JP2014065817A - 2軸延伸フィルム - Google Patents
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Abstract
【課題】製膜性、白色性、反射性、軽量性、熱寸法安定性に優れた2軸延伸フィルム提供すること、およびそれを用いることにより輝度特性及び熱寸法安定性に優れた面光源を提供する。
【解決手段】80℃における熱収縮率が0.5%以下であり、
フィルムにおける任意の位置から30°刻みに0°〜330°でサンプルの重心と前記位置との距離が等間隔となるように採取した長さ300mm、幅20mmの12サンプルの80〜150℃における熱収縮率の最大値と最小値の差が2.0%以下であり、比重が0.8未満であり、少なくとも片面の相対反射率が102%以上である2軸延伸フィルム。
【選択図】なし
【解決手段】80℃における熱収縮率が0.5%以下であり、
フィルムにおける任意の位置から30°刻みに0°〜330°でサンプルの重心と前記位置との距離が等間隔となるように採取した長さ300mm、幅20mmの12サンプルの80〜150℃における熱収縮率の最大値と最小値の差が2.0%以下であり、比重が0.8未満であり、少なくとも片面の相対反射率が102%以上である2軸延伸フィルム。
【選択図】なし
Description
本発明は、2軸延伸フィルムに関し、特に、液晶ディスプレイ用反射板として最適なフィルムに関する。
テレビ、パソコン、タブレット型パソコンのような携帯端末など様々な電子機器に多用されている液晶ディスプレイは、画面表示のために、ディスプレイ後部にバックライトと呼ばれる光源を設置している。また、バックライトは、画面全体を均一に照射する必要がある。この特性を満たす方式として、サイドライト型及び直下型と呼ばれる面光源の構造がある。特に、薄型ディスプレイには、サイドライト型、つまり画面に対し側面から光を照射するタイプのバックライトが適用されている。一般的に、このサイドライト型では、導光板と呼ばれる、ある厚みを持ったアクリル板などの透明基材の片面に網点印刷やシボ加工など各種処理を施したシートが用いられる。側面の光源より導光板のエッジへ光を当てることで、照明光が上方に均一に分散され、均一な明るさを持った画面が得られる。また、エッジ部のみに照明を設置するため、光源を減らすことができ、低コスト化及び軽量化でき、バックライト方式より薄型にできる。さらに、照明光の画面背面への逃げを防ぐため、画面の背面に反射板が設けられており、これにより光源からの光のロスを少なくし、液晶画面を明るくできる。
このような液晶画面用の面光源に用いられる反射板として用いられるフィルムには、薄膜及び軽量であることと同時に高い反射性能はもちろんのこと、特に熱寸法安定性が望まれている。従来、白色顔料を添加したフィルムや内部に微細な気泡を含有させたフィルム、もしくはこれらのフィルムとプラスチック板などを張り合わせたものが使用されてきた。これらの中で、特に非相溶樹脂の微粒子及び白色顔料を含むシートを延伸して得られる内部に気泡を含有させたフィルムは輝度に優れることから幅広く用いられている(特許文献1、2、3、4)。
一方、近年増加しているLED光源を使用したバックライトについて、高輝度を維持しつつ低コスト化を狙うため、LED個々を高出力化させて数を減らす方法をとる場合がある。そのため、LED1つあたりが発する熱量も大きくなり、バックライト内でもLED近傍や制御端子近傍とその他の場所での温度差が大きくなっている。そのため、特に気泡を含有する軽量なフィルムにおいて、熱による各箇所の寸法変化量の違いにより、反射板用フィルムが波打ち、ディスプレイに明暗の差が発生してしまう。そこで、粗大粒子を含有した層をコーティングしてフィルム表面を粗面化させることにより、フィルムが波打っても導光板と密着せず、画面に明暗を発生させないようにする検討がなされている(特許文献5)。
しかし、フィルム表面を粗面化させ、表面に凹凸を付与した場合、ディスプレイの運搬時の振動とこの表面に形成された凹凸により導光板の網点印刷やシボ加工など各種処理面が削れてしまい、輝度低下を起してしまうことがあった。そのため、熱による波打ちがない、すなわち、熱による各箇所の寸法変化量の違いが出ないようなフィルムが求められている。
そこで、本発明は、上記従来の検討では達成し得なかった優れた製膜性、反射性、及び熱寸法安定性を有するフィルムあるいは反射部材を安価に提供することを課題とする。
そこで、本発明は、上記従来の検討では達成し得なかった優れた製膜性、反射性、及び熱寸法安定性を有するフィルムあるいは反射部材を安価に提供することを課題とする。
本発明は、上記課題を解決するために、次のような構成をとる。
すなわち、
(1)80℃における熱収縮率が0.5%以下であり、
フィルムにおける任意の位置から30°刻みに0°〜330°でサンプルの重心と前記位置との距離が等間隔となるように採取した長さ300mm、幅20mmの12サンプルの80〜150℃における熱収縮率の最大値と最小値の差が2.0%以下であり、比重が0.8未満であり、少なくとも片面の相対反射率が102%以上である、2軸延伸フィルム、
(2)150℃における熱収縮率が3.5%以下である、(1)に記載の2軸延伸フィルム、
(3)ポリエステルからなる(1)または(2)に記載の2軸延伸フィルム、
(4)微細な気泡を有する、(1)〜(3)のいずれかに記載の2軸延伸フィルム、
(5)(1)〜(4)のいずれかに記載の2軸延伸フィルムを用いた液晶ディスプレイ用反射板、
である。
すなわち、
(1)80℃における熱収縮率が0.5%以下であり、
フィルムにおける任意の位置から30°刻みに0°〜330°でサンプルの重心と前記位置との距離が等間隔となるように採取した長さ300mm、幅20mmの12サンプルの80〜150℃における熱収縮率の最大値と最小値の差が2.0%以下であり、比重が0.8未満であり、少なくとも片面の相対反射率が102%以上である、2軸延伸フィルム、
(2)150℃における熱収縮率が3.5%以下である、(1)に記載の2軸延伸フィルム、
(3)ポリエステルからなる(1)または(2)に記載の2軸延伸フィルム、
(4)微細な気泡を有する、(1)〜(3)のいずれかに記載の2軸延伸フィルム、
(5)(1)〜(4)のいずれかに記載の2軸延伸フィルムを用いた液晶ディスプレイ用反射板、
である。
本発明は、製膜性、反射性、及び熱寸法安定性を有するフィルムあるいは反射部材を安価に提供することができ、LED光源を使用したバックライトに液晶ディスプレイ用反射板として用いた場合、反射フィルムの波打ちを抑制することができる。
