以下、本発明の最良の実施形態について図1〜図13を参照して説明する。
本実施形態は、図1に示すように、液晶ディスプレイにおける直下ライト方式のバックライトユニット(面発光ユニット)について説明する。このバックライトユニットは、2枚の光学シート1,2を僅かな隙間をあけて上下に重ねて配置した光拡散シートユニットを用いている。また、これら2枚の光学シート1,2の下方(背面側)には、多数のLED3が配置されている。そして、液晶パネル4は、これら2枚の光学シート1,2の上方(正面側)に配置される。なお、これら2枚の光学シート1,2の上方の液晶パネル4との間には、図示しない光拡散フィルム等が配置されることもある。
上記2枚の光学シート1,2は、いずれも透明な樹脂シートからなり、それぞれ平面状のシート面が水平となるように配置されている。また、多数のLED3は、これら2枚の光学シート1,2のシート面に対して平行な平面上に、前後左右方向に等間隔のマトリックス状に配置されている。
上記2枚の光学シート1,2のうちの上方の光学シート1は、図2に示すように、上面に、前後方向に沿う凸状の畝部1a〜1cが左右方向に多数配列形成されている。この光学シート1の上面の畝部1a〜1cは、上下左右方向に沿う面での縦断面形状がそれぞれ二等辺三角形となる上方への凸状であり、しかも、これらの畝部1a〜1cは、二等辺三角形の底角が相違する3種類の異なる形状をなしている。そして、これらの畝部1a〜1cの配列は、底角が異なる3種類の畝部1a〜1cを左右方向に並べて配列させた組Sをさらに多数組にわたって左右方向に繰り返し並べて配列させたものとなっている。また、この光学シート1の下面は、シート面に沿ったフラットな面となっている。
下方の光学シート2は、図3に示すように、上面に、左右方向に沿う凸状の畝部2a〜2cが前後方向に多数配列形成されている。この光学シート2の上面の畝部2a〜2cは、上下前後方向に沿う面での縦断面形状がそれぞれ二等辺三角形となる上方への凸状であり、しかも、これらの畝部2a〜2cは、二等辺三角形の底角が相違する3種類の異なる形状をなしている。そして、これらの畝部2a〜2cの配列は、底角が異なる3種類の畝部2a〜2cを前後方向に並べて配列させた組Sをさらに多数組にわたって前後方向に繰り返し並べて配列させたものとなっている。また、この光学シート2の下面は、シート面に沿ったフラットな面となっている。
上方の光学シート1の畝部1a〜1cの各組Sにおける構成を、図4に基づいて説明する。1つの組Sは、底角θ1が55°の畝部1aと、底角θ2が45°の畝部1bと、底角θ3が25°の畝部1cとの3種類の畝部1a〜1cを1つずつ右から左に並べて配列している。また、これらの畝部1a〜1cは、二等辺三角形の底辺に相当する部分の長さである畝幅Bが等しくなるようにしている。従って、これらの畝部1a〜1cは、最大の底角θ1を有する畝部1aの凸状が最も上方に突出して高く、最小の底角θ3を有する畝部1cの凸状が最も低くなり、中間の底角θ2を有する畝部1bの凸状は中間の高さとなる。
下方の光学シート2の畝部2a〜2cの各組Sにおける構成も、配列方向が上記上方の光学シート1では左右であったものが前後に変更される点では異なるが、それ以外では同様である。従って、光学シート1の畝部1a〜1cと光学シート2の畝部2a〜2cの畝沿い方向は、ねじれの位置関係で直交している。
なお、本発明において1組として配列される畝部の数は、2以上、10以下が適当であり、より好ましくは3以上、5以下である。また、図2及び図3では、光学シート1,2における1個のLED3に対応する領域のみを示し、各畝部1a〜1cや各畝部2a〜2cの凸状を拡大して見やすくするために、この領域に畝部1a〜1cや畝部2a〜2cの組を9組ずつだけ示しているが、実際には各LED3ごとにさらに多数の組を配列していて、LED3の素子の発光部の幅よりも図4に示す畝幅Bの方が十分に狭くなるようになっている。さらに、この1個のLED3に対応する2枚の光学シート1,2の領域内の組数は、必ずしも整数である必要はない。
上記構成によれば、上方の光学シート1において、図2に示すLED3の真上の位置E0の付近では、図5(a)に示すように、このLED3からの光が底角の大きな畝部1aや畝部1bでは左右方向に傾斜して出射したり全反射することも多くなるが、底角が最小の畝部1cから出射する光はほぼ上向きとなる。また、LED3の真上より少し左右方向に離れた位置E1の付近では、図5(b)に示すように、このLED3からの光が底角の最大の畝部1aと最小の畝部1cでは左右方向に傾斜して出射するが、底角が中間の畝部1bから出射する光はほぼ上向きとなる。そして、さらにLED3の真上から左右方向に遠く離れた位置E2の付近では、図5(c)に示すように、このLED3からの光が底角の小さい畝部1bや畝部1cでは左右方向に傾斜して出射するが、底角が最大の畝部1aから出射する光はほぼ上向きとなる。なお、図5では、光学シート1の下面での入射光の屈折は省略して示している。
