JP2009104852A - 反射体 - Google Patents
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Abstract
【課題】表示装置に用いた場合に、高い反射性能を発揮して、稜線領域の陰による輝度ムラあるいはランプイメージの発生を抑制し、かつ均一で高い輝度を示す表示装置を実現できること。
【解決手段】反射体4は、複数の凹部4aと、凹部4a間の稜線4bと、を有する反射体4であって、凹部4aは、発光体2を露出させる穴部4cを持つ底面4dと、底面4dと稜線4bとを連接する反射面4eと、を有し、稜線4b上に複数の膨出部4fを有する。
【選択図】図1
【解決手段】反射体4は、複数の凹部4aと、凹部4a間の稜線4bと、を有する反射体4であって、凹部4aは、発光体2を露出させる穴部4cを持つ底面4dと、底面4dと稜線4bとを連接する反射面4eと、を有し、稜線4b上に複数の膨出部4fを有する。
【選択図】図1
Description
本発明は反射体に関し、特に液晶表示装置のバックライトなどの照明装置に用いられる反射体に関する。
液晶はそれ自身が発光しないため、液晶を表示装置として使用するためには光源が必要となる。このため、液晶表示装置は、液晶、配向板、電極、偏光板などを含む液晶パネルと、この液晶パネルに光を照射する装置、一般にはバックライトと呼ばれる照明装置とを備えている。この場合、液晶表示装置には、光源の光を液晶パネルの画面に向けて効率よく反射させるために反射体が用いられている。
液晶表示装置のバックライトは、一般にエッジライト型バックライトと直下型バックライトの2種類に大きく分けられる。直下型バックライトは、液晶パネルの表示面とは反対側に冷陰極線管などの光源ランプを複数本並設してなるバックライトであり、大型テレビジョンなどに使用される大画面の液晶表示装置に用いられる。光源ランプの光は液晶側とは反対側にも照射されるため、直下型バックライトでは、光源ランプの液晶側とは反対側に通常はシート状の反射体を設けて光源の光を有効に液晶パネルに照射させている。
最近では、テレビジョンだけでなくパソコンでも動画を表示させることが多くなり、液晶表示装置はより明るいものが求められている。このため、液晶表示装置に使用されるバックライトでは、反射率が90%以上の反射体が使用されることが多く、より高い反射性能を求めて材料の反射率のアップ、折り曲げ加工による形状の工夫などの開発が進められている。また、液晶表示装置をより明るくするために、冷陰極線管などの光源の出力は増加する傾向にあり、そのために使用中のバックライトの温度はより高温になる傾向が見られる。このため、反射体に使用する樹脂には、液晶物質の耐熱温度に近い概ね80℃の耐熱性が必要となっている。そこで、液晶表示装置のバックライトに使用される反射体には、シートに成形し易く耐熱性にも優れた樹脂組成物を用いることが望ましい。さらに、大型テレビジョンなどの大画面の液晶表示装置に使用されるバックライトでは、大きい面積の反射体が長期間にわたって強い光に照らされることになる。このため反射体には、光源の光による変色や変質が少ないことや、温度上昇や吸湿による反りなどの変形が長期間にわたって起こりにくいことも要求される。
一方、最近では大画面の液晶表示装置の直下型バックライトにおいても、冷陰極線管に替わって多数の発光ダイオードを碁盤の目の如く一面に並べたバックライトも用いられるようになってきた。このケースでは個々の発光ダイオードの輝度が高いために、ダイオードのランプイメージが表示部に残り易いという問題があった。そのため、発光ダイオードの直上の拡散板などに一度光を反射させて、その反射光を再度反射体で反射させる、あるいは発光ダイオードと拡散板の距離を大きくとるなどの工夫を施すことで、このランプイメージを極力抑えるような対応がなされている。
内部に孔や気泡を含む樹脂のシートは、光を照射すると光が反射されて白く見えたり、真珠様の光沢を示したりすることはよく知られている。内部に孔や気泡を含む樹脂が光をよく反射する理由は次のように考えられる。樹脂の屈折率は概ね1.4〜1.6で、空気の屈折率は約1であるため、樹脂と空気の屈折率の差によって生じる光の反射率は1回の反射あたりでは約4%にすぎない。しかし内部に多数の孔や気泡を含む樹脂のシートでは、内部に樹脂と空気の界面が多数存在するため、シートに照射された光はシートの内部で多数回反射される。この結果、内部に多数の孔や気泡を含む樹脂のシートでは、照射された光はシートの内部で大部分が反射され、その結果、シート全体としての反射率が大きくなると考えられる。
また、樹脂の内部に含まれる多数の孔や気泡は、各々の形状や大きさが異なる場合が多いため、孔や気泡の界面で反射される光は一つの方向にまとまって反射されることは少なく、反射する光の方向は各々の孔や気泡ごとに異なる。このため、内部に多数の孔や気泡を含む樹脂のシートに光を照射した場合の反射は、入射した光があらゆる方向に反射する拡散反射となり易い。内部に孔や気泡を含む樹脂組成物のシートとしては、(1)無機物の粉末を添加した樹脂を延伸することによって、樹脂と無機物の粉末との界面を開裂させて、樹脂の内部に孔を形成させたものや、(2)樹脂に加圧した不活性ガスを溶解させた後、減圧して発泡させ、樹脂の内部に気泡を形成させたものが知られている。(1)の樹脂シートとしては、例えば、特許文献1に、微粒子炭酸カルシウムを5重量%〜30重量%含有させたポリエチレンテレフタレート樹脂を溶融押し出し二軸延伸して、密度から計算されたボイド率が7%〜30%である白色ポリエチレンテレフタレートのシートが開示されている。また、(2)の樹脂シートとしては、例えば、特許文献2に、熱可塑性ポリエステルに炭酸ガスなどの不活性ガスを加圧雰囲気下で溶解させた後、常圧下で加熱して発泡させた、内部に微細気泡を含む光反射体が開示されている。
一方、拡散反射に対して、反射面に対して光が入射する角度と反射する角度とが対称である反射は正反射とよばれ、その反射面は鏡面状を呈する。樹脂シートで正反射するものとしては、(3)ポリエステル樹脂のシートの表面を蒸着などの方法によって銀などの反射率が大きい物質で被覆したものが知られている。この例の反射体は、鏡面状の正反射を起こすシートであるが、大型テレビジョンなどの大画面液晶表示装置に使用される直下型バックライトでは、複数本が配置される光源ランプの光が干渉して液晶画面の明るさに斑が生じやすくなることが知られている。このために、直下型バックライトには拡散反射を起こす反射体が使用されることが多い。
