JP2022161874A - 二軸配向ポリエステルフィルム、ディスプレイ用反射フィルム、バックライト、ディスプレイ、および二軸配向ポリエステルフィルムの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】良好な光反射性能を有し、かつ耐熱試験後の捻じれ変形を抑制した、直下型バックライトユニットの構成部材に好適な反射板を提供すること。【解決手段】ポリエステルを主たる成分とし、ボイドを有するA層とポリエステルを主たる成分とし、実質的にボイドを有さないB層の少なくとも2層から構成されるフィルムであって、フィルムの空隙率が10%以上70%以下であり、フィルム面内における配向角の変動が0.1°/150mm以上3.0°/150mm以下であることを特徴とする、二軸配向ポリエステルフィルム。【選択図】なし
Description
本発明は、直下型バックライトユニットなどの構成部材として好適に用いられる反射板に関する。
近年、パソコン、テレビ、スマートフォン、タブレット、携帯電話などの表示装置として、液晶を利用したディスプレイが数多く用いられている。これらの液晶ディスプレイは、それ自体は発光体でないために、裏側からバックライトと呼ばれる面光源を設置して光を照射することにより表示が可能となっている。また、バックライトは、単に光を照射するだけでなく、画面全体を均一に照射しなければならないという要求に応えるため、エッジライト型もしくは直下型と呼ばれる面光源の構造をとっている。なかでも、薄型・小型化が望まれるノート型パソコンやモニター、タブレット等に使用される薄型液晶ディスプレイ用途には、エッジライト型、つまり画面に対し側面から光を照射するタイプのバックライトが適用されている。一方、液晶テレビのような大画面用では、直下型、つまり画面に対し裏面から光を照射するタイプのバックライトが適用されている。
このような液晶画面用の面光源に用いられるランプリフレクターや反射板(以下、反射フィルム、面光源反射部材などと総称することもある)には、高い光反射性能が要求され、従来、白色顔料を添加したフィルムや内部に微細な気泡を含有させたフィルムが単独で、もしくはこれらのフィルムと金属板、プラスチック板などを貼り合わせたものが使用されてきた。特に内部に微細な気泡を含有させたフィルムは、輝度の向上効果や、画面輝度の均一化に一定の効果があることから広く使用されている(特許文献1、2)。
直下型バックライトを搭載した大型テレビでは、「ローカルディミング」と言われる機能が搭載される。液晶バックライトを細かく区分し、表示する画像の明暗に合わせてバックライトを部分駆動させ区分ごとに明暗をつけることで、よりコントラストを高く、きれいな画像を表示することができる技術である。「ローカルディミング」の技術的課題として、隣り合うLEDの明暗の差が大きい場合、光が隣の領域まで漏れてしまい、効果が薄れるというものがあった。また、直下型バックライトでは、構成によってはLEDがある部分だけ明るくなるムラが生じる場合があった。
これらの課題を解決する手法として、トレイ形状に成形した凹状の光反射板(特許文献3)などが使用できるが、車載ディスプレイ等の高い信頼性が要求される用途においては、耐熱試験後に成形された形状に捻じれが発生する課題があり、改善が望まれている。
本発明は、良好な光反射性能を有し、かつ耐熱試験後の捻じれ変形を抑制した、直下型バックライトユニットの構成部材に好適な反射板を提供することを目的とする。
かかる課題を解決するための本発明の要旨とするところは、
ポリエステル樹脂を主たる成分とし、ボイドを有するA層とポリエステル樹脂を主たる成分とし、実質的にボイドを有さないB層の少なくとも2層から構成されるフィルムであって、フィルムの空隙率が10%以上70%以下であり、フィルム面内における配向角の変動が0.1°/150mm以上3.0°/150mm以下である二軸配向ポリエステルフィルムである。
ポリエステル樹脂を主たる成分とし、ボイドを有するA層とポリエステル樹脂を主たる成分とし、実質的にボイドを有さないB層の少なくとも2層から構成されるフィルムであって、フィルムの空隙率が10%以上70%以下であり、フィルム面内における配向角の変動が0.1°/150mm以上3.0°/150mm以下である二軸配向ポリエステルフィルムである。
本発明によれば、良好な光反射性能を有し、かつ耐熱試験後の捻じれ変形を抑制した、直下型バックライトユニットの構成部材に好適な反射板を得ることができる。
以下に本発明を詳細に説明する。
<二軸配向ポリエステルフィルム>
本発明の二軸配向ポリエステルフィルム(以下、単に「本発明のフィルム」とも呼ぶ場合もある。)は、ポリエステル樹脂を主たる成分とし、ボイドを有するA層とポリエステル樹脂を主たる成分とし、実質的にボイドを有さないB層の少なくとも2層から構成されるポリエステルフィルムである。中でも、ポリエステル樹脂およびポリエステル樹脂に非相溶な熱可塑性樹脂を主成分とする層を少なくとも1層有することが好ましい。フィルム中のある層を構成する成分の内、ポリエステル樹脂およびポリエステル樹脂に非相溶な熱可塑性樹脂の合計が50質量%以上であれば、主成分といえる。
本発明の二軸配向ポリエステルフィルム(以下、単に「本発明のフィルム」とも呼ぶ場合もある。)は、ポリエステル樹脂を主たる成分とし、ボイドを有するA層とポリエステル樹脂を主たる成分とし、実質的にボイドを有さないB層の少なくとも2層から構成されるポリエステルフィルムである。中でも、ポリエステル樹脂およびポリエステル樹脂に非相溶な熱可塑性樹脂を主成分とする層を少なくとも1層有することが好ましい。フィルム中のある層を構成する成分の内、ポリエステル樹脂およびポリエステル樹脂に非相溶な熱可塑性樹脂の合計が50質量%以上であれば、主成分といえる。
ポリエステル樹脂について、好ましい態様を以下に記載する。ポリエステル樹脂とはエステル結合を主鎖に持つ高分子をいうが、本発明に用いるポリエステル樹脂は、ジカルボン酸とジオールとが縮重合した構造を持つポリエステル樹脂が好ましい。ジカルボン酸成分としては、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、2,6-ナフタレンジカルボン酸、ジフェニルジカルボン酸、ジフェニルスルホンジカルボン酸、ジフェノキシエタンジカルボン酸、5-ナトリウムスルホンジカルボン酸などの芳香族ジカルボン酸、シュウ酸、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、ダイマー酸、マレイン酸、フマル酸などの脂肪族ジカルボン酸、1,4-シクロヘキサンジカルボン酸などの脂環族ジカルボン酸、パラオキシ安息香酸などのオキシカルボン酸などの各成分を挙げることができる。また、ジカルボン酸エステル誘導体成分として、上記ジカルボン酸化合物のエステル化物、たとえばテレフタル酸ジメチル、テレフタル酸ジエチル、テレフタル酸2-ヒドロキシエチルメチルエステル、2,6-ナフタレンジカルボン酸ジメチル、イソフタル酸ジメチル、アジピン酸ジメチル、マレイン酸ジエチル、ダイマー酸ジメチルなどの各成分を挙げることができる。また、ジオール成分としては、例えば、エチレングリコール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、2,2-ジメチル-1,3-プロパンジオール(ネオペンチルグリコール)などの脂肪族ジヒドロキシ化合物、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコールなどのポリオキシアルキレングリコール、1,4-シクロヘキサンジメタノール、スピログリコールなどの脂環族ジヒドロキシ化合物、ビスフェノールA、ビスフェノールSなどの芳香族ジヒドロキシ化合物など各成分が挙げられる。これらはそれぞれ1種だけであっても2種以上用いられるものであってもよい。また、フィルムとして製膜性に影響が出なければトリメリット酸、ピロメリット酸およびそのエステル誘導体のうち1種以上を少量共重合されたものであっても構わない。
