JP5298423B2 - 遮光性ポリエステルフィルム - Google Patents

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Description

本発明は、カメラ、ビデオカメラ、複写機、現像機等の各種光学装置の遮光部材として有用な遮光フィルムに関する。
近時、旅行やレジャーさらには屋外での作業時等において、携帯性に優れる性能コンパクトカメラが市場に多く出回っている。また、個人でビデオ撮影することが増えるに伴い、ビデオカメラも軽量、コンパクト化が進み、最近では手のひらに乗るくらいまで小型化されている。このように、光学機器、特にカメラ、ビデオカメラの小型化及び軽量化によって、それらを構成する部品にも小型化や軽量化へのニーズが益々高まっている。
従来、シャッターや絞りなどの遮光部材には金属が使用されていたが、小型軽量化及び低コスト化に伴い、合成樹脂フィルムが用いられることが多くなってきた。
ポリエステルフィルムにカーボンブラックを混入し、不透明、遮光性を付与せることが通常の方法である。その具体的な例としては、例えば特許文献1、特許文献2、特許文献3、特許文献4などが開示されている。
特許文献1はカーボンブラック含有のポリエステルフィルムBの両面にカーボンブラックを含有しないポリエステルフィルムA,Cを積層した複合フィルムに関するものである。本技術は磁気記録媒体用途向けであり、ポリエステルフィルムB面にカーボンブラックを含有しないために光学濃度、軽量化が解決されず、光学装置の遮蔽部材用途には向けられない。特許文献2には遮光剤を含有するポリエステル層(A)の少なくとも片面に、白色ポリエステル層(B)を積層したフィルムが記載されている。芯層部のポリエステル層(A)にポリメチルペンテンを使用できる記載もあり、軽量化も意図している。しかし、芯層部にはカーボンブラックを含有されているもののスキン層部は白色フィルムであるので遮蔽効果は劣っている。特許文献3には気泡を含有する白色ポリエステル層(B)の少なくとも片面に、無機系微粒子を含有する白色ポリエステル(A)を積層した積層フィルムが開示されている。しかし、本技術は受容シートの用途であり、遮蔽性が低いことから光学用途向けには使用できない。さらに特許文献4は熱可塑性樹脂を主成分とする光反射性フィルムの片面に、熱可塑性樹脂を主成分とするカーボンブラックなど無機微粒子を含有するフィルムに関するものである。特許文献4には、非相溶樹脂の使用についての記載はなく、軽量化、遮蔽性、加工性の面で本発明の目的は達成されない。
こうした状況にあって、遮光性、軽量性、強靱性に優れる光学機器用のシャッターや絞り等として好適な遮光フィルムが求められている。
特開昭63−042862号公報 特開平11−254620号公報 特開2002−347196号公報 特開2006−023442号公報
本発明は、遮光性、高い機械強度を有し、軽く、強靱であり、シャッターや絞り等として好適な遮光フィルムを提供しようとするものである。
本発明者らは、前記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、カーボンブラック粒子を含有するフィルムであって、該フィルムの密度が0.60g/cm3〜1.30g/cm3の範囲にあり、さらにフィルムの色調L値が30以下、かつ光学濃度が0.5〜6.5である遮光性積層ポリエステルフィルム。
に関係するものである。
本発明では、遮光性、高い機械強度を有し、軽く、強靱であり、シャッターや絞り等として好適な遮光フィルムを提供することができ、光学機器を小型化及び軽量化することができる。
本発明で使用されるポリエステルとは、ジオールとジカルボン酸とから縮重合によって得られるポリマーであり、ジカルボン酸としては、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、ナフタレンジカルボン酸、アジピン酸、セバチン酸などで代表されるものである。