以下、本発明を詳細に説明する。
[2軸延伸フィルムの構成]
本発明の2軸延伸フィルムは、基材としては、基材として1種以上の樹脂を用いることができる。例えば、ポリエステル、ポリオレフィン、ポリアミド、ポリイミドなどを用いることができるが、ポリエステルからなることが好ましい。また、ポリエステル樹脂(a1)、該ポリエステル樹脂(a1)とは非相溶のポリオレフィン(b)、および気泡を含有することが、輝度や反射率などの光学特性の点で好ましい。ポリエステル樹脂(a)と、ポリオレフィン(b)を用いることにより、後述するような方法により容易にポリオレフィン(b)を核とした気泡を含有させることが可能となり、軽量かつ、高い反射特性を有する白色ポリエステルフィルムを製造することが可能となる。
本発明の2軸延伸フィルムは、2層以上の構成が好ましく、3層構成がより好ましい。3層以上の構成をとる場合、芯層部が気泡を含有する層であることが、製膜性、光学特性の点で好ましい。また、表皮部の厚みは2〜12μmであることが好ましい。表皮部の厚みが2未満であると、気泡を多数含有する芯層部の影響により著しく破れやすくなるため、安定製膜できないだけでなく、表皮部に無機粒子(c)を添加する場合などに脱落しやすくなり工程を汚染するため好ましくない。表皮部の厚みが12μmを超えると、当該フィルムを反射板として用いた場合に、光が芯層部まで届きにくくなり、気泡と基材の界面で反射する成分が減少して反射率や輝度などの光学特性が低下するため好ましくない。
[2軸延伸フィルムの構成]
本発明の2軸延伸フィルムは、基材としては、基材として1種以上の樹脂を用いることができる。例えば、ポリエステル、ポリオレフィン、ポリアミド、ポリイミドなどを用いることができるが、ポリエステルからなることが好ましい。また、ポリエステル樹脂(a1)、該ポリエステル樹脂(a1)とは非相溶のポリオレフィン(b)、および気泡を含有することが、輝度や反射率などの光学特性の点で好ましい。ポリエステル樹脂(a)と、ポリオレフィン(b)を用いることにより、後述するような方法により容易にポリオレフィン(b)を核とした気泡を含有させることが可能となり、軽量かつ、高い反射特性を有する白色ポリエステルフィルムを製造することが可能となる。
本発明の2軸延伸フィルムは、2層以上の構成が好ましく、3層構成がより好ましい。3層以上の構成をとる場合、芯層部が気泡を含有する層であることが、製膜性、光学特性の点で好ましい。また、表皮部の厚みは2〜12μmであることが好ましい。表皮部の厚みが2未満であると、気泡を多数含有する芯層部の影響により著しく破れやすくなるため、安定製膜できないだけでなく、表皮部に無機粒子(c)を添加する場合などに脱落しやすくなり工程を汚染するため好ましくない。表皮部の厚みが12μmを超えると、当該フィルムを反射板として用いた場合に、光が芯層部まで届きにくくなり、気泡と基材の界面で反射する成分が減少して反射率や輝度などの光学特性が低下するため好ましくない。
本発明の2軸延伸フィルムは、上述の構成からなり、反射光の光拡散性を制御したり、高い機械的強度をフィルムに付与したり、製膜性を付与したり、帯電防止性を付与したり、耐光性を付与したり、その他付随する機能を有する層が積層されてもよい。多層構成にすることにより、それぞれの層の多様な特性をコントロールできる。
本発明の2軸延伸フィルムは、比重が0.8未満であることが必要である。見かけ比重が本発明の範囲にあると、フィルム強度を保ったまま微細な気泡を多数存在させることが出来、高反射率を得ることが出来る。すなわち、液晶ディスプレイ反射板として使用した場合、画面の明るさにおいて、顕著に優れた性能を発揮する。また、0.3以上0.8未満であることが、機械的特性を保ちながら軽量化できるため、好ましい。
[基材]
本発明の2軸延伸フィルムにおいて、基材として前記の通り、ポリエステルを用いるものが好ましく、ポリエステル樹脂(a1)とポリエステル樹脂(a2)を含むことにより、高い光学特性を有する2軸延伸フィルムを安価かつ安定に得ることができるため、より好ましい。
本発明の2軸延伸フィルムにおいて、基材として前記の通り、ポリエステルを用いるものが好ましく、ポリエステル樹脂(a1)とポリエステル樹脂(a2)を含むことにより、高い光学特性を有する2軸延伸フィルムを安価かつ安定に得ることができるため、より好ましい。
ポリエステル樹脂(a1)は、1)ジカルボン酸成分もしくはそのエステル形成性誘導体(以下、「ジカルボン酸成分」と総称する)とジオール成分の重縮合、2)一分子内にカルボン酸もしくはカルボン酸誘導体骨格と水酸基を有する化合物の重縮合、および1)2)の組み合わせにより得ることができる。
かかるポリエステル樹脂を構成するジカルボン酸成分としては、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、スベリン酸、セバシン酸、メチルマロン酸、エチルマロン酸等の脂肪族ジカルボン酸類、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸などのジカルボン酸などが挙げられるが、これらに限定されず、例えば多官能酸である、トリメリット酸、ピロメリット酸等も好適に用いることができる。また、これらは単独で用いても、必要に応じて、複数種類用いてもよい。
また、かかるポリエステル樹脂を構成するジオール成分としては、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール等の脂肪族ジオール類、1,3−ベンゼンジメタノール,1,4−ベンセンジメタノールなどの芳香族ジオール類等のジオールなどが代表例としてあげられるがこれらに限定されない。また、これらは単独で用いても、必要に応じて複数種類用いてもよい。
ポリエステル樹脂(a1)は、上述の化合物を適宜組み合わせて重縮合させることで得ることができる。ポリエステル樹脂(a1)に好適に用いられるポリエステルとしては、ポリエチレンテレフタレート(以下、PETと略すことがある。)、ポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレート(以下、PENと略すことがある。)、ポリプロピレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートなどが挙げられる。
ポリエステル樹脂(a1)として、上述の樹脂を用いることにより、無着色性を維持しつつ、フィルムとしたときに高い機械強度を付与することができる。より好ましくは、安価でかつ耐水性、耐久性、耐薬品性が優れるという点で、PET、またはPENが好ましい。また、この基材の中には、公知の各種添加剤、例えば、酸化防止剤、帯電防止剤などが添加されていてもよい。
