JP2008158134A - 反射シート - Google Patents
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Abstract
【課題】液晶表示装置等のバックライトに用いられる反射材に適した高い反射率を有する反射シートの提供。
【解決手段】ポリプロピレン樹脂(A)と、該ポリプロピレン樹脂と非相溶性の樹脂(B)の少なくとも1種以上とを含む二軸延伸反射シートであって、その相分離構造が、ポリプロピレン樹脂(A)の海相とポリプロピレン樹脂と非相溶性の樹脂(B)の島相とからなる海−島構造であって、坪量が100〜500(g/m2)であり、密度が0.3〜0.75(g/cm3)であり、150℃/30分での熱収縮率がMD、TDのいずれの方向も15%以下であることを特徴とする反射シート。
【選択図】なし
【解決手段】ポリプロピレン樹脂(A)と、該ポリプロピレン樹脂と非相溶性の樹脂(B)の少なくとも1種以上とを含む二軸延伸反射シートであって、その相分離構造が、ポリプロピレン樹脂(A)の海相とポリプロピレン樹脂と非相溶性の樹脂(B)の島相とからなる海−島構造であって、坪量が100〜500(g/m2)であり、密度が0.3〜0.75(g/cm3)であり、150℃/30分での熱収縮率がMD、TDのいずれの方向も15%以下であることを特徴とする反射シート。
【選択図】なし
Description
本発明は、内部に孔を含む樹脂組成物の反射シートであって、特に液晶表示装置のバックライトなどに用いられる反射材に適した反射シートに関する。
液晶はそれ自身が発光しないため、液晶を表示装置として使用するためには光源が必要となる。液晶表示装置は、液晶、配向板、電極、偏光板などからなる液晶パネル、及び該パネルに光を照射する装置、一般にはバックライトと呼ばれる照明装置等からなり、ランプの光を画面に向けて効率よく反射させる等のために反射シートを用いている。
液晶表示装置のバックライトは一般にエッジライト型バックライトと直下型バックライトの2種類に大きく分けられる。
液晶表示装置のバックライトは一般にエッジライト型バックライトと直下型バックライトの2種類に大きく分けられる。
エッジライト型バックライトは、携帯電話や携帯情報端末などに用いられる小型の液晶表示装置に使用されることが多いバックライトである。エッジライト型バックライトは、発光ダイオードや冷陰極線管などの光源と、アクリル樹脂などの透明な樹脂を楔形に成形した導光板と、液晶パネルとは反対側の導光板の側面に配置される反射材とから構成されることが多い。エッジライト型バックライトでは、導光板の端面に配置された発光ダイオードや冷陰極線管などの光源からの光が導光板の端面から入射される。導光板に入射した光は導光板を通過する過程で導光板の側面から導光板の外に出る。導光板の液晶パネル側の側面から外に出た光は液晶パネルを照明するが、導光板の液晶パネル側とは反対側の側面から外に出た光は液晶パネルを照明することができないため、導光板の液晶パネル側とは反対側の側面には光を反射する反射シートを設置して、導光板の側面から外に出る光を液晶パネル側に反射させて、光源の光を有効に液晶パネルに照射させることが通常行われている。
直下型バックライトは、液晶パネルの表示面とは反対側に冷陰極線管などの光源ランプを複数本並べて設置したバックライトであり、大型テレビジョンなどに使用される大画面の液晶表示装置に用いられる。大画面の液晶表示装置では、エッジライト型バックライトでは輝度を満足する水準にまで上げようとすると光源ランプの明るさに限界があるため、光源ランプを複数使用する直下型バックライトが通常使用されている。光源ランプの光は液晶側とは反対側にも照射されるため、光源ランプの液晶側とは反対側に反射シートを設けることによって光源の光を有効に液晶パネルに照射させることが、直下型バックライトでは一般に行われている。
最近ではテレビジョンだけでなくパソコンでも動画を表示させることが多くなり、液晶表示装置はより明るいものが求められている。このため、液晶表示装置に使用されるバックライトでは、反射率が90%以上の反射シートが使用されることが多い。液晶表示装置をより明るくするために、冷陰極線管などの光源の出力は増加する傾向にあり、そのために使用中のバックライトの温度はより高温になる傾向が見られる。このため反射シートに使用する樹脂には、液晶物質の耐熱温度に近い概ね80℃の耐熱性が必要となっている。このため液晶表示装置のバックライトに使用される反射シートには、シートに成形しやすく耐熱性にも優れた樹脂組成物の反射シートが求められている。さらに、大型テレビジョンなどの大画面の液晶表示装置に使用されるバックライトでは、大きい面積の反射シートが長期間にわたって強い光に照らされることになる。このため反射シートには、光源の光による変色や変質が少ないことや、温度上昇や吸湿による反りなどの変形が長期間にわたって起こりにくい反射シートが求められている。
内部に孔や気泡を含む樹脂のシートは、光を照射すると光が反射されて白く見えたり、真珠様の光沢を示したりすることはよく知られている。内部に孔や気泡を含む樹脂が光をよく反射する理由は次のように考えられる。樹脂の屈折率は概ね1.4〜1.6で、空気の屈折率は約1であるため、樹脂と空気の屈折率の差によって生じる光の反射率は1回の反射あたりでは約4%にすぎない。しかし内部に多数の孔や気泡を含む樹脂のシートでは、内部に樹脂と空気の界面が多数存在するため、シートに照射された光はシートの内部で多数回反射される。この結果、内部に多数の孔や気泡を含む樹脂のシートでは、照射された光はシートの内部で大部分が反射され、その結果、シート全体としての反射率が大きくなると考えられる。
また、樹脂の内部に含まれる多数の孔や気泡は、各々の形状や大きさが異なる場合が多いため、孔や気泡の界面で反射される光は一つの方向にまとまって反射されることは少なく、反射する光の方向は各々の孔や気泡ごとに異なる。このため、内部に多数の孔や気泡を含む樹脂のシートに光を照射した場合の反射は、入射した光があらゆる方向に反射する拡散反射となりやすい。内部に孔や気泡を含む樹脂組成物のシートとしては、(1)無機物の粉末を添加した樹脂を延伸することによって、樹脂と無機物の粉末との界面を開裂させて、樹脂の内部に孔を形成させたものや、(2)樹脂に加圧した不活性ガスを溶解させた後、減圧して発泡させ、樹脂の内部に気泡を形成させたものが知られている。
