JP2011069991A - 反射シート - Google Patents

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Abstract

【課題】省灯化直下型バックライトにおいて生じやすいランプイメージを低減できる反射シートを提供すること。
【解決手段】本発明の反射シート1は、内部に孔を有する反射シート1であって、反射シート1面の鉛直方向D2に対して60度の入射角で光を入射したときの前方45度方向D3への反射光強度Aと後方30度方向D4への反射光強度Bとの比A/Bが3.0以上となる入射方向を有することを特徴とする。
【選択図】図1

Description

本発明は、内部に孔を含む樹脂組成物の反射シートであって、特に液晶表示装置のバックライトなどに用いられる反射材に適した反射シートに関する。
反射シートは、液晶表示装置においてLEDや冷陰極管などの点状あるいは線状の光源の光を面状に反射させることによって均一な面状の光源を得るための反射板として使用されており、特に液晶テレビなどの大型液晶表示装置の直下型バックライトの反射板として用いられる。従来、反射シートとしては、内部に微細な空洞を含むシートやシートの表面に銀などの金属反射層を設けたものなどが使用されている。
大型液晶テレビなどの大型液晶表示装置においては、表示画面を明るくするために線状光源である冷陰極管を複数本平行に配置して使用する。この場合、冷陰極管に由来する縞状のランプイメージが発生しやすいために、反射シートにおいても光を拡散反射する反射シートを用いてランプイメージの低減を図っている。
光を拡散反射する反射シートとしては、上記の内部に微細な空洞を含むシートが一般的で、例えば、ポリエステル樹脂やポリプロピレン樹脂に無機粉末を添加したシートを延伸して、無機粉末を起点とする微細な空洞を形成させた反射シート(例えば、特許文献1参照)や、ポリエステル樹脂からなるシートに窒素ガスや炭酸ガスなどを含浸させて発泡させたシート(例えば、特許文献2参照)などがある。
冷陰極管などの線状光源から発し、これらの反射シートで反射した光は、明るさに縞状の強弱ばらつき、すなわちランプイメージが生じやすい。これは、冷陰極管直上が明るくなり、冷陰極管の間が暗くなるためである。大型液晶テレビなどでは、入射した光を均等に反射するために、反射光が液晶パネルに入る前に拡散板を使用して、液晶パネルに入る光の輝度を均一化させることが一般に行われる。この際、反射シートから拡散板までの距離を長くとったり(>20mm)、冷陰極管同士の間隔を狭めることにより、ランプイメージが低減される。また、種々の光学シートを拡散板の上に配設することによりランプイメージの低減が図られている。
しかし、現在、液晶TVの低コスト化、省エネ化が注目されるにつれ、直下型バックライトの冷陰極管を減らす、いわば省灯化が強く望まれている。バックライトの省灯化により、冷陰極管由来のランプイメージは増大する傾向にあり、このランプイメージの低減が省灯化TV開発の大きな課題である。
特公平6−89160号公報 特許第2925745号公報
本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、省灯化直下型バックライトにおいて生じやすいランプイメージを低減できる反射シートを提供することを目的とする。
本発明の反射シートは、内部に孔を有する反射シートであって、反射シート面の鉛直方向に対して60度の入射角で光を入射したときの前方45度方向への反射光強度Aと後方30度方向への反射光強度Bとの比A/Bが3.0以上となる入射方向を有することを特徴とする。
本発明の反射シートにおいては、少なくとも熱可塑性樹脂(C)を含有する表層部と、熱可塑性樹脂(A)、及び該熱可塑性樹脂(A)と非相溶性である少なくとも1種の樹脂(B)、を含有する表層部と、を備え、前記内層部及び前記表層部の少なくとも2層から構成されることが好ましい。
本発明の反射シートにおいては、前記熱可塑性樹脂(A)としてポリプロピレン樹脂を含むことが好ましい。
本発明の反射シートにおいては、前記熱可塑性樹脂(C)としてポリプロピレン樹脂を含むことが好ましい。
本発明の反射シートにおいては、前記熱可塑性樹脂(A)の延伸可能な温度において、前記熱可塑性樹脂(A)と非相溶性である前記樹脂(B)としてポリカーボネート樹脂を含むことが好ましい。
本発明の反射シートにおいては、前記比A/Bが3.0以上となる入射方向から、反射シート面の鉛直方向に対して60度の入射角で光を入射したときの前記鉛直方向への反射光相対強度が、20%〜80%となる入射方向を有することが好ましい。
本発明の反射シートにおいては、波長が550nmの光を入射したときの平均全反射率が90%以上であることが好ましい。
本発明の反射シートにおいては、シート全体の厚みが50μm〜1000μmであることが好ましい。
本発明の反射シートにおいては、シート全体の密度が0.1g/cm〜0.75g/cmであることが好ましい。
本発明の反射シートにおいては、前記内層部及び前記表層部が共押出し成膜で作製されたものであることが好ましい。
本発明のバックライトユニットは、上記反射シートを具備したことを特徴とする。
本発明の反射シートは、内部に孔を有する反射シートであって、反射シート面の鉛直方向に対して60度の入射角で光を入射したときの前方45度方向への反射光強度Aと後方30度方向への反射光強度Bとの比A/Bが3.0以上となる入射方向を有するので、冷陰極管をはじめとする線状の光源を使用する直下型バックライトの中で、特に冷陰極管同士の間隔が広いバックライトの省灯化直下型ランプイメージを低減する効果を有する。ランプイメージを低減することにより、直下型バックライト中の冷陰極管の削減が可能となる。
本発明の実施の形態に係る反射シートの反射光強度A及び反射光強度Bを示す概念図である。 本発明の実施の形態に係る反射シートを備えたバックライトユニットを示す平面図である。 本発明の実施の形態に係る反射シートを備えたバックライトユニットを示す側面図である。 実施例1に記載の試料に対し、MD方向から60度の入射角で光を入射したときの反射光強度分布を示す図である。 比較例4に記載の試料に対し、60度の入射角で光を入射したときの反射光強度分布を示す図である。 実施例1から実施例3および比較例1から比較例4に記載の試料のランプイメージを示す図である。
