JP2010197919A - 光学シート及びこれを用いたバックライトユニット - Google Patents
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Abstract
【課題】各フレネルレンズ面1aを領域Rごとに傾斜させると共に、各フレネルレンズ面1aを凹面にすることにより、観察角の斜め方向へのずれによる急激な輝度の低下を防止すると共に、光源の位置ずれによる正面輝度の低下を防止することができる光学シート及びこれを用いたバックライトユニットを提供する。
【解決手段】平凸型リニアフレネルレンズ状の光学シート1において、平凸リニアフレネルレンズ状に分割された各フレネルレンズ面1aを、隣接する複数のフレネルレンズ面1aごとに複数の領域Rに区分けし、これらの領域Rの各フレネルレンズ面1aを、当該フレネルレンズ面1aにおける本来の凸型フレネルレンズ状に対応する凸状の曲面に代えて凹状の曲面にすると共に、領域Rが隣接する双方の端部側で逆向きに傾斜させ、かつ、それぞれの端部側ほど大きな角度で傾斜させた構成とする。
【選択図】図1
【解決手段】平凸型リニアフレネルレンズ状の光学シート1において、平凸リニアフレネルレンズ状に分割された各フレネルレンズ面1aを、隣接する複数のフレネルレンズ面1aごとに複数の領域Rに区分けし、これらの領域Rの各フレネルレンズ面1aを、当該フレネルレンズ面1aにおける本来の凸型フレネルレンズ状に対応する凸状の曲面に代えて凹状の曲面にすると共に、領域Rが隣接する双方の端部側で逆向きに傾斜させ、かつ、それぞれの端部側ほど大きな角度で傾斜させた構成とする。
【選択図】図1
Description
本発明は、凸型フレネルレンズ状や凸型リニアフレネルレンズ状の光学シート、及び、この光学シートを用いた液晶ディスプレイ等のバックライトユニットに関するものである。
テレビ受像機やパーソナルコンピュータ等に用いられる液晶ディスプレイのバックライトは、液晶パネルの背後に拡散シート等を介して複数本の線光源を配置した直下ライト方式と、液晶パネルの背後に拡散シート等を介して導光板を配置し、この導光板の側方の線光源からの光を液晶パネルの背面に導くエッジライト方式等がある。
テレビ受像機に用いられる液晶ディスプレイにおける直下ライト方式の従来のバックライトユニットは、線光源である直管形のCCFL(冷陰極管)を複数本平行に並べた手前側に拡散シート(拡散板も含む)や輝度向上シート等を配置したものであり、この拡散シート等の手前側に液晶パネルが配置される。また、拡散シート等に代えて、又は、これらに加えて、平凸型リニアフレネルレンズ状の光学シートを用いたバックライトユニットも従来からあった(例えば、特許文献1参照。)。平凸型リニアフレネルレンズ状の光学シートを用いると、平凸型シリンドリカルレンズを配置した場合と同様に、直管形のCCFLから放射状に出射される光を集光して平行光線として液晶パネルに導くことができ、しかも、平凸型シリンドリカルレンズよりもレンズ厚を薄くできるので、バックライトユニットの大幅な軽量小型化とコストダウンを図ることができる。
上記光学シートを用いた従来のバックライトユニットの構成例を図11に示す。このバックライトユニットは、光学シート1の下方(背後側)に、長手方向を前後方向に向けた直管型のCCFL2を複数本等間隔に左右方向に平行に並べて配置したものであり、これらのCCFL2の下方には、下向きに出射された光を有効利用するための反射板3を配置している。そして、液晶パネル4は、この光学シート1の上方(手前側)に配置される。また、この光学シート1の上方の液晶パネル4との間には、拡散シート等が配置される場合もある。光学シート1は、透明なポリカーボネート,ポリスチレン,アクリル又はPET(ポリエチレンテレフタレート)等の樹脂シートを、直下の各CCFL2に対応させてそれぞれ平凸型リニアフレネルレンズ状に形成したものである。
ここで、図12に示すように、平凸型リニアフレネルレンズ11は、平凸型シリンドリカルレンズ12の凸状の上曲面12aを、左右方向に直交する面Dで複数に分割して下方に押し下げることにより上下方向のレンズ厚を薄くしたレンズである。従って、この平凸型リニアフレネルレンズ11の上面には、本来の平凸型シリンドリカルレンズ12の凸状の上曲面12aを左右方向に分割したそれぞれの曲面形状を有する複数のフレネルレンズ面11aと、隣接する各フレネルレンズ面11aの端が段差状になった間を繋ぐ側平面であるフレネル分割面11bとが形成されることになる。
なお、各フレネルレンズ面11aは、製造上の都合により、図12に示すように上端の高さが揃うように形成されることが多い。また、図12に示す平凸型リニアフレネルレンズ11は、図面を見やすくするために、フレネルレンズ面11aの分割数を8分割としているが、実際にはさらに多数に分割されるので、レンズ厚も十分に薄くなる(図13も同様)。
上記平凸型リニアフレネルレンズ11は、平凸型シリンドリカルレンズ12と同様の集光作用を有するので、下方に配置したCCFL2から上方の左右方向に放射状に広がる光を集光して、上向きの平行光として出射する。従って、この平凸型リニアフレネルレンズ11のフレネルレンズ面11aやフレネル分割面11bと同様の形状を1組とし、この形状の組を各CCFL2に対応させて複数左右に並べて上面を形成した光学シート1をバックライトユニットに用いると、この光学シート1から出射して液晶パネル4を通過する光が、パネル面に垂直な上向き成分の多い光となるので、液晶ディスプレイの正面輝度を高めることができるようになる。
ところで、上記平凸型リニアフレネルレンズ11では、フレネル分割面11bで多数に分割された各フレネルレンズ面11aが円筒面等の凸状の曲面となるが、実際には、図13に示すように、この凸状の曲面に近似させた平面によって各フレネルレンズ面13aを構成した平凸型リニアフレネルレンズ13を用いることが多い。この平凸型リニアフレネルレンズ13は、フレネル分割面13bによって分割された各フレネルレンズ面13aが、対応する曲面のフレネルレンズ面11aの平均的な傾斜角度、即ちこのフレネルレンズ面11aにおける左右方向の中央部付近の傾斜角度を備えた平面によって構成されたものである。
