JP2015182994A - 水中油型乳化化粧料 - Google Patents

Abstract

【課題】肌をきれいに見せる効果を有し、なおかつ、乳化安定性に優れた水中油型乳化化粧料を提供する。【解決手段】（Ａ）平均粒子径が０．１μｍ以上の疎水化処理酸化チタンを１〜２０質量％、（Ｂ）カルボキシル基を構造中に有する糖エステル、（Ｃ）液状高級脂肪酸、（Ｄ）高級アルコール、（Ｅ）非イオン性界面活性剤、（Ｆ）水、及び（Ｇ）油分を含有することを特徴とする。特に、（Ｄ）高級アルコールがステアリルアルコールとベヘニルアルコールとの組み合わせであること、（Ｅ）非イオン性界面活性剤がベヘネス−２０、ポリソルベート６０及びステアリン酸ＰＥＧ−４０から選択される１種又は２種以上であることが好ましい。【選択図】なし

Description

本発明は水中油型乳化化粧料に関する。さらに詳しくは、肌をきれいに見せる効果を有し、なおかつ、乳化安定性に優れた水中油型乳化化粧料に関する。

酸化チタンは、白色顔料としてはもちろん、高い屈折率を有することから、赤ら顔やくすみ等の肌の色調を整え、しみ・そばかす等の色むらを隠蔽し、見かけの肌をきれいに補正する被覆剤として、また、粒子表面において紫外線を物理的に散乱及び吸収することから紫外線防御剤として、化粧料に広く用いられている。

被覆剤として使用する場合には、一般に、平均粒子径が０．１μｍ以上の酸化チタン又は酸化チタンの凝集粒子が用いられている。例えば、特許文献１では、平均粒子径が０．１〜０．５μｍの二酸化チタンと０．５〜１．５μｍの二酸化チタンを組み合わせて配合した化粧料が、自然な肌色と優れた被覆力を有するとされている。また、特許文献２では、粒径が０．１〜５．０μｍのルチル型二酸化チタン凝集粒子を配合した化粧料が、のびや仕上がり感に優れ、肌への着色力と隠蔽力に優れ、色浮きしない素肌感を演出するとされている。

一方、紫外線防御剤として使用する場合には、一般に、平均粒子径が０．１μｍ未満、典型的には０．０５μｍ以下の微粒子酸化チタンが用いられている。例えば、特許文献３では、平均粒子径が０．００５〜０．０５μｍの超微粒子酸化チタンに特定の表面処理を施したものを用いることにより、紫外線防御能に富み、透明性が高く、青白さがない化粧料が得られるとされている。

ところで、このような粒子状の粉体を製品に配合して効果を持続的に発揮させるには、粉体を化粧料中に十分に分散させる必要があるが、粒径の小さい粉体は凝集力が強く、分散性や乳化安定性に劣る傾向がある。このため、液状の製品の場合には、機械力による分散だけでなく、経時で凝集しないように乳化安定性の向上を図る必要がある。

微粒子状の粉体の分散性及び安定性を改善した化粧料として、例えば、特許文献４には、紫外線散乱剤としての粉体に特定の表面処理を施し、特定の油分と分散剤とを使用して分散させた日焼け止め水中油型乳化化粧料が提案されている。

また、特許文献５には、日焼け止め剤、ストラクチャリング剤、親水性界面活性剤、増粘剤、および水を配合し、組成物中にゲルネットワーク構造、液晶構造またはこれらの両方を構成することで、組成物中の水による活性成分の破壊と不安定化を抑制することが示されている。

しかし、特許文献４及び５は、いずれも日焼け止め用化粧料に関するものであるため、主に紫外線散乱剤としての微粒子状の粉体、すなわち、一般に平均粒子径が０．１μｍ未満の粉体の分散性を向上させることを目的としており、これよりも平均粒子径の大きい粉体の分散性や安定性を向上することを意図するものではない。一般に、粉体は粒子径が大きくなるほど凝集力が減少し、分散エネルギーの消費が少なくなるため分散が容易になり、乳化安定性も良くなる傾向があると考えられるが、本発明者らが、特許文献４及び５に記載されるこれらの知見を、より平均粒子径が大きい、肌補正効果を有する疎水化処理酸化チタンに応用したところ、十分な乳化安定性が得られないことが確認された。