好ましいポリエステル樹脂(a2)としては、炭素数4以上8以下の脂環式ジオール成分を含有することが好ましい。
炭素数4以上8以下の脂環式ジオールとは、炭素数4以上8以下の環式脂肪族炭化水素部分とジオール部分の両方の構造をあわせもつ物質を指し、シクロブタンジオール、シクロペンタンジオール、シクロへキサンジオール、シクロヘプタンジオール、シクロオクタンジオール、シクロプロパンジメタノール、シクロブタンジメタノール、シクロペンタンジメタノール、シクロへキサンジメタノールなどが挙げられる。
上記の炭素数4以上8以下の脂環式ジオールのうち、モノマー価格と、ポリエステル樹脂(特にPET)との混合が容易であるという点から、1,4−シクロヘキサンジメタノール(CHDM)が特に好適に使用される。
本発明の2軸延伸フィルムにおいて、ポリエステル樹脂成分(a2)の含有量は、フィルム全体に対して1.2〜30質量%が好ましい。より好ましくは1.2〜26質量、最も好ましくは1.2〜20質量%である。ポリエステル樹脂成分(a2)の含有量が1.2質量%に満たないと、ポリオレフィン(b)の微分散効果が低下し、反射性能が低下するため好ましくない。また30質量%を超えると、2軸延伸フィルムの耐熱性が低下し、高温下に曝されたときに寸法変化が大きくなることがあるため好ましくない。ポリエステル樹脂成分(a2)の含有量を1.2〜30質量%とすることで、製膜安定性、反射性及び寸法安定性を兼ね備えた2軸延伸フィルムとすることができる。
[気泡の形成]
本発明の2軸延伸フィルムは相対反射率が102%以上である。より好ましくは102.5%以上、更に好ましくは103%以上である。相対反射率について特に上限はないが、反射率を上げるためには、気泡形成核剤となるポリオレフィン(b)の添加量を上げればよいが、製膜性が不安定になることがあるため、110%以下であることが好ましい。ここでいう相対反射率とは、内面が硫酸バリウム製の積分球、10°傾斜スペーサーを備えた分光光度計、標準白色板として酸化アルミニウムを用いて、入射角10°で光を入射させたときの反射率を波長560nmの範囲で測定し、標準白色板の反射率を100%としたときの相対反射率を、波長560nmで平均して得られる反射率のことである。本発明の2軸延伸フィルムにおいて、相対反射率を100%以上とすることによって、白色性、反射特性に優れた2軸延伸フィルムとすることができ、特に液晶表示装置用として用いた場合に高い輝度向上効果を得ることができる。
本発明の2軸延伸フィルムは相対反射率が102%以上である。より好ましくは102.5%以上、更に好ましくは103%以上である。相対反射率について特に上限はないが、反射率を上げるためには、気泡形成核剤となるポリオレフィン(b)の添加量を上げればよいが、製膜性が不安定になることがあるため、110%以下であることが好ましい。ここでいう相対反射率とは、内面が硫酸バリウム製の積分球、10°傾斜スペーサーを備えた分光光度計、標準白色板として酸化アルミニウムを用いて、入射角10°で光を入射させたときの反射率を波長560nmの範囲で測定し、標準白色板の反射率を100%としたときの相対反射率を、波長560nmで平均して得られる反射率のことである。本発明の2軸延伸フィルムにおいて、相対反射率を100%以上とすることによって、白色性、反射特性に優れた2軸延伸フィルムとすることができ、特に液晶表示装置用として用いた場合に高い輝度向上効果を得ることができる。
ここで、本発明の2軸延伸フィルムの相対反射率を上述の範囲に調整するためには、フィルム内部に気泡および無機粒子(d)を含有させ白色化されていることが好ましい。これにより光の散乱作用を発揮するため、反射率を向上させることができる。
気泡の形成は、フィルム基材中に、ポリオレフィン(b)及び無機粒子(d)を細かく分散させ、それを2軸延伸することにより達成される。延伸に際して、このポリオレフィン(b)及び無機粒子(d)の周りに気泡が形成され、フィルム厚み方向における該気泡と基材との界面数が、フィルム厚み10μmあたり15以上であることが好ましく、より好ましくは20以上、さらに好ましくは25以上である。
[ポリオレフィン(b)]
本発明の2軸延伸フィルムは、基材内部に気泡を有することが好ましいが、基材と非相溶性成分を含有させることによって、気泡を形成させることができる。
本発明の2軸延伸フィルムは、基材内部に気泡を有することが好ましいが、基材と非相溶性成分を含有させることによって、気泡を形成させることができる。
基材としてポリエステル樹脂(a)を用い、ポリエステル樹脂(a)に対する非相溶性成分としてポリオレフィン(b)を用いる場合、ポリオレフィン(b)は、結晶性、非晶性、どちらも好ましく用いられる。具体例としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、ポリメチルペンテン、シクロペンタジエンなどのような直鎖状、分鎖状あるいは環状のポリオレフィンが挙げられる。このポリオレフィンは単独重合体であっても共重合体であってもよく、さらには2種以上を併用してもよい。これらの中でも、透明性に優れ、かつ耐熱性に優れるという点で、ポリオレフィンが好ましく用いられる。具体的には、結晶性ポリオレフィンとしては、ポリプロピレンやポリメチルペンテンなどが、非晶性ポリオレフィンとしては、シクロオレフィン共重合体などが好ましく用いられる。
また、本発明の2軸延伸フィルムにおいて、ポリオレフィン(b)として非晶性ポリオレフィンを用いる場合、環状オレフィン共重合体樹脂を特に好ましく用いることができる。環状オレフィン共重合体とは、シクロアルケン、ビシクロアルケン、トリシクロアルケン、テトラシクロアルケン及びペンタシクロアルケンからなる群から選ばれた少なくとも1種のシクロオレフィンと、エチレン、プロピレン等の直鎖オレフィンからなるコポリマーが挙げられる。ここでいう非晶性樹脂とは、結晶融解熱が1cal/g未満である樹脂を指す。
環状オレフィン共重合体樹脂における環状オレフィンの代表例としては、ビシクロ〔2,2,1〕ヘプト−2−エン、6−メチルビシクロ〔2,2,1〕ヘプト−2−エン、5,6−ジメチルビシクロ〔2,2,1〕ヘプト−2−エン、1−メチルビシクロ〔2,2,1〕ヘプト−2−エン、6−エチルビシクロ〔2,2,1〕ヘプト−2−エン、6−n−ブチルビシクロ〔2,2,1〕ヘプト−2−エン、6−i−ブチルビシクロ〔2,2,1〕ヘプト−2−エン、7−メチルビシクロ〔2,2,1〕ヘプト−2−エン等がある。
