JP2016110120A - 白色ポリエステルフィルム - Google Patents

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前川 茂俊
Shigetoshi Maekawa
茂俊 前川
博門 仲村
Hirokado Nakamura
博門 仲村
裕仁 内田
hirohito Uchida
裕仁 内田
田中 照也
Teruya Tanaka
照也 田中
康平 山中
Kohei Yamanaka
康平 山中
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Abstract

【課題】取り扱い時の白色ポリエステルフィルムの劈開を低減させかつ高い反射特性を維持した空洞含有ポリエステルフィルムを提供する。【解決手段】芳香族ポリエステルを主体とした白色ポリエステルフィルムであって、ポリエーテルイミドを1%〜5%含有し、ポリエーテルイミドの平均分散径が1nm以上100nm以下である白色層(A)を有することを特徴とする白色ポリエステルフィルム。【選択図】なし

Description

本発明は、光反射板としての使用に好適な白色ポリエステルフィルムに関する。
液晶ディスプレイ等に用いられる平面型画像表示方式における、面光源装置の反射板および反射フィルム、照明看板の背面反射フィルム、太陽電池の背面反射フィルムなどの用途に、内部に気泡を含有した白色フィルムが、均一で高い輝度、寸法安定性、安価である等の特性から広く用いられている。高い輝度を発現する方法として、ポリエステルフィルム中に例えば硫酸バリウムなどの無機粒子を多数含有し、ポリエステル樹脂と粒子の界面および、粒子を核として生成する微細な気泡の気泡界面での光反射を利用する方法(特許文献1参照)、ポリエステルと非相溶な樹脂を混合することにより、非相溶な樹脂を核として生成する微細な気泡の気泡界面での光反射を利用する方法(特許文献2参照)、圧力容器中で不活性ガスをポリエステルフィルムに含浸させることで、内部に生成した気泡の界面での光反射を利用する方法(特許文献3参照)等、ポリエステルフィルム中に含有された無機粒子とポリエステル樹脂の屈折率差および微細な気泡とポリエステル樹脂の屈折率差を利用した方法が広く用いられている。
近年、液晶ディスプレイの多様化が進み、携帯型モバイル用途からパソコン、大画面TV用途まで、液晶ディスプレイの画面サイズの展開の幅は広い。反射シートにおいては、小画面ほど薄い反射フィルムが用いられ、画面サイズに適応して80μm〜500μmまで様々な厚みの反射シートが利用されている。
一方、近年増加しているLED光源を使用したバックライトについて、高輝度を維持しつつ低コスト化を狙うため、LED個々を高出力化させて数を減らす方法をとる場合がある。その場合、LED1つあたりが発する熱量も大きくなり、バックライト内でもLED近傍や制御端子近傍とその他の場所での温度差が大きくなっている。そのため、特に気泡を含有する軽量なフィルムにおいて、熱による各箇所の寸法変化量の違いにより、反射板用フィルムが波打ち、ディスプレイに明暗の差が発生してしまう。そこで、粗大粒子を含有した層をコーティングしてフィルム表面を粗面化させることにより、フィルムが波打っても導光板と密着せず、画面に明暗を発生させないようにする検討がなされている(特許文献4参照)。
また、白色フィルム自体に熱寸法安定性を付与する方法として、白色フィルムを構成する樹脂にガラス転移温度の高い樹脂を用いる方法が提案されている。(特許文献5,6参照)しかし、耐熱性に優れた白色フィルムとするためには、ガラス転移温度の高い樹脂の含有量を多く必要とするため、コストが高く、使用する耐熱性樹脂の種類によっては着色し、白色フィルムとして使用するには不十分なものであった。
特開2003−160682号公報 特公平8−16175号公報 特開2001−166295号公報 特開2004−126345号公報 WO07/007882号公報 特開2004−98442号公報
本発明は上記問題を解決し、耐熱性に優れ、白色性に優れた白色ポリエステルフィルムを提供することを目的とする。
上記課題を解決する本発明の白色ポリエステルフィルムは、
(1)芳香族ポリエステルを主体とした白色ポリエステルフィルムであって、ポリエーテルイミドを白色層(A)の全質量に対し1質量%〜5質量%含有し、ポリエーテルイミドの平均分散径が1nm以上100nm以下である白色層(A)を有することを特徴とする白色ポリエステルフィルム、
(ここでポリエーテルイミドの平均分散径とは白色層(A層)を薄膜切片法で切り出したサンプルを透過型電子顕微鏡で観察し、ポリエーテルイミド成分をランダムに100点観察したその円相当径平均値、ポリエーテルイミド成分が円状でない場合はその長軸と短軸の平均値を分散径とする。)
(2)白色ポリエステルフィルムのb値が3以下である(1)に記載の白色ポリエステルフィルム、
(3)白色層(A)に芳香族ポリエステルに非相溶であるオレフィン樹脂を白色層(A)の全質量に対し1〜24質量%含有する(1)または(2)に記載の白色ポリエステルフィルム、
(4)白色層(A)に白色層(A)の全質量に対し数平均粒径が0.1〜0.5μmの無機粒子を5〜25質量%含有する(1)〜(3)のいずれかに記載の白色ポリエステルフィルム、
である。
本発明によれば、耐熱性に優れ、白色性に優れた白色ポリエステルフィルムを得ることができる。
(白色ポリエステルフィルム)
本発明の白色ポリエステルフィルムは、内部に有機粒子を有し、該有機粒子を核材としてその周りに気泡が形成される層(かかる層を以下、白色層(A)と称する)を有する。白色層(A)とは、内部に有機粒子を有し、該有機粒子を核材としてその周りに気泡が形成されている層をいう。該有機粒子の周りに気泡を含有させることにより、高い反射特性を有する白色ポリエステルフィルムを後述するように容易に製造することが可能である。核材として有機粒子を用いることで、光吸収性を抑え形成した白色ポリエステルフィルムの反射効率をより高めることができるだけでなく、白色ポリエステルフィルムの軽量化が可能となる。
本発明の白色ポリエステルフィルムにおいて、気泡は独立した気泡であっても良いし、複数の気泡が連続しているものであっても良い。また、フィルムの白色性・光反射性はフィルムへ入射した光線が内部の気固界面(気泡と、マトリックス樹脂もしくは樹脂粒子からなる気固界面)にて反射されることによって発現されるため、フィルム厚み方向に多数の気固界面を形成させることが好ましい。フィルム厚み方向に多数の気固界面を形成させるためには、気泡の断面形状は、円状ないし、フィルム面方向に対して伸長されている楕円状であることが好ましい。なお、本発明においてマトリックス樹脂とは、有機粒子を核とした気泡を含有する層に含まれる樹脂であって、有機粒子以外の全樹脂を指す。
