JP5024479B2 - 白色フィルムの製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、白色フィルムの製造方法に関する。さらに詳しくは面光源用反射部材(反射板、およびリフレクター)として好適な白色フィルムであって、反射特性および製膜性を両立することができる、白色フィルムの製造方法に関する。
近年、パソコン、テレビ、携帯電話などの表示装置として、液晶を利用したディスプレイが数多く用いられている。これらの液晶ディスプレイは、それ自体は発光体でないために、裏側からバックライトと呼ばれる面光源を設置して光を照射している。また、バックライトは、単に光を照射するだけでなく、画面全体を均一に照射するという要求に応えるため、サイドライト型もしくは直下型と呼ばれる面光源の構造をとっている。薄型・小型化が望まれるノート型パソコン等に使用される薄型液晶ディスプレイ用途には、サイドライト型バックライトが適用されている。サイドライト型バックライトは、画面に対し側面から光を照射するタイプのバックライトである。
サイドライト型バックライトでは、冷陰極線管を照明光源とし、導光板の端部から光を入射し、導光版により光を均一に伝播・拡散して液晶ディスプレイ全体を均一に照射する。この照明方法において、より光を効率的に活用するため、冷陰極線管の周囲にリフレクターが設けられている。さらに導光板から拡散された光を液晶画面側に効率的に反射させるために導光板の下には反射板が設けられている。これにより冷陰極線管からの光のロスを少なくし、液晶画面をより明るくすることができる。
一方、液晶テレビのような大画面用では、直下型ライト方式が採用されている。この方式は、液晶画面の下部に冷陰極線管を並列に設けるもので、反射板の上に平行に冷陰極線管が並べられる。反射板は平面状もしくは、冷陰極線管の部分を半円凹状に成形したものなどが用いられる。
このような液晶画面用の面光源に用いられるリフレクターや反射板(以下、面光源反射部材と総称する)には、薄膜であることと同時に高い反射機能が要求される。面光源反射部材に使用されるフィルムとして、フィルム内部に微細な気泡を含有させ、気固界面での光反射を利用するフィルムなど、フィルム中に含有された微細な気泡とマトリックス樹脂の屈折率差を利用したフィルムが開示されている(特許文献1)。
フィルム内部に微細な気泡を作る方法としては、ポリエステル樹脂シートに加圧下で不活性ガスを含有させる工程と、不活性ガスを含有させたポリエステル樹脂シートを常圧下で加熱して発泡させる工程からなる製造方法が開示されている(特許文献2)。
また、内部に非相溶の樹脂粒子を有し、延伸することによって樹脂粒子の周りに気泡が形成された白フィルムを製造する方法が開示されている(特許文献3)。
一方、単層で非相溶の樹脂粒子および耐光性を有する成分を同時に含むフィルムの製造方法が開示されている(特許文献4〜6)。
なお、気泡を含有する白フィルムの製造方法において、延伸中に赤外線ヒーターを用いて加熱する方法が開示されている(特許文献7)。
特開2002−40214号公報 特開2006−249158号公報 特開2009−98660号公報 特開平8−48792号公報 特許第4306294号公報 特表2009−516049号公報 特開2006−241471号公報
しかしながら、特許文献2〜7の技術には、次のような問題がある。
特許文献2の技術は、フィルムの薄膜化が困難であり、面光源反射部材に使用されるフィルムの生産方法には適していない。
特許文献3の技術は、反射率の向上、耐光性の向上および安定した生産性のためには、気泡を形成するための非相溶性成分を高濃度で添加した内層と、耐光性の機能を有する酸化チタンを含有した気泡が少ない外層とを積層する必要がある。この外層の酸化チタンが光の一部を吸収するために反射率の向上を阻害する。また積層のためには大がかりな設備が必要であり、コストの面で劣る。
特許文献4〜6の技術は、気泡を形成するために延伸すると、フィルム表面にも気泡ができるため非相溶樹脂粒子が脱落し、生産ラインを汚染する。また、反射率を向上させるために気泡を多くすることが有効であるが、比重が下がるため破けやすく安定して製膜ができない。
特許文献7の技術は、赤外線ヒーターの出力が小さく、ロールによるフィルムの加熱を補助する程度であり、フィルム表面に気泡が形成されるため、非相溶樹脂粒子が脱落し生産ラインを汚染する。
本発明は、これらの課題を解決し、生産ラインの汚染がなく、フィルム破れの少ない安定した生産ができる白色フィルムの製造方法を提供する。
本発明は、内部に気泡を含有し、比重が0.55以上1.30以下である白色フィルムの製造方法であって、
主たる樹脂成分と、この樹脂成分に非相溶な成分とを含有する層を有するフィルムを、その少なくとも一方の表面を、その表面の熱量が8.5W/cm以上40W/cm以下となるように加熱しながら、ロールの周速差によりフィルム長手方向に3.0倍以上4.5倍以下に延伸した後に、フィルム幅方向に3倍以上5倍以下に延伸する、白色フィルムの製造方法である。
本発明の白色フィルムの製造方法によれば、生産ラインの汚染がなく、フィルム破れが少なく安定して白色フィルムを生産することができる。
図1は、熱量Qを測定する方法を示す、フィルム幅方向から見た概略図である。
(1)白色フィルム
(1.1)白色フィルムの構成
本発明により生産される白色フィルムは、内部に気泡を含有し、比重が0.55以上1.30以下の白色フィルムである。
白色フィルムは、内部に気泡を含有していることが必要である。白色フィルムとしては、内部に気泡を含有する単層のフィルム、または内部に気泡を有した層が少なくとも一方の最外層になっているフィルムが好ましい。フィルムの最外層に気泡を含有した層が存在することにより、高い反射特性を有する白色フィルムを得ることができる。このような積層白色フィルムの例として、気泡を含有する層と気泡を含有しない層を積層してもよいし、気泡の量が異なる2種類以上の層を積層してもよい。
本発明において、フィルム内部に含有される気泡は、独立した気泡であってもよいし、複数の気泡が連続しているものであってもよい。また、気泡形状は特に限定されないが、フィルム厚み方向に多数の界面を形成させるために、気泡の断面形状が円状ないし、フィルム面方向に対して伸長されている楕円状であることが好ましい。
また、気泡の形成方法としては、内部に気泡を有する層を構成する主たる樹脂成分(a)と、この樹脂成分(a)に対して非相溶な成分(b)とを含有する混合物を溶融押出しした後、少なくとも一方向に延伸し、内部に気泡を形成させる方法が好ましい。ここで、主たる樹脂成分(a)とは、内部に気泡を有する層全体に対して質量比率が50%を超える成分の事である。この方法は、微細で扁平な気泡を生成させることができ、反射性能の高い白色フィルムを生産性よく生産できる。
この方法は、延伸中に主たる樹脂成分(a)と非相溶性成分(b)との界面で剥離が起こることを利用して、扁平状の気泡を生成させる手法である。したがって、気泡占有体積を増大させ、フィルム厚み当りの界面数を増大させ反射性能を向上させるために、一軸延伸より二軸延伸がより好ましい。
フィルム内部の気泡の有無は以下の方法で確認することができる。すなわち、ミクロトームを用いてフィルムTD方向(フィルム幅方向)と平行方向の断面を切り出す。断面に白金−パラジウムを蒸着した後、断面を走査型電子顕微鏡(以下SEMと称する)で適当な倍率(500〜10000倍)で観察する。観察して得られた画像により気泡を確認することができる。
