JP2015170464A - 非水電解質二次電池 - Google Patents

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Abstract

【課題】自動車用途など、従来と同等以上の過酷な温度や充放電電流の条件で用いられた場合においても、サイクル特性、保存特性、連続充電特性及び高速充放電特性の全てに優れた非水電解質二次電池を提供することを目的とする。
【解決手段】正極活物質を含む正極と、負極と、非水電解質と、外装体と、を少なくとも備え、前記正極、前記負極、前記非水電解質及び前記外装体のうち少なくとも1つが、リン酸塩を含み、前記リン酸塩が、LiPO(式中、a、xは、a≧1、x≧1を満たし、MはLi以外の金属元素からなる群より選ばれる少なくとも1種類以上である)、又は、(M’POO(式中、y及びmは、y≧1、m≧2を満たし、M’は金属元素からなる群より選ばれる少なくとも1種類以上である)のうち少なくとも一方を含む、非水電解質二次電池。
【選択図】なし

Description

本発明は、非水電解質二次電池に関する。
近年の電子技術の発展や環境技術への関心の高まりに伴い、様々な電気化学デバイスが用いられている。特に、省エネルギー化への要請が多くあり、それに貢献できるものへの期待はますます高くなっている。蓄電デバイスの代表例であり、非水電解質二次電池の代表例でもあるリチウムイオン二次電池は、従来、主として携帯機器用充電地として使用されていたが、近年ではハイブリッド自動車及び電気自動車用電池としての使用も期待されている。
しかしながら、リチウムイオン二次電池が自動車用途で用いられる場合、従来の携帯機器用として用いられる場合よりも、温度や充放電電流の条件が過酷になる。そこで、そのような過酷な条件においても二次電池として良好に機能するよう、リチウムイオン二次電池には、サイクル特性、保存特性、連続充電特性及び高速充放電特性の更なる向上が求められている。
従来、これらの特性の改良を目指して、特許文献1及び2に記載されている技術が提案されてきた。
特許文献1には、リン酸アルカリ金属塩を正極に混合し、電解液中で発生する酸を中和することで高温での保存特性が向上する技術が記載されている。
特許文献2には、リン酸リチウムを正極に混合し、更に電解液にハロゲン化エチレンカーボネート化合物を含むことで、電解液の分解を抑制することで高温での連続充放電特性が向上する技術が記載されている。
特開2007−220335号公報 特開2008−243810号公報
しかしながら、特許文献1及び2に記載されている技術を始めとする従来の技術の中では、サイクル特性、保存特性、連続充電特性及び高速充放電特性の全てを向上させるものが見出されていない。
そこで、本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、自動車用途など、従来と同等以上の過酷な温度や充放電電流の条件で用いられた場合においても、サイクル特性、保存特性、連続充電特性及び高速充放電特性の全てに優れた非水電解質二次電池を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決するため鋭意研究を行った結果、正極と、負極と、非水電解質と、外装体と、場合によってはセパレーターとを備え、それらのうち少なくとも1つが所定のリン酸塩を含む非水電解質二次電池が、上記課題を解決することを見出した。
すなわち、本発明は下記のとおりである。
〔1〕
正極活物質を含む正極と、負極と、非水電解質と、外装体と、を少なくとも備え、
前記正極、前記負極、前記非水電解質及び前記外装体のうち少なくとも1つが、リン酸塩を含み、
前記リン酸塩が、LiPO(式中、a、xは、a≧1、x≧1を満たし、MはLi以外の金属元素からなる群より選ばれる少なくとも1種類以上である)、又は、(M’POO(式中、y及びmは、y≧1、m≧2を満たし、M’は金属元素からなる群より選ばれる少なくとも1種類以上である)のうち少なくとも一方を含む、非水電解質二次電池。
〔2〕
正極活物質を含む正極と、負極と、非水電解質と、外装体と、セパレーターとを少なくとも備え、
前記正極、前記負極、前記非水電解質、前記外装体及び前記セパレーターのうち少なくとも1つが、リン酸塩を含み、
前記リン酸塩が、LiPO(式中、a、xは、a≧1、x≧1を満たし、MはLi以外の金属元素からなる群より選ばれる少なくとも1種類以上である)、又は、(M’POO(式中、y及びmは、y≧1、m≧2を満たし、M’は金属元素からなる群より選ばれる少なくとも1種類以上である)のうち少なくとも一方を含む、非水電解質二次電池。
〔3〕
前記リン酸塩が、(M’POO(式中、y及びmは、y≧1、m≧2を満たし、M’は金属元素からなる群より選ばれる少なくとも1種類以上である)で表される縮合リン酸塩を含む、前項〔1〕又は〔2〕に記載の非水電解質二次電池。
〔4〕
前記M又はM’が、遷移金属からなる群より選ばれる少なくとも1種類以上である、前項〔1〕〜〔3〕のいずれか1項に記載の非水電解質二次電池。
〔5〕
前記M又はM’が、前記正極活物質に含まれる遷移金属からなる群より選ばれる少なくとも1種類以上である、前項〔1〕〜〔4〕のいずれか1項に記載の非水電解質二次電池。
〔6〕
前記M又はM’が、2種類以上の異なる金属元素を含む、前項〔1〕〜〔5〕のいずれか1項に記載の非水電解質二次電池。
〔7〕
前記リン酸塩が、(LiM’’POO(式中、b、z、lは、b≧1、z≧1、l≧2を満たし、M’’はLi以外の金属元素らなる群より選ばれる少なくとも1種類以上である)を含む、前項〔3〕〜〔6〕のいずれか1項に記載の非水電解質二次電池。
〔8〕
前記リン酸塩の含有量が、前記正極活物質量の総量に対して、0.10〜20量%である、前項〔1〕〜〔7〕のいずれか1項に記載の非水電解質二次電池。
本発明によれば、自動車用途など、従来と同等以上の過酷な温度や充放電電流の条件で用いられた場合においても、サイクル特性、保存特性、連続充電特性及び高速充放電特性の全てに優れた非水電解質二次電池を提供することができる。
以下、本発明を実施するための形態(以下、単に「本実施形態」という。)について詳細に説明する。以下の本実施形態は、本発明を説明するための例示であり、本発明を以下の内容に限定する趣旨ではない。本発明は、その要旨の範囲内で適宜に変形して実施できる。
〔非水電解質二次電池〕
本実施形態の非水電解質二次電池は、正極活物質を含む正極と、負極と、非水電解質と、外装体と、を少なくとも備え、前記正極、前記負極、前記非水電解質及び前記外装体のうち少なくとも1つがリン酸塩を含み、前記リン酸塩が、LiPO(式中、a、xは、a≧1、x≧1を満たし、MはLi以外の金属元素らなる群より選ばれる少なくとも1種類以上である)、又は、(M’POO(式中、y及びmは、y≧1、m≧2を満たし、M’は金属元素からなる群より選ばれる少なくとも1種類以上である)のうち少なくとも一方を含む。