上記平凸型リニアフレネルレンズ13は、各フレネルレンズ面13aの左右方向の中央部付近から出射する光については、対応する曲面のフレネルレンズ面11aから出射する光と同様に上方を向く垂直な光となるが、各フレネルレンズ面13aの左右方向の端部から出射する光は、曲面との傾斜角度の誤差によって、垂直よりも左右方向に僅かに傾いて広がった光となる。もっとも、フレネルレンズ面13aの分割数が十分に多ければ、各フレネルレンズ面13aの左右方向の幅が狭くなり、曲面との傾斜角度の誤差も無視できるようになるので、曲面のフレネルレンズ面11aを備えた平凸型リニアフレネルレンズ11と同等の機能を果たすことができる。
ところが、従来の光学シート1を用いたバックライトユニットは、液晶パネル4のパネル面に垂直な上向き成分の多い光が特に多いので、液晶ディスプレイの正面輝度が高くなっても、観察角がこの正面(真上)から僅かに左右の斜め方向にずれただけで輝度が極端に低下するという問題があった。しかも、液晶パネル4が広視野角化を図ったものであったとしても、この広い視野角の周辺部分ではバックライトの輝度が低くなるために、広視野角化の性能を十分に発揮させることができないという問題もあった。
また、光学シート1における各平凸型リニアフレネルレンズ状の部分の中心位置の直下に正確にCCFL2が配置されず、左右方向に位置ずれした場合には、液晶パネル4を通過する光がパネル面に垂直ではなく、少し傾斜した光となるので、最も輝度の高い位置が液晶ディスプレイの真正面から少しずれることになる。このため、液晶ディスプレイの真正面位置での正面輝度が低下するだけでなく、一部のCCFL2のみが位置ずれしていた場合には、液晶ディスプレイの画面上に輝度ムラが生じるという問題もあった。
さらに、従来の光学シート1を用いたバックライトユニットを液晶ディスプレイ以外の他の用途の面光源として用いた場合にも、配光特性が上向き(正面)方向にほとんど限定されるために、用途によっては、高価な拡散シート等を追加して用いる必要が生じるという問題もあった。
本発明は、各フレネルレンズ面を領域ごとに傾斜させると共に、各フレネルレンズ面を凹面にすることにより、観察角の斜め方向へのずれによる急激な輝度の低下を防止すると共に、光源の位置ずれによる正面輝度の低下を防止することができる光学シート及びこれを用いたバックライトユニットを提供しようとするものである。
請求項1に係る光学シートは、凸型フレネルレンズ状の光学シートにおいて、フレネルレンズ状に分割された各フレネルレンズ面を、隣接する複数のフレネルレンズ面ごとに複数の領域に区分けし、これらの領域の各フレネルレンズ面を、当該フレネルレンズ面における本来の凸型フレネルレンズ状に対応する凸状の曲面に代えて凹状の曲面にすると共に、領域が隣接する双方の端部側で逆向きに傾斜させ、かつ、それぞれの端部側ほど大きな角度で傾斜させたことを特徴とする。
請求項2に係る光学シートは、凸型リニアフレネルレンズ状の光学シートにおいて、リニアフレネルレンズ状に分割された各フレネルレンズ面を、隣接する複数のフレネルレンズ面ごとに複数の領域に区分けし、これらの領域の各フレネルレンズ面を、当該フレネルレンズ面における本来の凸型フレネルレンズ状に対応する凸状の曲面に代えて凹状の曲面にすると共に、領域が隣接する双方の端部側で逆向きに傾斜させ、かつ、それぞれの端部側ほど大きな角度で傾斜させたことを特徴とする。
請求項3に係る発明は、請求項2に記載の光学シートにおいて、前記各フレネルレンズ面が0.1mm以上、1.0mm以下のピッチでリニアフレネルレンズ状に分割されていることを特徴とする。
請求項4に係る発明は、請求項2又は請求項3に記載の光学シートにおいて、前記各フレネルレンズ面が、このフレネルレンズ面の分割ピッチの1/2以上であり、1つの凸型シリンドリカルレンズに対応した凸型リニアフレネルレンズ状の部分における分割方向の長さ以下の半径の円筒内面からなる凹面に形成されたことを特徴とする。
請求項5に係る発明は、請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の光学シートにおいて、前記光学シートが拡散剤を含有する透光性材料からなることを特徴とする。
請求項6に係る光学シートを用いたバックライトユニットは、請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の光学シートを1以上の光源の手前側に配置したことを特徴とする。
請求項1に係る発明によれば、凸型フレネルレンズ状によって光学シート全体としては集光作用を有するが、複数に区分けされた各領域ごとに各フレネルレンズ面が端部側ほど傾斜しているので、これらの各領域ごとに光をある程度拡散させることができる。このため、光学シートを見るときの観察角が斜め方向にずれたときの輝度が正面輝度よりも極端に低下するのを防止することができる。また、微小幅の各フレネルレンズ面が凹面になっているので、これらの各フレネルレンズ面ごとにおいても凹レンズの拡散作用によって光をある程度拡散させることができる。このため、光学シートの背面に光源を配置したときの位置が本来の凸型フレネルレンズ状の中心位置からずれても、正面輝度の低下を防止することができる。
しかも、観察角のずれによる輝度の極端な低下を防止する効果は、各フレネルレンズ面を凹面とすることにより抑制されることはなく、むしろさらに少し向上し、光源の位置ずれによる正面輝度の低下を防止する効果も、各領域ごとに各フレネルレンズ面を傾斜させることにより抑制されることはなく、むしろさらに少し向上する。
請求項2に係る発明によれば、凸型リニアフレネルレンズ状によって光学シート全体としては幅方向に集光作用を有するが、複数に区分けされた各領域ごとに各フレネルレンズ面が端部側ほど傾斜しているので、これらの各領域ごとに光を幅方向にある程度拡散させることができる。このため、光学シートを見るときの観察角が幅方向の斜めにずれたときの輝度が正面輝度よりも極端に低下するのを防止することができる。また、微小幅の各フレネルレンズ面が凹面になっているので、これらの各フレネルレンズ面ごとにおいても凹レンズの拡散作用によって光を幅方向にある程度拡散させることができる。このため、光学シートの背面に光源を配置したときの位置が本来の凸型リニアフレネルレンズ状の中心位置から幅方向にずれても、正面輝度の低下を防止することができる。
しかも、観察角の幅方向へのずれによる輝度の低下を防止する効果は、各フレネルレンズ面を凹面とすることにより抑制されることはなく、むしろさらに少し向上し、光源の幅方向の位置ずれによる正面輝度の低下を防止する効果も、各領域ごとに各フレネルレンズ面を傾斜させることにより抑制されることはなく、むしろさらに少し向上する。
