JP2021142708A - 加飾シート及び加飾物品の製造方法 - Google Patents

加飾シート及び加飾物品の製造方法 Download PDF

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祥伍 宮代
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Abstract

【課題】セパレータを貼り合わせた状態のまま成形しても、成形後にセパレータが剥がしにくくなったり、皺が生じたりすることを抑制し得る加飾シートを提供する。【解決手段】加熱して予備成形した後に、セパレータを剥離して被着体に貼り合わせるための加飾シートであって、粘着剤層を含む加飾層の粘着剤層側の面と、セパレータとが積層されてなり、前記粘着剤層の20℃貯蔵弾性率が2.0×105Pa以上1.0×107Pa以下であり、前記粘着剤層の130℃貯蔵弾性率が5.0×105Pa以下である、加飾シート。【選択図】図1

Description

本発明は、加飾シート及び加飾物品の製造方法に関する。
自動車等の車両、建築物の内装材及び外装材、家具等の材料の意匠性を高める手法として、スプレー等による塗装が行われている。しかし、塗装は、溶剤による環境負荷、乾燥及び冷却工程で必要となる電気に基づくCO排出負荷が大きい。また、塗装は、複数回の塗装(例えば、パール調の塗装の場合、プライマー、下塗り、中塗り、上塗りカラーベース、パールベース、上塗りクリアの6回塗装する場合がある。)を行うことから、塗装及び乾燥の一連の工程が繰り返し行われることとなり、前述した問題が深刻になりやすく、さらにはコストも増加する。このため、近年、自動車の塗装では、冷却工程のCO排出を軽減し得る樹脂部材の塗装への切り替えが行われている。
しかし、樹脂部材の塗装は、樹脂部材が三次元構造を有する場合に塗布むらが発生してしまい、綺麗な塗装を施すことは困難であった。
そこで、塗装の代替手段として、化粧材などの加飾シートを被着体に貼着し、意匠性を付与することが知られている。
例えば、平板シート状に成形してなる加飾シートをドライヤー等で加熱し、被着体の形状に応じて伸ばしながら、別途用意した接着剤及び接着テープ等を介して、被着体に貼着する加飾法が知られている。しかしながら、かかる加飾法は、貼着作業が煩雑であり、また、複雑な三次元形状に対応し難いものであった。
上記の問題を解消するために、特許文献1及び2の加飾シート及びこれを用いた加飾法が新たに提案されている。
特開平5−245981号公報 特開2017−119403号公報
特許文献1の加飾シートは、特定の物性を備えた塩化ビニル樹脂シートの裏面に合成樹脂粘着剤を塗布し、離型紙を貼着してなるものである。特許文献1の加飾シートは、離型紙を剥離し、露出した粘着剤層をアルミ板及び鋼板等の被着体に貼り合わせてなる複合材を得て、該複合材をプレス成形により深絞り加工して加飾成形体を得るものである。
また、特許文献2の加飾シートは、表面層、特定の樹脂を含む第1樹脂層、及び特定の物性を備えた接着層を有してなるものである。特許文献2の加飾シートは、基材(被着体)に接着層を貼り合わせ、真空成形することにより三次元形状の加飾成形体を得るものである。
特許文献1の加飾成型品は、加飾シートを被着体に貼り合わせてから深絞り加工を行って得られるものである。また、特許文献2の加飾成形品は、加飾シートを加熱して軟化した後、真空吸引して、軟化した加飾シートを三次元形状を有する被着体に密着させることにより得られるものである。このため、特許文献1及び2の加飾成形品は、車両及び建造物等に加飾成形品を組み込む段階で、被着体と加飾シートとは一体化されている。このように被着体と加飾シートとが一体化されている場合において、車両及び建造物等の加飾成形品を組み込んだ以外の箇所を塗装しようとすると、加飾成形品を組み込んだ箇所をマスキングする必要があり、作業効率が低下してしまう。また、被着体と加飾シートとが一体化されている場合、加飾シートの不要部分をトリミングしにくいという問題もある。
当該問題を解消するために、粘着剤層上のセパレータを貼り合わせた状態のままで加飾シートを成形し、成形後にセパレータを剥がして、塗装作業が終了した車両の所望の箇所に成形した加飾シートを貼り合わせることが考えられる。しかし、セパレータを貼り合わせた状態のまま加飾シートを成形した場合、成形後にセパレータが剥がしにくくなったり、皺が生じたりすることが頻発した。
本発明は、セパレータを貼り合わせた状態のまま成形しても、成形後にセパレータが剥がしにくくなったり、皺が生じたりすることを抑制し得る加飾シート及び加飾物品の製造方法を提供することを目的とする。
本発明は、以下の[1]〜[2]を提供する。
[1]加熱して予備成形した後に、セパレータを剥離して被着体に貼り合わせるための加飾シートであって、透明基材及び粘着剤層を含む加飾層の粘着剤層側の面と、セパレータとが積層されてなり、前記粘着剤層の20℃貯蔵弾性率が2.0×10Pa以上1.0×10Pa以下であり、前記粘着剤層の130℃貯蔵弾性率が5.0×10Pa以下である、加飾シート。