(1)の樹脂シートとしては、例えば、特許文献1に、微粒子炭酸カルシウムを5〜30wt%含有させたポリエチレンテレフタレート樹脂を溶融押し出し二軸延伸して、密度から計算されたボイド率が7〜30%である白色ポリエチレンテレフタレートのシートが開示されている。このような反射シートでは、炭酸カルシウムや硫酸バリウムなどの無機粉末が反射シート全体の数十体積%と大きい比率で含まれるため、反射シートの表面に無機粉末の一部が突出している場合がある。このような反射シートをエッジライト型レベックライトに使用した場合、反射シートを導光板と張り合わせる工程で、この一部が突出した無機粉末によって導光板表面が傷つけられることが起こる可能性がある。また、無機粉末が反射シートの表面や端面から脱離して反射シート表面やバックライトの表面などに付着し、それが液晶画面に点状に映ってしまい、表示画面の画質を損なう可能性もある。
(2)の樹脂シートとしては、例えば、特許文献2に、熱可塑性ポリエステルに炭酸ガスなどの不活性ガスを加圧雰囲気下で溶解させた後、常圧下で加熱して発泡させた、内部に微細気泡を含む光反射シートが開示されている。これは無機粉末を含まない樹脂の反射シートではあるが、樹脂のシートに不活性ガスを溶解させるために、加圧した不活性ガス雰囲気中に樹脂のシートを一定時間置く必要があることや、不活性ガスが溶解した樹脂のシートを取り出して常圧に戻した後に加熱して発泡させる工程が必要であるため、その製造工程は 大がかりで煩雑な工程となりやすい。また、特許文献2はポリエステルの微細発泡で孔を形成している。微細発泡ではあるが、その孔径は小さくても5〜10μである。高い反射性能を得るためにはこの微細気泡を多く含む必要がある。そのため、シート厚みが0.8〜1.2mmと厚くなる。液晶表示用としてはより薄くて反射性能に優れるシートが望まれている。厚いシートをロール状に巻くと、巻き径が大きくなる上に、巻きくせ等の問題も起こる。場合によっては枚葉の形で供給せざるを得なくなり、製品化のための取扱が煩雑になる。
拡散反射に対して、反射面に対して光が入射する角度と反射する角度とが対称である反射は正反射とよばれ、その反射面は鏡面状を呈する。樹脂シートで正反射するものとしては、(3)ポリエステル樹脂のシートの表面を蒸着などの方法によって銀などの反射率が大きい物質で被覆したものが知られている。
拡散反射に対して、反射面に対して光が入射する角度と反射する角度とが対称である反射は正反射とよばれ、その反射面は鏡面状を呈する。樹脂シートで正反射するものとしては、(3)ポリエステル樹脂のシートの表面を蒸着などの方法によって銀などの反射率が大きい物質で被覆したものが知られている。
(3)の反射シートは、樹脂のシートの表面を被覆する銀などの金属粒子が、使用中の光源ランプの熱によって凝集したり、大気中に微量含まれる 酸性のガス成分によって酸化されやすく、銀などの金属の変色や反射率の低下が起こることが知られている。このため、シートの表面を被覆した銀などの金属粒子の上を、大気との接触を防ぐために樹脂で被覆することが行われており、樹脂のシートの表面に薄く金属や樹脂を複数回塗布する工程が必要となるため、その製造工程は大がかりで煩雑な工程となりやすい。この例の反射シートは、鏡面状の正反射を起こすシートであるが、大型テレビジョンなどの大画面液晶表示装置に使用される直下型バックライトでは、複数本が配置される光源ランプの光が干渉して液晶画面の明るさに斑が生じやすくなることが知られている。このために、直下型バックライトには拡散反射を起こす反射シートが使用されることが多い。
上記の(1)と(2)の反射シートは拡散反射を起こす反射シートではあるが、上記のように反射シートに大量に添加された無機物粒子による導光板の傷つきや無機物粒子の脱落の問題や製造工程が大がかりとなるなどの課題を解決した拡散反射する反射シートが望まれている。
無機物粒子を添加しないで内部に孔を形成させた白色樹脂シートとしては、特許文献3に、ポリプロピレン65〜93重量%と非相溶性樹脂5〜20重量%とを含む白色二軸延伸ポリオレフィンシートが開示されているが、これは印刷用紙やラベルなどに使用される白色シートとして使用することはできるが、液晶表示装置のバックライトなどに使用することができるような高い反射率を得ることは難しい。
無機物粒子を添加しないで内部に孔を形成させた白色樹脂シートとしては、特許文献3に、ポリプロピレン65〜93重量%と非相溶性樹脂5〜20重量%とを含む白色二軸延伸ポリオレフィンシートが開示されているが、これは印刷用紙やラベルなどに使用される白色シートとして使用することはできるが、液晶表示装置のバックライトなどに使用することができるような高い反射率を得ることは難しい。
また、特許文献4には、ポリプロピレン樹脂50体積%以上80体積%未満と、ポリプロピレン樹脂の延伸が可能な温度でポリプロピレン樹脂と相分離する樹脂20体積%以上50体積%未満とを含む樹脂組成物からなる反射シートが開示されている。これには通常の簡便な樹脂延伸製造装置で、無機粉末を含むことなく90%以上の高い反射率を有する反射シートが提供されている。しかしながら、最近の液晶表示装置ではより高い反射性能が要求されており、1%でも反射率が高い反射シートへの要求は強い。これは1%の差でも、繰り返し反射の効果により、実質的にこの2〜3倍の性能アップになるためといわれている。
本発明は、無機粉末を大量には含まない樹脂組成物からなる反射シートであって、より高い反射率を有するシートを提供することを目的とする。
なお、厚みが200μm以下のものをフィルムといい、厚みが200μmを超えるものをシートというように用語を区別して用いるケースがあるが、本願明細書においては、前記のフィルム及びシートの両者を共にシートという。
なお、厚みが200μm以下のものをフィルムといい、厚みが200μmを超えるものをシートというように用語を区別して用いるケースがあるが、本願明細書においては、前記のフィルム及びシートの両者を共にシートという。
本発明者らは、前記課題を解決するために鋭意研究を行った結果、ポリプロピレン樹脂及び該ポリプロピレン樹脂と非相溶性の樹脂を含む反射シートにおいて、ある特定の温度でのシートの熱収縮率が特定の値以下にあるものが、高い反射性能を有することを見出して本発明をなすに至った。
即ち、本発明は下記の通りの反射シートである。
即ち、本発明は下記の通りの反射シートである。
(1)ポリプロピレン樹脂(A)と、該ポリプロピレン樹脂と非相溶性の樹脂(B)の少なくとも1種以上とを含む二軸延伸反射シートであって、その相分離構造が、ポリプロピレン樹脂(A)の海相とポリプロピレン樹脂と非相溶性の樹脂(B)の島相とからなる海−島構造であって、坪量が100〜500(g/m2)であり、密度が0.30〜0.75(g/cm3)であり、150℃/30分での熱収縮率がMD、TDのいずれの方向も15%以下であることを特徴とする反射シート。
