本発明の照明体の一例を図面を参照しつつ説明する。本発明の照明体Lは、光反射部材Aと、この光反射部材Aの前方に配設された光透過性光拡散シートBと、上記光反射部材Aに配設された光源C、C・・・とを有している。
光反射部材Aは、光反射性を有する熱可塑性樹脂シート1を熱成形することによって形成されている。光反射部材Aは、図1に示したように、平面矩形状の熱可塑性樹脂シート1をその四方外周縁部を除いた部分において前面から後面に向かって熱成形することにより膨出させることによって多数の逆截頭四角錐形状の凹部2、2・・・が該凹部2、2・・・の開口端縁を熱可塑性樹脂シート1の長辺又は短辺に平行にした状態に縦横方向に後述する接続部24を介して所定間隔毎に形成されている。
具体的には、図3に示したように、凹部2は、平面正方形状の上面が平坦な底面部21と、この底面部21の四方外周縁から前方側に向かって徐々に拡がった状態に延設された周壁部22とからなる。この周壁部22は、四個の逆等脚台形状の周壁片部22a、22a・・・が、互いに隣接する周壁片部22a、22a間において、対向する傾斜辺同士を全長に亘って共有することによって底面部21の周方向に一体的に連設されて漏斗状に形成され、周壁片部22a、22a同士の連設部22b内面は全長に亘って切込みや亀裂のない滑らかな凹弧面、好ましくは凹円弧面に形成されており、周壁部22の内周面は全面的に、後述する光源Cから放射された光を反射する光反射面22cに形成されている。更に、周壁部22と底面部21との連設部内面も全面的に切込みや亀裂のない滑らかな凹弧面、好ましくは凹円弧面に形成されている。
そして、凹部2の内底面、即ち、底面部21の内面は発光ダイオードなどの光源Cを配設するための平坦な光源配設部23とされ、凹部2の底面部21には、平面正方形状の貫通孔21aが前後面間に亘って貫設されており、この貫通孔21aを通じて上記光源配設部23上に光源Cが配設可能に構成されている。
更に、互いに隣接する凹部2、2同士は、それらの開口端縁において、格子状に形成された接続部24を介して全面的に一体化されている。この接続部24は、その前面が全面的に平坦な反射面24aに形成されており、凹凸は形成されておらず、切込みや亀裂も形成されていない。
次に、上記光反射部材Aの製造方法について説明する。先ず、光反射部材Aの材料となる光反射性を有する熱可塑性樹脂シートとしては、光を反射することができれば、特に限定されず、熱可塑性樹脂シート中に、酸化チタン、炭酸カルシウムなどの無機充填剤を含有させることによって光反射性を付与することができる。
光反射性を有する熱可塑性樹脂シートの光線全反射率は、低いと、光反射部材の光反射性が低下することがあるので、96%以上が好ましく、98〜100%がより好ましい。
又、光反射性を有する熱可塑性樹脂シートにおける光線全反射率に占める拡散反射率の割合は、低いと、光反射部材における全方向への反射性が低下することがあるので、90%以上が好ましく、95〜100%がより好ましい。
なお、熱可塑性樹脂シートの光線全反射率及び拡散反射率は、JIS K7105に記載の測定法Bに準拠して8°の入射条件下にて全反射光測定を行った場合における波長550nmの光線全反射率及び拡散反射率を室温20℃、相対湿度60%の環境下にて測定し、標準反射板として硫酸バリウム板を用いた時の光線全反射率及び拡散反射率を100とした時の相対値で示した値とした。
上記熱可塑性樹脂としては、特に限定されず、例えば、ポリエチレン系樹脂や、ポリプロピレン系樹脂などのポリオレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアクリル酸メチルなどのアクリル系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリ塩化ビニリデン系樹脂、フッ素系樹脂、ポリエーテル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリブタジエンなどのジエン系樹脂が挙げられ、ポリオレフィン系樹脂が好ましく、ポリプロピレン系樹脂がより好ましい。なお、熱可塑性樹脂は単独で用いられても二種以上が併用されてもよい。
上記ポリエチレン系樹脂としては、例えば、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、中密度ポリエチレンなどが挙げられる。