[2]下記(1)〜(3)の工程を順に行う、加飾物品の製造方法。
(1)下記の加飾シートを加熱して予備成形する工程。
(2)予備成形した加飾シートのセパレータを剥離して、粘着剤層を露出する工程。
(3)露出した粘着剤層を被着体に貼り合わせ、被着体上に粘着剤層を含む加飾層を積層してなる加飾物品を得る工程。
〔加飾シート〕
透明基材及び粘着剤層を含む加飾層の粘着剤層側の面と、セパレータとが積層されてなる加飾シートであって、前記粘着剤層の20℃貯蔵弾性率が2.0×10Pa以上1.0×10Pa以下であり、前記粘着剤層の130℃貯蔵弾性率が5.0×10Pa以下である。
本発明によれば、セパレータを貼り合わせた状態のまま成形しても、成形後にセパレータが剥がしにくくなったり、皺が生じたりすることを抑制し得る加飾シート及び加飾物品の製造方法を提供することができる。
本発明の加飾シートの一実施形態を示す模式断面図である。 本発明の加飾シートの他の実施形態を示す模式断面図である。 本発明の加飾物品の製造方法の各工程の一実施形態を示す模式断面図である。
[加飾シート]
本発明の加飾シートは、加熱して予備成形した後に、セパレータを剥離して被着体に貼り合わせるための加飾シートであって、透明基材及び粘着剤層を含む加飾層の粘着剤層側の面と、セパレータとが積層されてなり、前記粘着剤層の20℃貯蔵弾性率が2.0×10Pa以上1.0×10Pa以下であり、前記粘着剤層の130℃貯蔵弾性率が5.0×10Pa以下である、ものである。
図1及び図2は、本発明の加飾シートの実施形態を示す断面図である。
図1及び図2の加飾シート100は、透明基材11及び粘着剤層13を含む加飾層10の粘着剤層13側の面と、セパレータ20とが積層されている。また、図1の加飾シートの加飾層10は、外層側から、透明基材11、中間基材12及び粘着剤層13をこの順に有している。また、図2の加飾シートの加飾層10は、外層側から、保護層14、透明基材11、装飾層15、中間基材12及び粘着剤層13をこの順に有している。
<加飾層>
加飾層は、少なくとも透明基材及び粘着剤層を有する。
<<透明基材>>
透明基材は粘着剤層よりも外層側に位置する層である。
透明基材は樹脂を含む基材であることが好ましい。透明基材に含まれる樹脂としては、ポリ(メタ)アクリル酸メチル及びポリ(メタ)アクリル酸エチル等のアクリル樹脂;ポリフッ化ビニリデン等のフッ素樹脂;ポリエチレン及びポリプロピレン等のオレフィン樹脂;ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコール、エチレン−酢酸ビニル共重合体及びエチレン−ビニルアルコール共重合体等のビニル樹脂;ナイロン6及びナイロン66等のアミド樹脂;これら樹脂の変性樹脂;等の各種樹脂から選ばれる1種以上が挙げられる。変性樹脂としては、含フッ素ポリ(メタ)アクリル酸メチル及び含フッ素ポリ(メタ)アクリル酸エチル等のフッ素変性アクリル樹脂等が挙げられる。
これらの樹脂の中でも、三次元形状の成形性及び耐候性の観点から、アクリル樹脂、フッ素樹脂及びフッ素変性アクリル樹脂から選ばれる少なくとも1種以上の樹脂を主成分として含むことが好ましく、さらに、透明性の観点から、アクリル樹脂及びフッ素変性アクリル樹脂から選ばれる少なくとも1種以上の樹脂を主成分として含むことがより好ましい。なお、主成分とは、透明基材を構成する全樹脂の50質量%以上であることを意味し、好ましくは70質量%以上、より好ましくは90質量%以上、さらに好ましくは95質量%以上である。
また、上述した樹脂において、耐候性オレフィン樹脂も有用である。耐候性オレフィン樹脂としては、出光ユニテック株式会社製のポリプロピレンフィルム(商品名:ピュアサーモ)が挙げられる。
透明基材は、各種樹脂から選ばれる1種以上を含む層の単層基材であってもよいし、各種樹脂から選ばれる1種以上を含む層の二層以上有する多層基材であってもよい。
透明基材はゴム粒子を含有するものであってもよい。透明基材がゴム粒子を含有することにより、三次元形状の成形性をより良好にすることができる。
透明基材は、JIS K7136:2000のヘイズが5%以下であることが好ましく、3%以下であることがより好ましく、1%以下であることがさらに好ましい。
また、透明基材は、JIS K7361−1:1997の全光線透過率が85%以上であることが好ましく、90%以上であることがより好ましい。
透明基材は、必要に応じて形成する装飾層及び保護層との密着性を良好にするために、片面又は両面に物理的処理及び化学処理等の易接着処理されたものであってもよいし、片面又は両面に易接着層を有するものであってもよい。
また、透明基材及び粘着剤層等の加飾シートを構成する各層中には、紫外線吸収剤、光安定剤、酸化防止剤及び可塑剤等の添加剤を含有してもよい。
透明基材の厚みは、40〜250μmであることが好ましく、45〜175μmであることがより好ましく、50〜150μmであることがさらに好ましい。厚みを40μm以上とすることにより、耐チッピング性を良好にしやすくでき、厚みを250μm以下とすることにより、三次元形状の成形性を良好にしやすくできる。本明細書においてAA〜BBとは、AA以上BB以下であることを意味する。