また、気泡の形成方法としては、白色ポリエステルフィルムを構成する主たる樹脂成分(a)と、該樹脂成分(a)に対して有機粒子となる非相溶性樹脂成分(b)とを含有する混合物を溶融押出しした後、少なくとも一方向に延伸し、内部に気泡を形成させることにより、界面を形成させる方法が、より微細で扁平な気泡を生成させることが出来、反射性能および生産性が良好であるために好ましい。
この方法は延伸中に白色ポリエステルフィルムを構成する主たる樹脂成分(a)と非相溶樹脂性成分(b)の界面で剥離が起こることを利用して、扁平状の気泡を生成させる手法である。したがって、気泡占有体積を増大させ、フィルム厚み当りの界面数を増大させ反射性能を向上させるために、一軸延伸より二軸延伸がより好ましく用いられる。
本発明の白色ポリエステルフィルムは、内部に有機粒子を有し、該有機粒子を核材としてその周りに気泡が形成される白色層(A層)のみからなる単層でもよく、A層/B層やB層/A層/B層のフィルム構成であっても良い。該B層により表面光沢度のコントロールや製膜安定性を確保することが出来るため、B層/A層/B層が好ましい。
本発明においてB層は表層となる層である。表面光沢度を調整し光を散乱させる役割や製膜を安定化させる支持層の役割を持たせるため、B層はポリエステルに無機粒子を含有させることが好ましい。B層の光散乱性は主に表面粗さを制御することにより調整することができ、他の方法としては、例えば、ポリエステル樹脂に屈折率の異なる粒子を添加する方法が挙げられる。ここで、B層に含有させる無機微粒子の種類としては、特に限定されるものではないが例えば炭酸カルシウム、二酸化チタン、酸化亜鉛、二酸化珪素、硫化亜鉛、硫酸バリウム、アルミナ、タルクなどが挙げられる。これらの無機粒子は、光沢度調整や白色度調整、耐光性付与などといった表面機能の付与の必要性に応じて、単独で、あるいは組み合わせて使用することができる。無機粒子の数平均粒径は1μm以上、60μm以下が光沢度を調整する上で好ましい。数平均粒径が1μm未満では光沢度を変化させるのに効果が小さく、また60μmより大きいと無機粒子が脱落する場合がある。無機粒子の大きさは光沢度の必要な視野角度により選択することが好ましい。正面の光沢度を小さい値にするためには数平均粒径が1μm以上5μm以下の粒子を用いることにより調整することが出来、またフィルムに対して斜角から見た光沢度の値を小さくするためには5μmより大きな粒子を用いることによって調整することが出来る。これらの数平均粒径の粒子は組み合わせて使用してもかまわない。また、無機粒子の含有量はB層の全質量に対し1質量%以上40質量%以下が好ましい。1質量未満であると表面光沢度の値を小さくすることが困難であり、また40質量%より多いと生産性が劣る場合がある。より好ましくは1質量%以上20質量%以下である。
本発明の白色ポリエステルフィルムの厚みは30μm以上500μm以下が好ましく、50μm以上300μm以下がより好ましい。厚みが30μm未満の場合、十分な反射性が得られない場合がある。一方、500μmより厚い場合、液晶ディスプレイの薄膜化の要求に答えることができない場合がある。
本発明において、白色ポリエステルフィルムの比重は、0.5以上1.3以下であることが好ましい。より好ましくは0.6以上1.2以下、さらに好ましくは0.7以上1.1以下である。ここでいう比重とは、白色ポリエステルフィルムを5cm×5cmの大きさに切りだしたものを5枚用意し、JIS K7112(1980年版)に基づいて電子比重計SD−120L(ミラージュ貿易(株)製)を用いてそれぞれを測定した平均値である。比重がかかる範囲を外れて低くなると、フィルムの強度が低下し、フィルムが破断しやすくなり、生産性に劣るため好ましくなく、また液晶ディスプレイの組み立て作業において折れ皺が発生しやすくなるため好ましくない。逆に比重がかかる範囲を外れて高くなると、気泡含有構造に由来する反射性が不十分となるため、好ましくない。
本発明の白色ポリエステルフィルムにおいて、比重を0.5以上1.3以下にする方法としては、1)非相溶性樹脂成分(b)の含有量を増やす、2)非相溶性樹脂成分(b)の体積平均粒径Dvを小さくする、3)延伸倍率を高倍率化する、などが挙げられる。
本発明の白色ポリエステルフィルムにおいて、Lab色空間におけるb値は3以下が好ましい。より好ましくは2以下であり、もっとも好ましくは1以下である。b値を上記範囲にすることにより、ディスプレイのバックライトシステムにおいて反射フィルムとして白色ポリエステルフィルムを用いた時に、色調の悪化が少ないディスプレイを得ることができる。上記範囲とするためには、ポリエーテルイミドの含有量を少なく調整することや、そのほかの黄色樹脂や無機物の含有量を少なく調整することで達成することができる。
(主たる樹脂成分(a))
本発明において、白色ポリエステルフィルムは、その主たる樹脂成分(a)として芳香族ポリエステル樹脂が用いられている。本発明の芳香族ポリエステル樹脂とは、芳香族を含みジオール成分とジカルボン酸成分の重縮合によって得られるポリマーであり、ジカルボン酸成分としては、芳香族を含むテレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸等が代表例として挙げられる。またジオール成分としては、エチレングリコール、トリメチレングリコール、テトラメチレングリコール、シクロヘキサンジメタノール等が代表例として挙げられる。芳香族ポリエステル樹脂の具体例としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレート(ポリエチレンナフタレート)、ポリプロピレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等を使用することができる。
もちろん、これらのポリエステルは、ホモポリエステルであってもコポリエステルであってもよく、共重合成分としては、例えばジエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、ポリアルキレングリコール等のジオール成分、アジピン酸、セバシン酸、フタル酸、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸等のジカルボン酸成分を用いることができる。
本発明の白色ポリエステルフィルムにおいて、芳香族ポリエステル樹脂として、上述の樹脂を用いることにより、高い無着色性を維持しつつ、フィルムとしたときに高い機械強度を付与することができる。より好ましくは、安価でかつ耐熱性が優れるという点で、ポリエチレンテレフタレートが好ましい。
