JP2014080942A - スタータ - Google Patents
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Abstract
【解決手段】スタータ1は、ピニオン移動体7の外周に装着されるレバー係合部材20と、レバー係合部材20の軸方向への移動を規制する第1ストッパ26及び第2ストッパ27とを備える。そして、レバー係合部材20は、第1ストッパ26を組み付ける際に、第2ストッパ27に当接して軸方向に押し縮められるように変形する凸部35を有している。これによれば、ピニオン移動体7とレバー係合部材20とを軸方向の隙間なく組み付けることができる。このため、ピニオン移動体7とレバー係合部材20との軸方向の相対移動が生じることがなく、レバー係合部材20の磨耗を抑制することができる。
【選択図】図2
Description
スタータは、モータの駆動トルクが伝達される出力軸と、リングギヤに噛み合い可能なピニオンを有するとともに出力軸の外周に装着されて出力軸に対して軸方向に摺動自在に支持されるピニオン移動体と、ピニオン移動体に装着されシフトレバーが係合するレバー係合部材を備える。
そして、シフトレバーの駆動によってピニオン移動体が出力軸上で反モータ側に押し出される。
従来、レバー係合部材の固定方法として、ピニオン移動体の外周に設けられた周溝に、レバー係合部材に設けた爪部を嵌め込み、レバー係合部材の軸方向への移動を係止する方法がある(特許文献1参照)。すなわち、弾性を利用したスナップフィットによってレバー係合部材をピニオン移動体の外周に嵌合する方法である。しかしながら、この方法では、レバー係合部材を組み付ける際に、大きめの弾性変形が求められるため、レバー係合部材の剛性を高くすることができず、レバー係合部材の耐久性が低下するという問題がある。
この方法の場合、ピニオン移動体101の端面101bに対してカラー102の開口端面102aが突出することがないようにするために、構成部品の寸法公差の積上げを考慮して、カラー102と段部101aとの間の距離を、レバー係合部材104を挟むのに必要な間隔よりも大きくしておく必要がある。
その結果、圧入固定後に、ピニオン移動体101とレバー係合部材104との間に隙間Cが残ってしまい、ピニオン移動体101に対してレバー係合部材104が軸方向に隙間C分移動することが可能となってしまう。
レバー係合部材は、第1ストッパが組み付けられる際に、第2ストッパに当接して軸方向に押し縮められるように変形する凸部を有している。
凸部は、変形後における第2ストッパとの接触面積が、ピニオン移動体にかかる回転抵抗力が所定値以下となる面積である。
実施例1を図1〜図3を用いて説明する。
スタータ1は、図1に示す様に、回転力を発生するモータ2、このモータ2の回転を減速する減速装置3、この減速装置3の出力側にクラッチ4を介して連結される出力軸5、この出力軸5の外周にスプライン嵌合するとともにリングギヤに噛み合うピニオン6を有するピニオン移動体7、電磁石の吸引力によってシフトレバー8を駆動し、このシフトレバー8を介してピニオン移動体7を一体に出力軸5に対して押し出す働きを有すると共に、メイン接点を開閉してモータ2の通電電流を断続する電磁スイッチ9等より構成される。なお、以下の説明では、軸方向において、図示左側を前端側(反モータ側)と呼び、図示右側を後端側(モータ側)と呼ぶ。
出力軸5には、図1に示す様に、外周面に雄ヘリカルスプライン5aが形成されている。
そして、ピニオン移動体7は、出力軸5の外周にヘリカルスプライン嵌合しており、出力軸5はピニオン移動体7を貫通し、先端がハウジング14に軸受けされている。
すなわち、本実施例のスタータ1は、ピニオン6の軸方向両側で出力軸5が軸受けされる両持ちタイプである。
レバー係合部材20は、樹脂により形成されており、図4に示すように、小径筒部13の外周に装着されるカラー部21と、カラー部21と一体に樹脂成形されてシフトレバー8の端部が係合するレバー係合部22とを有する。
カラー部21は、小径筒部13が貫通する貫通穴を有するリング部23を有する。
第1ストッパ26は、小径筒部13の後端部に圧入嵌合されるカラー29であり、第2ストッパ27は、ピニオン6と小径筒部13との間の段部30である。第1ストッパ26及び第2ストッパ27はピニオン移動体7に対して回転不能となっている。なお、シフトレバー8によってレバー係合部材20は段部30に付勢されている。
なお、電磁スイッチ9は、モータ2のメイン接点の開閉を行う電磁ソレノイドと、シフトレバー8を駆動する電磁ソレノイドとの2つの電磁ソレノイドを有するタンデムタイプでもよいし、1つの電磁ソレノイドによってモータ2のメイン接点の開閉とシフトレバーの駆動を行うタイプのものであってもよい。
本実施例によれば、レバー係合部材20は、第1ストッパ26を組み付ける際に、第2ストッパ27に当接して軸方向に押し縮められるように変形する凸部35を有している。
図3及び図4に組み付け前のレバー係合部材20を示す。レバー係合部材20は、リング部23の前端面23aに段部30へ向かって突出する凸部35を有している。
図4に示すように、凸部35はグリース溝23bの溝底から隆起して設けられており、図3に示すように、周方向等間隔で3箇所に設けられている。
図2に示すように、レバー係合部材20を小径筒部13の外周に装着し、後端側からワッシャ32を挿入し、さらにカラー29を前端側へ向かって圧入する。
カラー29の圧入工程の際、カラー29の開口端面29bを圧入工具で押圧し、ピニオン移動体7の端面7aと面一になるまで圧入する。圧入工程の間、カラー29が軸方向に押し込まれることに伴って、凸部35が段部30に当接して軸方向に押しつぶされながらレバー係合部材20が前端側へ押圧される。
