層の主成分樹脂の種類や配合割合、表面層中に含有する無機粒子及び/又は有機粒子の種類や配合割合、反射フィルムを製造する際の延伸条件等によって最適化することができる。
(最大高さSz)
本反射フィルムは、表面層の最大高さSzが、25μm以下であるのが好ましく、20μm以下であるのがより好ましく、18μm以下であるのがさらに好ましく、17μm以下であるのがよりさらに好ましい。また、10μm以上であるのが好ましく、12μm以上であるのがより好ましく、14μm以上であるのがさらに好ましく、16μm以上であるのがよりさらに好ましく、16.5μm以上であるのがいっそう好ましい。
表面層の最大高さSzが上記下限値以上であると、反射特性が良好であるとともに、輝度ムラがよりいっそう抑制される傾向にある。一方、表面層の最大高さSzが上記上限値以下であると、反射特性が良好であるとともに、粒子の脱離を抑制できる傾向にある。
表面層の最大高さSzは、表面層の主成分樹脂の種類や配合割合、表面層中に含有する無機粒子及び/又は有機粒子の種類や配合割合、反射フィルムを製造する際の延伸条件等によって最適化することができる。
なお、最大高さSzは、ISO 25178表面性状に準拠して測定される。
(算術平均粗さSa)
本反射フィルムは、表面層の算術平均粗さSaが、2500nm以下であるのが好ましく、2000nm以下であるのがより好ましく、1800nm以下であるのがさらに好ましく、1500nm以下であるのがよりさらに好ましく、1400nm以下であるのがいっそう好ましい。また、600nm以上であるのが好ましく、1000nm以上であるのがより好ましく、1200nm以上であるのがさらに好ましい。
表面層の算術平均粗さSaが上記下限値以上であると、反射特性が良好であるとともに、輝度ムラがよりいっそう抑制される傾向にある。一方、表面層の算術平均粗さSaが上記上限値以下であると、反射特性が良好であるとともに、粒子の脱離を抑制できる傾向にある。
なお、算術平均粗さSaは、ISO 25178表面性状に準拠して測定される。
表面層の算術平均粗さSaは、表面層の主成分樹脂の種類や配合割合、表面層中に含有する無機粒子及び/又は有機粒子の種類や配合割合、反射フィルムを製造する際の延伸条件等によって最適化することができる。
(二乗平均平方根高さSq)
本反射フィルムは、表面層の二乗平均平方根高さSqが、3000nm以下であるのが好ましく、2500nm以下であるのがより好ましく、2000nm以下であるのがさらに好ましく、1900nm以下であるのがよりさらに好ましく、1800nm以下であるのがいっそう好ましい。また、600nm以上であるのが好ましく、800nm以上であるのがより好ましく、1000nm以上であるのがさらに好ましく、1200nm以上であるのがよりさらに好ましく、1400nm以上であるのがいっそう好ましく、1600nm以上であるのがよりいっそう好ましい。
表面層の二乗平均平方根高さSqが上記下限値以上であると、反射特性が良好であるとともに、輝度ムラがよりいっそう抑制される傾向にある。一方、表面層の二乗平均平方根高さSqが上記上限値以下であると、反射特性が良好であるとともに、粒子の脱離を抑制できる傾向にある。
なお、二乗平均平方根高さSqは、ISO 25178表面性状に準拠して測定される。
表面層の二乗平均平方根高さSqは、表面層の主成分樹脂の種類や配合割合、表面層中に含有する無機粒子及び/又は有機粒子の種類や配合割合、反射フィルムを製造する際の延伸条件等によって最適化することができる。
(反射率)
本反射フィルムは、高い反射性能を有することができる。
本反射フィルムの反射性能に制約は無く、少なくとも片面における波長550nmの光反射率が90%以上、好ましくは95%以上、より好ましくは98%以上であるのが好ましい。このような反射性能を有する反射フィルムであれば、本反射フィルムを組み込んだ液晶ディスプレイ等はその画面が十分な明るさを実現することができる。
(空隙率)
