JP2015190453A - 動力伝達機構およびスタータ - Google Patents

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Abstract

【課題】ハウジングの外部に出力軸が突出され、この突出された出力軸の端部にギヤ部が設けられている動力伝達機構およびスタータにおいて、ハウジング内への水等の異物の浸入を効果的に防止しつつ、出力軸の腐食やシール部材との摺動不良を防止できる動力伝達機構およびスタータを提供する。【解決手段】ギヤカバー172の一方側端面172rの被水防止壁185に、この一方側端面172rとオイルシール190との間に滞留する水をギヤカバー172の外部に排出するための水抜き孔160を形成した。【選択図】図4

Description

この発明は、動力伝達機構およびスタータに関するものである。
例えば、自動車のエンジン始動用として用いられるスタータの中には、通電により回転力を発生するモータ部と、モータ部の回転力を受けて回転するドライブシャフトと、エンジンのリングギヤに噛合、離脱可能に設けられ、このリングギヤにドライブシャフトの回転力を伝達する駆動ピニオンギヤと、モータ部への通電、遮断を行うと共に、駆動ピニオンギヤに、リングギヤ側に向かう押圧力を発生する電磁装置と、を主構成としたものがある。ドライブシャフトは、ハウジングに回転自在に支持されている。また、電磁装置は、ハウジング内に収納されている。
ここで、エンジン側の構造によるリングギヤのレイアウトの都合上、エンジンに取り付けられるスタータのドライブシャフトをハウジングから軸方向外側に突出させ、この突出させたドライブシャフトの端部に駆動ピニオンギヤを設けたり、ドライブシャフトと平行な方向に延び、このドライブシャフトの回転力を受けて回転するアイドルシャフトに駆動ピニオンギヤを設けたりする場合がある。
さらに、アイドルシャフトを設ける場合、アイドルシャフトをスタータのハウジングから軸方向外側に突出させ、この突出させたアイドルシャフトの端部に駆動ピニオンギヤを設ける場合がある。
このように、スタータのハウジングからドライブシャフトやアイドルシャフトを軸方向外側に突出させ、突出したシャフトの端部に駆動ピニオンギヤを設ける場合、ハウジングのシャフトを貫通させる孔からハウジング内部に水等の異物が浸入しないよう、ハウジングのシャフトを挿通させる孔にオイルシール等のシール部材を設けている。以下に、このシール部材を設ける場合の一例について詳述する。
図17は、従来のスタータにおけるハウジングに、シール部材を設けた状態を示す説明図である。
同図に示すように、スタータ500は、ハウジング501を備えている。このハウジング501に、不図示の電動モータが取り付けられる。また、スタータ500は、不図示の電動モータの回転力を受けて回転する出力軸(シャフト)502が設けられている。この出力軸502は、ハウジング501によって回転自在に支持されている。
ハウジング501には、出力軸502が挿通される貫通孔503が形成されている。そして、ハウジング501から軸方向外側(図17における右側)に向かって突出した出力軸502の端部502aに、駆動ギヤ504が取り付けられている。この駆動ギヤ504は、出力軸502がスライド移動することにより、リングギヤ508に噛合ったり離脱したりするようになっている。
また、ハウジング501の貫通孔503の内周面には、軸受装着部503aと、この軸受装着部503aよりも軸方向外側に段差により縮径されたシール装着部503bとが形成されている。そして、軸受装着部503aに、出力軸502を回転自在に支持するための軸受505が装着されている。また、シール装着部503bに、ハウジング501への水等の異物の浸入を防止するためのオイルシール506が装着されている。
さらに、ハウジング501の貫通孔503の内周面には、シール装着部503bよりも外側(図17における右側)に、内フランジ部507が形成されている。この内フランジ部507は、オイルシール506が直接被水してしまうことを抑制すると共に、オイルシール506がハウジング501から抜け落ちてしまうことを防止する抜け止めとしての役割を有している。
特開2011−231671号公報
ところで、上述の従来技術では、オイルシール506の組み付け状態によっては、図17に示すように、オイルシール506と内フランジ部507との間に隙間S100が生じる。そして、この隙間S100に水等の異物が滞留してしまうことがある。異物が水分の場合、この水がシャフト502を腐食させたり、凍結によりシャフト502とオイルシール506との摺動不良が生じたりするおそれがある。
そこで、この発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであって、ハウジングの外部に出力軸が突出され、この突出された出力軸の端部にギヤ部が設けられている動力伝達機構およびスタータにおいて、ハウジング内への水等の異物の浸入を効果的に防止しつつ、出力軸の腐食やシール部材との摺動不良を防止できる動力伝達機構およびスタータを提供するものである。
上記の課題を解決するために、本発明に係る動力伝達機構は、ハウジングと、前記ハウジングの一面に形成された貫通孔に取り付けられた軸受を介し、前記ハウジングの外部に突出した状態で回転自在に支持され出力軸と、前記出力軸に回転を付与する電動モータと、前記出力軸の前記ハウジングの外部に突出した端部に設けられ、前記出力軸と一体となって回転するギヤ部と、前記ハウジングの一面と前記軸受との間で、かつ前記出力軸の周囲を取り囲むように設けられ、前記ハウジングの内部への異物の浸入を防止するシール部材と、を備え、前記ハウジングの一面に、該一面と前記シール部材との間に滞留する水を前記ハウジングの外部に排出するための水抜き孔を形成したことを特徴とする。
このように構成することで、シール部材の組み付け状態によりハウジングの一面とシール部材との間に水等の異物が滞留した場合であっても、この滞留した異物を、水抜き孔を介して速やかに外部に排出することができる。このため、ハウジング内への水等の異物の浸入を効果的に防止しつつ、出力軸の腐食やシール部材との摺動不良を防止できる。
本発明に係る動力伝達機構における前記水抜き孔は、前記ハウジングを被取付け部材に取り付けた状態で、前記ハウジングの一面における重力方向下部に形成されていることを特徴とする。
このように構成することで、重力を利用して水抜き孔から効率よく水等の異物を排出することができる。
本発明に係る動力伝達機構における前記ハウジングは、鋳型を用いて鋳造にて形成されると共に、前記水抜き孔は、鋳抜きによって形成されることを特徴とする。
このように構成することで、ハウジングおよび水抜き孔を容易に形成することができる。このため、ハウジングの製造コストを低減できる。
本発明に係る動力伝達機構における前記シール部材は、前記ハウジングの貫通孔の内周面に接する外周壁と、前記外周壁と同軸上に配置され、前記出力軸に接する内周壁と、前記外周壁と前記内周壁とを連結する底壁と、が一体成形されたものであり、前記水抜き孔の大きさは、前記外周壁によって前記水抜き孔が閉塞不能な大きさに設定されていることを特徴とする。
このように構成することで、シール部材を組み付けた状態で、このシール部材とハウジングの一面とが当接した状態になっても、シール部材の外周壁が水抜き孔を閉塞してしまうことを防止できる。このため、ハウジング内部に浸入した水等の異物を、水抜き孔を介して確実に排出できる。
本発明に係る動力伝達機構は、前記ハウジングの一面における前記外部側には、前記貫通孔の周囲を取り囲むように円環状の防水壁が立設されており、前記水抜き孔は、前記防水壁に沿って形成されていることを特徴とする。
このように、防水壁を設けることにより、ハウジングの外部からの水によって水抜き孔が直接被水してしまうことを抑制できる。このため、ハウジング内の防水性を高めることができる。
また、水抜き孔が防水壁に沿って形成されているので、水抜き孔から排出された水等の異物が、防水壁を伝って確実に排出される。
本発明に係る動力伝達機構における前記防水壁は、同軸上に2重に形成されており、2つの前記防水壁の間に、前記水抜き孔が形成されていることを特徴とする。
このように構成することで、水抜き孔のみならず、出力軸にもハウジングの外部からの水が直接被水しないようにすることができる。このため、出力軸の腐食やシール部材との摺動不良をより確実に防止できる。
本発明に係る動力伝達機構は、前記水抜き孔の内周縁には、前記外部に向かって徐々に下るように水勾配が形成されていることを特徴とする。
このように構成することで、ハウジングの一面とシール部材との間に滞留した水等の異物を、水勾配を介して速やかに排出できる。
本発明に係るスタータは、上記に記載の動力伝達機構を備えたスタータであって、前記電動モータの回転力を受けて回転するドライブシャフトと、前記ドライブシャフト上にスライド移動可能に設けられた伝達ギヤと、前記ドライブシャフトと平行な方向に延び、中心軸周りに回転自在、かつ前記伝達ギヤのスライド移動に連動して前記中心軸方向にスライド移動可能に設けられたアイドルシャフトと、前記アイドルシャフトの軸方向一端側に設けられ、前記伝達ギヤと噛み合うアイドルギヤと、前記アイドルシャフトの軸方向他端側に設けられ、エンジンのリングギヤと噛合可能な駆動ギヤと、を備え、前記出力軸を、前記アイドルシャフトとして構成し、前記ギヤ部を、前記駆動ギヤとして構成したことを特徴とする。
このように、ドライブシャフトとアイドルシャフトの2つのシャフトを有する、いわゆる2軸タイプのスタータであっても、ハウジング内への水等の異物の浸入を効果的に防止しつつ、出力軸の腐食やシール部材との摺動不良を防止できるスタータを提供できる。
本発明によれば、シール部材の組み付け状態によりハウジングの一面とシール部材との間に水が滞留した場合であっても、この滞留した水を、水抜き孔を介して速やかに外部に排出することができる。このため、ハウジング内への水等の異物の浸入を効果的に防止しつつ、出力軸の腐食やシール部材との摺動不良を防止できる。
本発明の第1実施形態におけるスタータの断面図である。 本発明の第1実施形態におけるスタータの斜視図である。 本発明の第1実施形態におけるスタータの概略構成を示す部品展開図である。 図1のA部拡大図である。 図2のB部拡大図である。 本発明の第1実施形態における駆動ピニオンギヤの一部拡大図である。 本発明の第1実施形態における駆動ピニオンギヤとリングギヤとの噛合状態を示す簡略図である。 本発明の第1実施形態におけるギヤプランジャの斜視図である。 本発明の第1実施形態におけるギヤプランジャの断面図である。 本発明の第1実施形態におけるギヤプランジャの一部を切り欠いた平面図である。 本発明の第1実施形態におけるギヤカバーの製造方法の説明図である。 本発明の第1実施形態におけるギヤカバーの内側円筒部、外側円筒部および水抜き孔の作用説明図である。 本発明の第2実施形態におけるギヤカバーのシャフト挿通孔とその周囲の断面図である。 本発明の第2実施形態の変形例における駆動ピニオンギヤの断面図である。 本発明の第3実施形態におけるオイルシールの斜視図である。 本発明の第3実施形態におけるスイッチプランジャの断面図である。 従来のスタータにおけるハウジングにシール部材を設けた状態を示す説明図である。
(第1実施形態)
(スタータ)
次に、この発明の第1実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は、スタータの断面図、図2は、スタータの斜視図、図3は、スタータの概略構成を示す部品展開図である。
図1〜図3に示すように、スタータ1は、不図示のエンジンの始動に必要な回転力を発生するためのものであって、モータ部3と、モータ部3の一方(図1における左側)に連結されているドライブシャフト4と、ドライブシャフト4上にスライド移動可能に設けられたクラッチ機構5と、ドライブシャフト4の回転力を不図示のエンジンのリングギヤ23に伝達するアイドルギヤユニット100と、モータ部3に対する電源供給路を開閉するスイッチユニット7と、スイッチユニット7の可動接点板8を軸方向に沿って移動させるための電磁装置9と、を有している。