(2)ポリプロピレン樹脂(A)が50体積%以上、80体積%未満、ポリプロピレン樹脂と非相溶性の樹脂(B)が20体積%以上50体積%未満であることを特徴とする上記(1)記載の反射シート。
(3)ポリプロピレン樹脂(A)の延伸可能な温度における非相溶性の樹脂(B)の弾性率がポリプロピレン樹脂(A)より大きいことを特徴とする上記(1)又は(2)記載の反射シート。
(4)ポリプロピレン樹脂と非相溶性の樹脂としてポリカーボネート樹脂を含むことを特徴とする上記(1)〜(3)のいずれかに記載の反射シート。
(5)平均全反射率が、95%以上であることを特徴とする上記(1)〜(4)のいずれかに記載の反射シート。
(2)ポリプロピレン樹脂(A)が50体積%以上、80体積%未満、ポリプロピレン樹脂と非相溶性の樹脂(B)が20体積%以上50体積%未満であることを特徴とする上記(1)記載の反射シート。
(3)ポリプロピレン樹脂(A)の延伸可能な温度における非相溶性の樹脂(B)の弾性率がポリプロピレン樹脂(A)より大きいことを特徴とする上記(1)又は(2)記載の反射シート。
(4)ポリプロピレン樹脂と非相溶性の樹脂としてポリカーボネート樹脂を含むことを特徴とする上記(1)〜(3)のいずれかに記載の反射シート。
(5)平均全反射率が、95%以上であることを特徴とする上記(1)〜(4)のいずれかに記載の反射シート。
本発明の反射シートは、坪量、密度が同程度の従来の反射シートに比べてより高い反射率を示す。
本発明について、以下具体的に説明する。
(反射シートを構成する樹脂組成物)
本発明の反射シートを構成する樹脂組成物は、ポリプロピレン樹脂(A)及びこのポリプロピレン樹脂(A)と非相溶性の樹脂(B)の少なくとも一種を含む。
〈ポリプロピレン樹脂(A)〉
ポリプロピレン樹脂(A)は、プロピレンの単独重合体やプロピレンと共重合が可能なエチレンなどのモノマーとの共重合体などのポリプロピレン樹脂である。ポリプロピレン樹脂(A)は、JISK7210の方法で温度230℃、荷重21.2Nで、測定されるメルトフローレートが0.1〜l0g/分であるポリプロピレン樹脂であることが好ましい。メルトフローレートは、ポリプロピレン樹脂を溶融成形するときの押出機の負荷及び樹脂組成物の熱による変色の観点から、0.lg/分以上であることが好ましく、樹脂の粘度及び成形性の観点から、10g/分以下であることが好ましい。樹脂延伸時の張力及び延伸性の観点から、樹脂組成物全体に占めるポリプロピレン樹脂(A)の比率は50体積%以上が好ましい。一方、樹脂組成物を押し出したシートを延伸してシートの内部に孔を形成させて95%以上の高い平均全反射率の反射シートを得るためには、樹脂組成物全体に占めるポリプロピレン樹脂(A)の比率は80体積%未満が好ましく、より好ましくは70体積%未満である。ここでいう平均全反射率とは、波長550nmの光についてシートのMD方向とTD方向の各々から入射した時の全反射率を測定し、両方向の平均値をいう。
(反射シートを構成する樹脂組成物)
本発明の反射シートを構成する樹脂組成物は、ポリプロピレン樹脂(A)及びこのポリプロピレン樹脂(A)と非相溶性の樹脂(B)の少なくとも一種を含む。
〈ポリプロピレン樹脂(A)〉
ポリプロピレン樹脂(A)は、プロピレンの単独重合体やプロピレンと共重合が可能なエチレンなどのモノマーとの共重合体などのポリプロピレン樹脂である。ポリプロピレン樹脂(A)は、JISK7210の方法で温度230℃、荷重21.2Nで、測定されるメルトフローレートが0.1〜l0g/分であるポリプロピレン樹脂であることが好ましい。メルトフローレートは、ポリプロピレン樹脂を溶融成形するときの押出機の負荷及び樹脂組成物の熱による変色の観点から、0.lg/分以上であることが好ましく、樹脂の粘度及び成形性の観点から、10g/分以下であることが好ましい。樹脂延伸時の張力及び延伸性の観点から、樹脂組成物全体に占めるポリプロピレン樹脂(A)の比率は50体積%以上が好ましい。一方、樹脂組成物を押し出したシートを延伸してシートの内部に孔を形成させて95%以上の高い平均全反射率の反射シートを得るためには、樹脂組成物全体に占めるポリプロピレン樹脂(A)の比率は80体積%未満が好ましく、より好ましくは70体積%未満である。ここでいう平均全反射率とは、波長550nmの光についてシートのMD方向とTD方向の各々から入射した時の全反射率を測定し、両方向の平均値をいう。
〈ポリプロピレン樹脂(A)と非相溶性の樹脂(B)〉
ポリプロピレン樹脂と非相溶性の樹脂(B)(以下、単に「樹脂(B)」ともいう)には、ポリエチレン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリメチルメタアクリレート樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリメチルペンテン樹脂、ポリノルボルネン樹脂などのポリシクロオレフィン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂などがある。これらの樹脂のなかでポリプロピレン樹脂の延伸が可能な温度における弾性率が、ポリプロピレン樹脂より高い樹脂がより好ましく、例えば、ポリカーボネート樹脂、ポリメチルペンテン樹脂、ポリノルボルネン樹脂などのポリシクロオレフィン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂などが挙げられる。これらの樹脂のなかから少なくとも1種類の樹脂をポリプロピレン樹脂と溶融混合して用いることが好ましく、ポリカーボネート樹脂を用いることが最も好ましい。
ポリプロピレン樹脂と非相溶性の樹脂(B)(以下、単に「樹脂(B)」ともいう)には、ポリエチレン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリメチルメタアクリレート樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリメチルペンテン樹脂、ポリノルボルネン樹脂などのポリシクロオレフィン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂などがある。これらの樹脂のなかでポリプロピレン樹脂の延伸が可能な温度における弾性率が、ポリプロピレン樹脂より高い樹脂がより好ましく、例えば、ポリカーボネート樹脂、ポリメチルペンテン樹脂、ポリノルボルネン樹脂などのポリシクロオレフィン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂などが挙げられる。これらの樹脂のなかから少なくとも1種類の樹脂をポリプロピレン樹脂と溶融混合して用いることが好ましく、ポリカーボネート樹脂を用いることが最も好ましい。
