JP2012072759A - スタータ - Google Patents

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Takayuki Hoshi
貴之 星
Chihiro Horikoshi
千博 堀越
Isao Hagiwara
萩原  勲
Tomohiko Ikemori
朋彦 池守
大 ▲柳▼澤
Dai Yanagisawa
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Abstract

【課題】ギヤ部のスムーズな移動を安定して確保することができるスタータを提供する。
【解決手段】出力軸4に外嵌され、かつ出力軸4に沿って進退移動可能に設けられ、エンジンを始動するために用いられるピニオン6の先端に、このピニオン6の内周面と出力軸4の外周面との間のシール性を確保するシール部材80を設けたスタータであって、シール部材80は、出力軸4の周囲を取り囲むように形成されたリング部81と、リング部81の内周縁に形成され、弾性変形可能なリップ部82とを有し、リップ部82は、リング部81の内周縁から径方向内側に向かうに従って漸次ピニオン6の進行方向前方に向かうように、斜めに延出形成されており、出力軸4の外周面にリップ部82の内周縁が摺接している。
【選択図】図2

Description

この発明は、例えば、自動車に搭載されるスタータに関するものである。
一般に、自動車の始動用に用いられるスタータは、モータ部と、このモータ部の回転軸と同軸上に配置された出力軸と、この出力軸にヘリカルスプライン嵌合されているギヤ部(ピニオン)とを備えている。このギヤ部を出力軸に沿って押出し、エンジンのリングギヤに噛合わせるようになっている。リングギヤにギヤ部が噛合うことにより、モータ部の回転が回転軸、出力軸、ギヤ部、およびリングギヤを介してエンジンに伝達され、エンジンが始動する(例えば、特許文献1参照)。
ここで、出力軸に対するギヤ部の相対移動を円滑に行うために、ヘリカルスプライン嵌合されている部分にグリスを塗布する場合がある。
実開平1−131870号公報
しかしながら、上述の従来技術にあっては、スタータに雨水等が被水することにより、スタータ内部に水が浸入し、ヘリカルスプライン嵌合部のグリスが流出する虞がある。このため、出力軸に対するギヤ部の相対移動が円滑に行われなくなるという課題がある。
また、出力軸上に付着した水滴が凍結してしまうと、この凍結物がギヤ部の進行を妨げる阻害物となり、ギヤ部の移動に影響を及ぼす虞があるという課題がある。
そこで、この発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであって、ギヤ部のスムーズな移動を安定して確保することができるスタータを提供するものである。
上記の課題を解決するために、請求項1に記載した発明は、出力軸に外嵌され、かつ出力軸に沿って進退移動可能に設けられ、エンジンを始動するために用いられるギヤ部の先端に、このギヤ部の内周面と前記出力軸の外周面との間のシール性を確保するシール部材を設けたスタータであって、前記シール部材は、前記出力軸の周囲を取り囲むように形成されたリング部と、前記リング部の内周縁に形成され、弾性変形可能なリップ部とを有し、前記リップ部は、前記リング部の内周縁から径方向内側に向かうに従って漸次前記ギヤ部の進行方向前方に向かうように、斜めに延出形成されており、前記出力軸の外周面に前記リップ部の内周縁が摺接していることを特徴とする。
このように構成することで、シール部材のリップ部がギヤ部の進行方向前方から水圧を受けると、リップ部がギヤ部の後退方向斜め内側に押し付けられ、出力軸の外周面に対するリップ部の密着度が高まる。このため、出力軸とギヤ部との嵌合部に雨水等が被水するのを防止でき、ギヤ部の移動を安定してスムーズに行うことができる。
また、リップ部が斜めに延出形成されているので、例えばシール部材の進行方向前方に凍結物が存在していても、この凍結物をリップ部が容易に乗り上げることができる。しかも、凍結物は、シール部材におけるギヤ部の後退方向には形成されず、進行方向前方に形成されることになる。このため、凍結物とギヤ部との間の距離を確保することができ、ギヤ部を凍結物に邪魔されることなく移動させることができる。よって、さらにギヤ部の移動を安定してスムーズに行うことが可能になる。
請求項2に記載した発明は、前記リップ部の内周縁に、前記出力軸に摺接する小リング部を形成し、この小リング部は、内径が前記ギヤ部の進行方向前方に向かうに従って漸次拡径するように形成されていることを特徴とする。
この場合、請求項3に記載した発明のように、前記小リング部は、断面略円形状に形成されていることが望ましい。
このように構成することで、凍結物に小リング部が当接すると、この小リング部に凍結物を乗り上げる方向に向かう力が作用する。このため、凍結物に対するリップ部の乗り上げ性をさらに向上させることができ、さらにギヤ部の移動をスムーズに行うことが可能になる。
また、例えばエンジンが始動することによって、リングギヤに噛合しているギヤ部が高速回転した場合、小リング部に遠心力が作用し、この小リング部が出力軸の外周面から離反するようにリップ部が弾性変形する。このため、シール部材の出力軸に対する摩耗を抑制することができる。
請求項4に記載した発明は、前記リップ部の肉厚を、前記リング部の肉厚よりも薄肉に設定したことを特徴とする。
このように構成することで、リップ部を容易に弾性変形させることができる。このため、水圧による出力軸との密着性をより高めることができると共に、凍結物に対するリップ部の乗り上げ性をより向上させることができる。
また、例えばギヤ部の高速回転時に、遠心力を利用して出力軸の外周面からリップ部の内周縁を容易に離反させることができる。このため、さらにシール部材の出力軸に対する摩耗を抑制することができる。
請求項5に記載した発明は、前記リップ部の付け根部の全周であって、かつ前記ギヤ部の進行方向前方側に、溝部を形成したことを特徴とする。
