JP2011209499A - 面光源反射板用白色ポリエステルフィルム及びそれを用いた液晶ディスプレイ用面光源反射板 - Google Patents

面光源反射板用白色ポリエステルフィルム及びそれを用いた液晶ディスプレイ用面光源反射板 Download PDF

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雅俊 井澤
Masahiro Okuda
昌寛 奥田
Masahiro Hasegawa
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Abstract

【課題】製膜性、白色性、反射性、軽量性、耐光性に優れた白色ポリエステルフィルム提供すること、およびそれを用いることにより輝度特性に優れた面光源を提供する。
【解決手段】ポリエステル層(A)を有するポリエステルフィルムであって、ポリエステル層(A)中に無機粒子(c)を0.1〜5.0質量%、及び無機粒子(d)を1.0〜25質量%含有し、無機粒子(c)の体積平均粒子径が2μm〜10μmであり、ポリエステル層(A)側表面の60°光沢度が30以下であり、中心線平均粗さ(Ra)が250nm≦Ra≦1000nm、十点平均粗さ(Rz)が4000nm≦Rz≦10000nmであることを特徴とする面光源反射板用白色ポリエステルフィルムである。
【選択図】なし

Description

本発明は、白色ポリエステルフィルムに関し、特に、液晶ディスプレイ用面光源反射板として最適な白色ポリエステルフィルムに関する。より具体的には、液晶ディスプレイのバックライトに該白色ポリエステルフィルムを用いた際に、該白色ポリエステルフィルムの真上に蛍光管を配置する様な(直下型という)構成で、より明るくムラの少ない画面が得られる面光源反射板用白色ポリエステルフィルムに関する。
近年では、テレビ、パソコン、携帯機器をはじめとした様々な電子機器に多用されている液晶ディスプレイは、高い輝度を確保するために、ディスプレイ後部にバックライトと呼ばれる面光源を設置して光を照射している。また、バックライトは、画面全体を均一に照射する必要がある。この特性を満たす方式として、サイドライト型及び直下型と呼ばれる面光源の構造がある。中でも、ノート型パソコン等に使用される薄型ディスプレイには、サイドライト型、つまり画面に対し側面から光を照射するタイプのバックライトが適用されている。一般的に、このサイドライト型では、ある厚みを持ったアクリル板などの透明基材の片面に網点印刷やシボ加工など各種処理を施し、該アクリル板などのエッジより冷陰極管などの照明を当てる方式で照明光が均一に分散され、均一な明るさを持った画面が得られる。また、画面の背面でなく、エッジ部に照明を設置するため、バックライト方式より薄型にできる。また、照明光の画面背面への逃げを防ぐため、画面の背面に反射板が設けられており、これにより冷陰極線管等の照明からの光のロスを少なくし、液晶画面を明るくする機能を付与している。
一方、液晶テレビのような大画面用では、サイドライト方式では画面の高輝度化が望めないことから、直下型ライト方式が採用されている。この方式は、液晶画面の下部に冷陰極線管を並列するもので、反射板は平面状もしくは、冷陰極線管の部分を半円凹状に成形したものなどが用いられる。反射板の上に平行に冷陰極線管が並べられる。反射板は平面状もしくは、冷陰極線管の部分を半円凹状に成形したものなどが用いられる。
このような液晶画面用の面光源に用いられるリフレクターや反射板(面光源反射部材と総称する)には、薄膜であることと同時に高い反射性能はもちろんのこと、照明光源から発せられる高出力の光に長時間曝されることになるため、従来、白色顔料を添加したフィルムや内部に微細な気泡を含有させたフィルム、もしくはこれらのフィルムとプラスチック板などを張り合わせたものが使用されてきた。これらの中で、特に非相溶樹脂の微粒子及び白色顔料を含むシートを延伸して得られる内部に気泡を含有させたフィルムは輝度の向上効果や耐光性に優れることから幅広く用いられている(特許文献1、2、3、4)。
一方、フィルムの表面凹凸が小さい、すなわち平面性が高いと、光の正反射が起こりやすくなるために光沢度が高くなり、反射光のうち、正反射の割合が大きくなり拡散反射が少なくなる。このようなフィルムを反射フィルムとして面光源反射部材に用いると、液晶画面上に照明光源の光を直接反射する成分が増えるため、照明光源の間隔に応じた明暗の差(ランプムラあるいは輝度ムラと呼ぶ)が発生してしまう。そこで、粗大粒子を含有した層をコーティングして平面性を低下させることにより拡散反射成分を増加させて光沢度を下げ、ランプムラを低減させる検討がなされている(特許文献5)。
特開2009−98660号公報 特開2005−350615号公報 特開2009−173015号公報 特開2002−098808号公報 特開2004−126345号公報
しかし、従来の技術では、耐光性を持たせるために、またはランプムラを抑制しようとすると、上述したように耐光性や低光沢性を付与するための層をコーティングなどにより設けなければならず、生産性、コストなどに問題があった。そこで、本発明は、上記従来の検討では達成し得なかった優れた耐光性及び低光沢度を有する白色ポリエステルフィルムをコーティングなどのような押出成形以外の工程なしに提供することを課題とする。また、その白色ポリエステルフィルムを用いることにより輝度特性に優れた面光源反射部材を安価に提供することを課題とする。
本発明は、上記課題を解決するために、次のような構成をとる。すなわち、本発明の白色ポリエステルフィルムは、
(1)ポリエステル層(A)を有するポリエステルフィルムであって、ポリエステル層(A)中に無機粒子(c)を0.1〜5.0質量%、及び無機粒子(d)を1.0〜25質量%含有し、無機粒子(c)の体積平均粒子径が2μm〜10μmであり、ポリエステル層(A)側表面の60°光沢度が30以下であり、中心線平均粗さ(Ra)が250nm≦Ra≦1000nm、十点平均粗さ(Rz)が4000nm≦Rz≦10000nmであることを特徴とする面光源反射板用白色ポリエステルフィルム。
(2)無機粒子(d)の体積平均粒子径が0.05〜2μmである(1)に記載の面光源反射板用白色ポリエステルフィルム。
(3)無機粒子(c)がシリカである(1)または(2)に記載の面光源反射板用白色ポリエステルフィルム。
(4)前記ポリエステルフィルムが気泡を含有し、フィルム厚み方向における該気泡とポリエステルとの界面が、フィルム厚み10μmあたり15以上である(1)〜(3)のいずれかに記載の面光源反射板用白色ポリエステルフィルム。
(5)比重が0.45〜0.99である(1)〜(4)のいずれかに記載の面光源反射板用白色ポリエステルフィルム。
(6)前記白色ポリエステルフィルムが、気泡を含有するポリエステル層(B)の少なくとも片面にポリエステル層(A)を積層した構造である(1)〜(5)のいずれかに記載の面光源反射板用白色ポリエステルフィルム。
(7)(1)〜(6)のいずれかに記載の面光源反射板用白色ポリエステルフィルムを用いた液晶ディスプレイ用面光源反射板。
本発明は、白色ポリエステルフィルムを面光源内の反射板やリフレクターとして用いた時、液晶画面を明るくかつムラなく照らし、液晶画像をより鮮明かつ見やすくすることができ、また長期使用における光劣化を抑制することができ有用なものである。
光反射用白色ポリエステルフィルムを組み込んだ液晶画面の概略断面図及び輝度測定法の概略図である。
以下、本発明を詳細に説明する。
[白色ポリエステルフィルムの構成]
本発明の白色ポリエステルフィルムは、ポリエステル層(A)を有するポリエステルフィルムである。ポリエステル層(A)はポリエステル樹脂(a)、無機粒子(c)及び無機粒子(d)を含有することが、輝度ムラ防止、耐光性及び光学特性の点で必要である。ポリエステル層(A)は該ポリエステル樹脂(a)とは非相溶のポリオレフィン(b)を含有してもよく、気泡を含有してもよい。
