JP2017016751A - リチウムイオン二次電池及び電解液 - Google Patents

リチウムイオン二次電池及び電解液 Download PDF

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慶子 隅野
井上 克彦
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Abstract

【課題】4.4V(vsLi/Li+)以上で作動する正極活物質を含有する正極を備える場合でも高いサイクル寿命を有するリチウムイオン二次電池を与えることのできる非水蓄電デバイス用電解液を提供すること。【解決手段】4.4V(vsLi/Li+)以上の電位で作動する正極活物質を含有する正極と、負極と、非水溶媒を含有する電解液と、を有するリチウムイオン二次電池であって、電解液は、リン原子及び/又はホウ素原子を有するプロトン酸、スルホン酸、カルボン酸からなる群から選択される少なくとも1種のプロトン酸の少なくとも1つの水素原子を式(1)で表される基で置換した化合物(A)と、リチウムビスオキサレートボレート(LiBOB)と、LiBF4とを更に含有することを特徴とする、リチウムイオン二次電池、及び該電池に用いられる電解液。【選択図】図1

Description

本発明は、リチウムイオン二次電池及び該電池に用いられる電解液に関する。
近年の電子技術の発展や環境技術への関心の高まりに伴い、様々な電気化学デバイスが用いられている。特に、省エネルギー化への要請が高まるにつれ、それに貢献できる電気化学デバイスへの期待はますます高くなっている。蓄電デバイスの代表例であるリチウムイオン二次電池は、従来、主として携帯機器用充電池として使用されていたが、近年ではハイブリッド自動車、電気自動車用電池等の様々な用途での使用も期待されている。
リチウムイオン二次電池には、その用途によっては、より一層高いエネルギー密度が求められており、その高エネルギー密度を達成するため、電池の高電圧化も検討されている。電池の高電圧化を達成するためには高電位で作動する正極を用いる必要があり、具体的には、4.4V(vsLi/Li)以上で作動する種々の正極活物質が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
従来のリチウムイオン二次電池では、カーボネート系溶媒を主成分とした非水溶媒に、リチウム塩を溶解した非水電解液が広く用いられている(例えば、特許文献2参照)。このようなカーボネート系溶媒を含む電解液は、4V前後の電圧下では、耐酸化性と耐還元性とのバランスに優れると共にリチウムイオンの伝導性に優れている。
特表2000−515672号公報 特開平7−006786号公報
ところが、4.4V(vsLi/Li)以上で作動する正極活物質を含有する正極を備えた高電圧のリチウムイオン二次電池においては、上記電解液に含まれるカーボネート系溶媒が正極表面にて酸化分解し、電池のサイクル寿命が低下するという課題が生ずる。かかるサイクル寿命の低下に対する有効な解決策はほとんど示されておらず、上記高電圧のリチウムイオン二次電池のサイクル寿命を向上させることが可能な電解液、及びそれを備えたリチウムイオン二次電池の開発が望まれている。
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであり、4.4V(vsLi/Li)以上で作動する正極活物質を含有する正極を備える場合でも高いサイクル寿命を有するリチウムイオン二次電池、及び、そのようなリチウムイオン二次電池を与えることのできる電解液を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意検討した結果、4.4V(vsLi/Li)以上の電位で作動する正極活物質を含有する正極と、負極と、非水溶媒を含有する電解液と、を有するリチウムイオン二次電池において、電解液に、特定のプロトン酸の少なくとも1つの水素原子をケイ素含有基で置換した化合物(A)と、LiBOBと、LiBFとを更に含有させることで、高電圧で作動しながら、高いサイクル寿命を有するリチウムイオン二次電池を実現することができることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は以下の通りである。
[1]
4.4V(vsLi/Li)以上の電位で作動する正極活物質を含有する正極と、負極と、非水溶媒を含有する電解液と、を有するリチウムイオン二次電池であって、
前記電解液は、リン原子及び/又はホウ素原子を有するプロトン酸、スルホン酸、カルボン酸からなる群から選択される少なくとも1種のプロトン酸の少なくとも1つの水素原子を下記式(1)で表される基で置換した化合物(A)と、リチウムビスオキサレートボレート(LiBOB)と、LiBFとを更に含有する
Figure 2017016751
・・・(1)
(式中、R、R、及びRは、それぞれ独立に、炭素数1〜10の有機基である。)
ことを特徴とする、リチウムイオン二次電池。
[2]
前記4.4V(vsLi/Li)以上の電位で作動する正極活物質は、
下記式(6):
LiMn2−xMa・・・(6)
(式中、Maは、遷移金属元素からなる群から選択される少なくとも1種の元素を示し、0.2≦x≦0.7である。)
で表されるスピネル型酸化物、
下記式(7−1):
LiMcO・・・(7−1)
(式中、Mcは、遷移金属元素からなる群から選択される少なくとも1種の元素を示す。)
で表される酸化物と、
下記式(7−2):
LiMdO・・・(7−2)
(式中、Mdは、遷移金属元素からなる群から選択される少なくとも1種の元素を示す。)
で表される酸化物と
の複合酸化物であって、
下記式(7−3):
zLiMcO−(1−z)LiMdO・・・(7−3)
(式(7−3)中、Mc及びMdは、それぞれ上記式(7−1)及び(7−2)におけるものと同義であり、0.1≦z≦0.9である。)
で表されるLi過剰層状酸化物、
下記式(8):
LiMb1−yFePO・・・(8)
(式中、Mbは、Mn及びCoからなる群から選択される少なくとも1種の元素を示し、0≦y≦0.9である。)
で表されるオリビン型化合物、及び
下記式(9):
LiMePOF・・・(9)
(式中、Meは、遷移金属元素からなる群から選択される少なくとも1種の元素を示す。)
で表されるフッ化オリビン型化合物
からなる群から選択される少なくとも1種である、
[1]に記載のリチウムイオン二次電池。
[3]
前記化合物(A)の含有量は、前記電解液100重量%に対して、0.1重量%以上5重量%以下であり、
前記リチウムビスオキサレートボレートの含有量は、電解液100重量%に対して、0.1重量%以上3重量%以下であり、
前記LiBFの含有量は、電解液100重量%に対して、0.1重量%以上3重量%以下である、
[1]又は[2]に記載のリチウムイオン二次電池。
[4]
前記化合物(A)は、
下記式(2):
Figure 2017016751
・・・(2)
(式中、Mは、リン原子又はホウ素原子を示し;mは、1〜20の整数であり;Mがリン原子の場合、nは、0又は1であり、M1がホウ素原子の場合、nは、0であり;Ra1、Ra2、及びRa3は、それぞれ独立に、炭素数1〜10の有機基であり;Ra4及びRa5は、それぞれ独立に、OH基、OLi基、置換又は非置換の炭素数1〜20の炭化水素基、置換又は非置換の炭素数1〜20のアルコキシ基、及び炭素数1〜20のシロキシ基からなる群から選択される少なくとも1種の基を示す。)
、下記式(3):
Figure 2017016751
・・・(3)
(式中、Mは、リン原子又はホウ素原子を示し;jは、2〜20の整数であり;Mがリン原子の場合、kは、0又は1であり、Mがホウ素原子の場合、kは、0であり;Ra6は、OH基、OLi基、置換又は非置換の炭素数1〜20の炭化水素基、置換又は非置換の炭素数1〜20のアルコキシ基、炭素数1〜20のシロキシ基、及び
下記式(3i)
OP(O)r(Ra7a8)・・・(3i)
(式中、rは、0又は1であり、Ra7及びRa8は、それぞれ独立に、OH基、OLi基、置換又は非置換の炭素数1〜20の炭化水素基、置換又は非置換の炭素数1〜20のアルコキシ基、及び炭素数1〜20のシロキシ基からなる群から選択される少なくとも1種の基を示す。)
で表される基からなる群から選択される少なくとも1種の基を示す。)
、下記式(5):
Figure 2017016751
・・・(5)
(式中、Ra9、Ra10、及びRa11は、それぞれ独立に、炭素数1〜10の有機基であり;Ra12は、置換又は非置換の炭素数1〜20の炭化水素基を示す。)
で表される化合物からなる群から選択される少なくとも1種を含む、
[1]〜[3]のいずれかに記載のリチウムイオン二次電池。
[5]
前記式(2)で表される化合物が、リン酸トリス(トリメチルシリル)である、
