JP5298414B2 - 遮光性ポリエステルフィルム - Google Patents
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Description
特許文献1では光学センサー用材料としての用途であり、カーボン粉末が混入されている。特許文献2では磁気記録媒体に使用される遮光性ポリエステルフィルムであり、フィルム中に炭素質粒子を含有させて遮光性を付与せしめている。さらに、特許文献3においても磁気記録媒体用途ではあるが、特定の平均粒径のカーボンブラックが分散含有されており、さらに特許文献4では特定の極限粘度と融点を有するポリエステル中にカーボンブラックを分散させた金属板貼合せ加工用ポリエステルフィルムに関するものである。
またジオールとは、エチレングリコール、トリメチレングリコール、テトラメチレングリコール、シクロヘキサンジメタノールなどで代表されるものである。具体的には、ポリメチレンテレフタレート、ポリテトラメチレンテレフタート、ポリエチレン−p−オキシベンゾエート、ポリ−1,4−シクロヘキシレンジメチレンテレフタレート、ポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレートなどが挙げられる。
押出機を有する製膜装置において、乾燥したポリエステルのチップと乾燥したカーボンブラックのマスターチップを混合したものを260〜300℃に加熱された押出機に供給し、溶融してTダイ口金内に導入し押出成型する。この溶融シートを、表面温度10〜60℃に冷却されたドラム上で静電気により密着冷却固化し、未延伸フィルムを作製する。このようにして得られた未延伸フィルムはそのまま使用できる用途もあるが、主に縦方向および横方向に二軸延伸して必要最適な厚みのシートに成形される。延伸は、逐次二軸延伸しても良いし、同時に二方向に同時二軸延伸してもよい。また、さらに縦および/または横方向に再延伸を行ってもよい。 たとえば逐次二軸延伸の一例では、該未延伸フィルムを70〜120℃に加熱したロール群に導き、長手方向(縦方向、すなわちフィルムの進行方向)に2〜5倍延伸し、20〜30℃のロール群で冷却する。続いて長手方向に延伸したフィルムの両端をクリップで把持しながらテンターに導き90〜150℃に加熱した雰囲気中で長手方向に垂直な方向(横方向)に2〜5倍延伸する。延伸の面積倍率(縦延伸倍率×横延伸倍率)は6〜20倍であることが好ましい。面積倍率が6倍未満であると、得られるフィルムの強度が不十分となりやすく、逆に20倍を越えると延伸時に破れを生じやすくなる傾向がある。こうして得られた二軸延伸フィルムは、結晶配向を完了させて平面性や寸法安定性を付与するためにテンター内にて150〜238℃で1〜30秒間の熱処理工程を経て、均一に徐冷後、室温まで冷やして巻き取る工程を終了し適正サイズにスリット後、本発明の遮光性ポリエステルフィルム製品を得ることができる。なお、上記熱処理工程中では必要に応じて横方向あるいは縦方向に3〜12%の弛緩処理を施してもよい。また、この手法に近い未延伸シートを作製し同時二軸延伸する場合についても、延伸の面積倍率は6〜20倍であることが好ましい。 また二軸延伸後に、縦、横いずれか、あるいは両方向に再延伸してもよい。 その他、延伸温度と倍率はポリエステル中に添加するカーボンブラック粒子の添加量に対応して、適宜選択することが好ましい。
(1)ポリエステルフィルム中のカーボンブラックの平均二次粒子径
走査型電子顕微鏡S4000(株式会社日立ハイテクノロジーズ製)を使用しフイルム表面を1000倍に拡大した表面写真から、大きさを0.1μm〜10μmの観察範囲内について、カーボンブラックの平均二次粒子径を測定した数値である。
光学濃度計はXRite361T(日本平板機械製)を用い、遮光性ポリエステルフィルム試料に垂直透過光束を照射し試料が無い状態との比をlog(対数)で表したものを光学濃度とした。光束幅は直径1mmの円形もしくはそれ以上の広さのものとした。
光学濃度計はXRite361T(日本平板機械製)を用いた。フィルムの大きさ30センチ角に切り取り、光学濃度を均等間隔で10点測定した数値から平均値を求め、最大値から最小値を引いた値を平均値で割り百分率で表した数値を使用し比較する。
遮光性ポリエステルフィルムの光学濃度が5以上のものは非常に黒く遮光性優良であり、光学濃度が0.5以下のものは黒さに欠け遮光性に斑があるので不良である。
遮光性ポリエステルフィルムの滑り係数を測定方法ASTM−D−1894規格で評価した。安定性大のものは静摩擦係数が0.4以下であり、抵抗が大きく不良のものは静摩擦係数が0.6以上である。
遮光性ポリエステルフィルムの表面比抵抗をJIS−C−2151規各で評価して1E+15Ω以下で抵抗値の低いものは静電気防止性に優れるが、1E+17Ω以上で抵抗値が高いものは静電気を帯びて帯電斑が出易いので不良である。
遮光性ポリエステルフィルムの光沢度をJIS−K−7105規格で評価して、光沢度が95%以下と低い物はつや消し性良好であり、光沢度が110%以上に高い物は光沢がありすぎ不良となる。
遮光性ポリエステルフィルムの引っ張り強は、テンシロン測定器を用いJIS−C−2151規格で評価して、実用レベル180MPa以上であるものが良品、脆く使用出来ない140MPa以下の物が不良品である。