このように構成することで、溝を基点としたリップ部の可撓性を高めることができる。このため、水圧による出力軸との密着性をさらに高めることができると共に、凍結物に対するリップ部の乗り上げ性をさらに向上させることができる。
また、より確実にシール部材の出力軸に対する摩耗を抑制することができる。
請求項6に記載した発明は、前記小リングの表面に、フッ素樹脂コートを形成したことを特徴とする。
このように構成することで、リップ部の出力軸に対する耐摩耗性を向上させることができる。また、出力軸に対するリップ部の摺動摩擦抵抗を低減でき、よりスムーズにギヤ部を移動させることが可能になる。
請求項7に記載した発明は、有底筒状のシールカバーに前記シール部材をアウトサート成形すると共に、前記ギヤ部の先端に、前記シールカバーを外嵌固定可能な取付部を形成したことを特徴とする。
このように構成することで、ギヤ部の先端に、容易にシール部材を取り付けることができる。
請求項8に記載した発明は、前記リング部に、前記ギヤ部に向けて突出するとともに、弾性変形可能な凸条部を形成し、前記凸条部は、前記ギヤ部の進行方向前方側の端面に圧縮変形された状態で当接していることを特徴とする。
このように構成することで、ギヤ部の進行方向前方側の端面に凸条部を押し当てることで、凸条部が圧縮変形し、リング部とギヤ部との間のシール性を高めることができる。
請求項9に記載した発明は、前記凸条部を、前記リング部の外周側から径方向内側に向かうに従って漸次前記ギヤ部の進行方向後方に向かうように斜めに延出形成したことを特徴とする。
このように構成することで、凸条部をリング部から斜めに延出形成することで、シール部材の組み付け時に凸条部が付け根部分を起点に撓み変形(座屈変形)しながらギヤ部に組み付けられる。これにより、凸条部をギヤ部に向けて押し当てた際の、押し込み量の増加に伴う押し込み荷重の増加を抑制することが可能になる。したがって、組み付け性を向上させることができる。しかも、押し込み量のばらつきに伴う押し込み荷重のばらつきを抑制することも可能である。
請求項10に記載した発明は、前記リング部における前記凸条部に対して径方向内側に位置する部分に、前記ギヤ部の進行方向前方側に窪んだ溝部を形成したことを特徴とする。
このように構成することで、リング部に溝部を形成することで、凸条部が撓み変形し易くなる。さらに、撓み変形後の凸条部が溝部内に収容されることになるので、リング部全体を縮径部に当接させることができる。これにより、リング部とギヤ部との間のシール性をより一層向上させることができる。
本発明によれば、シール部材のリップ部がギヤ部の進行方向前方から水圧を受けると、リップ部がギヤ部の後退方向斜め内側に押し付けられ、出力軸の外周面に対するリップ部の密着度が高まる。このため、出力軸とギヤ部との嵌合部に雨水等が被水するのを防止でき、ギヤ部の移動を安定してスムーズに行うことができる。
また、リップ部が斜めに延出形成されているので、例えばシール部材の進行方向前方に凍結物が存在していても、この凍結物をリップ部が容易に乗り上げることができる。しかも、凍結物は、シール部材におけるギヤ部の後退方向には形成されず、進行方向前方に形成されることになる。このため、凍結物とギヤ部との間の距離を確保することができ、ギヤ部を凍結物に邪魔されることなく移動させることができる。よって、さらにギヤ部の移動を安定してスムーズに行うことが可能になる。
本発明の実施形態におけるスタータの断面図である。 図1のA部拡大図である。 本発明の第1実施形態におけるシール部材を示し、(a)はピニオン側からみた斜視図、(b)はピニオンとは反対側の前方からみた斜視図である。 本発明の実施形態におけるシール部材の挙動説明図である。 本発明の実施形態におけるシール部材の挙動説明図である。 本発明の実施形態におけるシール部材の挙動説明図である。 本発明の第2実施形態におけるシール部材をピニオン側からみた部分斜視図である。 本発明の第2実施形態における図2に相当する断面図である。 本発明の実施形態におけるシール部材の挙動説明図である。 圧入変位に対する圧入荷重の関係を示すグラフである。
(第1実施形態)
(スタータ)
次に、この発明の第1実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は、スタータの断面図であって、中心線より上側に静止状態を示し、下側に通電状態を示している。
同図に示すように、スタータ1は、不図示のエンジンの始動に必要な回転力を発生するためのものであって、モータ部3と、モータ部3に連結されている出力軸4と、出力軸4上に摺動自在に設けられたクラッチ5、およびピニオン6と、モータ部3に対する電源供給路を開閉するスイッチユニット7と、スイッチユニット7の可動接点板8、およびピニオン6を軸方向に沿って移動させるための電磁装置9とを有している。
モータ部3は、ブラシ付直流モータ51と、ブラシ付直流モータ51の回転軸52に連結され、この回転軸52の回転力を出力軸4に伝達するための遊星歯車機構2とにより構成されている。
ブラシ付直流モータ51は、略円筒状のヨーク53と、ヨーク53の径方向内側に配置され、ヨーク53に対して回転自在に設けられているアーマチュア54とを有している。
ヨーク53の内周面には、複数(例えば、この実施形態では6つ)の永久磁石57が周方向に磁極が順番となるように配設されている。
ヨーク53の遊星歯車機構2とは反対側の一端には、ヨーク53の開口部53aを閉塞するエンドプレート55が設けられている。エンドプレート55の径方向中央には、回転軸52の一端を回転自在に支持するための滑り軸受56が設けられている。
アーマチュア54は、回転軸52と、回転軸52の永久磁石57に対応する位置に外嵌固定されているアーマチュアコア58と、回転軸52のアーマチュアコア58よりも遊星歯車機構2側(図1における左側)に外嵌固定されているコンミテータ61とにより構成されている。
アーマチュアコア58は、放射状に形成された複数のティース(不図示)と、周方向に隣接する各ティース間に形成された複数のスロット(不図示)とを有している。周方向に所定間隔をあけた2つのスロット間には、コイル59が例えば波巻により巻装されている。コイル59の端末部は、コンミテータ61に向かって引き出されている。