さらに、これら請求項1及び請求項2に係る発明は、拡散シート等を追加したり、光学シートに光拡散剤を含有させ、又は、シート面を粗面にすること等により光を無指向的に拡散させるのではなく、意図的に例えば−30°〜+30°等の特定の範囲に光を分散させることができるので、例えば液晶パネルの視野角等に合わせて配光特性の広がりを任意に調整するようなこともでき、光の利用効率を低下させることなく視認性を向上させたり輝度ムラをなくすことができる。
請求項3に係る発明によれば、各フレネルレンズ面の幅が0.1mm以上であり微小すぎることがないため、製造が困難になったり、光学シートが高価になりすぎるようなことがない。また、各フレネルレンズ面の幅が1.0mm以下であり広すぎることがないため、光学シートのシート厚を十分に薄くすることができ、各フレネルレンズ面の凹面による拡散作用のムラも十分に小さくすることができる。
請求項4に係る発明によれば、各フレネルレンズ面の凹面の曲率半径がこのフレネルレンズ面の分割ピッチの1/2以上となるので、これらの凹面での拡散作用が大きくなりすぎて、光学シートを通過する光を無駄にしたり、凸型リニアフレネルレンズ状による集光作用が損なわれるのを防ぐことができる。また、各フレネルレンズ面の凹面の曲率半径が、1つの凸型シリンドリカルレンズに対応した凸型リニアフレネルレンズ状の部分における分割方向の長さ(幅)以下となるので、これらの凹面によって平面の場合よりも十分に大きな拡散作用を発揮させることができるようになる。
請求項5に係る発明によれば、光学シートが拡散剤を含有するので、このシート内で光を十分に拡散させることができ、高価な拡散シート等を追加して用いる必要がなくなる。
請求項6に係る発明によれば、光学シートが全体として集光作用を有すると共に、各領域や各フレネルレンズ面ごとに光を拡散させるので、観察角のずれによる輝度の極端な低下を防止することができると共に、バックライトユニットの光源の位置ずれによる正面輝度の低下も防止することができる。また、このバックライトユニットを液晶ディスプレイに用いた場合には、広視野角化を図った液晶パネルの性能を無駄なく発揮させることができるようになる。
以下、図面を参照して本発明の最良の形態について説明する。なお、これらの図においても、図11〜図13に示した従来例と同様の機能を有する構成部材には同じ番号を付記する。
本発明の実施形態は、図11に示した従来例と同様に、液晶ディスプレイにおける直下ライト方式のバックライトユニットであって、平凸型リニアフレネルレンズ状の光学シート1を用いたものについて説明する。本実施形態のバックライトユニットは、光学シート1の構成を除けば、図11に示した従来例と同様であり、この光学シート1の下方に、長手方向を前後方向に向けた直管型のCCFL2を複数本等間隔に左右方向に平行に並べて配置している。また、これらのCCFL2の下方には反射板3を配置している。そして、液晶パネル4は、この光学シート1の上方(手前側)に配置される。
本実施形態の光学シート1も、透明な樹脂シートを、直下の各CCFL2に対応させてそれぞれ平凸型リニアフレネルレンズ状に形成したものであるということは図11に示した従来例と同様である。従って、この光学シート1は、図1に示すように、平凸型シリンドリカルレンズの凸状の上曲面を一定のピッチで左右方向に複数に分割した各曲面に対応する複数のフレネルレンズ面1aと、隣接する各フレネルレンズ面の端が段差状になった間を繋ぐ側平面であるフレネル分割面1bとからなる平凸型リニアフレネルレンズ状の上面を有すると共に、平面状の下面1cを有する。
なお、上記フレネルレンズ面1aの分割ピッチは、微少すぎて製造が困難になったり、光学シート1が高価になりすぎるようなことがないように0.01mm以上であることが好ましく、光学シート1のシート厚を十分に薄くすることができるように、1.0mm以下であることが好ましい。
上記光学シート1の平凸型リニアフレネルレンズ状の上面は、各CCFL2の上方の範囲ごとに、1つの凸状の上曲面を備えた平凸型シリンドリカルレンズに対応したフレネルレンズ面1aとフレネル分割面1bが形成されている。ただし、図1は、この光学シート1における1本のCCFL2に対応する平凸型リニアフレネルレンズ状の部分のさらに右端部付近を拡大して示している。
従来例では、図12や図13に示すように、各フレネルレンズ面11a,13aが平凸型シリンドリカルレンズに対応した凸状の曲面、又は、この曲面に近似させた平面によって構成されている。しかしながら、本実施形態の光学シート1は、フレネルレンズ面1aをこれらの凸状の曲面に代えて円筒内面の凹状湾曲面にすると共に、これらの各フレネルレンズ面1aの凹状湾曲面を領域Rごとに傾斜させたことを特徴とする。
上記光学シート1の領域Rは、図1に示すように、この光学シート1における各CCFL2の上方のそれぞれの範囲について、隣接する複数のフレネルレンズ面1aごとに左右方向に多数に区分けしたものである。なお、図1では、図面を分かりやすくするために、隣接する3箇所のフレネルレンズ面1aごとに各領域Rを区分けしているが、実際には、さらに多数のフレネルレンズ面1aごとに区分けしている。即ち、図1では、各フレネルレンズ面1aの左右方向の幅を広く誇張して示しているが、実際にはさらに多数に分割され、各フレネルレンズ面1aの幅も極めて狭いものとなる。また、この図1では、図面を見やすくするために、フレネルレンズ面1aの凹状湾曲面の曲率半径を小さくして曲率を誇張して示しているが、実際にはもう少し曲率半径の大きい凹状湾曲面であってもよい。この凹状湾曲面の曲率半径は、平凸型リニアフレネルレンズ状による集光作用が損なわれるのを防ぐために、フレネルレンズ面1aの分割ピッチの1/2以上であることが好ましく、平面の場合よりも十分に大きな拡散作用を発揮させるために、1本のCCFL2に対応した、即ち1つの平凸型シリンドリカルレンズに対応した平凸型リニアフレネルレンズ状の部分における左右方向の幅以下であることが好ましい。