白色フィルムの厚みは30μm以上500μm以下が好ましい。厚みの下限は50μm以上がより好ましい。厚みの上限は300μm以下がより好ましい。厚みが30μm未満の場合、十分な反射性が得られないことがある。厚みが500μmより厚い場合、薄膜化が要求される液晶ディスプレイに使用するには厚すぎる。なお、白色フィルムが積層体の場合は、積層体全体の厚みのことである。
白色フィルムの比重は、0.55以上1.30以下である。より好ましくは0.55以上0.99以下、さらに好ましくは0.55以上0.90以下である。ここでいう比重とは、白色フィルム全体での比重のことである。比重が0.55未満であると、フィルムの強度が低下し、フィルムが破断しやすくなり、生産性に劣るため好ましくない。また液晶ディスプレイの組み立て作業において折れ皺が発生しやすくなるため好ましくない。比重が1.30を越えると、気泡を含有することによる反射性が不十分となるため、好ましくない。
白色フィルムの比重を0.55以上1.30以下にする方法としては、1)非相溶成分(b)の含有量を増やす、2)非相溶成分(b)として樹脂粒子を使用する、3)非相溶成分(b)の体積平均粒径Dvを小さくする、4)延伸倍率を高倍率化する、などが挙げられる。
白色フィルム表面におけるクレーターの存在密度は、1個/100μm以下であることが好ましい。本発明者らの検討によれば、生産ラインが汚染される原因は、粒子(非相溶性成分)がクレーターから脱落し、この粒子が生産設備に付着するためである。そのため、フィルム表面のクレーターの存在密度を1個/100μm以下とすることにより生産ラインの汚染を防ぐことができる。存在密度の下限は0個/100μm以上である。また、本効果を得るためには、フィルム両表面におけるクレーターの存在密度がそれぞれ1個/100μm以下であることが好ましい。本発明で言うクレーターとは、フィルム表面の倍率が2500倍のSEM写真にて観察される、長径が1μm以上の凹状のくぼみを言う。
クレーターの存在密度を1個/100μm以下にする方法としては、後述するように、高出力の赤外線ヒーターなどを用いてフィルム表面に一定の熱量を与えながら(加熱しながら)、フィルムを延伸する方法が挙げられる。
(1.2)主たる樹脂成分(a)
主たる樹脂成分(a)は、気泡を含有する層のマトリックス樹脂成分となる。主たる樹脂成分(a)としては、ポリエステル樹脂(a1)が好ましい。ポリエステル樹脂とは、ジオール成分とジカルボン酸成分の重縮合によって得られるポリマーである。ジカルボン酸成分としては、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、アジピン酸、セバシン酸等が代表例として挙げられる。またジオール成分としては、エチレングリコール、トリメチレングリコール、テトラメチレングリコール、シクロヘキサンジメタノール等が代表例として挙げられる。ポリエステル樹脂の具体例としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレート(ポリエチレンナフタレート)、ポリプロピレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等を使用することができる。
もちろん、これらのポリエステルは、ホモポリエステルであってもコポリエステルであってもよい。共重合成分としては、例えばジエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、ポリアルキレングリコール等のジオール成分、アジピン酸、セバシン酸、フタル酸、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸等のジカルボン酸成分を用いることができる。
ポリエステル樹脂(a1)として、上述の樹脂を用いることにより、高い無着色性を維持しつつ、フィルムとしたときに高い機械強度を付与することができる。より好ましくは、安価でかつ耐熱性が優れるという点で、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)が好ましい。
(1.3)非相溶性成分(b)
非相溶性成分(b)としては、マトリックス樹脂成分となる主たる樹脂成分(a)と非相溶なものであれば特に限定されず、マトリックス樹脂に非相溶な熱可塑性樹脂(b1)と無機粒子(b2)のいずれも好ましく用いられる。これら成分は単独でも2種以上を併用してもよい。非相溶性成分(b)として、熱可塑性樹脂(b1)と無機粒子(b2)を併用することは、より好ましい形態の一つである。
また、白色フィルムが、ポリエステル樹脂(a1)と、ポリエステル樹脂(a1)とは非相溶な成分(b)とを含有する層を有しており、白色フィルムの少なくとも一方の最外層がこの層であることが好ましい。このような構成とすることにより、効率的に気泡を含有させることができ、高い反射特性を有する白色フィルムとすることができる。より好ましくは、白色フィルムが、ポリエステル樹脂(a1)および非相溶性成分(b)を含有する層からのみからなることである。なお、白色フィルムの表層に、気泡を含有しない層を設けた場合、紫外線によるポリマーの劣化で黄変することがあるため好ましくない。
(1.3.1)熱可塑性樹脂(b1)
非相溶性成分(b)として熱可塑性樹脂(b1)を用いる場合、その樹脂は、結晶性、非晶性、どちらも好ましく用いられる。その具体例としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、ポリメチルペンテン、シクロペンタジエンなどのような直鎖状、分鎖状あるいは環状のポリオレフィン系樹脂、ポリ(メタ)アクリレートなどのアクリル系樹脂、ポリスチレン、フッ素系樹脂などが好ましく用いられる。これらの非相溶性樹脂は単独重合体であっても共重合体であってもよく、さらには2種以上の非相溶性樹脂を併用してもよい。これらの中でも、透明性に優れ、かつ耐熱性に優れるという点で、ポリオレフィンが好ましく用いられる。具体的には、結晶性樹脂としては、ポリプロピレンやポリメチルペンテンなどが、非晶性樹脂としては、シクロオレフィン共重合体などが好ましく用いられる。
主たる樹脂成分(a)としてポリエステル樹脂(a1)を用い、ポリエステル樹脂(a1)に非相溶な成分として熱可塑性樹脂(b1)を用いる場合、その結晶性樹脂の具体例としては、透明性、耐熱性の観点から、ポリメチルペンテンがより好ましく用いられる。ポリメチルペンテンとしては、分子骨格中に4−メチルペンテン−1からの誘導単位を好ましくは80モル%以上、より好ましくは85モル%以上、特に好ましくは90モル%以上含むものが好ましい。また、その他の誘導単位としては、エチレン単位、プロピレン単位、ブテン−1単位、3−メチルブテン−1、あるいは4−メチルペンテン−1以外で炭素数6〜12の炭化水素などが例示される。ポリメチルペンテンは単独重合体であっても共重合体であってもよい。また、組成や、溶融粘度などの異なる複数のポリメチルペンテンを用いたり、他のオレフィン系樹脂やその他樹脂と併用してもよい。
また、熱可塑性樹脂(b1)として非晶性樹脂を用いる場合、環状オレフィン共重合体樹脂を特に好ましく用いることができる。環状オレフィン共重合体とは、シクロアルケン、ビシクロアルケン、トリシクロアルケンおよびテトラシクロアルケンからなる群から選ばれた少なくとも1種の環状オレフィンと、エチレン、プロピレン等の直鎖オレフィンからなる共重合体である。