なお、非水電解質二次電池は、セパレーターを更に備えるものであってもよく、その場合、前記リン酸塩はセパレーターに含まれていてもよい。リン酸塩は、X線回折分析(X−ray Diffraction;XRD)、各種核磁気共鳴分析(Nuclear Magnetic Resonance;NMR)及び、例えば高速原子衝突質量分析(Fast Atom Bombardment−Mass Spectrometry;FAB−MS)等の質量分析によって確認することができる。また、リン酸塩の含有量は誘導結合プラズマ発光分析(Inductively Coupled Plasma−Atomic Emission Spectrometry;ICP−AES)により定量することができる。
〔リン酸塩〕
本実施形態に用いられるリン酸塩は、LiPO(式中、a、xは、a≧1、x≧1を満たし、MはLi以外の金属元素からなる群より選ばれる少なくとも1種類以上であり)、又は、(M’POO(式中、y及びmは、y≧1、m≧2を満たし、M’は金属元素からなる群より選ばれる少なくとも1種類以上)のうち少なくとも一方を含む。このようなリン酸塩を用いることで、電解液中に発生するフッ酸を効率よく除去することができるため、正極活物質からの遷移金属溶出を抑制することができる。また、このようなリン酸塩を用いることにより、過酷な温度や充放電電流の条件で用いられた場合においても、サイクル特性、保存特性、連続充電特性及び高速充放電特性がより優れる傾向にある。
リン酸塩は、リン酸基が縮合した縮合リン酸塩であることが好ましく、鎖長の長いリン酸塩であることがより好ましい。具体的には、リン酸塩が、(M’POO(式中、y及びmは、y≧1、m≧2を満たし、M’は金属元素からなる群より選ばれる少なくとも1種類以上である)で表される縮合リン酸塩を含むことが好ましい。このような縮合リン酸塩を用いることにより、Liイオン伝導性がより向上する傾向にある。また、縮合リン酸塩を用いることで正極活物質からの金属溶出を抑制する効果がある。例えば、単量体より、2量体のピロリン酸塩が好ましく、更には3量体のトリリン酸塩がより好ましい。縮合リン酸塩を用いることで、より効果的にサイクル特性、保存特性、連続充電特性及び高速充放電特性を向上させることができる。
リン酸塩に含まれる金属元素MはLi以外の金属元素らなる群より選ばれる少なくとも1種類以上であり、M’は金属元素からなる群より選ばれる少なくとも1種類以上である。Mとしては、特に限定されないが、例えば、Na、及びK等の周期表1族に属する金属;Be、Mg及びCa等の周期表2族に属する金属;Al等の周期表12族元素;Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Zr等の遷移金属からなる群より選ばれる1種以上が挙げられる。また、M’としては、特に限定されないが、例えば、Li,Na、及びK等の周期表1族に属する金属;Be、Mg及びCa等の周期表2族に属する金属;Al等の周期表12族元素;Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Zr等の遷移金属からなる群より選ばれる1種以上が挙げられる。このなかでも、M又はM’としては、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Zr等の遷移金属からなる群より選ばれる1種以上が好ましい。このようなM又はM’を有するリン酸塩を用いることにより、過酷な温度や充放電電流の条件で用いられた場合においても、サイクル特性、保存特性、連続充電特性及び高速充放電特性がより優れる傾向にある。更には、金属元素M又はM’は、正極活物質に含まれる遷移金属からなる群より選ばれる1種以上がより好ましい。このようなM又はM’を有するリン酸塩を用いることにより、Liイオン伝導性が更に向上するため好ましい。このようなリン酸塩としては、特に限定されないが、例えば、LiNaPO4、LiMgPO4、LiCaPO4、LiMnPO4、LiFePO4、LiNiPO、LiCoPO4、Li7、Na7、Mg7、Ca7、Mn7、Ni7、Co7、Fe7、LiNa7、LiMgP7、LiCaP7、LiMnP7、LiNiP7、LiCoP7、LiFeP7、NaMgP7、NaCaP7、NaMnP7、NaNiP7、NaCoP7、NaFeP7、MgCaP7、MgMnP7、MgNiP7、MgCoP7、MgFeP7、CaMnP7、CaNiP7、CaCoP7、CaFeP7、Li10、Na10、Mg(P102、Ca(P102、Mn(P102、Ni(P102、Co(P102、Fe(P102、LiMn10、LiNi10、LiCo10、LiFe10、LiNaMnP10、LiNaNiP10、LiNaCoP10、LiNaFeP10からなる群より選ばれる1種以上の化合物が挙げられる。
リン酸塩に含まれる金属元素M又はM’は2種類以上の異なる金属元素を含むことが好ましい。金属元素M又はM’が2種類以上の異なる金属元素を含むことにより、Liイオン伝導性がより向上する傾向にある。また、金属元素M又はM’が2種類以上の異なる金属元素を含むことにより、過酷な温度や充放電電流の条件で用いられた場合においても、サイクル特性、保存特性、連続充電特性及び高速充放電特性がより優れる傾向にある。このようなリン酸塩としては特に限定されないが、例えば、LiNaPO4、LiMgPO4、LiCaPO4、LiMnPO4、LiFePO4、LiNiPO、LiCoPO4、LiNa7、LiMgP7、LiCaP7、LiMnP7、LiNiP7、LiCoP7、LiFeP7、NaMgP7、NaCaP7、NaMnP7、NaNiP7、NaCoP7、NaFeP7、MgCaP7、MgMnP7、MgNiP7、MgCoP7、MgFeP7、CaMnP7、CaNiP7、CaCoP7、CaFeP7、LiMn10、LiNi10、LiCo10、LiFe10、LiNaMnP10、LiNaNiP10、LiNaCoP10、LiNaFeP10からなる群より選ばれる1種以上の化合物が挙げられる。
また、金属元素M’が2種類以上の異なる金属元素を含む場合、1つの金属元素はLiであることがより好ましく、金属元素M’はLi及び遷移金属を同時に含むことがより好ましい。このようなリン酸塩としては特に限定されないが、例えば、(LiM’’POO(式中、b、z、lは、b≧1、z≧1、l≧2を満たし、M’’はLi以外の金属元素らなる群より選ばれる少なくとも1種類以上である)が挙げられ、具体的には、LiMnP7、LiNiP7、LiCoP7、LiFeP7、LiMn10、LiNi10、LiCo10、LiFe10、LiNaMnP10、LiNaNiP10、LiNaCoP10、LiNaFeP10からなる群より選ばれる1種以上の化合物が挙げられる。このようなリン酸塩を用いることにより、過酷な温度や充放電電流の条件で用いられた場合においても、サイクル特性、保存特性、連続充電特性及び高速充放電特性がより優れる傾向にある。
