JP2015125907A - 非水蓄電デバイス用電解液及びリチウムイオン二次電池 - Google Patents
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Abstract
【課題】高電圧で作動し、高いサイクル寿命を有し、かつ、ガス発生の少ないリチウムイオン二次電池、及び、それを可能とする非水蓄電デバイス用電解液の提供。【解決手段】非水溶媒;ホウ素原子を有しないリチウム塩(A);式(1)又は式(2)で表されるホウ素原子を含有するリチウム塩(B);並びに窒素原子を含む化合物(C);を含有するものを非水蓄電デバイス用電解液とする。(XはF、Cl、Brのハロゲン原子;R1はC1〜10の炭化水素基;R2はH、F、又はC1〜10の炭化水素基;Aは0又は1;mは0〜4の整数)【選択図】図1
Description
本発明は、非水蓄電デバイス用電解液及び該電解液を用いたリチウムイオン二次電池に関する。
近年の電子技術の発展や環境技術への関心の高まりに伴い、様々な電気化学デバイスが用いられている。特に、省エネルギー化への要請が多くあり、それに貢献できるものへの期待はますます高くなっている。蓄電デバイスの代表例であるリチウムイオン二次電池は、従来、主として携帯機器用充電池として使用されていたが、近年ではハイブリッド自動車及び電気自動車用電池としての使用が期待されている。
そのような流れの中で、リチウムイオン二次電池にはより一層高い電池性能が求められており、種々の方法が検討されている。例えば、従来の4V前後の電圧で作動するリチウムイオン二次電池では、カーボネート系溶媒を主成分とした非水溶媒に、リチウム塩を溶解した非水電解液が広く用いられている(例えば、以下の特許文献1参照。)。このカーボネート系溶媒を含む非水電解液の特徴は、4V前後の電圧において、耐酸化性と耐還元性とのバランスが良く、かつ、リチウムイオンの伝導性に優れる点である。
そのような流れの中で、リチウムイオン二次電池にはより一層高い電池性能が求められており、種々の方法が検討されている。例えば、従来の4V前後の電圧で作動するリチウムイオン二次電池では、カーボネート系溶媒を主成分とした非水溶媒に、リチウム塩を溶解した非水電解液が広く用いられている(例えば、以下の特許文献1参照。)。このカーボネート系溶媒を含む非水電解液の特徴は、4V前後の電圧において、耐酸化性と耐還元性とのバランスが良く、かつ、リチウムイオンの伝導性に優れる点である。
また、従来の4V前後の電圧で作動するリチウムイオン二次電池において、特定のケイ素化合物を非水電解液に添加することが提案されている(例えば、以下の特許文献2参照。)。この非水電解液を使用することで、安全性に優れ、初期の充放電時の容量低下が少ない二次電池を得ることができる。
また、従来の4V前後の電圧で作動するリチウムイオン二次電池において、特定の窒素化合物を非水電解液に添加することが提案されている(例えば、以下の特許文献3参照。)。特定の窒素化合物を添加することで、電解液中の水分を除去し、電池のサイクル性能を改善することができる。
さらに、リチウムイオン二次電池にはより一層高いエネルギー密度が求められており、その高いエネルギー密度を達成するため、電池の高電圧化が検討されている。電池の高電圧化を達成するためには高電位で作動する正極を用いる必要がある。このような正極としては、具体的には、4.4V(vsLi/Li+)以上で作動する種々の正極活物質が提案されている(例えば、以下の特許文献4参照。)。
また、従来の4V前後の電圧で作動するリチウムイオン二次電池において、特定の窒素化合物を非水電解液に添加することが提案されている(例えば、以下の特許文献3参照。)。特定の窒素化合物を添加することで、電解液中の水分を除去し、電池のサイクル性能を改善することができる。
さらに、リチウムイオン二次電池にはより一層高いエネルギー密度が求められており、その高いエネルギー密度を達成するため、電池の高電圧化が検討されている。電池の高電圧化を達成するためには高電位で作動する正極を用いる必要がある。このような正極としては、具体的には、4.4V(vsLi/Li+)以上で作動する種々の正極活物質が提案されている(例えば、以下の特許文献4参照。)。
ところが、4.4V(vsLi/Li+)以上の高電位で作動する正極活物質を含有する正極を備えたリチウムイオン二次電池、すなわち、高電圧リチウムイオン二次電池においては、上記特許文献1、2のような電解液を用いると、電解液に含まれるカーボネート系溶媒が正極表面にて酸化分解し、電池のサイクル寿命が低下し、かつ、電池各部にガスが発生するという問題が生ずる。かかる高電圧で作動した際のサイクル寿命の低下、ガス発生に対する解決策は未だ示されておらず、上記高電圧リチウムイオン二次電池のサイクル寿命を向上させるとともにガス発生を抑制する電解液及びそれを備えたリチウムイオン二次電池が望まれている。
かかる事情に鑑み、本発明が解決しようとする課題は、高電圧で作動し、高いサイクル寿命を有し、かつ、ガス発生の少ないリチウムイオン二次電池、及び、そのようなリチウムイオン二次電池を与えることのできる非水蓄電デバイス用電解液を提供することである。
かかる事情に鑑み、本発明が解決しようとする課題は、高電圧で作動し、高いサイクル寿命を有し、かつ、ガス発生の少ないリチウムイオン二次電池、及び、そのようなリチウムイオン二次電池を与えることのできる非水蓄電デバイス用電解液を提供することである。
本発明者らは上記目的を達成すべく鋭意検討し実験を重ねた結果、非水溶媒と、ホウ素原子を有しないリチウム塩(A)と、特定の構造を有するホウ素原子を有するリチウム塩(B)と、窒素原子を含む化合物(C)と、を含有する非水蓄電デバイス用電解液であれば、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、以下のとおりのものである。
すなわち、本発明は、以下のとおりのものである。
[1]非水溶媒;
ホウ素原子を有しないリチウム塩(A);
下記式(1):
{式中、Xは、各々独立に、フッ素原子、塩素原子、及び臭素原子からなる群より選ばれるハロゲン原子を示し、R1は、各々独立に、置換されていてもよい炭素数1〜10の炭化水素基を示し、aは、0又は1の整数を示し、そしてnは、0〜2の整数を示す。}又は下記式(2):
{式中、Xは、各々独立に、フッ素原子、塩素原子、及び臭素原子からなる群より選ばれるハロゲン原子を示し、R2は、各々独立に、水素原子、フッ素原子、又は置換されていてもよい炭素数1〜10の炭化水素基を示し、そしてmは、0〜4の整数を示す。}で表されるホウ素原子を含有するリチウム塩(B);並びに
窒素原子を含む化合物(C);
を含有する非水蓄電デバイス用電解液。
ホウ素原子を有しないリチウム塩(A);
下記式(1):
窒素原子を含む化合物(C);
を含有する非水蓄電デバイス用電解液。
[2]前記化合物(C)が、アミン、アミド、イミド、及びSi−N結合を有する化合物からなる群より選ばれる1種以上である、前記[1]に記載の非水蓄電デバイス用電解液。
[3]前記化合物(C)が、アミン、及びSi−N結合を有する化合物からなる群より選ばれる1種以上である、前記[2]に記載の非水蓄電デバイス用電解液。
[4]前記非水蓄電デバイス用電解液が、リン原子及び/又はホウ素原子を有するプロトン酸、スルホン酸、及びカルボン酸からなる群より選ばれる酸の水素原子の少なくとも1つが下記式(3):
{式中、R3、R4、及びR5は、各々独立に、置換されていてもよい炭素数1〜10の有機基を示す。}で表される置換基で置換された化合物(D)を、さらに含有する、前記[1]〜[3]のいずれかに記載の非水蓄電デバイス用電解液。
[5]前記化合物(D)が、下記式(4):
{式中、Mは、リン原子又はホウ素原子を示し、Mがリン原子のとき、nは0又は1であり、Mがホウ素原子のとき、nは0であり、R3、R4、及びR5は、各々独立に、置換されていてもよい炭素数1〜10の有機基を示し、そしてR6及びR7は、各々独立に、OH基、OLi基、置換されてもよい炭素数1〜10のアルキル基、置換されてもよい炭素数1〜10のアルコキシ基、炭素数3〜10のシロキシ基、炭素数6〜15のアリール基、及び炭素数6〜15のアリールオキシ基からなる群より選ばれる基を示す。}又は下記式(5):
{式中、R3、R4、及びR5は、各々独立に、置換されていてもよい炭素数1〜10の有機基を示し、そしてR8は、置換されていてもよい炭素数1〜20の有機基を示す。}で表される化合物である、前記[4]に記載の非水蓄電デバイス用電解液。
[6]前記ホウ素原子を有しないリチウム塩(A)の含有量が、前記非水蓄電デバイス用電解液100質量%に対して、1質量%以上40質量%以下であり、前記リチウム塩(B)の含有量が、前記非水蓄電デバイス用電解液100質量%に対して、0.01質量%以上10質量%以下であり、前記化合物(C)の含有量が、前記非水蓄電デバイス用電解液100質量%に対して、5ppm以上50000ppm以下であり、そして前記化合物(D)の含有量が、前記非水蓄電デバイス用電解液100質量%に対して、0.01質量%以上10質量%以下である、前記[4]又は[5]に記載の非水蓄電デバイス用電解液。
[7]前記リチウム塩(B)が、LiBF4、LiB(C2O4)2、及びLiBF2(C2O4)からなる群より選ばれる1種以上である、前記[1]〜[6]のいずれかに記載の非水蓄電デバイス用電解液。
[8]前記ホウ素原子を有しないリチウム塩(A)が、LiPF6である、前記[1]〜[7]のいずれかに記載の非水蓄電デバイス用電解液。
[9]前記非水溶媒が、環状カーボネート及び鎖状カーボネートを含有する、前記[1〜[8]のいずれかに記載の非水蓄電デバイス用電解液。
[10]前記環状カーボネートが、エチレンカーボネート、及びプロピレンカーボネートからなる群より選ばれる1種以上であり、そして前記鎖状カーボネートが、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、及びエチルメチルカーボネートからなる群より選ばれる1種以上である、前記[9]に記載の非水蓄電デバイス用電解液。
[11]正極活物質を含有する正極と、
負極活物質を含有する負極と、
前記[1]〜[10]のいずれかに記載の非水蓄電デバイス用電解液と、
を備える、リチウムイオン二次電池。
負極活物質を含有する負極と、
前記[1]〜[10]のいずれかに記載の非水蓄電デバイス用電解液と、
を備える、リチウムイオン二次電池。
[12]前記正極活物質は、4.4V(vsLi/Li+)以上の電位において10mAh/g以上の放電容量を有する、前記[11]に記載のリチウムイオン二次電池。
[13]前記正極活物質は、下記式(6):
LiMn2−xMaxO4 (6)
{式中、Maは、遷移金属からなる群より選ばれる1種以上を示し、そしてxは、0.2≦x≦0.7である。}で表される酸化物、下記式(7):
LiMn1−uMeuO2 (7)
{式中、Meは、Mnを除く遷移金属からなる群より選ばれる1種以上を示し、そしてuは、0.1≦u≦0.9である。}で表される酸化物、下記式(8):
zLi2McO3−(1−z)LiMdO2 (8)
{式中、Mc及びMdは、各々独立に、遷移金属からなる群より選ばれる1種以上を示し、そしてzは、0.1≦z≦0.9である。}で表される複合酸化物、下記式(9):
LiMb1−yFeyPO4 (9)
{式中、Mbは、Mn及びCoからなる群より選ばれる1種以上を示し、そしてyは、0≦y≦0.9である。}で表される化合物、及び下記式(10):
Li2MfPO4F (10)
{式中、Mfは、遷移金属からなる群より選ばれる1種以上を示す。}で表される化合物からなる群より選ばれる1種以上である、前記[11]又は[12]に記載のリチウムイオン二次電池。
LiMn2−xMaxO4 (6)
{式中、Maは、遷移金属からなる群より選ばれる1種以上を示し、そしてxは、0.2≦x≦0.7である。}で表される酸化物、下記式(7):
LiMn1−uMeuO2 (7)
{式中、Meは、Mnを除く遷移金属からなる群より選ばれる1種以上を示し、そしてuは、0.1≦u≦0.9である。}で表される酸化物、下記式(8):
zLi2McO3−(1−z)LiMdO2 (8)
{式中、Mc及びMdは、各々独立に、遷移金属からなる群より選ばれる1種以上を示し、そしてzは、0.1≦z≦0.9である。}で表される複合酸化物、下記式(9):
LiMb1−yFeyPO4 (9)
{式中、Mbは、Mn及びCoからなる群より選ばれる1種以上を示し、そしてyは、0≦y≦0.9である。}で表される化合物、及び下記式(10):
Li2MfPO4F (10)
{式中、Mfは、遷移金属からなる群より選ばれる1種以上を示す。}で表される化合物からなる群より選ばれる1種以上である、前記[11]又は[12]に記載のリチウムイオン二次電池。
[14]満充電時におけるリチウム基準の正極電位が、4.4V(vsLi/Li+)以上である、前記[11]〜[13]のいずれかに記載のリチウムイオン二次電池。
本発明に係る非水蓄電デバイス用電解液を用いれば、高電圧で作動した際、高いサイクル寿命を有し、かつ、ガス発生の少ないリチウムイオン二次電池を製造することができる。
以下、必要に応じて図面を参照しつつ、本発明を実施するための形態(以下、単に「本実施形態」という。)について詳細に説明する。以下の本実施形態は、本発明を説明するための例示であり、本発明を以下の内容に限定する趣旨ではない。本発明は、その要旨の範囲内で適宜に変形して実施できる。尚、上下左右等の位置関係は、特に断らない限り、図面に示す位置関係に基づくものとする。更に、図面の寸法比率は図示の比率に限られるものではない。
〔非水蓄電デバイス用電解液〕
本実施形態に係る非水蓄電デバイス用電解液(以下、単に「電解液」ともいう。)は、非水溶媒;ホウ素原子を有しないリチウム塩(A);下記式(1):
{式中、Xは、各々独立に、フッ素原子、塩素原子、及び臭素原子からなる群より選ばれるハロゲン原子を示し、R1は、各々独立に、置換されていてもよい炭素数1〜10の炭化水素基を示し、aは、0又は1の整数を示し、そしてnは、0〜2の整数を示す。}又は下記式(2):
{式中、Xは、各々独立に、フッ素原子、塩素原子、及び臭素原子からなる群より選ばれるハロゲン原子を示し、R2は、各々独立に、水素原子、フッ素原子、又は置換されていてもよい炭素数1〜10の炭化水素基を示し、そしてmは、0〜4の整数を示す。}で表されるホウ素原子を含有するリチウム塩(B);並びに窒素原子を含む化合物(C);を含有する。
本実施形態に係る非水蓄電デバイス用電解液(以下、単に「電解液」ともいう。)は、非水溶媒;ホウ素原子を有しないリチウム塩(A);下記式(1):
〔非水溶媒〕
本実施形態に係る電解液は、非水溶媒を含有する。非水溶媒としては、特に限定されないが、例えば、非プロトン性極性溶媒等が挙げられる。非プロトン性極性溶媒としては、特に限定されないが、例えば、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、1,2−ブチレンカーボネート、2,3−ブチレンカーボネート、1,2−ペンチレンカーボネート、2,3−ペンチレンカーボネート、トリフルオロメチルエチレンカーボネート、フルオロエチレンカーボネート、4,5−ジフルオロエチレンカーボネートになどの環状カーボネート;γ−プチロラクトン、γ−バレロラクトンなどのラクトン;スルホランなどの環状スルホン;テトラヒドロフラン、ジオキサンなどの環状エーテル;エチルメチルカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、メチルプロピルカーボネート、メチルイソプロビルカーボネート、ジプロピルカーボネート、メチルブチルカーボネート、ジブチルカーボネート、エチルプロピルカーボネート、メチルトリフルオロエチルカーボネートなどの鎖状カーボネート;アセトニトリルなどのニトリル;ジメチルエーテルなどの鎖状エーテル;プロピオン酸メチルなどの鎖状カルボン酸エステル;ジメトキシエタンなどの鎖状ジエーテルが挙げられる。
本実施形態に係る電解液は、非水溶媒を含有する。非水溶媒としては、特に限定されないが、例えば、非プロトン性極性溶媒等が挙げられる。非プロトン性極性溶媒としては、特に限定されないが、例えば、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、1,2−ブチレンカーボネート、2,3−ブチレンカーボネート、1,2−ペンチレンカーボネート、2,3−ペンチレンカーボネート、トリフルオロメチルエチレンカーボネート、フルオロエチレンカーボネート、4,5−ジフルオロエチレンカーボネートになどの環状カーボネート;γ−プチロラクトン、γ−バレロラクトンなどのラクトン;スルホランなどの環状スルホン;テトラヒドロフラン、ジオキサンなどの環状エーテル;エチルメチルカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、メチルプロピルカーボネート、メチルイソプロビルカーボネート、ジプロピルカーボネート、メチルブチルカーボネート、ジブチルカーボネート、エチルプロピルカーボネート、メチルトリフルオロエチルカーボネートなどの鎖状カーボネート;アセトニトリルなどのニトリル;ジメチルエーテルなどの鎖状エーテル;プロピオン酸メチルなどの鎖状カルボン酸エステル;ジメトキシエタンなどの鎖状ジエーテルが挙げられる。
(カーボネート)
非水溶媒としては、特に限定されないが、例えば、環状カーボネート、鎖状カーボネートなどのカーボネート系溶媒を用いることがより好ましい。また、カーボネート系溶媒として、環状カーボネートと鎖状カーボネートを組合せて用いることがさらに好ましい。このようなカーボネートを含むことにより、電解液のイオン伝導性により優れる傾向にある。
非水溶媒としては、特に限定されないが、例えば、環状カーボネート、鎖状カーボネートなどのカーボネート系溶媒を用いることがより好ましい。また、カーボネート系溶媒として、環状カーボネートと鎖状カーボネートを組合せて用いることがさらに好ましい。このようなカーボネートを含むことにより、電解液のイオン伝導性により優れる傾向にある。
(環状カーボネート)
環状カーボネートとしては、特に限定されないが、例えば、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、フルオロエチレンカーボネートが挙げられる。このなかでも、エチレンカーボネート及びプロピレンカーボネートからなる群より選ばれる1種以上が好ましい。このような環状カーボネートを含むことにより、電解液のイオン伝導性により優れる傾向にある。
環状カーボネートとしては、特に限定されないが、例えば、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、フルオロエチレンカーボネートが挙げられる。このなかでも、エチレンカーボネート及びプロピレンカーボネートからなる群より選ばれる1種以上が好ましい。このような環状カーボネートを含むことにより、電解液のイオン伝導性により優れる傾向にある。
(鎖状カーボネート)
鎖状カーボネートとしては、特に限定されないが、例えば、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、及びエチルメチルカーボネートからなる群より選ばれる1種以上が好ましい。このような鎖状カーボネートを含むことにより、電解液のイオン伝導性により優れる傾向にある。
カーボネート系溶媒として、環状カーボネートと鎖状カーボネートを組合せて含む場合、環状カーボネートと鎖状カーボネートとの混合比は、体積比で、1:10〜5:1が好ましく、1:5〜3:1がより好ましく、1:5〜1:1がさらに好ましい。混合比が上記範囲内であることにより、リチウムイオン二次電池のイオン伝導性により優れる傾向にある。
カーボネート系溶媒を用いる場合、必要に応じて、アセトニトリル、スルホラン等の別の非水溶媒をさらに添加することができる。このような非水溶媒を用いることにより、リチウムイオン二次電池の電池物性がより改善する傾向にある。
非水溶媒は1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
鎖状カーボネートとしては、特に限定されないが、例えば、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、及びエチルメチルカーボネートからなる群より選ばれる1種以上が好ましい。このような鎖状カーボネートを含むことにより、電解液のイオン伝導性により優れる傾向にある。
カーボネート系溶媒として、環状カーボネートと鎖状カーボネートを組合せて含む場合、環状カーボネートと鎖状カーボネートとの混合比は、体積比で、1:10〜5:1が好ましく、1:5〜3:1がより好ましく、1:5〜1:1がさらに好ましい。混合比が上記範囲内であることにより、リチウムイオン二次電池のイオン伝導性により優れる傾向にある。
カーボネート系溶媒を用いる場合、必要に応じて、アセトニトリル、スルホラン等の別の非水溶媒をさらに添加することができる。このような非水溶媒を用いることにより、リチウムイオン二次電池の電池物性がより改善する傾向にある。
非水溶媒は1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
〔リチウム塩(A)〕