無機物粒子を添加しないで内部に孔を形成させた白色樹脂シートとしては、特許文献3に、ポリプロピレン65重量%〜93重量%と非相溶性樹脂5重量%〜20重量%とを含む白色二軸延伸ポリオレフィンシートが開示されている。また、特許文献4には、ポリプロピレン樹脂50体積%以上80体積%未満と、ポリプロピレン樹脂の延伸が可能な温度でポリプロピレン樹脂と相分離する樹脂20体積%以上50体積%未満とを含む樹脂組成物で構成された反射体が開示されている。
前記従来の反射体は、通常平板状で使用されているが、反射効率を上げる目的で、機械的な折り曲げ加工、カット−折り曲げ加工、あるいは2次元の曲面形状に加工されて使用されるケースも多い。しかしながら、より反射性能を向上させるためには、バックライトの使用形態に合わせて反射体を最適な形状に3次元形状に加工されることが求められる。例えば、発光ダイオード(LED)バックライト方式の場合、反射効率を向上させるために、碁盤の目の如く多数配置されたLEDの配置に合わせて、LED直下を凹状に折り曲げ加工した反射体が提案されている。3次元形状を工夫し、この3次元構造面を、反射方向を制御するための反射面にすることで、反射効率が上がり、LEDなどのランプイメージが消えやすくなれば、ランプと拡散板までの距離も短くすることも可能になり、より薄いバックライトユニットを形成することもできる。特許文献5には、凹状の反射層を有する発光体素子を備えた照明装置が開示されている。また、特許文献6には、凹状の反射体において、複数の反射面部が互いに隣接して配列され、隣接する反射面部間の表面側が稜線で連続して設けたれた反射体が提案されている。LEDバックライト方式では、凹状に3次元加工された反射体の上に通常は拡散板が配置されるが、反射体の上に直接拡散板を配置する場合、特許文献5、6で提案された反射体では、反射体上面の反射面同士が隣接する稜線部が拡散板に直接接することになり、この部分が陰になって、輝度ムラあるいはランプイメージ発生の原因になる。そのため、拡散板に適当な支持体を設けることなどにより反射体と拡散板の間に適度な間隔をあけるなどの対応が必要になる。
特公平6−89160号公報
特許第2925745号公報
特許第3139510号公報
国際公開第2005/096036号パンフレット
特開2001−338505号公報
特開2004−185972号公報
本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、表示装置に用いた場合に、高い反射性能を発揮して、稜線領域の陰による輝度ムラあるいはランプイメージの発生を抑制し、かつ均一で高い輝度を示す表示装置を実現できる反射体を提供することを目的とする。
本発明の反射体は、複数の凹部と、前記凹部間の稜線と、を有する反射体であって、前記凹部は、発光体を露出させる穴部を持つ底面と、前記底面と前記稜線とを連接する反射面と、を有し、前記稜線上に複数の膨出部を有することを特徴とする。
本発明の反射体においては、前記膨出部は、半球、球、又は楕円球の一部で構成されていることが好ましい。
本発明の反射体においては、前記膨出部は、前記稜線が交差する位置に設けられていることが好ましい。
本発明の反射体においては、前記膨出部の高さが前記凹部の深さの1/20〜1/2であることが好ましい。
本発明の反射体においては、前記稜線の幅が前記凹部の最大幅の1/100〜1/5であることが好ましい。
本発明の反射体においては、平面視において前記凹部の形状が多角形であることが好ましい。
本発明の反射体においては、平面視において前記凹部の形状が四角形であり、前記稜線が交差する位置に前記膨出部が設けられていることが好ましい。
本発明の反射体においては、前記反射体が、ポリプロピレン樹脂(A)で構成された海相と、前記ポリプロピレン樹脂に対して非相溶性である樹脂(B)で構成された島相と、で相分離構造を構成し、坪量が30g/m2〜500g/m2であり、密度が0.25g/cm3〜0.75g/cm3であることが好ましい。この場合において、前記ポリプロピレン樹脂(A)が50体積%〜80体積%であり、前記樹脂(B)が20体積%〜50体積%であることが好ましい。
本発明の反射体においては、前記ポリプロピレン樹脂(A)の延伸可能な温度における前記樹脂(B)の弾性率が前記ポリプロピレン樹脂(A)の弾性率より大きいことが好ましい。
本発明の反射体においては、前記樹脂(B)がポリカーボネート樹脂であることが好ましい。
本発明の反射体においては、前記反射体の厚さの1/30〜1/3の厚さの保護層を有することが好ましい。この場合において、前記保護層が前記ポリプロピレン樹脂(A)を80体積%以上含むことが好ましい。
本発明の反射体は、複数の凹部と、前記凹部間の稜線と、を有し、前記凹部は、発光体を露出させる穴部を持つ底面と、前記底面と前記稜線とを連接する反射面と、を有し、前記稜線上に複数の膨出部を有するので、表示装置に用いた場合に、高い反射性能を発揮して、稜線領域の陰による輝度ムラあるいはランプイメージの発生を抑制し、かつ均一で高い輝度を示す表示装置を実現できる。
以下、本発明の実施の形態について添付図面を参照して詳細に説明する。
(反射体の形状)
本発明の反射体は、複数の凹部と、前記凹部間の稜線と、を有し、前記凹部は、発光体を露出させる穴部を持つ底面と、前記底面と前記稜線とを連接する反射面と、を有し、前記稜線上に複数の膨出部を有するものである。
(反射体の形状)
本発明の反射体は、複数の凹部と、前記凹部間の稜線と、を有し、前記凹部は、発光体を露出させる穴部を持つ底面と、前記底面と前記稜線とを連接する反射面と、を有し、前記稜線上に複数の膨出部を有するものである。
ここで、本発明でいう反射体とは、全反射率が85%以上であるものであれば特に限定されない。本発明に係る反射体の形状には、シート状体や、このシート状体に賦形を施したものを含む。本発明において、稜線(尾根)とは、凹部間に存在する領域であって、平坦面を構成する領域をいう。反射面とは、発光体(光源)からの光を反射する性能を持つ面をいう。発光体とは、スポット状光源を有するものであり、実用上の観点から発光ダイオードが挙げられる。