上記と同様に、下方の光学シート2においても、LED3の真上の位置の付近では、このLED3からの光が底角の大きな畝部2aや畝部2bでは左右方向に傾斜して出射したり全反射することも多くなるが、底角が最小の畝部2cに入射した光はほぼ上向きとなる。また、LED3の真上より少し前後方向に離れた位置の付近では、このLED3からの光が底角の最大の畝部2aと最小の畝部2cでは前後方向に傾斜して出射するが、底角が中間の畝部2bに入射した光はほぼ上向きとなる。そして、さらにLED3の真上から前後方向に遠く離れた位置の付近では、このLED3からの光が底角の小さい畝部2bや畝部2cでは前後方向に傾斜して出射するが、底角が最大の畝部2aに入射した光はほぼ上向きとなる。
従って、本実施形態のバックライトユニットにおける2枚の光学シート1,2は、縦断面形状の二等辺三角形の底角が異なる3種類の畝部1a〜1c,2a〜2cからなる組Sが左右と前後の直交した方向に繰り返し配列形成されているので、LED3からの左右方向や前後方向の距離が相違しても、左右方向については、上方の光学シート1の各組Sのいずれかの畝部1a〜1cに入射した光がほぼ上向きとなり、前後方向については、下方の光学シート2の各組Sのいずれかの畝部2a〜2cから出射する光がほぼ上向きとなる。このため、LED3から前後左右方向の周囲に離れた距離に応じて輝度にムラが生じるのを防止できるので、均斉度を高めることができる。また、LED3から周囲に大きく離れた位置でも輝度の低下を少なくすることができるので、LED3の間隔距離を広げても均斉度が大きく低下することがなく、従来と同程度の均斉度が得られればよいのであれば、LED3の間隔距離を大幅に広げることができ、バックライトユニットに用いるLED3の配置間隔を広げて個数を減らし省エネルギー化とコストダウンを図ることもできる。
しかも、本実施形態のバックライトユニットにおける2枚の光学シート1,2は、3種類の畝部1a〜1c,2a〜2cが配列された組Sが左右方向や前後方向に多数配列形成されるので、LED3の前後左右方向の配置位置が任意となり、このLED3の位置ずれの影響がなくなるだけでなく、このLED3の個数の増減や配置パターン等の設計変更にも対応することができるようになる。
なお、上記実施形態では、2枚の光学シート1,2における各組Sの3種類の畝部1a〜1c及び畝部2a〜2cの畝幅Bを一定とする場合を示したが、この畝幅Bは必ずしも一定である必要はない。即ち、例えば図6に示す上方の光学シート1のように、各畝部1a〜1cの畝幅B1〜B3が相違するようにしてもよい。特に、この図6に示すように、畝部1a〜1cにおける凸状の縦断面形状の三角形の底辺の両内角の和が大きいものほど、つまり、ここでは二等辺三角形の底角が大きいものほど畝幅B1〜B3が広くなるようにすれば、この二等辺三角形の頂角が小さく尖った畝部1a〜1cほど畝幅B1〜B3が広くなるので、頂角の異なる3種類の畝部1a〜1cから出射してある程度上方を向く光の光量を均一化することができるようになり、均斉度を高めることができる。なぜなら、頂角が小さく尖った畝部1a〜1cほど光の利用率は低下するが、このように頂角が小さく尖った畝部1a〜1cほど畝幅B1〜B3が広くなれば光を多く取り込むことができるので、これらが相殺されて頂角の異なる3種類の畝部1a〜1cから出射してある程度上方を向く光の光量を均一化することができるようになるからである。そして、下方の光学シート2においても、各組Sの3種類の畝部2a〜2cの畝幅Bを同様に調整すれば、これらの畝部2a〜2cから出射してある程度上方を向く光の光量を均一化して均斉度を高めることができる。