本反射フィルムは、反射性能を高めるために空隙を有することが好ましい。
本反射フィルム中に空隙を有していることは、例えば本反射フィルムの断面を顕微鏡(電子顕微鏡や光学顕微鏡)で観察することにより確認することができる。
本反射フィルムの空隙率は限定されない。好ましくは10%以上、より好ましくは20%以上であり、他方、上限値に関しては、好ましくは80%以下、より好ましくは70%以下である。
本反射フィルムの空隙率が前記下限値以上であれば、本反射フィルムの白化が十分に進行するので高い光反射性を有する傾向にある。また、本反射フィルムの空隙率が前記上限値以下であれば、本反射フィルムの機械的強度が好適である傾向がある。
基材層の空隙率は限定されない。好ましくは20%以上、より好ましくは25%以上、更に好ましくは30%以上であり、他方、上限値に関しては、好ましくは80%以下、より好ましくは75%以下、更に好ましくは70%以下である。基材層の空隙率が前記下限値以上であれば、本反射フィルムの白化が十分に進行するので、より高い光反射性を有する傾向にある。また、基材層の空隙率が前記上限値以下であれば、本反射フィルムの機械的強度がより好適となる傾向がある。
なお、本反射フィルムの空隙率は、実質的に表面層及び基材層を対象とするものとし、これらの層間に他の層を有する場合には、これも含むものとする。一方、表面層及び基材層よりも外面に、例えば樹脂板や金属板等の他の層を有する場合は、これらの層は反射フィルムの空隙率の算出に際しては含めない。
本反射フィルムの空隙率は、以下のような方法で求めることができる。
(1)延伸によって空隙を形成する場合は、延伸前後の反射フィルムの密度を測定することにより、次の式によって求めることができる。
空隙率(%)={(延伸前のフィルムの密度-延伸後のフィルムの密度)/延伸前のフィルムの密度}×100
(2)各原料の密度と配合割合が明らかな場合は、各原料の密度と配合割合から空隙を有さない場合の密度を算出し、次の式によって求めることができる。
空隙率(%)={(空隙を有さない場合の密度-反射フィルムの密度)/空隙を有さない場合の密度}×100
(3)更には、反射フィルムの密度を測定した後、当該反射フィルムを溶融、減圧、冷却固化して空隙を除去した後の密度を算出することで求めることもできる。
<本反射フィルムの製造方法>
以下に、本反射フィルムの製造方法の一例として、「表面層/基材層/表面層」の3層構成の本反射フィルムについて説明するが、以下の製造方法に限定されるものではない。
本反射フィルムは、例えば、共押出法、コーティング、押出ラミネート、熱融着、接着剤などによって積層構成とすることができる。
リサイクル性(自己リサイクル性)、層間剥離のしにくさ、カール(捲き癖)のしにくさ、製造効率等の観点からは、共押出法が好ましい。
一方で、本反射フィルムの最表面に粒子を固定でき、突起を形成しやすくする観点からは、コーティング法が好ましい。
以下、共押出法による製造方法の一例を示す。
(表面層用樹脂組成物)
表面層の原料として、熱可塑性樹脂、無機粒子及び/又は有機粒子、並びに必要に応じその他添加剤を配合した樹脂組成物を作製する。具体的には、これらの原料をリボンブレンダー、タンブラー、ヘンシェルミキサー等で混合した後、バンバリーミキサー、1軸又は2軸押出機等を用いて、樹脂の流動開始温度以上の温度(例えば、220℃~270℃)で混練することにより、表面層用樹脂組成物を得ることができる。
また、各原料を別々のフィーダー等により所定量を添加することにより表面層用樹脂組成物を得ることができる。又は、原料の一部をマスターバッチとしておき、これを原料として使用することもできる。又は、原料の一部を用いて予め樹脂組成物としておき、この樹脂組成物と他の原料とを混練して表面層用樹脂組成物を得ることもできる。
(基材層用樹脂組成物)