図1は、本発明の実施の形態に係る反射体を備えた照明装置であるバックライトユニットの一部を示す側面図である。図1に示すバックライトユニット1は、所定の間隔をおいて実装された発光体である発光ダイオード(LED)2を有する配線基板3と、LED2が露出するように(後述する穴部を介して露出するように)配線基板3上に配設された反射体4と、反射体4上に配設された拡散板5とから主に構成されている。
反射体4は、シート状体であって、複数の凹部4aと、凹部4a間に存在する稜線4bとを含む。また、凹部4aにおいては、LED2を露出させる穴部4cを持つ底面4dと、底面4dと稜線4bとを連接する反射面4eとを有する。また、反射体4においては、稜線4b上に複数の膨出部4fを有する。図1においては、稜線4bの一つおきに膨出部4fが設けられている。また、拡散板5は、この膨出部4fで接し、この膨出部4fによって、反射体4と拡散板5とが一定の間隔で隔てられている。
膨出部4fの形状は、拡散板との接触面積をできるだけ小さくできる点を考慮すると、先端部が尖っている角錐形状、円錐形状、半球、又は楕円球の一部であることがから好ましく、強度面、成形性の点を考慮すると、半球、球、又は楕円球の一部であることがより好ましい。膨出部4fの高さHは、輝度ムラあるいはランプイメージ低減の面から適宜設定することが好ましい。膨出部4fの高さHは、ランプイメージの発生の抑制及び反射体4の強度の観点より、凹部4aの深さの1/20〜1/2であることが好ましく、1/10〜1/3がより好ましい。膨出部4fの幅は、膨出部4fの画像への影響をできるだけ抑えるという点から、配置される位置の稜線4bの幅を超えないことが好ましい。また、膨出部4fが配置される位置は、画像への膨出部4fの影響が最も少ない反射面4e同士が連接する、稜線4bが交差する位置に配置することが好ましい。このように、膨出部4fを設けることにより、反射面4eで反射された光がさらに膨出部4fで反射されることになる。このため、高い反射性能を発揮して、稜線領域の陰による輝度ムラあるいはランプイメージの発生を抑制し、かつ均一で高い輝度を示すことができる。
図2は、本発明の実施の形態に係る反射体を示す斜視図である。図2に示す反射体は、平面視において凹部4aの形状が多角形、具体的には四角形である。また、図2に示す反射体4においては、稜線4bが交差する位置4gに膨出部4fが設けられている。なお、膨出部4fの配置位置や、配置個数については特に制限されない。例えば、図3に示すように、膨出部4fを稜線4bの交差位置の一つおきに膨出部4fを設けても良く、バックライトユニットの大きさ、形状、あるいは反射面の形状、大きさ、個数などにより適宜決定することができる。また、平面視において凹部4aの形状については特に制限されない。例えば、図4に示すように、平面視において凹部4aの形状を六角形としても良く、LEDの配置状態などにより適宜決定することができる。
図5は反射体の凹部を示す図である。凹部4aは、LED2を露出させる穴部4cを持つ底面4dと、底面4dと稜線4bとを連接する反射面4eとを有する。稜線4bの交差位置4gに膨出部が設けられる。底面4dは、LED2を露出させるために円形あるいは四角形状の穴部4cが設けられる。この穴部の形状、大きさは、用いるLED2によって適宜変更することができる。稜線4bは、その交差する位置4gに膨出部を設けることから、ある幅をもった平坦面であることが好ましい。なお、稜線4bについては、陰になることを極力抑えるためにできるだけ狭い幅であることが好ましい。稜線4bの幅は、凹部4aの最大幅(ここでは四角形の対角線)の1/100〜1/5であることが好ましく、1/50〜1/10であることがより好ましい。
稜線4bの交差する位置4gは、この位置に膨出部を設けることから平坦面であることが好ましい。通常この部分は、図2、図4、図5に示すように、稜線4bの一部として特定されても良く、膨出部を設けること、あるいは強度、成形性などを考慮して、この部分を任意の形状にしても良い。図6においては、稜線4bの幅よりも大きい辺を有する四角形としている。この部分については、四角形以外の多角形や円形であっても良い。なお、膨出部の幅は、輝度ムラ抑制の観点から、最大幅で稜線4bの幅の3倍を超えないことが好ましい。
反射面4eは、図5において平面であるが、曲面であってもいい。その曲率も含めて反射面4eの形状は、LEDの発光特性や用いる反射体の反射特性によって適宜決定することができる。また、反射面4eの厚みは、材料の種類、機械特性、構造体として必要な自立強度、反射特性からの必要厚みなどから適宜決定することができる。例えば、シート状体の反射体である場合は、通常0.1mm〜2mmの厚みのシートが用いられる。
(反射体の成形方法)
本発明に係る反射体は、樹脂材料を用いて各種の方法で成形することができる。例えば、射出成形、シート状材料からの熱成形で成形することができる。射出成形では、反射特性を有する材料から直接射出成形する方法、あるいは射出成形後にコーティングなどで表面に反射特性を付与する方法がある。シート材料の熱成形では、真空成形、圧空成形あるいは熱圧縮成形などの通常の熱成形手法を適用することができる。各成形方法において、膨出部は、射出成形などにより別途成形しておき、反射面を成形した後に反射面に固定しても良く、あるいは金型に膨出部形状を設けておき、反射面の成形と同時に一体的に成形しても良い。生産性を考慮すると、反射面の成形と同時に膨出部を一体的に成形する方法が好ましい。また、大画面への対応、生産性、経済性、薄肉・軽量化への対応のし易さなどの面から、シート状材料を熱成形して反射体を得ることが好ましく、より好ましくは真空成形法、圧空成形法あるいは両者を組み合わせた方法で反射体を得ることが好ましい。
本発明に係る反射体は、樹脂材料を用いて各種の方法で成形することができる。例えば、射出成形、シート状材料からの熱成形で成形することができる。射出成形では、反射特性を有する材料から直接射出成形する方法、あるいは射出成形後にコーティングなどで表面に反射特性を付与する方法がある。シート材料の熱成形では、真空成形、圧空成形あるいは熱圧縮成形などの通常の熱成形手法を適用することができる。各成形方法において、膨出部は、射出成形などにより別途成形しておき、反射面を成形した後に反射面に固定しても良く、あるいは金型に膨出部形状を設けておき、反射面の成形と同時に一体的に成形しても良い。生産性を考慮すると、反射面の成形と同時に膨出部を一体的に成形する方法が好ましい。また、大画面への対応、生産性、経済性、薄肉・軽量化への対応のし易さなどの面から、シート状材料を熱成形して反射体を得ることが好ましく、より好ましくは真空成形法、圧空成形法あるいは両者を組み合わせた方法で反射体を得ることが好ましい。