本発明の白色ポリエステルフィルムは、単層、複層のいずれでも良いが、複層の場合はポリエステル層(B)および(A)を用いた積層構造であり、ポリエステル層(B)が気泡を含有した層であり、少なくともその片側にポリエステル層(A)が無機粒子を含有した層であることが、高反射率、製膜性、光学特性及び耐光性の点で好ましい。
本発明の白色ポリエステルフィルムが複層の場合、ポリエステル層(B)は、ポリエステル樹脂(a)、該ポリエステル樹脂(a)とは非相溶のポリオレフィン(b)を有していることが好ましい。また、該ポリオレフィン(b)を核とした気泡を有していることが好ましい。また、無機粒子(c)及び無機粒子(d)を含有してもよい。
ポリエステル樹脂(a)と、ポリオレフィン(b)を用いることにより、後述するような方法により容易にポリオレフィン(b)を核として、その周りに気泡を含有させることが可能となり、その結果、低比重かつ、高い反射特性を有する白色ポリエステルフィルムを製造することが可能となる。無機粒子(c)の周りには空隙が生成してもよい。
製膜上の容易さと効果を考慮すると2層構成あるいは3層構成の形態が好ましい。特にポリエステル層(A)にてポリエステル層(B)を保護する形態、すなわち、ポリエステル層(A)/ポリエステル層(B)/ポリエステル層(A)の3層構成が好ましい。また、さらに多層となる場合、芯層部がポリエステル層(B)であり、片側または両側の表層部がポリエステル層(A)であることが好ましい。
本発明の白色ポリエステルフィルムは、上述の構成からなる単層または2層以上のポリエステル層が積層された白色ポリエステルフィルムであって、反射光の光拡散性を制御したり、高い機械的強度をフィルムに付与したり、製膜性を付与したり、帯電防止性を付与したり、その他付随する機能を有する層が積層されてもよい。多層構成にすることにより、ポリエステルフィルムの表面において、それぞれの層の特性が発現し、多様な特性をコントロールすることができる。
[ポリエステル樹脂(a)]
本発明の白色ポリエステルフィルムにおいて、ポリエステル樹脂(a)として1種以上のポリエステル樹脂を用いることができるが、後述するポリエステル樹脂(a1)とポリエステル樹脂(a2)を含むことが好ましい。ポリエステル樹脂(a1)とポリエステル樹脂(a2)を用いることにより、高い光学特性を有する白色ポリエステルフィルムを安定に得ることができる。
ポリエステル樹脂(a1)は、1)ジカルボン酸成分もしくはそのエステル形成性誘導体(以下、「ジカルボン酸成分」と総称する)とジオール成分の重縮合、2)一分子内にカルボン酸もしくはカルボン酸誘導体骨格と水酸基を有する化合物の重縮合、および1)2)の組み合わせにより得ることができる。
1)において、かかるポリエステル樹脂を構成するジカルボン酸成分としては、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、スベリン酸、セバシン酸、ドデカンジオン酸、ダイマー酸、エイコサンジオン酸、ピメリン酸、アゼライン酸、メチルマロン酸、エチルマロン酸等の脂肪族ジカルボン酸類、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、1,8−ナフタレンジカルボン酸、4,4’−ジフェニルジカルボン酸、4,4’−ジフェニルエーテルジカルボン酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸、アントラセンジカルボン酸、フェナントレンジカルボン酸、9,9’−ビス(4−カルボキシフェニル)フルオレン酸等芳香族ジカルボン酸などのジカルボン酸、もしくはそのエステル誘導体などが代表例として挙げられるが、これらに限定されず、例えば多官能酸である、トリメリット酸、ピロメリット酸およびそのエステル誘導体等も好適に用いることができる。また、これらは単独で用いても、必要に応じて、複数種類用いても構わない。
また、上述のジカルボン酸成分のカルボキシ末端に、l-ラクチド、d−ラクチド、ヒドロキシ安息香酸などのオキシ酸類、およびその誘導体、そのオキシ酸類が複数個連なったもの等を付加させたジカルボキシ化合物も好ましく用いられる。
また、1)においてかかるポリエステル樹脂を構成するジオール成分としては、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール等の脂肪族ジオール類、ビスフェノールA、1,3−ベンゼンジメタノール,1,4−ベンセンジメタノール、9,9’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン、などの芳香族ジオール類等のジオールなどが代表例としてあげられるがこれらに限定されない。また、これらは単独で用いても、必要に応じて、複数種類用いても構わない。
また、2)において、一分子内にカルボン酸もしくはカルボン酸誘導体骨格と水酸基を有する化合物の例としては、l−ラクチド、d−ラクチド、ヒドロキシ安息香酸などのオキシ酸類、およびその誘導体、そのオキシ酸類が複数個連なったもの等を付加させたジカルボキシ化合物等が挙げられる。
ポリエステル樹脂(a1)は、上述の化合物を適宜組み合わせて重縮合させることで得ることができる。ポリエステル樹脂(a1)に好適に用いられるポリエステルとしては、ポリエチレンテレフタレート(以下、PETと略すことがある。)、ポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレート(以下、PENと略すことがある。)、ポリプロピレンテレフタレート(以下、PPTと略すことがある。)、ポリブチレンテレフタレート(以下、PBTと略すことがある。)などが挙げられる。
本発明に用いられるポリエステル樹脂(a1)として、上述の樹脂を用いることにより、高い無着色性を維持しつつ、フィルムとしたときに高い機械強度を付与することができる。より好ましくは、安価でかつ耐水性、耐久性、耐薬品性が優れるという点で、PET、またはPENが好ましい。また、このポリエステルの中には、公知の各種添加剤、例えば、酸化防止剤、帯電防止剤などが添加されていても良い。
ここで、本発明の白色ポリエステルフィルムにおいて、該ポリエステル樹脂(a)がポリエステル樹脂成分(a2)を有し、該ポリエステル樹脂成分(a2)が炭素数4以上8以下の脂環式ジオール成分を含有することが好ましい。ここで、本発明における炭素数4以上8以下の脂環式とは、シクロアルカン(cycloalkane)のことであり、一般式 C2n(ただし4≦n≦8)であらわされる環式脂肪族炭化水素の総称である。
炭素数4以上8以下の脂環式ジオールとは、炭素数4以上8以下の環式脂肪族炭化水素部分とジオール部分の両方の構造をあわせもつ物質をさす。すなわち、炭素数4以上8以下の脂環式ジオールの具体例としては、シクロブタンジオール、シクロペンタンジオール、シクロへキサンジオール、シクロヘプタンジオール、シクロオクタンジオール、シクロプロパンジメタノール、シクロブタンジメタノール、シクロペンタンジメタノール、シクロへキサンジメタノール、シクロヘプタンジメタノール、シクロオクタンジメタノールなどがあげられる。
炭素数4以上8以下の環式脂肪族炭化水素部分に結合するジオール成分は、環式脂肪族炭化水素部分のいずれの炭素原子と結合してもかまわないが、例えば環式脂肪族炭化水素部分がシクロヘキサンの場合、1,4位にジオール成分が結合していることが好ましい。
上記の炭素数4以上8以下の脂環式ジオールのうち、モノマー価格と、ポリエステル樹脂(特にPET)との混合が容易であるという点から、1,4−シクロヘキサンジメタノール(CHDM)が特に好適に使用される。
なお、本発明におけるジオール成分とは、ジオールとして存在している成分に限定されず、ポリエステルの構成成分、例えば共重合体として含有、またはこれら樹脂の混合物として含有する場合も含まれる。
