JP2019014085A - 延伸フィルム - Google Patents

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徹 寺川
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Abstract

【課題】ベース樹脂と酸化チタンを含有する反射層を備えた延伸フィルムにおいて、酸化チタンの含有量を50質量%以上まで高めて延伸したとしても、いわゆる明欠陥を生じることがなく、反射フィルムとして好適な延伸フィルムを提供する。【解決手段】アクリル樹脂(A)と酸化チタンとを含有する層Xと、前記アクリル樹脂(A)とガラス転移温度の差が15℃以内である熱可塑性樹脂(B)を主成分樹脂として含有する層Yとが積層されてなる構成を備え、層Xにおける酸化チタンの含有量が50質量%以上であり、且つ、アクリル樹脂(A)のガラス転移温度が105〜135℃であることを特徴とする延伸フィルムを提案する。【選択図】 なし

Description

本発明は、光を反射する性質を有する延伸フィルムに関し、例えば液晶表示装置、照明器具或いは照明看板などの構成部材として好適に使用することができる延伸フィルムに関する。
液晶表示装置をはじめ、照明器具或いは照明看板など多くの分野で反射材が使用されている。最近では、特に液晶ディスプレイの分野において装置の大型化及び表示性能の高度化が進み、少しでも多くの光を液晶に供給してバックライトユニットの性能を向上させることが求められている。そのために反射材に対しては、バックライトユニットの輝度向上及び輝度均一性の点から、より一層優れた光反射性(単に「反射性」ともいう)及び光拡散性(単に「拡散性」ともいう)が求められている。
高い反射性及び拡散性を示す反射材としては、例えば、樹脂に充填材を添加して形成されたフィルムを延伸することによって、フィルム内に微細な空隙を形成させ、光散乱反射を生じさせた白色フィルムが知られている。
この種の反射フィルムにおいて、光反射性は、ベース樹脂と充填材の屈折率差、ベース樹脂と空隙の屈折率差、並びに、充填材と空隙の屈折率差などで決定され、屈折率差が大きいほど高い光反射性が得られるため、屈折率の高い充填材として酸化チタンが用いられている。
この種の反射フィルムに関しては、例えば特許文献1には、屈折率が1.52未満である樹脂と、酸化チタンとを含有する樹脂組成物Aから成るA層を有する面積倍率が1.2未満の実質無延伸のフィルムであり、該酸化チタンは屈折率が2.5以上であって、該酸化チタン中のバナジウム含有量が5ppm以下であり、かつ、該フィルムの550nmの波長の光に対する反射率が98.1%以上、かつ、80℃で180分間処理を行った後の熱収縮率が縦方向(MD)及び横方向(TD)が共に−0.1%より大きく、1.0%未満であることを特徴とする反射フィルムが開示されている。
複数の層を積層してなる積層構造の反射フィルムに関し、特許文献2には、波長380nm〜780nmの領域に吸収帯を持つ充填材を含有する白色フィルムの少なくとも反射使用面側に、屈折率の異なるベース樹脂からなる、少なくとも2種類以上の熱可塑性樹脂層を順番に繰り返し積層してなる構成を備え、波長400nmの光の反射率が70%以上であり、且つ、波長500〜780nmの領域の光に対する反射率が当該全領域の波長にわたり50%以下である樹脂積層体を、積層してなる反射フィルムが開示されている。
海島構造を有する層を備えた反射フィルムに関し、例えば特許文献3には、ポリエステル系樹脂(A)及び充填材を含有し、且つ空隙を有する反射層Xと、該反射層Xの表裏両側に配置され、2種の樹脂(B)(C)からなる海島構造を備えた反射層Y、Yとの2種3層構造を備え、下記(式1)の左式で算出される厚み−空隙係数が下記(式1)を満たすことを特徴とする反射フィルムが開示されている。
(式1)・・フィルム全体の厚み(μm)×フィルムの空隙率(%)×反射層Xの厚み占有比(%)≧1300
特許文献4には、ジオール成分として脂環構造を有するポリエステル系樹脂(A)と充填材とを含有し、一軸又は二軸延伸されてなる反射層Xと、前記熱可塑性樹脂(B)からなる連続相(I)と、これと非相溶の熱可塑性樹脂(C)からなる分散相(II)による海島構造を有し、前記ポリエステル系樹脂(A)以外の樹脂を主成分樹脂として含有し、一軸又は二軸延伸されてなる反射層Yとを備えた反射フィルムが開示されている。
特許文献5には、非晶性であるポリエステル系樹脂(A)及び充填材を含有する反射層Xと、該反射層Xの表裏両側に配置され、2種の樹脂(B)(C)からなる海島構造を備えた反射層Y、Yとを備えた反射フィルムであって、当該反射フィルムを70℃で60分間保持した後の収縮率が5%以下であり、かつ、115℃で30分間保持した後の収縮率が20%以下であることを特徴とする反射フィルムが開示されている。
特許文献6には、ポリエステル系樹脂(A)及び充填材を含有し、且つ空隙を有する反射層Xと、該反射層Xの表裏両側に配置され、2種の樹脂(B)(C)からなる海島構造を備えており、空隙率が実質上ゼロである反射層Y、Yとを備えた反射フィルムであって、貫孔強度が140N/mm〜1000N/mmであることを特徴とする反射フィルムが開示されている。
また、アクリル樹脂を使用した反射フィルムに関して、例えば特許文献7には、脂肪族ポリエステル系樹脂及び微粉状充填剤を含有してなるA層と、アクリル系樹脂を含有してなるB層とが積層してなる構成を備えた反射フィルムが開示されている。
特許文献8には、少なくとも、脂肪族ポリエステル系樹脂(A)と、アクリル系樹脂(B)と、芳香族ポリエステル系樹脂(C)と、微粉状充填剤(D)とを配合してなる樹脂組成物から形成され、波長550nmの光に対するフィルム表面の反射率が97%以上であることを特徴とする反射フィルムが開示されている。
特許文献9には、少なくとも脂肪族ポリエステル系樹脂(A)とアクリル系樹脂(B)と微粉状充填剤(C)とを配合してなる樹脂組成物から形成され、波長550nmの光に対するフィルム表面の反射率が97%以上である反射フィルムであって、該アクリル系樹脂(B)は、メタクリル酸メチル単量体単位とアクリル酸アルキルエステル単量体単位とを含有し、Tg(ガラス転移温度)が90℃未満であるアクリル系共重合体(b)を少なくとも1種以上含むものであることを特徴とする反射フィルムが開示されている。
特開2012−77311号公報 特開2013−113872号公報 特開2016−200792号公報 特開2016−200796号公報 特開2016−200795号公報 特開2016−200794号公報 特開2006-145913号公報 特開2007−308539号公報 特開2007−199650号公報
ポリエステル系樹脂と酸化チタンを含有してなり、一軸又は二軸延伸されてなる反射層を備えた反射フィルムにおいては、酸化チタンの含有率を高めることで、反射率を高めることができる。しかし、酸化チタンの含有量を反射層の50質量%以上まで高めて延伸すると、いわゆる明欠陥、すなわち、当該反射層の厚さ方向全体に渡る空隙が出来ることがあり、光を反射せずに透過してしまう問題が生じることが明らかになった。
そこで本発明は、ベース樹脂と酸化チタンを含有する反射層を備えた延伸フィルムにおいて、酸化チタンの含有量を50質量%以上まで高めて延伸したとしても、いわゆる明欠陥を生じることがなく、反射フィルムとして好適な延伸フィルムを提供せんとするものである。
本発明は、アクリル樹脂(A)と酸化チタンとを含有する層Xと、前記アクリル樹脂(A)とガラス転移温度の差が15℃以内である熱可塑性樹脂(B)を主成分樹脂として含有する層Yとが積層されてなる構成を備え、層Xにおける酸化チタンの含有量が50質量%以上であり、且つ、アクリル樹脂(A)のガラス転移温度が105〜135℃であることを特徴とする延伸フィルムを提案する。
本発明が提案する延伸フィルムは、ベース樹脂と酸化チタンを含有する延伸フィルムにおいて、当該ベース樹脂としてガラス転移温度が105〜135℃であるアクリル樹脂を用いることにより、酸化チタンの含有量を50質量%以上まで高めて延伸したとしても、明欠陥の発生を防止することができ、反射フィルムとしても好適である。