また、環状オレフィン共重合体樹脂における直鎖オレフィンの代表例としては、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン等がある。
本発明において、ポリオレフィン(b)としては、上述に挙げられるもののうち、非晶性樹脂である環状オレフィン共重合体樹脂が、基材に含まれる脂環式ジオール、および/または脂環式ジカルボン酸との相互作用により、より微分散可能となり、反射特性をさらに高めることができるという点から、特に好ましく用いられる。
本発明において、ポリオレフィン(b)は、そのガラス転移温度Tgが170℃以上であることが好ましい。さらに好ましくは180℃以上である。170℃以上とすることで、混練時においてマトリックス樹脂中により微細に分散し、延伸工程において気泡を形成し、熱処理工程における気泡の消失をより抑制することができるためである。上限は250℃が好ましい。250℃を越えると、製膜時の押出温度が高くなり加工性に劣るため好ましくない。また、ポリオレフィン(b)のガラス転移温度Tgが170℃に満たないと、寸法安定性を付与するためにフィルムの熱処理を実施した時に、ポリオレフィン(b)が変形し、それを核として形成された気泡が減少・または消失して、反射特性が低下する場合があり、好ましくない。また、反射特性を維持しようとして、熱処理温度を低温化すると、その場合にフィルムの寸法安定性が低下する場合があるため好ましくない。
ポリオレフィン(b)として、環状オレフィン共重合体樹脂を用いる場合、そのガラス転移温度Tgを前述の範囲に制御するためには、例えば環状オレフィン共重合体中の環状オレフィン成分の含有量を多くし、エチレン等の直鎖オレフィン成分の含有量を少なくすることが挙げられる。具体的には、環状オレフィン成分は60モル%以上であり、エチレン等の直鎖オレフィン成分の含有量は40モル%未満であることが好ましい。より好ましくは、環状オレフィン成分は70モル%以上であり、エチレン等の直鎖オレフィン成分の含有量は30モル%未満、さらに好ましくは環状オレフィン成分が80モル%以上であり、エチレン等の直鎖オレフィン成分の含有量が20モル%未満である。特に好ましくは環状オレフィン成分が90モル%以上であり、エチレン等の直鎖オレフィン成分の含有量が10モル%未満である。かかる範囲にすることにより、環状オレフィン共重合体のガラス転移温度Tgを前述の範囲まで高めることができる。
また、ポリオレフィン(b)として、環状オレフィン共重合体樹脂を用いる場合、直鎖オレフィン成分は特に制限されるものではないが、反応性の観点からエチレン成分が好ましい。
さらに、環状オレフィン成分も特に制限されるものではないが、ビシクロ〔2,2,1〕ヘプト−2−エン(ノルボルネン)やその誘導体が生産性・透明性・高Tg化の点から好ましい。
したがって、本発明では、2軸延伸フィルムがポリエステル樹脂(a)およびポリオレフィン(b)を有しており、ポリオレフィン(b)が、ガラス転移温度が170℃以上250℃以下であることが好ましい。さらに、ポリオレフィン(b)は非晶性であることが好ましく、(非晶性の)環状オレフィン共重合体樹脂であることがさらに好ましい。
本発明において、ポリオレフィン(b)の添加量は、フィルム全体の総質量を100質量%としたときに5〜25質量%であることが好ましい。ポリオレフィン(b)の含有量が5質量%未満であると、フィルム内部に気泡が十分に生成されず、白色性や光反射特性に劣ることがある。一方、ポリオレフィン(b)の含有量が25質量%を越えると、フィルムの強度が低下し、延伸時の破断が起こりやすくなることがある。含有量をかかる範囲内にすることにより、十分な白色性・反射性・軽量性を発現せしめることができる。
このポリオレフィン(b)は均一かつ微細に分散されている程好ましい。均一かつ微細に分散することより、フィルム内部に均一に気泡が形成され、反射率が均一になる。
[分散剤(c)]
ポリオレフィン(b)を均一分散させるには、分散剤(c)を添加することが有効である。分散剤(c)としては例えば、ポリエステルに対しては、ポリエチレングリコール、メトキシポリエチレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ポリプロピレングリコールなどのポリアルキレングリコール、エチレンオキシド/プロピレンオキシド共重合体、さらにはドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、アルキルスルホネートナトリウム塩、グリセリンモノステアレート、テトラブチルホスホニウムパラアミノベンゼンスルホネートなどで代表されるものである。本発明の場合、特にポリアルキレングリコール、中でもポリエチレングリコールが好ましい。また、ポリブチレンテレフタレートとポリテトラメチレングリコールの共重合体なども、非相溶のポリオレフィン(b)の分散性を向上させるために好ましく用いられる。添加量としては、ポリエステルフィルムの総質量に対して3質量%以上20質量%以下が好ましく、特に好ましくは10質量%以上15質量%以下である。分散剤(c)の添加量が少なすぎると、添加の効果が薄れ、多すぎると、フィルム母材本来の特性を損なう恐れがある。このような分散剤(c)は、予めフィルム母材ポリマー中に添加してマスターポリマ(マスターチップ)として調整可能である。
ポリオレフィン(b)を均一分散させるには、分散剤(c)を添加することが有効である。分散剤(c)としては例えば、ポリエステルに対しては、ポリエチレングリコール、メトキシポリエチレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ポリプロピレングリコールなどのポリアルキレングリコール、エチレンオキシド/プロピレンオキシド共重合体、さらにはドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、アルキルスルホネートナトリウム塩、グリセリンモノステアレート、テトラブチルホスホニウムパラアミノベンゼンスルホネートなどで代表されるものである。本発明の場合、特にポリアルキレングリコール、中でもポリエチレングリコールが好ましい。また、ポリブチレンテレフタレートとポリテトラメチレングリコールの共重合体なども、非相溶のポリオレフィン(b)の分散性を向上させるために好ましく用いられる。添加量としては、ポリエステルフィルムの総質量に対して3質量%以上20質量%以下が好ましく、特に好ましくは10質量%以上15質量%以下である。分散剤(c)の添加量が少なすぎると、添加の効果が薄れ、多すぎると、フィルム母材本来の特性を損なう恐れがある。このような分散剤(c)は、予めフィルム母材ポリマー中に添加してマスターポリマ(マスターチップ)として調整可能である。