[4]に記載のリチウムイオン二次電池。
[6]
前記電解液は、支持塩を更に含有し、前記支持塩が、LiPFである、
[1]〜[5]のいずれかに記載のリチウムイオン二次電池。
[7]
[1]〜[6]のいずれかに記載のリチウムイオン二次電池に含有されることを特徴とする、電解液。
本発明によれば、高電圧で作動しながら、高いサイクル寿命を有するリチウムイオン二次電池、及び該電池に用いられる電解液を提供することができる。
本実施形態におけるリチウムイオン二次電池の一例を概略的に示す断面図である。
以下、必要に応じて図面を参照しつつ、本発明を実施するための形態(以下、単に「本実施形態」という。)について詳細に説明する。以下の本実施形態は、本発明を説明するための例示であり、本発明を以下の内容に限定する趣旨ではない。本発明は、その要旨の範囲内で適宜に変形して実施できる。
(((リチウムイオン二次電池)))
本実施形態のリチウムイオン二次電池は、4.4V(vsLi/Li)以上の電位で作動する正極活物質を含有する正極と、負極と、非水溶媒を含有する電解液と、を有するリチウムイオン二次電池である。
((電解液))
本実施形態の電解液は、非水溶媒に加えて、後述の化合物(A)と、リチウムビスオキサレートボレート(LiBOB)と、LiBFとを含有し、任意選択的に、LiBOB及びLiBF以外の支持塩、添加剤をも含有する。
(非水溶媒)
本実施形態の電解液に用いられる非水溶媒としては、特に限定されないが、非プロトン性極性溶媒が好ましい。
非プロトン性極性溶媒としては、例えば、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、1,2−ブチレンカーボネート、2,3−ブチレンカーボネート、1,2−ペンチレンカーボネート、2,3−ペンチレンカーボネート、トリフルオロメチルエチレンカーボネート、フルオロエチレンカーボネート、4,5−ジフルオロエチレンカーボネート、ビニレンカーボネート等の環状カーボネート;γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン等のラクトン;スルホラン等の環状スルホン;テトラヒドロフラン、ジオキサン等の環状エーテル;エチルメチルカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、メチルプロピルカーボネート、メチルイソプロピルカーボネート、ジプロピルカーボネート、メチルブチルカーボネート、ジブチルカーボネート、エチルプロピルカーボネート、メチルトリフルオロエチルカーボネート等の鎖状カーボネート;アセトニトリル、スクシノニトリル等のニトリル;ジメチルエーテル等の鎖状エーテル;プロピオン酸メチル等の鎖状カルボン酸エステル;ジメトキシエタン等の鎖状ジエーテル等が挙げられ、中でも、イオン伝導性の観点から、環状カーボネート、鎖状カーボネート等のカーボネート系溶媒が好ましい。
環状カーボネートとしては、上記のものが挙げられ、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、フルオロエチレンカーボネートが好ましく、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネートがより好ましい。鎖状カーボネートとしては、上記のものが挙げられ、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、エチルメチルカーボネートが好ましい。
これらは、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて併用してもよい。
また、上記カーボネート系溶媒としては、イオン伝導性をより優れたものとする観点から、環状カーボネートと鎖状カーボネートとを組み合わせて併用したものが更に好ましい。
この場合、環状カーボネートと鎖状カーボネートとの混合比は、得られるリチウムイオン二次電池のイオン伝導性をより向上させる観点から、体積比で、1:10〜5:1であることが好ましく、1:5〜3:1であることが更に好ましい。
非水溶媒としてカーボネート系溶媒を用いる場合、電解液には、リチウムイオン二次電池の電池物性をより改善する目的で、必要に応じて、上記カーボネート系溶媒に加えて、アセトニトリル、スルホラン等の別の非水溶媒が併用されてもよい。

(化合物(A))
本実施形態の電解液に用いられる化合物(A)としては、リン原子及び/又はホウ素原子を有するプロトン酸、スルホン酸、カルボン酸からなる群から選択される少なくとも1種のプロトン酸の少なくとも1つの水素原子を下記式(1)で表される基で置換した化合物(A)を含有する。
Figure 2017016751
・・・(1)
(式中、R、R、及びRは、それぞれ独立に、炭素数1〜10の有機基である。)
化合物(A)は、正極表面上に良質な被膜を形成し、サイクル特性を向上させる特性を備える。
特に、上記化合物(A)としては、下記式(2)で表される化合物
Figure 2017016751
・・・(2)
(式中、Mは、リン原子又はホウ素原子を示し;mは、1〜20の整数であり;Mがリン原子の場合、nは、0又は1であり、M1がホウ素原子の場合、nは、0であり;Ra1、Ra2、及びRa3は、それぞれ独立に、炭素数1〜10の有機基であり;Ra4及びRa5は、それぞれ独立に、OH基、OLi基、置換又は非置換の炭素数1〜20の炭化水素基、置換又は非置換の炭素数1〜20のアルコキシ基、及び炭素数1〜20のシロキシ基からなる群から選択される少なくとも1種の基を示す。)
が好ましく、より具体的には、リン酸トリス(トリメチルシリル)、ピロリン酸トリメチルシリル、トリポリリン酸トリメチルシリル(鎖状三量体)が好ましい。
特に、上記化合物(A)としては、下記式(3)で表される化合物
Figure 2017016751
・・・(3)
(式中、Mは、リン原子又はホウ素原子を示し;jは、2〜20の整数であり;Mがリン原子の場合、kは、0又は1であり、Mがホウ素原子の場合、kは、0であり;Ra6は、OH基、OLi基、置換又は非置換の炭素数1〜20の炭化水素基、置換又は非置換の炭素数1〜20のアルコキシ基、炭素数1〜20のシロキシ基、及び
下記式(3i)
OP(O)r(Ra7a8)・・・(3i)
(式中、rは、0又は1であり、Ra7及びRa8は、それぞれ独立に、OH基、OLi基、置換又は非置換の炭素数1〜20の炭化水素基、置換又は非置換の炭素数1〜20のアルコキシ基、及び炭素数1〜20のシロキシ基からなる群から選択される少なくとも1種の基を示す。)
で表される基からなる群から選択される少なくとも1種の基を示す。

が好ましく、より具体的には、トリメタリン酸トリメチルシリル(環状三量体)、下記式(4)で表される化合物
Figure 2017016751
・・・(4)
が好ましい。
特に、上記化合物(A)としては、下記式(5)で表される化合物
Figure 2017016751
・・・(5)
(式中、Ra9、Ra10、及びRa11は、それぞれ独立に、炭素数1〜10の有機基であり;Ra12は、置換又は非置換の炭素数1〜20の炭化水素基を示す。)
が好ましく、より具体的には、グルタコン酸トリメチルシリル、アジピン酸トリメチルシリル
が好ましい。
上記式(1)〜(5)中における炭素数1〜10の有機基としては、例えば、メチル基、エチル基、ビニル基、1−メチルビニル基、プロピル基、ブチル基、フルオロメチル基等の脂肪族炭化水素基;ベンジル基、フェニル基、ニトリル置換フェニル基、フルオロ化フェニル基等の芳香族炭化水素基等が挙げられる。上記の中でも、化学的安定性の観点から、メチル基、エチル基、ビニル基、1−メチルビニル基、フルオロメチル基が好ましい。
また、上記式(1)〜(5)において、同じケイ素原子に結合した2つの炭素数1〜10の有機基は、互いに結合して環を形成していてもよく、この場合、環を形成する部分としては、特に限定されないが、例えば、置換又は非置換の飽和又は不飽和のアルキレン基が挙げられる。かかる環状構造を有するシリル基としては、特に、リチウムイオン二次電池中での化学的耐久性の観点から、−Si(CH、−Si(C、−Si(CHCH、−Si(CHCHCH、−Si(CFが好ましく、−Si(CHがより好ましい。
上記式(1)〜(5)中における置換又は非置換の炭素数1〜20のアルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、ビニルオキシ(vinyloxy)基、アリルオキシ(allyloxy)基、プロポキシ基、ブトキシ基、シアノエトキシ基、フルオロエトキシ基、フルオロプロポキシ基等の脂肪族アルコキシ基等が挙げられ、特に、化学的安定性の観点から、メトキシ基、エトキシ基、ビニルオキシ基、アリルオキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、シアノエトキシ基、フルオロエトキシ基、又はフルオロプロポキシ基が好ましい。
