JP4715510B2 - 光拡散性フィルム - Google Patents

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Description

本発明は、液晶ディスプレイのバックライトユニット、照明装置等に用いられる光拡散性フィルム関する。
近年、液晶ディスプレイの技術進歩は目覚しく、パソコンやテレビ、携帯電話等の表示装置として広く用いられている。これらの液晶ディスプレイは、液晶表示ユニット単独では発光機能を有していないため、その裏面にバックライトユニットを設置して表示が可能になっている。
バックライトユニットには種々の方式があるが、2種に大別される。一般的に最も多い方式は、内部照光方式あるいは直下型といわれる方式で、光源が照光面の内側にある方式である。もう一方の方式は、エッジライト型といわれる方式で、光源が照光面の外に配置され、照光面である透明なアクリル樹脂板などからなる導光板の一辺あるいは二辺に蛍光ランプ(多くは冷陰極放電管)等の例えば略線状発光体を密着させ、反射体からなるランプカバーを設けて導光板内に光を導入する方式である。そして、ノート型パソコン等の小型ディスプレイ等、特に薄型化、軽量化が要求される場合には、エッジライト型バックライトユニットが広く用いられている。
エッジライト型バックライトユニットの導光板に求められる必要な機能は、端部より入射した光を前方に送る機能と、送られた光を液晶表示素子側に出射する機能である。前者の機能は、使用する材料および界面反射特性に応じて決まり、後者の機能は、全反射条件を回避する導光板表面の形状に応じて決まる。この全反射条件を回避する導光板表面の形状に関して、導光板表面に白色の拡散材を形成する方法と導光板表面にレンチキュラーあるいはプリズムのフレネル形状を形成する方法が知られている。しかしながら、これらの形状が形成された導光板から出射された光は、その形状に応じた不均一な光の分布を有している。従って、高品位の画像を得るために導光板上に光拡散性フィルムを設置し、光拡散層を通過する光を拡散、散乱させ、光出射面の輝度を均一にするよう試みられている。
さらに、バックライトユニットの正面輝度を向上させるため、光拡散性フィルムを透過して出射する光をできるだけ正面方向に集めるように、集光シートが用いられる。この集光シートは、表面にプリズム状やウェーブ状、ピラミッド状等の微小な凹凸が多数並んだ透明シートであり、光拡散性フィルムを透過した出射光を屈折させて正面に集め、照射面の輝度を向上させるようになっている。この様な集光シートは、上記光拡散性フィルムの表面側に、1枚もしくは2枚重ねで配設され使用される。
また、表示画面の高輝度化と低消費電力化のため、バックライトユニットの光が透過する各部材(導光板、光拡散性フィルム、集光シート等)には、光線透過率の高い材料が採用される等、光の損失を抑えて光利用効率を向上させる工夫がなされている。
上記のようなバックライトユニットに用いられる光拡散性フィルムとしては、例えば、(1)透明熱可塑性樹脂をシート状に成形後、表面に物理的に凹凸を付ける加工を施して得られたもの(例えば、特許文献1を参照)、(2)ポリエステル樹脂などの透明基材フィルム上に、微粒子を含有した透明樹脂からなる光拡散層をコーティングして得られたもの(例えば、特許文献2を参照)、(3)透明樹脂中にビーズを溶融混合し、これを押出し成形して得られたもの(例えば、特許文献3を参照)が、一般に用いられている。
特開平4−275501号公報 特開平6−59108号公報 特開平6−123802号公報
上記(1)および(2)で開示されている方法は、光線透過率と光拡散性のバランスがとれたフィルムが得られることより広く採用されている。しかしながら、後加工により光拡散層が形成されており低コスト化要求に関しては不利である。一方、上記(3)で開示されている方法で得られたフィルムやシートは耐熱性や耐溶剤性が劣るという問題がある。
また、上記の一般的な光拡散性フィルムに対し、光拡散性フィルムと他の光学機能性フィルムとの一体化によるバックライトユニットの小型化や、バックライトユニット構成・製造工程の簡略化、低コスト化を目的として、光拡散性フィルムの基材フィルムとして広く用いられている二軸延伸フィルム自体に光拡散性を持たせる試みも多く提案されている。
例えば、(4)ポリエステル樹脂と該樹脂に非相溶な樹脂を溶融混合して二軸延伸した、内部に気泡(ボイド)を含有するフィルム(例えば、特許文献4を参照)、(5)低結晶性の共重合ポリエステル樹脂に真球状シリカ粒子を混合して二軸延伸した、実質的にボイドを含有しないフィルム(例えば、特許文献5及び6を参照)、(6)低結晶性の共重合ポリエステル樹脂と該樹脂に非相溶な樹脂を溶融混合して二軸延伸した実質的にボイドを含有しないフィルム(例えば、特許文献7及び8を参照)、(7)低結晶性の共重合ポリエステル樹脂と該樹脂に非相溶な樹脂を溶融混合して二軸延伸した、内部に気泡(ボイド)を含有するフィルム(例えば、特許文献9を参照)、(8)非晶性の共重合ポリエステル樹脂と該樹脂に非相溶な樹脂を溶融混合した層と、結晶性ポリエステルからなる層とを共押出しして得た、二軸延伸積層フィルム(例えば、特許文献10及び11を参照)、等が開示されている。