本発明では、樹脂組成物全体の20体積%以上50体積%未満が、樹脂(B)であることが好ましい。樹脂(B)は、延伸張力を小さくするという観点から、樹脂組成物全体の50体積%未満であることが好ましい。シートの孔数及び孔体積を多くして95%以上の高い平均全反射率を得るという観点から、樹脂(B)は樹脂組成物全体の20体積%以上が好ましく、好ましくは30体積%以上である。樹脂組成物を処方する場合、重量%から体積%への換算は、各樹脂の基本特性の密度から計算出来る。例えばポリプロピレン樹脂の密度は0.89〜0.91g/cm3、ポリカーボネート樹脂の密度は1.2g/cm3であり、これらの値から容易に換算出来る。
本発明では、樹脂組成物の内部に孔を形成させるための無機物粒子は樹脂組成物には積極的には添加しない。なお、反射シートをバックライトの組立装置のローラーやガイドレールと滑り易くさせるために滑剤として、0.1〜1重量%程度の微少量の微粒子シリカなどを添加してもよい。また、紫外線によるシートの黄変を防止する目的で酸化亜鉛、酸化チタンなどの金属酸化物粒子を0.1〜1重量%程度添加してもよい。この場合の粒子径0.01〜10μmであり、好ましくは0.01〜1μmである。
本発明の反射シートは、例えば、ポリプロピレン樹脂(A)を50体積%以上80体積%未満と樹脂(B)を20体積%以上50体積%未満とを溶融混合し、ポリプロピレン樹脂の海の中に、樹脂(B)の島が分散する、いわゆる海−島構造の樹脂組成物を、シート状に押出した後、延伸することにより得られる。
本発明の反射シートは、例えば、ポリプロピレン樹脂(A)を50体積%以上80体積%未満と樹脂(B)を20体積%以上50体積%未満とを溶融混合し、ポリプロピレン樹脂の海の中に、樹脂(B)の島が分散する、いわゆる海−島構造の樹脂組成物を、シート状に押出した後、延伸することにより得られる。
ポリプロピレン樹脂(A)や樹脂(B)のぺレットを二軸押出機などの押出機を使って溶融して押し出す場合に、樹脂(B)は、押出機の内部で押出機のシリンダーとスクリュ一の隙間やスクリュ一同士の隙間などを通過するときに、スクリュ一の回転によるせん断力によって、通常の数mm程度の大きさの樹脂ペレットから数μm程度の大きさの分散相にまで細かく分割される。押出機のスクリューの形状やシリンダー温度やスクリューの回転数などを適切に設定することにより、樹脂(B)が分割される大きさの平均値や分布を調整することができる。
樹脂(B)のなかで、ポリプロピレン樹脂の延伸が可能な温度における弾性率がポリプロピレン樹脂より大きい樹脂が好ましい。その理由は次のように考えられる。本発明は、樹脂組成物のシートをポリプロピレン樹脂の延伸が可能な温度で延伸して、樹脂組成物中の樹脂(B)相とポリプロピレン樹脂(A)相との界面を開裂させることによってシートの内部に孔を形成させる。シートを延伸する温度で、樹脂(B)の弾性率がポリプロピレン樹脂(A)の弾性率より大きいと、樹脂(B)相の延伸力による変形量はポリプロピレン樹脂(A)相の変形量よりも小さいため、樹脂(B)相とポリプロピレン樹脂(A)相との界面がより開裂しやすくなると考えられる。
本発明の樹脂(B)の好ましい例であるポリカーボネート樹脂は、芳香族ポリカーボネート、直鎖状ポリカーボネート、分岐鎖状ポリカーボネートのなかから単独で、又は組み合わせて使用することができる。ポリカーボネート樹脂は、JISK7210の方法で温度300℃、荷重11.8Nで測定されたメルトフローレートが0.1〜50g/l0分であるポリカーボネート樹脂が好ましい。ポリプロピレン樹脂との混合を均一にするという観点から、ポリカーボネート樹脂のメルトフローレートは0.1g/l0分以上が好ましく、延伸時に孔を形成しやすいという観点から、メルトフローレートは50g/l0分以下が好ましい。
ポリカーボネート樹脂以外の樹脂(B)の例として、ポリアミド樹脂が挙げられる。ポリアミド樹脂は、ポリアミド66、ポリアミド6、ポリアミド610、ポリアミド612、ポリアミド11、ポリアミド12、芳香族ポリアミドなどのなかから単独で、又は組み合わせて使用することができる。ポリアミド樹脂は、押し出し機で押し出すときの分散性の観点から、融点が300で以下であるポリアミド樹脂が好ましい。
本発明では、ポリプロピレン樹脂(A)と樹脂(B)に加えて、ポリスチレン樹脂を使用することができる。ポリスチレン樹脂として、JISK7210の方法で温度200℃、荷重49Nで測定されるメルトフローレートが0.1〜20g/l0分であるポリスチレン樹脂が好ましい。ポリスチレン樹脂を樹脂組成物全体の5体積%以下添加することにより、樹脂組成物全体の透明性を大きく損なうことなく、樹脂組成物全体を溶融混合するための押出機の回転トルクを軽減したり、シートの内部に孔を生成させるためにシートを延伸する時の張力を低下させるなど、反射シートを製造する工程や設備をより簡潔なものにする効果を与える。押出機の回転トルクの軽減やシートの延伸張力が低下する効果を十分に得る観点から、且つ光学的に均一なシートを得るという観点から、ポリスチレン樹脂の樹脂組成物全体に対する比率は5体積%以下が好ましい。
本発明では、ポリプロピレン樹脂(A)と樹脂(B)と必要に応じてポリスチレン樹脂とを混合した樹脂組成物を使用するが、樹脂組成物には必要に応じて紫外線吸収剤や光安定剤や熱安定剤や造核剤や帯電防止剤などを添加してもよい。
本発明では、ポリプロピレン樹脂(A)と樹脂(B)と必要に応じてポリスチレン樹脂とを混合した樹脂組成物を使用するが、樹脂組成物には必要に応じて紫外線吸収剤や光安定剤や熱安定剤や造核剤や帯電防止剤などを添加してもよい。
(反射シートの物性)
本発明の反射シートは、内部に微小な孔を多数有する構造であって、その孔構造が、坪量で100〜500g/m2、密度で0.30〜0.75g/cm3であることを特徴とする。坪量が100g/m2未満では、強度が十分でない上に高い反射率が得られない。また500g/m2を超えると十分な反射性能を得るために厚みが厚くなる上に、生産性も悪く、成形が難しい。好ましくは150〜400g/m2であり、より好ましくは200〜350g/m2である。またその密度は、0.30g/cm3未満では強度が十分でない上に微小な孔を多数有する構造を形成しにくいことから高い反射率が得られない。また0.75g/cm3を超えると同じく微小な孔を多数有する構造が造りにくくなることから高い反射率が得られない。好ましくは0.35〜0.70g/cm3であり、より好ましくは0.40〜0.60g/cm3である。