以下、本発明の実施の形態について、詳細に説明する。なお、厚みが200μm以下のものをフィルムといい、厚みが200μmを超えるものをシートというように用語を区別して用いるケースがあるが、本明細書においては、上記のフィルム及びシートの両者を共にシートという。また、本明細書中、バックライトの記載において画面側を上方、画面裏側を下方と記載する。
(反射シートの光学特性)
本実施の形態に係る反射シートは、内部に孔を有する反射シートであって、該反射シート面の鉛直方向に対して60度の入射角で光を入射したときの前方45度方向への反射光強度Aと後方30度方向への反射光強度Bとの比A/Bが3.0以上となる入射方向を有することを特徴とする。なお、ここで「前方」とは、入射光と同一平面上において鉛直方向を境界として光源と反対側を指し、「後方」とは、入射光と同一平面上において鉛直方向を境界として光源と同じ側を指す。
次に、図1を参照して反射光強度A及び反射光強度Bについて詳細に説明する。図1に示すように、入射光が入光する方向を入光方向D1とし、反射シート1面の鉛直方向をD2とした場合、反射光強度Aは、入光方向D1を含む反射シート1面と直交する面内において、反射シート1面の鉛直方向D2を介して入光方向D1と反対側の45度方向D3となる。また、反射光強度Bは、入光方向D1と同じ側の30度方向D4となる。本実施の形態においては、比A/Bを3.0以上とすることで、反射光を目的の方向へ指向性を持った拡散光にすることができる。すなわち、冷陰極管方向への反射光を抑え、冷陰極管同士の間への反射光を強くすることができ、ランプイメージの低減が可能となる。比A/Bはより好ましくは3.2以上であり、特に好ましくは3.5以上である。また、比A/Bは6.0以下であることが好ましい。6.0以下であれば、過度の指向性を抑えることができ、良好な光の拡散効果を発現させることができる。
本実施の形態に係る反射シートは、比A/Bが3.0以上となる入射方向から、該反射シート面の鉛直方向に対して60度の入射角で光を入射したとき鉛直方向への反射光強度が、標準白色板に60度の入射角で光を入射したときの鉛直方向への反射光強度の20%〜80%となることが好ましい。入射方向からの反射光相対強度を20%以上とすることで、バックライト中で光源の十分な拡散性を付与することができ、80%以下とすることで、冷陰極管の直上付近への反射を抑え、ランプイメージを十分に低減することが出来る。反射光相対強度は、より好ましくは、30%〜75%、特に好ましくは、40%〜72%である。
ここで、本実施の形態での反射光強度の測定は、日本電色工業社製GC5000L変角光度計を用いて容易に測定することが出来る。この装置は、試料を乗せるステージ及び点光源としてハロゲンランプ、受光部を有する構成であり、入射したい角度から試料に入射させ、受光部を1度刻みで動かすことにより、反射光の反射角度分布の測定が可能である。本実施の形態においては、反射シート面に対して60度の方向から点光源を入射し、各角度での輝度を求めることで反射光強度の測定を行う。前方45度方向の輝度と後方30度方向の輝度を求め、得られた前方45度方向の反射光強度をA、後方30度方向への反射光強度Bとし、これらの値から比A/Bを算出することができる。また、0度すなわち鉛直方向の輝度を求め、標準白色板を測定して得られた方向の輝度で割り返した値を0度方向の反射光相対強度とする。ここで、標準白色板とは日本電色工業社製GC5000L変角光度計に付属する標準板(STANDARD PLATE)をいう。
本実施の形態に係る反射シートは、波長が550nmの光を入射したときの平均全反射率が90%以上であることが好ましい。平均全反射率が90%以上であれば、液晶用バックライトに搭載したときに、十分な輝度が得られるからである。平均全反射率は、より好ましくは95%以上である。
反射シートと拡散板とで冷陰極管のような光源を挟む構成において、反射シートと拡散板との間の最短距離(反射シート上面と拡散板下面の距離)が20mm以上、60mm以下であり、冷陰極管同士の間隔が25mm以上となる省灯化直下型バックライトでは、拡散板、光学シートを用いても冷陰極管の直上が非常に明るくなり、ランプイメージを解消するのはかなり難しい。本実施の形態に係る反射シートは、ある特定の入射方向からの入射角60度の光において前方45度方向への反射光強度Aと後方30度方向への反射光強度Bとの比A/Bが3.0以上であり、上記特定の入射方向を冷陰極管と直交するように反射シートをバックライトに組み込むことで、隣り合う冷陰極管同士の間の明るさを増大させ、結果、ランプイメージを大幅に解消できる。
このランプイメージ低減の効果の発現機構は明確にはなっていないが、後方への反射光強度に対し前方への反射光強度が十分に大きくなる特定の方向を冷陰極管の長手方向と直交させることで、冷陰極管の直上付近への反射が低減し、冷陰極管同士の間への反射を増大させることができる。その結果、冷陰極管直上の明るさを低減し、冷陰極管同士の間の明るさを増大させランプイメージ低減に寄与していると考えられる。
上記のように、本実施の形態に係る反射シートは、上記特定の方向が冷陰極管の長手方向と直交するようにバックライトユニットに設置されることが好ましい。このように設置することで、冷陰極管直上の明るさを低減し、ランプイメージを低減させることが可能となる。バックライトの反射シートの設置図を図2(平面図)、図3に示す。図2に示すように、冷陰極管2は、それぞれの冷陰極管2の長手方向が略平行に配置され、これらの冷陰極管2の下側に反射シート1が配置されている。図2において、比A/Bが3.0以上となる入射方向D1は、冷陰極管2の長手方向と略直交方向となる。また、図3に示すように、このバックライトユニットは、反射シート1の上方に冷陰極管2が図2に示すように配設され、その上方に、拡散板3や光学シート類4が配設されている。光学シート類4は、拡散板3側から拡散シート4a、プリズムシート4b、拡散シート4c、反射型偏光シート4dの順に配設されている。
本実施の形態に係る反射シートは、表層部及び内層部の少なくとも2層から構成されることが好ましい。
(反射シート内層部を構成する組成物)
本実施の形態に係る反射シートの内層部は、熱可塑性樹脂(A)と、この熱可塑性樹脂(A)に対して非相溶性である少なくとも1種の樹脂(B)を含む構成とすることが好ましい。