また、上記実施形態の2枚の光学シート1,2は、各組Sの3種類の畝部1a〜1c及び畝部2a〜2cの凸状の高さが相違していたが、これらの高さはシート面に平行な面で揃えるようにしてもよい。例えば、上方の光学シート1における各組Sの3種類の畝部1a〜1cの凸状の高さを揃えた場合を図7に示す。ただし、この場合には、図6に示した場合とは逆に、三角形(元の二等辺三角形を基礎とした三角形)の頂角が小さく尖った畝部1a〜1cの畝幅B1〜B3ほど狭くなるので、LED3からの左右方向の距離が遠い位置では輝度を十分に得られないおそれがある。そこで、図8に示すように、もともと凸状の高さが低い畝部1bや畝部1cについては、二等辺三角形を上方に平行移動して嵩上げし、元の二等辺三角形を基礎とした四角以上の多角形とすることにより、畝部1a〜1cの畝幅Bは一定としながら、凸状の高さも揃えるようにすることができる。そして、下方の光学シート2においても、各組Sの3種類の畝部2a〜2cの凸状の高さを同様に揃えることができる。
また、上記実施形態の2枚の光学シート1,2は、各組Sの3種類の畝部1a〜1c及び畝部2a〜2cの底角θ1〜θ3が55°と45°と25°である場合を示したが、これらの底角θ1〜θ3は、互いに相違すればよいので、具体的な角度の値は任意である。ただし、この底角の最大値は、40°以上70°以下であることが好ましく、50°以上70°以下であればより好ましい。この底角の最大値が70°を超えて大きくなりすぎると、畝部1a〜1c及び畝部2a〜2cの畝幅Bを十分な広さとした場合に、凸状の高さが高くなりすぎて光学シート1,2の成形性が悪くなり、取り扱いも難しくなる。逆に、この底角の最大値が55°より小さく、特に40°より小さくなると、各畝部1a〜1c及び各畝部2a〜2cの底角の差も少なくなるので、輝度ムラをなくして均斉度を高める効果が十分に得られ難くなる。
そして、この底角の最小値は、25°以下であることが好ましく、20°以下であればより好ましい。この底角の最小値が20°を超え、特に25°を超えて大きくなりすぎると、各畝部1a〜1c及び各畝部2a〜2cの底角の差も少なくなるので、輝度ムラをなくして均斉度を高める効果が十分に得られ難くなる。この底角の最小値は、0°であってもよく、従って、各組Sのいずれか一つの畝部はシート面と平行な面であってもよい。
また、上記実施形態の2枚の光学シート1,2は、各畝部1a〜1c及び各畝部2a〜2cの縦断面形状が二等辺三角形やこの二等辺三角形を基礎とした形状である場合を示したが、これらの二等辺三角形の頂部を水平に切り取った等脚台形状としてもよい。図9には、上方の光学シート1の畝部1a〜1cの縦断面形状を等脚台形状とした例を示すが、下方の光学シート2の畝部2a〜2cも同様である。さらに、この切り取った頂部に底角の小さい二等辺三角形を載置した将棋の駒形状の五角形としてもよく、六角以上の多角形とすることもできる。
また、上記実施形態の2枚の光学シート1,2は、各組Sの3種類の畝部1a〜1c及び畝部2a〜2cが同じ順序で配列されている場合を示したが、これらの光学シート1,2上の組数が十分に多ければこの配列順序が本発明の効果に影響することはないので、この配列順序が組Sごとに相違していてもよく、この場合の配列順序の相違は不規則であることが好ましい。図10には、上方の光学シート1における各組の畝部1a〜1cの配列順序が組Sごとに不規則に相違する例を示すが、下方の光学シート2の畝部2a〜2cについても同様である。
また、上記実施形態の2枚の光学シート1,2は、各組Sに3種類の畝部1a〜1c及び畝部2a〜2cが配列されている場合を示したが、4種類以上の畝部が配列されていてもよい。さらに、2種類の畝部が配列されているだけでも、特に縦断面形状が四角以上の多角形であれば、本発明の効果をある程度期待することができる。
また、上記実施形態の2枚の光学シート1,2は、各畝部1a〜1c及び各畝部2a〜2cの縦断面形状が垂直線に対して対称形の二等辺三角形やこの二等辺三角形を基礎とした形状である場合を示したが、必ずしもこのような対称形のものに限定されるものではない。ただし、2枚の光学シート1,2が各LED3の左右方向や前後方向の位置に依存しない特性を示すためには、例えば上方の光学シート1の畝部1a〜1cの縦断面形状が左右非対称形である場合、この左右非対称の形状が右方向又は左方向に偏りすぎることは好ましくなく、この偏りが大きすぎると、光学シート1全体として考えた場合に、LED3の左右どちら側であるかによって輝度ムラが生じるおそれもある。従って、例えば上方の光学シート1の場合、個々の畝部1a〜1cの縦断面形状に左右非対称のものがあっても、偏りの程度を数値化して左右方向を正負とすると、各組Sの全ての畝部1a〜1cの偏りを合計したときにできるだけ0に近づくように偏りを分散させて平均化させることが好ましい。つまり、図11に示すように、上方の光学シート1の各組Sに5種類の畝部1a〜1eがあったとすると、例えば畝部1a,1eは左方向に一定量だけ偏り、畝部1cは偏りのない左右対称形であり、畝部1b,1dは右方向に一定量だけ偏っているというように、偏りが分散して平均化していることが好ましい。図12は、これら5種類の畝部1a〜1eの配列順序が隣接する組Sで相違している場合を示す。そして、このような非対称の形状の偏りを分散して平均化させることが好ましいのは、下方の光学シート2においても同様である。