真空成形とは、シート状の樹脂を加熱し軟化させ、それを所望の形状の金型に密着させ、シートと金型の間の空気を金型の下部に設けた吸引口から減圧吸引することで真空に近い状態を作り出し、型の形状にシートを密着させることで、意図する形状を作り出す成形法であって、枚葉タイプからのバッチ成形、ロール形状から繰り出す連続成形のいずれも対応できる。圧空成形とは、加熱軟化させたシートを、1kg/cm3〜5kg/cm3の圧縮空気により、型に密着させ、所定の形状を得る方法であり、金型に接触する面を製品の表面にすることで、射出成形と同等のシャープなデザインと表面性を表現できる。また真空成形に比べ高い圧力で成形ができるなどの特徴があり、枚葉タイプからのバッチ成形、ロール形状から繰り出す連続成形のいずれも対応できる。真空成形と圧空成形を組み合わせた方法とは、真空成形した後、その加熱状態を保ったまま連続的に圧空成形を行うことであり、複雑な形状、成形応力の高い材料の成形には通常この方法が採用される。
(反射体を構成する樹脂組成物)
本発明の反射体を構成する樹脂は、ポリプロピレン樹脂(A)、及びこのポリプロピレン樹脂(A)に対して非相溶性の樹脂(B)の少なくとも一種を含む樹脂組成物が好ましい。ポリプロピレン樹脂(A)は、プロピレンの単独重合体やプロピレンと共重合が可能なエチレンなどのモノマーとの共重合体などのポリプロピレン樹脂である。ポリプロピレン樹脂(A)は、JISK7210の方法で温度230℃、荷重21.2Nで、測定されるメルトフローレートが0.1g/10分〜10g/10分であるポリプロピレン樹脂であることが好ましい。メルトフローレートは、ポリプロピレン樹脂を溶融成形するときの押出機の負荷及び樹脂組成物の熱による変色の観点から、0.1g/10分以上であることが好ましく、樹脂の粘度及び成形性の観点から、10g/10分以下であることが好ましい。樹脂延伸時の張力及び延伸性の観点から、樹脂組成物全体に占めるポリプロピレン樹脂(A)の比率は50体積%以上が好ましい。一方、樹脂組成物を押し出したシートを延伸してシートの内部に孔を形成させて90%以上の高い平均全反射率の反射体を得るためには、樹脂組成物全体に占めるポリプロピレン樹脂(A)の比率は80体積%以下が好ましく、より好ましくは70体積%以下である。ここでいう平均全反射率とは、波長550nmの光についてシートのMD方向とTD方向の各々から入射した時の全反射率を測定し、両方向の平均値をいう。
本発明の反射体を構成する樹脂は、ポリプロピレン樹脂(A)、及びこのポリプロピレン樹脂(A)に対して非相溶性の樹脂(B)の少なくとも一種を含む樹脂組成物が好ましい。ポリプロピレン樹脂(A)は、プロピレンの単独重合体やプロピレンと共重合が可能なエチレンなどのモノマーとの共重合体などのポリプロピレン樹脂である。ポリプロピレン樹脂(A)は、JISK7210の方法で温度230℃、荷重21.2Nで、測定されるメルトフローレートが0.1g/10分〜10g/10分であるポリプロピレン樹脂であることが好ましい。メルトフローレートは、ポリプロピレン樹脂を溶融成形するときの押出機の負荷及び樹脂組成物の熱による変色の観点から、0.1g/10分以上であることが好ましく、樹脂の粘度及び成形性の観点から、10g/10分以下であることが好ましい。樹脂延伸時の張力及び延伸性の観点から、樹脂組成物全体に占めるポリプロピレン樹脂(A)の比率は50体積%以上が好ましい。一方、樹脂組成物を押し出したシートを延伸してシートの内部に孔を形成させて90%以上の高い平均全反射率の反射体を得るためには、樹脂組成物全体に占めるポリプロピレン樹脂(A)の比率は80体積%以下が好ましく、より好ましくは70体積%以下である。ここでいう平均全反射率とは、波長550nmの光についてシートのMD方向とTD方向の各々から入射した時の全反射率を測定し、両方向の平均値をいう。
ポリプロピレン樹脂の延伸が可能な温度でポリプロピレン樹脂と相分離する樹脂(B)(以下、単に「樹脂(B)」ともいう)には、ポリエチレン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリメチルメタアクリレート樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリメチルペンテン樹脂、ポリノルボルネン樹脂などのポリシクロオレフィン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂などがある。これらの樹脂のなかでポリプロピレン樹脂の延伸が可能な温度における弾性率が、ポリプロピレン樹脂のそれより高い樹脂がより好ましく、例えば、ポリカーボネート樹脂、ポリメチルペンテン樹脂、ポリノルボルネン樹脂などのポリシクロオレフィン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂などが挙げられる。これらの樹脂のなかから少なくとも1種類の樹脂をポリプロピレン樹脂と溶融混合して用いることが好ましく、ポリカーボネート樹脂を用いることが最も好ましい。
本発明においては、樹脂組成物全体の20体積%以上50体積%未満が、樹脂(B)であることが好ましい。樹脂(B)は、延伸張力を小さくするという観点から、樹脂組成物全体の50体積%未満であることが好ましい。シートの孔数及び孔体積を多くして95%以上の高い平均全反射率を得るという観点から、樹脂(B)は樹脂組成物全体の20体積%以上が好ましく、好ましくは30体積%以上である。樹脂組成物を処方する場合、重量%から体積%への換算は、各樹脂の基本特性の密度から計算できる。例えばポリプロピレン樹脂の密度は0.89g/cm3〜0.91g/cm3、ポリカーボネート樹脂の密度は1.2g/cm3であり、これらの値から容易に換算できる。
シート状の反射体には、無機物粒子は積極的には添加しないが、熱成形加工性を損なわない程度なら添加しても良い。例えば、反射体をバックライトの組立装置のローラーやガイドレールと滑り易くさせるために滑剤として、0.1重量%〜1重量%程度の微少量の微粒子シリカなどを添加しても良い。また、紫外線によるシートの黄変を防止する目的で酸化亜鉛、二酸化チタンなどの金属酸化物粒子を0.1重量%〜1重量%程度添加してもよい。この場合の粒子径0.01μm〜10μmであり、好ましくは0.01μm〜1μmである。さらに、反射性能の向上に寄与する二酸化チタン、硫酸バリウム、炭酸カルシウムなどを添加することで反射性能をより高くすることもできる。この場合の添加量は1重量%〜30重量%である。