なお、不図示のエンジンにスタータ1を取り付けた状態では、図2、図3に示す上側がスタータ1の鉛直方向上側となり、図2、図3に示す下側がスタータ1の鉛直方向下側となる。なお、以下の説明では、不図示のエンジンにスタータ1を取り付けた状態での鉛直方向下側(図2、図3に示す下側)を単に下側と称し、鉛直方向上側(図2、図3に示す上側)を単に上側と称して説明する場合がある。
(モータ部)
モータ部3は、ブラシ付直流モータ51と、ブラシ付直流モータ51の回転軸52に連結され、この回転軸52の回転力をドライブシャフト4に伝達するための減速機構としての遊星歯車機構2とにより構成されている。
ブラシ付直流モータ51は、略円筒状のモータヨーク53と、モータヨーク53の径方向内側に配置され、モータヨーク53に対して回転自在に設けられているアーマチュア54と、を有している。モータヨーク53の内周面には、複数(例えば、本実施形態では6個)の永久磁石57が、周方向に磁極が交互となるように設けられている。
モータヨーク53の他方(図1における右側)の端部には、モータヨーク53の開口部53aを閉塞するエンドプレート55が設けられている。エンドプレート55の径方向中央には、回転軸52の他方側端を回転自在に支持するための滑り軸受56a、およびスラスト軸受56bが設けられている。
アーマチュア54は、回転軸52と、回転軸52の永久磁石57に対応する位置に外嵌固定されているアーマチュアコア58と、回転軸52のアーマチュアコア58よりも遊星歯車機構2側(図1における左側)に外嵌固定されているコンミテータ61とにより構成されている。
アーマチュアコア58は、放射状に形成された複数のティース(不図示)と、周方向に隣接する各ティース間に形成された複数のスロット(不図示)と、を有している。周方向に所定間隔をあけた各スロット間には、コイル59が例えば波巻により巻装されている。コイル59の端末部は、コンミテータ61に向かって引き出されている。
コンミテータ61には、複数枚(例えば、本実施形態では26枚)のセグメント62が周方向に沿って、かつ互いに電気的に絶縁されるように所定間隔を空けた状態で設けられている。
各セグメント62のアーマチュアコア58側端には、折り返すように曲折形成されたライザ63が設けられている。ライザ63には、アーマチュアコア58に巻装されているコイル59の端末部が接続されている。
モータヨーク53のエンドプレート55とは反対側には、有底筒状のトッププレート12が設けられている。このトッププレート12におけるアーマチュアコア58側の内面に、遊星歯車機構2が設けられている。
遊星歯車機構2は、回転軸52と一体形成されたサンギヤ13と、サンギヤ13に噛合され、サンギヤ13を中心に公転する複数のプラネタリギヤ14と、これらプラネタリギヤ14の外周側に設けられた環状の内歯リングギヤ15とにより構成されている。
複数のプラネタリギヤ14は、出力部としてのキャリアプレート16により連結されている。キャリアプレート16には、各プラネタリギヤ14に対応する位置に複数の支持シャフト16aが立設されており、ここにプラネタリギヤ14が回転自在に支持されている。また、キャリアプレート16の径方向中央にはセレーションを有する係合孔16bが設けられ、ドライブシャフト4の他方側端部4dのセレーション部4eがセレーション係合により噛合っている。
内歯リングギヤ15は、トッププレート12のアーマチュアコア58側の内面に一体成形されている。トッププレート12の内周面における径方向中央には、滑り軸受12aが設けられている。滑り軸受12aは、回転軸52と同軸上に配置されているドライブシャフト4の他方側端(図1における右側端)を回転自在に支持している。
(ハウジング)
このように、遊星歯車機構2が設けられているトッププレート12は、ハウジング17内に収納されて固定されている。ハウジング17は、不図示のエンジンにスタータ1を固定する役割と、トッププレート12(遊星歯車機構2)、電磁装置9、クラッチ機構5、アイドルギヤユニット100等を収納する役割とを有している。
ハウジング17は、一方(図1における左側)と他方(図1における右側)とに、それぞれ開口部171a,171cを有するブラケット部171と、ブラケット部171の一方(図1における左側)に装着されたギヤカバー172と、により分割構成されている。これらブラケット部171およびギヤカバー172は、それぞれアルミニウム製で、ダイカスト鋳造にて形成されている。そして、ブラケット部171の他方の開口部171cを閉塞するようにトッププレート12が設けられている。
また、ブラケット部171には、他方の開口部171c側の外周面に、軸方向に沿うように雌ネジ部171bが刻設されている。また、モータヨーク53の他方(図1における右端側)に配置されたエンドプレート55には、雌ネジ部171bに対応する位置にボルト孔55aが形成されている。このボルト孔55aにボルト95を挿入し、雌ネジ部171bにボルト95を螺入することによって、モータ部3とブラケット部171とが一体化される。
また、ブラケット部171の内壁には、後述するクラッチアウタ18のモータ部3側への変位を規制するリング状のストッパ94が設けられている。このストッパ94は、樹脂やゴム等により形成され、クラッチアウタ18が当接した際の衝撃を緩和できるようになっている。
さらに、ブラケット部171の内壁には、ストッパ94よりも一方の開口部171a寄りに、段差により縮径形成された縮径部171dが設けられている。この縮径部171dの段差面は、ブラケット部171における一方の開口部171aから電磁装置9が抜け出てしまうことを防止するための抜け止め部として機能している。
ブラケット部171の一方の開口部171a側(図3における紙面手前側)には、この開口部171aの径方向外側に、シャフト孔174が形成されている。このシャフト孔174は、後述するアイドルシャフト102の一方の端部102a(図1における左側の端部)近傍を回転自在に支持するためのものである。
また、ブラケット部171の一方の開口部171a側には、外周側に張り出した外フランジ部171tが一体的に形成されている。外フランジ部171tのギヤカバー172と対向する面は、このギヤカバー172との当接面(合わせ面)171eとなる。この当接面171eには、外周部を除いて肉盗み部169が形成されている。肉盗み部169を形成することにより、ブラケット部171の軽量化が図られていると共に、当接面171eの加工面積を減少でき、製造コストの低減化が図られている。
また、外フランジ部171tの外周部には、周方向に間隔をあけて複数のボルト挿通孔175が形成されている。さらに、外フランジ部171tの上側には、ギヤカバー172の後述のボルト挿通孔183に対応する位置に、雌ネジ部167が刻設されている。これらボルト挿通孔175および雌ネジ部167は、周方向にほぼ等間隔となるように配置されている。
図4は、図1のA部拡大図、図5は、図2のB分拡大図であって、アイドルシャフトから後述の駆動ピニオンギヤを取り外した状態を示す。
図1、図3〜図5に示すように、ギヤカバー172は、ブラケット部171に対向する側に、ブラケット部171の外フランジ部171tに当接する当接面(合わせ面)172sを有している。この当接面172sには、外周部を除いて、換言すればブラケット部171の肉盗み部169に対応する位置に、不図示の肉盗み部が形成されている。肉盗み部を形成することにより、ギヤカバー172の軽量化が図られていると共に、当接面172sの加工面積を減少でき、製造コストの低減化が図られている。
また、当接面172sの外周部には、ブラケット部171のボルト挿通孔175に対応する位置に、不図示の雌ネジ部が刻設されている。さらに、当接面172sの外周部には、ブラケット部171の雌ネジ部167に対応する位置に、外周側に張り出したフランジ部182が一体的に形成されており、ここにボルト挿通孔183が形成されている。
また、ギヤカバー172は、ブラケット部171に対向する側に開口して、クラッチ機構5および伝達ピニオンギヤ(伝達ギヤ)70と、後述するアイドルギヤ101を収容する収容凹部173が形成されている。
収容凹部173は、伝達ピニオンギヤ70が収容されるピニオンギヤ収容凹部173aと、アイドルギヤ101が収容されるアイドルギヤ収容凹部173bとにより構成されており、それぞれの収容凹部173a,173bが連通するように形成されている。
また、収容凹部173のうち、ピニオンギヤ収容凹部173aの開口部周縁には、ギヤカバー172とブラケット部171とを重ね合わせた際にブラケット部171の一方の開口部171aにインロー嵌合するインロー部173cが突設されている。
インロー部173cは、ピニオンギヤ収容凹部173aの開口部周縁の形状に対応するように、軸方向からみた平面視が、アイドルギヤ収容凹部173b側が開口する略C字状に形成されている。
また、収容凹部173の底部173dには、ドライブシャフト4と同軸に、有底の軸受凹部47が形成されている。さらに、収容凹部173の底部173dには、軸受凹部47の側方に、後述するアイドルシャフト102が挿通されるシャフト挿通孔179が形成されている。シャフト挿通孔179のギヤカバー172の外側部位には、環状に形成された被水防止壁部185がギヤカバー172と一体的に形成されている。
軸受凹部47は、内径がドライブシャフト4の外径よりも大きく形成されている。軸受凹部47には、ドライブシャフト4の一方側端(図1における左側端)を回転自在に支持するための滑り軸受178が圧入固定されている。この滑り軸受178には所望の基油からなる潤滑油が含浸されており、ドライブシャフト4を円滑に摺接させることができるようになっている。
また、軸受凹部47の底部と、ドライブシャフト4の一方側端面4cとの間には、荷重受部材50が配置されている。
荷重受部材50は、平板状の金属部材であり、例えばプレスにより形成されたリング状のワッシャが採用される。荷重受部材50は、硬度がドライブシャフト4よりも高く耐摩耗性に優れた材料により形成されている。荷重受部材50の材料としては、例えばSK85等の炭素工具鋼が好適である。
荷重受部材50を配置することにより、一方(図1における左側)に向かってドライブシャフト4にスラスト荷重が発生したときでも、ギヤカバー172に設けた荷重受部材50でドライブシャフト4の移動を規制しつつ、ドライブシャフト4のスラスト荷重を受けることができる。また、ドライブシャフト4の回転時には、ドライブシャフト4の一方側端面4cと荷重受部材50とが摺接するので、ドライブシャフト4の一方側端面4cとギヤカバー172とが直接摺接するのを防止できる。したがって、ギヤカバー172の摩耗を防止して耐久性に優れたスタータ1とすることができる。
なお、荷重受部材50の周囲には、ドライブシャフト4の一方側端面4cとの摺接時の摩擦を軽減するためのグリスが塗布されるが、このグリスに、滑り軸受178に含浸される潤滑油と同種の基油を含むものが採用されているため、滑り軸受178の潤滑油を長期間保持できるようになっている。
ドライブシャフト4の他方側端(図1における右側端)には、回転軸52の一方側端(図1における左側端)を挿入して嵌合可能な凹部4aが形成されている。凹部4aの内周面には、滑り軸受4bが圧入されており、ドライブシャフト4と回転軸52とが相対回転可能に連結されるようになっている。
また、図4に詳示するように、ギヤカバー172のシャフト挿通孔179の内周面には、当接面172sとは反対側(図4における左側)の一方側端面172r側からシール装着部179aと軸受装着部179bとがこの順で形成されている。軸受装着部179bは、シール装着部179aよりも段差により拡径形成されている。
シール装着部179aには、オイルシール190が軽圧入されている。軸受装着部179bには、ボールベアリング180が圧入されている。すなわち、ギヤカバー172の一方側端面172rとボールベアリング180との間に、オイルシール190が設けられている。そして、ギヤカバー172の一方側端面172rの一部分が、オイルシール190のギヤカバー172からの抜け防止として機能していると共に、オイルシール190に、外部からの水が直接被水しないようにする防水壁として機能している。