又、上記ポリプロピレン系樹脂としては、ホモポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体、プロピレン−α−オレフィン共重合体などが挙げられ、光反射部材が加熱されても揮発成分を発生させないので、ホモポリプロピレンが好ましい。更に、光反射部材が発泡してなるものである場合には、ポリプロピレン系樹脂としては、特許第2521388号公報や特開2001−226510号公報にて開示されている高溶融張力ポリプロピレン系樹脂が好ましい。
なお、エチレン−プロピレン共重合体及びプロピレン−α−オレフィン共重合体はランダム共重合体であってもブロック共重合体の何れであってもよい。又、プロピレン−α−オレフィン共重合体中におけるα−オレフィン成分の含有量は、0.5〜30重量%が好ましく、1〜10重量%がより好ましい。
α−オレフィンとしては、炭素数が4〜10のα−オレフィンが挙げられ、例えば、1−ブテン、1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテンなどが挙げられる。
又、上記酸化チタンには、ルチル型、アナターゼ型、イルメナイト型があるが、ルチル型が好ましい。そして、酸化チタンは、その光触媒作用が強いと熱可塑性樹脂を劣化させてしまって光反射部材の光反射性が低下する原因となるので、表面処理を施しておくことが好ましい。
上記酸化チタンの表面処理方法としては、特に限定されないが、アルミニウム、珪素、チタン、ジルコニウム、スズなどの含水酸化物によって被覆する方法などが挙げられる。
そして、熱可塑性樹脂組成物中における酸化チタンの含有量は、少ないと、光反射部材の光反射性が低下する一方、多くても、酸化チタンの配合量に見合うだけの光反射部材の光反射性の向上が見られないばかりか、光反射部材の軽量性も損なわれるので、熱可塑性樹脂100重量部に対して10〜100重量部が好ましく、20〜80重量部がより好ましく、30〜65重量部が特に好ましい。
上記光反射性を有する熱可塑性樹脂シートは、発泡シート或いは非発泡シートの何れであってもよい。先ず、光反射性を有する熱可塑性樹脂発泡シートの製造方法としては、汎用の方法が採用され、例えば、熱可塑性樹脂、無機充填剤及び発泡剤、並びに、必要に応じて添加剤を押出機に供給して溶融混練して発泡性熱可塑性樹脂組成物とし、この発泡性熱可塑性樹脂組成物を押出機の先端に取り付けたダイから押出発泡させて熱可塑性樹脂発泡シートを製造する方法が挙げられる。なお、上記ダイとしては、押出発泡において汎用されているものであれば、特に限定されず、例えば、Tダイ、環状ダイなどが挙げられる。
上記製造方法において、ダイとしてTダイを用いた場合には、押出機からシート状に押出発泡することによって熱可塑性樹脂発泡シートを製造することができる一方、ダイとして環状ダイを用いた場合には、環状ダイから円筒状に押出発泡して円筒状体を製造し、この円筒状体を徐々に拡径した上で冷却マンドレルに供給して冷却した後、円筒状体をその押出方向に連続的に内外周面間に亘って切断し切り開いて展開することによって熱可塑性樹脂発泡シートを製造することができる。
なお、上記発泡剤としては、特に限定されず、プロパン、ブタン、ペンタンなどの飽和脂肪族炭化水素、テトラフルオロエタン、クロロジフルオロエタン、ジフルオロエタンなどのハロゲン化炭化水素などの有機ガス;二酸化炭素、窒素ガスなどの気体状の無機化合物;水などの液体状の無機化合物;重炭酸ナトリウムとクエン酸との混合物の如き、有機酸若しくはその塩と、重炭酸塩との混合物、ジニトロソペンタメチレンテトラミンなどの固体状の発泡剤などが挙げられ、有機酸若しくはその塩と、重炭酸塩との混合物、及び、有機ガスを併用することが好ましく、重炭酸ナトリウムとクエン酸との混合物、及び、有機ガスを併用することがより好ましい。
次に、光反射性を有する熱可塑性樹脂非発泡シートの製造方法としては、汎用の方法が採用され、例えば、上述の熱可塑性樹脂、無機充填剤、及び、必要に応じて添加剤を押出機に供給して溶融混練して熱可塑性樹脂組成物とし、この熱可塑性樹脂組成物を押出機の先端に取り付けたTダイからシート状に押出して熱可塑性樹脂非発泡シートを製造する方法が挙げられる。