コンミテータ61には、複数枚(例えば、この実施形態では26枚)のセグメント62が周方向に沿って、かつ互いに絶縁されるように所定間隔をあけた状態で配設されている。
各セグメント62のアーマチュアコア58側端には、折り返すように曲折形成されたライザ63が設けられている。このライザ63にアーマチュアコア58に巻装されているコイル59の端末部が接続されるようになっている。
ヨーク53の他端には、有底筒状のトッププレート12が設けられており、このトッププレート12のアーマチュアコア58側の内面に、遊星歯車機構2が配置されている。
遊星歯車機構2は、回転軸52に外嵌固定されているサンギヤ13と、サンギヤ13に噛合され、サンギヤ13を中心に公転する複数のプラネタリギヤ14と、これらプラネタリギヤ14の外周側に設けられた環状の内歯リングギヤ15とにより構成されている。
複数のプラネタリギヤ14は、キャリアプレート16により連結されている。キャリアプレート16には、各プラネタリギヤ14に対応する位置に支持シャフト16aが立設されており、ここにプラネタリギヤ14が回転自在に支持されている。また、キャリアプレート16の径方向中央には、出力軸4の一端が接合されている。
内歯リングギヤ15は、トッププレート12の内周面に一体成形されている。トッププレート12の底面には、径方向中央に滑り軸受12aが設けられている。この滑り軸受12aは、回転軸52と同軸上に配置されている出力軸4の一端を回転自在に支持するためのものである。
また、トッププレート12には、不図示のエンジンにスタータ1を固定するためのハウジング17が接合されている。ハウジング17は有底筒状に形成されており、開口部17a側に、トッププレート12が開口部17aを閉塞するように接合されている。
ハウジング17の開口部17a側外周面には、軸方向に沿うように雌ネジ部17bが刻設されている。
一方、ブラシ付直流モータ51のヨーク53の一端側(図1における右端側)に配置されたエンドプレート55には、雌ネジ部17bに対応する位置にボルト孔55aが形成されている。このボルト孔55aにボルト91を挿入し、雌ネジ部17bにボルト91を螺入することによって、モータ部3とハウジング17とが一体化される。
さらに、ハウジング17には、底部17cの径方向中央に出力軸4の一端を回転自在に支持するための滑り軸受17dが設けられている。
出力軸4の一端には、回転軸52の他端を挿入可能な凹部4aが形成されている。この凹部4aの内周面には、滑り軸受4bが圧入されており、出力軸4と回転軸52とが相対回転可能に連結されるようになっている。
出力軸4の軸方向略中央には、外周面にヘリカルスプライン19が形成されている。このヘリカルスプライン19には、クラッチ5を構成する略円筒状のクラッチアウタ18が噛合されている。クラッチアウタ18には、モータ部3側に縮径形成されたスリーブ18aが一体成形されており、このスリーブ18aの内周面にヘリカルスプライン19に噛合うヘリカルスプライン18bが形成されている。
このようにヘリカルスプライン嵌合されている出力軸4とクラッチアウタ18との間には、このクラッチアウタ18の相対移動を円滑に行うための不図示のグリス等が塗布されている。
出力軸4のヘリカルスプライン19よりも他端側(図1における左側)には、ストッパプレート20が設けられている。ストッパプレート20とクラッチアウタ18のスリーブ18aとの間には、出力軸4を取り囲むように形成された第2リターンスプリング21が圧縮変形した状態で設けられている。これにより、クラッチアウタ18は、常時モータ部3側へ向かって押し戻されるように付勢された状態になる。
ハウジング17の内壁には、クラッチアウタ18のモータ部3側への変位を規制するリング状のストッパ94が設けられている。このストッパ94は、樹脂やゴム等により形成され、クラッチアウタ18が当接した際の衝撃を緩和できるようになっている。
また、クラッチアウタ18には、クラッチ5を構成するクラッチインナ22がクラッチアウタ18に相対的に軸方向に変位不能、かつ相対回転不能に係合されている。
ここで、クラッチ5は、クラッチアウタ18とクラッチインナ22との間に生じるトルク差、および回転速度差が所定値以内の場合、互いに回転力を伝達する一方、トルク差、および回転速度差が所定値を越えた場合、回転力の伝達が遮断されるように構成されている。
クラッチ5のクラッチインナ22は略円筒状に形成されており、出力軸4にスライド移動可能に外嵌されている。クラッチインナ22のストッパプレート20に対応する一端側には、ストッパプレート20との干渉を避けるように凹部22aが形成されている。
一方、クラッチインナ22の他端側には、出力軸4に摺動可能に外嵌されたピニオン6が一体成形されている。ピニオン6は、不図示のエンジンのリングギヤ23に噛合うことにより、モータ部3の回転力をリングギヤ23に伝達してエンジンを始動させるためのものである。ピニオン6の軸方向両端には、内周面に出力軸4に摺接される一対の滑り軸受6a,6bが圧入されている。
また、ピニオン6の先端には、段差により縮径形成された縮径部46が突出形成されており、ここに出力軸4とピニオン6との間のシール性を確保するためのシール部材80が設けられている。
(シール部材)
図2は図1のA部拡大図、図3はシール部材を示し、(a)はピニオン側からみた斜視図、(b)はピニオンとは反対側の前方からみた斜視図である。
図2、図3(a)、図3(b)に示すように、シール部材80は、弾性を有するゴム材により形成されたものであって、ピニオン6の縮径部46の先端に接触するように形成されたリング部81と、リング部81の内周縁に一体形成されたリップ部82とにより構成されている。そして、シールカバー83を介して縮径部46に取り付けられている。
