JP6459951B2 - 反射フィルム、及びこれを備えてなる液晶表示装置、照明装置、装飾用物品 - Google Patents
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Description
本発明の実施形態の一例に係る反射フィルム(「本反射フィルム」と称する)は、ジオール成分として脂環構造を有するポリエステル系樹脂(A)と微粉状充填材とを含有し、一軸又は二軸延伸されてなる反射層Xを備えた反射フィルムである。
反射層Xは、ジオール成分として脂環構造を有するポリエステル系樹脂(A)と充填材とを含有し、一軸又は二軸延伸されてなるフィルムから形成するのが好ましい。
反射層Xは、充填材を含有することで、ポリエステル系樹脂(A)との屈折率差による屈折散乱のほか、充填材の周囲に形成される空洞との屈折率差による屈折散乱、さらに充填材の周囲に形成される空洞と充填材との屈折率差による屈折散乱などからも光反射性を得ることができる。率差による屈折散乱のほか、充填材の周囲に形成される空洞との屈折率差による屈折散乱、さらに充填材の周囲に形成される空洞と充填材との屈折率差による屈折散乱などからも光反射性を得ることができる。
ポリエステル系樹脂(A)としては、ジオール成分として脂環構造を有するポリエステル系樹脂であればよい。例えばスピログリコール、イソソルビド、2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオールから選ばれる少なくとも1種の脂環構造を有するジオール成分を有する樹脂を挙げることができる。
ポリエステル系樹脂(A)として、ジオール成分として脂環構造を有するポリエステル系樹脂を用いることにより、他のポリエステル系樹脂を用いた場合に比べて、より均一な大きさ及び形の空隙をより均一に分散させることができ、光反射性をさらに高めることができる。
また、ジオール成分として脂環構造を有するポリエステル系樹脂は、低い屈折率、優れた透明性及び優れた柔軟性を備えていると共に高いTgを有するという点でも好ましい。
但し、ガラス転移温度(Tg)や屈折率を調整する観点から、上記樹脂以外に、その他のポリエステル系樹脂や添加剤を組み合わせて用いてもよい。
反射層Xに用いる充填材としては、無機質微粉体、有機質微粉体等を挙げることができる。
これらの中でも、シートを構成するポリエステル系樹脂との屈折率差を考慮すると、屈折率の大きいものが好ましく、屈折率が1.6以上である、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、酸化チタン又は酸化亜鉛を用いることが特に好ましい。
従って、少なくとも酸化チタンを主成分として含む充填材を用いるのがより好ましく、この場合、酸化チタンの量は、無機充填材の合計質量の30質量%以上、又は有機充填材と無機充填材とを組み合わせて使用する場合はその合計質量の30質量%以上とするのが好ましい。
かかる観点から、前記反射層Xにおいて、ポリエステル系樹脂(A):充填材は20:80〜80:20であるのが好ましく、中でも40:60〜60:40質量部であるのが特に好ましい。
反射層Xは、一軸又は二軸延伸されたフィルムから形成されるのが好ましい。中でも、フィルムの流れ方向(以下、MDと表記することがある)及び幅方向(以下、TDと表記することがある)の二軸方向に配向されていることがさらに好ましい。
この際、反射層Xの延伸倍率としては、フィルムの流れ方向、及び/又は、フィルムの幅方向に2〜9倍延伸されてなるものが好ましい。
反射層Xは空隙を有する層であることが好ましい。
反射層Xの空隙は、後述する反射層Yを備えている場合には、反射層Yの分散層と同様に平板状構造であるのが好ましい。その場合、反射層Xの空隙の厚みは、反射層Yの分散層の厚みに比べて厚いことが好ましい。
本反射フィルムは、反射層Xのみからなる単層の反射フィルムであってもよいし、また、反射層Xと他の一層又は他の二層以上とが積層してなる積層フィルムであってもよい。
この際、他の層がどのような層であるかについて限定するものではない。
本反射フィルムの好ましい一例として、上記反射層Xと、前記「ポリエステル系樹脂(A)以外の樹脂」を主成分樹脂として含有し、一軸又は二軸延伸されてなる反射層Yとを備えた積層フィルムを挙げることができる。