ボールベアリング180は、後述するアイドルシャフト102を回転自在に支持するためのものである。
一方、オイルシール190は、被水防止壁185、シャフト挿通孔179を介して外部からギヤカバー172内部に塵埃や水が浸入してしまうことを防止するためのものである。オイルシール190はゴム材からなり、アイドルシャフト102の周囲を取り囲むようにリング状に、かつギヤカバー172の一方側端面172r側が開口するように断面コの字状に形成されている。より詳しくは、オイルシール190は、シャフト挿通孔179の内周面に圧入される外周壁190aと、アイドルシャフト102に摺接する内周壁190bと、これら外周壁190aと内周壁190bとを、ボールベアリング180側で連結する底壁190cとが一体成形され、外周壁190aの径方向内面と底壁190cの開口側に配された金属材190dにより補強されたものである。
さらに、ギヤカバー172の一方側端面172rに設けられた被水防止壁185には、シャフト挿通孔179の周囲を取り囲むように、かつ同心円上に突出形成された内側円筒部186と外側円筒部187とが設けられている。内側円筒部186は、アイドルシャフト102の周囲を取り囲むように、リング状に形成され、スタータ1が非作動時の状態において、延長筒部11dにアイドルシャフトの径方向に重合する高さに設定されている。内側円筒部186とアイドルシャフト102との間のクリアランスC1は、できる限り小さくなるように設定されている。外側円筒部187は、オイルシール190よりもやや径方向外側に対応する位置に立設され、リング状に形成されている。外側円筒部187の突出高さH1は、内側円筒部186の突出高さH2よりも高く設定されている。
また、図4、図5に詳示するように、ギヤカバー172の被水防止壁185には、内側円筒部186と外側円筒部187の間で、かつ下側に、水抜き孔160が貫通形成されている。水抜き孔160は、内側円筒部186の外周面、および外側円筒部187の内周面に沿うように、円弧状に形成されている。
また、水抜き孔160の下側縁には、断面円弧状の水勾配161が形成されている。より具体的には、水勾配161は、ギヤカバー172の外側(図4における左側)に向かって徐々に下るように形成されている。
さらに、水抜き孔160の内側(図4における右側)における上下方向の開口幅H3は、オイルシール190の外周壁190aの肉厚よりも大きくなるように設定されている。これにより、オイルシール190の外周壁190aによって水抜き孔160自体が閉塞されてしまうことがない。
この他に、ギヤカバー172には、収容凹部173を挟んで両側に、当接面172sに対して外周側に張り出すように形成された一対の取付ブラケット部172tが一体成形されている。取付ブラケット部172tは、収容凹部173から離間するに従って先細りとなるように形成されており、その頂点部にそれぞれボルト挿通孔172bが形成されている。このボルト挿通孔172bに不図示のボルトを挿入することにより、不図示のエンジンや車体シャーシ等にギヤカバー172を固定できるようになっている。
このような構成のもと、図3に詳示するように、ブラケット部171とギヤカバー172とを組み付ける際は、ブラケット部171のボルト挿通孔175にモータ部3側から4つのボルト177aを挿入し、これらボルト177aをギヤカバー172の雌ネジ部(不図示)に螺入する。また、ギヤカバー172のボルト挿通孔183にモータ部3とは反対側からボルト177bを挿入し、このボルト177bをブラケット部171の雌ネジ部167に螺入する。このように、ブラケット部171の当接面171eおよびギヤカバー172の当接面172sを挟んで両側からそれぞれボルト177a,177bを締結するようにして、ブラケット部171とギヤカバー172とを一体化させている。
ここで、ブラケット部171とギヤカバー172とを締結固定するためのボルト挿通孔175、雌ネジ部167、雌ネジ部172aおよびボルト挿通孔183は、それぞれ周方向にほぼ等間隔となるように配置されている。このため、ブラケット部171とギヤカバー172とに、締結固定力が周方向にバランスよく作用し、ブラケット部171とギヤカバー172との固定を確実なものとしている。
また、ブラケット部171の当接面171eおよびギヤカバー172の当接面172sを挟んで両側からそれぞれボルト177a,177bを締結するように構成することで、不図示のエンジンにスタータ1を取り付けた状態で、スタータ1を容易に分解できないようにしている。
(クラッチ機構)
図1に示すように、ドライブシャフト4の軸方向略中央には、ヘリカルスプライン19が形成されている。ヘリカルスプライン19には、クラッチ機構5がヘリカル噛合されている。
クラッチ機構5は、略円筒状のクラッチアウタ18と、このクラッチアウタ18と同軸に形成されたクラッチインナ22と、クラッチアウタ18およびクラッチインナ22を一体的に固定するクラッチカバー6と、を有している。
クラッチ機構5には、クラッチアウタ18側からの回転力はクラッチインナ22に動力を伝達するが、クラッチインナ22側からの回転力はクラッチアウタ18に伝達しない、いわゆる公知のワンウェイクラッチ機能が設けられている。これにより、エンジン始動時に、クラッチアウタ18よりもクラッチインナ22の回転速度が速くなるオーバーラン状態になった際、エンジンのリングギヤ23側からの回転力を遮断するように構成されている。また、クラッチ機構5は、クラッチアウタ18とクラッチインナ22との間に生じるトルク差、および回転速度差が所定値以内の場合、互いに回転力を伝達する。一方、トルク差および回転速度差が所定値を越えた場合、回転力の伝達が遮断される。すなわち、クラッチ機構5は、いわゆるトルクリミッタ機能も備えている。
クラッチアウタ18の他方(図1における右側)には、縮径されたスリーブ18aが一体形成されており、この内周面に、ドライブシャフト4のヘリカルスプライン19に噛合するヘリカルスプライン18bが形成されている。これにより、クラッチ機構5は、ドライブシャフト4に対して軸方向にスライド移動可能に設けられる。
クラッチアウタ18の内周面におけるスリーブ18aの一方には、段部18cが形成されている。段部18cの内周面は、スリーブ18aの内周面よりも大径に形成されている。
クラッチアウタ18の外周面には、後述するクラッチカバー6が、例えばカシメ等により固定されている。
クラッチインナ22は、クラッチアウタ18のスリーブ18aよりも拡径形成されており、クラッチインナ22および段部18cの内周面と、ドライブシャフト4との間には、空間が形成されている。この空間には、後述するリターンスプリング21が配置されている。
クラッチインナ22の外周面には、クラッチアウタ18の一方側端面と径方向で対応する位置に、略円盤状のクラッチワッシャ64が外嵌固定されている。
クラッチカバー6は、本体筒部68と、本体筒部68の一方(図1における左側)の底壁66と、を有する有底筒状の部材であり、例えば鉄等の金属板材を絞り加工することにより形成されている。
本体筒部68は、クラッチアウタ18およびクラッチワッシャ64に外挿され、本体筒部68の他方の縁部をクラッチアウタ18の他方側端面にカシメることにより、クラッチアウタ18およびクラッチワッシャ64に固定される。
底壁66の略中央には、一方と他方とを貫通する開口が形成され、この開口から軸方向の一方に向かって延びる補強筒部67が形成されている。補強筒部67は、ドライブシャフト4と同心円上に形成され、ドライブシャフト4が挿通されている。
ドライブシャフト4には、ヘリカルスプライン19よりも一方側(図1における左側)に、移動規制部20が設けられている。
移動規制部20は、ドライブシャフト4に外嵌された略リング状の部材であり、サークリップ20aによって軸方向一方への移動が規制された状態に設けられると共に、クラッチアウタ18に形成された段部18cと干渉可能なように、段部18cの内周面よりも大径に形成されている。後述するようにクラッチ機構5が一方にスライド移動したときには、クラッチアウタ18の段部18cと移動規制部20とが干渉する。これにより、クラッチ機構5の一方へのスライド移動量が規制される。
移動規制部20とクラッチアウタ18のスリーブ18aとの間であって、段部18cの内周面とドライブシャフト4の外周面との間には、リターンスプリング21が設けられている。リターンスプリング21は、ドライブシャフト4を取り囲むように形成され、圧縮変形した状態で設けられている。これにより、クラッチアウタ18は、常時モータ部3側へ向かって押し戻されるように付勢された状態になる。
このように形成されたクラッチ機構5には、クラッチインナ22の先端に、伝達ピニオンギヤ70が一体的に設けられている。
伝達ピニオンギヤ70は、ドライブシャフト4に摺動可能に外嵌されている筒部70aと、この外周面に一体成形され、後述のアイドルギヤ101に噛合される外歯車部70bとから形成されている。そして、筒部70aとクラッチインナ22とが一体成形されている。
また、筒部70aの基端側であるクラッチ機構5側には、伝達ピニオンギヤ70の外歯車部70bとは軸方向に間隔をあけて外フランジ部73が一体成形されている。筒部70aの内周面の軸方向両側に、ドライブシャフト4に伝達ピニオンギヤ70を摺動可能に支持するための2つの滑り軸受72,72が設けられている。
(アイドルギヤユニット)
アイドルギヤユニット100は、ドライブシャフト4と平行に配置されたアイドルシャフト102と、アイドルシャフト102の軸方向中間部に一体成形され、伝達ピニオンギヤ70に噛み合うアイドルギヤ101と、アイドルシャフト102の一方の端部102aに設けられ、リングギヤ23に噛合可能な駆動ピニオンギヤ110と、を備えている。
なお、図1において、アイドルシャフト102の中心線より上側に、リングギヤ23と駆動ピニオンギヤ110とが噛合した状態を示し、下側にスタータ1の静止状態を示している。
アイドルギヤ101は、アイドルシャフト102から外周側に拡径して形成され、その外周面に、外歯車部101bが形成されている。
ここで、アイドルギヤ101の外歯車部101bと、伝達ピニオンギヤ70の外歯車部70bとの減速比は、伝達ピニオンギヤ70の回転速度に対してアイドルギヤ101の回転速度が減少するように設定されている。これにより、ドライブシャフト4の回転トルクよりもアイドルシャフト102の回転トルクを大きくできる。
また、アイドルギヤ101および伝達ピニオンギヤ70は、ヘリカルギヤ(はすば歯車)で構成されている。アイドルギヤ101の歯のねじれ方向は、後述の駆動ピニオンギヤ110の歯のねじれ方向と同じ方向に設定されている。一方、伝達ピニオンギヤ70の歯のねじれ方向は、リングギヤ23の歯のねじれ方向と同じ方向に設定されている。
アイドルシャフト102の一方の端部102a(図1における左側の端部102a)は、ギヤカバー172のシャフト挿通孔179を貫通して、ギヤカバー172の外方に突出している。つまり、アイドルシャフト102の一方の端部102aよりも手前側が、ギヤカバー172に設けられたボールベアリング180に回転自在に支持されている。
また、アイドルシャフト102は、他方の端部102bがブラケット部171に形成されたシャフト孔174に、滑り軸受103を介して、回転自在、かつ軸方向(スラスト方向)にスライド移動自在に支持されている。
ここで、アイドルシャフト102の他方の端部102bとブラケット部171のシャフト孔174の間に形成される空隙部には、滑り軸受103に対するアイドルシャフト102の摺動性を高めるための潤滑剤として、グリスが充填されている。一方、アイドルシャフト102の他方の端部102bには、グリス溜まり部99が凹設されている。
このグリス溜まり部99は、ブラケット部171の滑り軸受103にアイドルシャフト102の他方の端部102bを挿入する際、ポンピング作用により空隙部からグリスが流出しないようにするためである。
