JP2022075535A - 二軸配向ポリエステルフィルムおよびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】バックライトの輝度を向上させることが出来、高反射率であり、生産性、耐劈開性に優れる反射材料を提供すること。【解決手段】少なくとも2層からなる二軸配向ポリエステルフィルムであって、酸化チタンの重量分率Twが25質量%以上60質量%以下であるポリエステル層(当該層をA層という)を少なくとも1層以上有し、前記A層よりも酸化チタンの重量分率が低いポリエステル層(当該層をB層という)が少なくとも一方の最外層に有し、超音波の伝播速度の面内最大値が2.05km/s以上2.50km/s以下であり、フィルム全厚みが90μmより大きく500μm以下である、二軸配向ポリエステルフィルム。【選択図】なし

Description

本発明は、薄型液晶ディスプレイ用途に好ましく用いられる二軸配向ポリエステルフィルムおよびその製造方法に関するものである。
液晶ディスプレイの光源として広く適用される、ディスプレイの背面からライトをあてるバックライト方式において、照明光の画面背面への逃げを防ぐため、画面の背面に光反射フィルムを設置する必要がある。このような液晶ディスプレイ用バックライトに用いられる反射フィルムには、従来、白色顔料を添加したフィルムや内部に微細な気泡を含有させたフィルムが単独で、もしくはこれらのフィルムと金属板、プラスチック板などを貼り合わせたものが使用されてきた。特に内部に微細な気泡を含有させたフィルムは、輝度の向上効果や、画面輝度の均一化に一定の効果があることから広く使用されている(特許文献1、2)。
特開2003-160682号公報 特開2012-135952号公報
しかしながら、輝度の向上を求め、フィルム中の反射成分(微細な気泡や屈折率の高い無機粒子等)を増加させた場合、フィルムの断裁やLEDの位置に孔を開ける加工時に劈開が生じる課題があった。元来反射成分はポリエステルとの物理的、化学的な特性差を有するが故に反射を生じさせるものであるが、その特性差に由来し反射成分とポリエステルとの間で劈開が生じてしまう。また、反射成分が多量となることで、製膜工程においても破れが発生し易くなり、十分な生産性が得られない課題があった。
そこで、本発明はバックライトの輝度を向上させることが出来、高反射性能を有し、生産性、耐劈開性に優れる二軸配向ポリエステルフィルムを提供することを目的とする。
かかる課題を解決するための本発明の要旨とするところは、
少なくとも2層からなる二軸配向ポリエステルフィルムであって、酸化チタンの重量分率Twが25質量%以上60質量%以下であるポリエステル層(当該層をA層という)を少なくとも1層以上有し、前記A層よりも酸化チタンの重量分率が低いポリエステル層(当該層をB層という)が少なくとも一方の最外層に有し、超音波の伝播速度の面内最大値が2.05km/s以上2.50km/s以下であり、フィルム全厚みが90μmより大きく500μm以下である、二軸配向ポリエステルフィルムである。
また本発明の一態様として、本発明の二軸配向ポリエステルフィルムを製造する方法であって、シート状に溶融押出されたポリエステルを冷却固化させた後、長手方向に1.5倍以上4.0倍以下の延伸を行う工程A、幅方向に2.5倍以上4.0倍以下の延伸を行う工程B、および長手方向に1.05倍以上4.0倍以下の延伸を行う工程Cをこの順に有し、かつ前記工程Cにおける長手方向への延伸の際に0.3kg/cm以上5.0kg/cmの圧力でポリエステルフィルムをニップロールで押しつける工程を有する二軸配向ポリエステルフィルムの製造方法がある。
本発明によれば、バックライトの輝度を向上させる特性と高い生産性、および耐劈開性を有するフィルムを得ることができる。
二軸配向ポリエステルフィルムを組み込んだ液晶画面の概略断面図及び輝度測定法の概略図である。
以下に本発明を詳細に説明する。
<二軸配向ポリエステルフィルム>
本発明の二軸配向ポリエステルフィルム(以下、単に「本発明のフィルム」とも呼ぶ。)は、ポリエステル樹脂およびポリエステル樹脂に非相溶な熱可塑性樹脂を主成分とする層を少なくとも1層有することが好ましい。フィルム中のある層を構成する成分の内、ポリエステル樹脂およびポリエステル樹脂に非相溶な熱可塑性樹脂の合計が50質量%以上であれば、主成分といえる。
ポリエステル樹脂について、好ましい態様を以下に記載する。ポリエステル樹脂とはエステル結合を主鎖に持つ高分子をいうが、本発明に用いるポリエステル樹脂は、ジカルボン酸とジオールとが縮重合した構造を持つポリエステル樹脂が好ましい。ジカルボン酸成分としては、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、2,6-ナフタレンジカルボン酸、ジフェニルジカルボン酸、ジフェニルスルホンジカルボン酸、ジフェノキシエタンジカルボン酸、5-ナトリウムスルホンジカルボン酸などの芳香族ジカルボン酸、シュウ酸、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、ダイマー酸、マレイン酸、フマル酸などの脂肪族ジカルボン酸、1,4-シクロヘキサンジカルボン酸などの脂環族ジカルボン酸、パラオキシ安息香酸などのオキシカルボン酸などの各成分を挙げることができる。また、ジカルボン酸エステル誘導体成分として、上記ジカルボン酸化合物のエステル化物、たとえばテレフタル酸ジメチル、テレフタル酸ジエチル、テレフタル酸2-ヒドロキシエチルメチルエステル、2,6-ナフタレンジカルボン酸ジメチル、イソフタル酸ジメチル、アジピン酸ジメチル、マレイン酸ジエチル、ダイマー酸ジメチルなどの各成分を挙げることができる。また、ジオール成分としては、例えば、エチレングリコール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、2,2-ジメチル-1,3-プロパンジオール(ネオペンチルグリコール)などの脂肪族ジヒドロキシ化合物、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコールなどのポリオキシアルキレングリコール、1,4-シクロヘキサンジメタノール、スピログリコールなどの脂環族ジヒドロキシ化合物、ビスフェノールA、ビスフェノールSなどの芳香族ジヒドロキシ化合物など各成分が挙げられる。これらはそれぞれ1種だけであっても2種以上用いられるものであっても良い。また、フィルムとして製膜性に影響が出なければトリメリット酸、ピロメリット酸およびそのエステル誘導体のうち1種以上を少量共重合されたものであっても構わない。
