JP2018103440A - 二軸配向積層ポリエステルフィルム - Google Patents
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Abstract
【課題】生産性に優れ、取り扱い時の耐折れ皺性、耐熱性、及び優れた反射特性を有する二軸配向積層ポリエステルフィルムを提供する。
【解決手段】ポリエステル樹脂を主成分とし、少なくとも樹脂Aからなる層(以下、A層という)と樹脂Bからなる層(以下、B層という)の2層以上積層され、下記(1)〜(4)の全てを満たすことを特徴とする、二軸配向積層ポリエステルフィルム。
(1)前記A層が少なくとも一つの最外層であること。
(2)前記B層が微細気泡および/または無機粒子により白色化された層であること。
(3)前記B層を構成するポリエステル樹脂組成物中にポリエーテルイミドを含有し、その含有量が6〜15質量%であること。
(4)フィルム全体厚みが150μm以上、かつフィルム全体厚みに対する前記B層の総厚みが50〜90%であること。
【選択図】なし
【解決手段】ポリエステル樹脂を主成分とし、少なくとも樹脂Aからなる層(以下、A層という)と樹脂Bからなる層(以下、B層という)の2層以上積層され、下記(1)〜(4)の全てを満たすことを特徴とする、二軸配向積層ポリエステルフィルム。
(1)前記A層が少なくとも一つの最外層であること。
(2)前記B層が微細気泡および/または無機粒子により白色化された層であること。
(3)前記B層を構成するポリエステル樹脂組成物中にポリエーテルイミドを含有し、その含有量が6〜15質量%であること。
(4)フィルム全体厚みが150μm以上、かつフィルム全体厚みに対する前記B層の総厚みが50〜90%であること。
【選択図】なし
Description
本発明は、大型液晶ディスプレイ用面光源反射板に用いられる二軸配向積層ポリエステルフィルムに関する。
近年、液晶ディスプレイを利用した用途の拡大が進み、従来のノートパソコン、各種モニター、携帯端末等に加えて、液晶テレビ用にも広く採用されてきており、画面の高輝度化、高精細化、大画面化が求められている。画面の高輝度化には、バックライトにおける反射シートの反射特性の改善が必要であり、それに用いられる樹脂フィルム中の無機粒子等の添加量の増加や、空洞の増加により反射界面を増やすことが検討されてきた。その場合、フィルム製造時におけるフィルム破れが発生して製膜安定性が悪化し、生産性や生産コスト面の問題があった。
また、最近では液晶ディスプレイの光源として、消費電力量が小さく高出力が可能なLED光源が用いられ、LED光源を使用したバックライトでは高輝度を維持しつつ低コスト化を狙うため、LED個々を高出力化させて数を減らす方法が検討されてきた。その場合、LED1つあたりが発する熱量が大きくなり、バックライト内でLED近傍や制御端子近傍とその他の場所での温度差が大きくなる。その結果、特に空洞を含有する軽量な樹脂フィルムにおいて、高熱による各箇所の寸法変化量の違いにより樹脂フィルム自体の耐熱性を超えて、樹脂フィルムが波打ち、ディスプレイに明暗の差が発生するという問題があった。
また、大画面化に対応するにあたり、従来の空洞を増やして高輝度化を実現させた反射シートでは、空洞が多いが故に柔軟性や剛性が低く、大面積の反射シートを加工し、バックシートを組立てる際に、折れ皺が発生するという問題があった。
そのような中で、ポリエステルで構成されたA層と、空洞を含有するB層との少なくとも2層を有し、B層の断面構造、A層中の無機粒子量が規定されていることにより、反射特性、隠蔽性、剛性、耐引掻き跡性に優れた白色積層ポリエステルフィルムが提案されている(特許文献1参照)。
また、ポリエステルで構成されたA/B/A層からなり、気泡を含有するB層の気泡間の樹脂厚さと気泡を形成する非相溶樹脂の平均アスペクト比が規定されていることにより、高比重化、厚膜化によらず、反射シートの取り扱い時の折れ皺やテープ剥離時の折れ皺を低減させ、かつ高い反射特性を維持した液晶ディスプレイ用白色ポリエステルフィルムおよび、それを用いた液晶ディスプレイ用バックライトが提案されている(特許文献2参照)。
特許文献1記載の白色積層ポリエステルフィルムは、空洞を含有するB層の断面中における空洞占有率と無機粒子の占有率を最適化することで、優れた反射特性、隠蔽性、剛性、耐引掻き跡性を有する。しかしながら、バックライト内における反射シートの耐熱性については何ら検討されていない。また、大面積の反射シートを加工し、バックシートを組立てる際の耐折れ皺性、すなわち、反射シートの柔軟性や剛性についても十分に考慮されていない。
特許文献2記載の液晶ディスプレイ用白色ポリエステルフィルムは、フィルム断面方向に隣接する気泡間の樹脂厚さと、B層を構成するポリエステルに含有された非相溶樹脂の平均アスペクト比を最適化することで、反射シートの取り扱い時の折れ皺やテープ剥離時の折れ皺を低減させ、かつ高い反射特性を維持することができる。しかしながら、上記と同様にバックライト内における反射シートの耐熱性については何ら検討されていない。また、大画面用の反射フィルムとして用いる際の取り扱い時の耐折れ皺性についても、反射フィルムの剛性が不十分であった。
そこで本発明の課題は上記した従来技術の問題点を解決し、生産性に優れ、取り扱い時の耐折れ皺性、耐熱性、及び優れた反射特性を有する二軸配向積層ポリエステルフィルムを提供することにある。
本発明は、かかる課題を解決するために、次のような手段を採用するものである。すなわち、
[I]ポリエステル樹脂を主成分とし、少なくとも樹脂Aからなる層(以下、A層という)と樹脂Bからなる層(以下、B層という)の2層以上積層され、下記(1)〜(4)の全てを満たすことを特徴とする、二軸配向積層ポリエステルフィルム。
(1)前記A層が少なくとも一つの最外層であること。
(2)前記B層が微細気泡および/または無機粒子により白色化された層であること。
(3)前記B層を構成するポリエステル樹脂組成物中にポリエーテルイミドを含有し、その含有量が6〜15質量%であること。
(4)フィルム全体厚みが150μm以上、かつフィルム全体厚みに対する前記B層の総厚みが50〜90%であること。
[II]ヤング率が2.8GPa以上である[I]に記載の二軸配向積層ポリエステルフィルム。
[III]反射率が98%以上である[I]または[II]に記載の二軸配向積層ポリエステルフィルム。
[IV]大型液晶ディスプレイ用面光源反射板に用いられる[I]〜[III]のいずれかに記載の二軸配向積層ポリエステルフィルム。