環状オレフィン共重合体樹脂における環状オレフィンの代表例としては、ビシクロ〔2,2,1〕ヘプト−2−エン、6−メチルビシクロ〔2,2,1〕ヘプト−2−エン、5,6−ジメチルビシクロ〔2,2,1〕ヘプト−2−エン、1−メチルビシクロ〔2,2,1〕ヘプト−2−エン、6−エチルビシクロ〔2,2,1〕ヘプト−2−エン、6−n−ブチルビシクロ〔2,2,1〕ヘプト−2−エン、6−i−ブチルビシクロ〔2,2,1〕ヘプト−2−エン、7−メチルビシクロ〔2,2,1〕ヘプト−2−エン、トリシクロ〔4,3,0,12.5 〕−3−デセン、2−メチル−トリシクロ〔4,3,0,12.5〕−3−デセン、5−メチル−トリシクロ〔4,3,0,12.5 〕−3−デセン、トリシクロ〔4,4,0,12.5 〕−3−デセン、10−メチル−トリシクロ〔4,4,0,12.5 〕−3−デセン等がある。
また、環状オレフィン共重合体樹脂における直鎖オレフィンの代表例としては、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン、1−オクタデセン等がある。
熱可塑性樹脂(b1)としては、上述に挙げられるもののうち、非晶性樹脂である環状オレフィン共重合体樹脂が特に好ましい。環状オレフィン共重合体樹脂は、後述するマトリックスに含まれる脂環式ジオールや脂環式ジカルボン酸との相互作用により、より微分散され、その結果反射特性をさらに高めることができる。
熱可塑性樹脂(b1)は、そのガラス転移温度Tgが170℃以上であることが好ましい。さらに好ましくは180℃以上である。170℃以上とすることで、混練時においてマトリックス樹脂中により微細に分散し、延伸工程において気泡を形成し、熱処理工程における気泡の消失をより抑制することができる。上限は250℃が好ましい。250℃を越えると、製膜時の押出温度が高くなり加工性に劣ることがある。
特に熱可塑性樹脂(b1)として、環状オレフィン共重合体樹脂を用いる場合、そのガラス転移温度Tgが170℃未満であると、寸法安定性を付与するためにフィルムの熱処理を実施した時に、核剤である環状オレフィン共重合体樹脂が変形することがある。その結果、それを核として形成された気泡が減少または消失して、反射特性が低下する場合がある。また、反射特性を維持しようとして熱処理温度を低温化すると、フィルムの寸法安定性が低下する場合がある。
熱可塑性樹脂(b1)として、環状オレフィン共重合体樹脂を用いる場合、そのガラス転移温度Tgを170℃以上250℃以下の範囲に制御するためには、例えば環状オレフィン共重合体中の環状オレフィン成分の含有量を多くし、エチレン等の直鎖オレフィン成分の含有量を少なくすることが挙げられる。具体的には、環状オレフィン共重合体中の環状オレフィン成分が60モル%以上であり、エチレン等の直鎖オレフィン成分の含有量が40モル%未満であることが好ましい。より好ましくは、環状オレフィン成分が70モル%以上であり、エチレン等の直鎖オレフィン成分の含有量が30モル%未満、さらに好ましくは環状オレフィン成分が80モル%以上であり、エチレン等の直鎖オレフィン成分の含有量が20モル%未満である。特に好ましくは環状オレフィン成分が90モル%以上であり、エチレン等の直鎖オレフィン成分の含有量が10モル%未満である。このような範囲にすることにより、環状オレフィン共重合体のガラス転移温度Tgを170℃まで高めることができる。
また、熱可塑性樹脂(b1)として、環状オレフィン共重合体樹脂を用いる場合、直鎖オレフィン成分は特に制限されるものではないが、反応性の観点からエチレン成分が好ましい。
さらに、環状オレフィン成分も特に制限されるものではないが、ビシクロ〔2,2,1〕ヘプト−2−エン(ノルボルネン)やその誘導体が生産性、透明性、高Tg化の点から好ましい。
したがって、白色フィルムが、ポリエステル樹脂(a1)および非相溶性成分(b)を含有する層を有しており、非相溶成分(b)が、ガラス転移温度が170℃以上250℃以下である熱可塑性樹脂(b1)であることが好ましい。さらに好ましくは、熱可塑性樹脂(b1)は非晶性樹脂である。特に好ましくは、熱可塑性樹脂(b1)は非晶性の環状オレフィン共重合体樹脂である。
熱可塑性樹脂(b1)の含有量は、気泡を含有する層全体に対し3質量%以上25質量%以下であることが好ましい。含有量の下限は5質量%以上がより好ましい。含有量の上限は10質量%以下がより好ましい。熱可塑性樹脂(b1)の含有量が3質量%未満であると、フィルム内部に気泡が十分に生成されず、白色性や光反射特性に劣ることがある。熱可塑性樹脂(b1)の含有量が25質量%を越えると、フィルムの強度が低下し、延伸時の破断が起こりやすくなることがある。含有量を3質量%以上25質量%以下の範囲にすることにより、十分な白色性・反射性・軽量性を発現できる。
(1.3.2)無機粒子(b2)
非相溶性成分(b)として無機粒子(b2)を用いる場合、その例としては、ガラス、シリカ、硫酸バリウム、酸化チタン、硫酸マグネシウム、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、タルクなどを挙げることができる。
主たる樹脂成分(a)としてポリエステル樹脂(a1)を用いた場合、これらの無機粒子の中でも、特に、気泡形成、白色度、光学濃度など総合的効果の点から、酸化チタン、炭酸カルシウムおよび硫酸バリウムからなる群から選ばれる少なくとも1種以上の無機粒子(b2)を用いることが好ましい。特に酸化チタンが好ましい。
無機粒子(b2)の含有量は、気泡を含有する層全体に対し5質量%以上60質量%以下であることが好ましい。含有量の下限は10質量%以上がより好ましい。含有量の上限は20質量%以下がより好ましい。無機粒子(b2)の含有量が5質量%未満であると、フィルム内部に気泡が十分に生成されず、白色性や光反射特性に劣ることがある。無機粒子(b2)の含有量が60質量%を越えると、フィルムの強度が低下し、延伸時の破断が起こりやすくなることがある。含有量を5質量%以上60質量%以下の範囲内にすることにより、十分な白色性、反射性および軽量性を発現できる。
非相溶性成分(b)として、熱可塑性樹脂(b1)と無機粒子(b2)を併用することは、好ましい態様の一つである。特に、白色フィルムが、ポリエステル樹脂(a1)および非相溶性成分(b)を含有する層を有しており、かつ非相溶性成分(b)として、ガラス転移温度が170℃以上250℃以下である熱可塑性樹脂(b1)、ならびに、酸化チタン、炭酸カルシウムおよび硫酸バリウムからなる群から選ばれる少なくとも1種以上の無機粒子(b2)を用いることが好ましい。さらに、熱可塑性樹脂(b1)の含有量が、気泡を含有する層全体に対し3質量%以上25質量%以下、および無機粒子(b2)の含有量が、気泡を含有する層全体に対し5質量%以上60質量%以下であることが好ましい。
(1.4)その他添加物
気泡を含有する層のマトリックス樹脂成分として、ポリエステル樹脂(a1)に、共重合成分を導入した共重合ポリエステル樹脂(c)を混合してもよい。共重合成分の量は特に限定されないが、透明性、成形性等の観点および次に述べる非晶化の観点より、ジカルボン酸成分およびジオール成分とも、それぞれの成分に対して好ましくは1モル%以上70モル%以下であり、より好ましくは10モル%以上40モル%以下である。
また、共重合樹脂(c)として、共重合により非晶性となったポリエステルを用いることは好ましい。その例としては、ジオール成分の主成分が脂環式グリコールである共重合ポリエステル樹脂や、酸成分が脂環式ジカルボン酸である共重合ポリエステル樹脂などが挙げられる。特に、ジオール成分を脂環式グルコールの一種であるシクロへキサンジメタノールとして共重合した非晶性ポリエステルが、透明性、成形性の点や後述する非相溶樹脂の微分散化効果の点から好ましく用いることができる。その場合、共重合ポリエステル樹脂(c)のジオール成分のシクロヘキサンジメタノール成分を30モル%以上とすることが、非晶化の観点から好ましい。