ポリエステル樹脂の具体的な例は、ポリエチレンテレフタレート(以下、PETと略称する)、ポリエチレン-2,6-ナフタレンジカルボキシレート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリ-1,4-シクロヘキシレンジメチレンテレフタレートなどは安価に入手でき、かつ製膜性も良好であるため、特に好適に用いることができる。
また、ポリエステル樹脂はホモポリマーであってもコポリマーであってもよい。コポリマーにおける共重合成分としては、芳香族ジカルボン酸、脂肪族ジカルボン酸、脂環族ジカルボン酸、炭素数2~15のジオール成分を挙げることができ、これらの例としては、たとえばイソフタル酸、アジピン酸、セバシン酸、フタル酸、スルホン酸塩基含有イソフタル酸、およびこれらのエステル形成性化合物、エチレングリコール、1,4-ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4-シクロヘキサンジメタノール、スピログリコール、数平均分子量400~20,000のポリアルキレングリコールなどを挙げることができる。
ポリエステル樹脂に非相溶な熱可塑性樹脂は、ボイドを形成するボイド核剤として使用される。以下、ボイド核剤として使用される、ポリエステル樹脂に非相溶な熱可塑性樹脂を、単に「ボイド核剤」とも呼ぶ。本発明におけるボイドとは、ボイド核剤によって形成される層中に存在する空間のことを指す。ボイドの形状は、フィルム断面から略円、略楕円状に観察される。ボイドの形成方法は、上記に記載のポリエステル樹脂とボイド核剤を任意の割合で混合した樹脂を延伸により外力を加え、ポリエステル樹脂とボイド核剤とを引き剥がす方法で形成させることができる。具体的には、ポリエステル樹脂とボイド核剤とを含有する混合物を溶融押出しした後、少なくとも一方向に延伸することで、内部にボイドを形成させる方法が挙げられる。
ボイド核剤の具体的な例は、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、ポリメチルペンテンなどの直鎖状または分鎖状オレフィン系樹脂、環状オレフィン系樹脂、スチレン系樹脂、ポリ(メタ)アクリレート樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアクリロニトリル樹脂、ポリフェニレンスルフィド樹脂、フッ素系樹脂などが選ばれる。なかでも好ましいのはオレフィン系樹脂またはスチレン系樹脂であり、オレフィン系樹脂としてはポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ4-メチルペンテン-1(以下、「ポリメチルペンテン」または「PMP」と略称することがある)、エチレン-プロピレン共重合体、エチレン-ブテン-1共重合体、環状オレフィンが、スチレン系樹脂としてはポリスチレン、ポリメチルスチレン、ポリジメチルスチレンなどが好ましい。これらは単独重合体であっても共重合体であってもよく、さらには2種以上の熱可塑性樹脂を併用してもよい。本発明で用いるボイド核剤としては、ポリエステル樹脂中にボイドを形成しやすく、かつ製膜性との両立がしやすいポリオレフィンが好ましく、具体的には、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、ポリメチルペンテンなどの直鎖状または分鎖状オレフィン系樹脂、環状オレフィン系樹脂などが用いられる。特に、ボイドの形成および耐熱性の観点で、ポリメチルペンテンもしくは環状ポリオレフィンが好ましく、よりガラス転移温度が高く、かつポリエステル中で微分散が可能な環状ポリオレフィンが最も好ましい。
ボイド核剤に好ましく用いられるポリメチルペンテンとしては、分子骨格中に4-メチルペンテン-1から誘導される二価の有機基を繰返し単位として、好ましくは80モル%以上、より好ましくは85モル%以上、特に好ましくは90モル%以上含むものが好ましい。また、その他の繰返し単位としては、エチレン、プロピレン、ブテン-1、3-メチルブテン-1、あるいは4-メチルペンテン-1以外で炭素数6~12の炭化水素から誘導される二価の有機基などが挙げられる。ポリメチルペンテンは単独重合体であっても共重合体であってもよい。また、組成や溶融粘度などが異なる複数のポリメチルペンテンを混合して用いたり、他のオレフィン系樹脂やその他樹脂と併用したりしてもよい。
ボイド核剤に好ましく用いられる環状ポリオレフィンとしては、シクロアルケン、ビシクロアルケン、トリシクロアルケン及びテトラシクロアルケンなどのシクロオレフィン成分と、エチレン、プロピレンなどの直鎖オレフィン成分からなる共重合体が好ましい。
シクロオレフィン成分の代表例としては、ビシクロ〔2,2,1〕ヘプト-2-エン、6-メチルビシクロ〔2,2,1〕ヘプト-2-エン、5,6-ジメチルビシクロ〔2,2,1〕ヘプト-2-エン、1-メチルビシクロ〔2,2,1〕ヘプト-2-エン、6-エチルビシクロ〔2,2,1〕ヘプト-2-エン、6-n-ブチルビシクロ〔2,2,1〕ヘプト-2-エン、6-i-ブチルビシクロ〔2,2,1〕ヘプト-2-エン、7-メチルビシクロ〔2,2,1〕ヘプト-2-エン、トリシクロ〔4,3,0,12.5〕-3-デセン、2-メチル-トリシクロ〔4,3,0,12.5〕-3-デセン、5-メチル-トリシクロ〔4,3,0,12.5〕-3-デセン、トリシクロ〔4,4,0,12.5〕-3-デセン、10-メチル-トリシクロ〔4,4,0,12.5〕-3-デセンなどが挙げられる。