本発明の白色ポリエステルフィルムにおいて、ポリエステル樹脂成分(a2)の含有量は、フィルム全体に対して1.2〜36質量%が好ましい。より好ましくは1.9〜30質量%、更に好ましくは2.4〜26質量、最も好ましくは3.3〜20質量%である。ポリエステル樹脂成分(a2)の含有量が1.2質量%に満たないと、ポリオレフィン(b)の微分散効果が低下し、反射性能が低下する。また、粒子を含有する層、例えば15質量%以上の無機粒子(c)、無機粒子(d)を含有する場合において製膜できないことがあるため、好ましくない。また36質量%を超えると、白色ポリエステルフィルムの耐熱性が低下し、高温下に曝されたときに寸法変化が大きくなることがあるため好ましくない。本発明の白色ポリエステルフィルムにおいて、ポリエステル樹脂成分(a2)の含有量を1.2〜36質量%とすることで、製膜安定性、反射性及び寸法安定性を兼ね備えた白色ポリエステルフィルムとすることができる。
[気泡の形成]
本発明の白色ポリエステルフィルムは相対反射率が100%以上であることが好ましい。より好ましくは100.5%以上、更に好ましくは101%以上である。相対反射率について特に上限はないが、反射率を上げるためには、気泡形成核剤となるポリオレフィン(b)または無機粒子(c)、無機粒子(d)の添加量を上げる必要があり、その場合製膜性が不安定になることがあるため、110%以下であることが好ましい。ここでいう相対反射率とは、内面が硫酸バリウム製の積分球、10°傾斜スペーサーを備えた分光光度計、標準白色板として酸化アルミニウムを用いて、入射角10°で光を入射させたときの反射率を波長560nmの範囲で測定し、標準白色板の反射率を100%としたときの相対反射率を、波長560nmで平均して得られる反射率のことである。本発明の白色ポリエステルフィルムにおいて、相対反射率を100%以上とすることによって、白色性、反射特性に優れた白色ポリエステルフィルムとすることができ、特に液晶表示装置用として用いた場合に高い輝度向上効果を得ることができる。
ここで、本発明の白色ポリエステルフィルムの相対反射率を上述の範囲に調整するためには、フィルム内部に気泡および無機粒子を含有させ白色化されていることが重要であり、これにより光の散乱作用を発揮するため反射率を向上させることができる。
気泡の形成は、フィルム母材、たとえばポリエステル中に、高融点のポリエステルと非晶性ポリオレフィン(b)または無機粒子を細かく分散させ、それを延伸(たとえば二軸延伸)することにより達成される。延伸に際して、このポリオレフィン(b)または無機粒子(c)、無機粒子(d)の周りに気泡が形成され、フィルム厚み方向における該気泡とポリエステルとの界面の数(界面数と呼ぶことがある)が、フィルム厚み10μmあたり15以上であることが好ましく、より好ましくは20以上、さらに好ましくは25以上である。該界面数が15以上であると、これが光の反射及び散乱作用を発揮するため、白色化され、高反射率を得ることが可能となる。該界面数が15未満であると、光の反射及び散乱作用が不十分であるため、白色化及び高反射率化されず好ましくない。
本発明において好適なポリオレフィン(b)および無機粒子(c)、無機粒子(d)については後述する。
[ポリオレフィン(b)]
本発明の白色ポリエステルフィルムは、ポリエステルフィルム内部に気泡を有することが必要であるが、前述したようにポリエステルと非相溶のポリオレフィン(b)を含有させることによって、気泡を形成させることができる。
本発明の白色ポリエステルフィルムにおいて、ポリオレフィン(b)として熱可塑性樹脂を用いる場合、その樹脂は、結晶性、非晶性、どちらも好ましく用いられる。その具体例としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、ポリメチルペンテン、シクロペンタジエンなどのような直鎖状、分鎖状あるいは環状のポリオレフィンが挙げられる。このポリオレフィンは単独重合体であっても共重合体であってもよく、さらには2種以上の非相溶性樹脂を併用してもよい。これらの中でも、透明性に優れ、かつ耐熱性に優れるという点で、ポリオレフィンが好ましく用いられる。具体的には、結晶性ポリオレフィンとしては、ポリプロピレンやポリメチルペンテンなどが、非晶性ポリオレフィンとしては、シクロオレフィン共重合体などが好ましく用いられる。
ポリエステル樹脂(a)を用いる場合であって、ポリエステル樹脂(a)に対する非相溶性成分としてポリオレフィン(b)を用いる場合、その結晶性樹脂の具体例としては、透明性、耐熱性の観点から、ポリメチルペンテンがより好ましく用いられる。ここで、ポリメチルペンテンとしては、分子骨格中に4−メチルペンテン−1からの誘導単位を好ましくは80モル%以上、より好ましくは85モル%以上、特に好ましくは90モル%以上含むものが好ましい。また、その他の誘導単位としては、エチレン単位、プロピレン単位、ブテン−1単位、3−メチルブテン−1、あるいは4−メチルペンテン−1以外で炭素数6〜12の炭化水素などが例示される。ポリメチルペンテンは単独重合体であっても共重合体であってもよい。また、組成や、溶融粘度などの異なる複数のポリメチルペンテンを用いたり、他のオレフィン系樹脂やその他樹脂と併用してもよい。
また、本発明の白色ポリエステルフィルムにおいて、ポリオレフィン(b)として非晶性ポリオレフィンを用いる場合、環状オレフィン共重合体樹脂を特に好ましく用いることができる。環状オレフィン共重合体とは、シクロアルケン、ビシクロアルケン、トリシクロアルケン、テトラシクロアルケン及びペンタシクロアルケンからなる群から選ばれた少なくとも1種のシクロオレフィンと、エチレン、プロピレン等の直鎖オレフィンからなるコポリマーが挙げられる。ここでいう非晶性樹脂とは、結晶融解熱が1cal/g未満である樹脂を指す。
環状オレフィン共重合体樹脂における環状オレフィンの代表例としては、ビシクロ〔2,2,1〕ヘプト−2−エン、6−メチルビシクロ〔2,2,1〕ヘプト−2−エン、5,6−ジメチルビシクロ〔2,2,1〕ヘプト−2−エン、1−メチルビシクロ〔2,2,1〕ヘプト−2−エン、6−エチルビシクロ〔2,2,1〕ヘプト−2−エン、6−n−ブチルビシクロ〔2,2,1〕ヘプト−2−エン、6−i−ブチルビシクロ〔2,2,1〕ヘプト−2−エン、7−メチルビシクロ〔2,2,1〕ヘプト−2−エン、トリシクロ〔4,3,0,12.5 〕−3−デセン、2−メチル−トリシクロ〔4,3,0,12.5〕−3−デセン、5−メチル−トリシクロ〔4,3,0,12.5 〕−3−デセン、トリシクロ〔4,4,0,12.5 〕−3−デセン、10−メチル−トリシクロ〔4,4,0,12.5 〕−3−デセン等がある。
また、環状オレフィン共重合体樹脂における直鎖オレフィンの代表例としては、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン、1−オクタデセン等がある。
本発明において、ポリオレフィン(b)としては、上述に挙げられるもののうち、非晶性樹脂である環状オレフィン共重合体樹脂が、後述するようにマトリックスに含まれる、脂環式ジオール、および/または脂環式ジカルボン酸との相互作用により、より微分散可能となり、その結果反射特性をさらに高めることができるという点から、特に好ましく用いられる。
本発明において、ポリオレフィン(b)は、そのガラス転移温度Tgが170℃以上であることが好ましい。さらに好ましくは180℃以上である。170℃以上とすることで、混練時においてマトリックス樹脂中により微細に分散し、延伸工程において気泡を形成し、熱処理工程における気泡の消失をより抑制することができるためである。上限は250℃が好ましい。250℃を越えると、製膜時の押出温度が高くなり加工性に劣るため好ましくない。
特に本発明において、ポリオレフィン(b)として、環状オレフィン共重合体樹脂を用いる場合、そのガラス転移温度Tgが170℃に満たないと、寸法安定性を付与するためにフィルムの熱処理を実施した時に、核剤である環状オレフィン共重合体樹脂が変形し、その結果、それを核として形成された気泡が減少・または消失して、反射特性が低下する場合がある。また、反射特性を維持しようとして、熱処理温度を低温化すると、その場合にフィルムの寸法安定性が低下する場合があるため好ましくない。