基材層の原料として、熱可塑性樹脂、充填剤及び必要に応じその他の添加剤等を配合した樹脂組成物を作製する。具体的には、これらの原料をリボンブレンダー、タンブラー、ヘンシェルミキサー等で混合した後、バンバリーミキサー、1軸又は2軸押出機等を用いて、樹脂の融点以上の温度(例えば、190℃~270℃)で混練することにより基材層用樹脂組成物を得ることができる。
また、表面層用樹脂組成物と同様、フィーダー等を用いて製造したり、原料の一部をマスターバッチとして使用したり、原料の一部を用いて予め樹脂組成物としておくこともできる。
次に、表面層用樹脂組成物及び基材層用樹脂組成物を必要により乾燥させた後、それぞれ別の押出機に供給し、それぞれ所定の温度以上に加熱して溶融させる。
押出温度等の条件は任意である。例えば、表面層用樹脂組成物の押出温度は220℃~270℃、基材層用樹脂組成物の押出温度は190~270℃であることが好ましい。
その後、溶融した表面層用樹脂組成物、基材層用樹脂組成物を2種3層用のTダイに合流させ、Tダイのスリット状の吐出口から積層状に押出し、冷却ロールに密着固化させてキャストシートを形成する。
得られたキャストシートは、少なくとも1軸方向に延伸されているのが好ましい。延伸することにより、基材層内部の熱可塑性樹脂と充填剤の界面が剥離して空隙が形成され、シートの白化が進行して、フィルムの光反射性を高めることができる。
更に、キャストシートは2軸方向に延伸されていることがより好ましい。1軸延伸をしたのみでは形成される空隙は一方向に伸びた繊維状形態にしかならないが、2軸延伸することによって、その空隙は縦横両方向に伸ばされたものとなり円盤状形態になる。
すなわち、2軸延伸することによって、基材層内部の熱可塑性樹脂と充填剤との界面の剥離面積が増大し、シートの白化がさらに進行し、その結果、フィルムの光反射性をさらに高めることができる。また、2軸延伸するとフィルムの収縮方向の異方性が少なくなるので、フィルムの耐熱性を向上させることができ、またフィルムの機械的強度を増加させることもできる。
キャストシートを延伸する際の延伸温度は、表面層に含有する熱可塑性樹脂のガラス転移温度(Tg)以上、(Tg+50)℃以下の範囲内の温度であることが好ましい。
延伸温度がガラス転移温度(Tg)以上であれば、延伸時にフィルムが破断することなく安定して行うことができる。また、延伸温度が(Tg+50)℃以下の温度であれば、延伸配向が高くなり、その結果、空隙率が大きくなるので、高い反射率のフィルムが得られやすい。
2軸延伸の延伸順序は特に制限されることはなく、例えば、同時2軸延伸でも逐次延伸でもよい。溶融状態のキャストシートとした後に、ロール延伸によって流れ方向(MD)に延伸した後、テンター延伸によって横方向(TD)に延伸してもよいし、チューブラー延伸等によって二軸延伸を行ってもよい。
2軸延伸の場合の延伸倍率は限定するものではない。面積倍率として通常4倍以上、好ましくは5倍以上、より好ましくは6倍以上であり、上限は通常25倍以下、好ましくは20倍以下、より好ましくは15倍以下である。面積倍率を上記範囲内とすることによって、反射フィルムの空孔率を適正な範囲に制御し、優れた反射性能を発揮することができるので好ましい。
逐次二軸延伸を行う場合、一軸目の延伸の倍率は、好ましくは1.1~5.0倍、より好ましくは1.5~3.5倍であり、二軸目の延伸の倍率が、好ましくは1.1~5.0倍、より好ましくは2.5~4.5倍である。
延伸後は、反射フィルムに寸法安定性(空隙の形態安定性)を付与するため熱固定を行うことが好ましい。フィルムを熱固定するための処理温度は130~160℃であることが好ましい。熱固定に要する処理時間は、好ましく1秒~3分である。
また、延伸設備等については特に限定はないが、延伸後に熱固定処理を行うことができるテンター延伸を行うことが特に好ましい。
一方、コーティング法による製造方法としては、上記と同様の方法で基材層を形成した後に、表面層を形成するための熱可塑性樹脂、無機粒子及び/又は有機粒子並びに必要に応じその他添加剤を溶剤に分散させて塗工液を調製してから、バーコート法、グラビアコート法、マイクログラビアコート法、リバースコート法等により基材層に塗布する方法が挙げられる。