ポリエステル樹脂の具体的な例は、ポリエチレンテレフタレート(以下、PETと略称する)、ポリエチレン-2,6-ナフタレンジカルボキシレート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリ-1,4-シクロヘキシレンジメチレンテレフタレートなどは安価に入手でき、かつ製膜性も良好であるため、特に好適に用いることができる。
また、ポリエステル樹脂はホモポリマーであってもコポリマーであってもよい。コポリマーにおける共重合成分としては、芳香族ジカルボン酸、脂肪族ジカルボン酸、脂環族ジカルボン酸、炭素数2~15のジオール成分を挙げることができ、これらの例としては、たとえばイソフタル酸、アジピン酸、セバシン酸、フタル酸、スルホン酸塩基含有イソフタル酸、およびこれらのエステル形成性化合物、エチレングリコール、1,4-ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4-シクロヘキサンジメタノール、スピログリコール、数平均分子量400~20,000のポリアルキレングリコールなどを挙げることができる。特に、ポリアルキレングリコールは後述するボイド核剤樹脂との親和性が良好であり、より微細な分散が可能となることから好ましく用いられる。
ポリエステル樹脂に非相溶な熱可塑性樹脂は、ボイドを形成するボイド核剤として使用される。以下、ボイド核剤として使用される、ポリエステル樹脂に非相溶な熱可塑性樹脂を、単に「ボイド核剤」とも呼ぶ。本発明におけるボイドとは、ボイド核剤によって形成される層中に存在する空間のことを指す。ボイドの形状は、フィルム断面から略円、略楕円状に観察される。ボイドの形成方法は、上記に記載のポリエステル樹脂とボイド核剤を任意の割合で混合した樹脂を延伸により外力を加え、ポリエステル樹脂とボイド核剤とを引き剥がす方法で形成させることができる。具体的には、ポリエステル樹脂とボイド核剤とを含有する混合物を溶融押出しした後、少なくとも一方向に延伸することで、内部にボイドを形成させる方法が挙げられる。
ボイド核剤の具体的な例は、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、ポリメチルペンテンなどの直鎖状または分鎖状オレフィン系樹脂、環状オレフィン系樹脂、スチレン系樹脂、ポリ(メタ)アクリレート樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアクリロニトリル樹脂、ポリフェニレンスルフィド樹脂、フッ素系樹脂などが選ばれる。なかでも好ましいのはオレフィン系樹脂またはスチレン系樹脂であり、オレフィン系樹脂としてはポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ4-メチルペンテン-1(以下、「ポリメチルペンテン」または「PMP」と略称することがある)、エチレン-プロピレン共重合体、エチレン-ブテン-1共重合体、環状オレフィンが、スチレン系樹脂としてはポリスチレン、ポリメチルスチレン、ポリジメチルスチレンなどが好ましい。これらは単独重合体であっても共重合体であってもよく、さらには2種以上の熱可塑性樹脂を併用してもよい。本発明で用いるボイド核剤としては、ポリエステル樹脂中にボイドを形成しやすく、かつ製膜性との両立がしやすいポリオレフィンが好ましく、具体的には、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、ポリメチルペンテンなどの直鎖状または分鎖状オレフィン系樹脂、環状オレフィン系樹脂などが用いられる。特に、ボイドの形成および耐熱性の観点で、ポリメチルペンテンもしくは環状ポリオレフィンが好ましい。
ボイド核剤に好ましく用いられるポリメチルペンテンとしては、分子骨格中に4-メチルペンテン-1から誘導される二価の有機基を繰返し単位として、好ましくは80モル%以上、より好ましくは85モル%以上、特に好ましくは90モル%以上含むものが好ましい。また、その他の繰返し単位としては、エチレン、プロピレン、ブテン-1、3-メチルブテン-1、あるいは4-メチルペンテン-1以外で炭素数6~12の炭化水素から誘導される二価の有機基などが挙げられる。ポリメチルペンテンは単独重合体であっても共重合体であってもよい。また、組成や溶融粘度などが異なる複数のポリメチルペンテンを混合して用いたり、他のオレフィン系樹脂やその他樹脂と併用したりしてもよい。
ボイド核剤に好ましく用いられる環状ポリオレフィンとしては、シクロアルケン、ビシクロアルケン、トリシクロアルケン及びテトラシクロアルケンなどのシクロオレフィン成分と、エチレン、プロピレンなどの直鎖オレフィン成分からなる共重合体が好ましい。
シクロオレフィン成分の代表例としては、ビシクロ〔2,2,1〕ヘプト-2-エン、6-メチルビシクロ〔2,2,1〕ヘプト-2-エン、5,6-ジメチルビシクロ〔2,2,1〕ヘプト-2-エン、1-メチルビシクロ〔2,2,1〕ヘプト-2-エン、6-エチルビシクロ〔2,2,1〕ヘプト-2-エン、6-n-ブチルビシクロ〔2,2,1〕ヘプト-2-エン、6-i-ブチルビシクロ〔2,2,1〕ヘプト-2-エン、7-メチルビシクロ〔2,2,1〕ヘプト-2-エン、トリシクロ〔4,3,0,12.5〕-3-デセン、2-メチル-トリシクロ〔4,3,0,12.5〕-3-デセン、5-メチル-トリシクロ〔4,3,0,12.5〕-3-デセン、トリシクロ〔4,4,0,12.5〕-3-デセン、10-メチル-トリシクロ〔4,4,0,12.5〕-3-デセンなどが挙げられる。
直鎖オレフィン成分の代表例としては、エチレン、プロピレン、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、1-オクテン、1-デセン、1-ドデセン、1-テトラデセン、1-ヘキサデセン、1-オクタデセンなどが挙げられる。
ボイド核剤に好ましく用いられるシクロオレフィン共重合体のガラス転移温度(Tg)は、110℃以上であることが好ましい。110℃以上とすることで高い反射率と、寸法安定性を両立することが可能となる。具体的には130℃以上が好ましく、より好ましくは150℃以上である。かかる範囲にすることにより、混練時において樹脂中に微分散化し、延伸工程においてより確実にボイドを形成し、熱処理工程におけるボイド消失を抑制することができるためである。シクロオレフィン共重合体のガラス転移温度(Tg)の上限は250℃が好ましい。
シクロオレフィン共重合体のガラス転移温度(Tg)を110℃以上に制御するためには、例えばシクロオレフィン共重合体中のシクロオレフィン成分の含有量を多くし、エチレンなどの直鎖オレフィン成分の含有量を少なくすることが挙げられる。具体的には、シクロオレフィン成分は60モル%以上であり、エチレンなどの直鎖オレフィン成分の含有量は40モル%未満であることが好ましい。より好ましくは、シクロオレフィン成分は70モル%以上であり、エチレンなどの直鎖オレフィン成分の含有量は30モル%未満、さらに好ましくはシクロオレフィン成分が80モル%以上であり、エチレンなどの直鎖オレフィン成分の含有量が20モル%未満である。特に好ましくはシクロオレフィン成分が90モル%以上であり、エチレンなどの直鎖オレフィン成分の含有量が10モル%未満である。かかる範囲にすることにより、シクロオレフィン共重合体のガラス転移温度(Tg)を前述の範囲まで高めることができる。
シクロオレフィン共重合体を用いる場合、直鎖オレフィン成分は、反応性の観点からエチレン成分が好ましい。さらに、シクロオレフィン成分は、ビシクロ〔2,2,1〕ヘプト-2-エン(ノルボルネン)やその誘導体が生産性・透明性・高Tg化の点から好ましい。