上記各フレネルレンズ面1aの凹状湾曲面は、本来の凸型フレネルレンズ状に対応する凸状の曲面と平均的な傾斜角度が一致するようにしている。即ち、この凹状湾曲面は、当該フレネルレンズ面1aの左右方向の中央部付近の傾斜角度が、凸型フレネルレンズ状に対応する凸状の曲面に近似させた平面の傾斜角度と一致する。そして、それぞれの領域Rの各フレネルレンズ面1aは、当該フレネルレンズ面1aの凹状湾曲面を、領域Rの左右方向の双方の端部側で逆向きに傾斜させ、かつ、それぞれの端部側ほど大きな角度で傾斜させる。
ここで、フレネルレンズ面1aにおける本来の凸型フレネルレンズ状に対応する凸状の曲面に近似させた平面が傾斜するレンズ角度θfの求め方を図2に基づいて説明する。空気中の屈折率をN0(≒1)、光学シート1の屈折率をN1とし、CCFL2からの光が光学シート1の下面1cに入射する角度をθ1、この光が光学シート1の下面1cから入射した角度をθ2とすると、これらの間には数1の関係があり、
この数1から角度θ2は、数2により求めることができる。
さらに、このレンズ角度θfは、フレネルレンズ面1aから出射した光が垂直となるようにすることが目的であるため、角度θ4と一致する。そして、角度θ3=θ4−θ2の関係にあるので、数3にこれらの関係を代入すると数4となる。
従って、この数4の角度θ2に数2を代入すれば、レンズ角度θfは、CCFL2からの光が光学シート1の下面1cに入射する角度θ1によって定まることになる。そして、各フレネルレンズ面1aについて、左右方向の中央部付近から出射する光が光学シート1の下面1cに入射するときの角度θ1をそれぞれ調べれば、各フレネルレンズ面1aごとのレンズ角度θfを求めることができる。
本実施形態の光学シート1は、上記フレネルレンズ面1aの凹状湾曲面を、領域Rの左右方向の双方の端部側で逆向きに傾斜させ、かつ、それぞれの端部側ほど大きな角度で傾斜させるのであるが、ここでは、この凹状湾曲面の平均的な傾斜角度となるレンズ角度θfで代表させて説明する。具体的には、領域Rの中央を中心に、右側のフレネルレンズ面1aのレンズ角度θfは図2に示すこの角度θfが小さくなる方向に傾斜させ、左側のフレネルレンズ面1aのレンズ角度θfは図2に示すこの角度θfが大きくなる方向に傾斜させる。従って、これら左右方向の双方の端部側のフレネルレンズ面1aのレンズ角度θfは、領域Rの中央に向けて内向きに傾斜することになる。また、このレンズ角度θfを傾斜させる角度は、領域Rの中央ほど小さく、左右方向の端部側ほど大きくなるようにする。
図3に、フレネルレンズ面1aを仮に平面としたときに、領域Rの中央より右側にあるフレネルレンズ面1aを傾斜させた場合を示す。この場合、フレネルレンズ面1aのレンズ角度θfは、上記数4と数2で求めた本来の平面Pよりも内向き、即ち図3に示すこの角度θfが小さくなる方向に傾斜させる。従って、フレネルレンズ面1a(実際は凹状湾曲面の中央部付近)から角度θ4で出射する光は、上向きの垂直ではなく、角度θdだけ外側、即ち右斜め上側に傾き、上記数4は、次に示す数5のように書き換えられる。
このため、角度θdが与えられれば、この数5の角度θ2に上記数2を代入することにより、本実施形態のフレネルレンズ面1aにおける凹状湾曲面の平均的な傾斜角度であるレンズ角度θfを求めることができる。即ち、角度θdをフレネルレンズ面1aごとにそれぞれ定数として定めれば、レンズ角度θfは角度θ1の関数となる。
各フレネルレンズ面1aから出射する光の傾きの角度θdは、光学シート1の設計の際に適宜定めることができる。例えば、領域Rの中央では角度θdを0とし(光は上方に垂直に出射)、左右方向の端部側ほどこの角度θdの正負の値を均等に大きくして左右方向に広がって出射させるようにする場合には、数6と数7によって定めることができる。即ち、当該フレネルレンズ面1aが領域Rの中央からn個だけ右方向にずれた位置にある場合には数6で定め、
このフレネルレンズ面1aが領域Rの中央からn個だけ左方向にずれた位置にある場合には数7で定める。
ここで、θmaxは、フレネルレンズ面1aから出射する光の傾きの角度θdの最大値として定めた角度であり、図4に示すように、領域Rにおける左右方向の両端のフレネルレンズ面1a(図4では各フレネルレンズ面1aは細かすぎるので符号を示していない)から出射する光の傾きの角度θdに一致する。また、Lwは領域Rの左右方向の幅(mm)、Lpは各フレネルレンズ面1aの左右方向の幅(分割ピッチ:mm)であり、Lw/Lpは、領域R内にあるフレネルレンズ面1aの数(総数)を示すことになる。
この結果、図4に示すように、各フレネルレンズ面1aが平面であるとすると、CCFL2からの光が光学シート1を通過した場合に、各領域Rの中央にあるフレネルレンズ面1aから出射する光は、従来例と同様に角度θdが0となり垂直な上向きとなるが、各領域R内の右方向の端部側にあるフレネルレンズ面1aほど、角度θdの正の値が大きくなり、右斜め上向きに傾いた光が出射し、各領域R内の左方向の端部側にあるフレネルレンズ面1aほど、角度θdの負の値の絶対値が大きくなり、左斜め上向きに傾いた光が出射する。即ち、フレネルレンズ面1aの本来のレンズ角度θfに対する本実施形態でのレンズ角度θfの傾斜分だけを考えれば、これらの傾斜分は、領域Rごとに凹型リニアフレネルレンズ状の機能を有するからである。また、このため、1本のCCFL2に対応する平凸型リニアフレネルレンズ状の中心部付近の領域Rでは、本来のレンズ角度θfがもともと極めて小さく水平面に近いので、これらの領域R内については、本来のレンズ角度θfを傾斜させることにより、現実には平凹型リニアフレネルレンズ状のように見える場合もある。しかしながら、この場合であっても、1本のCCFL2に対応する範囲の全体としては平凸型リニアフレネルレンズ状である。
また、各フレネルレンズ面1aは、実際には平面ではなく凹状湾曲面であるため、図5に示すように、各フレネルレンズ面1aの左右方向の中央部付近から出射する光は、従来例と同様に、垂直な上向きの光となるが、各フレネルレンズ面1aの左右方向の端部付近から出射する光は、凹状湾曲面の拡散作用によって垂直よりも左右方向に傾いて広がった上向きの光となる。なお、各フレネルレンズ面1aの分割ピッチを1.0mm以下にしておけば、十分に微少な幅の各フレネルレンズ面1aごとに光を拡散するので、この拡散作用のムラを十分に小さくすることができる。