これにより、レバー係合部材20は、小径筒部13上で、段部30とカラー29との間に組み付けられる。
本実施例によれば、レバー係合部材20に軸方向への縮小変形が可能な凸部35を設けることにより、カラー29の開口端面29bをピニオン移動体7の端面7aと面一になるまで圧入する圧入方法を採用した場合でも、従来生じていた隙間C(図7参照)を凸部35により埋めることができるため、ピニオン移動体7とレバー係合部材20とを軸方向の隙間なく組み付けることができる。
このため、ピニオン移動体7とレバー係合部材20との軸方向の相対移動が生じることがなく、レバー係合部材20の磨耗を抑制することができる。
また、凸部35を、ピニオン移動体7周りの周方向において等間隔で少なくとも3箇所に設けているため、ピニオン移動体7に対してレバー係合部材20が傾いて装着されることがなく、偏磨耗を抑制することができる。
実施例2を、実施例1とは異なる点を中心に、図5を用いて説明する。
なお、実施例1と同じ符号は、同一の構成を示すものであって、先行する説明を参照する。
本実施例では、凸部35は、グリース溝23bの開口縁にバリ状に形成されている。すなわち、凸部35は、グリース溝23bの溝壁面とリング部23の前端面23aとの間の角部に形成されている。
本実施例においても、実施例1と同様の作用効果を奏する。
また、本実施例のように角部に凸部35を形成する場合は、平面部に形成する場合と比べて、樹脂充填率がよく、型割を考慮しても型を作成しやすく、樹脂成形が容易となる。
実施例3を、実施例1とは異なる点を中心に、図6を用いて説明する。
なお、実施例1と同じ符号は、同一の構成を示すものであって、先行する説明を参照する。
本実施例のスタータ1は、片持ちタイプであり、ピニオン移動体7が、出力軸5の外周にスプライン嵌合するチューブ体37と、チューブ体37と別体のピニオン6とから構成されており、チューブ体37が軸受38を介してハウジング14に支持されている。
ピニオン移動体7は、軸受38に支持される位置よりも前端側にピニオン6を有している。
また、本実施例においても実施例1と同様に、レバー係合部材20の後端側への移動はカラー29によって規制されている。そして、レバー係合部材20の前端側への移動は、チューブ体37の外周に形成された鍔部40によって規制されている。
そして、実施例1と同様に、レバー係合部材20には第2ストッパ27である鍔部40に向かって突出する凸部35が設けられている。なお、図6に示すように、鍔部40とレバー係合部材20との間にワッシャ41を設けてもよい。
本実施例においても、実施例1と同様の作用効果を奏する。
実施例1〜3では、第1ストッパ26がカラー29であったが、これに限らず、例えば、サークリップであってもよい。サークリップの場合でも、サークリップを組み付ける際に、凸部35を変形させながら組み付けることにより、実施例と同様の作用効果を得ることができる。
Claims (4)
- 回転力を発生するモータ(2)と、
このモータ(2)の回転軸と同一軸線上に配置されて、前記モータ(2)の駆動トルクが伝達される出力軸(5)と、
前記出力軸(5)とともに回転するピニオン(6)を有するとともに、前記出力軸(5)の外周に装着され、前記出力軸(5)に対して軸方向に摺動自在に支持されるピニオン移動体(7)と、
電磁石の吸引力によりシフトレバー(8)を駆動し、このシフトレバー(8)を介して、前記ピニオン移動体(7)を前記出力軸(5)に対して反モータ方向へ押し出す電磁ソレノイド(9)と、
前記ピニオン移動体(7)の外周に組み付けられて、前記シフトレバー(8)が係合するレバー係合部材(20)と、
前記レバー係合部材(20)の前記ピニオン移動体(7)に対する軸方向モータ側への移動を規制する第1ストッパ(26)と、
前記レバー係合部材(20)の前記ピニオン移動体(7)に対する軸方向反モータ側への移動を規制する第2ストッパ(27)とを備え、
軸方向において前記第2ストッパ(27)と前記第1ストッパ(26)との間に前記レバー係合部材(20)が配されるスタータであって、
前記レバー係合部材(20)は、前記第1ストッパ(26)が組み付けられる際に、前記第2ストッパ(27)に当接して軸方向に押し縮められるように変形する凸部(35)を有し、
前記凸部(35)は、変形後における前記第2ストッパ(27)との接触面積が、前記ピニオン移動体(7)にかかる回転抵抗力が所定値以下となる面積であることを特徴とするスタータ。 - 請求項1に記載のスタータにおいて、
前記第1ストッパ(26)は、前記ピニオン移動体(7)の外周に圧入嵌合されるカラー(29)であり、
前記第2ストッパ(27)は、前記ピニオン移動体(7)に設けられた段部(30)であり、
前記カラー(29)が圧入嵌合される際に、前記凸部(35)が前記段部(30)に押し付けられて変形することを特徴とするスタータ。 - 請求項1または2に記載のスタータにおいて、
前記レバー係合部材(20)は、前記第2ストッパ(27)に対向する側の面にグリースを保持するためのグリース溝(23b)を有し、
前記凸部(35)は、前記グリース溝(23b)近傍に形成されていることを特徴とするスタータ。 - 請求項1〜3のいずれか1つに記載のスタータにおいて、
前記凸部(35)は、前記ピニオン移動体(7)周りの周方向において等間隔で少なくとも3箇所に設けられていることを特徴とするスタータ。
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