JP2015174405A - 加熱転写用転写箔シート及びその製造方法、並びに化粧部材及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】基材11上に、表面保護層12及びヒートシール層13をこの順に有してなる転写箔シート10であって、前記表面保護層は電離放射線硬化性樹脂組成物の硬化物を含有してなり、前記ヒートシール層は、非架橋性アクリル樹脂、非架橋性ポリウレタン樹脂及びブロックイソシアネートAを含有してなり、かつ前記非架橋性アクリル樹脂と前記非架橋性ポリウレタン樹脂との質量比が10:90〜50:50である加熱転写用転写箔シート。
【選択図】図1
Description
例えば特許文献1には、支持体シート上に、剥離可能な転写層として、電離放射線硬化性樹脂の架橋硬化物から形成された表面保護層、プライマー層、装飾層及び接着剤層を有する転写シートが開示されている。
特許文献1では、平均分子量2万以下のポリメチルメタクリレートからプライマー層を形成することで、プライマー層を介して、電離放射線硬化性樹脂組成物から形成される表面保護層と、装飾層との密着性向上を図っている。また、ガラス転移温度の低い樹脂は比較的密着性に優れるため、プライマー層等をガラス転移温度の低い樹脂から形成することにより、電離放射線硬化性樹脂組成物から形成される表面保護層と、他の層との密着性を向上する手段も考えられる。
また、プライマー層等を、密着性に優れる樹脂と、耐久性に優れる樹脂との混合により構成することも考えられるが、初期密着性及び耐久密着性をともに良好にすることは困難であり、さらに、樹脂が相溶せず白化して意匠性の低下を招く場合がある。
[1]基材上に、表面保護層及びヒートシール層をこの順に有してなる転写箔シートであって、前記表面保護層は電離放射線硬化性樹脂組成物の硬化物を含有してなり、前記ヒートシール層は、非架橋性アクリル樹脂、非架橋性ポリウレタン樹脂及びブロックイソシアネートAを含有してなり、かつ前記非架橋性アクリル樹脂と前記非架橋性ポリウレタン樹脂との質量比が10:90〜50:50である加熱転写用転写箔シート。
[2]前記表面保護層中にブロックイソシアネートBを含有してなる上記[1]に記載の加熱転写用転写箔シート。
[3]前記表面保護層とヒートシール層との間にプライマー層を有してなる上記[1]又は[2]に記載の加熱転写用転写箔シート。
[4]以下の(1)、(2)の工程を順に行う加熱転写用転写箔シートの製造方法。
(1)基材上に、電離放射線硬化性樹脂組成物を含有してなる表面保護層用インキから表面保護層を形成する工程
(2)前記表面保護層上に直接又は他の層を介して、非架橋性アクリル樹脂、非架橋性ポリウレタン樹脂及びブロックイソシアネートAを含有してなり、かつ前記非架橋性アクリル樹脂と前記非架橋性ポリウレタン樹脂との質量比が10:90〜50:50であるヒートシール層用インキを塗布し、ブロックイソシアネートAのマスク剤の解離温度未満の温度で乾燥して、ヒートシール層を形成する工程
[6]前記被転写部材と前記ヒートシール層との間に意匠シートを介在してなる上記[5]に記載の基材付き化粧部材。
[7]上記[5]又は[6]に記載の基材付き化粧部材の表面の基材を剥離してなる化粧部材。
(a)被転写部材と、請求項1〜3の何れかに記載の加熱転写用転写箔シートとを、前記加熱転写用転写箔シートのヒートシール層側の面が前記被転写部材に対向する向きで一体化する工程
(b)前記加熱転写用転写箔シートを、ヒートシール層中のブロックイソシアネートAのマスク剤の解離温度以上の温度で熱処理する工程
[9]被転写部材と、上記[1]〜[3]の何れかに記載の加熱転写用転写箔シートのヒートシール層側の面とを接触させて熱処理することにより、前記(a)及び(b)の工程を同時に行う上記[8]に記載の基材付き化粧部材の製造方法。