ボイド核剤の含有量としては、ポリエステル樹脂およびボイド核剤を主成分とする層100質量%に対して、2~50質量%が好ましい。2質量%以上、より好ましくは5質量%以上、さらに好ましくは10質量%以上とすることで、ボイドを効果的に形成し、反射率を向上させることができる。また、50質量%以下、より好ましくは40質量%以下とすることで、反射率の低下や製膜時の破れを防ぐことができる。
本発明の二軸配向ポリエステルフィルムは、ポリエステル樹脂を主たる成分とし、ボイドを有するA層とポリエステル樹脂を主たる成分とし、実質的にボイドを有さないB層の少なくとも2層からなる。ボイドを有するA層は、前述のボイド核剤により形成されたボイドを有することが好ましい。また、加熱時のカールの抑制や生産適性の観点から、実質的にボイドを有さないポリエステル層(B層)を少なくとも一方の最外層に有することが好ましい。3層構成の場合は、A層はフィルム表面を有さない内層にあることが好ましく、C/A/Bの3種3層の構成、B/A/Bの2種3層の構成であってもよいが、B/A/Bの順に3層に積層した構成が好ましい。A層とB層をB/A/Bの順に積層することにより、A層に含まれる粒子やボイド核剤の脱落などによる生産性低下を抑制し、高い製膜安定性を得ることができる。また、本発明の二軸配向ポリエステルフィルムは、あるいは4層以上の構成であってもよいが、製膜上の容易さと強度を考慮すると3層構成が好ましい。また、A層とB層は共押出し法により製膜ライン中で一挙に積層された後に、2軸方向に延伸されることが好ましい。なお、実質的にボイドを有さないB層とは、当該層における空隙率が0.5%以下であることをいう。
本発明のB層を構成する樹脂には、本発明の効果を損なわない範囲で、内部粒子、無機粒子、有機粒子を含有させてもよい。易滑性を付与し、取り扱い性、加工性を向上させる観点から、内部粒子、無機粒子、有機粒子を0.01~0.5重量%含有することが好ましい。粒子の算術平均粒子径は0.01~2μmの範囲であることが好ましい。内部粒子の析出方法としては公知の技術を用いることができるが、たとえば特開昭48-61556号公報、特開昭51-12860号公報、特開昭53-41355号公報、特開昭54-90397号公報などに記載の技術を採用することができる。さらに、特公昭55-20496号公報、特開昭59-204617号公報などの他の粒子を併用することもできる。
また、無機粒子としては、たとえば湿式および乾式シリカ、コロイダルシリカ、ケイ酸アルミ、酸化チタン、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、硫酸バリウム、酸化アルミニウム、マイカ、カオリン、クレーなど、有機粒子としてはスチレン、シリコーン、アクリル酸類、メタクリル酸類、ポリエステル類、ジビニル化合物などを構成成分とする粒子を使用することができる。なかでも、湿式および乾式シリカ、アルミナなどの無機粒子およびスチレン、シリコーン、アクリル酸類、メタクリル酸類、ポリエステル、ジビニルベンゼンなどを構成成分とする粒子を使用することが好ましい。さらに、これらの内部粒子、無機粒子、有機粒子は二種以上を併用してもよい。本発明においては、これらの中でも特に無機粒子を好ましく用いることができ、中でも乾式または湿式シリカが好ましく用いられる。
本発明の二軸配向ポリエステルフィルムは、B層のポリエステル成分の融点TmbおよびA層中のボイド核剤の融点Tmnが以下の関係式を満たすことが好ましい。
2.0≦|Tmb-Tmn|≦15.0・・・(1)
本発明の二軸配向ポリエステルフィルムは組成の異なるA層、およびB層から構成されるため、成形した際に、各層に生じる内部応力が異なることから、成形後にディスプレイの実使用状況を模した信頼性試験を行うと、層界面における歪が熱挙動の差異により拡大し容易に層間剥離が生じる課題があった。空隙を形成するための設計として、延伸により容易にマトリックスのポリエステルとの剥離が生じるボイド核剤を有するため、層界面近傍のボイド核剤が層間剥離の主要因となる。そこで発明者らは、層界面の構成要素であるボイド核剤とA層およびB層のポリエステル樹脂において、特にボイド核剤の融点TmbとB層のポリエステル樹脂の融点Tmnを式(1)で示される特定の範囲とすることにより、A層内にて十分に延伸による空隙を形成しながら、B層との層間剥離の抑制が両立可能であることを見出した。上記の融点の関係は式(2)を満たすとより好ましい。
2.0≦|Tmb-Tmn|≦10.0・・・(2)
本発明の二軸配向ポリエステルフィルムは、フィルム面内における配向角の変動が0.1°/150mm以上3.0°/150mm以下であることが必要である。配向角の変動が0.1°/150mm未満では、フィルム配向軸が過剰に均一であることにより配向方向への引き裂き強度が低下しスリットや断裁時に破れやバリが生じ生産性が低下する場合がある。また、配向角の変動が3.0°/150mmより大きい場合には、耐熱試験後に捻じれが生じる場合がある。配向角の変動は、0.3°/150mm以上2.5°/150mm以下であるとより好ましく、0.5°/150mm以上2.0°/150mm以下であるとさらに好ましい。配向角を上記特定の変動範囲とする方法は特に限定されないが、例えば、フィルム製膜工程において最も高温となる熱処理工程でフィルム幅方向に延伸を行う方法等が挙げられる。高温ゾーンにおける搬送方向へのフィルム流れが幅方向で斑となるいわゆるボーイング現象を幅方向に張力を付加することで低減することが可能となるが、ボイドを有する反射フィルムでは非常に破れを誘発し易く、かつ通常の延伸条件に対して大幅に高温の条件であることから厚み斑が大きくなる課題があり適用が困難であった。しかしながら、発明者らが鋭意検討した結果、前記の積層構成を溶融製膜する際において、溶融押出後の未延伸フィルムのボイド層(A層)の幅方向における厚み分布を特定のパターンとすることで、前記の熱処理工程における破断の発生を抑制し、かつ厚み斑を改善が可能であることを見出した。具体的には、溶融押出後の未延伸フィルムのA層の幅方向における厚みに2点以上の変曲点を有する分布とするパターンである。その原理は明らかではないが、溶融押出後の未延伸フィルムが幅方向における厚みに分布を有すると、熱処理ゾーンにおける延伸張力にも分布を有することとなり、延伸による局所的な応力集中箇所が厚み分布に沿って移動し、破断に至らずに幅方向への張力を付加する目的が達成されるものと推定される。溶融押出後の未延伸フィルムのボイド層(A層)の幅方向における厚み分布を特定のパターンとする方法は特に限られるものではないが、溶融押出する際に用いる溶融ポリマー流路の形状を制御する方法が挙げられ、具体的には、A層に対応する溶融ポリマー流路の形状を制御する方法が挙げられる。なお、未延伸フィルムの厚み分布の算出をする場合は、幅方向に5mm間隔で測定した厚み生データの5項移動平均値を用いて行うものとする。
2.0≦|Tmb-Tmn|≦15.0・・・(1)
本発明の二軸配向ポリエステルフィルムは組成の異なるA層、およびB層から構成されるため、成形した際に、各層に生じる内部応力が異なることから、成形後にディスプレイの実使用状況を模した信頼性試験を行うと、層界面における歪が熱挙動の差異により拡大し容易に層間剥離が生じる課題があった。空隙を形成するための設計として、延伸により容易にマトリックスのポリエステルとの剥離が生じるボイド核剤を有するため、層界面近傍のボイド核剤が層間剥離の主要因となる。そこで発明者らは、層界面の構成要素であるボイド核剤とA層およびB層のポリエステル樹脂において、特にボイド核剤の融点TmbとB層のポリエステル樹脂の融点Tmnを式(1)で示される特定の範囲とすることにより、A層内にて十分に延伸による空隙を形成しながら、B層との層間剥離の抑制が両立可能であることを見出した。上記の融点の関係は式(2)を満たすとより好ましい。
2.0≦|Tmb-Tmn|≦10.0・・・(2)
