JP2015193269A - 熱転写シート - Google Patents

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Abstract

【課題】光沢感に優れ、印画シワのない或いはシワの発生の少ない画像を形成することができる画像形成方法や、熱転写シートと熱転写受像シートとの組合せを提供すること。
【解決手段】基材の一方面に、(A)ポリビニルアセタール樹脂、又はポリビニルブチラール樹脂と、(B)セルロース系樹脂と、(C)滑剤成分とを含有する背面層が、基材の他方面に染料層が設けられた熱転写シートと、他の基材の一方面に水系溶媒に分散或いは溶解可能な水性樹脂を含有する熱転写受像シートとを組合せて使用し画像を形成する。
【選択図】なし

Description

本発明は、熱転写シートに関する。
熱転写を利用した画像の形成方法として、記録材としての昇華型染料をプラスチックフィルム等の基材上に担持させた熱転写シートと、紙やプラスチックフィルム等の別の基材上に染料受容層を設けた熱転写受像シートとを互いに重ね合わせてフルカラー画像を形成する昇華型熱転写方式が知られている。この方法は昇華性染料を色材としているため中間調の再現性や階調性に優れており、原稿通りのフルカラー画像を受像シート上に鮮明に表現することができるので、デジタルカメラ、ビデオ、コンピューター等のカラー画像形成に応用されている。その画像は、銀塩写真に匹敵する高品質なものである。
昇華型熱転写方式に用いられる熱転写受像シートとしては、溶剤系の染料受容層を備えた溶剤系の熱転写受像シートや、水系の染料受容層を備える水系の熱転写受像シートが知られている。溶剤系の熱転写受像シートは、水系の熱転写受像シートと比較して熱転写シートとの離型性の点で優れているが、水系の熱転写受像シート上に形成される画像と比較すると光沢度が低いことから、形成される画像に高い光沢度が要求される分野では、水系の熱転写受像シートが好まれる傾向にある。また廃液等の処理による環境への影響等の問題等から、水系の熱転写受像シートの使用が増加傾向にある。
水系の熱転写受像シートは、人体や環境に対する影響もなく、溶剤系の熱転写受像シートと比較して形成された画像に高い光沢感を付与することができる利点を有する。一方で、水系の染料受容層は、水系溶媒に分散或いは溶解可能な水性樹脂を含んでおり、高湿環境下等での印画時に環境中の水分を吸水し軟質化しやすい性質を有する。水系の染料受容層は、吸水による軟質化にともない印画時のダメージを受けやすく、印画時にダメージを受けた場合には水系の熱転写受像シートの利点である光沢感が著しく低下してしまう。
水系の熱転写受像シートの利点である光沢感の低下を防止するためには、水系の染料受容層が軟質化することを防止する、或いは印画時に水系の染料受容層が受けるダメージを低減させることが考えられる。しかしながら、前者の場合、水性樹脂を含む水系の染料受容層を用いる以上、染料受容層が軟質化することを防止することは現実的ではない。本願発明者らは、後者の水系の染料受容層が受けるダメージに着目し鋭意検討した結果、染料受容層が受けるダメージは、主として、印画時における熱転写シートとサーマルヘッドとの滑性の低下に起因して生じうることを見出した。具体的には、熱転写シートとサーマルヘッドとの滑性が低い場合には、熱転写シートの染料層がダメージを受け、このダメージが水系の染料受容層に悪影響を及ぼし、印画物の光沢感が低下することを見出した。
サーマルヘッドとの滑性を向上させる熱転写シートとして、基材の染料層が設けられた面とは異なる面上に、背面層が設けられた熱転写シートが知られており、例えば、特許文献1には、シリコーン変性ウレタン樹脂、シリコーン変性アクリル樹脂と、ポリイソシアネート硬化剤を適宜の溶剤に溶解、分散した塗工液を基材上に塗布、乾燥することによって形成したものが開示されている。また、特許文献2には、水酸基等の反応性基を有しているバインダー樹脂と、ポリイソシアネートを併用して、基材上に架橋構造の背面層を形成した熱転写シートが開示されている。特許文献1、2に開示がされている背面層は、バインダー樹脂を硬化剤によって硬化せしめることで背面層に耐熱性を付与するものである。また、これらの特許文献には、背面層に滑り性を付与するためにリン酸エステル、シリコーンオイル、ステアリン酸亜鉛などの滑剤成分を含有させることが好ましい点について開示がされている。
しかしながら、特許文献1、2に開示がされている熱転写シート、及び従来公知の背面層を備えた熱転写シートでは、高温高湿環境下で水系の染料受容層を備えた熱転写受像シートと組合せて印画を行ったときに光沢が低下してしまうという課題がある。また、低温低湿印画時に印画シワが発生してしまうという課題がある。これらを解決するためには、熱転写シートとサーマルヘッド間で滑り性が十分に良く、耐熱性が高い必要がある。滑り性を向上させる方法として、背面層の滑剤を増やすことが挙げられるが、滑剤を増やすと印画時にサーマルヘッドにカスが付着し、印画物にキズやスジが発生する場合がある。
また、特許文献3には、背面層への染料の移行や該移行した染料の再転移を防止することを目的とし、セルロースアセテートブチレート樹脂(A1)と、アクリル系樹脂及びポリビニルアセタール樹脂よりなる群から選ばれる少なくとも1種の樹脂(A2)と、滑剤とを含む背面層を備えた熱転写シートが開示されている。この特許文献では、セルロースアセテートブチレート樹脂の含有量が、該セルロースアセテートブチレート樹脂(A1)と(A2)の合計重量の60〜90質量%の範囲内に規定されている。
しかしながら、特許文献3に開示がされている熱転写シートを用いて高温高湿環境下で画像形成を行った場合には、熱転写シートの染料層がダメージを受け、印画物の光沢が低下し、また、低温低湿印画時には印画シワが発生してしまう。
特開平9−11647号公報 特開平6−99670号公報 特開2008−105371号公報
本発明はこのような状況においてなされたものであり、高温高湿環境、低温低湿環境のいずれの環境下であっても光沢感に優れ、印画シワのない或いはシワの発生の少ない画像を水系の染料受容層上に形成することができる画像形成方法や、この画像を形成することができる熱転写シートと熱転写受像シートとの組合せを提供することを主たる課題とする。
上記課題を解決するための本発明は、基材の一方面に背面層が設けられ、基材の他方面に染料層が設けられた熱転写シートであって、前記背面層は、(A)ポリビニルアセタール樹脂、又はポリビニルブチラール樹脂と、(B)セルロース系樹脂と、(C)滑剤成分と、を含有し、前記背面層の固形分総量に対し、前記(B)セルロース系樹脂が、3質量%以上40質量%以下の範囲内で含有されていることを特徴とする。
また、一実施形態の発明は、基材の一方面に背面層が設けられ、基材の他方面に染料層が設けられた熱転写シートと、他の基材の一方面に染料受容層が設けられた熱転写受像シートとを組合せて使用して熱転写受像シート上に画像を形成する画像形成方法であって、前記背面層は、(A)ポリビニルアセタール樹脂、又はポリビニルブチラール樹脂と、(B)セルロース系樹脂と、(C)滑剤成分と、を含有し、前記背面層の固形分総量に対し、前記(B)セルロース系樹脂が、3質量%以上40質量%以下の範囲内で含有され、前記染料受容層が水系の染料受容層であることを特徴とする。
また、前記(B)セルロース系樹脂が、セルロースアセテートブチレート樹脂、又はセルロースアセテートプロピオネート樹脂であってもよい。
また、前記(A)ポリビニルアセタール樹脂、又はポリビニルブチラール樹脂が、架橋構造を有するポリビニルアセタール樹脂、又は架橋構造を有するポリビニルブチラール樹脂であってもよい。
また、一実施形態の発明は、熱転写シートと熱転写受像シートの組合せであって、前記熱転写シートが、基材の一方面上に(A)ポリビニルアセタール樹脂、又はポリビニルブチラール樹脂と、(B)セルロース系樹脂と、(C)滑剤成分とを含有する背面層が設けられ、基材の他方面上染料層が設けられ、かつ前記背面層の固形分総量に対し、前記(B)セルロース系樹脂が、3質量%以上40質量%以下の範囲内で含有された熱転写シートであり、前記熱転写受像シートが、他の基材上に水系の染料受容層が設けられた熱転写受像シートであることを特徴とする。
本発明の画像形成方法や、熱転写シートと熱転写受像シートとの組合せによれば、高温高湿環境、低温低湿環境のいずれの環境下であっても光沢感に優れ、印画シワのない或いはシワの発生の少ない画像を水系の染料受容層上に形成することができる。
本発明に用いられる熱転写シートの一例を示す概略断面図である。 本発明に用いられる熱転写受像シートの一例を示す概略断面図である。