ポリオレフィン(b)として、環状オレフィン共重合体樹脂を用いる場合、そのガラス転移温度Tgを前述の範囲に制御するためには、例えば環状オレフィン共重合体中の環状オレフィン成分の含有量を多くし、エチレン等の直鎖オレフィン成分の含有量を少なくすることが挙げられる。具体的には、環状オレフィン成分は60モル%以上であり、エチレン等の直鎖オレフィン成分の含有量は40モル%未満であることが好ましい。より好ましくは、環状オレフィン成分は70モル%以上であり、エチレン等の直鎖オレフィン成分の含有量は30モル%未満、さらに好ましくは環状オレフィン成分が80モル%以上であり、エチレン等の直鎖オレフィン成分の含有量が20モル%未満である。特に好ましくは環状オレフィン成分が90モル%以上であり、エチレン等の直鎖オレフィン成分の含有量が10モル%未満である。かかる範囲にすることにより、環状オレフィン共重合体のガラス転移温度Tgを前述の範囲まで高めることができる。
また、ポリオレフィン(b)として、環状オレフィン共重合体樹脂を用いる場合、直鎖オレフィン成分は特に制限されるものではないが、反応性の観点からエチレン成分が好ましい。
さらに、環状オレフィン成分も特に制限されるものではないが、ビシクロ〔2,2,1〕ヘプト−2−エン(ノルボルネン)やその誘導体が生産性・透明性・高Tg化の点から好ましい。
したがって、本発明では、白色ポリエステルフィルムがポリエステル樹脂(a)およびポリオレフィン(b)を有しており、ポリオレフィン(b)が、ガラス転移温度が170℃以上250℃以下であることが好ましい。さらに、ポリオレフィン(b)は非晶性であることが好ましく、(非晶性の)環状オレフィン共重合体樹脂であることがさらに好ましい。
本発明において、非相溶のポリオレフィン(b)の添加量としては、ポリエステルフィルム全体の総質量を100質量%としたときに5〜25質量%以下であることが好ましい。また、本発明のポリエステルフィルムが2層以上の構成を採る場合は、ポリエステル層(A)および/またはポリエステル層(B)に非相溶の熱可塑性樹脂を含有させることが好ましく、ポリエステル層(B)に非相溶の熱可塑性樹脂を含有させることがより好ましい。
ポリオレフィン(b)の含有量が5質量%未満であると、フィルム内部に気泡が十分に生成されず、白色性や光反射特性に劣ることがある。一方、ポリオレフィン(b)の含有量が25質量%を越えると、フィルムの強度が低下し、延伸時の破断が起こりやすくなることがある。含有量をかかる範囲内にすることにより、十分な白色性・反射性・軽量性を発現せしめることができる。
ポリオレフィン(b)は、上述したシクロオレフィンとオレフィンを公知の方法(例えば特開昭61−271308、国際公開第2007/060723号パンフレット)により重合したり、上市されている商品(例えば“TOPAS”(ポリプラスチックス(株)製))を購入することにより得ることができる。
この非相溶のポリオレフィン(b)は均一かつ微細に分散されている程好ましい。均一かつ微細に分散することより、フィルム内部に均一に気泡が形成され、白色化の度合、ひいては反射率が均一になる。
[分散剤(e)]
非相溶のポリオレフィン(b)を均一分散させるには、分散剤(e)を添加することが有効である。分散剤(e)としては例えば、ポリエステルに対しては、ポリエチレングリコール、メトキシポリエチレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ポリプロピレングリコールなどのポリアルキレングリコール、エチレンオキシド/プロピレンオキシド共重合体、さらにはドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、アルキルスルホネートナトリウム塩、グリセリンモノステアレート、テトラブチルホスホニウムパラアミノベンゼンスルホネートなどで代表されるものである。本発明の場合、特にポリアルキレングリコール、中でもポリエチレングリコールが好ましい。また、ポリブチレンテレフタレートとポリテトラメチレングリコールの共重合体なども、非相溶のポリオレフィン(b)の分散性を向上させるために好ましく用いられる。添加量としては、ポリエステルフィルムの総質量に対して3質量%以上20質量%以下が好ましく、特に好ましくは10質量%以上15質量%以下である。分散剤(e)の添加量が少なすぎると、添加の効果が薄れ、多すぎると、フィルム母材本来の特性を損なう恐れがある。このような分散剤(e)は、予めフィルム母材ポリマー中に添加してマスターポリマ(マスターチップ)として調整可能である。
非相溶の熱可塑性樹脂を用いて白色ポリエステルフィルムに気泡を含有させることにより、該ポリエステルフィルムの見かけ比重は通常のポリエステルフィルムよりも低くなる。この白色ポリエステルフィルムを、液晶ディスプレイ反射板用基材としての機械的特性を保ちながら、軽量にするには、比重が0.45以上0.99以下であることが好ましい。
比重を0.45以上0.99以下とするためには、ポリエステルフィルム全体に対してポリオレフィン(b)を5〜25質量%含有させ、延伸倍率を2.5〜4.5とすることにより達成することができる。特に、本発明の白色ポリエステルフィルムが2層以上の構成を採る場合に、見かけ比重が本発明の範囲にあると、フィルム強度を保ったまま微細な気泡を多数存在させることが出来、高反射率を得ることが出来る。すなわち、液晶ディスプレイ反射板として使用した場合、画面の明るさにおいて、顕著に優れた輝度を発揮する。
白色ポリエステルフィルムに含有せしめる非相溶のポリオレフィン(b)の平均分散径は、無機粒子(c)の体積平均粒子径以下であることが好ましい。より好ましくは、無機粒子(c)の体積平均粒子径以下でかつ0.2μm以上5μm以下、さらに好ましくは、無機粒子(c)の体積平均粒子径以下でかつ0.3μm以上3μm以下である。
ポリエステルに非相溶のポリオレフィン(b)の平均分散径が上記範囲より小さいと、該ポリオレフィン(b)を核とする気泡が形成されにくくなり、好ましくない。一方、上記範囲より大きいと気泡サイズが大きくなり、高反射率化できない上、フィルム強度および製膜安定性が低下するため、好ましくない。
[無機粒子(c)]
本発明の白色ポリエステルフィルムは、ポリエステル層(A)側表層の60°光沢度が30以下であることが必要である。光沢度が上記の範囲から外れた白色ポリエステルフィルムを面光源反射板として用いると、液晶画面上に照明光源の光を直接反射する成分が増えるため、照明光源の間隔に応じた明暗の差(ランプムラ)が発生してしまうため、液晶画面の明るさが均一とならない場合があり好ましくない。光沢度を上記の範囲とすることにより、照明光源からの光をムラなく均一に液晶セルへ反射するフィルムとなる。
また、本発明の白色ポリエステルフィルムにおいては、ポリエステル(A)側表面の中心面平均粗さ(Ra)が250nm以上1000nm以下であり、かつ十点平均粗さ(Rz)が4000nm以上10000nm以下であることが必要である。RaおよびRzの数値はフィルム表面の凹凸に関連がある。フィルム表面に凹凸を設けることにより、フィルム表面での光の反射のうち、正反射成分が減少し、フィルムの光沢度を低くすることができる。上述したように、光沢度が低くなることにより、該フィルムをバックライト部材として用いたとき、輝度ムラを減少させることができるため、より均一な明るさの画像を表示できる液晶ディスプレイを提供することができる。
Raが上記範囲となっても、Rzが4000nm未満となると、光沢度が30を超えてしまうため、好ましくない。また、Rzが10000nmを超えると、粗大な凹凸が大きくなり破れやすくなる上、フィルムロールにする際にフィルム同士が擦れて粒子が脱落しやすくなるため、生産性が低下し、好ましくない。
Rzが上記範囲となっても、Raが250nm未満となるとフィルム表面の突起部分以外が平滑になり高光沢化してしまうため、好ましくない。また、Raが1000nmを超えると、粗大突起が多くなるためその粗大突起起因の粒子が脱落しやすくなり、製膜性や後工程での加工性が低下するため、好ましくない。Ra及びRz値両者が上記の範囲となることで、フィルムを低光沢とし、かつ粒子の脱落による工程汚染を防止でき、後工程での取り扱い性も良好となる。