またジオールとは、エチレングリコール、トリメチレングリコール、テトラメチレングリコール、シクロヘキサンジメタノールなどで代表されるものである。具体的には、ポリメチレンテレフタレート、ポリテトラメチレンテレフタート、ポリエチレン−p−オキシベンゾエート、ポリ−1,4−シクロヘキシレンジメチレンテレフタレート、ポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレートなどが挙げられる。これらのポリエステルはホモポリエステルであっても、コポリエステルであってもよい。その共重合成分としては例えば、ジエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、ポリアルキレングリコールなどのジオール成分、アジピン酸、セバシン酸、フタル酸、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸などのジカルボン酸成分が挙げられる。
本発明では特に、耐水性、耐久性、耐薬品性などに優れるポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートが好ましい。また、このポリエステルの中には、実質的に線状とみなされる範囲において三官能以上の化合物や単官能化合物を結合させてもよい。また、公知の各種添加剤、例えば、酸化防止剤、帯電防止剤などを添加することもできる。
本発明は少なくともポリエステル層(A)とポリエステル層(B)とを用いてなることが好ましい。ポリエステル層(A)とポリエステル層(B)とは、同種のポリエステル成分を用いてなるものであっても異種のポリエステル成分を用いても良いが、ポリエステル層(A)は以下に説明する極限粘度[η]を有し、かつ無機微粒子を含有することが好ましい。一方、ポリエステル層(B)はポリエステルと非相溶の樹脂を含有することが好ましい。
本発明で好ましく使用されるポリエステル層(A)のポリエステルは、極限粘度[η]が0.50〜0.85dl/gの範囲にある分子量が相対的に大きいものが好ましい。0.60〜0.85dl/gの範囲が好ましく、特に0.70〜0.85dl/gの範囲が好ましい。一方、ポリエステル層(B)で使用されるポリエステルの極限粘度[η]は限定されないが、0.50〜0.85dl/gの範囲のものが好ましい。極限粘度とは数個の濃度の違う高分子溶液の粘度を求めて0に補外した濃度0の点の高分子溶液の粘度である。極限粘度の測定は、フェノール系の溶媒に測定しようとするポリエステルを溶かし、常温で溶液の粘度と溶媒の粘度を同一の粘度計で測定値を測定する。
O−クロロフェノールを用いる場合、25℃で測定し次式を適用する。
ηsp/c=〔η〕+K〔η〕
ここで、比粘度ηspは粘度比(溶液粘度/溶媒粘度)−1で算出し、cは溶媒100mlあたりの溶解ポリマ重量(g/100ml、通常1.2)、ハギンス定数K(0.343とする)。また溶液粘度、溶媒粘度はオストワルド粘度計を用いて測定する。
この極限粘度[η]が0.5dl/gよりも低い場合には、フィルム厚みが小さくなると機械的強度を保持できなくなることがある。一方、0.85dl/gよりも大きい場合には、フィルム厚みが小さくてもある程度は機械的強度を保持できるものの、カーボンブラック粒子との混和性が悪くなり、均質で物性の優れたフィルムを製造することが困難になることがある。
本発明のポリエステルフィルム中に含有されるカーボンブラックは公知の種類のものを使用できるが、フィルム中に分散させた時にカーボンブラックの平均二次粒子径が0.1〜3.0μmの範囲であることが好ましい。より好ましくは0.2〜2.6μmの範囲である。平均二次粒子径が0.1μmより小さくなると摺動性が不良となることがあり、逆に3.0μmより大きい場合はフィルム中に斑が発生し、引張強度、製膜性が不良となることがある。フィルム中のカーボンブラック粒子の平均二次粒子径は後述のように顕微鏡を用いて拡大した写真を観察することによって測定することができる。ここで、本発明においては平均粒子径とは、数平均粒子径を意味する。
