JP2009132813A - 白色ポリエステルフィルム - Google Patents

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Abstract

【課題】光反射性能、隠蔽性能、軽量性(低比重性)、薄膜性に優れ、かつ輝度特性、画面鮮明性、低消費電力性に優れた面光源を得ることのできる白色フィルムを提供すること。
【解決手段】ポリエステル樹脂(A)と環状オレフィン樹脂(B)とを含有し内部に気泡を有する白色ポリエステル層(W層)を有するフィルムであって、該環状オレフィン樹脂(B)のガラス転移温度が140℃以上であり、かつ該環状オレフィン樹脂(B)が白色ポリエステル層(W層)に対して10重量%以上40重量%以下含有されており、かつ該白色ポリエステル層(W層)において、160℃以上の融点を有する熱可塑性ポリエステルエラストマー(C)が該環状オレフィン樹脂(B)100重量部に対して20.5重量部以上含有されている白色ポリエステルフィルム。
【選択図】なし

Description

本発明は、白色フィルムの改良に関し、詳しくは反射部材用白色フィルムに関するものである。さらに詳しくは、面光源用の反射部材(反射板、ランプリフレクター)として好適な反射部材用白色フィルムであって、より明るく、より鮮明に、より薄く、かつ照明効率に優れた面光源を得ることのできる白色フィルムに関するものである。また、太陽電池用バックシートとしても好適な反射部材用白色フィルムに関するものである。
近年、パソコン、テレビ、携帯電話などの表示装置として、液晶を利用したディスプレイが数多く用いられている。これらの液晶ディスプレイは、それ自体は発光体でないために、裏側からバックライトと呼ばれる面光源を設置して光を照射することにより表示が可能となっている。また、バックライトは、単に光を照射するだけでなく、画面全体を均一に照射せねばならないという要求に応えるため、サイドライト型もしくは直下型と呼ばれる面光源の構造をとっている。なかでも、薄型・小型化が望まれるノート型パソコン等に使用される薄型液晶ディスプレイ用途には、サイドライト型、つまり画面に対し側面から光を照射するタイプのバックライトが適用されている。
一般的に、このサイドライト型バックライトでは、導光板のエッジから冷陰極線管やLED等を照明光源とし、光を均一に伝播・拡散する導光板を利用し液晶ディスプレイ全体を均一に照射する導光板方式が採用されている。この照明方法において、より光を効率的に活用するため、冷陰極線管の周囲にランプリフレクターが設けられ、更に導光板から拡散された光を液晶画面側に効率的に反射させるために導光板の下には反射板が設けられている。これにより冷陰極線管からの光のロスを少なくし、液晶画面を明るくする機能を付与している。
一方、液晶テレビのような大画面用では、エッジライト方式では画面の高輝度化が望めないことから直下型ライト方式が採用されてきている。この方式は、液晶画面の下部に冷陰極線管やLED等を設けるもので、反射板の上に平行に冷陰極線管等が並べられる。反射板は平面状もしくは、冷陰極線管の部分を半円凹状に成形したものなどが用いられる。
このような液晶画面用の面光源に用いられるランプリフレクターや反射板(以下、面光源反射部材と総称することもある)には、薄膜であると同時に高い光反射性能が要求され、従来、白色顔料を添加したフィルムや内部に微細な気泡を含有させたフィルムが単独で、もしくはこれらのフィルムと金属板、プラスチック板などを張り合わせたものが使用されてきた。特に内部に微細な気泡を含有させたフィルムは、輝度の向上効果や、画面輝度の均一化に一定の効果があることから広く使用されている(特許文献1、2)。
特に内部に微細な気泡を含有させたフィルムにおいては、微細な気泡を生成せしめるために、核剤が添加される。かかる核剤にはポリプロピレン(以下、「PP」と略称することがある)やポリメチルペンテン(以下、「PMP」と略称することがある)などの非環状オレフィン樹脂や、硫酸バリウムや炭酸カルシウムなどの無機粒子が用いられる。
ところで、液晶画面の用途は、従来からのノート型パソコンに加えて、近年では据置型のパソコンやテレビ、携帯電話のディスプレイなど、様々な機器に採用が広がっている。それに伴い液晶画面についても、より明るく、より鮮明で、より薄く、より照明効率(低消費電力性)に優れたものが求められている。
また、近年、次世代のエネルギー源としてクリーンエネルギーである太陽電池が注目を浴びており、建築分野を始め電気電子部品まで開発が進められている。太陽電池は、太陽光をいかに高効率に電気に変換するか、すなわち電換効率が最も重視され、太陽電池の裏面(背面)に敷設される太陽電池用バックシートからの反射光をも電気に変換することによって、電換効率を向上させている(ここで、太陽電池バックシートとは、例えば特許文献3の図1の裏面封止フィルムなどを指す)。
そのため、太陽電池用バックシートは光反射部材としての機能も要求される。そこで、上記した白色フィルムが太陽電池用バックシート(反射部材)として用いられることもあるが、さらなる光反射性能、軽量性、薄膜性に優れたフィルムが求められている(特許文献3)。
特開平6−322153号公報 特開平7−118433号公報 特開2002−26354号公報
しかしながら、面光源反射部材である反射板やリフレクターとして上記した従来の白色フィルムを用いた場合には、光反射性に劣るために、照明光源の光の一部が反対面に透過し、その結果、液晶画面の輝度(明るさ)が不足するという問題点があり、さらには照明光源からの光の伝達ロスによって照明の効率が低下するため、消費電力の低減に寄与しない等の問題が指摘されており、白色フィルムのさらなる高反射性が強く求められている。
また、従来の白色フィルムは隠蔽性に劣るため、面光源に用いた際に、反射フィルムの背面側にあるシャーシやフレームなどが透けて見えることがあり、液晶画面の鮮明性を低下させる一因となっている。そのため、白色フィルムの隠蔽性の向上が強く求められている。なお、このようにシャーシやフレームなどが透けて見える現象は、“裏写り”と呼ばれることもある。シャーシやフレームが金属やプラスチック部材が高光反射体であった場合は、その部分は他の部分に較べ明るく“裏写り”し、逆に金属やプラスチック部材が高光吸収体であった場合は、その部分は他の部分に較べて暗く“裏写り”する。すなわち、画面上の輝度均一性が低下するわけである。しかし、液晶画像をより鮮明かつ見やすくするためには、画面上の輝度は均一でなければならない。従って、このような輝度均一性の低下は実用上非常に大きな問題となる。
また、白色フィルムはランプリフレクターとして用いられることもあるが、この場合においても白色フィルムの隠蔽性向上は重要な課題となっている。すなわち、ランプリフレクターたる白色フィルムは、金属等の他部材で完全に覆われる場合、一部のみ覆われる場合、全く覆われない場合がある。ここで、完全に覆われる場合はランプリフレクター部からの光漏れはそれほど発生しないが、一部のみ覆われる場合や全く覆われない場合は、光源が至近に存在している分だけ、光漏れも著しくなる。かかる光漏れによって漏れ出た光は迷光となり、画面上の輝度均一性低下の原因となったり、全く意図していない部分(例えば液晶テレビの外部から視認できる隙間部分)から光が漏れ出るなどの問題の原因となる。
ここで、フィルム内部に気泡を含有させたフィルムでは、フィルムへ入射した光線はフィルム内部の樹脂相(固体相)と気泡相(気相)の界面にて反射される。そのため、光反射性能、光隠蔽性能をより向上させたり、高い光反射性能、光隠蔽性能を維持しつつ薄膜化するためには、核剤をより微分散化し、フィルム厚み方向の気泡の積層密度、すなわちフィルム厚み方向の気固界面数密度を高める必要があるが、(1)上記核剤の微分散化は近年頭打ちになりつつある(2)仮に微分散化を達成し、気泡の生成に成功したとしても、延伸工程において気泡同士が連結してしまい、気固界面数の効率的な増大に寄与しないことが課題となっている。