直鎖オレフィン成分の代表例としては、エチレン、プロピレン、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、1-オクテン、1-デセン、1-ドデセン、1-テトラデセン、1-ヘキサデセン、1-オクタデセンなどが挙げられる。
ボイド核剤に好ましく用いられるシクロオレフィン共重合体のガラス転移温度(Tg)は、110℃以上であることが好ましい。110℃以上とすることで高い反射率と、寸法安定性を両立することが可能となる。具体的には130℃以上が好ましく、より好ましくは150℃以上である。かかる範囲にすることにより、混練時において樹脂中に微分散化し、延伸工程においてより確実にボイドを形成し、熱処理工程におけるボイド消失を抑制することができるためである。シクロオレフィン共重合体のガラス転移温度(Tg)の上限は250℃が好ましい。
シクロオレフィン共重合体のガラス転移温度(Tg)を110℃以上に制御するためには、例えばシクロオレフィン共重合体中のシクロオレフィン成分の含有量を多くし、エチレンなどの直鎖オレフィン成分の含有量を少なくすることが挙げられる。具体的には、シクロオレフィン成分は60モル%以上であり、エチレンなどの直鎖オレフィン成分の含有量は40モル%未満であることが好ましい。より好ましくは、シクロオレフィン成分は70モル%以上であり、エチレンなどの直鎖オレフィン成分の含有量は30モル%未満、さらに好ましくはシクロオレフィン成分が80モル%以上であり、エチレンなどの直鎖オレフィン成分の含有量が20モル%未満である。特に好ましくはシクロオレフィン成分が90モル%以上であり、エチレンなどの直鎖オレフィン成分の含有量が10モル%未満である。かかる範囲にすることにより、シクロオレフィン共重合体のガラス転移温度(Tg)を前述の範囲まで高めることができる。
シクロオレフィン共重合体を用いる場合、直鎖オレフィン成分は、反応性の観点からエチレン成分が好ましい。さらに、シクロオレフィン成分は、ビシクロ〔2,2,1〕ヘプト-2-エン(ノルボルネン)やその誘導体が生産性・透明性・高Tg化の点から好ましい。
ボイド核剤の含有量としては、ポリエステル樹脂およびボイド核剤を主成分とする層100質量%に対して、5~50質量%が好ましい。5質量%以上、より好ましくは10質量%以上とすることで、ボイドを効果的に形成し、反射率を向上させることができる。また、50質量%以下、より好ましくは40質量%以下とすることで、反射率の低下や製膜時の破れを防ぐことができる。
本発明の二軸配向ポリエステルフィルムは、光散乱による反射率向上を目的として、酸化チタン粒子を含有するポリエステル層を少なくとも1層以上有することが必要である。効果的な粒子散乱効果を得るためには、酸化チタンの平均粒径は0.05~1.00μmであることが好ましい。平均粒径を0.05μm以上、より好ましくは0.10μm以上、さらに好ましくは0.15μm以上とすることで、良好な分散性により凝集を防ぎつつ、効果的な粒子散乱効果を得ることができる。また、1.00μm以下、より好ましくは0.50μm以下、さらに好ましくは0.35μm以下とすることで、フィルム製膜時や穿孔加工時の破れを抑えることができる。
なお、本発明における平均粒径とは、
D=ΣDi /N
Di :粒子の円相当径
N:粒子の個数
で表される数平均径Dを指す。
酸化チタンの重量分率Twは、ポリエステル層全体に対し、25~60質量%であることが必要である(かかる酸化チタンの重量分率Twが25~60質量%の層をA層という場合がある)。酸化チタンの重量分率Twを25質量%以上、より好ましくは30質量%以上とすることで、後方散乱性が効果的に発現され、光反射性に優れる。また60質量%以下、より好ましくは45質量%以下とすることで、フィルム延伸性の低下による生産性の低下や穿孔加工等の加工性の低下を防ぐことができる。また、かかるA層は内層(フィルム表面を有さない層)に有することが好ましい。
また、前記A層は、シクロヘキサンジメタノール、ネオペンチルグリコール、スピログリコール、シクロヘキサンジカルボン酸から少なくとも1つ以上選ばれた共重合成分を含むポリエステルを有することが好ましい。かかる共重合成分を含むことで酸化チタン粒子とポリエステルとの界面における親和性を適当な程度に制御することが可能であり、相互の親和性が低いことによる過剰なボイドの形成による製膜時の破れや、親和性が高いために溶融混練時に樹脂圧力が高まりフィルム厚みやエッジ形状が不安定になるといった不具合を抑制出来る。
本発明の二軸配向ポリエステルフィルムは、フィルム面内における超音波の伝播速度の面内最大値Smaxが2.05km/s以上2.50km/s以下であることが必要である。フィルム面内の超音波の伝播速度は、後述する測定方法により求められる値であり、フィルム面方向に超音波が伝播する速度を表す。フィルム面方向に超音波が伝播する速度は、フィルム中の各構成要素(酸化チタンの含有量、ボイドの含有量、フィルムを構成するポリエステルの配向の強さ、密度(比重))と関係を有する特性指標である。各構成要素がより高密度であることにより超音波の伝播速度は高まる傾向となり、例えば、フィルム中に密度の高い酸化チタンの含有量が多いと超音波の伝播速度は増加する傾向があり、フィルム中のボイドの含有量が多いと振動が伝わりにくくなるため超音波の伝播速度は低下する傾向があり、フィルムを構成するポリエステルの配向が強く分子鎖が稠密に配列していると超音波の伝播速度は増加する傾向があり、フィルムの密度(比重)が大きいと前記構成要素がより超音波の振動を伝えることから超音波の伝播速度は増加する傾向がある。さらに、各構成要素間の界面状態、すなわちフィルム中のポリエステルと酸化チタンの密着状態や界面分子の配向等も影響を与える。
本発明者らが鋭意検討した結果、本特性が上記特定の範囲とせしめることにより、酸化チタンを25~60質量%という高濃度で含有する層を有しながらも、生産性や耐劈開性を両立可能となることを見出した。Smaxは2.15km/s以上2.40km/s以下であるとより好ましく、2.25km/s以上2.40km/s以下であると最も好ましい。Smaxを上記好ましい範囲とする方法は特に限定されないが、例えば、前述のようなフィルムに含有する酸化チタンの濃度の選択と、後述する延伸条件(特に再MD延伸時のニップロールを用いた厚み方向への圧縮工程)により、フィルムを構成するポリエステルの配向の強さ、フィルム中のボイドの含有率、フィルムの密度(比重)を制御することにより達成することができる。
