JP4683019B2 - スタータ始動回路 - Google Patents
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Description
このスタータは、ピニオンとクラッチが一体に移動する構造であり、その移動体質量が大きいため、必然的に、電磁スイッチの吸引力を大きくする必要がある。これに対し、スイッチコイルに吸引コイルと保持コイルとを有する2コイル式の電磁スイッチが採用されている。
そこで、図6に示す様に、スイッチコイル(吸引コイル100と保持コイル110)の通電用端子120(一般に50端子と呼ばれる)とイグニションスイッチ(以下、IGスイッチ130と呼ぶ)との間にスタータリレー140を配置して、このスタータリレー140の励磁電流をECU150により制御するスタータ始動回路が知られている。
本発明は、上記事情に基づいて成されたもので、その目的は、部品点数の低減と共に、回路構成を簡素化することにより、低コスト化を実現できるスタータ始動回路を提供することにある。
本発明は、主接点の閉成によりバッテリから通電されて電機子に回転力を発生するモータと、このモータの回転力がクラッチを介して伝達される出力軸と、この出力軸に嵌合するピニオンと、始動スイッチの閉操作によりバッテリから通電されるスイッチコイルを内蔵し、このスイッチコイルが発生する磁力を利用して主接点を閉操作するとともに、ピニオンを押し出す働きを有する電磁スイッチとを搭載したスタータにおいて、バッテリから流れる電流をスイッチコイルに通電するための通電用端子と始動スイッチとの間に、スタータの始動を制御するスタータ制御装置が接続されており、スイッチコイルに通電される電流がスタータ制御装置の許容電流以下となるように、電磁スイッチは、クラッチを移動させることなくピニオンを押し出すことを特徴とする。
このため、スタータ制御装置により通電用端子の印加電圧を制御でき、通電用端子よりスイッチコイルに通電される電流をスタータ制御装置の許容電流(スタータ制御装置に流すことのできる最大電流)以下に抑えることができる。これにより、スイッチ回路にスタータリレーを配置する必要はなく、スタータリレーの廃止に伴い、そのスタータリレーの励磁電流を制御するためのリレー回路も廃止できる。また、始動スイッチにリレー回路を接続する必要もないため、始動スイッチを1系統に構成できる。
上記の結果、部品点数を低減でき、且つ、回路構成を簡素化できるので、スタータ始動回路の低コスト化を図ることができる。
請求項1に記載したスタータ始動回路において、スタータ制御装置は、スイッチコイルに流れる電流が12A以下となる様に、通電用端子の印加電圧を制御していることを特徴とする。
従来のスタータ始動回路に使用されるECUでは、40A程度の大きな電流を直接制御することはできないが、12A以下の電流であれば、1回毎のスタータの作動時間が短い(数秒程度)ため、特に問題は生じない。従って、電磁スイッチの作動電流(スイッチコイルに流れる電流)を12A以下に抑えることで、スイッチコイルに通電する電流をスタータ制御装置により直接制御することが可能である。
また、スイッチ回路に大電流(例えば40A程度の電流)を流す必要がないので、スイッチ回路に使用される配線を細線化できるメリットも生じる。
請求項1または2に記載したスタータ始動回路において、主接点を介してバッテリから電機子に電流を流すためのモータ回路と、始動スイッチを介してバッテリからスイッチコイルに電流を流すためのスイッチ回路とを有し、このスイッチ回路に、通電用端子が設けられ、スタータ制御装置により通電用端子に印加される電圧を所定値に制御することを特徴とする。
(請求項4の発明)
請求項3に記載したスタータ始動回路において、スイッチコイルは、一端側の端部が通電用端子に接続され、他端側の端部がアース側に接続されて、モータ回路と電気的に分離した1コイルで構成されていることを特徴とする。
永久磁石を界磁に使用するモータでは、始動スイッチをOFFした後、モータの惰性回転中に逆起電圧が発生する。この場合、吸引コイルと保持コイルとを有する2コイル式の電磁スイッチでは、スイッチ回路とモータ回路とが電気的に繋がっているため、逆起電圧がスイッチ回路に印加される。その結果、50端子に電圧波形が発生し、この電圧波形をECUが検出することで、モータが再度ONしたと誤判定する恐れがある。