ところで、図13で説明したように、各フレネルレンズ面13aが平面からなる平凸型リニアフレネルレンズ13の場合にも、これらの各フレネルレンズ面13aの左右方向の端部から出射する光は、垂直よりも左右方向に僅かに傾いて広がった光となる。ただし、この光の拡散は、フレネルレンズ面13aにおける凸状の曲面との誤差によるものであるため、もともと僅かなものであり、しかも、実際のフレネルレンズ面13aの幅は微小であるため、このような誤差による光の広がりはないに等しい。また、従来は、このような光の拡散を、フレネルレンズ面13aの平面化の際の誤差によるフレネルレンズの性能の低下であるとして捉えていた。しかしながら、本実施形態は、各フレネルレンズ面1aを凹状湾曲面とすることにより、この光の拡散を積極的に活用しようとするものであり、しかも、この光の拡散の大きさを任意に調整することもできるようになる。
上記構成により、本実施形態の光学シート1は、全体としては平凸型リニアフレネルレンズ状の左右方向の集光作用により、CCFL2から左右方向に放射状に広がる光を垂直な上向きの平行光に集光しようとするが、複数に区分けされた各領域ごとに各フレネルレンズ面1aが端部側ほど本来の角度よりも傾斜させているので、これらの各領域Rごとに光を左右方向に最大で角度θmaxまで拡散させて出射する。また、各フレネルレンズ面1aでは、凹状湾曲面の拡散作用によって、出射光を左右方向にある程度拡散させる。従って、この光学シート1の各フレネルレンズ面1aから出射した光は、平凸型リニアフレネルレンズ状によって本来出射する方向の周囲にある程度広がって出射するようになる。
このため、本実施形態のバックライトユニットは、光学シート1から出射する光が垂直な上向きよりも左右方向にある程度広がりを有するので、観察者が液晶パネル4の正面から左右に移動した場合に輝度が急に低下するというようなことがなくなり、この液晶パネル4が広視野角化を図った場合にも、この広視野角化の性能を無駄なく発揮させることができるようになる。また、CCFL2の配置が左右方向にずれた場合にも、液晶パネル4の正面位置での輝度の低下を緩和することができ、一部のCCFL2の配置のみがずれた場合にも、輝度ムラが発生するのを防止することができるようになる。
しかも、この光学シート1から出射する光は、拡散シートや光拡散剤等による無指向的な拡散ではなく、垂直な上向きよりも左右方向に角度θmax等の範囲で意図的に拡散されるので、例えば広視野角化を図った液晶パネル4の広い視野角に合わせて配光特性の広がりを任意に調整することができ、光の利用効率を低下させることなく、視角度の変化に応じた視認性の低下を防止することができる。
なお、各領域R内にあるフレネルレンズ面1aの数は、このフレネルレンズ面1aごとにレンズ角度θf(凹状湾曲面の平均的な傾斜角度。以下も同様)の傾斜が離散的になることによる光の拡散ムラを少なくするために、5箇所以上であることが好ましく、領域Rの左右方向の幅が広くなりすぎて光が左右方向に拡散する単位にムラが生じるのを防ぐために、100箇所以下であることが好ましい。また、光の拡散の単位にムラが生じるのを防ぐために、領域Rの左右方向の幅(Lw)も10mm以下とすることが望ましい。各領域R内にあるフレネルレンズ面1aの数を10箇所とすると、各フレネルレンズ面1aの分割ピッチ(Lp)を0.01mm以上、1.0mm以下にした場合に、領域Rの左右方向の幅は0.1mm以上、10mm以下となる。
ここで、各領域Rごとに光を左右方向に拡散させる最大角度θmaxは、これが大きすぎるとレンズ角度θfも大きくなるので、光学シート1と空気の屈折率の違いによる光の透過率(反射率)を考慮して定める必要がある。CCFL2からの光が光学シート1の下面1cから入射するときの透過率Tinは数8で示される。
光の透過率Tは、反射率Rの反数であるため、T=1−Rの関係にある。また、このような光の透過率や反射率を求める場合、入射面に平行なp波成分と垂直なs波成分に分けて考える必要があるので、数8では、まずp波成分の反射率Rp−inとs波成分の反射率Rs−inを求めて、次にそれぞれの透過率の平均から透過率Tinを求める。
そして、光学シート1内の光がフレネルレンズ面1aから出射するときの透過率Textは数9で示される。
この場合も、まずp波成分の反射率Rp−extとs波成分の反射率Rs−extを求めて、次にそれぞれの透過率の平均から透過率Textを求める。
光学シート1を通過した光の透過率は、これら数8による透過率Tinと数9による透過率Textとの積で示される。このため、各フレネルレンズ面1aごとの図3に示した角度θ1〜θ4の相違によるこの透過率の差が明暗ムラとならない程度に、光学シート1の平凸型リニアフレネルレンズ状やバックライトユニットの設計を行う必要があり、その際に最大角度θmaxの大きさも制限される。
また、この最大角度θmaxは、光学シート1内の光がフレネルレンズ面1aから出射するときに全反射が起こらないような角度にする必要もある。この全反射が起こる条件は数10で示される。
従って、最大角度θmaxの大きさも、図3に示す角度θ3がこの数10を満たす値以下となるように制限される。
この数11によれば、光学シート1にポリカーボネート(屈折率1.5886)を用いた場合のこの最大角度θmaxの上限は約40°(−40°〜+40°)となる。そして、本実施形態で示した液晶ディスプレイのバックライトユニットに用いる光学シート1の場合の最大角度θmaxは、30°(−30°〜+30°)程度あれば十分に拡散の効果を得ることができる。ただし、1本のCCFL2に対応する平凸型リニアフレネルレンズ状の端部では、本来のレンズ角度θfが特に大きくなるので、この最大角度θmaxの制限が厳しくなりすぎる場合もある。そこで、平凸型リニアフレネルレンズ状の中心部と端部とでこの最大角度θmaxの上限を変更して、端部側の領域Rほど最大角度θmaxの上限を小さくするようにしてもよい。
〔実施形態の他の態様〕
なお、上記実施形態の光学シート1では、各領域Rの中央のフレネルレンズ面1aでは、角度θdを0°として、出射光が垂直な上向きの光となるようにしていたが、例えば領域R内にあるフレネルレンズ面1aの数が偶数である場合には、各領域Rの中央に最も近い左右方向に隣接する2箇所のフレネルレンズ面1aにおいても、角度θdが0°とならず、正負に僅かに傾いた角度となるので、この角度θdが0°となるフレネルレンズ面1aが必ず存在するとは限らない。
