JP2015169800A - 電子写真感光体 - Google Patents

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Abstract

【課題】耐摩耗性、及び耐オイルクラック性に優れる電子写真感光体を提供する。【解決手段】電荷輸送層14が最表面に配置される積層型感光層12、又は、単層型感光層。感光層におけるシリカ粒子の含有量はバインダー樹脂100質量部に対して0.5以上15質量部以下である。バインダー樹脂は、式(1)で示されるポリカーボネート樹脂を含む。式(1)中、R1及びR2は、それぞれ独立して、水素原子、又は、置換若しくは無置換のアルキル基、R3及びR4は、それぞれ独立して、水素原子、置換若しくは無置換のアルキル基、又は、置換若しくは無置換のアリール基を示す。R3とR4とは連結してシクロアルキリデン基になってもよい。pは0より大きく100以下。【選択図】図1

Description

本発明は、電子写真感光体に関する。
電子写真方式のプリンター又は複合機には、像担持体として電子写真感光体が用いられる。一般に、電子写真感光体は、導電性基体と、導電性基体の上に直接又は間接に設けられた感光層とを備える。電荷発生材料、電荷輸送材料、及びこれらの材料を結着させる樹脂(有機材料)を含有する感光層を備える感光体は、電子写真有機感光体と呼ばれる。電子写真有機感光体のうち、主に電荷輸送材料を含有することによる電荷輸送層機能と主に電荷発生材料を含有することによる電荷発生機能とを別々の層にもたせるものは、積層型電子写真感光体と称される。電荷輸送材料と電荷発生材料とを同一の層に含み、電荷発生と電荷輸送の両方の機能を同一の層で実現する電子写真有機感光体は、単層型電子写真感光体と称される。
一方、感光体として、無機材料(例えば、セレン、又はアモルファスシリコン)を用いた電子写真無機感光体も挙げられる。電子写真有機感光体は、電子写真無機感光体と比較して、環境への影響が比較的小さく、成膜及び製造が容易であるといった利点を有するので、現在多くの画像形成装置に用いられている。
電子写真有機感光体の感光層は、電荷輸送材料として、正孔を輸送する正孔輸送剤を含有する。正孔輸送剤として好適に用いられる化合物としては、例えば、ブタジエニルベンゼンアミン誘導体が知られている(特許文献1)。
特開2005−289877号公報
しかしながら、特許文献1に記載された技術を用いた場合は、耐摩耗性及び耐オイルクラック性に優れる感光層を備えた電子写真感光体を得ることは困難である。
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、優れた電気的特性を維持しつつ、耐摩耗性及び耐オイルクラック性に優れる感光層を備えた電子写真感光体を提供することである。
本発明の電子写真感光体は、感光層を備える。前記感光層は、電荷発生剤を含有する電荷発生層と、電荷輸送剤、バインダー樹脂、及びシリカ粒子を含有する電荷輸送層とが積層され、前記電荷輸送層が最表面に配置される積層型感光層であるか、又は、電荷発生剤、電荷輸送剤、バインダー樹脂及びシリカ粒子を含有する単層型感光層である。前記シリカ粒子の含有量は前記バインダー樹脂100質量部に対して0.5質量部以上15質量部以下である。前記バインダー樹脂は、一般式(1)で示されるポリカーボネート樹脂を含む。
Figure 2015169800
前記一般式(1)中、R1及びR2は、それぞれ独立して、水素原子、又は、置換若しくは無置換のアルキル基を示す。R3及びR4は、それぞれ独立して、水素原子、置換若しくは無置換のアルキル基、又は、置換若しくは無置換のアリール基を示す。R3とR4とは連結してシクロアルキリデン基になってもよい。pの値は0より大きく100以下である。
本発明の電子写真感光体によれば、優れた電気的特性を維持しつつ、優れた耐摩耗性及び耐オイルクラック性を発現させることができる。
(a)及び(b)は、それぞれ、本発明の実施形態に係る積層型電子写真感光体の構造を示す概略断面図である。 (a)及び(b)は、それぞれ、本発明の実施形態に係る単層型電子写真感光体の構造を示す概略断面図である。
以下、本発明の実施形態について詳細に説明するが、本発明は、以下の実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の目的の範囲内で、適宜変更を加えて実施できる。なお、説明が重複する箇所については、適宜説明を省略する場合があるが、発明の要旨を限定するものではない。