また、酸化チタンは表面活性が酸化亜鉛より高く、酸化亜鉛よりも分散が困難とされているが、特許文献４は、紫外線散乱剤として酸化亜鉛を用いることに特化されており、また、特許文献５には、日焼け止め剤として酸化チタンを配合した具体例は示されていない。

かくして、平均粒子径が０．１μｍ以上の疎水化処理酸化チタンを安定に分散し、見かけの肌をきれいに補正することができる水中油型乳化化粧料が求められている。

特開２００５−２２５８２７号公報 特開２００８−５６５３５号公報 特開平８−１０４６１３号公報 特開２０１２−１１１７２６号公報 特表平１１−５０４０４３号公報

本発明は、肌をきれいに見せる効果を有し、なおかつ、乳化安定性に優れ、使用感もみずみずしい水中油型乳化化粧料を提供することを目的とする。

本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、平均粒子径が０．１μｍ以上の疎水化処理酸化チタンを特定量含有する水中油型乳化化粧料において、特定の糖エステル、液状高級脂肪酸、高級アルコール、非イオン性界面活性剤、水、及び油分を組み合わせて配合することにより、酸化チタンの分散性及び乳化安定性に優れ、しかもみずみずしい使用感を有する水中油型乳化化粧料が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。

すなわち、本発明は、
（Ａ）平均粒子径が０．１μｍ以上の疎水化処理酸化チタンを１〜２０質量％、
（Ｂ）カルボキシル基を構造中に有する糖エステル、
（Ｃ）液状高級脂肪酸、
（Ｄ）高級アルコール、
（Ｅ）非イオン性界面活性剤、
（Ｆ）水、及び
（Ｇ）油分
を含有することを特徴とする水中油型乳化化粧料を提供する。

本発明の水中油型乳化化粧料は、屈折率の高い０．１μｍ以上の疎水化処理酸化チタンを含むため、適度な着色力と隠蔽力により自然な素肌感を演出し、肌をきれいに見せることができる。
また、カルボキシル基を構造中に有する糖エステルと、液状高級脂肪酸の存在により疎水化処理酸化チタンの分散性が向上することに加え、水の存在下で非イオン性界面活性剤と高級アルコールとが水中油型乳化化粧料の乳化粒子の界面にラメラ状の２分子膜からなる会合体を形成することにより、乳化安定性を著しく向上させることができる。このため、内相に分散した疎水化処理酸化チタンが外相に飛び出すことによって引き起こされる色縞の発生等を抑えることができる。

以下、本発明を詳述する。

（Ａ）疎水化処理酸化チタン
本発明の水中油型乳化化粧料に使用される（Ａ）疎水化処理酸化チタンは、隠蔽性を高める観点から、一次粒子の平均粒子径が０．１μｍ以上の疎水化処理酸化チタン、又は、最終製剤に塊状の凝集粒子として存在し、凝集粒子の平均粒子径が０．１μｍ以上である疎水化処理酸化チタンが含まれる。これらの平均粒子径は０．１μｍ以上であればよいが、好ましくは０．１μｍ〜１μｍ、さらに好ましくは０．１μｍ〜０．８μｍ、最も好ましくは０．２μｍ〜０．３μｍである。平均粒子径が０．１μｍより小さいと十分な肌補正効果を得ることができず、１μｍより大きくても散乱が低下し補正効果が減少する傾向がある。一方で、本発明の肌補正効果、分散性及び乳化安定性を損なわない範囲であれば、上記以外の平均粒子径の疎水化処理酸化チタンをさらに含むこともできる。疎水化処理酸化チタンの平均粒子径は、透過型電子顕微鏡（ＴＥＭ）等による観察によって測定することができる。

酸化チタンの疎水化処理方法としては、特に限定されず、公知の方法を用いることができる。具体的には、シリコーン処理（メチルハイドロジェンポリシロキサン、ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン等のシリコーンオイル；メチルトリメトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、オクチルトリメトキシシラン、オクチルトリエトキシシラン等のアルキルシラン；トリフルオロメチルエチルトリメトキシシラン、ヘプタデカフルオロデシルトリメトキシシラン等のフルオロアルキルシラン等による処理）、脂肪酸処理（パルミチン酸、イソステアリン酸、ステアリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、ベヘニン酸、オレイン酸、ロジン酸、１２−ヒドロキシステアリン酸等による処理）、脂肪酸石鹸処理（ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸カルシウム、１２−ヒドロキシステアリン酸等による処理）、脂肪酸エステル処理（デキストリン脂肪酸エステル、コレステロール脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、デンプン脂肪酸エステル等による処理）等が挙げられる。特に好ましくは、ステアリン酸アルミニウム処理、オクチルトリエトキシシラン処理である。