気泡を含有する層のマトリックス樹脂中に共重合ポリエステル樹脂(c)を導入することによって、非相溶性成分(b)として熱可塑性樹脂(b1)である環状オレフィン共重合体樹脂を用いた場合、共重合ポリエステル樹脂(c)の環式脂肪族炭化水素部分と、環状オレフィン共重合体樹脂の環状オレフィン部分との相互作用により、環状オレフィン共重合体樹脂がマトリックス樹脂中に微分散でき、その結果、高反射性、高白色性、軽量性を達成することができる。また、共重合ポリエステル樹脂(c)を添加することにより、延伸性や製膜性を向上させることができる。
共重合ポリエステル(c)の含有量は、気泡を含有する層のマトリックスを構成する全樹脂100質量%に対し1質量%以上50質量%未満が好ましい。含有量の下限は1.5質量%以上がより好ましい。含有量の上限は40質量%以下がより好ましく、35質量%以下が特に好ましい。共重合ポリエステル(c)の含有量が1質量%未満であると、熱可塑性樹脂(b1)をマトリックス中に微分散化するのが困難となる場合がある。共重合ポリエステル(c)の含有量が50質量%以上であると、耐熱性が低下し、寸法安定性を付与するためにフィルムの熱処理を実施した時に、マトリックス樹脂が軟化し、その結果、気泡が減少または消失して、反射特性が低下したりする場合がある。また、反射特性を維持しようとして、熱処理温度を低温化すると、フィルムの寸法安定性が低下する場合がある。共重合ポリエステル(c)の含有を1質量%以上50質量%未満の範囲に制御することによって、上述した非相溶成分の分散効果を十分に発揮させつつ、フィルム製膜性や機械特性を維持することができる。その結果、高い反射率と寸法安定性を両立することができる。
気泡を含有する層のマトリックス樹脂に熱可塑性樹脂(b1)をより微分散させるために、マトリックス樹脂に、前述したポリエステル樹脂(a1)および共重合ポリエステル樹脂(c)の他に、さらに分散剤(d)を含有することが好ましい。分散剤(d)を含有することにより、熱可塑性樹脂(b1)の分散径をさらに小さくすることができる。その結果、延伸により生成する扁平気泡をより微細化でき、結果的にフィルムの白色性、反射性、軽量性を高めることができる。
分散剤(d)の種類は特に限定されないが、カルボキシル基やエポキシ基等の極性基やポリエステルと反応性のある官能基をもったオレフィン系の重合体または共重合体、ジエチレングリコール、ポリアルキレングリコール、界面活性剤および熱接着性樹脂等を用いることができる。もちろん、これらは単独でも2種以上を併用してもよい。中でも、ポリエステル成分とポリアルキレングリコール成分からなるポリエステル-ポリアルキレングリコール共重合体(d1)が特に好ましい。
この場合、ポリエステル成分としては、炭素数が2以上6以下の脂肪族ジオール部分と、テレフタル酸および/またはイソフタル酸部分からなるポリエステル成分が好ましい。また、ポリアルキレングリコール成分としては、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール等の成分が好ましい。
特に好ましい組み合わせとしては、ポリエステル成分にはポリエチレンテレフタレートもしくはポリブチレンテレフタレートを、ポリアルキレングリコール成分にはポリエチレングリコールもしくはポリテトラメチレングルコールを用いた組み合わせである。中でも、ポリエステル成分にはポリブチレンテレフタレートを、ポリアルキレングリコール成分にはポリテトラメチレングルコールを用いた組み合わせ、もしくはポリエステル成分にはポリエチレンテレフタレートを、ポリアルキレングリコール成分にはポリエチレングリコールを用いた組み合わせが特に好ましい。
分散剤(d)の含有量は、マトリックスを構成する全樹脂100質量%に対して、0.1質量%以上30質量%以下が好ましい。含有量の下限は1質量%以上がより好ましく、1.5質量%以上が特に好ましい。含有量の上限は25質量%以下がより好ましく、20質量%以下が特に好ましい。含有量が0.1重量%未満であると、気泡を微細化する効果が小さくなることがある。含有量が30重量%より多いと、耐熱性が低下し、寸法安定性を付与するためにフィルムの熱処理を実施した時にマトリックスが軟化し、その結果、気泡が減少または消失して、反射特性が低下したりする場合がある。また、反射特性を維持しようとして、熱処理温度を低温化すると、フィルムの寸法安定性が低下する場合がある。また、生産安定性の低下やコスト上昇などの問題が発生することがある。分散剤(d)の含有量を0.1質量%以上30質量%以下の範囲に制御することによって、上述した熱可塑性樹脂(b1)の分散効果を十分に発揮させつつ、フィルム製膜性や機械特性を維持することができる結果、高い反射率と、寸法安定性を両立することが可能となる。
また、白色フィルムには、必要に応じて本発明の効果が損なわれない量での適宜な添加剤、例えば、耐熱安定剤、耐酸化安定剤、紫外線吸収剤、紫外線安定剤、有機系の易滑剤、有機系微粒子、充填剤、核剤、染料、分散剤、カップリング剤等が配合されていてもよい。
(2)フィルム特性
白色フィルムの全光線透過率は1.5%以下であることが好ましい。より好ましくは1.2%以下、さらに好ましくは1.0%以下である。なお、ここでいう全光線透過率とは、JIS−K7361−1(1997年版)に基づいて測定された値である。全光線透過率を1.5%以下とすることによって、裏面への光抜けを抑えることができる。その結果、白色性、反射特性に優れた白色フィルムとすることができる。特に液晶表示装置用として用いた場合に高い輝度向上効果を得ることができる。
白色フィルムの相対反射率は100%以上であることが好ましい。より好ましくは100.5%以上、さらに好ましくは101%以上である。上限は特に定められるものではないが、現実的には120%以下である。相対反射率を100%以上とすることによって、白色性、反射特性に優れた白色フィルムとすることができる。特に液晶表示装置用として用いた場合に高い輝度向上効果を得ることができる。
白色フィルムの全光線透過率や相対反射率を上述の範囲に調整するためには、1)フィルム内部の樹脂粒子の分散径、密度を前述の範囲に制御する、2)フィルム厚みを厚くする、などによって得ることができる。
(3)製造方法
本発明の白色フィルムの製造方法について説明するが、延伸方法以外はこれに限定されない。
ポリエステル樹脂(a1)と非相溶性成分(b)を含む混合物を、必要に応じて十分真空乾燥を行い、押出機(主押出機)を有する製膜装置の加熱された押出機に供給する。非相溶性成分(b)の添加は、事前に均一に溶融混練して配合させて作製されたマスターチップを用いても、もしくは直接混練押出機に供給するなどしてもよい。事前に均一にポリエステル樹脂(a1)と非相溶成分(b)を含む混合物を溶融混練したマスターチップを用いるほうが、非相溶成分(b)の分散が促進されるので好ましい。
また、溶融押出に際してはメッシュ40μm以下のフィルターにて濾過した後に、Tダイ口金内に導入し押出成形により溶融シートを得ることが好ましい。この溶融シートを表面温度10℃以上60℃以下に冷却されたドラム上で静電気により密着冷却固化し、未延伸フィルムを作製する。
この未延伸フィルムを40℃以上120℃以下の温度に加熱されたロール群に導き、フィルムの進行方向(フィルム長手方向)に周速の異なる二組のロール間で延伸する。すなわち、ロールの周速差を利用して延伸する。この延伸中に、片面あたり8.5W/cm以上40W/cm以下の熱量Qで、少なくともフィルムの一方の表面を加熱する。熱量Qの下限は10W/cm以上が好ましい。熱量Qの上限は25W/cm以下が好ましい。熱量Qとはフィルム幅方向1cmあたりにフィルムの表面に照射される熱量を指す。