上記Rz値を達成するためには、本発明の白色ポリエステルフィルムには、体積平均粒子径が2〜10μmの無機粒子(c)を含有させることが必要である。
また、本発明の白色ポリエステルフィルムがポリエステル層(A)およびポリエステル層(B)を有する場合は、ポリエステル層(A)および/またはポリエステル層(B)に無機粒子(c)を含有させることが好ましい。該無機粒子(c)の体積平均粒子径が2μm未満であると、Rzを上述の範囲にすることが困難となり、フィルム表面がより平滑になるため光沢度が上がってしまう。該無機粒子(c)の体積平均粒子径が10μmを超えるとフィルムからの粒子脱落が起こりやすくなり、工程汚染や破れの原因となり、生産性が低下する。
無機粒子(c)として用いられる粒子は、その種類を問わないが、安定した製膜性、高い光学特性を得るには、シリカ、酸化チタン、硫酸バリウム、酸化アルミニウムなどが好ましい。また、それらは単独もしくは2種類以上の混合で使用することが出来るが、中でも粒子の分散径安定性や製膜の安定性の点から、シリカが特に好ましく、該シリカが高次に凝集していることがより好ましい。
また、無機粒子(c)の含有量はポリエステル層(A)の総質量を100質量%としたときに、0.1質量%以上5.0質量%以下であることが必要である。無機粒子(c)の含有量が0.1質量%未満であると、ポリエステル層(A)側表面の凸凹が少なく、RaおよびRz値が上述の範囲とならないため光拡散性が不十分となり、光沢度が上がってしまう。該粒子の含有量が5.0質量%をこえると、フィルムからの粒子脱落が起こりやすくなり、工程汚染や破れの原因となり、生産性が低下する。
また、本発明の白色ポリエステルフィルムが2層以上の構成を採る場合は、ポリエステル層(A)および/またはポリエステル層(B)に無機粒子(c)を含有させることが好ましく、より好ましくはポリエステル層(A)に無機粒子(c)を含有させることである。
[無機粒子(d)]
本発明の白色ポリエステルフィルムは、保管時は外部からの光由来の紫外線に晒され、使用時はバックライトユニットに付属する冷陰極管からの紫外線に晒されることから、耐光性の付与が必要である。本発明では、耐光性を付与するため、及びRa値を上記範囲とするために、先に述べた無機粒子(c)とは別に化学組成の異なる無機粒子(d)を好適に用いることが出来る。
本発明の白色ポリエステルフィルムにおいて、無機粒子(d)としては、無機粒子(c)と化学組成が異なれば特に限定されないが、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸亜鉛、酸化チタン、酸化亜鉛(亜鉛華)、酸化アンチモン、酸化セリウム、酸化ジルコニウム、酸化錫、酸化ランタン、酸化マグネシウム、炭酸バリウム、炭酸亜鉛、塩基性炭酸鉛(鉛白)、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、硫酸鉛、硫化亜鉛、リン酸カルシウム、酸化アルミニウム、マイカ、雲母チタン、タルク、クレー、カオリン、フッ化リチウムおよびフッ化カルシウム等を挙げることができる。
これらの中で、フィルムの巻取り性、長時間の製膜安定性、反射特性向上もさることながら、特に耐光性向上の観点から、UV吸収能を有する無機粒子(d)を含有せしめることが特に好ましい。かかる観点より、炭酸カルシウム、酸化チタン、酸化亜鉛(亜鉛華)、が好ましく、酸化チタンが最も好ましい。これらの無機粒子(d)は、単独でも2種以上を併用してもよい。また、多孔質や中空多孔質等の形態であってもよく、さらには本発明の効果を阻害しない範囲内において、樹脂に対する分散性を向上させるために、表面処理が施されていてもよい。また、該酸化チタンの形状はルチル型であることが好ましい。
また、本発明に使用される無機粒子(d)は、フィルム中での体積平均粒子径が0.05〜2μmであることが好ましく、より好ましくは0.07〜1μmである。無機粒子(d)の体積平均粒子径が上記範囲外である場合、Raが先に述べた範囲とならず、光沢度が上がったり、粒子の脱落や、凝集などによる無機粒子(d)の均一分散性不良により、耐光性が低下する場合があるため、好ましくない。
また、本発明において、無機粒子(d)の含有量は、ポリエステル層(A)の総質量を100質量%としたときに、1.0〜25質量%であることが必要である。
無機粒子(d)の含有量が1.0質量%より少ない場合には、フィルムの耐光性、白色性、隠蔽性などの特性を向上させることが難しくなることがあり好ましくない。無機粒子(d)の含有量が25質量%を超えると、フィルムの比重が増加したり、無機粒子(d)の光吸収能及び光隠蔽性により高反射特性を得ることが困難になるだけでなく、延伸時のフィルム破れや後加工の際に粉発生等の不都合を生じる場合がある。
本発明の白色ポリエステルフィルムにおいて、無機粒子(d)として酸化チタン、硫酸バリウム、炭酸カルシウムなどを用いた場合、これを核とした気泡を形成してもよい。しかしながら、無機粒子(d)は粒子形状が球面状になりにくく、極めて微細なため、気泡を形成することが難しい。
無機粒子(d)として酸化チタンを用いる場合、酸化チタンとしては、例えば、アナタース型酸化チタン及びルチル型酸化チタンのような結晶型の酸化チタンを挙げることができる。用いるポリエステルとの屈折率の差を大きくするという観点からは、屈折率が2.7以上の酸化チタンであることが好ましく、例えば、ルチル型酸化チタンを用いることが好ましい。さらに、酸化チタンの中でも純度の高い高純度酸化チタンを用いるのが特に好ましい。ここで、高純度酸化チタンとは、可視光に対する光吸収能が小さい酸化チタン、すなわち、バナジウム、鉄、ニオブ、銅、マンガン等の着色元素の含有量が少ないものの意である。本発明では、酸化チタンに含まれるバナジウムの含有量が5ppm以下である酸化チタンを高純度酸化チタンと称すことにする。高純度酸化チタンとしては、例えば塩素法プロセスにより製造されるものを挙げることができる。塩素法プロセスでは、酸化チタンを主成分とするルチル鉱を1000℃程度の高温炉で塩素ガスと反応させて、まず、四塩化チタンを生成させる。次いで、この四塩化チタンを酸素で燃焼することにより、高純度酸化チタンを得ることができる。なお、酸化チタンの工業的な製造方法としては硫酸法プロセスもあるが、この方法によって得られる酸化チタンには、バナジウム、鉄、銅、マンガン、ニオブ等の着色元素が多く含まれるので、可視光に対する光吸収能が大きくなる。従って、硫酸法プロセスでは高純度酸化チタンは得られ難い。
また、本実施形態で用いる酸化チタン(高純度酸化チタン)は、表面をシリカ、アルミナ、及びジルコニアの中から選ばれた少なくとも一種類の不活性無機酸化物で被覆処理されていると、フィルムの耐光性が高まり、酸化チタンの光触媒活性が抑制され、酸化チタンの高い光反射性を損なうことがないので好ましい。さらに二種類或いは三種類の不活性無機酸化物を併用して被覆処理されたものがより好ましく、中でもシリカを必須とする複数の不活性無機酸化物の組み合わせが特に好ましい。
また、本発明の白色ポリエステルフィルムが2層以上の構成を採る場合は、ポリエステル層(A)に所定量の酸化チタンを含有させることが好ましい。なお、特性を損なわない範囲で、ポリエステル層(B)に酸化チタンを含有させても良い。
無機粒子(c)と無機粒子(d)を区別する方法としては、体積平均粒子径が2〜10μmの無機粒子を無機粒子(c)とし、体積平均粒子径が2μm未満である無機粒子を無機粒子(d)とする。体積平均粒子径は白色ポリエステルフィルム中の粒子を直接測定して求める。ただし、無機粒子(c)および無機粒子(d)の体積平均粒子径は、製膜する前の粉体あるいはマスターペレットから求めてもよい。
[粒子の配合方法]
無機粒子(c)、無機粒子(d)をポリエステル組成物に配合する方法としては各種の方法を用いることができる。その代表的な方法として、下記のような方法を挙げることができる。(ア)ポリエステル合成時のエステル交換反応もしくはエステル化反応終了前に粒子を添加する方法、もしくは重縮合反応開始前に粒子を添加する方法。(イ)ポリエステルに粒子を添加し溶融混練する方法。(ウ)上記(ア)または(イ)の方法において粒子を多量添加したマスターペレットを製造しこれらと添加剤を含有しないポリエステルとを混練して所定量の添加物を含有させる方法。(エ)上記(ウ)のマスターペレットをそのまま使用する方法。