[無機粒子(d)]
本発明の2軸延伸フィルムに好ましく含有される無機粒子(d)としては、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、酸化チタン、酸化アンチモン、酸化マグネシウム、炭酸バリウム、炭酸亜鉛、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、酸化アルミニウム、酸化ケイ素(シリカ)等を挙げることができる。
本発明の2軸延伸フィルムに好ましく含有される無機粒子(d)としては、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、酸化チタン、酸化アンチモン、酸化マグネシウム、炭酸バリウム、炭酸亜鉛、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、酸化アルミニウム、酸化ケイ素(シリカ)等を挙げることができる。
これらの中で、フィルムの巻取り性、長時間の製膜安定性、反射特性向上の観点から、炭酸カルシウム、酸化チタン、硫酸バリウム、シリカが好ましい。これらは、単独でも2種以上を併用してもよい。また、多孔質や中空多孔質等の形態であってもよく、本発明の効果を阻害しない範囲内において、樹脂に対する分散性を向上させるために、表面処理が施されていてもよい。
また、無機粒子(d)の含有量は、フィルム各層の総質量を100質量%としたときに、30質量%以下であることが好ましい。
無機粒子(d)の含有量が30質量%を超えると、フィルムの比重が増加したり、無機粒子(d)の光吸収能及び光隠蔽性により高反射特性を得ることが困難になるだけでなく、延伸時のフィルム破れや後加工の際に粉発生等の不都合を生じる場合がある。
本発明の2軸延伸フィルムにおいて、無機粒子(d)として酸化チタン、硫酸バリウム、炭酸カルシウムなどを用いた場合、これを核とした気泡を形成してもよい。
[製膜方法]
ポリエステル樹脂(a1)は、ジカルボン酸成分としてテレフタル酸を、ジオール成分としてエチレングリコールを用い、三酸化アンチモン(重合触媒)を、得られるポリエステルペレットに対してアンチモン原子換算で300ppmとなるように添加し、重縮合反応を行って、ポリエチレンテレフタレートペレット(ポリエステル樹脂(a1))を得ることが出来る。
ポリエステル樹脂(a1)は、ジカルボン酸成分としてテレフタル酸を、ジオール成分としてエチレングリコールを用い、三酸化アンチモン(重合触媒)を、得られるポリエステルペレットに対してアンチモン原子換算で300ppmとなるように添加し、重縮合反応を行って、ポリエチレンテレフタレートペレット(ポリエステル樹脂(a1))を得ることが出来る。
ポリエステル樹脂(a2)は、ジカルボン酸成分としてテレフタル酸を、ジオール成分として炭素数4以上8以下の脂環式ジオールを用い、触媒として酢酸マグネシウム、三酸化アンチモン、亜リン酸を用いてアンチモン原子換算で300ppmとなるように添加し重縮合反応を行って、炭素数4以上8以下の脂環式ジオールとテレフタル酸を共重合したポリエステル樹脂(a2)を得ることが出来る。
ポリオレフィン(b)は、上述したシクロオレフィンとオレフィンを公知の方法(例えば特開昭61−271308、国際公開第2007/060723号パンフレット)により重合する、あるいは上市されている商品(例えば“TOPAS”(ポリプラスチックス(株)製))を購入することにより得ることができる。
分散剤(c)はPBT(ポリブチレンテレフタレート)とPAG(主としてポリテトラメチレングリコール)のブロック共重合体であり、メルトインデックス(MI)が14(2.160g、240℃)であるものを用いることができる。なお、共重合比率は、ブチレンテレフタレート:アルキレングリコール=70mol%:30molであるものを用いることができる(例えば“ハイトレル”(東レデュポン(株)製))。
次に、本発明の2軸延伸フィルムの製造方法について、その一例を説明するが、本発明は、かかる例のみに限定されるものではない。
無機粒子(d)は、無機粒子(d)を含有するポリエステル樹脂(a1)等のマスターペレットの形態として本発明の製造に用いる。
ポリエステル樹脂(a1)とポリエステル樹脂(a2)とポリオレフィン(b)、及び、必要に応じて分散剤(c)や無機粒子(d)を含む混合物を、十分真空乾燥を行い、製膜装置の加熱された押出機に供給する。ポリオレフィン(b)及び無機粒子(d)の添加は、事前に均一に溶融混練して作製されたマスターチップを用いても、もしくは直接混練押出機に供給してもよい。ポリエステル樹脂(a2)の添加は、事前に均一にポリエステル樹脂(a1)とポリオレフィン(b)を含む混合物を溶融混練してマスターチップを添加する際に添加しても、もしくは直接混練押出機に供給するなどしてもよいが、事前に均一にポリエステル樹脂(a1)とポリオレフィン(b)を含む混合物を溶融混練してマスターチップを添加する際に添加するほうが、ポリオレフィン(b)の分散が促進されるという点で好ましい。
また、溶融押出に際してはメッシュ40μm以下のフィルターにて濾過した後に、Tダイ口金内に導入し押出成形により溶融シートを得ることが好ましい。
この溶融シートを表面温度10〜60℃に冷却されたドラム上で静電気により密着冷却固化し、未延伸単層フィルムを作製する。該未延伸単層フィルムを70〜120℃の温度に加熱されたロール群に導き、長手方向(縦方向、すなわちフィルムの進行方向)に2.5〜4倍延伸し、20〜50℃の温度のロール群で冷却する。続いて、フィルムの両端をクリップで把持しながらテンターに導き、90〜150℃の温度に加熱された雰囲気中で、長手方向に直角な方向(幅方向)に2.5〜4倍に延伸する。
延伸倍率は、長手方向と幅方向それぞれ2.5〜4倍とするが、その面積倍率(縦延伸倍率×横延伸倍率)は9〜16倍であることが好ましく、10〜12倍であることがより好ましい。面積倍率が9倍未満であると、得られる2軸延伸フィルムの反射率やフィルム強度が不十分となり、逆に面積倍率が16倍を超えると延伸時に破れを生じ易くなる。
得られた2軸延伸フィルムの結晶配向を完了させて、寸法安定性を付与するために、引き続きテンター内にて150〜240℃の温度で1〜30秒間の熱処理を行い、均一に徐冷後、室温まで冷却し、その後必要に応じて、他素材との密着性をさらに高めるためにコロナ放電処理などを行い、巻き取ることにより、本発明の2軸延伸フィルムを得ることができる。上記熱処理工程中に、幅方向あるいは長手方向に3〜12%の弛緩処理を施すのが好ましい。