上記式(1)〜(5)中における炭素数1〜20のシロキシ基としては、例えば特に限定されないが、−OSi(CH、−OSi(CH(C)、−OSi(CH(CH=CH)、−OSi(CH(CHCHCH)、−OSi(CH(CHCH=CH)、−OSi(CH(C(CH)=CH)、−OSi(CH[CH(CH]、−OSi(CH[(CHCH]、−OSi(CH[CHCH(CH]、−OSi(CH[C(CH]、−OSi(CH(C)、−OSi(CH)(C、−OSi(C、−OSi(C、−OSi(CH=CH、−OSi(CHCHCH、−OSi[CH(CH、−OSi(CHCH=CH、又は−OSi(CF等が挙げられ、特に、化学的安定性の観点から、−OSi(CH、−OSi(CH(C)、−OSi(CH(CH=CH)、−OSi(CH(CHCHCH)、−OSi(CH(CHCH=CH)、−OSi(CH[CH(CH]、−OSi(CH[C(CH]、−OSi(CH(C)、−OSi(C、−OSi(CHCHCH、−OSi[CH(CHが好ましく、−OSi(CH、−OSi(CH(CH=CH)、−OSi(CH[C(CH]、−OSi(Cが特に好ましい。
上記式(1)〜(5)中における置換又は非置換の炭素数1〜20の炭化水素基としては、例えば、特に限定されないが、脂肪族炭化水素基、フェニル基等の芳香族炭化水素、及び炭化水素基中の水素原子の全てがフッ素原子に置換されたトリフルオロメチル基等のフッ素置換炭化水素基等が挙げられる。なお、炭化水素基は、必要に応じて、種々の官能基を有していてもよい。このような官能基としては、特に限定されないが、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子等のハロゲン原子、ニトリル基(−CN)、エーテル基(−O−)、カーボネート基(−OCO−)、エステル基(−CO−)、カルボニル基(−CO−)、スルフィド基(−S−)、スルホキシド基(−SO−)、スルホン基(−SO−)、ウレタン基(−NHCO−)、フェニル基及びベンジル基等の芳香族基等が挙げられ、特に、化学的安定性の観点から、メチル基、エチル基、ビニル基、アリル基、イソプロピル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、フルオロヘキシル基等が好ましく、メチル基、エチル基、アリル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、フルオロヘキシル基がより好ましい。
前述の化合物(A)の具体例、すなわち、リン酸トリス(トリメチルシリル)、ピロリン酸トリメチルシリル、トリポリリン酸トリメチルシリル、トリメタリン酸トリメチルシリル、上記式(5)で表される化合物の中では、サイクル特性を向上させる観点から、リン酸トリス(トリメチルシリル)が特に好ましい。
本実施形態の電解液における化合物(A)の含有量は、電解液100重量%に対して、4.4V(vsLi/Li)以上の電位で作動する正極活物質を含有する正極を用いたリチウムイオン二次電池において良好なサイクル寿命を得る観点から、0.1重量%以上であることが好ましく、0.5質量%以上であることが更に好ましく、1質量%以上であることが特に好ましく、また、電池出力の観点から、5重量%以下であることが好ましく、2質量%以下であることが更に好ましい。
本実施形態の電解液には、リチウム塩、特に、リチウムビスオキサレートボレート(LiBOB)、及びLiBFが用いられる。
(LiBOB)
本実施形態の電解液に用いられるリチウムビスオキサレートボレート(LiBOB)は、負極表面に良質な被膜を形成し、サイクル特性を向上させる特性を備える。
(LiBF
本実施形態の電解液に用いられるLiBFは、電極表面に生成する抵抗増加の原因となる電解液の分解物やLiF等電解質の反応物を溶かし、抵抗増大を抑制する特性を備える。
本実施形態の電解液におけるLiBOB及びLiBFの含有量は、それぞれ、電解液100重量%に対して、4.4V(vsLi/Li)以上の電位で作動する正極活物質を含有する正極を用いたリチウムイオン二次電池において良好なサイクル寿命を得る観点から、0.1重量%以上であることが好ましく、0.5質量%以上であることが更に好ましく、また、3重量%以下であることが好ましく、1質量%以下であることが更に好ましい。
(支持塩)
本実施形態の電解液には、上記LiBOB及びLiBF以外に、任意選択的に、支持塩が用いられてよい。
本実施形態の電解液に用いられる支持塩としては、特に限定されないが、例えば、LiPF、LiDFOB、LiBETI、LiClO、LiAsF、LiSbF、LiCFSO、LiN(SOCF等が挙げられ、中でも、LiPFが好ましい。
これらは、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて併用してもよい。
なお、支持塩の含有量は、19F−NMR、31P−NMR等のNMR測定により算出することができる。
本実施形態の電解液における支持塩の含有量は、非水溶媒の合計体積に対して、0.8〜2.0mol/Lであることが好ましい。
(添加剤) 本実施形態の電解液に任意選択的に用いられる添加剤としては、例えば、ビニレンカーボネート、フルオロエチレンカーボネート、4,5−ジメチルビニレンカーボネート、4,5−ジエチルビニレンカーボネート、4,5−ジプロピルビニレンカーボネート、4−エチル−5−メチルビニレンカーボネート、4−エチル−5−プロピルビニレンカーボネート、4−メチル−5−プロピルビニレンカーボネート、ビニルエチレンカーボネート、ジビニルエチレンカーボネート等の不飽和化合物の環状炭酸エステルが挙げられ、また、メチルジフルオロアセテート、1,3−プロパンスルトン、1,3−プロペンスルトン、1,4−ブタンスルトン、4−フルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オン、4,5−ジフルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オン、式:Li1212−X(式中、Xは、8〜12の整数であり、Zは、H、Cl、又はBrを示す。)で表わされるフルオロドデカホウ酸リチウム、リチウムジフルオロオキサラトボレート、リチウムビストリフルオロメタンスルホニルイミド、リチウムビスフルオロスルホニルイミド、シクロヘキシルベンゼン、tert−ペンチルベンゼン、スクシノニトリル、アジポニトリル、エチレンサルファイト等も挙げられ、中でも、電池のサイクル特性を向上させる観点から、ビニレンカーボネート、フルオロエチレンカーボネート、1,3−プロパンスルトン、1,3−プロペンスルトン、4−フルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オン、4,5−ジフルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オン、フルオロドデカホウ酸リチウム、リチウムビストリフルオロメタンスルホニルイミド、リチウムビスフルオロスルホニルイミド、エチレンサルファイト、スクシノニトリルが好ましい。
これらは、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて併用してもよい。
また、上記以外の添加剤として、過充電時の安全性向上の観点から、シクロヘキシルベンゼン、フルオロシクロヘキシルベンゼン化合物(1−フルオロ−2−シクロヘキシルベンゼン、1−フルオロ−3−シクロヘキシルベンゼン、1−フルオロ−4−シクロヘキシルベンゼン)、tert−ブチルベンゼン、tert−アミルベンゼン、1−フルオロ−4−tert−ブチルベンゼン、1,3−ジ−tert−ブチルベンゼン、ビフェニル、ターフェニル(o−、m−、p−体)、ジフェニルエーテル、フルオロベンゼン、ジフルオロベンゼン(o−、m−、p−体)、2,4−ジフルオロアニソール、ターフェニルの部分水素化物(1、2−ジシクロヘキシルベンゼン、2−フェニルビシクロヘキシル、1,2−ジフェニルシクロヘキサン、o−シクロヘキシルビフェニル等)を用いてもよい。
これらは、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて併用してもよい。
((正極))
本実施形態の正極は、4.4V(vsLi/Li)以上の電位で作動する正極活物質、必要に応じて、正極集電体、導電助剤、バインダー等を含有する。
ここで、4.4V(vsLi/Li)以上の電位で作動する正極活物質とは、4.4V(vsLi/Li)以上の電位でリチウムイオン二次電池の正極として充電及び放電反応を起こし得る正極活物質である。
この点、当該正極活物質を含有する正極を有するリチウムイオン二次電池の満充電時における正極の電位が4.4V(vsLi/Li)以上であれば、正極活物質が4.4V(vsLi/Li)以上の電位で作動すると判断できる。このとき、充電初期又は放電末期において正極の電位が4.4V(vsLi/Li)以下となることは何ら差し支えない。