耐チッピング性とは、衝撃(例えば、車両走行時の小石の衝突による衝撃)によって加飾層に傷が生じることを抑制することをいう。
透明基材及び粘着剤層等の加飾シートを構成する各層の厚みは、例えば、加飾シートの垂直断面を電子顕微鏡等で観察し、20箇所の平均値として算出できる。
<<粘着剤層>>
粘着剤層は、加飾層とセパレータとを貼り合わせる役割を有する層である。
本発明の加飾シートの粘着剤層は、20℃貯蔵弾性率が2.0×10Pa以上1.0×10Pa以下であり、130℃貯蔵弾性率が5.0×10Pa以下であることを要する。
粘着剤層の20℃貯蔵弾性率が2.0×10Pa未満の場合、予備成形後に粘着剤層からセパレータを剥離しにくくなる。この原因は、20℃貯蔵弾性率が低くなるほど粘着剤層とセパレータとの剥離強度が上昇する傾向があり、さらに、加飾シートが予備成形で三次元形状に成形されることによって凹凸形状に基づく負荷が重畳され、前述した剥離強度の上昇がより顕著になるためと考えられる。
また、粘着剤層の20℃貯蔵弾性率が1.0×10Paを超える場合、予備成形後に皺が生じることを抑制できない。皺は下記(A1)〜(A2)のステップで生じていると考えられる。
(A1)粘着剤層の20℃貯蔵弾性率が1.0×10Paを超える場合、加飾層の粘着剤層側の面とセパレータとを積層する際に気泡が混入しやすくなる。
(A2)混入した気泡が予備成形時の熱で膨張する。さらに、予備成形時の応力で気泡が特定の箇所に局在化しやすくなる。
また、粘着剤層の130℃貯蔵弾性率が5.0×10Paを超える場合、予備成形時に三次元形状に成形することが困難となる。
粘着剤層の20℃貯蔵弾性率は、2.2×10Pa以上5.0×10Pa以下であることが好ましく、2.5×10Pa以上2.0×10Pa以下であることがより好ましく、3.0×10Pa以上1.0×10Pa以下であることがさらに好ましい。
粘着剤層の130℃貯蔵弾性率は、3.0×10Pa以下であることが好ましく、2.0×10Pa以下であることがより好ましく、1.5×10Pa以下であることがさらに好ましい。
なお、粘着剤層の130℃貯蔵弾性率が小さすぎる場合、予備成形時に粘着剤層に厚みムラが生じる場合がある。このため、粘着剤層の130℃貯蔵弾性率は、1.0×10Pa以上であることが好ましく、5.0×10Pa以上であることがより好ましく、1.0×10Pa以上であることがさらに好ましい。
なお、本明細書において「貯蔵弾性率」とは、−50℃〜150℃において、昇温速度3.0℃/分、周波数1.0Hzの剪断モードで粘弾性測定を行った際の、指定した温度における貯蔵弾性率を意味する。
粘着剤層は、汎用の粘着性(感圧接着性)を有する樹脂を1種以上含むことが好ましい。また、粘着剤層は必要に応じて架橋剤(硬化剤)を含むことが好ましい。
汎用の粘着性(感圧接着性)を有する樹脂としては、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂、シリコーン系樹脂及びビニル系樹脂等が挙げられる。これらの中でもアクリル系樹脂が好ましい。アクリル系樹脂は、(メタ)アクリル酸エステルモノマーを含む組成物を重合してなるものが好ましい。
硬化剤としては、イソシアネート系硬化剤及びアミン系硬化剤等が挙げられる。
粘着剤層の貯蔵弾性率は、粘着性樹脂を構成するモノマーの種類、粘着性樹脂の分子量及び粘着性樹脂の重合度などで調整できる。
例えば、アクリル系樹脂の場合、(メタ)アクリル酸エステルモノマーとして、酸性基を有するエチレン性不飽和モノマーを用いると貯蔵弾性率が高くなる傾向がある。より具体的には、「アルキル基の炭素原子数が2〜26である(メタ)アクリル酸アルキルエステル」、「アルキル基の炭素原子数が4以下の(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルエステル」、「オキシエチレン基、オキシプロピレン基、オキシブチレン基及びこれらの複数の組合せが連結した基を含む(メタ)アクリレート」及び「アルコール残基中にカルボニル基を有する(メタ)アクリレート」から選ばれる1種以上を用いると貯蔵弾性率が低くなる傾向があり、さらに、組成物中に占めるこれらの割合を増やすほど貯蔵弾性率が低くなる傾向がある。
また、(メタ)アクリル酸エステルモノマーを含む組成物を重合する際の重合度を高くすると、貯蔵弾性率が高くなる傾向がある。
粘着剤層表面の純水に対する接触角は130度以下であることが好ましく、110度以下であることがより好ましく、90度以下であることがさらに好ましい。該接触角を130度以下とすることにより、粘着剤層にセパレータを貼り合わせる際の気泡混入を抑制しやすくでき、また、被着体に加飾層を貼り合わせる際の作業性を良好にしやすくできる。接触角の下限は通常は50度程度である。
接触角は、被測定面に1.0μLの液滴を滴下し、着滴10秒後の静的接触角をθ/2法に従って計測するものとする。接触角の測定時の雰囲気は、温度は23℃±5℃、相対湿度40〜65%とする。また、測定用サンプルを前記雰囲気に10分以上放置してから測定するものとする。