本発明の2軸延伸フィルムは製膜工程において高温(190℃以上)で熱処理されてなることが好ましい。本発明の2軸延伸フィルムは、液晶ディスプレイなどに搭載されている面光源(バックライト)の反射フィルムとして用いられることがあるため、高い熱寸法安定性を有することが必要であるためである。バックライトによっては内部の雰囲気温度が100℃程度まで上昇することがある。
また、2軸延伸の方法は逐次あるいは同時のいずれでもよいが、同時2軸延伸法を用いた場合は、製造工程のフィルム破れを防止でき、加熱ロールに粘着することによって生ずる転写欠点が発生しにくい。また2軸延伸後に長手方向、幅方向いずれかの方向に再延伸してもよい。
かくして得られた2軸延伸フィルムは、後述する方法により測定された熱収縮率が、80℃において0.5%以下であることが必要である。熱収縮率が、80℃において0.5%を超えると、液晶ディスプレイ用反射板として使用された場合に、フィルムが大きく収縮し、筐体ディスプレイ全面を覆うことができなくなり、その結果、画面端部に暗部が生じる。
さらに、本発明の2軸延伸フィルムは、後述する方法により測定された80℃〜150℃の熱収縮率の最大値と最小値の差が2.0%以下であることが必要である。80℃〜150℃の熱収縮率の最大値と最小値の差が2.0%を超えると、液晶ディスプレイ用反射板として使用された場合に、筐体内でもLED近傍や制御端子近傍とその他の場所での温度差が大きく、熱による各箇所の寸法変化量の違いがより大きくなり、フィルムが波打ち、ディスプレイに明暗の差が発生してしまう。80℃〜150℃の熱収縮率の最大値と最小値の差が2.0%以下であっても、熱収縮率が150℃において3.5%以下であることが、波打ちをさらに低減できるため、より好ましい。
[物性の測定ならびに効果の評価方法]
測定方法
本発明の物性値の評価方法ならびに効果の評価方法は次の通りである。
測定方法
本発明の物性値の評価方法ならびに効果の評価方法は次の通りである。
A.反射率
日立ハイテクノロジーズ製分光光度計(U―3310)に積分球を取り付け、標準白色板(酸化アルミニウム)を100%とした時の反射率を400〜700nmにわたって測定する。得られたチャートより5nm間隔で反射率を読み取り、平均値を計算し、平均反射率とする。
日立ハイテクノロジーズ製分光光度計(U―3310)に積分球を取り付け、標準白色板(酸化アルミニウム)を100%とした時の反射率を400〜700nmにわたって測定する。得られたチャートより5nm間隔で反射率を読み取り、平均値を計算し、平均反射率とする。
B.フィルムの比重
フィルムを5cm×5cmの大きさに切りだし、JIS K7112(1980)に基づいて電子比重計SD−120L(ミラージュ貿易(株)製)を用いて測定した。なお、各白色フィルムについて5枚用意し、それぞれを測定し、その平均値でもって該白色フィルムの比重とした。
フィルムを5cm×5cmの大きさに切りだし、JIS K7112(1980)に基づいて電子比重計SD−120L(ミラージュ貿易(株)製)を用いて測定した。なお、各白色フィルムについて5枚用意し、それぞれを測定し、その平均値でもって該白色フィルムの比重とした。
C.熱収縮率
フィルムを、測定したい方向を長手として、長さ300mm×20mmに切断して試験片とし、室温で試験片の中央部に200mm(=L0)の距離をおいて標点を付ける。ここで、2つの標点を結ぶ直線は長辺に平行となるようにする。次に80℃〜150℃の所定の温度に保持した恒温槽中に、一方の短辺をクリップで挟んで試験片を垂直につるし30分間放置する。その後、同じ室温まで除冷した後に、試験片の標点間の距離(=L)を測定する。LとL0より熱収縮率を次式にて算出した。
熱収縮率(%)={(L0−L)/L0}×100
なお、サンプリングについては、フィルムにおける任意の位置から30°刻みに0°〜330°でサンプルの重心と前記位置との距離が等間隔となるように採取した。
フィルムを、測定したい方向を長手として、長さ300mm×20mmに切断して試験片とし、室温で試験片の中央部に200mm(=L0)の距離をおいて標点を付ける。ここで、2つの標点を結ぶ直線は長辺に平行となるようにする。次に80℃〜150℃の所定の温度に保持した恒温槽中に、一方の短辺をクリップで挟んで試験片を垂直につるし30分間放置する。その後、同じ室温まで除冷した後に、試験片の標点間の距離(=L)を測定する。LとL0より熱収縮率を次式にて算出した。
熱収縮率(%)={(L0−L)/L0}×100
なお、サンプリングについては、フィルムにおける任意の位置から30°刻みに0°〜330°でサンプルの重心と前記位置との距離が等間隔となるように採取した。
D.製膜性
実施例・比較例において製膜した際に、フィルム破れが1回/日以下しか生じず、かつ粒子脱落などによる工程汚染ないものを◎、フィルム破れは1回/日以下しか生じないが、ロール表面への汚れの蓄積が肉眼で確認できるものを○、フィルム破れが2回/日以上3回/日以下発生するものを△、フィルム破れが4回/日以上発生するものを×とした。大量生産には△以上の製膜性が必要であり、○以上であるとさらにコスト低減効果がある。
実施例・比較例において製膜した際に、フィルム破れが1回/日以下しか生じず、かつ粒子脱落などによる工程汚染ないものを◎、フィルム破れは1回/日以下しか生じないが、ロール表面への汚れの蓄積が肉眼で確認できるものを○、フィルム破れが2回/日以上3回/日以下発生するものを△、フィルム破れが4回/日以上発生するものを×とした。大量生産には△以上の製膜性が必要であり、○以上であるとさらにコスト低減効果がある。
E.フィルム形状
ハイセンスジャパン株式会社製32型液晶TV LHD32K15JPバックライト内に張り合わせてある反射フィルムを所定のフィルムサンプルに変更し、温度60℃、相対湿度80%条件下、4時間点灯させた。その後、液晶TVからバックライトユニットを外し反射板の白色フィルムの状態を目視にて観察した。
下記の通りの評価結果とした。
○:変形なし。
△:かすかに波うちがある。
×:大きな波うちがある。
上記の○および△を合格とした。
ハイセンスジャパン株式会社製32型液晶TV LHD32K15JPバックライト内に張り合わせてある反射フィルムを所定のフィルムサンプルに変更し、温度60℃、相対湿度80%条件下、4時間点灯させた。その後、液晶TVからバックライトユニットを外し反射板の白色フィルムの状態を目視にて観察した。
下記の通りの評価結果とした。
○:変形なし。