リング部81は、この外径が縮径部46の外径と略同一に設定されており、内径が縮径部46の内径と略同一に設定されている。そして、リング部81の縮径部46側の面には、軸方向平面視で略円環状の凸条部84が突出形成されている。この凸条部84は、縮径部46にリング部81を押し当てることにより圧縮変形し、リング部81と縮径部46との間のシール性を高めるためのものである。凸条部84の両側には、凸条部84の圧縮変形を容易化するための溝85a,85bが形成されている。
一方、リング部81の縮径部46とは反対側の面には、複数(この実施形態では4つ)の凸部86が周方向に等間隔で突出形成されている。これら凸部86は、リング部81とシールカバー83とを係合させるためのものである。
また、リング部81の内周縁に一体成形されているリップ部82は、リング部81の内周縁から径方向内側に向かうに従って漸次出力軸4の他端側(図2における左側)、つまりピニオン6の進行方向前方に向かうように斜めに延出形成されている。
リップ部82の内周縁には、断面略円形状の小リング部87が一体成形され、この小リング部87が出力軸4の外周面に摺接している。小リング部87は断面略円形状に形成されているので、換言すれば小リング部87は、この内径がピニオン6の進行方向前方に向かうに従って漸次拡径するように形成されていることになる。
また、小リング部87の外表面には、フッ素樹脂コート75が形成されている。このフッ素樹脂コート75により、シール部材80と出力軸4との摺動摩擦抵抗が低減される。
なお、図2において、フッ素樹脂コート75を認識可能な大きさとするため、このフッ素樹脂コート75の縮尺を変更している。
ここで、リップ部82の肉厚T1は、リング部81の肉厚T2よりも薄肉に設定され、かつ小リング部87の直径D1よりも小さくなるように設定されている。そして、リップ部82の付け根部82aには、縮径部46とは反対側の前方に断面円弧状の溝部88が形成されている。これにより、リップ部82は、付け根部82aを基点として弾性変形し易くなっている。
また、リング部81の肉厚T2は、ピニオン6の先端に形成されている縮径部46の突出量をT3とし、ピニオン6が静止状態(図1における中心線より上側の状態)からリングギヤ23に噛み込むまでの距離をX1としたとき(図1参照)、
T2+T3>X1・・・(1)
を満たすように設定されている。具体的には、リング部81の肉厚T2は、例えば約2mm程度に設定されている。
このように形成されたシール部材80は、これを固定するためのシールカバー83にアウトサート成形されている。シールカバー83は、有底筒状に形成されており、底部83aを出力軸4の他端側(図2における左側)に向けた状態で配置されている。そして、縮径部46にシールカバー83の周壁部83bが外嵌固定されている。
底部83aの径方向中央には、挿通孔89が形成されている。この挿通孔89は、出力軸4を挿通可能、かつシールカバー83とシール部材80のリップ部82との干渉を回避可能なように形成されている。また、シールカバー83の底部83aには、シール部材80の凸部86に対応する部位に、この凸部86を挿入可能な取付孔90が形成されている。この取付孔90に凸部86が挿入されるように、底部83aの内側にシール部材80がアウトサート成形される。
(電磁装置)
図1に戻り、ハウジング17の内周面には、クラッチ5よりもモータ部3側に、略円筒状に形成され、電磁装置9を構成する励磁コイル24が設けられている。この励磁コイル24は、径方向中央の大部分が大きく開口された有底筒状のヨーク25と、ヨーク25の底部25aとは反対側端に設けられた円環状のプランジャホルダ26とにより形成される収納凹部25bに収納されている。
励磁コイル24は、スイッチユニット7に設けられたダイオード92、およびコネクタ93を介し、不図示のイグニションスイッチに電気的に接続されている。
励磁コイル24の内周面と出力軸4の外周面との間の空隙には、磁性材で形成された略円筒状のスイッチプランジャ27が励磁コイル24に対して軸方向にスライド可能に設けられている。さらに、このスイッチプランジャ27と出力軸4の外周面との間の空隙に略円筒状のギヤプランジャ28が設けられている。
これらスイッチプランジャ27とギヤプランジャ28は、互いに同心円上に設けられ、軸方向に相対移動可能に設けられている。
スイッチプランジャ27のモータ部3側端には、外フランジ部29が一体成形されている。この外フランジ部29の外周部側には、連結ロッド30が軸方向に沿って立設されている。この連結ロッド30は、モータ部3のトッププレート12を貫通している。連結ロッド30のトッププレート12から突出した端部には、ブラシ付直流モータ51のコンミテータ61に隣接配置されたスイッチユニット7の可動接点板8が連結されている。
可動接点板8は、連結ロッド30に対して軸方向に沿ってスライド移動可能に取り付けられていると共に、コイルバネ32によって浮動的に支持されている。そして、可動接点板8は、コンミテータ61の周囲に設けられたブラシステー33に固定されているスイッチユニット7の固定接点板34に対し、近接離反可能になっている。
固定接点板34は、連結ロッド30を挟んでコンミテータ61側である径方向内側に配置された第1固定接点板34aと、コンミテータ61とは反対側である径方向外側に配置された第2固定接点板34bとに分割構成されている。これら第1固定接点板34a、および第2固定接点板34bに可動接点板8が跨るように当接するようになっている。可動接点板8が第1固定接点板34a、および第2固定接点板34bに当接することにより、両者34a,34bが導通される。
また、スイッチプランジャ27は、外フランジ部29とハウジング17の内壁との間に圧縮した状態で設けられている第1リターンスプリング35によって、モータ部3側に向かって付勢された状態になっている。これにより、スイッチプランジャ27は、通常、接点間を開いた状態(図1における中心線よりも上側の状態)で静止している。
一方、ギヤプランジャ28は樹脂で形成されたものであって、モータ部3側の外周面にリング状の鉄心28aが装着されている。また、ギヤプランジャ28のモータ部3側には、軸方向平面視略円環状の凹部28bが形成されており、ここに出力軸4を取り囲むように形成されたシフトスプリング36が収納されている。