[I]ポリエステル樹脂を主成分とし、少なくとも樹脂Aからなる層(以下、A層という)と樹脂Bからなる層(以下、B層という)の2層以上積層され、下記(1)〜(4)の全てを満たすことを特徴とする、二軸配向積層ポリエステルフィルム。
(1)前記A層が少なくとも一つの最外層であること。
(2)前記B層が微細気泡および/または無機粒子により白色化された層であること。
(3)前記B層を構成するポリエステル樹脂組成物中にポリエーテルイミドを含有し、その含有量が6〜15質量%であること。
(4)フィルム全体厚みが150μm以上、かつフィルム全体厚みに対する前記B層の総厚みが50〜90%であること。
[II]ヤング率が2.8GPa以上である[I]に記載の二軸配向積層ポリエステルフィルム。
[III]反射率が98%以上である[I]または[II]に記載の二軸配向積層ポリエステルフィルム。
[IV]大型液晶ディスプレイ用面光源反射板に用いられる[I]〜[III]のいずれかに記載の二軸配向積層ポリエステルフィルム。
本発明により、生産性に優れ、取り扱い時の耐折れ皺性、耐熱性、及び優れた反射特性を有する二軸配向積層ポリエステルフィルムを得ることができる。特に、それを用いた反射シートとして、大型液晶ディスプレイ用面光源反射板に好適に用いることができる。
本発明の二軸配向積層ポリエステルフィルムは、ポリエステル樹脂を主成分とし、少なくとも樹脂Aからなる層(以下、A層という)と樹脂Bからなる層(以下、B層という)の2層以上積層され、下記(1)〜(4)の全てを満たすことを特徴とする。
(1)前記A層が少なくとも一つの最外層であること。
(2)前記B層が微細気泡および/または無機粒子により白色化された層であること。
(3)前記B層を構成するポリエステル樹脂組成物中にポリエーテルイミドを含有し、その含有量が6〜15質量%であること。
(4)フィルム全体厚みが150μm以上、かつフィルム全体厚みに対する前記B層の総厚みが50〜90%であること。
(1)前記A層が少なくとも一つの最外層であること。
(2)前記B層が微細気泡および/または無機粒子により白色化された層であること。
(3)前記B層を構成するポリエステル樹脂組成物中にポリエーテルイミドを含有し、その含有量が6〜15質量%であること。
(4)フィルム全体厚みが150μm以上、かつフィルム全体厚みに対する前記B層の総厚みが50〜90%であること。
本発明の二軸配向積層ポリエステルフィルムは、ポリエステル樹脂を主成分とする。
本発明におけるポリエステル樹脂は、その主たる樹脂成分として芳香族ポリエステル樹脂が用いられている。芳香族ポリエステル樹脂とは、芳香族を含みジオール成分とジカルボン酸成分の重縮合によって得られるポリマーであり、ジカルボン酸成分としては、芳香族を含むテレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸等が代表例として挙げられる。またジオール成分としては、エチレングリコール、トリメチレングリコール、テトラメチレングリコール、シクロヘキサンジメタノール等が代表例として挙げられる。芳香族ポリエステル樹脂の具体例としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレート(ポリエチレンナフタレート)、ポリプロピレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等を使用することができる。また、これらのポリエステルは、ホモポリエステルであってもコポリエステルであってもよく、共重合成分としては、例えばジエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、ポリアルキレングリコール等のジオール成分、アジピン酸、セバシン酸、フタル酸、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸等のジカルボン酸成分を用いることができる。本発明において、芳香族ポリエステル樹脂として、上述の樹脂を用いることにより、高い無着色性を維持しつつ、フィルムとしたときに高い機械強度を付与することができる。本発明では、安価でかつ耐熱性が優れるという点で、ポリエチレンテレフタレートを用いることが好ましい。ここで、本発明で言う「ポリエステル樹脂を主成分とする」とは、ポリエステルフィルム全体の質量に対して、ポリエステル樹脂が51質量%以上であることを指す。また、ポリエステル樹脂中には、公知の各種添加剤、例えば酸化防止剤、帯電防止剤、易滑剤等が添加されてもよい。
本発明の二軸配向積層ポリエステルフィルムは、少なくとも樹脂Aからなる層(以下、A層という)と樹脂Bからなる層(以下、B層という)の2層以上積層され、前記A層が少なくとも一つの最外層である。積層構成としては、例えば、A層/B層の2層構成、A層/B層/A層の3層構成、A層/B層/A層/B層の4層構成からなるものがある。特に、フィルム製造時の生産性や、隠蔽性、耐折れ皺性を良好なものとするには、A層/B層/A層の3層構成とすることが好ましい。また、A層により表面光沢度のコントロールや製膜安定性を確保することが出来るため、前記A層が少なくとも一つの最外層であることが必要である。
本発明における前記A層は、二軸配向積層ポリエステルフィルムの少なくとも一つの最外層であり、背面への光漏洩を防ぐ役割、製膜を安定化させる支持層の役割を持たせるため、ポリエステル樹脂に無機粒子を含有させることが好ましく、光を散乱させる役割がある。A層の光散乱性は主に表面粗さを制御することにより調整することができ、他の方法としては、例えば、ポリエステル樹脂に屈折率の異なる粒子を添加する方法が挙げられる。ここで、A層に含有させる無機微粒子の種類としては、特に限定されるものではないが、モース硬度3.0以上であることが好ましく、例えば炭酸カルシウム、酸化チタン、酸化亜鉛、硫化亜鉛、硫酸バリウム、シリカ、アルミナ、タルク等が挙げられる。これらの無機粒子は、光沢度調整や白色度調整、耐光性付与などといった表面機能の付与の必要性に応じて、単独で、あるいは組み合わせて使用することができる。
本発明の二軸配向積層ポリエステルフィルムは、前記B層が微細気泡および/または無機粒子により白色化された層である。