本発明の二軸配向ポリエステルフィルムは、フィルム面内における配向角の変動が0.1°/150mm以上3.0°/150mm以下であることが必要である。配向角の変動が0.1°/150mm未満では、フィルム配向軸が過剰に均一であることにより配向方向への引き裂き強度が低下しスリットや断裁時に破れやバリが生じ生産性が低下する場合がある。また、配向角の変動が3.0°/150mmより大きい場合には、耐熱試験後に捻じれが生じる場合がある。配向角の変動は、0.3°/150mm以上2.5°/150mm以下であるとより好ましく、0.5°/150mm以上2.0°/150mm以下であるとさらに好ましい。配向角を上記特定の変動範囲とする方法は特に限定されないが、例えば、フィルム製膜工程において最も高温となる熱処理工程でフィルム幅方向に延伸を行う方法等が挙げられる。高温ゾーンにおける搬送方向へのフィルム流れが幅方向で斑となるいわゆるボーイング現象を幅方向に張力を付加することで低減することが可能となるが、ボイドを有する反射フィルムでは非常に破れを誘発し易く、かつ通常の延伸条件に対して大幅に高温の条件であることから厚み斑が大きくなる課題があり適用が困難であった。しかしながら、発明者らが鋭意検討した結果、前記の積層構成を溶融製膜する際において、溶融押出後の未延伸フィルムのボイド層(A層)の幅方向における厚み分布を特定のパターンとすることで、前記の熱処理工程における破断の発生を抑制し、かつ厚み斑を改善が可能であることを見出した。具体的には、溶融押出後の未延伸フィルムのA層の幅方向における厚みに2点以上の変曲点を有する分布とするパターンである。その原理は明らかではないが、溶融押出後の未延伸フィルムが幅方向における厚みに分布を有すると、熱処理ゾーンにおける延伸張力にも分布を有することとなり、延伸による局所的な応力集中箇所が厚み分布に沿って移動し、破断に至らずに幅方向への張力を付加する目的が達成されるものと推定される。溶融押出後の未延伸フィルムのボイド層(A層)の幅方向における厚み分布を特定のパターンとする方法は特に限られるものではないが、溶融押出する際に用いる溶融ポリマー流路の形状を制御する方法が挙げられ、具体的には、A層に対応する溶融ポリマー流路の形状を制御する方法が挙げられる。なお、未延伸フィルムの厚み分布の算出をする場合は、幅方向に5mm間隔で測定した厚み生データの5項移動平均値を用いて行うものとする。
本発明の二軸配向ポリエステルフィルムは、フィルム面内において150mm間隔で測定した厚みの偏差が2.5%以下であることが必要である。厚みの偏差は2.0%以下であるとより好ましく、1.5%以下であると最も好ましい。厚みの偏差と配向角の分布を両立する方法としては、前記のとおり幅方向におけるボイド層(A層)の積層厚みを特定の分布とした上で熱処理工程における延伸を行う方法などが挙げられる。熱処理工程のようなフィルムのガラス転移温度を大幅に上回る高温下での延伸では、延伸張力が低くなり厚み斑が拡大する傾向となるのが一般的である。一方、前記の積層比分布とすることで、幅方向においてスポット的に生じる応力集中点が優先的に伸び、延伸倍率の高くない範囲においては全体としての厚み斑を低減する効果を奏することで、特性の両立が可能となると推定される。
本発明の二軸配向ポリエステルフィルムは、フィルムの空隙率が10%以上70%以下であることが必要である。フィルムの空隙率が10%未満では反射性能と成形性に劣り、70%より大きい場合には反射性能は十分であるが前記熱処理工程での延伸が困難となる場合や成形時の破れにより加工に耐えない場合がある。空隙率は20%以上60%以下であるとより好ましく、25%以上55%以下であると最も好ましい。空隙率を前記特定の範囲とする方法は特に限定されないが、例えばボイド核剤を含み、かつ熱処理工程での延伸を特定の温度範囲で行う方法等が挙げられる。
本発明の二軸配向ポリエステルフィルムは、フィルムの比重が0.55g/cc以上0.80g/cc以下であることが好ましい。比重を0.55g/cc以上とすることで延伸時に破れが生じるのを抑制し、製膜性を良好にすることができる。比重を0.80g/cc以下とすることで反射率を良好にでき、また無機粒子を含有する場合に熱処理工程での延伸の破れを抑制することができる。より好ましくは0.58g/cc以上0.75g/cc以下である比重を前記特定の範囲とする方法は特に限定されないが、例えば、A層に含まれる無機粒子を5質量%以下とする方法などが挙げられる。
本発明の二軸配向ポリエステルフィルムは、光散乱による反射率向上を目的として、A層に無機粒子を0.5質量%以上5.0質量%以下含有することが好ましい。効果的な粒子散乱効果を得るためには、平均粒径が0.05~1.00μmであることが好ましい。
なお、本発明における平均粒径とは、
D=ΣDi /N
Di :粒子の円相当径
N:粒子の個数
で表される数平均径Dを指す。
D=ΣDi /N
Di :粒子の円相当径
N:粒子の個数
で表される数平均径Dを指す。
無機粒子の具体例としては、硫酸バリウム、酸化チタン、硫酸マグネシウム、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、タルクなどの粒子を挙げることができる。これらの中でも、屈折率、気泡形成、白色度、光学濃度など総合的効果の点から、酸化チタン、炭酸カルシウム、硫酸バリウムがより好ましく用いられる。
A層中の無機粒子の含有量を、0.5質量%以上とすることで反射性能を良好にでき、5.0質量%以下とすることで熱処理工程における延伸や成形時に破断が生じるのを抑制できる。A層における無機粒子の含有量は1.0質量%以上4.5質量%以下がより好ましい。また、A層に無機粒子を含有することにより、熱処理工程での延伸を適用した際に厚み斑低減効果が得られる場合がある。高温延伸条件での大幅な延伸張力低下は一般に厚み斑を悪化させるものであるが、無機粒子を含有し、その近傍樹脂の結晶化が同時に進行することで張力が高まり厚み斑が良化する原理と推定される。
本発明の二軸配向ポリエステルフィルムは、後述する測定方法により求められるフィルム面内における105℃熱収縮率の最大値が-0.2%以上0.5%以下であることが好ましい。なお、上記の熱収縮率において、正の値はフィルムが収縮することをあらわし、負の値はフィルムが膨張することをあらわす。当該範囲とすることにより、成形前の予熱時にシワが入ることを抑制することができる。105℃熱収縮率は0%以上0.3%以下であるとより好ましい。105℃熱収縮率を前記の範囲とする方法としては特に限定されないが、アニール処理などの方法が好ましく用いられる。一方、アニール条件によっては、分子鎖の緩和が進み成形による配向が強まることで、成形後の戻り量が大きくなる場合があるため適当な範囲とすることが好ましい。
<二軸配向ポリエステルフィルムの製造方法>
次に本発明の二軸配向ポリエステルフィルムの製造方法について、具体例を挙げて説明する。なお、本発明のフィルムは下記の製法により得られたものに限定されるものではない。
次に本発明の二軸配向ポリエステルフィルムの製造方法について、具体例を挙げて説明する。なお、本発明のフィルムは下記の製法により得られたものに限定されるものではない。
少なくとも2台の一軸もしくは二軸押出機、または主押出機と副押出機を有する複合製膜装置において、主押出機にB層の原料となる樹脂、副押出機にA層の原料となる樹脂を投入する。それぞれの原料は水分率が50ppm以下となるように乾燥されていることが好ましい。このようにして各押出機に原料を供給し、例えば2台の押出機と直線状のリップを有する金型(Tダイ)上部に設置したフィードブロックやマルチマニホールドにてA/B/Aの3層積層フィルムとすることができる。押出された未延伸シートを冷却されたドラム上で密着冷却固化し、未延伸積層フィルムを得る。このとき、均一なフィルムを得るために静電気を印加してドラム上に密着させることが好ましい。この未延伸積層フィルムの幅方向における積層比分布は、各押出機から別々に押し出された原料が合流する短管の流路を適当に設計することで、所望の分布に制御することが可能である。
