JP2009030449A - スタータ - Google Patents
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Abstract
【解決手段】電磁スイッチ10の吸引力によりシフトレバー9を駆動してピニオン7を反モータ方向へ押し出す方式のスタータ1であり、電磁スイッチ10のスイッチコイル16は、モータ回路と電気的に分離した1コイルにより構成されている。また、ピニオン7の質量が100g以下、ドライブスプリング21に蓄えられるスイッチ押出し力が70N以下に設定され、且つ、電磁スイッチ10の作動電流が12A以下に設定されている。
このスタータ1では、スイッチコイル16とモータ回路とを電気的に分離できるので、従来の吸引コイルとM端子ボルトとを接続するための接続用ターミナルを廃止できる。また、電磁スイッチ10の作動電流を12A以下にすることで、ECUにより作動電流を直接制御することが可能である。
【選択図】図1
Description
このスタータは、電機子に通電されて回転力を発生するモータと、バッテリから流れる電流を電機子に通電するためのモータ回路に設けられるメイン接点を開閉する電磁スイッチとを備え、この電磁スイッチが発生する吸引力を利用してシフトレバーを駆動し、そのシフトレバーを介してピニオンとクラッチを一体に反モータ方向へ押し出す方式である。
つまり、電磁スイッチは、吸引コイルと保持コイルとを有し、プランジャを吸引する際に、吸引コイルと保持コイルの両方に通電されて、両コイルの合成抵抗を減らすことにより、作動電流を増やして吸引力を大きくしている。また、プランジャが吸引されてメイン接点が閉じると、吸引コイルがメイン接点により短絡された状態となり、保持コイルが発生する磁力だけでプランジャが吸引された状態に保持される。従って、吸引コイルは、メイン接点が閉じるまでの短時間だけ通電される。
また、電磁スイッチの作動電流が大きい(40A程度)ため、ECU(電子制御ユニット)により作動電流を直接制御することができない。このため、例えば、図6に示す様に、スイッチコイル(吸引コイル100と保持コイル110)の通電用端子120(一般に50端子と呼ばれる)とイグニッションスイッチ(以下、IGスイッチ130と呼ぶ)との間にスタータリレー140を配置して、このスタータリレー140の励磁電流をECU150により制御する始動回路が知られている。
本発明は、上記事情に基づいて成されたもので、その目的は、部品点数の削減により低コスト化を実現できるスタータを提供することにある。
本発明は、モータ回路に設けられるメイン接点の閉成により、電機子に通電されて回転力を発生するモータと、このモータの回転力がクラッチを介して伝達される出力軸と、この出力軸の外周にヘリカルスプライン嵌合するピニオンと、通電により磁力を発生するスイッチコイルと、このスイッチコイルが発生する磁力を受けて移動するプランジャとを有し、このプランジャの動きに連動してメイン接点を開閉すると共に、シフトレバーを介してピニオンを反モータ方向へ押し出す働きを有する電磁スイッチとを備えたスタータであって、電磁スイッチは、スイッチコイルがモータ回路と電気的に分離した1コイルで構成されていることを特徴とする。
請求項1に記載したスタータにおいて、電磁スイッチは、メイン接点を内部に配置する接点カバーを有し、この接点カバーには、バッテリから流れる電流をスイッチコイルに通電するための通電用端子が固定されており、スイッチコイルは、一端側の端部が通電用端子に接続され、他端側の端部がアース側に接続されていることを特徴とする。
スイッチコイルが1コイルであるため、スイッチコイルの一端側の端部は、従来の吸引コイルと保持コイルとを有する2コイル式の電磁スイッチと同様に、通電用端子に接続される。また、スイッチコイルの他端側の端部は、モータ回路に接続する必要はなく、例えば、電磁スイッチの筐体であるスイッチケース、あるいは、磁気回路の一部を形成する固定鉄心等に電気的に接続してアース接地することができる。
請求項1または2に記載したスタータにおいて、電磁スイッチの働きにより反モータ方向へ押し出されたピニオンがエンジンのリングギヤに当接した後、メイン接点が閉じるまでの間に移動するプランジャの移動量に応じて反力を蓄え、この反力が、シフトレバーを介してピニオンをリングギヤ側へ付勢する方向に作用するドライブスプリングを有し、このドライブスプリングに蓄えられる反力をスイッチ押出し力と呼ぶ時に、ピニオンの質量を100g以下とし、且つ、スイッチ押出し力を70N(ニュートン)以下とすることにより、スイッチコイルへの通電電流を12A以下に設定したことを特徴とする。
具体的には、ピニオンの質量を100g以下、スイッチ押出し力を70N(ニュートン)以下として、スイッチコイルへの通電電流を12A以下に設定することが可能である。これにより、スイッチコイルを1コイルで構成した場合でも、電磁スイッチの小型・軽量化が可能となる。
