以下に、本発明の実施の形態にかかる吹出口ユニットおよび送風装置を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。
実施の形態1.
図1は、本発明の実施の形態1にかかる送風装置の概略構成を示す斜視図である。まず、送風装置1の概略構成について説明する。送風装置1は、筐体20、吹出口ユニット30を備える。筐体20は、箱体形状を呈しており、内部に送風機40が設けられる。筐体20の一面には、吹出口ユニット30が設けられる。吹出口ユニット30を介して、筐体20の内部と外部とが連通される。筐体20の内部に設けられた送風機40は、吹出口ユニット30に向けて送風する。これにより、送風装置1は、吹出口ユニット30から空気を吹き出す。
次に、吹出口ユニット30の詳細な構成について説明する。図2は、吹出口ユニット30の斜視図である。吹出口ユニット30は、枠体2、羽根板3、リンク部品(リンク部)4を備える。
図3は、枠体2の斜視図である。枠体2は、筒状形状を呈する。枠体2のうち、筐体20側の開口は送風機40から送られる空気が流入する流入口となり、筐体20の反対側の開口は送風機40から送られる空気が流出する流出口となる。枠体2のうち、互いに対向する第1面41と第2面42との間には、羽根板3が回転可能に設けられる。吹出口ユニット30は、羽根板3の姿勢の変化によって空気の送風方向を変化させるルーバー機構を備える。
枠体2の第1面41には、U字スリット(枠側スリット)5が形成されている。図4は、枠体2のU字スリット5部分を拡大した部分拡大図である。U字スリット5は、枠体2の流入口側となる縁部41aから流出口側に向けて延びるように形成される。なお、U字スリット5は、枠体2の流出口側となる縁部41bから流入口側に向けて延びるように形成されていてもよい。U字スリット5の奥には、U字スリット5の幅よりも大きい直径の第1軸穴6が形成されている。
枠体2の第2面42には、第1軸穴6と対向する位置に、第2軸穴7が形成されている。枠体2に形成された第1軸穴6と第2軸穴7は、後述する羽根板3の軸部を差し込んで、羽根板3を支持するために形成される。
枠体2には、空気の通過部分を第1面41側と第2面42側とに分割する支持板(支持板部)8が設けられる。支持板8は、第1面41および第2面42と平行な板部材である。支持板8には、枠体2の流入口側に切り欠かれた支持切欠き9が形成されている。支持切欠き9の縁部の一部は、第1軸穴6と第2軸穴7とを結ぶ位置で、半円形状を呈して羽根板3を支持する支持係合部9aとなる。
図5は、羽根板3の斜視図である。羽根板3は、板状形状を呈し、両端に軸部10,11が形成されている。羽根板3の一方の軸部10は、枠体2の第1軸穴6に差し込まれる。羽根板3の他方の軸部11は、枠体2の第2軸穴7に差し込まれる。羽根板3は、軸部10,11が第1軸穴6および第2軸穴7に差し込まれることで、軸部10,11を結ぶ回転軸を中心に回転可能に支持される。ここで、吹出口ユニット30において、羽根板3の回転軸に沿った方向を第1の方向(矢印Xに示す方向)とし、枠体2の流入口から流出口に向かう方向を第2の方向(矢印Yに示す方向)とし、第1の方向および第2の方向に直交する方向を第3の方向(矢印Zに示す方向)とする(図1も参照)。
羽根板3には、枠体2に支持された状態で、支持板8が挿入される羽根側スリット3aが形成されている。羽根側スリット3aの内側には、支持板8に形成された支持係合部9aに係合する支持軸3bが形成されている。また、羽根板3の軸部11側となる端部には、係合軸13が突出されている。支持軸3bと支持係合部9aが係合することで、羽根板3は中央部分でも枠体2に支持されることになり、羽根板3の支持が安定する。
図6は、軸部10を羽根板3の回転軸に沿って見た図である。軸部10には、羽根板3の回転軸に平行、かつ互いに平行となる平行面10a,10bが形成されている。ここで、枠体2に形成されたU字スリット5の幅A(図4を参照)は、平行面10a,10b同士の距離よりも大きく、軸部10の最大幅Dよりも小さい。また、枠体2に形成された第1軸穴6の直径B(図4を参照)は、軸部10の最大幅Dよりも大きい。すなわち、C<A<D<Bという大小関係が成立する。