反射層Yが、前記ポリエステル系樹脂(A)とのガラス転移温度の差が15℃以下である熱可塑性樹脂(B)を主成分樹脂として含有する層であれば、後述するように、反射層Xと反射層Yとを共押出して積層することができるから、生産効率が高くなるばかりではなく、反射層Xと反射層Yとを接着層などの中間層を介さずに直接積層することができ、本反射フィルムをより薄く形成することができる。
かかる観点から、前記ポリエステル系樹脂(A)と熱可塑性樹脂(B)のガラス転移温度の差(絶対値)は15℃以下であるのが好ましく、中でも13℃以下、その中でも11℃以下であるのが特に好ましい。
海島構造とは、複数成分の片方が連続する相の中に、もう一方が粒子状(島状)に分散している構造を言い、通常、分散相である島部は、不連続であり、かつ、微小な略球状構造を示すが、反射層Yにおける上記の島部は、流れ方向及び幅方向に延伸されるため、扁平した楕円状構造、又は、円盤状構造を示す。このような構造の有無は、反射層YのMD断面、もしくは、TD断面を走査型電子顕微鏡(SEM)にて観察することにより、確認することができる。
両者の平均屈折率差が0.05以上であることにより、連続相と分散相との界面における光の反射が生じやすくなるため、高い反射特性を付与することが可能となる。
かかる理由により、該連続相(I)を形成する熱可塑性樹脂(B)と、該分散相(II)を形成する熱可塑性樹脂(C)の平均屈折率差は、0.10以上であることがより好ましく、0.15以上であることがさらに好ましい。
延伸操作等により、フィルムに配向を付与させることにより、前記連続相(I)を形成する熱可塑性樹脂(B)と、前記分散相(II)を形成する熱可塑性樹脂(C)の屈折率を変化させることにより、前記(B)と前記(C)の屈折率差を更に増大させることが可能となる。また、前記分散相(II)の流れ方向、幅方向、および厚み方向の平均寸法を本発明の規定する範囲に調節することができ、本発明のフィルムに、より高い反射特性を付与することができる。
中でも、前記連続相(I)を形成する熱可塑性樹脂(B)と、前記分散相(II)を形成する熱可塑性樹脂(C)の少なくとも一方が、結晶性の熱可塑性樹脂であることが好ましい。少なくとも一方が結晶性の熱可塑性樹脂であれば、高分子鎖が配向しやすく、配向方向に対する連続相(I)と分散相(II)の屈折率差を増大させやすく、反射特性を向上させやすいため好ましい。また、熱処理の際に、結晶性の熱可塑性樹脂は、配向結晶化しやすくなり、寸法安定性の観点からも好ましい。
中でも、連続相(I)を形成する熱可塑性樹脂(B)がポリエステル系樹脂であり、分散相(II)を形成する熱可塑性樹脂(C)がフッ素系樹脂である組合せが好ましい。
一般にポリエステル系樹脂、特に芳香族ポリエステル系樹脂は平均屈折率が高く、フッ素系樹脂は平均屈折率が低いため、連続相(I)と分散相(II)の屈折率差を増大させやすく、反射特性を向上させやすいため好ましい。
反射層Yの構成材料としての上記ポリエステル系樹脂としては、結晶性のポリエステル系樹脂であることが好ましい。
結晶性のポリエステル系樹脂は、延伸を行うと、高分子鎖が配向しやすく、配向方向に対する連続相(I)と分散相(II)の屈折率差を増大させやすく、反射特性を向上させやすいため好ましい。また、熱処理の際に、配向結晶化しやすくなり、寸法安定性の観点からも好ましい。
一般に、ポリエステル系樹脂は、固有複屈折率が正となることが多く、中でも芳香族ポリエステル系樹脂は高い複屈折率を有する為、配向方向に対する連続相(I)と分散相(II)の屈折率差を増大させやすく、反射特性を向上させやすいため好ましい。
これらの中でも、結晶性の芳香族ポリエステル系樹脂であることが好ましく、特にポリエチレンナフタレート系樹脂であることが、高い平均屈折率と高い複屈折率を有するという観点から好ましい。また、ガラス転移温度(Tg)や屈折率を調整する観点から、上記樹脂を組み合わせて用いてもよい。
また、ポリエチレンテレフタレート(PET)とポリエチレンナフタレート(PEN)
との混合樹脂も好ましい一例である。PENとPETは相溶するためで、PENにPETを混ぜることによって、Tgや屈折率が調整することができる。
上記ポリエステル系樹脂のガラス転移温度(Tg)は、70℃〜120℃の範囲が好ましく、80℃〜120℃の範囲であることがより好ましい。ガラス転移温度が70℃以上であれば、フィルムの剛性を保持することができ、120℃以下であれば延伸が容易となるため好ましい。