なお、多くの電子部品を搭載するECUは、一般的に発熱を嫌うため、40A程度の大きな電流を直接制御することはできないが、12A以下の電流であれば、1回毎のスタータの作動時間が短い(数秒程度)ため、特に問題は生じない。
請求項1〜3に記載した何れかのスタータにおいて、モータの界磁に永久磁石を使用することを特徴とする。
例えば、永久磁石を界磁に使用するモータと、吸引コイルと保持コイルとを有する2コイル式の電磁スイッチとを組み合わせたスタータでは、IGスイッチをOFFした後、モータの惰性回転中に発生する逆起電圧がスイッチ回路へ回り込むため、スイッチ回路に印加される電圧を検出してスタータの動作状態(モータの作動及び停止)を判定する場合には、逆起電圧を検出することにより、モータが再度ONしたと誤判定する恐れがある。
これに対し、本発明のスタータは、電磁スイッチのスイッチコイルを1コイルで構成し、そのスイッチコイルがモータ回路と電気的に繋がっていないので、モータの惰性回転中に発生する逆起電圧がスイッチ回路へ回り込むことはない。これにより、スイッチ回路に印加される電圧を検出してスタータの動作状態を正確に判定することが可能である。
本実施例のスタータ1は、図1に示す様に、内蔵する電機子2(図2参照)に回転力を発生するモータ3と、このモータ3の回転を減速する減速装置4と、この減速装置4にクラッチ5を介して連結される出力軸6と、この出力軸6の外周にヘリカルスプライン嵌合するピニオン7と、バッテリ8(図2参照)から電機子2に通電するためのモータ回路に設けられるメイン接点(後述する)を開閉すると共に、シフトレバー9を介してピニオン7を反モータ方向(図示左方向)へ押し出す働きを有する電磁スイッチ10等より構成される。
モータ3は、界磁に永久磁石(図示せず)を使用し、整流子(図示せず)に摺接するブラシ11(図2参照)を介して電機子2に通電される磁石界磁式の整流子電動機である。
クラッチ5は、減速装置4で増幅されたモータ3の駆動トルクを出力軸6へ伝達する一方、エンジンが始動してオーバラン状態になると、エンジンの回転トルクが減速装置4を介して電機子2に伝わらない様に、出力軸6と減速装置4との間でトルクの伝達を遮断する一方向クラッチ5として構成されている。
出力軸6は、反モータ側(図示左側)の端部が軸受12を介してハウジング13に回転自在に支持され、モータ側の端部がクラッチ5と一体に構成されている。
ピニオン7は、図1に示す停止位置から反モータ方向へ移動してエンジン側のリングギヤ14に噛み合わされ、出力軸6と一体に回転してリングギヤ14を回転駆動する。本実施例のピニオン7は、質量100g以下に形成されている。
ソレノイドは、以下に詳述するスイッチコイル16と、このスイッチコイル16の内周を軸方向(図1の左右方向)に可動するプランジャ17とを有し、スイッチコイル16への通電により電磁石が形成されてプランジャ17が吸引されると、そのプランジャ17の動きに連動してメイン接点を閉操作する。また、スイッチコイル16への通電が停止して電磁石の磁力が消滅すると、リターンスプリング18(図1参照)によりプランジャ17が押し戻されて、メイン接点を開操作する。
プランジャ17には、軸方向の反接点側(図1の左側)に凹部が形成され、この凹部には、プランジャ17の動きをシフトレバー9に伝達するレバーフック20と、ピニオン7をリングギヤ14に押し込むための反力を蓄えるドライブスプリング21とが挿入されている。このドライブスプリング21に蓄えられる反力をスイッチ押出し力と定義した時に、本実施例のスタータ1では、スイッチ押出し力が70N以下に設定されている。
B端子ボルト22とM端子ボルト24は、共に接点カバー15に固定され、この接点カバー15より軸方向に突き出るB端子ボルト22の先端側にバッテリケーブルのターミナルが接続され、同様に、接点カバー15より軸方向に突き出るM端子ボルト24の先端側にモータリード線のターミナル27が接続される。なお、モータリード線は、モータ3の内部で正極側のブラシ11(図2参照)に接続されている。
本実施例の始動回路は、図2に示す様に、上述のモータ回路(バッテリ8から電機子2に通電するための回路)と、バッテリ8から電磁スイッチ10のスイッチコイル16に通電するためのスイッチ回路とで構成される。
スイッチ回路は、50端子19とIGスイッチ28との間にスタータ1の始動制御に係わるECU29が接続され、このECU29により50端子19に印加される電圧が所定値(本実施例では12V)に制御されている。
つまり、本実施例のスタータ1は、電磁スイッチ10の吸引力を利用してピニオン7だけを押し出す(クラッチ5は移動しない)方式であり、そのピニオン7の質量が100g以下に設定されている。ここで、例えば、ピニオン7とリングギヤ14との噛合い寿命を5万回と設定した場合に、この噛合い寿命を100%満足するためには、図3に示す様に、スイッチ押出し力を70N以下、電磁スイッチ10の作動電流を12A以下に設定する必要がある。なお、ピニオン7の質量は、歯数を少なくすることで小さくできるが、例えば、歯数が7枚以下になると、歯底強度が不足するため、最低でも40g以上の質量は必要となる。歯数で言うと、8枚〜11枚の間で選択できる。