本発明に用いる酸化チタンは、酸化チタンとポリエステル樹脂との分散性を高めるために表面処理剤による表面処理が施されているものであることが好ましい。表面処理剤としては、シリコーン、シランカップリング剤、アルミキレート剤、ポリ尿素などが好ましく、なかでもアルミキレート剤が好ましく用いられる。表面処理方法は特に限定されないが、例えば、乾式法または湿式法を挙げることができる。乾式法とは、攪拌機によって高速攪拌している無機材料の中に表面処理剤を滴下または噴霧して反応させる手法であり、湿式法とは、無機材料にアルコール等の有機溶剤を加えスラリーとした状態で表面処理剤を加え反応させる手法である。
本発明の前記A層に含有する酸化チタンは、表面にアルミニウム元素が存在し、該表面におけるSEM-EDX測定において、チタン元素の検出強度(EDX(Ti))とアルミニウム元素の検出強度(EDX(Al))が式(1)を満たすことが好ましい。
EDX(Al)/(EDX(Ti)+EDX(Al))>0.4 式(1)
式(1)は酸化チタンの表面におけるAl含有成分による表面の被覆率を表しており、本数値範囲とすることで、ポリエステルと酸化チタンとの親和性を制御し、Smaxを好ましい範囲とすることが容易となり、また耐劈開性を向上させることができる。式(1)は0.6より大きいとより好ましく、0.8より大きいと最も好ましい。
式(1)が上記範囲を満たす方法は特に限定されないが、例えば酸化チタンの表面処理剤としてアルミキレート剤を用い、表面処理条件を制御する方法などが挙げられる。
本発明の二軸配向ポリエステルフィルムは、少なくとも2層からなる。前述の酸化チタンを含有する層(A層)を1層以上有し、加熱時のカールの抑制や生産適性の観点から、A層と、A層よりも酸化チタンの重量分率が低いポリエステル層(B層)を少なくとも一方の最外層に有する必要がある。3層構成の場合は、A層はフィルム表面を有さない内層にあることが好ましく、C/A/Bの3種3層の構成、B/A/Bの2種3層の構成であってもよいが、B/A/Bの順に3層に積層した構成が好ましい。A層とB層をB/A/Bの順に積層することにより、A層に含まれる粒子やボイド核剤の脱落などによる生産性低下を抑制し、高い製膜安定性を得ることができる。また、本発明の二軸配向ポリエステルフィルムは、あるいは4層以上の構成であってもよいが、製膜上の容易さと強度を考慮すると3層構成が好ましい。また、A層とB層は共押出し法により製膜ライン中で一挙に積層された後に、2軸方向に延伸されることが好ましい。B層の酸化チタンの重量分率は10.0質量%以下であると、製膜破れや酸化チタンの脱落等の工程影響を低減する観点で好ましい。
本発明の二軸配向ポリエステルフィルムは、フィルム厚みTが90μmより大きく500μm以下であることが重要である。フィルム厚みTが90μm以下では、特定の光源を用いる場合を除いて輝度を向上させる効果が十分でない場合があり、500μmより厚膜化することは製造効率が低下するため好ましくない。本発明によれば、このような厚み範囲で、従来に比べてより高反射性かつ耐劈開性に優れた二軸配向ポリエステルフィルムとすることができる。フィルム厚みTは、125μm以上350μm以下であるとより好ましい。
本発明の二軸配向ポリエステルフィルムは、DSC測定で検出される融解2次ピーク(Tmeta)が200℃以上250℃以下であることが好ましい。バックライトの製造工程において、LEDのテスト時に不具合が生じた場合に、200℃を超過する高温での処理が為される場合がある。その際、Tmetaが処理温度以上に存在することで、処理温度以上の融解熱量が増加し、フィルムの寸法変化を抑制することができる。Tmetaは207℃以上245℃以下であるとより好ましく、2.05℃以上240℃以下であると最も好ましい。Tmetaを特定の範囲に制御する方法としては、製膜中の熱処理温度を調整する方法などが挙げられる。
本発明の二軸配向ポリエステルフィルムは、フィルム全厚みに対するA層の厚み比率TRaが0.4~0.9であることが好ましい。TRaを前記範囲とすることにより、製膜中の破れや穿孔時の劈開を抑制出来る。TRaは、好ましくは0.5~0.9であり、0.6~0.9であると最も好ましい。
本発明の二軸配向ポリエステルフィルムは、フィルムの比重が0.98g/cc以上1.50g/cc以下であることが好ましい。通常の反射フィルムは多数のボイドを有することで比重が小さく、ハンドリングに課題を持つ場合が多い。しかしながら、高濃度に酸化チタン粒子を含有せしめたA層とA層よりも酸化チタン粒子の重量分率が低いB層を少なくとも一方の最外層に有する構成とし、かつ後述する再MD延伸における延伸倍率の制御により、高反射率と比重を両立し、ハンドリングを良好とすることが可能である。比重は1.05g/cc以上1.35g/cc以下であるとより好ましい。
本発明の二軸配向ポリエステルフィルムは、前記A層においてレーザーラマン分光法における1730cm-1のスペクトルバンド(C=Oラマンスペクトルバンド)半値全幅が10cm-1以上25cm-1以下であることが好ましい。C=Oラマンスペクトルバンドの半値全幅はポリエステル骨格におけるC=Oの面内配向に相関し、その値が大きいほどランダムであり、小さいほど高度に配向した構造を表す。C=Oラマンスペクトルバンドの半値全幅が10cm-1未満では極端な配向が影響しフィルム中の酸化チタン粒子等との相互作用が低下する結果、加工時の劈開が生じ易くなる場合がある。他方、25cm-1より大きい場合には、フィルム強度が十分でなく同様に加工時の劈開が生じ易くなる場合がある。従って、C=Pラマンスペクトルバンドの反値全幅は10cm-1以上25cm-1以下が好ましく、14cm-1以上21cm-1以下であるとより好ましい。本特性範囲を達成する方法として、特に限定されないが、例えば後述する再MD延伸、再TD延伸により達成することができる。