以下に、本発明の画像形成方法、および熱転写シートと熱転写受像シートとの組合せについて詳細に説明する。本発明の画像形成方法は、図1に示すように基材1の一方面に背面層3が設けられ、基材の他方面に染料層2が設けられた熱転写シート10と、図2に示される他の基材21の一方面に染料受容層22が設けられた熱転写受像シート30とを組合せて使用して熱転写受像シート上に画像を形成する画像形成方法であって、背面層3は、(A)ポリビニルアセタール樹脂、又はポリビニルブチラール樹脂と、(B)セルロース系樹脂と、(C)滑剤成分と、を含有し、背面層の固形分総量に対し、(B)セルロース系樹脂が、3質量%以上40質量%以下の範囲内で含有され、染料受容層22が水系の染料受容層であることを特徴とする。以下、本発明に用いられる熱転写シート10、及び熱転写受像シート30について具体的に説明する。なお、図1は、本発明の画像形成方法、及び熱転写受像シートとの組合せに用いられる熱転写シートの一例を示す概略断面図であり、図2は、本発明の画像形成方法、及び熱転写シートとの組合せに用いられる熱転写受像シートの一例を示す概略断面図である。
<<熱転写シート>>
図1に示すように、本発明の画像形成方法、及び熱転写受像シートとの組合せに用いられる熱転写シート10は、基材1の一方面上に背面層3が設けられ、基材1の他方面上に染料層2が設けられた構成をとる。そして本発明では、背面層3が、(A)ポリビニルアセタール樹脂、又はポリビニルブチラール樹脂と、(B)セルロース系樹脂と、(C)滑剤成分と、を含有し、背面層の固形分総量に対し、(B)セルロース系樹脂が、3質量%以上40質量%以下の範囲内で含有されている。以下、熱転写シート10の各構成について具体的に説明する。
(基材)
本発明の熱転写シート10に用いられる基材1としては、ある程度の耐熱性と強度に加え、透明性を有するものであれば特に限定されることはなく、従来公知の材料を適宜選択して用いることができる。このような基材1として、例えば、0.5〜50μm、好ましくは1〜10μm程度の厚さのポリエチレンテレフタレートフィルム、1,4−ポリシクロヘキシレンジメチレンテレフタレートフィルム、ポリエチレンナフタレートフィルム、ポリフェニレンサルフィドフィルム、ポリスチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリサルホンフィルム、アラミドフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリビニルアルコールフィルム、セロハン、酢酸セルロース等のセルロース誘導体、ポリエチレンフィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、ナイロンフィルム、ポリイミドフィルム、アイオノマーフィルム等が挙げられる。更に、これらの材料はそれぞれ単独でも使用できるが、他の材料と組み合わせた積層体として使用してもよい。
(背面層)
基材1の一方面上、図1に示す場合にあっては基材1の下面には、背面層3が設けられている。背面層3は、(A)ポリビニルアセタール樹脂、又はポリビニルブチラール樹脂と、(B)セルロース系樹脂と、(C)滑剤成分の少なくとも3種の成分を含有する。
(A)ポリビニルアセタール樹脂、ポリビニルブチラール樹脂;
背面層3には、ポリビニルアセタール樹脂、又はポリビニルブチラール樹脂が含有される。以下、ポリビニルアセタール樹脂、又はポリビニルブチラール樹脂を単に(A)成分という場合がある。
背面層3に、上記(A)成分を含有することで、背面層3に高い耐熱性が付与されることから、画像形成時に染料層が受けるダメージを低減することができる。これにより、熱転写受像シートの染料受容層にダメージを与えることなく、光沢感に優れ、印画シワのない或いはシワの発生の少ない高品質な画像を形成することができる。また、背面層3とサーマルヘッドとが熱融着することを防止することができる。
ポリビニルアセタール樹脂、ポリビニルブチラール樹脂は、水酸基価が9質量%以上25質量%以下であることが好ましい。当該範囲内とすることで、耐熱性をさらに向上させることができるとともに、塗工液の調製に用いられるメチルエチルケトン、酢酸エチルやトルエン等の溶剤に容易に溶解させることができる。このような水酸基価のポリビニルアセタール樹脂としては、積水化学株式会社製のBX−L、BX−1、BX−5、KS−1、KS−3、KS−5、KSー10等が挙げられる。また、このようなポリビニルブチラール樹脂としては、BM−5、BM−S、BH−3、BH−S等が挙げられる。なお、本明細書中、「水酸基価」とは、樹脂ポリマー中の、水酸基を有するモノマー成分の割合を意味するものであり、樹脂ポリマー全体の質量に対する水酸基を有するモノマー成分の質量の割合(質量%)として算出される値である。
また、背面層用塗工液中には、本発明の趣旨を妨げない範囲で、他のバインダー樹脂を添加することができる。他のバインダー樹脂としては、例えば、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、スチレン−マレイン酸共重合体、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、フッ化ビニリデン樹脂、ナイロンが挙げられる。
また、(A)成分であるポリビニルアセタール樹脂、ポリビニルブチラール樹脂は、架橋構造を有していることが好ましい。(A)成分の樹脂を、架橋構造を有する樹脂とすることで、背面層3に更に高い耐熱性を付与することができる。
架橋構造を有するポリビニルアセタール樹脂、架橋構造を有するポリビニルブチラール樹脂は、ポリビニルアセタール樹脂、ポリビニルブチラール樹脂を架橋剤で架橋せしめることで形成することができる。架橋剤としては、ポリイソシアネート樹脂等のイソシアネート系架橋剤、オキサゾリン系架橋剤、カルボジイミド系架橋剤等を挙げることができる。ポリイソシアネート樹脂としては、従来種々のものが知られているが、そのうち芳香族系イソシアネートのアダクト体を使用することが望ましい。芳香族系ポリイソシアネートとしては、2,4−トルエンジイソシアネート、2,6−トルエンジイソシアネート、又は、2,4−トルエンジイソシアネートと2,6−トルエンジイソシアネートの混合物、1,5−ナフタレンジイソシアネート、トリジンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、trans−シクロヘキサン、1,4−ジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、トリフェニルメタントリイソシアネート、トリス(イソシアネートフェニル)チオフォスフェートがあげられ、特に2,4−トルエンジイソシアネート、2,6−トルエンジイソシアネート、又は、2,4−トルエンジイソシアネートと2,6−トルエンジイソシアネートの混合物が好ましい。
イソシアネート系架橋剤によって、架橋構造を有するポリビニルアセタール樹脂、ポリビニルブチラール樹脂とする場合、ポリビニルブチラール樹脂、ポリビニルアセタール樹脂が有する水酸基と、イソシアネート系硬化剤が有するイソシアネート基との当量比(―NCO/−OH)が0.1以上3以下であることが好ましい。
(A)成分は、背面層3の固形分総量に対し、5質量%以上60質量%以下の範囲内で含有されていることが好ましく、10質量%以上40質量%以下の範囲内であることが特に好ましい。(A)成分の含有量が5質量%未満である場合には、背面層3の耐熱性が低下する傾向となり、一方で、60質量%を超えると、背面層3の滑性が低下する傾向となる。
(B)セルロース系樹脂;
背面層3中には、(B)セルロース系樹脂が含有されている。以下、(B)セルロース系樹脂を単に(B)成分という場合がある。本発明では、背面層3に(B)成分を含有させることで、画像形成時に水系の染料受容層に加わるダメージを防止し、光沢感の低下や印画シワの発生を防止している。具体的には、(B)成分は、(C)滑剤成分の機能を引き出す役割を担っており、背面層3に(B)成分を含有させることで(C)滑剤成分の性能を十分に発揮され、これにより背面層3に極めて高い滑性が付与される。
セルロース系樹脂としては、例えば、セルロースアセテート樹脂、セルロースアセテートブチレート樹脂、セルロースアセテートプロピオネート樹脂、ニトロセルロース等を挙げることができるが、これらの中でも、溶剤に対する溶解性が良好であるセルロースアセテートブチレート樹脂、セルロースアセテートプロピオネート樹脂をセルロース系樹脂として特に好適に使用することができる。
また、背面層3の固形分総量に対し、(B)成分であるセルロース系樹脂は、3質量%以上40質量%以下の範囲内で含有されている。3質量%未満である場合には、滑剤成分の性能を十分に発現させることができず、背面層3の滑性が低く画像の光沢感の低下や、印画シワの発生を引き起こす。一方で、40質量%を超えた場合には、その分(A)成分の含有量が少なくなり、背面層3の耐熱性が低下する。
