JP2001180190A - 転写シート - Google Patents

転写シート

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JP2001180190A JP36631699A JP36631699A JP2001180190A JP 2001180190 A JP2001180190 A JP 2001180190A JP 36631699 A JP36631699 A JP 36631699A JP 36631699 A JP36631699 A JP 36631699A JP 2001180190 A JP2001180190 A JP 2001180190A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 転写物が厨房用途等に使用できる様に、耐擦
傷性と耐水蒸気性も良くする。 【解決手段】 転写シートSは、支持体シート1上の転
写層2として、少なくとも、アクリロイル基又は/及び
メタクリロイル基を有する有機化合物からなるアクリレ
ート系電離放射線硬化性樹脂の架橋硬化物からなる表面
保護層3、平均分子量2万〜20万のポリメタクリル酸
メチルからなるプライマー層4、アクリル樹脂、塩化ビ
ニル−酢酸ビニル共重合体、セルロース系樹脂、或いは
これらの混合物をバインダーの樹脂とする装飾層5をこ
の順に積層した構成とする。装飾層上に更に接着剤層6
を積層しても良い。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、厨房での使用を前
提とした化粧材等の転写物の製造に適した、耐摩耗性及
び耐水蒸気性の両物性に優れた転写シートに関する。
【0002】
【従来の技術】通常、化粧材等の転写物の製造に使用す
る転写シートとしては、その転写層のうち転写後には最
表面となって表面を保護する表面保護層を設ける場合、
該表面保護層には熱可塑性アクリル樹脂を使用するのが
一般的であった。また、表面保護層に耐摩耗性等の耐久
性が更に必要な場合には、表面保護層の樹脂には、アク
リレート系等の電離放射線硬化性樹脂を用いて、その架
橋硬化物を表面保護層とすることもあった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、表面保
護層に熱可塑性アクリル樹脂を用いた場合では、得られ
る転写物は、キッチンパネル等の厨房用途等では耐摩耗
性が十分で無く、傷等が発生したり、表面がすり減り易
かった。一方、表面保護層にアクリレート系等の電離放
射線硬化性樹脂の架橋硬化物を用いれば、確かに耐摩耗
性は十分な転写物が得られるが、加熱水蒸気に晒した後
の表面保護層とその下の装飾層との密着性が不十分とな
り、表面保護層が剥離して、耐水蒸気性が不足すること
があった。
【0004】そこで、本発明の課題は、転写で得られる
転写物が厨房用途等で耐摩耗性と共に耐水蒸気性が要求
される場合でも、これら両物性をともに満足できる転写
シートを提供することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】そこで、上記課題を解決
すべく、本発明の転写シートは、支持体シートの片面
に、該支持体シートより剥離可能な転写層として、アク
リロイル基又は/及びメタクリロイル基を有する有機化
合物からなるアクリレート系電離放射線硬化性樹脂の架
橋硬化物から形成された表面保護層、該表面保護層に接
する様に、平均分子量2万〜20万のポリメタクリル酸
メチルからなるプライマー層、該プライマー層に接する
様に、アクリル樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合
体、セルロース系樹脂、或いはこれらの混合物をバイン
ダーの樹脂とする装飾層、該装飾層の上に接着剤層を順
次積層した構成とした。
【0006】この様に、表面保護層と装飾層間にプライ
マー層を設け、なお且つこれら3層を特定材料で構成す
ることによって、優れた耐摩耗性と共に優れた耐水蒸気
性も得られる様になる。この結果、キッチン等の厨房用
途に好適な化粧板等の転写物を得る事ができる。
【0007】
【発明の実施の形態】以下、本発明の転写シートについ
て、実施の形態を説明する。