また、核剤として硫酸バリウムや炭酸カルシウム等の無機粒子が使用されることもあるが、(1)白色フィルムの低比重化を達成できない(2)粒径を均一にするために、分級工程が必要となることから高コストとなる(3)粒径を小さくするほど凝集が発生しやくなり、気固界面数の効率的な増大に寄与しない(4)凝集を抑えるために粒子表面を各種処理剤で処理すると、表面処理剤は完全に無色透明ではないため、表面処理剤に起因する光吸収が生じてしまい、結果として白色フィルムの光反射性能が低下してしまうことが課題となっている。
また、太陽電池用バックシート(反射部材)として上記した従来の白色フィルムを用いた場合には、光反射性に劣るために、太陽電池の電換効率の向上にそれほど寄与しないため、白色フィルムのさらなる高反射性が強く求められている。しかし、光反射性能を向上させようとすると、白色フィルムを面光源用反射部材として用いた場合と同様の課題が生じる。
そこで、本発明は、かかる課題を解決するために、次のような手段を採用するものである。すなわち、
(1)ポリエステル樹脂(A)と環状オレフィン樹脂(B)とを含有し内部に気泡を有する白色ポリエステル層(W層)を有するフィルムであって、該環状オレフィン樹脂(B)のガラス転移温度が140℃以上であり、かつ該環状オレフィン樹脂(B)が白色ポリエステル層(W層)に対して10重量%以上40重量%以下含有されており、かつ該白色ポリエステル層(W層)において、160℃以上の融点を有する熱可塑性ポリエステルエラストマー(C)が該環状オレフィン樹脂(B)100重量部に対して20.5重量部以上含有されている白色ポリエステルフィルム、
(2)前記熱可塑性ポリエステルエラストマー(C)がハードセグメントとソフトセグメントのブロック共重合体である(1)に記載の白色ポリエステルフィルム、
(3)前記ハードセグメントがポリブチレンテレフタレート系ポリエステルおよび/またはポリエチレンテレフタレート系ポリエステルである(2)に記載の白色ポリエステルフィルム、
(4)前記ソフトセグメントがポリ(エチレンオキシド)系グリコールおよび/またはポリ(テトラメチレンオキシド)系グリコールである(2)または(3)に記載の白色ポリエステルフィルム、
(5)反射部材として用いられる(1)から(4)のいずれかに記載の白色ポリエステルフィルム、である。
本発明の白色フィルムは、光反射性能、隠蔽性能、軽量性(低比重性)、薄膜性などに優れており、特に面光源内の反射板やリフレクターとして用いた時、液晶画面を明るく照らし、液晶画像をより鮮明かつ見やすくすることができ、有用なものである。
本発明の白色フィルムはポリエステル樹脂(A)と環状オレフィン樹脂(B)とを含有し内部に気泡を有する白色ポリエステル層(W層)を有するフィルムであることが必要である。
ここで、該気泡の形状は特に限定されない。独立した気泡であっても良いし、2次元的あるいは3次元的に連続している気泡であっても良い。
また、気泡形状は特に限定されないが、後述するようにフィルム厚み方向に多数の気固界面を形成させることが好ましい。
従って、気泡の断面形状は、円状ないし、フィルム面方向に対して伸長されている楕円状であることが好ましい。
フィルムの光反射性はフィルムへ入射した光線が内部の気固界面(気泡(気相)と、マトリックス樹脂であるポリエステル樹脂(A)や環状オレフィン樹脂(B)などの固相との界面)にて反射されることによって発現されるためである。
かかる気泡を形成するために本発明の白色フィルムは、白色ポリエステル層(W層)を構成するマトリックス樹脂であるポリエステル樹脂(A)と、該ポリエステル樹脂(A)に対して非相溶な樹脂である環状オレフィン樹脂(B)とを含有する混合物を溶融押出しした後、少なくとも一方向に延伸し、内部に気泡を形成させることにより、気固界面を形成させることが好ましい。
該手法は延伸中に白色フィルムを構成するポリエステル樹脂(A)と非相溶樹脂である環状オレフィン樹脂(B)の界面で剥離が起こることを利用して、扁平状の気泡を生成させる手法である。したがって、該手法を用いる場合は、フィルム中の気泡体積を増大させ、フィルム厚み当りの気固界面数を増大させるために、一軸延伸よりも二軸延伸がより好ましい。
本発明の白色フィルムには、白色ポリエステル層(W層)を構成するポリエステル樹脂(A)が必要であるが、ポリエステル樹脂(A)は一般にジカルボン酸成分とジオール成分を縮重合することにより得ることができる。ジカルボン酸成分としては、例えば、芳香族ジカルボン酸では、テレフタル酸、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸、フタル酸、ジフェン酸およびそのエステル誘導体が挙げられ、また脂肪族ジカルボン酸では、アジピン酸、セバシン酸、ドデカジオン酸、エイコ酸、ダイマー酸およびそのエステル誘導体が、脂環族ジカルボン酸では、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸及びそのエステル誘導体が挙げられる。また多官能酸では、トリメリット酸、ピロメリット酸およびそのエステル誘導体が代表例として挙げられる。また、ジオール成分としては、例えば、エチレングリコール、プロパンジオール、ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、オクタンジオール、デカンジオール、シクロヘキサンジメタノール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、テトラメチレングリコールやポリエチレングリコール、およびポリテトラメチレングリコールのようなポリエーテルなどが代表例として挙げられる。
本発明において、好適に用いられるポリエステル樹脂としては、ポリエチレンテレフタレート(以下、「PET」と略称することがある)、ポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリ−1,4−シクロヘキシレンジメチレンテレフタレートなどが挙げられる。
かようなポリエステル樹脂をマトリックス樹脂として用いることにより、高い透明性を維持しつつ、フィルムに高い機械強度を付与することができる。中でもPETが機械特性、透明性やコストの面からより好ましい。
また、ポリエステル基本構成に対して、共重合成分を導入してもよい。共重合成分を導入する方法としては、原料であるポリエステルペレットの重合時に共重合成分を添加し、あらかじめ共重合成分が重合されたペレットとして用いても良いし、また、例えば、ポリブチレンテレフタレートのように単独で重合されたペレットとポリエチレンテレフタレートペレットの混合物を押出し機に供給し、溶融時にエステル交換反応によって共重合化する方法を用いても良い。
また、本発明において、ポリエステル樹脂に対して、共重合成分を導入した共重合ポリエステル樹脂を混合してもよい。
これらの共重合成分の量は、特に限定されないが、透明性、延伸性、製膜性、成形性等の観点よりジカルボン酸成分、ジオール成分とも、それぞれの成分に対して好ましくは1〜70モル%であり、より好ましくは10〜40モル%である。
本発明の白色フィルムにおいて上記共重合ポリエステル樹脂の含有量を白色ポリエステル層(W層)に対して10重量%以上とすることも好ましい態様の一つである。かかる範囲にすることにより、延伸性、製膜性、成形性を向上させることができる。共重合ポリエステル樹脂の含有量の上限は特に限定されるものではないが、白色ポリエステル層(W層)に対して50重量%以下であることが好ましい。含有量が50重量%を越えると、製膜性や機械特性の点で劣ることがある。
また、本発明では、白色ポリエステル層(W層)に環状オレフィン樹脂(B)が含有されていることが必要である。