なお、上記実施形態の光学シート1では、各領域Rの中央のフレネルレンズ面1aでは、角度θdを0°として、出射光が垂直な上向きの光となるようにしていたが、例えば領域R内にあるフレネルレンズ面1aの数が偶数である場合には、各領域Rの中央に最も近い左右方向に隣接する2箇所のフレネルレンズ面1aにおいても、角度θdが0°とならず、正負に僅かに傾いた角度となるので、この角度θdが0°となるフレネルレンズ面1aが必ず存在するとは限らない。
また、上記実施形態の光学シート1では、領域Rの左右方向の端部側のフレネルレンズ面1aを、この領域Rの中央に向けて内向きに傾斜させる場合を示したが、これとは逆に、領域Rの左右方向の端部側のフレネルレンズ面1aを、この領域Rの中央とは反対側に外向きに傾斜させることもできる。この場合、フレネルレンズ面1aの外向きの傾斜分だけを考えれば、これらの傾斜分は、領域Rごとに凸型リニアフレネルレンズ状の機能を有するため、図6に示すように、各領域Rから出射した光は、本来垂直な平行光として出射されるものが光学シート1の直ぐ上方で一旦左右方向に集光されるが、さらにその上方では逆向きの左右方向に拡散するので、図4に示す光学シート1と同様の効果を得ることができる。
また、上記実施形態の光学シート1では、垂直方向に対して角度θdだけ傾いた光がフレネルレンズ面1aから出射されるように、本来のレンズ角度θfを傾斜させる場合を示したが、垂直な平行光を出射する目的以外で光学シート1を用いる場合には、もともと傾いている本来の出射光の方向に対して角度θdだけさらに傾いた光がフレネルレンズ面1aから出射されるように、本来のレンズ角度θfを傾斜させればよい。
また、上記実施形態の光学シート1では、各フレネルレンズ面1aから出射した光が平均的には真っ直ぐ垂直な上向きの光となるように、この各フレネルレンズ面1aの凹状湾曲面における左右方向の中央部付近の傾斜角度が上記数2と数4によって定めたレンズ角度θfに一致するように定めた場合を示したが、一般的には、この凹状湾曲面における最大傾斜角度と最小傾斜角度との間にこのレンズ角度θfが入っていれば足りる。また、垂直な平行光線を出射する目的以外で光学シート1を用いる場合には、別途の規則に基づいて各フレネルレンズ面1aの凹状湾曲面を定めることができる。
また、上記実施形態の光学シートでは、各フレネルレンズ面1aから出射した光の拡散の程度が同じになるように、これらの各フレネルレンズ面1aが同じ半径の円筒内面からなる凹状湾曲面で構成されるようにしたが、各フレネルレンズ面1aの凹状湾曲面の曲率半径は必ずしも同じでなくてもよい。例えば、光学シート1における1本のCCFL2に対応する平凸型リニアフレネルレンズ状の部分の中心部が左右方向の周辺部に比べて、フレネルレンズ面1aの凹状湾曲面の曲率半径が小さくなるようにして、この中心部ほど光をより左右方向に広く拡散させるようにすることもできる。
ただし、各フレネルレンズ面1aの凹状湾曲面の曲率半径を小さくしすぎると、図2に示した角度θ3が大きくなりすぎて光が全反射を起こしCCFL2からの光の有効利用が図れないので、この曲率半径は、全反射が起こらない程度の範囲とすることが好ましい。特に、1本のCCFL2に対応する平凸型リニアフレネルレンズ状の部分における左右方向の周辺部のフレネルレンズ面1aほど上記レンズ角度θfが大きくなるので、全反射を起こさないようにするための最小曲率半径も大きくなる。
本実施形態の光学シート1の一例について、上記各フレネルレンズ面1aの凹状湾曲面の最小曲率半径を計算した結果を表1に示すと共に、この計算結果をグラフにしたものを図7に示す。
ここでは、光学シート1における1本のCCFL2に対応する平凸型リニアフレネルレンズ状の部分の左右方向の幅が30.00mm(中心からは左右方向に15.00mmずつ)、焦点距離が20.00mm、各フレネルレンズ面1aの分割ピッチが0.50mm、光学シート1として用いたポリカーボネートの屈折率が1.586、光学シート1のレンズ厚が1.50mmである場合の最小曲率半径を計算した。この表1と図7において、「中心からの距離」は、1本のCCFL2に対応する平凸型リニアフレネルレンズ状の部分における中心から左右方向に離れた位置を示すものであり、表1では、中心から左側又は右側に0.50mmのピッチで並ぶ各フレネルレンズ面1aの左右方向の中央位置ごとに最小曲率半径を計算している。
この表1と図7から分かるように、最も中心に近いフレネルレンズ面1a(左右方向の中央位置が中心から0.25mmの距離にあるフレネルレンズ面1a)の最小曲率半径は0.2922mmであるが、最も中心から遠いフレネルレンズ面1a(左右方向の中央位置が中心から14.75mmの距離にあるフレネルレンズ面1a)の最小曲率半径は2.3715mmとなり、左右方向の周辺部のフレネルレンズ面1aほど最小曲率半径が大きくなる。
また、上記実施形態の光学シート1では、各フレネルレンズ面1aが円筒内面からなる凹状湾曲面で構成される場合を示したが、円筒内面以外の例えば楕円筒内面等の凹状湾曲面で構成されていてもよく、さらに、多角筒内面状のように複数の平面を組み合わせた凹面によって構成されていてもよい。つまり、この凹面は、連続的な凹状湾曲面の他に、複数の平面や凹状湾曲面を組み合わせたものであってもよい。しかも、本来平面状であったフレネルレンズ面1aの全体が、この本来の平面よりも完全に窪んでいる必要はなく、この本来の平面の一部のみが窪んでいてもよい。例えば、円筒内面からなる凹状湾曲面の曲率半径が極めて短い場合には、フレネルレンズ面1aの全体をこの凹状湾曲面で構成すると、この凹状湾曲面の端部で光が到達しない部分が生じたり、光を全反射する部分が生じるおそれがあるので、このフレネルレンズ面1aの本来の平面の一部にのみ凹状湾曲面を形成するようにしてもよい。従って、このフレネルレンズ面1aの凹面とは、このフレネルレンズ面1aの本来の平面よりも突出した部分がなく、少なくとも一部に窪んだ部分のある全ての面をいう。このような凹面であれば、局所的にはともかく、フレネルレンズ面1aの全体では、光を拡散させる作用を有するからである。
また、上記実施形態の光学シート1では、フレネル分割面1bが左右方向に直交する垂直な平面である場合を示したが、これらのフレネル分割面1bは、必ずしも垂直な平面である必要はなく、左右方向に傾斜した平面や、このような平面に近い湾曲面であってもよく、さらに、前後方向にも真っ直ぐである必要はなく、途中で折れ曲がったり湾曲していてもよい。例えば、図8では、フレネル分割面1bが左右方向の両端部ほど左右方向の外側に広がるように傾斜した平面となっている場合を示す(図8では右方向の端部のみを示す)。この場合、CCFL2(図8では図示せず)から左右方向に放射状に広がって出射される光が各フレネル分割面1bに遮られて光の利用効率が低下するのを防止することができる。