[10]前記被転写部材と意匠シートとを接着してなる意匠シート付き被転写部材を予め作製し、該意匠シート付き被転写部材の意匠シート側の面と、上記[1]〜[3]の何れかに記載の加熱転写用転写箔シートのヒートシール層側の面とを接触させて熱処理することにより、前記(a)及び(b)の工程を同時に行う上記[8]に記載の基材付き化粧部材の製造方法。
[11]上記[1]〜[3]の何れかに記載の加熱転写用転写箔シートのヒートシール層側の面と、意匠シートとを接触させて熱処理し、該転写箔シートと該意匠シートとを積層した積層シートを作製することにより、前記(b)の工程を行い、該積層シートの意匠シート側の面と前記被転写部材とを接着して一体化することにより、前記(a)の工程を行う上記[8]に記載の基材付き化粧部材の製造方法。
[12]上記[8]〜[11]の何れかに記載の基材付き化粧部材を製造した後、基材付き化粧部材の表面の基材を剥離する化粧部材の製造方法。
また、本発明の転写箔シート及び化粧部材の製造方法は、該性能を有する転写箔シート及び化粧部材を効率よく製造することができる。
本発明の加熱転写用転写箔シートは、基材上に、表面保護層及びヒートシール層をこの順に有してなる転写箔シートであって、前記表面保護層は電離放射線硬化性樹脂組成物の硬化物を含有してなり、前記ヒートシール層は、非架橋性アクリル樹脂、非架橋性ポリウレタン樹脂及びブロックイソシアネートAを含有してなり、かつ前記非架橋性アクリル樹脂と前記非架橋性ポリウレタン樹脂との質量比が10:90〜50:50であるものである。
図1の加熱転写用転写箔シート10は、ヒートシール層13側の面を図示しない被転写部材に接着させ、接着後に基材11のみを剥離することにより、ヒートシール層13及び表面保護層12を被転写部材に転写して、化粧部材を作製することができる。
基材としては、各種紙類やプラスチックフィルム等の支持体として機能するものであれば特に制限されることなく使用することができるが、被転写部材の被転写面が平面でない場合の被転写部材への追従性の観点から、プラスチックフィルムが好適である。
これらプラスチックフィルムの中では、寸法安定性や強度の観点からは、ポリエチレンテレフタレート樹脂が好適であり、必要に応じて延伸加工されていても良い。
基材の厚みは特に限定されないが、転写の際の作業性の観点から、20〜100μmであることが好ましく、20〜60μmであることがより好ましい。
表面保護層は、電離放射線硬化性樹脂組成物の硬化物を含有してなるものであり、被転写部材に転写された後に最表面に位置する。
電離放射線硬化性樹脂としては、従来電離放射線硬化性の樹脂として慣用されている樹脂を用いることができ、例えば、電離放射線硬化性官能基である(メタ)アクリロイル基を有してなる(メタ)アクリレート系樹脂を用いることができる。なお、「(メタ)アクリレート」とは、「アクリレート又はメタクリレート」を意味する。
(メタ)アクリレート系樹脂としては、ウレタン(メタ)アクリレート、アクリル(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート及びエポキシ(メタ)アクリレート等のモノマー、オリゴマー及びプレポリマーが挙げられる。
なお、電離放射線とは、電磁波又は荷電粒子線のうち、分子を重合あるいは架橋し得るエネルギー量子を有するものを意味し、通常、紫外線(UV)又は電子線(EB)が用いられるが、その他、X線、γ線などの電磁波、α線、イオン線などの荷電粒子線も使用可能である。本発明では、電離放射線硬化性樹脂の中でも、電子線で硬化する電子線硬化性樹脂が好適である。電子線硬化性樹脂は、表面保護層中に紫外線吸収剤を添加しても硬化が阻害されず、また、無用剤化もしやすい点で優れている。
光重合開始剤としては、アセトフェノン、ベンゾフェノン、α−ヒドロキシアルキルフェノン、ミヒラーケトン、ベンゾイン、ベンジルメチルケタール、ベンゾイルベンゾエート、α−アシルオキシムエステル、チオキサンソン類等から選ばれる1種以上が挙げられる。
また、光重合促進剤は、硬化時の空気による重合阻害を軽減させ硬化速度を速めることができるものであり、例えば、p−ジメチルアミノ安息香酸イソアミルエステル、p−ジメチルアミノ安息香酸エチルエステル等から選ばれる1種以上が挙げられる。