リン酸塩の含有量は、特に限定されないが、正極活物質量の総量に対して、0.10〜20質量%であることが好ましく、0.10〜10質量%であることがより好ましく、0.10〜5.0質量%であることがさらに好ましい。リン酸塩の含有量が上記範囲内であることにより、過酷な温度や充放電電流の条件で用いられた場合においても、サイクル特性、保存特性、連続充電特性及び高速充放電特性がより優れる傾向にある。また、コストの観点でも優れる傾向にある。
また、リン酸塩の含有量は、非水電解質に含まれる六フッ化リン酸リチウムの総量に対して、0.0010〜10mol%が好ましく、0.010〜10mol%がより好ましく、0.10〜5.0mol%がさらに好ましい。リン酸塩の含有量が上記範囲内であることにより、過酷な温度や充放電電流の条件で用いられた場合においても、サイクル特性、保存特性及び連続充電特性のみならず、高速充放電特性の観点でより優れる傾向にある。
リン酸塩は、固体状であると好ましい。リン酸塩が固体状の粒子である場合、その大きさは特に限定されないが、平均粒径として、0.1〜100μmであると好ましく、10〜50μmであるとより好ましい。平均粒径が0.1μm以上であることにより、リン酸塩による効果を長時間持続でき、サイクル特性、保存特性、連続充電特性及び高速充放電特性が長期にわたって優れる傾向にある。また、平均粒径が100μm以下であることにより、放電特性などの電池特性が良好に維持される傾向にある。平均粒径は、公知のどの方法によっても測定可能であるが、例えばレーザ回折式粒子径分布測定装置によって測定することができ、大粒子と小粒子とが等量となるメジアン径(d50)を平均粒径として用いる。
〔正極〕
本実施形態に用いられる正極は、正極活物質と、導電材と、結着材と、集電体とを含むことが好ましい。
〔正極活物質〕
正極は、コストの観点から、正極活物質としてマンガンを含むリチウム遷移金属酸化物を含むことが好ましい。そのような酸化物としては、例えば、下記一般式(1)、(3)及び(7)で表される化合物が挙げられる。正極活物質としてマンガンを含むリチウム遷移金属酸化物、好ましくは下記一般式(1)、(3)及び(7)で表される化合物を用いることにより、過酷な温度や充放電電流の条件で用いられた場合においても、サイクル特性、保存特性、連続充電特性及び高速充放電特性がより優れる傾向にある。
正極に含まれ得る正極活物質としては、電気化学的にリチウムイオンを吸蔵及び放出可能な公知のものを用いることができる。その中でも、正極活物質としては、リチウムを含む材料が好ましい。正極活物質としては、例えば、下記一般式(1):
LiMn2−y (1)
(式中、Mは、遷移金属元素からなる群より選ばれる少なくとも1種の元素を示し、0<x≦1.3、0.2<y<0.8、3.5<z<4.5である。)
で表される酸化物、下記一般式(2):
Li (2)
(式中、Mは遷移金属元素からなる群より選ばれる少なくとも1種の元素を示し、0<x≦1.3、0.8<y<1.2、1.8<z<2.2である。)
で表される層状酸化物、下記一般式(3):
LiMn2−xMa (3)
(式中、Maは遷移金属元素からなる群より選ばれる少なくとも1種の元素を示し、0.2≦x≦0.7である。)
で表されるスピネル型酸化物、下記一般式(4):
LiMcO (4)
(式中、Mcは、遷移金属元素からなる群より選ばれる少なくとも1種の元素を示す。)
で表される酸化物と、下記一般式(5):
LiMdO (5)
(式中、Mdは、遷移金属元素からなる群より選ばれる少なくとも1種の元素を示す。)
で表される酸化物との複合酸化物であって、下記一般式(6):
zLiMcO−(1−z)LiMdO (6)
(式中、Mc及びMdは、それぞれ上記式(4)及び(5)におけるものと同義であり、0.1≦z≦0.9である。)
で表されるLi過剰層状酸化物正極活物質、下記一般式(7):
LiMb1−yFePO (7)
(式中、Mbは、Mn及びCoからなる群より選ばれる少なくとも1種の元素を示し、0≦y≦1.0である。)
で表されるオリビン型正極活物質、及び、下記一般式(8):
LiMePOF (8)
(式中、Meは、遷移金属元素からなる群より選ばれる少なくとも1種の元素を示す。)で表される化合物が挙げられる。これらの正極活物質は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いられる。
正極活物質の比表面積は0.1m/g以上が好ましく、0.6m/g以上が更に好ましい。また、正極活物質の比表面積は10.0m/g以下が好ましい。正極活物質の比表面積が0.1m/g以上であることにより、正極活物質の表面で起こる電解質分解の副反応が進行しやすく、付随して発生するフッ酸をリン酸塩により効率的に除去できる傾向にある。また、正極活物質の比表面積が0.1m/g以上であることにより、放電特性などの電池特性がより優れる傾向にある。一方で、正極活物質の比表面積が10.0m/g以下であることにより、サイクル特性及び保存特性がより優れる傾向にある。
さらに、本実施形態においては、正極活物質の電位が、リチウム基準で4.5V以上が好ましい。正極活物質の電位が、リチウム基準で4.5V以上であることにより、電解質が分解しやすくなるが、付随して発生するフッ酸をリン酸塩により除去できるので、より効果的である。なお、正極活物質の電位は実施例に記載の方法により測定することができる。
正極に含まれ得る導電材としては、電子を伝導できる公知のものを用いることができる。その中でも、導電材としては、活性炭、各種コークス、カーボンブラック及びアセチレンブラックなどの非黒鉛炭素質材料及び黒鉛が好ましい。これらは1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いられる。
正極に含まれ得る結着材としては、正極活物質、正極に含まれ得る導電材、及び正極に含まれ得る集電体のうち少なくとも2つを結着できる公知のものを用いることができる。その中でも、結着材としては、ポリフッ化ビニリデン及びフッ素ゴムが好ましい。結着材は1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いられる。
正極に含まれ得る集電体としては、特に限定されず、従来公知のものを全て使用できるが例えば、アルミニウム、チタン、ステンレス等の金属箔、エキスパンドメタル、パンチメタル、発泡メタル、カーボンクロス、及びカーボンペーパーが挙げられる。これらは1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いられる。