熱量Qが、8.5W/cm未満であると、フィルム表面の温度が十分に上がらず、表面にクレーターが形成され、粉発生等による工程汚染を生じる。熱量Qが40W/cmを越えると、縦延伸時のフィルムが軟化してしまい、安定して製膜できなくなる。
加熱する熱源としては、赤外線ヒーターや熱風を用いることができる。エネルギー効率の観点から赤外線ヒーターが好ましい。
赤外線ヒーターの種類は特に限定されないが、近赤外線ヒーターやカーボンヒーターなどを用いることができる。加熱性能と寿命とのバランスからカーボンヒーターがより好ましい。赤外線ヒーターには背面に金反射膜が付いていることが好ましい。また、集光装置を用いても良い。このようなヒーターとしてヘレウス(株)製Twin Tube透明石英ガラス製カーボンヒーターが挙げられる。
赤外線ヒーターは、ヒーターの長手方向がフィルム幅方向と平行になるように設置される。フィルム面をフィルム幅方向で均一に加熱するため、赤外線ヒーターの長さはフィルム幅より長いことが好ましい。赤外線ヒーターは1本でも、フィルム長手方向に複数本並べてもよい。製膜速度が遅い場合は1本でもかまわないが、製膜速度が早い場合、複数本並べることが好ましい。上限は特に規定されないがロール間の空隙から実際は4本が上限である。
また、赤外線ヒーターはフィルムの片面側または両面側に設置される。少なくとも、気泡を有する層がある側に設置される。
赤外線ヒーターのフィルム側へ向かう出力(熱量)Sは、フィルムの片面あたり35W/cm以上150W/cm以下が好ましい。なお、フィルムの片面に複数の赤外線ヒーターが設置されている場合は、赤外線ヒーター1本あたりのフィルム側へ向かう出力にフィルム片面あたりのヒーター本数を掛けた値である。赤外線ヒーターの出力は、全てがフィルム側へ向かうわけではなく、フィルム面へ到達しない損失分も含んでいる。フィルム側へ向かう出力は、赤外線ヒーターの定格出力(W/cm)に赤外線ヒーター固有の照射効率を掛けることで算出できる。ここで言う赤外線ヒーターのフィルム側へ向かう出力とは、次の式で算出される値のことである。
・S=S’×E×N
S: 赤外線ヒーターのフィルム側へ向かう出力(W/cm)
S’: 赤外線ヒーター1本あたりの定格出力(W/cm)
E: 赤外線ヒーターの照射効率
N: フィルム片面あたりのヒーター本数
フィルム側へ向かう出力の下限は40W/cm以上がより好ましく、50W/cm以上が特に好ましい。フィルム側へ向かう出力の上限は100W/cm以下がより好ましく、80W/cm以下が特に好ましい。縦延伸時の、赤外線ヒーターのフィルム側へ向かう出力が150W/cmを超えると、縦延伸時にフィルムが軟化してしまうことがある。その結果、安定して製膜できないことがある。縦延伸時の赤外線ヒーターのフィルム側へ向かう出力が35W/cmに未満であると、フィルム表面の温度が十分に上がらないことがある。その結果、表面にクレーターが形成され、粉発生等による工程汚染を生じることがある。
赤外線ヒーターからフィルム表面までの距離は5mm以上100mm以下が好ましい。距離の下限は10mm以上がより好ましい。距離の上限は50mm以下がより好ましく、20mm以下が特に好ましい。赤外線ヒーターからフィルム表面までの距離が100mmを超えると、上述した赤外線ヒーター出力範囲では赤外線がフィルムに届くまでに減衰し、フィルムの表面温度を十分に上げることができないことがある。赤外線ヒーターとフィルムの距離が5mm未満であると、上述した赤外線ヒーター出力範囲では、フィルム厚み方向全体が軟化してしまうことがある。その結果、安定して製膜できないことがある。なお、赤外線ヒーターからフィルム表面までの距離とは、赤外線ヒーターのヒーター管の中心軸からフィルム表面までの距離のことである。
フィルムが照射ゾーンを通過する時間は0.2秒間以上2秒間未満が好ましい。通過時間の下限は0.4秒以上がさらに好ましい。通過時間の上限は1秒以下がさらに好ましい。照射ゾーンとは、ヒーター1本あたり、ヒーター管を中心としてフィルム長手方向に40mmである(ヒーター管の位置から上流側20mm、下流側20mm)。赤外線ヒーターが2本以上並んでいる場合は、それぞれのヒーターによる照射ゾーンの重複部分を除いた合計の距離である。通過時間が0.2秒未満ではフィルムの昇温が十分にされないことがある。通過時間が2秒以上ではフィルム内部の温度が高温になり、気泡が大きくならないことがある。その結果、反射率が小さくなることがある。
延伸中にフィルム表面が加熱されることで、フィルム表面部では、延伸張力が小さくなり気泡の形成が阻害される。それと同時に、フィルム内部では、形成されはじめた気泡によって熱伝導率が小さくなり、フィルム表面部に比べて加熱されにくくなる。その結果、フィルム内部では、延伸による延伸張力が十分に発生し、気泡の形成が促進される。すなわち、フィルム表面部は気泡が少なく、フィルム内部は気泡が多い白色フィルムが形成される。
主たる樹脂成分(a)のガラス転移温度をTg(℃)としたとき、延伸前のフィルム温度は(Tg−20℃)以上Tg以下であることが好ましい。延伸前のフィルム温度とは加熱されたロール群を通過し、熱量Qで表面を加熱される前のフィルムの温度を示す。延伸前のフィルム温度は、製膜時において縦延伸の倍率を1.0倍にし、熱量Qでの表面加熱をしていない状態の延伸ゾーンを通過するフィルムの温度を放射温度計で測定することで得られる。延伸前のフィルム温度の下限は(Tg−15℃)以上がより好ましい。延伸前のフィルム温度の上限は(Tg−5℃)以下がより好ましい。特に主たる樹脂成分(a)がPETの場合、延伸前のフィルム温度は60℃以上80℃以下が好ましい。(Tg−20℃)以上Tg以下にすることによって、フィルム内部の気泡の形成が大きくなり反射性能を高めることができる。(Tg−20℃)未満であるとフィルムの伸度が小さくフィルム破れをおこす場合がある。Tgより大きいと、フィルムに生じる延伸張力が十分でなく、主たる樹脂成分(a)と非相溶成分(b)の界面での剥離が生じにくいためボイドが形成されにくくなる。その結果、反射板として反射性能が不足することがある。延伸前のフィルム温度を制御する方法としては、加熱されたロール群のロール温度を、フィルムの速度およびロールの材質やフィルムの材質による熱伝達係数によって調整する方法がある。
上記方法で加熱しながらフィルム長手方向に3.0倍以上4.5倍以下に延伸し、その後、20℃以上50℃以下の温度のロール群で冷却する。フィルム長手方向の延伸倍率は3.4倍以上4.5倍以下が好ましい。延伸倍率が3.0倍未満では十分な大きさに気泡が形成できず十分な反射率を得ることができない。延伸倍率が4.5倍を越えると、その後の横延伸(フィルム幅方向への延伸)において破れやすくなり生産性が劣るため好ましくない。
続いて、フィルムの両端をクリップで把持しながらテンターに導き、90℃以上150℃以下の温度に加熱された雰囲気中で、フィルム長手方向に直角な方向(フィルム幅方向)に3倍以上5倍以下に延伸する。延伸倍率が3倍未満では気泡サイズが小さく、十分な反射率を得ることができない。延伸倍率が5倍を超えると、破れやすくなり生産性に劣るため好ましくない。フィルム長手方向の延伸倍率およびフィルム幅方向の延伸倍率の積を大きくすることによって、さらに反射性能を高めることができる。
得られた二軸延伸フィルムの配向結晶化を完了させて平面性と寸法安定性を付与するために、引き続きテンター内にて150℃以上240℃以下の温度で1秒間以上30秒間以下の熱処理を行ない、均一に徐冷後、室温まで冷却する。その後、必要に応じて、他素材との密着性をさらに高めるためにコロナ放電処理などを行い、巻き取る。熱処理工程中では、必要に応じて、フィルム幅方向あるいはフィルム長手方向に3%以上12%以下の弛緩処理を施してもよい。バックライトによってはバックライト内部の雰囲気温度が100℃程度まで上昇することがあるため、白色フィルムは一定の熱寸法安定性を有することが望まれる。一般に熱処理温度が高いほど熱寸法安定性は高くなるので、190℃以上の高温で熱処理することが好ましい。