更に、熱可塑性樹脂シートの一面には、熱可塑性樹脂発泡シート又は熱可塑性樹脂非発泡シートが積層一体化されて積層シートとされていてもよい。このような積層シートの製造方法としては、汎用の方法が採用され、例えば、(1)光反射部材を構成する熱可塑性樹脂発泡シートと、熱可塑性樹脂非発泡シートとを共押出法によって互いに積層一体化する方法、(2)光反射部材を構成する熱可塑性樹脂非発泡シートと、熱可塑性樹脂発泡シートとを共押出法によって互いに積層一体化する方法、(3)光反射部材を構成する熱可塑性樹脂発泡シートの一面に熱可塑性樹脂非発泡シートを押出ラミネートする方法、(4)光反射部材を構成する熱可塑性樹脂発泡シートの一面に熱可塑性樹脂非発泡シートを熱ラミネートする方法などが挙げられ、非発泡シートの厚みを調整し易いことから、上記(1)(2)の方法が好ましく、上記(1)(2)のなかでもフィードブロック法を用いることがより好ましい。
そして、上記光反射性を有する熱可塑性樹脂発泡シート又は熱可塑性樹脂非発泡シートを汎用の熱成形方法によって逆截頭四角錐体状の凹部2、2・・・を多数、縦横方向に膨出成形すると共に、凹部2の底面部21に光源を配設するための貫通孔21aを前後面間に亘って貫設することによって光反射部材Aを製造することができる。
又、上記光透過性光拡散シートBとしては、光透過性及び光拡散性を有しておれば、特に限定されず、例えば、光拡散剤を含有する合成樹脂シート、光拡散剤を含有する塗膜が表面に形成された合成樹脂シート、表面に凹凸加工を施した合成樹脂シート、曇りガラス(艶消しガラス)、フレキシブルフェースシート(Flexible Face Sheet)、光拡散性及び光透過性を備えた織布などが挙げられる。なお、光透過性光拡散シートBは、単独で用いられても二種以上が併用されてもよい。
上記合成樹脂シートを構成している合成樹脂としては、例えば、ポリメタクリル酸メチル、ポリカーボネートなどが挙げられる。又、光拡散剤としては、例えば、シリコーン樹脂粒子、合成樹脂シートを構成している合成樹脂に対して非相溶性の合成樹脂からなる粒子などが挙げられる。
そして、照明体Lは、図1に示したように、筐体3に、光反射部材Aと、後述する光透過性光拡散シートBと、光源として発光ダイオードCとを配設することによって構成されている。
上記筐体3は、光反射部材Aよりも一回り大きな大きさを有する平面矩形状の底面部31とこの底面部31の四方外周縁から上方に向かって延設された四角枠状の周壁部32とからなる。なお、周壁部32の内周面上端部にはその全周に亘って段部32aが形成されており、この段部32aに光透過性光拡散シートBが着脱自在に配設可能に構成されている。なお、照明体Cの光源は、発光ダイオードの他に、汎用の光源であってもよいが、発光ダイオードが好ましい。
そして、上記筐体3の底面部31の内底面上に光反射部材Aをその凹部2の開口部が筐体3の開口部側となるように配設されている。光反射部材Aにおける各凹部2の底面部21の上面及び接続部24の反射面24aと、筐体3の底面部31の上面とが互いに平行な状態となるように配設されている。
更に、光反射部材Aにおける凹部2の底面部21の貫通孔21aを通じて発光ダイオードCを前方に向かって突出させて、光反射部材Aの光源配設部23上に発光ダイオードCを配設している。なお、発光ダイオードCの発光色は、特に限定されず、例えば、白色、青色、緑色、黄色、赤色などが挙げられ、異なる発光色を有する発光ダイオードCを組み合わせて用いてもよい。
更に、筐体3の周壁部32の段部32a上には光透過性光拡散シートBが着脱自在に配設されており、光透過性光拡散シートBは、光反射部材A及びこの光反射部材Aに配設している発光ダイオードCとは全く接触しておらず、光反射部材Aの凹部2の開口端から前方に所定間隔を存して配設されている。なお、光透過性光拡散シートBは、光反射部材Aの凹部2の底面部21に対して平行となるように配設されている。又、光透過性光拡散シートBは、光反射部材Aの接続部24の反射面24aに平行となるように配設されている。
このように構成された照明体Lは、互いに隣接する凹部2、2間において、これら凹部2、2の光源配設部23上に配設された光源Cを通り且つ光透過性光拡散シートBに対して直交する面で切断した任意の切断面にて、下記の条件を満たす構造を有している。なお、任意の二つの凹部2、2を定めたとき、両凹部2、2の光源配設部23上の発光ダイオードC、C上の点C1、C1間を結ぶ直線上に、他の凹部2が介在していない場合、これら二つの凹部2、2は、互いに隣接するとする。
詳細には、図4に示したように、発光ダイオードCを通り且つ光透過性光拡散シートBに直交する直線P1を描く。又、発光ダイオードCと凹部2の開口端2aとを通る直線P2を描く。そして、直線P1、P2のなす角度をα(°)とする。なお、本発明において、「発光ダイオードCを通る」とは、「切断面における発光ダイオードCの表面上の点であって発光ダイオードCの左右方向の中央の点C1を通る」ことを意味する。