本発明でいう主たる樹脂成分(a)とは白色ポリエステルフィルム全体の質量に対して51質量%以上である樹脂成分のことを言う。
本発明の白色ポリエステルフィルムは上記ポリエステル樹脂のほかにポリエーテルイミドを含む。本発明で用いられるポリエーテルイミドは、ポリエステルへの分散性、溶融成形性等の観点から、2,2−ビス[4−(2,3−ジカルボキシフェノキシ)フェニル]プロパン二無水物とm−フェニレンジアミン、またはp−フェニレンジアミンとの縮合物が好ましい。
本発明の白色ポリエステルフィルムに含まれるポリエーテルイミドの含有量は白色層(A)に対して1質量%以上5質量%以下が好ましい。より好ましくは1.5質量%以上3質量%未満である。1質量%未満では耐熱性の向上が十分でない場合があり好ましくなく、5質量%より多いと白色ポリエステルフィルムのb値が大きく、反射フィルムとして用いた場合に色調が悪くなる場合がある。
本発明の白色ポリエステルフィルムの白色層(A層)に含まれるポリエーテルイミドの平均分散径は100nm以下である。好ましくは50nm以下であり、より好ましくは10nm以下である。下限は1nm以上である。100nm以下に分散することによって、少量の含有量で耐熱性を効果的に向上することができる。本発明でいう平均分散径とは白色層(A層)を薄膜切片法で切り出したサンプルを透過型電子顕微鏡で観察した時のポリエーテルイミドの円相当径の平均値である。ポリエーテルイミドが球状でない場合はその長軸と単軸の平均値を分散径とする。
本発明の白色ポリエステルフィルムにおいてポリエステルとポリエーテルイミドは相溶していないことが好ましい。相溶した場合耐熱性を上げるのに多量のポリエーテルイミドが必要となり、b値が大きくなるために好ましくない。本発明において、「相溶する」とは、ポリエステルとポリエーテルイミドが混合した樹脂のガラス転移温度(Tg)が単一であることを意味する。このように両者が相溶した場合のTgは、ポリエステルのTgとポリエーテルイミドのペレットのTgの間に存在することが一般的に知られている。本発明でいうガラス転移温度は、示差走査熱分析における昇温時の熱流束ギャップからJIS K7121−1987に従って求めることができる。ポリエーテルイミドを100nm以下の分散径で分散させる方法としては、ポリエステルにポリエーテルイミドを共溶媒に25〜50℃の温度条件下で溶解し、得られた溶液を両者の貧溶媒中に投入し、沈殿物を得る。得られた沈殿物の溶媒を除去した後、これを二軸押出機に投入してペレット化する方法が好ましく挙げられる。ベント式の2軸混練押出機を用い、ポリエーテルイミドの含有量40〜60質量%となるようにポリエステルと混練するとポリエステルにポリエーテルイミドが相溶する場合があり好ましくない。
(非相溶性樹脂成分(b))
本発明では、白色ポリエステルフィルムを構成する白色層(A層)が主たる樹脂成分(a)と、樹脂成分(a)とは非相溶な樹脂成分(b)を用いてなるフィルムであることが好ましい。
非相溶性樹脂成分(b)としては、マトリックスとなる主たる樹脂成分(a)を構成する芳香族ポリエステルと非相溶なものであれば特に限定されず、マトリックスと非相溶の熱可塑性樹脂が好ましく用いられる。その樹脂は、結晶性、非晶性、どちらも好ましく用いられる。その具体例としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、ポリメチルペンテン、シクロペンタジエンなどのような直鎖状、分鎖状あるいは環状のポリオレフィン系樹脂、ポリ(メタ)アクリレートなどのアクリル系樹脂、ポリスチレン、フッ素系樹脂などが好ましく用いられる。これらの非相溶性樹脂は単独重合体であっても共重合体であってもよく、さらには2種以上の非相溶性樹脂を併用してもよい。
非相溶性樹脂成分(b)の結晶性樹脂の具体例としては、透明性、耐熱性の観点から、ポリメチルペンテンやポリプロピレンがより好ましく用いられる。ここで、ポリメチルペンテンとしては、分子骨格中に4−メチルペンテン−1からの誘導単位を好ましくは80モル%以上、より好ましくは85モル%以上、特に好ましくは90モル%以上含むものが好ましい。また、その他の誘導単位としては、エチレン単位、プロピレン単位、ブテン−1単位、3−メチルブテン−1、あるいは4−メチルペンテン−1以外で炭素数6〜12の炭化水素などが例示される。ポリメチルペンテンは単独重合体であっても共重合体であってもよい。また、組成や、溶融粘度などの異なる複数のポリメチルペンテン、他のオレフィン系樹脂やその他樹脂と併用してもよい。
また、本発明において非相溶性樹脂成分(b)として非晶性樹脂を用いる場合、環状オレフィン共重合体樹脂を特に好ましく用いることができる。環状オレフィン共重合体とは、シクロアルケン、ビシクロアルケン、トリシクロアルケン及びテトラシクロアルケンからなる群から選ばれた少なくとも1種の環状オレフィンと、エチレン、プロピレン等の直鎖オレフィンからなる共重合体である。
環状オレフィン共重合体樹脂における環状オレフィンの代表例としては、ビシクロ〔2,2,1〕ヘプト−2−エン、6−メチルビシクロ〔2,2,1〕ヘプト−2−エン、5,6−ジメチルビシクロ〔2,2,1〕ヘプト−2−エン、1−メチルビシクロ〔2,2,1〕ヘプト−2−エン、6−エチルビシクロ〔2,2,1〕ヘプト−2−エン、6−n−ブチルビシクロ〔2,2,1〕ヘプト−2−エン、6−i−ブチルビシクロ〔2,2,1〕ヘプト−2−エン、7−メチルビシクロ〔2,2,1〕ヘプト−2−エン、トリシクロ〔4,3,0,12.5 〕−3−デセン、2−メチル−トリシクロ〔4,3,0,12.5 〕−3−デセン、5−メチル−トリシクロ〔4,3,0,12.5 〕−3−デセン、トリシクロ〔4,4,0,12.5 〕−3−デセン、10−メチル−トリシクロ〔4,4,0,12.5 〕−3−デセン等がある。
また、環状オレフィン共重合体樹脂における直鎖オレフィンの代表例としては、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン、1−オクタデセン等がある。
本発明において、非相溶性樹脂(b)は、そのガラス転移温度Tgが130℃以上であることが好ましい。さらに好ましくは150℃以上である。140℃以上とすることで、混練時においてマトリックス樹脂中により微細に分散し、延伸工程において気泡を形成し、熱処理工程における気泡の消失をより抑制することができるためである。上限は230℃が好ましい。230℃を越えると、製膜時に樹脂圧力が高まり製膜性に劣る場合がある。また、ガラス転移温度(Tg)についてはJIS K7121−1987に記載の中間点ガラス転移温度(Tmg)であり、示差熱分析計(例えば、TA Instruments社製DSC Q100)を用いて、窒素雰囲気下において、樹脂を25℃から300℃まで20℃/分の昇温速度で加熱し、その状態で10分間保持する。次いで25℃以下となるよう急冷し、再度室温から20℃/分の昇温速度で300℃まで昇温を行い吸発熱曲線(DSC曲線)を求め、これから得られるものである。