本実施形態に用いられるリン酸塩が、正極に含まれる場合、正極活物質、導電材、及び結着材のうち少なくとも1種に混合して用いることができる。また、リン酸塩を、正極活物質、導電材、及び集電体のうち少なくとも1種の表面に、被覆させたり、部分的に付着させたりしてもよい。さらに、正極活物質、導電材、結着材及び集電体を含む電極の表面に、リン酸塩を被覆させてもよい。より具体的には、例えば、リン酸塩とポリマーとを含む担持層を電極の表面に形成させて2層構造にしてもよい。リン酸塩は、溶融させて結着材として用いることもできる。
〔負極〕
本実施形態に用いられる負極は、負極活物質と、結着材と、集電体とを含むことが好ましい。
負極に含まれ得る負極活物質としては、電気化学的にリチウムイオンを吸蔵及び放出可能な公知のものを用いることができる。その中でも、負極活物質としては、例えば、黒鉛粉末、メソフェーズ炭素繊維、及びメソフェーズ小球体などの炭素材料、並びに、金属、合金、酸化物及び窒化物が好ましい。これらは1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いられる。
負極に含まれ得る結着材としては、負極活物質、負極に含まれ得る導電材、及び負極に含まれ得る集電体のうち少なくとも2つを結着できる公知のものを用いることができる。その中でも、結着材として、カルボキシメチルセルロース、スチレン−ブタジエンの架橋ゴムラテックス、アクリル系ラテックス及びポリフッ化ビニリデンが好ましい。これらは1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いられる。
負極に含まれ得る集電体としては、特に限定されず、従来公知のものを全て使用できるが例えば、銅、ニッケル及びステンレスなどの金属箔、エキスパンドメタル、パンチメタル、発泡メタル、カーボンクロス、並びに、カーボンペーパーが挙げられる。これらは1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いられる。
本実施形態に用いられるリン酸塩が、負極に含まれる場合、負極活物質、及び結着材のうち少なくとも1種に混合して用いることができる。また、リン酸塩を、負極活物質及び集電体のうち少なくとも1種の表面に、被覆させたり、部分的に付着させたりしてもよい。さらに、負極活物質、結着材、及び集電体を含む電極の表面に、リン酸塩を被覆させてもよい。より具体的には、例えば、リン酸塩とポリマーとを含む担持層を電極の表面に形成させて2層構造にしてもよい。リン酸塩は、溶融させて結着材として用いることもできる。
〔非水電解質〕
本実施形態における非水電解質に用いられる電解質(塩)としては、特に限定されず従来公知のものを用いることができる。電解質としては、特に限定されないが、例えば、LiPF(六フッ化リン酸リチウム)、LiClO、LiAsF、LiSiF、LiOSO2k+1〔kは1〜8の整数〕、LiN(SO2k+1〔kは1〜8の整数〕、LiPF(C2k+16−n〔nは1〜5の整数、kは1〜8の整数〕、LiPF(C)、及びLiPF(C、LiBF、LiAlO、LiAlCl、Li1212−b〔bは0〜3の整数〕、LiBF(C2s+14−q〔qは1〜3の整数、sは1〜8の整数〕、LiB(C、LiBF(C)、LiB(C、LiPF(C)等が挙げられる。これらの電解質は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いられる。これらの中では、LiPFが好ましい。このような電解質を用いることにより、過酷な温度や充放電電流の条件で用いられた場合においても、サイクル特性、保存特性、連続充電特性及び高速充放電特性がより優れる傾向にある。
本実施形態における非水電解質に用いられる非水溶媒としては、特に限定されず従来公知のものを用いることができる。非水溶媒としては、例えば、非プロトン性極性溶媒が好ましい。その具体例としては、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、1,2−ブチレンカーボネート、2,3−ブチレンカーボネート、1,2−ペンチレンカーボネート、2,3−ペンチレンカーボネート、トリフルオロメチルエチレンカーボネート、フルオロエチレンカーボネート及び4,5−ジフルオロエチレンカーボネートなどの環状カーボネート;γーブチロラクトン及びγーバレロラクトンなどのラクトン;スルホランなどの環状スルホン;テトラヒドロフラン及びジオキサンなどの環状エーテル;エチルメチルカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、メチルプロピルカーボネート、メチルイソプロピルカーボネート、ジプロピルカーボネート、メチルブチルカーボネート、ジブチルカーボネート、エチルプロピルカーボネート及びメチルトリフルオロエチルカーボネートなどの鎖状カーボネート;アセトニトリルなどのニトリル;ジメチルエーテルなどの鎖状エーテル;プロピオン酸メチルなどの鎖状カルボン酸エステル;ジメトキシエタンなどの鎖状エーテルカーボネート化合物が挙げられる。これらは1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いられる。
なお、本実施形態の非水電解質は、液体であってもよく固体電解質であってもよい。
本実施形態に用いられるリン酸塩が、非水電解質に含まれる場合、リン酸塩を非水溶媒に混合して用いることができる。また、リン酸塩を固体電解質に混合しても用いることができる。
〔セパレーター〕
本実施形態に用いられ得るセパレーターとしては、非水電解質二次電池に用いられる従来公知のものを用いることができる。セパレーターとしては、例えば、従来の非水電解質二次電池に用いられる、ポリエチレン及びポリプロピレンなどのポリオレフィン樹脂の微多孔膜が挙げられる。その他、セパレーターとして、例えば、セルロース、芳香族ポリアミド、フッ素樹脂及びポリオレフィンなどの樹脂、並びに、アルミナ及びシリカなどの無機物の1種を単独で又は2種以上の混合物を含む、又は被覆させた不織布、抄紙、多孔膜などの構造体、固体電解質のフィルムが挙げられる。セパレーターは、イオンの透過性が高く、かつ正極と負極とを電気的に隔離する機能を有するものであればよい。
本実施形態に用いられるリン酸塩が、セパレーターに含まれる場合、セパレーターの表面にリン酸塩を被覆させて用いることができる。また、セパレーターにリン酸塩を混合して用いることもできる。さらに、複数のセパレーター間にリン酸塩を挟んで用いることもできる。また、リン酸塩を薄膜に加工して、それ自体をセパレーターとして用いることもできる。
〔外装体〕
本実施形態に用いられる外装体は、従来公知のものを用いることができる。外装体の材料としては、例えば、ステンレス、鉄及びアルミニウムなどの金属、並びに、その金属の表面を樹脂で被覆したラミネートフィルムが挙げられる。