本発明の二軸配向ポリエステルフィルムは、厚み方向の長さが1.5μm以上であるボイドの個数が2.0個/500μm以下であることが好ましい。厚み方向の長さが1.5μm以上のボイドが前記特定個数を超えた密度で存在する場合には、酸化チタン粒子の周縁に延伸工程にて形成される微細な空隙が粗大なボイドにより連結する確率が高まり、製膜安定性や加工時の劈開が生じ易くなる場合がある。厚み方向の長さが1.5μm以上であるボイドの個数は、1.0個/μm以下であるとより好ましい。本特性の範囲を満たす方法は特に限定されないが、ポリエステル樹脂に非相溶な熱可塑性樹脂の分散径を相溶化剤等の添加により微細に制御する方法などが一例として挙げられる。
<二軸配向ポリエステルフィルムの製造方法>
次に本発明の二軸配向ポリエステルフィルムの製造方法について、具体例を挙げて説明する。なお、本発明のフィルムは下記の製法により得られたものに限定されるものではない。
少なくとも2台の一軸もしくは二軸押出機、または主押出機と副押出機を有する複合製膜装置において、主押出機にB層の原料となる樹脂、副押出機にA層の原料となる樹脂を投入する。それぞれの原料は水分率が50ppm以下となるように乾燥されていることが好ましい。このようにして各押出機に原料を供給し、例えば2台の押出機と直線状のリップを有する金型(Tダイ)上部に設置したフィードブロックやマルチマニホールドにてA/B/Aの3層積層フィルムとすることができる。押出された未延伸シートを冷却されたドラム上で密着冷却固化し、未延伸積層フィルムを得る。このとき、均一なフィルムを得るために静電気を印加してドラム上に密着させることが好ましい。
この未延伸フィルムをロール加熱、必要に応じて赤外線加熱等でポリマーのガラス転移温度(Tg)以上に加熱し、長手方向(以降、MDと呼ぶ)に延伸する(MD延伸)。逐次二軸延伸の場合、MD延伸は2個以上のロールの周速差を利用して行う。MD延伸の倍率は1.5~6.0倍が好ましい。1.5倍以上、より好ましくは2.0倍以上、さらに好ましくは2.8倍以上とすることで、反射率の高いフィルムを得ることができる。また、6.0倍以下、より好ましくは4.0倍以下とすることで、製膜中の破断の発生を防ぐことができる。また、MD延伸の温度は、フィルムのTg以上Tg+20℃以下であることが均一な延伸とロール粘着を抑制する観点から好ましい。また、延伸速度は1,000%/分以上200,000%/分以下であることが望ましい。
MD延伸後、続いて、MDと直交する方向(以降、TDと呼ぶ)に延伸して(TD延伸)、熱固定、熱弛緩の処理を順次施して二軸配向フィルムとすることができる。これらの処理はフィルムを走行させながら行う。このとき、TD延伸のための予熱および延伸温度はポリマーのガラス転移温度Tgに対して、Tg以上、Tg+50℃以下で行うのが好ましい。TD延伸の倍率は、2.5~6.0倍が好ましい。2.5倍以上、より好ましくは3.0倍以上とすることで、反射率の高いフィルムを得ることができる。6.0倍以下、より好ましくは4.0倍以下とすることで、製膜中の破断の発生を抑制することができる。また、TD方向の延伸速度は1,000%/分以上200,000%/分以下であることが望ましい。
本発明のフィルムの厚みは、押出機からの樹脂の溶融押出量及び未延伸シートを延伸する工程の速度を調整するなどの公知の方法で調整することができるが、多量の酸化チタン粒子を含有する本発明のフィルムにおいてはフィルム破れが発生し易くなる。
そこで、前述のようなMD延伸、TD延伸の後、さらにMD延伸を行う(再MD延伸)とよい。延伸を二軸方向で交互かつ段階的に行うことで、後工程の延伸により過剰な配向が解消され、破断に至る限界倍率をより高くすることが可能となる。さらに、上記TD延伸後の再MD延伸において、延伸に用いるニップロールの圧力を0.3kg/cm以上5.0kg/cmとすることで、酸化チタン粒子の周囲への微小ボイドの発生を抑制し、かつ酸化チタン粒子との界面密着強度を良好とし、加工時のフィルム劈開を大幅に改善することができる。これらのプロセスを適用することで、前述のような本発明の二軸配向ポリエステルフィルムにおける、高濃度の酸化チタン粒子添加構成において、特定範囲のフィルム厚みと特定範囲のフィルム中の超音波の伝播速度、特定範囲のフィルム比重を効果的に達成することができる。
再MD延伸の延伸倍率としては、1.05倍~4.0倍が好ましく、より好ましくは1.1倍~2.5倍、さらに好ましくは1.3倍以上2.0倍以下である。
すなわち、本発明の二軸配向ポリエステルフィルムの好ましい製造方法としては、シート状に溶融押出されたポリエステルを冷却固化させた後、長手方向に1.5倍以上4.0倍以下の延伸を行う工程A、幅方向に2.5倍以上4.0倍以下の延伸を行う工程B、および長手方向に1.05倍以上4.0倍以下の延伸を行う工程Cをこの順に有し、
かつ前記工程Cにおける長手方向への延伸の際に0.3kg/cm以上5.0kg/cmの圧力でポリエステルフィルムをニップロールで押しつける工程を有する製造方法を挙げることができる。
再MD延伸における延伸温度としては、Tg+10℃以上、Tg+80℃以下が好ましい。また、再MD延伸における延伸温度を、フィルムの結晶化温度以上かつ100℃以上、150℃以下とすることで、フィルム破れを抑制しつつも分子鎖が適度に配向し、前述のような特定範囲のフィルム比重、ラマンバンドの半値全幅を効果的に達成することができる。
また、再MD延伸の後、さらにTD延伸を行う(再TD延伸)ことも、好ましい。二軸延伸工程を各方向へ交互に複数回繰り返すことにより、製膜破れの発生し易い微小粒子含有構成での高倍率延伸においても、より安定して二軸配向フィルムを得ることができる。
再TD延伸の方法としては、テンターを用いる方法が好ましい。再TD延伸の延伸倍率としては、1.05~2.5倍が好ましく、2.0倍以下がさらに好ましい。再TD延伸の延伸温度はポリマーの融点Tmに対して、Tm-140℃以上、Tm-40℃以下が好ましい。また、MD延伸および再MD延伸によるMDの最終的な延伸倍率を4.0倍以上20.0倍以下とすることが好ましい。