本実施例のスタータ1は、図2に示す様に、内蔵する電機子2(図1参照)に回転力を発生するモータ3と、このモータ3の回転を減速する減速装置4と、この減速装置4にクラッチ5を介して連結される出力軸6と、この出力軸6の外周にヘリカルスプライン嵌合するピニオン7と、バッテリ8(図1参照)から電機子2に通電するためのモータ回路に設けられるメイン接点(後述する)を開閉すると共に、シフトレバー9を介してピニオン7を反モータ方向(図示左方向)へ押し出す働きを有する電磁スイッチ10等より構成される。
モータ3は、界磁に永久磁石(図示せず)を使用し、整流子(図示せず)に摺接するブラシ11(図1参照)を介して電機子2に通電される磁石界磁式の整流子電動機である。
クラッチ5は、減速装置4で増幅されたモータ3の駆動トルクを出力軸6へ伝達する一方、エンジンが始動してオーバラン状態になると、エンジンの回転トルクが減速装置4を介して電機子2に伝わらない様に、出力軸6と減速装置4との間でトルクの伝達を遮断する一方向クラッチ5として構成されている。
出力軸6は、反モータ側(図示左側)の端部が軸受12を介してハウジング13に回転自在に支持され、モータ側の端部がクラッチ5と一体に構成されている。
ピニオン7は、図2に示す停止位置から反モータ方向へ移動してエンジン側のリングギヤ14に噛み合わされ、出力軸6と一体に回転してリングギヤ14を回転駆動する。本実施例のピニオン7は、質量100g以下に形成されている。
ソレノイドは、以下に詳述するスイッチコイル16と、このスイッチコイル16の内周を軸方向(図2の左右方向)に可動するプランジャ17とを有し、スイッチコイル16への通電により電磁石が形成されてプランジャ17が吸引されると、そのプランジャ17の動きに連動してメイン接点を閉操作する。また、スイッチコイル16への通電が停止して電磁石の磁力が消滅すると、リターンスプリング18(図2参照)によりプランジャ17が押し戻されて、メイン接点を開操作する。
プランジャ17には、軸方向の反接点側(図2の左側)に凹部が形成され、この凹部には、プランジャ17の動きをシフトレバー9に伝達するレバーフック20と、ピニオン7をリングギヤ14に押し込むための反力を蓄えるドライブスプリング21とが挿入されている。このドライブスプリング21に蓄えられる反力をスイッチ押出し力と定義した時に、本実施例のスタータ1では、スイッチ押出し力が70N以下に設定されている。
B端子ボルト22とM端子ボルト24は、共に接点カバー15に固定され、この接点カバー15より軸方向に突き出るB端子ボルト22の先端側にバッテリケーブルのターミナルが接続され、同様に、接点カバー15より軸方向に突き出るM端子ボルト24の先端側にモータリード線のターミナル27が接続される。なお、モータリード線は、モータ3の内部で正極側のブラシ11(図1参照)に接続されている。
本実施例の始動回路は、図1に示す様に、上述のモータ回路(バッテリ8から電機子2に通電するための回路)と、バッテリ8から電磁スイッチ10のスイッチコイル16に通電するためのスイッチ回路とで構成される。
スイッチ回路は、50端子19とIGスイッチ28との間にスタータ1の始動制御に係わるECU29が接続され、このECU29により50端子19に印加される電圧が所定値(本実施例では12V)に制御されている。
つまり、本実施例のスタータ1は、電磁スイッチ10の吸引力を利用してピニオン7だけを押し出す(クラッチ5は移動しない)方式であり、そのピニオン7の質量が100g以下に設定されている。ここで、例えば、ピニオン7とリングギヤ14との噛合い寿命を5万回と設定した場合に、この噛合い寿命を100%満足するためには、図3に示す様に、スイッチ押出し力を70N以下、電磁スイッチ10の作動電流を12A以下に設定する必要がある。なお、ピニオン7の質量は、歯数を少なくすることで小さくできるが、例えば、歯数が7枚以下になると、歯底強度が不足するため、最低でも40g以上の質量は必要となる。歯数で言うと、8枚〜11枚の間で選択できる。