粘着剤層の厚みは、10〜200μmであることが好ましく、20〜150μmであることがより好ましく、25〜100μmであることがさらに好ましい。
粘着剤層の厚みを10μm以上とすることにより、接着強度を良好にしやすくできる。また、粘着剤層の厚みを200μm以下とすることにより、加飾シートの総厚みが厚くなりすぎることを抑制し、被着体上の加飾シートを有する箇所と有さないとの段差を感じにくくすることができる。
粘着剤層は、例えば、後述するセパレータ上に、粘着剤層塗布液を塗布、乾燥して形成することができる。あるいは、粘着剤層は、粘着剤層以外の加飾層を構成する層を積層した積層体を作製した後、該積層体の内層側に粘着剤層塗布液を塗布、乾燥して形成することもできる。
<<その他の層>>
加飾層は、透明基材及び粘着剤層及びセパレータ以外のその他の層を有していてもよい。その他の層としては、中間基材、保護層及び装飾層等が挙げられる。
−中間基材−
中間基材は、透明基材と粘着剤層との間に必要に応じて配置される。中間基材は、例えば、加飾シート及び加飾層の腰を強くすることにより、予備成形後の加飾シートの形状保持性、及びセパレータを剥離した後の加飾層の取り扱い性を良好にする役割を有する。
中間基材は、樹脂を含む基材であることが好ましい。中間基材に含まれる樹脂としては、ABS樹脂(アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体);ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコール、エチレン−酢酸ビニル共重合体及びエチレン−ビニルアルコール共重合体等のビニル樹脂;ポリ(メタ)アクリル酸メチル及びポリ(メタ)アクリル酸エチル等のアクリル樹脂;ポリフッ化ビニリデン等のフッ素樹脂;ポリエチレン及びポリプロピレン等のオレフィン樹脂;ナイロン6及びナイロン66等のアミド樹脂;これら樹脂の変性樹脂;等の各種樹脂から選ばれる1種以上が挙げられる。変性樹脂としては、含フッ素ポリ(メタ)アクリル酸メチル及び含フッ素ポリ(メタ)アクリル酸エチル等のフッ素変性アクリル樹脂等が挙げられる。
これらの樹脂の中でも、加飾シート及び加飾層の腰を強くする観点から、ABS樹脂及び塩化ビニル樹脂から選ばれる少なくとも1種以上の樹脂を主成分として含むことが好ましい。また、透明基材がアクリル樹脂及びフッ素変性アクリル樹脂から選ばれる少なくとも1種以上の樹脂を主成分として含む場合、透明基材が常温で硬くて脆くなりやすいため、加飾シートの常温での作業性(セパレータの剥離、被着体への貼り合わせ等の作業性)が低下する傾向にあるが、ABS樹脂及び塩化ビニル樹脂から選ばれる少なくとも1種以上の樹脂を主成分として含む中間基材を用いることにより、加飾シートの常温での作業性を良好にしやすくできる点で好ましい。
なお、主成分とは、中間基材を構成する全樹脂の50質量%以上であることを意味し、好ましくは70質量%以上、より好ましくは90質量%以上、さらに好ましくは95質量%以上である。
中間基材は着色されたものであってもよい。中間基材を着色することにより、加飾層自体に色彩が付与され、また、被着体の色味を隠蔽しやすくなるため、加飾成形体の意匠性を良好にしやすくできる。
中間基材は、例えば、顔料を添加することにより着色できる。
顔料は、二酸化チタン、硫酸バリウム、酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、酸化亜鉛及び鉛白等の白色顔料;カーボンブラック等の黒色顔料;黄鉛、チタン黄、弁柄、カドミウム赤、群青及びコバルトブルー等の有彩色無機顔料;キナクリドンレッド、イソインドリノンイエロー及びフタロシアニンブルー等の有彩色有機顔料等の1種以上を用いることができる。
中間基材の厚みは、25〜600μmであることが好ましく、40〜500μmであることがより好ましく、50〜450μmであることがさらに好ましい。
中間基材の厚みを25μm以上とすることにより、加飾シート及び加飾層の腰を強くしやすくできる。また、中間基材の厚みを600μm以下とすることにより、予備成形時の成形性を良好にしやすくできる。なお、中間基材が着色されたものである場合、中間基材の厚みを25μm以上とすることにより、被着体の色味を隠蔽しやすくできるため、意匠性を良好にしやすくできる。
中間基材と上述した透明基材とは、例えば、熱ラミネートで貼着したり、接着剤を介して貼着したりすることにより積層できる。透明基材と中間基材との間に装飾層を有する場合、透明基材及び/又は中間基材に装飾層を形成した後に、熱ラミネートによる貼着、又は、接着剤を介して貼着して積層すればよい。
−保護層−
透明基材の外層側(透明基材の粘着剤層とは反対側)の面上には、耐擦傷性を向上することなどを目的として、保護層を形成してもよい。
保護層は、硬化性樹脂組成物の硬化物を含むことが好ましい。硬化性樹脂組成物の硬化物は、熱硬化性樹脂組成物の硬化物、電離放射線硬化性樹脂組成物の硬化物が挙げられ、これらの中でも電離放射線硬化性樹脂組成物の硬化物が好ましい。