この角度αは下記の要領で算出することができる。直線P1上において、凹部2の開口端2aから直線P1に対して直交する直線P5を描き、この直線P5と直線P1との交点を点Xとしたとき、発光ダイオード上の上記点C1と点Xとの距離をh1とする。又、隣接する凹部2、2の発光ダイオードC、C上の点C1、C1間の距離をd0とし、接続部24の幅寸法をd1とする。そして、下記式に基づいて角度α(°)を算出することができる。
α(°)=tan-1〔(d0−d1)/2h1〕
又、図5に示したように、互いに隣接する凹部2、2を接続している接続部24の反射面24aにおける幅方向の中央24bを通り且つ光透過性光拡散シートBに直交する直線P3を描く。そして、直線P3が光透過性光拡散シートBと交差する点をB1とし、この点B1と発光ダイオードCとを通る直線P4を描く。この直線P4と上記直線P1とがなす角度をβ(°)とする。
この角度βは下記の要領で算出することができる。直線P1上において、発光ダイオードC上の点C1から光透過性光拡散シートBの後面までの距離をh0としたとき、下記式に基づいて角度β(°)を算出することができる。
β(°)=tan-1(d0/2h0)
又、角度θは、光源(発光ダイオード)Cの光放射角であって下記の要領で測定される。図6に示したように、測定対象となる発光ダイオードCを用意する。発光ダイオードC上の点C1から光源配設部23に対して直交する直線上において、発光ダイオードC上の点C1から50cm離れた位置に輝度計Kを配設する。なお、輝度計としては、例えば、コニカミノルタ社から商品名「CS−1000」にて市販されているスポット輝度計、トプコンテクノハウス社から商品名「BM−7」にて市販されているスポット輝度計、トプコンテクノハウス社から商品名「SR−3AR」にて市販されている分光放射輝度計を用いることができる。
次に、発光ダイオードCを点灯させた後、輝度計Kを発光ダイオードC上の点C1を中心とする半径50cmの円上において移動させて、1°間隔毎に輝度計を走査させて発光ダイオードCから放射される光の輝度を測定する。なお、輝度計Kによる輝度の測定条件は、測定角1°、NDフィルタ10%、平均回数3回/1点とする。
図6において、発光ダイオードC上の点C1の右側にて発光ダイオードCからの光が測定されなくなった点E1、及び、発光ダイオードC上の点C1の左側にて発光ダイオードCからの光が測定されなくなった点E2とを特定し、発光ダイオードC上の点C1と点E1とを結ぶ線F1と、発光ダイオードC上の点C1と点E2とを結ぶ線F2とがなす角度の1/2の角度をθとする。
そして、本発明の照明体Lは、上述のように規定された光放射角θ及び角度α、βは、下記式1を満たしている。
β≦α<θ・・・式1
しかるに、本発明の照明体Lにおける発光ダイオードCから光を放射させると、光放射角θが角度αと等しいか或いはそれ以上の角度を有しているので、発光ダイオードCからの放射光を凹部2の光反射面22cに確実に入射させて光反射面22cにて反射させることによって光を分散化させることができる。この分散化された光を光透過性光拡散シートBに入射させることによって、光透過性光拡散シートBの輝度の均一化を図ることができる。
そして、本発明の照明体Lでは、角度αを角度βと等しいか或いはそれ以上の角度となるように構成しているので、互いに隣接する凹部2、2間において、一方の凹部2の光源配設部23に配設された発光ダイオードCから放射された光は、互いに隣接する凹部2、2同士を接続している接続部24の前方に位置する光透過性光拡散シートB部分のうち、一方の凹部2側の一半部、一方の凹部2側の半分を少なくとも照らすと共に、他方の凹部2の光源配設部23に配設された発光ダイオードCから放射された光は、互いに隣接する凹部2、2同士を接続している接続部24の前方に位置する光透過性光拡散シートB部分のうち、他方の凹部2側の他半部、他方の凹部2側の半分を少なくとも照らす。従って、光反射部材Aの接続部24の前方に位置する光透過性光拡散シートB部分に、互いに隣接する凹部2、2に配設された発光ダイオードC、Cから放射された光を確実に入射させることができる。
上述のようにして光透過性光拡散シートBに入射した光のうち、一部の光は光透過性光拡散シートBを透過する一方、一部の光は光透過性光拡散シートBによって光反射部材A側に反射される。