ここで、本発明で用いられる環状オレフィン樹脂(B)とは、モノマーたる環状オレフィンから重合して得られるポリマーの主鎖に脂環構造を有する樹脂をいう。なお、ベンゼン環は脂環構造に含まれないため、ポリカーボネート樹脂は環状オレフィン樹脂には含まれない。また、環状オレフィン(モノマー)とは、シクロアルケン、ビシクロアルケン、トリシクロアルケン及びテトラシクロアルケン等を指す。環状オレフィン樹脂(B)は1種類の環状オレフィン(モノマー)から構成されていても良いし、2以上の種類の環状オレフィン(モノマー)から構成されていても良い。また、本発明で用いられる環状オレフィン(モノマー)は各種官能基が付与された誘導体であっても良いが、環状オレフィン樹脂(B)の生産性の点やマトリックス樹脂中での分散性の観点から極性の高い官能基は付加されていないほうが好ましい。
また、環状オレフィン(モノマー)の代表例としては、ビシクロ〔2,2,1〕ヘプト−2−エン、6−メチルビシクロ〔2,2,1〕ヘプト−2−エン、5,6−ジメチルビシクロ〔2,2,1〕ヘプト−2−エン、1−メチルビシクロ〔2,2,1〕ヘプト−2−エン、6−エチルビシクロ〔2,2,1〕ヘプト−2−エン、6−n−ブチルビシクロ〔2,2,1〕ヘプト−2−エン、6−i−ブチルビシクロ〔2,2,1〕ヘプト−2−エン、7−メチルビシクロ〔2,2,1〕ヘプト−2−エン、トリシクロ〔4,3,0,12.5 〕−3−デセン、2−メチル−トリシクロ〔4,3,0,12.5〕−3−デセン、5−メチル−トリシクロ〔4,3,0,12.5 〕−3−デセン、トリシクロ〔4,4,0,12.5 〕−3−デセン、10−メチル−トリシクロ〔4,4,0,12.5 〕−3−デセン、テトラシクロ〔4,4,0,12.5,17.10〕ドデセン、8−メチル−テトラシクロ〔4,4,0,12.5,17.10〕ドデセン、8−メチル−8−メトキシカルボニルテトラシクロ〔4,4,0,12.5,17.10〕ドデセン等がある。
特に、ビシクロ〔2,2,1〕ヘプト−2−エン(ノルボルネン)やその誘導体をモノマーとした環状オレフィン樹脂や、ビシクロ〔2,2,1〕ヘプト−2−エン(ノルボルネン)やその誘導体とエチレン等の直鎖オレフィンとの共重合体樹脂が生産性、透明性に優れ、かつ高いガラス転移温度を有する点で好ましい。このように本発明で用いられる環状オレフィン樹脂(B)は共重合体であってもよい。共重合成分の種類は特に限定されるものではないが、好適な共重合成分としては例えば以下に示す不飽和単量体成分が挙げられ、エチレン、プロピレン、1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン、1−オクタデセン、1−エイコセンなどの炭素原子数が3から20のα−オレフィン、シクロペンテン、シクロヘキセン、3−メチルシクロヘキセン、シクロオクテン、1,4−ヘキサジエン、4−メチル−1,4−ヘキサジエン、5−メチル−1,4−ヘキサジエン、1,7−オクタジエン、ジシクロペンタジエン、5−エチリデン−2−ノルボルネン、5−ビニル−2−ノルボルネル、テトラシクロドデセン、2−メチルテトラシクロドデセン、2−エチルテトラシクロドデセンなどである。中でも、共重合の容易性の観点から、エチレン、プロピレン等の直鎖オレフィンが好適に用いられる。
また、本発明において、環状オレフィン樹脂(B)のガラス転移温度は140℃以上であることが必要である。環状オレフィン樹脂(B)のガラス転移温度を140℃以上とすることにより、環状オレフィン樹脂(B)をマトリックス樹脂であるポリエステル樹脂(A)中で微分散化させることができる。これにより、白色フィルムとしたときに多数の微細かつ扁平な気泡を内部に形成させることができ、白色フィルムの光反射性能・隠蔽性能等を飛躍的に向上させることができる。かかる白色フィルムをバックライトに組み込むことにより、画面輝度をより高くすることができたり、太陽電池用バックシートとして用いることにより太陽電池の電換効率をより高くすることができる。
環状オレフィン樹脂(B)のガラス転移温度は、160℃以上が好ましく、より好ましくは180℃以上、さらに好ましくは190℃以上である。かかる範囲にすることにより、マトリックス樹脂であるポリエステル樹脂(A)中において環状オレフィン樹脂(B)をより微細に分散させることができるためである。
尚、環状オレフィン樹脂(B)のガラス転移温度の上限は特に定められるものでないが、250℃以下であることが好ましく、230℃以下がより好ましく、210℃以下が特に好ましい。ガラス転移温度があまりに高いとマトリックス樹脂(A)と溶融混練する際、十分に環状オレフィン樹脂(B)が溶融せずに微分散化が促進されないことがあるためである。
また、環状オレフィン樹脂(B)のガラス転移温度が140℃未満の場合は、環状オレフィン樹脂(B)が十分に微分散化せずに所望の光反射性能、隠蔽性能が得られず、また製膜時の延伸工程にて均一な延伸が出来ず、著しいフィルム厚みムラ(フィルム最大厚みと最小厚みの比が2以上)が発生しやすい。
また、ガラス転移温度(以下、「Tg」と略称することがある)とは、JIS K7121−1987に記載の中間点ガラス転移温度(Tmg)であり、具体的な測定法は後述する。
本発明において用いられる環状オレフィン樹脂(B)は公知の液相重合法で製造することができるし(例えば特開昭61−271308号公報)、上市品(例えば“TOPAS”(ポリプラスチックス株式会社)、“APEL”(三井化学株式会社)、“ARTON”(JSR株式会社)、“ZEONEX”・“ZEONOR”(日本ゼオン株式会社))を入手して用いることもできる。
市販品を用いる場合は、ノルボルネン成分にエチレン成分が共重合されたポリプラスチックス(株)製の“TOPAS”が、高いガラス転移温度を有する点から好ましい。
また、環状オレフィン樹脂(B)のガラス転移温度を140℃以上とするためには、例えば環状オレフィン樹脂(B)が、環状オレフィン(モノマー)とエチレン等の直鎖オレフィンとの共重合体である場合には、環状オレフィン(モノマー)成分の量を多くし、エチレン等の直鎖オレフィン成分の量を少なくすることが挙げられる(遠藤剛,増田俊夫,西久保忠臣 編、“次世代 高分子設計”、 アイ・ピー・シー、2000年6月、p.221〜261、など)。
特に、環状オレフィン(モノマー)成分にノルボルネン成分を、共重合成分にエチレン成分を用いて共重合体とする場合、環状オレフィン(モノマー)成分が77重量%以上であり、エチレン等の直鎖オレフィン成分の共重合量が23重量%以下であることが好ましい。より好ましくは、環状オレフィン(モノマー)成分が80重量%以上であり、エチレン等の直鎖オレフィン成分の共重合量が20重量%以下、さらに好ましくは環状オレフィン成分(モノマー)が82重量%以上であり、エチレン等の直鎖オレフィン成分の共重合量が18重量%以下である。かかる範囲にすることにより、環状オレフィン樹脂(B)のガラス転移温度を効率的に高くすることができる。なお、共重合成分の共重合量は上記範囲に限定されるものではないが、環状オレフィン(モノマー)成分が95重量%以上もしくはエチレン等の直鎖オレフィン成分の共重合量が5重量%以下でないことが好ましい。環状オレフィン(モノマー)成分が95重量%以上となったりエチレン等の直鎖オレフィン成分の共重合量が5重量%以下となると樹脂全体が脆くなり過ぎることがある。なお、上記の二成分の他に本発明の目的を損なわない範囲で、必要に応じて他の共重合可能な成分を共重合させることもできる。
また、環状オレフィン(モノマー)の基本骨格に各種官能基を付与することにより、環状オレフィン樹脂(B)のガラス転移温度を向上させる方法(たとえば、大月敏敬、後藤幸平、小宮全、“水素化されたメタセシス開環重合体の開発と工業化”、JSR テクニカル レビュー、平成13年3月、第108巻、p.19−26)を採ることも可能である。
また、本発明では、ガラス転移温度が140℃以上の環状オレフィン樹脂(B)が白色ポリエステル層(W層)の全重量に対して10重量%以上含有されていることが必要である。該環状オレフィン樹脂(B)の含有量は14重量%以上であることが好ましく、より好ましくは18重量%以上、さらに好ましくは25重量%以上である。