特開平11−268211号公報 特開2001−272508号公報 特開2001−324606号公報 特開2002−162508号公報 特開2002−182013号公報 特開2002−196113号公報 特開2002−372606号公報 特開2004−354558号公報
しかしながら、上記の二軸延伸フィルム自体に光拡散性を持たせる試み(4)〜(8)では、耐熱性と光線透過率の両立という点で、透明基材フィルムに光拡散層を後加工する方法(1)及び(2)に及ばず、実用化には至っていない。
なぜなら、二軸延伸フィルム自体に光拡散性を持たせる方法において、光拡散性能と光線透過率の両立をはかるためには、フィルムの二軸延伸工程におけるボイド(気泡)の発生を抑制する必要がある。しかしながら、マトリックスポリマーとして結晶性のポリエステル樹脂を用いた場合(4)には、優れた耐熱性は得られるものの、マトリックスポリマーと非相溶樹脂あるいは粒子との界面に、ボイドを多発させてしまう。このようにして生じたボイドは、フィルム表面に対して平行な平板状の形態を有しているため、これを光拡散性フィルムとしてバックライトユニットに用いた場合には、導光板から出射した光を後方散乱させて光線透過率を損なってしまう。
一方、マトリックスポリマーとして、結晶性のポリエステル樹脂を用いた場合(5)〜(7)には、その非晶性の程度により、ボイドの発生は抑制され、優れた光線透過率が得られる。しかしながら、結晶性二軸延伸ポリエステルフィルムの特徴である耐熱性は得られず、高温での加工や高温環境での使用において、著しい寸法変化や平面性の悪化を生じ、バックライトユニットにおける光出射面の輝度を均一にするという、光拡散性フィルムの本来目的が達成できない。
また、非晶性の共重合ポリエステル樹脂と該樹脂に非相溶な樹脂を溶融混合した層と、結晶性ポリエステルからなる層とを共押出しして得た、二軸延伸積層フィルム(8)では、一定の耐熱性向上効果は得られるものの、本質的な耐熱性の改善効果は得られない。なぜなら、結晶性の異なる層を積層した場合には、線膨張率や加熱収縮率の異なるフィルムが積層された、いわゆる、バイメタル状の構造となる。そのため、後加工工程での熱処理によりカールが生じる場合や、液晶ディスプレイの使用環境(温度)によってカールが生じる場合があり、バックライトユニットにおける光出射面の輝度が不均一になってしてしまうからである。
本発明の目的は、二軸延伸フィルム本来の優れた耐熱性と機械的強度を有し、かつ優れた光線透過率と光拡散性とを有する光拡散性フィルムの製造方法及びそれから得られた光拡散性フィルムを提供することにある。
本発明の第1の発明は、結晶性ポリエステル50〜99質量部と、無機粒子1〜50質量部を含む混合物からなる未延伸シートを二軸延伸して得られる光拡散層を有する光拡散性フィルムであり、前記結晶性ポリエステルの融点が230℃以上であり、全光線透過率が85%以上、ヘーズが50%以上、150℃における寸法変化率が縦方向及び横方向とも3%以下、引張強さが縦方向及び横方向とも100MPa以上であり、前記二軸延伸を縦方向及び横方向にそれぞれ、2.5倍以上の延伸倍率で、かつ100%/秒未満の延伸速度で行うことを特徴とする光拡散性フィルムある。
第2の発明は、前記の無機粒子の屈折率が1.35〜1.85であり、かつ前記の結晶性ポリエステルの屈折率との差の絶対値が0.01以上であることを特徴とする第1の発明に記載の光拡散性フィルムある。
また、第3の発明は、前記の二軸延伸を、同時二軸延伸機を用いて行うことを特徴とする第1の発明に記載の光拡散性フィルムある。
さらに、第4の発明は、前記結晶性ポリエステルがポリエチレンテレフタレートであることを特徴とする第1〜3のいずれかの発明に記載の光拡散性フィルム。
本発明の光拡散性フィルムは、光拡散層のマトリックスポリマーとして結晶性ポリエステルを用いているので、二軸延伸フィルム本来の優れた耐熱性と機械的強度を有している。さらに、フィルムの二軸延伸を、縦方向及び横方向に2.5倍以上の延伸倍率で行い、かつ両方向の延伸をいずれも100%/秒未満の延伸速度で行っているため延伸に伴ボイドの発生が抑制され、優れた光線透過率と光拡散性とを両立させることができる。
本発明の光拡散性フィルム、結晶性ポリエステル50〜99質量部と無機粒子1〜50質量部を含む混合物からなる未延伸シートを二軸延伸して得られる光拡散層を有する光拡散性フィルムであり、前記結晶性ポリエステルの融点が230℃以上であり、全光線透過率が85%以上、ヘーズが50%以上、150℃における寸法変化率が縦方向及び横方向とも3%以下、引張強さが縦方向及び横方向とも100MPa以上であり、前記二軸延伸を縦方向及び横方向にそれぞれ2.5倍以上の延伸倍率で行い、かつ両方向の延伸をいずれも100%/秒未満の延伸速度で行うことを特徴とする。