ブロックイソシアネートBの含有量は、表面保護層の全固形分中の1〜20質量%であることが好ましく、2〜15質量%であることがより好ましく、3〜10質量%であることがさらに好ましい。
基材剥離調整剤は、基材と表面保護層の剥離強度(転写強度)が弱い場合に電離放射線硬化性樹脂組成物中に添加する。基材剥離調整剤は基材を構成する樹脂と同系統の樹脂が選択され、その含有量は塗膜性能及びインキ分散性の観点より、表面保護層の全樹脂成分中の0.1〜3.0質量%程度が好ましい。このことより、基材と表面保護層との分子間力が上がることで剥離強度が向上し、剥離強度調整が可能となる。
本発明では接着剤層として熱転写可能なヒートシール層を用いる。ヒートシール層は、非架橋性アクリル樹脂、非架橋性ポリウレタン樹脂及びブロックイソシアネートAを含有してなり、かつ非架橋性アクリル樹脂と非架橋性ポリウレタン樹脂との質量比が10:90〜50:50であるものである。
非架橋性アクリル樹脂又はブロックイソシアネートAを含有しない場合、耐久密着性を良好にすることができず、非架橋性ポリウレタン樹脂を含有しない場合、初期密着性及び耐久密着性を良好にすることができない。
また、非架橋性アクリル樹脂、非架橋性ポリウレタン樹脂及びブロックイソシアネートAの3成分を全て含有していても、非架橋性ポリウレタン樹脂に対して非架橋性アクリル樹脂が少なすぎる場合は耐久密着性を良好にすることができず、非架橋性ポリウレタン樹脂に対して非架橋性アクリル樹脂が多すぎる場合は、初期密着性及び耐久密着性を良好にすることができないとともに、樹脂の相溶性が低下して表面保護層が白化し、意匠性の低下を招く。
なお、非架橋性アクリル樹脂及び非架橋性ポリウレタン樹脂の一方又は両方を、架橋性のアクリル樹脂及び架橋性のポリウレタンに変更した場合、初期密着性及び耐久密着性を良好にすることができないとともに、樹脂の相溶性が低下して表面保護層が白化し、意匠性の低下を招く。
本発明のヒートシール層は、表面保護層との密着性のみならず、後述する他の層、遺書シート、被着材との密着性にも優れる点で好適である。
このため、非架橋性アクリル樹脂及び非架橋性ポリウレタン樹脂は、水酸基価が20mgKOH/g以下であることが好ましく、10mgKOH/g以下であることがより好ましく、2mgKOH/g以下であることがさらに好ましい。
水酸基価は、試料1g中に含まれるOH基をアセチル化するために要する水酸化カリウムのmg数をいい、無水酢酸を用いたアセチル化法によって測定することができる。
非架橋性アクリル樹脂は、重量平均分子量は通常2,000〜100,000程度であり、ガラス転移温度(Tg)は通常−20〜90℃程度である。
非架橋性ウレタン樹脂の原料となるポリオール1分子中の水酸基数及びイソシアネート1分子中のイソシアネート基は、通常平均2程度である。また、非架橋性ウレタン樹脂は、重量平均分子量は通常10,000〜100,000程度であり、ガラス転移温度(Tg)は通常−50〜0℃程度である。
ヒートシール層中にブロックイソシアネートAを含有することにより、被転写部材への熱転写時にブロックイソシアネートAのマスク剤を解離させることで、イソシアネートがヒートシール層中で反応するとともに、ヒートシール層と表面保護層等との界面で反応し、耐久密着性をより良好にすることができる。
また、非架橋性アクリル樹脂及び非架橋性ポリウレタン樹脂の合計100質量部に対するブロックイソシアネートAの含有量は、1〜20質量部含有であることが好ましく、2〜15質量部であることがより好ましく、3〜10質量部であることがさらに好ましい。
ヒートシール層の厚みは、被転写部材への密着性の観点、ヒートシール層と接する層(主として表面保護層)との密着性(初期密着性及び耐久密着性)の観点、及び表面保護層の耐擦傷性の観点から、0.1〜30μmとすることが好ましい。
本発明の加熱転写用転写箔シートは、表面保護層とヒートシール層との間に他の層を有していてもよい。