△:かすかに波うちがある。
×:大きな波うちがある。
上記の○および△を合格とした。
F.輝度ムラ
新品のハイセンスジャパン株式会社製32型液晶TV LHD32K15JPバックライト内に張り合わせてある反射フィルム(図1中に1として表記)と上記(5)で取り出した反射板に変更し点灯させた。その状態で1時間待機して光源を安定化させた後、500lxの照明環境下または暗所環境下において目視で輝度ムラとして認識できるものを観察し、下記の通りの評価結果とした。なお、ここでいう輝度ムラとは、反射シートの撓みよるものである。
◎:優良 (500lxの照明環境下、暗所環境下ともに、輝度ムラが見えない。)
○:良好 (500lxの照明環境下においては、輝度ムラが見えるが、暗所環境下においては、輝度ムラが見えない。)
△:劣る (500lxの照明環境下、暗所環境下ともに、輝度ムラが見える。)
×:非常に劣る (500lxの照明環境下、暗所環境下ともに、非常に強い輝度ムラが見える。)
上記の◎および○を合格とした。
新品のハイセンスジャパン株式会社製32型液晶TV LHD32K15JPバックライト内に張り合わせてある反射フィルム(図1中に1として表記)と上記(5)で取り出した反射板に変更し点灯させた。その状態で1時間待機して光源を安定化させた後、500lxの照明環境下または暗所環境下において目視で輝度ムラとして認識できるものを観察し、下記の通りの評価結果とした。なお、ここでいう輝度ムラとは、反射シートの撓みよるものである。
◎:優良 (500lxの照明環境下、暗所環境下ともに、輝度ムラが見えない。)
○:良好 (500lxの照明環境下においては、輝度ムラが見えるが、暗所環境下においては、輝度ムラが見えない。)
△:劣る (500lxの照明環境下、暗所環境下ともに、輝度ムラが見える。)
×:非常に劣る (500lxの照明環境下、暗所環境下ともに、非常に強い輝度ムラが見える。)
上記の◎および○を合格とした。
以下実施例等によって本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
(原料)
・ポリエステル樹脂(a1)
酸成分としてテレフタル酸を、グリコール成分としてエチレングリコールを用い、三酸化アンチモン(重合触媒)を得られるポリエステルペレットに対してアンチモン原子換算で300ppmとなるように添加し、重縮合反応を行い、極限粘度0.63dl/g、カルボキシル末端基量40当量/トンのポリエチレンテレフタレートペレット(PET)を得た。
(原料)
・ポリエステル樹脂(a1)
酸成分としてテレフタル酸を、グリコール成分としてエチレングリコールを用い、三酸化アンチモン(重合触媒)を得られるポリエステルペレットに対してアンチモン原子換算で300ppmとなるように添加し、重縮合反応を行い、極限粘度0.63dl/g、カルボキシル末端基量40当量/トンのポリエチレンテレフタレートペレット(PET)を得た。
・ポリエステル樹脂(a2)
CHDM(シクロヘキサンジメタノール)共重合PETを用いた。グリコール成分に対し、シクロヘキサンジメタノール60mol%を共重合したPETである。
CHDM(シクロヘキサンジメタノール)共重合PETを用いた。グリコール成分に対し、シクロヘキサンジメタノール60mol%を共重合したPETである。
・ポリオレフィン(b)
ガラス転移温度が180℃であるシクロオレフィン系コポリマー「TOPAS」(ポリプラスチックス(株)製)を用いた。
ガラス転移温度が180℃であるシクロオレフィン系コポリマー「TOPAS」(ポリプラスチックス(株)製)を用いた。
・分散剤(c)
PBT-PAG(ポリブチレンテレフタレート-ポリアルキレングリコール)共重合体を用いた(東レデュポン(株)製、商品名:ハイトレル)。該樹脂はPBT(ポリブチレンテレフタレート)とPTMG(主としてポリテトラメチレングリコール)のブロック共重合体であり、メルトインデックス(MI)が14(2.160g、240℃)である。なお、共重合比率は、ブチレンテレフタレート:アルキレングリコール=70mol%:30mol%である。
PBT-PAG(ポリブチレンテレフタレート-ポリアルキレングリコール)共重合体を用いた(東レデュポン(株)製、商品名:ハイトレル)。該樹脂はPBT(ポリブチレンテレフタレート)とPTMG(主としてポリテトラメチレングリコール)のブロック共重合体であり、メルトインデックス(MI)が14(2.160g、240℃)である。なお、共重合比率は、ブチレンテレフタレート:アルキレングリコール=70mol%:30mol%である。
・無機粒子(d)
シリカはシリカ粒子をポリエステル樹脂(a1)製造時に添加して調製した。酸化チタン及び硫酸バリウムはマトリックス樹脂はをポリエステル樹脂(a1)とした酸化チタンマスターペレットを使用した(マトリックス樹脂はポリエステル樹脂(a1)である)。
シリカはシリカ粒子をポリエステル樹脂(a1)製造時に添加して調製した。酸化チタン及び硫酸バリウムはマトリックス樹脂はをポリエステル樹脂(a1)とした酸化チタンマスターペレットを使用した(マトリックス樹脂はポリエステル樹脂(a1)である)。
(実施例1〜7)
主押出機と副押出機を有する複合製膜装置において、表1に示した原料の混合物を180℃の温度で3時間真空乾燥した後、主押出機側に供給し、280℃の温度で溶融押出後、30μmカットフィルターにより濾過を行った後に、Tダイ複合口金に導入した。一方、副押出機には180℃の温度で3時間真空乾燥PETを供給し、280℃の温度で溶融押出後30μmカットフィルターにより濾過を行った後に、Tダイ複合口金に導入した。次いで、該Tダイ複合口金内で、副押出機より押出される表皮層(B)が主押出機より押出される芯層(A)の両表層に積層(B/A/B)されるよう合流せしめた後、シート状に共押出して溶融積層シートとし、該溶融積層シートを、表面温度20℃に保たれたドラム上に静電荷法で密着冷却固化させて未延伸積層フィルムを得た。続いて、該未延伸積層フィルムを常法に従い85℃の温度に加熱したロール群で予熱した後、90℃の温度の加熱ロールを用いて長手方向(縦方向)に面積倍率が表1のようになるよう延伸を行い、25℃の温度のロール群で冷却して1軸延伸フィルムを得た。