熱硬化性樹脂組成物は、少なくとも熱硬化性樹脂を含む組成物であり、加熱により、硬化する樹脂組成物である。熱硬化性樹脂としては、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、フェノール樹脂、尿素メラミン樹脂、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、シリコーン樹脂等が挙げられる。熱硬化性樹脂組成物には、これら硬化性樹脂に、必要に応じて硬化剤が添加される。
電離放射線硬化性樹脂組成物は、電離放射線硬化性官能基を有する化合物(以下、「電離放射線硬化性化合物」ともいう)を含む組成物である。電離放射線硬化性官能基としては、(メタ)アクリロイル基、ビニル基、アリル基等のエチレン性不飽和結合基、及びエポキシ基、オキセタニル基等が挙げられる。
電離放射線硬化性樹脂としては、エチレン性不飽和結合基を有する化合物が好ましい。また、加飾シートを製造する過程で樹脂層が傷つくことを抑制する観点からは、電離放射線硬化性樹脂としては、エチレン性不飽和結合基を2つ以上有する化合物がより好ましく、中でも、エチレン性不飽和結合基を2つ以上有する、多官能性(メタ)アクリレート系化合物が更に好ましい。多官能性(メタ)アクリレート系化合物としては、モノマー及びオリゴマーのいずれも用いることができる。
なお、電離放射線とは、電磁波又は荷電粒子線のうち、分子を重合あるいは架橋し得るエネルギー量子を有するものを意味し、通常、紫外線(UV)又は電子線(EB)が用いられるが、その他、X線、γ線などの電磁波、α線、イオン線などの荷電粒子線も使用可能である。
保護層は、表面凹凸を付与するなどのために、無機粒子及び有機粒子等のマット剤を含有してもよい。
保護層の厚みは、0.5〜30μmであることが好ましく、1〜20μmであることがより好ましく、3〜10μmであることがさらに好ましい。
−装飾層−
透明基材と粘着剤層との間には、意匠性を向上することを目的として、装飾層を形成してもよい。上述した中間基材を有する場合、透明基材と中間基材との間に装飾層を配置することが好ましい。
装飾層は、全面を被覆する着色層(いわゆるベタ着色層)であってもよいし、種々の模様を形成する絵柄層であってもよい。また、装飾層は、ベタ着色層と絵柄層との積層、異なる絵柄層の積層などのように、多層構成であってもよい。
装飾層は、コストの観点から印刷により形成したものが好ましい。印刷により形成してなる装飾層は、バインダー樹脂及び着色剤を含む。なお、装飾層として、金属箔及び金属蒸着膜等の金属層を用いてもよい。
装飾層のバインダー樹脂としては特に制限はなく、例えば、ウレタン樹脂、アクリルポリオール樹脂、アクリル樹脂、エステル樹脂、アミド樹脂、ブチラール樹脂、スチレン樹脂、ウレタン−アクリル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル−アクリル共重合体樹脂、塩素化プロピレン樹脂、ニトロセルロース樹脂、酢酸セルロース樹脂等の樹脂が挙げられる。また、1液硬化型樹脂、イソシアネート化合物等の硬化剤を伴う2液硬化型樹脂など、種々のタイプの樹脂を用いることができる。
装飾層の着色剤としては、汎用の顔料及び染料を用いることができ、耐候性及び被着体の隠蔽性の観点から顔料が好ましい。
顔料としては、亜鉛華、鉛白、リトポン、二酸化チタン(チタン白)、沈降性硫酸バリウム及びバライト等の白色顔料;カーボンブラック、アオメチンアゾ系黒顔料、ペリレン系黒顔料等の黒色顔料;鉛丹、酸化鉄赤、キナクリドンレッド、ポリアゾレッド等の赤色顔料;黄鉛、亜鉛黄(亜鉛黄1種、亜鉛黄2種)、イソインドリノンイエロー、ニッケル−アゾ錯体等の黄色顔料;ウルトラマリン青、プロシア青(フェロシアン化鉄カリ)等の青色顔料;パール顔料及び金属鱗片等の光輝性顔料等が挙げられる。
装飾層の厚みは、意匠性を良好にしつつ成形時のクラックを抑制する観点から、3〜50μmであることが好ましく、より好ましくは5〜25μmである。
<セパレータ>
セパレータは、樹脂を含む基材であることが好ましい。
セパレータに含まれる樹脂は特に限定されないが、予備成形時の成形性を損なわない樹脂を主成分とすることが好ましい。主成分とは、セパレータを構成する全樹脂の50質量%以上であることを意味し、好ましくは70質量%以上、より好ましくは90質量%以上、さらに好ましくは95質量%以上である。
予備成形時の成形性を損なわない樹脂としては、ポリエチレン及びポリプロピレン等のオレフィン樹脂;ABS樹脂(アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体);ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコール、エチレン−酢酸ビニル共重合体及びエチレン−ビニルアルコール共重合体等のビニル樹脂;ポリ(メタ)アクリル酸メチル及びポリ(メタ)アクリル酸エチル等のアクリル樹脂;ポリフッ化ビニリデン等のフッ素樹脂;ナイロン6及びナイロン66等のアミド樹脂;これら樹脂の変性樹脂;等の各種樹脂から選ばれる1種以上が挙げられる。変性樹脂としては、含フッ素ポリ(メタ)アクリル酸メチル及び含フッ素ポリ(メタ)アクリル酸エチル等のフッ素変性アクリル樹脂等が挙げられる。