次に、実施の形態例に基づいて本発明を説明する。但し、本発明が次に説明する実施形態に限定されるものではない。
[本延伸フィルム]
本発明の実施形態の一例に係る延伸フィルム(「本延伸フィルム」と称する)は、アクリル樹脂(A)と酸化チタンとを含有する層Xと、前記アクリル樹脂(A)のガラス転移温度との差が15℃以内である熱可塑性樹脂(B)を主成分樹脂として含有する層Yとが積層されてなる構成を備えた延伸フィルムである。
<層X>
層Xは、主成分樹脂であるアクリル樹脂(A)と酸化チタンとを含有し、一軸又は二軸延伸されてなる層であるのが好ましい。
ここで、「主成分樹脂」とは、層Xを構成する樹脂の中で50質量%以上、好ましくは70質量%以上、特に好ましくは90質量%以上(100%含む)を占める意を包含する樹脂である。
(酸化チタンの含有量)
本延伸フィルムにおいては、層Xにおける酸化チタンの含有量は50質量%以上であるのが好ましい。酸化チタンの含有量を層Xの50質量%以上にまで高めて延伸すると、いわゆる明欠陥、すなわち当該反射層の厚さ方向全体に渡る空隙が生じるようになる。よって、本発明の効果を享受できるという観点から、層Xにおける酸化チタンの含有量は50質量%以上であるのが好ましく、中でも55質量%以上、その中でも60質量%以上であるのがより好ましい。
(空隙率)
層Xの空隙率は30%〜70%であるのが好ましい。
層Xの空隙率が30%以上であれば、反射率をさらに高めることができる。かかる観点から、35%以上であることがより好ましく、40%以上であることがさらに好ましい。
一方、層Xの空隙率が70%以下であれば、破断することなく延伸できるため好ましい。かかる観点から、65%以下であることがより好ましく、60%以下であることがさらに好ましい。
層Xの空隙率を上記範囲に調製するには、所定のアクリル樹脂を使用して、所定の温度、倍率で延伸することにより調製することができる。
層Xの空隙は、層Xの分散相と同様に平板状構造であるのが好ましい。その場合、層Xの空隙の厚みは、層Yの分散相の厚みに比べて厚いことが好ましい。
層Xに空隙を形成させる方法としては、例えば、上記のように酸化チタンを含有させると共に一軸又は二軸方向に延伸させる方法や、発泡性粒子を添加し、溶融押出することによってフィルム内部にて発泡させる方法のほか、不活性ガスを高圧で溶解させ、その後、圧力を開放することにより多孔質層を形成させる方法などを挙げることができる。なお、これらの方法の何れか一種の方法を採用してもよいし、複数の方法を組み合わせて採用してもよい。
(アクリル樹脂(A))
層Xは、光の吸収を抑制して光を効率的に反射させることができる観点から、アクリル樹脂(A)が層Xの主成分樹脂であることが好ましい。かかる観点から、アクリル樹脂(A)の吸光度は、1.45未満であることが好ましい。より好ましくは1.43未満であり、さらに好ましくは1.40未満である。
なお、上記アクリル樹脂の吸光度は、波長500nmの全光線透過率をTtとしたとき、以下の式(1)によって算出することができる。
吸光度=−log(Tt) ・・・(1)
アクリル樹脂(A)としては、アクリル酸エステル又はメタクリル酸エステルの重合体又は共重合体であって、ガラス転移温度が105〜135℃であるものが好ましい。但し、これらに限定するものではない。
アクリル樹脂(A)としては、アクリル酸を主成分として含有する樹脂であり、メタクリル酸メチルを用いて重合されたメタクリル酸メチル樹脂が好ましい。この種のメタクリル酸メチル樹脂は、その成形性を向上させるために、メタクリル酸メチルと共重合可能な他のアクリル酸を共重合することができる。
共重合可能な他のアクリル酸としては、(メタ)アクリル酸エステル類、スチレン等の単官能単量体、(ポリ)アルキレングリコール(メタ)アクリル酸エステル、アリル(メタ)アクリル酸エステル、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリル酸エステル、ジビニルベンゼン等の分子内に2個以上の不飽和二重結合を有する多官能単量体類が挙げることができる。
アクリル樹脂(A)としては、中でも、メタクリル酸メチル単量体単位と、アクリル酸アルキルエステル単量体単位と、必要に応じて他の共重合体成分を含有し、且つ、ガラス転移温度(Tg)が105〜135℃であるアクリル系共重合体を一種又は二種以上含むものが好ましい。
前記アクリル系共重合体としては、ランダム共重合体、ジブロック共重合体、トリブロック共重合体などを挙げることができる。
前記アクリル酸アルキルエステル単量体としては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸s−ブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸ネオペンチル、(メタ)アクリル酸−2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸イソデシル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸トリデシル、(メタ)アクリル酸ステアリル、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸テトラヒドロフルフリル、(メタ)アクリル酸メトキシエチル、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸クロロエチル、(メタ)アクリル酸トリフルオロエチル、(メタ)アクリル酸ヘプタデカフルオロオクチルエチル、(メタ)アクリル酸イソボルニル、(メタ)アクリル酸アダマンチルおよび(メタ)アクリル酸トリシクロデニシルなどを挙げることができる。
前記アクリル共重合体におけるアクリル酸アルキルエステル単量体単位の比率は、下限値としては、20質量%以上であることが好ましく、さらには30質量%以上であることが好ましい。また上限値としては、80質量%以下であることが好ましく、さらには60質量%以下であることが好ましい。
アクリル樹脂(A)のガラス転移温度(Tg)は、上述したように105〜135℃であるのが好ましい。
ガラス転移温度(Tg)が105℃以上であれば、耐熱性に優れ、また後述する層Yとのガラス転移温度の差を近づけることができるため好ましい。かかる観点から、105℃以上であることがより好ましく、110℃以上であることがさらに好ましい。
一方、上限は135℃以下であれば、延伸時に過度に昇温する必要がなく、また後述する層Yとのガラス転移温度の差を近づけることができるため好ましい。かかる観点から、125℃以下であることがより好ましく、120℃以下であることがさらに好ましい。
なお、ガラス転移温度(Tg)とは、DSC曲線の微分の極大値となる温度のことをいい、アクリル樹脂のTg(ガラス転移温度)は、試料約10mgを、パーキンエルマー社製示差走査熱量計DSC−7型を用いて、窒素雰囲気下、−40℃で1分間保持後、10℃/分の昇温速度下での測定から求められる。
中でも、アクリル樹脂(A)は、層Yの前記熱可塑性樹脂(B)とのガラス転移温度の差が15℃以下であるアクリル樹脂であるのが好ましい。
層Xが、前記熱可塑性樹脂(B)とのガラス転移温度の差が15℃以下であるアクリル樹脂(A)を主成分樹脂として含有する層であれば、後述するように、層Xと層Yとを共押出して積層することができるから、生産効率が高くなるばかりではなく、層Xと層Yとを接着層などの中間層を介さずに直接積層することができ、本延伸フィルムをより薄く形成することができる。
かかる観点から、前記熱可塑性樹脂(B)とアクリル樹脂(A)のガラス転移温度の差(絶対値)は15℃以下であるのが好ましく、中でも13℃以下、その中でも11℃以下であるのが特に好ましい。
アクリル樹脂(A)は、共重合成分としてスチレン系単量体を導入することもできる。
このスチレン系単量体としては、例えばスチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、エチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、α−メチルスチレン、α−メチル−p−メチルスチレン等を挙げることができる。さらに、透明性などを向上させる目的で、当該スチレン系単量体は水素化されていてもよい。