また、アイドルシャフト102の外周部には、アイドルギヤ101に対してクラッチ機構5側に、円板状のアイドルワッシャ104が外嵌されている。アイドルワッシャ104のクラッチ機構5側への抜け方向への移動は、アイドルシャフト102に取り付けられている止め輪105によって規制されている。また、アイドルワッシャ104の外径は、外歯車部101bの外径と略同一になるように設定されている。さらに、アイドルワッシャ104は、その外周部が、伝達ピニオンギヤ70の外歯車部70bと外フランジ部73との環状の隙間に挿入されている。
これにより、アイドルギヤ101を有したアイドルシャフト102は、アイドルワッシャ104を介して、伝達ピニオンギヤ70と共に、軸方向に追従して移動可能となっている。
なお、アイドルワッシャ104は、伝達ピニオンギヤ70とアイドルギヤ101との間の摺動性を向上させるための役割を有している。このため、アイドルワッシャ104にも、潤滑剤としてのグリス等が塗布されている。
また、アイドルシャフト102において、ボールベアリング180に挿通された部分よりもアイドルギヤ101側には、その外径が拡径することによって段差部102dが形成されている。この段差部102dがボールベアリング180に突き当たることによって、アイドルシャフト102の駆動ピニオンギヤ110側への移動量が規制されている。
また、アイドルシャフト102の一方の端部102aには、外周面にスプライン108が形成されている。アイドルシャフト102の一方の端部102aに設けられた駆動ピニオンギヤ110には、内周面の先端側に、スプライン108にスプライン嵌合可能なスプライン110aが形成されている。アイドルシャフト102側のスプライン108の長さは、駆動ピニオンギヤ110のスプライン110aの長さよりも軸方向に長く設定されている。これにより、アイドルシャフト102と駆動ピニオンギヤ110は、互いに相対回転不能かつ軸方向にスライド移動可能に設けられた状態になる。
また、アイドルシャフト102には、スプライン108よりも他方(図1における右側)に、スプライン108側よりも拡径した段差部102cが形成されている。
一方、駆動ピニオンギヤ110の他方(図1における右側)の端面には、延長筒部110dが延設されている。
延長筒部110dは、アイドルシャフト102と同心円上に形成されている。延長筒部110dは、駆動ピニオンギヤ110が軸方向の他方(図1における右側)にスライド移動したとき、段差部102cと当接可能となっている。すなわち、駆動ピニオンギヤ110がアイドルシャフト102に対して軸方向にスライド移動したとき、延長筒部110dが段差部102cに突き当たることで、駆動ピニオンギヤ110の他方への移動を規制する。
また、アイドルシャフト102の一方の端部102aには、アイドルシャフト102に外嵌固定された止め輪106が設けられている。これにより、駆動ピニオンギヤ110が、アイドルシャフト102に対してアイドルシャフト102の一方に抜けるのを規制している。
ここで、駆動ピニオンギヤ110は、外歯車部110gのピッチ径D1が、アイドルギヤ101の外歯車部101bのピッチ径D2に対し、
D1≦D2を満足するように設定するのが好ましい。
さらには、
D1<D2
を満足するように設定するのが好ましい。
外歯車部110gのピッチ径D1よりもアイドルギヤ101の外歯車部101bのピッチ径D2が大きいと、外歯車部101bで得られるトルクが、駆動ピニオンギヤ110から出力されるトルクよりも大きくなる。つまり、アイドルギヤ101側、つまりドライブシャフト4側から駆動ピニオンギヤ110へのトルク伝達が効率良く行うことができる。
図6は、駆動ピニオンギヤの一部拡大図、図7は、駆動ピニオンギヤとリングギヤとの噛合状態を示す簡略図である。
図6、図7に示すように、駆動ピニオンギヤ110の外歯車部110gおよびリングギヤ23は、ヘリカルギヤで構成されている。
駆動ピニオンギヤ110の外歯車部110gには、回転方向(図6における矢印Y1)前方側で、かつリングギヤ23側の縁部に、第1歯面取り部141aが形成されている。
一方、リングギヤ23の外歯車部23gには、駆動ピニオンギヤ110の外歯車部110gを受け入れる側の縁部に、歯面取り部142が形成されている。
なお、リングギヤ23の外歯車部23gにおける駆動ピニオンギヤ110の外歯車部110gを受け入れる側の縁部とは、リングギヤ23に向かって駆動ピニオンギヤ110が飛び込んできた際、駆動ピニオンギヤ110の外歯車部110gにおける第1歯面取り部141aが当接する縁部のことをいう。
ここで、図7に詳示するように、リングギヤ23の外歯車部23gと駆動ピニオンギヤ110の外歯車部110gとが噛合された状態(後述するように、リングギヤ23の回転速度が駆動ピニオンギヤ110の回転速度よりも速い状態)において、各外歯車部23g,110g同士が接触している箇所(図7におけるX部)が、リングギヤ23と駆動ピニオンギヤ110との噛合を保障する最小噛合保障量(最小噛合保障長さ)Xminとなる。つまり、駆動ピニオンギヤ110の外歯車部110gとリングギヤ23の外歯車部23gの、第1歯面取り部141aおよび歯面取り部142を除いた箇所が、リングギヤ23と駆動ピニオンギヤ110との最小噛合保障長さXminとなる。
なお、図7中、リングギヤ23に対し、駆動ピニオンギヤ110が最も押し込まれた状態での噛合量を、最大噛合長さとしてYで示す。
また、駆動ピニオンギヤ110の外歯車部110gとリングギヤ23の外歯車部23gの歯のねじれ方向は、駆動ピニオンギヤ110がリングギヤ23を駆動する状態で、駆動ピニオンギヤ110に、リングギヤ23に対して飛び込み方向(図7における矢印Y2)のスラスト荷重が発生するように設定されている。
また、エンジン始動時におけるクランキングの際には、リングギヤ23の回転速度に変動が生じやすい。ここで、ヘリカル噛合している駆動ピニオンギヤ110とリングギヤ23との間に回転速度差が発生すると、駆動ピニオンギヤ110にかかるスラスト荷重の向きが変化する。
すなわち、リングギヤ23の回転速度が駆動ピニオンギヤ110の回転速度よりも低いときには、駆動ピニオンギヤ110にはリングギヤ23に接近する方向(図7における矢印Y2)にスラスト荷重が発生するようになっている。また、リングギヤ23の回転速度が駆動ピニオンギヤ110の回転速度よりも高いときには、駆動ピニオンギヤ110にはリングギヤ23から離間する方向(図7における矢印Y3)にスラスト荷重が発生する。
しかしながら、この場合、アイドルギヤ101の回転速度が伝達ピニオンギヤ70の回転速度よりも速いため、アイドルギヤ101には伝達ピニオンギヤ70から、駆動ピニオンギヤ110にリングギヤ23から作用するスラスト荷重とは反対方向のスラスト荷重が作用する。このため、駆動ピニオンギヤ110に作用する、リングギヤ23から離間する方向のスラスト荷重が相殺されるようになっている。
すなわち、アイドルギヤ101の歯のねじれ方向は、駆動ピニオンギヤ110の歯のねじれ方向と同じ方向に設定されている一方、伝達ピニオンギヤ70の歯のねじれ方向は、リングギヤ23の歯のねじれ方向と同じ方向に設定されているので、駆動ピニオンギヤ110で発生するスラスト荷重の方向と、アイドルギヤ101で発生するスラスト荷重の方向が逆になり、両者のスラスト荷重が相殺されるようになっている。
このとき、駆動ピニオンギヤ110の離間する方向へのスラスト荷重が、アイドルギヤ101に作用する反対方向へのスラスト荷重よりも大きくなるよう設定するのが好ましい。さらに、駆動ピニオンギヤ110の離間する方向へのスラスト荷重は、電磁装置9による吸引力よりも小さいのが好ましい。
駆動ピニオンギヤ110の内周面には、スプライン110aの後端側に、段差部110bを介して拡径された拡径部111が形成されており、アイドルシャフト102と駆動ピニオンギヤ110との間に収納部112が形成されるようになっている。
収納部112において、アイドルギヤ101側に形成されている開口部は、アイドルシャフト102のスプライン108におけるアイドルギヤ101側の端部に拡径して設けられた段差部102eによって閉塞された状態になっている。
収納部112には、アイドルシャフト102の外周面を取り囲むように形成されたピニオンスプリング113が収納されている。ピニオンスプリング113は、例えばコイルスプリングからなる。
ピニオンスプリング113は、収納部112に収納された状態で、駆動ピニオンギヤ110の拡径部111の段差部110bと、アイドルシャフト102の段差部102eとにより圧縮変形されている。これにより駆動ピニオンギヤ110は、アイドルシャフト102に対してリングギヤ23側に向かって付勢された状態になる。
また、ピニオンスプリング113は、後述するように、駆動ピニオンギヤ110とリングギヤ23とが当接したときに軸方向に弾性変形することで衝撃を吸収する、いわゆるダンパ機構として機能している。これにより、駆動ピニオンギヤ110およびリングギヤ23の摩耗を抑制し、スタータ1の耐久性向上を図っている。
(電磁装置)
また、ハウジング17(ブラケット部171)の内周面には、クラッチ機構5よりもモータ部3側に、電磁装置9を構成するヨーク25が内嵌固定されている。ヨーク25は磁性材からなる有底筒状に形成されており、底部25aの径方向中央の大部分が大きく開口されている。
さらに、ヨーク25の底部25aとは反対側端には、磁性材からなる円環状のプランジャホルダ26が設けられている。プランジャホルダ26は、円環状のホルダ本体26aと、ホルダ本体26aの径方向内側から軸方向の他方に向かって屈曲延出されたプランジャホルダ側円筒部26bが一体的に形成されている。これにより、後述するギヤプランジャ80の鉄心88との離間距離が狭くなるので、プランジャホルダ26による鉄心88の吸引力(以下、単に「吸引力」ということがある)を上げることができる。
ヨーク25、およびプランジャホルダ26によって径方向内側に形成される収納凹部25bには、略円筒状に形成された励磁コイル24が収納されている。すなわち、プランジャホルダ26のホルダ本体26aは、励磁コイル24の一方の側面を覆うように形成されており、プランジャホルダ側円筒部26bは、励磁コイル24の径方向内側に臨むように屈曲延出されている。
励磁コイル24は、ブラケット部171の外周面に設けられたコネクタ150を介し、不図示のイグニションスイッチに電気的に接続されている。
励磁コイル24の内周面とドライブシャフト4の外周面との間の空隙には、プランジャ機構37が励磁コイル24に対して軸方向にスライド移動可能に設けられている。
プランジャ機構37は、磁性材で形成された略円筒状のスイッチプランジャ27と、このスイッチプランジャ27とドライブシャフト4の外周面との間の空隙に配置されたギヤプランジャ80と、を有している。
スイッチプランジャ27は、磁性材からなる金属板材にプレス加工を施して形成されたものである。スイッチプランジャ27は、ヨーク25、およびプランジャホルダ26によって形成される収納凹部25bの径方向内側を閉塞するように円筒状に形成されている。
また、スイッチプランジャ27の他方の開口部(図1における右側の開口部、モータ部3側の開口部)123には、外周側に張り出した外フランジ部29が一体成形されている。さらに、外フランジ部29の一側には、シャフトホルダ29aが延出形成されている。シャフトホルダ29aは、後述のスイッチシャフト30を保持するためのものであって、スイッチシャフト30の端部を受け入れ可能なようにU字状に形成されている。
また、スイッチプランジャ27の内周面には、後述するギヤプランジャ80と当接、離間するリング部材27rが一体的に設けられている。リング部材27rは、スイッチプランジャ27が一方(リングギヤ23側)に向かって移動する際、初期的にギヤプランジャ80をリングギヤ23側に向かって押圧するためのものである。
さらに、スイッチプランジャ27の一方の開口部122側の端部とプランジャホルダ26との間には、両者を離間方向に付勢する板ばね材からなるスイッチリターンスプリング27aが設けられている。
図8は、ギヤプランジャの斜視図、図9は、ギヤプランジャの断面図、図10は、ギヤプランジャの一部を切り欠いた平面図である。