非相溶樹脂(b)として、環状オレフィン共重合体樹脂を用いる場合、そのガラス転移温度Tgを前述の範囲に制御するためには、例えば環状オレフィン共重合体中の環状オレフィン成分の含有量を多くし、エチレン等の直鎖オレフィン成分の含有量を少なくすることが挙げられる。具体的には、環状オレフィン成分は60モル%以上であり、エチレン等の直鎖オレフィン成分の含有量は40モル%未満であることが好ましい。より好ましくは、環状オレフィン成分は70モル%以上であり、エチレン等の直鎖オレフィン成分の含有量は30モル%未満、さらに好ましくは環状オレフィン成分が80モル%以上であり、エチレン等の直鎖オレフィン成分の含有量が20モル%未満である。特に好ましくは環状オレフィン成分が90モル%以上であり、エチレン等の直鎖オレフィン成分の含有量が10モル%未満である。かかる範囲にすることにより、環状オレフィン共重合体のガラス転移温度Tgを前述の範囲まで高めることができる。
また、非相溶性樹脂(b)として、環状オレフィン共重合体樹脂を用いる場合、直鎖オレフィン成分は特に制限されるものではないが、反応性の観点からエチレン成分が好ましい。
さらに、環状オレフィン成分も特に制限されるものではないが、ビシクロ〔2,2,1〕ヘプト−2−エン(ノルボルネン)やその誘導体が生産性・透明性・高Tg化の点から好ましい。
本発明において、上述の非相溶性樹脂(b)の含有量は、白色層(A)に対し、1質量%以上24質量%以下であることが好ましく、より好ましくは4質量%以上15質量%以下である。非相溶性樹脂(b)の含有量が1質量%未満であると、フィルム内部に気泡が十分に生成されず、白色性や光反射特性に劣ることがある。一方、非相溶性樹脂(b)の含有量が24質量%を越えると、フィルムの強度が低下し、延伸時の破断が起こりやすくなることがある。含有量をかかる範囲内にすることにより、十分な白色性・反射性・軽量性を発現せしめることができる。
(無機粒子)
本発明において、白色層(A層)に無機粒子を含有していても良い。無機粒子の例としては、ガラス、シリカ、硫酸バリウム、酸化チタン、硫酸マグネシウム、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、タルクなどを挙げることができる。
主たる樹脂としてポリエステル樹脂を用いた場合、これらの無機粒子の中でも、特に、気泡形成、白色度、光学濃度など総合的効果の点から、酸化チタン、炭酸カルシウムおよび硫酸バリウムからなる群から選ばれる1種以上の無機粒子を用いることが好ましく、特に酸化チタンを用いることが最も好ましい。
本発明において、上述の無機粒子の含有量は、白色層(A)に対し、5質量%以上25質量%以下であることが好ましい。より好ましくは13質量%以上21質量%以下である。
無機粒子の含有量が5質量%未満であると、フィルム内部に気泡が十分に生成されず、白色性や光反射特性に劣ることがある。一方、無機粒子の含有量が25質量%を越えると、フィルムの強度が低下し、延伸時の破断が起こりやすくなることがある。含有量をかかる範囲内にすることにより、十分な白色性・反射性・軽量性を発現せしめることができる。
無機粒子の数平均粒径は0.1〜0.5μmが好ましい。無機粒子の数平均粒径を上記範囲とすることによって、気泡形成性が良く、また光学濃度が高く、反射板として用いた場合に好ましい白色ポリエステルを得ることができる。
なお、本発明において、非相溶性樹脂と無機粒子とを併用することは、好ましい態様の一つである。
(その他添加物)
本発明において、白色層(A層)のマトリックス成分として、ポリエステル樹脂に、共重合成分を導入した共重合ポリエステル樹脂を混合してもよい。この場合、共重合成分の量は、特に限定されないが、透明性、成形性等の観点および次に述べる非晶化の観点よりジカルボン酸成分およびジオール成分とも、それぞれの成分に対して好ましくは1モル%以上70モル%以下であり、より好ましくは10モル%以上40モル%以下である。
また、共重合樹脂として、共重合により非晶性となったポリエステルを用いることは本発明において好ましい態様の一つである。その例としては、ジオール成分の主成分が脂環式グリコールである共重合ポリエステル樹脂や、酸成分が脂環式ジカルボン酸である共重合ポリエステル樹脂などが好適例として挙げられる。特に、ジオール成分を脂環式グルコールの一種であるシクロへキサンジメタノールとし、共重合した非晶性ポリエステルが透明性、成形性の点や後述する非相溶樹脂の微分散化効果の点から好ましく用いることができる。その場合、共重合ポリエステル樹脂のジオール成分のシクロヘキサンジメタノール成分を30モル%以上とすることが、非晶化の観点から好ましい。
(製造方法)
本発明の白色ポリエステルフィルムの製造方法について説明するがこれに限定されない。
所定割合の芳香族ポリエステルとポリエーテルイミドを共溶媒に25〜50℃の温度条件下で溶解し、得られた溶液を両者の貧溶媒中に投入し、沈殿物を得る。得られた沈殿物の溶媒を除去した後、2軸押出機に供給して、樹脂ペレットを得る。このとき、同時に非相溶性樹脂を2軸押出機に供給しても良い。こうして得られた芳香族ポリエステル、ポリエーテルイミドおよび非相溶性樹脂成分を含む混合物を、必要に応じて十分真空乾燥を行い、押出機(主押出機)を有する製膜装置の加熱された押出機に供給する。
また、溶融押出に際してはメッシュ40μm以下のフィルターにて濾過した後に、Tダイ口金内に導入し押出成形により溶融シートを得ることが好ましい。この溶融シートを表面温度10℃以上60℃以下に冷却されたドラム上で静電気により密着冷却固化し、未延伸フィルムを作製する。
該未延伸フィルムを70℃以上120℃以下の温度に加熱されたロール群に導き、長手方向(縦方向、すなわちフィルムの進行方向)に周速の異なる二本のロール間で延伸する(すなわち、ロールの周速差を利用して延伸する)。長手方向の延伸倍率は3.0倍以上4.5倍以下が好ましく、その後、20℃以上50℃以下の温度のロール群で冷却する。3.0倍未満では十分な大きさに気泡が形成できず十分な反射率と得ることが出来ない。また、4.5倍を越えて延伸するとその後の横延伸(幅方向への延伸)において破れやすくなり生産性に優れないため好ましくない。
続いて、フィルムの両端をクリップで把持しながらテンターに導き、90℃以上150℃以下の温度に加熱された雰囲気中で、長手方向に直角な方向(幅方向)に3倍以上5倍以下に延伸する。3倍未満では気泡サイズが小さく十分な反射率を得ることが出来ない。また、5倍を超えて延伸すると破れやすくなり生産性に優れないため好ましくない。