本発明における前記B層は、微細気泡を形成する方法として、非相溶樹脂を含有させて、該非相溶樹脂を核材として、その周りに微細気泡が形成された白色化された層とすることができる。これにより高い反射特性を有する白色ポリエステルフィルムを容易に製造することが可能である。核材として非相溶樹脂を用いることで、光吸収性を抑え、形成した白色ポリエステルフィルムの反射効率をより高めることができるだけでなく、白色ポリエステルフィルムの軽量化が可能となる。前記微細気泡は、独立した気泡であっても良いし、複数の気泡が連続しているものであっても良い。また、フィルムの白色性、光反射性はフィルムへ入射した光線が内部の気固界面(気泡と、マトリックス樹脂もしくは樹脂粒子からなる気固界面)にて反射されることによって発現されるため、フィルム厚み方向に多数の気固界面を形成させることが好ましい。フィルム厚み方向に多数の気固界面を形成させるためには、気泡の断面形状は、円状ないし、フィルム面方向に対して伸長されている楕円状であることが好ましい。なお、本発明において、「マトリックス樹脂」とは、非相溶樹脂を核とした気泡を含有する層に含まれる樹脂であって、非相溶樹脂以外の全樹脂のことを指す。また、微細気泡の形成方法としては、少なくとも一方向に延伸し、内部に気泡を形成させることにより、界面を形成させる方法が、より微細で扁平な気泡を生成させることができ、反射特性および生産性が良好であるために好ましい。この方法は延伸中に白色ポリエステルフィルムを構成するマトリックス樹脂成分と非相溶樹脂成分の界面で剥離が起こることを利用して、扁平状の気泡を生成させる手法である。したがって、気泡占有体積を増大させ、フィルム厚み当りの界面数を増大させ反射性能を向上させるために一軸延伸より二軸延伸がより好ましく用いられる。
本発明における非相溶樹脂としては、マトリックス樹脂成分を構成する芳香族ポリエステル樹脂と非相溶なものであれば特に限定されず、マトリックス樹脂成分と非相溶の熱可塑性樹脂が好ましく用いられる。その樹脂は、結晶性、非晶性、どちらも好ましく用いられる。その具体例としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、ポリメチルペンテン、シクロペンタジエンなどのような直鎖状、分鎖状あるいは環状のポリオレフィン系樹脂、ポリ(メタ)アクリレートなどのアクリル系樹脂、ポリスチレン、フッ素系樹脂などが好ましく用いられる。これらの非相溶樹脂は単独重合体であっても共重合体であってもよく、さらには2種以上の非相溶樹脂を併用してもよい。本発明では、特に、透明性、耐熱性の観点から、ポリメチルペンテンやポリプロピレンがより好ましく用いられる。ここで、ポリメチルペンテンとしては、分子骨格中に4−メチルペンテン−1からの誘導単位を好ましくは80モル%以上、より好ましくは85モル%以上、さらに好ましくは90モル%以上含むものが好ましい。また、その他の誘導単位としては、エチレン単位、プロピレン単位、ブテン−1単位、3−メチルブテン−1、あるいは4−メチルペンテン−1以外で炭素数6〜12の炭化水素などが例示される。ポリメチルペンテンは単独重合体であっても共重合体であってもよい。また、組成や、溶融粘度などの異なる複数のポリメチルペンテン、他のオレフィン系樹脂やその他樹脂と併用してもよい。
また、本発明において非相溶樹脂として非晶性樹脂を用いる場合、環状オレフィン共重合体がより好ましく用いられる。環状オレフィン共重合体とは、シクロアルケン、ビシクロアルケン、トリシクロアルケン及びテトラシクロアルケンからなる群から選ばれた少なくとも1種の環状オレフィンと、エチレン、プロピレン等の直鎖オレフィンからなる共重合体である。
環状オレフィン共重合体における環状オレフィンの代表例としては、ビシクロ〔2,2,1〕ヘプト−2−エン、6−メチルビシクロ〔2,2,1〕ヘプト−2−エン、5,6−ジメチルビシクロ〔2,2,1〕ヘプト−2−エン、1−メチルビシクロ〔2,2,1〕ヘプト−2−エン、6−エチルビシクロ〔2,2,1〕ヘプト−2−エン、6−n−ブチルビシクロ〔2,2,1〕ヘプト−2−エン、6−i−ブチルビシクロ〔2,2,1〕ヘプト−2−エン、7−メチルビシクロ〔2,2,1〕ヘプト−2−エン、トリシクロ〔4,3,0,12.5 〕−3−デセン、2−メチル−トリシクロ〔4,3,0,12.5 〕−3−デセン、5−メチル−トリシクロ〔4,3,0,12.5 〕−3−デセン、トリシクロ〔4,4,0,12.5 〕−3−デセン、10−メチル−トリシクロ〔4,4,0,12.5 〕−3−デセン等が挙げられる。
また、環状オレフィン共重合体における直鎖オレフィンの代表例としては、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン、1−オクタデセン等が挙げられる。
本発明における非相溶樹脂は、そのガラス転移温度Tgが130℃以上であることが好ましい。さらに好ましくは150℃以上である。140℃以上とすることで、混練時においてマトリックス樹脂中により微細に分散し、延伸工程において気泡を形成し、熱処理工程における気泡の消失をより抑制することができるためである。上限は230℃が好ましい。230℃を超えると、製膜時に樹脂圧力が高まり製膜性に劣る場合がある。また、ガラス転移温度(Tg)についてはJIS K7121−1987に記載の中間点ガラス転移温度(Tmg)であり、示差熱分析計(例えば、TA Instruments社製DSC Q100)を用いて、窒素雰囲気下において、樹脂を25℃から300℃まで20℃/分の昇温速度で加熱し、その状態で10分間保持する。次いで25℃以下となるよう急冷し、再度、室温から20℃/分の昇温速度で300℃まで昇温を行い吸発熱曲線(DSC曲線)を求め、これから得られるものである。
非相溶樹脂として、環状オレフィン共重合体を用いる場合、そのガラス転移温度Tgを前述の範囲に制御するためには、例えば環状オレフィン共重合体中の環状オレフィン成分の含有量を多くし、エチレン等の直鎖オレフィン成分の含有量を少なくすることが挙げられる。具体的には、環状オレフィン成分は60モル%以上であり、エチレン等の直鎖オレフィン成分の含有量は40モル%未満であることが好ましい。より好ましくは、環状オレフィン成分は70モル%以上であり、エチレン等の直鎖オレフィン成分の含有量は30モル%未満、さらに好ましくは環状オレフィン成分が80モル%以上であり、エチレン等の直鎖オレフィン成分の含有量が20モル%未満である。特に好ましくは環状オレフィン成分が90モル%以上であり、エチレン等の直鎖オレフィン成分の含有量が10モル%未満である。かかる範囲にすることにより、環状オレフィン共重合体のガラス転移温度Tgを前述の範囲まで高めることができる。