本発明におけるカーボンブラック粒子のフィルム中における含有量は総重量に対して0.5〜35重量%、特に好ましくは3〜30重量%である。カーボンブラック粒子の含有量が0.5重量%未満の場合には、遮光性が不十分になることがあり、一方、含有量が35重量%を越えると製膜性が低下することがある。
カーボンブラック粒子を所定のポリエステルに含有せしめる方法としては、重合前、重合中、重合後のいずれに添加してもよいが、ポリエステルに押出機の中でカーボンブラック粒子を直接に溶融させ、分散せしめて添加するコンパウンド化するペレット方法が有効である。
本発明においては、ポリエステルと非相溶な樹脂を総重量に対して2〜40重量%含有することが好ましい。また、積層フィルムとする場合には、ポリエステル層(B)にポリエステルと非相溶な樹脂をポリエステル層(B)の総重量に対して2〜40重量%含有することが好ましい。上記範囲より少ない場合にはフィルムの軽量化の効果が少なくなることがあり、逆に上記範囲より多い場合には延伸時にフィルム破れ等が生じやすくなり生産性が低下することがある。この非相溶樹脂の添加はフィルム内部に該非相溶樹脂を核とした微細な気泡(ボイド)が多数形成され、クッション性を付与すると同時に積層フィルムの軽量化に大きく貢献することができる。
本発明でいう非相溶樹脂とは、ポリエステル以外の熱可塑性樹脂であって、かつ該ポリエステルに対して非相溶性を示す熱可塑性樹脂であり、ポリエステル中では粒子状に分散し、延伸によりフィルム中に気泡を形成せしめる効果が大きいものである。
かかる点から非相溶樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、ポリメチルペンテンのようなオレフィン系樹脂、ポリ乳酸系樹脂、スチレン系樹脂、ポリアクリレート樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアクリロニトリル樹脂、ポリフェニレンスルフィド樹脂、フッ素系樹脂などが好ましく用いられる。これらは2種以上の非相溶樹脂を併用してもよい。これらの中でもポリオレフィンが好ましが、特にポリメチルペンテンはポリエステルとの表面張力差が大きく、かつ融点が高いため、添加量当たりの気泡形成の効果が大きいという特徴があり、相溶樹脂として特に好ましいものである。
本発明の積層フィルムの密度は0.60g/cm3〜1.30g/cm3の範囲であることが必要であり、さらに0.60g/cm3〜1.10g/cm3の範囲が好ましい。この範囲よりも低くなると積層フィルムの機械的強度が低下する。本発明では、非相容樹脂の量を制御することによって上記密度範囲を達成することができる。積層フィルムとする場合には、ポリエステル層(B)の厚みをポリエステル層(A)の厚みよりも大幅に大きくしてボイド量を適切な範囲内で増やすことによって、積層フィルムの密度を小さくし、かつ、調節することができる。
本発明においては、フィルムの色調L値が30以下であることが必要である。この色調L値が30より大きいと反射光量が増す。カメラ部品の場合は、露光される光の一部が部品に当たるが、反射光量が増すことで反射光によるハレーションが強くなり画像の鮮明度を低下させる等の問題を生じることが多い。
本発明において、色調L値はJIS−K−7105規格に記載された測定方法によるものである。測定については、例えば、次のように行う。測定器として、SM−6−IS−2B(スガ試験機株式会社製)を使用し、フィルムの表面色を積分球式カラーメーターで測定して平均値を得る。サンプリング方法としては、カットシートのサイズが1000mm幅以上の時にはカットシート1枚につきフィルムの幅方向に両端部と中央部を等間隔に3カ所サンプリングしてN=2で測定をする。 一方1000mm幅未満の時にはカットシートの面積に合わせて両端部の2カ所または中央部1カ所につきサンプリングをしてN=3で測定する。また、サンプル面積は一定(10cm×10cm)になるようにサンプリングする。