本発明の反射シートは、内部に微小な孔を多数有する構造であって、その孔構造が、坪量で100〜500g/m2、密度で0.30〜0.75g/cm3であることを特徴とする。坪量が100g/m2未満では、強度が十分でない上に高い反射率が得られない。また500g/m2を超えると十分な反射性能を得るために厚みが厚くなる上に、生産性も悪く、成形が難しい。好ましくは150〜400g/m2であり、より好ましくは200〜350g/m2である。またその密度は、0.30g/cm3未満では強度が十分でない上に微小な孔を多数有する構造を形成しにくいことから高い反射率が得られない。また0.75g/cm3を超えると同じく微小な孔を多数有する構造が造りにくくなることから高い反射率が得られない。好ましくは0.35〜0.70g/cm3であり、より好ましくは0.40〜0.60g/cm3である。
さらに本発明の反射シートは、その熱収縮率に特徴を有する。通常の2軸延伸方法で得られたシートは、その延伸方法にもよるが、延伸後に延伸温度近傍で熱収縮させると縦方向(MD方向)、横方向(TD方向)のいずれかあるいは縦方向と横方向の両方向に大きく熱収縮する。
これに対して、本発明の反射シートは、150℃/30分での熱収縮率がMD、TDのいずれの方向も15%以下である。好ましくはその収縮率が12%以下であり、より好ましくは10%以下である。
本発明者等は、シートの両方向の熱収縮率を前記の特定の値以下に抑えることにより、反射シートの反射率が通常の方法で得られた同等の坪量、密度を有する反射シートに比べて0.5〜5%高くなることを見出した。そして、反射シートの技術分野においてはこの程度の反射率の向上は実用上では極めて意味のある特性上の差異である。
これに対して、本発明の反射シートは、150℃/30分での熱収縮率がMD、TDのいずれの方向も15%以下である。好ましくはその収縮率が12%以下であり、より好ましくは10%以下である。
本発明者等は、シートの両方向の熱収縮率を前記の特定の値以下に抑えることにより、反射シートの反射率が通常の方法で得られた同等の坪量、密度を有する反射シートに比べて0.5〜5%高くなることを見出した。そして、反射シートの技術分野においてはこの程度の反射率の向上は実用上では極めて意味のある特性上の差異である。
(成形方法)
本発明では、好ましくは押出機で溶融混合された原料樹脂を押出機の先端に取り付けたダイからシート状に押し出すが、押し出される樹脂組成物の量を安定させるために押出機とダイの間にギヤポンプを使用してもよい。本発明では、Tダイやフィッシュテールダイなどのシート成形ダイが使用される。ダイは単層ダイでも積層ダイでもよく、積層ダイを使用する場合は、中心層と表面層とでポリプロピレン樹脂(A)とポリプロピレン樹脂と非相溶性の樹脂(B)との比率を変えたり、ポリスチレン樹脂の添加比率を変えたりすることができる。
たとえば、中心層は樹脂(B)の比率を大きくし、表面層は樹脂(B)の比率を小さくすることによって、延伸加工がしやすくシートの反射率が高いものが得られやすくなる。また、表面層にポリスチレン樹脂を添加することによっても、延伸加工性が良く反射率が高いシートを得られやすくすることができる。
ダイの温度を適切に調整することによって、ダイから押し出されるシートの内部で樹脂(B)が流れ方向に伸張されて、ポリプロピレン樹脂の海に樹脂(B)を細長い形状の島で分散させた海島構造をとらせることができる。
本発明では、好ましくは押出機で溶融混合された原料樹脂を押出機の先端に取り付けたダイからシート状に押し出すが、押し出される樹脂組成物の量を安定させるために押出機とダイの間にギヤポンプを使用してもよい。本発明では、Tダイやフィッシュテールダイなどのシート成形ダイが使用される。ダイは単層ダイでも積層ダイでもよく、積層ダイを使用する場合は、中心層と表面層とでポリプロピレン樹脂(A)とポリプロピレン樹脂と非相溶性の樹脂(B)との比率を変えたり、ポリスチレン樹脂の添加比率を変えたりすることができる。
たとえば、中心層は樹脂(B)の比率を大きくし、表面層は樹脂(B)の比率を小さくすることによって、延伸加工がしやすくシートの反射率が高いものが得られやすくなる。また、表面層にポリスチレン樹脂を添加することによっても、延伸加工性が良く反射率が高いシートを得られやすくすることができる。
ダイの温度を適切に調整することによって、ダイから押し出されるシートの内部で樹脂(B)が流れ方向に伸張されて、ポリプロピレン樹脂の海に樹脂(B)を細長い形状の島で分散させた海島構造をとらせることができる。
(2軸延伸の方法)
本発明では、好ましくは、ダイから押し出されたシートを冷却ローラーなどで冷却固化させた後、延伸機で延伸する。延伸工程では、シート内部に孔を生成させるために、できるだけ低温で延伸を行う方が好ましい。高い温度で延伸を行う場合には、低温で延伸する場合と比べてシート内部の孔の生成が起こりにくい傾向がみられるので、延伸倍率を低温で延伸する場合より大きくすることが好ましい。
本発明では、押し出される樹脂の温度が200℃〜300℃の範囲になるように押出機やダイの運転条件を設定することが好ましく、押し出される樹脂は20℃〜150℃の範囲になるよう冷却ローラーの温度や速度を設定することが好ましい。シートを延伸することによって、シート内部のポリプロピレン樹脂(A)と樹脂(B)の界面を開裂させてシートの内部に孔を生成すると同時に、シートの厚みを所望の厚みにまで薄くすることができる。
本発明では、好ましくは、ダイから押し出されたシートを冷却ローラーなどで冷却固化させた後、延伸機で延伸する。延伸工程では、シート内部に孔を生成させるために、できるだけ低温で延伸を行う方が好ましい。高い温度で延伸を行う場合には、低温で延伸する場合と比べてシート内部の孔の生成が起こりにくい傾向がみられるので、延伸倍率を低温で延伸する場合より大きくすることが好ましい。
本発明では、押し出される樹脂の温度が200℃〜300℃の範囲になるように押出機やダイの運転条件を設定することが好ましく、押し出される樹脂は20℃〜150℃の範囲になるよう冷却ローラーの温度や速度を設定することが好ましい。シートを延伸することによって、シート内部のポリプロピレン樹脂(A)と樹脂(B)の界面を開裂させてシートの内部に孔を生成すると同時に、シートの厚みを所望の厚みにまで薄くすることができる。
本発明では、通常の2軸延伸法が採用出来る。即ち、縦横逐次2軸延伸、横縦逐次2軸延伸、同時2軸延伸、さらにこれらの2軸延伸の後に、縦横いずれかあるいは両方の方向に再延伸することも出来る。好ましくは、最も汎用的な縦横逐次2軸延伸である。
延伸は速度差をつけた複数のローラーの間をシートを通過させて流れ方向にシートを延伸する縦延伸工程と、クリップテンターなどを使用してシートの幅方向に延伸する横延伸工程とを単独又は組み合わせて行うことができる。あるいは、パンタグラフ延伸機などの同時2軸延伸機を使用して流れ方向と巾方向を同時に延伸することもできる.