他の層としては、プライマー層、意匠層、隠蔽層及び帯電防止層等が挙げられる。上述したヒートシール層は、表面保護層に限らず他の層との密着性にも優れることから、表面保護層とヒートシール層との間に他の層を有していても、本発明の効果を発揮することができる。なお、薄膜化や製造効率の観点からは、本発明の加熱転写用転写箔シートは、表面保護層とヒートシール層との間に他の層を介在させず、表面保護層とヒートシール層とが接する構成が好適である。
意匠層としては、金属箔、金属蒸着膜等の金属層、着色層及び絵柄層等が挙げられる。
隠蔽層は、被転写部材の模様や色を隠蔽して意匠性を良好にするために、必要に応じて意匠層上に設けられる。
本発明の加熱転写用転写箔シートは、薄膜で追従性に優れることから、被転写部材が凹凸形状を有するもの、曲面を有するもの、角を有するもの等の非平面状のものであっても用いることができる。また、本発明の加熱転写用転写箔シートは、薄膜でリサイクル性に優れることから、リサイクルの概念が一般化している建具に好適に用いることができる。さらに、本発明の加熱転写用転写箔シートは、初期密着性のみならず耐久密着性に優れることから、建築物の外装、車両の外装等の屋外用にも好適に用いることができる。
本発明の転写箔シートの製造方法は、以下の(1)、(2)の工程を順に行うものである。
以下の(1)、(2)の工程を順に行う加熱転写用転写箔シートの製造方法。
(1)基材上に、電離放射線硬化性樹脂組成物を含有してなる表面保護層用インキから表面保護層を形成する工程
(2)前記表面保護層上に直接又は他の層を介して、非架橋性アクリル樹脂、非架橋性ポリウレタン樹脂及びブロックイソシアネートAを含有してなり、かつ前記非架橋性アクリル樹脂と前記非架橋性ポリウレタン樹脂との質量比が10:90〜50:50であるヒートシール層用インキを塗布し、ブロックイソシアネートAのマスク剤の解離温度未満の温度で乾燥して、ヒートシール層を形成する工程
表面保護層用インキは、電離放射線硬化性樹脂組成物を含有するものであるが、ブロックイソシアネートBを含有してもよい。また、表面保護層用インキは、さらに本発明の効果を阻害しない範囲で、基材剥離調整剤、希釈溶剤、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂、顔料、染料、酸化防止剤、紫外線吸収剤等を含有してもよい。
表面保護層用インキを塗布する手段は、ディップコート、ロールコート、バーコート、ダイコート、グラビアコート、ブレードコート、エアナイフコート等の公知のコーティング手段が挙げられる。
表面保護層用インキが希釈溶剤を含有する場合、塗布後に乾燥を行う。表面保護層の乾燥条件は、40〜80℃で5〜60秒程度である。
電離放射線を照射するタイミングとしては、工程(1)の段階、工程(1)と工程(2)との間の段階、工程(2)の段階、工程(2)の後の段階が挙げられる。
通常、電離放射線硬化性樹脂組成物から形成される層に対して、次工程の塗工物の密着性を良好にするためには、電離放射線を照射するタイミングを、電離放射線硬化性樹脂組成物層を形成する段階ではなく、次工程の段階あるいは次工程以降とする。しかし、電離放射線硬化型樹脂組成物がタックフリーではない場合、次工程の塗工性を良好にするためには、電離放射線硬化性樹脂組成物層を形成する段階で電離放射線を照射する必要がある。本発明では、電離放射線硬化型樹脂組成物がタックフリーであるか否かに関わらず、次工程の塗工物(ヒートシール層インキ)の密着性を良好にできるため、電離放射線硬化性樹脂の選択の幅を広げられるとともに、電離放射線の照射のタイミングも選択した樹脂に応じて決定できる点で好適である。
ヒートシール層用インキは、非架橋性アクリル樹脂、非架橋性ポリウレタン樹脂及びブロックイソシアネートAを含むものである。ヒートシール層用インキは希釈溶剤で希釈することが好ましく、また、本発明の効果を阻害しない範囲で、熱硬化性樹脂、他の熱可塑性樹脂、顔料、染料、酸化防止剤、紫外線吸収剤等を含有してもよい。