また本発明においてフィルムの光学濃度は0.5〜6.5であることが必要であり、特に2.5〜6.5の範囲が好ましい。この光学濃度はフィルム中のカーボンブラック含有量によって大きく変動するが、さらにカーボンブラックの種類や粒子径によっても調整することができる。該光学濃度が0.5よりも小さいと、低膜厚時における遮光性が不十分になるために黒色の色調が低下し、光学的機能を発揮できなくなる。一方、6.5よりも大きくなると遮光性はよいが、カーボンブラックの混和性の影響からフィルムの引張り強度物性が低下して、製膜破れトラブルが出やすい。
この光学濃度はフィルム厚みに依存する。本発明の積層フィルム厚みは使用目的や用途によって様々であるが、通常は15〜500μmの範囲で使用できる。積層フィルム厚みに応じて本発明の光学濃度とするために、ポリエステル層(A)中のカーボンブラック含有量の調整し、積層フィルム厚みが5〜100μmの範囲ではこの方法によって遮光性を効果的に発揮させることができる。本発明は薄いフィルムでも遮光性の効果を発揮することができる。
光学濃度の測定には以下の方法を用いる。
垂直透過光束をフイルムに照射し、フイルムが無い時との比をlog(対数)で表示する。
濃度=log10 (F/F0)
Fは試料に入射した照明光束、F0は試料なしの照明光束。測定方法は光学濃度計はXRite361T(日本平板機械社製)を用いる。サンプル1枚につき、面積一定(5cm×5cm)になるようにサンプリングしてN=3で測定し平均値を出す。
また、ポリエステルフィルムの光学濃度斑は20%以下に抑えることが好ましい。この光学濃度斑は光学機能を満足させるために必要な特性であり、光学濃度斑が20%を越えると遮光性の不均一さから遮光部材用途への使用ができなくなる。高機能性を必要とする用途に対しては、光学濃度斑はより厳しくする必要があり、10%以下であることが好ましい。濃度斑は製膜方法との関連が大きいが、本発明で使用する極限粘度の相対的に大きいポリエステルを使用することによって光学濃度斑の低いフィルムを製膜することが可能になった。
本発明において、光学濃度斑とは、ポリエステルフィルムの10mサンプルから1m間隔に10枚切り分けて両端部、中央部の3カ所の真ん中から面積(5cm×5cm)で30枚のサンプリングをして光学濃度を1回ずつ測定し、30点の数値から平均値を求め最大値から最小値を引いた値を平均値で割り百分率で表した数値とする。
本発明では前記に述べた組成物を主成分とするが、本発明の目的を阻害しない範囲内で、他種ポリマーをブレンドしてもよいし、また酸化防止剤、熱安定材、滑剤、紫外線吸収剤、核生成剤などの無機または有機添加剤が通常添加される程度添加されていてもよい。
本発明において、遮光性積層ポリエステルフィルムの構成は3層構造が効果的である。すなわち、芯層部が前記ポリエステル層(B)、両表層部が前記ポリエステル層(A)の構成である。それぞれの厚みの比率は、ポリエステル層(A)/ ポリエステル層(B) / ポリエステル層(A)=1〜10 / 80〜98 / 1〜10が好ましい。ここで、ポリエステル層(B)の比率が80未満になると軽量化も効果が弱まり、一方、98を越えると遮光性が低下する不具合が生じやすい。
本発明において遮光性積層ポリエステルフィルムの引張強度が50MPa以上であることが好ましい。この範囲よりも低くなると遮光性積層フィルムの機械的強度が低下するために耐久性が低下し、本発明の目的を達成できなくなる。
本発明においては、ポリエステル層(A)とポリエステル層(B)を積層する方法としては、溶融製膜中の共押出により複合化する方法、あるいはそれぞれ別々に製膜した後、ラミネートする方法のいずれでもよいが、コストなどの点で前者の方法がより好ましい。
次に、本発明の遮光性積層ポリエステルフィルムの製造方法について説明するが、本発明はかかる例のみに限定されるものではない。