<用途>
本反射フィルムは反射性能に優れている点から、液晶ディスプレイ等の液晶表示装置、照明器具、照明看板等に用いられる反射部材として有用である。
一般に液晶ディスプレイは、液晶パネル、偏光反射シート、拡散シート、導光板、反射シート、光源、光源リフレクタ等から構成されている。
本反射フィルムは、光源からの光を効率よく液晶パネルや導光板へ入射させる役割をする反射フィルムとして好適に使用することができるし、エッジ部に配置された光源からの照射光を集光し導光板に入射させる役割を有する光源リフレクタとしても好適に使用することができる。
本反射フィルムは、液晶ディスプレイのバックライトユニット中に備わる反射フィルムとして好適である。本反射フィルムを用いると、輝度ムラの発生や粒子の脱離を低減することができる。導光板の材質にも制約は無く、例えば、ポリメチルメタクリレート(PMMA)樹脂製、メチルメタクリレート・スチレン共重合体(MS樹脂)製、シクロオレフィン樹脂製などの種々の導光板を備えたバックライトユニットに好適に用いることが出来、特にMS樹脂製の導光板を備えたバックライトユニットに好適である。
よって、本反射フィルムと、ポリメチルメタクリレート(PMMA)樹脂製、メチルメタクリレート・スチレン共重合体(MS樹脂)製、シクロオレフィン樹脂製などの導光板とを備えたバックライトユニットを提供することができる。
本反射フィルムは、そのまま前述の層構成を有する反射フィルムとして使用することも可能である。
さらに、金属板又は樹脂板(まとめて「金属板等」という)に積層した構成として使用することも可能であり、上述の用途、すなわち液晶ディスプレイ等の液晶表示装置、照明器具、照明看板等の構成部材としての反射板として有用である。
よって、本反射フィルムを構成部材として、液晶表示装置、照明器具又は照明看板を提供することができる。
なお、本反射フィルムを積層する金属板としては、例えばアルミ板やステンレス板、亜鉛メッキ鋼板などを挙げることができる。
金属板等に本反射フィルムを積層する方法は特に限定するものではない。例えば接着剤を使用する方法、熱融着する方法、接着性シートを介して接着する方法、押出しコーティングする方法等を挙げることができる。
より具体的には、金属板等の反射フィルムを貼り合わせる側の面にポリエステル系、ポリウレタン系、エポキシ系等の接着剤を塗布し、反射フィルムを貼り合わせることができる。
次いで、赤外線ヒーター及び熱風加熱炉により塗布面の乾燥及び加熱を行い、金属板等の表面を所定の温度に保持しつつ、直ちにロールラミネーターを用いて、反射フィルムを被覆、冷却することにより、反射板を得ることできる。
また、本反射フィルムは、上記以外の用途、例えば各種工業材料、包装材料、光学材料、電機材料など多様な用途に用いることができる。
<用語の説明>
本発明において「フィルム」と称する場合は「シート」を含むものとし、「シート」と称する場合も「フィルム」を含むものとする。
本発明において「反射」とは、特記しない限り光の反射を意味し、より限定的には可視光の反射を意味する。
本発明において「X~Y」(X,Yは任意の数字)と表現した場合、特記しない限り「X以上Y以下」の意と共に、「好ましくはXより大きい」及び「好ましくはYより小さい」の意を包含する。
また、「X以上」(Xは任意の数字)と表現した場合、特記しない限り「好ましくはXより大きい」の意を包含し、「Y以下」(Yは任意の数字)と表現した場合、特記しない限り「好ましくはYより小さい」の意を包含する。
以下に実施例を示し、本発明を更に具体的に説明する。但し、本発明はこれらの実施例に限定されるものではなく、本発明の技術的思想を逸脱しない範囲内で種々の応用が可能である。
<測定及び評価方法>
実施例・比較例で得たサンプルの測定方法及び評価方法について以下に説明する。
(粒子の平均粒径)
走査型電子顕微鏡(SEM)を使用し、表面層の表面及び断面を観察し、10個以上の粒子の直径を測定し、その平均値を粒子の平均粒径とした。