環状オレフィン樹脂(B)の含有量をかかる範囲とすることにより、白色フィルム全体を低比重化しつつ、フィルム内部に充分な数の微細扁平気泡を形成させることができる。これにより白色フィルムの光反射性能・隠蔽性能等を従来の白色フィルムよりも飛躍的に向上させることができる。かかる白色フィルムをバックライトに組み込むことにより、画面輝度をより高くすることができたり、太陽電池用バックシートとして用いることにより太陽電池の電換効率をより高くすることができる。
なお、環状オレフィン樹脂(B)の含有量が10重量%未満であると、フィルム内部に充分な数の微細扁平気泡を形成させることができず、光反射性能、隠蔽性能に劣り、かつフィルム全体の比重も低下しない。一方、環状オレフィン樹脂(B)の含有量が40重量%を越えると、製膜性が極端に悪化する(延伸工程においてフィルム破れが頻発する)。また、気泡の連結が起こりやすくなり、光反射性能・隠蔽性能等の効率的な増大にもあまり寄与しなくなる。
また、本発明では、白色ポリエステル層(W層)に熱可塑性ポリエステルエラストマー(C)が含有されていることが必要であるが、該熱可塑性ポリエステルエラストマー(C)はハードセグメントとソフトセグメントのブロック共重合体であることが好ましい。ここで、該ハードセグメントは熱可塑性ポリエステル(c1)であることが好ましく、該ソフトセグメントはポリ(アルキレンオキシド)グリコール(c2)であることが好ましい。
すなわち、熱可塑性ポリエステルエラストマー(C)は、熱可塑性ポリエステル(c1)をハードセグメントとし、ポリ(アルキレンオキシド)グリコール(c2)をソフトセグメントとし、両者を共重合してなるポリエーテルエステルブロック共重合体であることが好ましい。かかる構造を有する熱可塑性ポリエステルエラストマー(C)を白色ポリエステル層(W層)に含有させることで、環状オレフィン樹脂(B)をポリエステル樹脂(A)中で、より微分散させることができる。
また、ハードセグメントである熱可塑性ポリエステル(c1)は、ジカルボン酸成分(c11)とジオール成分(c12)を重合することにより得られる。
そのため、熱可塑性ポリエステルエラストマー(C)は、ジカルボン酸成分(c11)とジオール成分(c12)とポリ(アルキレンオキシド)グリコール(c2)の3者からなるブロック共重合体であることが好ましい。
ここで、ジカルボン酸成分(c11)の例としては、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、ナフタレン−2,6−ジカルボン酸、ナフタレン− 2,7−ジカルボン酸、ジフェニル−4,4' −ジカルボン酸、ジフェノキシエタンジカルボン酸、3−スルホイソフタル酸ナトリウム等に代表される芳香族ジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸に代表される脂環族ジカルボン酸、コハク酸、シュウ酸、アジピン酸、セバシン酸、ドデカンジ酸、ダイマー酸に代表される脂肪族ジカルボン酸またはこれらのエステル形成性誘導体などから選ばれたジカルボン酸成分の少なくとも一種が挙げられる。
また、ジオール成分(c12)の例としてはエチレングリコール、プロパンジオール、ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、オクタンジオール、デカンジオールなどの脂肪族ジオール、シクロヘキサンジメタノール、トリシクロデカンジメタノールなどの脂環族ジオールまたはこれらのエステル形成性誘導体などから選ばれた低分子ジオール成分の少なくとも一種が挙げられる。
また、ポリ(アルキレンオキシド)グリコール(c2)の例としては平均分子量が約200〜5000のポリ(エチレンオキシド)グリコール、ポリ(1,2−プロピレンオキシド)グリコール、ポリ(1,3−プロピレンオキシド)グリコール、ポリ(テトラメチレンオキシド)グリコール、エチレンオキシドとプロピレンオキシドとの共重合体、エチレンオキシドとテトラヒドロフランとの共重合体などのポリ(アルキレンオキシド)グリコールのうち少なくとも一種が挙げられる。
中でも、耐熱性およびマトリックス樹脂であるポリエステル樹脂(A)中において環状オレフィン樹脂(B)をより微分散させるという観点から、本発明では、熱可塑性ポリエステルエラストマー(C)のハードセグメント(熱可塑性ポリエステル(c1))がポリブチレンテレフタレート系ポリエステルおよび/またはポリエチレンテレフタレート系ポリエステルであることが好ましく、特に好ましくはポリブチレンテレフタレート系ポリエステルであることである。
ここで、ポリブチレン系ポリエステルとは、ジカルボン酸成分(c12)としてテレフタル酸、またはテレフタル酸とイソフタル酸を組合せたジカルボン酸成分を用い、ジオール成分(c12)として1,4−ブタンジオールを用いたポリエステルをいうものとするが、このジカルボン酸成分の一部(50モル%未満)を他のジカルボン酸成分やオキシカルボン酸成分で置き換えたり、ジオール成分の一部(50モル%未満)をブタンジオール成分以外の低分子ジオール成分で置き換えたポリエステルであってもよい。
また、ポリエチレン系ポリエステルとは、ジカルボン酸成分(c11)としてテレフタル酸、またはテレフタル酸とイソフタル酸を組合せたジカルボン酸成分を用い、ジオール成分(c12)としてエチレングリコールを用いたポリエステルをいうものとするが、このジカルボン酸成分の一部(50モル%未満)を他のジカルボン酸成分やオキシカルボン酸成分で置き換えたり、ジオール成分の一部(50モル%未満)をエチレングリコール成分以外の低分子ジオール成分で置き換えたポリエステルであってもよい。
また、本発明では、熱可塑性ポリエステルエラストマー(C)のソフトセグメント(ポリ(アルキレンオキシド)グリコール(c2))がポリ(テトラメチレンオキシド)系グリコールおよび/またはポリ(エチレンオキシド)系グリコールであることがマトリックス樹脂であるポリエステル樹脂(A)中に環状オレフィン樹脂(B)をより微分散させるという観点から好ましく、特に好ましくはポリ(テトラメチレンオキシド)系グリコールである。
ここで、ポリ(エチレンオキシド)系グリコールとは、ポリ(エチレンオキシド)グリコールを主たる成分とするポリ(アルキレンオキシド)グリコールをいうものとするが、ポリエーテル部分の一部(50重量%未満)を、エチレンオキシド以外のジオキシ成分で置き換えたポリエーテルであってもよい。
また、ポリ(テトラメチレンオキシド)系グリコールとは、ポリ(テトラメチレンオキシド)グリコールを主たる成分とするポリ(アルキレンオキシド)グリコールをいうものとするが、ポリエーテル部分の一部(50重量%未満)を、テトラメチレンオキシド以外のジオキシ成分で置き換えたポリエーテルであってもよい。
かかる熱可塑性ポリエステルエラストマー(C)を添加することにより、環状オレフィン樹脂(B)をポリエステル樹脂(A)中で特に微分散させることができる。これは、ポリエステル樹脂(A)と環状オレフィン樹脂(B)と熱可塑性ポリエステルエラストマー(C)の3者間において何らかの相互作用が働いているためと推測される。
また、本発明では、熱可塑性ポリエステルエラストマー(C)の融点が160℃以上であることが必要である。
ここで融点(以下、「Tm」と略称することがある)とは、JIS K7121−1987に記載の融解ピーク温度(Tpm)であり、具体的な測定法は後述する。
熱可塑性ポリエステルエラストマー(C)の融点は180℃以上であることが好ましく、より好ましくは195℃以上、特に好ましくは215℃以上である。熱可塑性ポリエステルエラストマー(C)の融点をかかる範囲にすることにより、環状オレフィン樹脂(B)をポリエステル樹脂(A)中で特に微分散化させることができる。
熱可塑性ポリエステルエラストマー(C)の融点が160℃未満であると、環状オレフィン樹脂(B)を微分散化させることができず、光反射性能、隠蔽性能に劣る。また、融点が160℃未満の熱可塑性ポリエステルエラストマー(C)は耐熱性に劣るため、溶融時に分解物が発生しやすく、該分解物がフィルム欠点の原因となることがある。