また、非相溶樹脂として、環状オレフィン共重合体を用いる場合、直鎖オレフィン成分は特に制限されるものではないが、反応性の観点からエチレン成分が好ましい。
さらに、環状オレフィン成分は特に制限されるものではないが、ビシクロ〔2,2,1〕ヘプト−2−エン(ノルボルネン)やその誘導体が生産性・透明性・高Tg化の点から好ましい。
本発明において、前記非相溶樹脂の含有量は、白色化されたB層を構成するポリエステル樹脂組成物全体に対し、1質量%以上24質量%以下であることが好ましく、より好ましくは4質量%以上15質量%以下である。1質量%未満の場合、フィルム内部に微細気泡が十分に形成されず、白色性や反射特性に劣ることがある。24質量%を越える場合、フィルムの強度が低下し、延伸時の破断が起こり、製膜安定性が低下することがある。含有量をかかる範囲内にすることにより、十分な白色性、反射特性、軽量性を発現せしめることができる。
本発明における前記B層は、無機粒子を含有した白色化された層であっても良い。無機粒子の例としては、シリカ、硫酸バリウム、酸化チタン、硫酸マグネシウム、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、タルク等を挙げることができる。
主たる樹脂としてポリエステル樹脂を用いる場合、これらの無機粒子の中でも、特に、気泡形成、白色度、光学濃度など総合的効果の点から、酸化チタン、炭酸カルシウムおよび硫酸バリウムからなる群から選ばれる1種以上の無機粒子を用いることが好ましく、特に酸化チタンを用いることが好ましい。
本発明において、上述の無機粒子の含有量は、白色化されたB層を構成するポリエステル樹脂組成物全体に対し、5質量%以上25質量%以下であることが好ましい。より好ましくは13質量%以上21質量%以下である。5質量%未満の場合、フィルム内部に気泡が十分に生成されず、白色性や反射特性に劣ることがある。25質量%を越える場合、フィルムの強度が低下し、延伸時の破断が起こり、製膜安定性が悪化することがある。含有量をかかる範囲内にすることにより、十分な白色性、反射特性、軽量性を発現せしめることができる。また、無機粒子の数平均粒径は0.1〜0.5μmが好ましい。なお、本発明において、非相溶樹脂と無機粒子とを併用することは、好ましい態様の一つである。
本発明における前記B層は、白色化されたB層のマトリックス樹脂成分に、低比重化剤として、ポリエステル樹脂に共重合成分を導入したポリエステル共重合物を混合してもよい。この場合、共重合成分の量は、特に限定されないが、透明性、成形性等の観点および次に述べる非晶化の観点より、ジカルボン酸成分およびジオール成分とも、それぞれの成分に対して1モル%以上70モル%以下が好ましく、より好ましくは10モル%以上40モル%以下である。
また、共重合樹脂として、共重合により非晶性となったポリエステル樹脂を用いることは本発明において好ましい態様の一つである。その例としては、ジオール成分の主成分が脂環式グリコールである共重合ポリエステル樹脂や、酸成分が脂環式ジカルボン酸である共重合ポリエステル樹脂などが好適例として挙げられる。特に、ジオール成分を脂環式グルコールの一種であるシクロへキサンジメタノールとし、共重合した非晶性ポリエステルが透明性、成形性、非相溶樹脂の微分散化効果の点から好ましく用いることができる。その場合、共重合ポリエステル樹脂のジオール成分のシクロヘキサンジメタノール成分を30モル%以上とすることが、非晶化の観点から好ましい。
本発明において、低比重化剤である前記ポリエステル共重合物の含有量は、白色化されたB層を構成するポリエステル樹脂組成物全体に対し、2質量%以上20質量%以下であることが好ましい。より好ましくは5質量%以上10質量%以下である。
本発明の二軸配向積層ポリエステルフィルムは、前記B層を構成するポリエステル樹脂組成物中にポリエーテルイミドを含有し、その含有量が6〜15質量%である。より好ましくは、7〜12質量%であり、さらに好ましくは、8〜10質量%である。6質量%未満の場合、フィルムの取り扱い時の耐折れ皺性や耐熱性が低下することがある。15質量%を超える場合、フィルム製造時におけるフィルム破れが多発して製膜安定性が悪化することがある。
本発明で用いられるポリエーテルイミドは、特に限定されないが、特に、ポリエステル樹脂への分散性、溶融成形性等の観点から、2,2−ビス[4−(2,3−ジカルボキシフェノキシ)フェニル]プロパン二無水物とm−フェニレンジアミン、またはp−フェニレンジアミンとの縮合物を用いることが好ましい。本発明におけるポリエーテルイミドの平均分散径は100nm以下であることが好ましい。より好ましくは50nm以下であり、さらに好ましくは10nm以下である。下限は1nm以上である。100nm以下に分散することによって、少量の含有量で耐熱性を効果的に向上することができる。ここで、本発明でいう「平均分散径」とは、B層を薄膜切片法で切り出したサンプルを、透過型電子顕微鏡で観察した時のポリエーテルイミドの円相当径の平均値である。ポリエーテルイミドが球状でない場合は、その長軸と単軸の平均値を分散径とする。
本発明において、ポリエーテルイミドをポリエステル樹脂に添加する時期は、特に限定されないが、ポリエステル樹脂の重合前、例えば、エステル化反応前に添加してもよいし、重合後に溶融押出前に添加してもよい。また、溶融押出前に、ポリエステル樹脂とポリエーテルイミドをペレタイズしてもよい。
B層を構成するポリエステル樹脂組成物中にポリエーテルイミドの含有量が6〜15質量%であれば、押出機にて十分な混練を得て互いに相溶することが容易であり、押出成形加工が容易で、得られたフィルムに十分な強度を発現するために、延伸加工を施すことも容易である。ここで、本発明において、「相溶する」とは、得られたチップのガラス転移温度(Tg)が単一であることを指す。このように両者が相溶した場合のTg は、ポリエステル樹脂のTg とポリエーテルイミドのペレットのTgの間に存在することが一般的に知られている。本発明でいうガラス転移温度は、示差走査熱分析における昇温時の熱流束ギャップからJIS K 7121に従って求めることができる。示差走査熱分析による方法のみで判定しにくい場合には、動的粘弾性測定あるいは顕微鏡観察などの形態学的方法を併用してもよい。また、示差走査熱分析によってガラス転移温度を判定する場合は、温度変調法や高感度法を使用することも有効である。該組成物が2つ以上のガラス転移温度を有する場合には、組成物中でポリエステル樹脂とポリエーテルイミドが相溶しておらず、本発明の効果は得られない。