本発明の電子写真感光体(以下、単に「感光体」と称する場合がある)は、感光層を備える。感光層は、電荷発生剤、電荷輸送剤、バインダー樹脂、及びシリカ粒子を含有する。
本実施形態の電子写真感光体において、感光層は、積層型感光層、又は単層型感光層である。
つまり、本実施形態の電子写真感光体は、積層型感光層を有する、いわゆる積層型電子写真感光体であってもよい。積層型感光層は、少なくとも、電荷発生層と電荷輸送層とを含み、電荷輸送層が最表面に配置された構成を有する。電荷発生層は、少なくとも、電荷発生剤を含有する。電荷輸送層は、電荷輸送剤、バインダー樹脂、及びシリカ粒子を含有する。
又、本実施形態の電子写真感光体は、単層型感光層を有する、いわゆる単層型電子写真感光体であってもよい。単層型感光層は、同一層に、少なくとも、電荷発生剤、電荷輸送剤、バインダー樹脂及びシリカ粒子を含有する。
本実施形態に用いられるバインダー樹脂は、一般式(1)で示されるポリカーボネート樹脂を含む。
Figure 2015169800
式中、R1及びR2は、それぞれ独立して、水素原子、又は、置換若しくは無置換のアルキル基を示す。R3及びR4は、それぞれ独立して、水素原子、置換若しくは無置換のアルキル基、又は、置換若しくは無置換のアリール基を示す。R3とR4とは連結してシクロアルキリデン基になってもよい。pの値は0より大きく100以下である。なお、P、及び(100−P)は、モル%を単位とする数値である。
本実施形態の電子写真感光体は、式(1)で示されるバインダー樹脂とシリカ粒子とを含有する感光層を備える。式(1)で示されるバインダー樹脂とシリカ粒子とを含有する感光層は、耐摩耗性及び耐オイルクラック性に優れるため、本実施形態の電子写真感光体を備える画像形成装置は耐久性に優れ、長期にわたって高画質な画像を形成できる。
<積層型電子写真感光体>
以下、積層型感光層を備える積層型電子写真感光体について、図1を参照して説明する。積層型電子写真感光体10は、図1(a)に示すように、基体11上に、電荷発生層13及び電荷輸送層14がこの順で積層された積層型感光層12を備えた構成を有する。電荷輸送層14を最表面に設けることにより、優れた電気的特性を維持しつつ、耐摩耗性及び耐オイルクラック性を向上させることができる。
電荷発生層13は電荷発生剤を含有する。電荷輸送層14は、電荷輸送剤、バインダー樹脂、及びシリカ粒子を含有する。
積層型電子写真感光体10は、基体11と、積層型感光層12とを備えていれば、特に限定されない。例えば、図1(b)に示すように、基体11と積層型感光層12との間に、中間層15が設けられてもよい。
電荷発生層13及び電荷輸送層14の各層の厚さは、それぞれの層としての機能を十分に発現できれば、特に限定されない。電荷発生層13の厚さは、具体的には、0.01μm以上5μm以下であることが好ましく、0.10μm以上3μm以下であることがより好ましい。また、電荷輸送層14の厚さは、具体的には、2μm以上100μm以下であることが好ましく、5μm以上50μm以下であることがより好ましい。
<単層型電子写真感光体>
以下、単層型感光層を備える単層型電子写真感光体について、図2を参照して説明する。単層型電子写真感光体20は、図2(a)に示すように、基体21と、単層型感光層22とを備える。単層型感光層22は、基体21上に設けられる。単層型感光層22は、電荷発生剤、電荷輸送剤、バインダー樹脂、及びシリカ粒子を含有する。
単層型電子写真感光体20は、基体21と、単層型感光層22とを備えていれば、特に限定されない。具体的には、例えば、図2(a)に示すように、基体11上に単層型感光層22が直接設けられてもよい。又は、図2(b)に示すように、基体21と単層型感光層22との間に、中間層23が設けられてもよい。
単層型感光層22の厚さは、感光層としての機能を十分に発現できれば、特に限定されない。具体的には、単層型感光層22の厚さは、5μm以上100μm以下であることが好ましく、10μm以上50μm以下であることが好ましい。
画像流れの発生を防止し製造コストを抑制するために、本実施形態に係る電子写真感光体(積層型電子写真感光体10及び単層型電子写真感光体20)においては、感光層(積層型感光層12及び単層型感光層22)が最外層として配置されることが好ましい。