(4)測定方法
A.熱量Q
フィルム面に到達する熱量Qは次のようにして求める。フィルムから熱源までの距離を製膜条件に合わせる。フィルムの両表面に熱電対を取り付け、両面の温度の平均をフィルム温度とする。フィルムを静止した状態で熱源によりフィルムを加熱し、その昇温速度α(℃/秒)を測定する。熱量Qを下記式により得る。図1に測定している状態の概略図を示す。
・Q=α×D×M×C
Q: フィルム面へ到達する熱量(フィルム片面あたり)(W/cm)
α: 昇温速度α(℃/秒)
D: フィルム表面の熱の当たる部分のフィルム長手方向長さ(cm)
M: フィルム面1cmあたりのフィルムの重さ(g/cm
C: フィルムの比熱(J/(g・℃))
赤外線ヒーターを使用した場合は、長さD(cm)は照射ゾーンの長さのことである。照射ゾーンとは、赤外線ヒーター1本あたり、ヒーター管を中心としてフィルム長手方向に40mmである(ヒーター管の位置から上流側20mm、下流側20mm)。赤外線ヒーターが2本以上並んでいる場合は、それぞれのヒーターによる照射ゾーンの重複部分を除いた合計の長さのことである。
比熱C(J/(g・℃))は、JIS K7123(1987年版)に基づいて求めることができる。PETフィルムの場合はC=1.25(J/(g・℃))である。
また、赤外線ヒーターを用いた場合、フィルム面へ到達する熱量Qは下記式によって算出することもできる。ただし、複数の赤外線ヒーターが設置されている場合は、各赤外線ヒーターからフィルム面までの距離が全て同じ場合に適用できる。
・Q=S×(0.4−0.055×ln(L))
S=S’×E×N
Q: フィルム面へ到達する熱量(フィルム片面あたり)(W/cm)
S: 赤外線ヒーターのフィルム側へ向かう出力(フィルム片面あたり)(W/cm)
L: 赤外線ヒーターからフィルム表面までの距離(mm)
S’: 赤外線ヒーターの1本あたりの定格出力(W/cm)
E: 照射効率
N: フィルム片面あたりのヒーター本数。
B.フィルム表面におけるクレーターの存在密度
フィルム表面に白金−パラジウムを蒸着した後、電界放射走査型電子顕微鏡で2500倍に拡大して拡大画像を得た。拡大画像より、10μm四方内の長径が1μm以上の凹状のクレーターの個数を数えた。異なる10視野について同様に行い、その平均値をクレーターの存在密度とした。フィルムの両面について上述の測定を行い、高い方の値を採用した。電界放射走査型電子顕微鏡は日本電子(株)製のJSM−6700Fを使用した。
C.相対反射率
分光光度計に、φ60積分球および10°傾斜スペーサーを取りつけた状態で560nmの光反射率を求めた。なお、光反射率は白色フィルムの両面について求め、高い方の数値を白色フィルムの反射率とした。分光光度計は(株)日立製作所製のU−3410を、φ60積分球は(株)日立製作所製の130−0632(内面が硫酸バリウム製)を、標準白色板は(株)日立計測器サービス製の210−0740(酸化アルミニウム)を用いた。相対反射率は以下のように判定した。判定結果がS、AまたはBであれば合格である。SまたはAであれば好ましい。
・相対反射率が101%以上120%未満の場合: S
・相対反射率が100%以上101%未満の場合: A
・相対反射率が99%以上100%未満の場合: B
・相対反射率が99%未満の場合: C。
D.比重
白色フィルムを5cm×5cmの大きさに切りだし、JIS K7112(1980年版)に基づいて電子比重計を用いて測定した。なお、各白色フィルムについて5枚用意し、それぞれを測定し、その平均値を白色フィルムの比重とした。電子比重計はミラージュ貿易(株)製のSD−120Lを用いた。比重は以下のように判定した。判定結果がS、AまたはBであれば合格である。
・比重が0.55以上0.9以下の場合: S
・比重が0.9より大きく1.0以下の場合: A
・比重が1.0より大きく1.3以下の場合: B
・比重が1.3より大きい場合: C。
E.製膜性
製膜した際のフィルム破れの頻度により、以下のように製膜性を評価した。大量生産にはS、AまたはBの製膜性が必要である。SまたはAであるとさらにコスト低減効果がある。
・フィルム破れが一週間に1回以下の場合 : S
・フィルム破れが一週間に2回以上5回以下の場合 : A
・フィルム破れが一週間に6回または7回の場合 : B
・フィルム破れが一週間に8回以上の場合 : C。
F.製膜ライン汚れ評価
製膜中の縦延伸の冷却ロール群において、どれだけフィルムが通過した後に、そのいずれかのロールの表面にフィルムの通過する面全体または端部に汚れが見られるかで製膜ライン汚れを評価した。汚れの付着が見られる場合には、清掃が必要になり、清掃中は生産ができないため、生産性の観点からSまたはAであれば合格である。より好ましくはSである。
・5万m通過した後でも汚れが見られなかった。: S
・1万m通過した後には汚れが見られなかったが、5万m通過した後に汚れが見られた。: A
・2000m通過した後には汚れが見られなかったが、1万m通過した後に汚れが見られた。: B
・2000m通過した後に汚れが見られた。: C。
G.非相溶成分(b)のガラス転移温度
非相溶成分(b)を単独で得られる場合は、非相溶成分(b)5mgを融解および急冷したサンプルを、示差走査型熱量計を用い、25℃から20℃/分の昇温速度で昇温し、JIS K7121(1987年版)の中間点ガラス転移温度をガラス転移温度として測定した。示差走査型熱量計はパーキンエルマー社製のDSC−2型を使用した。
また、非相溶成分(b)を単独で得られない場合は、白色フィルムから非相溶成分(b)を単離して示差走査型熱量計を用いてガラス転移温度を測定する。例えばポリエステル樹脂(a1)、非相溶の熱可塑性樹脂(b1)として環状オレフィン共重合体および無機粒子(b2)からなる白色フィルムの場合、白色フィルムをメタノールおよびクロロホルムを体積分率1:1の混合溶液に溶解させた未溶解物を濾過して取り出す。この未溶解物をさらにクロロホルムに溶解させ未溶解物を取り出し、ヘキサフルオロイソプロパノールおよびクロロホルムを体積分率1:1からなる混合溶液に溶解させた。その溶液を遠心分離器により遠心分離し、浮遊物を採取することで環状オレフィン共重合体を得ることができる。こうして得られた環状オレフィン共重合体5mgを融解および急冷したサンプルを、示差走査型熱量計を用い、25℃から20℃/分の昇温速度で昇温し、JIS K7121(1987年版)の中間点ガラス転移温度をガラス転移温度として測定することができる。示差走査型熱量計は、例えばパーキンエルマー社製のDSC−2型を使用する。
H.延伸前のフィルム温度
製膜条件において縦延伸の倍率を1.0倍にし、赤外線ヒーターによる加熱を停止する。縦延伸の延伸ゾーンを通過するフィルムの温度を、放射温度計を用いて5回計測しその平均値を延伸前のフィルム温度とした。このときあらかじめ対象のフィルムの放射率補正を実施しておいた。放射温度計はキーエンス社製のIT2−80を使用した。
以下実施例等によって本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
(原料)
・ポリエステル樹脂(a1−1)
酸成分としてテレフタル酸を、グリコール成分としてエチレングリコールを用い、三酸化アンチモン(重合触媒)を得られるポリエステルペレットに対してアンチモン原子換算で300ppmとなるように添加し、重縮合反応を行い、極限粘度0.63dl/g、カルボキシル末端基量40当量/トンのポリエチレンテレフタレートペレット(PET)を得た。示差熱分析計を用いて結晶融解熱を測定したところ1cal/g以上であり、結晶性のポリエステル樹脂である。この樹脂の融点Tmを測定したところ、250℃であった。