また、スイッチプランジャ27の内周面には、シフトスプリング36の端部に対応する位置に、軸方向平面視略円環状の受け皿48が設けられている。この受け皿48とギヤプランジャ28の凹部28bの底面とにより、シフトスプリング36の軸方向への移動が規制されている。
スイッチユニット7の固定接点板34が固定されているブラシステー33には、コンミテータ61の周囲に複数(この実施形態では4つ)のブラシ41が進退可能に配置されている。各ブラシ41の基端側には、コイルスプリング42が設けられている。このコイルスプリング42によって、各ブラシ41がコンミテータ61側に向かって付勢され、各ブラシ41の先端がコンミテータ61のセグメント62に摺接するようになっている。
ブラシ41は、陽極側ブラシと陰極側ブラシとで構成され、このうちの陽極側ブラシが不図示のピグテールを介して固定接点板34の第1固定接点板34aに接続されている。一方、固定接点板34の第2固定接点板34bには、ターミナルボルト44を介して不図示のバッテリの陽極が電気的に接続される。
すなわち、固定接点板34に可動接点板8が当接した際、ターミナルボルト44、固定接点板34、ピグテール(不図示)を介してブラシ41の陽極側ブラシに電圧が印加され、コイル59に電流が供給されるようになっている。また、ブラシ41の陰極側ブラシは、不図示のピグテールを介して後述のセンタープレート43に接続されている。そして、このセンタープレート43、ハウジング17、および不図示の車体を介して、バッテリの陰極にブラシ41の陰極側ブラシが電気的に接続されるようになっている。なお、ターミナルボルト44とブラシ付直流モータ51のヨーク53との間隙に、内部への塵埃等の侵入を防止するためのカバー45が設けられている。
ブラシステー33とトッププレート12との間には、金属により形成されたリング状のセンタープレート43が介設されており、遊星歯車機構2とブラシ付直流モータ51との間を隔絶している。このセンタープレート43の径方向略中央には、円筒部43aがコンミテータ61側に向かって突設されている。
円筒部43aの内径は、回転軸52の直径よりもやや大きく設定されており、円筒部43aと回転軸52との間の微小間隙が形成されるようになっている。この円筒部43aの遊端は、コンミテータ61の端面に形成された凹部61aに臨まされ、遊星歯車機構2のグリスがコンミテータ61側へ漏洩することを防止している。
(スタータの動作)
次に、図1に基づいて、スタータ1の動作について説明する。
同図に示すように、まず、励磁コイル24に電流を供給する前の静止状態にあっては、スイッチプランジャ27は、第1リターンスプリング35に付勢されてモータ部3側(図1における右側)へ一杯に移動し、外フランジ部29がトッププレート12に当接した状態で停止している。そして、外フランジ部29に立設されている連結ロッド30に設けられている可動接点板8は、固定接点板34に対して離間している。
これと同時に、第2リターンスプリング21に付勢されたクラッチアウタ18が、ピニオン6と一体化されているクラッチインナ22、およびギヤプランジャ28をモータ部3側へ一杯に移動している。そして、クラッチ5のクラッチアウタ18がストッパ94に当接した位置で停止しており、ピニオン6とリングギヤ23との結合が断たれている。
この状態からイグニションスイッチをオンすると、励磁コイル24に電流が供給されて励磁される。すると、スイッチプランジャ27、およびギヤプランジャ28を磁束が通る磁路が形成され、これらスイッチプランジャ27、およびギヤプランジャ28がリングギヤ23側(図1における左側)へ向かって移動する。
このとき、スイッチプランジャ27がギヤプランジャ28の鉄心28aよりもプランジャホルダ26とのギャップ(軸方向クリアランス)が小さく、吸引力が大きいので、ギヤプランジャ28に先行してスイッチプランジャ27が移動する。
ここで、シフトスプリング36のバネ力は、ピニオン6の静止状態にあってはクラッチアウタ18に設けられた第2リターンスプリング21のバネ力より弱く設定されている。
また、ギヤプランジャ28よりも先に移動するスイッチプランジャ27による最大圧縮状態に至る途中で、第2リターンスプリング21のバネ力より強くなるように設定されている。
すなわち、シフトスプリング36のバネ力は、第2リターンスプリング21のバネ力より弱いため、スイッチプランジャ27の吸引移動の初期ではギヤプランジャ28の静止状態が保たれて、先にコイルばね36が圧縮変形される。
スイッチプランジャ27がリングギヤ23側へ向かって移動すると、外フランジ部29、および連結ロッド30を介して可動接点板8が固定接点板34側に向かって移動し、固定接点板34に接触する。このとき、スイッチプランジャ27のフルストロークに対して早めに可動接点板8が固定接点板34に接触し、かつ可動接点板8が連結ロッド30に対して軸方向変位可能に浮動支持されているので、コイルばね32の押圧力が両接点板8,34間に加わることになる。
固定接点板34に可動接点板8が接触すると、ブラシ41の陽極側ブラシにバッテリの電圧が印加され、コンミテータ61のセグメント62を介してコイル59が通電される。すると、アーマチュアコア58に磁界が発生し、この磁界とヨーク53に設けられている永久磁石57との間で磁気的な吸引力や反発力が生じる。これにより、アーマチュア54が継続的に回転する。
アーマチュア54が回転することにより、このアーマチュア54の回転軸52の回転力が遊星歯車機構2を介して出力軸4に伝達され、出力軸4が回転する。出力軸4が回転することにより、出力軸4のヘリカルスプライン19に噛合うクラッチアウタ18が連れ回り、クラッチ5に慣性力が作用する。そして、慣性力によってクラッチ5がヘリカルスプライン19に沿うように第2リターンスプリング21のバネ力に抗してリングギヤ23側へ向かって押し出される。
ここで、ギヤプランジャ28には、リングギヤ23側へ向かう力が作用しているので、クラッチ5の移動に伴ってギヤプランジャ28もリングギヤ23側へ向かって移動する。