まず、本発明の光拡散性フィルムを製造する際に用いる原料について、次いでフィルムの製造条件及び製造方法について詳細に説明する。
(原料)
(1)結晶性ポリエステル
本発明で光拡散層の原料として用いることができる結晶性ポリエステルとは、その結晶融解熱が10mJ/mg以上であることが重要である。結晶融解熱が10mJ/mg未満の場合には、二軸延伸フィルムの耐熱性が低下し、後加工工程での熱処理や液晶ディスプレイの使用環境(温度)によってカールが生じる場合や、機械的強度が不十分となる場合がある。どちらの場合であっても、二軸延伸フィルム本来の優れた耐熱性と機械的強度を両立させることが困難となる。なお、より好ましい結晶融解熱の下限値は15mJ/mgであり、さらに好ましい下限値は20mJ/mg、最も好ましい下限値は30mJ/mgである。
また、本発明の結晶性ポリエステルの融点は230℃以上、最も好ましくは240℃以上である
ここで、ポリエステルとは、テレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸などの芳香族ジカルボン酸又はそのエステルとエチレングリコール、ジエチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコールなどのグリコールとを重縮合させて製造されるポリエステルである。これらのポリエステルは芳香族ジカルボン酸とグリコールとを直接反応させる直重法のほか、芳香族ジカルボン酸のアルキルエステルとグリコールとをエステル交換反応させた後、重縮合させるエステル交換法か、あるいは芳香族ジカルボン酸のジグリコールエステルを重縮合させるなどの方法によって製造することができる。
前記のポリエステルの代表例として、ポリエチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートあるいはポリエチレン−2,6−ナフタレートが挙げられる。前記のポリエステルはホモポリマーであってもよく、第三成分を共重合したものであってもよい。これらのポリエステルの中でも、エチレンテレフタレート単位、あるいはエチレン−2,6−ナフタレート単位が70モル%以上、好ましくは80モル%以上、さらに好ましくは90モル%以上であるポリエステルが好ましい。
(2)無機粒子
本発明で光拡散層に含有させる無機粒子は、屈折率が1.35〜1.85であることが好ましい。前記無機粒子の屈折率の下限は1.40がより好ましく、上限は1.80がより好ましい。上記範囲を超えた場合、光線透過率と光拡散性のバランスが取れなくなるので好ましくない。また、該無機粒子の屈折率は、上記範囲を満たし、かつ前記した結晶性ポリエステルの屈折率と異なることが好ましい。無機粒子と結晶性ポリエステルの屈折率が同一であると、結晶性ポリエステルと無機粒子の界面において屈折散乱現象が起こらず、結果として所望の光拡散効果が得られない。
さらに、実質的に有効な光拡散性を得るために、結晶性ポリエステルと無機粒子の屈折率の差の絶対値が0.01以上あることが好ましい。屈折率の差の絶対値が0.01未満では光拡散効果が小さく、良好な拡散効果を得るためには、多量の無機粒子の添加やフィルムの厚みを厚くすることなどが必要となり、フィルムの機械的強度が弱くなる場合や、所望の膜厚より厚すぎるなどの影響があるため、好ましくない。
上記特性を有する無機粒子としては、シリカ、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、アルミナ、カオリナイト、タルク等が挙げられる。
上記無機粒子の平均粒子径は、通常0.1〜50μmが好ましい。0.5〜30μmがより好ましく、1〜20μmがさらに好ましい。平均粒径が0.1μm未満では良好な光拡散効果が得られない。逆に、50μmを超えた場合はフィルム強度の低下等に繋がるので好ましくない。該無機粒子の粒度分布はできる限りシャープなものを用いるが好ましい。粒度分布を広げる必要が生じた場合は、シャープな粒度分布の粒子を複数数配合して対応するのが好ましい。該対応によりフィルムの欠点となる粗大粒子径の粒子の混入を抑制することができる。
なお、前記の粒子の平均粒径の測定は下記方法により行う。
粒子を走査型電子顕微鏡(SEM)で写真を撮り、最も小さい粒子1個の大きさが2〜5mmとなるような倍率で、300〜500個の粒子の最大径を測定し、その平均値を平均粒径とする。また、フィルム中に含有する粒子の最大径を測定し、その平均値を平均粒径とする。
前記の無機粒子の形状は限定されないが、実質的に球状あるいは真球状が好ましい。また、該粒子は無孔または多孔タイプのいずれでもよい。さらに、両者を併用してもよい。
前記の無機粒子の混合比率は、結晶性ポリエステル100質量部に対して1〜50質量部が好ましい。より好ましくは4〜40質量部であり、特に好ましくは8〜30質量部である。混合比率が1質量部未満の場合には、光拡散性能が不足する。一方、混合比率が50質量部を超える場合には、フィルムの二軸延伸時に無機粒子が脱落しやすく、異物の原因となるので好ましくない。