押出機(ア)と押出機(イ)を有する複合製膜装置において、ポリエステル層(B)を形成するため、乾燥したポリエステルのチップと、乾燥した非相溶樹脂とを混合したものを260〜300℃に加熱された押出機(イ)に供給し、溶融してTダイ複合口金内に導入する。この原料には、必要に応じて分散剤をポリエステル層(B)の総重量に対して0.05〜10重量%添加せしめてもよい。また、非相溶樹脂の添加は、予めマスターチップとしたものを乾燥して使用してもよい。
一方、ポリエステル層(A)に使用する樹脂としては、乾燥したポリエステルのチップと乾燥したカーボンブラックのマスターチップを所望のカーボンブラックの含有量となるように混合したものを260〜300℃に加熱された押出機(ア)に供給し、溶融してTダイ口金内に導入する。押出機(ア)のポリマーが前記した押出機(イ)のポリマーの表層(片面)あるいは両表層(両面)に来る様に積層してシート状に共押出成形し、溶融積層シートを得る。
この溶融積層シートを、表面温度10〜60℃に冷却されたドラム上で静電気により密着冷却固化し、未延伸積層フィルムを作製する。該未延伸積層フィルムを70〜120℃に加熱したロール群に導き、長手方向(縦方向、すなわちフィルムの進行方向)に2〜5倍延伸し、20〜30℃のロール群で冷却する。
続いて長手方向に延伸したフィルムの両端をクリップで把持しながらテンターに導き90〜150℃に加熱した雰囲気中で長手方向に垂直な方向(横方向)に2〜5倍延伸する。
延伸の面積倍率(縦延伸倍率×横延伸倍率)は6〜20倍であることが好ましい。面積倍率が6倍未満であると、得られるフィルムのフィルム強度が不十分となりやすく、逆に20倍を越えると延伸時に破れを生じやすくなる傾向がある。
こうして得られた二軸延伸積層フィルムは、結晶配向を完了させて平面性、寸法安定性を付与するためにテンター内にて150〜230℃で1〜30秒間の熱処理を行い、均一に徐冷後、室温まで冷やして巻き取ることにより、本発明の遮光性積層ポリエステルフィルムを得ることができる。
なお、上記熱処理工程中では必要に応じて横方向あるいは縦方向に3〜12%の弛緩処理を施してもよい。また、二軸延伸は逐次延伸あるいは同時二軸延伸のいずれでもよく、また二軸延伸後に、縦、横いずれか、あるいは両方向に再延伸してもよい。
延伸温度と倍率は、ポリエステル層(A)とポリエステル層(B)の積層比、あるいはポリエステル層(A)に添加する無機系微粒子の添加量に対応して、適宜選択することが好ましい。
このようにして得られた本発明の遮光性積層ポリエステルフィルムは、カメラ、ビデオカメラ、複写機、現像機等の各種光学装置の遮光部材として好適な特性を有している。
[特性の測定方法および評価方法]
(1)カーボンブラックの平均二次粒子径
遮光性積層ポリエステルフィルム表層、ポリエステル層(A)表面のカーボンブラックの平均二次粒子径を走査型電子顕微鏡S4000(株式会社日立ハイテクノロジーズ製)を使用しフイルム表面を1000倍に拡大した表面写真から、大きさ0.1μm〜10μmの粒径範囲内でカーボンブラックの平均二次粒子径を測定した数値である。
(2)密度
以下の式を用いて密度を決定する。
密度=(10枚の総重量)/(10枚の総体積)総体積=厚み×面積×サンプリング数。
サンプリング方法としては、カットシートのサイズが1000mm幅以上の時にはカットシート1枚につきフィルムの幅方向に両端部と中央部を等間隔に3カ所サンプリングしてN=2で測定をする。 一方1000mm幅未満の時にはカットシートの面積に合わせて両端部の2カ所または中央部1カ所につきサンプリングをしてN=3で測定する。 また、サンプル面積は一定(10cm×10cm)になるようにサンプリングし、それぞれ重量を測定する。
(3)色調L値
測定方法はJIS−K−7105規格を用い、測定器はSM−6−IS−2B(スガ試験機株式会社製)を使用した。フィルムの表面色を積分球式カラーメーターで測定するが、各箇所一回の測定値で平均値を出した。