本実施の形態に係る反射シートの内層部を構成する熱可塑性樹脂(A)は、特には限定されないが、低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン、ノルボルネン樹脂などのオレフィン系樹脂;6ナイロン、66ナイロンなどのポリアミド樹脂;ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートなどのポリエステル樹脂;ポリメチレンメタアクリレートなどのアクリル樹脂;ポリスチレン、ポリスチレン−メチルメタアクリレート共重合体などのスチレン系樹脂;ポリカーボネート樹脂などが挙げられる。この中でも、耐熱性も高く、高い反射率が得られやすいことから、ポリプロピレン樹脂がより好ましい。
ポリプロピレン樹脂とは、プロピレンの単独重合体やプロピレンと共重合が可能なエチレンなどのモノマーとの共重合体からなるポリプロピレン樹脂をいう。熱可塑性樹脂(A)として用いるポリプロピレン樹脂は、JIS K7210の方法で温度230℃、荷重21.2Nで、測定されるメルトフローレートが0.1g/分〜10g/分であるポリプロピレン樹脂であることが好ましい。メルトフローレートは、ポリプロピレン樹脂を溶融成形するときの押出機の負荷及び樹脂組成物の熱による変色の観点から、0.1g/分以上であることが好ましく、樹脂の粘度及び成形性の観点から、10g/分以下であることが好ましい。
熱可塑性樹脂(A)に対して非相溶性である樹脂(B)(以下、単に「樹脂(B)」ともいう)としては、熱可塑性樹脂(A)の延伸が可能な温度における弾性率が、熱可塑性樹脂(A)より高い樹脂がより好ましい。例えば、ポリカーボネート樹脂、ポリメチルペンテン樹脂、ポリノルボルネン樹脂などのポリシクロオレフィン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂などが挙げられる。特に、熱可塑性樹脂(A)としてポリプロピレン樹脂を用いる場合、樹脂(B)としては、ポリカーボネート樹脂、ポリメチルペンテン樹脂、ポリノルボルネン樹脂などのポリシクロオレフィン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂が好ましい。これらの樹脂のなかから少なくとも1種類の樹脂をポリプロピレン樹脂と溶融混合して用いることが好ましく、ポリカーボネート樹脂を用いることが最も好ましい。
なお、ここで、「非相溶性」とは、互いに混ざり合わず、分離している状態を意味する。特に、本発明においては、樹脂(B)が熱可塑性樹脂(A)中に分散していることが好ましく、分離していることは走査型顕微鏡(SEM)で確認できる。
樹脂(B)の好ましい例であるポリカーボネート樹脂としては、芳香族ポリカーボネート、直鎖状ポリカーボネート、分岐鎖状ポリカーボネートの中から単独で、または複数種を組み合わせて使用することができる。ポリカーボネート樹脂としては、JIS K7210の方法で温度300℃、荷重11.8Nで測定されたメルトフローレートが0.1g/10分〜50g/10分であるポリカーボネート樹脂が好ましい。また、ポリプロピレン樹脂との混合を均一にするという観点から、ポリカーボネート樹脂のメルトフローレートは0.1g/10分以上が好ましく、延伸時に孔を形成しやすいという観点から、メルトフローレートは50g/10分以下が好ましい。
本発明においては、樹脂組成物全体の30重量%以上80重量%以下が、熱可塑性樹脂(A)であることが好ましい。さらに、樹脂延伸時の張力及び延伸性の観点から、樹脂組成物全体に占める熱可塑性樹脂(A)の比率は40重量%以上がより好ましい。一方、樹脂組成物を押し出したシートを延伸してシートの内部に孔を形成させて90%以上の高い平均全反射率の反射シートを得るためには、樹脂組成物全体に占める熱可塑性樹脂(A)の比率は80重量%以下が好ましく、より好ましくは70重量%以下である。ここでいう平均全反射率とは、波長550nmの光についてシートのMD方向とTD方向の各々から入射した時の全反射率を測定し、両方向の平均値をいう。
樹脂(B)は、延伸張力を小さくするという観点から、樹脂組成物全体の70重量%以下であることが好ましい。シートの孔数及び孔体積を多くして90%以上の高い平均全反射率を得るという観点から、樹脂(B)は樹脂組成物全体の20重量%以上が好ましく、特に好ましくは30重量%以上60重量%以下である。
樹脂組成物を処方する場合、重量%と体積%の換算は、各樹脂の基本特性の密度から計算出来る。例えばポリプロピレン樹脂の密度は0.89g/cm〜0.91g/cm、ポリカーボネート樹脂の密度は1.2g/cmであり、必要に応じてこれらの値から容易に換算することができる。
本発明では、樹脂組成物に、さらに開孔核剤、紫外線吸収剤、その他必要に応じて無機粉末を添加しても良い。
また、前方45度方向への反射光強度Aと後方30度方向への反射光強度Bとの比A/Bを増大させるために、内層部に以下のような相溶化剤を含有させてもよい。内層部に相溶化剤としての熱可塑性エラストマーを含有させることで、光を良好に前方に拡散させることができる。熱可塑性エラストマーとしては、ハードセグメントとソフトセグメントのブロック共重合体であることが好ましく、例えば、スチレン−エチレン−ブチレン−スチレン、スチレン−ブタジエン−ブチレン−スチレン、スチレン−エチレン−プロピレン−スチレン、スチレン−ブタジエン−スチレン、及びスチレン−イソプレン−スチレンからなる群から選ばれた少なくとも1種のブロック構造を分子鎖中に含む共重合体もしくはそれらの変性体が挙げられる。これらのブロック共重合体の中から少なくとも1種類の熱可塑性エラストマーを溶融混合して用いることが好ましい。
熱可塑性樹脂(A)としてポリプロピレン樹脂を用いた場合、熱可塑性エラストマーの添加により該ポリプロピレン樹脂と樹脂(B)の界面エネルギーが低下するので、樹脂(B)を該ポリプロピレン樹脂に良好に微分散させることができる。したがって、後の延伸開孔により、樹脂と空気の界面が増大し、空孔密度を高くすることができる。前方へ反射強度が増大する機構については明確ではないが、このような空孔の形状が反射挙動に寄与しているのではないかと推定している。
(反射シート表層部を構成する組成物)
本実施の形態に係る反射シートは、表層部及び内層部の少なくとも2層から構成され、表層部が少なくとも熱可塑性樹脂(C)を含むことが好ましい。
熱可塑性樹脂(C)は、内層部の熱可塑性樹脂(A)と同じ樹脂であっても良く、また、異なった種類の熱可塑性樹脂を用いても良い。熱可塑性樹脂(C)において好ましいものの種類としては、熱可塑性樹脂(A)と同じものが挙げられる。