クラッチ5がリングギヤ23側へ向かって押し出されることにより、クラッチ5と一体化しているピニオン6がリングギヤ23側へと回転しながら押し出される。ピニオン6が押出されてリングギヤ23に噛合うと、出力軸4の回転力がリングギヤ23に伝達され、エンジンが始動する。
ここで、アーマチュア54の回転が安定し、加速が止まると、出力軸4の回転、およびヘリカルスプライン結合によるピニオン6をリングギヤ23側へ向かって移動させる慣性力が弱まることになる。しかしながら、ギヤプランジャ28にリングギヤ23側へ向かう力が作用するので、この力がピニオン6をリングギヤ23側へ向かって移動させる推進力を増大させる。このため、リングギヤ23に向かってより大きな突入力をもってピニオン6が噛み込む。
さらに、ギヤプランジャ28には、リングギヤ23側へ向かう力が作用しているので、この力、およびコイルばね36の復元力によって、リングギヤ23に対するピニオン6の噛合状態が確実に維持される。
そして、ピニオン6の噛み合い位置では、ストッパプレート20にクラッチアウタ18が当接するようになっている。ストッパプレート20によってクラッチアウタ18の軸方向への移動が規制される。
続いて、エンジンが始動し、ピニオン6の回転数が出力軸4の回転数を上回ると、クラッチ5が作用してピニオン6が空転する。このような状態になると、不図示の制御機器からの信号に基づいて、イグニションスイッチがオフされ、励磁コイル24への通電が停止される。より具体的には、不図示の制御機器は、リングギヤ23の回転数が、例えば約400rpm以上になると励磁コイル24への通電を遮断する信号を出力する。なお、リングギヤ23の回転数は、車体に設けられた不図示の回転センサ等を用いて検出する。
ここで、励磁コイル24への通電を停止すると、スイッチプランジャ27、およびギヤプランジャ28を磁束が通る磁路が消磁され、励磁コイル24によるスイッチプランジャ27、およびギヤプランジャ28のリングギヤ23側への付勢力が作用しなくなる。さらに、クラッチアウタ18に対する第2リターンスプリング21の付勢力、およびスイッチプランジャ27に対する第1リターンスプリング35の付勢力が作用する。これによって、ピニオン6がリングギヤ23から離脱して後退し、可動接点板8が固定接点板34から離間してブラシ付直流モータ51が停止する。
(シール部材の作用)
次に、図4〜図6に基づいて、シール部材80の作用について説明する。
図4は、スタータの外部から雨水等が浸入した場合のシール部材の挙動説明図である。
同図に示すように、スタータ1の外部から雨水等が浸入すると、この雨水がシールカバー83の挿通孔89を介してシール部材80のリップ部82に飛散する。すなわち、リップ部82は、前方から水圧を受けることになる。
ここで、リップ部82は、リング部81の内周縁からピニオン6の進行方向前方に向かって斜めに延出形成されていると共に、付け根部82aを基点として弾性変形し易くなっている。このため、リップ部82は、水圧を受けることにより、ピニオン6の後退方向斜め内側へと押し付けられる(図4における矢印Y1参照)。この結果、出力軸4の外周面に対する小リング部87の密着度が高まり、出力軸4とピニオン6との間への雨水等の侵入が確実に防止される。
図5(a)、図5(b)は、出力軸4に雨水等が被水し、これが凍結した場合のシール部材の挙動説明図である。
図5(a)に示すように、シール部材80の内側、つまり、ピニオン6側(図5(a)における右側)への雨水等の侵入は、リップ部82により防止される。このため、シール部材80よりも前方(図5(a)における左側)に雨水等が被水し、これが凍結する場合がある。ここで、図中Wは、凍結物を示す。
図5(b)に示すように、出力軸4上に凍結物Wが付着している状態でピニオン6が押出されると、シール部材80の小リング部87が凍結物Wに当接する。このとき、小リング部87が断面略円形状に形成されているので、この小リング部87に凍結物Wを乗り上げる方向に向かって力が作用する。
このため、リップ部82は、付け根部82aを基点として小リング部87が凍結物Wを乗り上げるように弾性変形する(図5(b)における二点鎖線部参照)。また、小リング部87は凍結物W上に引っ掛かることなく、凍結物Wの形状に追随するように滑らかに乗り上げる。
ここで、小リング部87が凍結物Wを乗り上げると、この凍結物Wがシール部材80の内側に入り込むことになる。しかしながら、シール部材80におけるリング部81の肉厚T2、およびピニオン6の先端に形成されている縮径部46の突出量T3の設定値より、凍結物Wにピニオン6の滑り軸受6aが接触することなく、リングギヤ23にピニオン6を噛み込ませることができる。
すなわち、リング部81の肉厚T2、および縮径部46の突出量T3は、ピニオン6が静止状態(図1における中心線より上側の状態)からリングギヤ23に噛み込むまでの距離X1(図1参照)に対して式(1)を満たすように設定されている。また、凍結物Wは、シール部材80よりも前方に形成される。
このため、凍結物Wとピニオン6の滑り軸受6aとの間の距離を、少なくとも距離X1(図1参照)だけ確保することができる。この結果、凍結物Wに滑り軸受6aが接触する前に、確実にリングギヤ23にピニオン6を噛み込ませることができる。
図6は、ピニオンが回転している場合のシール部材の挙動説明図である。
同図に示すように、出力軸4の回転に伴ってピニオン6が回転する場合、および不図示のエンジンが始動することにより、リングギヤ23を介してピニオン6が高速回転する場合、シール部材80には遠心力が作用する。この遠心力により、小リング部87に出力軸4から離反する方向に向かって力が作用する。
ここで、小リング部87が形成されているリップ部82は、リング部81に片持ち支持された状態になっている。このため、リップ部82が付け根部82aを基点として弾性変形し、出力軸4から小リング部87が離反し、小リング部87の摩耗が抑制される。
(効果)