本実施形態の正極では、リチウムイオン二次電池の高容量化の観点から、4.5V(vsLi/Li)以上の電位で作動する正極活物質を含有することがより好ましい。
(正極活物質)
4.4V(vsLi/Li)以上の電位で作動する正極活物質としては、正極活物質の構造安定性の観点から、好ましくは、
下記式(6):
LiMn2−xMa・・・(6)
(式中、Maは、遷移金属元素からなる群から選択される少なくとも1種の元素を示し、0.2≦x≦0.7である。)
で表されるスピネル型酸化物、
下記式(7−1):
LiMcO・・・(7−1)
(式中、Mcは、遷移金属元素からなる群から選択される少なくとも1種の元素を示す。)
で表される酸化物と、
下記式(7−2):
LiMdO・・・(7−2)
(式中、Mdは、遷移金属元素からなる群から選択される少なくとも1種の元素を示す。)
で表される酸化物と
の複合酸化物であって、
下記式(7−3):
zLiMcO−(1−z)LiMdO・・・(7−3)
(式(7−3)中、Mc及びMdは、それぞれ上記式(7−1)及び(7−2)におけるものと同義であり、0.1≦z≦0.9である。)
で表されるLi過剰層状酸化物、
下記式(8):
LiMb1−yFePO・・・(8)
(式中、Mbは、Mn及びCoからなる群から選択される少なくとも1種の元素を示し、0≦y≦0.9である。)
で表されるオリビン型化合物、及び
下記式(9):
LiMePOF・・・(9)
(式中、Meは、遷移金属元素からなる群から選択される少なくとも1種の元素を示す。)
で表されるフッ化オリビン型化合物
が挙げられる。
これらは、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて併用してもよい。
上記式(6)で表されるスピネル型酸化物としては、安定性の観点から、
下記式(6a):
LiMn2−xNi・・・(6a)
(式中、0.2≦x≦0.7である。)
で表される酸化物が好ましく、
下記式(6b):
LiMn2−xNi・・・(6b)
(式中、0.3≦x≦0.6である。)
で表される酸化物がより好ましく、
LiMn1.5Ni0.5、LiMn1.6Ni0.4が更に好ましい。
また、正極活物質の安定性の観点、及び電子伝導性等の観点から、上記式(2)において、Mn原子のモル数に対して10モル%以下の割合で、遷移金属又は遷移金属酸化物が含められたような式で表される酸化物としてもよい。
上記式(7−3)で表されるLi過剰層状酸化物としては、安定性の観点から、
下記式(7−3a):
zLiMnO−(1−z)LiNiMnCo・・・(7−3a)
(式中、0.3≦z≦0.7であり、a+b+c=1であり、0.2≦a≦0.6であり、0.2≦b≦0.6であり、0.05≦c≦0.4である。)
で表される化合物が好ましく、
下記式(7−3b):
zLiMnO−(1−z)LiNiMnCo・・・(7−3b)
(式中、0.4≦z≦0.6であり、a+b+c=1であり、0.3≦a≦0.4であり、0.3≦b≦0.4であり、0.2≦c≦0.3である。)
で表される化合物がより好ましい。
上記式(8)で表されるオリビン型化合物としては、正極活物質の安定性の観点、及び電子伝導性等の観点から、
下記式(8a):
LiMn1−yFePO・・・(8a)
(式中、0.05≦y≦0.8である。)、
下記式(8b):
LiCo1−yFePO・・・(8b)
(式中、0.05≦y≦0.8である。)
で表される化合物が好ましい。
上記式(9)で表されるフッ化オリビン型化合物としては、安定性の観点から、LiFePOF、LiMnPOF、及びLiCoPOFが好ましい。
上記4.4V(vsLi/Li)以上の電位で作動する正極活物質は、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて併用してもよい。
また、本実施形態の正極では、4.4V(vsLi/Li)以上の電位で作動する正極活物質と、4.4V(vsLi/Li)以下の電位で作動する正極活物質とを組み合わせて用いることもできる。
4.4V(vsLi/Li)以下の電位で作動する正極活物質の代表例としては、LiFePOが挙げられる。
正極活物質は、一般的な無機酸化物の製造方法と同様の方法で製造することができる。
正極活物質の製造方法としては、特に限定されないが、例えば、所定の割合で金属塩(例えば、硫酸塩及び/又は硝酸塩)を混合した混合物を、酸素を含む雰囲気環境下で焼成することによって、無機酸化物を含む正極活物質を得る方法、金属塩を溶解させた液に炭酸塩及び/又は水酸化物塩を作用させて、難溶性の金属塩を析出させ、それを抽出分離し、次いで、これにリチウム源として炭酸リチウム及び/又は水酸化リチウムを混合し、その後、酸素を含む雰囲気環境下で焼成することによって、無機酸化物を含む正極活物質を得る方法等が挙げられる。
正極は、例えば、下記のようにして作製することができる。
まず、上記正極活物質に対して、必要に応じて、導電助剤やバインダー等を加えて混合した正極合剤を溶剤に分散させて正極合剤を含有するペーストを調製する。次いで、このペーストを正極集電体に塗布し、乾燥して正極合剤層を形成し、それを必要に応じて加圧し厚さを調整することによって、正極を作製することができる。
正極集電体としては、特に限定されないが、例えば、アルミニウム箔、又はステンレス箔等の金属箔により構成されるもの等が挙げられる。
((負極))
本実施形態の負極は、負極活物質、必要に応じて、正極集電体、導電助剤、バインダー等を含有する。
(負極活物質)
負極活物質としては、リチウムイオン二次電池の正極として充電及び放電反応を起こし得るものが好ましい。
負極活物質としては、特に限定されないが、例えば、炭素負極活物質;ケイ素合金負極活物質及びスズ合金負極活物質に代表されるリチウムと合金形成が可能な元素を含む負極活物質;チタン化合物負極活物質;スズ化合物負極活物質;ケイ素化合物負極活物質;及びチタン酸リチウム負極活物質に代表されるリチウム含有化合物等が挙げられる。
これらは、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて併用してもよい。
炭素負極活物質としては、特に限定されないが、例えば、ハードカーボン、ソフトカーボン、人造黒鉛、天然黒鉛、黒鉛、熱分解炭素、コークス、ガラス状炭素、有機高分子化合物の焼成体、メソカーボンマイクロビーズ、炭素繊維、活性炭、グラファイト、炭素コロイド、カーボンブラック等が挙げられる。
コークスとしては、特に限定されないが、例えば、ピッチコークス、ニードルコークス、石油コークス等が挙げられる。また、有機高分子化合物の焼成体とは、特に限定されないが、フェノール樹脂やフラン樹脂等の高分子材料を適当な温度で焼成して、炭素化したものである。
リチウムと合金形成が可能な元素を含む負極活物質としては、特に限定されないが、例えば、金属又は半金属の単体であっても、合金や化合物であってもよく、また、金属及び半金属の1種又は2種以上の相を少なくとも一部に有するようなものであってもよい。
なお、合金としては、2種以上の金属元素からなるものに加えて、1種以上の金属元素と1種以上の半金属元素とを含むものも含む。また、合金は、その全体として金属の性質を有するものであれば、非金属元素を有していてもよい。
金属元素及び半金属元素としては、特に限定されないが、例えば、チタン(Ti)、スズ(Sn)、鉛(Pb)、アルミニウム(Al)、インジウム(In)、ケイ素(Si)、亜鉛(Zn)、アンチモン(Sb)、ビスマス(Bi)、ガリウム(Ga)、ゲルマニウム(Ge)、ヒ素(As)、銀(Ag)、ハフニウム(Hf)、ジルコニウム(Zr)、イットリウム(Y)等が挙げられる。これらの中でも、長周期型周期表における4族又は14族の金属元素及び半金属元素が好ましく、チタン(Ti)、ケイ素(Si)、及びスズ(Sn)が特に好ましい。
これらは、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて併用してもよい。
スズの合金の場合、スズ以外の構成元素としては、例えば、ケイ素(Si)、マグネシウム(Mg)、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、マンガン(Mn)、亜鉛(Zn)、インジウム(In)、銀(Ag)、チタン(Ti)、ゲルマニウム(Ge)、ビスマス(Bi)、アンチモン(Sb)、及びクロム(Cr)からなる群より選択される1種以上の元素が挙げられる。