シート状の反射体は、例えば、ポリプロピレン樹脂(A)を50体積%以上80体積%未満と、樹脂(B)を20体積%以上50体積%未満とを溶融混合し、ポリプロピレン樹脂の海の中に、樹脂(B)の島が分散する、いわゆる海−島構造の樹脂組成物を、シート状に押出した後、延伸することにより得られる。
ポリプロピレン樹脂(A)や樹脂(B)のペレットを二軸押出機などの押出機を使って溶融して押し出す場合に、ポリプロピレン樹脂(A)よりも硬い樹脂(B)は、押出機の内部で押出機のシリンダーとスクリューの隙間やスクリュー同士の隙間などを通過するときに、スクリューの回転によるせん断力によって、通常の数mm程度の大きさの樹脂ペレットから数μm程度の大きさの分散相にまで細かく分割される。押出機のスクリューの形状やシリンダー温度やスクリューの回転数などを適切に設定することにより、樹脂(B)が分割される大きさの平均値や分布を調整することができる。
樹脂(B)のなかで、ポリプロピレン樹脂の延伸が可能な温度における弾性率がポリプロピレン樹脂より大きい樹脂が好ましい。その理由は次のように考えられる。本発明は、樹脂組成物のシートをポリプロピレン樹脂の延伸が可能な温度で延伸して、樹脂組成物中の樹脂(B)相とポリプロピレン樹脂(A)相との界面を開裂させることによってシートの内部に孔を形成させる。シートを延伸する温度で、樹脂(B)の弾性率がポリプロピレン樹脂(A)の弾性率より大きいと、樹脂(B)相の延伸力による変形量はポリプロピレン樹脂(A)相の変形量よりも小さいため、樹脂(B)相とポリプロピレン樹脂(A)相との界面がより開裂しやすくなると考えられる。
さらに、樹脂(B)のポリプロピレン樹脂の延伸が可能な温度における弾性率がポリプロピレン樹脂より大きいことが本発明の反射体の成形加工性に大きく寄与していると考えられる。通常の2軸延伸ポリプロピレンはその延伸温度近傍まで温度を上げると大きな熱収縮を起こし変形するが、この延伸温度付近での弾性率がポリプロピレン樹脂より大きい樹脂(B)が存在することで、その熱変形が抑えられ、熱成形性を向上させていると考えられる。さらに樹脂(B)の存在が、反射体としての使用時の耐熱性をも向上させ、反射体の強度アップにも寄与している。
樹脂(B)の好ましい例であるポリカーボネート樹脂は、芳香族ポリカーボネート、直鎖状ポリカーボネート、分岐鎖状ポリカーボネートの中から単独で、又は組み合わせて使用することができる。ポリカーボネート樹脂は、JISK7210の方法で温度300℃、荷重11.8Nで測定されたメルトフローレートが0.1g/10分〜50g/10分であるポリカーボネート樹脂が好ましい。ポリプロピレン樹脂との混合を均一にするという観点から、ポリカーボネート樹脂のメルトフローレートは0.1g/10分以上が好ましく、延伸時に孔を形成しやすいという観点から、メルトフローレートは50g/10分以下が好ましい。
ポリカーボネート樹脂以外の樹脂(B)の例として、ポリアミド樹脂が挙げられる。ポリアミド樹脂は、ポリアミド66、ポリアミド6、ポリアミド610、ポリアミド612、ポリアミド11、ポリアミド12、芳香族ポリアミドなどのなかから単独で、又は組み合わせて使用することができる。ポリアミド樹脂は、押し出し機で押し出すときの分散性の観点から、融点が300度以下であるポリアミド樹脂が好ましい。
本発明では、ポリプロピレン樹脂(A)と樹脂(B)に加えて、ポリスチレン樹脂を使用することができる。ポリスチレン樹脂として、JISK7210の方法で温度200℃、荷重49Nで測定されるメルトフローレートが0.1g/10分〜20g/10分であるポリスチレン樹脂が好ましい。ポリスチレン樹脂を樹脂組成物全体の5体積%以下添加することにより、樹脂組成物全体の透明性を大きく損なうことなく、樹脂組成物全体を溶融混合するための押出機の回転トルクを軽減したり、シートの内部に孔を生成させるためにシートを延伸する時の張力を低下させるなど、反射体を製造する工程や設備をより簡潔なものにする効果を与える。押出機の回転トルクの軽減やシートの延伸張力が低下する効果を十分に得る観点から、かつ光学的に均一なシートを得るという観点から、ポリスチレン樹脂の樹脂組成物全体に対する比率は5体積%以下が好ましい。
ポリプロピレン樹脂(A)と樹脂(B)と必要に応じてポリスチレン樹脂とを混合した樹脂組成物に、さらに必要に応じて紫外線吸収剤や光安定剤や熱安定剤や造核剤や帯電防止剤などを添加しても良い。
反射体を構成するシート状反射体は、内部に微小な孔を多数有する構造であって、反射体の坪量が、30g/m2〜500g/m2、密度が0.25g/m2〜0.75g/cm3であることが好ましい。坪量は強度及び反射性能の観点から好ましくは50g/m2〜400g/m2であり、より好ましくは100g/m2〜350g/m2である。また、その密度は、反射率の観点から好ましくは0.30g/m2〜0.70g/cm3であり、より好ましくは0.40g/m2〜0.60g/cm3である。
さらに、反射体の少なくとも片面に、反射体の1/30〜1/3の厚みを有する保護層を設けても良い。この保護層は、反射面の機械的なキズなどからの保護、あるいは紫外線による反射体の黄変の防止、さらには、反射性能の更なる向上を図るなどの目的で設けることができる。紫外線による反射体の黄変防止の目的では、保護層に酸化亜鉛、二酸化チタンなどの金属酸化物粒子あるいは有機系の紫外線吸収剤を0.1重量%〜1重量%程度添加される。さらには必要に応じて光安定剤、熱安定剤や造核剤や帯電防止剤などを添加してもよい。この場合の金属酸化物の粒子径は0.01μm〜10μm、好ましくは0.01μm〜1μmである。また反射性能の向上の目的では、二酸化チタン、硫酸バリウム、炭酸カルシウムなどを1重量%〜30重量%添加することが出来る。この場合の粒子径は0.01μm〜10μm、好ましくは0.01μm〜1μmである。
保護層は、共押出法などにより反射体の片面あるいは両面に設けられるが、反射体との接着性、押出時の成形性からポリプロピレン樹脂を80体積%以上含むことが好ましく、より好ましくは90体積%以上である。この場合のポリプロピレン樹脂は反射体に使用されるポリプロピレン樹脂と同じものでもいいし、反射体との押出適性などに合わせて種々のグレードから選択することができる。
(シート状反射体の製造方法)