図1、図8〜図10に示すように、ギヤプランジャ80は、スイッチプランジャ側円筒部121の径方向内側に、このスイッチプランジャ側円筒部121と同心円上に設けられている。ギヤプランジャ80は、径方向内側に配置されたプランジャインナ81と、径方向外側に配置されたプランジャアウタ85と、プランジャインナ81とプランジャアウタ85との間に配置されるプランジャスプリング91と、を備えている。
プランジャインナ81は、樹脂等により略円筒形状に形成されている。プランジャインナ81の内径は、ドライブシャフト4に外挿可能なように、ドライブシャフト4の外径よりも若干大きく形成されている。これにより、プランジャインナ81は、ドライブシャフト4に対して軸方向にスライド移動可能に設けられている。
プランジャインナ81の一方側端81a(図1、図9における左側端)には、径方向外側に張り出した外フランジ部82が一体成形されている。後述するように、プランジャインナ81が一方にスライド移動したとき、プランジャインナ81の一方側端81aがクラッチアウタ18の他方側端と当接し、クラッチ機構5および伝達ピニオンギヤ70を一方に向かってスライド移動させている。すなわち、プランジャインナ81の一方側端81aがクラッチ機構5に押圧力を付勢する作用点(図1参照)の作用点となっている。なお、詳細は後述するが、プランジャインナ81が、クラッチ機構5および伝達ピニオンギヤ70に押圧力を付勢することにより、結果的に、駆動ピニオンギヤ110に押圧力を付勢している。
プランジャインナ81の他方側端81b(図1、図8における右側端)には、複数(本実施形態では4つ)の舌片部83aが周方向に等間隔で形成されている。舌片部83aは、弾性を有しており、その先端(図1、図8における右側端)に、他方から一方に向かって漸次外径が大きくなる爪部83が一体成形されている。爪部83は、後述するプランジャアウタ85の内フランジ部86を他方側から一方側に向かって挿入することで、後述するプランジャアウタ85の内フランジ部86とスナップフィットにより係合可能となっている。
舌片部83aの内周面83bの直径は、ドライブシャフト4の外周面4dの直径よりも若干大きく形成されており、本体部81cとともにドライブシャフト4に外挿可能となっている。具体的には、舌片部83aの内周面83bとドライブシャフト4の外周面4dとの隙間は、爪部83の高さよりも狭くなるように設定されている。
また、舌片部83aには、周方向に沿って溝部84が形成されている。溝部84内には、プランジャアウタ85の内フランジ部86が配置される。
プランジャアウタ85は、プランジャインナ81と同様に樹脂等により略円筒形状に形成されている。プランジャアウタ85の内径は、プランジャインナ81の外フランジ部82の外径よりも若干大きく形成されており、プランジャインナ81に外挿されている。
プランジャアウタ85の他方側端85a(図1、図9における右側端)には、径方向内側に張り出した内フランジ部86が一体成形されている。
内フランジ部86は、インサート成形された金属カバー145を有している。金属カバー145は、非磁性材である真鍮製の板材にプレス加工を施して形成されたものである。なお、金属カバー145は、非磁性材であればよく、例えばSUSを用いて形成することも可能である。
金属カバー145は、リング状の本体部145aと、本体部145aの内周縁から軸方向外側(図9における右側)に向かって屈曲形成された立ち上がり部145bとにより構成されている。本体部145aは、内フランジ部86の内側面を構成している。立ち上がり部145bは、内フランジ部86の内周面を構成している。
また、図10に詳示するように、金属カバー145の本体部145aにおける外周縁には、4つの凹部146が周方向に等間隔で形成されている。これら凹部146は、プレス加工を施す際に打ち抜きで同時に形成される。凹部146は、金属カバー145をインサート成形した際に樹脂との密着性を高め、金属カバー145の回り止めとして機能する。
さらに、内フランジ部86の内径は、プランジャインナ81の爪部83の外径よりも小さく、かつプランジャインナ81の溝部84の底部の外径よりも大きくなるように形成されている。そして、プランジャインナ81の溝部84内にプランジャアウタ85の内フランジ部86(金属カバー145)を配置することにより、プランジャインナ81とプランジャアウタ85とが一体化され、プランジャ機構37が構成される。
ここで、プランジャアウタ85の内フランジ部86の厚さ、つまり、金属カバー145における立ち上がり部145bの長さL1は、プランジャインナ81の溝部84の軸方向の長さL2よりも短く設定されている。これにより、プランジャアウタ85の内フランジ部86とプランジャインナ81の溝部84との間には、クリアランスC2が設けられる。
したがって、プランジャインナ81とプランジャアウタ85とは、プランジャアウタ85の内フランジ部86とプランジャインナ81の溝部84とのクリアランスC2分だけ、軸方向に相対的にスライド移動可能となっている。
ここで、クリアランスC2の寸法、つまり、プランジャアウタ85に対するプランジャインナ81の相対移動量は、リングギヤ23と駆動ピニオンギヤ110との最小噛合保障長さXmin(図7参照)よりも短く設定されている。
また、前述のとおり、舌片部83aの内周面83bの直径は、ドライブシャフト4の外周面4dの直径よりも若干大きく形成されており、舌片部83aの内周面83bとドライブシャフト4の外周面4dとの隙間が、爪部83の高さよりも狭くなるように設定されている。
このため、プランジャインナ81の爪部83とプランジャアウタ85の内フランジ部86とをスナップフィットにより係合した後、プランジャインナ81をドライブシャフト4に外挿することで、爪部83がその高さよりも大きく径方向内側へ変位するのを、ドライブシャフト4の外周面4dで規制できる。これにより、プランジャインナ81とプランジャアウタ85とのスナップフィットによる係合が外れるのを確実に防止している。
また、プランジャアウタ85の他方側端85a(図1、図9における右側端)には、径方向外側に張り出した外フランジ部87が一体成形されている。外フランジ部87は、スイッチプランジャ27のリング部材27rと当接する当接部として機能している。
さらに、外フランジ部87の一方(図1、図9における左側)で、プランジャアウタ85の外周面には、リング状の鉄心88が設けられている。鉄心88も、インサート成形により、プランジャアウタ85と一体化されている。鉄心88は、励磁コイル24に電流が供給されたときに発生する磁束により、所定の吸引力で電磁装置9に吸引される。
プランジャインナ81の外フランジ部82と、プランジャアウタ85の内フランジ部86との間には、収納部90が形成されている。収納部90には、プランジャインナ81の外周面を取り囲むように形成されたプランジャスプリング91が収納されている。
プランジャスプリング91は、収納部90に収納された状態で、プランジャインナ81の外フランジ部82と、プランジャアウタ85の内フランジ部86とにより圧縮変形させられている。そして、プランジャインナ81は一方(図1、図9における左側)に向かって、プランジャアウタ85は他方(図1、図9における右側)に向かって、互いに付勢された状態となっている。換言すれば、プランジャスプリング91によって、プランジャインナ81とプランジャアウタ85とが互いに離間する方向に向かって付勢されている。
ここで、図1に示すように、スタータ1の静止状態では、プランジャインナ81の一方側端81aとクラッチアウタ18の他方側端は、互いに当接していないので、クラッチアウタ18は、リターンスプリング21のばね荷重によって、ストッパ94に押し付けられた状態となっている。これにより、スタータ1の静止状態では、プランジャスプリング91のばね荷重によって、クラッチ機構5を押出さない、つまり、伝達ピニオンギヤ70を不用意に押出さないようにできる。
一方、スタータ1の通電状態では、ギヤプランジャ80が一方(図1における左側)に最大変位したとき、プランジャインナ81の一方側端81aは、常にクラッチ機構5のクラッチアウタ18の他方側端と当接した状態になる。すなわち、プランジャスプリング91は、クラッチ機構5とギヤプランジャ80との間における軸方向の空隙の発生を防止し、クラッチ機構5のガタつきを吸収するガタ吸収機構として機能している。
また、スイッチプランジャ27のシャフトホルダ29aには、スイッチシャフト30がホルダ部材30aを介して軸方向に沿って立設されている。このスイッチシャフト30は、モータ部3のトッププレート12および後述するブラシホルダ33を貫通している。スイッチシャフト30のトッププレート12から突出した端部には、ブラシ付直流モータ51のコンミテータ61に隣接配置された、スイッチユニット7の可動接点板8が連結されている。
可動接点板8は、スイッチシャフト30に対して軸方向に沿ってスライド移動可能に取り付けられていると共に、スイッチスプリング32によって浮動的に支持されている。そして、可動接点板8は、後述のブラシホルダ33に固定されている、スイッチユニット7の固定接点板34に対して接近、離間可能になっている。
固定接点板34は、スイッチシャフト30を挟んでコンミテータ61側である径方向内側に配置された第1固定接点板34aと、コンミテータ61とは反対側である径方向外側に配置された第2固定接点板34bとに分割構成されている。これら第1固定接点板34a、および第2固定接点板34bに、可動接点板8が跨るように当接するようになっている。可動接点板8がドライブシャフト4に沿ってストロークし、第1固定接点板34aおよび第2固定接点板34bに当接することにより、第1固定接点板34aおよび第2固定接点板34bがON状態となって電気的に接続される。
ここで、クラッチ機構5のクラッチアウタ18は、リターンスプリング21によりプランジャインナ81へ向かって付勢されている。したがって、スタータ1の静止状態において、クラッチ機構5は、ギヤプランジャ80およびリング部材27rを介して、スイッチプランジャ27を他方(図1における右側)に押圧している。これにより、可動接点板8は他方に押圧されて、固定接点板34と離間したOFF状態となっている。
一方、電磁装置9が伝達ピニオンギヤ70と可動接点板8とを一方(図1における左側)にスライド移動させると、可動接点板8がON状態となると共に、伝達ピニオンギヤ70がリングギヤ23に当接する。
電磁装置9および遊星歯車機構2よりも他方(図1における右側)には、ブラシホルダ33が設けられている。ここで、第2固定接点板34bの外周側には、軸方向に折曲して一体形成された切起し部34cが設けられ、この切起し部34cの挿通孔を介して軸端子44aがブラシホルダ33の外壁33aを貫通してスタータ1の径方向外側に突出するよう設けられている。さらに、軸端子44aの突出側の先端には、バッテリの陽極が電気的に接続されるターミナルナット44bが設けられている。
なお、このブラシホルダ33には、固定接点板34、スイッチシャフト30周りを保護するカバー45が装着されている。ブラシホルダ33およびカバー45は、モータヨーク53およびブラケット部171に挟持された状態で固定されている。
ブラシホルダ33には、コンミテータ61の周囲に4個のブラシ41が、径方向に沿って進退可能に配置されている。各ブラシ41の基端側には、ブラシスプリング42が設けられている。このブラシスプリング42によって、各ブラシ41がコンミテータ61側に向かって付勢され、各ブラシ41の先端がコンミテータ61のセグメント62に摺接するようになっている。
4個のブラシ41は、2個の陽極側ブラシと2個の陰極側ブラシとで構成され、このうち2個の陽極側ブラシが不図示のピグテールを介して固定接点板34の第1固定接点板34aに接続されている。一方、固定接点板34の第2固定接点板34bには、ターミナルナット44bを介して不図示のバッテリの陽極が電気的に接続される。
すなわち、固定接点板34に可動接点板8が当接した際、ターミナルナット44b、固定接点板34およびピグテール(不図示)を介して4個のブラシ41のうちの2個の陽極側ブラシに電圧が印加され、コイル59に電流が供給されるようになっている。
また、4個のブラシ41のうち、2個の陰極側ブラシは、不図示のピグテールを介してリング状のセンタープレートに接続されている。そして、このセンタープレート、ハウジング17、および不図示の車体を介して、バッテリの陰極に4個のブラシ41のうちの2個の陰極側ブラシが電気的に接続されるようになっている。