セルロース系樹脂の分子量は、質量平均分子量(Mw)で、15000以下であることが好ましい。分子量がこの範囲内のセルロース系樹脂を背面層3に含有することで、滑剤成分の性能をより効果的に発現させることができ、背面層3に優れた滑性を付与することができる。一方、セルロース系樹脂の分子量(Mw)が15000を超えるにしたがい、特に分子量(Mw)が40000を超える場合には背面層3の耐熱性は向上するものの、滑剤成分の性能を十分に引出すことが困難となる場合がある。
またセルロース系樹脂は、架橋構造を有するセルロース系樹脂であってもよい。架橋構造を有するセルロース系樹脂を背面層3に含有することで、(A)成分との相乗効果によって背面層3の耐熱性を向上させることができる。
(C)滑剤成分;
背面層3には、サーマルヘッドとの滑り性を向上させるために、滑剤成分が含有されている。滑剤成分について特に限定はなく、従来公知の滑剤、例えば、リン酸エステル、金属石鹸、グラファイトパウダー、フッ素系グラフトポリマー、シリコーンオイル、シリコーン系グラフトポリマー、アクリルシリコーングラフトポリマー、アクリルシロキサン、アリールシロキサン等のシリコーン重合体等を適宜選択して用いることができる。上記滑剤成分の中でも、本発明では、リン酸エステルや金属石鹸を特に好適に使用することができる。
金属石鹸としては、例えば、アルキルリン酸エステルの多価金属塩、アルキルカルボン酸の金属塩等が挙げられる。上記アルキルリン酸エステルの多価金属塩としては、プラスチック用添加剤として公知のものを使用することができる。上記アルキルリン酸エステルの多価金属塩は、一般に、アルキルリン酸エステルのアルカリ金属塩を多価金属で置換することによって得られ、種々のグレードのものが入手可能である。
リン酸エステルとしては、例えば、(1)炭素数6〜20の飽和又は不飽和高級アルコールのリン酸モノエステル又はジエステル、(2)ポリオキシアルキレンアルキルエーテル又はポリオキシアルキレンアルキルアリルエーテルのリン酸モノエステル又はジエステル、(3)上記飽和又は不飽和高級アルコールのアルキレンオキシド付加物(平均付加モル数1〜8)のリン酸モノエステル又はジエステル、(4)炭素数8〜12のアルキル基を有するアルキルフェノール又はアルキルナフトールのリン酸モノエステル又はジエステル等が挙げられる。上記(1)及び(3)における飽和又は不飽和高級アルコールとしては、例えば、セチルアルコール、ステアリルアルコール、オレイルアルコール等が挙げられる。上記(3)におけるアルキルフェノールとしては、ノニルフェノール、ドデシルフェノール、ジフェニルフェノール等が挙げられる。
滑剤成分の含有量について特に限定はないが、背面層3の固形分総量に対し、滑剤成分の含有量が5質量%未満である場合には、(B)成分を含有させた場合であっても、背面層3の滑性が不十分となり、形成される画像の光沢感が低下し、また、印画シワの発生が生ずる場合がある。一方、滑剤成分の含有量が40質量%を超えると、滑剤の削りカスがサーマルヘッドへ付着しやすくなり、印画不良を引き起こす可能性がある。このような点を考慮すると、滑剤成分の含有量は、背面層3の固形分総量に対し、5質量%以上40質量%以下の範囲内であることが好ましく、10質量%以上30質量%以下の範囲内であることが特に好ましい。
なお、通常、背面層3に十分な滑性を付与するためには、滑剤成分の含有量を多くするほかなく上述したように、削りカスの付着や、バインダー樹脂の含有量がその分減少することによる耐熱性の低下等が懸念されるが、本発明では、背面層3に(B)成分を含有することで、滑剤成分の含有量を抑えつつも、滑剤成分の性能を十分に発現させることができる。したがって、滑剤成分を多く含有させることで生じうる削りカスの付着や、耐熱性の低下を引き起こすことなく、背面層3の滑性を向上させることができる。
背面層3の厚みについて特に限定はないが、背面層の厚みが薄すぎる場合には、背面層3に十分な耐熱性を付与することができない場合がある。一方、背面層3の厚みが厚すぎる場合には、サーマルヘッドからの熱を効率よく染料層側に伝達できない場合がある。したがって、背面層3の厚みはこれらの点を考慮して決定する必要があり、好ましくは、0.1〜5μm、より好ましくは0.2〜2μm程度である。
本発明の画像形成方法で用いられる熱転写シート10を構成する背面層3の形成方法について特に限定はないが、上記で説明した(A)成分、(B)成分、(C)成分、必要に応じて添加されるその他の成分を適当な溶媒に溶解または分散させることで調製された塗工液を、グラビア印刷法、スクリーン印刷法、グラビア版を用いたリバースロールコーティング法等の公知の塗工手段を用いて基材上に塗工し、乾燥することで形成することができる。塗工液の調製に用いられる溶媒としては、例えば、水、トルエン、メチルエチルケトン、エタノール、イソプロピルアルコール、シクロヘキサン、ジメチルホルムアミド、酢酸エチル等を挙げることができる。
(染料層)
図1に示すように基材1の一方の面の少なくとも一部には、染料層2が設けられている。なお、図1に示す形態では、染料層2と転写性保護層5とが面順次に設けられた構成をとっているが、基材1の全面に染料層2が設けられた構成とすることもできる。これ以外にも、昇華性の染料を含有する染料層と、着色剤を含む熱溶融組成物からなる熱溶融性のインクを含有する染料層とを連続した1枚の基材上に面順次に設けてもよい。染料層2は、本発明の画像形成方法に用いられる熱転写シート10における必須の構成である。
この染料層2は、本発明の熱転写シートが昇華型熱転写シートの場合には、昇華性の染料を含有する染料層であり、熱溶融型熱転写シートの場合には、着色剤を含む熱溶融組成物からなる熱溶融性のインクを含有する染料層となる。以下、昇華型熱転写シートの場合を代表例として説明するが、本発明は、昇華型熱転写シートのみに限定されるものではない。
染料層の材料は、従来公知の染料を使用することができるが、印画材料として良好な特性を有するもの、例えば、十分な着色濃度を有し、光、熱、温度等により変退色しないものが好ましく、ジアリールメタン系染料、トリアリールメタン系染料、チアゾール系染料、メロシアニン染料、ピラゾロン染料、メチン系染料、インドアニリン系染料、アセトフェノンアゾメチン、ピラゾロアゾメチン、イミダゾルアゾメチン、イミダゾアゾメチン、ピリドンアゾメチン等のアゾメチン系染料、キサンテン系染料、オキサジン系染料、ジシアノスチレン、トリシアノスチレン等のシアノスチレン系染料、チアジン系染料、アジン系染料、アクリジン系染料、ベンゼンアゾ系染料、ピリドンアゾ、チオフェンアゾ、イソチアゾールアゾ、ピロールアゾ、ピラゾールアゾ、イミダゾールアゾ、チアジアゾールアゾ、トリアゾールアゾ、ジスアゾ等のアゾ系染料、スピロピラン系染料、インドリノスピロピラン系染料、フルオラン系染料、ローダミンラクタム系染料、ナフトキノン系染料、アントラキノン系染料、キノフタロン系染料等が挙げられる。具体的には、MSRedG(三井東圧化学社製)、Macrolex Red Violet R(バイエル社製)、CeresRed 7B(バイエル社製)、Samaron Red F3BS(三菱化学社製)等の赤色染料、ホロンブリリアントイエロー6GL(クラリアント社製)、PTY−52(三菱化成社製)、マクロレックスイエロー6G(バイエル社製)等の黄色染料、カヤセットブルー714(日本化薬社製)、ワクソリンブルーAP−FW(ICI社製)、ホロンブリリアントブルーS−R(サンド社製)、MSブルー100(三井東圧化学社製)、C.I.ソルベントブルー22等の青色染料が挙げられる。
上記染料を担持するためのバインダー樹脂としては、例えば、エチルセルロース樹脂、ヒドロキシエチルセルロース樹脂、エチルヒドロキシセルロース樹脂、メチルセルロース樹脂、酢酸セルロース樹脂等のセルロース系樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、ポリビニルピロリドン等のビニル系樹脂、ポリ(メタ)アクリレート、ポリ(メタ)アクリルアミド等のアクリル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂等が挙げられる。これらの中でも、セルロース系、ビニル系、アクリル系、ポリウレタン系、ポリエステル系等の樹脂が、耐熱性、染料の移行性等の点において好ましい。
染料層2には、無機微粒子、有機微粒子等の添加剤が含有されていてもよい。無機微粒子としては、カーボンブラック、アルミニウム、二硫化モリブデン等が挙げられ、有機微粒子としては、ポリエチレンワックス等が挙げられる。また、染料層2には、離型剤が含有されていてもよい。離型剤としては、シリコーンオイル、リン酸エステル等を挙げることができる。