再延伸後、引き続いて、フィルムを緊張下または弛緩させながら熱処理する。その熱処理温度はTm-50℃以上、Tm-10℃以下で、処理時間0.2~10秒で行うのが好ましい。弛緩させる場合は、MDおよび/またはTDに、1.5~10%の弛緩率にて行うとよい。
その後、均一に徐冷後、室温まで冷却し、ロールに巻き取る。
またここでは逐次二軸延伸法によって延伸する場合を例に詳細に説明したが、逐次二軸延伸法、同時二軸延伸法のいずれを採用してもよい。
また、本発明の効果が損なわれない範囲で、少なくとも一方のA層の表面に、易滑性や帯電防止性、紫外光吸収性能等を付与するために、公知の技術を用いて種々の塗液を塗布したり、耐衝撃性を高めるためにハードコート層などを設けても良い。塗布は、フィルム製造時に塗布(インラインコーティング)してもよいし、フィルム製造後の二軸配向ポリエステルフィルム上に塗布(オフラインコーティング)してもよい。
本発明の二軸配向ポリエステルフィルムは、バックライトの輝度を向上させる特性と高い生産性、および耐劈開性を有するため、バックライトに好適に用いることができる。また、かかる二軸配向ポリエステルフィルムを用いたバックライトは輝度性能に優れたまま小型化が容易となる。そしてかかるバックライトを有するディスプレイは輝度性能に優れる。
以下、実施例により本発明を詳述する。なお、各特性値は以下の方法で測定した。
(1)フィルム全厚みT、フィルムの層構成(各層厚み)
フィルムの幅方向に対する中心部分の断面を5枚切り出し、走査電子顕微鏡(日立製作所製電界放射型走査電子顕微鏡(FE-SEM)S-4000)を用いて、フィルムが厚み方向にわたって視野に収まるよう500~5,000倍に拡大観察し、撮影した断面写真より、フィルムの厚み、およびフィルム層構成(各層厚み)を特定した。フィルムの全厚みは5枚の数値の平均値をフィルム厚みとした。ついて、後述する(3)の方法で得られた酸化チタンの重量分率からA層を特定し、全厚みに対するA層厚み比率を算出した。
(2)融解2次ピーク温度(Tmeta)
示差熱量分析(DSC)を用い、JIS K 7121(2012)に従って、窒素雰囲気下、25℃から280℃まで20℃/分の速度で測定サンプルを昇温させて得られたDSC曲線の最も高温の吸熱ピークから数えて低温側に2番目に検出される吸熱ピークの温度から求めた。なお、測定装置、データ解析システムは以下のものを使用し、測定サンプルの質量は5mgとした。
装置:日立ハイテクサイエンス製 EXSTAR DSC6220
データ解析システム: ディスクセッションSSC/5200
(3)酸化チタン粒子の重量分率
フィルム1gを1N-KOHメタノール溶液200mlに投入して加熱還流し溶解した。溶解が終了した該溶液に200mlの水を加え、ついで該液体を遠心分離器にかけて粒子を沈降させ、上澄み液を取り除いた。粒子にはさらに水を加えて洗浄、遠心分離を2回繰り返した。このようにして得られた粒子を乾燥させ、その質量を量ることで酸化チタン粒子の重量分率を算出した。フィルムが複数の層から構成される場合は、(1)に記載の方法にて層構成を特定し、必要な層を切削してサンプリングし評価に用いた。
(4)SEM-EDX、EDX強度
断面SEM観察時にサンプルを25000倍に拡大し、付属するエネルギー分散型X線検出器(株式会社堀場製作所EDX EMAX-7000)による分析を行った。長手方向断面と幅方向断面から、酸化チタン粒子をそれぞれ15個ずつ合計30個選択し、その中央部でEDX強度をSi、Alに対して評価した。各元素の検出強度が高い方から10個の粒子について、EDX(Al)/(EDX(Ti)+EDX(Al))を評価し、その平均を本願のEDX強度比とした。
(5)比重
ミラージュ貿易(株)製高精度電子比重計(SD-120L)を用いて、30×40mmのサイズに切り出したサンプルについて、JIS K 7112(1999)A法(水中置換法)に準じて23℃、65%RHにて測定して求めた。
(6)フィルムの組成
ポリエステル樹脂およびフィルムをヘキサフルオロイソプロパノール(HFIP)に溶解し、H-NMRおよび13C-NMRを用いて各モノマー残基成分や副生ジエチレングリコールについて含有量を定量することができる。積層フィルムの場合は、積層厚みに応じて、フィルムの各層を削り取ることで、各層単体を構成する成分を採取し、評価することができる。なお、本発明のフィルムについては、フィルム製造時の混合比率から計算により、組成を算出した。
(7)フィルム面方向における超音波の伝播速度の面内最大値Smax
一辺の長さが300mmの正方形にカットしたフィルム試料をサンプリングし、野村商事(株)製のSONIC SHEET TESTER(SST-250)にフィルム長手方向が装置上で0°の角度、フィルム幅方向が装置上で90°の角度となる位置に載せ角度を5°刻みにて180°(1/2回転相当)まで回転させ超音波伝播速度を測定した。得られた各方位における超音波伝達速度の最大値をサンプル5枚について平均した値をSmaxとした。
(8)1730cm-1のスペクトルバンド(C=Oラマンバンド)の半値全幅
ポリエステルフィルムをエポキシ樹脂包埋後、ミクロトームにより断面を作製し、ポリエステルA層について厚み方向の中央位置を測定点として下記装置および測定条件でラマンスペクトルを測定し、1730cm-1付近のラマンバンドの半値全幅(cm-1)を測定した。異なる場所で測定数n=5の測定を行い、その平均値を求め、スペクトルバンド半値全幅とした。
装置:Ramnor T-64000(堀場Jobin Yvon)
顕微ラマン(ラマンマイクロプローブ)の機能を兼備
・マイクロプローブ
Beam Splitter:右
対物レンズ:×100
ビーム径:1μm
クロススリット:200μm
・光源
Ar+レーザー:NEC GLG3460 5145A
レーザーパワー:40mW
・分光器
構成:640mm Triple Monochromator
回折格子:PAC Holographic 76×76mm
Spectrograph 1800gr/mm
分散:Single、7A/mm
スリット:100μm
・検出器
CCD:Jobin Yvon 1024×256
(9)厚み方向の長さが1.5μm以上のボイド個数