【0008】〔概要〕先ず、図1は、本発明の転写シー
トの一形態を示す断面図である。本発明の転写シートS
は、支持体シート1上に剥離可能に支持される転写層2
として、支持体シート1上に、少なくとも、表面保護層
3、プライマー層4、装飾層5が順次積層され(但し、
図1では装飾層5の上に更に接着剤層6も積層されてい
る)、なお且つ前記表面保護層3が、アクリロイル基、
メタクリロイル基の何方か片方又は両方を有する有機化
合物からなるアクリレート系電離放射線硬化性樹脂の架
橋硬化物から形成されており、該表面保護層3に接する
様に形成されたプライマー層4が平均分子量2万〜20
万のポリメタクリル酸メチルからなり、該プライマー層
4に接する様に形成された装飾層5が、アクリル樹脂、
塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、セルロース系樹脂、
或いはこれらの混合物をバインダーの樹脂として形成さ
れた層となっている転写シートである。この様に、表面
保護層3と装飾層5との間にプライマー層4を設け、な
お且つこれら隣接する表面保護層3、プライマー層4及
び装飾層5の各層の樹脂材料に特定材料を用いること
で、厨房用途等に適する耐摩耗性と耐水蒸気性の両物性
が得られる転写シートとなる。
【0009】以下、各層を順に詳述する。
【0010】〔支持体シート〕支持体シート1として
は、該シート上に転写までのあいだ支持しておく転写層
との剥離性が良ければ特に制限は無く、従来公知の物の
中から用途に応じて選択すれば良い。例えば、支持体シ
ートには、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレン
テレフタレート、エチレン−テレフタレート−イソフタ
レート共重合体、ポリエステル系熱可塑性エラストマー
等の熱可塑性ポリエステル樹脂、ポリプロピレン、ポリ
エチレン、ポリメチルペンテン、エチレン−プロピレン
共重合体、エチレン−プロピレン−ブテン3元共重合
体、オレフィン系熱可塑性エラストマー等のポリオレフ
ィン系樹脂、塩化ビニル樹脂、エチレン−酢酸ビニル共
重合体、ポリアミド樹脂等の樹脂フィルム(シート)、
或いは上質紙、薄葉紙等にポリオレフィン系樹脂やシリ
コーン樹脂の離型層を積層した塗工紙、グラシン紙、硫
酸紙等の紙、等による単層体又は積層体を用いる。支持
体シートの厚さは、通常20〜100μm程度である。
【0011】なお、支持体シートには必要に応じ、転写
層側に転写層との剥離性を向上させる為、支持体シート
の構成要素として離型層を設けても良い。離型層として
は、例えば、シリコーン樹脂、メラミン樹脂、ポリアミ
ド樹脂、ウレタン樹脂、ポリオレフィン樹脂、ワックス
等の単体又はこれらを含む混合物が用いられる。具体的
には、例えば、ポリエステル樹脂とメラミン樹脂の混合
樹脂に、好ましくはパラトルエンスルホン酸を添加した
もの等は好ましい。また、剥離性の調整の為に、支持体
シートの転写層側の面にコロナ放電処理、オゾン処理等
を行っても良い。
【0012】また、支持体シートには、転写層側の面に
凹凸模様を設ければ、転写後の転写層表面に砂目、梨
地、木目等の凹凸模様を賦形したり、表面艶を調整をし
たりすることもできる。凹凸模様は、エンボス加工、サ
ンドブラスト加工、賦形層(離型層)による盛り上げ印
刷加工等の公知の方法で形成する。
【0013】〔表面保護層〕表面保護層3は、転写後に
於いてその下側の装飾層5を被覆し保護する層であり、
適宜塗装感や表面艶調整等の意匠性付与等の為にも使用
される層である。本発明ではこの表面保護層3を、アク
リロイル基又はメタクリロイル基を有する有機化合物か
らなるアクリレート系電離放射線硬化性樹脂の架橋硬化
物で形成する。
【0014】上記電離放射線硬化性樹脂は、分子中に重
合性不飽和基としてアクリロイル基又は/及びメタクリ
ロイル基を有する有機化合物の一種又は2種以上を適宜
混合した電離放射線により硬化可能な組成物である。な
お、アクリロイル基又は/及びメタクリロイル基を有す
る有機化合物とは、アクリロイル基、メタクリロイル基
の何方か片方又は両方を有機化合物を意味する。また、
電離放射線とは、電磁波又は荷電粒子のうち、電離放射
線硬化性樹脂中の分子を重合或いは架橋させ得るエネル
ギーを有するものを意味し、通常、紫外線(UV)又は