本実施形態に係る電解液は、ホウ素原子を有しないリチウム塩(A)を含む。リチウム塩(A)は正極又は負極、或いは両方に作用することにより電解液の酸化分解を抑制する機能を有していてもよいが、主に、電解液のイオン伝導性を担う電解質としての機能が大きいと考えられる。
リチウム塩(A)の電解液中の含有量は、電解液100質量%に対して、1質量%以上40質量%以下が好ましく、5質量%以上35質量%以下がより好ましく、7質量%以上30質量%以下がさらに好ましい。リチウム塩(A)の電解液中の含有量が1質量%以上であることにより、リチウムイオン二次電池のイオン伝導性により優れる傾向にある。また、リチウム塩(A)の電解液中の含有量が40質量%以下であることにより、リチウム塩(A)の低温における溶解性がより向上する傾向にある。これらのリチウム塩(A)の電解液中の含有量は、19F−NMR、31P−NMRなどのNMR測定により確認することができる。また、リチウムイオン二次電池中の電解液中のリチウム塩(A)の含有量も、上記と同様に、19F−NMR、31P−NMRなどのNMR測定により確認することができる。
本実施形態に係る電解液は、ホウ素原子を有しないリチウム塩(A)を含む。リチウム塩(A)は正極又は負極、或いは両方に作用することにより電解液の酸化分解を抑制する機能を有していてもよいが、主に、電解液のイオン伝導性を担う電解質としての機能が大きいと考えられる。
リチウム塩(A)の電解液中の含有量は、電解液100質量%に対して、1質量%以上40質量%以下が好ましく、5質量%以上35質量%以下がより好ましく、7質量%以上30質量%以下がさらに好ましい。リチウム塩(A)の電解液中の含有量が1質量%以上であることにより、リチウムイオン二次電池のイオン伝導性により優れる傾向にある。また、リチウム塩(A)の電解液中の含有量が40質量%以下であることにより、リチウム塩(A)の低温における溶解性がより向上する傾向にある。これらのリチウム塩(A)の電解液中の含有量は、19F−NMR、31P−NMRなどのNMR測定により確認することができる。また、リチウムイオン二次電池中の電解液中のリチウム塩(A)の含有量も、上記と同様に、19F−NMR、31P−NMRなどのNMR測定により確認することができる。
リチウム塩(A)の構造としては、分子構造中にホウ素原子を有しないものであればどのような構造でも特に限定されないが、例えば、LiPF6、LiClO4、LiAsF6、Li2SiF6、LiOSO2CkF2k+1〔kは1〜8の整数〕、LiN(SO2CkF2k+1)2〔kは1〜8の整数〕、LiPFn(CkF2k+1)6−n[nは1〜5の整数、kは1〜8の整数〕、LiPF4(C2O2)、LiPF2(C2O2)2が好ましく、LiPF6、LiOSO2CkF2k+1〔kは1〜8の整数〕、LiN(SO2CkF2k+1)2〔kは1〜8の整数〕、LiPFn(CkF2k+1)6−n[nは1〜5の整数、kは1〜8の整数〕、LiPF4(C2O2)、LiPF2(C2O2)2がより好ましく、LiPF6がさらに好ましい。このようなリチウム塩(A)を用いることにより、リチウムイオン二次電池のイオン伝導性により優れる傾向にある。
リチウム塩(A)は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
リチウム塩(A)は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
〔リチウム塩(B)〕
本実施形態に係る電解液は、下記式(1):
{式中、Xは、各々独立に、フッ素原子、塩素原子、及び臭素原子からなる群より選ばれるハロゲン原子を示し、R1は、各々独立に、置換されていてもよい炭素数1〜10の炭化水素基を示し、aは、0又は1の整数を示し、そしてnは、0〜2の整数を示す。}又は下記式(2):
{式中、Xは、各々独立に、フッ素原子、塩素原子、及び臭素原子からなる群より選ばれるハロゲン原子を示し、R2は、各々独立に、水素原子、フッ素原子、又は置換されていてもよい炭素数1〜10の炭化水素基を示し、そしてmは、0〜4の整数を示す。}で表されるホウ素原子を含有するリチウム塩(B)を含有する。
本実施形態に係る電解液は、下記式(1):
(式(1)で表されるホウ素原子を有するリチウム塩(B))
式(1)で表されるホウ素原子を有するリチウム塩(B)において、Xは、フッ素原子、塩素原子、及び臭素原子からなる群より選ばれるハロゲン原子を示し、このなかでもフッ素原子を示すことが好ましい。Xがフッ素原子であることにより、リチウムイオン二次電池中におけるリチウム塩の化学的耐久性がより向上する傾向にある。
また、R1は、各々独立に、置換されていてもよい炭素数1〜10の炭化水素基を示す。炭化水素基としては、特に限定されないが、例えば、脂肪族炭化水素基、フェニル基などの芳香族炭化水素基、及び水素原子がフッ素原子に置換されたジフルオロメチレン基などのフッ素置換炭化水素基が挙げられる。尚、炭化水素基は、必要に応じて、官能基を有していてもよい。このような官能基としては、特に限定されないが、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子などのハロゲン原子や、ニトリル基(−CN)、エーテル基(−O−)、カーボネート基(−OCO2−)、エステル基(−CO2−)、カルボニル基(−CO−)スルフィド基(−S−)、スルホキシド基(−SO−)、スルホン基(−SO2−)、ウレタン基(−NHCO2−)等が挙げられる。
式(1)で表されるホウ素原子を有するリチウム塩(B)において、Xは、フッ素原子、塩素原子、及び臭素原子からなる群より選ばれるハロゲン原子を示し、このなかでもフッ素原子を示すことが好ましい。Xがフッ素原子であることにより、リチウムイオン二次電池中におけるリチウム塩の化学的耐久性がより向上する傾向にある。
また、R1は、各々独立に、置換されていてもよい炭素数1〜10の炭化水素基を示す。炭化水素基としては、特に限定されないが、例えば、脂肪族炭化水素基、フェニル基などの芳香族炭化水素基、及び水素原子がフッ素原子に置換されたジフルオロメチレン基などのフッ素置換炭化水素基が挙げられる。尚、炭化水素基は、必要に応じて、官能基を有していてもよい。このような官能基としては、特に限定されないが、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子などのハロゲン原子や、ニトリル基(−CN)、エーテル基(−O−)、カーボネート基(−OCO2−)、エステル基(−CO2−)、カルボニル基(−CO−)スルフィド基(−S−)、スルホキシド基(−SO−)、スルホン基(−SO2−)、ウレタン基(−NHCO2−)等が挙げられる。
R1の示す炭化水素基の炭素数は、1〜10であり、1〜8が好ましく、1〜6がより好ましい。R1の示す炭化水素基の炭素数が上記範囲内であることにより、非水溶媒との混和性により優れる傾向にある。
R1の好ましい例としては、特に限定されないが、例えば、メチレン基、エチレン基、1−メチルエチレン基、プロピレン基、ブチレン基、1,2−ジメチルエチレン基、1,2−ジ(トリフルオロメチル)エチレン基、フルオロエチレン基などの脂肪族炭化水素基;フェニル基、ニトリル置換フェニル基、フルオロ化フェニル基などの芳香族炭化水素基が挙げられる。上記のなかでも、メチレン基、エチレン基、1−メチルエチレン基、プロピレン基、1,2−ジメチルエチレン基、1,2−ジ(トリフルオロメチル)エチレン基、フルオロエチレン基がより好ましい。R1がこのような炭化水素基であることにより、リチウムイオン二次電池のイオン伝導性により優れる傾向にある。
また、式(1)中、aは0又は1の整数を示し、aは0であることが好ましい。aが0であることにより、安定性により優れる傾向にある。aが0の場合、式(1)中の右側の構造はシュウ酸構造となる。また、式(1)中、nは0〜2の整数を示す。
R1の好ましい例としては、特に限定されないが、例えば、メチレン基、エチレン基、1−メチルエチレン基、プロピレン基、ブチレン基、1,2−ジメチルエチレン基、1,2−ジ(トリフルオロメチル)エチレン基、フルオロエチレン基などの脂肪族炭化水素基;フェニル基、ニトリル置換フェニル基、フルオロ化フェニル基などの芳香族炭化水素基が挙げられる。上記のなかでも、メチレン基、エチレン基、1−メチルエチレン基、プロピレン基、1,2−ジメチルエチレン基、1,2−ジ(トリフルオロメチル)エチレン基、フルオロエチレン基がより好ましい。R1がこのような炭化水素基であることにより、リチウムイオン二次電池のイオン伝導性により優れる傾向にある。
また、式(1)中、aは0又は1の整数を示し、aは0であることが好ましい。aが0であることにより、安定性により優れる傾向にある。aが0の場合、式(1)中の右側の構造はシュウ酸構造となる。また、式(1)中、nは0〜2の整数を示す。
式(1)で表されるホウ素原子を有するリチウム塩(B)としては、特に限定されないが、例えば、以下の式(11)〜(17):
で表される構造を有していることがより好ましい。また、このなかでも、式(11)で表されるLiB(C2O4)2(以下、「LiBOB」ともいう。)、式(12)で表されるLiBF2(C2O4)、式(13)で表されるLiBF4が好ましく、式(11)で表されるLiBOB、式(12)で表されるLiBF2(C2O4)がより好ましい。このようなリチウム塩(B)を用いることにより、リチウムイオン二次電池中での化学的耐久性がより優れる傾向にある。
(式(2)で表されるホウ素原子を有するリチウム塩(B))
式(2)で表されるホウ素原子を有するリチウム塩(B)において、Xは、各々独立に、フッ素原子、塩素原子、及び臭素原子からなる群より選ばれるハロゲン原子を示す。このなかでも、フッ素原子を示すことが好ましい。Xがフッ素原子であることにより、リチウムイオン二次電池中におけるリチウム塩の化学的耐久性がより向上する傾向にある。
また、R2は、各々独立に、水素原子、フッ素原子又は置換されていてもよい炭素数1〜10の炭化水素基を示す。炭化水素基としては、特に限定されないが、例えば、脂肪族炭化水素基、フェニル基などの芳香族炭化水素基、及び炭化水素基中の水素原子がすべてフッ素原子に置換されたトリフルオロメチル基などのフッ素置換炭化水素基が挙げられる。尚、炭化水素基は、必要に応じて、官能基を有していてもよい。このような官能基としては、特に限定されないが、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子などのハロゲン原子や、ニトリル基(−CN)、エーテル基(−O−)、カーボネート基(−OCO2−)、エステル基(−CO2−)、カルボニル基(−CO−)スルフィド基(−S−)、スルホキシド基(−SO−)、スルホン基(−SO2−)、ウレタン基(−NHCO2−)等が挙げられる。
式(2)で表されるホウ素原子を有するリチウム塩(B)において、Xは、各々独立に、フッ素原子、塩素原子、及び臭素原子からなる群より選ばれるハロゲン原子を示す。このなかでも、フッ素原子を示すことが好ましい。Xがフッ素原子であることにより、リチウムイオン二次電池中におけるリチウム塩の化学的耐久性がより向上する傾向にある。
また、R2は、各々独立に、水素原子、フッ素原子又は置換されていてもよい炭素数1〜10の炭化水素基を示す。炭化水素基としては、特に限定されないが、例えば、脂肪族炭化水素基、フェニル基などの芳香族炭化水素基、及び炭化水素基中の水素原子がすべてフッ素原子に置換されたトリフルオロメチル基などのフッ素置換炭化水素基が挙げられる。尚、炭化水素基は、必要に応じて、官能基を有していてもよい。このような官能基としては、特に限定されないが、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子などのハロゲン原子や、ニトリル基(−CN)、エーテル基(−O−)、カーボネート基(−OCO2−)、エステル基(−CO2−)、カルボニル基(−CO−)スルフィド基(−S−)、スルホキシド基(−SO−)、スルホン基(−SO2−)、ウレタン基(−NHCO2−)等が挙げられる。
R2の好ましい例としては、特に限定されないが、例えば、メチル基、エチル基、ビニル基、1−メチルビニル基、プロピル基、ブチル基、トリフルオロメチル基などの脂肪族炭化水素基;ベンジル基、フェニル基、ニトリル置換フェニル基、フルオロ化フェニル基などの芳香族炭化水素基が挙げられる。上記のなかでも、メチル基、エチル基、ビニル基、1−メチルビニル基、トリフルオロメチル基がより好ましい。R2がこのような炭化水素基であることにより、リチウムイオン二次電池のイオン伝導性がより優れる傾向にある。
R2が炭化水素基である場合、非水溶媒との混和性の観点から、R2の炭素数は1〜10であり、好ましくは炭素数1〜8であり、より好ましくは炭素数1〜6である。また、式(2)中、mは0〜4の整数を示す。
R2が炭化水素基である場合、非水溶媒との混和性の観点から、R2の炭素数は1〜10であり、好ましくは炭素数1〜8であり、より好ましくは炭素数1〜6である。また、式(2)中、mは0〜4の整数を示す。
式(2)で表されるホウ素原子を有するリチウム塩(B)としては、特に限定されないが、例えば、LiBF4、LiBF3(OCOCH3)、LiBF3(OCOCF3)、LiBF2(OCOCH3)2、LiBF2(OCOCF3)2、LiBF(OCOCH3)3、LiBF(OCOCF3)3、LiB(OCOCH3)4、LiB(OCOCF3)4であることがより好ましい。このなかでも、LiBF4がより好ましい。このようなリチウム塩(B)を用いることにより、リチウムイオン二次電池中での化学的耐久性がより優れる傾向にある。
式(1)又は式(2)で表されるホウ素原子を有するリチウム塩(B)の含有量は、電解液100質量%に対して、0.01質量%以上10質量%以下が好ましく、0.02質量%以上5質量%以下がより好ましく、0.03質量%以上5質量%以下がさらに好ましく、0.05質量%以上3質量%以下がさらにより好ましく、0.1質量%以上2質量%以下が特に好ましい。リチウム塩(B)の含有量が0.01質量%以上であることにより、リチウムイオン二次電池のサイクル寿命がより向上する傾向にある。また、リチウム塩(B)の含有量が10質量%以下であることにより、リチウムイオン二次電池の電池出力がより向上する傾向にある。また、上述のとおり、リチウム塩(B)は、主に、上記サイクル寿命を改善させる効果を目的とした添加剤として機能しうるという観点から、その電解液中の含有量が0.01質量%以上10質量%以下と少量であっても十分な効果を発揮する傾向にある。これらのリチウム塩(B)の電解液中の含有量は、11B−NMR、19F−NMRなどのNMR測定により確認することができる。また、リチウムイオン二次電池中の電解液中のリチウム塩(B)の含有量も、上記と同様に、11B−NMR、19F−NMRなどのNMR測定により確認することができる。
リチウム塩(B)は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
本実施形態に係る電解液は、化合物(C)及びリチウム塩(A)とともに、リチウム塩(B)を含有することにより、リチウムイオン二次電池のサイクル寿命を大幅に改善し、かつガス発生を大幅に抑制することができる。この理由は明らかではないが、リチウム塩(B)と化合物(C)が正極又は負極、或いは両方に作用し、リチウムイオン二次電池内での電解液の酸化分解を抑制するためと推察される。リチウム塩(B)はイオン伝導性を担う電解質としての機能もあるが、主に、化合物(C)と協働して、上記サイクル寿命を改善し、かつガス発生を大幅に抑制する効果を目的とした添加剤として機能する。この添加剤としての機能は、電解液中のリチウム塩(B)の含有量が0.01質量%以上10質量%以下と少量であっても十分に発揮されうる。
本実施形態に係る電解液は、化合物(C)及びリチウム塩(A)とともに、リチウム塩(B)を含有することにより、リチウムイオン二次電池のサイクル寿命を大幅に改善し、かつガス発生を大幅に抑制することができる。この理由は明らかではないが、リチウム塩(B)と化合物(C)が正極又は負極、或いは両方に作用し、リチウムイオン二次電池内での電解液の酸化分解を抑制するためと推察される。リチウム塩(B)はイオン伝導性を担う電解質としての機能もあるが、主に、化合物(C)と協働して、上記サイクル寿命を改善し、かつガス発生を大幅に抑制する効果を目的とした添加剤として機能する。この添加剤としての機能は、電解液中のリチウム塩(B)の含有量が0.01質量%以上10質量%以下と少量であっても十分に発揮されうる。
〔化合物(C)〕
本実施形態に係る電解液は、窒素原子を含む化合物(C)を含有する。化合物(C)を含有することにより、リチウムイオン二次電池のサイクル寿命を大幅に改善し、かつガス発生を大幅に抑制することができる。化合物(C)を含有させることによりサイクル寿命を改善し、ガス発生を大幅に抑制する作用機構は明確には解明されていないが、リチウム塩(B)と協働して、正極又は負極に被膜を形成するものと考えられる。また、化合物(C)のN原子に由来する塩基性が、リチウム塩(B)との協働、作用機構に良好な影響を及ぼしていると考えられるが、機構の詳細は定かではない。
化合物(C)の電解液中の含有量は、電解液100質量%に対して、5ppm以上50000ppm以下であることが好ましい。より好ましくは5ppm以上20000ppm以下であり、さらに好ましくは、10ppm以上4000ppm以下であり、最も好ましくは20ppm以上2000ppm以下である。化合物(C)の含有量が当該範囲にあることにより、サイクル寿命とガス発生量抑制が改善する。尚、化合物(C)は、溶媒等の電解液の原料中に含まれていてもよく、電解液に後から添加してもよい。
本実施形態に係る電解液は、窒素原子を含む化合物(C)を含有する。化合物(C)を含有することにより、リチウムイオン二次電池のサイクル寿命を大幅に改善し、かつガス発生を大幅に抑制することができる。化合物(C)を含有させることによりサイクル寿命を改善し、ガス発生を大幅に抑制する作用機構は明確には解明されていないが、リチウム塩(B)と協働して、正極又は負極に被膜を形成するものと考えられる。また、化合物(C)のN原子に由来する塩基性が、リチウム塩(B)との協働、作用機構に良好な影響を及ぼしていると考えられるが、機構の詳細は定かではない。
化合物(C)の電解液中の含有量は、電解液100質量%に対して、5ppm以上50000ppm以下であることが好ましい。より好ましくは5ppm以上20000ppm以下であり、さらに好ましくは、10ppm以上4000ppm以下であり、最も好ましくは20ppm以上2000ppm以下である。化合物(C)の含有量が当該範囲にあることにより、サイクル寿命とガス発生量抑制が改善する。尚、化合物(C)は、溶媒等の電解液の原料中に含まれていてもよく、電解液に後から添加してもよい。
化合物(C)は、ガス発生抑制の観点から、好ましくは、アミン、アミド、イミド、及びSi−N結合を有する化合物からなる群より選ばれる1種以上であり、さらに好ましくはアミン、及びSi−N結合を有する化合物からなる群より選ばれる1種以上である。
アミン化合物としては、アンモニアNH3の水素原子の少なくとも1つを、炭素数20以下のアルキル基で置換したアルキルアミン、又は環式アミンが挙げられる。
アルキルアミンが複数のアルキル基を有する場合、複数のアルキル基は同じでも異なっていてもよい。アルキルアミンとして、例えば、エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン、ブチルアミン、プロピルアミン、ヘキシルアミン、ヘプチルアミン、オクチルアミン、ノニルアミン、デシルアミン、エチルメチルアミン、ブチルエチルアミン等の、側鎖が置換されていてもよいモノアルキルアミン;ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジ−プロピルアミン、ジブチルアミン、ジペンチルアミン、ジヘキシルアミン、ジ−ヘプチルアミン、ジ−オクチルアミン、ジシクロヘキシルアミン等の側鎖が置換されていてもよいジアルキルアミン;トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、トリペンチルアミン、トリヘキシルアミン、トリヘプチルアミン、トリオクチルアミン、トリノニルアミン、トリデカニルアミン、トリドデシルアミン、ジメチルエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン等の側鎖が置換されていてもよいトリアルキルアミン;が挙げられる。サイクル寿命の観点から、トリアルキルアミンが好ましい。
アミン化合物としては、アンモニアNH3の水素原子の少なくとも1つを、炭素数20以下のアルキル基で置換したアルキルアミン、又は環式アミンが挙げられる。