この未延伸フィルムをロール加熱、必要に応じて赤外線加熱等でポリマーのガラス転移温度(Tg)以上に加熱し、長手方向(以降、MDと呼ぶ)に延伸する(MD延伸)。逐次二軸延伸の場合、MD延伸は2個以上のロールの周速差を利用して行う。MD延伸の倍率は1.5~6.0倍が好ましい。1.5倍以上、より好ましくは2.0倍以上、さらに好ましくは2.8倍以上とすることで、反射率の高いフィルムを得ることができる。また、6.0倍以下、より好ましくは4.0倍以下とすることで、製膜中の破断の発生を防ぐことができる。また、MD延伸の温度は、フィルムのTg以上Tg+20℃以下であることが均一な延伸とロール粘着を抑制する観点から好ましい。また、延伸速度は1,000%/分以上200,000%/分以下であることが望ましい。
MD延伸後、続いて、MDと直交する方向(以降、TDと呼ぶ)に延伸して(TD延伸)、熱固定、熱弛緩の処理を順次施して二軸配向フィルムとすることができる。これらの処理はフィルムを走行させながら行う。このとき、TD延伸のための予熱および延伸温度はポリマーのガラス転移温度Tgに対して、Tg以上、Tg+50℃以下で行うのが好ましい。TD延伸の倍率は、2.5~6.0倍が好ましい。2.5倍以上、より好ましくは3.0倍以上とすることで、反射率の高いフィルムを得ることができる。6.0倍以下、より好ましくは4.0倍以下とすることで、製膜中の破断の発生を抑制することができる。また、TD方向の延伸速度は1,000%/分以上200,000%/分以下であることが望ましい。
さらに、二軸延伸の後にフィルムの熱処理を行う。熱処理はオーブン中、加熱したロール上など従来公知の任意の方法により行うことができる。熱処理時間は特性を悪化させない範囲において任意とすることができ、好ましくは5秒以上60秒以下、より好ましくは10秒以上40秒以下、最も好ましくは15秒以上30秒以下で行うのがよい。また、配向角の分布と厚みの偏差を好ましい範囲に制御するために、熱処理を複数のゾーンに分けて段階的に昇温・降温する方法や、熱処理工程で幅方向に微延伸する方法が好ましく採用される。例えば熱処理前半温度を160℃以上210℃以下で幅方向に1%以上10%以下、好ましくは3%以上10%以下微延伸し、熱処理中盤温度を180℃以上240℃以下で幅方向に1%以上10%以下、好ましくは3%以上10%以下微延伸し、熱処理後半温度を180℃以上240℃以下とする方法が挙げられる。熱処理後半温度は熱収縮率を低くするために1%以上10%以下弛緩しながら実施することも好ましい。
その後、均一に徐冷後、室温まで冷却し、ロールに巻き取る。
またここでは逐次二軸延伸法によって延伸する場合を例に詳細に説明したが、逐次二軸延伸法、同時二軸延伸法のいずれを採用してもよい。
また、本発明の効果が損なわれない範囲で、少なくとも一方のA層の表面に、易滑性や帯電防止性、紫外光吸収性能等を付与するために、公知の技術を用いて種々の塗液を塗布したり、耐衝撃性を高めるためにハードコート層などを設けてもよい。塗布は、フィルム製造時に塗布(インラインコーティング)してもよいし、フィルム製造後の二軸配向ポリエステルフィルム上に塗布(オフラインコーティング)してもよい。
本発明の二軸配向ポリエステルフィルムは、LED照明ユニット用の反射板として好適に用いることができる。本発明の二軸配向ポリエステルフィルムおよび光学部材を使用したLED照明ユニットの場合、隣り合うLEDの光漏れが起こりにくく部分駆動機能を搭載する照明用途として好ましい。特に平面型LED照明ユニット用の反射板として好ましい。
本発明の二軸配向ポリエステルフィルムは、直下型LEDバックライトユニット用の反射板としても好適に用いることができる。本発明の二軸配向ポリエステルフィルムを使用した直下型LEDバックライトユニットの場合、隣り合うLEDの光漏れが起こりにくくローカルディミング機能を搭載したバックライトに好ましい。特に液晶ディスプレイ、液晶テレビ、液晶モニターなどに使用される直下型LEDバックライトユニット用の反射板として好ましい。また、直下型LEDバックライトユニットとしては、特に車載用途等の高い信頼性が求められる用途に好ましく用いることができる。
以下、実施例により本発明を詳述する。なお、各特性値は以下の方法で測定した。
(1)フィルム厚み、厚み偏差、フィルムの層構成(各層厚み)
フィルムの幅方向に対する中心部分の断面を5枚切り出し、走査電子顕微鏡(日立製作所製電界放射型走査電子顕微鏡(FE-SEM)S-4000)を用いて、フィルムが厚み方向にわたって視野に収まるよう500~5,000倍に拡大観察し、撮影した断面写真より、フィルム厚み、およびフィルム層構成(各層厚み)を特定した。厚み偏差は、フィルムの任意の点において下記(2)の方法で求めた主配向軸方向に150mm間隔の位置において測定した厚みから偏差を求めた。
フィルムの幅方向に対する中心部分の断面を5枚切り出し、走査電子顕微鏡(日立製作所製電界放射型走査電子顕微鏡(FE-SEM)S-4000)を用いて、フィルムが厚み方向にわたって視野に収まるよう500~5,000倍に拡大観察し、撮影した断面写真より、フィルム厚み、およびフィルム層構成(各層厚み)を特定した。厚み偏差は、フィルムの任意の点において下記(2)の方法で求めた主配向軸方向に150mm間隔の位置において測定した厚みから偏差を求めた。
(2)配向角の分布
フィルムの任意の点において100mm×100mmの寸法でサンプルを切り出し、KSシステムズ製(現王子計測機器)のマイクロ波分子配向計MOA-2001A(周波数4GHz)を用い、ポリエステルフィルムの面内の主配向軸方向Maを求めた。また、この任意の点から主配向軸方向に150mmごとの位置で同様にサンプルを切り出し、上記マイクロ波分子配向計MOA-2001A(周波数4GHz)を用いて、各位置のサンプルにおける主配向軸MbとMaとの差を測定し、各点の平均値を計算する。これをフィルムの任意の5点について繰り返し、得られた全ての値の平均値を採用した。
フィルムの任意の点において100mm×100mmの寸法でサンプルを切り出し、KSシステムズ製(現王子計測機器)のマイクロ波分子配向計MOA-2001A(周波数4GHz)を用い、ポリエステルフィルムの面内の主配向軸方向Maを求めた。また、この任意の点から主配向軸方向に150mmごとの位置で同様にサンプルを切り出し、上記マイクロ波分子配向計MOA-2001A(周波数4GHz)を用いて、各位置のサンプルにおける主配向軸MbとMaとの差を測定し、各点の平均値を計算する。これをフィルムの任意の5点について繰り返し、得られた全ての値の平均値を採用した。
(3)空隙率
透過型電子顕微鏡HU-12型((株)日立製作所製)を用い、A層およびB層の断面を100000倍に拡大観察した断面写真から求めた。すなわち、断面写真の空隙部分を空隙の形状に沿ってマーキングして、その部分をハイビジョン画像解析処理装置PIAS-IV((株)ピアス製)を用いて画像処理を行い、空隙の面積を算出し、測定視野の全フィルム面積で割り返した値を空隙率として採用した。
透過型電子顕微鏡HU-12型((株)日立製作所製)を用い、A層およびB層の断面を100000倍に拡大観察した断面写真から求めた。すなわち、断面写真の空隙部分を空隙の形状に沿ってマーキングして、その部分をハイビジョン画像解析処理装置PIAS-IV((株)ピアス製)を用いて画像処理を行い、空隙の面積を算出し、測定視野の全フィルム面積で割り返した値を空隙率として採用した。
(4)無機粒子の含有量
フィルム1gを1N-KOHメタノール溶液200mlに投入して加熱還流し溶解した。溶解が終了した該溶液に200mlの水を加え、ついで該液体を遠心分離器にかけて粒子を沈降させ、上澄み液を取り除いた。粒子にはさらに水を加えて洗浄、遠心分離を2回繰り返した。このようにして得られた粒子を乾燥させ、その質量を量ることで重量分率を算出した。フィルムが複数の層から構成される場合は、(1)に記載の方法にて層構成を特定し、必要な層を切削してサンプリングし評価に用いた。