（Ａ）疎水化処理酸化チタンの配合量は、水中油型乳化化粧料全量に対して、１〜２０質量％であり、好ましくは２〜１０質量％であり、最も好ましくは３〜７質量％である。（Ａ）疎水化処理酸化チタンの配合量が１質量％未満では十分な肌補正効果を得ることができず、２０質量％を超えると乳化安定性が損なわれる場合がある。

（Ｂ）カルボキシル基を構造中に有する糖エステル
本発明の水中油型乳化化粧料に使用される（Ｂ）カルボキシル基を構造中に有する糖エステルは、後述する（Ｃ）及び（Ｇ）成分と共に、水中油型乳化化粧料の内相の油相を構成し、当該油相に上記（Ａ）疎水化処理酸化チタンを均一に分散させる。（Ｂ）カルボキシル基を構造中に有する糖エステルとしては、例えば、セスキイソステアリン酸ソルビタン、ジペンタエリトリット脂肪酸エステル、モノオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン、モノステアリン酸ポリオキシエチレンソルビタンなどが挙げられる。特に好ましくはセスキイソステアリン酸ソルビタンである。

（Ｂ）カルボキシル基を構造中に有する糖エステルの配合量は、水中油型乳化化粧料全量に対して、０．１〜５質量％が好ましく、さらに好ましくは０．２〜３質量％であり、最も好ましくは０．３〜２質量％である。（Ｂ）カルボキシル基を構造中に有する糖エステルの配合量が０．１質量％未満又は５質量％を超えると（Ａ）疎水化処理酸化チタンを均一かつ安定に分散させることができない場合がある。

（Ｃ）液状高級脂肪酸
本発明の水中油型乳化化粧料に使用される（Ｃ）液状高級脂肪酸は、例えば、イソステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸などが挙げられる。特に好ましくはイソステアリン酸である。

（Ｃ）液状高級脂肪酸の配合量は、水中油型乳化化粧料全量に対して、０．１〜５質量％が好ましく、さらに好ましくは０．３〜３質量％であり、最も好ましくは０．５〜２質量％である。（Ｃ）液状高級脂肪酸の配合量が０．１質量％未満又は５質量％を超えると（Ａ）疎水化処理酸化チタンを均一かつ安定に分散させることができない場合がある。

（Ｄ）高級アルコール
本発明の水中油型乳化化粧料に使用される（Ｄ）高級アルコールは、後述する（Ｅ）及び（Ｆ）成分とともにラメラ状の２分子膜からなる会合体を形成する。
（Ｄ）高級アルコールは、化粧品、医薬品、医薬部外品等の分野において使用できるものであれば特に限定されず、例えば、飽和直鎖一価アルコール、不飽和一価アルコールなどが挙げられる。飽和直鎖一価アルコールとしては、ドデカノール（ラウリルアルコール）、トリドデカノール、テトラドデカノール（ミリスチルアルコール）、ペンタデカノール、ヘキサデカノール（セチルアルコール）、ヘプタデカノール、オクタデカノール（ステアリルアルコール）、ノナデカノール、イコサノール（アラキルアルコール）、ヘンイコサノール、ドコサノール（ベヘニルアルコール）、トリコサノール、テトラコサノール（カルナービルアルコール）、ペンタコサノール、ヘキサコサノール（セリルアルコール）等が挙げられる。不飽和一価アルコールとしては、エライジルアルコール等が挙げられる。本発明では経時安定性の点から飽和直鎖一価アルコールが好ましい。

（Ｄ）高級アルコールは、上記の１種または２種以上を用いることができる。本発明では２種以上の脂肪族アルコールの混合物を用いるのが好ましく、さらに好ましくは、その混合物の融点が６０℃以上となるような組み合わせである。この融点は６０℃未満であると、処方によっては系の温度安定性が低下する場合がある。本発明では、例えば、ステアリルアルコールとベヘニルアルコールの組み合わせが好ましい。