この光反射部材A側に反射された光は、光反射部材Aの凹部2の光反射面22cや接続部24の反射面24aによって再度、光透過性光拡散シートB側に反射される。この光反射において、光反射部材Aの接続部24の前面は全面的に平坦な反射面24aに形成されており、凸円弧状に形成されていないことから、接続部24の反射面24aに入射した光を光透過性光拡散シートB側、特に、接続部24の前方に位置する光透過性光拡散シートB部分及びその近傍に確実に反射させることができる。このようにして、発光ダイオードCから放射された光は、光反射部材Aと光透過性光拡散シートBとの間で多重反射を繰返しながら、光透過性光拡散シートBを透過する。
上述のように、発光ダイオードCから放射された光は、光反射部材Aと光透過性光拡散シートBとの間で多重反射を繰返しながら光透過性光拡散シートBに入射するので、光透過性光拡散シートBは、光反射部材Aの凹部2の前方にある部分と、そうでない部分、即ち、光反射部材Aの接続部24の前方にある部分との間において、発光ダイオードCからの光の照射強度に殆ど差はなく、よって、光透過性光拡散シートBの輝度ムラの発生が抑制される。
そして、本発明の照明体Lの光反射部材Aは、前面が平坦な反射面24aに形成された接続部24を凹部2、2間に有しており、接続部24の形状をその幅などを調整することによって変化させることにより、凹部2の形状を変化させることなく、発光ダイオードCの配設間隔を変化させることができる。
従って、本発明の照明体Lは、凹部2の形状、発光ダイオードCの配設状態、発光ダイオードCと光透過性光拡散シートBとの距離が予め固定されている既存製品などに柔軟に対応することができる。
更に、本発明の照明体Lの光反射部材Aは、その凹部2、2同士を連結している接続部24の前面が平坦な反射面24aに形成されているので、凹部2の光反射面22cの傾斜角度を変化させることなく、凹部2、2間が断面逆V字状の接続部で接続されている場合に比して凹部2の深さを浅く形成することができ、本発明の照明体Lはその厚みを薄く構成することができる。
しかも、上述したように、凹部2、2同士を連結している接続部24の前面を平坦面とすることによって、接続部24の前方及びその近傍部に位置する光透過性光拡散シートB部分にも発光ダイオードCからの光を多重反射によって充分に入射することができる。よって、本発明の照明体Lは、光透過性光拡散シートBの輝度ムラの発生を抑制しつつ、厚みの薄型化を図ることができる。
又、図5に示したように、互いに隣接する凹部2、2間において、これら凹部2、2の光源配設部23上に配設された光源Cを通り且つ光透過性光拡散シートBに対して直交する面で切断した切断面にて、凹部2の光反射面22cにおける任意の点における接線P6を描き、この接線P6と、上記光透過性光拡散シートBに平行な面とがなす角度γ(°)が下記式2を満たしている。なお、光反射面22cにおける任意の点を選択したとき、この点が存在する光反射面22c部分が一定の傾斜角度を有する平坦面である場合は、接線P6を光反射面22c部分と読み替えるものとする。
γ≦90°−β・・・式2
これは、γ≦90°−βの関係を満たさないと、発光ダイオードCから放射されて凹部2の光反射面22cで反射された光が、光反射部材Aの接続部24方向に反射されにくくなって凹部2の前方に向かって反射され易くなり、その結果、光反射部材Aの接続部24の前方に対応する光透過性光拡散シートB部分における光照射強度が、凹部2の前方に対応する光透過性光拡散シートB部分における光照射強度よりも弱くなり、光透過性光拡散シートBに輝度ムラが発生するからである。
そして、上記凹部2の光反射面22cは平坦面から形成されており、角度γは変化しないが、後述する図14及び図15に示した凹部2のように、凹部2の光反射面22cの傾斜角度を変化させてもよく、このような場合、凹部2の前方側となるにしたがって角度γが式2の下限側に近い値をとる一方、凹部2の後方側となるにしたがって角度γが式2の上限側に近い値をとるように凹部2の光反射面22cを構成することが好ましい。
上記では、凹部2が逆截頭四角錐状に形成されている場合を説明したが、凹部2は、逆截頭四角錐体状以外の逆截頭錐体状であってもよい。なお、截頭錐体状とは、錐体の頂部を切除した形状をいう。