<共通の構成要素>
以下、単層型電子写真感光体及び積層型電子写真感光体を構成する各部分、並びに単層型電子写真感光体及び積層型電子写真感光体に含まれる成分について詳細に説明する。
[基体]
本実施形態において、基体は、少なくとも表面部が導電性を有するものであれば、特に限定されない。具体的には、基体は、導電性を有する材料から構成されるものであってもよい。又は、プラスチック材料若しくはガラスの表面を、導電性を有する材料で被覆若しくは蒸着した構成を有するものであってもよい。ここで、導電性を有する材料としては、例えば、アルミニウム、鉄、銅、錫、白金、銀、バナジウム、モリブデン、クロム、カドニウム、チタン、ニッケル、パラジウム、インジウム、ステンレス鋼若しくは真鍮のような金属、又はこれらの金属の合金が挙げられる。これらの導電性を有する材料を、1種単独で用いてもよいし、2種以上組み合わせて用いてもよい。
上記のように例示した基体のうち、アルミニウム又はアルミニウム合金を含む基体を用いることが好ましい。なぜなら、こうした基体を用いる場合は、感光層から基体への電荷の移動が良好となるため、より好画質な画像を形成できる感光体を提供できるからである。
基体の形状は、適宜選択することができ、特に限定されない。例えば、シート状であってもよいし、又はドラム状であってもよい。また、基体は、使用に際して、十分な機械的強度を有することが望ましい。
[電荷発生剤]
電荷発生剤は、電子写真感光体用の電荷発生剤であれば、特に限定されない。電荷発生剤としては、例えば、X型無金属フタロシアニン(x−H2Pc)、Y型チタニルフタロシアニン(Y−TiOPc)、ペリレン顔料、ビスアゾ顔料、ジチオケトピロロピロール顔料、無金属ナフタロシアニン顔料、金属ナフタロシアニン顔料、スクアライン顔料、トリスアゾ顔料、インジゴ顔料、アズレニウム顔料、シアニン顔料、セレン、セレン−テルル、セレン−ヒ素、硫化カドミウム、アモルファスシリコンのような無機光導電材料の粉末、ピリリウム塩、アンサンスロン系顔料、トリフェニルメタン系顔料、スレン系顔料、トルイジン系顔料、ピラゾリン系顔料、又はキナクリドン系顔料が挙げられる。
所望の領域に吸収波長を有する電荷発生剤を単独で用いてもよいし、2種以上の電荷発生剤を組み合わせて用いてもよい。更に、例えば、デジタル光学系の画像形成装置(例えば、半導体レーザーのような光源を使用したレーザービームプリンター、又はファクシミリ)には、700nm以上の波長領域に感度を有する感光体を用いることが好ましい。そのため、例えば、フタロシアニン系顔料(例えば、X型無金属フタロシアニン(x−H2Pc)、又はY型チタニルフタロシアニン(Y−TiOPc))が好適に用いられる。なお、フタロシアニン系顔料の結晶形状については特に限定されず、種々の結晶形状を有するフタロシアニン系顔料が使用される。
短波長レーザー光源(例えば、350nm以上550nm以下程度の波長を有するレーザー光源)を用いた画像形成装置に適用される感光体には、電荷発生剤として、アンサンスロン系顔料、又はペリレン系顔料が好適に用いられる。
電荷発生剤は、例えば、下記式(2)〜(5)で表されるフタロシアニン系顔料CGM−1〜CGM−4である。
Figure 2015169800
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積層型電子写真感光体において、電荷発生剤の含有量は、電荷発生層13に含まれるベース樹脂100質量部に対して、5質量部以上1000質量部以下であることが好ましく、30質量部以上500質量部以下であることがより好ましい。なお、ベース樹脂については後述する。
単層型電子写真感光体において、電荷発生剤の含有量は、バインダー樹脂100質量部に対して、0.1質量部以上50質量部以下であることが好ましく、0.5質量部以上30質量部以下であることがより好ましい。
[電荷輸送剤]
本実施形態においては、感光層が電荷輸送剤を含有することを必須とする。電荷輸送剤は、特に、正孔輸送剤である。
(正孔輸送剤)
本実施形態に用いられる正孔輸送剤は、2以上のスチリル基と、1以上のアリール基とを有する化合物を含むことが好ましい。具体的には、正孔輸送剤は、下記式(6)〜(9)で示される化合物を含むことがより好ましい。
Figure 2015169800