（Ｄ）高級アルコールの配合量は、水中油型乳化化粧料全量に対して、０．１〜１０質量％が好ましく、さらに好ましくは０．１〜５質量％である。（Ｄ）高級アルコールの配合量が０．１質量％未満又は１０質量％を超えると十分な乳化安定性が得られない場合がある。

（Ｅ）非イオン性界面活性剤
本発明の水中油型乳化化粧料に使用される（Ｅ）非イオン性界面活性剤は、特に限定されるものではないが、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸グリセリル、ポリオキシエチレン・メチルポリシロキサン共重合体、脂肪酸ポリオキシエチレンソルビタン、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、マルチトールヒドロキシ脂肪族アルキルエーテル、アルキル化多糖、アルキルグルコシド、ショ糖脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油グリセリル、ポリオキシエチレンソルビット脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンブロック共重合体、テトラポリオキシエチレン・テトラポリオキシプロピレン−エチレンジアミン縮合物、ポリオキシエチレン−ミツロウ・ラノリン誘導体、アルカノールアミド、ポリオキシエチレン−プロピレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン−アルキルアミン、ポリオキシエチレン−脂肪酸アミド、アルキルエトキシジメチルアミンオキシド、トリオレイルリン酸などが挙げられ、親水性であるものが好ましく、特にＨＬＢ８以上のものが好ましい。特に好ましい例として、ベヘネス−２０、ポリソルベート６０、ステアリン酸ＰＥＧ−４０が挙げられる。
非イオン性界面活性剤は１種又は２種以上を用いることができる。

（Ｅ）非イオン性界面活性剤の配合量は、水中油型乳化化粧料全量に対して、０．１〜２０質量％が好ましく、さらに好ましくは０．３〜５質量％である。（Ｅ）非イオン性界面活性剤の配合量が０．１質量％未満又は２０質量％を超えると十分な乳化安定性が得られない場合がある。

（Ｆ）水
本発明の水中油型乳化化粧料に使用される（Ｆ）水は特に限定されず、具体的に示すとすれば、精製水、イオン交換水などが挙げられる。
（Ｆ）水の配合量は、水中油型乳化化粧料全量に対して、２５〜９０質量％が好ましく、さらに好ましくは３０〜８０質量％であり、最も好ましくは３０〜６０質量％である。（Ｆ）水の配合量が上記範囲外であると、水中油型乳化化粧料の安定性が低下したり、みずみずしい使用感が低下したりする場合がある。

（Ｇ）油分
本発明の水中油型乳化化粧料に使用される（Ｇ）油分は、水中油型乳化組成物の内相の油相を構成する。本発明に使用できる油分は特に限定されず、化粧品に用いられているものの中から安定性を損なわない範囲で選択することができる。好ましい油分としては、炭化水素油分、エステル油分などの極性油、シリコーン油、液体油脂等を挙げることができる。

炭化水素油としては、流動パラフィン、スクワラン、スクワレン、パラフィン、イソパラフィン、セレシン、イソヘキサデカン、イソドデカン等が使用される。
エステル油分などの極性油としては、テトラエチルヘキサン酸ペンタエリスリチル、エチルヘキサン酸セチル、ホホバ油、ラウロイルグルタミン酸ジ（フィトステリル／オクチルドデシル）、トリイソステアリン、ジイソステアリン酸グリセリル、トリエチルヘキサノイン、ダイマージリノール酸（フィトステリル／ベヘニル）、ダイマージリノール酸（フィトステリル／イソステアリル／セチル／ステアリル／イソステアリル／セチル／ステアリル／ベヘニル）、パルミチン酸イソプロピル、マカダミアナッツ脂肪酸フィトステリル、テトラ（ベヘン酸／安息香酸／エチルヘキサン酸）ペンタエリスリチル、パルミチン酸エチルヘキシル、ミリスチン酸ミリスチル、ミリスチン酸イソプロピル、ジピバリン酸トリプロピレングリコール、セバシン酸ジイソプロピル、ネオペンタン酸イソデシル等が使用できる。