図2に戻って、羽根板3は、枠体2に対して第3の方向に沿って複数枚並べられる。本実施の形態では、4枚の羽根板3が並べられる。枠体2の内側には、リンク部品(リンク部)4が設けられる。枠体2には、リンク部品4を第3の方向に沿って移動可能に支持するリンク支持部2aが形成されている。
図7は、リンク部品4の斜視図である。リンク部品4は、棒状形状を呈しており、2つの係合部16が形成されている。係合部16は2つの突起形状からなり、この2つの突起形状の間に羽根板3の係合軸13を挿入することにより係合される。それぞれの係合部16には、羽根板3の係合軸13が係合される。
リンク部品4を第3の方向に沿って移動させることで、2枚の羽根板3を一括して回転させることができる。リンク部品4は、第3の方向に沿った中央部分よりも一方側に設けられた2枚の羽根板3を回転させる第1のリンク部品4aと、他方側に設けられた2枚の羽根板3を回転させる第2のリンク部品4bを有する。これにより、中央部分を挟んだ一方側と他方側とで独立して羽根板3を回転させることができる。リンク部品4には、リンク部品4を操作しやすくなるように操作部15が設けられている。例えば、使用者は操作部15をつまんでリンク部品4を移動させることができる。
次に、枠体2への羽根板3の取り付け手順を説明する。図8〜図10は、枠体2への羽根板3の取り付け手順を示す図である。まず、図示は省略するが、枠体2の第2面42に形成された第2軸穴7に、羽根板3の軸部11を差し込む。そして、図8に示すように枠体2の第1面41に形成されたU字スリット5に、軸部10を差し込む。この時、U字スリット5の延びる方向と、軸部10に形成された平行面10a,10bとを平行にすることで、第1面41に干渉させずに軸部10をU字スリット5に差し込むことができる。
そして、図9に示すように、第1面41に形成された第1軸穴6まで軸部10を差し込む。そして、図10に示すように、回転軸を中心に羽根板3を回転させる。ここで、軸部10の最大幅Dは、U字スリット5の幅Aよりも大きいため(図4,6も参照)、U字スリット5の延びる方向と、軸部10に形成された平行面10a,10bとが平行な状態に近づかない限り、第1軸穴6から軸部10が外れることはない。また、第1軸穴6の直径Bは、軸部10の最大幅Dよりも大きいので、羽根板3が回転軸を中心に回転可能に支持される。
図11は、吹出口ユニット30を正面上方から見た図であって、送風方向を紙面右方に向けた状態を示す図である。図12は、図11に示す状態の羽根板3部分を回転軸に沿って見た図である。図13は、吹出口ユニット30を正面上方から見た図であって、送風方向を紙面左方に向けた状態を示す図である。図14は、図13に示す状態の羽根板3部分を回転軸に沿って見た図である。
図11に示すように、第1のリンク部品4aと第2のリンク部品4bを紙面右方に移動させることで、吹出口ユニット30からの送風方向を紙面右方に向けることができる。図13に示すように、第1のリンク部品4aと第2のリンク部品4bを紙面右方に移動させることで、吹出口ユニット30からの送風方向を紙面左方に向けることができる。
本実施の形態では、図12,14に示すように、第2の方向(矢印Yに示す方向)と、吹出口ユニット30からの送風方向(羽根板3の板面)とがなす角度が、最大で35°となっている。この左右への35°の回転の間(風向調整角度範囲)では、軸部10の平行面10a,10bが、U字スリット5の延びる方向と平行にならないようにされている。より具体的には、本実施の形態では、図8に示すように、回転軸に沿って見た場合に、羽根板3の板面と平行面10a,10bとがなす角度が75°となっている。なお、羽根板3の板面と平行面10a,10bとがなす角度は、羽根板3による風向調整角度範囲に合わせて適宜変更すればよい。