熱可塑性ポリエステルエラストマー(C)の融点の上限については、特に限定されるものではないが、250℃以下であることが好ましく、より好ましくは235℃以下、特に好ましくは225℃以下である。融点があまりに高いと、溶融混練時に、熱可塑性ポリエステルエラストマー(C)が充分に溶融されず、結果として環状オレフィン樹脂(B)がポリエステル樹脂(A)中で微分散化されず、好ましくないことがある。
なお、熱可塑性ポリエステルエラストマー(C)の融点を160℃以上とするためには、例えば上記ハードセグメントの含有量を多くする一方で、上記ソフトセグメントの含有量を少なくすることが挙げられる。
また、熱可塑性ポリエステルエラストマーは上記成分を用いて重合により得るほか、市販品(例えば“ハイトレル”(東レ・デュポン株式会社)、“ペルプレン”(東洋紡績株式会社)など)を用いることができる。
市販品を用いる場合は、ハードセグメントとソフトセグメントの共重合体であって、ハードセグメントがポリブチレンテレフタレート系ポリエステル、ソフトセグメントがポリ(テトラメチレンオキシド)系グリコールであり、かつ高い融点を有する東レ・デュポン(株)製の“ハイトレル”を用いることが好ましい。
また、本発明では、白色ポリエステル層(W層)において、融点160℃以上の熱可塑性ポリエステルエラストマー(C)が、白色ポリエステル層(W層)中に含まれるガラス転移温度が140℃以上の環状オレフィン樹脂(B)100重量部に対して、20.5重量部以上含有されていることが必要である。好ましくは25.5重量部以上、より好ましくは29.5重量部以上、特に好ましくは44.5重量部以上である。
熱可塑性ポリエステルエラストマー(C)の含有量をかかる範囲にすることにより、環状オレフィン樹脂(B)をポリエステル樹脂(A)中で特に微分散化させることができる。
一方、非相溶樹脂として従来用いられてきたポリメチルペンテンやポリプロピレンに熱可塑性ポリエステルエラストマー(C)を添加しても、同様の微分散化効果は発現されない。非相溶樹脂として環状オレフィン樹脂(B)を用いた場合にのみ、かかる特異的な微分散化効果がなぜ発現されるのかは鋭意解明中ではあるが、不明である。
なお、熱可塑性ポリエステルエラストマー(C)の含有量が20.5重量部未満であると、環状オレフィン樹脂(B)の微分散化が充分に達成されない。
また、熱可塑性ポリエステルエラストマー(C)の含有量の上限は特に限定されるものではないが、100重量部以下であることが好ましく、より好ましくは80重量部以下、さらに好ましくは60重量部以下であることが白色フィルムの生産性の点から好ましい。熱可塑性ポリエステルエラストマー(C)の含有量が多量になりすぎると、製膜において破れが頻発し、生産性に乏しいことがある。
次に、本発明の作用効果について纏める。すなわち、本発明の構成を有する白色フィルムとすることで、非相溶樹脂である環状オレフィン樹脂(B)をポリエステル樹脂(A)中にて極めて微細に分散させることができ、かつ延伸等によって白色ポリエステル層(W層)内部に気泡を生成させても、気泡同士の連結を抑制することができる。これにより、フィルム厚みあたりの気固界面数密度を飛躍的に高めること、およびフィルムを効率的に低比重化させることができる。また、気固界面数密度の増大は、光反射性能、隠蔽性能の向上に大きく寄与することから、本発明の白色フィルムをバックライト(面光源)に組み込むことにより、高い輝度特性、優れた画面輝度均一性、優れた画面鮮明性を達成することができる。さらに、本発明のフィルムを用いた面光源は高い輝度特性を有するため、光源の出力を抑制することができ、消費電力を低減することができる。また、本発明のフィルムを太陽電池用バックシートとして用いることにより太陽電池の電換効率をより高くすることができる。加えて、本発明の白色フィルムは、光反射性能・隠蔽性能が飛躍的に優れていることから、高い光反射性能・光隠蔽性能を維持しつつ薄膜化することができる。
本発明の白色フィルムの比重は0.9未満であることが好ましい。好ましくは0.8以下、より好ましくは0.7以下、特に好ましくは0.6以下である。本発明の白色フィルムは、主として太陽電池用バックシートや面光源用反射部材として用いられるところ、できる限り軽いほうが好まれるためである。よって、下限は特に規定されるものではないが、強度の点から0.3以上であることが好ましい。比重を0.9未満とするためには、白色ポリエステル層(W層)においてガラス転移温度が140℃以上の環状オレフィン樹脂(B)を白色ポリエステル層(W層)に対して10重量%以上含有させ、かつ融点が160℃以上の熱可塑性ポリエステルエラストマー(C)を該環状オレフィン樹脂(B)100重量部に対して20.5重量部以上含有させることによって達成することができる。また、比重をさらに低下させるためには、後述する実施例でも示すように、環状オレフィン樹脂(B)の含有量や熱可塑性ポリエステルエラストマー(C)の含有量をさらに多くしたり、環状オレフィン樹脂(B)のガラス転移温度や熱可塑性ポリエステルエラストマー(C)の融点をより高くすることにより達成することができる。
また、本発明の白色フィルムは、白色ポリエステル層(W層)の片側もしくは両側に他の層が積層されてもよい。
また、本発明の白色フィルムにおいて、白色ポリエステル層(W層)のフィルム厚み方向の気固界面数密度は1.55/μm以上であることが好ましい。白色フィルムへ入射した光線は、フィルム内部の樹脂(固体相)と気泡(気相)の界面にて反射されるところ、白色ポリエステル層(W層)におけるフィルム厚み方向の気固界面数密度を1.55/μm以上とすることにより飛躍的に反射性能および隠蔽性能を高めることができる。
ここで、白色ポリエステル層(W層)におけるフィルム厚み方向の気固界面数密度とは、以下の(1)〜(10)の手順により求められるものである。
(1)ミクロトームを用いて、フィルム断面を厚み方向に潰すことなく、フィルム面方向に対して垂直に切断する。
(2)次いで切断した断面を、電子顕微鏡を用いて観察し、白色ポリエステル層(W層)を5000倍に拡大観察した画像を得る。このとき、フィルムの厚み方向と画像の上下方向は一致させるものとする。また、ポリエステル層(W層)の厚み方向の全体が一画像中に収まらないときは、フィルム厚み方向に分割画像を得て、後に結合し、白色ポリエステル層(W層)の厚み方向の全体が収まった画像を得るものとする。
ここで、ポリエステル層(W層)の厚み方向の全体が一画像中に収まらないとは、ポリエステル層(W層)の片面に積層されている他の層との境界(X)と、ポリエステル層(W層)のもう一方の面に積層されている他の層との境界(Y)が、一画像に収まらないことをいう。なお、ポリエステル層(W層)の片面または両面に他の層が積層されていない場合、前記境界(X)や前記境界(Y)は、ポリエステル層(W層)と外界との境界を指すものとする。
(3) (2)で得られた画像において、境界(X)線上の1点(ランダムに定めるものとし、これをXA点とする)からフィルム面方向に対し、垂直に直線を引き、境界(Y)線と交差する点とYA点とする。また、XA点とYA点を結ぶ直線をZ直線とする。Z直線上に存在する気固界面について、XA点に最も近い気固界面を気固界面1とする。なお、気固界面とは、白色ポリエステル層(W層)内部に存在する気固界面を指し、気相から固相への界面であっても、固相から気相への界面であってもよい。但し、フィルムの内部とフィルムの外部をなす気固界面(すなわちフィルム表面)は本手順において計測すべき気固界面には含めない。
(4)Z直線上において、気固界面1よりYA点側にあって、界面間距離が200nm以上となり、かつ最も界面間距離が小さくなる気固界面を気固界面2とする。ここで、界面間距離とは、Z直線上における気固界面kと気固界面k+1との距離である(すなわち、この場合は、Z直線上における気固界面1と気固界面2との距離である)。また、200nm以上の界面間距離を有する気固界面のみを計測対象とするのは、界面間距離が200nm未満であると、界面において幾何光学に基づいた光反射現象が起こらない確率が高く、白色フィルムの光反射性能に寄与しないためである。