これらの中でも、予備成形時の成形性及び予備成形後の形状保持性の観点から、オレフィン樹脂が好ましい。すなわち、セパレータは主成分としてオレフィン樹脂を含むものが好ましい。さらに、予備成形後の形状保持性の観点から、セパレータは、主成分としてオレフィン樹脂を含む二軸延伸フィルムがより好ましい。
オレフィン樹脂としては、低密度PE(LDPE)、直鎖状低密度PE(LLDPE)、中密度PE(MDPE)、高密度PE(HDPE)、エチレン−酢酸ビニル共重合体、プロピレン単独重合体、エチレン−プロピレンブロック共重合体及びエチレン−プロピレンランダム共重合体等が挙げられる。これらの中でも、成形性及び成形後の形状保持をより良好にしやすくできるプロピレン単独重合体が好ましい。
オレフィン樹脂は、ガラス転移温度が150〜200℃のポリプロピレン又はガラス転移温度100℃以上のポリエチレンであることが好ましい。かかるオレフィン樹脂を用いることにより、三次元形状の成形性をより良好にしやすくできるとともに、成型後の形状をより保持しやすくできる。ポリプロピレンのガラス転移温度は150〜185℃であることがより好ましい。ポリエチレンのガラス転移温度は100〜130℃であることがより好ましい。
セパレータは、シリコーン系離型剤及びフッ素系離型剤等の離型剤で、表面が離型処理されたものであってもよい。
セパレータの厚みは、10〜90μmであることが好ましく、15〜80μmであることがより好ましく、20〜60μmであることがさらに好ましい。
セパレータの厚みを10μm以上とすることにより、予備成形した形状を保持しやすくできるとともに、予備成形後にセパレータを剥離する際の作業性を良好にしやすくできる。また、セパレータの厚みを90μm以下とすることにより、予備成形時の成形性の低下を抑制しやすくできる。さらに、セパレータの厚みを90μm以下とすることにより、セパレータを剥離する前と剥離した後のサイズ差が大きくなることを抑制し、予備成形後にセパレータを剥離した加飾シートの形状と、被着体の形状とを適合しやすくできる。
<加飾シートの積層構成>
加飾シートの積層構成の具体例としては、例えば、下記(1)〜(6)が挙げられる。なお、「/」は各層の境界を意味する。
(1)透明基材/中間基材/粘着剤層/セパレータ
(2)保護層/透明基材/中間基材/粘着剤層/セパレータ
(3)透明基材/装飾層/中間基材/粘着剤層/セパレータ
(4)保護層/透明基材/装飾層/中間基材/粘着剤層/セパレータ
(5)透明基材/装飾層/粘着剤層/セパレータ
(6)保護層/透明基材/装飾層/粘着剤層/セパレータ
加飾シートの総厚みは、100〜670μmであることが好ましく、110〜450μmであることがより好ましく、120〜300μmであることがさらに好ましい。総厚みを100μm以上とすることにより、予備成形後の形状保持性をより良好にしやすくできる。また、総厚みを670μm以下とすることにより、予備成形時の成形性を良好にしやすくできる。
加飾シートは、表面凹凸を付与するためエンボス加工されたものであってもよい。エンボス加工はセパレータ側から行っても良いが、加飾層側から行うことが好ましい。
<用途>
本発明の加飾シートは、加熱して予備成形した後に、セパレータを剥離して被着体に貼り合わせるための加飾シートとして用いることができる。被着体は特に限定されず、例えば、三次元形状を有する各種の部材(通信機器、自動車等の車両体、家電製品、家具等を構成する部材)が挙げられる。
[加飾物品の製造方法]
本発明の加飾物品の製造方法は、下記(1)〜(3)の工程を順に行うものである。
(1)下記の加飾シートを加熱して予備成形する工程。
(2)予備成形した加飾シートのセパレータを剥離して、粘着剤層を露出する工程。
(3)露出した粘着剤層を被着体に貼り合わせ、被着体上に粘着剤層を含む加飾層を積層してなる加飾物品を得る工程。
〔加飾シート〕
透明基材及び粘着剤層を含む加飾層の粘着剤層側の面と、セパレータとが積層されてなる加飾シートであって、前記粘着剤層の20℃の貯蔵弾性率が2.0×10Pa以上1.0×10Pa以下であり、前記粘着剤層の130℃の貯蔵弾性率が5.0×10Pa以下である。
<加飾シート>
本発明の加飾物品の製造方法で用いる加飾シートとしては、上述した本発明の加飾シートを用いることができる。また、本発明の加飾物品の製造方法で用いる加飾シートの好適な実施形態は、上述した本発明の加飾シートの好適な実施形態と同様である。
加飾シートは、例えば、下記工程(x−1)〜(x−3)で作製することができる。なお、工程(x−2)及び(x−3)は、下記の工程(x−2A)及び(x−3A)に変更してもよい。
(x−1)粘着剤層以外の加飾層を構成する層を積層した積層体x−1を得る工程。なお、加飾層が透明基材と粘着剤層との2層構造の場合、透明基材を前記積層体x−1とみなす。
(x−2)セパレータ上に、粘着剤層塗布液を塗布、乾燥して粘着剤層を形成してなる積層体x−2を得る工程。