さらに、上記ポリエステル系樹脂の融点(Tm)は、240℃〜270℃の範囲が好ましく、250℃〜270℃の範囲であることがより好ましい。融点が240℃以上であれば、十分な耐熱性を付与することができ、270℃以下であれば溶融押出時に、ポリエチレンナフタレート系樹脂以外の共存する熱可塑性樹脂の熱分解を抑制するため好ましい。
一方、反射層Yの構成材料としての上記フッ素系樹脂は、融解吸熱ピーク温度が130℃以上250℃以下であるのが好ましい。
フッ素系樹脂の融解吸熱ピーク温度が130℃未満の場合、ポリエステル系樹脂との混練・押出の際に表面荒れが生じたり、反射フィルムの耐熱性が低下したりするため、好ましくない。反射フィルムは、その性質上、光源周辺に配置されることが多いため、耐熱性が求められる。そのため、前記フッ素系樹脂の融解吸熱ピーク温度が130℃以上であることが好ましく、中でも好ましくは150℃以上、特に好ましくは180℃以上である。
また、フッ素系樹脂の融解吸熱ピーク温度が300℃を超える場合、ポリエステル系樹脂との混練・押出の際に、ポリエステル系樹脂の分解が促進されやすくなり、成形が困難となるため好ましくない。さらに、フッ素系樹脂の融解吸熱ピーク温度が250℃より大きく300℃未満の場合、表面荒れが生じたり、分散相(II)のモルフォロジーが粗雑になりやすくなったりするため、好ましくない。かかる理由により、フッ素系樹脂の融解吸熱ピーク温度は、245℃以下であることが好ましく、240℃以下であることがより好ましく、235℃以下であることが特に好ましい。
反射層Yを構成する、前記連続相(I)を形成する熱可塑性樹脂(B)と、前記分散相(II)を形成する熱可塑性樹脂(C)の混合質量比は、(B)/(C)=90/10〜50/50であることが好ましく、中でも80/20〜55/45、その中でも75/25〜60/40であるのが特に好ましい。このような混合質量比とすることにより、分散相が少なくなり過ぎず、連続相と分散相との界面における散乱が小さくなり反射特性が低下するなどのおそれがないため好ましい。
なお、反射層Yは、前記熱可塑性樹脂(B)及び前記熱可塑性樹脂(C)以外の他の熱可塑性樹脂を含有しても構わない。例えば前記熱可塑性樹脂(C)に該当する熱可塑性樹脂を2種以上含んでいても構わない。
反射層Yは、分散性を向上させる目的で、必要に応じて相溶化剤などの添加剤を含有してもよい。
本反射フィルムは、ポリエステル系樹脂と充填材との混合物を主成分とする反射層Xと、他の層、例えば上記の反射層Yとが、共押出により積層一体化された構成であるのが特に好ましい。
例えば、X/Yの2層構成の他にも、X/Y/P、X/Y/X等の3層構成、X/Y/P/Y、X/Y/P/X、等の4層構成、X/Y/P/Y/X等の5層構成とすることもできる。また、積層構成とするにあたり、各層の樹脂組成に関しては同一であっても異なっていてもよい。
本反射フィルムの厚みは、40μm〜1000μmであるのが好ましい。本反射フィルムの厚みが40μm以上であれば、十分な反射率と正反射特性を得ることができ、1000μm以下であれば十分な実用面の取扱い性を有することができる。かかる観点から、より好ましくは50μm以上或いは800μm以下であり、さらに好ましくは60μm以上或いは400μm以下である。
本反射フィルムの厚みに対し、前記反射層Xの厚みが40〜90%を占めるのが好ましく、中でも50%以上或いは75%以下、その中でも特に60%以上或いは80%以下を占めるのがさらに好ましい。他方、他の層、例えば反射層Yの厚みは、10〜60%を占めるのが好ましく、中でも20%以上或いは50%以下、その中でも25%以上或いは40%以下を占めるのがさらに好ましい。
各層の厚み比が上記範囲であれば、本反射フィルムに正反射特性と高反射率とを効率よく付与することができる。また、積層後の強度・ハンドリング性を十分にかくほすることができる。
本反射フィルムは、測定波長400nm〜700nmの平均反射率が90%以上であることが好ましい。前記平均反射率が90%以上であることにより、フィルムの反射特性を担保することができる。かかる理由により、93%以上であることがさらに好ましく、95%以上であることが特に好ましい。このような反射性能を有するものであれば、反射材として良好な反射特性を示し、この反射材を組み込んだ液晶ディスプレイ等はその画面が十分な明るさを実現することができる。