染料層2の形成方法としては、上記染料及びバインダー樹脂に、必要に応じて離型剤、フィラー等の添加物を加え、トルエン、メチルエチルケトン、エタノール、イソプロピルアルコール、シクロヘキサン、ジメチルホルムアミド等の適当な溶媒に分散或いは溶解させた塗工液を、例えば、グラビア印刷法、グラビア版を用いたリバースロールコーティング法、ロールコーター、バーコーター等の形成手段により、基材上に塗布し、乾燥させることにより形成することができる。
(転写性保護層)
図1に示すように、本発明の画像形成方法に用いられる熱転写シート10において、基材1上に上記で説明した染料層2と転写性保護層5とを面順次に設けることもできる。転写性保護層5は、多層構造をとっていてもよいし、単層構造をとっていてもよい。多層構造をとる場合には、画像に各種の耐久性を付与するための主体となる主保護層のほか、転写性保護層5と印画物の受像面との接着性を高めるために転写性保護層5の最表面に配置される接着層や、補助的な保護層や、保護層本体の機能以外の機能を付加するための層などが含まれていてもよい。主保護層とその他の層の順序は任意であるが、通常は、転写後に主保護層が受像面の最表面層となるように、接着層と主保護層との間に他の層を配置する。
多層構造の転写性保護層5を構成する主保護層又は単層構造の転写性保護層5は、従来から保護層形成用樹脂として知られている各種の樹脂で形成することができる。保護層形成用樹脂としては、例えば、ポリエステル樹脂、ポリスチレン樹脂、アクリル樹脂、ポリウレタン樹脂、アクリルウレタン樹脂、これらの各樹脂をシリコーン変性させた樹脂、これらの各樹脂の混合物、電離放射線硬化性樹脂、紫外線遮断性樹脂等を例示することができる。
電離放射線硬化性樹脂を含有する保護層は、耐可塑剤性や耐擦過性が特に優れている。電離放射線硬化性樹脂としては公知のものを使用することができ、例えば、ラジカル重合性のポリマー又はオリゴマーを電離放射線照射により架橋、硬化させ、必要に応じて光重合開始剤を添加し、電子線や紫外線によって重合架橋させたものを使用することができる。
紫外線遮断性樹脂を含有する保護層は、印画物に耐光性を付与することを主目的とする。紫外線遮断性樹脂としては、例えば、反応性紫外線吸収剤を熱可塑性樹脂又は上記の電離放射線硬化性樹脂に反応、結合させて得た樹脂を使用することができる。より具体的には、サリシレート系、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、置換アクリロニトリル系、ニッケルキレート系、ヒンダートアミン系のような従来公知の非反応性の有機系紫外線吸収剤に、付加重合性二重結合(例えばビニル基、アクリロイル基、メタアクリロイル基など)、アルコール性水酸基、アミノ基、カルボキシル基、エポキシ基、イソシアネート基のような反応性基を導入したものを例示することができる。
単層構造の転写性保護層5又は多層構造の転写性保護層5中に設けられた主保護層は、保護層形成用樹脂の種類にもよるが、通常は0.5〜10μm程度の厚さであることが好ましい。
転写性保護層5の最表面には接着層が形成されていてもよい。接着層は、例えば、アクリル樹脂、塩化ビニル系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、塩化ビニル/酢酸ビニル共重合樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂のような加熱時接着性の良好な樹脂で形成することができる。接着層の厚さは、通常0.1〜5μm程度である。また、転写性保護層5と基材との間に離型層を設けてもよい。
(下引き層)
本発明においては、基材1と染料層2との間に下引き層6が設けられていることが好ましい。下引き層6を設けることで基材1と染料層2との密着性を向上させ、熱転写時に熱転写受像シートへの染料層2の異常転写を防止することができる。なお、下引き層は、熱転写シート10における任意の構成である。
下引き層6を構成する樹脂としては、ポリエステル系樹脂、ポリアクリル酸エステル系樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、スチレンアクリレート系樹脂、ポリアクリルアミド系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエーテル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂やポリビニルアルコール樹脂等のビニル系樹脂、ポリビニルアセトアセタールやポリビニルブチラール等のポリビニルアセタール系樹脂等が挙げられる。
また、下引き層6をコロイド状無機顔料超微粒子から構成することもできる。これにより画像形成時に染料層2の異常転写を防止できるだけでなく、染料層2から下引き層6への染料の移行を防止し、熱転写受像シートの染料受容層側への染料拡散を有効に行なうことができ、印画濃度を高めることができる。
コロイド状無機顔料超微粒子として、従来公知の化合物が使用できる。例えば、シリカ(コロイダルシリカ)、アルミナ或はアルミナ水和物(アルミナゾル、コロイダルアルミナ、カチオン性アルミニウム酸化物又はその水和物、擬ベーマイト等)、珪酸アルミニウム、珪酸マグネシウム、炭酸マグネシウム、酸化マグネシウム、酸化チタン等が挙げられる。特に、コロイダルシリカ、アルミナゾルが好ましく用いられる。これらのコロイド状無機顔料超微粒子の大きさは、一次平均粒径で100nm以下、好ましくは50nm以下であり、特に3〜30nmで用いることが好ましい。
下引き層6は、上記で例示した樹脂や、コロイド状無機顔料超微粒子を適当な溶媒に溶解或いは分散した下引き層用塗工液をグラビアコーティング法、ロールコート法、スクリーン印刷法、グラビア版を用いたリバースロールコーティング法等の従来から公知の形成手段により、塗布・乾燥して形成することができる。下引き層用塗工液の塗工量は、0.02〜1.0g/m2程度であることが好ましい。
(背面プライマー層)
また、基材1と背面層3との間に背面プライマー層(図示しない)を設けることとしても良い。背面プライマー層は、基材1と、背面層3との密着性を向上させるために設けられる層であり、任意の層である。背面プライマー層として、例えばポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、塩化ビニル/酢酸ビニル共重合体、ポリビニルブチラール樹脂等が挙げられる。
<<熱転写受像シート>>
次に、本発明の画像形成方法、及び熱転写シートとの組合せに用いられる熱転写受像シートについて説明する。図2に示すように、本発明で用いられる熱転写受像シート30は、他の基材21の一方面に染料受容層22が設けられた構成をとる。そして本発明では、染料受容層22が、水系の染料受容層である点を特徴とする。なお、図2では、他の基材21上と染料受容層22との間に、断熱層25が設けられているが断熱層25は、本発明に用いられる熱転写受像シート30における任意の構成である。以下、熱転写受像シート30の各構成について具体的に説明する。
(他の基材)
他の基材21は本発明で用いられる熱転写受像シート30における必須の構成であり、染料受容層22、或いは任意の構成である断熱層25等を保持するために設けられる。他の基材21について特に限定はなく、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等の耐熱性の高いポリオレフィン、ポリエステル、ポリプロピレン、ポリカーボネート、酢酸セルロース、ポリエチレン誘導体、ポリアミド、ポリメチルペンテン等のプラスチックの延伸または未延伸フィルムや、これらの合成樹脂に白色顔料や充填剤を加えて成膜した白色不透明フィルムも使用できる。これ以外にも、上質紙、コート紙、アート紙、キャストコート紙、板紙等の材料も使用することができる。また、これらの材料を2種以上積層した複合フィルムも使用することができる。代表的な積層体の例として、セルロース繊維紙と合成紙或いはセルロース合成紙とプラスチックフィルムと合成紙が挙げられる、本発明においては、市販の基材を用いることもでき、例えば、RC紙ペーパー(三菱製紙(株)製、商品名:STF−150)等が好ましい。なお、本願明細書では熱転写シートを構成する基材1と区別するために熱転写受像シート30を構成する基材のことを他の基材21と称しているが、熱転写シート10を構成する基材1と、熱転写受像シート30を構成する他の基材21とは同一のものであってもよく、異なるものであってもよい。
他の基材21の厚さは、その強度および耐熱性等が適切になるように材料に応じて適宜選択することができるが、通常50μm〜1000μm、好ましくは60μm〜300μm程度である。
(染料受容層)