2軸延伸の延伸倍率はMD方向、TD方向各々1.5倍以上であって、且つ面積延伸倍率が3倍以上50倍以下である。好ましくはMD、TD各々2倍以上、面積倍率が4倍以上20倍以下である。
延伸は速度差をつけた複数のローラーの間をシートを通過させて流れ方向にシートを延伸する縦延伸工程と、クリップテンターなどを使用してシートの幅方向に延伸する横延伸工程とを単独又は組み合わせて行うことができる。あるいは、パンタグラフ延伸機などの同時2軸延伸機を使用して流れ方向と巾方向を同時に延伸することもできる.
2軸延伸の延伸倍率はMD方向、TD方向各々1.5倍以上であって、且つ面積延伸倍率が3倍以上50倍以下である。好ましくはMD、TD各々2倍以上、面積倍率が4倍以上20倍以下である。
(緩和熱処理の方法)
熱収縮率を本発明で規定する範囲内に抑えるには、上記の2軸延伸後に、例えば以下の(1)〜(4)に示すような緩和熱処理方法を実施すればよい。
(1)シートの端部を拘束せずに、適当な温度のオーブン中で熱収縮させる。この時の温度は130〜170℃である。この場合の温度と時間は樹脂組成物の種類、組成割合、成形条件(特に延伸条件)によって設定される。処理温度が低いとその効果は小さい。また処理温度が高過ぎるとポリプロピレン樹脂が大きく収縮、あるいは軟化溶融することで、逆に反射率が低下する。従って、好ましくは、140〜160℃、より好ましくは145〜155℃であり、またその処理時間は処理温度によって異なるが、5sec〜1hrである。処理時間が短いと効果が小さく、長すぎると反射率の低下、あるいは工業的には不利であり、好ましくは10sec〜10minである。
熱収縮率を本発明で規定する範囲内に抑えるには、上記の2軸延伸後に、例えば以下の(1)〜(4)に示すような緩和熱処理方法を実施すればよい。
(1)シートの端部を拘束せずに、適当な温度のオーブン中で熱収縮させる。この時の温度は130〜170℃である。この場合の温度と時間は樹脂組成物の種類、組成割合、成形条件(特に延伸条件)によって設定される。処理温度が低いとその効果は小さい。また処理温度が高過ぎるとポリプロピレン樹脂が大きく収縮、あるいは軟化溶融することで、逆に反射率が低下する。従って、好ましくは、140〜160℃、より好ましくは145〜155℃であり、またその処理時間は処理温度によって異なるが、5sec〜1hrである。処理時間が短いと効果が小さく、長すぎると反射率の低下、あるいは工業的には不利であり、好ましくは10sec〜10minである。
(2)シートの端部を拘束して、適当な収縮比になるまで、特定条件で拘束しながら収縮させる。この方法が熱処理後のシートの平面性等で均一なものが得られる点で好ましい。条件は上記(1)と同じである。この場合、シートの拘束方向は縦方向のみ、あるいは横方向のみ、あるいは縦横両方であってもよい。縦方向の拘束では、低速ロールと高速ロールからなるロール縦延伸機を用いて、延伸とは逆に高速ロールを低速ロールより遅くすることで出来る。また横方向の拘束ではテンター横延伸機を用いて、テンタークリップ間をテンター走行とともに縮めることで出来る。更に、縦横両方の拘束では、テンター式同時2軸延伸機を用いてテンター走行とともに縦横を同時に縮めることで出来る。
またこの緩和熱処理は2軸延伸後、一度ある温度まで冷却して行ってもいいし、冷却せずにそのまま連続的に行ってもいい。冷却する場合の冷却温度は特に限定はしないが、室温からPPの結晶化温度の範囲内で選ぶことが効果的である。冷却せずにそのまま連続的に行う方法としては、テンター横延伸機を用いて横延伸後の熱処理ゾーンを利用してテンタークリップ間をテンター走行とともに縮めることで出来る。
(3)2軸延伸方法との組み合わせにおいて、縦横逐次2軸延伸後に同テンター内で、連続的に横方向拘束緩和熱処理する。この方法は好ましい方法である。緩和熱処理前に冷却する場合は、テンター内で、延伸ゾーンと緩和熱処理ゾーンの間に、冷却ゾーンを設けることで出来る。
(4)2軸延伸が縦横逐次2軸延伸法であって、MD、TDの延伸倍率の関係がMD≦TDであって、横延伸したのち、横延伸温度近傍の温度で横延伸倍率に対し横方向に10%以上(好ましくは15%以上、より好ましくは20%以上)の熱収縮を行う緩和熱処理を施す。例えば、縦方向に3倍、横方向に4〜5倍延伸した後、横方向に10%以上の緩和熱処理を行う。
またこの緩和熱処理は2軸延伸後、一度ある温度まで冷却して行ってもいいし、冷却せずにそのまま連続的に行ってもいい。冷却する場合の冷却温度は特に限定はしないが、室温からPPの結晶化温度の範囲内で選ぶことが効果的である。冷却せずにそのまま連続的に行う方法としては、テンター横延伸機を用いて横延伸後の熱処理ゾーンを利用してテンタークリップ間をテンター走行とともに縮めることで出来る。
(3)2軸延伸方法との組み合わせにおいて、縦横逐次2軸延伸後に同テンター内で、連続的に横方向拘束緩和熱処理する。この方法は好ましい方法である。緩和熱処理前に冷却する場合は、テンター内で、延伸ゾーンと緩和熱処理ゾーンの間に、冷却ゾーンを設けることで出来る。
(4)2軸延伸が縦横逐次2軸延伸法であって、MD、TDの延伸倍率の関係がMD≦TDであって、横延伸したのち、横延伸温度近傍の温度で横延伸倍率に対し横方向に10%以上(好ましくは15%以上、より好ましくは20%以上)の熱収縮を行う緩和熱処理を施す。例えば、縦方向に3倍、横方向に4〜5倍延伸した後、横方向に10%以上の緩和熱処理を行う。
<評価方法>
反射シートについて評価する物性の項目及びその評価方法についてまず説明する。
(1)厚み
反射シートの厚みは、ピーコック社製厚み計を使用して測定した。
(2)光全反射率・平均全反射率
反射シートの光全反射率は、島津製作所製分光光度計UV−3150と積分球試料台を使用して、ポリテトラフルオロエチレンの標準白板(ラボスフェア社製スペクトラロン)の反射率を100%とした相対反射率を波長400nm〜700nmの範囲で測定した。平均全反射率は波長550nmの光について、シートのMD方向とTD方向の各々から入射した時の測定値を求め、両者の平均値を平均全反射率とした。
(3)坪量
シートを50mm角に切り出し、その重量を測定することで求めた。
(4)密度
シートを50mm角に切り出し、その重量と中心部と各辺の中央部の計5点の厚みの平均値求め、密度を計算した。
(5)熱収縮率