本発明の二軸配向積層ポリエステルフィルムは、フィルム全体厚みが150μm以上、かつフィルム全体厚みに対する前記B層の総厚みが50〜90%である。
本発明におけるフィルム全体厚みは、150μm以上であることが必要である。より好ましくは、180μm以上であり、さらに好ましくは、200μm以上である。150μm未満の場合、フィルム自体の剛性が不十分となり、取り扱い時の耐折れ皺性が悪化することがある。一方、500μmより厚い場合、反射フィルムとしての薄膜化を達成できず、原料コスト面からも500μm以下であることが好ましい。
本発明におけるフィルム全体厚みに対する前記B層の総厚みは、50〜90%であることが必要である。より好ましくは、60〜85%であり、さらに好ましくは、65〜80%である。50%未満の場合、反射フィルムとして必要とされる反射特性を発現できなくなることがある。また、フィルム自体の耐熱性も低下することがある。90%を超える場合、フィルム製造時における製膜安定性が悪化したり、取り扱い時の耐折れ皺性が悪化することがある。
本発明の二軸配向積層ポリエステルフィルムは、ヤング率が2.8GPa以上であることが好ましい。より好ましくは、3.0GPa以上であり、さらに好ましくは、3.5GPa以上である。2.8GPa未満の場合、フィルム自体の剛性が不十分となり、取り扱い時の耐折れ皺性が悪化することがある。また、フィルムのヤング率を向上させるためには、本発明におけるB層を構成するポリエステル樹脂組成物中のポリエーテルイミドの含有量を増やすことで調整するが、5.0GPaを超えると、フィルム自体の柔軟性が低下したり、フィルム製造時における製膜安定性が悪化することがある。
本発明の二軸配向積層ポリエステルフィルムは、平均反射率が98%以上であることが好ましい。より好ましくは、100%以上であり、さらに好ましくは、105%以上である。98%未満の場合、大型液晶ディスプレイ用面光源反射板として用いる際に反射フィルムの輝度が不十分となることがある。
本発明の二軸配向積層ポリエステルフィルムは、密度が0.5以上1.3以下であることが好ましい。より好ましくは0.6以上1.2以下、さらに好ましくは0.7以上1.1以下である。
密度が0.5未満の場合、フィルムの強度が低下し、フィルムが破断しやすくなり、生産性に劣ることがある。また、液晶ディスプレイの組み立て作業において折れ皺が発生し易くなることがある。密度が1.3を超える場合、気泡含有構造に由来する反射性が不十分となることがある。密度を0.5以上1.3以下にする方法としては、1)B層における非相溶樹脂や無機粒子の含有量を増やす、2)非相溶樹脂や無機粒子の体積平均粒径を小さくする、3)延伸倍率を高倍率化する等が挙げられる。
密度が0.5未満の場合、フィルムの強度が低下し、フィルムが破断しやすくなり、生産性に劣ることがある。また、液晶ディスプレイの組み立て作業において折れ皺が発生し易くなることがある。密度が1.3を超える場合、気泡含有構造に由来する反射性が不十分となることがある。密度を0.5以上1.3以下にする方法としては、1)B層における非相溶樹脂や無機粒子の含有量を増やす、2)非相溶樹脂や無機粒子の体積平均粒径を小さくする、3)延伸倍率を高倍率化する等が挙げられる。
本発明の二軸配向積層ポリエステルフィルムは、光沢度が50%以上120%以下であることが好ましい。光沢度をかかる範囲とするために、本発明における各層の積層構成や、A層に含有する無機粒子の添加量で調整することができる。
次に、本発明の二軸配向積層ポリエステルフィルムの好ましい製造方法の一例を以下に説明するが、これによって制限されるものではない。
まず、常法に従い、テレフタル酸とエチレングリコールからエステル化し、または、テレフタル酸ジメチルとエチレングリコールをエステル交換反応により、ビス−β−ヒドロキシエチルテレフタレート(BHT)を得る。次にこのBHTを重合槽に移行しながら、真空下で280℃に加熱して重合反応を進める。ここで、固有粘度が0.5程度のポリエステル樹脂を得る。この時、所定量のポリエーテルイミドを添加しておいてもよい。得られたポリエステル樹脂をペレット状で減圧下において固相重合する。固相重合する場合は、あらかじめ180℃以下の温度で予備結晶化させた後、190〜250℃で1mmHg程度の減圧下、10〜50時間固相重合させて、好ましい範囲のIVを有したポリエステル樹脂を得る。また、フィルムを構成するポリエステル樹脂に無機粒子等の粒子を含有させる方法としては、エチレングリコールに粒子を所定割合にてスラリーの形で分散させ、このエチレングリコールをテレフタル酸と重合させる方法が好ましい。粒子を添加する際には、例えば、粒子を合成時に得られる水ゾルやアルコールゾルを一旦乾燥させることなく添加したり、粒子のエチレングリコールスラリーを加熱処理すると粒子の分散性がよい。加熱処理としては、140〜200℃、好ましくは180〜200℃の温度で30分〜5時間、特に1〜3時間熱処理する方法が例示される。また、粒子の水スラリーを直接所定のポリエステル樹脂のペレットと混合し、ベント式2軸混練押出機を用いて、ポリエステル樹脂に練り込む方法も有効である。粒子の含有量、個数を調節する方法としては、上記方法で高濃度の粒子マスターを作っておき、それを製膜時に粒子を実質的に含有しないポリエステル樹脂で希釈して粒子の含有量を調節する方法が有効である。次に、該ポリエステル樹脂のペレット、ポリエーテルイミドのペレット、非相溶樹脂、低比重化剤を、所定の割合で混合して、270〜300℃に加熱されたベント式の2軸混練押出機に供給して溶融押出する。このときの滞留時間は0.5〜10分が好ましく、より好ましくは1〜5分の条件である。さらに、上記条件にて相溶しない場合は、得られたチップを再び二軸押出機に投入し相溶するまで押出を繰り返してもよい。上記混練によって、ポリエステル樹脂 とポリエーテルイミドは相溶すると同時に、非相溶樹脂、低比重化剤がポリエーテルイミド含有ポリエステル樹脂中に均一分散したポリエステル樹脂組成物のペレットを得ることができる。ポリエステル樹脂とポリエーテルイミドを相溶させる場合、ポリエーテルイミドをポリエステル樹脂に添加する時期は、特に限定されないが、ポリエステル樹脂の重合前、例えば、エステル化反応前に添加してもよいし、重合後に溶融押出前に添加してもよい。中でも、溶融押出前に、ポリエステル樹脂、ポリエーテルイミド、非相溶樹脂、低比重化剤をポリエーテルイミドが高濃度になるよう、例えば、ポリエーテルイミドが40〜90%、好ましくは40〜60%となるようにペレタイズして、マスターチップ化し、溶融押出前にポリエーテルイミドが所定量となるようポリエステル樹脂で希釈することが溶融成形性および耐折れ皺性の観点から好ましい。