非相溶のポリオレフィン(b)や無機粒子(c)、無機粒子(d)の配合方法としては、粒子の分散性の観点から、特に上記(ウ)または(エ)の方法をとることが好ましい。
[製膜方法]
ポリエステル樹脂(a1)の入手方法について、その一例を説明するが、かかる例のみに限定されるものではない。ジカルボン酸成分としてテレフタル酸を、ジオール成分としてエチレングリコールを用い、三酸化アンチモン(重合触媒)を、得られるポリエステルペレットに対してアンチモン原子換算で300ppmとなるように添加し、重縮合反応を行って、ポリエチレンテレフタレートペレット(ポリエステル樹脂(a1))を得ることが出来る。
ポリエステル樹脂(a2)の入手方法について、その一例を説明するが、かかる例のみに限定されるものではない。ジカルボン酸成分としてテレフタル酸を、ジオール成分として炭素数4以上8以下の脂環式ジオールを用い、触媒として酢酸マグネシウム、三酸化アンチモン、亜リン酸を用いてアンチモン原子換算で300ppmとなるように添加し重縮合反応を行って、炭素数4以上8以下の脂環式ジオールとテレフタル酸を共重合したポリエステル樹脂(a2)を得ることが出来る。
ポリオレフィン(b)の入手方法について、その一例を説明するが、かかる例のみに限定されるものではない。ポリオレフィン(b)は、上市されている商品(例えば“TOPAS”(ポリプラスチックス(株)製))を購入することにより得ることが出来る。
無機粒子(c)は、無機粒子(c)を含有するポリエステル樹脂(a1)マスターペレットを使用することが出来る。
無機粒子(d)は、無機粒子(d)を含有するポリエステル樹脂(a1)マスターペレットを使用することが出来る。
分散剤(e)の入手方法について、その一例を説明するが、かかる例のみに限定されるものではない。分散剤(e)はPBT(ポリブチレンテレフタレート)とPAG(主としてポリテトラメチレングリコール)のブロック共重合体であり、メルトインデックス(MI)が14(2.160g、240℃)である。なお、共重合比率は、ブチレンテレフタレート:アルキレングリコール=70mol%:30molである(例えば“ハイトレル”(東レデュポン(株)製))。
次に、本発明の白色ポリエステルフィルムの製造方法について、その一例を説明するが、本発明は、かかる例のみに限定されるものではない。
ポリエステル樹脂(a1)とポリエステル樹脂(a2)とポリオレフィン(b)と無機粒子(c)、無機粒子(d)と分散剤(e)を含む混合物を、必要に応じて十分真空乾燥を行い、押出機を有する製膜装置の加熱された押出機に供給する。ポリオレフィン(b)及び無機粒子(c)、無機粒子(d)の添加は、事前に均一に溶融混練して作製されたマスターチップを用いても、もしくは直接混練押出機に供給してもよい。ポリエステル樹脂成分(a2)の添加は、事前に均一にポリエステル樹脂(a1)とポリオレフィン(b)を含む混合物を溶融混練してマスターチップを添加する際に添加しても、もしくは直接混練押出機に供給するなどしてもよいが、事前に均一にポリエステル樹脂(a1)とポリオレフィン(b)を含む混合物を溶融混練してマスターチップを添加する際に添加するほうが、ポリオレフィン(b)の分散が促進されるという点でより好ましい。
また、溶融押出に際してはメッシュ40μm以下のフィルターにて濾過した後に、Tダイ口金内に導入し押出成形により溶融シートを得ることが好ましい。
この溶融シートを表面温度10〜60℃に冷却されたドラム上で静電気により密着冷却固化し、未延伸単層フィルムを作製する。該未延伸単層フィルムを70〜120℃の温度に加熱されたロール群に導き、長手方向(縦方向、すなわちフィルムの進行方向)に2.5〜4倍延伸し、20〜50℃の温度のロール群で冷却する。続いて、フィルムの両端をクリップで把持しながらテンターに導き、90〜150℃の温度に加熱された雰囲気中で、長手方向に直角な方向(幅方向)に2.5〜4倍に延伸する。
延伸倍率は、長手方向と幅方向それぞれ2.5〜4倍とするが、その面積倍率(縦延伸倍率×横延伸倍率)は9〜16倍であることが好ましい。面積倍率が9倍未満であると、得られる二軸延伸フィルムの反射率やフィルム強度が不十分となり、逆に面積倍率が16倍を超えると延伸時に破れを生じ易くなる傾向がある。
得られた二軸延伸フィルムの結晶配向を完了させて、寸法安定性を付与するために、引き続きテンター内にて150〜240℃の温度で1〜30秒間の熱処理を行ない、均一に徐冷後、室温まで冷却し、その後必要に応じて、他素材との密着性をさらに高めるためにコロナ放電処理などを行い、巻き取ることにより、本発明の白色ポリエステルフィルムを得ることができる。上記熱処理工程中では、必要に応じて幅方向あるいは長手方向に3〜12%の弛緩処理を施してもよい。
尚、一般に熱処理温度が高いほど、高い熱寸法安定性も高くなるが、本発明の白色ポリエステルフィルムは製膜工程において高温(190℃以上)で熱処理されることが好ましい。本発明の白色ポリエステルフィルムは一定の熱寸法安定性を有することが望まれるためである。本発明の白色ポリエステルフィルムは液晶ディスプレイなどに搭載されている面光源(バックライト)の反射フィルムとして用いられることがある。バックライトによってはバックライト内部の雰囲気温度が100℃程度まで上昇することがあるためである。
特に、ポリオレフィン(b)のガラス転移温度Tgを上述の温度範囲にすることにより、高温下での熱処理でも、空隙を生じさせるための核剤たるポリオレフィン(b)がより熱変形せずに(潰れずに)、空隙を維持することができ、結果として、高い白色性、反射特性、及び軽量性を維持しつつ、耐光性に優れたフィルムを得ることができるため好ましい。
また、二軸延伸の方法は逐次延伸あるいは同時二軸延伸のいずれでもよいが、同時二軸延伸法を用いた場合は、製造工程のフィルム破れを防止できたり、加熱ロールに粘着することによって生ずる転写欠点が発生しにくい。また二軸延伸後に長手方向、幅方向いずれかの方向に再延伸してもよい。
かくして得られた本発明の白色ポリエステルフィルムは、少なくとも片面の表層が低光沢で輝度ムラが少なく、かつフィルム内部に気泡が形成され高反射率が達成されており、液晶ディスプレイ用面光源反射板として使用された場合に高い輝度を得ることができる。また、耐光性にも優れるものである。
[物性の測定ならびに効果の評価方法]
測定方法
本発明の物性値の評価方法ならびに効果の評価方法は次の通りである。
A.体積平均粒子径
ミクロトームを用いてフィルムまたはマスターペレットの断面を切り出した。フィルムの場合はTD方向(フィルム幅方向(以下、「横方向」ということもある))と平行方向の断面を切り出した。該断面を白金−パラジウムを蒸着した後、日本電子(株)製電界放射走査型電子顕微鏡“JSM−6700F”で3000〜5000倍の断面写真を撮影した。粉体の場合は該電子顕微鏡の試料台にできるだけ粒子が重ならないように載せ、フィルムまたはマスターペレットの断面と同様の方法及び条件で撮影した。得られた画像から、以下の手順で無機粒子の体積平均粒子径を求めた。
1)該画像中の断面内に観察される無機粒子について、それぞれその断面積Sを求め、下記式(1)にて求められる粒子径dをそれぞれ求めた。
d=2×(S/π)1/2・・・(1)
(ただしπは円周率)
2)得られた粒子径dを用いて、下記式(2)において体積平均粒子径Dvを求めた。
Dv=Σ[4/3π×(d/2)×d]/Σ[4/3π×(d/2)] ・・・(2)
3)上記1)〜2)を、5箇所場所を変えて実施し、その平均値でもって、体積平均粒子径とする。なお、観察点1箇所に付き、2500μm以上の領域にて上記評価を実施する。
B.反射率
日立ハイテクノロジーズ製分光光度計(U―3310)に積分球を取り付け、標準白色板(酸化アルミニウム)を100%とした時の反射率を400〜700nmにわたって測定する。得られたチャートより5nm間隔で反射率を読み取り、平均値を計算し、平均反射率とする。