サンプリング方法としては、カットシートのサイズが1000mm幅以上の時にはカットシート1枚につきフィルムの幅方向に両端部と中央部を等間隔に3カ所サンプリングしてN=2で測定をする。 一方1000mm幅未満の時にはカットシートの面積に合わせて両端部の2カ所または中央部1カ所につきサンプリングをしてN=3で測定する。 また、サンプル面積は一定(10cm×10cm)になるようにサンプリングする。
(4)光学濃度
光学濃度計はXRite361T(日本平板機械社製)を用い、ポリエステルフィルム試料に垂直透過光束を照射し試料が無い状態との比をlog(対数)で表したものを光学濃度とした。光束幅は直径1mmの円形ものとした。サンプル1枚につき、面積一定(5cm×5cm)になるようにサンプリングし、光学濃度をN=3で測定して平均値を出した。
(5)光学濃度斑
光学濃度計はXRite361T(日本平板機械製)を用いた。ポリエステルフィルムの10mサンプルから1m間隔に10枚切り分けて両端部、中央部の3カ所の真ん中から面積(5cm×5cm)で30枚のサンプリングをして光学濃度を1回ずつ測定し、30点の数値から平均値を求め最大値から最小値を引いた値を平均値で割り百分率で表した数値を使用する。
(6)引張強度
遮光性積層ポリエステルフィルムの引張強度は、テンシロン測定器を用いJIS−C−2151規格で評価して、50MPa以上であるものが実用レベルで良品、49MPa以下のものを脆く使用出来ない不良品とした。
(7)静摩擦係数
遮光性積層ポリエステルフィルムの滑り係数を測定方法ASTM−D−1894規格で評価した。静摩擦係数が0.4以下のものは安定性大であり、静摩擦係数が0.6以上であるものは抵抗が大きく不良とした。
(8)軽量化
通常のポリエステルフィルムの密度1.40g/cm3を100とした場合に対して、密度が小さくなったことによる軽量化度合いを百分率で表した数値を使用し比較する。
(9)静電気防止性
ポリエステルフィルムの表面比抵抗をJIS−C−2151規格で評価して1E+15Ω以下のものは静電気防止性に優れ、1E+17Ω以上のものは静電気を帯びて帯電斑が出易いので不良とした。
(10)遮光性
遮光性積層ポリエステルフィルムの光学濃度が0.5以上のものは非常に黒く遮光性優良であり、光学濃度が0.5以下のものは黒さに欠け遮光性に斑があるので不良とした。
[実施例]
本発明を実施例に基づいて説明するが、本発明は、以下の実施例に限定されるものではない。
実施例1
極限粘度[η]が0.70dl/gのポリエチレンテレフタレート(以降PETと省略)チップ97重量部と、マスターチップを用いてカーボンブラック3.0重量部を混合した。マスターチップは粒子径分布が上記のPETに、平均粒子径10〜50nmを有するカーボンブラック粒子(三菱化学(株)社製 ♯50)を均一に分散させた濃度5.0重量%のものを使用した。この混合原料を押出機(ア)に送り溶融させポリエステル層(A)を形成すると共に、押出機(イ)を有する複合製膜装置において、ポリエステル層(B)を形成するため、乾燥したポリエステルのチップと、乾燥した三井化学社品のポリメチルペンテン樹脂(以降PMPと省略)5.0重量%を混合したものを260〜300℃に加熱された押出機(イ)に供給し、溶融してTダイ複合口金内に導入した。Tダイ複合口金に導入した。溶融体シートを表面温度25℃に保たれた冷却ドラム上に静電荷法にて密着冷却固化させて未延伸フィルムとした。その後未延伸フィルムを85〜98℃に加熱したロール群に導き長手方向に3.3倍縦延伸した。続いて縦延伸されたフィルムの両端をクリップで把持しながらテンター内に導き130℃に加熱された雰囲気中で長手に垂直な方向に3.6倍横延伸した。その後テンター内で230℃の熱固定を行い、均一に徐冷後、室温まで冷やして巻き取り厚み50μmのフィルムを得た。一般的に単層のポリエステルフィルムの密度は1.40g/cm3であるが、この三層積層フィルムの密度は1.00g/cm3となり軽量化29%であった。このフィルムの軽量性は良レベルであった。
また、得られたポリエステルフィルムの特性は表1のとおりであった。評価項目として製膜性については工程内での安定性を、遮光性はXRite361Tによる光学濃度を評価基準とした。この遮光性積層ポリエステルフィルムは光学濃度6.0と遮光性が非常に良好であり、色調L値15.0であり黒色性が良く他のフィルム特性も良であった。