IGスイッチ28のオン操作により、スイッチコイル16に通電されてプランジャ17が吸引されると、そのプランジャ17の動きがシフトレバー9を介してピニオン7に伝達される。これにより、ピニオン7は、出力軸6上をヘリカルスプラインに沿って反モータ方向へ押し出され、ピニオン7の端面がリングギヤ14の端面に当接して一旦停止する。 その後、ドライブスプリング21に反力を蓄えながら、プランジャ17が更に移動してメイン接点を閉じると、バッテリ8からモータ3に通電されて電機子2に回転力が発生する。この電機子2の回転は、減速装置4により減速され、クラッチ5を介して出力軸6に伝達される。
クランキングからエンジンが完爆して、エンジン回転数がスタータ回転数を上回ると、クラッチ5が空転することにより、エンジンの回転が減速装置4を介して電機子2に伝達されることはなく、電機子2のオーバランを防止できる。
また、プランジャ17が押し戻されると、エンジン始動時とは反対方向にシフトレバー9が揺動して、ピニオン7を押し出す力が解消されるため、ピニオン7は、ピニオンスプリング31(図1参照)に付勢されて、リングギヤ14から離脱した後、図1に示す停止位置まで押し戻される。
本実施例の電磁スイッチ10は、1つのスイッチコイル16でプランジャ17を吸引する吸引力と、プランジャ17を保持する保持力とを発生する1コイル式であるため、吸引コイルと保持コイルとを有する2コイル式の従来技術と比較して、コイル数を減らすことができ、且つ、スイッチコイル16とM端子ボルト24との間を電気的に接続する必要もない。これにより、従来の吸引コイルとM端子ボルトとを電気的に接続するための接続用ターミナルを廃止でき、且つ、接続用ターミナルに吸引コイルの端部を溶接等により接続する工程も不要である。その結果、部品点数の削減、および、工数の低減によりコストを低く抑えることができる。
また、電磁スイッチ10の吸引力を小さくできるので、電磁スイッチ10の作動電流を12A以下に抑えることができる。これにより、電磁スイッチ10の作動電流をECU29により直接制御できるため、スイッチ回路にスタータリレーを使用する必要はなく、且つ、IGスイッチ28を1系統に構成して簡素化できるので、コストダウンを図ることができる。更に、スイッチ回路に大電流(例えば40A程度の電流)を流す必要がないので、スイッチ回路に使用される配線を細線化できるメリットもある。
2 電機子
3 モータ
5 クラッチ
6 出力軸
7 ピニオン
8 バッテリ
9 シフトレバー
10 電磁スイッチ
14 リングギヤ
15 接点カバー
16 スイッチコイル
17 プランジャ
19 50端子(通電用端子)
21 ドライブスプリング
23 B固定接点(メイン接点)
25 M固定接点(メイン接点)
26 可動接点(メイン接点)
Claims (4)
- モータ回路に設けられるメイン接点の閉成により、電機子に通電されて回転力を発生するモータと、
このモータの回転力がクラッチを介して伝達される出力軸と、
この出力軸の外周にヘリカルスプライン嵌合するピニオンと、
通電により磁力を発生するスイッチコイルと、このスイッチコイルが発生する磁力を受けて移動するプランジャとを有し、このプランジャの動きに連動して前記メイン接点を開閉すると共に、シフトレバーを介して前記ピニオンを反モータ方向へ押し出す働きを有する電磁スイッチとを備えたスタータであって、
前記電磁スイッチは、前記スイッチコイルが前記モータ回路と電気的に分離した1コイルで構成されていることを特徴とするスタータ。 - 請求項1に記載したスタータにおいて、
前記電磁スイッチは、前記メイン接点を内部に配置する接点カバーを有し、この接点カバーには、バッテリから流れる電流を前記スイッチコイルに通電するための通電用端子が固定されており、
前記スイッチコイルは、一端側の端部が前記通電用端子に接続され、他端側の端部がアース側に接続されていることを特徴とするスタータ。 - 請求項1または2に記載したスタータにおいて、
前記電磁スイッチの働きにより反モータ方向へ押し出された前記ピニオンがエンジンのリングギヤに当接した後、前記メイン接点が閉じるまでの間に移動する前記プランジャの移動量に応じて反力を蓄え、この反力が、前記シフトレバーを介して前記ピニオンを前記リングギヤ側へ付勢する方向に作用するドライブスプリングを有し、このドライブスプリングに蓄えられる反力をスイッチ押出し力と呼ぶ時に、
前記ピニオンの質量を100g以下とし、且つ、前記スイッチ押出し力を70N(ニュートン)以下とすることにより、前記スイッチコイルへの通電電流を12A以下に設定したことを特徴とするスタータ。 - 請求項1〜3に記載した何れかのスタータにおいて、
前記モータの界磁に永久磁石を使用することを特徴とするスタータ。
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