(5) (4)と同様に、Z直線上において、気固界面2よりYA点側にあって、界面間距離が200nm以上となり、かつ最も界面間距離が小さくなる気固界面を気固界面3とする。
(6)同様の作業(すなわち、Z直線上において、気固界面mよりYA点側にあって、界面間距離が200nm以上となり、かつ最も界面間距離が小さくなる気固界面を気固界面m+1とする作業)を、YA点側に気固界面が存在しなくなるまで繰り返す。
(7)上記手順により気固界面1から気固界面nまでが求められるが、当該nの数値をもって本計測における気固界面数Nとする。なお、本計測において気固界面1しかない場合は、気固界面数を1とし、ポリエステル層(W層)内に気固界面がない場合は、気固界面数を0とするものとする。
(8)Z直線の長さを計測し、これを白色ポリエステル層(W層)の厚みP(μm)とする。
(9)気固界面数Nを白色ポリエステル層(W層)の厚みPで除した値(N/P)を、気固界面数密度Q(/μm)とする。
(10)フィルム切断場所をランダムに変えて(1)から(9)と同様の作業を計100回行い、各々で求められた気固界面数密度Qの相加平均値を最終的な白色ポリエステル層(W層)におけるフィルム厚み方向の気固界面数密度とする。
白色ポリエステル層(W層)の気固界面数密度は好ましくは、1.8/μm以上、より好ましくは2.2/μm以上、特に好ましくは2.6/μm以上である。白色ポリエステル層(W層)の気固界面数密度をかかる範囲にすることにより、面光源用反射部材や太陽電池用バックシートとして優れた反射性能および隠蔽性能を付与することができる。白色ポリエステル層(W層)の気固界面数密度を1.55/μm以上とするためには、白色ポリエステル層(W層)において、ガラス転移温度が140℃以上の環状オレフィン樹脂(B)を10重量%以上40重量%以下含有させ、かつ融点が160℃以上の熱可塑性ポリエステルエラストマー(C)を該環状オレフィン樹脂(B)100重量部に対して24.5重量部以上含有させることにより達成することができる。また、白色ポリエステル層(W層)の気固界面数密度をさらに増大させるためには、後述する実施例でも示すように、白色ポリエステル層(W層)において環状オレフィン樹脂(B)の含有量や熱可塑性ポリエステルエラストマー(C)の含有量をさらに多くしたり、環状オレフィン樹脂(B)のガラス転移温度や熱可塑性ポリエステルエラストマー(C)の融点をより高くすることにより達成することができる。
なお、白色ポリエステル層(W層)の気固界面数密度の上限は特に設けられるものではないが、5.00/μmを越えないことが好ましい。5.00/μmを越えると気泡が微細となりすぎて、気固界面にて幾何光学に則った光反射現象が起こらず、フィルム全体として充分な反射性能が発現されないことがある。
本発明の白色フィルムは、酸化アルミニウム白板に対する相対反射率が100.4%以上であることが好ましい。ここで、酸化アルミニウム白板には(株)日立計測器サービス製の部品番号210−0740を用いるものとする。また、酸化アルミニウム白板に対する相対反射率の詳細な測定法については後述する。なお、酸化アルミニウム白板よりも反射性能が高いフィルムでは、相対反射率が100%を越えることがある。
酸化アルミニウム白板に対する相対反射率は100.8%以上であることがより好ましく、さらに好ましくは101.3%、特に好ましく101.8%以上である。酸化アルミニウム白板に対する相対反射率をかかる範囲にすることにより、面光源用反射部材として本発明の白色フィルムを用いた際に、特に高い輝度特性等を発現させることができる。また、本発明の白色フィルムを太陽電池用バックシートとして用いることにより太陽電池の電換効率をより高くすることができる。なお、反射性能はより高いことが好ましいため、上限は特に限定されるものではない。
本発明の白色フィルムの透過率は4.2%以下であることが好ましい。より好ましくは3.5%以下、さらに好ましくは3.0%以下、特に好ましくは2.7%以下である。透過率をかかる範囲にすることにより、面光源用反射部材として用いた際に高い隠蔽性能を発現させることができ、「裏移り」を低減させることができる。なお、透過率はより低いことが好ましいため、下限は特に限定されるものではないが、測定上は0.0%が下限となる。
本発明の白色フィルムの光学濃度は1.38以上であることが好ましい。より好ましくは1.43以上、さらに好ましくは1.52以上、特に好ましくは1.57以上である。光学濃度をかかる範囲にすることにより、面光源用反射部材として用いた際に高い隠蔽性能を発現させることができ、「裏移り」を低減させることができる。なお、光学濃度はより高いことが好ましいため、上限は特に限定されるものではないが、3.0を超えると、隠蔽性はほぼ飽和するため、3.0を上限とすることもできる。
本発明において白色ポリエステル層(W層)の厚みおよび白色フィルムの総厚みは特に限定されるものではなく、所望の光反射性能、隠蔽性能、輝度特性が発現される厚みを適宜選択すれば良いが、一般的には40〜600μmであることが好ましい。より好ましくは75〜400μm、特に好ましくは150〜300μmである。かかる範囲とすることにより、面光源用反射部材や太陽電池用バックシートとして好適に使用することができる。なお、総厚みが40μm未満であると、強度の点で劣ったり、十分な光反射性能・隠蔽性能が発現されないことがある。また、総厚みが600μmを越えると、面光源や太陽電池に組み込んだ際に、面光源全体や太陽電池全体が厚くなり過ぎることがある。
また、本発明の白色フィルムには、本発明の効果を失わない範囲で、滑剤、蛍光増白剤、紫外線吸収剤などの添加剤等が添加されていてもよい。
次に、本発明の白色フィルムの製造方法について、その一例を説明するが、本発明は、かかる例のみに限定されるものではない。
白色ポリエステル層(W層)を形成するために、押出機(主押出機)を有する製膜装置を用い、必要に応じて十分な真空乾燥を行ったポリエステル樹脂(A)のチップとガラス転移温度が140℃以上の環状オレフィン樹脂(B)と、融点が160℃以上の熱可塑性ポリエステルエラストマー(C)を混合したものを加熱された押出機に供給する。環状オレフィン樹脂(B)や熱可塑性ポリエステルエラストマー(C)の添加は、事前に均一に溶融混練して配合させて作製されたマスターチップを用いてもよいし、直接混練押出機に供給するなどしてもよい。
また、本発明の白色フィルムが積層フィルムである場合は、上記主押出機のほかに副押出機を有する複合製膜装置を用い、必要に応じて十分な真空乾燥を行った熱可塑性樹脂(PETなどのポリエステル樹脂など)のチップ、および必要に応じて無機粒子および蛍光増白剤、紫外線吸収剤などの各種添加物を混合し、それらを加熱された副押出機に供給して共押出し積層する。
また、溶融押出に際してはメッシュ40μm以下のフィルターにて濾過した後に、Tダイ口金内に導入し押出成形により溶融シート(積層フィルムの場合は溶融積層シート)を得ることが好ましい。
この溶融シートを表面温度10〜60℃に冷却されたドラム上で静電気により密着冷却固化し、未配向(未延伸)フィルムを作製する。該未配向フィルムを70〜120℃の温度に加熱されたロール群に導き、長手方向(縦方向、すなわちフィルムの進行方向)に3〜4倍延伸し、20〜50℃の温度のロール群で冷却する。
続いて、フィルムの両端をクリップで把持しながらテンターに導き、90〜150℃の温度に加熱された雰囲気中で、長手方向に直角な方向(横方向、すなわちフィルム幅方向)に3〜4倍に延伸することにより、二軸配向(二軸延伸)フィルムを得ることができる。
延伸倍率は、長手方向と幅方向それぞれ3〜4倍とすることが好ましいく、その面積倍率(長手方向延伸倍率に幅方向延伸倍率を乗じた倍率)は9〜15倍であることが好ましい。面積倍率が9倍未満であると、得られる二軸配向(二軸延伸)フィルムの光反射性能や隠蔽性能、フィルム強度が不十分となり、逆に面積倍率が15倍を超えると延伸時に破れを生じ易くなる傾向がある。