電子線(EB)が用いられる。
【0015】上記電離放射線硬化性樹脂は、具体的に
は、分子中に(メタ)アクリロイル基を1個以上有する
モノマー、又はプレポリマーからなる。なお、(メタ)
アクリロイル基とは、アクリロイル基又はメタクリロイ
ル基の意味である。(メタ)アクリロイル基を有するプ
レポリマーの例としては、ポリエステル(メタ)アクリ
レート、ウレタン(メタ)アクリレート、エポキシ(メ
タ)アクリレート、メラミン(メタ)アクリレート、ト
リアジン(メタ)アクリレート、シリコーン(メタ)ア
クリレート等が使用できる。分子量としては、通常25
0〜100,000程度のものが用いられる。
【0016】ラジカル重合性不飽和基を有するモノマー
の例としては、単官能モノマーとして、メチル(メタ)
アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレー
ト、フェノキシエチル(メタ)アクリレート等がある。
また、多官能モノマーとして、ジエチレングリコールジ
(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メ
タ)アクリレート、トリメチールプロパントリ(メタ)
アクリレート、トリメチロールプロパンエチレンオキサ
イドトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトー
ルペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトー
ルヘキサ(メタ)アクリレート等がある。
【0017】なお、紫外線又は可視光線にて硬化させる
場合には、上記電離放射線硬化性樹脂に、さらに光重合
開始剤を添加する。光重合開始剤として、アセトフェノ
ン類、ベンゾフェノン類、チオキサントン類、ベンゾイ
ン、ベンゾインメチルエーテル類を単独又は混合して用
いることができる。なお、光重合開始剤の添加量として
は、電離放射線硬化性樹脂100質量部に対して、0.
1〜10質量部程度である。
【0018】また、上記電離放射線硬化性樹脂には、更
に必要に応じて、各種添加剤を添加することもできる。
添加剤としては、例えば、アクリル樹脂、塩化ビニル−
酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニル、セルロース系樹
脂等の熱可塑性樹脂、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、
シリカ、アルミナ等の微粉末からなる体質顔料(充填
剤)、染料、顔料等の着色剤、ワックス等の滑剤等であ
る。
【0019】なお、電離放射線のうち紫外線源として
は、超高圧水銀灯、高圧水銀灯、低圧水銀灯、カーボン
アーク灯、ブラックライト、メタルハライドランプ等の
光源が使用される。また、電子線源としては、コックク
ロフトワルトン型、バンデグラフト型、共振変圧器型、
絶縁コア変圧器型、或いは、直線型、ダイナミトロン
型、高周波型等の各種電子線加速器を用い、100〜1
000keV、好ましくは、100〜300keVのエ
ネルギーをもつ電子を照射するものが使用される。
【0020】そして、上記の様な組成からる電離放射線
硬化性樹脂は、適宜、有機溶剤等で希釈して、通常は常
温(室温乃至は適宜加熱した塗工温度において)にて液
状の塗液(又はインキ)として、従来公知の塗工法(又
は印刷法)にて、支持体シート上に施して表面保護層を
形成すれば良い。塗工法は例えばロールコート、フロー
コート等、印刷法はグラビア印刷、シルクスクリーン印
刷等である。
【0021】なお、表面保護層の厚みは特に制限は無く
用途によるが、ドライの塗布量で言えば通常1〜10g
/m2 程度である。また、表面保護層は通常は絵柄等を
表現する装飾層を目視可能な様に透明(無着色又は着
色)である。しかし、装飾層が帯電防止層等の機能層の
場合には、表面保護層は不透明(無着色又は着色)であ
っても良い。なお、本発明で装飾とはこの様な機能性付
与も意味する。
【0022】〔プライマー層4〕プライマー層4は、装
飾層5と表面保護層3との密着を良くする為の層であ
り、このプライマー層4に本発明では、ポリメチルメタ
クリレート(PMMA)なるアクリル樹脂を使用する。