(ギヤカバーの製造方法)
次に、図11に基づいて、ギヤカバー172の製造方法について簡単に説明する。
図11は、ギヤカバーの製造方法の説明図である。
ここで、前述したように、ギヤカバー172は、アルミニウム製で、ダイカスト鋳造にて形成されている。
図11に示すように、アルミダイカスト用金型130を構成するキャビティ131とコア132の分割面(パーティングライン)PLは、ギヤカバー172の一方側端面172rの表面に設定されている。そして、ギヤカバー172の一方側端面172rに設けられた被水防止壁185に形成されている水抜き孔160は、コア132に設けられている入れ子133により形成される。つまり、水抜き孔160は、鋳抜きにより形成される。
ここで、入れ子133には、水抜き孔160の水勾配161を形成するために丸面取り部133aが形成されている。このため、ギヤカバー172をダイカスト鋳造にて形成する際、後工程で機械加工を施すことなく、水抜き孔160および水勾配161を形成することができる。
(スタータの動作)
次に、スタータ1の動作について説明する。
図1に示すように、励磁コイル24に電流を供給する前のスタータ1の静止状態にあっては、リターンスプリング21に付勢されたクラッチアウタ18が、伝達ピニオンギヤ70と一体化されているクラッチインナ22を引っ張った状態で、モータ部3側(図1における右側)へ一杯に付勢されている。そして、クラッチ機構5のクラッチアウタ18がストッパ94に当接した位置で停止している。これに伴い、伝達ピニオンギヤ70に噛み合ったアイドルギヤ101を有するアイドルギヤユニット100は、駆動ピニオンギヤ110とリングギヤ23とが離間した状態で結合が断たれている。
ここで、スタータ1の静止状態では、ガタ吸収機構を構成するプランジャスプリング91により、プランジャインナ81は一方側(図1における左側)に向かって、プランジャアウタ85は他方側(図1における右側)に向かって、互いに付勢されている。このため、ギヤプランジャ80のクリアランスC2(プランジャインナ81の一方側端81aとプランジャアウタ85の他方側端85aとの間の離間距離、図9参照)は、最大になっている。
このとき、プランジャインナ81の一方側端81aとクラッチアウタ18の他方側端とは僅かにクリアランスをもった状態とされ、これにより、クラッチアウタ18はリターンスプリング21のばね荷重によって、ストッパ94に押し付けられた状態となっている。
また、スイッチプランジャ27は、スイッチリターンスプリング27aにより押し戻され、モータ部3側(図1における右側)へ一杯に移動している。そして、スイッチプランジャ27の外フランジ部29がトッププレート12に当接した状態で停止している。さらに、外フランジ部29に立設されているスイッチシャフト30の可動接点板8は、固定接点板34に対して離間しており、電気的に切断されている。
この状態から車両のイグニションスイッチ(不図示)をオンすると、励磁コイル24に電流が供給されて励磁され、スイッチプランジャ27およびギヤプランジャ80を磁束が通る磁路が形成される。これにより、スイッチプランジャ27およびギヤプランジャ80がリングギヤ23側に向かってスライド移動する。
このとき、スイッチプランジャ27の内周面にリング部材27rが一体的に設けられていることから、このリング部材27rがギヤプランジャ80を押圧し、初期的にギヤプランジャ80をリングギヤ23側に向かって押圧することで、スイッチプランジャ27およびギヤプランジャ80とが一体となってリングギヤ23側に向かってスライド移動する。
また、クラッチアウタ18は、ドライブシャフト4にヘリカルスプライン噛合されており、スリーブ18aがギヤプランジャ80のプランジャインナ81と当接している。したがって、クラッチアウタ18は、スイッチプランジャ27およびギヤプランジャ80がリングギヤ23側へスライド移動すると、ドライブシャフト4に対して、ヘリカルスプライン18bの傾斜角度分、若干相対回転しながら押出される。さらに、伝達ピニオンギヤ70とアイドルギヤユニット100も、クラッチ機構5を介してギヤプランジャ80のスライド移動に連動し、リングギヤ23側に向かって押出される。
このとき、ギヤプランジャ80は、プランジャスプリング91の付勢力に抗して吸引され、一方側(図1における左側)にスライド移動する。これにより、電磁装置9の作用点であるプランジャインナ81の一方側端81aは、ギヤプランジャ80のスライド移動時において、クラッチアウタ18の他方側端に弾性的に常に当接した状態となっている。
さらに、スイッチプランジャ27がリングギヤ23側へ移動すると、外フランジ部29、およびスイッチシャフト30を介して可動接点板8が固定接点板34側に向かって移動し、固定接点板34に接触する。可動接点板8は、スイッチシャフト30に対して軸方向変位可能に浮動支持されているので、スイッチスプリング32の押圧力が可動接点板8および固定接点板34に加わることになる。
固定接点板34に可動接点板8が接触すると、4個のブラシ41のうちの2個の陽極側ブラシにバッテリ(不図示)の電圧が印加され、コンミテータ61のセグメント62を介してコイル59が通電される。
すると、アーマチュアコア58に磁界が発生し、この磁界とモータヨーク53に設けられている永久磁石57との間で磁気的な吸引力や反発力が生じる。これにより、アーマチュア54が回転し始める。そして、アーマチュア54が回転することにより、このアーマチュア54の回転軸52の回転力(モータ部3の回転力)が遊星歯車機構2を介してドライブシャフト4に伝達され、ドライブシャフト4が回転し始める。
ドライブシャフト4が回転することにより、ドライブシャフト4のヘリカルスプライン19に噛合うクラッチアウタ18が連れ回り、クラッチ機構5に慣性力が作用する。そして、慣性力によってクラッチ機構5がヘリカルスプライン19に沿うようにリングギヤ23側へ向かって押し出される。ここで、ギヤプランジャ28には、リングギヤ23側へ向かう力が作用しているので、クラッチ機構5の移動に伴ってギヤプランジャ28もリングギヤ23側へ向かって移動する。
クラッチ機構5がリングギヤ23側へ向かって押し出されることにより、クラッチ機構5と一体化している伝達ピニオンギヤ70に連動してアイドルギヤ101がリングギヤ23側へと回転しながら押し出される。すると、アイドルシャフト102の端部102bに設けられた駆動ピニオンギヤ110も、アイドルギヤ101と一体に、リングギヤ23側へと回転しながら押し出される。
駆動ピニオンギヤ110が回転し始めると、駆動ピニオンギヤ110の一方側端面110fとリングギヤ23の他方側端面23aとが当接していた場合には、その当接状態が解除され、各ギヤ同士が噛合される。そして、ピニオンスプリング113の付勢力により、駆動ピニオンギヤ110がリングギヤ23側に押出され、駆動ピニオンギヤ110とリングギヤ23とが噛合し始める。
ここで、駆動ピニオンギヤ110の外歯車部110gには、回転方向(図6における矢印Y1)前方側で、かつリングギヤ23側の縁部に、第1歯面取り部141aが形成されている。一方、リングギヤ23の外歯車部23gには、駆動ピニオンギヤ110の外歯車部110gを受け入れる側の縁部に、歯面取り部142が形成されている。このため、駆動ピニオンギヤ110とリングギヤ23とが滑らかに噛合される。
また、駆動ピニオンギヤ110とリングギヤ23とが噛合し始めるとき、駆動ピニオンギヤ110の一方側端面110fとリングギヤ23の他方側端面23aとは、互いに当接するか、または両者間の軸方向寸法距離がゼロの状態となっている。このため、駆動ピニオンギヤ110の一方側端面110fとリングギヤ23の他方側端面23aとが互いに当接していた場合には、駆動ピニオンギヤ110がさらに押出されると、ピニオンスプリング113が縮む。これにより、駆動ピニオンギヤ110の一方側端面110fは、リングギヤ23の他方側端面23aに向かって付勢される。
すなわち、ピニオンスプリング113は、駆動ピニオンギヤ110とリングギヤ23とが当接したときのスラスト荷重を吸収するダンパ機構を構成している。したがって、駆動ピニオンギヤ110の一方側端面110fとリングギヤ23の他方側端面23aとが互いに当接していた状態であっても、スイッチプランジャ27を所定の位置にまで押出すことができると共に、駆動ピニオンギヤ110の一方側端面110fおよびリングギヤ23の他方側端面23aの摩耗を抑制でき、スタータ1の耐久性向上を図ることができる。
このとき、前述のように、駆動ピニオンギヤ110とリングギヤ23とがヘリカル噛合していることから、駆動ピニオンギヤ110にリングギヤ23方向(飛び込み方向)へのスラスト荷重が発生する。そして、このスラスト荷重によって駆動ピニオンギヤ110はリングギヤ23側に向かって移動する。また、クラッチアウタ18も、慣性力によってヘリカルスプライン19に沿うように、リターンスプリング21の付勢力に抗してリングギヤ23側に向かって押し出される。
このとき、ギヤプランジャ80には、リングギヤ23側へ向かう所定の吸引力が作用している。したがって、ギヤプランジャ80は、クラッチアウタ18のスライド移動に連動するように、クラッチアウタ18を押圧しつつリングギヤ23側へ向かってスライド移動する。このようにして、駆動ピニオンギヤ110がリングギヤ23側に押し出され、リングギヤ23が所定の噛み合い位置で噛合する。
このようにしてリングギヤ23と駆動ピニオンギヤ110が噛合い、ドライブシャフト4の回転力がリングギヤ23に伝達されることによって、エンジンが始動する。
ここで、駆動ピニオンギヤ110とリングギヤ23とはヘリカル噛合しているため、ドライブシャフト4の回転力を駆動ピニオンギヤ110からリングギヤ23に伝達すると、駆動ピニオンギヤ110には一方(図1における左側)に向かってスラスト荷重が発生する。駆動ピニオンギヤ110に発生したスラスト荷重は、駆動ピニオンギヤ110の一方に設けられた止め輪106に伝達された後、アイドルシャフト102、アイドルギヤ101、伝達ピニオンギヤ70、クラッチインナ22、クラッチアウタ18および移動規制部20、サークリップ20aを介して、ドライブシャフト4に伝達される。このため、ドライブシャフト4には一方に向かってスラスト荷重が発生し、一方に向かってスライド移動する。
しかしながら、ハウジング17のギヤカバー172には、荷重受部材50が設けられている。これにより、ドライブシャフト4は、一方側端面4cが荷重受部材50に当接し、ドライブシャフト4の一方へのスライド移動が規制される。このように、荷重受部材50によって、ドライブシャフト4に加わるスラスト荷重を効果的に受けることができる。
一方、駆動ピニオンギヤ110とリングギヤ23との噛合後、エンジン始動時におけるクランキングの際には、エンジンの挙動によりリングギヤ23の回転速度に変動が生じる。これにより、駆動ピニオンギヤ110には一方(図1における左側)および他方(図1における右側)に向かってスラスト荷重が発生する。
具体的には、リングギヤ23の回転速度が駆動ピニオンギヤ110の回転速度よりも遅いとき、駆動ピニオンギヤ110には、リングギヤ23に接近する方向(図1における左側)にスラスト荷重が発生する。
一方、リングギヤ23の回転速度が駆動ピニオンギヤ110の回転速度よりも速いとき、駆動ピニオンギヤ110には、リングギヤ23から離間する方向(図4における右側)にスラスト荷重が発生する。
特に、アイドルストップ機能を備えた車両においては、エンジンの停止/始動が頻繁に行われ、一般のスタータよりも使用頻度が高まるため、上述のようなスラスト荷重が頻繁に発生する。
しかしながら、リングギヤ23の回転速度が駆動ピニオンギヤ110の回転速度よりも速いときには、駆動ピニオンギヤ110にはリングギヤ23から離間する方向(図4における右側)にスラスト荷重が発生するが、この場合、アイドルギヤ101と伝達ピニオンギヤ70とのヘリカル噛合部から、駆動ピニオンギヤ110にリングギヤ23から作用するスラスト荷重とは反対方向のスラスト荷重が作用する。