本実施の形態に係る反射シートは、表層部に紫外線吸収剤を含有させることが好ましい。紫外線吸収剤としては、酸化チタン、酸化亜鉛といった無機粉末がブリードアウトの懸念が低く好ましい。また、有機系の紫外線吸収剤も表層部の透明性を担保する点から好ましい。有機系の紫外線吸収剤としては、ベンゾトリアゾール系、ベンゾフェノン系、トリアジン系、ベンゾエート系、ヒンダードフェノール系、ヒンダードアミン系などの紫外線吸収剤が使用できる。この中でもベンゾトリアゾール系の紫外線吸収剤が、耐紫外線性、樹脂との相溶性から好適に使用できる。有機系の紫外線吸収剤の一例として、チバスペシャルティケミカルズ社製T234が挙げられる。紫外線吸収剤の表層部中の濃度としては、ブリードアウト性、透明性とのバランスで決められるが、0.1重量%以上、10重量%以下であることが好ましい。特に好ましくは0.15重量%以上、8重量%以下である。
また、紫外線吸収剤として、酸化チタン、酸化亜鉛といった無機粉末を用いる場合、無機粉末には必要に応じて表面改質がされていてもよい。特に酸化亜鉛、酸化チタンにおいては、一般的にアルミナ、シリカなどであらかじめ表面改質がされているので、これらを用いてもよく、別途ステアリン酸、ステアリン酸亜鉛などの表面改質剤を添加しても良い。
紫外線吸収剤として用いる無機粉末の粒径としては、平均粒径で、1nm以上、1000nm以下が好ましい。1nm以上の平均粒径があれば、無機粒子同士の凝集による粗大化が起こりにくく、1000nm以下であれば、十分な表層部透明性を担保することができる。より好ましくは5nm以上、500nm以下であり、特に好ましくは5nm以上、400nm以下である。
本発明に用いられる紫外線吸収剤の含有量は、表層部に0.01g/m以上、5g/m以下が含まれることが好ましい。紫外線吸収剤の含有量が0.01g/m以上であれば、良好な紫外線吸収性能が発現し、5g/m以下であれば、ブリードアウトの懸念も少なく、十分な表層部透明性を担保することができる。より好ましい範囲は0.05g/m以上、4g/m以下、特に好ましいのは0.1g/m以上、4g/m以下である。
また、前方45度方向への反射光強度Aと後方30度方向への反射光強度Bとの比A/Bを増大させるために、表層部に以下のような拡散剤を含有させてもよい。表層部に拡散剤を含有させることで、光を良好に前方に拡散させることができる。拡散剤としては、良好な光の拡散効果を付与することができ、かつ内層部中の熱可塑性樹脂(A)、樹脂(B)由来の拡散反射効果を発現できるものであれば、球状、棒状、繊維形状等のいずれの形状であっても良く、また、有機系、無機系いずれであっても良い。
また、熱可塑性樹脂(C)と拡散剤との屈折率の差は、0.02以上、1.50以下であることが好ましい。0.02以上とすることで、良好な光の拡散効果を付与することができ、1.50以下とすることで、過度な拡散を抑制し、良好なバックライトのランプイメージ低減効果を付与することができる。拡散剤を添加することで前方へ反射強度が増大する機構は明らかではないが、熱可塑性樹脂(C)と拡散剤との屈折率の差により光の変角作用が生じ、反射光が前方への指向性を持った拡散光になるのではないかと推定している。
(反射シートの構造)
本実施の形態に係る反射シートは、内部に孔を有する構造であり、この孔構造により反射性能が発現する。ここでいう孔とは、いわゆる空孔、空洞であり、連続孔、独立孔、どのような形態であってもよい。
本実施の形態に係る反射シートは、少なくとも表層部及び内層部の2層から構成されることが好ましく、例えば、表層部/内層部/表層部の3層構造でもよく、表層部表面にさらに耐光層などの層を有していても良い。また、表層部及び内層部の2層から構成される場合、反射シートの光源側に用いられる層を表層部、光源と反対側に用いられる層を内層部とする。さらに、3層以上から構成される場合、3層以上の中に、表層部、内層部を有していれば良く、例えば、耐光層を最表層に付与した場合、最表層部(耐光層)/表層部/内層部という構成であっても良い。
本実施の形態に係る反射シート全体の厚みとしては、50μm以上、1000μm以下であることが好ましい。反射シート全体の厚みが50μm以上あれば、良好な反射性能を発現させることが可能となり、1000μm以下であれば、良好な軽量性を担保することができる。また、より好ましくは、60μm以上、800μmであり、特に好ましくは70μm以上、700μm以下である。
本実施の形態の好ましい態様である2層以上から構成される反射シートの場合、表層部の厚みとしては、2μm以上、90μm以下であることが好ましい。表層部の厚みが2μm以上であれば、良好な成形容易性が得られ、90μm以下であれば、良好な軽量性を担保することができる。また、より好ましくは2μm以上、70μm以下であり、特に好ましくは3μm以上、50μm以下である。
本実施の形態に係る反射シート全体の坪量としては、30g/m以上、500g/m以下であることが好ましい。反射シート全体の坪量が30g/m以上あれば、良好な反射性能を発現させることが可能となり、500g/m以下であれば、良好な軽量性を担保することができる。また、より好ましくは40g/m以上、400g/m以下であり、特に好ましくは50g/m以上、300g/m以下である。
本実施の形態に係る反射シートは、表層部、内層部を含めた全体の密度が0.1g/cm以上、0.75g/cm以下であることが好ましい。全体の密度が0.1g/cm以上であれば反射シートとして十分な強度を保持することができる。また0.75g/cm以下であれば、微小な孔を多数有する構造を形成し、高い反射率を得るとともに、良好な軽量性を担保することができる。より好ましくは0.2g/cm以上、0.5g/cm以下であり、特に好ましくは0.2g/cm以上、0.45g/cm以下である。
(反射シートの作製方法)
本実施の形態好ましい態様である2層以上の反射シートの作製方法としては、例えば、表層部、内層部を別途押出し成膜し、ラミネートさせる作製方法、内層部作製後、表層部を塗工により形成する作製方法、表層部、内層部を共押出しにより一体的に成膜し、その後延伸開孔させる作製方法が挙げられるが、特に好ましくは、表層部、内層部を共押出しにより一体的に成膜し、その後延伸開孔させる作製方法である。
このような反射シートの作製方法の一例としては、熱可塑性樹脂(A)と、該熱可塑性樹脂(A)と非相溶の樹脂(B)との混合物を、高シェアをかけながらダイから押出しし、MD方向に配向させたものを延伸する作製方法を挙げることができる。このような方法により、反射シートの押出し方向(MD)から60度の入射角で光を入射したときの0度方向への反射光強度への反射光強度が標準白色板の20%〜80%とすることができる。このような反射光強度示す反射シートの作製方法の一例として、共押出しによる表層部/内層部/表層部の2種3層反射シートの作製方法を以下に説明する。