他の基材21上には染料受容層22が設けられている。染料受容層22は本発明で用いられる熱転写受像シート30における必須の構成である。
本発明では染料受容層22が水系の染料受容層22であることを特徴とする。水系の染料受容層22を有する熱転写受像シートを用いて画像を形成することにより光沢感の高い画像を形成することができる。水系の染料受容層22は、吸水により軟質化しやすく印画時にダメージを受けやすい受容層であるが、本発明では上記で説明した熱転写シート10と組合せて画像が形成されることから、画像形成時に染料受容層22がダメージを受けることを防止することができ、水系の染料受容層22の利点である光沢感を低下させることなく画像を形成することができる。
本発明において、水系の染料受容層とは、水系溶媒に溶解或いは分散可能な樹脂、例えば水溶性樹脂、水溶性高分子、若しくは水系樹脂等を、水系溶媒に溶解或いは分散させた水系塗工液を用いて形成された染料受容層のことをいう。水溶性樹脂、水溶性高分子としてはポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ヒドロエチルセルロース、カルボキシメチルセルロス、フェノール樹脂、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸エステル、ポリアクリル酸エステル共重合体、ポリメタクリル酸などの水溶性のアクリル樹脂、ゼラチン、澱粉、カゼインおよびそれらの変性物など挙げられる。水系樹脂とは塩化ビニル樹脂エマルジョン、塩化ビニル−酢酸ビニル樹脂エマルジョン、塩化ビニル−アクリル樹脂エマルジョンなどの塩ビ系樹脂エマルジョン、アクリル系樹脂エマルジョン、ウレタン系樹脂エマルジョン、塩ビ系樹脂ディスパージョン、アクリル系樹脂ディスパージョン、ウレタン系樹脂ディスパージョンなど溶媒の一部が水で構成されているものを挙げることができる。なお、上記水系樹脂は、例えば、溶剤系樹脂を含む溶液をホモジナイザーによって分散し調製することで形成することができる。
水溶性樹脂、水溶性高分子、或いは水系樹脂は染料受容層22の固形分総量に対し、50質量%以上95質量%以下の範囲内で含有されていることが好ましい。当該範囲で水性樹脂が含有された染料受容層22とすることで、形成される画像により高い光沢感を付与することができる。
染料受容層22には、熱転写シート10の染料層2との離型性を高めるための離型剤が添加されていることが好ましい。
水溶性樹脂、水溶性高分子、或いは水系樹脂と併用する離型剤としては、シリコーンオイル(シリコーン樹脂と称されるものも含む);ポリエチレンワックス、アミドワックス、テフロン(登録商標)パウダー等の固形ワックス類;弗素系、燐酸エステル系の界面活性剤等が挙げられ、中でもシリコーンオイルが好ましい。
染料受容層22は水溶性樹脂、水溶性高分子、或いは水系樹脂、その他必要に応じて添加する添加剤を水あるいは水溶液に分散または溶解して水系塗工液を他の基材21上にワイヤーバーコート、グラビアコート、スライドコート、ロール塗布法などを用いて塗工・乾燥することにより形成される。水系塗工液を調製する場合は、水溶性樹脂、水溶性高分子、或いは水系樹脂の水に対する溶解性または分散性に応じて、該樹脂を水に溶解または分散させることが望ましい。染料受容層22の厚みについて特に限定はないが、0.5〜10μmの範囲が一般的である。
(目止め層)
染料受容層22は水系塗工液を用いて形成されることから、他の基材21として、例えば、コート紙を用いた場合には、コート紙が水を吸い、その結果、熱転写受像シート30にカールが発生する虞が生じうる。したがって、他の基材21が吸水性の高い基材である場合には、基材1と染料受容層22との間に目止め層(図示しない)を設けることが好ましい。なお、他の基材21と染料受容層22との間に他の任意の層を設け、当該層が水系の塗工液を用いないで形成される場合には目止め層は不要である。一方、他の任意の層、例えば後述する断熱層25を水系の塗工液を用いて他の基材21上に直接的に形成する場合には、上記の同様の理由により目止め層を設けることが好ましい。
目止め層は、防水性を有するとの機能を奏すれば、その材料等について特に限定はなく、例えば、ポリエステル樹脂、アクリル系樹脂、アクリル−ウレタン系樹脂、塩化ビニル系樹脂等からなるものや、(メタ)アクリル酸アルキルエステル単独重合体系エマルジョン、(メタ)アクリル酸アルキルエステル−スチレン共重合体系エマルジョン、(メタ)アクリル酸アルキルエステル−酢酸ビニル共重合体系エマルジョン、セメントフィラーエマルジョン等のエマルジョンからなるものを挙げることができる。
目止め層の厚さについても特に限定はないが、0.2g/m2〜10.0g/m2程度が好ましい。
(断熱層)
他の基材21と染料受容層22との間に断熱層25が設けられていてもよい。断熱層25を設けることで、サーマルヘッドから染料受容層22に加えられた熱が他の基材21等へ伝熱することによって損失され印画濃度が低下することを防止することができる。以下、断熱層の一例について説明するが、これ以外にも「断熱層」、「中空(粒子)層」、「断熱層」と称される従来公知のあらゆるものを適宜選択して用いることができる。
断熱層25には一般的に断熱性やクッション性を付与する機能を有する中空粒子が含有されている。中空粒子は発泡粒子であってもよく、あるいは、非発泡粒子であってもよい。また、発泡粒子は、独立発泡粒子であってもよく、あるいは、連続発泡粒子であってもよい。さらに、中空粒子は、樹脂等から構成される有機系中空粒子であってもよく、ガラス等から構成される無機系中空粒子であってもよい。また、中空粒子は、架橋中空粒子であってもよい。
中空粒子を構成する樹脂としては、例えば、架橋スチレン−アクリル樹脂等のスチレン系樹脂、アクリロニトリル−アクリル樹脂等の(メタ)アクリル系樹脂、フェノール系樹脂、フッ素系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリエーテル系樹脂等を挙げることができる。中空粒子の平均粒径は、中空粒子を構成する樹脂の種類等に応じて、断熱層に所望の断熱性およびクッション性を付与できる範囲であれば特に限定されるものではないが、通常、0.1μm〜15μmの範囲内であることが好ましく、特に0.1μm〜10μmの範囲内であることが好ましい。平均粒径が小さすぎると、中空粒子の使用量が増えコストが高くなり、平均粒径が大きすぎると、平滑な断熱層を形成することが困難になるからである。
本発明において、断熱層25に含まれる中空粒子の量としては、所望の断熱性およびクッション性を有する断熱層を得ることができれば特に限定されるものではないが、例えば30質量%〜90質量%の範囲内であることが好ましく、なかでも50質量%〜80質量%の範囲内であることが好ましい。含有量が少なすぎると、断熱層における空隙が少なくなり、充分な断熱性およびクッション性が得られない場合があり、含有量が多すぎると、接着性が劣るからである。
熱転写受像シート30は、各種の機能層を有していてもよい。各種の機能層としては、例えば、他の基材21と染料受容層22、或いは断熱層25との密着性を向上させるためのプライマー層や、耐溶剤性を付与するためのバリア層等を挙げることができる。また、他の基材21の染料受容層22が設けられている面とは異なる面に、熱転写受像シートの搬送性向上機能や、カール防止機能を有する裏面層を設けることもできる。本発明に用いられる熱転写受像シート30は、上記で説明したように、水系溶媒に分散或いは溶解可能な水性樹脂を含有する染料受容層22を必須の構成として有していればよく、それ以外の各種機能層についていかなる限定もされることはない。
(画像の形成)
本発明では、上記で説明した熱転写シート10の染料層2と、熱転写受像シート30の染料受容層22とを重ね合わせ、サーマルヘッドにより熱転写シート10の背面側から熱を印加して、染料層22に含まれる染料を染料受容層22に転移させることで画像を形成することができる。
以下に実施例と比較例を挙げて本発明を説明する。なお、文中の「部」は特に断りの内限り質量基準である。
(熱転写シート1の作製)
基材として厚さ4.5μmの易接着処理済みポリエチレンテレフタレートフィルムを用い、この上に、下記組成の背面層用塗工液1を乾燥時0.8g/m2になるように塗布し、背面層を形成した。次いで、前記基材の背面層を設けた側とは反対の面の一部に、下記組成のプライマー層用塗工液を、乾燥塗布量が0.10g/m2になるように塗布、乾燥してプライマー層を形成した。続いて、プライマー層上に、下記組成のイエロー染料層用塗工液(Y)、マゼンタ染料層用塗工液(M)、およびシアン染料層用塗工液(C)を、各層の乾燥塗布量が0.6g/m2になるように塗布、乾燥してこの順に面順次に繰返して形成した。また、前記基材の背面層を設けた側とは反対の面の他の一部に、下記組成の保護層用塗工液を、固形分換算で1.5g/m2の割合で塗布、乾燥して形成した。これにより、基材の一方の面に背面層が設けられ、基材の他方の面の一部にプライマー層、染料層(Y,M,C)がこの順で積層された積層体と、基材の他方の面の他の一部に保護層が設けられた熱転写シート1を得た。