上記式(6)中、Q1〜Q7は、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1以上8以下のアルキル基、フェニル基、又はアルコキシ基を示す。aは0以上5以下の整数である。Q3〜Q7のうち隣り合う基が互いに結合して環を形成してもよい。
Figure 2015169800
上記式(7)中、Q1〜Q8は、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1以上8以下のアルキル基、フェニル基、又はアルコキシ基を示す。aは0以上5以下の整数である。bは0以上4以下の整数である。kは0又は1の整数である。Q3〜Q7のうち隣り合う基が互いに結合して環を形成してもよい。
Figure 2015169800
上記式(8)中、Ra、Rb、及びRcは、それぞれ独立して、炭素数1以上8以下のアルキル基、フェニル基、又はアルコキシ基を示す。qは0以上4以下の整数である。m及びnは、それぞれ、0以上5以下の整数である。
Figure 2015169800
上記式(9)中、Ar1はアリール基、又は共役二重結合を有する複素環基を示す。Ar2はアリール基である。Ar1及びAr2は、それぞれ独立して、炭素数1以上6以下のアルキル基、アルコキシ基、及びフェノキシ基からなる群より選択される1以上の基により置換されていてもよい。
正孔輸送剤は、具体的には、下記式(10)〜(21)で示されるCTM−1〜CTM−12である。なお、CTM−1〜CTM−4は、式(6)で示される正孔輸送剤の具体例である。CTM−5〜CTM−7は、式(7)で示される正孔輸送剤の具体例である。CTM−8及びCTM−9は式(8)で示される正孔輸送剤の具体例である。CTM−10は、式(9)で示される正孔輸送剤の具体例である。
Figure 2015169800
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積層型電子写真感光体において、正孔輸送剤(電荷輸送剤)の含有量は、バインダー樹脂100質量部に対して、10質量部以上200質量部以下であることが好ましく、20質量部以上100質量部以下であることがより好ましい。単層型電子写真感光体において、正孔輸送剤の含有量は、バインダー樹脂100質量部に対して、10質量部以上200質量部以下であることが好ましく、10質量部以上100質量部以下であることがより好ましい。
[電子アクセプター化合物]
感光層は、必要に応じて、電子アクセプター化合物を含有してもよい。電子アクセプター化合物を含有することで、特に単層型電子写真感光体の単層型感光層においては、電子を輸送することができ、これによりバイポーラー(両極性)の特性を付与できる。一方、積層型電子写真感光体の積層型感光層は、電子アクセプター化合物を含有することにより、正孔輸送剤の正孔輸送能を向上させることができる。
電子アクセプター化合物としては、例えば、キノン系化合物(ナフトキノン系化合物、ジフェノキノン系化合物、アントラキノン系化合物、アゾキノン系化合物、ニトロアントアラキノン系化合物、又はジニトロアントラキノン系化合物)、マロノニトリル系化合物、チオピラン系化合物、トリニトロチオキサントン系化合物、3,4,5,7−テトラニトロ−9−フルオレノン系化合物、ジニトロアントラセン系化合物、ジニトロアクリジン系化合物、テトラシアノエチレン、2,4,8−トリニトロチオキサントン、ジニトロベンゼン、ジニトロアントラセン、ジニトロアクリジン、無水コハク酸、無水マレイン酸、又はジブロモ無水マレイン酸が挙げられる。これらの電子アクセプター化合物は、1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いられる。
上述した電子アクセプター化合物は、例えば、下記式(22)〜(29)で示されるETM−1〜ETM−8である。
Figure 2015169800
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積層型電子写真感光体において、電子アクセプター化合物の含有量は、バインダー樹脂100質量部に対して、0.1質量部以上20質量部以下であることが好ましく、0.5質量部以上10質量部以下であることがより好ましい。単層型電子写真感光体において、電子アクセプター化合物の含有量は、バインダー樹脂100質量部に対して、5質量部以上100質量部以下であることが好ましく、10質量部以上80質量部以下であることがより好ましい。