必要に応じて、得られた二軸配向(二軸延伸)フィルムの結晶配向を完了させて平面性と寸法安定性を付与するために、引き続きテンター内にて150〜240℃の温度で1〜30秒間の熱処理を行ない、均一に徐冷後、室温まで冷却し、その後必要に応じて、他素材との密着性をさらに高めるためにコロナ放電処理などを行い、巻き取ることにより、本発明の白色フィルムを得ることができる。上記熱処理工程中では、必要に応じて幅方向あるいは長手方向に0.1〜12%の弛緩処理を施してもよい。
尚、一般に熱処理温度が高いほど、熱寸法安定性も高くなるため、本発明の白色フィルムは製膜工程において高温(180℃以上)で熱処理されるあることが好ましい。本発明の白色フィルムは一定の熱寸法安定性を有することが望まれるためである。
また、二軸延伸は逐次延伸あるいは同時二軸延伸のいずれでもよいが、同時二軸延伸法を用いた場合は、製造工程のフィルム破れを防止できたり、加熱ロールに粘着することによって生ずる転写欠点が発生しにくい。また二軸延伸後に長手方向、幅方向いずれかの方向に再延伸してもよい。
また、本発明の白色フィルムには、電磁波遮蔽性や折り曲げ加工性付与などの目的で、フィルム表面に、アルミニウム、銀などを金属蒸着や貼り合わせなどの手法によって加えてもよい。
本発明の白色フィルムは、光反射のために面光源に組込まれる反射部材として好ましく用いられる。具体的には、液晶画面用のエッジライトの反射板、直下型ライトの面光源の反射板、および冷陰極線管の周囲のランプリフレクター等に好ましく用いられる。また、太陽電池用バックシートとしても好適に用いることができる。
(測定方法)
1.環状オレフィン樹脂(B)のガラス転移温度(JIS 7121−1999、JIS 7122−1999)
環状オレフィン樹脂(B)のガラス転移温度の測定は、JIS K7122(1999)に準じて、セイコー電子工業(株)製示差走査熱量測定装置”ロボットDSC−RDC220”を用いて行った。なお、データ解析にはディスクセッション”SSC/5200”を用いた。また、測定は窒素雰囲気下で行うものとする。
まず、サンプルパンにサンプルとなる樹脂を5mg秤量して詰め、該サンプルパンを20℃から300℃まで10℃/分の昇温速度で加熱し、300℃の状態で5分間保持し、次いで20℃以下となるよう急冷した。このとき得られた示差走査熱量測定チャート(吸発熱曲線)を1strun−DSC曲線とする。
次いで、再度20℃から10℃/分の昇温速度で300℃まで昇温を行った。このとき得られた示差走査熱量測定チャート(吸発熱曲線)を2ndrun−DSC曲線とする。
この2ndrunチャートより環状オレフィン樹脂(B)のガラス転移温度を求めるものとする。
2.熱可塑性ポリエステルエラストマー(C)の融点(JIS 7121−1999、JIS 7122−1999)
熱可塑性ポリエステルエラストマー(C)の融点の測定は、JIS K7122(1999)に準じて、セイコー電子工業(株)製示差走査熱量測定装置”ロボットDSC−RDC220”を用いて行った。なお、データ解析にはディスクセッション”SSC/5200”を用いた。 また、測定は窒素雰囲気下で行うものとする。
まず、サンプルパンにサンプルとなる樹脂を5mg秤量して詰め、該サンプルパンを20℃から300℃まで10℃/分の昇温速度で加熱し、300℃の状態で5分間保持し、次いで20℃以下となるよう急冷した。このとき得られた示差走査熱量測定チャート(吸発熱曲線)を1strun−DSC曲線とする。
次いで、再度20℃から10℃/分の昇温速度で300℃まで昇温を行った。このとき得られた示差走査熱量測定チャート(吸発熱曲線)を2ndrun−DSC曲線とする。
この2ndrun−DSC曲線より熱可塑性ポリエステルエラストマー(C)の融点を求めるものとする。
3.白色ポリエステル層(W層)の気固界面数密度
ミクロトームを用いて白色フィルムの断面を厚み方向に潰すことなく、フィルム面方向に対して垂直に切断する。次いで、該断面に白金−パラジウムを蒸着した後、日本電子(株)製電界放射走査型電子顕微鏡”JSM−6700F”を用いて5000倍の倍率で断面を観察し、画像を得た。得られた画像を基に前述した方法に則り、気固界面数密度を算出した。
4.白色フィルムの相対反射率
分光光度計U−3310((株)日立製作所製)に、φ60積分球(部品番号130−0632((株)日立製作所性))および10°傾斜スペーサーを取りつけ、波長560nmにおける白色フィルムの光反射率を求めた。
酸化アルミニウム白板には(株)日立計測器サービス製の部品番号210−0740を用い、該白板を標準白色板および副白板として使用した。
なお、光反射率は白色フィルムの両面について求め、より高い数値を当該白色フィルムの反射率とした。
5.白色フィルムの透過率
ヘイズメーターNDH−5000(日本電色工業(株)製)を用いて、白色フィルムの全光線透過率を測定した。なお、透過率は白色フィルムの両面について求め、より低い数値を当該白色フィルムの透過率とした。
6.白色フィルムの光学濃度
マクベス透過・反射兼用濃度計TR−927(サカタインクス(株))を用いて白色フィルムの透過濃度を測定した。なお、分光感度特性はオルソマチックとした。測定に際して、フィルター位置の色表示は“白”とした。また、サンプル測定前は当該機器に附属の説明書の記載に則り、ゼロ点合わせおよび標準板の数値確認を行うものとする。
7.白色フィルムの比重
白色フィルムから縦5cm×横5cmの正方形サンプルを5枚切りだし、それぞれJIS K7112−1980に基づいて電子比重計SD−120L(ミラージュ貿易(株)製)を用いて1回ずつ測定した。得られた計5点の測定値の相加平均を求め、当該白色フィルムの比重とした。
8.面光源輝度(バックライト輝度)
(1)20インチサイズの直下型バックライト(冷陰極管本数:16本、冷陰極管径:3mm、冷陰極管間隔:2.5cm、乳白板と冷陰極管の距離1.5cm、反射板と冷陰極管の距離5mm)に白色フィルムを反射板として設置し、乳白板としてRM401(住友化学(株)製)、乳白板上側に光拡散シート“ライトアップ”(登録商標) GM3(キモト(株)製)、プリズムシートBEFIII(3M製)、DBEF−400(3M製)を配置した。
次いで、12Vの電圧を印加して冷陰極管を点灯させ、50分後、色彩輝度計BM−7/FAST(トプコン(株)製)を用いて視野角1°、バックライトと輝度計間の距離を40cmとし、バックライトの画面の中心の輝度を測定した。
(2)その後、電圧の印加を止め、冷陰極管を消灯させた状態で反射板たる白色フィルムを一旦取り出した後、再度、同じ白色フィルムを反射板として設置し、(1)と同様の作業を行い、輝度測定を行った。
(3)輝度測定は上記方法に則り、同一白色フィルムについて計5回行ない、5点の測定値の相加平均値を該白色フィルムを用いた面光源の輝度とした。
なお、面光源輝度は0.3%の差であっても場合、非常に大きな差となる。面光源輝度は光源たる冷陰極管の出力にも依存するところ、高い輝度を有する面光源は、その分、光源の出力を低下させることができ、面光源の低電力化に寄与することができるためである。
9.画面輝度均一性
8.面光源輝度測定において、5回目の輝度測定が終了した後、電圧を印加した状態を継続し、点灯状態のバックライトを正面方向から観察し、背面部の骨組(シャーシ)の裏移りが明らかに観察できるものを×、若干観察されるものを△、僅かに観察されるものを○、観察されないものを◎とした。実用的には△でも合格ではあるが、○または◎であることがより好ましい。
以下、実施例等によって本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
(原料)
A.ポリエステル樹脂(A)
・PET
ジカルボン酸成分としてテレフタル酸を、ジオール成分としてエチレングリコールを用い、三酸化アンチモン(重合触媒)を得られるポリエステルペレットに対してアンチモン原子換算で300ppmとなるように添加し、重縮合反応を行い、融点255℃のポリエチレンテレフタレート(PET)ペレットを得た。
B.環状オレフィン樹脂(B)
・環状オレフィン共重合体樹脂“TOPAS”