電解質の分解により発生したフッ酸は最終的に水素等のガスに変換される。そのため、フッ酸の発生に起因する外装体の膨張による電池性能劣化や安全性の低下が問題として挙げられる。本実施形態によると、リン酸塩を含むため、電解質の分解により発生したフッ酸がガスに変換される前にリン酸塩と反応しうる。これにより、フッ酸の発生に起因するガスの発生を抑制できる。そのため、外装体として膨張の影響を受けやすいラミネートフィルムや金属の角型を用いた場合に、ガス発生抑制による電池外装体の膨張抑制効果が特に効果的に奏されるため好ましい。
本実施形態に用いられるリン酸塩が外装体に含まれる場合、外装体にリン酸塩を被覆させたり、外装体に用いられる上記材料とリン酸塩とを混合したりして、リン酸塩を用いることができる。
本実施形態の非水電解質二次電池は、上述の構成を有する他は、従来公知のものと同様の構成を有していてもよい。本実施形態の非水電解質二次電池としては、例えば、リチウムイオン二次電池、及びリチウムイオンキャパシタが挙げられる。また、本実施形態の非水電解質二次電池の製造方法は、リン酸塩を上述のようにして含ませる他は、従来の非水電解質二次電池の製造方法と同様であればよい。
本実施形態の非水電解質二次電池は、自動車用途など、従来と同等以上の過酷な温度や充放電電流の条件で用いられた場合においても、サイクル特性、保存特性、連続充電特性及び高速充放電特性の全てに優れたものとなる。
以下、実施例によって本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
<実施例1>
<正極活物質LiNi0.5Mn1.5の合成>
遷移金属元素のモル比として1:3の割合の硫酸ニッケル(II)六水和物(和光純薬工業(株))と硫酸マンガン(II)五水和物(和光純薬工業(株))とを、水に溶解し、金属イオン濃度の総和が2mol/Lになるようにニッケル−マンガン混合水溶液を調製した。次いで、このニッケル−マンガン混合水溶液を、70℃に加温した濃度1mol/Lの炭酸ナトリウム水溶液3000mL中に、12.5mL/minの添加速度で120分間滴下した。なお、滴下時には、攪拌の下、200mL/minの流量の空気を水溶液中にバブリングしながら吹き込んだ。これにより析出物質が発生し、得られた析出物質を蒸留水で十分洗浄し、乾燥して、ニッケルマンガン化合物を得た。得られたニッケルマンガン化合物と粒径2μmの炭酸リチウムとを、リチウム:ニッケル:マンガンのモル比が1:0.5:1.5になるように秤量し、1時間乾式混合した後、得られた混合物を酸素雰囲気下において1000℃で5時間焼成し、LiNi0.5Mn1.5で表される正極活物質を得た。比表面積はカンタクロム社製オートソーブ−1を用いて窒素により測定し、BET法により算出した。得られたLiNi0.5Mn1.5活物質の窒素吸着比表面積は0.6m/gであった。また、正極活物質の電位を規定するために、負極に金属Liを用いたこと以外は下記に示す方法にて非水電解質二次電池を作製し、25℃に設定した恒温槽(二葉科学社製、恒温槽PLM−73S)に収容し、充放電装置(アスカ電子(株)製、充放電装置ACD−01)に接続した。次いで、満充電状態においてLiNi0.5Mn1.5とLiの電位差を測定したところ4.9Vであった。
<LiMnPOの合成>
LiOH・HO(和光純薬工業(株))及び(NHHPO(和光純薬工業(株))をNバブリングしたイオン交換水中に溶解した後に、MnSO・5HO(和光純薬工業(株))を溶解した水溶液を添加することによって混合溶液を得た。この溶液中のLi:P:Mnは、モル比が1:1:1となるように調製した。1h撹拌後に水を留去し、Nフロー下、600℃で5h焼成することによりLiMnPOを得た。
<正極の作製>
上述のようにして得られた正極活物質と、導電助剤としてグラファイトの粉末(TIMCAL社製、KS−6)とアセチレンブラックの粉末(電気化学工業社製、HS−100)と、バインダーとしてポリフッ化ビニリデン溶液(クレハ社製、L#7208)とを固形分比で80:5:5:10の質量比で混合した。更に得られた混合物に、LiMnPOを正極活物質量に対して1.4質量%となるように混合した。得られた混合物に、分散溶媒としてN−メチル−2−ピロリドンを固形分35質量%となるように投入して更に混合して、スラリー状の溶液を調製した。このスラリー状の溶液を厚さ20μmのアルミニウム箔の片面に塗布し、溶剤を乾燥除去した後、ロールプレスで圧延した。圧延後のものを直径16mmの円盤状に打ち抜いて正極を得た。
<負極の作製>
負極活物質としてグラファイト粉末(大阪ガスケミカル社製、OMAC1.2H/SS)及びグラファイト粉末(TIMCAL社製、SFG6)と、バインダーとしてスチレンブタジエンゴム(SBR)及びカルボキシメチルセルロース水溶液とを、90:10:1.5:1.8の固形分重量比で混合した。得られた混合物を、固形分濃度が45質量%となるように、分散溶媒としての水に添加して、スラリー状の溶液を調製した。このスラリー状の溶液を厚さ18μmの銅箔の片面に塗布し、溶剤を乾燥除去した後、ロールプレスで圧延した。圧延後のものを直径16mmの円盤状に打ち抜いて負極を得た。
<非水電解質の調製>
エチレンカーボネート(EC)とエチルメチルカーボネート(EMC)とを体積比1:2で混合した混合溶媒に、LiPFを1mol/Lとなるように溶解して、非水電解質である電解液を得た。
<電池の作製>
上述のようにして作製した正極と負極とをポリプロピレン製の微多孔膜からなるセパレーター(膜厚25μm、空孔率50%、孔径0.1μm〜1μm)の両側に重ね合わせた積層体を、ステンレス製の円盤型電池ケース(外装体)に挿入した。次いで、そこに、上記電解液を0.5mL注入し、積層体を電解液に浸漬した後、電池ケースを密閉して非水電解質二次電池を作製した。
<電池評価>
・初期充放電
得られた非水電解質二次電池(以下、単に「電池」ともいう。)を、25℃に設定した恒温槽(二葉科学社製、恒温槽PLM−73S)に収容し、充放電装置(アスカ電子(株)製、充放電装置ACD−01)に接続した。次いで、その電池を0.05Cの定電流で充電し、4.8Vに到達した後、4.8Vの定電圧で2時間充電し、0.3Cの定電流で3.0Vまで放電した。なお、1Cとは電池が1時間で放電される電流値である。
・連続充電特性試験
上記初期充放電後の電池を、55℃に設定した恒温槽(二葉科学社製、恒温槽PLM−73S)に収容し、充放電装置(アスカ電子(株)製、充放電装置ACD−01)に接続した。次いで、その電池を0.5Cの定電流で充電し、4.8Vに到達した後、4.8Vの定電圧で6時間充電し、6時間時の電流値をリーク電流値として確認した。その後、その電池を0.5Cの定電流で3.0Vまで放電した。同様にして、電圧を上げた4.9Vの定電圧で6時間充電した場合の、6時間時のリーク電流値の確認も行った。なお、リーク電流値は電解質分解等のガス発生を伴う副反応の大小を示しており、大きいほど電解質分解が多く、ガス発生量も多くなる。