かくして得られたB層の原料チップを180℃で3 時間以上真空乾燥した後、固有粘度が低下しないように窒素気流下あるいは真空下で280〜320℃に加熱された押出機に供給し、異物や変質ポリマーを除去するために各種のフィルター、例えば、焼結金属、多孔性セラミック、サンド、金網などの素材からなるフィルターを用いて濾過する。
また、A層の原料として、ポリエステル樹脂のチップおよび無機粒子含有ポリエステル樹脂マスターチップを混合し、A層の原料チップとして乾燥処理し、常法によりB層とは別の押出機に供給してフィルターで濾過する。次いで、B層とA層を公知の多層化装置にて、2層以上の所定の積層比で積層し、Tダイに導いてシート状溶融物を成形する。ここで、本発明では前記A層が少なくとも一つの最外層となるように積層する。次いで、このシート状溶融物を表面温度10℃以上60℃以下に冷却されたドラム上で静電気により密着冷却固化し、未延伸フィルムを得る。
次いで、前記未延伸フィルムの二軸延伸を行うが、本発明では、延伸方法として逐次二軸延伸法、または同時二軸延伸法を用いることができる。以下、逐次二軸延伸法を用いた例を説明する。
前記未延伸フィルムを70℃以上120℃以下の温度に加熱されたロール群に導き、長手方向(縦方向、すなわちフィルムの走行方向)に周速の異なる二本のロール間で延伸する(すなわち、ロールの周速差を利用して延伸する)。長手方向の延伸倍率は3.0倍以上4.5倍以下が好ましく、その後、20℃以上50℃以下の温度のロール群で冷却して一軸延伸フィルムを得る。ここで、長手方向の延伸倍率が3.0倍未満では十分な大きさに気泡が形成できず十分な反射率を得ることが出来ないことがある。また、4.5倍を越えて延伸するとその後の幅方向(長手方向に垂直な方向)への延伸において破れやすくなり生産性に劣ることがある。また、このとき得られた一軸延長手方向(縦方向、すなわちフィルムの走行方向)伸フィルムにコロナ放電処理を施し、コーティングすることも可能である。
次いで、前記一軸延伸フィルムフィルムの両端をクリップで把持しながらテンターに導き、90℃以上150℃以下の温度に加熱された雰囲気中で、幅方向に3倍以上5倍以下に延伸する。ここで、3倍未満では気泡サイズが小さく十分な反射率を得ることが出来ないことがある。また、5倍を超えて延伸すると破れやすくなり生産性に劣ることがある。次いで、フィルムの配向結晶化を完了させて平面性と寸法安定性を付与するために150℃以上240℃以下の温度で1秒間以上30秒間以下の熱処理を行ない、必要に応じて幅方向あるいは長手方向に3%以上12%以下の弛緩処理を施し、均一に徐冷後、室温まで冷却し、巻き取ることにより、本発明の二軸配向積層ポリエステルフィルムを得ることができる。
本発明では、生産コスト面から、得られた二軸配向積層ポリエステルフィルムを回収チップ化することで、前記B層の再生原料として用いても良い。
本発明の二軸配向積層ポリエステルフィルムは、生産性に優れ、取り扱い時の耐折れ皺性、耐熱性、及び優れた反射特性を有するため、大型液晶ディスプレイ用面光源反射板に好適に用いることができる。
以下、実施例に沿って本発明を説明するが、本発明はこれらの実施例によって制限されるものではない。なお、諸特性は以下の方法により測定した。
(1)フィルム全体厚み
JIS C2151(2006)に準じ、デジタルマイクロメータ(M−30/ソニー・プレシジョン・テクノロジー(株)製)を用いてフィルムサンプルの10点厚みを測定し、平均値をフィルム全体厚みとした。
JIS C2151(2006)に準じ、デジタルマイクロメータ(M−30/ソニー・プレシジョン・テクノロジー(株)製)を用いてフィルムサンプルの10点厚みを測定し、平均値をフィルム全体厚みとした。
(2)層厚み
フィルムを5mm×10mmにサンプリングし、ミクロトームを用い、長手方向(縦方向、すなわちフィルムの走行方向)に垂直なフィルムの幅方向と平行な断面を切り出した。次いで、透過型電子顕微鏡(HU−12型/(株)日立製作所製)を用い、カットしたサンプルの各層の断面を観察し、250倍に拡大した断面写真から換算して積層フィルムの各層の層厚みを算出した。
フィルムを5mm×10mmにサンプリングし、ミクロトームを用い、長手方向(縦方向、すなわちフィルムの走行方向)に垂直なフィルムの幅方向と平行な断面を切り出した。次いで、透過型電子顕微鏡(HU−12型/(株)日立製作所製)を用い、カットしたサンプルの各層の断面を観察し、250倍に拡大した断面写真から換算して積層フィルムの各層の層厚みを算出した。
(3)平均反射率
分光光度計(U―3310/(株)日立ハイテクノロジーズ製)に積分球を取り付け、フィルムの二次加工面(最外層のA層側の面、二つの最外層の両方がB層であればB層側の面)について、標準白色板(酸化アルミニウム)を100%とした時の反射率を400〜700nmにわたって測定した。得られたチャートより5nm間隔で反射率を読み取り、平均値を計算し、フィルムの平均反射率とした。
分光光度計(U―3310/(株)日立ハイテクノロジーズ製)に積分球を取り付け、フィルムの二次加工面(最外層のA層側の面、二つの最外層の両方がB層であればB層側の面)について、標準白色板(酸化アルミニウム)を100%とした時の反射率を400〜700nmにわたって測定した。得られたチャートより5nm間隔で反射率を読み取り、平均値を計算し、フィルムの平均反射率とした。
(4)密度
フィルムを10cm角の正方形にカットし、正方形のサンプルを5枚採取してサンプルの重量を測定する。次いで、サンプルの四辺の中央部の厚みをデジタルマイクロメータを用いてN数2で測定し、その平均値をサンプルの厚みとし、厚みと面積からサンプルの総体積を算出した。
サンプルの総重量とサンプルの総体積から、フィルムの密度を以下の式より算出した。
・フィルムの密度(g/cm3)=サンプルの総重量(g)/サンプルの総体積(cm3)。
フィルムを10cm角の正方形にカットし、正方形のサンプルを5枚採取してサンプルの重量を測定する。次いで、サンプルの四辺の中央部の厚みをデジタルマイクロメータを用いてN数2で測定し、その平均値をサンプルの厚みとし、厚みと面積からサンプルの総体積を算出した。
サンプルの総重量とサンプルの総体積から、フィルムの密度を以下の式より算出した。
・フィルムの密度(g/cm3)=サンプルの総重量(g)/サンプルの総体積(cm3)。