<背面層用塗工液1>
・ポリビニルアセタール樹脂 35部
(エスレックBX−1 積水化学工業(株)製)
・ポリイソシアネート(固形分100% NCO=17.3質量%) 30部
(バーノックD750−45 大日本インキ化学工業(株)製)
・セルロースアセテートブチレート樹脂(分子量6000) 10部
(Solus2100 イーストマンケミカルカンパニー社製)
・ステアリルリン酸亜鉛 10部
(LBT−1830精製 堺化学工業(株)製)
・ステアリン酸亜鉛 10部
(SZ−PF 堺化学工業(株)製)
・タルク 5部
(ミクロエースP−3 日本タルク工業(株)製)
・メチルエチルケトン 450部
・トルエン 450部
<プライマー層用塗工液>
・コロイダルシリカ(粒子径4〜6nm、固形分10%) 30部
(スノーテックスOXS、日産化学工業(株)製)
・ポリビニルピロリドン樹脂(K−90、ISP社製) 3部
・水 50部
・イソプロピルアルコール 17部
<イエロー染料層用塗工液(Y)>
・下記一般式(1)に示される染料 2.0部
・ポリビニルアセトアセタール樹脂 4.5部
(KS−5、積水化学工業(株)製)
・ポリエチレンワックス 0.1部
・メチルエチルケトン 45.0部
・トルエン 45.0部
Figure 2015193269
<マゼンタ染料層用塗工液(M)>
・下記一般式(2)に示される染料 2.0部
・ポリビニルアセトアセタール樹脂 4.5部
(KS−5、積水化学工業(株)製)
・ポリエチレンワックス 0.1部
・メチルエチルケトン 45.0部
・トルエン 45.0部
Figure 2015193269
<シアン染料層用塗工液(C)>
・下記一般式(3)に示される染料 2.0部
・ポリビニルアセトアセタール樹脂 4.5部
(KS−5、積水化学工業(株)製)
・ポリエチレンワックス 0.1部
・メチルエチルケトン 45.0部
・トルエン 45.0部
Figure 2015193269
<保護層用塗工液>
・アクリル樹脂 69.6部
(ダイヤナールBR−83、三菱レイヨン(株)製)
・反応性紫外線吸収剤を反応結合したアクリル共重合体 17.4部
(UVA635L、BASFジャパン製)
・シリカ 25部
(サイリシア310、富士シリシア(株)製)
・メチルエチルケトン 100部
・トルエン 100部
(熱転写シート2の作製)
背面層用塗工液1を下記組成の背面層用塗工液2に変更した以外はすべて熱転写シート1と同様にして熱転写シート2を得た。
<背面層用塗工液2>
・ポリビニルアセタール樹脂 35部
(エスレックKS−3 積水化学工業(株)製)
・ポリイソシアネート(固形分100% NCO=17.3質量%) 30部
(バーノックD750−45 大日本インキ化学工業(株)製)
・セルロースアセテートブチレート樹脂(分子量6000) 10部
(Solus2100 イーストマンケミカルカンパニー社製)
・ステアリルリン酸亜鉛 10部
(LBT−1830精製 堺化学工業(株)製)
・ステアリン酸亜鉛 10部
(SZ−PF 堺化学工業(株)製)
・タルク 5部
(ミクロエースP−3 日本タルク工業(株)製)
・メチルエチルケトン 450部
・トルエン 450部
(熱転写シート3の作製)
背面層用塗工液1を下記組成の背面層用塗工液3に変更した以外はすべて熱転写シート1と同様にして熱転写シート3を得た。
<背面層用塗工液3>
・ポリビニルアセタール樹脂 24.2部
(エスレックBX−1 積水化学工業(株)製)
・ポリイソシアネート(固形分100% NCO=17.3質量%) 20.8部
(バーノックD750−45 大日本インキ化学工業(株)製)
・セルロースアセテートブチレート樹脂(分子量6000) 30部
(Solus2100 イーストマンケミカルカンパニー社製)
・ステアリルリン酸亜鉛 10部
(LBT−1830精製 堺化学工業(株)製)
・ステアリン酸亜鉛 10部
(SZ−PF 堺化学工業(株)製)
・タルク 5部
(ミクロエースP−3 日本タルク工業(株)製)
・メチルエチルケトン 450部
・トルエン 450部
(熱転写シート4の作製)
背面層用塗工液1を下記組成の背面層用塗工液4に変更した以外はすべて熱転写シート1と同様にして熱転写シート4を得た。
<背面層用塗工液4>
・ポリビニルアセタール樹脂 18.8部
(エスレックBX−1 積水化学工業(株)製)
・ポリイソシアネート(固形分100% NCO=17.3質量%) 16.2部
(バーノックD750−45 大日本インキ化学工業(株)製)
・セルロースアセテートブチレート樹脂(分子量6000) 40部
(Solus2100 イーストマンケミカルカンパニー社製)
・ステアリルリン酸亜鉛 10部
(LBT−1830精製 堺化学工業(株)製)
・ステアリン酸亜鉛 10部
(SZ−PF 堺化学工業(株)製)
・タルク 5部
(ミクロエースP−3 日本タルク工業(株)製)
・メチルエチルケトン 450部
・トルエン 450部
(熱転写シート5の作製)
背面層用塗工液1を下記組成の背面層用塗工液5に変更した以外はすべて熱転写シート1と同様にして熱転写シート5を得た。
<背面層用塗工液5>
・ポリビニルアセタール樹脂 38.8部
(エスレックBX−1 積水化学工業(株)製)
・ポリイソシアネート(固形分100% NCO=17.3質量%) 33.2部
(バーノックD750−45 大日本インキ化学工業(株)製)
・セルロースアセテートブチレート樹脂(分子量6000) 3部
(Solus2100 イーストマンケミカルカンパニー社製)
・ステアリルリン酸亜鉛 10部
(LBT−1830精製 堺化学工業(株)製)
・ステアリン酸亜鉛 10部
(SZ−PF 堺化学工業(株)製)
・タルク 5部
(ミクロエースP−3 日本タルク工業(株)製)
・メチルエチルケトン 450部
・トルエン 450部
(熱転写シート6の作製)
背面層用塗工液1を下記組成の背面層用塗工液6に変更した以外はすべて熱転写シート1と同様にして熱転写シート6を得た。
<背面層用塗工液6>
・ポリビニルアセタール樹脂 45部
(エスレックBX−1 積水化学工業(株)製)
・セルロースアセテートブチレート樹脂(分子量6000) 30部
(Solus2100 イーストマンケミカルカンパニー社製)
・ステアリルリン酸亜鉛 10部
(LBT−1830精製 堺化学工業(株)製)
・ステアリン酸亜鉛 10部
(SZ−PF 堺化学工業(株)製)
・タルク 5部
(ミクロエースP−3 日本タルク工業(株)製)
・メチルエチルケトン 450部
・トルエン 450部
(熱転写シート7の作製)
背面層用塗工液1を下記組成の背面層用塗工液7に変更した以外はすべて熱転写シート1と同様にして熱転写シート7を得た。
<背面層用塗工液7>
・ポリビニルアセタール樹脂 35部
(エスレックBX−1 積水化学工業(株)製)
・ポリイソシアネート(固形分100% NCO=17.3質量%) 30部
(バーノックD750−45 大日本インキ化学工業(株)製)
・セルロースアセテートブチレート樹脂(分子量16000) 10部
(CAB551−0.01 イーストマンケミカルカンパニー社製)
・ステアリルリン酸亜鉛 10部
(LBT−1830精製 堺化学工業(株)製)
・ステアリン酸亜鉛 10部
(SZ−PF 堺化学工業(株)製)
・タルク 5部
(ミクロエースP−3 日本タルク工業(株)製)
・メチルエチルケトン 450部
・トルエン 450部
(熱転写シート8の作製)
背面層用塗工液1を下記組成の背面層用塗工液8に変更した以外はすべて熱転写シート1と同様にして熱転写シート8を得た。
<背面層用塗工液8>
・ポリビニルアセタール樹脂 35部
(エスレックBX−1 積水化学工業(株)製)
・ポリイソシアネート(固形分100% NCO=17.3質量%) 30部
(バーノックD750−45 大日本インキ化学工業(株)製)
・セルロースアセテートブチレート樹脂(分子量40000) 10部
(CAB531−1 イーストマンケミカルカンパニー社製)
・ステアリルリン酸亜鉛 10部
(LBT−1830精製 堺化学工業(株)製)
・ステアリン酸亜鉛 10部
(SZ−PF 堺化学工業(株)製)
・タルク 5部
(ミクロエースP−3 日本タルク工業(株)製)
・メチルエチルケトン 450部
・トルエン 450部
(熱転写シート9の作製)
背面層用塗工液1を下記組成の背面層用塗工液9に変更した以外はすべて熱転写シート1と同様にして熱転写シート9を得た。
<背面層用塗工液9>
・ポリビニルアセタール樹脂 35部