フィルムの配向結晶化を完了させて平面性と寸法安定性を付与するために150℃以上240℃以下の温度で1秒間以上30秒間以下の熱処理を行ない、均一に徐冷後、室温まで冷却し、その後必要に応じて、他素材との密着性をさらに高めるためにコロナ放電処理などを行い、巻き取ることにより、本発明の白色フィルムを得ることができる。熱処理工程中では、必要に応じて幅方向あるいは長手方向に3%以上12%以下の弛緩処理を施してもよい。
尚、一般に熱処理温度が高いほど、熱寸法安定性も高くなるが、本発明では、白色フィルムは製膜工程において高温(190℃以上)で熱処理されることが好ましい。本発明では、白色フィルムは一定の熱寸法安定性を有することが望まれるためである。本発明の製造方法により得られる白色フィルムは液晶ディスプレイなどに搭載されている面光源(バックライト)の反射フィルムとして用いられることが好ましいが、バックライトによってはバックライト内部の雰囲気温度が100℃程度まで上昇することがあるためである。
かくして得られた本発明の白色ポリエステルフィルムは、フィルム内部に微細な気泡が形成され高反射率が達成されており、また使用中のバックライト内部の雰囲気温度においても寸法変化やカール等が生じない優れた耐熱性を併せ持つことができる。
(測定方法)
(1)フィルム厚み・層厚み
フィルムの厚みは、JIS C2151−2006に準じて測定した。
フィルムをミクロトームを用いて厚み方向に切断し、切片サンプルを得た。
該切片サンプルの断面を日立製作所製電界放射型走査電子顕微鏡(FE−SEM)S−800を用いて、3,000倍の倍率で撮像し、撮像から積層厚みを採寸し各層厚みを算出した。
(2)比重
白色ポリエステルフィルムを5cm×5cmの大きさに切りだし、JIS K7112(1980年版)に基づいて電子比重計SD−120L(ミラージュ貿易(株)製)を用いて測定した。なお、各白色ポリエステルフィルムについて5枚用意し、それぞれを測定し、その平均値でもって該白色ポリエステルフィルムの比重とした。
(3)非相溶性樹脂成分(b)のガラス転移温度
非相溶成分(b)を単独で得られる場合は、非相溶成分(b)5mgを融解および急冷したサンプルを、示差走査型熱量計(DSC−2型、パーキンエルマー社製)を用い、25℃から20℃/分の昇温速度で昇温し、JIS K7121(1987年)の中間点ガラス転移温度をガラス転移温度として測定した。
また、非相溶成分(b)を単独で得られない場合は、白色ポリエステルフィルムから非相溶成分(b)を単離して示差走査型熱量計を用いてガラス転移温度を測定する。例えばポリエステル樹脂(a)、非相溶の熱可塑性樹脂(b)として環状オレフィン共重合体および無機粒子からなる白色ポリエステルフィルムの場合、白色ポリエステルフィルムをメタノールおよびクロロホルムを体積分率1:1の混合溶液としたものに溶解し、未溶解物を濾過して取り出す。この未溶解物をさらにクロロホルムに溶解させ未溶解物を取り出し、ヘキサフルオロイソプロパノールおよびクロロホルムを体積分率1:1からなる混合溶液に溶解させた。その溶液を遠心分離器により遠心分離し、浮遊物を採取することで環状オレフィン共重合体を得る。こうして得られた環状オレフィン共重合体5mgを融解および急冷したサンプルを、示差走査型熱量計(DSC−2型、パーキンエルマー社製)を用い、25℃から20℃/分の昇温速度で昇温し、JIS K7121(1987年)の中間点ガラス転移温度をガラス転移温度として測定する。
(4)ポリエーテルイミドの平均分散径
<透過型電子顕微鏡観察>
装置 :透過型電子顕微鏡(日立製H−7100FA型)
条件 :加速電圧 100kV
試料調製:超薄切片法
試料厚み:50nm
<画像解析>
白色ポリエステルフィルムを超薄切片法にてMD方向に平行な断面を切り出し透過型電子顕微鏡を用いて、加速電圧100kvにて観察撮影した。撮影した各試料の透過型電子顕微鏡写真をスキャナーにてコンピューターに取り込んだ。その後、専用ソフト(プラネトロン社製 Image Pro Plus Ver. 4.0)にて画像解析を行った。マトリックス樹脂中の視野において、トーンカーブを操作することにより、明るさとコントラストを調整し、その後ガウスフィルターを用いて得た画像の高コントラスト成分のうちランダムに100点観察し、その円相当径平均値を平均分散径とした。高コントラスト成分が円状でない場合はその長軸と短軸の平均値を分散径とし計測した。ここで、透過型電子顕微鏡写真のネガ写真を使用する場合には、上記スキャナーとして日本サイテックス社製 Leafscan 45 Plug-Inを用い、透過型電子顕微鏡のポジを使用する場合には、上記スキャナーとしてセイコーエプソン製 GT-7600Sを用いるが、そのいずれでも同等の値が得られる。
画像処理の手順及びパラメータ:
i)平坦化1回
ii)コントラスト+30
iii)ガウス1回
iv)コントラスト+30、輝度−10
v)ガウス1回
平面化フィルター:背景(黒)、オブジェクト幅(20pix)
ガウスフィルター:サイズ(7)、強さ(10)。
(5)ポリエステルフィルム中のポリイミド含有量測定
ポリエステルとポリイミドとの両者を溶解する適切な溶媒(例えば、HFIP/重クロロホルム)に溶解し、1H核のNMRスペクトルを測定する。得られたスペクトルで、ポリエステル、ポリイミドに特有の吸収(例えばPETであればテレフタル酸の芳香族プロトンの吸収、ポリイミドはイミド芳香族のプロトンの吸収)のピーク面積強度をもとめ、その比率とプロトン数よりブレンドのモル比を算出する。さらに各々のポリマーの単位ユニットに相当する式量より重量比を算出する。測定条件は、例えば、以下のような条件であるが、ポリマーの種類によって異なるため、この限りではない。
装置 :BRUKER DRX-500(ブルカー社)
溶媒 :HFIP/重クロロホルム
観測周波数 :499.8MHz
基準 :TMS(0ppm)
測定温度 :30℃
観測幅 :10KHz
データ点 :64K
acquisiton time :4.952秒
pulse delay time:3.048秒
積算回数 :256回
また、必要に応じて、顕微FT−IR法(フーリエ変換顕微赤外分光法)で組成分析を併用してもよい。その場合、ポリエステルのカルボニル基に起因するピークとそれ以外の物質に起因するピークの比から求める。なお、ピーク高さ比を重量比に換算するために、あらかじめ重量比既知のサンプル(例えば非相溶性樹脂として使用したオレフィン)で検量線を作成してポリエステルとそれ以外の物質の合計量に対するポリエステル比率を求める。これと、NMRスペクトルの結果よりポリエーテルイミド比率を求める。また、必要に応じてX線マイクロアナライザーを併用してもよい。
(6)熱収縮率