・サイクル試験
上記連続充電特性試験後の電池を、55℃に設定した恒温槽(二葉科学社製、恒温槽PLM−73S)に収容し、充放電装置(アスカ電子(株)製、充放電装置ACD−01)に接続した。次いで、その電池を0.5Cの定電流で4.8Vまで充電し、0.5Cの定電流で3.0Vまで放電した。この一連の充放電を1サイクルとし、更に28サイクル充放電した。続いて、その電池を0.1Cの定電流で充電し、4.8Vに到達した後、4.8Vの定電圧で1時間充電し、0.1Cの定電流で3.0Vまで放電した(30サイクル目)。1サイクル目及び30サイクル目の放電容量を確認した。
・保存試験
上記初期充放電後の電池を、55℃に設定した恒温槽(二葉科学社製、恒温槽PLM−73S)に収容し、充放電装置(アスカ電子(株)製、充放電装置ACD−01)に接続した。次いで、その電池を0.5Cの定電流で充電し、4.8Vに到達した後、0.5Cの定電流で3.0Vまで放電して、そのときの放電容量を保存前放電容量として確認した。そのまま、電池を恒温槽中で5日間保存し、5日後に取り出した。
その後、その電池を25℃に設定した恒温槽(二葉科学社製、恒温槽PLM−73S)に収容し、充放電装置(アスカ電子(株)製、充放電装置ACD−01)に接続した。次いで、その電池を0.5Cの定電流で充電し、4.8Vに到達した後、4.8Vの定電圧で1時間充電し、0.5Cの定電流で3.0Vまで放電して、そのときの放電容量を保存後放電容量として確認した。
・高速充放電試験
上記初期充放電後の電池を、25℃に設定した恒温槽(二葉科学社製、恒温槽PLM−73S)に収容し、充放電装置(アスカ電子(株)製、充放電装置ACD−01)に接続した。次いで、その電池を1/3Cの定電流で充電し、4.8Vに到達した後、4.8Vの定電圧で1時間充電し、1/3Cの定電流で3.0Vまで放電した。次いで、その電池を1/3Cの定電流で充電し、4.8Vに到達した後、4.8Vの定電圧で1時間充電し、5Cの定電流で3.0Vまで放電した。次いで、その電池を1/3Cの定電流で充電し、4.8Vに到達した後、4.8Vの定電圧で1時間充電し、10Cの定電流で3.0Vまで放電した。1/3Cの定電流で3.0Vまで放電したときの放電容量を基準として、5Cの定電流で3.0Vまで放電した時及び10Cの定電流で3.0Vまで放電した時の放電容量維持率(%)を確認した。
<実施例2>
<LiFePOの合成>
LiOH・HO(和光純薬工業(株))及び(NHHPO(和光純薬工業(株))をNバブリングしたイオン交換水中に溶解した後に、FeSO・7HO(和光純薬工業(株))を溶解した水溶液を添加することによって混合溶液を得た.この溶液中のLi:P:Feは、モル比が1:1:1となるように調製した。1h撹拌後に水を留去し、Nフロー下、600℃で5h焼成することによりLiFePOを得た。
正極活物質量に対して1.4質量%のLiMnPOに代えて、正極活物質量に対して1.4質量%のLiFePOを用いたこと以外は実施例1と同様にして、非水電解質二次電池を作製して、電池評価を行った。その結果を表1に示す。
<実施例3>
<LiNiPOの合成>
LiOH・HO(和光純薬工業(株))及び(NHHPO(和光純薬工業(株))をNバブリングしたイオン交換水中に溶解した後に、NiSO・6HO(和光純薬工業(株))を溶解した水溶液を添加することによって混合溶液を得た.この溶液中のLi:P:Niは、モル比が1:1:1となるように調製した。1h撹拌後に水を留去し、Nフロー下、600℃で5h焼成することによりLiNiPOを得た。
正極活物質量に対して1.4質量%のLiMnPOに代えて、正極活物質量に対して1.4質量%のLiNiPOを用いたこと以外は実施例1と同様にして、非水電解質二次電池を作製して、電池評価を行った。その結果を表1に示す。
<実施例4>
<LiCoPOの合成>
LiOH・HO(和光純薬工業(株))及び(NHHPO(和光純薬工業(株))をNバブリングしたイオン交換水中に溶解した後に、CoSO・7HO(和光純薬工業(株))を溶解した水溶液を添加することによって混合溶液を得た.この溶液中のLi:P:Coは、モル比が1:1:1となるように調製した。1h撹拌後に水を留去し、Nフロー下、600℃で5h焼成することによりLiCoPOを得た。
正極活物質量に対して1.4質量%のLiMnPOに代えて、正極活物質量に対して1.4質量%のLiCoPOを用いたこと以外は実施例1と同様にして、非水電解質二次電池を作製して、電池評価を行った。その結果を表1に示す。
<実施例5>
<Liの合成>
LiCl・HO(和光純薬工業(株))及び(NHHPO(和光純薬工業(株))をNバブリングしたイオン交換水中に溶解した。この溶液中のLi:Pは、モル比が2:1となるように調製した。1h撹拌後に水を留去し、Nフロー下、600℃で5h焼成することによりLiを得た。
正極活物質量に対して1.4質量%のLiMnPOに代えて、正極活物質量に対して1.7質量%のLiを用いたこと以外は実施例1と同様にして、非水電解質二次電池を作製して、電池評価を行った。その結果を表1に示す。
<実施例6>
<LiMnPの合成>
LiCl・HO(和光純薬工業(株))、MnCl・4HO(和光純薬工業(株))及び(NHHPO(和光純薬工業(株))をNバブリングしたイオン交換水中に溶解した。この溶液中のLi:Mn:Pは、モル比が2:1:2となるように調製した。1h撹拌後に水を留去し、Nフロー下、600℃で5h焼成することによりLiMnPを得た。
正極活物質量に対して1.4質量%のLiMnPOに代えて、正極活物質量に対して2.1質量%のLiMnPを用いたこと以外は実施例1と同様にして、非水電解質二次電池を作製して、電池評価を行った。その結果を表1に示す。
<実施例7>
<LiFePの合成>
LiCl・HO(和光純薬工業(株))、FeCl・4HO(和光純薬工業(株))及び(NHHPO(和光純薬工業(株))をNバブリングしたイオン交換水中に溶解した。この溶液中のLi:Fe:Pは、モル比が2:1:2となるように調製した。1h撹拌後に水を留去し、Nフロー下、600℃で5h焼成することによりLiFePを得た。
正極活物質量に対して1.4質量%のLiMnPOに代えて、正極活物質量に対して2.1質量%のLiFePを用いたこと以外は実施例1と同様にして、非水電解質二次電池を作製して、電池評価を行った。その結果を表1に示す。
<実施例8>
<LiNaの合成>
LiCl・HO(和光純薬工業(株))、NaCl(和光純薬工業(株))及び(NHHPO(和光純薬工業(株))をNバブリングしたイオン交換水中に溶解した。この溶液中のLi:Na:Pは、モル比が1:1:1となるように調製した。1h撹拌後に水を留去し、Nフロー下、600℃で5h焼成することによりLiNaを得た。
正極活物質量に対して1.4質量%のLiMnPOに代えて、正極活物質量に対して2.0質量%のLiNaを用いたこと以外は実施例1と同様にして、非水電解質二次電池を作製して、電池評価を行った。その結果を表1に示す。