(x−3)前記積層体x−1の内層側と、前記積層体x−2の粘着剤層とを貼り合わせる工程。
(x−2A)前記積層体x−1の内層側に粘着剤層塗布液を塗布、乾燥して粘着剤層を形成し、透明基材及び粘着剤層を含む加飾層を得る工程。
(x−3A)加飾層の粘着剤層側の面と、セパレータとを貼り合わせ、加飾層とセパレータとを積層する工程。
<工程(1)>
工程(1)は、上記の加飾シートを加熱して予備成形する工程である。
また、工程(1)は、下記工程(1−1)〜(1−3)を経ることが好ましい。なお、工程(1−3)で得た加飾シートに不要部分が存在する場合、さらに、工程(1−4)を行うことが好ましい。
(1−1)加飾シートを、所定の形状(例えば、三次元形状)を備えた成形型上に設置した後、加飾シートを加熱、軟化する(図3(a)参照)。成形型が雄型の場合は、加飾シートのセパレータ側が成形型(雄型)側を向くように配置し、成形型が雌型の場合は、加飾シートの加飾層側が成形型(雌型)側を向くように配置する。
(1−2)成形型側から真空吸引して、軟化した加飾シートを成形型の成形面に沿って密着させることにより、加飾シートを予備成形する(図3(b)参照)。
(1−3)成形型と予備成形した加飾シートとを分離する(図3(c)参照)。
(1−4)不要部分をトリミングする(図3(d)参照)。
工程(1)で予備成形された加飾シートの表面形状は、工程(3)の被着体の表面形状と略同一であることが好ましい。このため、工程(1−1)で用いる成形型の表面形状は、被着体の表面形状と略同一であることが好ましい。
<工程(2)>
工程(2)は、予備成形した加飾シートのセパレータを剥離して、粘着剤層を露出する工程である(図3(e)参照)。
<工程(3)>
工程(3)は、露出した粘着剤層を被着体に貼り合わせ、被着体上に粘着剤層を含む加飾層を積層してなる加飾物品を得る工程である(図3(f)参照)。
工程(3)では、露出した粘着剤層を被着体にそのまま貼り合わせてもよいが、いわゆる「水貼り」することが好ましい。
被着体は特に限定されず、例えば、三次元形状を有する各種の部材(通信機器、自動車等の車両体、家電製品、家具等を構成する部材)が挙げられる。また、被着体の素材も特に限定されず、例えば、金属、ガラス、セラミックス、樹脂が挙げられる。
以下、実施例及び比較例を挙げて本発明を具体的に説明する。なお、本発明は、実施例に記載の形態に限定されるものではない。
1.評価、測定
実施例及び比較例で得られた加飾シートについて以下の評価、測定を行った。結果を表1に示す。
1−1.貯蔵弾性率
−50℃〜150℃において、昇温速度3.0℃/分、周波数1.0Hzの剪断モードで、実施例及び比較例の加飾シートの粘着剤層の20℃及び130℃の貯蔵弾性率を測定した。測定装置は、アイティー計測制御株式会社製の商品名「DVA-225」を用いた。
1−2.予備成形後の皺
実施例及び比較例の加飾シートに関して、予備成形した後に加飾シートの外層側(粘着剤層を基準として透明基材側)から目視で皺の有無を確認した。皺が生じていなかったものを「A」、局所的に皺が生じていたものを「C」とした。
1−3.予備成形後のセパレータの剥離性
実施例及び比較例の加飾シートに関して、予備成形した後のセパレータの剥離性を評価した。セパレータを容易に剥離できたものを「A」、セパレータの剥離が重くて剥離しにくかったものを「C」とした。
1−4.予備成形時の型への形状追従性
実施例及び比較例の加飾シートに関して、予備成形時の型への形状追従性を評価した。加飾シートが型の形状に追従し、型と加飾シートとの間に隙間が認められないものを「A」、加飾シートが型の形状に追従せず、型と加飾シートとの間に、皺とは異なる大きな隙間が認められるものを「C」とした。
1−5.貼り合わせ作業性
実施例及び比較例の加飾物品の製造工程の予備成形が完了した後に、型から予備成形した加飾シートを分離した。次いで、加飾シートからセパレータを剥離し、露出した粘着剤層側の面から前記型に水貼りして加飾物品を作製する際の作業性を下記の基準で評価した。
A:上記1−4の形状追従性が良好であり、かつ、成形後の加飾シートの形状が型から加飾シートを分離した後でも十分に維持されており、貼り合わせ作業性が良好なもの。
B:上記1−4の形状追従性において僅かに隙間が生じるか、あるいは、成形後の加飾シートの形状が型から加飾シートを分離した後に若干崩れることにより、貼り合わせ作業性が良好とまではいえないが、支障ないもの。
C:上記1−4の形状追従性が不良であるか、あるいは、成形後の加飾シートの形状が型から加飾シートを分離した後に大きく崩れてしまい、貼り合わせ作業性が著しく劣るもの。
2.加飾シート及び加飾物品の作製
[実施例1]
(加飾シートの作製)
厚み125μmのゴム粒子を含有するアクリル樹脂系フィルムからなる透明基材(全光線透過率:92%、ヘイズ:0.6%)上に、色味がグレー調の装飾層用インキを塗布、乾燥し、厚み10μmの装飾層を形成し、透明基材及び装飾層からなる積層体A1を得た。
次いで、積層体A1の装飾層側の面と、厚み100μmの中間基材(黒色フィルム、バインダー樹脂成分:ABS樹脂)とを熱ラミネートし、透明基材、装飾層及び中間基材をこの順に有する積層体A2を得た。