具体的には、図7及び図8に示したように、図1の凹部2において、低面部21を正八角形状に形成し、周壁片部22a、22a同士を二等辺三角形状の連設部22b'を介して底面部21の周方向に一体化的に連設させて漏斗状に形成した構造であってもよい。この凹部2においても、上記式1を満たしている必要がある。上記以外の光反射部材Aの構造は、図3に示した光反射部材Aと同一の構造を有しているので同一符号を付して説明を省略する。
又、図9及び図10に示したように、凹部2は、平面正六角形状の底面部41と、この底面部41の四方外周縁から前方に向かって徐々に拡がった状態に延設された周壁部42とからなる形状であってもよい。
上記周壁部42は、六個の逆等脚台形状の周壁片部42a、42a・・・が、互いに隣接する周壁片部42a、42a間において、対向する傾斜辺同士を全長に亘って共有することによって底面部41の周方向に一体的に連設されて漏斗状に形成され、周壁片部42a、42a同士の連設部42b内面は全長に亘って切込みや亀裂のない滑らかな凹弧面、好ましくは凹円弧面に形成されており、周壁部42の内周面は全面的に、上記光源Cから放射された光を反射する光反射面42cに形成されている。更に、周壁部42と底面部41との連設部内面も全面的に切込みや亀裂のない滑らかな凹弧面、好ましくは凹円弧面に形成されている。この凹部2においても、上記式1を満たしている必要がある。上記以外の光反射部材Aの構造は、図3に示した光反射部材Aと同一の構造を有しているので同一符号を付して説明を省略する。
又、図11及び図12に示したように、凹部2は、逆截頭角錐体状の他に、逆截頭円錐体状に形成されていてもよい。即ち、凹部は、平面円形状の底面部61と、この底面部61の外周縁から前方に向かって徐々に拡がった状態に延設された逆截頭円錐体状の周壁部62とからなる形状であってもよい。この凹部2においても、上記式1を満たしている必要がある。上記以外の光反射部材Aの構造は、図3に示した光反射部材Aと同一の構造を有しているので説明を省略する。
上記では、凹部2を形成している周壁部を構成している各周壁片部の光反射面の傾斜角度、即ち、上記角度γが、凹部2の底面部から凹部2の開口端に至るまで変化することがなく同一角度を有している場合を説明したが、凹部2を形成している周壁部を構成している各周壁片部の光反射面の傾斜角度が、凹部2の底面部21から凹部2の開口端2aに至る間に変化してもよい。
具体的には、図13〜15に示したように、凹部2は、平面正方形状の底面部51と、この底面部51の外周縁から前方に向かって徐々に拡がった状態に延設された周壁部52とからなる。
上記周壁部52は、四個の周壁片部52a、52a・・・が、互いに隣接する周壁片部52a、52a間において、対向する傾斜辺同士を全長に亘って共有することによって底面部51の周方向に一体的に連設されて漏斗状に形成されている。
各周壁片部52aは、その前後方向の二箇所の屈曲部52b、52cにおいて起立方向に屈曲されており、屈曲部52bよりも後方の周壁片部52a部分における角度γ1と、屈曲部52bと屈曲部52c間の周壁片部52a部分における角度γ2と、屈曲部52cよりも前方の周壁片部52a部分における角度γ3とを比較すると、角度γ1、角度γ2、角度γ3の順に大きくなっている。なお、角度γ1〜γ3は、上記角度γで定義される角度である。各周壁片部52aの屈曲部52b(52c)同士は、底面部51の周方向に接続して平面正方形の枠状を形成している。この凹部2においても、上記式1を満たしている必要がある。上記以外の光反射部材Aの構造は、図3に示した光反射部材Aと同一の構造を有しているので説明を省略する。
上記では、碁盤目状に配置された凹部2、2・・・において、縦横に隣接する凹部2の開口端を形成している縁辺が互いに平行に形成されている場合を説明したが、図16に示したように、任意の凹部2と、この凹部2に対して縦横に隣接する凹部2の開口端とが互いに図面上において時計回りに90°だけ回転させた関係となるように、凹部2、2・・・を形成してもよい。なお、凹部2、2・・・をこのように配列させた場合、上記直線P1を中心として左右で測定される角度α、βが同一値をとらない場合があるが、全ての測定において、上記式1を満たしている必要がある。なお、凹部2の形状は、図9及び図10に示した凹部2と同様の構成であるので同一符号を付して説明を省略する。
上記凹部2では、光源配設部23に光源Cを一つのみ配設した場合を説明したが、光源配設部23に複数個の光源C、C・・・を配設してもよい。この場合、各光源Cについて、光放射角θ及び角度α、βが上記式1を満たしている必要がある。