また、上記実施形態の2枚の光学シート1,2は、畝部の縦断面形状における三角形等の各角部が尖った状態である場合を示したが、現実には製造上の都合や面取り等が施されることにより、各角部が多少鈍った状態や丸みを帯びた状態になっていてもよい。例えば、出願人が実際に光学シート1,2の金型を作製したとき、畝部の型の縦断面形状の三角形の頂点部分は、曲率半径が20〜30μm程度の円弧状になっていた。また、この金型を用いて樹脂を成形したとき、実際には三角形の底辺から頂点部分までの高さの90%程度までしか樹脂は充填されなかった。しかも、試しに三角形の高さの70%程度まで樹脂を充填して光学シート1,2を作製してみたが、本発明の効果にほとんど差異は認められなかった。これは、光学シート1,2の畝部が三角形の両斜辺等からなる傾斜面を有することが重要なのであって、これらの傾斜面が接する境界部分である角部の細部の状態は重要ではないからである。そして、図9において畝部の縦断面形状を等脚台形状とした場合にも同様の効果が得られるのは、同じ理由からである。
また、上記実施形態の2枚の光学シート1,2は、上面に凸状の畝部を配列形成した場合を示したが、凹状の溝部が配列形成されたものであっても、同様に本発明の効果を得ることができる。この場合、凹状の縦断面形状は、上記凸状の畝部の縦断面形状を上下逆にしたものを任意に用いることができる。
また、上記実施形態の2枚の光学シート1,2は、畝部や溝部が形成されていない下面がフラットである場合を示したが、この第1の光学シート1の下面の構成は任意であり、例えば微細な凹凸からなるシボ状に加工することにより光拡散性を高めたものであってもよい。
また、上記実施形態の2枚の光学シート1,2は、それぞれの畝部の畝沿い方向又は溝部の溝沿い方向が互いに直交する場合を示したが、これらの畝沿い方向又は溝沿い方向は相違していれば、必ずしも90°の角度差で直交している必要はなく、例えば45°の角度差があるだけでもよい。これは、2枚の光学シート1,2の畝部又は溝部による輝度ムラを減少させる効果は、その畝沿い方向又は溝沿い方向に直交する方向だけでなく、その周囲のある程度の角度範囲にも程度の差はあれ及ぶからである。
また、上記実施形態の2枚の光学シート1,2は、共に上面に畝部や溝部を形成する場合を示したが、いずれか一方が下面に畝部や溝部を形成したものであってもよく、双方の光学シート1,2が下面に畝部や溝部を形成していてもよい。ただし、少なくとも一方の光学シート1,2は、上面に畝部や溝部が形成されていることが好ましい。
また、上記実施形態では、光学シート1,2が透明な樹脂シートからなる場合を示したが、光を透過する透光性を有するものであればよいので、必ずしも透明である必要はない。2枚の光学シート1,2のシート厚も特に限定されるものではなく、一般的にはシート厚0.1〜3mm程度のものが適切であり、シート厚0.14〜1.2mmのものがより好ましい。
上記のような光学シート1,2の樹脂シートとしては、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリオレフィン共重合体(例えばポリ−4−メチルペンテン−1等)、ポリ塩化ビニル、環状ポリオレフィン(例えばノルボルネン構造等)、アクリル樹脂、ポリスチレン、アイオノマー、スチレン−メチルメタクリレート共重合樹脂(MS樹脂)等の透光性の熱可塑性樹脂からなるものが使用できる。特に、熱可塑性樹脂からなる樹脂シートの中でも、ポリカーボネート、ポリエステル(特にポリエチレンテレフタレート)、環状ポリオレフィンからなるものは、耐熱性が良好であり、バックライトユニットに用いられた際にLED3からの放熱によって変形や皺等を生じ難いので好ましく使用される。しかも、ポリカーボネートからなる樹脂シートは、ポリカーボネート自体が透明性の良好な樹脂であり、吸湿性が少なく、高輝度で、反りが少ないため、極めて好ましく使用される。さらに、この樹脂シートは、不飽和ポリエステル、エポキシ樹脂等の透光性の熱硬化性樹脂からなるものであってもよい。しかも、この樹脂シートは、2種以上の樹脂材料を混合し、アロイ化し、複合化したものを使用することもできる。