フィルムを長手方向(MD)あるいはフィルム幅方向(TD)に幅10mm、長さ300mmに切り、200mm間隔でマーキングし支持板に一定張力(5g)下で固定した後、マーキング間隔の原長p(mm)を測定する。次に、3gのクリップを用いて荷重をかけ120℃の熱風オーブン中で回転させながら30分間処理し、原長測定と同様にしてマーキング間隔q(mm)を測定する。下記の式により熱収縮率を求め、5本の平均値を用いる。
熱収縮率(%)=(p−q)/p×100 。
(7)L値,a値,b値
微小面分光色差計VSS400(日本電色工業株式会社製)を用い、光源D65および測定径0.5mmφの設定にてJIS Z8722−2000に準じた光学条件にて測定し、JIS K7105−1981に準じたL値,a値,b値を求めた。
(8)ディスプレイの色調
ハイセンスジャパン株式会社製32型液晶TV LHD32K15JPバックライト内に張り合わせてある反射フィルムを所定の白色ポリエステルフィルムに変更し、点灯させた。その状態で1時間待機して光源を安定させた後、輝度計(彩輝度計BM−7/FAST(トプコン(株)製))を用いて、バックライトの中心を真正面より測定距離500mmで色調を測定した。反射フィルムとして東レ製“ルミラーE6D6”(厚み188μm)を基準としたときの色調の差Δx、Δyを計測し、下記の通りの評価結果とした。
◎:優良 (Δx、Δyがともに0.002以下)
○:良好 (Δx、Δyがともに0.003以下)
△:劣る (Δx、Δyがともに0.005以下)
×:非常に劣る (Δx、Δyのいずれかが0.005より大きい)
上記の◎および○を合格とした。
(9)耐久試験後の輝度ムラ
ハイセンスジャパン株式会社製32型液晶TV LHD32K15JPバックライト内に張り合わせてある反射フィルムを白色ポリエステルフィルムに取り替えた後に、温度60℃、相対湿度80%条件下、24時間点灯させた。その後に500lxの照明環境下および暗所環境下において目視で輝度ムラとして認識できるものを観察し、下記の通りの評価結果とした。なお、ここでいう輝度ムラとは、反射シートの撓みよるものである。
◎:優良 (500lxの照明環境下、暗所環境下ともに、輝度ムラが見えない。)
○:良好 (500lxの照明環境下においては、輝度ムラが見えるが、暗所環境下においては、輝度ムラが見えない。)
△:劣る (500lxの照明環境下、暗所環境下ともに、輝度ムラが見える。)
×:非常に劣る (500lxの照明環境下、暗所環境下ともに、非常に強い輝度ムラが見える。)
上記の◎および○を合格とした。
(10)光沢度
デジタル変角光沢度計UGV−5B(スガ試験機(株)製)を用いて、白色積層フィルムの樹脂層側よりJIS Z−8741(1997)に準じて測定した。なお、測定条件は入射角=60゜、受光角=60゜とした。サンプル数はn=5とし、それぞれの光沢度を測定して、その平均値を算出した。
以下実施例等によって本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
(原料)
・ポリエステル樹脂(A−1)
酸成分としてテレフタル酸を、グリコール成分としてエチレングリコールを用い、三酸化アンチモン(重合触媒)を得られるポリエステルペレットに対してアンチモン原子換算で300ppmとなるように添加し、重縮合反応を行い、極限粘度0.63dl/g、カルボキシル末端基量40当量/トンのポリエチレンテレフタレートペレット(PET)を得た。この樹脂の融点Tmを測定したところ、250℃であった。
・環状オレフィン共重合体樹脂(B−1)
ガラス転移温度が178℃である環状オレフィン樹脂「TOPAS」(ポリプラスチック社製)を用いた。なお、示差熱分析計を用いて結晶融解熱を測定したところ1cal/g未満であり、非晶性樹脂であった。
・ポリメチルペンテン(B−2)
融点が236℃のポリメチルペンテン(三井樹脂化学社製、「TPX DX820」)を使用した。
・共重合ポリエステル樹脂(C−1)
CHDM(シクロヘキサンジメタノール)共重合PETを用いた。該共重合グリコール成分にシクロヘキサンジメタノールを30mol%共重合したPETである。示差熱分析計を用いて結晶融解熱を測定したところ1cal/g未満であり、非晶性樹脂であった。
・共重合ポリエステル樹脂(C−2)
イソフタル酸共重合PETを用いた。該共重合ジカルボン酸成分にイソフタル酸を17.5mol%共重合したPETである。示差熱分析計を用いて結晶融解熱を測定したところ1cal/g未満であり、非晶性樹脂であった。
・分散剤(D−1)
PBT-PAG(ポリアルキレングリコール)共重合体を用いた。該樹脂はPBT(ポリブチレンテレフタレート)とPAG(主としてポリテトラメチレングリコール)のブロック共重合体である。示差熱分析計を用いて結晶融解熱を測定したところ1cal/g以上であり、結晶性樹脂であった。
・無機粒子(E−1)
数平均粒径0.2μmのルチル型酸化チタン粒子を用いた。
・無機粒子(E−2)
数平均粒径0.5μmの硫酸バリウム粒子を用いた。
・無機粒子(E−3)
数平均粒径0.5μmの炭酸カルシウム粒子を用いた。
・無機粒子(E−4)
数平均粒径2.5μmのシリカ粒子を用いた。
・ポリエーテルイミド(F−1)
ポリエーテルイミド(サビック社製「ウルテム1010」)を用いた。
(実施例1)
ポリエステル樹脂(A−1)(81.5質量%)とポリエーテルイミド(F−1)のペレット(18.5質量%)を共に、ヘキサフルオロイソプロパノール/クロロホルム混合溶媒に10質量%(樹脂全体の質量/混合溶媒の質量)の濃度で溶解する。その後、アセトン中に投入し沈殿物を得る。得られた沈殿物を180℃窒素雰囲気下で3時間静置することにより溶媒を除去する。次に、280℃に加熱されたベント式の2軸混練押出機に乾燥した沈殿物(52質量%)、環状オレフィン共重合体樹脂(B−1)(40質量%)および分散剤(D−1)(8質量%)を供給して、剪断速度100sec-1、滞留時間1分にて溶融押出し、ポリエーテルイミドを9.6質量%、環状オレフィン樹脂(B−1)を40質量%および分散剤(D−1)を8質量%含有したポリエステルチップ(G−1)を得た。
得られたポリエステルチップ(G−1)50質量部とポリエステル樹脂(A−1)50質量部を180℃で3時間真空乾燥した後、押出機(A)に供給した。また、別にポリエステル樹脂(A−1)を180℃の温度で3時間真空乾燥した後に押出機(B)に供給した。押出機(A)の供給した原料および押出機(B)に供給した原料を、それぞれ280℃の温度で溶融させ、フィードブロックを用いて、厚さ方向に押出機(A)に供給した原料からなる層(A層)と、押出機(B)に供給した原料からなる層(B層)を、B層/A層/B層の3層積層となるように積層し、Tダイ口金に導入した。次いで、Tダイ口金内より、シート状に押出して溶融シートとし、該溶融シートを、表面温度25℃に保たれたドラム上に静電印加法で密着冷却固化させて未延伸フィルムを得た。このとき、ドラムに接しているフィルム面を裏面、空気に接している面をおもて面とした。
