JP7000692B2 - 転写シート - Google Patents
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Description
(1) 離型性支持体と、印刷層と、粘着剤層と、がこの順に積層され、前記粘着剤層は、粘着剤と、ブロックイソシアネートと、を含有する転写シート。
本明細書中に記載する各部材の寸法等の数値及び材料名等は、実施形態としての一例であり、これに限定されるものではなく、適宜に選択して使用してよい。
図1は、第1実施形態の転写シート1の断面図である。転写シート1は、図1に示す形態で保管したり、搬送したりすることができる。
図1に示すように、転写シート1は、離型性支持体としての基材フィルム10、剥離層20、印刷層30、クリア樹脂層35、粘着層40及び剥離フィルム50を備える。
本実施形態における転写シート1は、剥離層等から成る転写層に対して、離型性を有する離型性支持体として、可撓性で薄膜のフィルムの形態を採用する(以下、これを基材フィルムとも呼称する)。この基材フィルム10上に、剥離層20、印刷層30、クリア樹脂層35及び粘着層40から成る転写層、更に粘着層40に対して離型性を有する剥離フィルム50が、この順に積層されている。なお、本発明における「この順に積層」とは、直接積層のみならず、間接的な積層も含む意味であり、例えば、基材フィルム10と剥離層20との間に、他の層があっても許容する意味である。
基材フィルム(離型性支持体)10は、印刷層30を支持するフィルムである。基材フィルム10は、剥離層20等から成る転写層に対して離型性を有し、転写シート1が基材60(後述)に転写された後、剥離層20との界面から剥離される。基材フィルム10としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンアフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル系樹脂、ポリプロピレン、ポリエチレン等のポリオレフィン系樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリスチレン樹脂、トリアセチルセルロース(TAC)等のセルロース系樹脂等から成るフィルムが挙げられる。このうち、強度及び柔軟性に優れる点で、2軸延伸ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムが好ましい。なお、基材フィルム10における剥離層20側の表面には、従来公知の離型層が形成されていてもよく、離型処理が施されていてもよい。
基材フィルム10の膜厚は、好ましくは10μm以上100μmであり、より好ましくは20μm以上60μm以下である。
剥離層20は、転写シート1から基材フィルム10の剥離を容易にするために積層される層である。剥離層20は、転写シート1が基材60に転写され、基材フィルム10が剥離された後、転写シート1の最も外側の層として残存する。その剥離層20の表面には、耐候性付与層70(後述)が形成される。剥離層20を構成する樹脂としては、例えば、アクリルポリオール、ウレタン樹脂、アクリル-塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体等が挙げられる。なお、これらの組成物において、更に、イソシアネート等が剥離強度の調整用に微量添加されていてもよい。また、これらの組成物に、例えば、紫外線吸収剤(UVA)、光安定剤(HALS(ヒンダードアミン系ラジカル捕捉剤)等のラジカル捕捉剤を添加してもよい。
剥離層20の層厚(dry)は、1μm以上2μm以下程度である。
印刷層30は、印刷絵柄層31と、印刷コート層32と、から構成される。
印刷絵柄層31は、転写シート1の図柄(意匠)が形成される層である。印刷絵柄層31を構成する樹脂としては、例えば、アクリル樹脂、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体(塩酢ビ)樹脂、アクリル樹脂と塩酢ビ樹脂とを混合した組成物等が挙げられる。また、印刷絵柄層31には、着色顔料、着色染料等が添加される。
印刷絵柄層31の層厚(dry)は、約5μm程度である。
印刷コート層32の層厚(dry)は、1μm以上が好ましい。