すなわち、アイドルギヤ101の歯のねじれ方向は、駆動ピニオンギヤ110の歯のねじれ方向と同じ方向に設定されている一方、伝達ピニオンギヤ70の歯のねじれ方向は、リングギヤ23の歯のねじれ方向と同じ方向に設定されている。このような状態において、リングギヤ23の回転速度が駆動ピニオンギヤ110の回転速度よりも速い場合に対し、アイドルギヤ101の回転速度が伝達ピニオンギヤ70の回転速度よりも速い状態になる。このため、駆動ピニオンギヤ110に作用する、リングギヤ23から離間する方向のスラスト荷重を相殺することができる。
したがって、駆動ピニオンギヤ110にリングギヤ23から離間する方向にスラスト荷重が発生しても、リングギヤ23から駆動ピニオンギヤ110が抜けてしまうことがなく、適切な安定したヘリカル噛合状態を維持できる。
また、駆動ピニオンギヤ110に発生したスラスト荷重は、駆動ピニオンギヤ110の一方に設けられた止め輪106に伝達された後、アイドルシャフト102、クラッチインナ22、クラッチワッシャ64を介してクラッチカバー6の底壁66に伝達される。しかしながら、底壁66には補強筒部67が一体成形されているので、クラッチカバー6の軸方向への変形が抑制される。
ここで、先のリングギヤ23の回転速度がピニオンギヤ74の回転速度よりも低く、アーマチュア54の回転力で駆動ピニオンギヤ110を回転させる状態となった際、アイドルシャフト102やアイドルギヤ101のイナーシャが大きいと、アイドルギヤ101および伝達ピニオンギヤ70によって駆動ピニオンギヤ110に作用する、リングギヤ23から離間する方向のスラスト荷重を相殺しきれない場合がある。このような場合、アイドルシャフト102やアイドルギヤ101のイナーシャがクラッチ機構5にかかり、さらに、クラッチ機構5を介してギヤプランジャ80のプランジャインナ81にかかる。
このとき、ギヤプランジャ80とクラッチ機構5の間にガタがあると、このガタ分だけクラッチ機構5が軸方向に変位することになり、僅かではあるが、その分、アーマチュア54の回転力を駆動ピニオンギヤ110に伝達するのが遅れることになる。さらに、クラッチ機構5がこのガタ分だけ動く間は、アーマチュア54の回転にかかる負荷も小さくなるため、アーマチュア54の回転は加速状態となるが、ガタが詰まると、アーマチュア54の回転に負荷が加わって加速状態から定速状態に移ることになる。この状態の変化によって、アーマチュア54の回転にムラが生じることがあり、この回転ムラによって遊星歯車機構2の歯車同志の噛合い音が発生するおそれがある。
しかし、ギヤプランジャ80は、ガタ吸収機構を構成するプランジャスプリング91を備えている。したがって、エンジン始動時にクラッチ機構5が軸方向に変位しても、プランジャインナ81の一方側端81aがクラッチアウタ18の他方側端(図1参照)と当接した状態でプランジャスプリング91が弾性変形するので、クラッチ機構5が軸方向にガタつくのを抑制できる。
また、プランジャアウタ85に対するプランジャインナ81の相対移動量(プランジャアウタ85の内フランジ部86とプランジャインナ81の溝部84との間のクリアランスC2、図9参照)は、リングギヤ23と駆動ピニオンギヤ110との最小噛合保障長さXmin(図7参照)よりも短く設定されている。このため、駆動ピニオンギヤ110にリングギヤ23から離間する方向にスラスト荷重が発生し、プランジャスプリング91の付勢力に抗してプランジャインナ81が押圧されたとしても、このプランジャインナ81が、リングギヤ23から抜けてしまうほど変位することがない。このため、駆動ピニオンギヤ110とリングギヤ23とのヘリカル噛合が解除されることなく、適切な安定したヘリカル噛合状態を維持できる。
さらに、プランジャアウタ85の他方側端85aに一体成形されている内フランジ部86は、インサート成形された金属カバー145を有している。そして、この金属カバー145の立ち上がり部145bが内フランジ部86の内周面を構成し、プランジャインナ81の溝部84と摺接している。すなわち、プランジャアウタ85とプランジャインナ81との摺接箇所は、互いに異なる材料になっている。このため、駆動ピニオンギヤ110にかかるスラスト荷重の向きが頻繁に変化することにより、プランジャアウタ85に対してプランジャインナ81が繰り返しスライド移動した場合であっても、凝着摩耗が防止される。
エンジンが完全に始動し、駆動ピニオンギヤ110の回転速度がドライブシャフト4の回転速度を上回ると、クラッチ機構5のワンウェイクラッチ機能が作用して駆動ピニオンギヤ110が空転する。また、エンジンが始動に伴って励磁コイル24への通電を停止すると、クラッチアウタ18に対するリターンスプリング21の付勢力により、駆動ピニオンギヤ110がリングギヤ23から離脱すると共に、可動接点板8が固定接点板34から離間してブラシ付直流モータ51が停止する。
ここで、励磁コイル24への通電が停止されるのは、駆動ピニオンギヤ110の回転速度がドライブシャフト4の回転速度を上回った後になるが、この場合であっても、上述したように駆動ピニオンギヤ110とリングギヤ23とのヘリカル噛合が解除されることがない。すなわち、励磁コイル24への通電が停止された後、駆動ピニオンギヤ110がリングギヤ23から離脱する。
(ギヤカバーの内側円筒部、外側円筒部および水抜き孔の作用)
次に、図12に基づいて、ギヤカバー172の被水防止壁185に形成されている内側円筒部186、外側円筒部187および水抜き孔160の作用について説明する。
図12は、ギヤカバーの内側円筒部、外側円筒部および水抜き孔の作用説明図である。
同図に示すように、ギヤカバー172の一方側端面172rに設けられた被水防止壁185に、アイドルシャフト102の周囲を取り囲むように内側円筒部186を形成すると共に、この内側円筒部186とアイドルシャフト102との間のクリアランスC1を、できる限り小さくなるように設定することにより、ギヤカバー172のシャフト挿通孔179とアイドルシャフト102との間の水等の異物Wの浸入経路が長く、かつ狭くなるので、シャフト挿通孔179とアイドルシャフト102との間から水等の異物Wが容易に浸入してしまうことを防止できる。
しかしながら、被水防止壁185とアイドルシャフト102との間から水等の異物Wが浸入してしまう場合がある。このような場合、ギヤカバー172の被水防止壁185の内面側とオイルシール190との間の下側(図12におけるC部)に、浸入した水等の異物Wが滞留することがある。
なお、ギヤカバー172の被水防止壁185の内面側とオイルシール190との間の下側に滞留する水量は、オイルシール190の取付状態に依存する。つまり、ギヤカバー172の被水防止壁185の内面とオイルシール190の外周壁190aとが完全に密着している場合、水量は最小限になるが、ギヤカバー172の被水防止壁185の内面とオイルシール190の外周壁190aとが僅かに離間していると、この離間した分だけ水量が増える。
ここで、ギヤカバー172の被水防止壁185には、水抜き孔160が形成されているので、この水抜き孔160を介してギヤカバー172の被水防止壁185の内面側とオイルシール190との間の下側に滞留した水等の異物Wが排出される。
なお、水抜き孔160の内側(図4における右側)における上下方向の開口幅H3は、オイルシール190の外周壁190aの肉厚よりも大きくなるように設定されおり、オイルシール190の外周壁190aによって水抜き孔160が閉塞されてしまうことがないので、水抜き孔160を介し、確実に水等の異物Wが排出される。
また、水抜き孔160の下側縁には、断面円弧状の水勾配161が形成されているので、速やかに水等の異物Wが排出される。
さらに、水抜き孔160は、内側円筒部186の外周面、および外側円筒部187の内周面に沿うように、円弧状に形成されているので、排出された水等の異物Wが外側円筒部187を伝って、確実にギヤカバー172の外部に排出される。
ここで、外側円筒部187は、排出された水等の異物Wを外部に導くためのガイドとしての役割を有すると共に、ギヤカバー172の外部から水抜き孔160に水等の異物Wが被水しないための防水壁としての役割も有している。
したがって、上述の第1実施形態によれば、オイルシール190の組み付け状態に関わらず、ギヤカバー172の被水防止壁185の内面側とオイルシール190との間に滞留した水を、被水防止壁185の水抜き孔160を介して速やかに外部に排出することができる。また、ギヤカバー172の被水防止壁185に形成されている内側円筒部186と外側円筒部187とによって、ギヤカバー172内への水等の異物Wの浸入を効果的に防止できる。このため、ギヤカバー172内への水の浸入を効果的に防止しつつ、アイドルシャフト102の腐食や、アイドルシャフト102とオイルシール190との摺動不良を効果的に防止できる。
また、水抜き孔160は、ギヤカバー172の一方側端面172rにおける被水防止壁185の内側円筒部186と外側円筒部187の間で、かつ不図示のエンジンにスタータ1を取り付けた状態で下側に形成されているので、重力を利用して水抜き孔160から効率よく水を排出することができる。
さらに、ギヤカバー172をアルミダイカスト用金型130を用いて形成する際、入れ子133を用いて(鋳抜きによって)水抜き孔160を同時に形成するので、水抜き孔160を形成するにあたって機械加工を施す必要がない。このため、ギヤカバー172の製造コストを低減できる。
また、水抜き孔160の大きさは、オイルシール190の外周壁190aによって閉塞されない大きさに設定されているので、水抜き孔160を介してギヤカバー172の内外を確実に連通させることができる。このため、ギヤカバー172の被水防止壁185の内面側とオイルシール190との間に滞留した水を確実に排出できる。
さらに、水抜き孔160の下側縁には、断面円弧状の水勾配161が形成されているので、速やかに水等の異物Wを排出できる。
そして、水抜き孔160は、被水防止壁185の内側円筒部186の外周面、および外側円筒部187の内周面に沿うように、円弧状に形成されているので、排出された水等の異物Wが外側円筒部187を伝って、確実にギヤカバー172の外部に排出できる。
(第2実施形態)
次に、この発明の第2実施形態を図13に基づいて説明する。なお、第1実施形態と同一態様には、同一符号を付して説明を省略する(以下の実施形態についても同様)。
図13は、第2実施形態におけるギヤカバーのシャフト挿通孔とその周囲の断面図であって、前述の第1実施形態の図4に対応している。
同図に示すように、第2実施形態におけるギヤカバー272の一方側端面172rの被水防止壁185には、シャフト挿通孔179の周囲に、外側円筒部187のみが形成されており、前述の第1実施形態のように、内側円筒部186が形成されていない。この点、前述の第1実施形態と相違する。
また、第2実施形態における駆動ピニオンギヤ210には、外歯車部110gの基端側(図13における右端側)に、外フランジ部214が一体成形されている。外フランジ部214の外径は、外歯車部110gの外径よりも大きく、かつ駆動ピニオンギヤ210が縮退した状態(スタータの静止状態、図13におけるアイドルシャフト102の中心線より下側の状態)で外側円筒部187に接触しない大きさに設定されている。
このように、駆動ピニオンギヤ210に外フランジ部214を形成することにより、駆動ピニオンギヤ210が縮退した状態のとき、この駆動ピニオンギヤ210とギヤカバー272の外側円筒部187との間の隙間を狭くすることができる。このため、外フランジ部214と外側円筒部187とにより、駆動ピニオンギヤ210よりも基端側(外側円筒部187の径方向内側)に水等の異物が浸入してしまうことを抑制できる。
したがって、上述の第2実施形態によれば、前述の第1実施形態と同様の効果に加え、内側円筒部186を形成しない分、ギヤカバー272の製造コストを低減できる。
(第2実施形態の変形例)
次に、第2実施形態の変形例を図14に基づいて説明する。
図14は、第2実施形態の変形例における駆動ピニオンギヤの断面図である。
上述の第2実施形態では、駆動ピニオンギヤ210における外歯車部110gの基端側に、外フランジ部214を一体成形した場合について説明したが、図14に示すように、外フランジ部214に代わって平ワッシャ215を設けてもよい。