[樹脂]
(ベース樹脂)
積層型感光層に含まれる電荷発生層は、ベース樹脂(電荷発生層用ベース樹脂)を含む。
電荷発生層用ベース樹脂は、積層型電子写真感光体の電荷発生層用の樹脂であれば、特に限定されない。
通常、積層型電子写真感光体においては、電荷発生層及び電荷輸送層が、形成されている。そのため、電荷輸送層を形成する際の塗布液に用いられる溶剤に溶解しないように、積層型電子写真感光体においては、電荷発生層用ベース樹脂は、バインダー樹脂とは異なる樹脂であることが好ましい。
電荷発生層用ベース樹脂の具体例としては、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、アクリル共重合体、スチレン−アクリル酸共重合体、ポリエチレン樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体、塩素化ポリエチレン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリプロピレン樹脂、アイオノマー樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、アルキド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリスルホン樹脂、ジアリルフタレート樹脂、ケトン樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリエーテル樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、エポキシアクリレート樹脂、又はウレタン−アクリレート樹脂が挙げられる。電荷発生層用ベース樹脂としては、ポリビニルブチラールが好適に使用される。電荷発生層用ベース樹脂は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
(バインダー樹脂)
バインダー樹脂は、単層型電子写真感光体の単層型感光層、又は積層型電子写真感光体の電荷輸送層に用いられる。バインダー樹脂は、式(1)で表されるポリカーボネート樹脂を含有する。式(1)で表されるポリカーボネート樹脂は、式(1−1)で表される繰返し構造単位と式(1−2)で表される繰返し構造単位とからなるポリカーボネート共重合体である。
Figure 2015169800
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式(1)中、pの値は、0より大きく100以下であり、25以上50以下であることが好ましい。バインダー樹脂として、こうしたポリカーボネート樹脂を用いることで、耐摩耗性及び耐オイルクラック性に優れる感光層を備える電子写真感光体を得ることができる。
pの値が25以上であることにより、電子写真感光体又は感光層の耐摩耗性が向上する。特に、電子写真感光体又は感光層の他の特性(例えば、電気的特性又は耐オイルクラック性)を考慮すると、pの値が25以上50以下であることがより好ましい。
式(1−1)及び式(1−2)で表される繰返し単位において、R1〜R4のうちの少なくとも1つは、炭素数が1以上4以下のアルキル基であることが好ましい。より好ましくは、R1〜R4の何れか1つがメチル基である。
その理由は、以下の通りである。すなわち、R1〜R4がアルキル基であることにより、感光層を作製する際の、ポリカーボネート樹脂の溶剤に対する溶解性、及び上記の正孔輸送剤に対する相溶性を向上できる。その結果、良好な電気的特性及び耐摩耗性が実現する。
一方、ポリカーボネート樹脂においては、アルキル基の鎖長、分岐性、又は数量が過度に増加するにつれて、分子同士の絡み合いが低下し、分子のパッキング性が低下する傾向がある。そのため、ポリカーボネート樹脂が用いられた感光体においては、耐摩耗性が低下する恐れがある。従って、上述したポリカーボネート樹脂において、繰返し単位の芳香環に適した鎖長(炭素数が1以上4以下であるような鎖長)のアルキル基で置換することにより、優れた電気的特性及び耐摩耗性を感光体に付与できる。