クリア樹脂層35は、架橋反応前の粘着層40の流動性により生じる応力を緩和し、印刷層30における亀裂の発生を抑制する効果を更に補強するための緩衝層として機能する層である。また、クリア樹脂層35は、粘着層40に含まれる溶剤、添加剤、単量体等が印刷層30(印刷コート層32)に移行することを抑制する層としても機能する。クリア樹脂層35を構成する樹脂としては、例えば、アクリル樹脂、アクリル-塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体、2液硬化ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂等が挙げられる。また、クリア樹脂層35として使用可能な材料は、ガラス転移点(Tg)が常温以上であることが好ましい。
クリア樹脂層35の層厚(dry)は、1μm以上が好ましい。
粘着層(粘着剤層)40は、転写シート1を基材60に転写する際に、転写シート1と基材60とを接合する層である。本実施形態の粘着層40は、粘着剤組成物の硬化物から成る。粘着剤組成物は、主剤としてのアクリル系粘着剤と、イソシアネート系硬化剤とを含有し、更に、ブロックイソシアネート(後述)を含有する。本実施形態において、後述する加熱前の粘着層40は、アクリル系粘着剤と、イソシアネート系硬化剤と、を含有する組成物の第1の硬化物を含有する。そのときのゲル分率は、30%以上70%以下である。また、加熱後の粘着層40は、上記第1の硬化物とブロックイソシアネートとの第2の硬化物を含有する。そのときのゲル分率は、80%以上である。
粘着層40の層厚は、10μm以上50μm以下であることが好ましく、15μm以上30μm以下であることがより好ましい。
好ましいアクリル系粘着剤としては、例えば、アクリル酸エステルと他の単量体とを共重合させたアクリル酸エステル共重合体が挙げられる。アクリル酸エステルとしては、例えば、アクリル酸エチル、アクリル酸-n-ブチル、アクリル酸-2-エチルヘキシル、アクリル酸イソオクチル、アクリル酸イソノニル、アクリル酸ヒドロキシルエチル、アクリル酸プロピレングリコール、アクリルアミド、アクリル酸グリシジル等が挙げられる。これらは、単独又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
なお、上記アクリル系粘着剤の市販品としては、例えば、ニッセツ(日本カーバイド社製)、SKダイン(綜研化学社製)等を好適に用いることができる。
粘着剤組成物は、イソシアネート系硬化剤を含有する。イソシアネート系硬化剤は、転写シート1を基材60(後述)に転写する際の粘着性を得るために添加される。アクリル系粘着剤は、水酸基を有するため、イソシアネート系硬化剤を用いることにより、更に部分架橋を向上させることができ、粘着層40となったときに、内部破壊がなく適度な貯蔵弾性率を得られる。
粘着層40における上記イソシアネート系硬化剤の含有量は、ゲル分率に合わせて設定される。
粘着剤組成物は、ブロックイソシアネートを含有する。ブロックイソシアネートは、転写シート1を基材60に転写した後、加熱により架橋反応させて、粘着層40の流動性を低下させるために添加される。粘着層40は、加熱による架橋反応により、ゲル分率が80%以上となり、流動性は低下するが、粘着力が低下することはない。
粘着層40における上記ブロックイソシアネートの含有量は、ゲル分率に合わせて設定される。
剥離フィルム50は、転写シート1を基材60に転写する際に、転写シート1から剥離されるフィルムである。剥離フィルム50を構成する材料としては、例えば、シリコン離型タイプのポリエチレンテレフタレート(PET)、未処理のポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン等が挙げられる。
剥離フィルム50の厚さは、10μm以上100μm以下が好ましく、20μm以上60μm以下がより好ましい。
転写シート1が基材60に転写される前、粘着層40の流動性により生じる応力は、柔軟性のある剥離フィルム50に伝わり、この剥離フィルム50が変形することにより緩和される。この場合、粘着層40の流動性により生じる応力は、印刷層30にはほとんど作用しないので、印刷層30は、形状を維持することができる。
次に、化粧材100の製造方法について説明する。