<実施例9>
<Mnの合成>
MnCl・4HO(和光純薬工業(株))及び(NHHPO(和光純薬工業(株))をNバブリングしたイオン交換水中に溶解した。この溶液中のMn:Pは、モル比が1:1となるように調製した。1h撹拌後に水を留去し、Nフロー下、600℃で5h焼成することによりMnを得た。
正極活物質量に対して1.4質量%のLiMnPOに代えて、正極活物質量に対して2.5質量%のMnを用いたこと以外は実施例1と同様にして、非水電解質二次電池を作製して、電池評価を行った。その結果を表1に示す。
<実施例10>
<Li10の合成>
LiCl・HO(和光純薬工業(株))及び(NHHPO(和光純薬工業(株))をNバブリングしたイオン交換水中に溶解した。この溶液中のLi:Pは、モル比が5:3となるように調製した。1h撹拌後に水を留去し、Nフロー下、600℃で5h焼成することによりLi10を得た。
正極活物質量に対して1.4質量%のLiMnPOに代えて、正極活物質量に対して2.5質量%のLi10を用いたこと以外は実施例1と同様にして、非水電解質二次電池を作製して、電池評価を行った。その結果を表1に示す。
<実施例11>
<LiMn10の合成>
LiCl・HO(和光純薬工業(株))、MnCl・4HO(和光純薬工業(株))及び(NHHPO(和光純薬工業(株))をNバブリングしたイオン交換水中に溶解した。この溶液中のLi:Mn:Pは、モル比が1:2:3となるように調製した。1h撹拌後に水を留去し、Nフロー下、600℃で5h焼成することによりLiMn10を得た。
正極活物質量に対して1.4質量%のLiMnPOに代えて、正極活物質量に対して3.2質量%のLiMn10を用いたこと以外は実施例1と同様にして、非水電解質二次電池を作製して、電池評価を行った。その結果を表1に示す。
<実施例12>
<LiFe10の合成>
LiCl・HO(和光純薬工業(株))、FeCl・4HO(和光純薬工業(株))及び(NHHPO(和光純薬工業(株))をNバブリングしたイオン交換水中に溶解した。この溶液中のLi:Fe:Pは、モル比が1:2:3となるように調製した。1h撹拌後に水を留去し、Nフロー下、600℃で5h焼成することによりLiFe10を得た。
正極活物質量に対して1.4質量%のLiMnPOに代えて、正極活物質量に対して3.2質量%のLiFe10を用いたこと以外は実施例1と同様にして、非水電解質二次電池を作製して、電池評価を行った。その結果を表1に示す。
<実施例13>
<LiNaMnP10の合成>
LiCl・HO(和光純薬工業(株))、NaCl(和光純薬工業(株))、MnCl・4HO(和光純薬工業(株))及び(NHHPO(和光純薬工業(株))をNバブリングしたイオン交換水中に溶解した。この溶液中のLi:Na:Mn:Pは、モル比が1:2:1:3となるように調製した。1h撹拌後に水を留去し、Nフロー下、600℃で5h焼成することによりLiNaMnP10を得た。
正極活物質量に対して1.4質量%のLiMnPOに代えて、正極活物質量に対して3.1質量%のLiNaMnP10を用いたこと以外は実施例1と同様にして、非水電解質二次電池を作製して、電池評価を行った。その結果を表1に示す。
<実施例14>
正極にLiMn10を混合する代わりに、負極にLiMn10を混合したこと以外は、実施例11と同様にして、非水電解質二次電池を作製して、電池評価を行った。その結果を表1に示す。なお、負極の製造方法を以下に示す。
<負極の作製>
負極活物質としてグラファイト粉末(大阪ガスケミカル社製、OMAC1.2H/SS)及びグラファイト粉末(TIMCAL社製、SFG6)と、バインダーとしてスチレンブタジエンゴム(SBR)及びカルボキシメチルセルロース水溶液とを、90:10:1.5:1.8の固形分重量比で混合した。得られた混合物に、更に、LiMn10を混合した後、固形分濃度が45質量%となるように、分散溶媒としての水に添加して、スラリー状の溶液を調製した。このスラリー状の溶液を厚さ18μmの銅箔の片面に塗布し、溶剤を乾燥除去した後、ロールプレスで圧延した。圧延後のものを直径16mmの円盤状に打ち抜いて負極を得た。
<実施例15>
正極にLiMn10を混合する代わりに、非水電解質にLiMn10を含ませたこと以外は、実施例11と同様にして、非水電解質二次電池を作製して、電池評価を行った。その結果を表1に示す。なお、非水電解質の調製方法を以下に示す。
<非水電解質の調製>
エチレンカーボネート(EC)とエチルメチルカーボネート(EMC)とを体積比1:2で混合した混合溶媒に、LiPFを1mol/Lとなるように溶解して非水電解質である電解液を得た。更に、この電解液の中にLiMn10を加えて振とう機(タイテック社製、SR−1)にセットし、150r/minのスピードで15min振とうすることでLiMn10が懸濁した電解液を得た。
<実施例16>
外装体を円盤型からアルミニウムラミネートフィルムに換えたこと以外は、実施例11とほぼ同様にして、非水電解質二次電池を作製して、電池評価を行った。その結果を表1に示す。なお非水電解質二次電池の作製において異なる部分を下記に示す。
<アルミニウムラミネートフィルム外装角型電池の作製>
正極と負極をそれぞれ幅約40mm、長さ60mmに切断し、正極リードと負極リードをそれぞれ取り付けた。正極と負極とをポリプロピレン製の微多孔膜からなるセパレーター(膜厚25μm、空孔率50%、孔径0.1μm〜1μm)の両側に重ね合わせた積層体を、アルミニウムラミネートフィルムからなる袋状の外装部材内に入れた。次いで、そこに、LiPFを1mol/l溶解したエチレンカーボネート(EC)とエチルメチルカーボネート(EMC)の体積比1:2の電解液を2.0mL注入し、袋を熱融着して封止し、アルミラミネートフィルム外装角型電池を得た。
<実施例17>
正極にLiMn10を混合する代わりに、下記のようにして得たアルミニウムラミネートフィルムの内側にLiMn10を担持させた外装体を用いたこと以外は、実施例16と同様にして、非水電解質二次電池を作製して、電池評価を行った。その結果を表1に示す。
<アルミニウムラミネートフィルムへのLiMn10の担持>
PVDF8質量%を含むNMP溶液10g中に、LiMn1010gを入れて撹拌することで50質量%のLiMn10を含むPVDF/NMP分散液を得た。これをLiMn10が正極活物質に対して3.2質量%となるようにアルミニウムラミネートフィルムの内側に塗布した後、真空下100℃で2h乾燥させることで、LiMn10を担持したアルミニウムラミネートフィルムを得た。
<実施例18>
正極にLiMn10を混合する代わりに、セパレーターとして、ポリプロピレン製の微多孔膜(膜厚25μm、空孔率50%、孔径0.1μm〜1μm)2枚の間にLiMn10を敷き詰めたものを用いたこと以外は、実施例11と同様にして、非水電解質二次電池を作製して、電池評価を行った。その結果を表1に示す。