続いて、該未延伸フィルムを85℃の温度に加熱したロール群で予熱した後,長手方向(縦方向)に、ロールの周速差を利用して、3.4倍延伸を行い、25℃の温度のロール群で冷却して一軸延伸フィルムを得た。得られた一軸延伸フィルムの両端をクリップで把持しながらテンター内の95℃の温度の予熱ゾーンに導き、引き続き連続的に105℃の温度の加熱ゾーンで長手方向に直角な方向(幅方向)に3.6倍延伸し二軸延伸フィルムを得た。
得られた二軸延伸フィルムをテンター内で200℃の熱固定を行ない、冷却ゾーンにてリラックス率5%にて160℃で2秒、100℃で2秒、70℃で3秒徐後室温まで冷却して、厚み188μmの白色ポリエステルフィルムを得た。この白色ポリエステルフィルムの各層の厚みはA層170μm、B層9μmであった。この白色ポリエステルフィルムの各種特性を表2に示す。
(実施例2)
ポリエステルチップ(G−1)12.5質量部とポリエステル樹脂(A−1)87.5質量部を180℃で3時間真空乾燥した後、押出機(A)に投入した以外は実施例1と同様にして製膜し、厚さ188μmの白色ポリエステルフィルムを得た。この白色ポリエステルフィルムの各層の厚みはA層170μm、B層9μmであった。この白色ポリエステルフィルムの各種特性を表2に示す。
(実施例3)
ポリエステル樹脂(A−1)(84質量%)とポリエーテルイミド(F−1)のペレット(16質量%)を共に、ヘキサフルオロイソプロパノール/クロロホルム混合溶媒に10質量%(樹脂全体の質量/混合溶媒の質量)の濃度で溶解する。その後、アセトン中に投入し沈殿物を得る。得られた沈殿物を180℃窒素雰囲気下で3時間静置することにより溶媒を除去する。次に、280℃に加熱されたベント式の2軸混練押出機に乾燥した沈殿物(60質量%)、ポリメチルペンテン(B−2)(40質量%)を供給して、剪断速度100sec-1、滞留時間1分にて溶融押出し、ポリエーテルイミドを9.6質量%とポリメチルペンテン(B−2)を40質量%含有したポリエステルチップ(G−2)を得た。
ポリエステルチップ(G−2)を12.5質量部とポリエステル樹脂(A−1)87.5質量部とを180℃で3時間真空乾燥した後、押出機(A)に投入した以外は実施例1と同様にして製膜し、厚さ188μmの白色ポリエステルフィルムを得た。この白色ポリエステルフィルムの各層の厚みはA層170μm、B層9μmであった。この白色ポリエステルフィルムの各種特性を表2に示す。
(実施例4)
280℃に加熱されたベント式の2軸混練押出機を用い無機粒子(E−1)50質量部およびポリエステル樹脂(A−1)を50質量部を溶融混練押出し、無機粒子(E−1)50質量%を含有するポリエステルチップ(G−3)を得た。
ポリエステルチップ(G−2)を12.5質量部、ポリエステルチップ(G−3)20質量部およびポリエステル樹脂(A−1)67.5質量部とを180℃で3時間真空乾燥した後、押出機(A)に投入した以外は実施例1と同様にして製膜し、厚さ188μmの白色ポリエステルフィルムを得た。この白色ポリエステルフィルムの各層の厚みはA層170μm、B層9μmであった。この白色ポリエステルフィルムの各種特性を表2に示す。
(実施例5)
ポリエステルチップ(G−1)12.5質量部、ポリエステルチップ(G−3)20質量部、共重合ポリエステル樹脂(C−1)5質量部およびポリエステル樹脂(A−1)62.5質量部を180℃で3時間真空乾燥した後、押出機(A)に投入した以外は実施例1と同様にして製膜し、厚さ188μmの白色ポリエステルフィルムを得た。この白色ポリエステルフィルムの各層の厚みはA層170μm、B層9μmであった。この白色ポリエステルフィルムの各種特性を表2に示す。
(実施例6)
ポリエステルチップ(G−1)12.5質量部、ポリエステルチップ(G−3)20質量部、共重合ポリエステル樹脂(C−2)5質量部およびポリエステル樹脂(A−1)62.5質量部を180℃で3時間真空乾燥した後、押出機(A)に投入した以外は実施例1と同様にして製膜し、厚さ188μmの白色ポリエステルフィルムを得た。この白色ポリエステルフィルムの各層の厚みはA層170μm、B層9μmであった。この白色ポリエステルフィルムの各種特性を表2に示す。
(実施例7)
ポリエステルチップ(G−1)7.5質量部、ポリエステルチップ(G−2)7.5質量部、ポリエステルチップ(G−3)20質量部、共重合ポリエステル樹脂(C−2)5質量部およびポリエステル樹脂(A−1)60質量部を180℃で3時間真空乾燥した後、押出機(A)に投入した以外は実施例1と同様にして製膜し、厚さ188μmの白色ポリエステルフィルムを得た。この白色ポリエステルフィルムの各層の厚みはA層170μm、B層9μmであった。この白色ポリエステルフィルムの各種特性を表2に示す。
(実施例8)
ポリエステルチップ(G−1)5質量部、ポリエステルチップ(G−2)5質量部、ポリエステルチップ(G−3)30質量部、共重合ポリエステル樹脂(C−2)5質量部およびポリエステル樹脂(A−1)55質量部を180℃で3時間真空乾燥した後、押出機(A)に投入した以外は実施例1と同様にして製膜し、厚さ188μmの白色ポリエステルフィルムを得た。この白色ポリエステルフィルムの各層の厚みはA層170μm、B層9μmであった。この白色ポリエステルフィルムの各種特性を表2に示す。
(実施例9)
ポリエステルチップ(G−1)5質量部、ポリエステルチップ(G−2)5質量部、ポリエステルチップ(G−3)40質量部、共重合ポリエステル樹脂(C−2)5質量部およびポリエステル樹脂(A−1)45質量部を180℃で3時間真空乾燥した後、押出機(A)に投入した以外は実施例1と同様にして製膜し、厚さ188μmの白色ポリエステルフィルムを得た。この白色ポリエステルフィルムの各層の厚みはA層170μm、B層9μmであった。この白色ポリエステルフィルムの各種特性を表2に示す。
(実施例10)
280℃に加熱されたベント式の2軸混練押出機を用い無機粒子(E−2)50質量部およびポリエステル樹脂(A−1)を50質量部を溶融混練押出し、無機粒子(E−2)50質量%を含有するポリエステルチップ(G−4)を得た。
ポリエステルチップ(G−1)12.5質量部、ポリエステルチップ(G−4)40質量部、共重合ポリエステル樹脂(C−2)5質量部およびポリエステル樹脂(A−1)42.5質量部を180℃で3時間真空乾燥した後、押出機(A)に投入した以外は実施例1と同様にして製膜し、厚さ188μmの白色ポリエステルフィルムを得た。この白色ポリエステルフィルムの各層の厚みはA層170μm、B層9μmであった。この白色ポリエステルフィルムの各種特性を表2に示す。