フィルム1gを1N-KOHメタノール溶液200mlに投入して加熱還流し溶解した。溶解が終了した該溶液に200mlの水を加え、ついで該液体を遠心分離器にかけて粒子を沈降させ、上澄み液を取り除いた。粒子にはさらに水を加えて洗浄、遠心分離を2回繰り返した。このようにして得られた粒子を乾燥させ、その質量を量ることで重量分率を算出した。フィルムが複数の層から構成される場合は、(1)に記載の方法にて層構成を特定し、必要な層を切削してサンプリングし評価に用いた。
(5)比重
ミラージュ貿易(株)製高精度電子比重計(SD-120L)を用いて、30×40mmのサイズに切り出したサンプルについて、JIS K 7112(1999)A法(水中置換法)に準じて23℃、65%RHにて測定して求めた。
ミラージュ貿易(株)製高精度電子比重計(SD-120L)を用いて、30×40mmのサイズに切り出したサンプルについて、JIS K 7112(1999)A法(水中置換法)に準じて23℃、65%RHにて測定して求めた。
(6)105℃熱収縮率の面内最大値
温度25℃、相対湿度65%の環境下に24時間静置させた、150mm(測定方向)×10mm(測定方向に直交する方向)のフィルムを測定に用いた。サンプルの両端部25mmの箇所に標線間隔100mmの標線を描き、3gの錘を吊して105℃に加熱した熱風オーブン内に30分間設置し加熱処理を行った。熱処理後の標線間距離を測定し、加熱前後の標線間距離の変化から熱収縮率を算出した。測定は任意の方向から15°ずつ方向を変えて165°に達するまで各方向について行い、各方向の値から面内の最大値を得た。
温度25℃、相対湿度65%の環境下に24時間静置させた、150mm(測定方向)×10mm(測定方向に直交する方向)のフィルムを測定に用いた。サンプルの両端部25mmの箇所に標線間隔100mmの標線を描き、3gの錘を吊して105℃に加熱した熱風オーブン内に30分間設置し加熱処理を行った。熱処理後の標線間距離を測定し、加熱前後の標線間距離の変化から熱収縮率を算出した。測定は任意の方向から15°ずつ方向を変えて165°に達するまで各方向について行い、各方向の値から面内の最大値を得た。
(7)融点
示差熱量分析(DSC)を用い、JIS K 7121(2012)に従って、窒素雰囲気下、25℃から280℃まで20℃/分の速度で測定サンプルを昇温させて得られたDSC曲線の最も高温の吸熱ピークからポリエステルの融点を求めた。なお、測定装置、データ解析システムは以下のものを使用し、測定サンプルの質量は5mgとした。各層の融点は、フィルムの各層を削り取ることで各層単体の融点を測定した。ボイド核剤の融点は、定法により化学種を特定した後に観測された吸熱ピークの温度と照合し特定した。
装置:日立ハイテクサイエンス製 EXSTAR DSC6220
データ解析システム: ディスクセッションSSC/5200
(8)製膜安定性
製膜可能な限り48時間製膜し続け、フィルムが12時間あたりに破れた回数(延伸、巻き替え、スリットの各工程の合計)により下記のとおり等級付けを行った。
A:1回未満
B:1回以上2回未満
C:2回以上3回未満
D:3回以上、または製膜不可。
示差熱量分析(DSC)を用い、JIS K 7121(2012)に従って、窒素雰囲気下、25℃から280℃まで20℃/分の速度で測定サンプルを昇温させて得られたDSC曲線の最も高温の吸熱ピークからポリエステルの融点を求めた。なお、測定装置、データ解析システムは以下のものを使用し、測定サンプルの質量は5mgとした。各層の融点は、フィルムの各層を削り取ることで各層単体の融点を測定した。ボイド核剤の融点は、定法により化学種を特定した後に観測された吸熱ピークの温度と照合し特定した。
装置:日立ハイテクサイエンス製 EXSTAR DSC6220
データ解析システム: ディスクセッションSSC/5200
(8)製膜安定性
製膜可能な限り48時間製膜し続け、フィルムが12時間あたりに破れた回数(延伸、巻き替え、スリットの各工程の合計)により下記のとおり等級付けを行った。
A:1回未満
B:1回以上2回未満
C:2回以上3回未満
D:3回以上、または製膜不可。
(9)成形性
浅野研究所製成形機(FKS-0631-20)を用いて400℃の遠赤外線ヒーターで、フィルム表面温度がTg+50℃以上の温度になるようにフィルムを加熱し、50℃に加熱した金型(底面直径50mm、円筒形状)に沿って真空圧空成形(圧力:1MPa)を行った。金型に沿って成形できた状態を成形度合い(絞り比:成形高さ/底面直径)を用いて以下の基準で評価し、C以上を合格とした。
A:絞り比0.7以上で成形できた。
B:絞り比0.7~0.4で成形できた。
C:絞り比0.4~0.1で成形できた。
D:破れが発生し、絞り比0.1で成形できなかった。もしくは、追従性が低く、成形できなかった。
浅野研究所製成形機(FKS-0631-20)を用いて400℃の遠赤外線ヒーターで、フィルム表面温度がTg+50℃以上の温度になるようにフィルムを加熱し、50℃に加熱した金型(底面直径50mm、円筒形状)に沿って真空圧空成形(圧力:1MPa)を行った。金型に沿って成形できた状態を成形度合い(絞り比:成形高さ/底面直径)を用いて以下の基準で評価し、C以上を合格とした。
A:絞り比0.7以上で成形できた。
B:絞り比0.7~0.4で成形できた。
C:絞り比0.4~0.1で成形できた。
D:破れが発生し、絞り比0.1で成形できなかった。もしくは、追従性が低く、成形できなかった。
(10)輝度ムラ評価
浅野研究所製成形機(FKS-0631-20)を用いて400℃の遠赤外線ヒーターで、フィルム表面温度がTg+60℃以上の温度になるようにフィルムを加熱し、50℃に加熱した金型(1辺50mmの2×2マス、高さ10mm、厚さ10mmの壁を有する箱型)に沿って真空圧空成形(圧力:1MPa)を行った。各マスの底に直径12mmの穴を開け、穴からLEDとレンズキャップが出るように市販テレビ(ハイアール社製、LE42A7000)のバックライトに組み込み、光学フィルム群を乗せてLEDを点灯させて見た目を観察し、以下の基準で評価しB以上を合格とした。
A:箱の四隅まで明るく見える
B:明るく見える
C:暗く見える。
浅野研究所製成形機(FKS-0631-20)を用いて400℃の遠赤外線ヒーターで、フィルム表面温度がTg+60℃以上の温度になるようにフィルムを加熱し、50℃に加熱した金型(1辺50mmの2×2マス、高さ10mm、厚さ10mmの壁を有する箱型)に沿って真空圧空成形(圧力:1MPa)を行った。各マスの底に直径12mmの穴を開け、穴からLEDとレンズキャップが出るように市販テレビ(ハイアール社製、LE42A7000)のバックライトに組み込み、光学フィルム群を乗せてLEDを点灯させて見た目を観察し、以下の基準で評価しB以上を合格とした。
A:箱の四隅まで明るく見える
B:明るく見える
C:暗く見える。
(11)信頼性
浅野研究所製成形機(FKS-0631-20)を用いて400℃の遠赤外線ヒーターで、フィルム表面温度がTg+60℃以上の温度になるようにフィルムを加熱し、50℃に加熱した金型(1辺50mmの7×7マス、高さ10mm、厚さ10mmの壁を有する箱型)に沿って真空圧空成形(圧力:1MPa)を行った。得られた成形体を凹側が接するように方眼紙にのせ、マスの外側位置における凹部頂点位置28点を方眼紙に転写し、隣接する各点を直線で結んだ座標情報を得た。その後、サンプルを、85℃85%RHに調温調湿した恒温恒湿槽に投入し、500時間熱処理を行った後のサンプルについて、同様の作業を行った。各点を結んだ直線について、熱処理前後で各々対応する位置における角度のずれを測定し、以下の基準で判定しC以上を合格とした。
A:角度のズレが最大で1°以下であった。
B:角度のズレの最大値が1°より大きく2°以下であった。
C:角度のズレの最大値が2°より大きく3°以下であった。