アルキルアミンが複数のアルキル基を有する場合、複数のアルキル基は同じでも異なっていてもよい。アルキルアミンとして、例えば、エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン、ブチルアミン、プロピルアミン、ヘキシルアミン、ヘプチルアミン、オクチルアミン、ノニルアミン、デシルアミン、エチルメチルアミン、ブチルエチルアミン等の、側鎖が置換されていてもよいモノアルキルアミン;ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジ−プロピルアミン、ジブチルアミン、ジペンチルアミン、ジヘキシルアミン、ジ−ヘプチルアミン、ジ−オクチルアミン、ジシクロヘキシルアミン等の側鎖が置換されていてもよいジアルキルアミン;トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、トリペンチルアミン、トリヘキシルアミン、トリヘプチルアミン、トリオクチルアミン、トリノニルアミン、トリデカニルアミン、トリドデシルアミン、ジメチルエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン等の側鎖が置換されていてもよいトリアルキルアミン;が挙げられる。サイクル寿命の観点から、トリアルキルアミンが好ましい。
環式アミンとしては、例えば、ヘテロ原子として窒素原子を含む複素環化合物が挙げられる。該複素環化合物としては、単環式のもの(脂肪族単環式アミン)であっても多環式のもの(脂肪族多環式アミン)であってもよい。脂肪族単環式アミンとして、具体的には、ピペリジン、ピペラジン等が挙げられる。脂肪族多環式アミンとしては、具体的には、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]−5−ノネン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセン、ヘキサメチレンテトラミン、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン等が挙げられる。芳香族アミンとしては、アニリン、ピリジン、4−ジメチルアミノピリジン、ピロール、インドール、ピラゾール、イミダゾール又はこれらの誘導体、ジフェニルアミン、トリフェニルアミン、トリベンジルアミンなどが挙げられる。
アミド化合物としては、下記式(21):
R11−CO−NR12R13 (21)
{式中、R11〜R13は、水素原子、又は置換されていてもよい炭素数1〜20の炭化水素基若しくは置換されていてもよい環状化合物であり、R11〜R13は、同じであっても異なっていてもよく、それぞれが結合して環を形成していてもよい。}で表される化合物が挙げられる。
R11−CO−NR12R13 (21)
{式中、R11〜R13は、水素原子、又は置換されていてもよい炭素数1〜20の炭化水素基若しくは置換されていてもよい環状化合物であり、R11〜R13は、同じであっても異なっていてもよく、それぞれが結合して環を形成していてもよい。}で表される化合物が挙げられる。
アミドとしては、例えば、アセトアミド、N,N-ジメチルホルムアミド、α-ラクタム、β-ラクタム、γ-ラクタム、δ-ラクタムが挙げられる。
イミド化合物としては、下記式(22):
R14−CO−NR15−CO−R16 (22)
{式中、R14〜R16は、水素原子、又は置換されていてもよい炭素数1〜20の炭化水素基若しくは置換されていてもよい環状化合物であり、R14〜R16は、同じであっても異なっていてもよく、それぞれが結合して環を形成していてもよい。}で表される化合物が挙げられる。尚、イミド化合物には、式(22)中のR15がリチウム金属等の金属原子若しくは水素原子の化合物等である「イミド塩」も包含されるが、化合物(C)の塩基性の観点から、かかる「イミド塩」構造よりも前記式(22)で表されるイミド構造がより好ましい。
イミド化合物としては、下記式(22):
R14−CO−NR15−CO−R16 (22)
{式中、R14〜R16は、水素原子、又は置換されていてもよい炭素数1〜20の炭化水素基若しくは置換されていてもよい環状化合物であり、R14〜R16は、同じであっても異なっていてもよく、それぞれが結合して環を形成していてもよい。}で表される化合物が挙げられる。尚、イミド化合物には、式(22)中のR15がリチウム金属等の金属原子若しくは水素原子の化合物等である「イミド塩」も包含されるが、化合物(C)の塩基性の観点から、かかる「イミド塩」構造よりも前記式(22)で表されるイミド構造がより好ましい。
Si−N結合を有する化合物としては、いずれの構造を有していても差し支えないが、一例として、下記式(23)、下記式(25)、下記式(31)で示される化合物が挙げられる。
式(23)中、R11は、水素原子、置換されていてもよい炭素数1〜6の有機基を示し、好ましくは、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、フェニル基である。より好ましくは、式(23)中の−Si−(R11)3基としては、−Si−(CH3)3、−Si−(C2H5)3、−Si−(CH3CHCH3)3、−Si−(CH3)2[C(CH3)3]、−Si−(C6H5)2[C(CH3)3]が挙げられる。さらに好ましくは、−Si−(CH3)3である。3つのR11は、全て同じでも異なっていてもよい。R14は、水素原子、又は置換されていてもよい炭素数1〜6の有機基を示し、R14は、同じでも異なっていてもよく、環を形成していてもよく、R14が結合して形成した環は、N、Oなどを含む複素環であってもよい。kは、1〜3の整数である。
上記範囲にあることにより、化学的安定性が向上し、電解液との親和性が向上する傾向にある。
kが1、2、3の場合、式(23)は、それぞれ、モノシラザン構造の化合物、ジシラザン構造の化合物、トリシラザン構造の化合物であり、化学的安定性の観点から、モノシラザン構造の化合物もしくはジシラザン構造の化合物が好ましい。
R14は、水素原子、又は置換されていてもよい炭素数1〜6の有機基であり、好ましくは、水素原子、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、アセチル基、トリフルオロメチル基、トリフルオロアセチル基、トリメチルシロキシ基、トリエチルシロキシ着、トリイソプロピルシロキシ基、t−ブチルジメチルシロキシ基、t−ブチルジフェニルシロキシ基、シクロヘキシル基、又は2つのR14が環を形成した下記式(26):
で表される基である。上記範囲にあることにより、電池性能がより向上する傾向にある。
kが1、2、3の場合、式(23)は、それぞれ、モノシラザン構造の化合物、ジシラザン構造の化合物、トリシラザン構造の化合物であり、化学的安定性の観点から、モノシラザン構造の化合物もしくはジシラザン構造の化合物が好ましい。
R14は、水素原子、又は置換されていてもよい炭素数1〜6の有機基であり、好ましくは、水素原子、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、アセチル基、トリフルオロメチル基、トリフルオロアセチル基、トリメチルシロキシ基、トリエチルシロキシ着、トリイソプロピルシロキシ基、t−ブチルジメチルシロキシ基、t−ブチルジフェニルシロキシ基、シクロヘキシル基、又は2つのR14が環を形成した下記式(26):
Si−Nを含む化合物のうち、Si元素に1つ以上のN元素が結合した化合物の一例として、下記式(25):
で表される化合物が挙げられる。式(25)中、R16は、水素原子、置換されていてもよい炭素数1〜6の有機基を示し、好ましくはメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、又は2つのR16が環を形成した下記式(27)〜(30):
{式中、nは1〜5の整数を示す。}で表される基である。2つのR16は同じでも異なっていてもよく、2つのR16が結合して環を形成していてもよく、2つのR16が結合して形成した環は、N、Oなどを含む複素環であってもよい。R18は、水素原子、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、又は置換されていてもよい炭素数1〜6の有機基を示し、2つ以上のR18は同じでも異なっていてもよい。mは、1〜4の整数である。上記範囲にあることにより、電解液との親和性が向上する傾向にある。
式(25)中、R18は、水素原子、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、又は置換されていてもよい炭素数1〜6の有機基であり、好ましくは水素原子、フッ素原子、塩素原子、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基である。上記範囲にあることにより、化学的安定性が向上する傾向にある。
Si−Nを含む化合物のうち、Si原子とN原子による環状構造を有する化合物の一例として、下記式(31):
で表される化合物が挙げられる。式(31)中、R26とR27は、各々独立に、水素原子、又は置換されていてもよい炭素数1〜6の有機基であり、好ましくは、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基であり、より好ましくはメチル基である。環状化合物中の複数のR26とR27は、同じであってもよく、異なっていてもよい。R28は、水素原子、又は置換されていてもよい炭素数1〜6の有機基であり、好ましくは、水素原子、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基である。環状化合物中の複数のR28は、同じであってもよく、異なっていてもよい。上記範囲にあることにより、化学的安定性が向上する傾向にある。wは、0〜4の整数であるが、化学的安定性の観点から、1又は2が好ましい。
Si−N結合を有する化合物の好ましい具体例としては、特に限定されないが、サイクル寿命の観点から、例えば、1,1,1,3,3,3−ヘキサメチルジシラザン(HMDS)、1,1,3,3,5,5−ヘキサメチルシクロトリシラザン、(N,O−ビストリメチルシリル)アセトアミド(BSA)、(N,O−ビストリメチルシリル)トリフルオロアセトアミド(BSTFA)、N−トリメチルシリルイミダゾール(TMSI)、1,3−ジフェニル―1,1,3,3−テトラメチルジシラザン、1,3−ビス(クロロメチル)テトラメチルジシラザン、1,3−ジビニル―1,1,3,3−テトラメチルジシラザン、ヘプタメチルジシラザン、オクタメチルシクロテトラシラザン、N−N‘−ビス(トリメチルシリル)−1,4−ブタンジアミン、N−メチル―N−トリメチルシリルアセトアミド(MTMSA)、N−メチル―N−トリメチルシリルトリフルオロアセトアミド(MSTFA)、N−トリメチルシリルジメチルアミン(TMSDMA)、N−トリメチルシリルジエチルアミン(TMSDEA)、N−メチル−N−tert−ブチルジメチルシリルトリフルオロアセトアミド(MTBSTFA)、N,N’−ビス(トリメチルシリル)ウレア(BTSU)、トリス(ジメチルアミノ)シラン、テトラキス(ジメチルアミド)シラン、トリス(ジメチルアミノ)クロロシラン、N,N−ジエチルアミノシラン、N,N−ジイソプロピルアミノシラン等が挙げられる。脱水、酸中和の能力の観点から、より好ましくは、1,1,1,3,3,3−ヘキサメチルジシラザン(HMDS)、1,1,3,3,5,5−ヘキサメチルシクロトリシラザン、ヘプタメチルジシラザン、トリス(ジメチルアミノ)シランであり、さらに好ましくは、1,1,1,3,3,3−ヘキサメチルジシラザン(HMDS)である。
本実施形態に係る電解液は、リチウム塩(B)とともに、化合物(C)を含有することにより、リチウムイオン二次電池のサイクル寿命を大幅に改善し、かつガス発生を大幅に抑制することができる。この理由は明らかではないが、リチウム塩(B)と化合物(C)が正極又は負極、或いは両方に作用し、リチウムイオン二次電池内での電解液の酸化分解を抑制するためと推察される。化合物(C)は、窒素原子を含むことに由来する塩基性により、リチウム塩(B)と協働し、ガス発生を抑制しながら、サイクル寿命を飛躍的に向上することが出来たものと推察される。化合物(C)はリチウム塩(B)と協働して、上記サイクル寿命を改善し、かつガス発生を大幅に抑制する効果を目的とした添加剤として機能する。この添加剤としての機能は、電解液中の化合物(C)の含有量が5ppm以上50000ppm以下と少量であっても十分に発揮されうる。
〔化合物(D)〕
本実施形態に係る電解液は、リン原子及び/又はホウ素原子を有するプロトン酸、スルホン酸、及びカルボン酸からなる群より選ばれる酸の水素原子の少なくとも1つが下記式(3):
{式中、R3、R4、及びR5は、各々独立に、置換されていてもよい炭素数1〜10の有機基を示す。}で表される構造で置換された化合物(D)をさらに含有することが好ましい。
リン原子を有するプロトン酸としては、分子内にリン原子を有し、かつプロトンとして解離しうる水素原子を有する化合物であれば特に限定されない。リン原子を有するプロトン酸は、分子内にフッ素原子、塩素原子等のハロゲン原子や、アルコキシ基、アルキル基等の有機基をはじめ、Si、B、O、N、等の異種原子を含有していてもよい。また、リン原子を有するプロトン酸は、ポリリン酸のように分子内にリン原子を複数個含有していてもよい。このようなリン原子を有するプロトン酸としては、特に限定されないが、例えば、リン酸、亜リン酸、ピロリン酸、ポリリン酸、ホスホン酸が好ましい。このなかでもリン酸、亜リン酸、ホスホン酸がより好ましい。このような化合物(D)を用いることにより、安定性により優れる傾向にある。これらのプロトン酸は置換されていてもよい。
本実施形態に係る電解液は、リン原子及び/又はホウ素原子を有するプロトン酸、スルホン酸、及びカルボン酸からなる群より選ばれる酸の水素原子の少なくとも1つが下記式(3):
リン原子を有するプロトン酸としては、分子内にリン原子を有し、かつプロトンとして解離しうる水素原子を有する化合物であれば特に限定されない。リン原子を有するプロトン酸は、分子内にフッ素原子、塩素原子等のハロゲン原子や、アルコキシ基、アルキル基等の有機基をはじめ、Si、B、O、N、等の異種原子を含有していてもよい。また、リン原子を有するプロトン酸は、ポリリン酸のように分子内にリン原子を複数個含有していてもよい。このようなリン原子を有するプロトン酸としては、特に限定されないが、例えば、リン酸、亜リン酸、ピロリン酸、ポリリン酸、ホスホン酸が好ましい。このなかでもリン酸、亜リン酸、ホスホン酸がより好ましい。このような化合物(D)を用いることにより、安定性により優れる傾向にある。これらのプロトン酸は置換されていてもよい。
ホウ素原子を有するプロトン酸としては、分子内にホウ素原子を有し、かつプロトンとして解離しうる水素原子を有する化合物であれば特に限定されない。ホウ素原子を有するプロトン酸は、分子内にフッ素原子、塩素原子等のハロゲン原子や、アルコキシ基、アルキル基等の有機基をはじめ、Si、P、O、N、等の異種原子を含有していてもよい。また、ホウ素原子を有するプロトン酸は、分子内にホウ素原子を複数個含有していてもよい。このようなホウ素原子を有するプロトン酸としては、特に限定されないが、例えば、ホウ酸、ボロン酸、ボリン酸が好ましい。これらのプロトン酸は置換されていてもよい。
スルホン酸としては、分子内に−SO3H基(スルホン酸基)を有する化合物であれば特に限定されず、分子内に複数個のスルホン酸基を有していてもよい。また、本実施形態においては、スルホン酸には硫酸(HOSO3H)が含まれる。スルホン酸としては、特に限定されないが、例えば、メチルスルホン酸、エチルスルホン酸、プロピルスルホン酸、1,2エタンジスルホン酸、トリフルオロメチルスルホン酸、フェニルスルホン酸、ベンジルスルホン酸、硫酸などを好ましく挙げることができる。
カルボン酸としては、分子内にCO2H基(カルボン酸基)を有する化合物であれば特に限定されず、分子内に複数個のカルボン酸基を有していてもよい。カルボン酸としては特に限定されないが、例えば、酢酸、トリフルオロ酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、アクリル酸、メタクリル酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、安息香酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、サリチル酸、マロン酸、フマル酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、及びイタコン酸が挙げられる。このなかでも、安息香酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、サリチル酸、マロン酸、フマル酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、及びイタコン酸などのジカルボン酸が好ましく、アジピン酸、イタコン酸、コハク酸、イソフタル酸、及びテレフタル酸がより好ましい。
化合物(D)は、プロトン酸、スルホン酸、及びカルボン酸からなる群より選ばれる酸の水素原子の少なくとも1つが上記式(3)で表される構造で置換された化合物である。ここで、式(3)で表される構造において、R3、R4、及びR5は、各々独立に、置換されていてもよい炭素数1〜10の炭化水素基を示す。
炭化水素基としては、特に限定されないが、例えば、脂肪族炭化水素基、フェニル基などの芳香族炭化水素基、及び炭化水素基中の水素原子がすべてフッ素原子に置換されたトリフルオロメチル基などのフッ素置換炭化水素基が挙げられる。尚、炭化水素基は、必要に応じて、官能基を有していてもよい。このような官能基としては、特に限定されないが、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子などのハロゲン原子や、ニトリル基(−CN)、エーテル基(−O−)、カーボネート基(−OCO2−)、エステル基(−CO2−)、カルボニル基(−CO−)スルフィド基(−S−)、スルホキシド基(−SO−)、スルホン基(−SO2−)、ウレタン基(−NHCO2−)等が挙げられる。
炭化水素基としては、特に限定されないが、例えば、脂肪族炭化水素基、フェニル基などの芳香族炭化水素基、及び炭化水素基中の水素原子がすべてフッ素原子に置換されたトリフルオロメチル基などのフッ素置換炭化水素基が挙げられる。尚、炭化水素基は、必要に応じて、官能基を有していてもよい。このような官能基としては、特に限定されないが、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子などのハロゲン原子や、ニトリル基(−CN)、エーテル基(−O−)、カーボネート基(−OCO2−)、エステル基(−CO2−)、カルボニル基(−CO−)スルフィド基(−S−)、スルホキシド基(−SO−)、スルホン基(−SO2−)、ウレタン基(−NHCO2−)等が挙げられる。
R3、R4、及びR5の好ましい例としては、特に限定されないが、例えば、メチル基、エチル基、ビニル基、1−メチルビニル基、プロピル基、ブチル基、フルオロメチル基などの脂肪族炭化水素基;ベンジル基、フェニル基、ニトリル置換フェニル基、フルオロ化フェニル基などの芳香族炭化水素基が挙げられる。上記のなかでも、化学的安定性の観点から、メチル基、エチル基、ビニル基、1−メチルビニル基、フルオロメチル基がより好ましい。また、R3、R4、及びR5の内の2つが結合して環を形成していてもよい。環を形成するためには,例えば、置換又は無置換で飽和又は不飽和のアルキレン基で置換される例が挙げられる。
R3、R4、及びR5の炭素数は、1〜10であり、1〜8がより好ましく、1〜6がさらに好ましい。炭素数が上記範囲内であることにより、非水溶媒との混和性により優れる傾向にある。
R3、R4、及びR5の炭素数は、1〜10であり、1〜8がより好ましく、1〜6がさらに好ましい。炭素数が上記範囲内であることにより、非水溶媒との混和性により優れる傾向にある。
式(3)で表される構造としては、特に限定されないが、例えば、−Si(CH3)3、−Si(C2H5)3、−Si(CHCH2)3、−Si(CH2CHCH2)3、−Si(CF3)3が好ましく、−Si(CH3)3がより好ましい。このような構造を有することにより、リチウムイオン二次電池中での化学的耐久性がより向上する傾向にある。
プロトン酸、スルホン酸、及びカルボン酸からなる群より選ばれる酸が水素原子を複数個有している場合には、少なくとも1つの水素原子が式(3)で表される構造で置換されていればよい。また、置換されていない残りの水素原子は、そのまま存在していてもよく、又は式(3)で表される構造以外の官能基で置換されていてもよい。そのような官能基としては、特に限定されないが、例えば、ハロゲン置換又は無置換の飽和又は不飽和の炭素数1〜20の炭化水素基を好ましく挙げることができる。ハロゲン置換又は無置換の、飽和又は不飽和の炭化水素基としては、特に限定されないが、例えば、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリル基、ビニル基が挙げられる。また、2つの水素原子の置換基が結合して環を形成していてもよい。環を形成するためには、例えば置換又は無置換で飽和又は不飽和のアルキレン基で置換される例が挙げられる。