化粧材100の製造は、例えば、転写シート1を購入した化粧材100の製造業者により行われる。
図2及び図3は、それぞれ化粧材100製造方法を説明する断面図である。
基材本体61は、転写シート1が転写される被転写体である。基材本体61としては、例えば、無機材、木材、樹脂等の材料から成る板、壁等が挙げられる。このうち、無機材としては、例えば、石材、コンクリート、ガラス、金属等が挙げられる。また、基材本体61は、無機材から成る陶磁器等の焼き物(窯業系焼成物)であってもよい。
シーラー層62は、基材本体61の表面を滑らかにして、基材本体61と転写シート1との粘着性を高めるための下塗り層である。
耐候性付与層70の厚さについては、特に限定されないが、例えば10μm以上50μm以下の範囲が好ましく、より好ましくは15μm以上40μm以下である。
以上の工程を経ることにより、基材60に転写シート1が転写された化粧材100を得ることができる。
<実施例>
基材フィルムとして、26μm厚のPETフィルム(「ダイアホイル」 三菱樹脂株式会社製)を用意し、その一方の面にアクリル-ウレタン樹脂組成物(「KSI」 昭和インク工業株式会社製)を塗布して、膜厚(dry)1μmの剥離層を形成した。この剥離層上にアクリル-塩酢ビ樹脂組成物と着色顔料から成るグラビアインキ(「EIS」 昭和インク工業株式会社)を用いて複数回の印刷を行い、図1に示すような印刷絵柄層31と印刷コート層32を形成した。更に、印刷コート層32上に塩酢ビ樹脂(「FHS」、DICグラフィックス社製)を塗布し、膜厚(dry)2μmのクリア樹脂層35を全面に形成した。
そして、基材フィルム側の印刷コート層と、PETセパレータ(剥離フィルム)側の粘着層とを貼り合わせた後、3日間、40℃で加温養生することにより、実施例の転写シートを得た。
粘着層にブロックイソシアネートを添加しなかった以外は、上記実施例と同じ条件で比較例1の転写シートを作製した。
<比較例2>
印刷コート層上にクリア樹脂層を全面に形成しなかった以外は、比較例1と同じ条件で比較例2の転写シートを作製した。
比較例2の転写シートを転写した化粧材は、傷を付けた部分に係わらず、印刷層(印刷コート層)に無数の亀裂が観察された。粘着層の流動性により生じた応力が印刷層に作用したためと推測される。
粘着層のゲル分率は、以下のような手法により測定した。
乾燥後の粘着層の厚みが20μmとなるように剥離フィルムの表面に塗工により形成した。その後、粘着層のもう一方の面に同じく剥離フィルムを貼り合わせて試験片とし、40℃で3日間保管した。ここでは、粘着層にブロックイソシアネートを含有しない試験片を「試料1」とし、粘着層にブロックイソシアネートを含有する試験片を「試料2」とする。
これらの値を基にして、以下の式からゲル分率を測定した。
ゲル分率[%]=(粘着残留物重量)/(試験片の粘着剤重量)×100
なお、剥離フィルム、サンプル瓶、SUS金網の重量を個別に計量し、上記測定値から差し引いている。
ブロックイソシアネートを含有しない試料1については、ゲル分率は、57.2%であった。
ブロックイソシアネートを含有する試料2についても、ゲル分率は、57.2%であった。そして、試料2を120℃で1時間加熱した後のゲル分率は、94.1%であった。また、試料2について、加熱時間を4時間にした場合、ゲル分率は、94.8%となり、加熱時間を1時間とした場合に比べて大きな差は確認されなかった。
以上により、実施例の試料2においては、加熱(架橋工程)の前後でゲル分率が変化していることが理解できる。
10 基材フィルム
20 剥離層
30 印刷層
35 クリア樹脂層
40 粘着層
50 剥離フィルム
60 基材
70 耐候性付与層
Claims (2)
- 離型性支持体と、印刷層と、粘着剤層と、がこの順に積層され、
前記粘着剤層は、アクリル系粘着剤と、イソシアネート系硬化剤とを含有する組成物の第1の硬化物に、更にブロックイソシアネートを含有し、反応性アクリルオリゴマーを含有しておらず、
前記粘着剤層は、ゲル分率が30%以上70%以下である転写シート。 - 請求項1に記載の転写シートであって、
前記印刷層と前記粘着剤層との間に層厚が1μm以上のクリア樹脂層が積層された転写シート。
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