本発明においては、上記無機粒子と共に、非溶融性ポリマー粒子を併用してもよい。該非溶融性ポリマー粒子とは、Stanford Research Systems社製MPA100型融点測定装置を用いて350℃まで10℃/分で昇温し観察した時に粒子の融解による流動変形が起こらないものであればその組成や形状は問わない。例えば、アクリル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、フッ素系樹脂、尿素系樹脂、メラミン系樹脂および有機シリコーン系樹脂等が挙げられる。形状は実質的に球状あるいは真球状が好ましい。また、該粒子は無孔または多孔タイプのいずれでもよい。さらに、両者を併用してもよい。
上記非溶融性ポリマー粒子の屈折率は、上記無機粒子と同等の屈折率を有するのが好ましい。また、上記の非溶融性ポリマー粒子を併用する場合の混合割合は、無機粒子と非溶融性ポリマー粒子との総量が、結晶性ポリエステル100質量部に対して1〜50質量部であることが好ましい。より好ましくは4〜40質量部であり、特に好ましくは8〜30質量部である。
また、本発明においては、必要に応じて、結晶性ポリエステルに非相溶性の熱可塑性樹脂を混合して使用してもよい。該結晶性ポリエステルに非相溶性の熱可塑性樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン、各種の環状オレフィン系ポリマー等のポリオレフィン、ポリカーボネート、アタクティックポリスチレン、シンジオタクティックポリスチレン、アイソタクティックポリスチレン等のポリスチレン、ポリアミド、ポリエーテル、ポリエステルアミド、ポリフェニレンスルフィド、ポリフェニレンエーテル、ポリエーテルエステル、ポリ塩化ビニル、ポリメタクリル酸エステル等のアクリル樹脂、及びこれらを主たる成分とする共重合体、またはこれらの樹脂の混合物等が挙げられる。該結晶性ポリエステルに非相溶性の熱可塑性樹脂を併用する場合の混合割合は、無機粒子と結晶性ポリエステルに非相溶性の熱可塑性樹脂との総量が、結晶性ポリエステル100質量部に対して1〜50質量部であることが好ましい。より好ましくは4〜40質量部であり、特に好ましくは8〜30質量部である。
本発明において、上記の結晶性ポリエステルと無機粒子、非溶融性ポリマー粒子または非相溶性の熱可塑性樹脂の混合は、結晶性ポリエステルの製造工程で行ってもよいし、フィルム製造段階で結晶性ポリエステルと無機粒子、非溶融性ポリマー粒子または非相溶性の熱可塑性樹脂を溶融混練して調製してもよい。
(二軸延伸フィルムの製造)
本発明の光拡散性フィルムの製造方法では、フィルムの二軸延伸を特定の延伸条件、特に縦方向及び横方向ともにゆっくりとした延伸速度で行うことに特徴がある。
以下、本発明の光拡散性フィルムの好適な製造方法について、光拡散層の原料である結晶ポリエステルとして、ポリエチレンテレフタレート(以下、PETと記す)のペレットを用いた代表例について詳しく説明するが、当然これに限定されるものではない。
前記のペレットを移送するには通常、所定の配管を用いて空送で行うがこの際の空気は埃混入防止のため、HEPAフィルターを用い、清浄化された空気を用いることが好ましい。この際に用いるHEPAフィルターは公称濾過精度0.5μm以上の埃を95%以上カットの性能を有するフィルターを用いることが好ましい。
まず、フィルム原料として、ポリエステルと、ポリエステルに非相溶性の熱可塑性樹脂をそれぞれ、真空乾燥あるいは熱風乾燥によって、水分率が100ppm未満となるように乾燥する。次いで、各原料を計量、混合して押し出し機に供給し、シート状に溶融押出を行う。さらに、溶融状態のシートを、静電印加法を用いて回転金属ロール(キャスティングロール)に密着させて冷却固化し、未延伸PETシートを得る。
この際、押出機の溶融部、混練り部、ポリマー管、ギアポンプ、フィルターまでの樹脂温度を280〜290℃、その後のポリマー管、フラットダイまでの樹脂温度を270〜295℃に制御することが、劣化物等の異物の発生を抑制するために好ましい。
また、溶融樹脂が280℃に保たれた任意の場所で、樹脂中に含まれる異物を除去するために高精度濾過を行う。溶融樹脂の高精度濾過に用いられる濾材は、特に限定はされないが、ステンレス焼結体の濾材の場合、Si、Ti、Sb、Ge、Cuを主成分とする凝集物及び高融点有機物の除去性能に優れ好適である。高精度濾過を行う上で、溶融樹脂の温度が280℃より低い場合、濾圧が上昇するため、原料樹脂の吐出量を低くするなどの対応が必要となり、生産性が低下する。
さらに、濾材の濾過粒子サイズ(初期濾過効率95%)は、20μm以下、特に15μm以下が好ましい。濾材の濾過粒子サイズ(初期濾過効率95%)が20μmを超えると、20μm以上の大きさの異物が十分除去できない。濾材の濾過粒子サイズ(初期濾過効率95%)が20μm以下の濾材を用いて溶融樹脂の高精度濾過を行うことにより、生産性が低下する場合があるが、粗大粒子による突起の少ないフィルムを得る上で重要な工程である。