本反射フィルムが、反射層Yを備えている場合には、正反射性を示すことが好ましい。
反射特性の評価方法としては、変角光度測定があり、例えば、フィルムの面に対して法線方向を0°とし、入射角を、−X°として、サンプルに光を入射した時、サンプルが拡散反射性を示す場合においては、その反射光は様々な角度に広がりを持って反射される。一方、サンプルが正反射性を示す場合、反射光の分布は、反射角X°をピークとした反射光分布を示す。このとき、正反射性が高い程、ピークがシャープに現れる。このとき、反射された光のピークの最大強度を100%と規格化し、横軸受光角、縦軸受光相対ピーク強度としたときの受光相対ピーク強度が1%、10%となる受光角幅が正反射特性の指標となる。
本反射フィルムが、反射層Yを最表面に備えている場合、本反射フィルムの表面粗さは、少なくとも片方の表面の算術平均粗さRaとして、0.2μm以下であることが好ましく、0.15μm以下であることがより好ましい。
また、製膜時において、溶融した組成物をTダイのスリット状の吐出口から押し出し、冷却ロールに密着固化させる際に、溶融した樹脂組成物の両面を平滑性の優れたフィルムにより挟み込む、もしくは、溶融した樹脂組成物の片面を平滑性の優れたフィルムにより貼りあわせることや、平滑性の優れた金属膜や金属ベルトを押し当てること等によっても表面粗荒れを防止することができる。
本反射フィルムの形態は特に限定するものではなく、板状、シート状、フィルム状その他の形態であってもよい。
本反射フィルムの製造方法としては、特に制限されるものではなく、公知の方法を採用することができる。以下に、積層構成を備えた本反射フィルムの製造方法について、一例を挙げて説明するが、下記製造方法に何ら限定されるものではない。
ポリエステル系樹脂に、充填材、および、必要に応じてその他添加剤を予め配合しておく。具体的には、ポリエステル系樹脂に充填材その他酸化防止剤等を必要に応じて加えて、リボンブレンダー、タンブラー、ヘンシェルミキサー等で混合した後、バンバリーミキサー、1軸又は2軸押出機等を用いて、樹脂の流動開始温度以上の温度で混練することにより、反射層X形成用の樹脂組成物を得ることができる。
また、ポリエステル系樹脂、充填材等を別々のフィーダー等により所定量を添加して混練することにより得ることができる。
また、ポリエステル系樹脂とその他の酸化防止剤等を予めに高濃度に配合したいわゆるマスターバッチを作っておき、このマスターバッチとポリエステル系樹脂や充填材とを混合して所望の濃度に調整することもできる。
他方、熱可塑性樹脂(B)および熱可塑性樹脂(C)に、必要に応じて相溶化剤(D)、酸化防止剤等を添加しシート(Y)用の樹脂組成物とする。具体的にはリボンブレンダー、タンブラー、ヘンシェルミキサー等で混合した後、バンバリーミキサー、1軸又は2軸押出機等を用いて、樹脂の流動開始温度以上の温度で混練することにより、得ることができる。また、熱可塑性樹脂(B)および熱可塑性樹脂(C)とその他の相溶化剤(D)や酸化防止剤等を予めに高濃度に配合したいわゆるマスターバッチを作っておき、このマスターバッチと熱可塑性樹脂(B)および熱可塑性樹脂(C)とを混合して所望の濃度に調整することもできる。
次に、このようにして得られた反射層X形成用樹脂組成物、及び、反射層Y形成用樹脂組成物を乾燥させた後、共にそれぞれ別の押出機に供給し、それぞれ所定の温度以上に加熱して溶融させる。
押出温度等の条件は、各層に用いる熱可塑性樹脂により異なるが、いずれの樹脂を用いる場合においても分解によって分子量が低下すること等を考慮して設定されることが必要である。例えば、各層において、上述の例に挙げた熱可塑性樹脂を用いる場合には、前記反射層Y形成用樹脂組成物の押出温度は270℃〜290℃であることが好ましい。
その後、溶融した各樹脂組成物を2種2層あるいは、2種3層用のTダイに合流させ、Tダイのスリット状の吐出口から積層状に共押出し、冷却ロールに密着固化させてキャストシートを形成する。
次に、少なくとも一軸方向に延伸するのが好ましい。