(粒子の比表面積)
表面層の原料としての粒子を105℃で2時間静置した後、マウンテック社製「Macsorb(model-1208SP)」を用いてJIS Z8830:2013に準拠し、BET一点法により測定した値を粒子の比表面積とした。
(反射フィルムの厚み)
反射フィルムの全層の厚みは、光学顕微鏡により反射フィルムの断面観察を行って測定した。
(空孔率)
延伸前の積層シートの密度(未延伸シート密度)と、延伸後の積層シートの密度(延伸シート密度)を測定し、下記式にて、積層シートからなる反射フィルム(サンプル)の空隙率(%)を求めた。
空隙率(%)={(未延伸シート密度-延伸シート密度)/未延伸シート密度}×100
(反射率)
分光光度計(日立ハイテクノロジーズ社製「U-3900H」)に積分球を取付け、アルミナ白板を100%とした時の反射フィルム(サンプル)の反射率を、波長420~700nmに亘って0.5nm間隔で測定した。得られた測定値から、波長550nmの反射率を読み取った。
(表面粗さ)
反射フィルム(サンプル)を平面上に静置した状態で、無作為に選んだ3箇所について、白色干渉計ブルカーContourGTXを用いて、フィルター:Green(narrow band)BackscanLength:5、ScanLength:50、倍率20倍の条件で算術平均粗さ(Sa)、二乗平均平方根高さ(Sq)、最大高さ(Sz)を測定した。
(動摩擦係数)
反射フィルム(サンプル)を平面上に静置した状態で、無作為に選んだ5箇所について、JIS K7125に準拠して、2枚の反射フィルムのTD方向を揃えて重ね合わせ、TD方向に滑らせて動摩擦係数を測定した。
(表面削れ性)
フィルム表面の削れにくさを確認するために、学振型摩擦試験機(大栄科学精機製作所)を用いて、ポリカーボネート製シートに対して、反射フィルムを100gの荷重下で、試験距離100mm、速度30rpmにて、10往復接触させた後の外観を評価した。なお、比較例1の反射フィルムは導光板との接触によりフィルム表面が削れてしまう傾向にあるため、比較例1よりも表面削れ(粉落ち)が生じにくい場合に合格と判断した。
○(good):目視観察及び/又は光学顕微鏡で観察した際の粉落ちが、比較例1よりも良化している。
×(poor):目視観察及び/又は光学顕微鏡で観察した際の粉落ちが、比較例1と同等、又は悪化している。
(ロール汚染)
反射フィルム製膜時のキャストロール及び/又は縦延伸時の延伸ロールに関して、ロール汚染の有無を以下の基準で評価した。延伸ロールの汚染が生じにくければ、バックライトユニット等の構成部材として使用した場合に、他の構成部材を汚染しにくいと考えられる。
○(good):製膜後のキャストロール及び/又は縦延伸時の延伸ロールについて、目視観察及び/又は拭き取りを実施した際、白い粉落ちを生じている。
×(poor):製膜後のキャストロール及び/又は縦延伸時の延伸ロールについて、目視観察及び/又は拭き取りを実施した際、白い粉落ちを生じていない。
<原料>
実施例・比較例で使用した原料について以下に説明する。
(COP:A-1)
非晶性シクロオレフィン樹脂(MFR(230℃、21.18N):1.5g/10分、Tg:129℃)
(COP:A-2)
非晶性シクロオレフィン樹脂(MFR(230℃、21.18N):15g/10分、Tg:105℃)
(PP:A―3)
ポリプロピレン樹脂(日本ポリプロ社製「ノバテックPP FY6HA」、MFR(230℃、21.18N):2.3g/10分)
(PP:A-4)
ポリプロピレン樹脂(出光興産社製「エルモーデュ(L-MODU) S901」、MFR(230℃、21.18N):50g/10分)
(シリカ1:B-1)
シリカ粒子(比表面積:165m/g)
(シリカ2:B-2)
シリカ粒子(比表面積:12m/g)
(PP:C-1)
ポリプロピレン樹脂(日本ポリプロ社製「ノバテックPP FY6HA」、MFR(230℃、21.18N):2.3g/10分)