また、上記実施形態の光学シート1,2は、例えば両面がフラットな樹脂シートを型で押さえ付けて成形するプレス製法を用いて作製することができるが、他のプレス製法やキャスティング法等又は射出成形法の成形法、型ロールを通すことによるロール成形法や押出成形法等による連続成形法等、任意の製法で作製してもよい。
また、上記実施形態の光学シート1,2の樹脂シートは、成形に必要な安定剤、滑剤、耐衝撃改良剤、抗酸化剤、紫外線吸収剤、光安定剤、帯電防止剤、着色剤、蛍光増白剤等が適宜含有されていてもよい。さらに、多層構成をもつ光学シート1,2においては、これらの添加剤は、例えば基材層と表面層の間で添加剤の種類や配合比率を適宜変更してもよい。図13は、上方の光学シート1について、基材層11の上層に表面層12を設け、この表面層12に凸状の畝部を配列形成した2層構造の例を示す。
また、上記実施形態の光学シート1,2の樹脂シートは、光拡散剤が含有されていてもよい。この光拡散剤としては、樹脂シートの樹脂材料との光屈折率が異なる無機質粒子、金属酸化物粒子、有機ポリマー粒子等が単独で又は適宜組合わせて使用される。無機質粒子としては、ガラス[Aガラス(ソーダ石灰ガラス)、Cガラス(硼珪酸ガラス)、Eガラス(低アルカリガラス)]、シリカ、マイカ、合成マイカ、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、硫酸バリウム、タルク、モンモリロナイト、カオリンクレー、ベントナイト、ヘクトライト、シリコーン等の粒子が使用される。そして、金属酸化物としては、酸化チタン、酸化亜鉛、アルミナ等の粒子が使用され、また、有機ポリマー粒子としては、アクリルビーズ、スチレンビーズ、ベンゾグアナミン等の粒子が使用される。このような光拡散剤を含有していれば、光学シート1,2内で光を十分に拡散させることができるので、バックライトユニットに高価な光拡散フィルム等を追加して用いる必要がなくなる。
上記光拡散剤は、その平均粒径が0.1〜100μm、好ましくは0.5〜50μm、更に好ましくは1〜30μmであるものが使用される。粒径が0.1μmより小さい光拡散剤は、凝集しやすいため分散性が悪く、均一に分散できたとしても光の波長の方が大きいので光散乱効率が悪くなる。それゆえ、0.5μm以上の、更には1μm以上の大きさの粒子が好ましいのである。一方、粒径が100μmより大きい光拡散剤は、光散乱が不均一になったり、光線透過率が低下したり、粒子が肉眼で見えたりするようになる。このため、50μm以下の粒子、特に30μm以下の粒子が好ましい。
また、上記実施形態では、光学シート1,2が樹脂シートである場合を示したが、透光性シート(フィルム状や板状等のものも含む)であればよいので、薄板状のガラス等であってもよい。さらに、上記実施形態の光学シート1,2は、シート面が平面である場合を示したが、例えば液晶パネル4の形状に合わせて多少湾曲する等、平面以外の面であってもよい。
また、上記実施形態の2枚の光学シート1,2は、畝部の畝沿い方向又は溝部の溝沿い方向が直交する以外は同様の構成である場合を示したが、例えば一方が畝部で他方が溝部であったり、これら畝部又は溝部の縦断面形状が相違していたり、透光性シートの材質が異なる等、光学シート1と光学シート2の構成が異なっていてもよい。
また、上記実施形態では、バックライトユニットを薄く作製するためと、下方の光学シート2を通り抜けた光を効率良く上方の光学シート1に取り込むために、2枚の光学シート1,2を僅かな隙間をあけて上下に重ねて配置した場合を示したが、この隙間の大きさは必ずしも限定されるものではなく、例えば上方の光学シート1が上面に畝部又は溝部を形成し、下方の光学シート2が下面に畝部又は溝部を形成していて、これらの光学シート1,2の向かい合う面がフラットな場合には、隙間なく密接させて配置することもできる。
また、上記実施形態のバックライトユニットでは、LED3の上方に2枚の光学シート1,2のみを配置する場合を示したが、これらの光学シート1,2の上方の液晶パネル4との間にさらに一般的な光拡散フィルムや上記光学シート1,2とは異なる構成の従来からの光学シートを1枚以上配置することもできる。
また、上記実施形態では、多数のLED3を前後左右方向に等間隔のマトリックス状に配置した場合を示したが、この多数のLED3の配置パターンは例えばマトリックス状の配置を45°回転させた千鳥状であってもよく、LED3が規則的に均等に配置されていれば配置パターンは特に限定されない。しかも、LED3が配置される疎密の差が比較的少なくほぼ平均的に分布しているのであれば、この配置パターンはランダムであってもよい。さらに、多数のLED3は、水平な同一平面上ではなく、2枚の光学シート1,2の平面ではないシート面に合わせて、又は、その他の理由により、上下方向にずれた位置に配置されていてもよい。さらに、LED3の個数は複数個であれば特に限定はない。