プロトン酸、スルホン酸、及びカルボン酸からなる群より選ばれる酸が水素原子を複数個有している場合には、少なくとも1つの水素原子が式(3)で表される構造で置換されていればよい。また、置換されていない残りの水素原子は、そのまま存在していてもよく、又は式(3)で表される構造以外の官能基で置換されていてもよい。そのような官能基としては、特に限定されないが、例えば、ハロゲン置換又は無置換の飽和又は不飽和の炭素数1〜20の炭化水素基を好ましく挙げることができる。ハロゲン置換又は無置換の、飽和又は不飽和の炭化水素基としては、特に限定されないが、例えば、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリル基、ビニル基が挙げられる。また、2つの水素原子の置換基が結合して環を形成していてもよい。環を形成するためには、例えば置換又は無置換で飽和又は不飽和のアルキレン基で置換される例が挙げられる。
化合物(D)としては、特に限定されないが、例えば、
下記式(4):
{式中、Mは、リン原子又はホウ素原子を示し、Mがリン原子のとき、nは0又は1であり、Mがホウ素原子のとき、nは0であり、R3、R4、及びR5は、各々独立に、置換されていてもよい炭素数1〜10の有機基を示し、そしてR6及びR7は、各々独立に、OH基、OLi基、置換されてもよい炭素数1〜10のアルキル基、置換されてもよい炭素数1〜10のアルコキシ基、炭素数3〜10のシロキシ基、炭素数6〜15のアリール基、及び炭素数6〜15のアリールオキシ基からなる群より選ばれる基を示す。}又は下記式(5):
{式中、R3、R4、及びR5は、各々独立に、置換されていてもよい炭素数1〜10の有機基を示し、そしてR8は、置換されていてもよい炭素数1〜20の有機基を示す。}で表される化合物が好ましい。
下記式(4):
式(4)で表される化合物(D)において、Mは、P原子又はB原子を示し、MがP原子のとき、nは0又は1の整数を示し、MがB原子のとき、nは0の整数を示す。すなわち、式(4)において、MがB原子でnが0のとき、化合物(D)は、ホウ酸構造となり、MがP原子でnが0のとき、化合物(D)は亜リン酸構造となり、MがP原子でnが1のとき化合物(D)はリン酸構造となる。化合物(D)を含有する電解液の安定性の観点から、MがP原子となる下記式(18):
{式中、R3、R4、及びR5は、各々独立に、置換されていてもよい炭素数1〜10の有機基を示し、R6及びR7は、各々独立に、OH基、OLi基、置換されてもよい炭素数1〜10のアルキル基、置換されてもよい炭素数1〜10のアルコキシ基、炭素数3〜10のシロキシ基、炭素数6〜15のアリール基、及び炭素数6〜15のアリールオキシ基からなる群より選ばれる基を示し、そしてnは0又は1である。}で表される構造がより好ましい。
式(4)又は(18)で表される化合物(D)において、R6及びR7は、各々独立に、OH基、OLi基、置換されてもよい炭素数1〜10のアルキル基、置換されてもよい炭素数1〜10のアルコキシ基、炭素数3〜10のシロキシ基、炭素数6〜15のアリール基、及び炭素数6〜15のアリールオキシ基からなる群より選ばれる基を示す。
置換されてもよい炭素数1〜10のアルキル基は、炭素原子が直接M原子に結合した構造を示すものである。アルキル基としては、特に限定されないが、例えば、脂肪族基、水素原子の少なくとも一部がフッ素原子に置換されたトリフルオロメチル基などのフッ素置換炭化水素基が挙げられる。アルキル基は、必要に応じて、種々の官能基で置換されていてもよい。このような官能基としては、特に限定されないが、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子などのハロゲン原子や、ニトリル基(−CN)、エーテル基(−O−)、カーボネート基(−OCO2−)、エステル基(−CO2−)、カルボニル基(−CO−)スルフィド基(−S−)、スルホキシド基(−SO−)、スルホン基(−SO2−)、ウレタン基(−NHCO2−)、フェニル基、ベンジル基等の芳香族基が挙げられる。
置換されてもよい炭素数1〜10のアルキル基は、炭素原子が直接M原子に結合した構造を示すものである。アルキル基としては、特に限定されないが、例えば、脂肪族基、水素原子の少なくとも一部がフッ素原子に置換されたトリフルオロメチル基などのフッ素置換炭化水素基が挙げられる。アルキル基は、必要に応じて、種々の官能基で置換されていてもよい。このような官能基としては、特に限定されないが、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子などのハロゲン原子や、ニトリル基(−CN)、エーテル基(−O−)、カーボネート基(−OCO2−)、エステル基(−CO2−)、カルボニル基(−CO−)スルフィド基(−S−)、スルホキシド基(−SO−)、スルホン基(−SO2−)、ウレタン基(−NHCO2−)、フェニル基、ベンジル基等の芳香族基が挙げられる。
R6及びR7で表されるアルキル基の好ましい例としては、特に限定されないが、例えば、メチル基、エチル基、ビニル基、アリル基(allyl)、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、フルオロヘキシル基などの脂肪族アルキル基が挙げられる。このなかでも、化学的安定性の観点から、メチル基、エチル基、アリル基(allyl)、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、フルオロヘキシル基がより好ましい。
R6及びR7で表されるアルキル基の炭素数は、1〜10であり、2以上10以下が好ましくは、3以上8以下がより好ましい。炭素数が1以上であることにより、電池性能がより向上する傾向にある。また、炭素数が10以下であることにより、電解液との親和性がより向上する傾向にある。
R6及びR7で表されるアルキル基の炭素数は、1〜10であり、2以上10以下が好ましくは、3以上8以下がより好ましい。炭素数が1以上であることにより、電池性能がより向上する傾向にある。また、炭素数が10以下であることにより、電解液との親和性がより向上する傾向にある。
置換されてもよい炭素数1〜10のアルコキシ基は、炭素原子が酸素原子を介してM原子に結合した構造を示すものである。アルコキシ基としては、特に限定されないが、例えば、脂肪族基を有するアルコキシ基、アルコキシ基中の水素原子がフッ素置換されたトリフルオロエチルオキシ基やヘキサフルオロイソプロポキシ基などのフッ素置換アルコキシ基が挙げられる。アルコキシ基は、必要に応じて、種々の官能基で置換されていてもよい。このような官能基としては、特に限定されないが、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子などのハロゲン原子や、ニトリル基(−CN)、エーテル基(−O−)、カーボネート基(−OCO2−)、エステル基(−CO2−)、カルボニル基(−CO−)スルフィド基(−S−)、スルホキシド基(−SO−)、スルホン基(−SO2−)、ウレタン基(−NHCO2−)、フェニル基及びベンジル基等の芳香族基が挙げられる。
R6及びR7で表されるアルコキシ基の好ましい例としては、特に限定されないが、例えば、メトキシ基、エトキシ基、ビニロキシ基、アリロキシ基(allyloxy)、プロポキシ基、ブトキシ基、シアノヒドロキシ基、フルオロエトキシ基、フルオロプロポキシ基などの脂肪族アルコキシ基が挙げられる。なかでも化学的安定性の観点から、メトキシ基、エトキシ基、ビニロキシ基、アリロキシ基(allyloxy)、プロポキシ基、ブトキシ基、シアノヒドロキシ基、フルオロエトキシ基、フルオロプロポキシ基がより好ましい。
R6及びR7で表されるアルコキシ基の炭素数は、1〜10であり、1以上8以下が好ましく、2以上8以下がより好ましい。炭素数が1以上であることにより、電池性能がより向上する傾向にある。また、炭素数が10以下であることにより、電解液との親和性がより向上する傾向にある。
R6及びR7で表されるアルコキシ基の炭素数は、1〜10であり、1以上8以下が好ましく、2以上8以下がより好ましい。炭素数が1以上であることにより、電池性能がより向上する傾向にある。また、炭素数が10以下であることにより、電解液との親和性がより向上する傾向にある。
炭素数3〜10のシロキシ基は、ケイ素原子が酸素原子を介してM原子に結合した構造を示すものである。シロキシ基は、Si−O−Si−といったシロキサン構造を含んでいてもよい。シロキシ基としては、特に限定されないが、例えば、化学的安定性の観点から、トリメチルシロキシ基、トリエチルシロキシ基、ジメチルエチルシロキシ基、ジエチルメチルシロキシ基などが好ましく挙げられる。より好ましくは、トリメチルシロキシ基である。
シロキシ基の炭素数は、3以上10以下であり、3以上8以下が好ましく、3以上6以下がより好ましい。シロキシ基の炭素数が3以上であることにより、電池性能がより向上する傾向にある。また、シロキシ基の炭素数が10以下であることにより、化学的安定性がより向上する傾向にある。
また、シロキシ基中のケイ素数は、特に制限されないが、1以上4以下が好ましく、1以上3以下がより好ましく、1以上2以下がさらに好ましく、1が特に好ましい。シロキシ基中のケイ素数が上記範囲内であることにより、化学的安定性及び電池性能がより向上する傾向にある。
シロキシ基の炭素数は、3以上10以下であり、3以上8以下が好ましく、3以上6以下がより好ましい。シロキシ基の炭素数が3以上であることにより、電池性能がより向上する傾向にある。また、シロキシ基の炭素数が10以下であることにより、化学的安定性がより向上する傾向にある。
また、シロキシ基中のケイ素数は、特に制限されないが、1以上4以下が好ましく、1以上3以下がより好ましく、1以上2以下がさらに好ましく、1が特に好ましい。シロキシ基中のケイ素数が上記範囲内であることにより、化学的安定性及び電池性能がより向上する傾向にある。
アリール基とは、芳香族環の炭素原子が直接M原子に結合した構造を示すものである。アリール基は、必要に応じて、種々の官能基で置換されていてもよい。このような官能基としては、特に限定されないが、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子などのハロゲン原子や、ニトリル基(−CN)、エーテル基(−O−)、カーボネート基(−OCO2−)、エステル基(−CO2−)、カルボニル基(−CO−)スルフィド基(−S−)、スルホキシド基(−SO−)、スルホン基(−SO2−)、ウレタン基(−NHCO2−)、アルキル基、及びアルコキシ基等が挙げられる。
アリール基の好ましい例としては特に限定されないが、例えば、ベンジル基、フェニル基、ニトリル置換フェニル基、フルオロ化フェニル基などの芳香族アルキル基が挙げられる。
アリール基の炭素数は、6以上15以下であり、6以上12以下が好ましい。アリール基の炭素数が6以上であることにより、化合物の化学的安定性がより向上する傾向にある。また、アリール基の炭素数が15以下であることにより、電池性能がより向上する傾向にある。
アリール基の好ましい例としては特に限定されないが、例えば、ベンジル基、フェニル基、ニトリル置換フェニル基、フルオロ化フェニル基などの芳香族アルキル基が挙げられる。
アリール基の炭素数は、6以上15以下であり、6以上12以下が好ましい。アリール基の炭素数が6以上であることにより、化合物の化学的安定性がより向上する傾向にある。また、アリール基の炭素数が15以下であることにより、電池性能がより向上する傾向にある。
アリールオキシ基とは、アリール基が酸素を介してM原子に結合した構造を示すものである。アリールオキシ基は、必要に応じて、種々の官能基で置換されていてもよい。このような官能基としては、特に限定されないが、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子などのハロゲン原子や、ニトリル基(−CN)、エーテル基(−O−)、カーボネート基(−OCO2−)、エステル基(−CO2−)、カルボニル基(−CO−)スルフィド基(−S−)、スルホキシド基(−SO−)、スルホン基(−SO2−)、ウレタン基(−NHCO2−)、アルキル基、アルコキシ基等が挙げられる。
アリールオキシ基の好ましい例としては特に限定されないが、例えば、フェノキシ基、ベンジルアルコキシ基、ニトリル置換フェノキシ基、フルオロ化フェノキシ基などの芳香族アルコキシ基が挙げられる。
アリールオキシ基の炭素数は、6以上15以下であり、6以上12以下が好ましい。アリールオキシ基の炭素数が6以上であることにより、化合物の化学的安定性がより向上する傾向にある。また、アリールオキシ基の炭素数が15以下であることにより、電池性能がより向上する傾向にある。
アリールオキシ基の好ましい例としては特に限定されないが、例えば、フェノキシ基、ベンジルアルコキシ基、ニトリル置換フェノキシ基、フルオロ化フェノキシ基などの芳香族アルコキシ基が挙げられる。
アリールオキシ基の炭素数は、6以上15以下であり、6以上12以下が好ましい。アリールオキシ基の炭素数が6以上であることにより、化合物の化学的安定性がより向上する傾向にある。また、アリールオキシ基の炭素数が15以下であることにより、電池性能がより向上する傾向にある。
R6及びR7としては、特に限定されないが、例えば、置換されてもよい炭素数1〜10のアルキル基、置換されてもよい炭素数1〜10のアルコキシ基、炭素数3〜10のシロキシ基が好ましい。また、R6及びR7の少なくともいずれか1つは、置換されてもよい炭素数1〜10のアルコキシ基、及び炭素数3〜10のシロキシ基からなる群より選ばれる官能基であることがより好ましい。R6及びR7がこのような基であることにより、電解液への溶解性がより向上する傾向にある。
式(3)又は(5)で表される化合物(D)において、R3、R4、及びR5は、各々独立に、炭素数1〜10の炭化水素基を示す。R3、R4、及びR5の好ましい構造は、前述した式(3)で表される構造におけるR3、R4、及びR5の好ましい構造と同じである。
式(5)で表される化合物(D)において、R8は、置換されていてもよい炭素数1〜20の炭化水素基を示す。R8で示される炭化水素基としては、特に限定されないが、例えば、脂肪族炭化水素基、フェニル基などの芳香族炭化水素基、炭化水素基中の水素原子がすべてフッ素原子に置換されたトリフルオロメチル基などのフッ素置換炭化水素基が挙げられる。また、炭化水素基は、必要に応じて、種々の官能基で置換されていてもよい。このような官能基としては、特に限定されないが、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子などのハロゲン原子や、ニトリル基(−CN)、エーテル基(−O−)、カーボネート基(−OCO2−)、エステル基(−CO2−)、カルボニル基(−CO−)スルフィド基(−S−)、スルホキシド基(−SO−)、スルホン基(−SO2−)、ウレタン基(−NHCO2−)が挙げられる。
ここで、R8で示される炭化水素基の炭素数は、1以上20以下であり、1以上16以下が好ましく、1以上14以下がより好ましい。
式(5)で表される化合物(D)において、R8は、置換されていてもよい炭素数1〜20の炭化水素基を示す。R8で示される炭化水素基としては、特に限定されないが、例えば、脂肪族炭化水素基、フェニル基などの芳香族炭化水素基、炭化水素基中の水素原子がすべてフッ素原子に置換されたトリフルオロメチル基などのフッ素置換炭化水素基が挙げられる。また、炭化水素基は、必要に応じて、種々の官能基で置換されていてもよい。このような官能基としては、特に限定されないが、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子などのハロゲン原子や、ニトリル基(−CN)、エーテル基(−O−)、カーボネート基(−OCO2−)、エステル基(−CO2−)、カルボニル基(−CO−)スルフィド基(−S−)、スルホキシド基(−SO−)、スルホン基(−SO2−)、ウレタン基(−NHCO2−)が挙げられる。
ここで、R8で示される炭化水素基の炭素数は、1以上20以下であり、1以上16以下が好ましく、1以上14以下がより好ましい。
また、R8で示される炭化水素基としては、特に限定されないが、下記式(19):
{式中、R9は、置換されていてもよい炭素数1〜13の炭化水素基を示し、そしてR10は、置換されていてもよい炭素数1〜6の炭化水素基、又は置換されもよい炭素数3〜6のトリアルキルシリル基を示す。}で表される構造が好ましい。この場合、化合物(D)の基本骨格は、ジカルボン酸誘導体構造となる。
式(19)中、R9は、化合物(D)の化学的安定性の観点から、好ましくは、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、フェニル基、フルオロメチレン基、フルオロエチレン基、フルオロプロピレン基、フルオロブチレン基が挙げられる。
また、式(19)中、R10は化合物(D)の化学的安定性の観点から、好ましくは、メチル基、エチル基、ビニル基、アリル基、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基などのトリアルキルシリル基が挙げられる。より好ましくは、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基などのトリアルキルシリル基が挙げられる。特に、R10がトリアルキルシリル基となる場合、化合物(D)は下記式(20):
{式中、R3、R4、及びR5は、各々独立に、炭素数1〜10の有機基を示し、そしてR9は、置換されていてもよい炭素数1〜13の炭化水素基を示す。}で表される構造となる。
また、式(19)中、R10は化合物(D)の化学的安定性の観点から、好ましくは、メチル基、エチル基、ビニル基、アリル基、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基などのトリアルキルシリル基が挙げられる。より好ましくは、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基などのトリアルキルシリル基が挙げられる。特に、R10がトリアルキルシリル基となる場合、化合物(D)は下記式(20):
化合物(D)の好ましい具体例としては、特に限定されないが、例えば、リン酸トリス(トリメチルシリル)、亜リン酸トリス(トリメチルシリル)、リン酸トリス(トリエチルシリル)、ピロリン酸テトラキス(トリメチルシリル)、ポリリン酸トリメチルシリル、ブチルホスホン酸ジ(トリメチルシリル)、プロピルホスホン酸ジ(トリメチルシリル)、エチルホスホン酸ジ(トリメチルシリル)、メチルホスホン酸ジ(トリメチルシリル)、リン酸モノメチルジ(トリメチルシリル)、リン酸モノエチルジ(トリメチルシリル)、リン酸モノ(トリフルオロエチル)ジ(トリメチルシリル)、リン酸モノ(ヘキサフルオロイソプロピル)ジ(トリメチルシリル)、ホウ酸トリス(トリメチルシリル)、硫酸ジ(トリメチルシリル)、酢酸トリメチルシリル、シュウ酸ジ(トリメチルシリル)、マロン酸ジ(トリメチルシリル)、コハク酸ジ(トリメチルシリル)、イタコン酸ジ(トリメチルシリル)、アジピン酸ジ(トリメチルシリル)、フタル酸ジ(トリメチルシリル)、イソフタル酸ジ(トリメチルシリル)、テレフタル酸ジ(トリメチルシリル)が挙げられる。このなかでもサイクル寿命及びガス発生抑制の視点から、リン酸トリス(トリメチルシリル)、亜リン酸トリス(トリメチルシリル)、ピロリン酸テトラキス(トリメチルシリル)、ポリリン酸トリメチルシリル、ブチルホスホン酸ジ(トリメチルシリル)、プロピルホスホン酸ジ(トリメチルシリル)、エチルホスホン酸ジ(トリメチルシリル)、メチルホスホン酸ジ(トリメチルシリル)、リン酸モノメチルジ(トリメチルシリル)、リン酸モノエチルジ(トリメチルシリル)、リン酸モノ(トリフルオロエチル)ジ(トリメチルシリル)、リン酸モノ(ヘキサフルオロイソプロピル)ジ(トリメチルシリル)、コハク酸ジ(トリメチルシリル)、イタコン酸ジ(トリメチルシリル)、アジピン酸ジ(トリメチルシリル)がより好ましい。
化合物(D)の含有量は、電解液100質量%に対して、0.01質量%以上10質量%以下含有が好ましく、0.02質量%以上10質量%以下がより好ましく、0.05質量%以上8質量%以下がさらに好ましく、0.1質量%以上5質量%以下がさらにより好ましくは、0.2質量%以上4質量%以下が特に好ましい。化合物(D)の含有量が0.01質量%以上であることにより、リチウムイオン二次電池においてサイクル寿命がより向上する傾向にある。また、化合物(D)の含有量が10質量%以下であることにより、電池出力がより向上する傾向にある。これらの化合物(D)の電解液中の含有量は、NMR測定により確認することができる。また、リチウムイオン二次電池中の電解液中の化合物(D)の含有量も、上記と同様に、NMR測定により確認することができる。
〔添加剤〕
本実施形態に係る電解液には、必要に応じて、上述したリチウム塩(A)及びリチウム塩(B)、化合物(C)、及び化合物(D)以外の添加剤を含有してもよい。このような添加剤としては、特に限定されないが、例えば、ビニレンカーボネート、フルオロエチレンカーボネート、エチレンスルファイト、プロパンスルトン、スクシノニトリルなどを添加剤が挙げられる。このような添加剤を用いることにより、電池のサイクル特性がより向上する傾向にある。
本実施形態に係る電解液には、必要に応じて、上述したリチウム塩(A)及びリチウム塩(B)、化合物(C)、及び化合物(D)以外の添加剤を含有してもよい。このような添加剤としては、特に限定されないが、例えば、ビニレンカーボネート、フルオロエチレンカーボネート、エチレンスルファイト、プロパンスルトン、スクシノニトリルなどを添加剤が挙げられる。このような添加剤を用いることにより、電池のサイクル特性がより向上する傾向にある。