式(1−2)で示す繰返し単位における2つのフェニレン基の間には第四級炭素が存在し得る。この第四級炭素がアルキル基で置換されると、第二級炭素が存在する繰返し単位を有するポリカーボネート樹脂と比べて、繰返し構造単位自体として、相対的に低極性の箇所が部分的に存在する。これにより、正孔輸送剤は、式(1)で表されるポリカーボネート樹脂の繰返し構造単位の近傍に集まりやすくなる。その結果、電荷輸送層中又は単層型感光層の正孔輸送剤の分散性が高まって、安定した光感度を達成することができる。
バインダー樹脂(式(1)で示されるポリカーボネート樹脂を含む)の分子量は、粘度平均分子量で40,000以上であることが好ましく、40,000以上52,500以下であることがより好ましい。バインダー樹脂の分子量が低すぎると、バインダー樹脂の耐摩耗性を十分に高めることができず、電荷輸送層又は単層型感光層が摩耗し易くなる。一方、バインダー樹脂の分子量が高すぎると、電荷輸送層又は単層型感光層の形成時に、バインダー樹脂が溶剤に溶解しにくくなって、電荷輸送層又は単層型感光層の形成が困難になる傾向がある。
ポリカーボネート樹脂の構造は、例えば、式(1−1)で表される繰返し構造単位と上記式(1−2)で表される繰返し構造単位とがランダムに共重合したランダム共重合体であってもよい。又は、例えば、上記式(1−1)で表される繰返し構造単位と上記式(1−2)で表される繰返し構造単位とが交互に共重合した交互共重合体であってもよい。又は、1以上の上記式(1−1)で表される繰返し構造単位と、1以上の上記式(1−2)で表される繰返し構造単位とが周期的に共重合した周期的共重合体であってもよい。又は、複数の上記式(1−1)で表される繰返し構造単位からなるブロックと、複数の上記式(1−2)で表される繰返し構造単位からなるブロックとが共重合したブロック共重合体であってもよい。
バインダー樹脂の製造方法は、上述した構造のポリカーボネート樹脂を製造できれば、特に限定されない。これらの製造方法として、例えば、ポリカーボネート樹脂の繰返し構造単位を構成するためのジオール化合物とホスゲンとを界面縮重合させる方法(いわゆる、ホスゲン法)、又は、ジオール化合物とジフェニルカーボネートとをエステル交換反応させる方法が挙げられる。より具体的には、例えば、下記式(1−3)で表されるジオール化合物及び下記式(1−4)で表されるジオール化合物を混合して得た混合物と、ホスゲンとを、下記式(1−3)で表されるジオール化合物が存在するように、界面縮重合させる方法が挙げられる。
Figure 2015169800
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式(1)で示されるポリカーボネート樹脂は、例えば、下記式(30)〜(36)で示されるResin−1〜Resin−7である。
Figure 2015169800
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なお、本実施形態に用いられるバインダー樹脂としては、式(1)で示されるポリカーボネート樹脂を単独で用いてもよいし、式(1)で示されるポリカーボネート樹脂以外の樹脂(その他の樹脂)を、本発明の効果を損なわない範囲で含んでいてもよい。その他の樹脂としては、例えば、熱可塑性樹脂(式(1)で示されるポリカーボネート樹脂以外のポリカーボネート樹脂、スチレン系樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−アクリル酸共重合体、アクリル共重合体、ポリエチレン樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体、塩素化ポリエチレン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリプロピレン樹脂、アイオノマー、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリエステル樹脂、アルキド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリスルホン樹脂、ジアリルフタレート樹脂、ケトン樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリエーテル樹脂、又はポリエステル樹脂)、熱硬化性樹脂(シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、又はその他架橋性の熱硬化性樹脂)、又は、光硬化性樹脂(エポキシアクリレート樹脂、又はウレタン−アクリレート共重合樹脂)が挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