ヒートシール層の乾燥温度は、ブロックイソシアネートAのマスク剤の解離温度未満の温度とする。表面保護層中にブロックイソシアネートBを含有する場合には、さらにブロックイソシアネートBのマスク剤の解離温度未満の温度とすることが好ましい。ヒートシール層の乾燥条件は、通常40〜80℃で5〜60秒程度である。
本発明の基材付き化粧部材は、被転写部材と、上述した本発明の加熱転写用転写箔シートとを、前記加熱転写用転写箔シートのヒートシール層側の面が前記被転写部材に対向する向きで一体化してなるものである。本発明の基材付き化粧部材は、ヒートシール層中のブロックイソシアネートAは、一体化する際の加熱処理によりマスク剤が解離した状態である。
図3のタイプの基材付き化粧部材40は、後述の基材付き化粧部材の製造方法の実施形態B又はCにより製造することができる。
意匠シートが支持体上に意匠層を有する構成の場合、意匠シートは、支持体側の面を被転写部材側に向け、意匠層側の面をヒートシール層側に向けることが好ましい。
本発明の基材付き化粧部材の製造方法は、以下の(a)、(b)の工程を有するものである。
(a)被転写部材と、上述した本発明の加熱転写用転写箔シートとを、前記加熱転写用転写箔シートのヒートシール層側の面が前記被転写部材に対向する向きで一体化する工程
(b)前記加熱転写用転写箔シートを、ヒートシール層中のブロックイソシアネートAのマスク剤の解離温度以上の温度で熱処理する工程
(実施形態A)
被転写部材20と、上述した本発明の加熱転写用転写箔シート10のヒートシール層13側の面とを接触させて熱処理することにより、上記(a)及び(b)の工程を同時に行う製造方法(図4参照)。
(実施形態B)
被転写部材20と意匠シート30とを接着してなる意匠シート付き被転写部材を予め作製し、該意匠シート付き被転写部材の意匠シート30側の面と、上述した本発明の加熱転写用転写箔シート10のヒートシール層13側の面とを接触させて熱処理することにより、前記(a)及び(b)の工程を同時に行う製造方法(図5参照)。
被転写部材と意匠シートとを接着する手段は、接着剤を用いても良いし、意匠シートが熱可塑性樹脂の支持体を有する場合には、加熱処理により意匠シートの支持体に生じる接着力を用いても良い。
(実施形態C)
上述した本発明の加熱転写用転写箔シート10のヒートシール層13側の面と、意匠シート30とを接触させて熱処理し、該転写箔シート10と該意匠シート30とを積層した積層シート(以下、「化粧シート」と称する場合がある。)を作製することにより、前記(b)の工程を行い、該積層シート(化粧シート)の意匠シート30側の面と前記被転写部材20とを接着して一体化することにより、前記(a)の工程を行う製造方法(図6参照)。
上記積層シート(化粧シート)と被転写部材とを接着する手段は、接着剤を用いても良いし、意匠シートが熱可塑性樹脂の支持体を有する場合には、加熱処理により意匠シートの支持体に生じる接着力を用いても良い。
実施形態B及びCにおいて、意匠シートが支持体上に意匠層を有する構成の場合、意匠シートは、支持体側の面を被転写部材側に向け、意匠層側の面をヒートシール層側に向けることが好ましい。
各実施例及び比較例で得られた加熱転写用転写箔シート、及び該転写箔シートから作製した化粧シートについて、以下の方法で評価した。
(1)初期密着性
化粧シートを作製した直後の表面保護層とヒートシール層、ヒートシールと意匠層の密着性を以下の手法により評価した。
(2)耐久密着性
UVランプ(商品名「M04−L21WB/SUV」、岩崎電気社製)、ランプジャケット(商品名「WJ50−SUV」、岩崎電気社製)及び照度計(商品名「UVD−365PD」、岩崎電機社製)を備えた超促進耐候性試験装置(商品名「アイ スーパー UVテスター SUV−W131」、岩崎電気社製)を使用した。化粧部材に対し、ブラックパネル温度63℃、照度60mW/cm2の条件で20時間照射を行った後、4時間結露を行うサイクルを繰り返し、50時間後の表面保護層とヒートシール層との密着性を以下の手法により評価した。