極限粘度[η]が0.70dl/gのポリエチレンテレフタレート(以降PETと省略)チップ97重量部と、マスターチップを用いてカーボンブラック3.0重量部を混合した。マスターチップは粒子径分布が上記のPETに、平均粒子径10〜50nmを有するカーボンブラック粒子(三菱化学社品 ♯50)を均一に分散させた濃度5.0重量%のものを使用した。その混合物を180℃で3時間真空乾燥した後に押出機に供給し、285℃で溶融してTダイ複合口金に導入した。溶融体シートを表面温度25℃に保たれた冷却ドラム上に静電荷法にて密着冷却固化させて未延伸フィルムとした。その後未延伸フィルムを85〜98℃に加熱したロール群に導き長手方向に3.3倍縦延伸した。続いて縦延伸されたフィルムの両端をクリップで把持しながらテンター内に導き130℃に加熱された雰囲気中で長手に垂直な方向に3.6倍横延伸した。その後テンター内で230℃の熱固定を行い、均一に徐冷後、室温まで冷やして巻き取り厚み45μmのフィルムを得た。フィルム中のカーボンブラック粒子の平均二次粒子径は0.9μmであった。
実施例1において、PETチップにカーボンブラック粒子の含有量が0.5重量%に希釈されるよう添加し、実施例1と同様の手法で製膜して厚み45μmのフィルムを得た。
実施例1において、PETチップにカーボンブラック粒子の含有量を35重量%に希釈されるよう添加し、実施例1と同様の手法で製膜して厚み45μmのフィルムを得た。
実施例1において極限粘度[η]0.60dl/gのポリエステルを使用し、カーボンブラック粒子の含有量が3.0重量%に成るように添加した。実施例1と同様の手法で製膜して厚み45μmのフィルムを得た。 このフィルムの光学濃度は6.0と高く、遮光性、摺動性が非常に良好であった。
実施例1において極限粘度[η]が0.80dl/gのポリエステルを使用し、カーボンブラック粒子の含有量が3.0重量%になるように添加した。実施例1と同様の手法で製膜して厚み45μmのフィルムを得た。 このフィルムの光学濃度上限の6.0と高く、遮光性、摺動性などが非常に良好であった。
実施例1において極限粘度[η]が0.85dl/gのポリエステルを使用し、カーボンブラック粒子の含有量が3.0重量%に成るように添加した。実施例1と同様の手法で製膜して厚み45μmのフィルムを得た。 このフィルムの光学濃度上限の6.0と高く、摺動性、つや消し性が非常に良好であった。
実施例1において、平均二次粒子径3.0μmのカーボンブラック粒子を使用したマスターチップを使用して実施例1と同様の手法で製膜して厚み45μmのフィルムを得た。このフィルムの光学濃度は6.0と高く遮光性が優れ、摺動性、静電気防止性など性能バランスが良かった。
実施例1において、平均二次粒子径0.1μmのカーボンブラック粒子を使用し、カーボンブラック粒子の含有量が3.0重量%になるように添加した。実施例1と同様の手法で製膜して厚み45μmのフィルムを得た。このフィルムの光学濃度は6.0と遮光性は高く、摺動性、静電気防止性など性能バランスが良好であった。
実施例1において、PETチップにカーボンブラック粒子の含有量を3.0重量%に希釈されるよう添加し、実施例1と同様の手法で製膜して厚み24μmのフィルムを得た。
実施例1において、PETチップにカーボンブラック粒子の含有量を35.0重量%に希釈されるよう添加し、実施例1と同様の手法で製膜して厚み24μmのフィルムを得た。
このフィルムの光学濃度が6.2と高く、フィルム特性が非常に良好であった。
実施例1と同様の手法で厚み5μmのフィルムを得た。このフィルムの光学濃度は0.5であるが、実用可能の範囲内であった。
実施例3と同様の手法で厚み5μmのフィルムを得た。このフィルムの光学濃度は5.0の光学濃度であり、良好な遮光性を有した。
実施例1において、極限粘度[η]が0.90dl/gのPETチップを使用し、実施例1と同様の手法で製膜して厚み45μmのフィルムを得た。このフィルムは光学濃度が6.0と遮光性が良いものの、製膜時に高粘度のため押し出し変動を発生して、光学濃度に斑が発生した。
実施例1において、PETチップに混入するカーボン粒子マスターチップの濃度40重量%に調整しフィルムを得た。このフィルムの光学濃度は6.7と非常に高かったが、引っ張り強度が低下して製膜時に破れが頻発した。
比較例2において厚み24μmのフィルムを得た。このフィルムの引っ張り強度が低下して製膜時に破れが頻発した。
比較例4において厚み3.0μmのフィルムを得た。 このフィルムは製膜時に破れが頻発する問題があった。
Claims (3)
- 極限粘度[η]が0.50〜0.85dl/gのポリエステルとカーボンブラック粒子とを用いた組成物を主たる成分とするフィルムであって、該フィルム中のカーボンブラック粒子含有量が0.5〜35重量%、該フィルムの光学濃度が0.5〜6.5、該フィルム中のカーボンブラック粒子の平均二次粒子径が0.1〜3.0μm、かつ光学濃度斑が20%以下であって、光学装置の遮光部材に用いられる遮光性ポリエステルフィルム。
- 前記のポリエステルフィルム中のカーボンブラック粒子含有量が3〜30重量%である請求項1に記載の遮光性ポリエステルフィルム。
- 前記のポリエステルフィルムの厚みが5μm〜50μmの範囲内にあり、かつ、光学濃度が2.5〜6.5の範囲内にある請求項1または2に記載の遮光性ポリエステルフィルム。
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