本実施形態に係る電解液は、非水蓄電デバイス用電解液として好適に用いられる。ここで非水蓄電デバイスとは、蓄電デバイス中の電解液に水溶液を用いない蓄電デバイスであり、一例として、リチウムイオン二次電池、ナトリウムイオン二次電池、カルシウムイオン二次電池及びリチウムイオンキャパシタが挙げられる。このなかでも、実用性及び耐久性の観点から、非水蓄電デバイスとしてはリチウムイオン二次電池及びリチウムイオンキャパシタが好ましく、より好ましくはリチウムイオン二次電池である。
〔リチウムイオン二次電池〕
本実施形態に係るリチウムイオン二次電池(以下、単に「電池」ともいう。)は、上記電解液と、正極活物質を含有する正極と、負極活物質を含有する負極とを備える。この電池は、上述の電解液を備える以外は、従来のリチウムイオン二次電池と同様の構成を有していてもよい。
本実施形態に係るリチウムイオン二次電池(以下、単に「電池」ともいう。)は、上記電解液と、正極活物質を含有する正極と、負極活物質を含有する負極とを備える。この電池は、上述の電解液を備える以外は、従来のリチウムイオン二次電池と同様の構成を有していてもよい。
〔正極〕
正極は、リチウムイオン二次電池の正極として作用するものであれば特に限定されず、公知のものを用いることができる。正極は、正極活物質としてリチウムイオンを吸蔵及び放出することが可能な材料からなる群より選ばれる1種以上を含有することが好ましい。
正極は、リチウムイオン二次電池の正極として作用するものであれば特に限定されず、公知のものを用いることができる。正極は、正極活物質としてリチウムイオンを吸蔵及び放出することが可能な材料からなる群より選ばれる1種以上を含有することが好ましい。
(正極活物質)
本実施形態の電池は、より高い電圧を実現する観点から、4.4V(vsLi/Li+)以上の電位で10mAh/g以上の放電容量を有する正極活物質を含有する正極を備えることがより好ましい。かかる正極を備えた場合であっても、本実施形態の電池は、リサイクル寿命の向上を可能にする点で有用である。ここで、4.4V(vsLi/Li+)以上の電位で10mAh/g以上の放電容量を有する正極活物質とは、4.4V(vsLi/Li+)以上の電位でリチウムイオン二次電池の正極として充電及び放電反応を起こし得る正極活物質であり、0.1Cの定電流放電時の放電容量が活物質の質量1gに対して10mAh以上であるものである。よって、正極活物質が、4.4V(vsLi/Li+)以上の電位で10mAh/g以上の放電容量を有していればよく、4.4V(vsLi/Li+)以下の電位において放電容量を有していても何ら差支えない。
本実施形態の電池は、より高い電圧を実現する観点から、4.4V(vsLi/Li+)以上の電位で10mAh/g以上の放電容量を有する正極活物質を含有する正極を備えることがより好ましい。かかる正極を備えた場合であっても、本実施形態の電池は、リサイクル寿命の向上を可能にする点で有用である。ここで、4.4V(vsLi/Li+)以上の電位で10mAh/g以上の放電容量を有する正極活物質とは、4.4V(vsLi/Li+)以上の電位でリチウムイオン二次電池の正極として充電及び放電反応を起こし得る正極活物質であり、0.1Cの定電流放電時の放電容量が活物質の質量1gに対して10mAh以上であるものである。よって、正極活物質が、4.4V(vsLi/Li+)以上の電位で10mAh/g以上の放電容量を有していればよく、4.4V(vsLi/Li+)以下の電位において放電容量を有していても何ら差支えない。
本実施形態で用いる正極活物質の放電容量は、4.4V(vsLi/Li+)以上の電位において、10mAh/g以上が好ましく、15mAh/g以上がより好ましく、20mAh/g以上がさらに好ましい。正極活物質の放電容量が上記範囲内であることにより、高電圧で駆動することで高いエネルギー密度を達成することができる。尚、正極活物質の放電容量は、実施例に記載の方法により測定することができる。
このような正極活物質としては、特に限定されないが、例えば、下記式(6):
LiMn2−xMaxO4 (6)
{式中、Maは、遷移金属からなる群より選ばれる1種以上を示し、そしてxは、0.2≦x≦0.7である。}で表される酸化物、下記式(7):
LiMn1−uMeuO2 (7)
{式中、Meは、Mnを除く遷移金属からなる群より選ばれる1種以上を示し、そしてuは、0.1≦u≦0.9である。}で表される酸化物、下記式(8):
zLi2McO3−(1−z)LiMdO2 (8)
{式中、Mc及びMdは、各々独立に、遷移金属からなる群より選ばれる1種以上を示し、そしてzは、0.1≦z≦0.9である。}で表される複合酸化物、下記式(9):
LiMb1−yFeyPO4 (9)
{式中、Mbは、Mn及びCoからなる群より選ばれる1種以上を示し、そしてyは、0≦y≦0.9である。}で表される化合物、及び下記式(10):
Li2MfPO4F (10)
{式中、Mfは、遷移金属からなる群より選ばれる1種以上を示す。}で表される化合物からなる群より選ばれる1種以上が挙げられる。
このような正極活物質としては、特に限定されないが、例えば、下記式(6):
LiMn2−xMaxO4 (6)
{式中、Maは、遷移金属からなる群より選ばれる1種以上を示し、そしてxは、0.2≦x≦0.7である。}で表される酸化物、下記式(7):
LiMn1−uMeuO2 (7)
{式中、Meは、Mnを除く遷移金属からなる群より選ばれる1種以上を示し、そしてuは、0.1≦u≦0.9である。}で表される酸化物、下記式(8):
zLi2McO3−(1−z)LiMdO2 (8)
{式中、Mc及びMdは、各々独立に、遷移金属からなる群より選ばれる1種以上を示し、そしてzは、0.1≦z≦0.9である。}で表される複合酸化物、下記式(9):
LiMb1−yFeyPO4 (9)
{式中、Mbは、Mn及びCoからなる群より選ばれる1種以上を示し、そしてyは、0≦y≦0.9である。}で表される化合物、及び下記式(10):
Li2MfPO4F (10)
{式中、Mfは、遷移金属からなる群より選ばれる1種以上を示す。}で表される化合物からなる群より選ばれる1種以上が挙げられる。
上記式(6)で表される酸化物であるスピネル型正極活物質としては、特に限定されないが、下記式(6a):
LiMn2−xNixO4 (6a)
{式中、0.2≦x≦0.7である。}で表される酸化物が好ましく、下記式(6b):
LiMn2−xNixO4 (6b)
{式中、0.3≦x≦0.6である。}で表される酸化物がより好ましい。
式(6a)又は式(6b)で表される酸化物としては、特に限定されないが、例えば、LiMn1.5Ni0.5O4及びLiMn1.6Ni0.4O4が挙げられる。このような式(6)で表されるスピネル型酸化物を用いることにより、安定性により優れる傾向にある。
ここで、上記式(6)で表されるスピネル型酸化物は、正極活物質の安定性、電子伝導性等の観点から、Mn原子のモル数に対して10モル%以下の範囲で、上記構造以外に、さらに遷移金属又は遷移金属酸化物を含有してもよい。上記式(6)で表される化合物は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いられる。
LiMn2−xNixO4 (6a)
{式中、0.2≦x≦0.7である。}で表される酸化物が好ましく、下記式(6b):
LiMn2−xNixO4 (6b)
{式中、0.3≦x≦0.6である。}で表される酸化物がより好ましい。
式(6a)又は式(6b)で表される酸化物としては、特に限定されないが、例えば、LiMn1.5Ni0.5O4及びLiMn1.6Ni0.4O4が挙げられる。このような式(6)で表されるスピネル型酸化物を用いることにより、安定性により優れる傾向にある。
ここで、上記式(6)で表されるスピネル型酸化物は、正極活物質の安定性、電子伝導性等の観点から、Mn原子のモル数に対して10モル%以下の範囲で、上記構造以外に、さらに遷移金属又は遷移金属酸化物を含有してもよい。上記式(6)で表される化合物は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いられる。
上記式(7)で表される酸化物である層状酸化物正極活物質としては、特に限定されないが、例えば、下記式(7a):
LiMn1−v−wCovNiwO2 (7a)
{式中、0.1≦v≦0.4、0.1≦w≦0.8である。}で表される酸化物であることが好ましい。
式(7a)で表される層状酸化物としては、特に限定されないが、例えば、LiMn1/3Co1/3Ni1/3O2、LiMn0.1Co0.1Ni0.8O2、LiMn0.3Co0.2Ni0.5O2などが挙げられる。このような式(7)で表される化合物を用いることにより安定性により優れる傾向にある。式(7)で表される化合物は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いられる。
LiMn1−v−wCovNiwO2 (7a)
{式中、0.1≦v≦0.4、0.1≦w≦0.8である。}で表される酸化物であることが好ましい。
式(7a)で表される層状酸化物としては、特に限定されないが、例えば、LiMn1/3Co1/3Ni1/3O2、LiMn0.1Co0.1Ni0.8O2、LiMn0.3Co0.2Ni0.5O2などが挙げられる。このような式(7)で表される化合物を用いることにより安定性により優れる傾向にある。式(7)で表される化合物は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いられる。
上記式(8)で表される複合酸化物である複合層状酸化物としては、特に限定されないが、例えば、下記式(8a):
zLi2MnO3−(1−z)LiNiaMnbCocO2 (8a)
{式中、0.3≦z≦0.7、a+b+c=1、0.2≦a≦0.6、0.2≦b≦0.6、0.05≦c≦0.4である。}で表される複合酸化物であることが好ましい。
このなかでも、上記式(8a)において、0.4≦z≦0.6、a+b+c=1、0.3≦a≦0.4、0.3≦b≦0.4、0.2≦c≦0.3である複合酸化物がより好ましい。このような式(8)で表される複合酸化物を用いることにより、安定性により優れる傾向にある。式(8)で表される複合酸化物は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いられる。
zLi2MnO3−(1−z)LiNiaMnbCocO2 (8a)
{式中、0.3≦z≦0.7、a+b+c=1、0.2≦a≦0.6、0.2≦b≦0.6、0.05≦c≦0.4である。}で表される複合酸化物であることが好ましい。
このなかでも、上記式(8a)において、0.4≦z≦0.6、a+b+c=1、0.3≦a≦0.4、0.3≦b≦0.4、0.2≦c≦0.3である複合酸化物がより好ましい。このような式(8)で表される複合酸化物を用いることにより、安定性により優れる傾向にある。式(8)で表される複合酸化物は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いられる。
上記式(9)で表される化合物であるオリビン型正極活物質としては、特に限定されないが、例えば、下記式(9a):
LiMn1−yFeyPO4 (9a)
{式中、0.05≦y≦0.8である。}又は下記式(9b):
LiCo1−yFeyPO4 (9b)
{式中、0.05≦y≦0.8である。}で表される化合物が好ましい。
このような式(9)で表される化合物を用いることにより、安定性及び電子伝導性により優れる傾向にある。上記式(9)で表される化合物は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いられる。
LiMn1−yFeyPO4 (9a)
{式中、0.05≦y≦0.8である。}又は下記式(9b):
LiCo1−yFeyPO4 (9b)
{式中、0.05≦y≦0.8である。}で表される化合物が好ましい。
このような式(9)で表される化合物を用いることにより、安定性及び電子伝導性により優れる傾向にある。上記式(9)で表される化合物は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いられる。
上記式(10)で表される化合物であるフッ化オリビン型正極活物質としては、特に限定されないが、例えば、Li2FePO4F、Li2MnPO4F、Li2CoPO4Fが好ましい。このような式(10)で表される化合物を用いることにより、安定性により優れる傾向にある。上記式(10)で表される化合物は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いられる。
上記4.4V(vsLi/Li+)以上の電位で10mAh/g以上の放電容量を有する正極活物質は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。また、正極活物質として、4.4V(vsLi/Li+)以上の電位で10mAh/g以上の放電容量を有する正極活物質と、4.4V(vsLi/Li+)以上の電位で10mAh/g以上の放電容量を有しない正極活物質とを組み合わせて用いることもできる。4.4V(vsLi/Li+)以上の電位で10mAh/g以上の放電容量を有しない正極活物質としては、特に限定されないが、例えば、LiFePO4が挙げられる。
上記4.4V(vsLi/Li+)以上の電位で10mAh/g以上の放電容量を有する正極活物質は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。また、正極活物質として、4.4V(vsLi/Li+)以上の電位で10mAh/g以上の放電容量を有する正極活物質と、4.4V(vsLi/Li+)以上の電位で10mAh/g以上の放電容量を有しない正極活物質とを組み合わせて用いることもできる。4.4V(vsLi/Li+)以上の電位で10mAh/g以上の放電容量を有しない正極活物質としては、特に限定されないが、例えば、LiFePO4が挙げられる。
(満充電時におけるリチウム基準の正極電位)
本実施形態に係るリチウムイオン二次電池の満充電時におけるリチウム基準の正極電位は、4.4V(vsLi/Li+)以上が好ましく、4.45V(vsLi/Li+)以上がより好ましく、4.5V(vsLi/Li+)以上がさらに好ましい。満充電時における正極電位が4.4V(vsLi/Li+)以上であることにより、リチウムイオン二次電池の有する正極活物質の充放電容量を効率的に活用できる傾向にある。また、満充電時における正極電位が4.4V(vsLi/Li+)以上であることにより、リチウムイオン二次電池のエネルギー密度がより向上する傾向にある。尚、満充電時におけるリチウム基準の正極電位は、満充電時の電池の電圧を制御することにより制御することができる。
本実施形態に係るリチウムイオン二次電池の満充電時におけるリチウム基準の正極電位は、4.4V(vsLi/Li+)以上が好ましく、4.45V(vsLi/Li+)以上がより好ましく、4.5V(vsLi/Li+)以上がさらに好ましい。満充電時における正極電位が4.4V(vsLi/Li+)以上であることにより、リチウムイオン二次電池の有する正極活物質の充放電容量を効率的に活用できる傾向にある。また、満充電時における正極電位が4.4V(vsLi/Li+)以上であることにより、リチウムイオン二次電池のエネルギー密度がより向上する傾向にある。尚、満充電時におけるリチウム基準の正極電位は、満充電時の電池の電圧を制御することにより制御することができる。
満充電時におけるリチウム基準の正極電位は、満充電状態のリチウムイオン二次電池をArグローブボックス中で解体し、正極を取り出し、対極に金属リチウムを用いて再度電池を組み、電圧を測定することで容易に測定することができる。また、負極に炭素負極活物質を用いる場合、満充電時の炭素負極活物質の電位が0.05V(vsLi/Li+)であることから、満充電時におけるリチウムイオン二次電池の電圧(Va)に0.05Vを足すことで、容易に満充電時における正極の電位を算出することができる。例えば、負極に炭素負極活物質を用いたリチウムイオン二次電池において、満充電時におけるリチウムイオン二次電池の電圧(Va)が4.4Vであった場合、満充電時の正極の電位は、4.4V+0.05V=4.45Vと算出することができる。
尚、従来のリチウムイオン二次電池は、満充電時の正極の電位が通常4.2V(vsLi/Li+)から4.3V(vsLi/Li+)以下で設定されているため、満充電時の正極の電位が4.4V(vsLi/Li+)以上のリチウムイオン二次電池は従来のリチウムイオン二次電池と比較して高い電圧を有する。本実施形態において、「高電圧リチウムイオン二次電池」とは、4.4V(vsLi/Li+)以上の電位において10mAh/g以上の放電容量を有する正極活物質を有する正極を備えるリチウムイオン二次電池であって、満充電時における正極電位が4.4V(vsLi/Li+)以上で使用されるものをいう。このような高電圧リチウムイオン二次電池用途においては、電解液に含まれるカーボネート系溶媒が正極表面にて酸化分解し、電池のサイクル寿命が低下するという問題が生じうる。このような問題は満充電時における正極電位が4.4V(vsLi/Li+)未満で使用される従来のリチウムイオン二次電池用途では、生じにくい問題である。本実施形態に係るリチウムイオン二次電池は、上述の構成を有することにより、このような満充電時における正極電位が4.4V(vsLi/Li+)以上の場合に生じる問題を解決することができるため、高電圧で作動でき、かつ、高いサイクル寿命を有するものとなる。尚、(vsLi/Li+)はリチウム基準の電位を示す。
(正極活物質の製造方法)
正極活物質は、一般的な無機酸化物の製造方法と同様の方法で製造できる。正極活物質の製造方法としては、特に限定されないが、例えば、所定の割合で金属塩(例えば、硫酸塩及び/又は硝酸塩)を混合した混合物を、酸素を含む雰囲気環境下で焼成することで無機酸化物を含む正極活物質を得る方法が挙げられる。あるいは、金属塩を溶解させた液に炭酸塩及び/又は水酸化物塩を作用させて難溶性の金属塩を析出させ、それを抽出分離したものに、リチウム源として炭酸リチウム及び/又は水酸化リチウムを混合した後、酸素を含む雰囲気環境下で焼成することで、無機酸化物を含む正極活物質を得る方法が挙げられる。
正極活物質は、一般的な無機酸化物の製造方法と同様の方法で製造できる。正極活物質の製造方法としては、特に限定されないが、例えば、所定の割合で金属塩(例えば、硫酸塩及び/又は硝酸塩)を混合した混合物を、酸素を含む雰囲気環境下で焼成することで無機酸化物を含む正極活物質を得る方法が挙げられる。あるいは、金属塩を溶解させた液に炭酸塩及び/又は水酸化物塩を作用させて難溶性の金属塩を析出させ、それを抽出分離したものに、リチウム源として炭酸リチウム及び/又は水酸化リチウムを混合した後、酸素を含む雰囲気環境下で焼成することで、無機酸化物を含む正極活物質を得る方法が挙げられる。
(正極の製造方法)
以下、正極の製造方法の一例を示す。まず、上記正極活物質に対して、必要に応じて、導電助剤やバインダー等を加えて混合した正極合剤を溶剤に分散させて正極合剤を含有するペーストを調製する。次いで、このペーストを正極集電体に塗布し、乾燥して正極合剤層を形成し、それを必要に応じて加圧し厚さを調整することによって、正極を作製することができる。
正極集電体としては、特に限定されないが、例えば、アルミニウム箔、又はステンレス箔などの金属箔により構成されるものが挙げられる。
以下、正極の製造方法の一例を示す。まず、上記正極活物質に対して、必要に応じて、導電助剤やバインダー等を加えて混合した正極合剤を溶剤に分散させて正極合剤を含有するペーストを調製する。次いで、このペーストを正極集電体に塗布し、乾燥して正極合剤層を形成し、それを必要に応じて加圧し厚さを調整することによって、正極を作製することができる。
正極集電体としては、特に限定されないが、例えば、アルミニウム箔、又はステンレス箔などの金属箔により構成されるものが挙げられる。
〔負極〕
本実施形態のリチウムイオン二次電池は、負極を有する。負極は、リチウムイオン二次電池の負極として作用するものであれば特に限定されず、公知のものを用いることができる。負極は、負極活物質としてリチウムイオンを吸蔵及び放出することが可能な材料からなる群より選ばれる1種以上を含有することが好ましい。このような負極活物質としては、特に限定されないが、例えば、炭素負極活物質、ケイ素合金負極活物質、スズ合金負極活物質に代表されるリチウムと合金形成が可能な元素を含む負極活物質;ケイ素酸化物負極活物質;スズ酸化物負極活物質;及びチタン酸リチウム負極活物質に代表されるリチウム含有化合物からなる群より選ばれる1種以上が挙げられる。これらの負極活物質は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いられる。
本実施形態のリチウムイオン二次電池は、負極を有する。負極は、リチウムイオン二次電池の負極として作用するものであれば特に限定されず、公知のものを用いることができる。負極は、負極活物質としてリチウムイオンを吸蔵及び放出することが可能な材料からなる群より選ばれる1種以上を含有することが好ましい。このような負極活物質としては、特に限定されないが、例えば、炭素負極活物質、ケイ素合金負極活物質、スズ合金負極活物質に代表されるリチウムと合金形成が可能な元素を含む負極活物質;ケイ素酸化物負極活物質;スズ酸化物負極活物質;及びチタン酸リチウム負極活物質に代表されるリチウム含有化合物からなる群より選ばれる1種以上が挙げられる。これらの負極活物質は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いられる。