ケイ素の合金の場合、ケイ素以外の構成元素としては、例えば、スズ(Sn)、マグネシウム(Mg)、ニッケル(Ni)、銅Cu)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、マンガン(Mn)、亜鉛(Zn)、インジウム(In)、銀(Ag)、チタン(Ti)、ゲルマニウム(Ge)、ビスマス(Bi)、アンチモン(Sb)、及びクロム(Cr)からなる群より選択される1種以上の元素を有するものが挙げられる。
チタン化合物、スズ化合物、及びケイ素化合物としては、例えば、酸素(O)又は炭素(C)を有するものが挙げられ、チタン、スズ、又はケイ素に加えて、これら以外の第2の構成元素を有していてもよい。第2の構成元素としては、スズの合金及びケイ素の合金の場合について挙げた元素を用いることができる。
これらは、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて併用してもよい。
負極活物質の数平均粒子径(一次粒子径)は、0.1〜100μmであることが好ましく、1〜10μmであることが更に好ましい。
なお、負極活物質の数平均粒子径は、湿式の粒子径測定装置(例えば、レーザー回折/散乱式粒度分布計、動的光散乱式粒度分布計)を用いて測定した値をいう。または、負極活物質の数平均粒子径は、透過型電子顕微鏡にて観察された負極活物質の粒子100個をランダムに抽出し、これらの粒子径を、画像解析ソフト(例えば、旭化成エンジニアリング株式会社製、商品名:「A像くん」)を用いて解析し、その相加平均を算出することによって得た値としてもよい。
同じ試料について得られた負極活物質の数平均粒子径が測定方法間で異なる場合は、標準試料を対照として作成した検量線を用いて数平均粒子径を定めてよい。
負極は、例えば、下記のようにして作製することができる。
まず、負極に必要に応じて上記負極活物質と共に含められる導電助剤やバインダー等を加えて混合した負極合剤を溶剤に分散させて負極合剤を含有するペーストを調製する。次いで、このペーストを負極集電体に塗布し、乾燥させることによって、負極集電体上に負極合剤層を形成する。続いて、これを必要に応じて加圧して負極合剤層の厚さを調整することによって、負極を得る。
負極集電体としては、特に限定されないが、例えば、銅箔、ニッケル箔又はステンレス箔等の金属箔により構成されるものが挙げられる。
正極及び負極の作製において、必要に応じて用いられる導電助剤としては、特に限定されないが、例えば、グラファイト、アセチレンブラック、ケッチェンブラック等のカーボンブラック、炭素繊維等が挙げられる。
導電助剤の数平均粒子径(一次粒子径)は、0.1〜100μmであることが好ましく、1〜10μmであることが更に好ましい。なお、導電助剤の数平均粒子径は、前述の負極活物質の数平均粒子径と同様に測定した値をいう。
正極及び負極の作製において、必要に応じて用いられるバインダーとしては、特に限定されないが、例えば、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリアクリル酸、スチレン−ブタジエンゴム、フッ素ゴム等が挙げられる。
((セパレータ))
本実施形態におけるリチウムイオン二次電池は、正負極の短絡を防止する観点、及びシャットダウン等の安全性を付与する観点から、正極と負極との間にセパレータを備えることが好ましい。
セパレータとしては、特に限定されないが、例えば、公知のリチウムイオン二次電池に備えられるものと同様のものとしてよく、中でも、イオン透過性が大きく機械的強度に優れる絶縁性の薄膜が好ましい。具体的には、セパレータとしては、例えば、織布、不織布、合成樹脂製微多孔膜等が挙げられ、これらの中でも、合成樹脂製微多孔膜が好ましい。ここで、不織布としては、特に限定されないが、例えば、セラミック、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリアミド、液晶ポリエステル、アラミド等の耐熱樹脂製の多孔膜等が挙げられる。合成樹脂製微多孔膜としては、特に限定されないが、例えば、ポリエチレン又はポリプロピレンを主成分として含有する微多孔膜、これらのポリオレフィンを共に含有する微多孔膜等のポリオレフィン系微多孔膜等が挙げられる。
セパレータは、1種の微多孔膜を単層又は複数層積層したものであってもよく、2種以上の微多孔膜を積層したものであってもよい。
((電池外装))
本実施形態におけるリチウムイオン二次電池は、正極、負極、電解液、セパレータ等を収容すし得る電池外装を備えることが好ましい。
電池外装としては、特に限定されないが、例えば、公知のリチウムイオン二次電池に備えられるものと同様のものとしてよく、電池外装の材料としては、例えば、ステンレス、鉄及びアルミニウム等の金属、該金属の表面を樹脂で被覆したラミネートフィルム等が挙げられる。
本実施形態のリチウムイオン二次電池は、前述の、本実施形態の非水蓄電デバイス用電解液と、正極活物質を含有する正極と、負極活物質を含有する負極と、必要に応じて、セパレータと、電池外装とを用いて、公知の方法により作製することができる。
例えば、正極と負極とをその間にセパレータを介在させた積層状態で巻回して巻回構造の積層体に成形したり、正極及び負極を折り曲げたり複数ずつ積層したりすることによって交互に積層させて、正極と負極との間にセパレータを介在させて得られる積層体に成形したりし、次いで、電池外装(電池ケース)内にその積層体を収容し、続いて、本実施形態の非水蓄電デバイス用電解液をケース内部に注液して、上記積層体をその電解液に浸漬し、最後に、電池外装を封印することによって、本実施形態のリチウムイオン二次電池を作製することができる。
本実施形態のリチウムイオン二次電池の形状は、特に限定されないが、例えば、円筒形、楕円形、角筒型、ボタン形、コイン形、扁平形、及びラミネート形が好適に採用される。
図1に、本実施形態におけるリチウムイオン二次電池の一例を概略的に断面図で示す。
本実施形態のリチウムイオン二次電池の一例100は、セパレータ110と、正極活物質120等を正極集電体140に塗布してなる正極200と、負極活物質130等を負極集電体150に塗布してなる負極300と、これらからなる積層体を収容する電池外装160とを備える。ここで、正極200と負極300とは、正極活物質120と負極活物質130とを対向させる態様で、セパレータ110を両側から挟んでいる。また、正極200とセパレータ110と負極300とを積層した積層体は、電解液(図示せず)に含浸されている。
なお、図1に示す一例では、セパレータ110、正極200、負極300を含む積層体を1つ含むものであるが、本発明のリチウムイオン二次電池は、これに限定されることなく、積層体を複数含むものとしてよい。
以下、本発明を実施例を用いてより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
[実施例1]
<正極活物質の合成>
硫酸ニッケル6水和物5.8g、硫酸コバルト7水和物3.5g、硫酸マンガン5水和物15.8gを50mLの水に溶解させて、溶液Aを得た。
炭酸ナトリウム10.6gと28質量%のアンモニア水3.4mLとを水と混合して、50mLの溶液Bを得た。
溶液A及び溶液Bをそれぞれ4mL/分の速度で撹拌しながら滴下混合して、沈降物を得た。得られた沈降物を、吸引ろ過により分離し、純水で5回洗浄し、その後、80℃で12時間乾燥させることによって、ニッケル・マンガン・コバルトの炭酸塩を得た。
上記ニッケル・マンガン・コバルトの炭酸塩4.7gに炭酸リチウム2.2gを添加した。そして、この混合物を、よく攪拌した後、500℃で5時間、大気中で焼成した。その後、この焼成物を、更によく撹拌した後、900℃で5時間焼成した。
こうして、正極活物質を合成した。
X線回折による構造解析の結果、得られた正極活物質は、層状酸化物であること、及び、Li過剰構造が存在すること、を確認した。また、元素分析の結果、得られた正極活物質の組成は、0.5LiMnO−0.5LiNi0.37Mn0.37Co0.26であった。
<正極の作製>
上記合成した正極活物質と、導電助剤としてグラファイト(TIMCAL社製、KS−6)、及びアセチレンブラックの粉末(電気化学工業社製、HS−100)と、バインダーとしてポリフッ化ビニリデン(PVDF)溶液(クレハ社製、L#7208)とを、80:5:5:10の質量比(固形分比による)で、混合した。得られた混合物に、分散媒としてN−メチル−2−ピロリドンを、固形分濃度が30質量%となるように加えた。これらを更に混合して、スラリー状の溶液を調製した。このスラリー状の溶液を厚さ20μmの正極集電体としてのアルミニウム箔の片面に塗布し、溶剤を乾燥除去し、その後、塗布されたアルミニウム箔をロールプレスで圧延した。圧延後のアルミニウム箔を直径16mmの円盤状に打ち抜いた。
こうして、正極を作製した。
<負極の作製>