熱可塑性樹脂(C)を含む表層部原料、熱可塑性樹脂(A)及び樹脂(B)を含む内層部原料を別の押出し機で溶融混合させ、押出機の先端に取り付けた積層ダイからシート状に押し出す。ここで、押し出される樹脂組成物の量を安定させるために押出機とダイの間にギヤポンプを使用してもよい。ダイから押し出される際に、ダイとのシェアにより内層部の樹脂BがMD方向に配向する。この樹脂(B)がMD方向に配向することにより、MD方向から入射した光の反射光の拡散性を低く抑えられるが、機構は明確ではない。
得られた積層シートを、冷却ローラーなどで冷却固化させた後、延伸機で延伸する。延伸工程では、内層部の熱可塑性樹脂(A)と樹脂(B)の界面を開裂させてシートの内部に孔を生成すると同時に、シートの厚みを所望の厚みにまで薄くすることができる。ここで延伸工程においては、通常の2軸延伸法を用いることができる。即ち、縦横逐次2軸延伸、横縦逐次2軸延伸、同時2軸延伸、さらにこれらの2軸延伸の後に、縦横いずれかあるいは両方の方向に再延伸することもできる。好ましくは、最も汎用的な縦横逐次2軸延伸である。延伸は速度差をつけた複数のローラーの間にシートを通過させてMD方向にシートを延伸する縦延伸工程と、クリップテンターなどを使用してシートのTD方向に延伸する横延伸工程とを単独又は組み合わせて行うことができる。あるいは、パンタグラフ延伸機などの同時2軸延伸機を使用してMD方向とTD方向を同時に延伸することもできる。2軸延伸の延伸倍率はMD方向、TD方向各々1.5倍以上であって、かつ面積延伸倍率が3倍以上50倍以下であることが好ましい。また、必要に応じて、延伸後に熱収縮処理を行っても良い。
また、前方45度方向への反射光強度Aと後方30度方向への反射光強度Bとの比A/Bを増大させるために、低温で延伸を行うことが好ましい。低温で延伸を行うことにより、効果的に開孔することが可能となり、空孔密度を高くすることができる。低温延伸の観点からも、上記熱可塑性エラストマーを添加することが好ましい。上記熱可塑性エラストマーの添加により樹脂組成物の粘度が低下するので、延伸温度を低温にしても、破断することなく安定した延伸が可能となる。
次に、本発明の効果を明確にするために行った実施例について説明する。なお、本発明は、以下の実施例によって何ら限定されるものではない。
<評価方法>
反射シートについて評価する物性の項目及びその評価方法についてまず説明する。
(1)厚み
反射シートの厚みは、厚み計(ピーコック社製)を使用して測定した。また、共押出しにより作製した反射シートはデジタル顕微鏡(キーエンス社製)による断面観察により、各層の厚みを測定した。
(2)平均全反射率
反射シートの全反射率は、分光光度計(島津製作所社製、UV−3150)と積分球試料台(島津製作所社製、MPC2200)を使用して入射角8度で測定した。ポリテトラフルオロエチレンの標準白板(ラボスフェア社製、スペクトラロン)の反射率を100%とした相対反射率を波長400nm〜700nmの範囲で測定し、波長550nmの光について、反射シートのMD方向とTD方向の各々から入射した時の測定値を全反射率とし、両者の平均値を平均全反射率とした。
(3)坪量
反射シートを50mm角に切り出し、その重量を測定することで求めた。
(4)密度
反射シートを50mm角に切り出し、その重量と中心部と各辺の中央部の計5点の厚みの平均値求め、密度を計算した。
(5)60度入射、反射光強度測定
変角光度計(日本電色工業社製、GC5000L)を用い、点光源の入射角を60度にセットし、反射シートをステージに載せて、受光部を−85度から+85度まで1度刻みで反射光強度を測定した。得られた結果の±1度の範囲の値を平均化し、各角度の反射光強度とした。得られた前方45度方向の反射光強度をA、後方30度方向への反射光強度Bとし、これらの値から比A/Bを算出した。また、鉛直方向の反射光強度を求め、標準白色板を測定して得られた鉛直方向の反射光強度で割り返した値を鉛直方向の反射光相対強度とした。ここで、標準白色板とは日本電色工業社製GC5000L変角光度計に付属する標準板(STANDARD PLATE)をいう。本測定において、標準白色板の鉛直方向への反射光強度は89.9cd/mであった。
(6)ランプイメージ評価
ランプイメージ評価用のバックライトユニットとして、ソニー社製のBRAVIA(登録商標)32インチ S−2500(冷陰極管光源)のバックライトユニットに用いられていた冷陰極管(管直径3mm)、及び制御基板を取り外し、反射シートと冷陰極管の距離が3.0mm(管中心から)、拡散板下面と冷陰極管が18.5mm(管中心から)で固定し、冷陰極管同士の間隔のみ40mmから47.5mm(管中心から管中心まで)まで変化できるように、評価用バックライトを作製した。冷陰極管同士の間隔のみ変化させてそのときのランプイメージの有無を確認した。バックライトの寸法、構成を図3に示す。ここで、バックライトユニットの拡散板3、光学シートとしては、日立社製のWooo(登録商標)32インチUT32に用いられている拡散板(図中3)側から拡散シート(図中4a)、アレイ状のプリズム配列構造を有する光学シート(以下、プリズムシートと略記、図中4b)、拡散シート(図中4c)及び反射型偏光シート(図中4d)の順で積層したものを用いた。
ランプイメージは、2次元色彩輝度計(コニカミノルタ社製、CA2000)を使用し、光線制御ユニットから75cm離して設置し、光線制御ユニットの中心部22mm×178mm[34ドット分(x)×275ドット分(y)]の範囲で測定した平均値を平均輝度とした。ここで、x方向は冷陰極管の長手方向と並行方向、y方向は冷陰極管の長手方向と直交方向である。ランプイメージは、x軸(22mm)方向の平均輝度値を求め、y軸方向について各々の点の輝度値を各々の点から±17ドット分の輝度平均値で割り返した値の標準偏差値として求めた。すなわち、この値が小さいほどランプイメージは低減されていることになる。
次に、本発明者らは、以下の実施例1〜実施例3において、前方45度反射光強度Aと後方30度反射光強度Bとの比A/Bが3.00以上の反射シートを作成し、それぞれの反射シートを用いてバックライト実装評価を実施した。その結果、内層部に熱可塑性エラストマーを添加した反射シート(実施例1)、表層部にシリコーン樹脂を添加した反射シート(実施例2)及び表層部に架橋スチレンを反射シート(実施例3)の何れの反射シートを用いた場合においてもランプイメージが低減されることが分かった。