原料ポリマー中に存在する異物がフィルム内部に存在すると、製膜時の延伸工程でこの異物の周囲でポリエステル分子の配向が乱れ、光学的歪みが発生する。この光学的歪みのため、実際の異物の大きさよりもかなり大きな欠点として認識されるため、著しく品位を損なう。例えば、大きさ20μmの異物でも、光学的には50μm以上の大きさとして認識され、さらには100μm以上の大きさの光学欠点として認識される場合もある。
本発明の光拡散性フィルムの層構成は、光拡散層(A)を有しておれば、単層であってもよく、複層構成であっても良いが、得られた光拡散性フィルムに後加工を施し、他の光学機能性、例えばプリズムシートとしての機能を併せ持たせるためには、複層構成とすることが好ましい。その場合、ポリエステルに非相溶性の熱可塑性樹脂を実質的に含まないポリエステル層(B)を、光拡散層(A)の片面または両面に、共押出し法を用いて積層すればよい。
光拡散層(A)とポリエステル層(B)とを共押出し積層するためには、2台以上の押出し機を用いて、各層の原料を押出し、多層フィードブロック(例えば角型合流部を有する合流ブロック)を用いて両層を合流させ、スリット状のダイからシート状に押出し、キャスティングロール上で冷却固化せしめて未延伸フィルムを作る。あるいは多層フィードブロックを用いる代わりにマルチマニホールドダイを用いても良い。
この場合の積層比率について、光拡散層(A)の全厚みに対する比率は3〜50%が好ましく、さらには10〜30%がより好ましい。光拡散層(A)の比率が3%より小さい場合は、不均一な光拡散性能しか得られない。一方、光拡散層(A)の全厚みに対する比率が50%を超えると、ポリエステル層(B)の表面平滑性が低下し、ポリエステル層(B)表面への後加工、例えばプリズムシート加工が困難となる。
また、本発明の光拡散性フィルムを複層構成とする場合には、少なくともポリエステル層(B)の表面に、塗布量が0.005〜0.20g/m2の易接着層を設けることが好ましい。
この場合、前記の方法によって得られた未延伸フィルムに易接着層を設けた後、同時二軸延伸を行う。また、逐次延伸法で行う場合、縦または横方向に一軸延伸したフィルムに易接着層を設けた後、直交方向に延伸し、二軸延伸を行う。
易接着層形成用塗布液を未延伸フィルムまたは一軸延伸フィルムに塗布するための方法は、公知の任意の方法から選択することが出来、例えば、リバースロールコート法、グラビアコート法、キスコート法、ダイコーター法、ロールブラッシュ法、スプレーコート法、エアナイフコート法、ワイヤーバーコート法、パイプドクター法、含浸コート法、カーテンコート法、などが挙げられ、これらの方法を単独で、あるいは組み合わせて塗工する。
易接着層を構成する樹脂は、光拡散性フィルム用途において、他の部材などとのより優れた接着性を確保する観点から、共重合ポリエステル樹脂、ポリウレタン系樹脂、およびアクリル系樹脂よりなる群から選択される1種以上を主成分とするものであることが好ましい。なお、易接着層における上記「主成分」とは、該層を構成する樹脂100質量%中、上に列挙した樹脂の少なくとも1種が50質量%以上であることを意味する。なお、易接着層中に、粒子を含有させてもよい。
次に、前記の方法で得られた未延伸フィルムを同時二軸延伸または逐次二軸延伸し、次いで熱処理を行う。
前記の二軸延伸は、縦、横、両方向に2.5倍以上の延伸倍率で行うことが重要である。縦方向または横方向のいずれかの延伸倍率が2.5倍未満の場合は、二軸延伸フィルム本来の優れた耐熱性と機械的強度が得られず、また、フィルムの厚み均一性が不十分になる。本発明における好ましい延伸倍率の下限は2.8倍、より好ましい下限は3.0倍である。また、延伸倍率の好ましい上限は6.0倍である。
また、本発明における二軸延伸は、二軸延伸機を用いて、縦、横両方向の延伸をいずれも100%/秒未満の延伸速度で行うことが、特に重要である。本発明における延伸速度とは、単位時間当たりのフィルムの変形率を、未延伸フィルムの寸法を基準として表したものであり、縦方向、及び横方向の延伸速度(単位:%/秒)は、それぞれ下記式によって定義される
縦方向延伸速度(%/秒)=フィルム走行時の加速度(m/秒/秒)
÷未延伸フィルムの速度(m/秒)×100
横方向延伸速度(%/秒)=1秒間当たりの幅変化率(m/秒)
÷未延伸フィルムの幅(m)×100
そして、縦方向、及び横方向の、延伸開始から延伸終了までの全ての延伸を、100%/秒未満の延伸速度で完了させる。この延伸速度の条件は、本発明の最も重要な要件であり、これによって初めて、結晶性ポリエステルをマトリックスポリマーとして用いつつ、延伸ボイドの発生を抑制し、優れた光線透過率と、二軸延伸ポリエステルフィルム本来の耐熱性、機械的強度とを両立した光拡散性二軸延伸フィルムを得ることが可能となる。
一方、縦、横、何れかの方向において、100%/秒を超える延伸速度では、延伸時に発生するボイドを抑制することが困難となり、光線透過率が不良となる。