(5)光沢度
JIS Z−8741(1997)に準じ、デジタル変角光沢度計(UGV−5B/スガ試験機(株)製)を用いてフィルムの光沢度を測定した。なお、測定条件は入射角60°、受光角60°とした。
JIS Z−8741(1997)に準じ、デジタル変角光沢度計(UGV−5B/スガ試験機(株)製)を用いてフィルムの光沢度を測定した。なお、測定条件は入射角60°、受光角60°とした。
(6)ヤング率
ASTM−D882に規定された方法に従い、インストロンタイプの引張試験機を用いてフィルムのヤング率を測定した。測定条件は下記の通りとした。
ASTM−D882に規定された方法に従い、インストロンタイプの引張試験機を用いてフィルムのヤング率を測定した。測定条件は下記の通りとした。
測定装置:フィルム強伸度自動測定装置(“テンシロンAMF/RTA−100”、オリエンテック(株)製)、試料サイズ:幅10mm×試長間100mm、引張り速度:200mm/分、測定環境:温度23℃・湿度65%RH。
なお、本発明におけるヤング率は、フィルムの長手方向(縦方向、すなわちフィルムの走行方向)に幅10mmを、フィルムの幅方向(フィルムの長手方向と垂直な方向)に試長間100mmをそれぞれ計測してカッティングした試料Aのヤング率と、フィルムの長手方向に試長間100mmを、フィルムの幅方向に幅10mmをそれぞれ計測してカッティングした試料Bのヤング率の平均値を算出し、フィルムのヤング率とした。
(7)B層のポリエーテルイミドの含有量
積層フィルムを5mm×10mmにサンプリングし、薄膜切片法でB層を切り出して試料を採取する。この試料をポリエステル樹脂とポリエーテルイミドとの両者を溶解する適切な溶媒(例えば、HFIP/重クロロホルム)に溶解し、1H核のNMRスペクトルを測定する。得られたスペクトルで、ポリエステル、ポリイミドに特有の吸収(例えばポリエチレンテレフタレートであればテレフタル酸の芳香族プロトンの吸収、ポリイミドはイミド芳香族のプロトンの吸収)のピーク面積強度を求め、その比率とプロトン数よりブレンドのモル比を算出する。さらに各々のポリマーの単位ユニットに相当する式量より重量比を算出する。測定条件は、例えば、以下のような条件であるが、ポリマーの種類によって異なるため、この限りではない。
装置:BRUKER DRX−500(ブルカー社製)、溶媒:HFIP/重クロロホルム、観測周波数:499.8MHz、基準:TMS(0ppm)、測定温度:30℃、観測幅:10KHz、データ点:64K、acquisiton time:4.952秒、pulse delay time:3.048秒、積算回数:256回。
また、必要に応じて顕微FT−IR法(フーリエ変換顕微赤外分光法)で組成分析を併用してもよい。その場合、ポリエステルのカルボニル基に起因するピークとそれ以外の物質に起因するピークの比から求める。なお、ピーク高さ比を重量比に換算するために、予め重量比既知のサンプル(例えば非相溶樹脂として使用したオレフィン)で検量線を作成してポリエステルとそれ以外の物質の合計量に対するポリエステル比率を求める。これと、NMRスペクトルの結果よりポリエーテルイミド比率を求める。また、必要に応じてX線マイクロアナライザーを併用してもよい。
積層フィルムを5mm×10mmにサンプリングし、薄膜切片法でB層を切り出して試料を採取する。この試料をポリエステル樹脂とポリエーテルイミドとの両者を溶解する適切な溶媒(例えば、HFIP/重クロロホルム)に溶解し、1H核のNMRスペクトルを測定する。得られたスペクトルで、ポリエステル、ポリイミドに特有の吸収(例えばポリエチレンテレフタレートであればテレフタル酸の芳香族プロトンの吸収、ポリイミドはイミド芳香族のプロトンの吸収)のピーク面積強度を求め、その比率とプロトン数よりブレンドのモル比を算出する。さらに各々のポリマーの単位ユニットに相当する式量より重量比を算出する。測定条件は、例えば、以下のような条件であるが、ポリマーの種類によって異なるため、この限りではない。
装置:BRUKER DRX−500(ブルカー社製)、溶媒:HFIP/重クロロホルム、観測周波数:499.8MHz、基準:TMS(0ppm)、測定温度:30℃、観測幅:10KHz、データ点:64K、acquisiton time:4.952秒、pulse delay time:3.048秒、積算回数:256回。
また、必要に応じて顕微FT−IR法(フーリエ変換顕微赤外分光法)で組成分析を併用してもよい。その場合、ポリエステルのカルボニル基に起因するピークとそれ以外の物質に起因するピークの比から求める。なお、ピーク高さ比を重量比に換算するために、予め重量比既知のサンプル(例えば非相溶樹脂として使用したオレフィン)で検量線を作成してポリエステルとそれ以外の物質の合計量に対するポリエステル比率を求める。これと、NMRスペクトルの結果よりポリエーテルイミド比率を求める。また、必要に応じてX線マイクロアナライザーを併用してもよい。
(8)製膜安定性
フィルムを2時間製膜した結果より、以下の基準で評価した。
◎:フィルム破れが生じない。
○:フィルム破れが1回生じる。
×:フィルム破れが2回以上生じる。
フィルムを2時間製膜した結果より、以下の基準で評価した。
◎:フィルム破れが生じない。
○:フィルム破れが1回生じる。
×:フィルム破れが2回以上生じる。
(9)反射特性
フィルムの平均反射率の測定結果より、以下の基準で評価した。
○:98%以上。
×:97%未満。
フィルムの平均反射率の測定結果より、以下の基準で評価した。
○:98%以上。
×:97%未満。
(10)耐折れ皺性
フィルムを幅20mm、長さ100mmの長方形にサンプリングし、フィルムと鏡面加工ステンレス板(SUS304)とを幅と長さの方向が一致するように幅20mm、長さ100mmの両面テープ(日東電工両面テープNo.500)で貼り合わせる。次いで、フィルムの端部を剥離し持ち上げ、ステンレスとの角度135°、剥離速度50mm/秒で長手方向に剥離を行い、全部剥離する。剥離後のフィルム表面の折れ皺を目視により観察し、以下の基準で評価した。
○:折れ皺が0〜3個/10mm2。
×:折れ皺が4個以上/10mm2。
フィルムを幅20mm、長さ100mmの長方形にサンプリングし、フィルムと鏡面加工ステンレス板(SUS304)とを幅と長さの方向が一致するように幅20mm、長さ100mmの両面テープ(日東電工両面テープNo.500)で貼り合わせる。次いで、フィルムの端部を剥離し持ち上げ、ステンレスとの角度135°、剥離速度50mm/秒で長手方向に剥離を行い、全部剥離する。剥離後のフィルム表面の折れ皺を目視により観察し、以下の基準で評価した。