アクリル樹脂(A)は、共重合成分として上記スチレン系単量体の他にも、必要に応じて不飽和2塩基酸等の共重合成分を含んでいてもよい。当該共重合成分としては、例えばマレイン酸無水物、イタコン酸無水物、シトラコン酸無水物、アコニット酸無水物などの各無水物単量体に由来する単位を挙げることができ、1種のみを単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。ここで本発明においては、アクリル系樹脂(A)との相溶性や透明性などからマレイン酸無水物単位を好適に用いることができる。
アクリル樹脂(A)におけるスチレン成分の含有量は、20質量%〜90質量%であるのが好ましい。
アクリル樹脂(A)におけるスチレン成分の含有量が20質量%以上であることにより、吸湿性を抑えることができ、フィルムの反りを抑えることができる。かかる観点から、スチレン成分の含有量は30質量%以上であることがより好ましく、40質量%以上であることがさらに好ましい。
他方、スチレン成分を含有すると複屈折率が大きくなるという課題がある。これを抑制する観点から、スチレン成分の含有量は90質量%以下であることが好ましく、80質量%以下であることがより好ましく75質量%以下であることがさらに好ましい。
アクリル樹脂(A)の屈折率は、1.52未満であることが好ましい。アクリル樹脂(A)の屈折率が1.52未満であると、微粉状充填剤(D)との屈折率の差が大きくなり、高い反射性能を得ることができるので好ましい。
また、アクリル樹脂(A)は、芳香環をもたないので、紫外線劣化に起因する黄変がほとんど無いことから、反射フィルムとしての反射性能の低下が少ない。
(酸化チタン)
層Xは、充填材を含有することで、アクリル樹脂(A)との屈折率差による屈折散乱のほか、充填材の周囲に形成される空洞との屈折率差による屈折散乱、さらに充填材の周囲に形成される空洞と充填材との屈折率差による屈折散乱などからも光反射性を得ることができる。率差による屈折散乱のほか、充填材の周囲に形成される空洞との屈折率差による屈折散乱、さらに充填材の周囲に形成される空洞と充填材との屈折率差による屈折散乱などからも光反射性を得ることができる。
中でも、充填材として酸化チタンを使用すると、他の充填材に比べて屈折率が顕著に高く、アクリル樹脂(A)との屈折率差が顕著に大きいため、他の充填材を使用した場合よりも少ない配合量で優れた反射性を得ることができる。さらに、酸化チタンを用いることにより、反射材の厚みを薄くしても高い光反射性を得ることができる。
従って、少なくとも酸化チタンを主成分として含む充填材を用いるのがより好ましく、この場合、酸化チタンの量は、無機充填材の合計質量の30質量%以上、又は有機充填材と無機充填材とを組み合わせて使用する場合はその合計質量の30質量%以上とするのが好ましい。
酸化チタンには、例えばアナターゼ型及びルチル型のような結晶構造を持つ酸化チタンがある。中でも、屈折率が2.5以上の酸化チタンとして、ルチル型酸化チタンが好ましい。
フィルムを構成するベース樹脂との屈折率差を大きくするという観点からは、屈折率が2.6以上の酸化チタンであることが好ましく、ルチル型酸化チタンであればこの条件も満たすことができる。
屈折率差が大きいほど、ベース樹脂と酸化チタンとの境界面で光の屈折散乱作用が大きくなり、フィルムに光反射性を容易に付与することができる。
フィルムに高い光反射性を付与するためには、可視光に対する光吸収能が小さい酸化チタンを用いることが必要である。酸化チタンの光吸収能を小さくするには、酸化チタンに含有されている着色元素の量が少ないことが好ましい。例えば、バナジウムの含有量が5ppm以下の酸化チタンを用いれば、高い光反射性を有する反射フィルムを得ることができる。なお、光吸収能を小さくするという観点からは、酸化チタンに含まれる、鉄、ニオブ、銅、マンガン等の着色元素も少ないことが好ましい。
塩素法プロセスで製造される酸化チタンは純度が高く、この製造方法によれば、バナジウムの含有量が5ppm以下の酸化チタンを得ることができる。塩素法プロセスでは、酸化チタンを主成分とするルチル鉱を1,000℃程度の高温炉で塩素ガスと反応させて、まず、四塩化チタンを生成させる。次いで、この四塩化チタンを酸素で燃焼させることにより、高純度の酸化チタンを得ることができる。なお、酸化チタンの工業的な製造方法としては硫酸法プロセスもあるが、この方法によって得られる酸化チタンには、バナジウム、鉄、銅、マンガン、ニオブ等の着色元素が多く含まれるので、可視光に対する光吸収能が大きくなる。
酸化チタンは、その表面が不活性無機酸化物で被覆処理されていることが好ましい。
酸化チタンの表面を不活性無機酸化物で被覆処理することにより、酸化チタンの光触媒活性を抑制することができ、フィルムの耐光性を高めることができる。不活性無機酸化物としては、シリカ、アルミナ、およびジルコニアからなる群から選ばれる少なくとも1種類を用いることが好ましい。これらの不活性無機酸化物を用いれば、酸化チタンを用いた場合に発揮する高い光反射性を損なうことなくフィルムの耐光性を高めることができる。また、2種類以上の不活性無機酸化物を併用することが更に好ましく、中でもシリカを必須とする組み合わせが特に好ましい。
また、酸化チタンの樹脂への分散性を向上させるために、酸化チタンの表面をシロキサン化合物、シランカップリング剤等からなる群から選ばれる少なくとも1種類の無機化合物や、ポリオール、ポリエチレングリコール等からなる群から選ばれる少なくとも1種類の有機化合物で表面処理してもよい。また、上記不活性無機酸化物による被覆処理と併用してもよい。
酸化チタンの粒径は0.1μm〜1.0μmであるのが好ましく、中でも0.2μm以上或いは0.5μm以下であることが更に好ましい。
酸化チタンの粒径が0.1μm以上であれば、脂肪族ポリエステル系樹脂への分散性が良好であり、均質なフィルムを得ることができる。また、酸化チタンの粒径が1.0μm以下であれば、脂肪族ポリエステル系樹脂と酸化チタンとの界面が緻密に形成されるので、反射フィルムに高い光反射性を付与することができる。
(その他の成分)
層Xは、さらに衝撃改良剤を含有するのが好ましい。
衝撃改良剤を配合することで、延伸性を高めることができる。
耐衝撃改良剤としては、ゴム弾性を有する重合体成分から構成されたものを挙げることができる。例えばポリブタジエン、ポリイソプレン、ポリクロロプレン、フッ素ゴム、スチレン−ブタジエン系共重合体ゴム、メタクリル酸メチル−ブタジエン−スチレン系共重合体、メタクリル酸メチル−ブタジエン−スチレン系グラフト共重合体、アクリロニトリル−スチレン−ブタジエン系共重合体ゴム、アクリロニトリル−スチレン−ブタジエン系グラフト共重合体、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体ゴム、スチレン−イソプレン−スチレン共重合体ゴム、スチレン−エチレン−ブチレン−スチレン共重合体ゴム、エチレン−プロピレン共重合体ゴム、エチレン−プロピレン−ジエン共重合体ゴム(EPDM)、シリコーン含有アクリル系ゴム、シリコーン/アクリル複合ゴム系グラフト共重合体、シリコーン系ゴム等を挙げることができる。
中でも、例えばメタクリル酸メチル/ブタジエン/スチレン三元共重合体、アクリロニトリル/ブタジエン/スチレン三元共重合体、ブタジエンゴム、スチレン/ブタジエンゴムにメタクリル酸メチル/スチレンまたはメタクリル酸メチル/スチレン/アクリロニトリルをグラフト共重合した共重合体などを挙げることができる。
以上の中でも、ソフトなアクリル成分とハードなアクリル成分とからなるコアシェル型アクリルゴムが好ましい。
以上の衝撃改良剤は1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
(延伸又は配向性)
層Xは、一軸又は二軸延伸されたフィルムから形成されるのが好ましい。中でも、フィルムの流れ方向(以下、MDと表記することがある)及び幅方向(以下、TDと表記することがある)の二軸方向に配向されていることがさらに好ましい。