また、上記実施形態の光学シート1では、この光学シート1が透明な樹脂シートからなる場合を示したが、光を透過する透光性を有するものであればよいので、必ずしも透明である必要はない。このような光学シート1の樹脂シートとしては、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリオレフィン共重合体(例えばポリ−4−メチルペンテン−1等)、ポリ塩化ビニル、環状ポリオレフィン(例えばノルボルネン構造等)、アクリル樹脂、ポリスチレン、アイオノマー、スチレン−メチルメタクリレート共重合樹脂(MS樹脂)等の透光性の熱可塑性樹脂からなるものが使用できる。光学シート1の厚さは特に限定されるものではなく、原シートのヘーズが67%以上、93%未満程度のものであればよく、一般的には厚さ0.3〜5mm程度のものが好適に使用される。
特に、上記の熱可塑性樹脂からなる樹脂シートの中でも、ポリカーボネート、ポリエステル(特にポリエチレンテレフタレート)、環状ポリオレフィンからなるものは、耐熱性が良好であり、バックライトユニットに用いられた際にCCFL2からの放熱によって変形や皺等を生じ難いので好ましく使用される。特に、ポリカーボネートからなる樹脂シートは、ポリカーボネート自体が透明性の良好な樹脂であり、吸湿性が少なく、高輝度で、反りが少ない上に、経済性が高いため、極めて好ましく使用される。
また、上記実施形態の光学シート1は、例えば両面がフラットな樹脂シートを型で押さえ付けて成形するプレス製法を用いて作製することができるが、他のプレス製法や、型ロールを通すことによる成形方法、押し出し成形による成形方法等、任意の製法で作製してもよい。
また、上記実施形態の光学シート1の樹脂シートは、成形に必要な安定剤、滑剤、耐衝撃改良剤、抗酸化剤、紫外線吸収剤、光安定剤、帯電防止剤、着色剤、蛍光増白剤等が適宜含有されていてもよい。さらに、多層構成をもつ光拡散シートにおいては、これらの添加剤は基材層と表面層の間で、添加剤の種類や配合比率を適宜変更してもよい。
また、上記実施形態の光学シート1の樹脂シートは、光拡散剤が含有されていてもよい。この光拡散剤としては、樹脂シートの樹脂材料との光屈折率が異なる無機質粒子、金属酸化物粒子、有機ポリマー粒子等が単独で又は適宜組合わせて使用される。無機質粒子としては、ガラス[Aガラス(ソーダ石灰ガラス)、Cガラス(硼珪酸ガラス)、Eガラス(低アルカリガラス)]、シリカ、マイカ、合成マイカ、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、硫酸バリウム、タルク、モンモリロナイト、カオリンクレー、ベントナイト、ヘクトライト、シリコーン等の粒子が使用される。そして、金属酸化物としては、酸化チタン、酸化亜鉛、アルミナ等の粒子が使用され、また、有機ポリマー粒子としては、アクリルビーズ、スチレンビーズ、ベンゾグアナミン等の粒子が使用される。このような光拡散剤を含有していれば、光学シート1内で光を十分に拡散させることができるので、バックライトユニットに高価な拡散シート等を追加して用いる必要がなくなる。
上記光拡散剤は、その平均粒径が0.1〜100μm、好ましくは0.5〜50μm、更に好ましくは1〜30μmであるものが使用される。粒径が0.1μmより小さい光拡散剤は、凝集しやすいため分散性が悪く、均一に分散できたとしても光の波長の方が大きいので光散乱効率が悪くなる。それゆえ、0.5μm以上の、更には1μm以上の大きさの粒子が好ましいのである。一方、粒径が100μmより大きい光拡散剤は、光散乱が不均一になったり、光線透過率が低下したり、粒子が肉眼で見えたりするようになる。このため、50μm以下の粒子、特に30μm以下の粒子が好ましい。
また、上記実施形態の光学シート1では、この光学シート1が樹脂シートである場合を示したが、透光性材料からなるシート状(薄板状も含む)のものであればよいので、薄板状のガラス等であってもよい。
また、上記実施形態の光学シート1では、この光学シート1が平凸型リニアフレネルレンズ状である場合を示したが、両面が凸型のリニアフレネルレンズ状や、裏面が凹型であり全体として凸レンズを構成するリニアフレネルレンズ状でもよく、これらの凸型リニアフレネルレンズ状一般に実施可能である。
また、上記実施形態の光学シート1では、この光学シート1が左右方向にのみ集光作用を有する凸型リニアフレネルレンズ状である場合を示したが、前後左右方向に均等に集光作用を有する通常の球面や非球面の凸レンズに対応する凸型フレネルレンズ状の光学シートや、その他の集光作用を有する凸型フレネルレンズ状の光学シートにも同様に実施可能である。さらに、光学シートの形状も方形や円形状に限らず、多角形や楕円等、任意の形状とすることができる。
また、上記実施形態のバックライトユニットでは、光源として直管型のCCFL2を用いる場合を示したが、必ずしも直管型である必要はなく、例えばU字管等を用いることもできる。さらに、必ずしもCCFL2である必要はなく、一般照明用の蛍光管と同様の熱陰極管等を用いたり、LED(発光ダイオード)を並べて用いることもでき、光源の種類は限定されない。しかも、光源は、線光源である必要もなく、例えば通常の円形の凸レンズに対応する光学シート等の場合には、点光源を用いることが多い。さらに、反射板3も必須ではなく、例えば上記実施形態のCCFL2の下方に別の光学シート1を配置して、上下双方に光を供給することも可能である。
また、上記実施形態のバックライトユニットは、光学シート1の上方に直接液晶パネル4を配置する場合を示したが、この光学シート1の上方及び/又は下方には、拡散シート等を配置することもできる。さらに、上記実施形態のバックライトユニットは、液晶パネル4以外のバックライトとして用いることもできる。
上記実施形態で示した光学シート1の実施例と、図13に示した従来例の光学シート1の比較例1を作製した。また、図13に示した従来例の光学シート1における各フレネルレンズ面1aの平面を凹状湾曲面に変更しただけの比較例2と、同じく従来例の光学シート1における各フレネルレンズ面1aの平面を領域Rごとに傾斜させただけの比較例3も作製した。