C.比重
白色フィルムを5cm×5cmの大きさに切りだし、JIS K7112(1980)に基づいて電子比重計SD−120L(ミラージュ貿易(株)製)を用いて測定した。なお、各白色フィルムについて5枚用意し、それぞれを測定し、その平均値でもって該白色フィルムの比重とした。
D.光沢度
デジタル変角光沢度計UGV−5B(スガ試験機(株)製)を用いて、光反射フィルムのポリエステル(A)層側よりJIS Z−8741(1997)に準じて測定した。なお、測定条件は入射角=60°、受光角=60°とした。
E.表面粗さ
JIS B0601(2001)に基づき、中心線平均粗さ(Ra)および十点平均表面粗さ(Rz)を小坂研究所製、触針式表面粗さ計(型番:SE−3FA)を用いて測定した。条件は下記の通りであり、5回の測定の平均値をもって値とした。
・触針先端半径:0.5μm
・触針荷重 :5mg
・測定長 :0.8mm
・カットオフ値:0.08mm。
F.製膜性
実施例・比較例において製膜した際に、フィルム破れが1回/日以下しか生じず、かつ粒子脱落などによる工程汚染ないものを◎、フィルム破れは1回/日以下しか生じないが、ロール表面への汚れの蓄積が肉眼で確認できるものを○、フィルム破れが2回/日以上3回/日以下発生するものを△、フィルム破れが4回/日以上発生するものを×とした。大量生産には△以上の製膜性が必要であり、○以上であるとさらにコスト低減効果がある。
G.相対輝度および輝度ムラ(直下型方式輝度)
図1に示したように181BLM07(NEC(株)製)のバックライト内に張り合わせてある反射フィルムを所定のフィルムサンプルに変更し、点灯させた。その状態で1時間待機して光源を安定化させた後、液晶画面部をCCDカメラ(SONY製DXC−390)にて撮影し画像解析装置アイシステム製アイスケールで画像を取り込んだ。その後、撮影した画像の輝度レベルを3万ステップに制御し自動検出させ、輝度に変換した。輝度評価として、東レ株式会社製#250E6SLを基準サンプル(100%)とし、下記の通りの評価結果とした。
優:102%以上
良:101%以上102%未満
可:100%以上101%未満
不可:100%未満
また、下記式に従って輝度均一性を評価した。目視でムラとして認識できないもの(良以上)を合格とした。輝度ムラ評価として、東レ株式会社製#250E6SLを基準サンプル(100%)とし、下記の通りの評価結果とした。
輝度ムラ(%)=(最大値−最小値)/平均値×100
優:80%未満
良:80%以上90%未満
不可:90%以上。
H.耐光性(Δb値)
劣化促進前の白色ポリエステルフィルムの色調b値を分光式色差計SE−2000(日本電色工業(株)製)を用いてJIS Z−8722(2000)に準じた光学条件にて測定し、JIS K−7105(1981)に準じた色差を求めた。このフィルムを超促進耐候性試験装置アイスーパーUVテスター SUV−W131(岩崎電気株式会社製)で50℃、RH80%条件下で48時間UV照射(295〜450nm、照度100mW/cm(±5%))した後、初期の色調b値を測定した条件で同様に測定し、初期とUV照射後の値の差をΔb値とした。Δb値を下記により判定した。
優:Δb値が3未満
良:Δb値が3以上4未満
可:Δb値が4以上5未満
不可:Δb値が5以上
Δb値が5以上であると、該白色ポリエステルフィルムを面光源反射板用部材として用いたとき、冷陰極管からの紫外線による劣化が激しく、長期使用に耐えない。
I.フィルム内部の気泡−ポリエステル界面の数
ミクロトームを用いてフィルム幅方向と平行方向な断面を切り出し、白金−パラジウムを蒸着した後、日本電子(株)製電界放射走査型電子顕微鏡“JSM−6700F”で10000倍(必要に応じ500〜10000倍で適切な倍率を選択する)に拡大観察して得られた画像を用い、フィルム表面の一面から他の一面に向かって、フィルム表面に対して任意で垂直に該画像上に直線を引いた時に、線上に存在する界面の数を計数し、フィルムの厚みで割り返したものを10倍することにより10μmあたりの界面数とした。このとき、界面数の計測は、気相から固相への界面であっても、固相から気相への界面であっても、共に1界面と数えた。ポリオレフィン(B1)によって生成した気泡による界面も、無機粒子(c)及び無機粒子(d)によって生成した気泡による界面も界面として数えた。測定数はn=5とし、その平均値を求めた。
以下実施例等によって本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
(原料)
・ポリエステル樹脂(a1)
酸成分としてテレフタル酸を、グリコール成分としてエチレングリコールを用い、三酸化アンチモン(重合触媒)を得られるポリエステルペレットに対してアンチモン原子換算で300ppmとなるように添加し、重縮合反応を行い、極限粘度0.63dl/g、カルボキシル末端基量40当量/トンのポリエチレンテレフタレート(PET)ペレットを得た。
・ポリエステル樹脂(a2)
CHDM(シクロヘキサンジメタノール)共重合PETを用いた。グリコール成分に対し、シクロヘキサンジメタノール60mol%を前述の方法で共重合したPETである。
・ポリオレフィン(b)
ガラス転移温度が180℃であるシクロオレフィン系コポリマー「TOPAS」(ポリプラスチックス(株)製)を用いた。
・無機粒子(c)
凝集シリカは体積平均粒子径3.5μmのシリカ粒子をポリエステル樹脂(a1)製造時に添加して、含有量が6質量%になるように調製したものを使用した。
酸化アルミニウムは体積平均粒子径3.5μmの酸化アルミニウム粒子をポリエステル樹脂(a1)製造時に添加して、含有量が6質量%になるように調製したものを使用した。
・無機粒子(d)
酸化チタンはDIC(株)が販売している、体積平均粒子径0.25μmの酸化チタンマスターペレットを使用した(マトリックス樹脂はポリエステル樹脂(a1)である)。
硫酸バリウムはDIC(株)が販売している、体積平均粒子径1.4μmの硫酸バリウムマスターペレットを使用した(マトリックス樹脂はポリエステル樹脂(a1)である)。
・分散剤(e)
PBT-PAG(ポリブチレンテレフタレート-ポリアルキレングリコール)共重合体を用いた(東レデュポン(株)製、商品名:ハイトレル)。該樹脂はPBT(ポリブチレンテレフタレート)とPTMG(主としてポリテトラメチレングリコール)のブロック共重合体であり、メルトインデックス(MI)が14(2.160g、240℃)である。なお、共重合比率は、ブチレンテレフタレート:アルキレングリコール=70mol%:30mol%である。
(実施例1)
主押出機と副押出機を有する複合製膜装置において、表1に示した原料の混合物を180℃の温度で3時間真空乾燥した後、主押出機側に供給し、280℃の温度で溶融押出後、30μmカットフィルターにより濾過を行った後に、Tダイ複合口金に導入した。一方、表1に示した原料の混合物を180℃の温度で3時間真空乾燥した後、副押出機側に供給し、280℃の温度で溶融押出後、30μmカットフィルターにより濾過を行った後に、Tダイ複合口金に導入した。次いで、該Tダイ複合口金内で、副押出機より押出されるポリエステル層(A)が主押出機より押出されるポリエステル層(B)の両表層に積層(A/B/A)されるよう合流せしめた後、シート状に共押出して溶融積層シートとし、該溶融積層シートを、表面温度20℃に保たれたドラム上に静電荷法で密着冷却固化させて未延伸積層フィルムを得た。続いて、該未延伸積層フィルムを常法に従い85℃の温度に加熱したロール群で予熱した後、90℃の温度の加熱ロールを用いて長手方向(縦方向)に3.7倍延伸を行い、25℃の温度のロール群で冷却して一軸延伸フィルムを得た。