シート状反射体は、好ましくは、先ず押出機で溶融混合された原料樹脂を押出機の先端に取り付けたダイからシート状に押し出すが、押し出される樹脂組成物の量を安定させるために押出機とダイの間にギヤポンプを使用しても良い。シートの押出には樹脂の混練性、分散性などから2軸押出機が好ましい。ダイはTダイやフィッシュテールダイなどのシート成形ダイが使用される。ダイは反射体単層の場合は単層ダイが使用される。保護層を設ける場合は、主押出機と保護層用に副押出機を用いた共押出法が採用される。この場合の成形ダイは、フィードブロックダイ、マルチマニホールドダイなどの積層ダイが用いられ、ダイの中でコア層と保護層とが積層されて押し出される。副押出機は単軸押出機、2軸押出機のいずれでもいいが、保護層の組成、押出適性などを考慮して選ばれる。また反射体のみの場合でも、共押出法を用いることで、中心部と表層部とでポリプロピレン樹脂(A)とポリプロピレン樹脂と相分離する樹脂(B)の比率を変えたり、ポリスチレン樹脂の添加比率を変えたりすることができる。たとえば、中心部は樹脂(B)の比率を大きくし、表層部は樹脂(B)の比率を小さくすることによって、延伸加工がしやすくなり反射率が高いものが得られやすくなる。また、表層部にポリスチレン樹脂を添加することによっても、延伸加工性が良く反射率が高いシートを得られやすくすることができる。
シート状反射体は、好ましくは、先ず押出機で溶融混合された原料樹脂を押出機の先端に取り付けたダイからシート状に押し出すが、押し出される樹脂組成物の量を安定させるために押出機とダイの間にギヤポンプを使用しても良い。シートの押出には樹脂の混練性、分散性などから2軸押出機が好ましい。ダイはTダイやフィッシュテールダイなどのシート成形ダイが使用される。ダイは反射体単層の場合は単層ダイが使用される。保護層を設ける場合は、主押出機と保護層用に副押出機を用いた共押出法が採用される。この場合の成形ダイは、フィードブロックダイ、マルチマニホールドダイなどの積層ダイが用いられ、ダイの中でコア層と保護層とが積層されて押し出される。副押出機は単軸押出機、2軸押出機のいずれでもいいが、保護層の組成、押出適性などを考慮して選ばれる。また反射体のみの場合でも、共押出法を用いることで、中心部と表層部とでポリプロピレン樹脂(A)とポリプロピレン樹脂と相分離する樹脂(B)の比率を変えたり、ポリスチレン樹脂の添加比率を変えたりすることができる。たとえば、中心部は樹脂(B)の比率を大きくし、表層部は樹脂(B)の比率を小さくすることによって、延伸加工がしやすくなり反射率が高いものが得られやすくなる。また、表層部にポリスチレン樹脂を添加することによっても、延伸加工性が良く反射率が高いシートを得られやすくすることができる。
次いで、ダイから押し出されたシートを冷却ローラーなどで冷却固化させた後、延伸機で延伸する。延伸工程では、反射体内部に孔を生成させるために、できるだけ低温で延伸を行う方が好ましい。高い温度で延伸を行う場合には、低温で延伸する場合と比べて反射体内部に孔の生成が起こりにくい傾向がみられるので、延伸倍率を低温で延伸する場合より大きくすることが好ましい。
本発明においては、押し出される樹脂の温度が200℃〜300℃の範囲になるように押出機やダイの運転条件を設定することが好ましく、押し出される樹脂は20℃〜150℃の範囲になるよう冷却ローラーの温度や速度を設定することが好ましい。この延伸によって、反射体内部のポリプロピレン樹脂(A)と樹脂(B)の界面を開裂させてシートの内部に孔を生成すると同時に、シートの厚みを所望の厚みにまで薄くすることができる。
延伸には、通常の2軸延伸法が採用出来る。すなわち、縦横逐次2軸延伸、横縦逐次2軸延伸、同時2軸延伸、さらにこれらの2軸延伸の後に、縦横いずれかあるいは両方の方向に再延伸することも出来る。好ましくは、縦横逐次2軸延伸、あるいは同時2軸延伸である。縦横逐次2軸延伸は、速度差をつけた複数のローラーの間をシートを通過させて流れ方向にシートを延伸する縦延伸工程と、クリップテンターなどを使用してシートの幅方向に延伸する横延伸工程からなる。また同時2軸延伸は、パンタグラフ延伸機などを使用して流れ方向と巾方向を同時に延伸する方法である。より好ましくは最も汎用的な縦横逐次2軸延伸法である。2軸延伸の延伸倍率はMD方向、TD方向各々1.5倍以上であって、且つ面積延伸倍率が3倍以上50倍以下である。好ましくはMD、TD各々2倍以上、面積倍率が4倍以上30倍以下である。
以下、本発明の効果を明確にするために行った実施例について説明する。
<評価方法>
実施例で評価する物性の項目及びその評価方法についてまず説明する。
(1)厚み
シート状反射体の厚みは、ピーコック社製厚み計を使用して測定した。
(2)光全反射率・平均全反射率
光全反射率は、島津製作所製分光光度計UV−3150と積分球試料台を使用して、ポリテトラフルオロエチレンの標準白板(ラボスフェア社製スペクトラロン)の反射率を100%とした相対反射率を波長400nm〜700nmの範囲で測定した。平均全反射率は波長550nmの光について、シートのMD方向とTD方向の各々から入射した時の測定値を求め、両者の相加平均値を平均全反射率とした。
(3)坪量
50mm×50mmのシートを切り出し重量を測定し、シートの面積で除して坪量とした。保護層を有する積層構造の場合は、保護層を構成する樹脂、添加剤の種類、量から保護層の重量を計算し、全体の坪量からこの保護層の部分の坪量を引いて、シートの坪量とした。
(4)密度
(3)で切り出したシートの厚みを測定して体積を求め、該構造部の重量をこの体積で除して、密度を算出した。保護層を有する積層構造の場合は、全体の厚みから、保護層部分の厚み引いて反射体の厚みを求め、これに(3)と同じ方法で求めた面積を乗じて体積とし、(3)で求めた方法で保護層部分を除いた重量を求め、この重量を体積で除して密度とした。
<評価方法>
実施例で評価する物性の項目及びその評価方法についてまず説明する。
(1)厚み
シート状反射体の厚みは、ピーコック社製厚み計を使用して測定した。
(2)光全反射率・平均全反射率
光全反射率は、島津製作所製分光光度計UV−3150と積分球試料台を使用して、ポリテトラフルオロエチレンの標準白板(ラボスフェア社製スペクトラロン)の反射率を100%とした相対反射率を波長400nm〜700nmの範囲で測定した。平均全反射率は波長550nmの光について、シートのMD方向とTD方向の各々から入射した時の測定値を求め、両者の相加平均値を平均全反射率とした。