[密着性の評価手法]
化粧シートの表面保護層に、室温下でセロファンテープ(ニチバン社製のセロファン粘着テープ、「セロテープ(登録商標)」25mm幅)を強く貼着させ、化粧部材の表面と45度の方向に、該セロファンテープを強制的に剥離した。化粧部材の表面の状態について評価した。
A:同じ場所で5回以上セロファンテープの剥離を行ったが、表面保護層の剥離がみられないもの。
B:1回目は表面保護層の剥離が見られなかったが、2回目以降はセロファンテープ密着部分の一部に剥離がみられたもの。
C:1回目よりセロファンテープ密着部分の一部に剥離がみられたもの。
C-:1回目よりセロファンテープ密着部分の全面に剥離がみられたもの。
化粧シートの外観意匠性を目視にて観察した。
A:ヒートシール層に起因する白濁による外観の不具合は見られなかった。
B:ヒートシール層に起因する軽微白濁は見られたが、外観上問題ないレベルであった。
C:ヒートシール層に起因する白濁が見られた。
厚さ24μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(三菱樹脂社製)の離型処理面上に、電子線硬化性樹脂(ウレタンアクリレート)を含有してなる表面保護層用インキを、乾燥後の厚みが3μmとなるようにグラビア印刷法により塗布、乾燥し、次いで、酸素濃度200ppmの環境下において、加速電圧125KeV、5Mradの条件で電子線を照射して電子線硬化性樹脂を硬化させ、表面保護層を形成した。
次いで、非架橋性アクリル樹脂(水酸基価1.0mgKOH/g以下、重量平均分子量40,000、ガラス転移温度30℃)を10質量部、非架橋性ポリウレタン樹脂(水酸基価0.5mgKOH/g以下、重量平均分子量80,000、ガラス転移温度−20℃)を90質量部、ブロックイソシアネートA(旭化成ケミカルズ社製、デュラネートTPA−B80X、マスク剤の解離温度130℃)を8質量部含有してなるヒートシール層用インキを、乾燥後の厚みが2μmとなるように塗布し、60℃で30秒乾燥して、ヒートシール層を形成し、加熱転写用転写箔シートを作製した。
ヒートシール層の非架橋性アクリル樹脂と、非架橋性ポリウレタン樹脂との質量比率を表1の割合に変更した以外は、実施例1と同様の手法により、加熱転写用転写箔シートを作製した。
電子線硬化性樹脂(ウレタンアクリレート)100質量部に対し、ブロックイソシアネートB(マスク剤の解離温度130℃)を8重量部添加したものを表面保護層用インキとして用いた以外は、実施例1と同様の手法で加熱転写用転写箔シートを作製した。
ヒートシール層用インキから非架橋性アクリル樹脂及び非架橋性ポリウレタン樹脂を除き、アクリルポリオール(水酸基価100mgKOH/g)を20部、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体を80部添加した以外は、実施例1と同様の手法により、加熱転写用転写箔シートを作製した。
ヒートシール層の非架橋性アクリル樹脂と、非架橋性ポリウレタン樹脂との質量比率を表1の割合に変更し、ブロックイソシアネートAをヘキサメチレンジイソシアネート(HMDI)に変更した以外は、実施例1と同様の手法により、加熱転写用転写箔シートを作製した。
ヒートシール層の非架橋性アクリル樹脂をアクリルポリオール(水酸基価100mgKOH/g)に変更し、該アクリルポリオールと、非架橋性ポリウレタン樹脂との質量比率を表1の割合に変更した以外は、実施例1と同様の手法により、加熱転写用転写箔シートを作製した。
厚み100μmからなるポリ塩化ビニル製の着色基材シート上に、アクリル樹脂及び塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体系樹脂の混合体からなる印刷インキで意匠層(絵柄層)を形成し、意匠シートを作製した。