図15は、吹出口ユニット30を正面上方から見た図であって、送風方向を中央に集中させた状態を示す図である。図15に示すように、第1のリンク部品4aを紙面右方に移動させ、第2のリンク部品4bを紙面左方に移動させることで、吹出口ユニット30の送風方向を中央方向に集中させることができる。これにより、吹出口ユニット30からの風の送風範囲が狭められる。例えば、送風装置1が設置される室内空間の送風したい場所に向けて、集中して送風することができる。また、例えば送風装置1が暖房機であれば、部屋の床面に送風を集中させて、床面をより早く温めることができる。
図16は、吹出口ユニット30を正面上方から見た図であって、送風方向を左右に拡散させた状態を示す図である。図16に示すように、第1のリンク部品4aを紙面左方に移動させ、第2のリンク部品4bを紙面右方に移動させることで、吹出口ユニット30の送風方向を左右に拡散させることができる。これにより、吹出口ユニット30からの風の送風範囲が広げられる。例えば、送風装置1が設置される室内空間の広範囲に送風することができる。また、例えば送風装置1が暖房機であれば、部屋の広範囲をより均一に温めることができる。
図17は、吹出口ユニット30を正面上方から見た図であって、送風方向を正面に向けた状態を示す図である。図16に示すように、第1のリンク部品4aと第2のリンク部品4bの位置を調整して、吹出口ユニット30からの送風方向を正面に向けることも可能である。
以上説明した吹出口ユニット30によれば、羽根板3の軸部11を枠体2の第2軸穴7に差し込んだ状態で、軸部10をU字スリット5から第1軸穴6まで差し込んで、羽根板3を回転させるだけで、羽根板3を枠体2に取り付けることができる。したがって、吹出口ユニット30の組み立て作業において、羽根板3を弾性変形させながら枠体2の内側に差し込むような作業を行わなくて済む。これにより、組み立て作業の作業性の向上を図ることや、弾性変形による羽根板3の破損を防ぐことができる。
例えば、送風装置1が暖房機である場合には、送風される空気が高温であるため、枠体2、羽根板3、リンク部品4等に、ガラス入りの耐熱性の樹脂が用いられる場合がある。このような耐熱性の樹脂は、弾性率が高く変形させにくい。このように、変形させにくい材料で羽根板3が形成されていた場合であっても、取り付け時に羽根板3を弾性変形させずに済むので、組み立て作業の作業性の向上効果がより顕著に得られる。
また、U字スリット5から第1軸穴6まで軸部10を差し込むだけで羽根板3を取り付けることができるので、枠体2を複数の部材に分割して構成し、分割された部材で羽根板3を挟み込みながら組み立てるような面倒な作業を省略することができる。また、枠体2を複数の部材に分割せずに済むため、部品点数を抑えて製造コストの抑制を図ることができる。
また、支持板8には支持切欠き9が形成されているので、羽根板3が回転した際に、羽根板3と支持板8とが干渉することを防ぐことができる。なお、支持切欠き9の大きさは、羽根板3による風向調整角度範囲に合わせて適宜変更すればよい。
また、羽根板3の板面に対する平行面10a,10bの角度設定によって、風向調整角度範囲では、U字スリット5から羽根板3が外れないようになっているので、軸部10の外れ防止のために別部品を設ける必要がなく、部品点数の削減を図ることができる。
また、リンク部品4によって、複数の羽根板3を一括して回転させることができるので、風向調整の作業性の向上を図ることができる。また、リンク部品4を、第1のリンク部品4aと第2のリンク部品4bとに分割したので、リンク部品4の小型化が図られる。これにより、リンク部品4を樹脂で成型する場合の金型の小型化や、成型性の向上を図ることができる。また、羽根板3は、支持軸3b部分で支持板8に支持されているため、送風時の羽根板3の姿勢の安定性の向上を図ることができる。
なお、本実施の形態では、枠体2と筐体20とが別体とされた例を挙げて説明したが、枠体2と筐体20とが一体に形成されていてもよい。また、U字スリット5は、第2の方向と平行に形成された例を挙げて説明したが、斜めに形成されていてもよい。また、第1面41のみにU字スリット5が形成された例を挙げて説明したが、第2面42にもU字スリット5が形成されていてもよい。この場合には、軸部10と同様に、軸部11にも互いに平行となる平行面を形成する必要がある。