実施例2
実施例1において、ポリエステル層(B)のPMP含有量を10重量%に添加し、実施例1と同様に製膜して厚み50μmのフィルムを得た。このフィルムの光学濃度は6.0と優れ密度が0.85g/cm3で軽量化39%と実施例1よりも更に軽くなった。 このフィルムは実施例1に比べ特性、軽量性は良好、色調L値15であり同じ良レベルであった。
実施例3
実施例1において、ポリエステル層(B)のPMP含有量を15重量%に添加し、実施例1と同様に製膜して厚み50μmのフィルムを得た。このフィルムの光学濃度は6.0と遮光性に優れ、密度が0.75g/cm3と非常に軽く軽量化46%であり実施例2よりも更に軽くなった。このフィルム実施例2に比べ特性は良好であり軽量性は優良、色調L値15で黒色性が良く同じレベルであった。
実施例4
実施例1において、ポリエステル層(B)のPMP含有量を20重量%に添加し、実施例1と同様に製膜して厚み50μmのフィルムを得た。このフィルムの光学濃度は6.0と遮光性に優れ、密度が0.60g/cm3と非常に軽く軽量化57%であり実施例3よりも更に軽く優れている。このフィルムは実施例3に比べ特性は良好であり軽量性は非常に優良、色調L値15で黒色性が良く同じレベルであった。
実施例5
実施例1においてポリエステル層(A)、(B)には、カーボンブラック粒子の含有量が0.3重量%になるように添加した。実施例1と同様に製膜して厚み50μmのフィルムを得た。このフィルムの光学濃度は1.0、密度1.00g/cm3、軽量化29%であり実施例1に比べると遮光性に劣るが実用可能レベル、色調L値29で実用可能レベルのものができた。
実施例6
実施例1において、ポリエステル層(A)、(B)には、カーボンブラック粒子の含有量が30重量%に成るように添加した。またポリエステル層(B)のPMP含有量を5.0重量%に添加し実施例1と同様に製膜して厚み50μmのフィルムを得た。密度が1.00g/cm3、軽量化29%であり実施例1と同じレベルであるが、このフィルムの光学濃度は6.2と高く遮光性が非常に優れ、色調L値15で黒色性が良く実施例1と同じであった。
実施例7
実施例1において、ポリエステル層(A)、(B)には、カーボンブラック粒子の含有量が0.5重量%になるように添加した。ポリエステル層(A)には平均二次粒子径0.1μmのカーボンブラック粒子を使用し、実施例1と同様に製膜して厚み50μmのフィルムを得た。このフィルムの光学濃度は2.0、密度が1.00g/cm3と軽量化29%であり、色調L値17で黒色性が良く実施例1よりも遮光性がやや劣るが、実用可能レベルのものができた。
実施例8
実施例1において、ポリエステル層(A)、(B)には平均二次粒子径3.0μmのカーボンブラック粒子を使用し、実施例1と同様に製膜して厚み50μmのフィルムを得たが実施例1に比べ摩擦係数が少し低いものができた。このフィルムは色調L値14で黒色性が良く、密度が1.00g/cm3と軽量化29%であり実施例1と同じレベルである。このフィルムは遮光性が良いが製膜性がやや劣っていた。
実施例9
実施例1において、ポリエステル層(A)、(B)には、カーボンブラック粒子の含有量が0.5重量%になるように添加した。ポリエステル層(A)には平均二次粒子径0.9μmのカーボンブラック粒子を使用し、実施例1と同様に製膜して厚み25μmのフィルムを得た。このフィルムの光学濃度が1.0であり実施例1に比べると遮光性が劣るが実用可能レベルである。密度は1.00g/cm3、軽量化29%であり、色調L値15で黒色性が良く実施例1と同じであった。
実施例10
実施例7と同様の手法だが厚みを薄く製膜して15μmのフィルム厚みのものを得た。
このフィルムの光学濃度0.5であり遮光性は下限レベル、実用可能であるが製膜性がやや劣っていた。密度は1.00g/cm3、軽量化29%であり、色調L値15で黒色性が良く実施例1と同じであった。