(実施例11)
280℃に加熱されたベント式の2軸混練押出機を用い無機粒子(E−3)50質量部およびポリエステル樹脂(A−1)を50質量部を溶融混練押出し、無機粒子(E−3)50質量%を含有するポリエステルチップ(G−5)を得た。
ポリエステルチップ(G−1)12.5質量部、ポリエステルチップ(G−5)20質量部、共重合ポリエステル樹脂(C−2)5質量部およびポリエステル樹脂(A−1)62.5質量部を180℃で3時間真空乾燥した後、押出機(A)に投入した以外は実施例1と同様にして製膜し、厚さ188μmの白色ポリエステルフィルムを得た。この白色ポリエステルフィルムの各層の厚みはA層170μm、B層9μmであった。この白色ポリエステルフィルムの各種特性を表2に示す。
(実施例12)
280℃に加熱されたベント式の2軸混練押出機を用い無機粒子(E−4)3質量部およびポリエステル樹脂(A−1)97質量部を溶融混練押出し、無機粒子(E−4)3質量%を含有するポリエステルチップ(G−6)を得た。
ポリエステルチップ(G−1)7.5質量部、ポリエステルチップ(G−2)7.5質量部、ポリエステルチップ(G−3)20質量部、共重合ポリエステル樹脂(C−2)5質量部およびポリエステル樹脂(A−1)60質量部を180℃で3時間真空乾燥した後、押出機(A)に投入し、一方、ポリエステルチップ(G−6)50質量部、ポリエステル(A−1)50質量部を180℃で3時間真空乾燥した後、押出機(B)に投入した以外は実施例1と同様にして製膜し、厚さ188μmの白色ポリエステルフィルムを得た。この白色ポリエステルフィルムの各層の厚みはA層170μm、B層9μmであった。この白色ポリエステルフィルムの光沢度は30%であった。この白色ポリエステルフィルムの各種特性を表2に示す。
(比較例1)
280℃に加熱されたベント式の2軸混練押出機にポリエステル樹脂(A−1)(52質量%)、環状オレフィン共重合体樹脂(B−1)(40質量%)および分散剤(D−1)(8質量%)を供給して、剪断速度100sec-1、滞留時間1分にて溶融押出し、環状オレフィン樹脂(B−1)を40質量%および分散剤(D−1)を8質量%含有したポリエステルチップ(G−4)を得た。
得られたポリエステルチップ(G−4)50質量部とポリエステル樹脂(A−1)50質量部を180℃で3時間真空乾燥した後、押出機(A)に供給した以外は実施例1と同様にして厚さ188μmの白色ポリエステルフィルムを得た。この白色ポリエステルフィルムの各層の厚みはA層170μm、B層9μmであった。この白色ポリエステル中にポリエーテルイミドは含有しない。この白色ポリエステルフィルムの各種特性を表2に示す。
(比較例2)
ポリエステルチップ(G−1)を10質量部、ポリエステルチップ(G−3)20質量部およびポリエステル樹脂(A−1)を70質量部を180℃で3時間真空乾燥した後、押出機(A)に投入した以外は実施例1と同様にして厚さ188μmの白色ポリエステルフィルムを得た。この白色ポリエステルフィルムの各層の厚みはA層170μm、B層9μmであった。この白色ポリエステルフィルムの各種特性を表2に示す。
(比較例3)
ポリエステルチップ(G−1)62.5質量部とポリエステル樹脂(A−1)37.5質量部を180℃で3時間真空乾燥した後、押出機(A)に投入した以外は実施例1と同様にして厚さ188μmの白色ポリエステルフィルムを得た。この白色ポリエステルフィルムの各層の厚みはA層170μm、B層9μmであった。この白色ポリエステルフィルムの各種特性を表2に示す。
(比較例4)
ポリエステル樹脂(A−1)20質量%とポリエーテルイミド(F−1)60質量%、ポリメチルペンテン(B−2)20質量%を混合し、280℃に加熱されたベント式の2軸混練押出機に供給して、滞留時間1分にて溶融押出し、ポリエーテルイミドおよびポリメチルペンテンを含有したポリエステルチップ(G−5)を得た。このポリエステルチップ(G−5)25重量%と、ポリエステル樹脂(A−1)75重量%を混合し180℃で3時間真空乾燥した後、押出機(A)に投入した以外は実施例1と同様にして厚さ188μmの白色ポリエステルフィルムを得た。この白色ポリエステルフィルムの各層の厚みはA層170μm、B層9μmであった。この白色ポリエステル樹脂は単一のガラス転移温度を示しポリエチレンテレフタレートとポリエーテルイミドが相溶しており、ポリエーテルイミドの分散径を測定できなかった。この白色ポリエステルフィルムの各種特性を表2に示す。
(比較例5)
ポリエステル樹脂(A−1)85質量%とポリエーテルイミド(F−1)10質量%およびポリメチルペンテン(B−2)5質量%を混合し180℃で3時間真空乾燥した後、押出機(A)に投入した以外は実施例1と同様にして厚さ188μmの白色ポリエステルフィルムを得た。この白色ポリエステルフィルムの各層の厚みはA層170μm、B層9μmであった。この白色ポリエステルフィルムの各種特性を表2に示す。
Figure 2016110120
Figure 2016110120
本発明は、光反射板としての使用に好適な白色ポリエステルフィルム、それを用いた光反射板および液晶ディスプレイ用バックライトに関する。特に、高比重化、厚膜化によらず、反射フィルムの取り扱い時の劈開を低減させかつ高い反射特性を維持した空洞含有ポリエステルフィルムを提供することを目的とする。

Claims (4)

  1. 芳香族ポリエステルを主体とした白色ポリエステルフィルムであって、ポリエーテルイミドを白色層(A)の全質量に対し1質量%〜5質量%含有し、ポリエーテルイミドの平均分散径が1nm以上100nm以下である白色層(A)を有することを特徴とする白色ポリエステルフィルム。
    ここでポリエーテルイミドの平均分散径とは白色層(A層)を薄膜切片法で切り出したサンプルを透過型電子顕微鏡で観察し、ポリエーテルイミド成分をランダムに100点観察したその円相当径平均値、ポリエーテルイミド成分が円状でない場合はその長軸と短軸の平均値を分散径とする。
  2. 白色ポリエステルフィルムのb値が3以下である請求項1に記載の白色ポリエステルフィルム。
  3. 白色層(A)に芳香族ポリエステルに非相溶であるオレフィン樹脂を白色層(A)の全質量に対し1〜24質量%含有する請求項1または2に記載の白色ポリエステルフィルム。
  4. 白色層(A)に白色層(A)の全質量に対し数平均粒径が0.1〜0.5μmの無機粒子を5〜25質量%含有する請求項1〜3のいずれかに記載の白色ポリエステルフィルム。
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