主押出機と副押出機を有する複合製膜装置において、表1に示した原料の混合物を180℃の温度で3時間真空乾燥した後、主押出機側に供給し、280℃の温度で溶融押出後、30μmカットフィルターにより濾過を行った後に、Tダイ複合口金に導入した。一方、副押出機には180℃の温度で3時間真空乾燥PETを供給し、280℃の温度で溶融押出後30μmカットフィルターにより濾過を行った後に、Tダイ複合口金に導入した。次いで、該Tダイ複合口金内で、副押出機より押出される表皮層(B)が主押出機より押出される芯層(A)の両表層に積層(B/A/B)されるよう合流せしめた後、シート状に共押出して溶融積層シートとし、該溶融積層シートを、表面温度20℃に保たれたドラム上に静電荷法で密着冷却固化させて未延伸積層フィルムを得た。続いて、該未延伸積層フィルムを常法に従い85℃の温度に加熱したロール群で予熱した後、90℃の温度の加熱ロールを用いて長手方向(縦方向)に面積倍率が表1のようになるよう延伸を行い、25℃の温度のロール群で冷却して1軸延伸フィルムを得た。
得られた1軸延伸フィルムの両端をクリップで把持しながらテンター内の95℃の温度の予熱ゾーンに導き、引き続き連続的に105℃の温度の加熱ゾーンで長手方向に直角な方向(幅方向)に面積倍率が表1のようになるよう延伸した。さらに引き続いて、テンター内の熱処理ゾーンで125℃、20秒間の熱処理を施し、さらに180℃の温度で4%幅方向に弛緩処理を行った後、更に140℃の温度で1%幅方向に弛緩処理を行った。次いで、均一に徐冷後、巻き取って、総厚み188μmの2軸延伸フィルムを得た。その各種特性を表1に示す。このように本発明の2軸延伸フィルムは安定に製膜でき、反射性・軽量性・フィルム形状(輝度ムラ低減)・熱寸法安定性に優れた特性を示した。
(実施例8)
副押出機より押出される表皮層(B)が主押出機より押出される芯層(A)に積層(B/A)させる以外は、実施例1〜7と同様に製膜し、総厚み188μmの2軸延伸フィルムを得た。その各種特性を表1に示す。このように本発明の2軸延伸フィルムは安定に製膜でき、反射性・軽量性・フィルム形状(輝度ムラ低減)・熱寸法安定性に優れた特性を示した。
副押出機より押出される表皮層(B)が主押出機より押出される芯層(A)に積層(B/A)させる以外は、実施例1〜7と同様に製膜し、総厚み188μmの2軸延伸フィルムを得た。その各種特性を表1に示す。このように本発明の2軸延伸フィルムは安定に製膜でき、反射性・軽量性・フィルム形状(輝度ムラ低減)・熱寸法安定性に優れた特性を示した。
(比較例1〜7)
主押出機と副押出機を有する複合製膜装置において、表2に示した原料の混合物を実施例と同様に総厚み188μmの2軸延伸フィルムの製膜を試みたが、比較例4〜6については、製膜できなかった。各種特性を表2に示す。比較例1はフィルム形状がかすかに波打ちがある程度であったものの、反射率が低かった。比較例2、3及び7は熱収縮率が本発明の範囲外となり、バックライトに組み込んだ場合にフィルム形状が悪く、輝度ムラが発生した。
主押出機と副押出機を有する複合製膜装置において、表2に示した原料の混合物を実施例と同様に総厚み188μmの2軸延伸フィルムの製膜を試みたが、比較例4〜6については、製膜できなかった。各種特性を表2に示す。比較例1はフィルム形状がかすかに波打ちがある程度であったものの、反射率が低かった。比較例2、3及び7は熱収縮率が本発明の範囲外となり、バックライトに組み込んだ場合にフィルム形状が悪く、輝度ムラが発生した。
本発明の2軸延伸フィルムは、経済性、製膜性、白色性、反射性、軽量性、熱寸法安定性に優れ、この2軸延伸フィルムを用いることにより輝度特性に優れた面光源を安価に提供することができる。
本発明の2軸延伸フィルムは、白色性、反射性、隠蔽性、熱寸法安定性が必要な用途に適用可能であるが、特に好ましい用途としては、光反射のために面光源に組込まれる板状材があげられる。具体的には、液晶画面用のエッジライトの反射板、直下型ライトの反射板、および冷陰極線管やLED照明周囲のリフレクターに好ましく用いられる。
1;2軸延伸フィルム(反射フィルム(反射板))
2;冷陰極管
3;乳白板
4;拡散板
5;プリズムシート
6;偏光プリズムシート
7;CCDカメラ
8;画像解析装置(アイスケール)
2;冷陰極管
3;乳白板
4;拡散板
5;プリズムシート
6;偏光プリズムシート
7;CCDカメラ
8;画像解析装置(アイスケール)
Claims (5)
- 80℃における熱収縮率が0.5%以下であり、
フィルムにおける任意の位置から30°刻みに0°〜330°でサンプルの重心と前記位置との距離が等間隔となるように採取した長さ300mm、幅20mmの12サンプルの80〜150℃における熱収縮率の最大値と最小値の差が2.0%以下であり、比重が0.8未満であり、少なくとも片面の相対反射率が102%以上である2軸延伸フィルム。 - 150℃における熱収縮率が3.5%以下である、請求項1に記載の2軸延伸フィルム。
- ポリエステルからなる請求項1または2に記載の2軸延伸フィルム。
- 微細な気泡を有する請求項1〜3のいずれかに記載の2軸延伸フィルム。
- 請求項1〜4のいずれかに記載の2軸延伸フィルムを用いた液晶ディスプレイ用反射板。
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2012211936A JP2014065817A (ja) | 2012-09-26 | 2012-09-26 | 2軸延伸フィルム |
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Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2019116099A (ja) * | 2014-02-24 | 2019-07-18 | 東レ株式会社 | ポリエステルフィルム |
US11884838B1 (en) | 2022-07-07 | 2024-01-30 | Toray Plastics (America), Inc. | Soft matte non-silicone film |
-
2012
- 2012-09-26 JP JP2012211936A patent/JP2014065817A/ja active Pending
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2019116099A (ja) * | 2014-02-24 | 2019-07-18 | 東レ株式会社 | ポリエステルフィルム |
US11884838B1 (en) | 2022-07-07 | 2024-01-30 | Toray Plastics (America), Inc. | Soft matte non-silicone film |
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