平ワッシャ215は、駆動ピニオンギヤ210の延長筒部110dに外嵌され、一面を外歯車部110gの基端に当接させた状態で固定される。固定方法としては、例えばC型止め輪(不図示)を用いて、延長筒部110dからの平ワッシャ215の抜けを規制する方法がある。また、単純に延長筒部110dに平ワッシャ215を圧入することも可能である。
さらに、平ワッシャ215の外径は、外歯車部110gの外径よりも大きく、かつ駆動ピニオンギヤ210が縮退した状態で外側円筒部187に接触しない大きさに設定されている。
このように構成することで、前述の第2実施形態と同様の効果を奏することができる。
(第3実施形態)
次に、この発明の第3実施形態を図15、図16に基づいて説明する。
図15は、第3実施形態におけるオイルシールの斜視図、図16は、第3実施形態におけるオイルシールを、ギヤカバーに取り付けた状態を示す断面図である。
図15、図16に示すように、第1実施形態と第3実施形態との相違点は、第1実施形態のオイルシール190と第3実施形態のオイルシール390の形状が異なる点にある。
すなわち、第3実施形態におけるオイルシール390は、金属製のシールカバー391にゴム製のシール部392をインサート成形したものである。
シールカバー391は、金属板にプレス加工を施すことにより形成されたものであって、オイルシール390の外周を構成する円筒部391aと、円筒部391aの一端から径方向内側に屈曲延出された内フランジ部391bとにより構成されている。
円筒部391aは、内フランジ部391bとは反対側に向かうに従って徐々に拡径するように形成されている。そして、円筒部391aの内フランジ部391bとは反対側の周縁部(以下、単にシールカバー391の周縁部と称する)の直径は、ギヤカバー172のシール装着部179aの内径よりも若干大きくなるように設定されている。
内フランジ部391bには、周方向に等間隔で複数(この第3実施形態では5つ)の貫通孔393が形成されている。この貫通孔393には、シール部392のインサート成形時にシール部392が入り込むようになっている。これにより、シール部392と内フランジ部391bとが確実に一体化される。
シール部392は、シールカバー391に接触するリング部392aと、リング部392aの内周縁に一体成形されたリップ部392bとにより構成されている。リング部392aの内径は、シールカバー391の内フランジ部391bの内径とほぼ同一に設定されている。また、リング部392aには、内フランジ部391bの貫通孔393に対応する位置に、貫通孔393に嵌り込む凸部394が形成されている。
リップ部392bは、リング部392aの内周縁から径方向内側に向かうに従って徐々に内フランジ部391b側に向かうように斜めに延出形成されている。
リップ部392bの内周縁には、断面略円形状の小リング部395が一体成形されている。小リング部395の内径は、アイドルシャフト102の軸径よりも若干小さくなるよう設定されており、ギヤカバー172にオイルシール390を取り付けた状態で小リング部395がアイドルシャフト102の外周面に摺接するようになっている。
このような構成のもと、ギヤカバー172にオイルシール390を取り付ける場合、ギヤカバー172のシール装着部179aの軸方向内側(図16における右側)から、このシール装着部179aに、内フランジ部391b側を向けた状態で被水防止壁185側に向けてオイルシール390を押し込む。
この際、シールカバー391の円筒部391aが内フランジ部391bとは反対側に向かうに従って徐々に拡径するように形成されているので、シールカバー391の周縁部がシール装着部179aに引っ掛かることがない。また、シールカバー391の周縁部の直径は、ギヤカバー172のシール装着部179aの内径よりも若干大きくなるように設定されているので、シール装着部179aにシールカバー391が圧入された形になり、シール装着部179aからオイルシール390が抜け落ちることがない。
したがって、上述の第3実施形態によれば、前述の第1実施形態と同様の効果を奏することができる。また、ギヤカバー172のシール装着部179aに金属製のシールカバー391を圧入することにより、オイルシール390を取り付けているので、ゴムの部分を直接シール装着部179aに軽圧入する場合と比較して、シール装着部179a内でのオイルシール390の固着力を高めることができる。
なお、本発明は上述の実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、上述の実施形態に種々の変更を加えたものを含む。
例えば、上述の実施形態では、ドライブシャフト4にヘリカルスプライン19を形成し、クラッチアウタ18にヘリカルスプライン18bを形成して、クラッチ機構5をドライブシャフト4にスプライン噛合することにより、クラッチ機構5をドライブシャフト4に対して軸方向にスライド移動可能としている場合について説明した。このときの、ドライブシャフト4のヘリカルスプライン19およびクラッチアウタ18のヘリカルスプライン18bの傾斜角度は、スイッチプランジャ27およびギヤプランジャ80がリングギヤ23側へスライド移動し始めたとき、クラッチアウタ18がドライブシャフト4に対して若干相対回転しながら押出されるように設定されていればよい。
また、上述の実施形態では、アイドルシャフト102の先端側に、スプライン108が形成されている一方、駆動ピニオンギヤ110の内周面の先端側に、スプライン108に噛合うスプライン110aが形成されていた。これにより、アイドルシャフト102と駆動ピニオンギヤ110とは、互いに相対回転不能かつ軸方向にスライド移動可能に設けられていた。
しかしながら、上述のように、アイドルシャフト102と駆動ピニオンギヤ110とをスプライン噛合によりスライド移動可能に形成する場合に限られない。例えば、アイドルシャフト102にキーを設ける一方、駆動ピニオンギヤ110にキー溝を設け、アイドルシャフト102と駆動ピニオンギヤ110とをスライド移動可能に形成してもよい。
さらに、電磁装置9が駆動ピニオンギヤ110と可動接点板8とを一方側(図1における左側)にスライド移動させたときに、可動接点板8がON状態となる前に、駆動ピニオンギヤ110がリングギヤ23に当接するようにしてもよい。
また、上述の実施形態では、自動車の始動用に用いられるスタータ1を例に挙げて説明をしているが、スタータ1の適用は自動車に限定されることはなく、例えば自動二輪車、エンジン式発電機等に適用してもよい。
さらに、上述の実施形態のスタータ1は、上述のように、駆動ピニオンギヤ110とリングギヤ23とが安定してヘリカル噛合できる。したがって、スタータ1が適用される自動車の中でも、特にスタータ1の使用頻度の高いアイドリングストップ機能を備えた自動車に好適である。
また、上述の実施形態では、スタータ1は、ドライブシャフト4とアイドルシャフト102の2つのシャフトを有する、いわゆる2軸タイプのスタータである場合について説明した。しかしながら、これに限られるものではなく、ドライブシャフト4に駆動ピニオンギヤ110が設けられた、いわゆる1軸タイプのスタータにも、上述の水抜き孔160やオイルシール190,390を適用することができる。
すなわち、ギヤカバー172(ハウジング17)から軸方向外側に向かって突出したシャフトの端部に駆動ピニオンギヤ110,210が取り付けられた、いわゆるオーバーハングタイプのさまざまなスタータに、上述の水抜き孔160やオイルシール190,390を適用することができる。
さらに、スタータに限らず、ハウジングに設けられたオイルシールを介してシャフトを軸方向外側に突出させるさまざまな動力伝達機構に、上述の水抜き孔160やオイルシール190,390を適用することができる。
また、上述の実施形態では、水抜き孔160が円弧状に形成されている場合について説明した。しかしながら、これに限られるものではなく、ギヤカバー172,272内に滞留した水を外部に排出可能な形状であればよい。例えば、水抜き孔160を円形に形成してもよい。
1…スタータ
3…モータ部(電動モータ)
4…ドライブシャフト
17…ハウジング
23…リングギヤ
70…伝達ピニオンギヤ(伝達ギヤ)
101…アイドルギヤ
102…アイドルシャフト
110…駆動ピニオンギヤ(ギヤ部)
160…水抜き孔
161…水勾配
171…ブラケット部
172,272…ギヤカバー
172r…一方側端面(一面)
179…シャフト挿通孔(貫通孔)
180…ボールベアリング(軸受)
185…被水防止壁(一面)
186…内側円筒壁(防水壁)
187…外側円筒壁(防水壁)
190,390…オイルシール(シール部材)
190a…外周壁
190b…内周壁
190c…底壁

Claims (8)

  1. ハウジングと、
    前記ハウジングの一面に形成された貫通孔に取り付けられた軸受を介し、前記ハウジングの外部に突出した状態で回転自在に支持された出力軸と、
    前記出力軸に回転を付与する電動モータと、
    前記出力軸の前記ハウジングの外部に突出した端部に設けられ、前記出力軸と一体となって回転するギヤ部と、
    前記ハウジングの一面と前記軸受との間で、かつ前記出力軸の周囲を取り囲むように設けられ、前記ハウジングの内部への異物の浸入を防止するシール部材と、を備え、
    前記ハウジングの一面に、該一面と前記シール部材との間に滞留する水を前記ハウジングの外部に排出するための水抜き孔を形成したことを特徴とする動力伝達機構。
  2. 前記水抜き孔は、前記ハウジングを被取付け部材に取り付けた状態で、前記ハウジングの一面における重力方向下部に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の動力伝達機構。
  3. 前記ハウジングは、鋳型を用いて鋳造にて形成されると共に、
    前記水抜き孔は、鋳抜きによって形成されることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の動力伝達機構。
  4. 前記シール部材は、
    前記ハウジングの貫通孔の内周面に接する外周壁と、
    前記外周壁と同軸上に配置され、前記出力軸に接する内周壁と、
    前記外周壁と前記内周壁とを連結する底壁と、が一体成形されたものであり、
    前記水抜き孔の大きさは、前記外周壁によって前記水抜き孔が閉塞不能な大きさに設定されていることを特徴とする請求項1〜請求項3の何れか1項に記載の動力伝達機構。
  5. 前記ハウジングの一面における前記外部側には、前記貫通孔の周囲を取り囲むように円環状の防水壁が立設されており、
    前記水抜き孔は、前記防水壁に沿って形成されていることを特徴とする請求項1〜請求項4の何れか1項に記載の動力伝達機構。
  6. 前記防水壁は、同軸上に2重に形成されており、2つの前記防水壁の間に、前記水抜き孔が形成されていることを特徴とする請求項5に記載の動力伝達機構。
  7. 前記水抜き孔の内周縁には、前記外部に向かって徐々に下るように水勾配が形成されていることを特徴とする請求項1〜請求項6の何れか1項に記載の動力伝達機構。
  8. 請求項1〜請求項7の何れか1項に記載の動力伝達機構を備えたスタータであって、
    前記電動モータの回転力を受けて回転するドライブシャフトと、
    前記ドライブシャフト上にスライド移動可能に設けられた伝達ギヤと、
    前記ドライブシャフトと平行な方向に延び、中心軸周りに回転自在、かつ前記伝達ギヤのスライド移動に連動して前記中心軸方向にスライド移動可能に設けられたアイドルシャフトと、
    前記アイドルシャフトの軸方向一端側に設けられ、前記伝達ギヤと噛み合うアイドルギヤと、
    前記アイドルシャフトの軸方向他端側に設けられ、エンジンのリングギヤと噛合可能な駆動ギヤと、を備え、
    前記出力軸を、前記アイドルシャフトとして構成し、
    前記ギヤ部を、前記駆動ギヤとして構成したことを特徴とするスタータ。
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