使用するポリメチルメタクリレートは、より好ましく
は、平均分子量が2万〜20万のものが好ましい。ポリ
メチルメタクリレートの平均分子量が2万未満である
と、耐水蒸気性が十分に得られず、また平均分子量が2
0万を超えるとプライマー層による表面保護層と装飾層
との十分な密着向上効果が得られない。そして、プライ
マー層4は、上記樹脂を含む溶液を塗液又はインキとし
て、従来公知の塗工法又は印刷法で形成すれば良い。な
お、プライマー層の厚みは、特に制限は無いが、ドライ
の塗布量で言えば通常1〜10g/m2 程度とする。
【0023】〔装飾層〕装飾層5としては、そのバイン
ダーの樹脂として、アクリル樹脂、塩化ビニル−酢酸ビ
ニル共重合体、セルロース系樹脂、或いはこれらの混合
物を使用する。これら樹脂の使用で、プライマー層によ
って装飾層と表面保護層とは密着良く積層できる。そし
て、装飾層としては、この他の点については特に制限は
無く、更に通常は着色剤等の添加剤を含有させる。この
様な、装飾層は、例えば、グラビア印刷、シルクスクリ
ーン印刷、オフセット印刷、インキジェットプリント等
の従来公知の印刷方法で絵柄等を印刷した絵柄層が代表
的である。絵柄は、例えば、木目模様、石目模様、布目
模様、タイル調模様、煉瓦調模様、皮絞模様、文字、幾
何学模様、全面ベタ等である。なお、装飾層は導電性物
質を含有させた帯電防止層等の機能層でも良い。
【0024】なお、着色剤としては顔料や染料が使用さ
れるが、例えば顔料としては、通常使用される有機又は
無機系の顔料が使用される。例えば、黄色顔料として
は、モノアゾ、ジスアゾ、ポリアゾ等のアゾ系顔料、イ
ソインドリノン等の有機顔料、黄鉛、黄色酸化鉄、カド
ミウムイエロー、チタンイエロー、アンチモン黄等の無
機顔料が挙げられる。また、赤色顔料としては、モノア
ゾ、ジスアゾ、ポリアゾ等のアゾ系顔料、キナクリドン
等の有機顔料、弁柄、朱、カドミウムレッド、クロムバ
ーミリオン等の無機顔料が挙げられる。また、青色顔料
としては、フタロシアニンブルー、インダスレンブルー
等の有機顔料、紺青、群青、コバルトブルー等の無機顔
料が挙げられる。また、黒色顔料としては、アニリンブ
ラック等の有機顔料、カーボンブラック等の無機顔料が
挙げられる。また、白色顔料としては、二酸化チタン、
亜鉛華、三酸化二アンチモン等の無機顔料が挙げられ
る。
【0025】また、顔料としては、光輝性顔料等も使用
される。使用される光輝性顔料としては、例えば、アル
ミニウム粉、銅粉、真鍮粉等の金属粉や金属箔片、金属
蒸着合成樹脂フィルムの断裁片等の金属光沢を有する顔
料、二酸化チタン被覆雲母、魚鱗箔、酸塩化ビスマス等
の真珠光沢や干渉光沢を有する顔料が挙げられる。
【0026】なお、装飾層に使用する場合の上記アクリ
ル樹脂としては、例えば、ポリメチル(メタ)アクリレ
ート、ポリブチル(メタ)アクリレート、メチル(メ
タ)アクリレート−ブチル(メタ)アクリレート共重合
体、メチル(メタ)アクリレート−エチル(メタ)アク
リレート共重合体のアクリル樹脂、或いは、メチル(メ
タ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチ
ル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレー
ト、シクロヘキシル(メタ)アクリレート等と、2−ヒ
ドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ
−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート等の分
子中に水酸基を有する(メタ)アクリル酸エステルとを
共重合させて得られるアクリルポリオール等のアクリル
樹脂等である。これらアクリル樹脂は、1種又は2種以
上混合して使用する。なお、(メタ)アクリレートと
は、アクリレート又はメタクリレートの意味である。
【0027】装飾層に使用するセルロース系樹脂として
は、ニトロセルロース、酢酸セルロース、セルロースア
セテートプロピオネート等を1種又は2種以上混合して
使用する。また、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体とし
ては、酢酸ビニル含有量10〜50質量%程度、平均重