したがって、上述の実施形態によれば、出力軸4の外周面に対する小リング部87の密着度が高まり、出力軸4とピニオン6との間への雨水等の侵入が確実に防止される。このため、ヘリカルスプライン嵌合されている出力軸4とクラッチアウタ18との間に塗布されているグリス等が流出することを防止でき、ピニオン6の押出しをスムーズに行うことが可能になる。
また、リップ部82がリング部81の内周縁から前方に向かって斜めに延出形成されていることに加え、リップ部82の内周縁に断面略円形状の小リング部87が一体形成されている。このため、シール部材80のリップ部82が出力軸4上に付着した凍結物Wを容易に乗り上げることができる。よって、さらにピニオン6の押出しをスムーズに行うことが可能になる。
そして、ピニオン6の回転に伴う遠心力を利用して、出力軸4から小リング部87が離反するようにリップ部82が弾性変形するので、シール部材80の出力軸4に対する摩耗を抑制することができる。
また、リップ部82の肉厚T1は、リング部81の肉厚T2よりも薄肉に設定され、かつ小リング部87の直径D1よりも小さくなるように設定されている。これに加え、リップ部82の付け根部82aに断面円弧状の溝部88を形成している。このため、リップ部82を、付け根部82aを基点として容易に弾性変形させることができる。よって、さらにシール部材80のシール性を高めたり、凍結物Wに対する乗り上げ性を向上させたりすることができる。
また、小リング部87の外表面には、フッ素樹脂コート75が形成されており、シール部材80と出力軸4との摺動摩擦抵抗が低減されるようになっている。このため、よりスムーズにピニオン6を移動させることができると共に、よりスムーズに小リング部87が凍結物Wを乗り上げることができる。
さらに、有底筒状のシールカバー83にシール部材80をアウトサート成形する一方、ピニオン6の先端に、シールカバー83を外嵌固定可能な縮径部46を突出形成している。このため、ピニオン6の先端にシール部材80を容易に取り付けることができる。
(第2実施形態)
次に、この発明の第2実施形態について説明する。なお、以下の説明では、上述した第1実施形態と同様の構成については同様の符号を付し、説明は省略する。本実施形態では、シール部材180の凸条部184を斜めに延出させた点で上述した第1実施形態と相違している。
図7,8に示すように、シール部材180には、リング部81の縮径部46側の面(以下、対向面81aという)に凸条部184が形成されている。この凸条部184は、リング部81の外周側から径方向内側に向かうに従って漸次出力軸4の一端側(図7における上側)、つまりピニオン6の進行方向後方に向かうように斜めに延出形成されている。なお、凸条部184は、延出方向に沿って肉厚が一様に形成されるとともに、その先端部184a(出力軸4の一端側)が曲面形状をなしている。
また、リング部81における凸条部184の径方向内側には、出力軸4の他端側に向けて窪んだ溝部185が形成されている。そして、縮径部46にシールカバー83の周壁部83bが外嵌固定(圧入)された状態において、凸条部184は付け根部184bを起点にして撓み変形(座屈変形)して溝部185内に収容されている。また、この状態でシール部材180は、リング部81の対向面81a、及び凸条部184における外側に位置する面(図7参照)が縮径部46の先端面46aに当接している。
ここで、上述したようにシール部材180は、アウトサート成形されたシールカバー83の周壁部83bを縮径部46に外嵌固定することで、ピニオン6に取り付けられる。この場合、シールカバー83の周壁部83bを縮径部46に向けて外嵌固定すると、まず図9(a)に示すように、シール部材180における凸条部184の先端部184aが縮径部46の先端面46aに接触する。
すると、図9(b)に示すように、凸条部184が圧縮変形しながら、シールカバー83の周壁部83bが縮径部46に圧入されていく。そして、シールカバー83を縮径部46側にさらに押し込むと、図9(c)に示すように、凸条部184が付け根部184bを起点にして撓み変形(座屈変形)することになる。具体的に、凸条部184は、先端部184aが縮径部46の先端面46a上を径方向内側に向けて摺動しながら、径方向内側(溝部185内)に向けて倒れ込むように撓み変形する。
そして、最終的には上述した図8に示すように、リング部81の対向面81aが縮径部46の先端面46aに当接するまでシールカバー83を押し込むことで、凸条部184が溝部185内に完全に収容される。これにより、リング部81の対向面81a、及び凸条部184における外側に位置する面が当接した状態で、シール部材180、及びシールカバー83が縮径部46に組み付けられることになる。
図10は、上述した第1実施形態のシール部材80と、第2実施形態のシール部材180と、をそれぞれシールカバー83を介して縮径部46に外嵌固定した場合の、圧入変位に対する圧入荷重の関係を示すグラフである。なお、図中において第1実施形態のシール部材80を実線で、第2実施形態のシール部材180を破線で示している。
図10に示すように、第1実施形態のシール部材80(図2参照)を組み付ける場合、圧入変位の増加に伴い圧入荷重が増加している。これは、第1実施形態のシール部材80は、凸条部84がリング部81から垂直、すなわちシールカバー83の圧入方向と同一方向に向けて延出しているため、シールカバー83を圧入していくに従い、凸条部84が圧入方向とは逆方向に漸次圧縮変形していくためであると考えられる。
一方、第2実施形態のシール部材180(図9参照)を組み付ける場合、初期段階では圧入変位の増加に伴い圧入荷重は増加するが、その増加量は第1実施形態のシール部材80に比べて小さくなっている。さらに、第2実施形態のシール部材180では、所定の圧入変位に達した時点で、それ以上圧入変位が増加しても圧入荷重の変化が少なくなっている。これは、第2実施形態のシール部材180は、凸条部184がリング部81から斜めに延出形成されているため、上述したようにシールカバー83を縮径部46側に押し込んでいくと、初めは凸条部184が圧縮変形しながら、シールカバー83が縮径部46に圧入されていくが、その後、凸条部184が付け根部184bを起点にして撓み変形(座屈変形)することになる。これにより、圧入荷重の増加を抑制した上で、圧入変位を増加させることができたものと考えられる。