次いで、厚み60μmのセパレータ(王子エフテックス社製の商品名「60RL−01」、樹脂成分:プロピレン単独重合体、二軸延伸フィルム、表面にシリコーン系離型層有り)上に、下記の粘着剤層用インキを塗布、乾燥(80℃、2分)して、厚み40μmの粘着剤層を形成し、セパレータ上に粘着剤層を有する積層体A3を得た。
次いで、積層体A2の中間基材側の面と、積層体A3の粘着剤層側の面とを対向してラミネートし、23℃で7日間エージングして、加飾層(透明基材、装飾層、中間基材及び粘着剤層をこの順に有する加飾層)と、セパレータとを有する実施例1の加飾シートを得た。
<粘着剤層用インキ>
・主剤:100質量部
(日本カーバイド工業社製、品番:KP−1561)
・硬化剤:1.0質量部
(日本カーバイド工業社製、品番:CK−101)
・溶剤:適量
(加飾物品の作製)
実施例1の加飾シートを、60℃で1日間、プレ乾燥した。次いで、実施例1の加飾シートのセパレータ側が成形型側を向くように配置した後、到達温度が140〜200℃となるように加飾シートを加熱して軟化させた。成形型は自動車のバンパー形状を模した三次元曲面形状の雄型を用いた。
次いで、成形型側から真空吸引して、軟化した加飾シートを成形型の成形面に沿って密着させ、加飾シートを予備成形した。次いで、成形型と予備成形した加飾シートとを分離した。次いで、不要部分をトリミングした。次いで、予備成形した加飾シートのセパレータを剥離して、粘着剤層を露出させた。次いで、露出した粘着剤層を被着体(自動車のバンパー)に水貼りで貼り合わせ、ドライヤーで水分を乾燥し、被着体(自動車のバンパー)上に粘着剤層を含む加飾層を積層してなる加飾物品を得た。
[実施例2〜3]、[比較例1]
粘着剤層用インキを下記の粘着剤層インキに変更した以外は、実施例1と同様にして、実施例2〜3、比較例1〜2の加飾シート及び加飾物品を得た。
<実施例2の粘着剤層用インキ>
・主剤:100質量部
(日本カーバイド工業社製、品番:KP−2610)
・硬化剤:0.12質量部
(日本カーバイド工業社製、品番:CK−121)
・溶剤:適量
<実施例3の粘着剤層用インキ>
・主剤:100質量部
(日本カーバイド工業社製、品番:KP−2984)
・硬化剤:0.1質量部
(日本カーバイド工業社製、品番:CK−121)
・溶剤:適量
<比較例1の粘着剤層用インキ>
・主剤:100質量部
(日本カーバイド工業社製、品番:KP−3067A)
・硬化剤:1.4質量部
(日本カーバイド工業社製、品番:CK−101)
・溶剤:適量
[比較例2]
粘着剤層用インキを下記の粘着剤層インキに変更するとともに、エージング条件を40℃3日間に変更した以外は、実施例1と同様にして、比較例2の加飾シート及び加飾物品を得た。
<比較例2の粘着剤層用インキ>
・主剤:100質量部
(日本カーバイド工業社製、品番:KP−2610)
・硬化剤:0.12質量部
(日本カーバイド工業社製、品番:CK−121)
・溶剤:適量
Figure 2021142708
表1の結果から、実施例1〜3の加飾シートは、セパレータを貼り合わせた状態のまま成形しても、三次元形状の型の形状に追従することができ、さらには、成形後にセパレータが剥がしにくくなったり、皺が生じたりすることを抑制し得ることが確認できる。
10:加飾層
11:透明基材
12:中間基材
13:粘着剤層
14:保護層
15:装飾層
20:セパレータ
100:加飾シート
200:成形型
300:ヒーター
400:被着体
700:加飾物品

Claims (4)

  1. 加熱して予備成形した後に、セパレータを剥離して被着体に貼り合わせるための加飾シートであって、透明基材及び粘着剤層を含む加飾層の粘着剤層側の面と、セパレータとが積層されてなり、前記粘着剤層の20℃貯蔵弾性率が2.0×10Pa以上1.0×10Pa以下であり、前記粘着剤層の130℃貯蔵弾性率が5.0×10Pa以下である、加飾シート。
  2. 前記セパレータが二軸延伸フィルムである、請求項1に記載の加飾シート。
  3. 前記セパレータが、ガラス転移温度が150〜200℃のポリプロピレン又はガラス転移温度100℃以上のポリエチレンを含む、請求項1又は2に記載の加飾シート。
  4. 下記(1)〜(3)の工程を順に行う、加飾物品の製造方法。
    (1)下記の加飾シートを加熱して予備成形する工程。
    (2)予備成形した加飾シートのセパレータを剥離して、粘着剤層を露出する工程。
    (3)露出した粘着剤層を被着体に貼り合わせ、被着体上に粘着剤層を含む加飾層を積層してなる加飾物品を得る工程。
    〔加飾シート〕
    透明基材及び粘着剤層を含む加飾層の粘着剤層側の面と、セパレータとが積層されてなる加飾シートであって、前記粘着剤層の20℃貯蔵弾性率が2.0×10Pa以上1.0×10Pa以下であり、前記粘着剤層の130℃貯蔵弾性率が5.0×10Pa以下である。
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