この際、層Xの延伸倍率としては、フィルムの流れ方向、及び/又は、フィルムの幅方向に2〜9倍延伸されてなるものが好ましい。
<層Y>
層Yは、前記アクリル樹脂(A)とガラス転移温度の差が15℃以内である熱可塑性樹脂(B)を主成分樹脂として含有し、一軸又は二軸延伸されてなる層であるのが好ましい。
前記アクリル樹脂(A)とガラス転移温度の差が15℃以内である熱可塑性樹脂(B)を主成分樹脂として含有することにより、層Yを層Xと共押出することができる。
ここで、「主成分樹脂」とは、層Yを構成する樹脂の中で50質量%以上、好ましくは70質量%以上、特に好ましくは90質量%以上(100%含む)を占める意を包含する樹脂である。
(熱可塑性樹脂(B))
層Yの熱可塑性樹脂(B)の一例として、結晶性のポリエステル系樹脂又はポリカーボネート系樹脂又はこれら両方の組み合わせを主成分樹脂とする樹脂を好ましく挙げることができる。これらに限定するものではない。
ここで、「主成分樹脂」とは、熱可塑性樹脂(B)を構成する樹脂の中で50質量%以上、好ましくは70質量%以上、特に好ましくは90質量%以上(100%含む)を占める意を包含する樹脂である。
上記条件を満足するこれらの樹脂であれば、層Yを層Xと共押出することができると共に、層Xの反射性能を妨げることがなく、自らの層ばかりか層Xの延伸性を確保することができる。
(ポリエステル系樹脂)
熱可塑性樹脂(B)が結晶性のポリエステル系樹脂であれば、高分子鎖が配向しやすく、配向方向に対する連続相(I)と分散相(II)の屈折率差を増大させやすく、反射特性を向上させやすいため好ましい。また、熱処理の際に、結晶性の熱可塑性樹脂は、配向結晶化しやすくなり、寸法安定性の観点からも好ましい。
また、結晶性のポリエステル系樹脂は、延伸を行うと、高分子鎖が配向しやすく、配向方向に対する連続相(I)と分散相(II)の屈折率差を増大させやすく、反射特性を向上させやすいため好ましい。また、熱処理の際に、配向結晶化しやすくなり、寸法安定性の観点からも好ましい。
一般に、ポリエステル系樹脂は、固有複屈折率が正となることが多く、中でも芳香族ポリエステル系樹脂は高い複屈折率を有する為、配向方向に対する連続相(I)と分散相(II)の屈折率差を増大させやすく、反射特性を向上させやすいため好ましい。
結晶性のポリエステル系樹脂としては、特にその種類を限定するものではない。例えばポリエチレンテレフタレートやポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリ−1,4−シクロへキシレンジメチレンテレフタレート、ポリエチレンサクシネート、ポリブチレンサクシネート、ポリ乳酸、ポリ−ε−カプロラクタム等のポリエステル系樹脂などを挙げることができる。
これらの中でも、結晶性の芳香族ポリエステル系樹脂であることが好ましく、特にポリエチレンナフタレート系樹脂であることが、高い平均屈折率と高い複屈折率を有するという観点から好ましい。また、ガラス転移温度(Tg)や屈折率を調整する観点から、上記樹脂を組み合わせて用いてもよい。
また、ポリエチレンテレフタレート(PET)とポリエチレンナフタレート(PEN)との混合樹脂も好ましい一例である。PENとPETは相溶するためで、PENにPETを混ぜることによって、Tgや屈折率が調整することができる。
ポリエチレンナフタレート系樹脂を使用する場合、該樹脂の重量平均分子量は、耐衝撃性や製膜性の観点から、3万以上であることが好ましく、4万以上であることがより好ましい。
上記結晶性のポリエステル系樹脂の固有粘度は、製膜性の観点から、0.5dl/g以上であることがより好ましい。
上記結晶性のポリエステル系樹脂のガラス転移温度(Tg)は、70℃〜120℃の範囲が好ましく、80℃〜120℃の範囲であることがより好ましい。ガラス転移温度が70℃以上であれば、フィルムの剛性を保持することができ、120℃以下であれば延伸が容易となるため好ましい。
さらに、上記結晶性のポリエステル系樹脂の融点(Tm)は、240℃〜270℃の範囲が好ましく、250℃〜270℃の範囲であることがより好ましい。融点が240℃以上であれば、十分な耐熱性を付与することができ、270℃以下であれば溶融押出時に、ポリエチレンナフタレート系樹脂以外の共存する熱可塑性樹脂の熱分解を抑制するため好ましい。
なお、結晶性のポリエステル系樹とは、一般に結晶融解ピーク温度(融点)が存在するとされるポリエステル系樹脂を指し、より具体的にはJIS K7121に準拠して行う示差走査熱量測定(DSC)において融点が観測されるポリエステル系樹脂であって、いわゆる半結晶性の状態のものを包含する。逆に、DSCにおいて融点が観測されない熱可塑性樹脂を「非晶性」と称する。
(ポリカーボネート系樹脂)
上記ポリカーボネート系樹脂としては、二価フェノールと、ホスゲン、炭酸エステル化合物等のカーボネート前駆体とを反応させることによって製造するものが挙げることができる。例えば、塩化メチレン等の溶媒中において、二価フェノールとホスゲン等のカーボネート前駆体との反応により、あるいは溶媒の存在下または不存在下、二価フェノールと炭酸エステル化合物等のカーボネート前駆体とのエステル交換反応などによって得ることができる。
二価フェノールとしては、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン[ビスフェノールA]、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)サルファイド、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン等が挙げられ、好ましくは、ビス(4−ヒドロキシフェニル)アルカン系化合物、特にビスフェノールAが挙げることができる。これらの二価フェノールは、それぞれ単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。カーボネート前駆体としては、カルボニルハライド、カルボニルエステル、またはハロホルメート等が挙げられ、例えば、ホスゲン、ジフェニルカーボネート、二価のフェノールのジハロホルメートおよびそれらの混合物が挙げることができる。
なお、ポリカーボネート系樹脂は、前記二価フェノールの1種を用いたホモポリマーであってもよく、また2種以上を用いたコポリマーであってもよい。さらに、多官能性芳香族化合物を前記二価フェノールと併用して得られる熱可塑性ランダム分岐ポリカーボネート樹脂であってもよい。さらには、各種のポリカーボネート樹脂の2種以上の混合物であってもよい。
(海島構造)
層Yは、正反射性を付与するため、例えば熱可塑性樹脂(B)からなる連続相(I)と、これと非相溶の樹脂(C)を主成分とする分散相(II)による海島構造を有するように構成することができる。但し、そのような構成に限定するものではない。
ここで、海島構造とは、複数成分の片方が連続する相の中に、もう一方が粒子状(島状)に分散している構造を言い、通常、分散相である島部は、不連続であり、かつ、微小な略球状構造を示す。但し、層Yにおける上記の島部は、流れ方向及び幅方向に延伸されるため、扁平した楕円状構造、又は、円盤状構造を示すものであってもよい。このような構造の有無は、層YのMD断面、もしくは、TD断面を走査型電子顕微鏡(SEM)にて観察することにより、確認することができる。
この際、連続相(I)を形成する熱可塑性樹脂(B)と、分散相(II)を形成する樹脂(C)との平均屈折率差は0.05以上であることが好ましい。
両者の平均屈折率差が0.05以上であることにより、連続相と分散相との界面における光の反射が生じやすくなるため、高い反射特性を付与することが可能となる。
かかる理由により、該連続相(I)を形成する熱可塑性樹脂(B)と、該分散相(II)を形成する樹脂(C)の平均屈折率差は、0.10以上であることがより好ましく、0.15以上であることがさらに好ましい。
以上の観点から、上記樹脂(C)としてはフッ素系樹脂が好ましい。
フッ素樹脂としては、分子構造中にフッ素原子が含まれていて、屈折率が1.52未満の樹脂であるのが好ましい。屈折率が1.52未満であれば、他の樹脂との共重合体であってもよい。