合度500〜900程度のものが用いられる。塩化ビニ
ル−酢酸ビニル共重合体には、必要に応じて、マレイン
酸等のカルボン酸を共重合したものを用いても良い。ま
た、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体にカルボン酸を共
重合させたものを用いる場合には、更にこれを、2,4
−トリレンジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレン
ジイソシアネート等のイソシアネートで架橋しても良
い。
【0028】〔接着剤層〕接着剤層6を、更に必要に応
じて転写層2の構成要素として設けても良い。転写層2
に於ける接着剤層6は、接着剤層6無しでも転写層を被
転写体に転写できる場合、例えば、被転写体側に接着剤
を施してから転写する場合、装飾層自体を接着剤として
使用できる場合等には、省略する事ができる。また、接
着剤層6を設ける場合、装飾層5と接着剤層6間には、
ウレタン樹脂等による接着強化層等を適宜設けても良
い。
【0029】接着剤層6として使用する接着剤、或いは
被転写体側に施す接着剤としては、被転写体の材質や接
着方法等に応じて、従来公知の接着剤を適宜選択使用す
れば良い。例えば、感熱(熱融着又は熱硬化)型の接着
剤では、ポリアミド樹脂、アクリル樹脂、熱可塑性ポリ
エステル樹脂、熱可塑性ウレタン樹脂等の熱可塑性樹
脂、フェノール樹脂、ジアリルフタレート樹脂、ブロッ
クイソシアネート硬化型ウレタン樹脂等の熱可塑性樹脂
等を使用する。また、感圧型の接着剤では、アクリル樹
脂系ゴム等の粘着剤を使用することもできる。
【0030】なお、ブロックイソシアネート硬化型ウレ
タン樹脂は、硬化剤のイソシアネートにブロック化した
ブロックイソシアネートを使用して、熱によってブロッ
クを解除して硬化反応を開始させるウレタン樹脂であ
る。ブロック化する為にアルコール類等のブロック剤が
使用され、また、通常、ブロック剤の解離温度を適度に
低下させる為に、更に金属石鹸等の解離触媒を併用す
る。
【0031】転写層として、或いは被転写体上に形成す
る接着剤層の厚さは特に制限は無いが、ドライ塗布量で
言えば通常1〜20g/m2 程度である。なお、接着剤
層の形成は、ロールコート、グラビア印刷等の公知の塗
工法又は印刷法で形成すれば良い。
【0032】〔被転写体〕なお、本発明の転写シートに
よって、その転写層を転写する被転写体としては、特に
制限は無い。用途に応じた材料を使用すれば良い。
【0033】例えば被転写体の材質としては、木質材、
金属、セラミックス、樹脂、非セラミックス窯業系材料
等である。木質材の木材種は、例えば、杉、松、檜、
樫、ラワン、チーク、メラピー等である。木質材の形態
は、単板、合板、木質中密度繊維板(MDF)等の木質
繊維板、パーティクルボード、集成材等である。また、
金属としては、鉄、又は炭素鋼、ステレンス鋼等の鉄合
金、アルミニウム、又はジュラルミン等のアルミニウム
合金、銅、チタン等である。セラミックスとしては、陶
器、磁器、硝子、琺瑯等である。樹脂としては、塩化ビ
ニル樹脂、ポリオレフィン系樹脂、フェノール樹脂等で
ある。非セラミックス窯業系材料としては、セメント、
パルプセメント、ALC(軽量気泡コンクリート)、G
RC(硝子繊維強化コンクリート)、ケイ酸カルシウム
等である。なお、被転写体には、必要に応じ、接着剤を
施して接着剤層を形成しても良いことは既に述べたとお
りである。
【0034】なお、被転写体に転写層を転写するには、
用途に応じた従来公知の転写法を採用すれば良い。例え
ば、弾性体ローラで転写圧を加える所謂ローラ転写法
(特公昭60−59876号公報等参照)、柱状の被転
写体の複数の側面に複数の押圧ローラで順次転写する所
謂ラッピング転写法(特公昭59−51900号公報等
参照)等である。
【0035】〔転写物〕そして、本発明の転写シートを
用いて得られる転写物は、例えば化粧板等の化粧材とし
て使用される。転写物の用途は特に制限は無い。例え
ば、化粧材に於いては、窓枠、扉、手摺、敷居、鴨居等
の建具、壁面、天井、床等の建築物内装材、外壁、塀、
屋根、門扉、破風板等の外装材、箪笥等の家具、或いは
テレビ受像機等の弱電・OA機器のキャビネット、自動
車、電車、航空機、船舶等の乗物内装材、小物入れ等の