D:角度のズレの最大値が3°より大きかった。
浅野研究所製成形機(FKS-0631-20)を用いて400℃の遠赤外線ヒーターで、フィルム表面温度がTg+60℃以上の温度になるようにフィルムを加熱し、50℃に加熱した金型(1辺50mmの7×7マス、高さ10mm、厚さ10mmの壁を有する箱型)に沿って真空圧空成形(圧力:1MPa)を行った。得られた成形体を凹側が接するように方眼紙にのせ、マスの外側位置における凹部頂点位置28点を方眼紙に転写し、隣接する各点を直線で結んだ座標情報を得た。その後、サンプルを、85℃85%RHに調温調湿した恒温恒湿槽に投入し、500時間熱処理を行った後のサンプルについて、同様の作業を行った。各点を結んだ直線について、熱処理前後で各々対応する位置における角度のずれを測定し、以下の基準で判定しC以上を合格とした。
A:角度のズレが最大で1°以下であった。
B:角度のズレの最大値が1°より大きく2°以下であった。
C:角度のズレの最大値が2°より大きく3°以下であった。
D:角度のズレの最大値が3°より大きかった。
[使用原料]
(1)ポリエステル樹脂(a)
テレフタル酸およびエチレングリコールから、三酸化アンチモンを触媒として、常法により重合を行い、ポリエチレンテレフタレート(PET)を得た。得られたPETのガラス転移温度は77℃、融点は255℃、固有粘度は0.63dl/g、末端カルボキシル基濃度は40eq./tであった。
(1)ポリエステル樹脂(a)
テレフタル酸およびエチレングリコールから、三酸化アンチモンを触媒として、常法により重合を行い、ポリエチレンテレフタレート(PET)を得た。得られたPETのガラス転移温度は77℃、融点は255℃、固有粘度は0.63dl/g、末端カルボキシル基濃度は40eq./tであった。
(2)ポリエステル樹脂(b)
ポリエステル(a)の重合時に数平均粒子径2.2μmの凝集シリカ粒子を粒子濃度2質量%で添加しポリエチレンテレフタレート粒子マスター(b)を得た。
ポリエステル(a)の重合時に数平均粒子径2.2μmの凝集シリカ粒子を粒子濃度2質量%で添加しポリエチレンテレフタレート粒子マスター(b)を得た。
(3)共重合ポリエステル樹脂(c)
市販のPBT-PAG(ポリアルキレングリコール)共重合体「“ハイトレル”(登録商標) 7247」(東レ・デュポン(株)製)を用いた。当該樹脂はPBT(ポリブチレンテレフタレート)とPAG(主としてポリテトラメチレングリコール)のブロック共重合体である。
市販のPBT-PAG(ポリアルキレングリコール)共重合体「“ハイトレル”(登録商標) 7247」(東レ・デュポン(株)製)を用いた。当該樹脂はPBT(ポリブチレンテレフタレート)とPAG(主としてポリテトラメチレングリコール)のブロック共重合体である。
(4)熱可塑性樹脂(d)
市販のポリメチルペンテン樹脂(三井化学(株)製、“TPX”)を用いた。
市販のポリメチルペンテン樹脂(三井化学(株)製、“TPX”)を用いた。
(5)硫酸バリウムマスター(e)
硫酸バリウム粒子(数平均粒径0.5μm)50質量部と、ポリエステル樹脂(a)を50質量部と二軸押出機にて混練し、硫酸バリウムマスターペレット(e)を得た。
硫酸バリウム粒子(数平均粒径0.5μm)50質量部と、ポリエステル樹脂(a)を50質量部と二軸押出機にて混練し、硫酸バリウムマスターペレット(e)を得た。
(6)二酸化チタンマスター(f)
熱可塑性樹脂(a)を50質量部と二酸化チタン粒子(数平均粒径0.25μm)50質量部を二軸押出機にて混練し、二酸化チタンマスターペレット(f)を得た。
熱可塑性樹脂(a)を50質量部と二酸化チタン粒子(数平均粒径0.25μm)50質量部を二軸押出機にて混練し、二酸化チタンマスターペレット(f)を得た。
(7)熱可塑性樹脂(g)
市販の環状オレフィン樹脂(日本ポリプラスチックス(株)製、“TOPAS 6017”)を用いた。
市販の環状オレフィン樹脂(日本ポリプラスチックス(株)製、“TOPAS 6017”)を用いた。
(8)熱可塑性樹脂(h)
市販のポリプロピレン樹脂(株式会社プライムポリマー製、“プライムポリプロJ106”)を用いた。
市販のポリプロピレン樹脂(株式会社プライムポリマー製、“プライムポリプロJ106”)を用いた。
(実施例1~6)
表1に示した組成の原料を180℃の温度で6時間真空乾燥した後に、主押出機にB層の原料を供給し、280℃の温度で溶融押出後、30μmカットフィルターにより濾過を行った。また、副押出機にA層の原料を供給し、290℃の温度で溶融押出後、30μmカットフィルターにより濾過を行った。引き続いて、これらの溶融ポリマーをTダイ複合口金内で、B層がA層の両表層に積層(B/A/B)されるよう合流させた。口金上部でA層樹脂とB層樹脂が合流する地点において、B層の流路幅が幅方向の中央となる箇所と幅方向の端部の流路幅が、幅方向の中央と端部の間となる箇所の流路幅よりも拡幅した(A層の流路幅として幅方向の中央と端部の間となる箇所の流路幅が拡幅した)円形断面の単管を用いた。引き続いて、合流した溶融ポリマーをシート状に押出して溶融シートとし、当該溶融シートを、表面温度25℃に保たれたドラム上に静電印加法で密着させ冷却固化させて未延伸フィルムとした。この未延伸フィルムは、B層の厚み比率が幅方向における平均値に対して幅方向中央位置において3%高く、また、両端部と中央部の間の計2点にてB層の厚み比率が幅方向における平均値に対して2%低く、これら3点が幅方向のA層厚み分布において変曲点となっていた。なお、未延伸フィルムの厚み分布の算出は、幅方向に5mm間隔で測定した厚み生データの5項移動平均値を用いて行った。
表1に示した組成の原料を180℃の温度で6時間真空乾燥した後に、主押出機にB層の原料を供給し、280℃の温度で溶融押出後、30μmカットフィルターにより濾過を行った。また、副押出機にA層の原料を供給し、290℃の温度で溶融押出後、30μmカットフィルターにより濾過を行った。引き続いて、これらの溶融ポリマーをTダイ複合口金内で、B層がA層の両表層に積層(B/A/B)されるよう合流させた。口金上部でA層樹脂とB層樹脂が合流する地点において、B層の流路幅が幅方向の中央となる箇所と幅方向の端部の流路幅が、幅方向の中央と端部の間となる箇所の流路幅よりも拡幅した(A層の流路幅として幅方向の中央と端部の間となる箇所の流路幅が拡幅した)円形断面の単管を用いた。引き続いて、合流した溶融ポリマーをシート状に押出して溶融シートとし、当該溶融シートを、表面温度25℃に保たれたドラム上に静電印加法で密着させ冷却固化させて未延伸フィルムとした。この未延伸フィルムは、B層の厚み比率が幅方向における平均値に対して幅方向中央位置において3%高く、また、両端部と中央部の間の計2点にてB層の厚み比率が幅方向における平均値に対して2%低く、これら3点が幅方向のA層厚み分布において変曲点となっていた。なお、未延伸フィルムの厚み分布の算出は、幅方向に5mm間隔で測定した厚み生データの5項移動平均値を用いて行った。
該未延伸フィルムを88℃の温度に加熱したロール群で予熱した後、赤外線ヒーターで両面から照射しながら、長手方向(縦方向)に3.3倍の倍率にて延伸を行い、25℃の温度のロール群で冷却して一軸延伸フィルムを得た。その後、一軸延伸フィルムの両端をクリップで把持しながらテンター内の100℃の予熱ゾーンに導き、引き続き105℃で長手方向に垂直な方向(横方向)に3.4倍の倍率にて延伸した。さらに引き続いて、テンター内の熱処理ゾーンで表2の温度と倍率で延伸および緩和熱処理を施し、次いで均一に徐冷後、ロールに巻き取り、表3に記載の厚みの二軸配向ポリエステルフィルムを得た。
(実施例7、8)
ボイド核剤として用いたポリメチルペンテンの配合量を変更した以外は実施例1と同様にして表3に記載の厚みの二軸配向ポリエステルフィルムを得た。
ボイド核剤として用いたポリメチルペンテンの配合量を変更した以外は実施例1と同様にして表3に記載の厚みの二軸配向ポリエステルフィルムを得た。