一方、延伸速度の下限は制限されないが、延伸速度を必要以上に遅くすると、工業的規模でのフィルムの生産において、フィルムの生産性が低下する、あるいは過剰な設備投資が必要となるため好ましくない。したがって、本発明においては、延伸開始から延伸終了の間の最高延伸速度を、5%/秒以上とすることが好ましく、さらには、10%/秒以上とすることが好ましい。
一般的に行われる逐次二軸延伸法において、縦方向の延伸はロール方式の延伸機が用いられる。しかしながら、ロール方式の延伸は極めて延伸速度が早く、本発明の効果を得ることが困難である。
前記のような縦方向及び横方向の延伸速度に制御することが可能な二軸延伸機としては、クリップによってフィルム両端を把持した状態でテンターに導き、クリップ間の幅およびクリップの搬送速度を制御することにより、縦・横両方向に連続延伸可能な機構を備えたテンター方式の二軸延伸機が好適である。当該機能を有する設備であれば、そのクリップ搬送機構は任意であり、特に制約されるものではないが、リニアモーター方式やパンタグラフ方式、或いはスクリュー方式を採用することができる。
また、テンター方式の二軸延伸において、延伸方法は縦・横、あるいは横・縦の逐次二軸延伸法でも、縦方向と横方向に同時に延伸する、いわゆる同時二軸延伸法でもよい。さらに、縦方向または横方向に多段階に延伸を行ってもかまわない。ただ、同時二軸延伸法のほうが、二軸延伸を同時に行えるため、比較的コンパクトな設備で行えるという利点がある。
なお、フィルムの二軸延伸に際し、その延伸温度や熱処理温度、時間等の細部条件は、マトリックスポリマーの特性やフィルムに要求される特性、例えば屈折率等の光学特性、力学的特性、寸法変化率等の熱的特性、所望の結晶化度、等に応じて適宜選択することが可能であり、特に制約されるものではない。PETをマトリックスポリマーとして用いる場合の好ましい延伸温度は80℃〜110℃であり、好ましい熱処理温度は180〜250℃、好ましい熱処理時間は10〜100秒である。また、熱処理と同時または熱処理後に、縦方向および/または横方向の緩和処理を施してもかまわない。
(光拡散性フィルムの特性)
前述の方法で得られる光拡散性フィルムの特性は、全光線透過率が85%以上、ヘーズが50%以上、150℃における寸法変化率が縦、横ともに3%以下、引張強さが縦、横ともに100MPa以上であるという特徴を有している。
なお、本発明の光拡散性フィルムにおける全光線透過率の好ましい下限は86%、特に好ましい下限は87%である。
また、本発明の光拡散性フィルムにおけるヘーズの、好ましい下限は60%、好ましい上限は100%である。
また、150℃における寸法変化率の好ましい上限は2%、より好ましい上限は1.0%、さらに好ましい上限は0.5%、最も好ましい上限は0.3%である。
また、引張強さの好ましい下限は110MPa、さらに好ましい下限は140MPa、特に好ましい下限は150MPaである。
次に、本発明の効果を実施例および比較例を用いて説明する。まず、本発明で使用した特性値の評価方法を下記に示す。
[評価方法]
(1)ポリエステル樹脂の固有粘度
JIS K 7367−5に準拠し、溶媒としてフェノール(60質量%)と1,1,2,2−テトラクロロエタン(40質量%)の混合溶媒を用い、30℃で測定した。
(2)結晶融解熱量および融点
示差走査型熱量計(エスアイアイ・ナノテクノロジー社製、DSC6220型)を用いて求める。窒素雰囲気下、サンプルを300℃で5分間加熱溶融した後、液体窒素で急冷し、その10mgを20℃/分の速度で昇温させてゆき、結晶の融解に伴なう吸熱ピークの面積から融解熱を求め、これをサンプル質量で割って結晶融解熱量を算出した。また、該吸熱ピークの頂点を融点とした。
(3)溶融粘度
樹脂温度285℃、剪断速度100/秒における溶融粘度を、フローテスター(島津製作所製、CFT−500)を用いて測定した。なお、剪断速度100/秒での溶融粘度の測定は、剪断速度を100/秒に固定して行うことが困難であるため、適当な荷重を用いて、100/秒未満の任意の剪断速度および当該速度よりも大きい任意の剪断速度で溶融粘度を測定し、縦軸に溶融粘度、横軸に剪断速度をとり、両対数グラフにプロットした。前記の2点を直線で結び、内挿により剪断速度100/秒での溶融粘度(単位:ポイズ)を求めた。
(4)フィルムの厚み
JIS K 7130「プラスチック−フィルム及びシート−厚さ測定方法」機械的走査による測定方法(A法)に準拠して測定した。測定器は電子マイクロメーター(マール社製、ミリトロン1240)を用いた。
(5)ヘーズ、全光線透過率
JIS K 7105「プラスチックの光学的特性試験方法」ヘーズ(曇価)に準拠して測定した。測定器には、日本電色工業社製NDH−300A型濁度計を用いた。
(6)引張強さ
JIS C 2318−1997 5.3.3(引張強さ及び伸び率)に準拠して測定した。
(7)寸法変化率
JIS C 2318−1997 5.3.4(寸法変化)に準拠して測定した。
(8)カール
前記寸法変化率を測定した後のサンプルを目視で評価した。
実施例1
(1)PET樹脂(M1)の製造