シートを150mm角に切り出し、加熱オーブンに入れ、所定の条件で加熱した後取り出し、加熱前後の寸法変化から求めた。
反射シートについて評価する物性の項目及びその評価方法についてまず説明する。
(1)厚み
反射シートの厚みは、ピーコック社製厚み計を使用して測定した。
(2)光全反射率・平均全反射率
反射シートの光全反射率は、島津製作所製分光光度計UV−3150と積分球試料台を使用して、ポリテトラフルオロエチレンの標準白板(ラボスフェア社製スペクトラロン)の反射率を100%とした相対反射率を波長400nm〜700nmの範囲で測定した。平均全反射率は波長550nmの光について、シートのMD方向とTD方向の各々から入射した時の測定値を求め、両者の平均値を平均全反射率とした。
(3)坪量
シートを50mm角に切り出し、その重量を測定することで求めた。
(4)密度
シートを50mm角に切り出し、その重量と中心部と各辺の中央部の計5点の厚みの平均値求め、密度を計算した。
(5)熱収縮率
シートを150mm角に切り出し、加熱オーブンに入れ、所定の条件で加熱した後取り出し、加熱前後の寸法変化から求めた。
[実施例1]
ポリプロピレン樹脂(プライムポリマー社E−105GM)を62体積%(55重量%)、ポリカーボネート樹脂(旭美化成社ワンダーライトPC110)を38体積%(45重量%)混合した原料樹脂を、シリンダー口径が25mmでシリンダーと口径の比が48の同方向回転2軸押出機を使って、シリンダー温度を250℃、スクリューの回転数が100rpmの運転条件で溶融し、温度を250℃に調整したギヤポンプを介して、リップの巾が400mmでクリアランスが1.7mであるシートダイから押し出した。押し出された溶融樹脂を80℃に設定した一対のピンチローラーで引き取り、押出方向に溶融樹脂を引っ張りながら樹脂を冷却固化させて厚みが1.5mmのシートを作成した。
得られたシートを、ロール縦延伸機を使って押し出し方向(縦方向)に温度155℃で3倍延伸した後、テンター横延伸を使って巾方向(横方向)に温度が155℃で4倍延伸し、白色のシートを得た。この白色シートの全反射率を測定したところ、波長550nmの光の平均全反射率は96.5%であった。またこのシートの坪量と密度は、それぞれ220g/m2、0.48g/cm3であり、厚みは460μm、150℃/30分での熱収縮率はMD方向で8%、TD方向で28%であった。
この白色シートをA4サイズにカットし、各端部を拘束しないで、温度が130℃〜170℃の範囲で表1のように5℃間隔で設定したオーブンの中に10分間入れ緩和熱処理を行った。尚、165℃の熱処理時間は3分とした。各シートについて、この緩和熱処理によって収縮した収縮率、この熱処理によって得られた反射シートの波長が550nmの光の全反射率(MD方向入射とTD方向入射の平均値:平均全反射率)、坪量、密度、厚み、及び150℃/30分でのMD、TD各方向の熱収縮率を測定し、その結果を表1に示した。緩和熱処理を行うことで得られた本発明のシートは熱処理前に比べ、反射率が0.6〜2.3%向上していることが分かる。
ポリプロピレン樹脂(プライムポリマー社E−105GM)を62体積%(55重量%)、ポリカーボネート樹脂(旭美化成社ワンダーライトPC110)を38体積%(45重量%)混合した原料樹脂を、シリンダー口径が25mmでシリンダーと口径の比が48の同方向回転2軸押出機を使って、シリンダー温度を250℃、スクリューの回転数が100rpmの運転条件で溶融し、温度を250℃に調整したギヤポンプを介して、リップの巾が400mmでクリアランスが1.7mであるシートダイから押し出した。押し出された溶融樹脂を80℃に設定した一対のピンチローラーで引き取り、押出方向に溶融樹脂を引っ張りながら樹脂を冷却固化させて厚みが1.5mmのシートを作成した。
得られたシートを、ロール縦延伸機を使って押し出し方向(縦方向)に温度155℃で3倍延伸した後、テンター横延伸を使って巾方向(横方向)に温度が155℃で4倍延伸し、白色のシートを得た。この白色シートの全反射率を測定したところ、波長550nmの光の平均全反射率は96.5%であった。またこのシートの坪量と密度は、それぞれ220g/m2、0.48g/cm3であり、厚みは460μm、150℃/30分での熱収縮率はMD方向で8%、TD方向で28%であった。
この白色シートをA4サイズにカットし、各端部を拘束しないで、温度が130℃〜170℃の範囲で表1のように5℃間隔で設定したオーブンの中に10分間入れ緩和熱処理を行った。尚、165℃の熱処理時間は3分とした。各シートについて、この緩和熱処理によって収縮した収縮率、この熱処理によって得られた反射シートの波長が550nmの光の全反射率(MD方向入射とTD方向入射の平均値:平均全反射率)、坪量、密度、厚み、及び150℃/30分でのMD、TD各方向の熱収縮率を測定し、その結果を表1に示した。緩和熱処理を行うことで得られた本発明のシートは熱処理前に比べ、反射率が0.6〜2.3%向上していることが分かる。
[比較例1]
実施例1でテンター横延伸倍率を3倍にして横方向に延伸した後、同テンター内で引き続き幅方向に5%の通常実施される緩和熱処理を行って2軸延伸白色シートを得た。同白色シートの平均全反射率は96.8%であった。またこのシートの坪量と密度は、それぞれ260g/m2、0.53g/cm3であり、厚みは490μm、150℃/30分での熱収縮率はMD方向で10%、TD方向で22%であった。実施例1とほぼ等しい坪量、密度のシートであっても、150℃/30分での熱収縮率が本発明の範囲外であると反射率が2%低いことが分かる。
実施例1でテンター横延伸倍率を3倍にして横方向に延伸した後、同テンター内で引き続き幅方向に5%の通常実施される緩和熱処理を行って2軸延伸白色シートを得た。同白色シートの平均全反射率は96.8%であった。またこのシートの坪量と密度は、それぞれ260g/m2、0.53g/cm3であり、厚みは490μm、150℃/30分での熱収縮率はMD方向で10%、TD方向で22%であった。実施例1とほぼ等しい坪量、密度のシートであっても、150℃/30分での熱収縮率が本発明の範囲外であると反射率が2%低いことが分かる。
[実施例2]