延伸方向としては、MDとTDのいずれかでも、両軸でもよい。但し、本反射フィルムの有する特性をより効果的に発現させるためには、MD、TD両方向に延伸し、フィルムを配向させること好ましい。延伸することにより、樹脂組成物Aにおいて内部のポリエステル系樹脂と充填材の界面が剥離して空隙が形成され、シートの白化が進行して、フィルムの光反射性を高めることができる。
中でも、製膜安定性や生産効率化を考慮する場合には、上述の通りTダイキャスト法によって製膜したシートを、MD、TDに二軸延伸する方法を選択することが好ましい。
また、2軸延伸するとフィルムの収縮方向の異方性が少なくなるので、フィルムに耐熱性を向上させることができ、またフィルムの機械的強度を増加させることもできる。
延伸温度は、樹脂のガラス転移温度(Tg)程度から(Tg+50℃)の範囲内の温度とするのが好ましい。延伸温度がこの範囲であれば、延伸時に破断することなく安定して延伸を行うことができる。
延伸倍率は、特に限定するものではない。例えば、MD及び/又はTDに2〜9倍好ましくはMD及び/又はTDに3〜9倍、特にMD及び/又はTDに4〜7倍とするのが好ましい。延伸倍率が、MD及び/又はTDに2倍以上であれば、反射層Yにおける分散相(II)が伸長し、かつ拡散反射シート(Y)におけるポリエステル樹脂と充填材との界面の剥離面積が増大するため好ましい。また、配向が付与され、連続相(I)を形成する熱可塑性樹脂(B)と分散相を形成する熱可塑性樹脂(C)との屈折率差が増大し、反射率向上の効果が得られるため好ましい。一方、9倍以下であれば、フィルムの破断を抑制できる為、好ましい。
本反射フィルムを利用することにより、本反射フィルムを備えてなる液晶表示装置、照明装置、装飾用物品などを構成することができる。
一般的に「フィルム」とは、長さ及び幅に比べて厚みが極めて小さく、最大厚みが任意に限定されている薄い平らな製品で、通常、ロールの形で供給されるものをいい(日本工業規格JISK6900)、一般的に「シート」とは、JISにおける定義上、薄く、一般にその厚みが長さと幅のわりには小さく平らな製品をいう。しかし、シートとフィルムの境界は定かでなく、本発明において文言上両者を区別する必要がないので、本発明においては、「フィルム」と称する場合でも「シート」を含むものとし、「シート」と称する場合でも「フィルム」を含むものとする。
さらにまた、「X以上」(Xは任意の数字)或いは「Y以下」(Yは任意の数字)と表現した場合、「Xより大きいことが好ましい」或いは「Y未満であることが好ましい」旨の意図も包含する。
先ずは、実施例・比較例で得たサンプルの各種物性値の測定方法及び評価方法について説明する。
アタゴ製アッベ屈折率計を用い、ナトリウムD線(589nm)を光源とし、JIS K7124により、実施例、及び、比較例に用いたそれぞれの原料の平均屈折率を測定した後、平均屈折率差を算出した。
得られた反射フィルムの全厚みについては、面内を不特定に測定し厚みとした。
反射層Y、反射層Xの各層厚みについては 走査型電子顕微鏡(SEM)にて得られたフィルムの断面を観察し、得られた写真を用いて測定した。
分光光度計(「U―3900H」、(株)日立製作所製)に積分球を取付け、アルミナ白板を100%とした時の反射率を、波長300nm〜800nmにわたって0.5nm間隔で測定し、反射率を得た。得られた測定値をもとに各波長領域での平均値を計算し、この値を平均反射率(%)とした。得られた結果より、下記基準にて判断した。
○(good):波長700nm〜400nmの平均反射率が90%以上である。
×(poor):波長700nm〜400nmの平均反射率が90%未満である。
分光光度計(「U―3900H」、(株)日立製作所製)に積分球を取付け、波長300nm〜800nmにわたって0.5nm間隔で測定し、透過率(%)を得た。なお、測定前にアルミナ白板を標準板として校正を行った。得られた結果より、下記基準にて判断した。
○(good):波長700nm〜400nmの平均透過率が5%以下である。
×(poor):波長700nm〜400nmの平均透過率が5%を超える。
ゴニオフォトメーターGR200(村上色彩研究所製、自動変角光度測定機)を用い、フィルムの面に対して法線方向0°とし、入射角を−45°として、サンプルに光を入射し、−60°から90°の範囲でフィルムに反射された光を受光した。このとき、得られるピークの最大強度を100%と規格化し、横軸受光角、縦軸受光相対ピーク強度のグラフを作成した。得られたグラフより、受光相対ピーク強度が1%、10%となる受光角幅を算出した。この受光角幅が狭い方がより正反射性が強いことを示す。得られた結果より、下記基準にて判断した。