○:折れ皺が0〜3個/10mm2。
×:折れ皺が4個以上/10mm2。
(原料)
(ポリエステル樹脂)
・ポリエチレンテレフタレートチップ(略称:PET)(東レ(株)製、F20S)。
(ポリエステル樹脂)
・ポリエチレンテレフタレートチップ(略称:PET)(東レ(株)製、F20S)。
(ポリエーテルイミド)
・ポリエーテルイミド(略称:PEI)(SABIC社製、“ウルテム”1010)。
・ポリエーテルイミド(略称:PEI)(SABIC社製、“ウルテム”1010)。
(低比重化剤)
・ポリブチレンテレフタレートとポリアルキレングリコールが共重合されたポリエステル共重合物(略称:PBT−PTMG)(東レデュポン(株)製、“ハイトレル”)。
・ポリブチレンテレフタレートとポリアルキレングリコールが共重合されたポリエステル共重合物(略称:PBT−PTMG)(東レデュポン(株)製、“ハイトレル”)。
・ポリエチレンテレフタレートを主骨格とし、シクロヘキサンジメタノールを共重合したポリエステル共重合物(略称:PET−CHDM)(イーストマン(株)製、GN001)。
(非相溶樹脂)
・ポリメチルペンテン(略称:PMP)(三井化学(株)製、“TPX”)。
・ポリメチルペンテン(略称:PMP)(三井化学(株)製、“TPX”)。
・ガラス転移温度が190℃である、環状オレフィンとエチレンの共重合物(略称:COC)(ポリプラスチックス(株)製、“TOPAS”)。
(無機粒子)
・硫酸バリウム(ポリエチレンテレフタレートとの混合チップ)。
・酸化チタン(ポリエチレンテレフタレートとの混合チップ)。
・シリカ(ポリエチレンテレフタレートとの混合チップ)。
・硫酸バリウム(ポリエチレンテレフタレートとの混合チップ)。
・酸化チタン(ポリエチレンテレフタレートとの混合チップ)。
・シリカ(ポリエチレンテレフタレートとの混合チップ)。
(実施例1)
A層およびB層を構成する各ポリエステル樹脂組成物の原料を表1に示す配合比で混合した。それぞれの原料を180℃で3時間真空乾燥した後、各々別のベント付き二軸押出機で280℃の溶融状態とした後、ギヤポンプおよびフィルターを介して、多層化装置にて表1に示す積層構成および層厚みとし、Tダイに導いてシート状に成形後、静電印加で表面温度25℃に保たれたキャスティングドラムに密着させて急冷固化し、キャストフィルムを得た。
A層およびB層を構成する各ポリエステル樹脂組成物の原料を表1に示す配合比で混合した。それぞれの原料を180℃で3時間真空乾燥した後、各々別のベント付き二軸押出機で280℃の溶融状態とした後、ギヤポンプおよびフィルターを介して、多層化装置にて表1に示す積層構成および層厚みとし、Tダイに導いてシート状に成形後、静電印加で表面温度25℃に保たれたキャスティングドラムに密着させて急冷固化し、キャストフィルムを得た。
得られたキャストフィルムを75℃に設定したロール群で加熱した後、延伸区間長100mmの間で、フィルム両面からラジエーションヒーターにより急速加熱しながら、縦方向に3.3倍延伸し、その後一旦冷却して一軸延伸フィルムを得た。
得られた一軸延伸フィルムをテンターに導き、100℃の熱風予熱後、110℃の温度で横方向に3.5倍延伸した。延伸したフィルムは、そのままテンター内で240℃の熱風にて熱処理を行い、次いで、同温度にて幅方向に7%の弛緩処理を施し、その後、室温まで冷却してワインダーにて巻き取り、二軸延伸フィルムを得た。得られた二軸配向積層ポリエステルフィルムのフィルム全体厚みは、320μmであった。この二軸配向積層ポリエステルフィルムの特性及び評価結果を表1に示す。
(実施例2〜8)
A層およびB層を構成する各ポリエステル樹脂組成物の原料と、積層構成(実施例2〜6は実施例1と同一積層構成)および各層厚みを変更した以外は実施例1と同様にして、二軸配向積層ポリエステルフィルムを得た。結果を表1に示す。
A層およびB層を構成する各ポリエステル樹脂組成物の原料と、積層構成(実施例2〜6は実施例1と同一積層構成)および各層厚みを変更した以外は実施例1と同様にして、二軸配向積層ポリエステルフィルムを得た。結果を表1に示す。
(比較例1〜10)
A層およびB層を構成する各ポリエステル樹脂組成物の原料と、積層構成(比較例1〜7、9は実施例1と同一積層構成)および各層厚みを変更した以外は実施例1と同様にして、二軸配向積層ポリエステルフィルムを得た。また、比較例8は、同一組成の原料を各々別のベント付き二軸押出機で溶融状態とした後、3層積層(B/B/B)し、実施例1と同様の製造方法で二軸配向積層ポリエステルフィルムを得た。結果を表1に示す。
A層およびB層を構成する各ポリエステル樹脂組成物の原料と、積層構成(比較例1〜7、9は実施例1と同一積層構成)および各層厚みを変更した以外は実施例1と同様にして、二軸配向積層ポリエステルフィルムを得た。また、比較例8は、同一組成の原料を各々別のベント付き二軸押出機で溶融状態とした後、3層積層(B/B/B)し、実施例1と同様の製造方法で二軸配向積層ポリエステルフィルムを得た。結果を表1に示す。
本発明の二軸配向積層ポリエステルフィルムは、生産性に優れ、取り扱い時の耐折れ皺性、耐熱性、及び優れた反射特性を有するため、特に、大型液晶ディスプレイ用面光源反射板に好適に用いることができる。
Claims (4)
- ポリエステル樹脂を主成分とし、少なくとも樹脂Aからなる層(以下、A層という)と樹脂Bからなる層(以下、B層という)の2層以上積層され、下記(1)〜(4)の全てを満たすことを特徴とする、二軸配向積層ポリエステルフィルム。
(1)前記A層が少なくとも一つの最外層であること。
(2)前記B層が微細気泡および/または無機粒子により白色化された層であること。
(3)前記B層を構成するポリエステル樹脂組成物中にポリエーテルイミドを含有し、その含有量が6〜15質量%であること。
(4)フィルム全体厚みが150μm以上、かつフィルム全体厚みに対する前記B層の総厚みが50〜90%であること。 - ヤング率が2.8GPa以上である請求項1に記載の二軸配向積層ポリエステルフィルム。
- 平均反射率が98%以上である請求項1または2に記載の二軸配向積層ポリエステルフィルム。
- 大型液晶ディスプレイ用面光源反射板に用いられる請求項1〜3のいずれかに記載の二軸配向積層ポリエステルフィルム。
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