例えば、四フッ化エチレン樹脂(PTFE)、四フッ化エチレン・パーフロロアルキルビニルエーテル共重合樹脂(PFA)、四フッ化エチレン・六フッ化プロピレン共重合樹脂(FEP)、四フッ化エチレン・エチレン共重合樹脂(ETFE)、ビニリデンフルオライド樹脂(PVDF)、クロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、ポリビニルフルオライド(PVF)、エチレン・クロロトリフルオロエチレン樹脂(ECTFE)、テトラフルオロエチレン・パーフロロジメチルジオキソール共重合樹脂(TFE/PDD)等を挙げることができる。
中でも、フッ素系樹脂は、低い平均屈折率を有する点、優れた延伸性を有することから、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン−ビニリデンフルオライド系樹脂、又は、エチレン−テトラフルオロエチレン系樹脂であることが好ましい。
上記フッ素系樹脂は、融解吸熱ピーク温度が130℃以上250℃以下であるのが好ましい。
樹脂(C)の融解吸熱ピーク温度が130℃以上であれば、熱可塑性樹脂(B)との混練・押出の際に表面荒れが生じたり、反射フィルムの耐熱性が低下したりするのを抑えることができるから、好ましい。反射フィルムは、その性質上、光源周辺に配置されることが多いため、耐熱性が求められる。そのため、樹脂(C)の融解吸熱ピーク温度が130℃以上であることが好ましく、中でも好ましくは150℃以上、特に好ましくは180℃以上である。
また、樹脂(C)の融解吸熱ピーク温度が250℃以下であれば、表面荒れを抑制することができ、分散相(II)のモルフォロジーが粗雑になるのを抑制することができるため、好ましい。
かかる理由により、樹脂(C)の融解吸熱ピーク温度は、245℃以下であることが好ましく、240℃以下であることがより好ましく、235℃以下であることが特に好ましい。
層Yにおいて、連続相(I)を構成する熱可塑性樹脂(B)と、前記分散相(II)を形成する樹脂(C)の含有質量比は、(B)/(C)=90/10〜50/50であることが好ましく、中でも80/20〜55/45、その中でも75/25〜60/40であるのが特に好ましい。このような含有質量比であれば、分散相が少なくなり過ぎず、連続相と分散相との界面における散乱が小さくなり反射特性が低下するなどのおそれがないため好ましい。
なお、層Yは、熱可塑性樹脂(B)及び樹脂(C)以外の他の熱可塑性樹脂を含有しても構わない。
(その他成分)
層Yは、分散性を向上させる目的で、必要に応じて相溶化剤などの添加剤を含有してもよい。
相溶化剤としては、層Yにおける連続相及び分散相の種類に応じて慣用の相溶化剤から選択することができ、例えば、ポリカーボネート樹脂、エステル系樹脂、エポキシ基を持つ樹脂、オキサゾリン環を持つ樹脂、アズラクトン基を持つ樹脂から選ばれた少なくとも1つの樹脂と、スチレン系樹脂、ポリフェニレンオキシド、ポリアミドから選ばれた少なくとも1つの樹脂とからなるブロックコポリマー、あるいはグラフトコポリマーを挙げることができる。中でも、分散性向上の点で、エポキシ基やオキサゾリン基を持つ樹脂などが特に好ましく、特にエポキシ変性のものが好ましい。
相溶化剤を添加する場合の配合割合は、熱可塑性樹脂(B)及び樹脂(C)の合計100質量部に対して、0.1〜20質量部、好ましくは0.2〜15質量部、特に0.2〜10質量部、さらに好ましくは1〜10質量部とするのが好ましい。
また、前記相溶化剤以外の添加剤として、本発明の効果を著しく阻害しない範囲内で、一般に樹脂組成物に配合される添加剤を適宜添加できる。前記添加剤としては、成形加工性、生産性および本延伸フィルムの諸物性を改良・調整する目的で添加される、難燃剤、耐候性安定剤、耐熱安定剤、帯電防止剤、溶融粘度改良剤、架橋剤、滑剤、核剤、可塑剤、老化防止剤、酸化防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤、中和剤、防曇剤、アンチブロッキング剤、スリップ剤または着色剤などの添加剤が挙げることができる。具体的には、「プラスチックス配合剤」のP154〜P158に記載されている酸化防止剤、P178〜P182に記載されている紫外線吸収剤、P271〜P275に記載されている帯電防止剤としての界面活性剤、P283〜P294に記載されている滑剤などが挙げることができる。
(配向性又は延伸)
層Yは、少なくとも一方向に配向しているフィルムから形成されたものが好ましく、中でもフィルムの流れ方向(以下、MDと表記することがある)と幅方向(以下、TDと表記することがある)の二軸方向に配向していることがさらに好ましい。
延伸操作等により、フィルムに配向を付与させることにより、連続相(I)を形成する熱可塑性樹脂(B)と、分散相(II)を形成する樹脂(C)との屈折率を変化させることにより、樹脂(A)と樹脂(C)の屈折率差を更に増大させることが可能となる。また、前記分散相(II)の流れ方向、幅方向、および厚み方向の平均寸法を本発明の規定する範囲に調節することができ、本発明のフィルムに、より高い反射特性を付与することができる。
層Yの延伸倍率としては、フィルムの流れ方向、及び/又は、フィルムの幅方向に2〜9倍延伸されてなるものが好ましい。
(空隙)
層Yは、正反射性を高める観点から、空隙を有しない層であることが好ましい。
<本延伸フィルムの形状および物性>
本延伸フィルムは、層Xと層Yとが、共押出により積層一体化された構成であるのが特に好ましい。
この際、必要に応じて他の層Pを適宜導入してもよい。例えば、力学特性向上のため金属板と重ね合わせることができる。
例えば、Y/Xの2層構成の他にも、Y/X/P、Y/X/Y等の3層構成、Y/X/P/X、Y/X/P/Y、等の4層構成、Y/X/P/X/Y等の5層構成とすることもできる。また、積層構成とするにあたり、各層の樹脂組成に関しては同一であっても異なっていてもよい。
(厚み)
本延伸フィルムの厚みは、40μm〜1000μmであるのが好ましい。本延伸フィルムの厚みが40μm以上であれば、十分な反射率と正反射特性を得ることができ、1000μm以下であれば十分な実用面の取扱い性を有することができる。かかる観点から、より好ましくは50μm以上或いは800μm以下であり、さらに好ましくは60μm以上或いは400μm以下である。
(層厚み比)
本延伸フィルムの厚みに対し、前記層Yの厚みが5〜50%を占めるのが好ましく、中でも10%以上或いは40%以下、その中でも特に15%以上或いは30%以下を占めるのがさらに好ましい。
他方、層Xの厚みは、50〜95%を占めるのが好ましく、中でも60%以上或いは90%以下、その中でも70%以上或いは85%以下を占めるのがさらに好ましい。
各層の厚み比が上記範囲であれば、本延伸フィルムに正反射特性と高反射率とを効率よく付与することができる。また、積層後の強度・ハンドリング性を十分に確保することができる。
(平均反射率および平均透過率)
本延伸フィルムは、測定波長400nm〜700nmの平均反射率が90%以上であることが好ましい。前記平均反射率が90%以上であることにより、フィルムの反射特性を担保することができる。かかる理由により、93%以上であることがさらに好ましく、95%以上であることが特に好ましい。このような反射性能を有するものであれば、反射材として良好な反射特性を示し、この反射材を組み込んだ液晶ディスプレイ等はその画面が十分な明るさを実現することができる。
また、本延伸フィルムは、測定波長400nm〜700nmでの透過率が当該全領域の波長にわたり5%以下であるのが好ましい。これにより、反射面の裏側の光の透過を抑制でき、光隠蔽性に優れた反射フィルムを得ることができる。
(正反射特性)
本延伸フィルムは、正反射性を示すことが好ましい。
反射特性の評価方法としては、変角光度測定があり、例えば、フィルムの面に対して法線方向を0°とし、入射角を、−X°として、サンプルに光を入射した時、サンプルが拡散反射性を示す場合においては、その反射光は様々な角度に広がりを持って反射される。一方、サンプルが正反射性を示す場合、反射光の分布は、反射角X°をピークとした反射光分布を示す。このとき、正反射性が高い程、ピークがシャープに現れる。このとき、反射された光のピークの最大強度を100%と規格化し、横軸受光角、縦軸受光相対ピーク強度としたときの受光相対ピーク強度が1%、10%となる受光角幅が正反射特性の指標となる。