ミクロトームを用いてフィルム断面を厚み方向に垂直に凍結切断し、その断面をイオンコーターで白金/パラジウムを蒸着して、フィルムの断面を、走査型電子顕微鏡S-2100A形((株)日立製作所製)を用いて5000倍に拡大観察して撮影した断面写真を用いて、核を有する厚み方向の長さが1.5μm以上のボイドを数えた。異なる核からなるボイドが連結している場合には、ボイド内部の連続した空間において最も厚み方向の長さが長い箇所の値を採用した。なお、フィルム断面のボイド観察に当たっては、互いに異なる測定視野から任意に選んだ計10箇所の断面写真計10枚を使用した。なお、核とは球形または不定形の非相溶性樹脂性、無機粒子または有機粒子が、1個の境界線を有する単独ボイド中に1個以上存在することをいう。得られたボイド数をSEM画像の表示画面面積で割り返した値を厚み方向の長さが1.5μm以上のボイド個数として採用した。
(10)製膜安定性
製膜可能な限り48時間製膜し続け、フィルムが12時間あたりに破れた回数により下記のとおり等級付けを行った。
A:1回未満
B:1回以上2回未満
C:2回以上3回未満
D:製膜不可。
(11)相対輝度評価
図1に示したように181BLM07(NEC(株)製)のバックライト内に張り合わせてある反射板を本発明の二軸配向ポリエステルフィルム1のサンプルに変更し、点灯させた。ここで、バックライトは、図1において下から上の順に、二軸配向ポリエステルフィルム1、冷陰極管2、乳白板3、拡散板4、プリズムシート5、偏光プリズムシート6の要素を積み重ねて構成される。点灯状態で1時間待機して光源を安定化させた後、LED基板から90cm直上の地点よりCCDカメラ(SONY製DXC-390)で撮影し画像解析装置(コニカミノルタ製CA-2000)で画像を取り込んだ。その後、撮影した画像の輝度レベルを3万ステップに制御し自動検出させ、輝度に変換した。なお、本発明においては、輝度は東レ株式会社製#250E6SLを基準サンプル(100%)とした相対輝度とし、下記の基準で評価しC以上を合格とした。
A:105%以上
B:103%以上105%未満
C:101%以上103%未満
D:101%未満。
(12)耐劈開性
本発明のポリステルフィルムをA4サイズに切り出し、接着剤(主剤LX500(DIC社製)37重量%、架橋剤KO55(DIC社製)4重量%溶媒:酢酸エチル 58.5重量%)を#12のメタリングバーにて塗布し、80℃×45sec乾燥を行い、50μmのポリエステルフィルム(“ルミラー”50S10)と貼り合わせた。その後、40℃×72hrエージングを行い、幅20mm長さ150mmの短冊形に切り出しテストサンプルとした。該テストサンプルを本発明のポリエステルフィルムとポリエステルフィルム層間で、強制的に剥離し、引張試験機(オリエンテック製テンシロンUCT-100)を用いて、初期引張チャック間距離100mm、引張速度300mm/分として、180°剥離試験を行う。剥離長さ50mm(チャック間距離150mm)になるまで測定を行い、剥離長さ10mm~45mmの荷重の平均値を剥離強度とした。その後、剥離試験後のポリエステルフィルムサンプルを、フィルム厚みの測定と同様の方法を用いて観察を行い、ポリエステルフィルムの層間剥離および/または凝集破壊を確認した。なお、本発明においては、A層/B層間での層間剥離および/またはA層内、B層内で凝集破壊した剥離強度について、以下の基準で評価し、C以上を合格とした。
A:剥離できない
B:9N/20mmより大きく14N/20mm以下
C:5N/20mmより大きく9N/20mm以下
D:5N/20mm以下。
(13)加工性
厚み25μmのポリイミドフィルム(東レデュポン株式会社製:カプトン100EN)に乾燥後の厚さが6μmとなるようにシリコーン系粘着剤を塗布、乾燥した。その後本発明のポリエステルフィルムを25℃で1kgの荷重をかけて前記粘着層付きのポリイミドフィルムと貼合し、10cm×10cmに切り出してテストサンプルとした。テストサンプルを温度150℃で120分間オーブンに静置し、その後、温度23℃、65%RHの条件で30分放置してから、4隅のカール状態を観測し、4隅の反り量(mm)の平均値を求めて、以下の基準で評価し、C以上を合格とした。
A:反り量が5mm未満である。
B:反り量が5mm以上、10mm未満である。
C:反り量が10mm以上、20mm未満である。
D:反り量が20mm以上である。
[使用原料]
(1)ポリエステル樹脂(a)
テレフタル酸およびエチレングリコールから、三酸化アンチモンを触媒として、常法により重合を行い、ポリエチレンテレフタレート(PET)を得た。得られたPETのガラス転移温度は77℃、融点は255℃、固有粘度は0.63dl/g、末端カルボキシル基濃度は40eq./tであった。
(2)ポリエステル樹脂(b)
ポリエステル(a)の重合時に数平均粒子径2.2μmの凝集シリカ粒子を粒子濃度2質量%で添加しポリエチレンテレフタレート粒子マスター(b)を得た。
(3)共重合ポリエステル樹脂(c)
市販の1,4-シクロヘキサンジメタノール共重合ポリエステル(イーストマン・ケミカル社製 GN001)を使用した。
(4)共重合ポリエステル樹脂(d)
市販のPBT-PAG(ポリアルキレングリコール)共重合体「ハイトレル 7247」(東レ・デュポン(株)製)を用いた。当該樹脂はPBT(ポリブチレンテレフタレート)とPAG(主としてポリテトラメチレングリコール)のブロック共重合体である。
(5)熱可塑性樹脂(e)
市販の環状オレフィン樹脂「TOPAS 6017」(日本ポリプラスチックス株式会社)を用いた。
(6)二酸化チタンマスター(f)
ルチル型二酸化チタン粒子(数平均粒径0.25μm)をアルミナゾル(pH8.0、酸化アルミニウム濃度5%)を用いて常法により表面処理したのち、ポリエステル樹脂(a)を50質量部と二軸押出機にて混練し、二酸化チタンマスター(f)のペレットを得た。
(7)二酸化チタンマスター(g)
ルチル型二酸化チタン粒子(数平均粒径0.25μm)をアルミナゾル(pH8.0、酸化アルミニウム濃度1%)を用いて常法により表面処理したのち、ポリエステル樹脂(a)を50質量部と二軸押出機にて混練し、二酸化チタンマスター(g)のペレットを得た。