このように、本実施形態では、上述した第1実施形態と同様の効果を奏するとともに、凸条部184をリング部81から斜めに延出形成することで、シール部材180(シールカバー83)の組み付け時に凸条部184が撓み変形しながら組み付けられるので、圧入変位の増加に伴う圧入荷重の増加を抑制することが可能になる。しかも、圧入変位のばらつきに伴う圧入荷重のばらつきを抑制することも可能である。したがって、組み付け性を向上させることができる。
この場合、リング部81の対向面81aに溝部185を形成することで、凸条部184が撓み変形し易くなる。さらに、撓み変形後の凸条部184が溝部185内に収容されることになるので、リング部81全体を縮径部46に当接させることができる。これにより、リング部81と縮径部46との間のシール性をより一層向上させることができる。
なお、本発明は上述の実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、上述の実施形態に種々の変更を加えたものを含む。
例えば、上述の実施形態では、リップ部82の付け根部82aに断面円弧状の溝部88を形成した場合について説明した。しかしながら、これに限られるものではなく、リップ部82の弾性変形をサポート可能な形状であればよい。例えば、断面円弧状の溝部88に代わってV溝を形成してもよい。
また、上述の実施形態では、小リング部87の外表面には、フッ素樹脂コート75を形成した場合について説明したが、出力軸4に対して円滑な摺動性を確保できれば小リング部87にフッ素樹脂コート75を形成しなくてもよい。また、フッ素樹脂コート75に代わって手動摩擦抵抗を低減可能な膜を形成してもよい。
さらに、上述の実施形態では、小リング部87を断面略円形状に形成した場合について説明した。しかしながら、小リング部87の断面形状は円形である必要はなく、その内径がピニオン6の進行方向前方に向かうに従って漸次拡径するような形状であればよい、すなわち、例えば小リング部87の摺接面が前方に向かって末広がりとなるようにテーパ状に形成されていてもよい。このように形成した場合であっても凍結物Wに当接した際、凍結物Wを乗り上げる方向に向かって力を作用させることができる。
そして、上述の実施形態では、電磁装置9を、励磁コイル24と、プランジャ機構37と、スイッチユニット7とを備えた構成とし、プランジャ機構37を、出力軸4と同軸上に配置した場合について説明した。しかしながら、これに限られるものではなく、ピニオン機構70を進退動作させることができる構成を含むスタータであれば、本実施形態のシール部材80を適用することができる。
また、上述した第2実施形態では、凸条部184をリング部81の外周側から径方向内側に向けて斜めに延出形成する場合について説明したが、これに限らず、内周側から径方向外側に向けて斜めに延出形成する等、適宜設計変更が可能である。
1 スタータ
4 出力軸
6 ピニオン(ギヤ部)
46 縮径部(取付部)
46a 先端面(端面)
75 フッ素樹脂コート
80 シール部材
81 リング部
82 リップ部
82a 付け根部
83 シールカバー
84,184 凸条部
84a,184b 付け根部
85a,85b,185 溝部
87 小リング部
88 溝部
D1 直径
T1,T2 肉厚

Claims (10)

  1. 出力軸に外嵌され、かつ出力軸に沿って進退移動可能に設けられ、エンジンを始動するために用いられるギヤ部の先端に、このギヤ部の内周面と前記出力軸の外周面との間のシール性を確保するシール部材を設けたスタータであって、
    前記シール部材は、
    前記出力軸の周囲を取り囲むように形成されたリング部と、
    前記リング部の内周縁に形成され、弾性変形可能なリップ部とを有し、
    前記リップ部は、前記リング部の内周縁から径方向内側に向かうに従って漸次前記ギヤ部の進行方向前方に向かうように、斜めに延出形成されており、
    前記出力軸の外周面に前記リップ部の内周縁が摺接していることを特徴とするスタータ。
  2. 前記リップ部の内周縁に、前記出力軸に摺接する小リング部を形成し、
    この小リング部は、内径が前記ギヤ部の進行方向前方に向かうに従って漸次拡径するように形成されていることを特徴とする請求項1に記載のスタータ。
  3. 前記小リング部は、断面略円形状に形成されていることを特徴とする請求項2に記載のスタータ。
  4. 前記リップ部の肉厚を、前記リング部の肉厚よりも薄肉に設定したことを特徴とする請求項1〜請求項3の何れかに記載のスタータ。
  5. 前記リップ部の付け根部の全周であって、かつ前記ギヤ部の進行方向前方側に、溝部を形成したことを特徴とする請求項1〜請求項4の何れかに記載のスタータ。
  6. 前記小リングの表面に、フッ素樹脂コートを形成したことを特徴とする請求項1〜請求項5の何れか記載のスタータ。
  7. 有底筒状のシールカバーに前記シール部材をアウトサート成形すると共に、
    前記ギヤ部の先端に、前記シールカバーを外嵌固定可能な取付部を形成したことを特徴とする請求項1〜請求項6の何れかに記載のスタータ。
  8. 前記リング部に、前記ギヤ部に向けて突出するとともに、弾性変形可能な凸条部を形成し、
    前記凸条部は、前記ギヤ部の進行方向前方側の端面に圧縮変形された状態で当接していることを特徴とする請求項1〜請求項7の何れかに記載のスタータ。
  9. 前記凸条部を、前記リング部の外周側から径方向内側に向かうに従って漸次前記ギヤ部の進行方向後方に向かうように斜めに延出形成したことを特徴とする請求項8記載のスタータ。
  10. 前記リング部における前記凸条部に対して径方向内側に位置する部分に、前記ギヤ部の進行方向前方側に窪んだ溝部を形成したことを特徴とする請求項9記載のスタータ。
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