(実施例9、10)
A層に硫酸バリウムを加えた配合に変更した以外は実施例1と同様にして表3に記載の厚みの二軸配向ポリエステルフィルムを得た。
A層に硫酸バリウムを加えた配合に変更した以外は実施例1と同様にして表3に記載の厚みの二軸配向ポリエステルフィルムを得た。
(実施例11)
実施例1で得られたフィルムロールを、1100mm幅にスリットした。その後、100℃/120℃/150℃/150℃に加熱した4ゾーン(各ゾーン長さ4m)からなるオーブン内に導き、巻き出し張力80N、炉内張力45N、巻き取り張力90Nにて、オフアニール処理を行い、表3に記載の厚みの二軸配向ポリエステルフィルムを得た。
実施例1で得られたフィルムロールを、1100mm幅にスリットした。その後、100℃/120℃/150℃/150℃に加熱した4ゾーン(各ゾーン長さ4m)からなるオーブン内に導き、巻き出し張力80N、炉内張力45N、巻き取り張力90Nにて、オフアニール処理を行い、表3に記載の厚みの二軸配向ポリエステルフィルムを得た。
(実施例12)
Tダイ複合口金内での合流をB/Aの2層構成とした以外は実施例1と同様にして、表3に記載の厚みの二軸配向ポリエステルフィルムを得た。
Tダイ複合口金内での合流をB/Aの2層構成とした以外は実施例1と同様にして、表3に記載の厚みの二軸配向ポリエステルフィルムを得た。
(実施例13~15)
B層にポリアルキレングリコール共重合樹脂を加えた配合とした以外は実施例1と同様にして表3に記載の厚みの二軸配向ポリエステルフィルムを得た。
B層にポリアルキレングリコール共重合樹脂を加えた配合とした以外は実施例1と同様にして表3に記載の厚みの二軸配向ポリエステルフィルムを得た。
(実施例16、17)
ボイド核剤として、シクロオレフィン共重合樹脂またはポリプロピレン樹脂を用いた配合とした以外は実施例1と同様にして表3に記載の厚みの二軸配向ポリエステルフィルムを得た。
ボイド核剤として、シクロオレフィン共重合樹脂またはポリプロピレン樹脂を用いた配合とした以外は実施例1と同様にして表3に記載の厚みの二軸配向ポリエステルフィルムを得た。
各実施例においてB層の空隙率は0.1%以下であり、実質的にボイドを有さない層であった。
(比較例1)
実施例1と同様にして表1に示した組成、表2に示した製膜条件にて製膜を行ったが破れが多発した。表3に得られたフィルムの特性を示した。
実施例1と同様にして表1に示した組成、表2に示した製膜条件にて製膜を行ったが破れが多発した。表3に得られたフィルムの特性を示した。
(比較例2)
表1に示した組成、表2に示した製膜条件にて、熱処理工程での延伸を行わずに製膜を行い、表3に記載の厚みの二軸配向ポリエステルフィルムを得た。
表1に示した組成、表2に示した製膜条件にて、熱処理工程での延伸を行わずに製膜を行い、表3に記載の厚みの二軸配向ポリエステルフィルムを得た。
(比較例3)
A層とB層ポリマーが口金入り口で合流する地点において、B層の流路幅が均一である単管を用いた。未延伸フィルムのA層の厚み分布において、明確な厚みの変曲点を持たない均一な分布となり、その点以外は実施例1と同様にして、表1に示した組成、表2に示した製膜条件にて、熱処理工程での延伸を行わずに製膜を行ったが、破れが多発しフィルムを得ることが出来なかった。
A層とB層ポリマーが口金入り口で合流する地点において、B層の流路幅が均一である単管を用いた。未延伸フィルムのA層の厚み分布において、明確な厚みの変曲点を持たない均一な分布となり、その点以外は実施例1と同様にして、表1に示した組成、表2に示した製膜条件にて、熱処理工程での延伸を行わずに製膜を行ったが、破れが多発しフィルムを得ることが出来なかった。
これらの実施例および比較例の結果から、本発明の特徴とする特性を充足することによってのみ、輝度ムラと信頼性、成形性を良好なものとし、かつ製膜安定性を両立する二軸配向ポリエステルフィルムを得られることが示された。
本発明によれば、良好な光反射性能を有し、かつ耐熱試験後の捻じれ変形を抑制した、直下型バックライトユニットの構成部材に好適な反射板を得ることができる。
Claims (13)
- ポリエステル樹脂を主たる成分とし、ボイドを有するA層と
ポリエステル樹脂を主たる成分とし、実質的にボイドを有さないB層の少なくとも2層から構成されるフィルムであって、
フィルムの空隙率が10%以上70%以下であり、
フィルム面内における配向角の変動が0.1°/150mm以上3.0°/150mm以下である二軸配向ポリエステルフィルム。 - フィルム面内において150mm間隔で測定した厚みの偏差が2.5%以下である請求項1に記載の二軸配向ポリエステルフィルム。
- 比重が0.55g/cc以上0.80g/cc以下である請求項1または2に記載の二軸配向ポリエステルフィルム。
- 面内における105℃熱収縮率の最大値が0.5%以下である請求項1~3のいずれかに記載の二軸配向ポリエステルフィルム。
- 前記A層に無機粒子を含有しており、当該無機粒子の含有量がA層全体の0.5質量%以上5質量%以下である請求項1~4のいずれかに記載の二軸配向ポリエステルフィルム。
- 前記A層に、ボイド核剤としてポリメチルペンテン、ポリプロピレン、環状ポリオレフィンから選択される1種以上の熱可塑性樹脂を含有してなる請求項1~5のいずれかに記載の二軸配向ポリエステルフィルム。
- B層のポリエステル成分の融点TmbおよびA層中のボイド核剤の融点Tmnが以下の関係式を満たす請求項1~6のいずれかに記載の二軸配向ポリエステルフィルム。
2.0≦|Tmb-Tmn|≦15.0・・・(1) - 請求項1~7のいずれかに記載の二軸配向ポリエステルフィルムを巻き取ってなる、フィルム幅が150mm以上1500mm以下である二軸配向ポリエステルフィルムロール。
- ディスプレイ用反射フィルムとして用いられる請求項1~7のいずれかに記載の二軸配向ポリエステルフィルム。
- 請求項1~7のいずれかに記載の二軸配向ポリエステルフィルムを有するディスプレイ用反射フィルム。
- 請求項10に記載のディスプレイ用反射フィルムを有するバックライト。
- 請求項11に記載のバックライトを有するディスプレイ。
- 請求項1~7のいずれかに記載の二軸配向ポリエステルフィルムを製造する方法であって、熱処理前半にて160℃以上210℃以下で幅方向に1%以上10%以下微延伸し、熱処理中盤にて180℃以上240℃以下で幅方向に1%以上10%以下微延伸し、かつ熱処理後半温度を180℃以上240℃以下とする工程を有する二軸配向ポリエステルフィルムの製造方法。
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2021066243 | 2021-04-09 | ||
JP2021066243 | 2021-04-09 |
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JP2022063294A Pending JP2022161874A (ja) | 2021-04-09 | 2022-04-06 | 二軸配向ポリエステルフィルム、ディスプレイ用反射フィルム、バックライト、ディスプレイ、および二軸配向ポリエステルフィルムの製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
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JP (1) | JP2022161874A (ja) |
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2022
- 2022-04-06 JP JP2022063294A patent/JP2022161874A/ja active Pending
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