炭素負極活物質としては、特に限定されないが、例えば、ハードカーボン、ソフトカーボン、人造黒鉛、天然黒鉛、黒鉛、熱分解炭素、コークス、ガラス状炭素、有機高分子化合物の焼成体、メソカーボンマイクロビーズ、炭素繊維、活性炭、グラファイト、炭素コロイド及びカーボンブラックが挙げられる。コークスとしては、特に限定されないが、例えば、ピッチコークス、ニードルコークス及び石油コークスが挙げられる。また、有機高分子化合物の焼成体としては、特に限定されないが、フェノール樹脂やフラン樹脂などの高分子材料を適当な温度で焼成して炭素化したものが挙げられる。
リチウムと合金を形成可能な元素を含む負極活物質としては、特に限定されないが、例えば、金属又は半金属の単体であっても、合金や化合物であってもよく、また、これらの1種又は2種以上の相を少なくとも一部に有するようなものであってもよい。尚、「合金」には、2種以上の金属元素からなるものに加えて、1種以上の金属元素と1種以上の半金属元素とを有するものも含まれる。また、合金には、全体として金属の性質を有するものであれば非金属元素が含まれていてもよい。
リチウムと合金を形成可能な元素を含む負極活物質としては、特に限定されないが、例えば、金属又は半金属の単体であっても、合金や化合物であってもよく、また、これらの1種又は2種以上の相を少なくとも一部に有するようなものであってもよい。尚、「合金」には、2種以上の金属元素からなるものに加えて、1種以上の金属元素と1種以上の半金属元素とを有するものも含まれる。また、合金には、全体として金属の性質を有するものであれば非金属元素が含まれていてもよい。
金属元素及び半金属元素としては、特に限定されないが、例えば、チタン(Ti)、スズ(Sn)、鉛(Pb)、アルミニウム(Al)、インジウム(In)、ケイ素(Si)、亜鉛(Zn)、アンチモン(Sb)、ビスマス(Bi)、ガリウム(Ga)、ゲルマニウム(Ge)、ヒ素(As)、銀(Ag)、ハフニウム(Hf)、ジルコニウム(Zr)、イットリウム(Y)が挙げられる。これらの中でもなかでも、長周期型周期表における4族又は14族の金属元素及び半金属元素が好ましく、特に好ましくはチタン、ケイ素、スズである。
(負極の製造方法)
負極は、例えば、下記のようにして得られる。まず、上記負極活物質に対して、必要に応じて、導電助剤やバインダー等を加えて混合した負極合剤を溶剤に分散させて負極合剤を含有するペーストを調製する。次いで、このペーストを負極集電体に塗布し、乾燥して負極合剤層を形成し、それを必要に応じて加圧し厚みを調整することによって、負極を作製することができる。
負極集電体は、特に限定されないが、例えば、銅箔、ニッケル箔、ステンレス箔などの金属箔により構成されるものが挙げられる。
正極及び負極の作製において、必要に応じて用いられる導電助剤としては、特に限定されないが、例えば、グラファイト、アセチレンブラック及びケッチェンブラックなどのカーボンブラック、並びに炭素繊維が挙げられる。
また、正極及び負極の作製において、必要に応じて用いられるバインダーとしては、特に限定されないが、例えば、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリアクリル酸、スチレンブタジエンゴム、フッ素ゴムが挙げられる。
負極は、例えば、下記のようにして得られる。まず、上記負極活物質に対して、必要に応じて、導電助剤やバインダー等を加えて混合した負極合剤を溶剤に分散させて負極合剤を含有するペーストを調製する。次いで、このペーストを負極集電体に塗布し、乾燥して負極合剤層を形成し、それを必要に応じて加圧し厚みを調整することによって、負極を作製することができる。
負極集電体は、特に限定されないが、例えば、銅箔、ニッケル箔、ステンレス箔などの金属箔により構成されるものが挙げられる。
正極及び負極の作製において、必要に応じて用いられる導電助剤としては、特に限定されないが、例えば、グラファイト、アセチレンブラック及びケッチェンブラックなどのカーボンブラック、並びに炭素繊維が挙げられる。
また、正極及び負極の作製において、必要に応じて用いられるバインダーとしては、特に限定されないが、例えば、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリアクリル酸、スチレンブタジエンゴム、フッ素ゴムが挙げられる。
〔セパレータ〕
本実施形態に係るリチウムイオン二次電池は、正負極の短絡防止、シャットダウン等の安全性付与の観点から、正極と負極との間にセパレータを備えることが好ましい。セパレータとしては、特に限定されないが、例えば、公知のリチウムイオン二次電池に備えられるものと同様のものを用いることができる。このなかでも、イオン透過性が大きく、機械的強度に優れる絶縁性の薄膜が好ましい。
セパレータとしては、特に限定されないが、例えば、織布、不織布、合成樹脂製微多孔膜が挙げられ、これらのなかでも、合成樹脂製微多孔膜が好ましい。また、不織布としては、特に限定されないが、例えば、セラミック製、ポリオレフィン製、ポリエステル製、ポリアミド製、液晶ポリエステル製、アラミド製などの耐熱樹脂製の多孔膜が挙げられる。さらに、合成樹脂製微多孔膜としては、特に限定されないが、例えば、ポリエチレン又はポリプロピレンを主成分として含有する微多孔膜、又はこれらのポリオレフィンを共に含有する微多孔膜等のポリオレフィン系微多孔膜が挙げられる。セパレータは、1種の微多孔膜を単層又は複数積層したものであってもよく、2種以上の微多孔膜を積層したものであってもよい。
本実施形態に係るリチウムイオン二次電池は、正負極の短絡防止、シャットダウン等の安全性付与の観点から、正極と負極との間にセパレータを備えることが好ましい。セパレータとしては、特に限定されないが、例えば、公知のリチウムイオン二次電池に備えられるものと同様のものを用いることができる。このなかでも、イオン透過性が大きく、機械的強度に優れる絶縁性の薄膜が好ましい。
セパレータとしては、特に限定されないが、例えば、織布、不織布、合成樹脂製微多孔膜が挙げられ、これらのなかでも、合成樹脂製微多孔膜が好ましい。また、不織布としては、特に限定されないが、例えば、セラミック製、ポリオレフィン製、ポリエステル製、ポリアミド製、液晶ポリエステル製、アラミド製などの耐熱樹脂製の多孔膜が挙げられる。さらに、合成樹脂製微多孔膜としては、特に限定されないが、例えば、ポリエチレン又はポリプロピレンを主成分として含有する微多孔膜、又はこれらのポリオレフィンを共に含有する微多孔膜等のポリオレフィン系微多孔膜が挙げられる。セパレータは、1種の微多孔膜を単層又は複数積層したものであってもよく、2種以上の微多孔膜を積層したものであってもよい。
本実施形態に係るリチウムイオン二次電池は、特に限定されないが、例えば、セパレータと、そのセパレータを両側から挟む正極と負極と、さらにそれらの積層体を挟む正極集電体(正極の外側に配置)と、負極集電体(負極の外側に配置)と、それらを収容する電池外装とを備える。正極とセパレータと負極とを積層した積層体は、本実施形態の電解液に含浸されている。
図1は、本実施形態におけるリチウムイオン二次電池の一例を概略断面図で示すものである。図1に示されるリチウムイオン二次電池100は、セパレータ110と、そのセパレータ110を両側から挟む正極120と負極130と、さらにそれらの積層体を挟む正極集電体140(正極の外側に配置)と、負極集電体150(負極の外側に配置)と、それらを収容する電池外装160とを備える。正極120とセパレータ110と負極130とを積層した積層体は、電解液に含浸されている。
図1は、本実施形態におけるリチウムイオン二次電池の一例を概略断面図で示すものである。図1に示されるリチウムイオン二次電池100は、セパレータ110と、そのセパレータ110を両側から挟む正極120と負極130と、さらにそれらの積層体を挟む正極集電体140(正極の外側に配置)と、負極集電体150(負極の外側に配置)と、それらを収容する電池外装160とを備える。正極120とセパレータ110と負極130とを積層した積層体は、電解液に含浸されている。
〔リチウムイオン二次電池の製造方法〕
本実施形態のリチウムイオン二次電池は、上述の電解液、正極、負極及び必要に応じてセパレータを用いて、公知の方法により作製することができる。例えば、正極と負極とを、その間にセパレータを介在させた積層状態で巻回して巻回構造の積層体に成形したり、それらを折り曲げや複数層の積層などによって、交互に積層した複数の正極と負極との間にセパレータが介在する積層体に成形し、次いで、電池ケース(外装)内にその積層体を収容して、本実施形態の電解液をケース内部に注液し、上記積層体をその電解液に浸漬して封印することによって、リチウムイオン二次電池を作製することができる。本実施形態におけるリチウムイオン二次電池の形状は、特に限定されず、例えば、円筒形、楕円形、角筒型、ボタン形、コイン形、扁平形、ラミネート形などが好適に採用される。
本実施形態のリチウムイオン二次電池は、上述の電解液、正極、負極及び必要に応じてセパレータを用いて、公知の方法により作製することができる。例えば、正極と負極とを、その間にセパレータを介在させた積層状態で巻回して巻回構造の積層体に成形したり、それらを折り曲げや複数層の積層などによって、交互に積層した複数の正極と負極との間にセパレータが介在する積層体に成形し、次いで、電池ケース(外装)内にその積層体を収容して、本実施形態の電解液をケース内部に注液し、上記積層体をその電解液に浸漬して封印することによって、リチウムイオン二次電池を作製することができる。本実施形態におけるリチウムイオン二次電池の形状は、特に限定されず、例えば、円筒形、楕円形、角筒型、ボタン形、コイン形、扁平形、ラミネート形などが好適に採用される。
以下、本発明を実施例及び比較例を用いてより具体的に説明する。本発明は、以下の実施例によって何ら限定されるものではない。
(1)LiNi0.5Mn1.5O4正極を用いたリチウムイオン二次電池による電池性能評価
<正極活物質の合成>
遷移金属元素のモル比として1:3の割合となる量の硫酸ニッケルと硫酸マンガンとを水に溶解し、金属イオン濃度の総和が2mol/Lになるようにニッケル−マンガン混合水溶液を調製した。次いで、このニッケル−マンガン混合水溶液を、70℃に加温した濃度2mol/Lの炭酸ナトリウム水溶液1650mL中に、12.5mL/minの添加速度で120分間滴下した。尚、滴下中は、攪拌の下、200mL/minの流量の空気を水溶液中にバブリングしながら吹き込んだ。これにより、析出物質が発生し、得られた析出物質を蒸留水で十分洗浄し、乾燥して、ニッケルマンガン化合物を得た。得られたニッケルマンガン化合物と粒径2μmの炭酸リチウムとを、リチウム:ニッケル:マンガンのモル比が1:0.5:1.5になるように秤量し、1時間乾式混合した後、得られた混合物を酸素雰囲気下において1000℃で5時間焼成し、LiNi0.5Mn1.5O4で表される正極活物質を得た。
(1)LiNi0.5Mn1.5O4正極を用いたリチウムイオン二次電池による電池性能評価
<正極活物質の合成>
遷移金属元素のモル比として1:3の割合となる量の硫酸ニッケルと硫酸マンガンとを水に溶解し、金属イオン濃度の総和が2mol/Lになるようにニッケル−マンガン混合水溶液を調製した。次いで、このニッケル−マンガン混合水溶液を、70℃に加温した濃度2mol/Lの炭酸ナトリウム水溶液1650mL中に、12.5mL/minの添加速度で120分間滴下した。尚、滴下中は、攪拌の下、200mL/minの流量の空気を水溶液中にバブリングしながら吹き込んだ。これにより、析出物質が発生し、得られた析出物質を蒸留水で十分洗浄し、乾燥して、ニッケルマンガン化合物を得た。得られたニッケルマンガン化合物と粒径2μmの炭酸リチウムとを、リチウム:ニッケル:マンガンのモル比が1:0.5:1.5になるように秤量し、1時間乾式混合した後、得られた混合物を酸素雰囲気下において1000℃で5時間焼成し、LiNi0.5Mn1.5O4で表される正極活物質を得た。
<正極シートの作製>
上述のようにして得られた正極活物質と、導電助剤としてグラファイトの粉末(TIMCAL社製、商品名「KS−6」)とアセチレンブラックの粉末(電気化学工業社製、商品名「HS−100」)と、バインダーとしてポリフッ化ビニリデン溶液(クレハ社製、商品名「L#7208」)とを、80:5:5:10の固形分質量比で混合した。得られた混合物に、分散溶媒としてN−メチル−2−ピロリドンを固形分35質量%となるように投入してさらに混合して、スラリー状の溶液を調製した。このスラリー状の溶液を厚さ20μmのアルミニウム箔の片面に塗布し、溶剤を乾燥除去した後、ロールプレスで圧延し正極シートを得た。
尚、上記により得られた正極と金属Liを負極とし、電解液にエチレンカーボネートとエチルメチルカーボネートとを体積比1:2で混合した混合溶媒にLiPF6塩を1mol/L含有させた溶液を用いてハーフセルを作製し、0.02Cで4.85Vまで充電後、0.1Cで放電することにより、4.4V(vsLi/Li+)以上の電位において111mAh/gの放電容量を有する正極活物質であることを確認した。
上述のようにして得られた正極活物質と、導電助剤としてグラファイトの粉末(TIMCAL社製、商品名「KS−6」)とアセチレンブラックの粉末(電気化学工業社製、商品名「HS−100」)と、バインダーとしてポリフッ化ビニリデン溶液(クレハ社製、商品名「L#7208」)とを、80:5:5:10の固形分質量比で混合した。得られた混合物に、分散溶媒としてN−メチル−2−ピロリドンを固形分35質量%となるように投入してさらに混合して、スラリー状の溶液を調製した。このスラリー状の溶液を厚さ20μmのアルミニウム箔の片面に塗布し、溶剤を乾燥除去した後、ロールプレスで圧延し正極シートを得た。
尚、上記により得られた正極と金属Liを負極とし、電解液にエチレンカーボネートとエチルメチルカーボネートとを体積比1:2で混合した混合溶媒にLiPF6塩を1mol/L含有させた溶液を用いてハーフセルを作製し、0.02Cで4.85Vまで充電後、0.1Cで放電することにより、4.4V(vsLi/Li+)以上の電位において111mAh/gの放電容量を有する正極活物質であることを確認した。
<負極シートの作製>
負極活物質としてグラファイト粉末(大阪ガスケミカル社製、商品名「OMAC1.2H/SS」)及び別のグラファイト粉末(TIMCAL社製、商品名「SFG6」)と、バインダーとしてスチレンブタジエンゴム(SBR)及びカルボキシメチルセルロース水溶液とを、90:10:1.5:1.8の固形分質量比で混合した。得られた混合物を、固形分濃度が45質量%となるように、分散溶媒としての水に添加して、スラリー状の溶液を調製した。このスラリー状の溶液を厚さ18μmの銅箔の片面に塗布し、溶剤を乾燥除去した後、ロールプレスで圧延し負極シートを得た。
負極活物質としてグラファイト粉末(大阪ガスケミカル社製、商品名「OMAC1.2H/SS」)及び別のグラファイト粉末(TIMCAL社製、商品名「SFG6」)と、バインダーとしてスチレンブタジエンゴム(SBR)及びカルボキシメチルセルロース水溶液とを、90:10:1.5:1.8の固形分質量比で混合した。得られた混合物を、固形分濃度が45質量%となるように、分散溶媒としての水に添加して、スラリー状の溶液を調製した。このスラリー状の溶液を厚さ18μmの銅箔の片面に塗布し、溶剤を乾燥除去した後、ロールプレスで圧延し負極シートを得た。
<電池の作製>
上述のようにして作製した正極シート及び負極シートを直径16mmの円盤状に打ち抜いて正極及び負極を得た。得られた正極及び負極をポリプロピレン製の微多孔膜からなるセパレータ(膜厚25μm、空孔率50%、孔径0.1μm〜1μm)の両側に重ね合わせた積層体を、ステンレス製の円盤型電池ケース(外装体)に挿入した。次いで、そこに、下記実施例に記載の電解液を0.2mL注入し、積層体を電解液に浸漬した後、電池ケースを密閉してリチウムイオン二次電池を作製した。
上述のようにして作製した正極シート及び負極シートを直径16mmの円盤状に打ち抜いて正極及び負極を得た。得られた正極及び負極をポリプロピレン製の微多孔膜からなるセパレータ(膜厚25μm、空孔率50%、孔径0.1μm〜1μm)の両側に重ね合わせた積層体を、ステンレス製の円盤型電池ケース(外装体)に挿入した。次いで、そこに、下記実施例に記載の電解液を0.2mL注入し、積層体を電解液に浸漬した後、電池ケースを密閉してリチウムイオン二次電池を作製した。
<電池性能評価>
得られたリチウムイオン二次電池を、25℃に設定した恒温槽(二葉科学社製、商品名「PLM−73S」)に収容し、充放電装置(アスカ電子(株)製、商品名「ACD−01」)に接続し、20時間静置した。次いで、その電池を0.2Cの定電流で充電し、4.9Vに到達した後、4.9Vの定電圧で8時間充電し、その後、0.2Cの定電流で3.0Vまで放電する充放電を3回繰り返した。
上記初期充放電後、50℃に設定した恒温槽中で、その電池を1.0Cの定電流で4.9Vまで充電し、4.9Vの定電圧で2時間充電し、1.0Cの定電流で3.0Vまで放電した。この一連の充放電を1サイクルとし、さらに29サイクル充放電を繰り返し、全体で30サイクルのサイクル充放電を行った。1サイクル目及び30サイクル目の正極活物質質量当たりの放電容量を確認した。また、30サイクル目の放電容量を1サイクル目の放電容量で除した放電容量維持率を算出した。
得られたリチウムイオン二次電池を、25℃に設定した恒温槽(二葉科学社製、商品名「PLM−73S」)に収容し、充放電装置(アスカ電子(株)製、商品名「ACD−01」)に接続し、20時間静置した。次いで、その電池を0.2Cの定電流で充電し、4.9Vに到達した後、4.9Vの定電圧で8時間充電し、その後、0.2Cの定電流で3.0Vまで放電する充放電を3回繰り返した。
上記初期充放電後、50℃に設定した恒温槽中で、その電池を1.0Cの定電流で4.9Vまで充電し、4.9Vの定電圧で2時間充電し、1.0Cの定電流で3.0Vまで放電した。この一連の充放電を1サイクルとし、さらに29サイクル充放電を繰り返し、全体で30サイクルのサイクル充放電を行った。1サイクル目及び30サイクル目の正極活物質質量当たりの放電容量を確認した。また、30サイクル目の放電容量を1サイクル目の放電容量で除した放電容量維持率を算出した。
(2)LiNi0.5Mn1.5O4正極を用いたリチウムイオン二次電池のガス発生評価
上述の(1)と同様にして作製した正極シートと負極シートと角型に打ち抜き、これら正極及び負極をポリプロピレン製の微多孔膜からなるセパレータ(膜厚25μm、空孔率50%、孔径0.1μm〜1μm)の両側に重ね合わせた積層体を、アルミニウム箔(厚さ40μm)の両面を樹脂層で被覆したラミネートフィルムからなる袋内に正負極の端子を突設させながら挿入した後、下記実施例に記載の電解液を0.5mL袋内に注入し、真空封止を行って、シート状リチウムイオン二次電池を作製した。
得られたシート状リチウムイオン二次電池を、25℃に設定した恒温槽(二葉科学社製、商品名「PLM−73S」)に収容し、充放電装置(アスカ電子(株)製、商品名「ACD−01」)に接続し、20時間静置した。次いで、その電池を0.2Cの定電流で充電し、4.9Vに到達した後、4.9Vの定電圧で8時間充電し、0.2Cの定電流で3.0Vまで放電する充放電を3回繰り返した。
上記初期充放電後、電池を水浴中に浸して体積を測定した後、50℃の環境下、1Cの定電流で4.9Vの電圧に達するまで充電後、4.9Vの定電圧で9日間連続充電し、1Cの定電流で3.0Vまで放電した。電池を室温まで冷却させた後、水浴中に浸して体積を測定し、連続充電前後の電池の体積変化から、電池運転後のガス発生量(mL)を求めた。
上述の(1)と同様にして作製した正極シートと負極シートと角型に打ち抜き、これら正極及び負極をポリプロピレン製の微多孔膜からなるセパレータ(膜厚25μm、空孔率50%、孔径0.1μm〜1μm)の両側に重ね合わせた積層体を、アルミニウム箔(厚さ40μm)の両面を樹脂層で被覆したラミネートフィルムからなる袋内に正負極の端子を突設させながら挿入した後、下記実施例に記載の電解液を0.5mL袋内に注入し、真空封止を行って、シート状リチウムイオン二次電池を作製した。
得られたシート状リチウムイオン二次電池を、25℃に設定した恒温槽(二葉科学社製、商品名「PLM−73S」)に収容し、充放電装置(アスカ電子(株)製、商品名「ACD−01」)に接続し、20時間静置した。次いで、その電池を0.2Cの定電流で充電し、4.9Vに到達した後、4.9Vの定電圧で8時間充電し、0.2Cの定電流で3.0Vまで放電する充放電を3回繰り返した。
上記初期充放電後、電池を水浴中に浸して体積を測定した後、50℃の環境下、1Cの定電流で4.9Vの電圧に達するまで充電後、4.9Vの定電圧で9日間連続充電し、1Cの定電流で3.0Vまで放電した。電池を室温まで冷却させた後、水浴中に浸して体積を測定し、連続充電前後の電池の体積変化から、電池運転後のガス発生量(mL)を求めた。