また、本発明者らは、比較例1〜比較例4として、前方45度反射光強度Aと後方30度反射光強度Bとの比A/Bが3.00未満になるように作製した反射シート(比較例1〜比較例3)及び比A/Bが3.00未満の市販の液晶テレビの反射シートを用いて実施例1〜実施例3と同様にバックライト実装評価を実施した。その結果、実施例1〜実施例3と比較してランプイメージが増大することが分かった。以下、本発明者らが調べた内容について、詳細に説明する。
(実施例1)
内層部原料として、ポリプロピレン樹脂(日本ポリプロ社製、EA7A)を60体積%(54重量%)、ポリカーボネート樹脂(三菱エンジニアリングプラスチックス社製、E2000)を34.5体積%(41重量%)、水添スチレン系熱可塑性エラストマー(旭化成ケミカルズ社製、タフテックM1913)を5.5体積%(5重量%)混合した原料樹脂を用いた。この原料樹脂をシリンダー口径が25mmでシリンダーと口径の比が48の同方向回転2軸押出機を使って、シリンダー温度を230℃、スクリューの回転数が100rpmの運転条件で溶融し、温度を250℃に調整したギヤポンプを介して、マルチマニホールドダイに供給した。また、表層部として、紫外線吸収剤として酸化亜鉛(堺化学社製、FINEX50W、平均粒径20nm)を5重量%、ポリプロピレン樹脂(日本ポリプロ社製、EA7A)95重量%を混合した原料樹脂を用いた。この原料樹脂をシリンダー口径が25mmでシリンダーと口径の比が48の単軸押出機を使って、シリンダー温度を210℃、スクリューの回転数が100rpmの運転条件で溶融し、マルチマニホールドダイに供給した。ここで、マルチマニホールドダイには、表層部/内層部/表層部比が1/10/1となるように各原料を供給し、合流させ、リップ巾が400mmでクリアランスが1.9mmで押し出した。ここで、押出しライン速度は、1.0m/分となるように押出しを行った。押し出された溶融樹脂を80℃に設定した一対のピンチローラーで引き取り、MD方向に溶融樹脂を引っ張りながら樹脂を冷却固化させて厚みが1.7mmのシートを作製した。
得られたシートを、ロール縦延伸機を使ってMD方向(縦方向)に温度150℃で3倍延伸した後、テンター横延伸を使ってTD方向(横方向)に温度が145℃で4倍延伸し、2種3層共押出し反射シートを得た。
得られた2種3層反射シートの厚み(表層部/内層部/表層部)、坪量、密度は、それぞれ18μm/347μm/16μm、181g/m、0.48g/cmであった。また、平均全反射率は97.5%であった。
変角光度計(日本電色工業社製、以下、GC5000Lという)を用いた測定において、反射シートのMD方向から60度の入射角で光を入射したときの前方45度方向への反射光強度Aは163cd/mであり、後方30度方向への反射光強度Bは43cd/mであり、結果、比A/Bは3.76と高い値を示した。また、このときの鉛直方向の反射光相対強度は70%であった。参考に、MD方向から60度の入射角で光を入射したとき入射したときの反射光挙動を標準白色板と比較して図4に示す。図4に示すように、出光角度+45度の反射光強度Aは、約150cd/m程度であるのに対し、出光角度−30度の反射光強度Bは、40cd/m程度であり、反射光強度に大きな差があり前方へ反射光強度が大きいことがわかる。なお、図4において入射光は−60度と表示されている角度から入射しており、+45度と表示されている角度が前方45度方向に対応し、−30度と表示されている角度が後方30度方向に対応する。なお、+60度付近の反射光強度が大きくなっているのは正反射に由来するものである。
この反射シートを、MD方向と冷陰極管の長手方向が直交するようにバックライトに設置し、冷陰極管同士の間隔が40mm、42.5mm、45.0mm、47.5mmとした条件で、拡散板/拡散シート/プリズムシート/拡散シート/反射型偏光シートを配設(以下、全シート配設)して、ランプイメージを確認したところ、0.0039、0.0028、0.0023、0.0028であった。冷陰極管同士の間隔を広げてもランプイメージは低い値を保持した。
(実施例2)
内層部として、ポリプロピレン樹脂(日本ポリプロ社製、EA7A)を62体積%(55重量%)、ポリカーボネート樹脂(三菱エンジニアリングプラスチックス社製、E2000)を38体積%(45重量%)混合した原料樹脂を用い、表層部として、シリコーン樹脂(信越シリコーン社製、X52−1621、粒径5μm、屈折率1.43)を7重量%、ポリプロピレン樹脂(日本ポリプロ社製、EA7A)93重量%を用いて、実施例1と同様にして共押出しした。得られたシートを、ロール縦延伸機を使ってMD方向(縦方向)に温度162℃で3倍延伸した後、テンター横延伸機を使ってTD方向(横方向)に温度が153℃で4倍延伸し、2種3層共押出し反射シートを得た。
得られた2種3層反射シートの厚み(表層部/内層部/表層部)、坪量、密度は、それぞれ18μm/374μm/17μm、196g/m、0.48g/cmであった。また、平均全反射率は97.0%であった。
GC5000Lを用いた測定において、反射シートのMD方向から60度の入射角で光を入射したときの前方45度方向への反射光強度Aは172cd/mであり、後方30度方向への反射光強度Bは49cd/mであり、結果、比A/Bは3.51と高い値を示した。また、このときの鉛直方向の反射光相対強度は68%であった。
この反射シートを、MD方向と冷陰極管の長手方向が直交するようにバックライトに設置し、冷陰極管同士の間隔が40mm、42.5mm、45.0mm、47.5mmとした条件で、全シート配設して、ランプイメージを確認したところ、0.0032、0.0025、0.0024、0.0034であった。冷陰極管同士の間隔を広げてもランプイメージは低い値を保持した。
(実施例3)
内層部として、ポリプロピレン樹脂(日本ポリプロ社製、EA7A)を62体積%(55重量%)、ポリカーボネート樹脂(三菱エンジニアリングプラスチックス社製、E2000)を38体積%(45重量%)混合した原料樹脂を用い、表層部として、架橋スチレン(綜研化学社製、KSR−3A、粒径3μm、屈折率1.59)を3重量%、ポリプロピレン樹脂(日本ポリプロ社、EA7A)97重量%を用いて、実施例1と同様にして共押出しし、ロール縦延伸機を使ってMD方向(縦方向)に温度162℃で3倍延伸した後、テンター横延伸を使ってTD方向(横方向)に温度153℃で4倍延伸し、2種3層共押出し反射シートを得た。