・環状オレフィン共重合体樹脂(b1−1)
ガラス転移温度が178℃、MVR(260℃/2.16kg)が4.5ml/10mimである環状オレフィン樹脂「TOPAS」(ポリプラスチック社製)を用いた。なお、示差熱分析計を用いて結晶融解熱を測定したところ1cal/g未満であり、非晶性樹脂であった。
・環状オレフィン共重合体樹脂(b1−2)
ガラス転移温度が158℃、MVR(260℃/2.16kg)が4.5ml/10mimである環状オレフィン樹脂「TOPAS」(ポリプラスチック社製)を用いた。なお、示差熱分析計を用いて結晶融解熱を測定したところ1cal/g未満であり、非晶性樹脂であった。
・オレフィン樹脂(b1−3)
ガラス転移温度が25℃、融点が235℃、MFR(260℃/5kg)が8g/10mimであるオレフィン樹脂PMP(ポリメチルペンテン)「TPX」(三井化学社製)を用いた。
・共重合ポリエステル樹脂(c−1)
CHDM(シクロヘキサンジメタノール)共重合PETを用いた。この樹脂は共重合グリコール成分にシクロヘキサンジメタノールを30mol%共重合したPETである。示差熱分析計を用いて結晶融解熱を測定したところ1cal/g未満であり、非晶性樹脂であった。
・共重合ポリエステル樹脂(c−2)
CHDM(シクロヘキサンジメタノール)共重合PETを用いた。この樹脂は共重合グリコール成分にシクロヘキサンジメタノールを60mol%共重合したPETである。示差熱分析計を用いて結晶融解熱を測定したところ1cal/g未満であり、非晶性樹脂であった。
・共重合ポリエステル樹脂(c−3)
イソフタル酸共重合PETを用いた。この樹脂は共重合ジカルボン酸成分にイソフタル酸を17.5mol%共重合したPETである。示差熱分析計を用いて結晶融解熱を測定したところ1cal/g未満であり、非晶性樹脂であった。
・分散剤(d−1)
PBT-PAG(ポリアルキレングリコール)共重合体を用いた。この樹脂はPBT(ポリブチレンテレフタレート)とPAG(主としてポリテトラメチレングリコール)のブロック共重合体である。示差熱分析計を用いて結晶融解熱を測定したところ1cal/g以上であり、結晶性樹脂であった。
(実施例1)
表1に示した原料の混合物を180℃の温度で3時間真空乾燥した後に押出機に供給した。280℃の温度で溶融押し出しした後、30μmカットフィルターにより濾過を行い、Tダイ口金に導入した。
次いで、Tダイ口金内より、シート状に押出して溶融単層シートとした。溶融単層シートを、表面温度25℃に保たれたドラム上に静電印加法で密着冷却固化させて未延伸単層フィルムを得た。このとき、ドラムに接しているフィルム面を裏面、空気に接している面をおもて面とした。続いて、未延伸単層フィルムを85℃の温度に加熱したロール群で予熱した後、表4に示した赤外線ヒーターの条件でフィルムの両面から照射しながら、フィルム長手方向に、ロールの周速差を利用して、3.6倍延伸を行い、25℃の温度のロール群で冷却して一軸延伸フィルムを得た。赤外線ヒーターはヘレウス社製カーボンヒーター「CZB8000/1000G」を片側2本、両側に使用した。ヒーターは長さ1m、1本あたりの定格出力80W/cmのヒーターである。表4に示した赤外線ヒーターの条件となるようにヒーターへ供給する電力を調整した。なお、表に記載の加熱条件に関する数値等は、片面あたりの数値である。
得られた一軸延伸フィルムの両端をクリップで把持しながらテンター内の95℃の温度の予熱ゾーンに導き、引き続き連続的に105℃の温度の加熱ゾーンでフィルム長手方向に直角な方向(フィルム幅方向)に3.6倍延伸した。さらに引き続いて、テンター内の熱処理ゾーンにて190℃で20秒間の熱処理を施し、さらに180℃の温度で6%幅方向に弛緩処理を行った後、さらに140℃の温度で1%幅方向に弛緩処理を行った。次いで、均一に徐冷後、巻き取った。こうして、厚さ188μmの単層の白色フィルムを得た。この白色フィルムの断面を観察したところ、内部に微細な気泡を多数含有していた。また、フィルム表面のクレーター個数も少なく、ロール汚れもなく製膜性にも優れていた。フィルムの各種特性を表7に示す。
(実施例2〜7)
それぞれ表4に示した赤外線ヒーターの条件とした以外は、実施例1と同様に製膜を行い、厚さ188μmの単層の白色フィルムを得た。この白色フィルムの断面を観察したところ、内部に微細な気泡を多数含有していた。また、フィルム表面のクレーター個数も少なく、ロール汚れもなく製膜性にも優れていた。フィルムの各種特性を表7に示す。
(実施例8〜15、17、22〜24)
それぞれ表1,2に示した原料組成等とした以外は、実施例1と同様に製膜を行い、厚さ188μmの単層の白色フィルムを得た。この白色フィルムの断面を観察したところ、内部に微細な気泡を多数含有していた。また、フィルム表面のクレーター個数も少なく、ロール汚れも少なく製膜性にも優れていた。フィルムの各種特性を表7,8に示す。
(実施例16)
表2に示した原料の混合物を180℃の温度で3時間真空乾燥した後に押出機(A)に供給した。また、ポリエステル樹脂(a1−1)を別途180℃の温度で3時間乾燥した後に押出機(B)に供給した。押出機(A)の供給した原料および押出機(B)に供給した原料を、それぞれ280℃の温度で溶融させ、フィードブロックに供給した。フィードブロックにて、厚さ方向に押出機(A)に供給した原料からなる層(A層)と、押出機(B)に供給した原料からなる層(B層)を、A層/B層の2層積層となるように積層し、Tダイ口金に導入した。
次いで、Tダイ口金内より、シート状に押出して、A層/B層からなる溶融2層積層未延伸シートとした。溶融積層シートを、表面温度25℃に保たれたドラム上に静電印加法で密着冷却固化させて未延伸積層フィルムを得た。このとき、B層表面がドラムに接し、A層表面が空気に接していた。すなわち、B層表面が裏面となり、A層表面がおもて面であった。
続いて、未延伸積層フィルムを85℃の温度に加熱したロール群で予熱した後、表5に示した赤外線ヒーターの条件でA層表面側(おもて面)からのみ照射しながら、フィルム長手方向に、ロールの周速差を利用して、3.6倍延伸を行い、25℃の温度のロール群で冷却して一軸延伸フィルムを得た。
得られた一軸延伸フィルムの両端をクリップで把持しながらテンター内の95℃の温度の予熱ゾーンに導き、引き続き連続的に105℃の温度の加熱ゾーンでフィルム長手方向に直角な方向(フィルム幅方向)に3.6倍延伸した。さらに引き続いて、テンター内の熱処理ゾーンにて190℃で20秒間の熱処理を施し、さらに180℃の温度で6%幅方向に弛緩処理を行った後、さらに140℃の温度で1%幅方向に弛緩処理を行った。次いで、均一に徐冷後、巻き取った。こうして厚さ188μmの積層の白色フィルムを得た。この白色フィルムの断面を観察したところ、A層の内部に微細な気泡を多数含有していた。また、おもて面、裏面共にフィルム表面のクレーター個数も少なく、ロール汚れもなく製膜性にも優れていた。フィルムの各種特性を表8に示す。
(実施例18〜21、27)
それぞれ表5に示す延伸倍率等とした以外は、実施例1と同様に製膜を行い、厚さ188μmの単層の白色フィルムを得た。この白色フィルムの断面を観察したところ、内部に微細な気泡を多数含有していた。また、フィルム表面のクレーター個数も少なく、ロール汚れも少なく製膜性にも優れていた。フィルムの各種特性を表8に示す。
(実施例25,26)