本実施形態において、バインダー樹脂中の式(1)で示されるポリカーボネート樹脂の含有量は、40質量%以上が好ましく、80質量%がより好ましい。
[シリカ粒子]
本実施形態の電子写真感光体において、感光層の耐摩耗性の向上のために、積層型感光層の電荷輸送層、及び単層型感光層はシリカ粒子を含有する。つまり、感光層の最表面層にシリカ微粒子が含有される。本実施形態において、シリカ粒子は、特にシリカ微粒子をいう。シリカ微粒子は、シリカ微粒子以外の微粒子(例えば、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化スズ、酸化アンチモン、酸化インジウム、酸化ビスマス、スズをドープした酸化インジウム、アンチモン若しくはタンタルをドープした酸化スズ、又は酸化ジルコニウム)と比較すると、感光層の耐摩耗性を良好に向上できる。更に、シリカ微粒子は、容易に表面処理がなされるとともに、製造コストに優れ、粒子径の調整が容易であるという利点もある。
シリカ微粒子は、耐摩耗性を向上させるために、表面処理剤で表面処理が施されていることが好ましい。表面処理剤としては、例えば、ヘキサメチルジシラザン、N−メチル−ヘキサメチルジシラザン、ヘキサメチル−N−プロピルジシラザン、ジメチルジクロロシラン、又はポリジメチルシロキサンが挙げられる。表面処理剤は、ヘキサメチルジシラザンが特に好ましい。その理由は、以下の通りである。ヘキサメチルジシラザンが有するトリメチルシリル基とシリカ微粒子表面の水酸基との反応性が良好であるために、ヘキサメチルジシラザンシリカ微粒子表面の水酸基が低減する。その結果、水分(湿度)による電気的特性の低下を抑制できる。
更に、表面処理剤として、ヘキサメチルジシラザンを用いることにより、シリカ微粒子表面からの表面処理剤の遊離を抑制することができる。なお、遊離した表面処理剤が電荷トラップの原因となって、感度が低下する場合がある。しかし、本発明においては、ヘキサメチルジシラザンを用いることにより、シリカ微粒子表面からの表面処理剤の遊離を抑制できるので、発生する感度の低下を、十分に抑制することができる。
シリカ微粒子の含有量は、バインダー樹脂100質量部に対して0.5質量部以上15質量部以下であることが好ましく、1質量部以上10質量部以下であることがより好ましい。なお、電子写真感光体が積層型電子写真感光体である場合には、積層型感光層に含まれる電荷輸送層がシリカ微粒子を含む。電子写真感光体が単層型電子写真感光体である場合には、単層型感光層がシリカ微粒子を含む。
シリカ微粒子の粒子径(数平均一次粒径)は、7nm以上50nm以下であることが好ましい。シリカ微粒子の粒子径が7nm未満であると、耐摩耗性及び耐オイルクラック性に劣る感光層しか得られない場合がある。一方、シリカ微粒子の粒子径が50nmを超えると、バインダー樹脂中のシリカ微粒子の分散性が低下する場合がある。
[添加剤]
本実施形態に係る電子写真感光体においては、積層型感光層(電荷発生層及び電荷輸送層)、単層型感光層、及び中間層のうちの少なくとも一つが、電子写真特性に悪影響を与えない範囲で、各種の添加剤を含有してもよい。添加剤としては、例えば、劣化防止剤(酸化防止剤、ラジカル捕捉剤、1重項クエンチャー、又は紫外線吸収剤)、軟化剤、表面改質剤、増量剤、増粘剤、分散安定剤、ワックス、アクセプタ、ドナー、界面活性剤、又はレベリング剤が挙げられる。酸化防止剤としては、例えば、ヒンダードフェノール、ヒンダードアミン、パラフェニレンジアミン、アリールアルカン、ハイドロキノン、スピロクロマン、スピロインダノン若しくはこれらの誘導体、有機硫黄化合物、又は有機燐化合物が挙げられる。
電荷発生層又は単層型感光層は、感度を向上させるために、添加剤として増感剤(例えば、テルフェニル、ハロナフトキノン類、又はアセナフチレン)を含有してもよい。
電荷輸送層又は単層型感光層は、耐オイルクラック性を向上させるために、添加剤として、可塑剤を含有してもよい。可塑剤としては、ビフェニル誘導体が挙げられる。ビフェニル誘導体は、例えば、下記式(BP−1)〜(BP−20)で表される化合物である。
Figure 2015169800
[中間層]