実施例1で、テンター横延伸機で4倍に延伸した後、同テンター内後部の熱処理ゾーンで、テンター出口倍が3倍になるようにクリップ間を設定、即ち横方向で25%収縮させて緩和熱処理を施すようにセットして、横延伸を行った。延伸温度、熱処理温度はいずれも155℃で行った。得られたシートの波長550nmの平均全反射率は99.0%であった。またこのシートの坪量と密度は、それぞれ250g/m2、0.50g/cm3であり、厚みは500μm、150℃/30分での熱収縮率はMD方向で10.5%、TD方向で7%であった。
実施例1で、テンター横延伸機で4倍に延伸した後、同テンター内後部の熱処理ゾーンで、テンター出口倍が3倍になるようにクリップ間を設定、即ち横方向で25%収縮させて緩和熱処理を施すようにセットして、横延伸を行った。延伸温度、熱処理温度はいずれも155℃で行った。得られたシートの波長550nmの平均全反射率は99.0%であった。またこのシートの坪量と密度は、それぞれ250g/m2、0.50g/cm3であり、厚みは500μm、150℃/30分での熱収縮率はMD方向で10.5%、TD方向で7%であった。
[実施例3]
実施例2で、テンター横延伸を5倍に設定し、同様に同テンター内後部の熱処理ゾーンで、テンター出口倍が4倍になるようにクリップ間を設定、即ち横方向で20%収縮させて緩和熱処理を施すようにセットして、横延伸を行った。延伸温度、熱処理温度はいずれも155℃で行った。得られたシートの波長550nmの平均全反射率は98.8%であった。またこのシートの坪量と密度は、それぞれ225g/m2、0.48g/cm3であり、厚みは470μm、150℃/30分での熱収縮率はMD方向で9%、TD方向で10%であった。坪量、密度が同等である実施例1の緩和熱処理前のシートに対し、反射率で2.3%向上していることが分かる。
実施例2で、テンター横延伸を5倍に設定し、同様に同テンター内後部の熱処理ゾーンで、テンター出口倍が4倍になるようにクリップ間を設定、即ち横方向で20%収縮させて緩和熱処理を施すようにセットして、横延伸を行った。延伸温度、熱処理温度はいずれも155℃で行った。得られたシートの波長550nmの平均全反射率は98.8%であった。またこのシートの坪量と密度は、それぞれ225g/m2、0.48g/cm3であり、厚みは470μm、150℃/30分での熱収縮率はMD方向で9%、TD方向で10%であった。坪量、密度が同等である実施例1の緩和熱処理前のシートに対し、反射率で2.3%向上していることが分かる。
本発明の反射シートは高い反射率を示すので、液晶表示装置のバックライトとして好適に使用できる。
Claims (5)
- ポリプロピレン樹脂(A)と、該ポリプロピレン樹脂と非相溶性の樹脂(B)の少なくとも1種以上とを含む二軸延伸反射シートであって、その相分離構造が、ポリプロピレン樹脂(A)の海相とポリプロピレン樹脂と非相溶性の樹脂(B)の島相とからなる海−島構造であって、坪量が100〜500(g/m2)であり、密度が0.30〜0.75(g/cm3)であり、150℃/30分での熱収縮率がMD、TDのいずれの方向も15%以下であることを特徴とする反射シート。
- ポリプロピレン樹脂(A)が50体積%以上、80体積%未満、ポリプロピレン樹脂と非相溶性の樹脂(B)が20体積%以上50体積%未満であることを特徴とする請求項1記載の反射シート。
- ポリプロピレン樹脂(A)の延伸可能な温度における非相溶性の樹脂(B)の弾性率がポリプロピレン樹脂(A)より大きいことを特徴とする請求項1又は2記載の反射シート。
- ポリプロピレン樹脂と非相溶性の樹脂としてポリカーボネート樹脂を含むことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の反射シート。
- 平均全反射率が、95%以上であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の反射シート。
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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KR20140111644A (ko) | 2012-01-17 | 2014-09-19 | 미쓰비시 쥬시 가부시끼가이샤 | 반사재 |
WO2017013976A1 (ja) * | 2015-07-21 | 2017-01-26 | 東レ株式会社 | 白色反射フィルム |
CN109975902A (zh) * | 2017-12-27 | 2019-07-05 | 宁波长阳科技股份有限公司 | 一种液晶显示器用反射膜 |
KR20210145718A (ko) | 2019-03-28 | 2021-12-02 | 미쯔비시 케미컬 주식회사 | 반사재 |
-
2006
- 2006-12-22 JP JP2006345280A patent/JP2008158134A/ja active Pending
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KR101240916B1 (ko) * | 2011-02-01 | 2013-03-11 | 도레이첨단소재 주식회사 | 반사시트용 점착필름 및 그를 이용한 반사시트 |
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TWI697698B (zh) * | 2015-07-21 | 2020-07-01 | 日商東麗股份有限公司 | 白色反射薄膜及液晶顯示器用背光 |
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Legal Events
Date | Code | Title | Description |
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A711 | Notification of change in applicant |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A712 Effective date: 20090401 |
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A521 | Written amendment |
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