得られた一軸延伸フィルムの両端をクリップで把持しながらテンター内の95℃の温度の予熱ゾーンに導き、引き続き連続的に105℃の温度の加熱ゾーンで長手方向に直角な方向(幅方向)に3.2倍延伸した。さらに引き続いて、テンター内の熱処理ゾーンで190℃で20秒間の熱処理を施し、さらに180℃の温度で4%幅方向に弛緩処理を行った後、更に140℃の温度で1%幅方向に弛緩処理を行った。次いで、均一に徐冷後、巻き取って、総厚み188μmの白色積層ポリエステルフィルムを得た。ポリエステル層(B)は内部に気泡を多数含有していた。その各種特性を表1に示す。このように本発明の白色ポリエステルフィルムは安定製膜でき、反射性・軽量性・熱寸法安定性・輝度・低光沢(輝度ムラ低減)・耐光性に優れた特性を示した。
(実施例2〜14)
主押出機と副押出機を有する複合製膜装置において、表1に示した原料の混合物を実施例1と同様の方法で製膜し、総厚み188、225、250μmの白色積層ポリエステルフィルムを得た。ポリエステル層(B)は内部に気泡を多数含有していた。その各種特性を表1に示す。このように本発明の白色ポリエステルフィルムは安定製膜でき、反射性・軽量性・熱寸法安定性・輝度・低光沢(輝度ムラ低減)・耐光性に優れた特性を示した。
(実施例15)
表1に示した原料の混合物を180℃の温度で3時間真空乾燥した後に押出機に供給し、280℃の温度で溶融押出後30μmカットフィルターにより濾過を行った後に、Tダイ口金に導入した。次いで、Tダイ口金内より、シート状に共押出して溶融積層シートとし、該溶融積層シートを、表面温度20℃に保たれたドラム上に静電荷法で密着冷却固化させて未延伸積層フィルムを得た。続いて、該未延伸積層フィルムを常法に従い85℃の温度に加熱したロール群で予熱した後、90℃の温度の加熱ロールを用いて長手方向(縦方向)に3.7倍延伸を行い、25℃の温度のロール群で冷却して一軸延伸フィルムを得た。得られた一軸延伸フィルムの両端をクリップで把持しながらテンター内の95℃の温度の予熱ゾーンに導き、引き続き連続的に105℃の温度の加熱ゾーンで長手方向に直角な方向(幅方向)に3.2倍延伸した。さらに引き続いて、テンター内の熱処理ゾーンで190℃で20秒間の熱処理を施し、さらに180℃の温度で4%幅方向に弛緩処理を行った後、更に140℃の温度で1%幅方向に弛緩処理を行った。次いで、均一に徐冷後、巻き取って、総厚み188μmの白色積層ポリエステルフィルムを得た。該ポリエステルフィルムは内部に気泡を含有していた。その各種特性を表1に示す。このように本発明の白色ポリエステルフィルムは安定製膜でき、反射性・軽量性・熱寸法安定性・輝度・低光沢(輝度ムラ低減)・耐光性に優れた特性を示した。
(比較例1〜11)
主押出機と副押出機を有する複合製膜装置において、表1に示した原料の混合物を実施例1と同様の方法で製膜し、総厚み188μmの白色積層ポリエステルフィルムを得た。ポリエステル層(B)は内部に気泡を多数含有していた。その各種特性を表1に示す。比較例2、3、5、7はRaが、比較例6、10、11はRzが、比較例1、4、8、9はRa、Rzともに、それぞれ本発明の範囲に入らなかったため、光沢度が高く、輝度ムラ評価は不可となり、不合格となった。
(比較例12)
主押出機と副押出機を有する複合製膜装置において、表1に示した原料の混合物を180℃の温度で3時間真空乾燥した後、主押出機側に供給し、280℃の温度で溶融押出後、30μmカットフィルターにより濾過を行った後に、Tダイ複合口金に導入した。一方、表1に示した原料の混合物を180℃の温度で3時間真空乾燥した後、副押出機に供給し、280℃の温度で溶融押出後、30μmカットフィルターにより濾過を行った後に、Tダイ複合口金に導入した。次いで、該Tダイ複合口金内で、副押出機より押出されるポリエステル層(A)と主押出機より押出されるポリエステル層(B)がA/Bの2層積層となるように積層し、Tダイ口金に導入した。次いで、Tダイ口金内より、シート状に押出して、A層/B層からなる溶融2層積層未延伸シートとし、該溶融積層シートを、表面温度25℃に保たれたドラム上に静電印加法で密着冷却固化させて未延伸積層フィルムを得た。このとき、B層表面がドラムに接し、A層表面が空気に接していた。すなわち、B層表面が裏面となり、A層表面がおもて面であった。続いて、該未延伸積層フィルムを85℃の温度に加熱したロール群で予熱した後、表1に示した赤外線ヒーターの条件でA層表面側(おもて面)からのみ照射しながら(すなわち、フィルム片面側からのみ照射しながら)、長手方向(縦方向)に、ロールの周速差を利用して、3.6倍延伸を行い、25℃の温度のロール群で冷却して一軸延伸フィルムを得た。
得られた一軸延伸フィルムの両端をクリップで把持しながらテンター内の95℃の温度の予熱ゾーンに導き、引き続き連続的に105℃の温度の加熱ゾーンで長手方向に直角な方向(幅方向)に3.6倍延伸した。さらに引き続いて、テンター内の熱処理ゾーンで190℃で20秒間の熱処理を施し、さらに180℃の温度で6%幅方向に弛緩処理を行った後、更に140℃の温度で1%幅方向に弛緩処理を行った。次いで、均一に徐冷後、巻き取って、厚さ225μmの積層の白色ポリエステルフィルムを得た。その各種特性を表1に示す。Rzが本発明の範囲に入らなかったため、光沢度が高く、輝度ムラ評価は不可となり、不合格となった。
(比較例13、14)
表1に示した原料の混合物を実施例15と同様の方法で製膜し、総厚み225μmの白色単層ポリエステルフィルムを得た。該ポリエステルフィルムは内部に気泡を多数含有していた。その各種特性を表1に示す。比較例13はRzが、比較例14はRa、Rzともに、それぞれ本発明の範囲に入らなかったため、光沢度が高く、輝度ムラ評価は不可となり、不合格となった。
Figure 2011209499
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本発明の白色ポリエステルフィルムは、経済性、製膜性、白色性、反射性、軽量性、耐光性に優れ、この白色ポリエステルフィルムを用いることにより輝度特性に優れた面光源を安価に提供することができる。
本発明の白色ポリエステルフィルムは、白色性、反射性、隠蔽性が必要な用途に適用可能であるが、特に好ましい用途としては、光反射のために面光源に組込まれる板状材があげられる。具体的には、液晶画面用のエッジライトの反射板、直下型ライトの面光源の反射板、および冷陰極線管の周囲のリフレクター、等に好ましく用いられる。
1;光反射用白色ポリエステルフィルム
2;冷陰極管
3;乳白板
4;拡散板
5;プリズムシート
6;偏光プリズムシート
7;CCDカメラ
8;画像解析装置(アイスケール)

Claims (7)

  1. ポリエステル層(A)を有するポリエステルフィルムであって、ポリエステル層(A)中に無機粒子(c)を0.1〜5.0質量%、及び無機粒子(d)を1.0〜25質量%含有し、無機粒子(c)の体積平均粒子径が2μm〜10μmであり、ポリエステル層(A)側表面の60°光沢度が30以下であり、中心線平均粗さ(Ra)が250nm≦Ra≦1000nm、十点平均粗さ(Rz)が4000nm≦Rz≦10000nmであることを特徴とする面光源反射板用白色ポリエステルフィルム。
  2. 無機粒子(d)の体積平均粒子径が0.05〜2μmである請求項1に記載の面光源反射板用白色ポリエステルフィルム。
  3. 無機粒子(c)がシリカである請求項1または2に記載の面光源反射板用白色ポリエステルフィルム。
  4. 前記ポリエステルフィルムが気泡を含有し、フィルム厚み方向における該気泡とポリエステルとの界面が、フィルム厚み10μmあたり15以上である請求項1〜3のいずれかに記載の面光源反射板用白色ポリエステルフィルム。
  5. 比重が0.45〜0.99である請求項1〜4のいずれかに記載の面光源反射板用白色ポリエステルフィルム。
  6. 前記白色ポリエステルフィルムが、気泡を含有するポリエステル層(B)の少なくとも片面にポリエステル層(A)を積層した構造である請求項1〜5のいずれかに記載の面光源反射板用白色ポリエステルフィルム。
  7. 請求項1〜6のいずれかに記載の面光源反射板用白色ポリエステルフィルムを用いた液晶ディスプレイ用面光源反射板。
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