「TOPAS 5013」「TOPAS 6013」「TOPAS 6015」「TOPAS 6017」「TOPAS 6018T2」「TOPAS 6018T5」(何れも日本ポリプラスチックス製)を用いた。該樹脂は化学式1に示すように環状オレフィン(モノマー)成分であるノルボルネン成分と共重合成分であるエチレン成分より重合される環状オレフィン共重合体樹脂である。各成分の共重合重量比およびガラス転移温度を表1に示す。
Figure 2009132813
表1に記載されたとおり、「TOPAS 6013」「TOPAS 6015」「TOPAS 6017」「TOPAS 6018T2」「TOPAS 6018T5」のガラス転移温度は140℃以上であることから、これらはガラス転移温度が140℃以上の環状オレフィン樹脂(B)に該当する。一方、「TOPAS 5013」のガラス転移温度は136℃であることから、ガラス転移温度が140℃以上の環状オレフィン樹脂(B)には該当しない。
Figure 2009132813
・環状オレフィン共重合体樹脂“APEL”
「APEL APL6015T」(三井化学製)を用いた。該樹脂はノルボルネンを基本骨格とする環状オレフィン(モノマー)成分と共重合成分であるエチレン成分より重合される環状オレフィン共重合体樹脂である。各成分の構成比は環状オレフィン成分が79重量%、エチレン成分が21重量%であり、ガラス転移温度は155℃である。よって、該樹脂はガラス転移温度が140℃以上の環状オレフィン樹脂(B)に該当する。
・環状オレフィン樹脂“ZEONOR”
「ZEONOR 1600R」(日本ゼオン製)を用いた。該樹脂は化学式2に示すようにテトラシクロ〔4,4,0,12.5,17.10〕ドデセンを基本骨格とする環状オレフィン(モノマー)から重合される環状オレフィン樹脂である。該樹脂のガラス転移温度は163℃であるため、該樹脂はガラス転移温度が140℃以上の環状オレフィン樹脂(B)に該当する。
Figure 2009132813
C.非相溶成分
・PP(ポリプロピレン)
「F−704NP」(プライムポリマー製)を用いた。該樹脂は融点170℃の直鎖オレフィン樹脂である。また、ガラス転移温度は20℃以下である。よって、該樹脂はガラス転移温度が140℃以上の環状オレフィン(B)には該当しない。
・PMP(ポリメチルペンテン)
「TPX DX820」(三井化学製)を用いた。該樹脂は融点235℃の直鎖オレフィン樹脂である。また、ガラス転移温度は25℃である。よって、該樹脂はガラス転移温度が140℃以上の環状オレフィン(B)には該当しない。
・硫酸バリウム
平均粒径(直径)0.6μmの硫酸バリウムを用いた。なお、粒径0.3μm以下の微粒および粒径1.0μm以上の粗粒は分級工程を経ることにより除去した。
D.熱可塑性ポリエステルエラストマー(C)
「ハイトレル G3548L」、「ハイトレル 3046」、「ハイトレル 4047」、「ハイトレル 4767」、「ハイトレル 7247」、「ハイトレル2751」(いずれも東レ・デュポン製)を用いた。
該樹脂は、ハードセグメントとソフトセグメントのブロック共重合体であって、ハードセグメントがポリブチレンテレフタレート系ポリエステルであり、ソフトセグメントがポリ(テトラメチレンオキシド)系グリコールである。該樹脂の融点を表2に示す。「ハイトレル G3548L」以外はいずれも融点が160℃以上の熱可塑性ポリエステルエラストマー(C)に該当する。一方、「ハイトレル G3548L」は融点が154℃であることから、160℃以上の熱可塑性ポリエステルエラストマー(C)には該当しない。
Figure 2009132813
(実施例1〜55)
表3に示した原料の混合物を130℃の温度で8時間真空乾燥した後に押出機に供給し、280℃の温度で溶融押出後30μmカットフィルターにより濾過を行った後に、Tダイ口金に導入した。
次いで、Tダイ口金内より、シート状に押出して溶融単層シートとし、該溶融単層シートを、表面温度20℃に保たれたドラム上に静電印加法で密着冷却固化させて未配向(延伸)単層フィルムを得た。続いて、該未配向単層フィルムを85℃の温度に加熱したロール群で予熱した後、90℃の温度の加熱ロールを用いて長手方向(縦方向)に3.3倍延伸を行い、25℃の温度のロール群で冷却して一軸配向(一軸延伸)フィルムを得た。
得られた一軸配向フィルムの両端をクリップで把持しながらテンター内の95℃の温度の予熱ゾーンに導き、引き続き連続的に105℃の温度の加熱ゾーンで長手方向に直角な幅方向(横方向)に3.2倍延伸した。さらに引き続いて、テンター内の熱処理ゾーンで180℃で20秒間の熱処理を施し、さらに180℃の温度で幅方向に4%の弛緩処理を行った後、更に140℃の温度で幅方向に1%の弛緩処理を行った。次いで、均一に徐冷後、巻き取って、厚さ188μmの二軸に配向した白色ポリエステルフィルムを得た。この白色ポリエステルフィルムは内部に微細な気泡を多数含有しており、白色ポリエステル層(W層)に該当する。得られた白色フィルムの特性を表4に示す。このように本発明の白色フィルムは光反射性能・隠蔽性能・軽量性(低比重性)、高輝度特性、輝度均一性に優れたものであった。
(比較例1、2、4〜14、17)
表3に示した原料を用いて実施例1と同様に製膜を行った。この白色ポリエステルフィルムは内部に気泡を有していたが、その特性は表4に示すように劣るものであった。
(比較例3、15、16、18、19)
表3に示した原料を用いて実施例1と同様に製膜を試みたが、フィルム破れが頻発し、延伸後の白色フィルムを採取することはできなかった。
以上の実施例・比較例より、本発明の作用効果として下記の事項を挙げることができる。
(1)非相溶成分として従来用いられてきた直鎖オレフィン(PP,PMP)に較べて飛躍的に、非相溶成分をポリエステル中で微分酸化させることができ、その結果、効率的に気固界面数密度が増大させることができる。また、光反射性能・隠蔽性能が大きく向上し、面光源輝度および輝度均一性にも優れる。さらに、非相溶樹脂(B)を多量に含有させても、フィルム破れが発生せず、製膜性にも優れるものである。
(2)非相溶成分として無機粒子(硫酸バリウム)を用いた場合に較べて、気固界面数密度が増大させることができる。また、光反射性能・隠蔽性能が大きく向上し、面光源輝度および輝度均一性にも優れる。さらに、より低比重である。
Figure 2009132813
Figure 2009132813
Figure 2009132813
Figure 2009132813
Figure 2009132813
Figure 2009132813

Claims (5)

  1. ポリエステル樹脂(A)と環状オレフィン樹脂(B)とを含有し内部に気泡を有する白色ポリエステル層(W層)を有するフィルムであって、該環状オレフィン樹脂(B)のガラス転移温度が140℃以上であり、かつ該環状オレフィン樹脂(B)が白色ポリエステル層(W層)に対して10重量%以上40重量%以下含有されており、かつ該白色ポリエステル層(W層)において、160℃以上の融点を有する熱可塑性ポリエステルエラストマー(C)が該環状オレフィン樹脂(B)100重量部に対して20.5重量部以上含有されている白色ポリエステルフィルム。
  2. 前記熱可塑性ポリエステルエラストマー(C)がハードセグメントとソフトセグメントのブロック共重合体である請求項1に記載の白色ポリエステルフィルム。
  3. 前記ハードセグメントがポリブチレンテレフタレート系ポリエステルおよび/またはポリエチレンテレフタレート系ポリエステルである請求項2に記載の白色ポリエステルフィルム。
  4. 前記ソフトセグメントがポリ(エチレンオキシド)系グリコールおよび/またはポリ(テトラメチレンオキシド)系グリコールである請求項2または3に記載の白色ポリエステルフィルム。
  5. 反射部材として用いられる請求項1から4のいずれかに記載の白色ポリエステルフィルム。
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