負極活物質としてグラファイト粉末(大阪ガスケミカル社製、OMAC1.2H/SS)及びグラファイト粉末(TIMCAL社製、SFG6)と、バインダーとしてスチレン−ブタジエンゴム(SBR)と、増粘剤としてカルボキシメチルセルロース水溶液とを、90:10:1.5:1.8質量比(固形分比による)で、混合した。得られた混合物に、分散媒として水を、固形分濃度が45質量%となるように加えて、スラリー状の溶液を調製した。このスラリー状の溶液を厚さ18μmの銅箔の片面に塗布し、溶剤を乾燥除去し、その後、塗布された銅箔をロールプレスで圧延した。圧延後の銅箔を直径16mmの円盤状に打ち抜いた。
こうして、負極を作製した。
<電解液の作製>
非水溶媒としてのエチレンカーボネートとエチルメチルカーボネートとを体積比1:2で混合したものに、支持塩としてのLiPFを1mol/L含有させた溶液(キシダ化学社製、LBG−00069)9.8gに、化合物(A)としてのリン酸トリス(トリメチルシリル)(シグマアルドリッチ社製、275794)0.1gと、LiBOB(キシダ化学社製、LBG−44382)0.05gと、LiBF(キシダ化学社製、LBG−44851)0.05gとを混合して、電解液Aを得た。
<リチウムイオン二次電池の作製>
上述のようにして作製した正極と負極とをポリプロピレンからなるセパレータ(膜厚25μm、空孔率50%、孔径0.1〜1μm)の両側に重ね合わせてなる積層体を、SUS製の円盤型の電池ケース(電池外装)に入れた。次いで、この電池ケース内に、電解液Aを0.2mL注入して、積層体を電解液Aに浸漬し、電池ケースを密閉して、リチウムイオン二次電池を作製した。
<電池評価>
得られたリチウムイオン二次電池を、25℃に設定した恒温槽(二葉科学社製、恒温槽PLM−73S)に収容し、充放電装置(アスカ電子(株)製、充放電装置ACD−01)に接続し、0.05Cの定電流で充電率(SOC)80%まで充電し、その後、45℃に設定した恒温槽内に7日間静置した。
その後、再び25℃に設定した恒温槽内で、0.05Cの定電流で充電して、電圧が4.8Vに到達してから4.8Vの定電圧で2時間充電した後、0.2Cの定電流で3.0Vまで放電を行った。
続いて、0.33Cの定電流で充電して、電圧が4.8Vに到達してから4.8Vの定電圧で1時間充電した後、0.33Cの定電流で3.0Vまで放電を行った。これと同様に、充電及び放電を、充電は同様に0.33Cの定電流で、放電はそれぞれ0.5C、1C、2C、5C、10Cの定電流で行った。
その後、1Cの定電流で初回の放電容量の50%まで充電し、その後、30分間静置した。
なお、ここで、交流インピーダンスの値を測定したところ17Ωだった(後述)。
その後、50℃に設定された恒温槽に上記電池を収容し、その電池を、1Cの定電流で充電して、電圧が4.8Vに到達してから4.8Vの定電圧で1時間充電した後、1Cの定電流で3.0Vまで放電するという充放電サイクルを、200回繰り返すことによって、電池のサイクル充放電試験を行った。
電池の放電容量(mAh)を測定し、正極活物質の重量(g)で除した(mAh/g)。また、サイクル試験での電池の容量維持率(%)(1サイクル目の初期容量:100%)を算出した。1サイクル目の放電容量は120mAh/gであり、200サイクル後の放電容量は73mAh/gであり、容量維持率は61%と高かった。
前述の通り、サイクル試験前の交流インピーダンスの値は17Ωであり、200サイクル後の交流インピーダンスの値は75Ωであり、サイクル試験前の電池抵抗に対する200サイクル後の電池抵抗の割合(200サイクル後/サイクル試験前)は4.4倍と小さかった。
なお、交流インピーダンスの測定は、電気化学測定装置(ソーラトロン社製、1255B)を用いて、開回路電位から振幅5mVで、1000000Hzから0.01Hzまでの周波数の範囲で、行った。
[実施例2]
非水溶媒としてのエチレンカーボネートとエチルメチルカーボネートとを体積比1:2で混合したものに、支持塩としてのLiPFを1mol/L含有させた溶液(キシダ化学社製、LBG−00069)9.7gに、化合物(A)としてのリン酸トリス(トリメチルシリル)(シグマアルドリッチ社製、275794)0.2gと、LiBOB(キシダ化学社製、LBG−44382)0.05gと、LiBF(キシダ化学社製、LBG−44851)0.05gとを混合して、電解液Bを得た。
電解液Aの代わりに電解液Bを用いたこと以外は実施例1と同様の方法によりリチウムイオン二次電池を作製し、200サイクル充放電試験を行った。
その結果、1サイクル後の放電容量は123mAh/gであり、200サイクル後の放電容量は70mAh/gであり、200サイクル目の放電容量を1サイクル目の放電容量で割って算出する容量維持率は57%と高かった。サイクル試験前の交流インピーダンスの値は18Ωであり、200サイクル後の交流インピーダンスの値は77Ωであり、サイクル試験前の電池抵抗に対する200サイクル後の電池抵抗の割合(200サイクル後/サイクル試験前)は4.3倍と小さかった。
[実施例3]
非水溶媒としてのエチレンカーボネートとエチルメチルカーボネートとを体積比1:2で混合したものに、支持塩としてのLiPFを1mol/L含有させた溶液(キシダ化学社製、LBG−00069)9.6gに、化合物(A)としてのリン酸トリス(トリメチルシリル)(シグマアルドリッチ社製、275794)0.3gと、LiBOB(キシダ化学社製、LBG−44382)0.05gと、LiBF(キシダ化学社製、LBG−44851)0.05gとを混合して、電解液Cを得た。
電解液Aの代わりに電解液Cを用いたこと以外は実施例1と同様の方法によりリチウムイオン二次電池を作製し、200サイクル充放電試験を行った。
その結果、1サイクル後の放電容量は119mAh/gであり、200サイクル後の放電容量は69mAh/gであり、200サイクル目の放電容量を1サイクル目の放電容量で割って算出する容量維持率は58%と高かった。サイクル試験前の交流インピーダンスの値は20Ωであり、200サイクル後の交流インピーダンスの値は90Ωであり、サイクル試験前の電池抵抗に対する200サイクル後の電池抵抗の割合(200サイクル後/サイクル試験前)は4.5倍と小さかった。
[実施例4]
非水溶媒としてのエチレンカーボネートとエチルメチルカーボネートとを体積比1:2で混合したものに、支持塩としてのLiPFを1mol/L含有させた溶液(キシダ化学社製、LBG−00069)9.4gに、化合物(A)としてのリン酸トリス(トリメチルシリル)(シグマアルドリッチ社製、275794)0.5gと、LiBOB(キシダ化学社製、LBG−44382)0.05gと、LiBF(キシダ化学社製、LBG−44851)0.05gとを混合して、電解液Dを得た。
電解液Aの代わりに電解液Dを用いたこと以外は実施例1と同様の方法によりリチウムイオン二次電池を作製し、200サイクル充放電試験を行った。
その結果、1サイクル後の放電容量は119mAh/gであり、200サイクル後の放電容量は63mAh/gであり、200サイクル目の放電容量を1サイクル目の放電容量で割って算出する容量維持率は53%と高かった。サイクル試験前の交流インピーダンスの値は23Ωであり、200サイクル後の交流インピーダンスの値は100Ωであり、サイクル試験前の電池抵抗に対する200サイクル後の電池抵抗の割合(200サイクル後/サイクル試験前)は4.3倍と小さかった。
[実施例5]
非水溶媒としてのエチレンカーボネートとエチルメチルカーボネートとを体積比1:2で混合したものに、支持塩としてのLiPFを1mol/L含有させた溶液(キシダ化学社製、LBG−00069)9.7gに、化合物(A)としてのリン酸トリス(トリメチルシリル)(シグマアルドリッチ社製、275794)0.1gと、LiBOB(キシダ化学社製、LBG−44382)0.1gと、LiBF(キシダ化学社製、LBG−44851)0.1gとを混合して、電解液Eを得た。
電解液Aの代わりに電解液Eを用いたこと以外は実施例1と同様の方法によりリチウムイオン二次電池を作製し、200サイクル充放電試験を行った。
その結果、1サイクル後の放電容量は118mAh/gであり、200サイクル後の放電容量は65mAh/gであり、200サイクル目の放電容量を1サイクル目の放電容量で割って算出する容量維持率は55%と高かった。サイクル試験前の交流インピーダンスの値は18Ωであり、200サイクル後の交流インピーダンスの値は83Ωであり、サイクル試験前の電池抵抗に対する200サイクル後の電池抵抗の割合(200サイクル後/サイクル試験前)は4.6倍と小さかった。
[実施例6]
非水溶媒としてのエチレンカーボネートとエチルメチルカーボネートとを体積比1:2で混合したものに、支持塩としてのLiPFを1mol/L含有させた溶液(キシダ化学社製、LBG−00069)9.3gに、化合物(A)としてのリン酸トリス(トリメチルシリル)(シグマアルドリッチ社製、275794)0.2gと、LiBOB(キシダ化学社製、LBG−44382)0.3gと、LiBF(キシダ化学社製、LBG−44851)0.3gとを混合して、電解液Fを得た。