○(good):受光相対ピーク強度10%の受光角幅が10°以下である。
×(poor):受光相対ピーク強度10%の受光角幅が10°より大きい。
○(good):受光相対ピーク強度1%の受光角幅が60°以下である。
×(poor):受光相対ピーク強度1%の受光角幅が60°より大きい。
JISB0601−2001に準拠する。
まず、反射フィルムを9mm幅×6mm長さで切り出す。切り出した反射フィルムを、観察用ホルダーにカーボン両面テープ(日新EM株式会社製)に貼り付ける。その後、観察時の試料表面での帯電(チャージアップ)を防止するため、試料の周囲6箇所に導電ペーストを乗せ、表面にPt−Pdを10mAで100秒蒸着する。前記サンプルをESA−2000(エリオニクス社製、非接触式三次元粗さ計)にて、測定倍率250倍(測定範囲:480μmx360μm)にて観察し、算術平均粗さRaを算出した。
○(good):算術平均粗さRaが0.15μm以下である。
×(poor):算術平均粗さRaが0.15μmを超える。
ポリエステル系樹脂(A)として、ジオール成分として脂環構造を有するポリエステル系樹脂(2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオール34.5mol%、Tg:117℃、以下「A−1」と表記)のペレットと、酸化チタン(KRONOS社製、商品名「KRONOS2450」、平均粒径D50:0.31μm)と、60:40の質量割合で混合した後、酸化防止剤としてADEKA PEP36AおよびAO−80を混合質量100に対してそれぞれ0.1部添加し、270℃で加熱された二軸押出機を用いてペレット化し、反射層X形成用樹脂組成物を作製した。
得られたキャストシートを、予熱ロール、延伸ロール、冷却ロールからなる縦延伸機にて、予熱温度120℃、延伸温度133℃、冷却温度60℃にて、延伸ロール間でのロール速度差によりMDに3倍延伸した。
その後、得られた縦延伸フィルムを、予熱ゾーン、延伸ゾーン、熱処理ゾーンからなるテンターにて、予熱130℃、延伸130℃、熱処理130℃にてTDに5倍延伸して反射フィルムを得た。予熱ゾーン、延伸ゾーン、熱処理ゾーンの通過時間はそれぞれ32秒であった。得られた反射フィルムの評価結果を表1に示す。
実施例1において、ポリエステル系樹脂A−1の代わりに、ジオール成分として脂環構造を有するポリエステル系樹脂(2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオール21mol%、Tg:107℃、以下「A−2」と表記)を用い、MD延伸温度を120℃、TD延伸時の予熱、延伸、熱固定それぞれの温度を120℃にした以外は、実施例1と同様にして反射フィルムを得た。得られた反射フィルムの評価結果を表1に示す。
実施例1において、ポリエステル系樹脂A−1の代わりに、ジオール成分として脂環構造を有するポリエステル系樹脂(スピログリコール43.1mol%、Tg:109℃、以下「A−3」と表記)を用い、A−3を供給する押出機の温度を250℃とし、MD延伸時の冷却温度を70℃、TD延伸の予熱、延伸、熱固定それぞれの温度を110℃にした以外は、実施例1と同様にして反射フィルムを得た。得られた反射フィルムの評価結果を表1に示す。
実施例1において、ポリエステル系樹脂A−1の代わりに、ジオール成分として脂環構造を有するポリエステル系樹脂(イソソルビド32.5mol%、Tg:118℃、以下「A−4」と表記)を用い、MD延伸時の冷却温度を70℃、TD延伸時の予熱、延伸、熱固定それぞれの温度を120℃、TDへの延伸倍率を4倍とした以外は、実施例1と同様にして反射フィルムを得た。得られた反射フィルムの評価結果を表1に示す。
実施例1において、ポリエステル系樹脂A−1の代わりに、ジオール成分として脂環構造を有さないポリエチレンテレフタレート樹脂(Tg:76℃、以下「A−5」と表記)を用いた以外は、実施例1と同様にして反射フィルムを作製しようと試みた。しかし、反射層Xと反射層Yの溶融粘度が合致せず、評価可能な積層フィルムを得ることが出来なかった。