(エスレックBX−1 積水化学工業(株)製)
・ポリイソシアネート(固形分100% NCO=17.3質量%) 30部
(バーノックD750−45 大日本インキ化学工業(株)製)
・セルロースアセテートプロピオネート樹脂(分子量15000) 10部
(CAP504−0.2 イーストマンケミカルカンパニー社製)
・ステアリルリン酸亜鉛 10部
(LBT−1830精製 堺化学工業(株)製)
・ステアリン酸亜鉛 10部
(SZ−PF 堺化学工業(株)製)
・タルク 5部
(ミクロエースP−3 日本タルク工業(株)製)
・メチルエチルケトン 450部
・トルエン 450部
(熱転写シート10の作製)
背面層用塗工液1を下記組成の背面層用塗工液10に変更した以外はすべて熱転写シート1と同様にして熱転写シート10を得た。
<背面層用塗工液10>
・ポリビニルアセタール樹脂 35部
(エスレックBX−1 積水化学工業(株)製)
・ポリイソシアネート(固形分100% NCO=17.3質量%) 30部
(バーノックD750−45 大日本インキ化学工業(株)製)
・セルロースアセテートプロピオネート樹脂(分子量25000) 10部
(CAP482−0.5 イーストマンケミカルカンパニー社製)
・ステアリルリン酸亜鉛 10部
(LBT−1830精製 堺化学工業(株)製)
・ステアリン酸亜鉛 10部
(SZ−PF 堺化学工業(株)製)
・タルク 5部
(ミクロエースP−3 日本タルク工業(株)製)
・メチルエチルケトン 450部
・トルエン 450部
(熱転写シート11の作製)
背面層用塗工液1を下記組成の背面層用塗工液11に変更した以外はすべて熱転写シート1と同様にして熱転写シート11を得た。
<背面層用塗工液11>
・ポリビニルアセタール樹脂 35部
(エスレックBX−1 積水化学工業(株)製)
・ポリイソシアネート(固形分100% NCO=17.3質量%) 30部
(バーノックD750−45 大日本インキ化学工業(株)製)
・セルロースアセテートプロピオネート樹脂(分子量25,000) 10部
(CAP482−0.5 イーストマンケミカルカンパニー社製)
・ステアリルリン酸亜鉛 6.6部
(LBT−1830精製 堺化学工業(株)製)
・ステアリン酸亜鉛 6.6部
(SZ−PF 堺化学工業(株)製)
・リン酸エステル 6.6部
(プライサーフA−208N 第一工業製薬(株))
・タルク 5部
(ミクロエースP−3 日本タルク工業(株)製)
・メチルエチルケトン 450部
・トルエン 450部
(熱転写シートAの作製)
背面層用塗工液1を下記組成の背面層用塗工液Aに変更した以外はすべて熱転写シート1と同様にして熱転写シートAを得た。
<背面層用塗工液A>
・ポリビニルアセタール樹脂 45部
(エスレックBX−1 積水化学工業(株)製)
・ポリイソシアネート(固形分100% NCO=17.3質量%) 30部
(バーノックD750−45 大日本インキ化学工業(株)製)
・ステアリルリン酸亜鉛 10部
(LBT−1830精製 堺化学工業(株)製)
・ステアリン酸亜鉛 10部
(SZ−PF 堺化学工業(株)製)
・タルク 5部
(ミクロエースP−3 日本タルク工業(株)製)
・メチルエチルケトン 450部
・トルエン 450部
(熱転写シートBの作製)
背面層用塗工液1を下記組成の背面層用塗工液Bに変更した以外はすべて熱転写シート1と同様にして熱転写シートBを得た。
<背面層用塗工液B>
・ポリビニルアセタール樹脂 13.5部
(エスレックBX−1 積水化学工業(株)製)
・ポリイソシアネート(固形分100% NCO=17.3質量%) 11.5部
(バーノックD750−45 大日本インキ化学工業(株)製)
・セルロースアセテートブチレート樹脂(分子量6,000) 50部
(Solus2100 イーストマンケミカルカンパニー社製)
・ステアリルリン酸亜鉛 10部
(LBT−1830精製 堺化学工業(株)製)
・ステアリン酸亜鉛 10部
(SZ−PF 堺化学工業(株)製)
・タルク 5部
(ミクロエースP−3 日本タルク工業(株)製)
・メチルエチルケトン 450部
・トルエン 450部
(熱転写シートCの作製)
背面層用塗工液1を下記組成の背面層用塗工液Cに変更した以外はすべて熱転写シート1と同様にして熱転写シートCを得た。
<背面層用塗工液C>
・ポリビニルアセタール樹脂 13.5部
(エスレックBX−1 積水化学工業(株)製)
・ポリイソシアネート(固形分100% NCO=17.3質量%) 11.5部
(バーノックD750−45 大日本インキ化学工業(株)製)
・セルロースアセテートプロピオネート樹脂(分子量40,000) 50部
(CAP482−0.5 イーストマンケミカルカンパニー社製)
・ステアリルリン酸亜鉛 10部
(LBT−1830精製 堺化学工業(株)製)
・ステアリン酸亜鉛 10部
(SZ−PF 堺化学工業(株)製)
・タルク 5部
(ミクロエースP−3 日本タルク工業(株)製)
・メチルエチルケトン 450部
・トルエン 450部
(熱転写シートDの作製)
背面層用塗工液1を下記組成の背面層用塗工液Dに変更した以外はすべて熱転写シート1と同様にして熱転写シートDを得た。
<背面層用塗工液D>
・ポリビニルアセタール樹脂 35部
(エスレックBX−1 積水化学工業(株)製)
・ポリイソシアネート(固形分100% NCO=17.3質量%) 30部
(バーノックD750−45 大日本インキ化学工業(株)製)
・アクリル樹脂(分子量(Mw)25000) 10部
ダイヤナールBR−87 三菱レイヨン(株)製)
・ステアリルリン酸亜鉛 10部
(LBT−1830精製 堺化学工業(株)製)
・ステアリン酸亜鉛 10部
(SZ−PF 堺化学工業(株)製)
・タルク 5部
(ミクロエースP−3 日本タルク工業(株)製)
・メチルエチルケトン 450部
・トルエン 450部
(熱転写シートEの作製)
背面層用塗工液1を下記組成の背面層用塗工液Eに変更した以外はすべて熱転写シート1と同様にして熱転写シートEを得た。
<背面層用塗工液E>
・ポリビニルアセタール樹脂 35部
(エスレックBX−1 積水化学工業(株)製)
・ポリイソシアネート(固形分100% NCO=17.3質量%) 30部
(バーノックD750−45 大日本インキ化学工業(株)製)
・ポリビニルブチラール樹脂(分子量(Mw)=40000) 10部
エスレックBM−1 積水化学工業(株)製)
・ステアリルリン酸亜鉛 10部
(LBT−1830精製 堺化学工業(株)製)
・ステアリン酸亜鉛 10部
(SZ−PF 堺化学工業(株)製)
・タルク 5部
(ミクロエースP−3 日本タルク工業(株)製)
・メチルエチルケトン 450部
・トルエン 450部
(熱転写シートFの作製)
背面層用塗工液1を下記組成の背面層用塗工液Fに変更した以外はすべて熱転写シート1と同様にして熱転写シートFを得た。
<背面層用塗工液F>
・ポリビニルアセタール樹脂 35部
(エスレックBX−1 積水化学工業(株)製)
・ポリビニルアセタール樹脂(分子量(Mw)=27000) 10部
(エスレックKS−1 積水化学工業(株)製)
・ポリイソシアネート(固形分100% NCO=17.3質量%) 30部
(バーノックD750−45 大日本インキ化学工業(株)製)
・ステアリルリン酸亜鉛 10部
(LBT−1830精製 堺化学工業(株)製)
・ステアリン酸亜鉛 10部
(SZ−PF 堺化学工業(株)製)
・タルク 5部
(ミクロエースP−3 日本タルク工業(株)製)
・メチルエチルケトン 450部
・トルエン 450部
(熱転写シートGの作製)
背面層用塗工液1を下記組成の背面層用塗工液Gに変更した以外はすべて熱転写シート1と同様にして熱転写シートGを得た。
<背面層用塗工液G>
・ポリビニルアセタール樹脂 40部
(エスレックBX−1 積水化学工業(株)製)
・セルロースアセテートブチレート樹脂(分子量16000) 60部
(CAB551−0.01 イーストマンケミカルカンパニー社製)
・ステアリン酸亜鉛 5部
(SZ−PF 堺化学工業(株)製)
・シリコーン変性アクリル樹脂 16.7部
(サイマックUS−380、固形分30wt% 東亞合成(株)製)
・タルク 5部
(ミクロエースP−3 日本タルク工業(株)製)
・メチルエチルケトン 484.5部
・トルエン 484.5部
(熱転写受像シート1の作製)
基材シートとしてRCペーパー(三菱製紙(株)製)を用い、下記組成の断熱層用塗工液、および染料受容層用塗工液1を40℃にそれぞれ加熱し、スライドコーティングを用いて、乾燥時の厚みがそれぞれ12μm、3μmとなるよう塗布し、5℃にて30秒冷却した後、50℃にて2分間乾燥させ熱転写受像シート1を得た。なお、下記組成の塗工液は、いずれも全固形分が15〜30%となるように純水を用いて希釈したものである。