(酸化チタン:D-1)
KRONOS社製「KRONOS2450」(塩素法で製造され、アルミナ及びシリカで表面処理されたルチル型の酸化チタン、TiO含有量96.0%、平均粒径(D50):0.31μm)
<実施例1>
(表面層用樹脂組成物の作製)
別表に従い、原料を所定の質量割合で混合した後、二軸押出機を用いて溶融混練してペレット化し、表面層用樹脂組成物を作製した。
(基材層用樹脂組成物の作製)
別表に従い、原料を所定の質量割合で混合した後、二軸押出機を用いて溶融混練してペレット化し、基材層用樹脂組成物を作製した。
(反射フィルムの作製)
表面層用樹脂組成物、基材層用樹脂組成物をそれぞれ、段階的に250℃迄加熱された押出機A、Bに供給し、各押出機にて溶融した後、表面層の総厚みに対する基材層の厚み比率が1:5となるように押出量を調整して2種3層用のTダイに合流させ、表面層/基材層/表面層の2種3層構成になるようにシート状に押出し、冷却固化して無延伸の積層シートを形成した。
得られた積層シートを、温度130℃でフィルムの流れ方向(MD)に2.9倍ロール延伸した後、さらに136℃で直交方向(TD)に3.6倍テンター延伸することで二軸延伸を行い、積層シートからなる反射フィルムを得た。得られた反射フィルムについて、各種評価を行い、その結果を表1に示す。
<実施例2~4、比較例1>
別表に従い、使用原料構成、及び添加割合を変更した以外は実施例1と同様にして反射フィルムを得た。得られた反射フィルムについて実施例1と同様の評価を行い、その結果を表1に示す。
<比較例2>
別表に従い、使用原料構成、及び添加割合を変更した以外は実施例1と同様にして無延伸の積層シートを形成した。得られた積層シートを、温度130℃でフィルムの流れ方向(MD)に2.3倍ロール延伸した後、さらに145℃で直交方向(TD)に3.0倍テンター延伸することで二軸延伸を行い、積層シートからなる反射フィルムを得た。得られた反射フィルムについて、各種評価を行い、その結果を表1に示す。
実施例1~4より、表面層の動摩擦係数及び最大高さSzが本発明の範囲内である反射フィルムであれば、導光板と接触したときの表面削れを防止できる。また、実施例3より低粘度のポリオレフィン樹脂を少量添加することで、表面削れ防止とともに更なる粒子脱落防止に期待できる。当該反射フィルムを使用することで、バックライトユニット等の構成部材に用いた際に、構成部材の汚染を抑制することができる。

Claims (11)

  1. 基材層の少なくとも一方の面に表面層を備え、前記表面層の動摩擦係数が0.29以上であり、かつ、前記表面層の最大高さSzが25μm以下である反射フィルム。
  2. 前記表面層の算術平均粗さSaが2500nm以下である、請求項1に記載の反射フィルム。
  3. 前記表面層の二乗平均平方根高さSqが3000nm以下である、請求項1に記載の反射フィルム。
  4. 前記反射フィルム全体の空孔率が40%以上である、請求項1に記載の反射フィルム。
  5. 前記表面層が、熱可塑性樹脂と無機粒子及び/又は有機粒子とを含む、請求項1に記載の反射フィルム。
  6. 前記表面層が、無機粒子及び/又は有機粒子を0.01質量%以上1質量%未満含む、請求項1に記載の反射フィルム。
  7. 前記無機粒子及び/又は有機粒子の平均粒径が0.05μm以上10μm以下である、請求項5又は6に記載の反射フィルム。
  8. 前記基材層の両方の面に前記表面層を備える、請求項1に記載の反射フィルム。
  9. バックライトユニットのいずれかの構成部材として使用することを特徴とする請求項1に記載の反射フィルム。
  10. 液晶ディスプレイ、照明器具及び照明看板のうちのいずれかの構成部材として使用することを特徴とする請求項1に記載の反射フィルム。
  11. 請求項1に記載の反射フィルムを構成部材とする液晶ディスプレイ、照明器具又は照明看板。
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