容器等として用いる。なかでも、本発明の場合は、耐摩
耗性と共に耐水蒸気性も優れているので、キッチン等の
厨房用途等は好適である。
【0036】ちなみに、図2(B)によって転写物の構
成を説明すれば、転写物Dは被転写体Bに転写層2が積
層された構成である。なお、図示はしないが転写層2は
表面保護層が表側(図面では下側)である。
【0037】
【実施例】以下、本発明を実施例及び比較例によって、
更に具体的に説明する。なお、文中、「部」及び「%」
とあるのは、全て質量基準である。
【0038】〔実施例1〕図1の如き構成の転写シート
Sを、厚さ26μmの2軸延伸ポリエチレンテレフタレ
ートフィルムからなる支持体シート1の片面に、転写層
2として、次の表面保護層3、プライマー層4、装飾層
5、及び接着剤層6をこの順に形成して、作製した。な
お、装飾層はグラビア印刷で形成し、この他の層はグラ
ビアコートで形成した。
【0039】先ず、表面保護層3としては、ジペンタエ
リストリールヘキサアクリレート(DPHA)100部
に対して、平均分子量15万のポリメタクル酸メチル
(PMMA)200部を配合し、更にこれら樹脂分10
0部に対して滑剤7.8部を添加したアクリレート系電
離放射線硬化性樹脂の有機溶剤溶液(溶剤分57.3
%)を使用して、ドライ塗布量7g/m2 となる様に塗
布した後、加速エネルギー175keV、照射線量5M
radの条件で電子線照射して架橋硬化物とした。次
に、プライマー層4としては、平均分子量20万のポリ
メタクル酸メチル(PMMA)の有機溶剤溶液(溶剤分
70%)を使用して、ドライ塗布量8g/m 2 で塗工形
成した。次の装飾層5としては、アクリル樹脂と塩化ビ
ニル−酢酸ビニル共重合体との1対1質量比の混合樹脂
をバインダーの樹脂とし、着色顔料が添加された着色イ
ンキを使用して、ドライ塗布量として2g/m2 の石目
柄の装飾層を印刷形成した。そして、接着剤層6として
は、ポリアミド樹脂の有機溶剤溶液を使用して、ドライ
塗布量10g/m2 で塗工形成した。
【0040】〔実施例2〕実施例1に於いて、プライマ
ー層に使用したポリメタクル酸メチル(PMMA)の平
均分子量を2.0万に変更した他は、実施例1と同様に
して転写シートを作製した。
【0041】〔比較例1〕実施例1に於いて、表面保護
層の樹脂を、電離放射線硬化性樹脂から熱可塑性アクリ
ル樹脂(平均分子量20万のポリメタクリル酸メチル)
に変更し、更にプライマー層を省略した他は、実施例1
と同様にして転写シートを作製した。
【0042】〔比較例2〕実施例1に於いて、プライマ
ー層に使用したポリメタクル酸メチル(PMMA)の平
均分子量を1.8万に変更した他は、実施例1と同様に
して転写シートを作製した。
【0043】〔比較例3〕実施例1に於いて、プライマ
ー層に使用したポリメタクル酸メチル(PMMA)の平
均分子量を21万に変更した他は、実施例1と同様にし
て転写シートを作製した。
【0044】〔物性評価〕各転写シートについて、被転
写体としてMDF(中密度繊維板)からなる木質の基材
に対して、シリコーンゴムで鉄芯表面を被覆し加熱した
ゴムローラで転写圧を加えるローラ転写法によって転写
して、転写物として化粧板を作製した。そして、この転
写物の物性として、密着性、耐摩耗性、耐水蒸気性を次
の様にして評価した。物性の評価結果は表1に纏めて示
す。
【0045】密着性:セロハンテープ密着性試験〔J
IS K 5400(1990)が規定する碁盤目テー
プ法に準拠〕で評価した。すなわち、転写層の表面か
ら、2mm間隔で碁盤目状に縦横に、深さが被転写体に
まで達する切り込みを入れて、縦横で10×10個の合
計100個の枡目を作った後、セロハン粘着テープ(ニ
チバン株式会社製、「セロテープ」(登録商標)24m
m幅、産業用)を25℃に於いて貼着後、勢い良く剥が
して、転写層がテープと共に剥がれるか否かで評価し
た。一枡も剥がれ無きものを良好「○」、一枡でも剥が
れ有りのものを不良「×」とした。
【0046】耐摩耗性:テーバ形摩耗試験機を用いて
評価した〔JIS K 5400(1990)に準
拠〕。摩耗輪はCS10用い、荷重は4.9N(500
gf)、規定回転数は500回とした。そして、摩耗
後、転写層の表面を目視観察して、基材が露出したもの