得られた2種3層反射シートの厚み(表層部/内層部/表層部)、坪量、密度は、それぞれ16μm/379μm/16μm、193g/m、0.47g/cmであった。また平均全反射率は96.7%であった。
GC5000Lを用いた測定において、反射シートのMD方向から60度の入射角で光を入射したときの前方45度方向への反射光強度Aは155cd/mであり、後方30度方向への反射光強度Bは50cd/mであり、結果、比A/Bは3.12と高い値を示した。また、このときの鉛直方向の反射光相対強度は67%であった。
この反射シートを、MD方向と冷陰極管の長手方向が直交するようにバックライトに設置し、冷陰極管同士の間隔が40mm、42.5mm、45.0mm、47.5mmとした条件で、全シート配設して、ランプイメージを確認したところ、0.0038、0.0032、0.0024、0.0034であった。冷陰極管同士の間隔を広げてもランプイメージは低い値を保持した。
(比較例1)
内層部として、ポリプロピレン樹脂(日本ポリプロ社製、EA7A)を62体積%(55重量%)、ポリカーボネート樹脂(三菱エンジニアリングプラスチックス社製、E2000)を38体積%(45重量%)混合した原料樹脂を用い、表層部として、紫外線吸収剤として酸化亜鉛(堺化学社製、FINEX50W、平均粒径20nm)を5重量%、ポリプロピレン樹脂(日本ポリプロ社製、EA7A)95重量%を用いて、実施例1と同様にして共押出しし、ロール縦延伸機を使ってMD方向(縦方向)に温度162℃で3倍延伸した後、テンター横延伸を使ってTD方向(横方向)に温度153℃で4倍延伸し、2種3層共押出し反射シートを得た。
得られた2種3層反射シートの厚み(表層部/内層部/表層部)、坪量、密度は、それぞれ16μm/380μm/15μm、198g/m、0.48g/cmであった。また平均全反射率は96.7%であった。
GC5000Lを用いた測定において、反射シートのMD方向から60度の入射角で光を入射したときの前方45度方向への反射光強度Aは126cd/mであり、後方30度方向への反射光強度Bは46cd/mであり、結果、比A/Bは2.76と低い値を示した。また、このときの鉛直方向の反射光相対強度は62%であった。
この反射シートを、MD方向と冷陰極管の長手方向が直交するようにバックライトに設置し、冷陰極管同士の間隔が40mm、42.5mm、45.0mm、47.5mmとした条件で、全シート配設して、ランプイメージを確認したところ、0.0052、0.0043、0.0036、0.0034であった。冷陰極管間隔を広げるにつれて、ランプイメージは低減するものの、冷陰極管間隔を40mmから47.5mmの間において、ランプイメージはいずれも高いものとなった。
(比較例2)
内層部として、ポリプロピレン樹脂(日本ポリプロ社製、EA7A)を62体積%(55重量%)、ポリカーボネート樹脂(三菱エンジニアリングプラスチックス社製、E2000)を38体積%(45重量%)混合した原料樹脂を用い、表層部として、紫外線吸収剤として酸化亜鉛(堺化学社製、FINEX50W、平均粒径20nm)を5重量%、ポリプロピレン樹脂(日本ポリプロ社製、EA7A)95重量%を用いて、実施例1と同様にして共押出しし、ロール縦延伸機を使ってMD方向(縦方向)に温度162℃で2.5倍延伸した後、テンター横延伸を使ってTD方向(横方向)に温度162℃で6倍延伸し、2種3層共押出し反射シートを得た。
得られた2種3層反射シートの厚み(表層部/内層部/表層部)、坪量、密度は、それぞれ17μm/288μm/16μm、149g/m、0.46g/cmであった。また平均全反射率は95.9%であった。
GC5000Lを用いた測定において、反射シートのTD方向から60度の入射角で光を入射したときの前方45度方向への反射光強度Aは114cd/mであり、後方30度方向への反射光強度Bは70cd/mであり、結果、比A/Bは1.63と低い値を示した。また、このときの鉛直方向の反射光相対強度は97%であった。
この反射シートを、TD方向と冷陰極管の長手方向が直交するようにバックライトに設置し、冷陰極管同士の間隔が40mm、42.5mm、45.0mm、47.5mmとした条件で、全シート配設して、ランプイメージを確認したところ、0.0021、0.0034、0.0048、0.0072と冷陰極管間隔を広げるにつれて、ランプイメージが大幅に増大し、冷陰極管間隔を42.5mmから47.5mmと省灯条件においてランプイメージは非常に高いものとなった。
(比較例3)
内層部として、ポリプロピレン樹脂(日本ポリプロ社製、EA7A)を62体積%(55重量%)、ポリカーボネート樹脂(三菱エンジニアリングプラスチックス社製、E2000)を38体積%(45重量%)混合した原料樹脂を用い、表層部として、酸化チタン(テイカ社製、JR805、粒径250nm、屈折率2.8)を7重量%、ポリプロピレン樹脂(日本ポリプロ社製、EA7A)90重量%を用いて、実施例1と同様にして共押出しし、ロール縦延伸機を使ってMD方向(縦方向)に温度162℃で3倍延伸した後、テンター横延伸を使ってTD方向(横方向)に温度153℃で4倍延伸し、2種3層共押出し反射シートを得た。
得られた2種3層反射シートの厚み(表層部/内層部/表層部)、坪量、密度は、それぞれ17μm/382μm/16μm、199g/m、0.48g/cmであった。また平均全反射率は97.6%であった。
GC5000Lを用いた測定において、反射シートのTD方向から60度の入射角で光を入射したときの前方45度方向への反射光強度Aは79cd/mであり、後方30度方向への反射光強度Bは76cd/mであり、結果、比A/Bは1.04と低い値を示した。また、このときの鉛直方向の反射光相対強度は100%であり、完全拡散に近い反射挙動を示した。
この反射シートを、TD方向と冷陰極管の長手方向が直交するようにバックライトに設置し、冷陰極管同士の間隔が40mm、42.5mm、45.0mm、47.5mmとした条件で、全シート配設して、ランプイメージを確認したところ、0.0027、0.0044、0.0061、0.0080と冷陰極管間隔を広げるにつれて、ランプイメージが大幅に増大し、冷陰極管間隔を42.5mmから47.5mmと省灯条件においてランプイメージは非常に高いものとなった。
(比較例4)
市販の液晶TVから反射シートを取り出し、この反射シートの使用面(冷陰極管に向いている面)に関して実施例記載の評価を行った。この反射シートの厚み、坪量、密度は、それぞれ263μm、182g/m、0.69g/cmであった。また使用面の平均全反射率は96.6%であった。