<断熱層用塗工液>
・中空粒子(体積平均粒径;0.5μm) 70部
(MH5055 日本ゼオン(株)製)
・ゼラチン 25部
(RR 新田ゼラチン(株)製)
・水性ポリウレタン樹脂 5部
(AP40 DIC(株)製)
<受容層用塗工液1>
・塩酢ビ系エマルジョン(塩ビ/酢ビ=97.5/2.5):固形分36%) 411部
・離型剤の水分散体(固形分:17%) 98部
・エポキシ架橋剤 7.6部
(ナガセケムテックス(株)製、商品名EX−512:固形分100%)
・純水(エポキシ架橋剤分散用として) 11.4部
・増粘材(固形分30%) 45部
(アデカノールUH−526 (株)ADEKA製)
・純水(増粘材分散用として) 230部
・界面活性剤(ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム水溶液:固形分20%) 23部
なお、上記の塩ビ系エマルジョン、及び離型剤の水分散体は下記のようにして調製した。
(塩酢ビ系エマルジョンの合成)
2.5Lオートクレーブ中に脱イオン水600g、塩化ビニル単量体438.8g(全仕込み単量体に対して97.5重量%)と酢酸ビニル11.2g(全仕込み単量体に対して2.5重量%)からなる単量混合体、過硫酸カリウム2.25gを仕込んだ。この反応混合物を攪拌翼で回転数120rpmを維持するように攪拌し、反応混合物の温度を60℃に上げて重合を開始した。5重量%のドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム水溶液180g(全仕込み単量体に対して2重量%)を重合開始〜4hr後まで連続添加し、重合圧が60℃における塩化ビニル単量体の飽和蒸気圧から0.6MPa降下した時に重合を停止した後、残存の単量体を回収して、塩酢ビ系エマルジョンを得た。
(離型剤の水分散体の作成)
酢酸エチル85gにエポキシ変性シリコーン(信越化学工業(株)製、商品名X−22−3000T)16gとアラルキル変性シリコーン(信越化学工業(株)製、商品名X−24−510)8gを溶解した。次にトリイソプロピルナフタレンスルフォン酸ナトリウム塩(固形分10%)14gを純水110gに溶解した。上記2液を混合・攪拌した後、ホモジナイザーを用いて分散を行い、分散体を調製した。その後、分散体を30〜60℃に加温しながら減圧下で酢酸エチルを除去し、シリコーンの水分散体を得た。
(熱転写受像シート2の作製)
受容層用塗工液1を下記組成の受容層用塗工液2に変更した以外はすべて熱転写受像シート1と同様にして熱転写受像シート2を得た。
<受容層用塗工液2>
・塩化ビニル系樹脂 80部
(ビニブラン900 日信化学工業(株)製)
・ポリエーテル変性シリコーン 10部
(KF615A 信越化学工業(株)製)
・ゼラチン 20部
(G−0637K 新田ゼラチン(株)製)
・界面活性剤 0.5部
(サーフィノール440 日信化学工業(株)製)
・水 400部
(熱転写受像シート3の作製)
受容層用塗工液1を下記組成の受容層用塗工液3に変更した以外はすべて熱転写受像シート1と同様にして熱転写受像シート3を得た。
<受容層用塗工液3>
・エマルジョン(固形分として) 90部
・ゼラチン(固形分として) 10部
(RR 新田ゼラチン(株)製)
・ポリエーテル変性シリコーン 10部
(KF615A 信越化学工業(株)製)
・界面活性剤 1部
(サーフィノール440 日信化学工業(株)製)
・水 333部
なお、上記のエマルジョンは下記のようにして調製した。
エマルジョンの合成
500mL(リットル)三角フラスコに、共重合体形成モノマーとして、スチレン121g、エチルアクリレート77g、及びアクリル酸2gと、乳化剤としてアクアロンHS−10(第一工業製薬社製)1.9gを入れ、攪拌して混合した(これを以下モノマーAと呼ぶ)。1L三口フラスコに、蒸留水200gを入れて80℃まで加熱し、上記モノマーA全量の約20%程度を加え、10分間攪拌した。その後、純水20gに溶解させた過硫酸アンモニウム0.4gを加えて10分間攪拌した後、残り80%のモノマーAを滴下ロートにて3時間かけて滴下し、さらに3時間攪拌した。その後室温まで冷却し、#150メッシュ(日本織物)にてろ過し、エマルジョンを得た(分子量240000、Tg50℃)。また、スチレン及びエチルアクリレートの分子量と反応に使用した量から、それぞれのmol比は60%及び40%となる。
(実施例、比較例における熱転写シートと熱転写受像シートとの組合せ)
印画シワ評価、光沢評価に際し、下表1に示す熱転写シートと熱転写受像シートの組合せをそれぞれ実施例1〜13、比較例1〜7の熱転写シートと熱転写受像シートとの組合せとした。
Figure 2015193269
(印画シワ評価)
昇華型熱転写プリンタ(ALTECH ADS(株)製)、型式;CW−01)のメディアセットCW−MS46のY領域,M領域,C領域に、実施例1の組合せに基づいた熱転写シート1をそれぞれ貼り付け、上記プリンタと、実施例1の組合せに基づいた熱転写受像シート1を低温低湿環境下(5℃、20%)に3時間放置した後に、熱転写受像シート1に、(1)黒ベタ画像、(2)右黒画像(左白)、(3)左黒画像(右白)、(4)中黒画像(左右白)を各5枚(計20枚)印画し、下記の評価基準に基づいて印画シワの評価を行った。この印画を上記表1に記載の実施例、比較例の全ての組合せについて実施した。なお、黒画像は(255/255階調)、白画像は(0/255階調)で形成した画像である。各実施例、及び比較例の組合せにおける印画シワの評価結果を表2に示す。
「評価基準」
◎:全ての画像((1)〜(4))でシワの発生がない。
○:(1)〜(4)のいずれかの1種の画像でシワが発生。
△:(1)〜(4)の画像のうち2〜3種の画像でシワが発生。
×:(1)〜(4)の全ての画像でシワが発生。
(光沢評価)
昇華型熱転写プリンタ(ALTECH ADS(株)製)、型式;CW−01)のメディアセットCW−MS46のY領域,M領域,C領域,OP領域に、実施例1の組合せに基づいた熱転写シート1をそれぞれ貼り付け、上記プリンタと、実施例1の組合せに基づいた熱転写受像シート1を高温高湿環境下(40℃、85%)に、結露が生じないように3時間放置した後に、熱転写受像シート1に、黒ベタ画像(255/255階調)の印画を行い光沢度の測定を行った。この印画、及び光沢度の測定を上記表1に記載の実施例、比較例の全ての組合せについて同様に実施した。光沢度測定は、光沢度計(日本電色(株)製、型式;VG2000)45°測定にて行い以下の評価基準に基づいて光沢評価を行った。評価結果を表2に併せて示す。
「評価基準」
◎:比較例1の組合せで形成された画像の光沢度を100としたときに、光沢度が110以上である。
○:比較例1の組合せで形成された画像の光沢度を100としたときに、光沢度が105以上110未満である。
×:比較例1の組合せで形成された画像の光沢度を100としたときに、光沢度が105未満である。
Figure 2015193269
本発明の画像形成方法に用いられる熱転写シートと熱転写受像シート、本発明の組合せの発明特定事項を全て充足する実施例1〜13によれば、印画シワの発生や光沢度の低下がなく、光沢感に優れ、印画シワのない或いはシワの発生の少ない画像を形成することができた。一方、背面層にセルロース系樹脂を含有しない、或いは背面層に含有されるセルロース系樹脂の含有量が本発明の範囲外である全ての比較例は、実施例に対して光沢度が低いものとなった。また、セルロース系樹脂を含む比較例2を除いて、印画シワの評価が低いものとなった。以上の結果より、本発明の画像形成方法、本発明の組合せの優位性が明らかとなった。
10…熱転写シート
30…熱転写受像シート
1…基材
2…染料層
3…背面層
21…他の基材
22…染料受容層

Claims (3)

  1. 基材の一方面に背面層が設けられ、基材の他方面に染料層が設けられた熱転写シートであって、
    前記背面層は、(A)ポリビニルアセタール樹脂、又はポリビニルブチラール樹脂と、(B)セルロース系樹脂と、(C)滑剤成分と、を含有し、
    前記背面層の固形分総量に対し、前記(B)セルロース系樹脂が、3質量%以上40質量%以下の範囲内で含有されていることを特徴とする熱転写シート。
  2. 前記(B)セルロース系樹脂が、セルロースアセテートブチレート樹脂、又はセルロースアセテートプロピオネート樹脂であることを特徴とする請求項1に記載の熱転写シート。
  3. 前記(A)ポリビニルアセタール樹脂、又はポリビニルブチラール樹脂が、架橋構造を有するポリビニルアセタール樹脂、又は架橋構造を有するポリビニルブチラール樹脂であることを特徴とする請求項1に記載の熱転写シート。
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