また、上記実施形態では、光源としてLED3を用いる場合を示したが、点光源であれば光源の種類は問わない。点光源とは、EL(エレクトロルミネセンス)シート等による面光源やCCFL等による線光源に対応する意味で使われるものであり、小型の電球や放電管等も点光源として用いることができ、LED3の場合であれば、単一の素子に限らず、複数の素子を密接して配置したものであってもよい。さらに、上記実施形態では、レンズを有さない通常のLED3を用いたが、レンズ付きLEDを用いることもできる。
2枚の光学シート1,2は、上記点光源の出光方向側に配置され、点光源がLED3の場合には配光特性に強い指向性があるので、この配光分布が偏っている方向側が出光方向側となるが、通常の小型の電球や放電管等の場合にはほぼ全立体角に光が発せられるので、光が発せられる任意の側を出光方向側とすることができる。しかも、例えば小型の電球や放電管等の上方と下方にそれぞれ2枚ずつの光学シート1,2を配置して上下双方に光を供給することもできる。ただし、反射板を用いる場合には、小型の電球や放電管等におけるこの反射板とは反対側が出光方向側となる。
また、上記実施形態は、液晶パネル4のバックライトユニットとして用いる場合を示したが、液晶パネル4以外のバックライトユニットとして用いることもでき、バックライトに限らない面発光ユニット、例えば面照明装置等として用いることもできる。上記実施形態を面照明装置等に用いる場合、複数のLED3は、照明効果等のために、配置分布に偏りを持たせたり、各LED3と2枚の光学シート1,2との間の距離が必ずしも同じではないように配置させることも考えられる。
また、上記実施形態の2枚の光学シート1,2からなる光拡散シートユニットは、上記実施形態の面発光ユニットの部品として用いる他、光源を限定しない用途、例えば屋外からの自然光を取り込む採光板等として用いることもできる。
〔実施例と比較例の構成〕
上記実施形態で示した各種の2枚の光学シート1,2を用いた実施例1〜10のバックライトユニットと、従来例の各種の2枚の光学シート1,2を用いた比較例1,2のバックライトユニットについて、それぞれ均斉度を測定した結果を以下に示す。
実施例1〜10と比較例1,2のバックライトユニットは、図14に示すように、2枚の光学シート1,2の下方のLED基板5上に多数のLED3をマトリックス状に配置している。ここで、各LED3から上方の2枚の光学シート1,2までの光源シート間距離Hは20mmであり、前後左右方向に隣接するLED3,3の間隔距離である光源間距離Dは、特に断っている場合を除き、30mmである。
実施例1〜10と比較例1,2のバックライトユニットの均斉度の測定には、株式会社アイ・システム社製の「EYESCALE III」を用い、室温23℃、湿度50%RHの環境で測定を行った。この測定は、図15に示すように、LED3の真上の領域A0と、周囲4箇所ずつのLED3の間の領域A1〜A4の計5点の測定ポイントで、2枚の光学シート1,2の上方から輝度を測定し、領域A0と各領域A1〜A4との輝度の比をそれぞれ計算し、これら4つの輝度の比の平均値を均斉度として算出することにより行った。
実施例1〜10のバックライトユニットに用いた2枚の光学シート1,2の構成を説明する。これら実施例1〜10の光学シート1,2は、いずれも光拡散剤を含有しない透明なポリカーボネート製の樹脂シートの一方の表面に畝部を形成し、他方の表面はフラットにしたものである。また、これらの実施例1〜10は、上方の光学シート1の畝部と下方の光学シート2の畝部の畝沿い方向が全て直交している。そして、実施例1〜7の光学シート1,2は、全て上面に畝部を形成している。
上記実施例1〜7のバックライトユニットに用いた2枚の光学シート1,2の詳細な構成を表1に示す。
表1に示すように、実施例1〜3は、2枚の光学シート1,2の畝部の構成が、畝沿い方向が直交していることを除いて、同一である。即ち、実施例1の2枚の光学シート1,2は、双方共に、底角が55°と45°と25°で畝幅がいずれも200μmの二等辺三角形の縦断面形状を有する3種類の畝部の組を配列形成したものであり、実施例2の2枚の光学シート1,2は、双方共に、底角が70°と60°と45°と25°で畝幅が300μmと200μmと150μmと100μmの二等辺三角形の縦断面形状を有する4種類の畝部の組を配列形成したものであり、実施例3の2枚の光学シート1,2は、双方共に、底角が55°と45°と35°と25°と10°で畝幅がいずれも200μmの二等辺三角形の縦断面形状を有する5種類の畝部の組を配列形成したものである。