(3)坪量
50mm×50mmのシートを切り出し重量を測定し、シートの面積で除して坪量とした。保護層を有する積層構造の場合は、保護層を構成する樹脂、添加剤の種類、量から保護層の重量を計算し、全体の坪量からこの保護層の部分の坪量を引いて、シートの坪量とした。
(4)密度
(3)で切り出したシートの厚みを測定して体積を求め、該構造部の重量をこの体積で除して、密度を算出した。保護層を有する積層構造の場合は、全体の厚みから、保護層部分の厚み引いて反射体の厚みを求め、これに(3)と同じ方法で求めた面積を乗じて体積とし、(3)で求めた方法で保護層部分を除いた重量を求め、この重量を体積で除して密度とした。
<実施例で使用した金型>
図7に本実施例で使用した真空成形用金型の概略図を示した。各開口部は1辺25mmの4角形で、底面は1辺8mmの4角形で、横方向に12個、縦方向に8個の開口部からなる。稜線の幅は総て1.2mm。稜線が交差する位置には一つおきに底面が直径1.6mm、高さが1.6mmの半楕円状の膨出部が設けられている。凹部の反射面の各側面と底面には真空成形用に吸引口が設けられている。なお、比較のために、膨出部がない以外は全く寸法が同じ金型も用意した。
図7に本実施例で使用した真空成形用金型の概略図を示した。各開口部は1辺25mmの4角形で、底面は1辺8mmの4角形で、横方向に12個、縦方向に8個の開口部からなる。稜線の幅は総て1.2mm。稜線が交差する位置には一つおきに底面が直径1.6mm、高さが1.6mmの半楕円状の膨出部が設けられている。凹部の反射面の各側面と底面には真空成形用に吸引口が設けられている。なお、比較のために、膨出部がない以外は全く寸法が同じ金型も用意した。
<実施例で使用したLEDバックライト>
RGBが1つのパッケージになっているOPTEKテクノロジー社製LEDランプ12×8個を、上記金型においてLEDが配置される位置に実装したLEDバックバックライトを使用した。
RGBが1つのパッケージになっているOPTEKテクノロジー社製LEDランプ12×8個を、上記金型においてLEDが配置される位置に実装したLEDバックバックライトを使用した。
(実施例1)
ポリプロピレン樹脂(プライムポリマー社E−105GM)を62体積%(55重量%)、ポリカーボネート樹脂(旭美化成社ワンダーライトPC110)を38体積%(45重量%)混合した原料樹脂を、シリンダー口径が25mmでシリンダーと口径の比が48の同方向回転2軸押出機を使って、シリンダー温度を250℃、スクリューの回転数が100rpmの運転条件で溶融し、温度を250℃に調整したギヤポンプを介して、リップの巾が400mmでクリアランスが1.7mであるシートダイから押し出した。押し出された溶融樹脂を80℃に設定した一対の冷却用ピンチローラーで引き取り、押出方向に溶融樹脂を引っ張りながら樹脂を冷却固化させて厚みが1.5mmの原反シートを作製した。
ポリプロピレン樹脂(プライムポリマー社E−105GM)を62体積%(55重量%)、ポリカーボネート樹脂(旭美化成社ワンダーライトPC110)を38体積%(45重量%)混合した原料樹脂を、シリンダー口径が25mmでシリンダーと口径の比が48の同方向回転2軸押出機を使って、シリンダー温度を250℃、スクリューの回転数が100rpmの運転条件で溶融し、温度を250℃に調整したギヤポンプを介して、リップの巾が400mmでクリアランスが1.7mであるシートダイから押し出した。押し出された溶融樹脂を80℃に設定した一対の冷却用ピンチローラーで引き取り、押出方向に溶融樹脂を引っ張りながら樹脂を冷却固化させて厚みが1.5mmの原反シートを作製した。
得られたシートを、ロール縦延伸機を使って押し出し方向(MD方向)に温度155℃で3倍延伸した後、テンター横延伸を使って巾方向(TD方向)に温度155℃で3倍延伸し、3×3倍に延伸された白色のシートを得た。この白色シートの平均全反射率は97.0%、坪量と密度は、それぞれ220g/m2、0.48g/cm3であり、厚みは460μmであった。この白色シートをMD方向と垂直に断面を切断し、SEM観察を行ったところ、内部に穴部を有する構造であった(図8)。
得られた白色シートを、400mm×300mm角にカットし、各辺を金枠で固定し、155℃に加熱された図7に示した真空成形用の金型上にセットした。金型上に12秒間シートをセットした後、155℃のオーブンに移し、10秒後に真空弁を開け真空成形を行った。15秒後オーブンから金型を取り出し、エアーガンで成形品を急冷した後、成形品を金型から取り出した。得られた成形品は金型形状通りの皺、破れのない均一な成形品であった。
得られた賦形品の各凹型の底面中央部にLEDランプのための7.5mm×7.5mmの四角形の孔を打ち抜き、これをLEDバックライト上にセットした。さらにこの賦形品の上に、市販の液晶表示装置に使用されている厚さ2mmの拡散板を重ねた。ランプ点灯後、拡散板を通した光はほぼ均一に拡散され、ランプ像は全く見えず、反射体の格子状の稜線及び膨出部の像は大幅に低減され、ほとんど気ならない程度まで抑制されていた。
(比較例1)
実施例1で得られたシートを同じく400mm×300mm角にカットして、比較のために用意した膨出部のない金型を用いて、同様に真空成形を実施し、膨出部のない良好な賦形品を得た。
実施例1で得られたシートを同じく400mm×300mm角にカットして、比較のために用意した膨出部のない金型を用いて、同様に真空成形を実施し、膨出部のない良好な賦形品を得た。
同様にLEDランプように穴を打ち抜き、LEDバックライト上にセットした。さらにこの賦形品の上に、同じく厚さ2mmの拡散板を重ねた。ランプ点灯後、拡散板を通した光はほぼ均一に拡散され、ランプ像もほとんど見えないレベルまでになっていたが、反射体の格子状の稜線の像が明確に観察され、この稜線が陰となっていることが観察された。
(実施例2)
実施例1の押出機を主押出機として実施例1と同じ組成の樹脂を使用した。副押出機として、シリンダー口径が32mmでシリンダーと口径の比が24の単軸押出機を使用して、ポリプロピレン樹脂(プライムポリマー社E−105GM)を98体積%(90重量%)、紫外線吸収剤として酸化チタン粉末(テイカ社(株)製、商品名JR600−A、粒子径250nm、真比重4.2)を2体積%(10重量%)を予めペレタイズしておいた混合樹脂を用いて共押出を行った。副押出機のシリンダー温度は210℃、スクリュー回転数は60rpmで行った。積層ダイは2種3層のフィードブロックタイプを使用し、ダイ出口のリップの巾300mmでクリアランスが2.0mmであった。ダイから押し出された溶融樹脂を同じく80℃に設定した冷却用ピンチローラーで引き取り、全厚みが1.8mmの積層原反シートを作製した。得られた原反シートの層構成は、反射シートであるコア層が1340μm、保護層が表裏面各々230μmであった。