エステル化反応缶を昇温し、200℃に到達した時点で、テレフタル酸を86.4質量部及びエチレングリコールを64.4質量部からなるスラリーを仕込み、攪拌しながら触媒として三酸化アンチモンを0.017質量部及びトリエチルアミンを0.16質量部添加した。次いで、加圧昇温を行いゲージ圧3.5kg/cm2、240℃の条件で、加圧エステル化反応を行った。その後、エステル化反応缶内を常圧に戻し、酢酸マグネシウム4水和物0.071質量部、次いでリン酸トリメチル0.014質量部を添加した。
さらに、15分かけて260℃に昇温し、リン酸トリメチル0.012質量部、次いで酢酸ナトリウム0.0036質量部を添加した。15分後、得られたエステル化反応生成物を重縮合反応缶に移送し、減圧下260℃から280℃へ徐々に昇温し、285℃で重縮合反応を行った。重縮合反応終了後、95%カット径が5μmのナスロン製フィルターで濾過処理を行い、ノズルからストランド状に押出し、予め濾過処理(孔径:1μm以下)を行った冷却水を用いて冷却、固化させ、ペレット状にカットした。
得られたPET樹脂(M1)は、結晶融解熱が35mJ/mg、融点が257℃、固有粘度が0.616dl/g、Sb含有量が144ppm、Mg含有量が58ppm、P量が40ppm、カラーL値が56.2、カラーb値が1.6であり、不活性粒子及び内部析出粒子は実質上含有していなかった。
(2)シリカ粒子マスターバッチ(M2)の製造
平均粒子径が5μmでほぼ単分散で球状のシリカ粒子(屈折率1.46)30質量部と、上記のPET(屈折率1.60)(M1)70質量部を混合し、ベント式二軸押出機に供給、混練して溶融押出し、得られたストランドを冷却、切断して、シリカ粒子マスターバッチ(M2)を調製した。
(3)塗布液(M3)の調製
ジメチルテレフタレート95質量部、ジメチルイソフタレート95質量部、エチレングリコール35質量部、ネオペンチルグリコール145質量部、酢酸亜鉛0.1質量部および三酸化アンチモン0.1質量部を反応容器に仕込み、180℃で3時間かけてエステル交換反応を行った。次に、5−ナトリウムスルホイソフタル酸6.0質量部を添加し、240℃で1時間かけてエステル化反応を行った後、250℃で減圧下(10〜0.2mmHg)、2時間かけて重縮合反応を行い、数平均分子量19,500、軟化点60℃の共重合ポリエステル系樹脂を得た。
得られた共重合ポリエステル系樹脂(A)の30質量%水分散液を7.5質量部、重亜硫酸ソーダでブロックしたイソシアネート基を含有する自己架橋型ポリウレタン系樹脂(B)の20質量%水溶液(第一工業製薬製、エラストロンH−3)を11.3質量部、エラストロン用触媒(第一工業製薬製、Cat64)を0.3質量部、水を39.8質量部およびイソプロピルアルコールを37.4質量部、それぞれ混合した。
さらに、フッ素系ノニオン型界面活性剤(大日本インキ化学工業製、メガファックF142D)の10質量%水溶液を0.6質量部、粒子Aとしてコロイダルシリカ(日産化学工業製、スノーテックスOL;平均粒径40nm)の20質量%水分散液を2.3質量部、粒子Bとして乾式法シリカ(日本アエロジル製、アエロジルOX50;平均粒径200nm、平均一次粒径40nm)の3.5質量%水分散液を0.5質量部添加した。次いで、5質量%の重曹水溶液で塗布液のpHを6.2に調整し、濾過粒子サイズ(初期濾過効率:95%)が10μmのフェルト型ポリプロピレン製フィルターで精密濾過し、塗布液(M3)を調整した。
(4)光拡散性フィルムの製造
光拡散層(A)の原料としてPET(M1)70質量部と、シリカ粒子バッチ(M2)30質量部とを、それぞれ135℃で6時間減圧乾燥(1Torr)した後、混合し、押出機2に供給した。また、B層の原料としてPET(M1)を135℃で6時間減圧乾燥(1Torr)した後、押出機1に供給した。押出機2、及び押出機1に供給された各原料を、押出機の溶融部、混練り部、ポリマー管、ギアポンプ、フィルターまでの樹脂温度は280℃、その後のポリマー管では275℃とし、2層合流ブロックを用いて積層し、口金よりシート状に溶融押出した。
なお、A層とB層との厚み比率は、25対75となるように、各層のギアポンプを用いて制御した。また、口金の温度は、押出された樹脂温度が275℃になるように制御した。
そして、押し出した樹脂を、表面温度30℃の冷却ドラム上にキャスティングして静電印加法を用いて冷却ドラム表面に密着させて冷却固化し、厚さ1.3mmの未延伸フィルムを作成した。このとき、B層面を冷却ドラムに接する面とした。
次いで、得られた未延伸フィルムの片面(B層面)に易接着層を塗布した。塗布液には、前記塗布液(M3)を濾過粒子サイズ5μm(初期濾過効率95%)のフェルト型ポリプロピレン製濾材で精密濾過を行ったものを用いた。また、塗布方法にはリバースロール法を採用し、Wet塗布量が20g/m2となるように塗布した。その後、2ゾーンに分かれた乾燥炉にて、第1ゾーン温度100℃、風速20m/秒、10秒間、第2ゾーン温度70℃、風速20m/秒、10秒間にて塗布面を乾燥した。