実施例1において、反射層Y形成用樹脂組成物を溶融混練した後、ロール温度110℃のキャストロールにて冷却固化して厚さ450μmの反射層Y単層シートとなるように押出た以外は、実施例1と同様にして作製した。
得られたシートを、予熱ロール、延伸ロール、冷却ロールからなる縦延伸機にて、予熱温度133℃、延伸温度130℃、冷却温度70℃にて、延伸ロール間でのロール速度差によりMDに2.7倍延伸した。
その後、得られた縦延伸フィルムを、予熱ゾーン、延伸ゾーン、熱処理ゾーンからなるテンターにて、予熱140℃、延伸136℃、熱処理155℃にてTDに4.2倍延伸した。予熱ゾーン、延伸ゾーン、熱処理ゾーンの通過時間はそれぞれ32秒であった。得られたフィルムの評価結果を表1に示す。
比較例2において、熱可塑性樹脂C−1の代わりに、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン−ビニリデンフルオライド系樹脂(平均屈折率:1.363、Tm:113℃、固有複屈折率:正、以下、「C−2」と表記)を用いた以外は、比較例2と同様にしてフィルムを得た。得られたフィルムの評価結果を表1に示す。
Claims (10)
- ジオール成分として脂環構造を有するポリエステル系樹脂(A)と充填材とを、合計50質量%以上の割合で含有してなる反射層Xと、他の一層又は他の二層以上とを共押出により積層一体化した後、一軸又は二軸延伸して作製することを特徴とする反射フィルムの製造方法。
- 前記他の一層又は他の二層は、ポリエステル系樹脂(A)以外の樹脂を、当該層を構成する樹脂成分の50質量%以上を占める割合で含有する反射層Yであることを特徴とする請求項1に記載の反射フィルムの製造方法。
- 前記反射層Yは、前記ポリエステル系樹脂(A)とのガラス転移温度の差が15℃以下である熱可塑性樹脂(B)を、当該層を構成する樹脂成分の50質量%以上を占める割合で含有することを特徴とする請求項2に記載の反射フィルムの製造方法。
- ジオール成分として脂環構造を有するポリエステル系樹脂(A)と充填材とを含有してなる反射層Xと、ポリエステル系樹脂(A)以外の樹脂を、層を構成する樹脂成分の50質量%以上を占める割合で含有する反射層Yとを共押出により積層一体化した後、一軸又は二軸延伸して作製することを特徴とする反射フィルムの製造方法であって、該反射層Yは、該ポリエステル系樹脂(A)とのガラス転移温度の差が15℃以下である熱可塑性樹脂(B)を主成分樹脂として含有することを特徴とする反射フィルムの製造方法。
- フィルムの流れ方向、及び/又は、フィルムの幅方向に2〜9倍延伸して作成することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の反射フィルムの製造方法。
- 前記反射層Yは、前記熱可塑性樹脂(B)からなる連続相(I)と、これと非相溶の熱可塑性樹脂(C)からなる分散相(II)による海島構造を有することを特徴とする請求項2〜4のいずれか1項に記載の反射フィルムの製造方法。
- 前記熱可塑性樹脂(B)はポリエステル系樹脂であり、他方の熱可塑性樹脂(C)はフッ素系樹脂であることを特徴とする請求項6に記載の反射フィルムの製造方法。
- 前記ポリエステル系樹脂(A)は、スピログリコール、イソソルビド、2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオールから選ばれる少なくとも1種の脂環構造を有するジオール成分を有することを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の反射フィルムの製造方法。
- 前記反射層Xにおいて、前記ポリエステル系樹脂(A)と充填材との含有割合(質量部)は、ポリエステル系樹脂(A):充填材=20:80〜80:20であることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の反射フィルムの製造方法。
- 充填材が、酸化チタンを50質量%以上含有する充填材であることを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載の反射フィルムの製造方法。
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