電解液Aの代わりに電解液Fを用いたこと以外は実施例1と同様の方法によりリチウムイオン二次電池を作製し、200サイクル充放電試験を行った。
その結果、1サイクル後の放電容量は117mAh/gであり、200サイクル後の放電容量は62mAh/gであり、200サイクル目の放電容量を1サイクル目の放電容量で割って算出する容量維持率は53%と高かった。サイクル試験前の交流インピーダンスの値は20Ωであり、200サイクル後の交流インピーダンスの値は95Ωであり、サイクル試験前の電池抵抗に対する200サイクル後の電池抵抗の割合(200サイクル後/サイクル試験前)は4.8倍と小さかった。
[実施例7]
非水溶媒としてのエチレンカーボネートとエチルメチルカーボネートとを体積比1:2で混合したものに、支持塩としてのLiPFを1mol/L含有させた溶液(キシダ化学社製、LBG−00069)9.8gに、化合物(A)としてのピロリン酸トリメチルシリル0.1gと、LiBOB(キシダ化学社製、LBG−44382)0.05gと、LiBF(キシダ化学社製、LBG−44851)0.05gとを混合して、電解液Gを得た。
電解液Aの代わりに電解液Оを用いたこと以外は実施例1と同様の方法によりリチウムイオン二次電池を作製し、200サイクル充放電試験を行った。
その結果、1サイクル後の放電容量は119mAh/gであり、200サイクル後の放電容量は69mAh/gであり、200サイクル目の放電容量を1サイクル目の放電容量で割って算出する容量維持率は58%と高かった。サイクル試験前の交流インピーダンスの値は18Ωであり、200サイクル後の交流インピーダンスの値は80Ωであり、サイクル試験前の電池抵抗に対する200サイクル後の電池抵抗の割合(200サイクル後/サイクル試験前)は4.4倍と小さかった。
[実施例8]
非水溶媒としてのエチレンカーボネートとエチルメチルカーボネートとを体積比1:2で混合したものに、支持塩としてのLiPFを1mol/L含有させた溶液(キシダ化学社製、LBG−00069)9.8gに、化合物(A)としてのトリポリリン酸トリメチルシリル0.1gと、LiBOB(キシダ化学社製、LBG−44382)0.05gと、LiBF(キシダ化学社製、LBG−44851)0.05gとを混合して、電解液Hを得た。
電解液Aの代わりに電解液Pを用いたこと以外は実施例1と同様の方法によりリチウムイオン二次電池を作製し、200サイクル充放電試験を行った。
その結果、1サイクル後の放電容量は117mAh/gであり、200サイクル後の放電容量は67mAh/gであり、200サイクル目の放電容量を1サイクル目の放電容量で割って算出する容量維持率は57%と高かった。サイクル試験前の交流インピーダンスの値は17Ωであり、200サイクル後の交流インピーダンスの値は82Ωであり、サイクル試験前の電池抵抗に対する200サイクル後の電池抵抗の割合(200サイクル後/サイクル試験前)は4.8倍と小さかった。
[実施例9]
非水溶媒としてのエチレンカーボネートとエチルメチルカーボネートとを体積比1:2で混合したものに、支持塩としてのLiPFを1mol/L含有させた溶液(キシダ化学社製、LBG−00069)9.8gに、化合物(A)としてのトリメタリン酸トリメチルシリル0.1gと、LiBOB(キシダ化学社製、LBG−44382)0.05gと、LiBF(キシダ化学社製、LBG−44851)0.05gとを混合して、電解液Iを得た。
電解液Aの代わりに電解液Qを用いたこと以外は実施例1と同様の方法によりリチウムイオン二次電池を作製し、200サイクル充放電試験を行った。
その結果、1サイクル後の放電容量は115mAh/gであり、200サイクル後の放電容量は63mAh/gであり、200サイクル目の放電容量を1サイクル目の放電容量で割って算出する容量維持率は55%と高かった。サイクル試験前の交流インピーダンスの値は20Ωであり、200サイクル後の交流インピーダンスの値は88Ωであり、サイクル試験前の電池抵抗に対する200サイクル後の電池抵抗の割合(200サイクル後/サイクル試験前)は4.4倍と小さかった。
[比較例1]
非水溶媒としてのエチレンカーボネートとエチルメチルカーボネートとを体積比1:2で混合したものに、支持塩としてのLiPFを1mol/L含有させた溶液(キシダ化学社製、LBG−00069)を電解液Jとした。
電解液Aの代わりに電解液Gを用いたこと以外は実施例1と同様の方法によりリチウムイオン二次電池を作製し、200サイクル充放電試験を行った。
その結果、1サイクル後の放電容量は110mAh/gであり、200サイクル後の放電容量は44mAh/gであり、200サイクル目の放電容量を1サイクル目の放電容量で割って算出する容量維持率は40%と低かった。サイクル試験前の交流インピーダンスの値は16Ωであり、200サイクル後の交流インピーダンスの値は80Ωであり、サイクル試験前の電池抵抗に対する200サイクル後の電池抵抗の割合(200サイクル後/サイクル試験前)は5.0倍と小さかった。
[比較例2]
非水溶媒としてのエチレンカーボネートとエチルメチルカーボネートとを体積比1:2で混合したものに、支持塩としてのLiPFを1mol/L含有させた溶液(キシダ化学社製、LBG−00069)9.95gに、LiBF(キシダ化学社製、LBG−44851)0.05gとを混合して、電解液Kを得た。
電解液Aの代わりに電解液Hを用いたこと以外は実施例1と同様の方法によりリチウムイオン二次電池を作製し、200サイクル充放電試験を行った。
その結果、1サイクル後の放電容量は96mAh/gであり、200サイクル後の放電容量は46mAh/gであり、200サイクル目の放電容量を1サイクル目の放電容量で割って算出する容量維持率は48%と低かった。サイクル試験前の交流インピーダンスの値は24Ωであり、200サイクル後の交流インピーダンスの値は400Ωであり、サイクル試験前の電池抵抗に対する200サイクル後の電池抵抗の割合(200サイクル後/サイクル試験前)は16.7倍と大きかった。
[比較例3]
非水溶媒としてのエチレンカーボネートとエチルメチルカーボネートとを体積比1:2で混合したものに、支持塩としてのLiPFを1mol/L含有させた溶液(キシダ化学社製、LBG−00069)9.95gに、LiBOB(キシダ化学社製、LBG−44382)0.05gを混合して、電解液Lを得た。
電解液Aの代わりに電解液Iを用いたこと以外は実施例1と同様の方法によりリチウムイオン二次電池を作製し、200サイクル充放電試験を行った。
その結果、1サイクル後の放電容量は110mAh/gであり、200サイクル後の放電容量は55mAh/gであり、200サイクル目の放電容量を1サイクル目の放電容量で割って算出する容量維持率は50%と低かった。サイクル試験前の交流インピーダンスの値は22Ωであり、200サイクル後の交流インピーダンスの値は350Ωであり、サイクル試験前の電池抵抗に対する200サイクル後の電池抵抗の割合(200サイクル後/サイクル試験前)は15.9倍と大きかった。
[比較例4]
非水溶媒としてのエチレンカーボネートとエチルメチルカーボネートとを体積比1:2で混合したものに、支持塩としてのLiPFを1mol/L含有させた溶液(キシダ化学社製、LBG−00069)9.9gに、化合物(A)としてのリン酸トリス(トリメチルシリル)(シグマアルドリッチ社製、275794)0.1gを混合して、電解液Mを得た。
電解液Aの代わりに電解液Jを用いたこと以外は実施例1と同様の方法によりリチウムイオン二次電池を作製し、200サイクル充放電試験を行った。
その結果、1サイクル後の放電容量は118mAh/gであり、200サイクル後の放電容量は47mAh/gであり、200サイクル目の放電容量を1サイクル目の放電容量で割って算出する容量維持率は40%と低かった。サイクル試験前の交流インピーダンスの値は18Ωであり、200サイクル後の交流インピーダンスの値は100Ωであり、サイクル試験前の電池抵抗に対する200サイクル後の電池抵抗の割合(200サイクル後/サイクル試験前)は5.6倍と大きかった。
[比較例5]
非水溶媒としてのエチレンカーボネートとエチルメチルカーボネートとを体積比1:2で混合したものに、支持塩としてのLiPFを1mol/L含有させた溶液(キシダ化学社製、LBG−00069)9.85gに、化合物(A)としてのリン酸トリス(トリメチルシリル)(シグマアルドリッチ社製、275794)0.1gと、LiBF(キシダ化学社製、LBG−44851)0.05gとを混合して、電解液Nを得た。
電解液Aの代わりに電解液Kを用いたこと以外は実施例1と同様の方法によりリチウムイオン二次電池を作製し、200サイクル充放電試験を行った。
その結果、1サイクル後の放電容量は120mAh/gであり、200サイクル後の放電容量は61mAh/gであり、200サイクル目の放電容量を1サイクル目の放電容量で割って算出する容量維持率は51%と低かった。サイクル試験前の交流インピーダンスの値は16Ωであり、200サイクル後の交流インピーダンスの値は250Ωであり、サイクル試験前の電池抵抗に対する200サイクル後の電池抵抗の割合(200サイクル後/サイクル試験前)は15.6倍と大きかった。