この受光相対ピーク強度10%の受光角幅は、10°以下であることが好ましい。10°以下であれば、入射角に対して、指向性の強い反射光を得ることができ、優れた正反射特性を示す。また、受光相対ピーク強度1%の受光角幅は、50°以下であることが好ましい。50°以下であれば、入射角に対して、入射した光のロスを防ぐことができ、指向性の強い反射光を得ることができ、優れた正反射特性を示す。
<本延伸フィルムの形態>
本延伸フィルムの形態は特に限定するものではなく、板状、シート状、フィルム状その他の形態であってもよい。
<本延伸フィルムの製膜方法>
本延伸フィルムの製造方法としては、特に制限されるものではなく、公知の方法を採用することができる。以下に、積層構成を備えた本延伸フィルムの製造方法について、一例を挙げて説明するが、下記製造方法に何ら限定されるものではない。
本延伸フィルムの製造方法の一例として、反射層Y形成用樹脂組成物及び反射層X形成用樹脂組成物を調製し、共押出により層X及びYを積層一体化した後、一軸又は二軸延伸して作製する方法を挙げることができる。
(反射層X形成用樹脂組成物の調製)
アクリル樹脂(A)に、酸化チタン、および、必要に応じてその他添加剤を予め配合しておく。具体的には、アクリル樹脂(A)に酸化チタンその他酸化防止剤等を必要に応じて加えて、リボンブレンダー、タンブラー、ヘンシェルミキサー等で混合した後、バンバリーミキサー、1軸又は2軸押出機等を用いて、樹脂の流動開始温度以上の温度で混練することにより、反射層X形成用の樹脂組成物を得ることができる。
また、アクリル樹脂(A)、酸化チタン等を別々のフィーダー等により所定量を添加して混練することにより得ることができる。
また、アクリル樹脂(A)とその他の酸化防止剤等を予めに高濃度に配合したいわゆるマスターバッチを作っておき、このマスターバッチとアクリル樹脂(A)及び酸化チタンとを混合して所望の濃度に調整することもできる。
(反射層Y形成用樹脂組成物の調製)
熱可塑性樹脂(B)、必要に応じて、上記樹脂(C)や相溶化剤、酸化防止剤等を添加しシート(Y)用の樹脂組成物とする。具体的にはリボンブレンダー、タンブラー、ヘンシェルミキサー等で混合した後、バンバリーミキサー、1軸又は2軸押出機等を用いて、樹脂の流動開始温度以上の温度で混練することにより、得ることができる。
また、熱可塑性樹脂(B)、必要に応じて上記樹脂(C)や相溶化剤、酸化防止剤等を予めに高濃度に配合したいわゆるマスターバッチを作っておき、このマスターバッチと熱可塑性樹脂(B)、必要に応じて上記樹脂(C)や相溶化剤、酸化防止剤等とを混合して所望の濃度に調整することもできる。
(共押出)
次に、このようにして得られた反射層X形成用樹脂組成物、及び、反射層Y形成用樹脂組成物を乾燥させた後、共にそれぞれ別の押出機に供給し、それぞれ所定の温度以上に加熱して溶融させる。
押出温度等の条件は、各層に用いる熱可塑性樹脂により異なるが、いずれの樹脂を用いる場合においても分解によって分子量が低下すること等を考慮して設定されることが必要である。例えば、各層において、上述の例に挙げた熱可塑性樹脂を用いる場合には、前記反射層X形成用樹脂組成物の押出温度は270℃〜290℃であることが好ましい。
その後、溶融した各樹脂組成物を2種2層あるいは、2種3層用のTダイに合流させ、Tダイのスリット状の吐出口から積層状に共押出し、冷却ロールに密着固化させてキャストシートを形成する。
(延伸)
次に、少なくとも一軸方向に延伸するのが好ましい。
延伸方向としては、MDとTDのいずれかでも、両軸でもよい。但し、本延伸フィルムの有する特性をより効果的に発現させるためには、MD、TD両方向に延伸し、フィルムを配向させること好ましい。延伸することにより、層Xでは、アクリル樹脂(A)と酸化チタンの界面が剥離して空隙が形成され、シートの白化が進行して、フィルムの光反射性を高めることができる。
なお、MD、TD両方向にフィルムを配向させる方法としては、上述の延伸による方法以外にも、例えば、Tダイキャスト法において製膜する際に、引き取り速度(キャストロールの速度)を速くすることによってMDにドラフトをかけた後にTDに延伸する方法、インフレーション法によって製膜する際に、引き取り速度を速くすることによってMDにドラフトをかけた後にTDに延伸する方法などを例示できる。
中でも、製膜安定性や生産効率化を考慮する場合には、上述の通りTダイキャスト法によって製膜したシートを、MD、TDに二軸延伸する方法を選択することが好ましい。
このように二軸延伸することにより、例えば層Yにおいて連続相(I)中に分散相(II)をほぼ一定方向に配列させて固定させることができるため、連続相(I)と分散相(II)との屈折率差は延伸方向に大きくなるとともに、分散相(II)が延伸方向に伸長される。そのため、分散相(II)が擬似的な超多層構造を有するようになり、金属のような光沢を有する反射フィルムを作製することができる。また、2軸延伸することによって、反射層X形成用樹脂組成物におけるアクリル樹脂(A)と酸化チタンとの界面の剥離面積が増大し、シートの白化がさらに進行し、その結果、フィルムの光反射性をさらに高めることができる。
また、2軸延伸するとフィルムの収縮方向の異方性が少なくなるので、フィルムに耐熱性を向上させることができ、またフィルムの機械的強度を増加させることもできる。
延伸方法は、引っ張り延伸法、ロール間延伸法、ロール圧延法、その他の方法のいずれを採用してもよい。
延伸温度は、樹脂のガラス転移温度(Tg)程度から(Tg+50℃)の範囲内の温度とするのが好ましい。延伸温度がこの範囲であれば、延伸時に破断することなく安定して延伸を行うことができる。
延伸倍率は、特に限定するものではない。例えば、MD及び/又はTDに2〜9倍好ましくはMD及び/又はTDに3〜9倍、特にMD及び/又はTDに4〜7倍とするのが好ましい。延伸倍率が、MD及び/又はTDに2倍以上であれば、層Yにおける分散相(II)が伸長し、かつ反射層(X)におけるアクリル樹脂(A)と酸化チタンとの界面の剥離面積が増大するため好ましい。また、配向が付与され、連続相(I)を形成する熱可塑性樹脂(B)と分散相を形成する樹脂(C)との屈折率差が増大し、反射率向上の効果が得られるため好ましい。一方、9倍以下であれば、フィルムの破断を抑制できる為、好ましい。
延伸したシートは、耐熱性及び寸法安定性を付与するべく、熱処理するのが好ましい。熱処理温度は、使用する樹脂にもよるが、上述の例に挙げた樹脂組成物を使用する場合には、140〜170℃とするのが好ましく、150〜160℃とするのがさらに好ましい。熱処理に要す処理時間は、好ましくは1秒〜5分である。
<用途>
本延伸フィルムを利用することにより、本延伸フィルムを備えてなる液晶表示装置、照明装置、装飾用物品などを構成することができる。
<用語の説明>
一般的に「フィルム」とは、長さ及び幅に比べて厚みが極めて小さく、最大厚みが任意に限定されている薄い平らな製品で、通常、ロールの形で供給されるものをいい(日本工業規格JISK6900)、一般的に「シート」とは、JISにおける定義上、薄く、一般にその厚みが長さと幅のわりには小さく平らな製品をいう。しかし、シートとフィルムの境界は定かでなく、本発明において文言上両者を区別する必要がないので、本発明においては、「フィルム」と称する場合でも「シート」を含むものとし、「シート」と称する場合でも「フィルム」を含むものとする。
本発明において、「主成分」と表現した場合には、特に記載しない限り、当該主成分の機能を妨げない範囲で他の成分を含有することを許容する意を包含する。また、当該主成分の含有割合を特定するものではないが、特に記載しない限り、主成分は組成物中の50質量%以上、好ましくは70質量%以上、特に好ましくは90質量%以上(100%含む)を占める意を包含するものである。また、2種類以上の樹脂が主成分を構成する場合、各樹脂の組成物中の割合は10質量%以上、好ましくは20質量%以上、特に好ましくは30質量%以上である。