なお、これらの各光学シート1は、屈折率が1.5886のポリカーボネートを用いた。また、これらの光学シート1は、フレネルレンズ面1aの分割ピッチ(Lp)を0.5mmとし、レンズ幅を30mmとし、レンズ厚を1.50mmとし、焦点距離を30mmとした。さらに、実施例と比較例3の光学シート1は、領域Rごとのフレネルレンズ面1aの傾斜による最大の拡散角度θmaxを30°とした。さらに、実施例と比較例2の光学シート1は、各フレネルレンズ面1aの凹状湾曲面の曲率半径を2.5mmとした。
上記実施例と比較例1〜3の光学シート1を用いたバックライトユニットにおいて、観察角を正面位置から左右の斜め方向に変化させたときの輝度の変化を測定した結果を表2に示すと共に、この測定結果をグラフにしたものを図9に示す。
ここでは、バックライトユニットの正面位置(真上)を観察角0°とし、左方向と右方向をそれぞれ負方向と正方向として、それぞれ10°間隔で±50°までの間の輝度を測定した。測定結果は、実施例と比較例1〜3の最大輝度(正面輝度)をそれぞれ1として正規化して示している。
この表2と図9から明らかなように、実施例では、観察角が正面位置から左右方向にずれても輝度の低下は緩やかであり、±20°ずれた場合でも最大輝度の80%以上を維持しているのに対して、比較例1では、観察角が±10°ずれただけでも輝度が最大値の50%まで大幅に低下していることが分かった。しかも、比較例2でも、比較例1よりは多少改善されるものの、観察角が左右方向にずれると輝度も比較的大きく低下した。ただし、比較例3では、実施例よりは僅かに劣るものの、観察角が左右方向にずれても輝度の低下は緩やかであった。
上記実施例と比較例1〜3の光学シート1を用いたバックライトユニットにおいて、CCFL2の位置を左右方向にずらしたときの正面輝度を測定した結果を表3に示すと共に、この測定結果をグラフにしたものを図10に示す。
ここでは、光学シート1における対応する平凸型リニアフレネルレンズ状の部分の中心位置の真下の焦点位置にCCFL2を配置した場合を位置ずれが0.0mmであるとし、左右方向に0.5mmずつ2.0mmまでCCFL2をずらして配置した場合の正面輝度をそれぞれ測定した。
この表3と図10から明らかなように、実施例では、CCFL2が2.0mm程度位置ずれしたとしても正面輝度はほとんど低下することがないのに対して、比較例1では、CCFL2の中心からの位置ずれが大きくなるほど正面輝度が大幅に低下することが分かった。また、比較例2でも、実施例とほぼ同様に、CCFL2の位置ずれにより正面輝度が低下することはほとんどなかったが、比較例3では、比較例1よりは改善されるものの、CCFL2の位置ずれにより正面輝度が比較的大きく低下していた。
しかも、上記表2と表3や図9と図10から明らかなように、フレネルレンズ面1aを凹状湾曲面にしただけの比較例2では、観察角のずれによる輝度の低下が大きく、フレネルレンズ面1aを領域Rごとに傾斜させただけの比較例3では、CCFL2の位置ずれによる正面輝度の低下が大きいのに対して、実施例では、観察角のずれによる輝度の低下もCCFL2の位置ずれによる正面輝度の低下も共に防止することができ、これらの効果を相乗的に高めることができることが分かった。
本発明の光学シート及びこれを用いたバックライトユニットは、各フレネルレンズ面を通過した光が局所的にある程度広がるようになるので、観察角の斜め方向へのずれによる急激な輝度の低下を防止すると共に、光源の位置ずれによる正面輝度の低下を防止するために極めて有用なものである。
1 光学シート
1a フレネルレンズ面
1b フレネル分割面
1c 下面
2 CCFL
3 反射板
4 液晶パネル
11 平凸型リニアフレネルレンズ
11a フレネルレンズ面
11b フレネル分割面
12 平凸型シリンドリカルレンズ
12a 上曲面
13 平凸型リニアフレネルレンズ
13a フレネルレンズ面
13b フレネル分割面
1a フレネルレンズ面
1b フレネル分割面
1c 下面
2 CCFL
3 反射板
4 液晶パネル
11 平凸型リニアフレネルレンズ
11a フレネルレンズ面
11b フレネル分割面
12 平凸型シリンドリカルレンズ
12a 上曲面
13 平凸型リニアフレネルレンズ
13a フレネルレンズ面
13b フレネル分割面
Claims (6)
- 凸型フレネルレンズ状の光学シートにおいて、
フレネルレンズ状に分割された各フレネルレンズ面を、隣接する複数のフレネルレンズ面ごとに複数の領域に区分けし、
これらの領域の各フレネルレンズ面を、当該フレネルレンズ面における本来の凸型フレネルレンズ状に対応する凸状の曲面に代えて凹状の曲面にすると共に、領域が隣接する双方の端部側で逆向きに傾斜させ、かつ、それぞれの端部側ほど大きな角度で傾斜させたことを特徴とする光学シート。 - 凸型リニアフレネルレンズ状の光学シートにおいて、
リニアフレネルレンズ状に分割された各フレネルレンズ面を、隣接する複数のフレネルレンズ面ごとに複数の領域に区分けし、
これらの領域の各フレネルレンズ面を、当該フレネルレンズ面における本来の凸型フレネルレンズ状に対応する凸状の曲面に代えて凹状の曲面にすると共に、領域が隣接する双方の端部側で逆向きに傾斜させ、かつ、それぞれの端部側ほど大きな角度で傾斜させたことを特徴とする光学シート。 - 前記各フレネルレンズ面が0.1mm以上、1.0mm以下のピッチでリニアフレネルレンズ状に分割されていることを特徴とする請求項2に記載の光学シート。
- 前記各フレネルレンズ面が、このフレネルレンズ面の分割ピッチの1/2以上であり、1つの凸型シリンドリカルレンズに対応した凸型リニアフレネルレンズ状の部分における分割方向の長さ以下の半径の円筒内面からなる凹面に形成されたことを特徴とする請求項2又は請求項3に記載の光学シート。
- 前記光学シートが拡散剤を含有する透光性材料からなることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の光学シート。
- 請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の光学シートを1以上の光源の手前側に配置したことを特徴とする光学シートを用いたバックライトユニット。
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