を不良「×」、そうで無いものを良好「○」として評価
した。
【0047】耐水蒸気性:次の様な蒸気試験を行って
評価した。先ず、図2(A)の如く、500mlのビー
カー11中に300mlの沸騰水12を用意する。沸騰
状態は、泡がわずかに発生する程度の状態として、ビー
カー11を載置したヒーター13の加熱量を調節する。
そして、図2(B)の如く、ビーカー11を覆う様にそ
の上に、転写物Dを載せる。転写物Dは、被転写体Bに
転写され積層された転写層2が、沸騰水12に面する様
に下側(図面下側)として載せる。この結果、転写層2
の最表面層となっている表面保護層が、加熱した水蒸気
に晒されることになる。そして、ビーカー11上に転写
物Dを載置して15分放置した後に、図2(C)の如
く、転写物Dの転写層2の表面を目視観察して、フクレ
(膨れ)等の異常無きものは良好「○」、フクレやクラ
ック等の異常が発生したものは不良「×」と評価した。
【0048】
【表1】
【0049】表1の如く、先ず、基本的な必要物性であ
る密着性は、プライマー層のPMMAの平均分子量が2
1万と大きい比較例3が、プライマー層/装飾層間で剥
離し不良となった他は、各実施例及び他の比較例(比較
例1及び2)は、全て良好なった。また、表面保護層を
設けた目的である耐摩耗性は、表面保護層に熱可塑性ア
クリル樹脂を用いた比較例1のみが被転写体である基材
が露出し不良となったが、表面保護層に特定の電離放射
線硬化性樹脂を用いた各実施例及び他の比較例(比較例
2及び3)は、表面が削られて艶が変化(低下)した
が、装飾層の絵柄が消失する程では無く、全て良好なっ
た。そして、耐水蒸気性は、プライマー層に平均分子量
の小さいPMMAを用いた比較例2のみが不良となった
他は、各実施例及びその他の比較例(比較例1及び3)
は良好となった。以上の結果、密着性、耐摩耗性を満足
した上でなお且つ耐水蒸気性も満足したものは、実施例
1及び実施例2であった。
【0050】
【発明の効果】本発明の転写シートによれば、優れた耐
摩耗性と優れた耐水蒸気性が得られる。この結果、本発
明の転写シートを使用すれば、厨房用途に好適な化粧板
等の転写物を得る事ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の転写シートの一形態を示す断面図。
【図2】耐水蒸気性を評価する為の水蒸気試験を説明す
る概念図。
【符号の説明】
1 支持体シート 2 転写層 3 表面保護層 4 プライマー層 5 装飾層 6 接着剤層 11 ビーカー 12 沸騰水 13 ヒーター B 被転写体(基材) D 転写物(化粧板等) S 転写シート
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 3B005 EB01 FB13 FC02Z FC08X FC08Y FC08Z FC12Z FD03X 4F100 AH02C AJ04D AK01D AK15D AK15J AK22D AK22J AK25B AK25D AK42 AK46 AL01D AR00B AR00C AR00D AT00A BA04 BA07 BA10A BA10D CA13 EC04B EJ05B EJ65C GB08 GB90 HB00D JA07C JB12B JB14B JD20 JK09 JL14B YY00C

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 支持体シートの片面に、該支持体シート
    より剥離可能な転写層として、少なくとも、アクリロイ
    ル基又は/及びメタクリロイル基を有する有機化合物か
    らなるアクリレート系電離放射線硬化性樹脂の架橋硬化
    物から形成された表面保護層、該表面保護層に接する様
    に、平均分子量2万〜20万のポリメタクリル酸メチル
    からなるプライマー層、該プライマー層に接する様に、
    アクリル樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、セル
    ロース系樹脂、或いはこれらの混合物をバインダーの樹
    脂とする装飾層を順次積層した、転写シート。
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