[実施例1]
エチレンカーボネートとエチルメチルカーボネートとを体積比1:2で混合した混合溶媒にリチウム塩としてLiPF6塩を1mol/L含有させた溶液(キシダ化学社製、LBG00069)9.95gに、式(11)で表されるリチウムビスオキサボレート(ロックウッド社製、以下、「LiBOB」と表記する。)を0.05gと、1,1,1,3,3,3−ヘキサメチルジシラザンを0.003g(C6H19NSi2、東京化成社工業株式会社製、H0089)含有させ、電解液Aを得た。電解液A中のLiBOBの含有量は0.5質量%であり、1,1,1,3,3,3−ヘキサメチルジシラザンの含有量は0.03質量%(300ppm)であり、LiPF6の含有量は13質量%であった。
上述の(1)に記載の方法で、電解液Aを用いてリチウムイオン二次電池を作製し、電池性能評価を行ったところ、電解液Aを備えるリチウムイオン二次電池の1サイクル目の放電容量は、116mAh/gと高く、30サイクル目の放電容量は、84mAh/gと高く、30サイクル目の放電容量を1サイクル目の放電容量で除した放電容量維持率は、72%と高い値を示した。なお、本実施例のリチウムイオン二次電池を4.9Vまで充電した後、Arグローブボックス中で解体し、正極を取り出し、対極に金属リチウムを用いて再度電池を組み、正極の電位を測定したところ、4.95V(vsLi/Li+)であった。
また、上述の(2)に記載の方法で、電解液Aを用いてシート状リチウムイオン二次電池を作製し、ガス発生評価を行ったところ、電池運転後のガス発生量は、2.54mLと低かった。
エチレンカーボネートとエチルメチルカーボネートとを体積比1:2で混合した混合溶媒にリチウム塩としてLiPF6塩を1mol/L含有させた溶液(キシダ化学社製、LBG00069)9.95gに、式(11)で表されるリチウムビスオキサボレート(ロックウッド社製、以下、「LiBOB」と表記する。)を0.05gと、1,1,1,3,3,3−ヘキサメチルジシラザンを0.003g(C6H19NSi2、東京化成社工業株式会社製、H0089)含有させ、電解液Aを得た。電解液A中のLiBOBの含有量は0.5質量%であり、1,1,1,3,3,3−ヘキサメチルジシラザンの含有量は0.03質量%(300ppm)であり、LiPF6の含有量は13質量%であった。
上述の(1)に記載の方法で、電解液Aを用いてリチウムイオン二次電池を作製し、電池性能評価を行ったところ、電解液Aを備えるリチウムイオン二次電池の1サイクル目の放電容量は、116mAh/gと高く、30サイクル目の放電容量は、84mAh/gと高く、30サイクル目の放電容量を1サイクル目の放電容量で除した放電容量維持率は、72%と高い値を示した。なお、本実施例のリチウムイオン二次電池を4.9Vまで充電した後、Arグローブボックス中で解体し、正極を取り出し、対極に金属リチウムを用いて再度電池を組み、正極の電位を測定したところ、4.95V(vsLi/Li+)であった。
また、上述の(2)に記載の方法で、電解液Aを用いてシート状リチウムイオン二次電池を作製し、ガス発生評価を行ったところ、電池運転後のガス発生量は、2.54mLと低かった。
[実施例2]
エチレンカーボネートとエチルメチルカーボネートとを体積比1:2で混合した混合溶媒にLiPF6塩を1mol/L含有させた溶液9.95gに、LiBOBを0.05gと、1,1,1,3,3,3−ヘキサメチルジシラザンを0.001g含有させ、電解液Bを得た。電解液B中のLiBOBの含有量は0.5質量%であり、1,1,1,3,3,3−ヘキサメチルジシラザンの含有量は0.01質量%(100ppm)であり、LiPF6の含有量は13質量%であった。
実施例1と同様にして、(1)に記載の方法で、電解液Bを備えるリチウムイオン二次電池の電池性能評価を行った。結果、1サイクル目の放電容量は、115mAh/gと高く、30サイクル目の放電容量は、81mAh/gと高く、30サイクル目の放電容量を1サイクル目の放電容量で除した放電容量維持率は、70%と高い値を示した。
また、(2)に記載の方法で、ガス発生評価を行ったところ、電池運転後のガス発生量は、2.83mLと低かった。
エチレンカーボネートとエチルメチルカーボネートとを体積比1:2で混合した混合溶媒にLiPF6塩を1mol/L含有させた溶液9.95gに、LiBOBを0.05gと、1,1,1,3,3,3−ヘキサメチルジシラザンを0.001g含有させ、電解液Bを得た。電解液B中のLiBOBの含有量は0.5質量%であり、1,1,1,3,3,3−ヘキサメチルジシラザンの含有量は0.01質量%(100ppm)であり、LiPF6の含有量は13質量%であった。
実施例1と同様にして、(1)に記載の方法で、電解液Bを備えるリチウムイオン二次電池の電池性能評価を行った。結果、1サイクル目の放電容量は、115mAh/gと高く、30サイクル目の放電容量は、81mAh/gと高く、30サイクル目の放電容量を1サイクル目の放電容量で除した放電容量維持率は、70%と高い値を示した。
また、(2)に記載の方法で、ガス発生評価を行ったところ、電池運転後のガス発生量は、2.83mLと低かった。
[実施例3]
エチレンカーボネートとエチルメチルカーボネートとを体積比1:2で混合した混合溶媒にLiPF6塩を1mol/L含有させた溶液9.90gに、LiBOBを0.05gと、1,1,1,3,3,3−ヘキサメチルジシラザンを0.05g含有させ、電解液Cを得た。電解液C中のLiBOBの含有量は0.5質量%であり、1,1,1,3,3,3−ヘキサメチルジシラザンの含有量は0.5質量%(5000ppm)であり、LiPF6の含有量は13質量%であった。
実施例1と同様にして、(1)に記載の方法で、電解液Cを備えるリチウムイオン二次電池の電池性能評価を行った。結果、1サイクル目の放電容量は、114mAh/gと高く、30サイクル目の放電容量は、80mAh/gと高く、30サイクル目の放電容量を1サイクル目の放電容量で除した放電容量維持率は、70%と高い値を示した。
また、(2)に記載の方法で、ガス発生評価を行ったところ、電池運転後のガス発生量は、3.03mLと低かった。
エチレンカーボネートとエチルメチルカーボネートとを体積比1:2で混合した混合溶媒にLiPF6塩を1mol/L含有させた溶液9.90gに、LiBOBを0.05gと、1,1,1,3,3,3−ヘキサメチルジシラザンを0.05g含有させ、電解液Cを得た。電解液C中のLiBOBの含有量は0.5質量%であり、1,1,1,3,3,3−ヘキサメチルジシラザンの含有量は0.5質量%(5000ppm)であり、LiPF6の含有量は13質量%であった。
実施例1と同様にして、(1)に記載の方法で、電解液Cを備えるリチウムイオン二次電池の電池性能評価を行った。結果、1サイクル目の放電容量は、114mAh/gと高く、30サイクル目の放電容量は、80mAh/gと高く、30サイクル目の放電容量を1サイクル目の放電容量で除した放電容量維持率は、70%と高い値を示した。
また、(2)に記載の方法で、ガス発生評価を行ったところ、電池運転後のガス発生量は、3.03mLと低かった。
[実施例4]
エチレンカーボネートとエチルメチルカーボネートとを体積比1:2で混合した混合溶媒にLiPF6塩を1mol/L含有させた溶液9.95gに、LiBOBを0.05gと、トリエチルアミン(和光純薬社製、208−02643)を0.003g含有させ、電解液Dを得た。電解液D中のLiBOBの含有量は0.5質量%であり、トリエチルアミンの含有量は0.03質量%(300ppm)であり、LiPF6の含有量は13質量%であった。
実施例1と同様にして、(1)に記載の方法で、電解液Dを備えるリチウムイオン二次電池の電池性能評価を行った。結果、1サイクル目の放電容量は、115mAh/gと高く、30サイクル目の放電容量は、83mAh/gと高く、30サイクル目の放電容量を1サイクル目の放電容量で除した放電容量維持率は、72%と高い値を示した。
また、(2)に記載の方法で、ガス発生評価を行ったところ、電池運転後のガス発生量は、2.84mLと低かった。
エチレンカーボネートとエチルメチルカーボネートとを体積比1:2で混合した混合溶媒にLiPF6塩を1mol/L含有させた溶液9.95gに、LiBOBを0.05gと、トリエチルアミン(和光純薬社製、208−02643)を0.003g含有させ、電解液Dを得た。電解液D中のLiBOBの含有量は0.5質量%であり、トリエチルアミンの含有量は0.03質量%(300ppm)であり、LiPF6の含有量は13質量%であった。
実施例1と同様にして、(1)に記載の方法で、電解液Dを備えるリチウムイオン二次電池の電池性能評価を行った。結果、1サイクル目の放電容量は、115mAh/gと高く、30サイクル目の放電容量は、83mAh/gと高く、30サイクル目の放電容量を1サイクル目の放電容量で除した放電容量維持率は、72%と高い値を示した。
また、(2)に記載の方法で、ガス発生評価を行ったところ、電池運転後のガス発生量は、2.84mLと低かった。
[実施例5]
エチレンカーボネートとエチルメチルカーボネートとを体積比1:2で混合した混合溶媒にLiPF6塩を1mol/L含有させた溶液9.90gに、LiBOBを0.10gと、1,1,1,3,3,3−ヘキサメチルジシラザンを0.003g含有させ、電解液Eを得た。電解液E中のLiBOBの含有量は1.0質量%であり、1,1,1,3,3,3−ヘキサメチルジシラザンの含有量は0.03質量%(300ppm)であり、LiPF6の含有量は13質量%であった。
実施例1と同様にして、(1)に記載の方法で、電解液Eを備えるリチウムイオン二次電池の電池性能評価を行った。結果、1サイクル目の放電容量は、117mAh/gと高く、30サイクル目の放電容量は、86mAh/gと高く、30サイクル目の放電容量を1サイクル目の放電容量で除した放電容量維持率は、74%と高い値を示した。
また、(2)に記載の方法で、ガス発生評価を行ったところ、電池運転後のガス発生量は、2.70mLと低かった。
エチレンカーボネートとエチルメチルカーボネートとを体積比1:2で混合した混合溶媒にLiPF6塩を1mol/L含有させた溶液9.90gに、LiBOBを0.10gと、1,1,1,3,3,3−ヘキサメチルジシラザンを0.003g含有させ、電解液Eを得た。電解液E中のLiBOBの含有量は1.0質量%であり、1,1,1,3,3,3−ヘキサメチルジシラザンの含有量は0.03質量%(300ppm)であり、LiPF6の含有量は13質量%であった。
実施例1と同様にして、(1)に記載の方法で、電解液Eを備えるリチウムイオン二次電池の電池性能評価を行った。結果、1サイクル目の放電容量は、117mAh/gと高く、30サイクル目の放電容量は、86mAh/gと高く、30サイクル目の放電容量を1サイクル目の放電容量で除した放電容量維持率は、74%と高い値を示した。
また、(2)に記載の方法で、ガス発生評価を行ったところ、電池運転後のガス発生量は、2.70mLと低かった。
[実施例6]
エチレンカーボネートとエチルメチルカーボネートとを体積比1:2で混合した混合溶媒にLiPF6塩を1mol/L含有させた溶液9.90gに、LiBOBを0.05gと、リン酸トリス(トリメチルシリル)(PO4(Si(CH3)3)3、アルドリッチ社製、275794)を0.05gと、1,1,1,3,3,3−ヘキサメチルジシラザンを0.003g含有させ、電解液Fを得た。電解液F中のLiBOBの含有量は0.5質量%であり、リン酸トリス(トリメチルシリル)の含有量は0.5質量%であり、1,1,1,3,3,3−ヘキサメチルジシラザンの含有量は0.03質量%(300ppm)であり、LiPF6の含有量は13質量%であった。
実施例1と同様にして、(1)に記載の方法で、電解液Fを備えるリチウムイオン二次電池の電池性能評価を行った。結果、1サイクル目の放電容量は、116mAh/gと高く、30サイクル目の放電容量は、90mAh/gと高く、30サイクル目の放電容量を1サイクル目の放電容量で除した放電容量維持率は、78%と高い値を示した。
また、(2)に記載の方法で、ガス発生評価を行ったところ、電池運転後のガス発生量は、1.91mLと低かった。
エチレンカーボネートとエチルメチルカーボネートとを体積比1:2で混合した混合溶媒にLiPF6塩を1mol/L含有させた溶液9.90gに、LiBOBを0.05gと、リン酸トリス(トリメチルシリル)(PO4(Si(CH3)3)3、アルドリッチ社製、275794)を0.05gと、1,1,1,3,3,3−ヘキサメチルジシラザンを0.003g含有させ、電解液Fを得た。電解液F中のLiBOBの含有量は0.5質量%であり、リン酸トリス(トリメチルシリル)の含有量は0.5質量%であり、1,1,1,3,3,3−ヘキサメチルジシラザンの含有量は0.03質量%(300ppm)であり、LiPF6の含有量は13質量%であった。
実施例1と同様にして、(1)に記載の方法で、電解液Fを備えるリチウムイオン二次電池の電池性能評価を行った。結果、1サイクル目の放電容量は、116mAh/gと高く、30サイクル目の放電容量は、90mAh/gと高く、30サイクル目の放電容量を1サイクル目の放電容量で除した放電容量維持率は、78%と高い値を示した。
また、(2)に記載の方法で、ガス発生評価を行ったところ、電池運転後のガス発生量は、1.91mLと低かった。
[実施例7]
窒素気流下、氷冷した三フッ化ホウ素ジエチルエーテル錯体(和光純薬工業社製、022−08362)35gにシュウ酸リチウム(アルドリッチ社製、O0130)5.0gを徐々に添加した。室温まで昇温後、80℃で19時間攪拌したところ、固体が析出した。未反応の三フッ化ホウ素ジエチルエーテル錯体を除去した後、ジメチルカーボネートを注ぎ、不溶固体を濾過した。減圧下で揮発成分を除去した後、ジメチルカーボネート/ヘキサンで再結晶を行った。得られた結晶を80℃で12時間真空乾燥することにより、式(13)で表されるLiBF2(C2O4)を6.8g得た。化合物構造はNMRにより同定を行った。11B−NMRでは3.55ppm(t)に、19F−NMRでは150.2ppm(m)に、13C−NMRでは160ppm(s)にピークがそれぞれ存在した。
エチレンカーボネートとエチルメチルカーボネートとを体積比1:2で混合した混合溶媒にLiPF6塩を1mol/L含有させた溶液9.90gに、上記合成で得たLiBF2(C2O4)を0.05gと、リン酸トリス(トリメチルシリル)を0.05gと、1,1,1,3,3,3−ヘキサメチルジシラザンを0.003g含有させ、電解液Gを得た。電解液FG中のLiBF2(C2O4)の含有量は0.5質量%であり、リン酸トリス(トリメチルシリル)の含有量は0.5質量%であり、1,1,1,3,3,3−ヘキサメチルジシラザンの含有量は0.03質量%(300ppm)であり、LiPF6の含有量は13質量%であった。
実施例1と同様にして、(1)に記載の方法で、電解液Gを備えるリチウムイオン二次電池の電池性能評価を行った。結果、1サイクル目の放電容量は、116mAh/gと高く、30サイクル目の放電容量は、93mAh/gと高く、30サイクル目の放電容量を1サイクル目の放電容量で除した放電容量維持率は、80%と高い値を示した。
また、(2)に記載の方法で、ガス発生評価を行ったところ、電池運転後のガス発生量は、1.87mLと低かった。
窒素気流下、氷冷した三フッ化ホウ素ジエチルエーテル錯体(和光純薬工業社製、022−08362)35gにシュウ酸リチウム(アルドリッチ社製、O0130)5.0gを徐々に添加した。室温まで昇温後、80℃で19時間攪拌したところ、固体が析出した。未反応の三フッ化ホウ素ジエチルエーテル錯体を除去した後、ジメチルカーボネートを注ぎ、不溶固体を濾過した。減圧下で揮発成分を除去した後、ジメチルカーボネート/ヘキサンで再結晶を行った。得られた結晶を80℃で12時間真空乾燥することにより、式(13)で表されるLiBF2(C2O4)を6.8g得た。化合物構造はNMRにより同定を行った。11B−NMRでは3.55ppm(t)に、19F−NMRでは150.2ppm(m)に、13C−NMRでは160ppm(s)にピークがそれぞれ存在した。
エチレンカーボネートとエチルメチルカーボネートとを体積比1:2で混合した混合溶媒にLiPF6塩を1mol/L含有させた溶液9.90gに、上記合成で得たLiBF2(C2O4)を0.05gと、リン酸トリス(トリメチルシリル)を0.05gと、1,1,1,3,3,3−ヘキサメチルジシラザンを0.003g含有させ、電解液Gを得た。電解液FG中のLiBF2(C2O4)の含有量は0.5質量%であり、リン酸トリス(トリメチルシリル)の含有量は0.5質量%であり、1,1,1,3,3,3−ヘキサメチルジシラザンの含有量は0.03質量%(300ppm)であり、LiPF6の含有量は13質量%であった。
実施例1と同様にして、(1)に記載の方法で、電解液Gを備えるリチウムイオン二次電池の電池性能評価を行った。結果、1サイクル目の放電容量は、116mAh/gと高く、30サイクル目の放電容量は、93mAh/gと高く、30サイクル目の放電容量を1サイクル目の放電容量で除した放電容量維持率は、80%と高い値を示した。
また、(2)に記載の方法で、ガス発生評価を行ったところ、電池運転後のガス発生量は、1.87mLと低かった。
[実施例8]
エチレンカーボネートとエチルメチルカーボネートとを体積比1:2で混合した混合溶媒にLiPF6塩を1mol/L含有させた溶液9.75gに、LiBOBを0.05gと、リン酸トリス(トリメチルシリル)を0.2gと、1,1,1,3,3,3−ヘキサメチルジシラザンを0.003g含有させ、電解液Hを得た。電解液H中のLiBOBの含有量は0.5質量%であり、リン酸トリス(トリメチルシリル)の含有量は2.0質量%であり、1,1,1,3,3,3−ヘキサメチルジシラザンの含有量は0.03質量%(300ppm)であり、LiPF6の含有量は13質量%であった。
実施例1と同様にして、(1)に記載の方法で、電解液Hを備えるリチウムイオン二次電池の電池性能評価を行った。結果、1サイクル目の放電容量は、114mAh/gと高く、30サイクル目の放電容量は、89mAh/gと高く、30サイクル目の放電容量を1サイクル目の放電容量で除した放電容量維持率は、78%と高い値を示した。
また、(2)に記載の方法で、ガス発生評価を行ったところ、電池運転後のガス発生量は、1.51mLと低かった。
エチレンカーボネートとエチルメチルカーボネートとを体積比1:2で混合した混合溶媒にLiPF6塩を1mol/L含有させた溶液9.75gに、LiBOBを0.05gと、リン酸トリス(トリメチルシリル)を0.2gと、1,1,1,3,3,3−ヘキサメチルジシラザンを0.003g含有させ、電解液Hを得た。電解液H中のLiBOBの含有量は0.5質量%であり、リン酸トリス(トリメチルシリル)の含有量は2.0質量%であり、1,1,1,3,3,3−ヘキサメチルジシラザンの含有量は0.03質量%(300ppm)であり、LiPF6の含有量は13質量%であった。
実施例1と同様にして、(1)に記載の方法で、電解液Hを備えるリチウムイオン二次電池の電池性能評価を行った。結果、1サイクル目の放電容量は、114mAh/gと高く、30サイクル目の放電容量は、89mAh/gと高く、30サイクル目の放電容量を1サイクル目の放電容量で除した放電容量維持率は、78%と高い値を示した。
また、(2)に記載の方法で、ガス発生評価を行ったところ、電池運転後のガス発生量は、1.51mLと低かった。
[実施例9]
エチレンカーボネートとエチルメチルカーボネートとを体積比1:2で混合した混合溶媒にLiPF6塩を1mol/L含有させた溶液9.90gに、LiBOBを0.05gと、アジピン酸ビス(トリメチルシリル)(C6H10O4(Si(CH3)3)2、Gelest社製)を0.05gと、1,1,1,3,3,3−ヘキサメチルジシラザンを0.003g含有させ、電解液Iを得た。電解液I中のLiBOBの含有量は0.5質量%であり、アジピン酸ビス(トリメチルシリル)の含有量は0.5質量%であり、1,1,1,3,3,3−ヘキサメチルジシラザンの含有量は0.03質量%(300ppm)であり、LiPF6の含有量は13質量%であった。
実施例1と同様にして、(1)に記載の方法で、電解液Iを備えるリチウムイオン二次電池の電池性能評価を行った。結果、1サイクル目の放電容量は、115mAh/gと高く、30サイクル目の放電容量は、87mAh/gと高く、30サイクル目の放電容量を1サイクル目の放電容量で除した放電容量維持率は、76%と高い値を示した。
また、(2)に記載の方法で、ガス発生評価を行ったところ、電池運転後のガス発生量は、2.36mLと低かった。
エチレンカーボネートとエチルメチルカーボネートとを体積比1:2で混合した混合溶媒にLiPF6塩を1mol/L含有させた溶液9.90gに、LiBOBを0.05gと、アジピン酸ビス(トリメチルシリル)(C6H10O4(Si(CH3)3)2、Gelest社製)を0.05gと、1,1,1,3,3,3−ヘキサメチルジシラザンを0.003g含有させ、電解液Iを得た。電解液I中のLiBOBの含有量は0.5質量%であり、アジピン酸ビス(トリメチルシリル)の含有量は0.5質量%であり、1,1,1,3,3,3−ヘキサメチルジシラザンの含有量は0.03質量%(300ppm)であり、LiPF6の含有量は13質量%であった。