<実施例19>
<正極活物質LiNi1/3Mn1/3Co1/3の合成>
遷移金属元素のモル比として1:1:1の割合の硫酸ニッケル(II)六水和物(和光純薬工業(株))と硫酸マンガン(II)五水和物(和光純薬工業(株))と硫酸コバルト(II)七水和物(和光純薬工業(株))を、水に溶解し、金属イオン濃度の総和が2mol/Lになるようにニッケル−マンガン−コバルト混合水溶液を調製した。次いで、このニッケル−マンガン−コバルト混合水溶液を、70℃に加温した濃度1mol/Lの炭酸ナトリウム水溶液3000mL中に、12.5mL/minの添加速度で120分間滴下した。なお、滴下時には、攪拌の下、200mL/minの流量の窒素を水溶液中にバブリングした。これにより析出物質が発生し、得られた析出物質を蒸留水で十分洗浄し、乾燥して、ニッケル−マンガン−コバルト化合物を得た。得られたニッケル−マンガン−コバルト化合物と炭酸リチウム(和光純薬工業(株))とを、リチウム:ニッケル:マンガン:コバルトのモル比が3:1:1:1になるように秤量し、1時間乾式混合した後、得られた混合物を大気中において950℃で5時間焼成し、LiNi1/3Mn1/3Co1/3で表される正極活物質を得た。得られたLiNi1/3Mn1/3Co1/3活物質の窒素吸着比表面積は1.0m/gであった。また、正極活物質の電位を規定するために、負極に金属Liを用いたこと以外は上記に示す方法にて非水電解質二次電池を作製し、25℃に設定した恒温槽(二葉科学社製、恒温槽PLM−73S)に収容し、充放電装置(アスカ電子(株)製、充放電装置ACD−01)に接続した。次いで、満充電状態においてLiNi1/3Mn1/3Co1/3とLiの電位差を測定したところ4.3Vであった。
正極活物質をLiNi1/3Mn1/3Co1/3に代えて、充電電圧を全て4.2Vに変更したこと以外は実施例1と同様にして、非水電解質二次電池を作製して、電池評価を行った。その結果を表2に示す。
<実施例20>
正極活物質をLiNi1/3Mn1/3Co1/3に代えて、充電電圧を全て4.2Vに変更したこと以外は実施例6と同様にして、非水電解質二次電池を作製して、電池評価を行った。その結果を表2に示す。
<実施例21>
正極活物質をLiNi1/3Mn1/3Co1/3に代えて、充電電圧を全て4.2Vに変更したこと以外は実施例9と同様にして、非水電解質二次電池を作製して、電池評価を行った。その結果を表2に示す。
<比較例1>
正極にLiMnPOを含まないこと以外は実施例1と同様にして、非水電解質二次電池を作製して、電池評価を行った。その結果を表1に示す。
<比較例2>
正極にLiMn10を含まないこと以外は実施例16と同様にして、非水電解質二次電池を作製して、電池評価を行った。その結果を表1に示す。
<比較例3>
正極活物質に対して1.4質量%のLiMnPOに代えて、正極活物質に対して1.0質量%のLiPOを含む以外は実施例1と同様にして、非水電解質二次電池を作製して、電池評価を行った。その結果を表1に示す。
<比較例4>
正極活物質に対して1.4質量%のLiMnPOに代えて、正極活物質に対して1.4質量%のNaPO(和光純薬工業(株))を用いたこと以外は比較例2と同様にして、非水電解質二次電池を作製して、電池評価を行った。その結果を表1に示す。
<比較例5>
正極活物質をLiNi1/3Mn1/3Co1/3に代えて、充電電圧を4.2Vに変更したこと以外は比較例1と同様にして、非水電解質二次電池を作製し、電池評価を行った。その結果を表2に示す。
充電電圧4.8V LiNi0.5Mn1.5
Figure 2015170464
※1:正極活物質に対するリン酸塩の含有量
充電電圧4.2V LiNi1/3Mn1/3Co1/3
Figure 2015170464
本発明によると、4.2Vの電圧条件においてもサイクル特性、保存特性、連続充電特性及び高速充放電特性の改善効果を発揮するが、それ以上の高電圧条件で更に大きな改善効果を発揮することが分かった。
本発明の非水電解質二次電池は、各種民生用機器用電源、自動車用電源への産業上利用可能性を有する。

Claims (8)

  1. 正極活物質を含む正極と、負極と、非水電解質と、外装体と、を少なくとも備え、
    前記正極、前記負極、前記非水電解質及び前記外装体のうち少なくとも1つが、リン酸塩を含み、
    前記リン酸塩が、LiPO(式中、a、xは、a≧1、x≧1を満たし、MはLi以外の金属元素からなる群より選ばれる少なくとも1種類以上である)、又は、(M’POO(式中、y及びmは、y≧1、m≧2を満たし、M’は金属元素からなる群より選ばれる少なくとも1種類以上である)のうち少なくとも一方を含む、非水電解質二次電池。
  2. 正極活物質を含む正極と、負極と、非水電解質と、外装体と、セパレーターとを少なくとも備え、
    前記正極、前記負極、前記非水電解質、前記外装体及び前記セパレーターのうち少なくとも1つが、リン酸塩を含み、
    前記リン酸塩が、LiPO(式中、a、xは、a≧1、x≧1を満たし、MはLi以外の金属元素からなる群より選ばれる少なくとも1種類以上である)、又は、(M’POO(式中、y及びmは、y≧1、m≧2を満たし、M’は金属元素からなる群より選ばれる少なくとも1種類以上である)のうち少なくとも一方を含む、非水電解質二次電池。
  3. 前記リン酸塩が、(M’POO(式中、y及びmは、y≧1、m≧2を満たし、M’は金属元素からなる群より選ばれる少なくとも1種類以上である)で表される縮合リン酸塩を含む、請求項1又は2に記載の非水電解質二次電池。
  4. 前記M又はM’が、遷移金属からなる群より選ばれる少なくとも1種類以上である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の非水電解質二次電池。
  5. 前記M又はM’が、前記正極活物質に含まれる遷移金属からなる群より選ばれる少なくとも1種類以上である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の非水電解質二次電池。
  6. 前記M又はM’が、2種類以上の異なる金属元素を含む、請求項1〜5のいずれか1項に記載の非水電解質二次電池。
  7. 前記リン酸塩が、(LiM’’POO(式中、b、z、lは、b≧1、z≧1、l≧2を満たし、M’’はLi以外の金属元素らなる群より選ばれる少なくとも1種類以上である)を含む、請求項3〜6のいずれか1項に記載の非水電解質二次電池。
  8. 前記リン酸塩の含有量が、前記正極活物質量の総量に対して、0.10〜20量%である、請求項1〜7のいずれか1項に記載の非水電解質二次電池。
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