また、実施例4は、上方の光学シート1が実施例2の2枚の光学シート1,2と同じ構成の4種類の畝部の組を配列形成したものであり、下方の光学シート2が実施例3の2枚の光学シート1,2と同じ構成の5種類の畝部の組を配列形成したものである。さらに、実施例5は、上方の光学シート1が実施例3の2枚の光学シート1,2と同じ構成の5種類の畝部の組を配列形成したものであり、下方の光学シート2が実施例2の2枚の光学シート1,2と同じ構成の4種類の畝部の組を配列形成したものである。
上記実施例1〜5の2枚の光学シート1,2は、いずれもシート厚が0.5mmである。これに対して、実施例6の2枚の光学シート1,2は、双方共に、実施例1の2枚の光学シート1,2と同じ構成の3種類の畝部の組を配列形成したものであるが、シート厚はいずれも0.14mmと薄くなっている。また、実施例7の2枚の光学シート1,2は、双方共に、実施例2の2枚の光学シート1,2と同じ構成の4種類の畝部の組を配列形成したものであるが、シート厚はいずれも1.2mmと厚くなっている。
表1に示していない実施例8〜10の2枚の光学シート1,2の畝部は、実施例2の光学シート1,2の畝部と同じ構成であるが、実施例2では2枚の光学シート1,2の双方の上面に畝部を形成しているのに対して、2枚の光学シート1,2の一方又は双方については下面に畝部を形成している点のみが異なり、他の構成は実施例2の場合と同じである。即ち、実施例8は、2枚の光学シート1,2の双方の下面に畝部を形成し、実施例9は下方の光学シート2のみ下面に畝部を形成し、実施例10は上方の光学シート1のみ下面に畝部を形成している。
上記比較例1,2のバックライトユニットに用いた2枚の光学シート1,2の詳細な構成を表2に示す。
表2に示すように、比較例1の2枚の光学シート1,2は、双方共に、光拡散剤を含有しない透明なポリカーボネート製の樹脂シートの上面に、底角が45°で畝幅が200μmの二等辺三角形の縦断面形状を有する1種類の畝部を配列形成し、下面はフラットにしたものである。また、比較例2の2枚の光学シート1,2は、双方共に、上面に縦断面形状が半楕円形の1種類の畝部を配列形成した市販のレンチキュラーレンズシート(大日本印刷株式会社製H2K)である。なお、この比較例2以外の実施例1〜10と比較例1の光学シート1,2は、全て出願人が作製した。
〔実施例と比較例の均斉度の比較〕
実施例1〜5と比較例1,2のバックライトユニットの均斉度を測定した結果を表3に示す。
表3から明らかなように、実施例1〜5は、最低でも実施例3の79.7%の均斉度を有し、最高の均斉度は実施例4の97.7%に達するので、比較例1,2の36.6%と29.7%の低い均斉度に比べて格段に優れた均斉度を得ることができ、輝度ムラを十分に低下させることができる。これは、比較例1,2の2枚の光学シート1,2が同じ形状の畝部だけを繰り返し配列形成したものにすぎないのに対して、実施例1〜5の2枚の光学シート1,2は、異なる形状の3種類以上の畝部の組を配列形成したことにより、LED3からシート面に沿った距離の相違への依存性が少なくなったからである。
また、表3によれば、実施例1〜3のように、3〜5種類の畝部の組を配列形成することで、極めて高い均斉度が得られることが分かった。さらに、実施例4,5のように、2枚の光学シート1,2で異なる種類の畝部の組を配列形成することにより、さらに高い均斉度が得られる可能性があることも分かった。
〔シート厚による均斉度への影響〕
実施例6の光学シート1,2は、実施例1の光学シート1,2のシート厚だけを薄くしたものであり、実施例7の光学シート1,2は、実施例2の光学シート1,2のシート厚だけを厚くしたものである。これら実施例6と実施例7のバックライトユニットの均斉度を測定した結果を表4に示す。なお、比較のために、表3で示した実施例1と実施例2の均斉度も合わせて示す。
表4によれば、実施例1よりもシート厚の薄い実施例6の均斉度の方が僅かに向上し、実施例2よりもシート厚の厚い実施例7の均斉度の方が僅かに低下しているが、いずれにしても均斉度の変化は少ないので、光学シート1,2のシート厚は、少なくとも0.14〜1.2mmの範囲内であれば実用上全く支障がないことが分かった。
〔畝部を形成する面による均斉度への影響〕