次いで、塗布層を有する未延伸フィルムを、パンタグラフ方式の同時二軸延伸機を用いて、105℃の熱風で40秒間の予熱を行った後、20秒間をかけて、縦および横方向に3.7倍ずつ同時二軸延伸した。このとき、縦および横方向の延伸倍率は、図1に示した通りとし、その延伸速度は図2に示した通りとした。
次いで、フィルムの寸法を固定した状態で、230℃で30秒間の熱処理を施し、室温まで冷却する過程で、縦および横方向に3%の緩和処理を行い、厚さ100μmの二軸延伸フィルムを製造した。得られたフィルムの特性を表1に示す。
本実施例1で得られた光拡散性フィルムは、二軸延伸フィルム本来の優れた耐熱性と機械的な強度を有しており、かつ優れた光線透過率と光拡散性とを有しており高品質であった。
比較例1
実施例1と全く同じ方法で得た未延伸フィルムを、従来公知の方法で二軸延伸した。
まず、75℃に加熱したロール群でフィルムを予熱した後、非接触の赤外線ヒータを用いてフィルムを96℃まで加熱して、周速が異なるロール間で3.4倍に縦延伸を施した。このとき、フィルムの接点間の距離は200mmであり、低速ロールの周速は12m/分とした。ロール間のフィルム速度を、低速ロール周速と高速ロール周速の中間値で代表させると、ロール間のフィルム速度は26.4m/分となり、ロール間の通過時間は0.45秒となる。したがって、0.45秒間に3.4倍、即ち240%の延伸を施したことになり、その延伸速度は530%/秒となる。
次いで上記の縦延伸フィルムの両端をクリップで把持し、横延伸を行った。横延伸温度は135℃、横延伸倍率は3.7倍、横延伸速度は25%/秒で一定とした。次いで、230℃で15秒間の熱処理を行い、60℃まで冷却する過程で幅方向に2.5%の緩和処理を施した。
次いで、フィルムの両端を把持していたクリップを開放し、フィルムの両端をトリミングしてロール状に巻き取り、二軸延伸フィルムを製造した。得られたフィルムの特性を表1に示す。
本比較例1で得られた光拡散性フィルムは、ヘーズが高く光拡散性は良好であるが光線透過率が低く、光拡散性と光線透過率のバランスが取れておらず低品質であった。また、寸法変化率も実施例1で得られた光拡散性フィルムより劣っていた。
比較例2
光拡散性層(A)の原料として、PET(M1)94質量部と、架橋ポリスチレン粒子マスターバッチ(M2)6質量部とを混合して用いること以外は、比較例1と同様の方法で二軸延伸フィルムを製造した。得られたフィルムの特性を表1に示す。
本比較例2で得られた光拡散性フィルムは、光線透過率は高いが、ヘーズ値が低く光拡散性が不足しており、光拡散性と光線透過率のバランスが取れておらず低品質であった。また、寸法変化率も実施例1で得られた光拡散性フィルムより劣っていた。
実施例2
実施例1の方法において、シリカ粒子の代わりに、平均粒子径が5μmの炭酸カルシウム(屈折率1.58)を用いる以外は、実施例1と同様の方法で光拡散性フィルムを得た。得られたフィルムの特性を表1に示す。
本実施例2で得られた光拡散性フィルムは、実施例1で得られた光拡散性フィルムと同様に、各特性がバランスしており高品質であった。
Figure 0004715510
本発明光拡散性フィルムは、二軸延伸フィルム本来の優れた耐熱性と機械的強度を有し、かつ優れた光線透過率と光拡散性とを両立させているため、他の光学機能性フィルムとの一体化が可能であり、バックライトユニットの小型化や、バックライトユニット構成・製造工程の簡略化、低コスト化、等に役立てることができる。
実施例1のフィルム製造時におけるフィルムの延伸開始からの経過時間と延伸倍率との関係を示す説明図である。 実施例1のフィルム製造時におけるフィルムの延伸開始からの経過時間と延伸速度との関係を示す説明図である。

Claims (4)

  1. 結晶性ポリエステル50〜99質量部と、無機粒子1〜50質量部を含む混合物からなる未延伸シートを二軸延伸して得られる光拡散層を有する光拡散性フィルムであり、
    前記結晶性ポリエステルの融点が230℃以上であり、
    全光線透過率が85%以上、ヘーズが50%以上、150℃における寸法変化率が縦方向及び横方向とも3%以下、引張強さが縦方向及び横方向とも100MPa以上であり、
    前記二軸延伸を縦方向及び横方向にそれぞれ、2.5倍以上の延伸倍率で、かつ100%/秒未満の延伸速度で行うことを特徴とする光拡散性フィルム。
  2. 前記の無機粒子の屈折率が1.35〜1.85であり、かつ前記の結晶性ポリエステルの屈折率との差の絶対値が0.01以上であることを特徴とする請求項1に記載の光拡散性フィルム
  3. 前記の二軸延伸を、同時二軸延伸機を用いて行うことを特徴とする請求項1に記載の光拡散性フィルム
  4. 前記結晶性ポリエステルがポリエチレンテレフタレートであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の光拡散性フィルム。
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