(実施例1、比較例3)
光反射部材Aの原反となる光反射シートを用意した。この光反射シートは、熱可塑性樹脂発泡シートの一面に熱可塑性樹脂非発泡シートが積層一体化されていた。光反射シートは、その厚みが0.8mm、全体の密度が0.8g/cm3であった。光反射シートは、その熱可塑性樹脂非発泡シート面において、光線全反射率が98.5%、拡散反射率が96.3%、光線全反射率に占める拡散反射率の割合が97.8%であった。
上記光反射シートから一辺が64cmの平面正方形状の光反射原反シートを切り出した。この光反射原反シートをその表面温度が140℃となるように加熱した後、マッチモールド成形により光反射原反シートの一部を熱可塑性樹脂非発泡シート側から熱可塑性樹脂発泡シート側に向かって膨出させて、光反射原反シートの略全面に逆截頭四角錐体状の凹部2、2・・・を縦横に所定間隔毎に形成した。各凹部2の底面部21に、平面正方形状の貫通孔21aを前後面間に亘って貫設し、この貫通孔21aを通じて底面部21の内底面からなる光源配設部23上に発光ダイオードCを配設可能に形成した。凹部2の底面部21は、一辺が6mmの平面正方形状に形成されていた。凹部2の開口端は、長辺27mm、短辺24mmの平面長方形状に形成されていた。
そして、凹部2を膨出形成した光反射原反シートから長辺42cm、短辺29.7cmの平面長方形状(A3サイズ)の光反射部材Aを得た(図2参照)。光反射部材Aにおいて、全体形状の長辺方向と凹部2の長辺方向とが合致するようにした。
なお、凹部2の周壁片部22a、22a同士の連設部22b内面は全長に亘って切込みや亀裂のない滑らかな凹円弧面に形成されており、周壁部22の内周面は全面的に、発光ダイオードCから放射された光を反射する光反射面22cに形成されていた。周壁部22と底面部21との連設部内面も全面的に切込みや亀裂のない滑らかな凹円弧面に形成されていた。又、凹部2、2同士は、前面が平坦な反射面24aに形成された接続部24によって全面的に連結されていた。凹部2の開口端と接続部24との連設部は全面的に切込みや亀裂のない滑らかな凸円弧面に形成されていた。
次に、長辺45.5cm、短辺33.2cmの平面矩形状の底面部31とこの底面部31の四方外周縁から上方に向かって延設された高さ5cmの四角枠状の周壁部32とからなる筐体3を用意した。筐体3の周壁部32の内周面上端部にはその全周に亘って段部32aが形成されていた。
この筐体3の内底面上に、基板上に発光ダイオードC、C・・・が碁盤目状に配設されてなるA3サイズの発光ダイオードモジュールをその発光ダイオードC、C・・・が前方を向いた状態にして敷設し、この発光ダイオードモジュール上に上記光反射部材Aを敷設した。なお、光反射部材Aの各凹部2の光源配設部23上に発光ダイオードモジュールの発光ダイオードCが配設されていた。発光ダイオードモジュールの動作電力は5.8Wであった。発光ダイオードCの光放射角θは71°であった。
そして、筐体3の段部32a上に光透過性光拡散シートB(三菱レイヨン社製 商品名「アクリライト」、厚さ2mm、全光線透過率:58%)を着脱自在に配設して照明体Lを作製した。なお、光反射部材Aの凹部2の底面部21及び接続部24の反射面24aと、光透過性光拡散シートBの前後面と、筐体3の底面部31は、互いに平行となるように配設されていた。
得られた照明体Lの互いに隣接する凹部2、2間において、これら凹部2、2の光源配設部23上に配設された発光ダイオードCを通り且つ光透過性光拡散シートBに対して直交する面であって、凹部2の開口端縁の長辺に平行な面(第一面)、凹部2の開口端縁の短辺に平行な面(第二面)、凹部2の開口端縁における対角線方向に平行な面(第三面)で切断した切断面にて、角度をα、角度β、角度γ、発光ダイオードC上の点C1から光透過性光拡散シートBの後面までの距離h0、発光ダイオード上の上記点C1と点Xとの距離h1、隣接する凹部2、2の発光ダイオードC、C上の点C1、C1間の距離d0、接続部24の幅寸法d1は表1〜3に示した通りであった。
(実施例2)
凹部の形状が逆截頭円錐体状となるように光反射原反シートをマッチモールド成形によって成形したこと以外は実施例1と同様にして照明体Lを作製した。得られた光反射部材Aにおいて、凹部2の底面部21は、直径8.6mmの平面円形状に形成されていた。凹部2の開口端は、直径26mmの平面円形状に形成されていた。