(8)二酸化チタンマスター(h)
ルチル型二酸化チタン粒子(数平均粒径0.25μm)をシランカップリング剤「11-100Additive」(東レダウ・コーニング社製)を0.25質量部添加アルミナゾルの水分散スラリーを用いて常法により表面処理したのち、ポリエステル樹脂(a)を50質量部と二軸押出機にて混練し、二酸化チタンマスター(h)のペレットを得た。
(実施例1~19、21~23、比較例1~3)
表1に示した組成の原料を180℃の温度で6時間真空乾燥した後に、主押出機にB層の原料を供給し、280℃の温度で溶融押出後、30μmカットフィルターにより濾過を行った。また、副押出機にA層の原料を供給し、290℃の温度で溶融押出後、30μmカットフィルターにより濾過を行った。引き続いて、これらの溶融ポリマーをTダイ複合口金内で、B層がA層の両表層に積層(B/A/B)されるよう合流させた。引き続いて、合流した溶融ポリマーをシート状に押出して溶融シートとし、当該溶融シートを、表面温度25℃に保たれたドラム上に静電印加法で密着させ冷却固化させて未延伸フィルムとした。引き続いて、該未延伸フィルムを80℃の温度に加熱したロール群で予熱した後、赤外線ヒーターで両面から照射しながら、表2の倍率にてMD延伸を行い、25℃の温度のロール群で冷却して一軸延伸フィルムとした。引き続いて、一軸延伸フィルムの両端をクリップで把持しながらテンター内の90℃の予熱ゾーンに導き、95℃で表2の倍率にてTD延伸を行った。引き続いて、表2の温度の冷却ゾーンにて徐冷した。引き続いて、1段目と同様の加熱手段を有する延伸機にて表2の温度と倍率で再MD延伸および再TD延伸を行い、テンター内の熱処理ゾーンで表2の温度の熱処理を施し、次いで均一に徐冷後、ロールに巻き取り、表3に記載の厚みの二軸配向ポリエステルフィルムを得た。なお、各実施例、比較例においては、フィルム全厚みが表に記載の厚みになるよう溶融押出する樹脂の量を制御した。
(実施例20)
表1に示した組成、表2に示した製膜条件にて、Tダイ複合口金内で、B層がA層の片側表層に積層(B/A)されるように合流させた点以外は、実施例1と同様にして表3に記載の厚みの二軸配向ポリエステルフィルムを得た。
(比較例4)
表1に示した組成、表2に示した製膜条件にて、2段目の延伸を行わずに製膜を行い、表3に記載の厚みの二軸配向ポリエステルフィルムを得た。
Figure 2022075535000001
Figure 2022075535000002
Figure 2022075535000003
本発明によれば、バックライトの輝度を向上させる特性と高い生産性、および耐劈開性を有する二軸配向ポリエステルフィルムを得ることができる。
1;二軸配向ポリエステルフィルム
2;冷陰極管
3;乳白板
4;拡散板
5;プリズムシート
6;偏光プリズムシート
7;CCDカメラ
8;画像解析装置(アイスケール)

Claims (12)

  1. 少なくとも2層からなる二軸配向ポリエステルフィルムであって、
    酸化チタンの重量分率Twが25質量%以上60質量%以下であるポリエステル層(当該層をA層という)を少なくとも1層以上有し、
    前記A層よりも酸化チタンの重量分率が低いポリエステル層(当該層をB層という)が少なくとも一方の最外層に有し、
    フィルム面内における超音波の伝播速度の面内最大値Smaxが2.05km/s以上2.50km/s以下であり、
    フィルム全厚みが90μmより大きく500μm以下である二軸配向ポリエステルフィルム。
  2. フィルム全厚みに対するA層の厚み比(A層の厚み/フィルム全厚み)TRaが0.4~0.9である請求項1に記載の二軸配向ポリエステルフィルム。
  3. 前記A層に含有する酸化チタンが表面にアルミニウム元素を有し、該表面におけるSEM-EDX測定において、チタン元素の検出強度(EDX(Ti))とアルミニウム元素の検出強度(EDX(Al))が式(1)を満たす請求項1または2に記載の二軸配向ポリエステルフィルム。
    EDX(Al)/(EDX(Ti)+EDX(Al))>0.4 式(1)
  4. フィルムの比重が0.98g/cc以上1.50g/cc以下である請求項1~3のいずれかに記載の二軸配向ポリエステルフィルム。
  5. 前記A層に、シクロヘキサンジメタノール、ネオペンチルグリコール、スピログリコール、シクロヘキサンジカルボン酸から少なくとも1つ以上選ばれた共重合成分を含むポリエステルを有する請求項1~4のいずれかに記載の二軸配向ポリエステルフィルム。
  6. DSC測定で検出される融解2次ピーク(Tmeta)が200℃以上250℃以下である請求項1~5のいずれかに記載の二軸配向ポリエステルフィルム。
  7. 前記A層においてレーザーラマン分光法における1730cm-1のスペクトルバンド半値全幅が10cm-1以上25cm-1以下である請求項1~6のいずれかに記載の二軸配向ポリエステルフィルム。
  8. 厚み方向の長さが1.5μm以上であるボイドの個数が2.0個/500μm以下である、請求項1~7のいずれかに記載の二軸配向ポリエステルフィルム。
  9. バックライトに用いられる請求項1~8のいずれかに記載の二軸配向ポリエステルフィルム。
  10. 請求項1~9のいずれかに記載の二軸配向ポリエステルフィルムを有するバックライト。
  11. 請求項10に記載のバックライトを有するディスプレイ。
  12. 請求項1~9のいずれかに記載の二軸配向ポリエステルフィルムを製造する方法であって、シート状に溶融押出されたポリエステルを冷却固化させた後、長手方向に1.5倍以上4.0倍以下の延伸を行う工程A、幅方向に2.5倍以上4.0倍以下の延伸を行う工程B、および長手方向に1.05倍以上4.0倍以下の延伸を行う工程Cをこの順に有し、
    かつ前記工程Cにおける長手方向への延伸の際に0.3kg/cm以上5.0kg/cmの圧力でポリエステルフィルムをニップロールで押しつける工程を有する二軸配向ポリエステルフィルムの製造方法。
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