[比較例6]
非水溶媒としてのエチレンカーボネートとエチルメチルカーボネートとを体積比1:2で混合したものに、支持塩としてのLiPFを1mol/L含有させた溶液(キシダ化学社製、LBG−00069)9.85gに、化合物(A)としてのリン酸トリス(トリメチルシリル)(シグマアルドリッチ社製、275794)0.1gと、LiBOB(キシダ化学社製、LBG−44382)0.05gとを混合して、電解液Oを得た。
電解液Aの代わりに電解液Lを用いたこと以外は実施例1と同様の方法によりリチウムイオン二次電池を作製し、200サイクル充放電試験を行った。
その結果、1サイクル後の放電容量は109mAh/gであり、200サイクル後の放電容量は50mAh/gであり、200サイクル目の放電容量を1サイクル目の放電容量で割って算出する容量維持率は46%と低かった。サイクル試験前の交流インピーダンスの値は17Ωであり、200サイクル後の交流インピーダンスの値は350Ωであり、サイクル試験前の電池抵抗に対する200サイクル後の電池抵抗の割合(200サイクル後/サイクル試験前)は20.6倍と大きかった。
[比較例7]
非水溶媒としてのエチレンカーボネートとエチルメチルカーボネートとを体積比1:2で混合したものに、支持塩としてのLiPFを1mol/L含有させた溶液(キシダ化学社製、LBG−00069)9.9gに、LiBOB(キシダ化学社製、LBG−44382)0.05gと、LiBF(キシダ化学社製、LBG−44851)0.05gとを混合して、電解液Pを得た。
電解液Aの代わりに電解液Mを用いたこと以外は実施例1と同様の方法によりリチウムイオン二次電池を作製し、200サイクル充放電試験を行った。
その結果、1サイクル後の放電容量は102mAh/gであり、200サイクル後の放電容量は45mAh/gであり、200サイクル目の放電容量を1サイクル目の放電容量で割って算出する容量維持率は44%と低かった。サイクル試験前の交流インピーダンスの値は22Ωであり、200サイクル後の交流インピーダンスの値は300Ωであり、サイクル試験前の電池抵抗に対する200サイクル後の電池抵抗の割合(200サイクル後/サイクル試験前)は13.6倍と大きかった。
以上の実施例1〜6、及び比較例1〜7で得られた結果を表1に示す。
Figure 2017016751
表1から、電解液に化合物(A)とLiBOBとLiBFを全て含有させることにより、サイクル試験での放電容量維持率が大幅に向上することが分かる。また、電池抵抗の増大が抑制されていることから、これらの化合物は、電極と電解液の界面抵抗の増大を抑制する効果を有していることがわかる。
本発明によれば、高電圧で作動しながら、高いサイクル寿命を有するリチウムイオン二次電池及び該電池に用いられる電解液を提供することができる。
本発明のリチウムイオン二次電池は、各種民生用機器用電源、自動車用電源への産業上利用可能性を有する。
100:リチウムイオン二次電池、110:セパレータ、120:正極活物質、130:負極活物質、140:正極集電体、150:負極集電体、160:電池外装、200:正極、300:負極

Claims (7)

  1. 4.4V(vsLi/Li)以上の電位で作動する正極活物質を含有する正極と、負極と、非水溶媒を含有する電解液と、を有するリチウムイオン二次電池であって、
    前記電解液は、リン原子及び/又はホウ素原子を有するプロトン酸、スルホン酸、カルボン酸からなる群から選択される少なくとも1種のプロトン酸の少なくとも1つの水素原子を下記式(1)で表される基で置換した化合物(A)と、リチウムビスオキサレートボレート(LiBOB)と、LiBFとを更に含有する
    Figure 2017016751
    ・・・(1)
    (式中、R、R、及びRは、それぞれ独立に、炭素数1〜10の有機基である。)
    ことを特徴とする、リチウムイオン二次電池。
  2. 前記4.4V(vsLi/Li)以上の電位で作動する正極活物質は、
    下記式(6):
    LiMn2−xMa・・・(6)
    (式中、Maは、遷移金属元素からなる群から選択される少なくとも1種の元素を示し、0.2≦x≦0.7である。)
    で表されるスピネル型酸化物、
    下記式(7−1):
    LiMcO・・・(7−1)
    (式中、Mcは、遷移金属元素からなる群から選択される少なくとも1種の元素を示す。)
    で表される酸化物と、
    下記式(7−2):
    LiMdO・・・(7−2)
    (式中、Mdは、遷移金属元素からなる群から選択される少なくとも1種の元素を示す。)
    で表される酸化物と
    の複合酸化物であって、
    下記式(7−3):
    zLiMcO−(1−z)LiMdO・・・(7−3)
    (式(7−3)中、Mc及びMdは、それぞれ上記式(7−1)及び(7−2)におけるものと同義であり、0.1≦z≦0.9である。)
    で表されるLi過剰層状酸化物、
    下記式(8):
    LiMb1−yFePO・・・(8)
    (式中、Mbは、Mn及びCoからなる群から選択される少なくとも1種の元素を示し、0≦y≦0.9である。)
    で表されるオリビン型化合物、及び
    下記式(9):
    LiMePOF・・・(9)
    (式中、Meは、遷移金属元素からなる群から選択される少なくとも1種の元素を示す。)
    で表されるフッ化オリビン型化合物
    からなる群から選択される少なくとも1種である、
    請求項1に記載のリチウムイオン二次電池。
  3. 前記化合物(A)の含有量は、前記電解液100重量%に対して、0.1重量%以上5重量%以下であり、
    前記リチウムビスオキサレートボレートの含有量は、電解液100重量%に対して、0.1重量%以上3重量%以下であり、
    前記LiBFの含有量は、電解液100重量%に対して、0.1重量%以上3重量%以下である、
    請求項1又は2に記載のリチウムイオン二次電池。
  4. 前記化合物(A)は、
    下記式(2):
    Figure 2017016751
    ・・・(2)
    (式中、Mは、リン原子又はホウ素原子を示し;mは、1〜20の整数であり;Mがリン原子の場合、nは、0又は1であり、M1がホウ素原子の場合、nは、0であり;Ra1、Ra2、及びRa3は、それぞれ独立に、炭素数1〜10の有機基であり;Ra4及びRa5は、それぞれ独立に、OH基、OLi基、置換又は非置換の炭素数1〜20の炭化水素基、置換又は非置換の炭素数1〜20のアルコキシ基、及び炭素数1〜20のシロキシ基からなる群から選択される少なくとも1種の基を示す。)
    、下記式(3):
    Figure 2017016751
    ・・・(3)
    (式中、Mは、リン原子又はホウ素原子を示し;jは、2〜20の整数であり;Mがリン原子の場合、kは、0又は1であり、Mがホウ素原子の場合、kは、0であり;Ra6は、OH基、OLi基、置換又は非置換の炭素数1〜20の炭化水素基、置換又は非置換の炭素数1〜20のアルコキシ基、炭素数1〜20のシロキシ基、及び
    下記式(3i)
    OP(O)r(Ra7a8)・・・(3i)
    (式中、rは、0又は1であり、Ra7及びRa8は、それぞれ独立に、OH基、OLi基、置換又は非置換の炭素数1〜20の炭化水素基、置換又は非置換の炭素数1〜20のアルコキシ基、及び炭素数1〜20のシロキシ基からなる群から選択される少なくとも1種の基を示す。)
    で表される基からなる群から選択される少なくとも1種の基を示す。)
    、下記式(5):
    Figure 2017016751
    ・・・(5)
    (式中、Ra9、Ra10、及びRa11は、それぞれ独立に、炭素数1〜10の有機基であり;Ra12は、置換又は非置換の炭素数1〜20の炭化水素基を示す。)
    で表される化合物からなる群から選択される少なくとも1種を含む、
    請求項1〜3のいずれか一項に記載のリチウムイオン二次電池。
  5. 前記式(2)で表される化合物が、リン酸トリス(トリメチルシリル)である、
    請求項4に記載のリチウムイオン二次電池。
  6. 前記電解液は、支持塩を更に含有し、前記支持塩が、LiPFである、
    請求項1〜5のいずれか一項に記載のリチウムイオン二次電池。
  7. 請求項1〜6のいずれか一項に記載のリチウムイオン二次電池に含有される
    ことを特徴とする、電解液。
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