それぞれ表5に示す予熱ロール温度、赤外線ヒーター条件とした以外は、実施例1と同様に製膜を行い、厚さ188μmの単層の白色フィルムを得た。この白色フィルムの断面を観察したところ、内部に微細な気泡を多数含有していた。また、フィルム表面のクレーター個数も少なく、ロール汚れも少なく製膜性にも優れていた。フィルムの各種特性を表8に示す。
(比較例1、2、4)
それぞれ表6に示した赤外線ヒーターの条件等とした以外は、実施例1と同様に製膜を行い、厚さ188μmの単層の白色フィルムを得た。製膜性は実施例1に比べ劣るものであった。この白色フィルムの断面を観察したところ、内部に微細な気泡を含有していた。熱量Qが8.5W/cm未満であったため、フィルム表面の温度が十分に上がらず、フィルム表面のクレーター個数が多くなった。そのため、ロール汚れも多く、頻繁に掃除が必要であった。フィルムの各種特性を表9に示す。
(比較例3)
表6に示した赤外線ヒーターの条件等とした以外は、実施例1と同様に製膜を行った。熱量Qが40W/cmを越えたため、長手方向(縦方向)への延伸時にフィルムが軟化してしまい、フィルムが熱垂れを起こし、製膜することができなかった。
(比較例5)
表6に示した赤外線ヒーターの条件とした以外は、実施例16と同様に製膜を行い、厚さ188μmの積層の白色フィルムを得た。製膜性は破れが頻発し実施例16に比べ劣るものであった。この白色フィルムの断面を観察したところ、表3に示した混合原料からなる層の内部に微細な気泡を含有していた。熱量Qが8.5W/cm未満であったため、フィルム表面の温度が十分に上がらず、フィルム表面のクレーター個数が多くなった。そのため、ロール汚れも多く、頻繁に掃除が必要であった。フィルムの各種特性を表9に示す。
(比較例6)
表3に示した原料組成等とした以外は、実施例1と同様に製膜を行い、厚さ188μmの単層透明のフィルムを得た。縦延伸時にエッジ部が熱垂れを起こし、縦延伸後のフィルムの幅が変動するため、厚みムラの大きいフィルムが得られた。非相溶成分を含有していないのでロール汚れはなかった。しかし、フィルム内部に気泡がないため反射率が小さく反射フィルムとして適さないフィルムであった。フィルムの各種特性を表9に示す。
(比較例7,12)
それぞれ表3に示した原料組成等とした以外は、実施例1と同様に製膜を行い、厚さ188μmの単層の白色フィルムを得た。比較例7は白色フィルムの断面を観察したところ、ボイドが連結した大きなボイドが形成されていた。製膜性は不安定であり破れが頻発した。
比較例12は白色フィルムの断面を観察したところ、内部に微細な気泡を含有していた。熱量Qが8.5W/cm未満であったため、フィルム表面の温度が十分に上がらず、フィルム表面のクレーター個数が多くなった。そのため、ロール汚れも多く、頻繁に掃除が必要であった。
フィルムの各種特性を表9に示す。
(比較例9〜11、13)
それぞれ表6に示す延伸倍率等とした以外は、実施例1と同様に製膜を行い、厚さ188μmの単層の白色フィルムを得た。この白色フィルムの断面を観察したところ、内部に微細な気泡を多数含有していた。
比較例9はフィルム長手方向の延伸倍率が4.5倍より大きく、比較例11はフィルム幅方向の延伸倍率が5倍より大きかったので、フィルム表面のクレーター個数が多くなった。そのため、ロール汚れが多く、頻繁に掃除が必要であった。
比較例10はフィルム幅方向の延伸倍率が3倍未満であり、比較例13はフィルム幅方向の延伸倍率が2.9倍未満であったので、フィルム表面のクレーター個数が少なく、ロール汚れは少なかった。しかし、反射率が小さく、反射フィルムとして適さないフィルムであった。また、比較例13は横延伸で破れが発生しやすかった。
フィルムの各種特性を表9に示す。
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表4〜6の項目「熱量Q(W/cm)」は、フィルム片面あたりの、フィルム面に到達する熱量である。
表4〜6の項目「赤外線ヒーター/出力(W/cm)」は、フィルム片面あたりの、赤外線ヒーターのフィルム側へ向かう出力である。
表4〜6の項目「赤外線ヒーター/距離(mm)」は、赤外線ヒーターからフィルム面までの距離である。
表4〜6の項目「赤外線ヒーター/時間(秒)」は、フィルムが照射ゾーンを通過するのに要する時間である。
本発明の白色フィルムの製造方法により、製膜性、白色性、反射性に優れた白色フィルムを提供することができる。また本白色フィルムを用いることにより輝度特性に優れた面光源を提供することができる。
1: フィルム
2: 熱電対
3: 熱源(赤外線ヒーター)
D: フィルム表面の熱の当たる部分のフィルム長手方向長さ(照射ゾーンのフィルム長手方向長さ)
L: 熱源(赤外線ヒーター)からフィルム表面までの距離

Claims (8)

  1. 内部に気泡を含有し、比重が0.55以上1.30以下である白色フィルムの製造方法であって、
    主たる樹脂成分と、この樹脂成分に非相溶な成分とを含有する層を有し、この非相溶な成分が熱可塑性樹脂および/または無機粒子であり、この熱可塑性樹脂および無機粒子の、前記主たる樹脂成分とその樹脂成分に非相溶な成分とを含有する層全体に対する含有量が、それぞれ3質量%以上25質量%以下および5質量%以上60質量%以下であるフィルムを、その少なくとも一方の表面を、その表面の熱量が8.5W/cm以上40W/cm以下となるように加熱しながら、ロールの周速差によりフィルム長手方向に3.0倍以上4.5倍以下に延伸した後に、
    フィルム幅方向に3倍以上5倍以下に延伸する、白色フィルムの製造方法。
  2. 前記フィルム長手方向の延伸倍率が3.4倍以上4.5倍以下である、請求項1の白色フィルムの製造方法。
  3. 前記主たる樹脂成分のガラス転移温度をTg(℃)としたとき、フィルム長手方向へ延伸する前のフィルム温度がTg−20(℃)以上Tg(℃)以下となるように予熱を行う、請求項1または2の白色フィルムの製造方法。
  4. 前記フィルムの少なくとも一方の表面側に赤外線ヒーターを設け、
    前記フィルム表面から前記赤外線ヒーターまでの距離を5mm以上100mm以下とし、
    前記フィルムの片面あたりの前記赤外線ヒーターのフィルム側へ向かう出力を35W/cm以上150W/cm以下とすることにより、
    前記フィルムの表面を、その表面の熱量が8.5W/cm以上40W/cm以下となるように加熱する、請求項1〜3のいずれかの白色フィルムの製造方法。
  5. 前記白色フィルムがポリエステル樹脂と、このポリエステル樹脂に非相溶性な成分とを含有する層を有しており、この白色フィルムの少なくとも一方の最外層がこの層であり、
    前記非相溶な成分が、ガラス転移温度が170℃以上250℃以下である熱可塑性樹脂、ならびに/または、酸化チタン、炭酸カルシウムおよび硫酸バリウムからなる群から選ばれる少なくとも1種以上の無機粒子である、請求項1〜4のいずれかの白色フィルムの製造方法。
  6. 前記非相溶な成分が、ガラス転移温度が170℃以上250℃以下である熱可塑性樹脂、ならびに、酸化チタン、炭酸カルシウムおよび硫酸バリウムからなる群から選ばれる少なくとも1種以上の無機粒子である、請求項5の白色フィルムの製造方法。
  7. 前記無機粒子の含有量が、前記ポリエステル樹脂と前記非相溶な成分とを含有する層に対し、5質量%以上60質量%以下である、請求項5または6の白色フィルムの製造方法。
  8. 前記白色フィルム表面におけるクレーターの存在密度が1個/100μm以下である、請求項1〜7のいずれかの白色フィルムの製造方法。
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