実施例1の押出機を主押出機として実施例1と同じ組成の樹脂を使用した。副押出機として、シリンダー口径が32mmでシリンダーと口径の比が24の単軸押出機を使用して、ポリプロピレン樹脂(プライムポリマー社E−105GM)を98体積%(90重量%)、紫外線吸収剤として酸化チタン粉末(テイカ社(株)製、商品名JR600−A、粒子径250nm、真比重4.2)を2体積%(10重量%)を予めペレタイズしておいた混合樹脂を用いて共押出を行った。副押出機のシリンダー温度は210℃、スクリュー回転数は60rpmで行った。積層ダイは2種3層のフィードブロックタイプを使用し、ダイ出口のリップの巾300mmでクリアランスが2.0mmであった。ダイから押し出された溶融樹脂を同じく80℃に設定した冷却用ピンチローラーで引き取り、全厚みが1.8mmの積層原反シートを作製した。得られた原反シートの層構成は、反射シートであるコア層が1340μm、保護層が表裏面各々230μmであった。
得られた積層シートを、ロール縦延伸機を使って押し出し方向(MD方向)に温度155℃で3倍延伸した後、テンター横延伸を使って巾方向(TD方向)に温度155℃で3倍延伸し、3×3倍に延伸された白色のシートを得た。この白色シートの平均全反射率は98.8%、コア層の厚みは390μm、保護層は表裏各々20μmであった。シートの坪量と密度は、それぞれ180g/m2、0.46g/cm3であった。
得られた白色シートを、実施例1と同様に400×300mm角にカットし、各辺を金枠で固定し、155℃に加熱された図7に示した真空成形用の金型上にセットした。金型上に12秒間シートをセットした後、155℃のオーブンに移し、10秒後に真空弁を開け真空成形を行った。15秒後オーブンから金型を取り出し、エアーガンで成形品を急冷した後、成形品を金型から取り出した。得られた成形品は金型形状通りの皺、破れのない均一な成形品であった。
得られた賦形品の各凹型の底面中央部に実施例1と同様にLEDランプのための7.5×7.5mmの四角形の穴を打ち抜き、これをLEDバックライト上にセットした。さらにこの賦形品の上に、市販の液晶表示装置に使用されている厚さ2mmの拡散板を重ねた。ランプ点灯後、拡散板を通した光はほぼ均一に拡散され、ランプ像は全く見えず、反射体の格子状の稜部及び膨出部の像は大幅に低減され、ほとんど気にならない程度まで抑制されていた。
本発明の反射体は、液晶表示装置などの受光型の表示装置のLEDバックライトユニットに適用することができる。
1 バックライトユニット
2 LED
3 配線基板
4 反射体
4a 凹部
4b 稜線
4c 穴部
4d 底面
4e 反射面
4f 膨出部
4g 交差位置
5 拡散板
2 LED
3 配線基板
4 反射体
4a 凹部
4b 稜線
4c 穴部
4d 底面
4e 反射面
4f 膨出部
4g 交差位置
5 拡散板
Claims (13)
- 複数の凹部と、前記凹部間の稜線と、を有する反射体であって、前記凹部は、発光体を露出させる穴部を持つ底面と、前記底面と前記稜線とを連接する反射面と、を有し、前記稜線上に複数の膨出部を有することを特徴とする反射体。
- 前記膨出部は、半球、球、又は楕円球の一部で構成されていることを特徴とする請求項1記載の反射体。
- 前記膨出部は、前記稜線が交差する位置に設けられていることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の反射体。
- 前記膨出部の高さが前記凹部の深さの1/20〜1/2であることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の反射体。
- 前記稜線の幅が前記凹部の最大幅の1/100〜1/5であることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載の反射体。
- 平面視において前記凹部の形状が多角形であることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれかに記載の反射体。
- 平面視において前記凹部の形状が四角形であり、前記稜線が交差する位置に前記膨出部が設けられていることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれかに記載の反射体。
- 前記反射体が、ポリプロピレン樹脂(A)で構成された海相と、前記ポリプロピレン樹脂に対して非相溶性である樹脂(B)で構成された島相と、で相分離構造を構成し、坪量が30g/m2〜500g/m2であり、密度が0.25g/cm3〜0.75g/cm3であることを特徴とする請求項1から請求項7のいずれかに記載の反射体。
- 前記ポリプロピレン樹脂(A)が50体積%〜80体積%であり、前記樹脂(B)が20体積%〜50体積%であることを特徴とする請求項8記載の反射体。
- 前記ポリプロピレン樹脂(A)の延伸可能な温度における前記樹脂(B)の弾性率が前記ポリプロピレン樹脂(A)の弾性率より大きいことを特徴とする請求項8又は請求項9記載の反射体。
- 前記樹脂(B)がポリカーボネート樹脂であることを特徴とする請求項8から請求項10のいずれかに記載の反射体。
- 前記反射体の厚さの1/30〜1/3の厚さの保護層を有することを特徴とする請求項1から請求項11のいずれかに記載の反射体。
- 前記保護層が前記ポリプロピレン樹脂(A)を80体積%以上含むことを特徴とする請求項12記載の反射体。
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-
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- 2007-10-22 JP JP2007274454A patent/JP2009104852A/ja not_active Withdrawn
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