実施例2は、2枚の光学シート1,2の双方の上面に畝部を形成しているが、実施例8〜10は、2枚の光学シート1,2の一方又は双方については下面に畝部を形成している。これら実施例8〜10のバックライトユニットの均斉度を測定した結果を表5に示す。なお、比較のために、表3で示した実施例2の均斉度も合わせて示す。
表5によれば、2枚の光学シート1,2の双方の下面に畝部を形成している実施例8の均斉度のみが90%を少し下回っているが、2枚の光学シート1,2の上面と下面に畝部を形成している実施例9,10の均斉度は、実施例2よりも高く、この実施例2と共に90%を超えている。従って、畝部を形成する面は、上面と下面のいずれの場合であってもそれほど大きく均斉度に影響を与えることはないが、2枚の光学シート1,2のうちの少なくともいずれか1枚は上面(出光方向側を向く面)に畝部を形成している実施例2と実施例9,10の方がより好ましいことが分かった。
〔畝沿い方向の角度差による均斉度への影響〕
実施例2と比較例2は、共に2枚の光学シート1,2の畝沿い方向が直交している。そこで、これら実施例2と比較例2の上方の光学シート1のみをシート面上で回転させて、下方の光学シート2との間の畝沿い方向の角度差が0°(畝沿い方向は平行)から90°(畝沿い方向は直交)まで変化したときのバックライトユニットの均斉度を測定した結果を表6に示すと共に、この表6をグラフ化したものを図16に示す。
表6と図16から明らかなように、実施例2は、角度差が30°以上になると70%以上の高い均斉度が得られ、角度差が35°以上になると90%以上の極めて高い均斉度が安定して得られることが分かった。また、比較例2との比較では、角度差が30°以上で実施例2の均斉度の方が優位となり、角度差が70°以上では、比較例2の均斉度が急激に低下するので、実施例2の均斉度の方が格段に優れたものとなることが分かった。しかも、実施例2は、角度差が30°以上、90°以下の広い角度範囲で高い均斉度が得られることも分かった。
〔LED基板との角度差と畝沿い方向の角度差による均斉度への影響〕
実施例2は、2枚の光学シート1,2の畝沿い方向が直交していて、その下方のLED基板5上のLED3はこれらの畝沿い方向の行列上でマトリックス状に配列されている。そこで、図17に示すように、この実施例2の上方の光学シート1のみをシート面上で回転させると共に、LED基板5も基板面上で回転させたときのバックライトユニットの均斉度を測定した結果を表7に示すと共に、この表7を、光学シート1,2の畝沿い方向の角度差をパラメータとしてグラフ化したものを図18に、光学シート2とLED基板5との角度差をパラメータとしてグラフ化したものを図19に示す。
表7と図18によれば、畝沿い方向の角度差が0°の場合には、LED基板5との角度差が45°(LED3が千鳥状の配列)のときにのみ均斉度が50%を超える程度まで上昇するが、いずれにしても十分な均斉度は得られないことが分かった。これに対して、畝沿い方向の角度差が30°以上の場合には、LED基板5との角度差によらず高い均斉度が得られ、特に畝沿い方向の角度差が60°以上の場合には、LED基板5との角度差に依存することなく安定して極めて高い均斉度が得られることが分かった。
表7と図19によれば、LED基板5との角度差が0°(LED3がマトリックス状)から60°まで変わったとしても、上記表6と図16に示したLED基板5との角度差が0°の場合とほぼ同様に、畝沿い方向の角度差が30°以上であれば高い均斉度が得られ、特に畝沿い方向の角度差が60°以上であれば、LED基板5との角度差に依存することなく安定して極めて高い均斉度が得られることが分かった。
〔光源間距離を広げた場合の均斉度への影響〕
実施例2のバックライトユニットは、LED3の光源間距離Dを30mm(H/D=0.66)とし、これらのLED3としてレンズを有さない通常のものを用いて、表3に示すように91.3%の均斉度を得ている。そこで、これらのLED3をレンズ付きLEDに代えると共に光源間距離Dを55mm(H/D=0.36)に広げて測定すると85.4%の均斉度が得られた。
バックライトユニットは、光源シート間距離Hと光源間距離Dとの比であるH/Dが、例えば光源間距離Dを広げることにより小さくなると均斉度が低下する。しかしながら、実施例2の2枚の光学シート1,2を用いると共に、LED3をレンズ付きのものに代えることにより、H/Dが0.66(=20/30)から0.36(=20/55)にほぼ半減しても、均斉度の大幅な低下はなく比較的高い均斉度を維持できることが分かった。