また、本発明において「X〜Y」(X,Yは任意の数字)と表現する場合、特にことわらない限り「X以上Y以下」の意と共に、「好ましくはXより大きい」或いは「好ましくはYより小さい」の意も包含する。
さらにまた、「X以上」(Xは任意の数字)或いは「Y以下」(Yは任意の数字)と表現した場合、「Xより大きいことが好ましい」或いは「Y未満であることが好ましい」旨の意図も包含する。
以下に実施例を示し、本発明を更に具体的に説明する。但し、本発明はこれらに限定されるものではなく、本発明の技術的思想を逸脱しない範囲内で種々の応用が可能である。
<測定及び評価方法>
先ずは、実施例・比較例で得たサンプルの各種物性値の測定方法及び評価方法について説明する。
(1)平均屈折率
アタゴ製アッベ屈折率計を用い、ナトリウムD線(589nm)を光源とし、JIS K7124により、実施例、及び、比較例に用いたそれぞれの樹脂の平均屈折率を測定した。
(2)数平均分子量、重量平均分子量
ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC、SEC)装置を用いて測定した。溶媒にはクロロホルムを用い、ポリエステル樹脂に対してはヘキサフルオロプロパノールも加えた。流量1mL/分、温度は40℃とし、検出には屈折率(RI)を利用した。
(3)MFR(メルトフローレート)
メルトインデクサーを用いて測定した。測定における温度と荷重は後述する。
(4)ガラス転移温度(Tg)、融解吸熱ピーク温度
示差走査熱量計(パーキンエルマージャパン製Diamond DSC)を用いて測定した。樹脂の融点以上まで昇温した後、25℃まで降温し、再び樹脂の融点以上まで再昇温した際のプロファイルから、中間点ガラス転移温度と、融解吸熱ピークトップ温度としての融解吸熱ピーク温度とを測定した。なお、昇降温のレートはいずれも10℃/分である。
(5)ポリエステル樹脂の還元粘度
サンプルを0.5g採取し、テトラクロロエタンとフェノールとの混合溶剤(1:1)を50mlに140℃で溶解させ、ガラスフィルターを通してろ過した溶液で測定した。
(6)アクリル樹脂の吸光度
アクリル樹脂の吸光度は、下記式に基づいて算出した。
吸光度A=−log(Tt)
(7)厚み
得られた反射フィルムの全厚みについては、1/1000mmのダイヤルゲージにて、面内を不特定に5箇所測定しその平均を厚みとした。
層Y、層Xの各層厚みについては 走査型電子顕微鏡(SEM)にて得られたフィルムの断面を観察し、得られた写真を用いて測定した。
(8)反射率及び透過率
分光光度計(「U―3900H」、(株)日立製作所製)に積分球を取付け、アルミナ白板を100%とした時の反射率及び透過率を、波長300nm〜800nmにわたって0.5nm間隔で測定し、反射率及び透過率を測定し、当該波長領域での反射率及び透過率の平均値を算出した。
(9)空隙率
延伸前のフィルムの密度(「未延伸フィルム密度」と表記する)と、延伸後のフィルムの密度(「延伸フィルム密度」と表記する)を測定し、下記式に代入してフィルムの空隙率(%)を求めた。反射層Xの空隙率は、反射層Yの空隙率がゼロであるため、反射フィルムの空隙率および反射層Xの厚み比から算出した。
空隙率(%)={(未延伸フィルム密度−延伸フィルム密度)/未延伸フィルム密度}×100
(10)明欠陥の個数
反射フィルムを切り出してバックライトつきのトレース台の上に置き、透過光をとおして観察した際に明るく見えるスポット状の欠陥(明欠陥)をカウントし、1m2あたりの個数として算出した。
<実施例1>
アクリル樹脂(A)としての、ポリメタクリル酸メチル樹脂(平均屈折率:1.492、Tg:115℃、数平均分子量:5.9万、重量平均分子量:12.4万、230℃・3.8kgf荷重下におけるMFR:2dg/分、吸光度:0.032、以下「A1」と表記)と、酸化チタン(ルチル型、無機処理としてアルミナおよびシリカ処理、有機処理としてシロキサンおよびアルコール処理、平均粒径D50:0.31μm、以下「T1」と表記)とを、40:60の質量割合で混合し、250℃で加熱された二軸押出機を用いてストランド状に押出し、水冷してペレット化した後、105℃の熱風循環型乾燥機で14時間乾燥を実施することで、層X形成用樹脂組成物「X1」を得た。
熱可塑性樹脂(B)としてのポリエチレンナフタレート樹脂(平均屈折率:1.646、Tg:118℃、Tm:261℃、固有粘度:0.8dl/g、数平均分子量:3万、重量平均分子量:5.9万、297℃・5kgf荷重下におけるMFR:23dg/分、以下「B1」と表記)と、樹脂(C)としてのテトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン−ビニリデンフルオライド共重合体樹脂(平均屈折率:1.355、297℃・5kgf荷重下におけるMFR:21dg/分、融解吸熱ピーク温度:205℃、以下、「C1」と表記)とを、それぞれ70:30の質量混合比で配合し、十分混合した後、280℃で加熱された二軸押出機を用いてストランド状に押出し、水冷してペレット化した後、150℃の熱風循環型乾燥機で6時間乾燥を実施することで、層Y形成用樹脂組成物「Y1」を得た。
上記反射層X形成用樹脂組成物「X1」及び反射層Y形成用樹脂組成物「Y1」をそれぞれ、260℃、280℃に加熱された単軸押出機A、Bに供給し、各押出機において溶融混練した後、280℃に加熱された2種3層用のTダイに合流させ、Y1/X1/Y1(厚み比:1/4.5/1)の3層構成になるようにシート状に押出し、ロール温度130℃のキャストロールにて冷却固化して、積層シートを得た。
得られたキャストシートを、複数の温調駆動ロールからなる縦延伸機にて、延伸温度141℃にて、延伸ロール間でのロール速度差によりMDに3.5倍延伸した。
その後、得られた縦延伸フィルムを、予熱ゾーン、延伸ゾーン、熱処理ゾーンからなるテンターにて、予熱131℃、延伸131℃、熱処理131℃にてTDに4.25倍延伸して、Y1/X1/Y1(厚み比:1/4.5/1)からなる反射フィルムを得た。予熱ゾーン、延伸ゾーン、熱処理ゾーンの通過時間はそれぞれ32秒であった。得られた反射フィルムの評価結果を表1に示す。
<実施例2>
アクリル樹脂(A)としての、メタクリル酸メチル樹脂「A1」、スチレン−メタクリル酸メチル−無水マレイン酸共重合体樹脂(平均屈折率:1.56、Tg:127℃、数平均分子量:7.1万、重量平均分子量:17.7万、230℃・3.8kgf荷重下におけるMFR:3.5dg/分、吸光度:0.041、以下「A2」と表記)とアクリルゴム(ソフトなアクリル成分とハードなアクリル成分とからなるコアシェル型衝撃緩衝剤、以下「M1」と表記)と、酸化チタン「T1」とを、16:16:8:60の質量割合で混合し、270℃で加熱された二軸押出機を用いてストランド状に押出し、水冷してペレット化した後、105℃の熱風循環型乾燥機で16時間乾燥を実施することで、層X形成用樹脂組成物「X2」を得た。
熱可塑性樹脂(B)としてのポリエチレンナフタレート樹脂「B1」と、樹脂(C)としてのエチレン−テトラフルオロエチレン共重合体(平均屈折率:1.363、297℃・5kgf荷重下におけるMFR:21dg/分、融解吸熱ピーク温度:225℃、以下、「C2」と表記)とを、それぞれ80:20の質量混合比で配合し、十分混合した後、280℃で加熱された二軸押出機を用いてストランド状に押出し、水冷してペレット化した後、150℃の熱風循環型乾燥機で6時間乾燥を実施することで、層Y形成用樹脂組成物「Y2」を得た。
上記層X形成用樹脂組成物「X2」及び層Y形成用樹脂組成物「Y2」をそれぞれ、260℃、280℃に加熱された単軸押出機A、Bに供給し、各押出機において溶融混練した後、280℃に加熱された2種3層用のTダイに合流させ、Y2/X2/Y2(厚み比:1/4.5/1)の3層構成になるようにシート状に押出し、ロール温度130℃のキャストロールにて冷却固化して、積層シートを得た。
得られたキャストシートを、複数の温調駆動ロールからなる縦延伸機にて、延伸温度146℃にて、延伸ロール間でのロール速度差によりMDに3倍延伸した。