GC5000Lを用いた測定において、60度の入射角で光を入射したときの前方45度方向への反射光強度Aは117cd/mであり、後方30度方向への反射光強度Bは66cd/mであり、結果、比A/Bは1.76と低い値を示した。また、このときの鉛直方向の反射光相対強度は92%であった。参考に、GC5000Lで得られた反射光挙動を実施例1と比較して図5に示す。図5に示すように、実施例1の前方45度付近の反射光強度Aと比較例4の前方45度付近の反射光強度Aとを比較すると、実施例1の反射光強度Aが強いことが分かる。また、実施例1の後方30度付近の反射光強度Bと比較例4の後方30度付近の反射光強度Bとを比較すると、比較例4の反射光強度Bが低いことが分かる。このように、比較例4の反射光強度は、実施例1と比較して、前方への反射光強度が低く、後方への反射光強度が強いことがわかる。
この反射シートを、バックライトに設置し、冷陰極管同士の間隔が40mm、42.5mm、45.0mm、47.5mmとした条件で、全シート配設して、ランプイメージを確認したところ、0.0019、0.0033、0.0049、0.0076と冷陰極管間隔を広げるにつれて、ランプイメージが大幅に増大し、冷陰極管間隔を42.5mmから47.5mmと省灯条件においてランプイメージは非常に高いものとなった。
以上の結果、CCFL間隔を42.5mm、45.0mmと省灯化しても、実施例に記載の反射シートを適切に用いることでランプイメージの増大を抑制できることがわかる。また、得られた結果を併せて表1に示す。なお、表1において、PPはポリプロピレン樹脂(日本ポリプロ社製、EA7A)を表し、PCはポリカーボネート樹脂(三菱エンジニアリングプラスチックス社製、E2000)を表す。例えば、表層部/内層部/表層部=13μm/418μm/14μmの場合、表層部の厚み(μm)は13/14と表している。また、実施例1から実施例3および比較例1から比較例4のランプイメージを図6に示す。図6に示すように、実施例1から実施例3のランプイメージは、CCFL間隔40mm〜CCFL間隔47.5mm以下の範囲で0.004以下であるのに対し、比較例1のランプイメージは、CCFL間隔40mm〜CCFL間隔42.5mmの範囲で0.004より大きかった。また、比較例2から比較例4のランプイメージは、CCFL間隔45mm〜CCFL間隔47.5mmの範囲で特に増大した。以上の結果から、前方45度方向への反射光強度Aと後方30度方向への反射光強度Bとの比A/Bが3.0以上とすることにより、CCFL間隔を42.5mm、45.0mmと省灯化した条件においても良好なランプイメージを示すことがわかる。
Figure 2011069991
表1に示すように、前方45度反射光強度Aと後方30度反射光強度Bとの比A/Bが3.00以上の実施例1〜実施例3は、ランプイメージが小さいことが分かる。これに対し、比A/Bが3.00未満の比較例1〜比較例3は、ランプイメージが大きいことが分かる。このように、本実施の形態に係る反射シートは、比A/Bを3.00以上にすることにより、効果的にランプイメージを低減することができることが分かる。
本発明は上記実施の形態に限定されず、種々変更して実施することができる。例えば、上記実施の形態における材質、寸法、処理工程などについてはこれに限定されず、適宜変更して実施することができる。その他、本発明の範囲を逸脱しないで適宜変更して実施することができる。
本発明に係る反射シートは、反射シート面の鉛直方向に対して60度の入射角で光を入射したときの前方45度方向への反射光強度Aと後方30度方向への反射光強度Bとの比A/Bが3.0以上であり、それによりバックライトのランプイメージを大きく低減できる。したがって、液晶表示装置のバックライトユニットとして好適に使用できる。
1 反射シート
2 冷陰極管
3 拡散板
4 光学シート類
4a 拡散シート
4b プリズムシート
4c 拡散シート
4d 反射型偏光シート

Claims (11)

  1. 内部に孔を有する反射シートであって、反射シート面の鉛直方向に対して60度の入射角で光を入射したときの前方45度方向への反射光強度Aと後方30度方向への反射光強度Bとの比A/Bが3.0以上となる入射方向を有することを特徴とする反射シート。
  2. 少なくとも熱可塑性樹脂(C)を含有する表層部と、熱可塑性樹脂(A)、及び該熱可塑性樹脂(A)と非相溶性である少なくとも1種の樹脂(B)、を含有する表層部と、を備え、前記内層部及び前記表層部の少なくとも2層から構成されることを特徴とする反射シート。
  3. 前記熱可塑性樹脂(A)としてポリプロピレン樹脂を含むことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の反射シート。
  4. 前記熱可塑性樹脂(C)としてポリプロピレン樹脂を含むことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の反射シート。
  5. 前記熱可塑性樹脂(A)の延伸可能な温度において、前記熱可塑性樹脂(A)と非相溶性である前記樹脂(B)としてポリカーボネート樹脂を含むことを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載の反射シート。
  6. 前記比A/Bが3.0以上となる入射方向から、反射シート面の鉛直方向に対して60度の入射角で光を入射したときの前記鉛直方向への反射光相対強度が、20%〜80%となる入射方向を有することを特徴とする請求項1から請求項5のいずれかに記載の反射シート。
  7. 波長が550nmの光を入射したときの平均全反射率が90%以上であることを特徴とする請求項1から請求項6のいずれかに記載の反射シート。
  8. シート全体の厚みが50μm〜1000μmであることを特徴とする請求項1から請求項7のいずれかに記載の反射シート。
  9. シート全体の密度が0.1g/cm〜0.75g/cmであることを特徴とする請求項1から請求項8のいずれかに記載の反射シート。
  10. 前記内層部及び前記表層部が共押出し成膜で作製されたものであることを特徴とする請求項1から請求項9のいずれかに記載の反射シート。
  11. 請求項1から請求項10のいずれかに記載の反射シートを具備したことを特徴とするバックライトユニット。
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