得られた照明体Lの互いに隣接する凹部2、2間において、これら凹部2、2の光源配設部23上に配設された発光ダイオードCを通り且つ光透過性光拡散シートBに対して直交する面であって、光反射部材A全体の長辺に平行な面(第一面)、光反射部材A全体の短辺に平行な面(第二面)、第一面及び第二面のそれぞれに対して45°の角度をなした面(第三面)で切断した切断面にて、角度をα、角度β、角度γ、発光ダイオードC上の点C1から光透過性光拡散シートBの後面までの距離h0、発光ダイオード上の上記点C1と点Xとの距離h1、隣接する凹部2、2の発光ダイオードC、C上の点C1、C1間の距離d0、接続部24の幅寸法d1は表1〜3に示した通りであった。
(比較例4)
凹部の形状が逆截頭円錐体状となるように光反射原反シートをマッチモールド成形によって成形したこと以外は実施例1と同様にして照明体Lを作製した。得られた光反射部材Aにおいて、凹部2の底面部21は、直径16.6mmの平面円形状に形成されていた。凹部2の開口端は、直径26mmの平面円形状に形成されていた。
得られた照明体Lの互いに隣接する凹部2、2間において、これら凹部2、2の光源配設部23上に配設された発光ダイオードCを通り且つ光透過性光拡散シートBに対して直交する面であって、光反射部材A全体の長辺に平行な面(第一面)、光反射部材A全体の短辺に平行な面(第二面)、第一面及び第二面のそれぞれに対して45°の角度をなした面(第三面)で切断した切断面にて、角度をα、角度β、角度γ、発光ダイオードC上の点C1から光透過性光拡散シートBの後面までの距離h0、発光ダイオード上の上記点C1と点Xとの距離h1、隣接する凹部2、2の発光ダイオードC、C上の点C1、C1間の距離d0、接続部24の幅寸法d1は表1〜3に示した通りであった。
(比較例1)
凹部2、2間に接続部が形成されないように凹部2、2を連続的に形成したこと以外は実施例1と同様にして照明体Lを作製した。凹部2の底面部21は、一辺が6mmの平面正方形状に形成されていた。凹部2の開口端は、長辺35mm、短辺32mmの平面長方形状に形成されていた。
得られた照明体Lの互いに隣接する凹部2、2間において、これら凹部2、2の光源配設部23上に配設された発光ダイオードCを通り且つ光透過性光拡散シートBに対して直交する面であって、凹部2の開口端縁の長辺に平行な面(第一面)、凹部2の開口端縁の短辺に平行な面(第二面)、凹部2の開口端縁における対角線方向に平行な面(第三面)で切断した切断面にて、角度をα、角度β、角度γ、発光ダイオードC上の点C1から光透過性光拡散シートBの後面までの距離h0、発光ダイオード上の上記点C1と点Xとの距離h1、隣接する凹部2、2の発光ダイオードC、C上の点C1、C1間の距離d0は表1〜3に示した通りであった。
(比較例2)
光反射原反シートから長辺42cm、短辺29.7cmの平面長方形状(A3サイズ)の平板を切り出して光反射部材として用いたこと以外は実施例1と同様にして照明体Lを作製した。
得られた照明体の輝度を下記の要領で測定し、その結果を表4に示した。
(照明体の輝度評価)
照明体Lの光透過性光拡散シートBの中央部から光透過性光拡散シートBに対して直交する方向に50cm離れた位置に二次元輝度計M(コニカミノルタ社製 商品名「CA−2000」)を配設した。
しかる後、照明体Lの全ての発光ダイオードC、C・・・を点灯して二次元輝度計Mを用いて輝度を測定した。なお、測定条件は、同期設定60Hz:1/30、NDフィルタ1.5%、暗色許容値5.0%、積算回数64回とした。
光反射部材Aにおける各凹部2の光源配設部23上に配設した発光ダイオードの前方に対応する部分(長辺方向8箇所×短辺方向12箇所=96箇所)の輝度(光源部輝度)を測定し、最大輝度及び最小輝度を表4に示した。
同様に、光反射部材Aにおける接続部24の反射面24aの前方に対応する部分(長辺方向7箇所×短辺方向11箇所=77箇所)の輝度(非光源部輝度)を測定し、最大輝度及び最小輝度を表4に示した。
更に、光反射部材Aの全範囲の輝度を測定し、その輝度の相加平均値を平均輝度とした。なお、比較例1の光反射部材Aには接続部が形成されていないので、凹部2、2の開口端縁同士の連設部を接続部とみなして非光源輝度を測定した。比較例2の光反射部材Aには凹部及び接続部が形成されていないので、実施例1と同様の測定箇所にて光源部輝度及び非光源部輝度を測定した。
又、光源部輝度を測定した際の最大輝度と、非光源部輝度を測定した際の最小輝度との差を平均輝度で除した値に100を乗じた値を輝度ムラとして表4に記載した。