実施例1〜5及び比較例1〜7で作製した加熱転写用転写箔シートを40℃環境下で3日養生した。養生後の転写箔シートのヒートシール側と、意匠シートの絵柄層とが接するようにし、160℃に加温したロールラミネーター機で貼り合わせた。次いで、転写箔シートのポリエステルフィルムを剥離し、意匠シートに表面保護層及びヒートシール層が転写された化粧シートを得た。表1の評価は、化粧シート作製後に、さらに40℃環境下で3日養生した後に行ったものである。
11:基材
12:表面保護層
13:ヒートシール層
20:被転写部材
30:意匠シート
40:基材付き化粧部材
Claims (12)
- 基材上に、表面保護層及びヒートシール層をこの順に有してなる転写箔シートであって、前記表面保護層は電離放射線硬化性樹脂組成物の硬化物を含有してなり、前記ヒートシール層は、非架橋性アクリル樹脂、非架橋性ポリウレタン樹脂及びブロックイソシアネートAを含有してなり、かつ前記非架橋性アクリル樹脂と前記非架橋性ポリウレタン樹脂との質量比が10:90〜50:50である加熱転写用転写箔シート。
- 前記表面保護層中にブロックイソシアネートBを含有してなる請求項1に記載の加熱転写用転写箔シート。
- 前記表面保護層とヒートシール層との間にプライマー層を有してなる請求項1又は2に記載の加熱転写用転写箔シート。
- 以下の(1)、(2)の工程を順に行う加熱転写用転写箔シートの製造方法。
(1)基材上に、電離放射線硬化性樹脂組成物を含有してなる表面保護層用インキから表面保護層を形成する工程
(2)前記表面保護層上に直接又は他の層を介して、非架橋性アクリル樹脂、非架橋性ポリウレタン樹脂及びブロックイソシアネートAを含有してなり、かつ前記非架橋性アクリル樹脂と前記非架橋性ポリウレタン樹脂との質量比が10:90〜50:50であるヒートシール層用インキを塗布し、ブロックイソシアネートAのマスク剤の解離温度未満の温度で乾燥して、ヒートシール層を形成する工程 - 被転写部材と、請求項1〜3の何れかに記載の加熱転写用転写箔シートとを、前記加熱転写用転写箔シートのヒートシール層側の面が前記被転写部材に対向する向きで一体化してなる基材付き化粧部材。
- 前記被転写部材と前記ヒートシール層との間に意匠シートを介在してなる請求項5に記載の基材付き化粧部材。
- 請求項5又は6に記載の基材付き化粧部材の表面の基材を剥離してなる化粧部材。
- 以下の(a)、(b)の工程を有する基材付き化粧部材の製造方法。
(a)被転写部材と、請求項1〜3の何れかに記載の加熱転写用転写箔シートとを、前記加熱転写用転写箔シートのヒートシール層側の面が前記被転写部材に対向する向きで一体化する工程
(b)前記加熱転写用転写箔シートを、ヒートシール層中のブロックイソシアネートAのマスク剤の解離温度以上の温度で熱処理する工程 - 被転写部材と、請求項1〜3の何れかに記載の加熱転写用転写箔シートのヒートシール層側の面とを接触させて熱処理することにより、前記(a)及び(b)の工程を同時に行う請求項8に記載の基材付き化粧部材の製造方法。
- 前記被転写部材と意匠シートとを接着してなる意匠シート付き被転写部材を予め作製し、該意匠シート付き被転写部材の意匠シート側の面と、請求項1〜3の何れかに記載の加熱転写用転写箔シートのヒートシール層側の面とを接触させて熱処理することにより、前記(a)及び(b)の工程を同時に行う請求項8に記載の基材付き化粧部材の製造方法。
- 請求項1〜3の何れかに記載の加熱転写用転写箔シートのヒートシール層側の面と、意匠シートとを接触させて熱処理し、該転写箔シートと該意匠シートとを積層した積層シートを作製することにより、前記(b)の工程を行い、該積層シートの意匠シート側の面と前記被転写部材とを接着して一体化することにより、前記(a)の工程を行う請求項8に記載の基材付き化粧部材の製造方法。
- 請求項8〜11の何れかに記載の基材付き化粧部材を製造した後、基材付き化粧部材の表面の基材を剥離する化粧部材の製造方法。
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