実施例11
実施例1において、ポリエステル層(A)、(B)には、カーボンブラック粒子の含有量が0.5重量%に成るように添加した。またポリエステル層(B)のPMP含有量を15重量%に添加し実施例1と同様に製膜して厚み100μmのフィルムを得た。このフィルムの光学濃度は4.0と良い。密度が0.75g/cm3と非常に軽く軽量化46%であり実施例3と同じレベルであった。このフィルムの色調L値14であり黒色性が良いが、実施例1に比べ遮光性が劣っていた。軽量性は優良レベルであった。
比較例1
実施例1において、ポリエステル層(B)のPMP含有量を1.0重量%に添加し実施例1と同様に製膜して厚み50μmのフィルムを得た。このフィルムは、色調L値15で黒色性が良く実施例1と同じである。光学濃度が6.5以上と実施例1よりも遮光性が良いものの、密度が1.35g/cm3と重くなり、密度範囲を外れるので不良であった。
比較例2
実施例1において、ポリエステル層(B)のPMP含有量を0.5重量%に添加し実施例1と同様に製膜して厚み50μmのフィルムを得た。このフィルムは、色調L値は15で黒色性が良く実施例1と同じである。光学濃度が6.5以上と実施例1よりも遮光性が良いものの、比較例1に比べ更に密度が1.38g/cm3と重く、密度範囲を外れるので不良であった。
比較例3
実施例1において、ポリエステル層(B)のカーボンブラック粒子の含有量が0.1重量%に成るように添加した。またポリエステル層(B)のPMP含有量を45重量%に添加し実施例1と同様に製膜して厚み50μmのフィルムを得た。このフィルムは、色調L値35で黒色性が不良である。また、密度が0.30g/cm3と非常に軽いが、光学濃度が0.4と下限以下となり遮光性が不良である。実施例1に比べ製膜が安定せず、押し出し変動が発生して破れが頻発した。
実施例12
極限粘度[η]が0.70dl/gのPETチップ97重量部と、マスターチップを用いてカーボンブラック3.0重量部を混合した。この混合原料と乾燥したPMP5.0重量%を混合したものを押出機に供給し、実施例1と同様に溶融製膜、延伸して厚み50μmの単層フィルムを得た。一般的に単層のポリエステルフィルムの密度は1.40g/cm3であるが、このフィルムの密度は0.85g/cm3となり軽量化39%を達成し軽量性は良好である。この遮光性積層ポリエステルフィルムは光学濃度4.0と遮光性が良であり、色調L値15.0であり黒色性が良く他のフィルム特性も良であった。
Figure 0005298423

Claims (5)

  1. カーボンブラック粒子を含有するポリエステルフィルムであって、
    該フィルムの密度が0.60g/cm3〜1.10g/cm3、フィルムの色調L値が30以下、
    かつ光学濃度が0.5〜6.5である遮光性ポリエステルフィルムであって、
    前記遮光性ポリエステルフィルムが積層フィルムであり、
    カーボンブラック粒子およびポリエステルに非相溶な樹脂を含有するポリエステル層(B)の少なくとも片面に、カーボンブラック粒子を含有するポリエステル層(A)が積層され、
    前記ポリエステルに非相溶な樹脂がポリメチルペンテンであり、ポリエステル層(B)の総重量に対して15〜20重量%含有されてなる遮光性ポリエステルフィルム。
  2. 前記のポリエステルフィルム中に含有されるカーボンブラック粒子の平均二次粒子径が0.1〜3.0μmである請求項1に記載の遮光性ポリエステルフィルム。
  3. 引張強度が50MPa以上である請求項1または2に記載の遮光性ポリエステルフィルム。
  4. 3層の積層構造であって、芯層部が前記ポリエステル層(B)、両表層部が前記ポリエステル層(A)である請求項1〜3のいずれかに記載の遮光性ポリエステルフィルム。
  5. 光学装置の遮光部材に用いられる請求項1〜4のいずれかに記載の遮光性ポリエステルフィルム。
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