その後、得られた縦延伸フィルムを、予熱ゾーン、延伸ゾーン、熱処理ゾーンからなるテンターにて、予熱140℃、延伸140℃、熱処理140℃にてTDに4.25倍延伸して、Y2/X2/Y2(厚み比:1/4.5/1)からなる反射フィルムを得た。予熱ゾーン、延伸ゾーン、熱処理ゾーンの通過時間はそれぞれ32秒であった。得られた反射フィルムの評価結果を表1に示す。
<実施例3>
アクリル樹脂(A)としての、メタクリル酸メチル−水添スチレン共重合体(平均屈折率:1.495、Tg:120℃、数平均分子量:5.9万、重量平均分子量:15.9万、230℃・3.8kgf荷重下におけるMFR:4.6dg/分、吸光度:0.032、以下「A3」と表記)と、酸化チタン「T1」とを、40:60の質量割合で混合し、270℃で加熱された二軸押出機を用いてストランド状に押出し、水冷してペレット化した後、105℃の熱風循環型乾燥機で16時間乾燥を実施することで、層X形成用樹脂組成物「X3」を得た。
上記層X形成用樹脂組成物「X3」及び層Y形成用樹脂組成物「Y2」をそれぞれ、260℃、280℃に加熱された単軸押出機A、Bに供給し、各押出機において溶融混練した後、280℃に加熱された2種3層用のTダイに合流させ、Y2/X3/Y2(厚み比:1/4.5/1)の3層構成になるようにシート状に押出し、ロール温度130℃のキャストロールにて冷却固化して、積層シートを得た。
得られたキャストシートを、複数の温調駆動ロールからなる縦延伸機にて、延伸温度141℃にて、延伸ロール間でのロール速度差によりMDに2.6倍延伸した。
その後、得られた縦延伸フィルムを、予熱ゾーン、延伸ゾーン、熱処理ゾーンからなるテンターにて、予熱136℃、延伸136℃、熱処理136℃にてTDに4.25倍延伸して、Y2/X3/Y2(厚み比:1/4.5/1)からなる反射フィルムを得た。予熱ゾーン、延伸ゾーン、熱処理ゾーンの通過時間はそれぞれ32秒であった。得られた反射フィルムの評価結果を表1に示す。
<実施例4>
メタクリル酸メチル樹脂「A1」、アクリルゴム「M1」、および酸化チタン「T1」を32:8:60の質量割合で混合し、250℃で加熱された二軸押出機を用いてストランド状に押出し、水冷してペレット化した後、105℃の熱風循環型乾燥機で16時間乾燥を実施することで、層X形成用樹脂組成物「X4」を得た。
上記層X形成用樹脂組成物「X4」及び層Y形成用樹脂組成物「Y2」をそれぞれ、260℃、280℃に加熱された単軸押出機A、Bに供給し、各押出機において溶融混練した後、280℃に加熱された2種3層用のTダイに合流させ、Y2/X4/Y2(厚み比:1/4.5/1)の3層構成になるようにシート状に押出し、ロール温度130℃のキャストロールにて冷却固化して、積層シートを得た。
得られたキャストシートを、複数の温調駆動ロールからなる縦延伸機にて、延伸温度141℃にて、延伸ロール間でのロール速度差によりMDに2.6倍延伸した。
その後、得られた縦延伸フィルムを、予熱ゾーン、延伸ゾーン、熱処理ゾーンからなるテンターにて、予熱132℃、延伸132℃、熱処理132℃にてTDに4.25倍延伸して、Y2/X4/Y2(厚み比:1/4.5/1)からなる反射フィルムを得た。予熱ゾーン、延伸ゾーン、熱処理ゾーンの通過時間はそれぞれ32秒であった。得られた反射フィルムの評価結果を表1に示す。
<比較例1>
ポリエステル樹脂(D)としての、テトラメチルシクロブタンジオール−シクロヘキサンジメタノール−テレフタル酸ジメチル共重合体樹脂(平均屈折率:1.54、Tg:117℃、還元粘度:0.86dl/g、数平均分子量:3.4万、重量平均分子量:6.3万、280℃・2.16kgf荷重下におけるMFR:16.2dg/分、吸光度:0.045、以下「D1」と表記)と、酸化チタン「A2」とを40:60の質量割合で混合し、250℃で加熱された二軸押出機を用いてストランド状に押出し、水冷してペレット化した後、105℃の熱風循環型乾燥機で14時間乾燥を実施することで、層X形成用樹脂組成物「X5」を得た。
上記層X形成用樹脂組成物「X5」及び層Y形成用樹脂組成物「Y1」をそれぞれ、260℃、280℃に加熱された単軸押出機A、Bに供給し、各押出機において溶融混練した後、280℃に加熱された2種3層用のTダイに合流させ、Y1/X5/Y1(厚み比:1/4.5/1)の3層構成になるようにシート状に押出し、ロール温度130℃のキャストロールにて冷却固化して、積層シートを得た。
得られたキャストシートを、複数の温調駆動ロールからなる縦延伸機にて、延伸温度141℃にて、延伸ロール間でのロール速度差によりMDに3.5倍延伸した。
その後、得られた縦延伸フィルムを、予熱ゾーン、延伸ゾーン、熱処理ゾーンからなるテンターにて、予熱133℃、延伸133℃、熱処理133℃にてTDに4.25倍延伸して、Y1/X5/Y1(厚み比:1/4.5/1)からなる反射フィルムを得た。予熱ゾーン、延伸ゾーン、熱処理ゾーンの通過時間はそれぞれ32秒であった。得られた反射フィルムの評価結果を表1に示す。
<比較例2>
上記層X形成用樹脂組成物「X5」及び層Y形成用樹脂組成物「Y2」をそれぞれ、260℃、280℃に加熱された単軸押出機A、Bに供給し、各押出機において溶融混練した後、280℃に加熱された2種3層用のTダイに合流させ、Y2/X5/Y2(厚み比:1/4.5/1)の3層構成になるようにシート状に押出し、ロール温度130℃のキャストロールにて冷却固化して、積層シートを得た。
得られたキャストシートを、複数の温調駆動ロールからなる縦延伸機にて、延伸温度133℃にて、延伸ロール間でのロール速度差によりMDに3.4倍延伸した。
その後、得られた縦延伸フィルムを、予熱ゾーン、延伸ゾーン、熱処理ゾーンからなるテンターにて、予熱131℃、延伸131℃、熱処理131℃にてTDに4.1倍延伸して、Y2/X5/Y2(厚み比:1/4.5/1)からなる反射フィルムを得た。予熱ゾーン、延伸ゾーン、熱処理ゾーンの通過時間はそれぞれ32秒であった。得られた反射フィルムの評価結果を表1に示す。
Figure 2019014085
(考察)
層Xは無機フィラーを起点として延伸開孔させることで多孔化し、拡散反射性を生じる。層Xに無機フィラー粗大物などがあった場合にはこれを起点として大きな孔も開いてしまうが(比較例1,2)、層Xの樹脂としてアクリル樹脂を用いた場合に明欠陥を削減できることがわかった、これは、アクリル樹脂の延性が低いことにより、厚み方向へ開孔が伝播しないためと推察する。
また層Xの主成分樹脂としては、反射率向上のために吸光度が低い樹脂であることが求められる観点から、アクリル樹脂を用いることが有効といえる。

Claims (6)

  1. アクリル樹脂(A)と酸化チタンとを含有する層Xと、
    前記アクリル樹脂(A)とガラス転移温度の差が15℃以内である熱可塑性樹脂(B)を主成分樹脂として含有する層Yとが積層されてなる構成を備え、
    層Xにおける酸化チタンの含有量が50質量%以上であり、且つ、アクリル樹脂(A)のガラス転移温度が105〜135℃であることを特徴とする延伸フィルム。
  2. 層Xの空隙率が30〜70%であることを特徴とする請求項1に記載の延伸フィルム。
  3. アクリル樹脂(A)は、スチレン成分の含有量が20〜90質量%であることを特徴とする請求項1又は2に記載の延伸フィルム。
  4. 層Xは、さらに衝撃改良剤を含有することを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の延伸フィルム。
  5. 熱可塑性樹脂(B)は、結晶性のポリエステル樹脂又はポリカーボネート又はこれら両方の組み合わせを主成分樹脂とする樹脂であることを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載の延伸フィルム。
  6. 請求項1〜5の何れかに記載の延伸フィルムの製造方法であって、
    層Xと層Yは、共押出により積層一体化した後、一軸又は二軸延伸することを特徴とする延伸フィルムの製造方法。
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