IGスイッチ28のオン操作により、スイッチコイル16に通電されてプランジャ17が吸引されると、そのプランジャ17の動きがシフトレバー9を介してピニオン7に伝達される。これにより、ピニオン7は、出力軸6上をヘリカルスプラインに沿って反モータ方向へ押し出され、ピニオン7の端面がリングギヤ14の端面に当接して一旦停止する。 その後、ドライブスプリング21に反力を蓄えながら、プランジャ17が更に移動してメイン接点を閉じると、バッテリ8からモータ3に通電されて電機子2に回転力が発生する。この電機子2の回転は、減速装置4により減速され、クラッチ5を介して出力軸6に伝達される。
クランキングからエンジンが完爆して、エンジン回転数がスタータ回転数を上回ると、クラッチ5が空転することにより、エンジンの回転が減速装置4を介して電機子2に伝達されることはなく、電機子2のオーバランを防止できる。
また、プランジャ17が押し戻されると、エンジン始動時とは反対方向にシフトレバー9が揺動して、ピニオン7を押し出す力が解消されるため、ピニオン7は、ピニオンスプリング31(図2参照)に付勢されて、リングギヤ14から離脱した後、図2に示す停止位置まで押し戻される。
本実施例の電磁スイッチ10は、1つのスイッチコイル16でプランジャ17を吸引する吸引力と、プランジャ17を保持する保持力とを発生する1コイル式であるため、吸引コイルと保持コイルとを有する2コイル式の従来技術と比較して、コイル数を減らすことができ、且つ、スイッチコイル16とM端子ボルト24との間を電気的に接続する必要もない。これにより、従来の吸引コイルとM端子ボルトとを電気的に接続するための接続用ターミナルを廃止でき、且つ、接続用ターミナルに吸引コイルの端部を溶接等により接続する工程も不要である。その結果、部品点数の削減、および、工数の低減によりコストを低く抑えることができる。
また、電磁スイッチ10の吸引力を小さくできるので、電磁スイッチ10の作動電流を12A以下に抑えることができる。これにより、電磁スイッチ10の作動電流をECU29により直接制御できるため、スイッチ回路にスタータリレーを使用する必要はなく、且つ、IGスイッチ28を1系統に構成して簡素化できるので、コストダウンを図ることができる。更に、スイッチ回路に大電流(例えば40A程度の電流)を流す必要がないので、スイッチ回路に使用される配線を細線化できるメリットもある。
2 電機子
3 モータ
8 バッテリ
10 電磁スイッチ
16 スイッチコイル
19 50端子(通電用端子)
23 B固定接点(主接点)
25 M固定接点(主接点)
26 可動接点(主接点)
28 IGスイッチ(始動スイッチ)
29 ECU(スタータ制御装置)
Claims (4)
- 主接点の閉成によりバッテリから通電されて電機子に回転力を発生するモータと、
このモータの回転力がクラッチを介して伝達される出力軸と、
この出力軸に嵌合するピニオンと、
始動スイッチの閉操作により前記バッテリから通電されるスイッチコイルを内蔵し、このスイッチコイルが発生する磁力を利用して前記主接点を閉操作するとともに、前記ピニオンを押し出す働きを有する電磁スイッチとを搭載したスタータにおいて、
前記バッテリから流れる電流を前記スイッチコイルに通電するための通電用端子と前記始動スイッチとの間に、前記スタータの始動を制御するスタータ制御装置が接続されており、
前記スイッチコイルに通電される電流が前記スタータ制御装置の許容電流以下となるように、前記電磁スイッチは、前記クラッチを移動させることなく前記ピニオンを押し出すことを特徴とするスタータ始動回路。 - 請求項1に記載したスタータ始動回路において、
前記スタータ制御装置は、前記スイッチコイルに流れる電流が12A以下となる様に、前記通電用端子の印加電圧を制御していることを特徴とするスタータ始動回路。 - 請求項1または2に記載したスタータ始動回路において、
前記主接点を介して前記バッテリから前記電機子に電流を流すためのモータ回路と、
前記始動スイッチを介して前記バッテリから前記スイッチコイルに電流を流すためのスイッチ回路とを有し、
このスイッチ回路に、前記通電用端子が設けられ、
前記スタータ制御装置により前記通電用端子に印加される電圧を所定値に制御することを特徴とするスタータ始動回路。 - 請求項3に記載したスタータ始動回路において、
前記スイッチコイルは、一端側の端部が前記通電用端子に接続され、他端側の端部がアース側に接続されて、前記モータ回路と電気的に分離した1コイルで構成されていることを特徴とするスタータ始動回路。
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