シリコーン油としては、例えばジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、メチルハイドロジェンポリシロキサン等の鎖状シリコーン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン等の環状シリコーン、３次元網目構造を形成しているシリコーン樹脂、シリコーンゴムなどが例示される。
液体油脂としては、アマニ油、ツバキ油、マカダミアナッツ油、トウモロコシ油、ミンク油、オリーブ油、アボカド油、サザンカ油、ヒマシ油、サフラワー油、ナタネ油、大豆油、落花生油、トリグリセリン、トリオクタン酸グリセリン、トリイソパルミチン酸グリセリン等がある。
また本発明における油分として紫外線吸収剤を用いることもできる。紫外線吸収剤としては、オクチルメトキシンナメート、オクトクリレン、ポリシリコーン−１５、ビスレゾルシニルトリアジン、エチルヘキシルトリアゾン、ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル、オキシベンゾン−３等が挙げられる。

（Ｇ）油分の配合量は、特に限定されないが、水中油型乳化化粧料全量に対して、５〜３０質量％が好ましい。

本発明の水中油型乳化化粧料は、上記必須成分の他にも、本発明の効果を損なわない範囲で、保湿剤、増粘剤、粉末、アルコール、天然高分子、合成高分子、糖類、酸化防止剤、緩衝剤、各種抽出液、安定化剤、防腐剤、色素、香料等の通常化粧料に配合される成分を適宜配合することができる。

本発明の水中油型乳化化粧料は、例えば、（Ｂ）カルボキシル基を構造中に有する糖エステル、（Ｃ）液状高級脂肪酸、及び一部の（Ｇ）油分の混合物に（Ａ）疎水化処理酸化チタンを含む粉末をＨＭミキサー等を用いて混合攪拌して分散体パーツを調製し、残りの（Ｇ）油分、（Ｄ）高級アルコール、（Ｅ）非イオン性界面活性剤を高温で溶解して溶解油分パーツを調製し、最後に、（Ｆ）水と他の水性成分を含む水相パーツを加温したものに分散体パーツ及び溶解油分パーツを加え、常法により乳化して冷却することによって製造することができる。

係る製造方法によって得られた水中油型乳化化粧料は、乳化安定性に優れるため使用時に内相に分散した疎水化処理酸化チタンが外相に飛び出して色縞が発生することがなく、使用感触がみずみずしくありながら、肌をきれいに見せる効果を有する。

以下に実施例を挙げて本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれによって限定されるものではない。なお、特に断りのない限り、配合量は全量に対する質量％を表す。

表１及び表２に示す処方の水中油型乳化化粧料を、下記の製法より製造し、以下の評価を行った。

＜製法＞
［分散体パーツの調製］
（１５）〜（１８）の混合物に（１９）〜（２５）を加え、ＨＭミキサー等を用いて混合攪拌する。
［溶解油分パーツの調製］
（９）〜（１４）を７０℃で溶解して混合する。
[水相パーツの調製]
（１）に（２）〜（８）を添加し、溶解する。
[水中油型乳化化粧料の調製]
上記水相パーツを７０℃に加温し、分散体パーツ及び溶解油分パーツを加え、常法により乳化して冷却することにより、水中油型乳化化粧料を得る。

＜評価方法＞
［肌がきれいに見える効果］
実施例及び比較例の化粧料を顔全体に適用し、見かけの肌をきれいに補正する効果について、目視にて観察し、以下の評価基準で判定した。
＜評価基準＞
○：明らかな補正効果が感じられる。
△：補正効果があまり感じられない。
×：補正効果が全く感じられない。

［水中油型乳化化粧料における乳化安定性］
実施例及び比較例の化粧料を使用する際に、容器（チューブ）の壁面に内相から粉末が飛び出すなどして色縞等を生じるか否かについて、目視にて観察し、以下の評価基準で判定した。
＜評価基準＞
◎：色縞が全く認められない。
○：色縞がわずかに認められるが許容範囲内。
×：色縞が明らかに認められる。

表１に示されるように、本発明の（Ｄ）及び（Ｅ）成分を配合しない場合には、（Ａ）成分よりも粒径の小さい疎水化処理微粒子酸化チタンを用いると乳化安定性には優れていたが、肌補正効果は不十分であった（比較例１）。また、（Ａ）成分の平均粒子径を満たす疎水化処理酸化チタンを用いると、十分な乳化安定性が得られなかった（比較例２〜４）。
一方、本発明の（Ｄ）及び（Ｅ）成分を配合した場合であっても、本発明の（Ａ）成分よりも粒径の小さい疎水化処理微粒子酸化チタンを用いると、乳化安定性には優れていたが、十分な肌補正効果を得ることができなかった（比較例５）。
これに対し、表２に示されるように、本発明の必須成分を全て配合した水中油型乳化化粧料は、肌補正効果と乳化安定性の両方に優れた効果を発揮した（実施例１〜５）。