実施例1と同様にして、(1)に記載の方法で、電解液Iを備えるリチウムイオン二次電池の電池性能評価を行った。結果、1サイクル目の放電容量は、115mAh/gと高く、30サイクル目の放電容量は、87mAh/gと高く、30サイクル目の放電容量を1サイクル目の放電容量で除した放電容量維持率は、76%と高い値を示した。
また、(2)に記載の方法で、ガス発生評価を行ったところ、電池運転後のガス発生量は、2.36mLと低かった。
[実施例10]
エチレンカーボネートとエチルメチルカーボネートとを体積比1:2で混合した混合溶媒にLiPF6塩を1mol/L含有させた溶液9.85gに、LiBOBを0.05gと、亜リン酸トリス(トリメチルシリル)(PO3(Si(CH3)3)3、アルドリッチ社製、93412)を0.1gと、1,1,1,3,3,3−ヘキサメチルジシラザンを0.003g含有させ、電解液Jを得た。電解液J中のLiBOBの含有量は0.5質量%であり、亜リン酸トリス(トリメチルシリル)の含有量は1.0質量%であり、1,1,1,3,3,3−ヘキサメチルジシラザンの含有量は0.03質量%(300ppm)であり、LiPF6の含有量は13質量%であった。
実施例1と同様にして、(1)に記載の方法で、電解液Jを備えるリチウムイオン二次電池の電池性能評価を行った。結果、1サイクル目の放電容量は、113mAh/gと高く、30サイクル目の放電容量は、89mAh/gと高く、30サイクル目の放電容量を1サイクル目の放電容量で除した放電容量維持率は、79%と高い値を示した。
また、(2)に記載の方法で、ガス発生評価を行ったところ、電池運転後のガス発生量は、2.22mLと低かった。
エチレンカーボネートとエチルメチルカーボネートとを体積比1:2で混合した混合溶媒にLiPF6塩を1mol/L含有させた溶液9.85gに、LiBOBを0.05gと、亜リン酸トリス(トリメチルシリル)(PO3(Si(CH3)3)3、アルドリッチ社製、93412)を0.1gと、1,1,1,3,3,3−ヘキサメチルジシラザンを0.003g含有させ、電解液Jを得た。電解液J中のLiBOBの含有量は0.5質量%であり、亜リン酸トリス(トリメチルシリル)の含有量は1.0質量%であり、1,1,1,3,3,3−ヘキサメチルジシラザンの含有量は0.03質量%(300ppm)であり、LiPF6の含有量は13質量%であった。
実施例1と同様にして、(1)に記載の方法で、電解液Jを備えるリチウムイオン二次電池の電池性能評価を行った。結果、1サイクル目の放電容量は、113mAh/gと高く、30サイクル目の放電容量は、89mAh/gと高く、30サイクル目の放電容量を1サイクル目の放電容量で除した放電容量維持率は、79%と高い値を示した。
また、(2)に記載の方法で、ガス発生評価を行ったところ、電池運転後のガス発生量は、2.22mLと低かった。
[実施例11]
エチレンカーボネートとエチルメチルカーボネートとを体積比1:2で混合した混合溶媒にLiPF6塩を1mol/L含有させた溶液9.90gに、LiBOBを0.05gと、リン酸トリス(トリメチルシリル)を0.05gと、トリエチルアミンを0.003g含有させ、電解液Kを得た。電解液K中のLiBOBの含有量は0.5質量%であり、リン酸トリス(トリメチルシリル)の含有量は0.5質量%であり、トリエチルアミンの含有量は0.03質量%(300ppm)であり、LiPF6の含有量は13質量%であった。
実施例1と同様にして、(1)に記載の方法で、電解液Kを備えるリチウムイオン二次電池の電池性能評価を行った。結果、1サイクル目の放電容量は、116mAh/gと高く、30サイクル目の放電容量は、88mAh/gと高く、30サイクル目の放電容量を1サイクル目の放電容量で除した放電容量維持率は、76%と高い値を示した。
また、(2)に記載の方法で、ガス発生評価を行ったところ、電池運転後のガス発生量は、2.03mLと低かった。
エチレンカーボネートとエチルメチルカーボネートとを体積比1:2で混合した混合溶媒にLiPF6塩を1mol/L含有させた溶液9.90gに、LiBOBを0.05gと、リン酸トリス(トリメチルシリル)を0.05gと、トリエチルアミンを0.003g含有させ、電解液Kを得た。電解液K中のLiBOBの含有量は0.5質量%であり、リン酸トリス(トリメチルシリル)の含有量は0.5質量%であり、トリエチルアミンの含有量は0.03質量%(300ppm)であり、LiPF6の含有量は13質量%であった。
実施例1と同様にして、(1)に記載の方法で、電解液Kを備えるリチウムイオン二次電池の電池性能評価を行った。結果、1サイクル目の放電容量は、116mAh/gと高く、30サイクル目の放電容量は、88mAh/gと高く、30サイクル目の放電容量を1サイクル目の放電容量で除した放電容量維持率は、76%と高い値を示した。
また、(2)に記載の方法で、ガス発生評価を行ったところ、電池運転後のガス発生量は、2.03mLと低かった。
[実施例12]
エチレンカーボネートとエチルメチルカーボネートとを体積比1:2で混合した混合溶媒にLiPF6塩を1mol/L含有させた溶液9.90gに、LiBF4(キシダ化学社製、LBG44852)を0.05gと、リン酸トリス(トリメチルシリル)を0.05gと、1,1,1,3,3,3−ヘキサメチルジシラザンを0.003g含有させ、電解液Lを得た。電解液L中のLiBF4の含有量は0.5質量%であり、リン酸トリス(トリメチルシリル)の含有量は0.5質量%であり、1,1,1,3,3,3−ヘキサメチルジシラザンの含有量は0.03質量%(300ppm)であり、LiPF6の含有量は13質量%であった。
実施例1と同様にして、(1)に記載の方法で、電解液Lを備えるリチウムイオン二次電池の電池性能評価を行った。結果、1サイクル目の放電容量は、113mAh/gと高く、30サイクル目の放電容量は、84mAh/gと高く、30サイクル目の放電容量を1サイクル目の放電容量で除した放電容量維持率は、74%と高い値を示した。
また、(2)に記載の方法で、ガス発生評価を行ったところ、電池運転後のガス発生量は、1.85mLと低かった。
エチレンカーボネートとエチルメチルカーボネートとを体積比1:2で混合した混合溶媒にLiPF6塩を1mol/L含有させた溶液9.90gに、LiBF4(キシダ化学社製、LBG44852)を0.05gと、リン酸トリス(トリメチルシリル)を0.05gと、1,1,1,3,3,3−ヘキサメチルジシラザンを0.003g含有させ、電解液Lを得た。電解液L中のLiBF4の含有量は0.5質量%であり、リン酸トリス(トリメチルシリル)の含有量は0.5質量%であり、1,1,1,3,3,3−ヘキサメチルジシラザンの含有量は0.03質量%(300ppm)であり、LiPF6の含有量は13質量%であった。
実施例1と同様にして、(1)に記載の方法で、電解液Lを備えるリチウムイオン二次電池の電池性能評価を行った。結果、1サイクル目の放電容量は、113mAh/gと高く、30サイクル目の放電容量は、84mAh/gと高く、30サイクル目の放電容量を1サイクル目の放電容量で除した放電容量維持率は、74%と高い値を示した。
また、(2)に記載の方法で、ガス発生評価を行ったところ、電池運転後のガス発生量は、1.85mLと低かった。
[実施例13]
エチレンカーボネートとエチルメチルカーボネートとを体積比1:2で混合した混合溶媒にLiPF6塩を1mol/L含有させた溶液9.90gに、LiBOBを0.05gと、リン酸トリス(トリメチルシリル)を0.05gと、ヘプタメチルジシラザン(C7H22NSi2、アルドリッチ社製、15235)を0.003g含有させ、電解液Mを得た。電解液M中のLiBOBの含有量は0.5質量%であり、リン酸トリス(トリメチルシリル)の含有量は0.5質量%であり、ヘプタメチルジシラザンの含有量は0.03質量%(300ppm)であり、LiPF6の含有量は13質量%であった。
実施例1と同様にして、(1)に記載の方法で、電解液Mを備えるリチウムイオン二次電池の電池性能評価を行った。結果、1サイクル目の放電容量は、116mAh/gと高く、30サイクル目の放電容量は、89mAh/gと高く、30サイクル目の放電容量を1サイクル目の放電容量で除した放電容量維持率は、77%と高い値を示した。
また、(2)に記載の方法で、ガス発生評価を行ったところ、電池運転後のガス発生量は、2.15mLと低かった。
エチレンカーボネートとエチルメチルカーボネートとを体積比1:2で混合した混合溶媒にLiPF6塩を1mol/L含有させた溶液9.90gに、LiBOBを0.05gと、リン酸トリス(トリメチルシリル)を0.05gと、ヘプタメチルジシラザン(C7H22NSi2、アルドリッチ社製、15235)を0.003g含有させ、電解液Mを得た。電解液M中のLiBOBの含有量は0.5質量%であり、リン酸トリス(トリメチルシリル)の含有量は0.5質量%であり、ヘプタメチルジシラザンの含有量は0.03質量%(300ppm)であり、LiPF6の含有量は13質量%であった。
実施例1と同様にして、(1)に記載の方法で、電解液Mを備えるリチウムイオン二次電池の電池性能評価を行った。結果、1サイクル目の放電容量は、116mAh/gと高く、30サイクル目の放電容量は、89mAh/gと高く、30サイクル目の放電容量を1サイクル目の放電容量で除した放電容量維持率は、77%と高い値を示した。
また、(2)に記載の方法で、ガス発生評価を行ったところ、電池運転後のガス発生量は、2.15mLと低かった。
[比較例1]
エチレンカーボネートとエチルメチルカーボネートとを体積比1:2で混合した混合溶媒にLiPF6塩を1mol/L含有させた溶液を電解液Nとした。電解液N中のLiPF6の含有量は13質量%であった。
実施例1と同様にして、(1)に記載の方法で、電解液Nを備えるリチウムイオン二次電池の電池性能評価を行った。結果、1サイクル目の放電容量は、107mAh/gであり、30サイクル目の放電容量は、63mAh/gであり、30サイクル目の放電容量を1サイクル目の放電容量で除した放電容量維持率は、59%であった。
また、(2)に記載の方法で、ガス発生評価を行ったところ、電池運転後のガス発生量は、4.72mLであった。
エチレンカーボネートとエチルメチルカーボネートとを体積比1:2で混合した混合溶媒にLiPF6塩を1mol/L含有させた溶液を電解液Nとした。電解液N中のLiPF6の含有量は13質量%であった。
実施例1と同様にして、(1)に記載の方法で、電解液Nを備えるリチウムイオン二次電池の電池性能評価を行った。結果、1サイクル目の放電容量は、107mAh/gであり、30サイクル目の放電容量は、63mAh/gであり、30サイクル目の放電容量を1サイクル目の放電容量で除した放電容量維持率は、59%であった。
また、(2)に記載の方法で、ガス発生評価を行ったところ、電池運転後のガス発生量は、4.72mLであった。
[比較例2]
エチレンカーボネートとエチルメチルカーボネートとを体積比1:2で混合した混合溶媒にLiPF6塩を1mol/L含有させた溶液9.95gに、LiBOBを0.05g含有させ、電解液Pを得た。電解液O中のLiBOBの含有量は0.5質量%であり、LiPF6の含有量は13質量%であった。
実施例1と同様にして、(1)に記載の方法で、電解液Pを備えるリチウムイオン二次電池の電池性能評価を行った。結果、1サイクル目の放電容量は、116mAh/gであり、30サイクル目の放電容量は、78mAh/gであり、30サイクル目の放電容量を1サイクル目の放電容量で除した放電容量維持率は、67%であった。
また、(2)に記載の方法で、ガス発生評価を行ったところ、電池運転後のガス発生量は、4.12mLであった。
エチレンカーボネートとエチルメチルカーボネートとを体積比1:2で混合した混合溶媒にLiPF6塩を1mol/L含有させた溶液9.95gに、LiBOBを0.05g含有させ、電解液Pを得た。電解液O中のLiBOBの含有量は0.5質量%であり、LiPF6の含有量は13質量%であった。
実施例1と同様にして、(1)に記載の方法で、電解液Pを備えるリチウムイオン二次電池の電池性能評価を行った。結果、1サイクル目の放電容量は、116mAh/gであり、30サイクル目の放電容量は、78mAh/gであり、30サイクル目の放電容量を1サイクル目の放電容量で除した放電容量維持率は、67%であった。
また、(2)に記載の方法で、ガス発生評価を行ったところ、電池運転後のガス発生量は、4.12mLであった。
[比較例3]
エチレンカーボネートとエチルメチルカーボネートとを体積比1:2で混合した混合溶媒にLiPF6塩を1mol/L含有させた溶液10.00gに、1,1,1,3,3,3−ヘキサメチルジシラザンを0.003g含有させ、電解液Oを得た。電解液P中の1,1,1,3,3,3−ヘキサメチルジシラザンの含有量は0.03質量%(300ppm)であり、LiPF6の含有量は13質量%であった。
実施例1と同様にして、(1)に記載の方法で、電解液Oを備えるリチウムイオン二次電池の電池性能評価を行った。結果、1サイクル目の放電容量は、115mAh/gであり、30サイクル目の放電容量は、70mAh/gであり、30サイクル目の放電容量を1サイクル目の放電容量で除した放電容量維持率は、61%であった。
また、(2)に記載の方法で、ガス発生評価を行ったところ、電池運転後のガス発生量は、4.43mLであった。
エチレンカーボネートとエチルメチルカーボネートとを体積比1:2で混合した混合溶媒にLiPF6塩を1mol/L含有させた溶液10.00gに、1,1,1,3,3,3−ヘキサメチルジシラザンを0.003g含有させ、電解液Oを得た。電解液P中の1,1,1,3,3,3−ヘキサメチルジシラザンの含有量は0.03質量%(300ppm)であり、LiPF6の含有量は13質量%であった。
実施例1と同様にして、(1)に記載の方法で、電解液Oを備えるリチウムイオン二次電池の電池性能評価を行った。結果、1サイクル目の放電容量は、115mAh/gであり、30サイクル目の放電容量は、70mAh/gであり、30サイクル目の放電容量を1サイクル目の放電容量で除した放電容量維持率は、61%であった。
また、(2)に記載の方法で、ガス発生評価を行ったところ、電池運転後のガス発生量は、4.43mLであった。
[比較例4]
エチレンカーボネートとエチルメチルカーボネートとを体積比1:2で混合した混合溶媒にLiPF6塩を1mol/L含有させた溶液9.95gに、1,1,1,3,3,3−ヘキサメチルジシラザンを0.05g含有させ、電解液Qを得た。電解液Q中の1,1,1,3,3,3−ヘキサメチルジシラザンの含有量は0.5質量%(5000ppm)であり、LiPF6の含有量は13質量%であった。
実施例1と同様にして、(1)に記載の方法で、電解液Qを備えるリチウムイオン二次電池の電池性能評価を行った。結果、1サイクル目の放電容量は、114mAh/gであり、30サイクル目の放電容量は、73mAh/gであり、30サイクル目の放電容量を1サイクル目の放電容量で除した放電容量維持率は、64%であった。
また、(2)に記載の方法で、ガス発生評価を行ったところ、電池運転後のガス発生量は、4.42mLであった。
エチレンカーボネートとエチルメチルカーボネートとを体積比1:2で混合した混合溶媒にLiPF6塩を1mol/L含有させた溶液9.95gに、1,1,1,3,3,3−ヘキサメチルジシラザンを0.05g含有させ、電解液Qを得た。電解液Q中の1,1,1,3,3,3−ヘキサメチルジシラザンの含有量は0.5質量%(5000ppm)であり、LiPF6の含有量は13質量%であった。
実施例1と同様にして、(1)に記載の方法で、電解液Qを備えるリチウムイオン二次電池の電池性能評価を行った。結果、1サイクル目の放電容量は、114mAh/gであり、30サイクル目の放電容量は、73mAh/gであり、30サイクル目の放電容量を1サイクル目の放電容量で除した放電容量維持率は、64%であった。
また、(2)に記載の方法で、ガス発生評価を行ったところ、電池運転後のガス発生量は、4.42mLであった。
表1から、特定のリチウム塩(B)と化合物(C)を組合せることによって、4.95V(vsLi/Li+)もの高電圧で駆動する正極を用いたリチウムイオン二次電池においても良好なサイクル性能かつ良好なガス発生抑制効果が得られることが分かる。
本発明に係る非水蓄電デバイス用電解液、及びそれを用いたリチウムイオン二次電池は、各種民生用機器用電源、自動車用電源への産業上利用可能性を有する。
100 リチウムイオン二次電池
110 セパレータ
120 正極
130 負極
140 正極集電体
150 負極集電体
160 電池外装
110 セパレータ
120 正極
130 負極
140 正極集電体
150 負極集電体
160 電池外装
Claims (14)
- 非水溶媒;
ホウ素原子を有しないリチウム塩(A);
下記式(1):
窒素原子を含む化合物(C);
を含有する非水蓄電デバイス用電解液。 - 前記化合物(C)が、アミン、アミド、イミド、及びSi−N結合を有する化合物からなる群より選ばれる1種以上である、請求項1に記載の非水蓄電デバイス用電解液。
- 前記化合物(C)が、アミン、及びSi−N結合を有する化合物からなる群より選ばれる1種以上である、請求項2に記載の非水蓄電デバイス用電解液。
- 前記化合物(D)が、下記式(4):
- 前記ホウ素原子を有しないリチウム塩(A)の含有量が、前記非水蓄電デバイス用電解液100質量%に対して、1質量%以上40質量%以下であり、前記リチウム塩(B)の含有量が、前記非水蓄電デバイス用電解液100質量%に対して、0.01質量%以上10質量%以下であり、前記化合物(C)の含有量が、前記非水蓄電デバイス用電解液100質量%に対して、5ppm以上50000ppm以下であり、そして前記化合物(D)の含有量が、前記非水蓄電デバイス用電解液100質量%に対して、0.01質量%以上10質量%以下である、請求項4又は5に記載の非水蓄電デバイス用電解液。
- 前記リチウム塩(B)が、LiBF4、LiB(C2O4)2、及びLiBF2(C2O4)からなる群より選ばれる1種以上である、請求項1〜6のいずれか1項に記載の非水蓄電デバイス用電解液。
- 前記ホウ素原子を有しないリチウム塩(A)が、LiPF6である、請求項1〜7のいずれか1項に記載の非水蓄電デバイス用電解液。
- 前記非水溶媒が、環状カーボネート及び鎖状カーボネートを含有する、請求項1〜8のいずれか1項に記載の非水蓄電デバイス用電解液。
- 前記環状カーボネートが、エチレンカーボネート、及びプロピレンカーボネートからなる群より選ばれる1種以上であり、そして前記鎖状カーボネートが、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、及びエチルメチルカーボネートからなる群より選ばれる1種以上である、請求項9に記載の非水蓄電デバイス用電解液。
- 正極活物質を含有する正極と、
負極活物質を含有する負極と、
請求項1〜10のいずれか1項に記載の非水蓄電デバイス用電解液と、
を備える、リチウムイオン二次電池。 - 前記正極活物質は、4.4V(vsLi/Li+)以上の電位において10mAh/g以上の放電容量を有する、請求項11に記載のリチウムイオン二次電池。
- 前記正極活物質は、下記式(6):
LiMn2−xMaxO4 (6)
{式中、Maは、遷移金属からなる群より選ばれる1種以上を示し、そしてxは、0.2≦x≦0.7である。}で表される酸化物、下記式(7):
LiMn1−uMeuO2 (7)
{式中、Meは、Mnを除く遷移金属からなる群より選ばれる1種以上を示し、そしてuは、0.1≦u≦0.9である。}で表される酸化物、下記式(8):
zLi2McO3−(1−z)LiMdO2 (8)
{式中、Mc及びMdは、各々独立に、遷移金属からなる群より選ばれる1種以上を示し、そしてzは、0.1≦z≦0.9である。}で表される複合酸化物、下記式(9):
LiMb1−yFeyPO4 (9)
{式中、Mbは、Mn及びCoからなる群より選ばれる1種以上を示し、そしてyは、0≦y≦0.9である。}で表される化合物、及び下記式(10):
Li2MfPO4F (10)
{式中、Mfは、遷移金属からなる群より選ばれる1種以上を示す。}で表される化合物からなる群より選ばれる1種以上である、請求項11又は12に記載のリチウムイオン二次電池。 - 満充電時におけるリチウム基準の正極電位が、4.4V(vsLi/Li+)以上である、請求項11〜13のいずれか1項に記載のリチウムイオン二次電池。
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JP2013269720A JP2015125907A (ja) | 2013-12-26 | 2013-12-26 | 非水蓄電デバイス用電解液及びリチウムイオン二次電池 |
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JP2013269720A Pending JP2015125907A (ja) | 2013-12-26 | 2013-12-26 | 非水蓄電デバイス用電解液及びリチウムイオン二次電池 |
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-
2013
- 2013-12-26 JP JP2013269720A patent/JP2015125907A/ja active Pending
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