処方例
以下に、本発明の水中油型乳化化粧料の処方例を挙げる。本発明はこれらの処方例によって何ら限定されるものではなく、特許請求の範囲によって特定されるものであることはいうまでもない。なお、配合量は全て製品全量に対する質量％で表す。

処方例１
（成分名） 配合量（質量％）
（１）水 残量
（２）エデト酸 ０．１
（３）ＰＥＧ−１００水添ヒマシ油 ２
（４）キサンタンガム ０．１
（５）（ＰＥＧ−２４０／デシルテトラデセス−２０／ＨＤＩ） ０．５
（６）セバシン酸ジイソプロピル １０
（７）ビスエチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジン １
（８）ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル １
（９）ポリソルベート６０ １．２
（１０）ベヘニルアルコール ０．７
（１１）ステアリルアルコール ０．２
（１２）シクロメチコン １５
（１３）イソステアリン酸 １
（１４）セスキイソステアリン酸ソルビタン ０．５
（１５）疎水化処理酸化亜鉛 １０
（１６）疎水化処理酸化チタン（平均粒子径０．１μｍ） ５
（１７）疎水化処理酸化鉄（赤） ０．２
（１８）疎水化処理酸化鉄（黄） ０．０５

処方例２
（成分名） 配合量（質量％）
（１）水 残量
（２）エデト酸 ０．１
（３）ＰＥＧ−１００水添ヒマシ油 ３
（４）オクチルメトキシシナメート ８
（５）ステアリン酸ＰＥＧ−４０ ０．７
（６）ベヘニルアルコール ０．７
（７）ステアリルアルコール ０．２
（８）イソヘキサデカン ８
（９）カプリリルメチコン ５
（１０）イソステアリン酸 １
（１１）セスキイソステアリン酸ソルビタン ０．５
（１２）疎水化処理酸化チタン（平均粒子径０．１μｍ） １２
（１３）疎水化処理酸化鉄（赤） ０．２
（１４）疎水化処理酸化鉄（黄） ０．０５

処方例３
（成分名） 配合量（質量％）
（１）水 残量
（２）エデト酸 ０．１
（３）ＰＥＧ−１００水添ヒマシ油 ３
（４）サクシノグリカン ０．１
（５）（アクリル酸Ｎａ／アクリロイルジメチルタウリンＮａ）共重合体 １
（６）ジ−（２−エチルヘキシル）−４’−メトキシベンザルマロネート １０
（７）エチルヘキシルトリアジン １
（８）オキシベンゾン−５ １
（９）ポリソルベート６０ ０．７
（１０）ベヘニルアルコール ０．７
（１１）ステアリルアルコール ０．２
（１２）シクロメチコン ８
（１３）イソヘキサデカン ５
（１４）イソステアリン酸 １
（１５）セスキイソステアリン酸ソルビタン ０．５
（１６）疎水化処理微粒子酸化チタン（平均粒子径０．０３〜０．０９μｍ）
３
（１７）疎水化処理酸化チタン（平均粒子径０．２〜０．３μｍ） ７
（１８）疎水化処理酸化鉄（赤） ０．２
（１９）疎水化処理酸化鉄（黄） ０．０５

Claims (3)

1. （Ａ）平均粒子径が０．１μｍ以上の疎水化処理酸化チタンを１〜２０質量％、
   （Ｂ）カルボキシル基を構造中に有する糖エステル、
   （Ｃ）液状高級脂肪酸、
   （Ｄ）高級アルコール、
   （Ｅ）非イオン性界面活性剤、
   （Ｆ）水、及び
   （Ｇ）油分
   を含有する水中油型乳化化粧料。
2. （Ｄ）高級アルコールがステアリルアルコールとベヘニルアルコールとの組み合わせである、請求項１記載の水中油型乳化化粧料。
3. （Ｅ）非イオン性界面活性剤がベヘネス−２０、ポリソルベート６０及びステアリン酸ＰＥＧ−４０から選択される１種又は２種以上である、請求項１又は２に記載の水中油型乳化化粧料。