本実施形態に係る電子写真感光体は、中間層(例えば、下引き層)を有してもよい。単層型電子写真感光体において、中間層は、基体と感光層との間に位置する。積層型電子写真感光体において、中間層は、基体と電荷発生層との間に介在する。中間層は、例えば、無機粒子、及び中間層に用いられる樹脂(中間層用樹脂)を含有する。中間層を介在させると、リーク発生を抑制し得る程度の絶縁状態を維持しつつ、電子写真感光体を露光した時に発生する電流の流れを円滑にして、抵抗の上昇を抑えることができる。
無機粒子としては、例えば、金属(例えば、アルミニウム、鉄、又は銅)、金属酸化物(例えば、酸化チタン、アルミナ、酸化ジルコニウム、酸化スズ、又は酸化亜鉛)の粒子、又は非金属酸化物(例えば、シリカ)の粒子が挙げられる。これらの無機粒子は、1種を単独で用いてもよいし、又は2種以上を併用してもよい。
中間層用樹脂としては、中間層を形成する樹脂として用いることができる樹脂であれば、特に限定されない。
<電子写真感光体の製造方法>
単層型電子写真感光体の製造方法について説明する。
単層型電子写真感光体は、単層型感光層用塗布液(第一の塗布液)を基体上に塗布し、乾燥することによって製造される。第一の塗布液は、電荷発生剤、電荷輸送剤(正孔輸送剤)、バインダー樹脂、シリカ微粒子、及び必要に応じて電子アクセプター化合物若しくは各種添加剤を、溶剤に溶解又は分散させることにより調製される。
積層型電子写真感光体の製造方法について説明する。
具体的には、まず、電荷発生層用塗布液(第二の塗布液)、及び電荷輸送層用塗布液(第三の塗布液)を調製する。第二の塗布液を基体上に塗布し、適宜な方法で乾燥することによって、電荷発生層を形成する。その後、第三の塗布液を電荷発生層に塗布し、続いて乾燥することによって電荷輸送層を形成し、積層型電子写真感光体を製造することができる。
第二の塗布液は、電荷発生剤、ベース樹脂、及び必要に応じて各種添加剤を、溶剤に溶解又は分散させることにより調製される。第三の塗布液は、電荷輸送剤、バインダー樹脂、シリカ微粒子、及び必要に応じて電子アクセプター化合物若しくは各種添加剤を、溶剤に溶解又は分散させることにより調製される。
塗布液(第一の塗布液、第二の塗布液、又は第三の塗布液)に含有される溶剤は、塗布液に含まれる各成分を溶解又は分散できれば、特に限定されない。具体的には、溶剤としては、アルコール類(メタノール、エタノール、イソプロパノール、又はブタノール)、脂肪族系炭化水素(n−ヘキサン、オクタン、又はシクロヘキサン)、芳香族炭化水素(ベンゼン、トルエン、又はキシレン)、ハロゲン化炭化水素(ジクロロメタン、ジクロロエタン、四塩化炭素、又はクロロベンゼン)、エーテル類(ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、エチレングリコールジメチルエーテル、又はジエチレングリコールジメチルエーテル)、ケトン類(アセトン、メチルエチルケトン、又はシクロヘキサノン)、エステル類(酢酸エチル、又は酢酸メチル)、ジメチルホルムアルデヒド、ジメチルホルムアミド、又はジメチルスルホキシドが挙げられる。これらの溶剤は、単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。感光体の製造過程における作業者の安全衛生を改善するためには、溶剤として非ハロゲン系溶剤を用いることが好ましい。
塗布液は、各成分を混合し、溶剤に分散することにより調製される。混合又は分散には、例えば、ビーズミル、ロールミル、ボールミル、アトライター、ペイントシェーカー、又は超音波分散器を用いることができる。
塗布液は、各成分の分散性、又は形成される各々の層の表面平滑性を向上させるために、例えば、界面活性剤又はレベリング剤を含有してもよい。
塗布液を塗布する方法としては、塗布液を均一に塗布できる方法であれば、特に限定されない。塗布方法としては、例えば、ディップコート法、スプレーコート法、スピンコート法、又はバーコート法が挙げられる。
塗布液を乾燥する方法としては、塗布液中の溶剤を蒸発させ得る方法であれば、特に限定されない。例えば、高温乾燥機、又は減圧乾燥機を用いて、熱処理(熱風乾燥)する方法が挙げられる。熱処理条件は、例えば、40℃以上150℃以下の温度、かつ3分間以上120分間以下の時間である。
以上説明した本発明の電子写真感光体は、優れた電気的特性を維持しつつ、耐摩耗性及び耐オイルクラック性の何れにも優れるため、種々の画像形成装置で好適に使用できる。
以下、実施例を用いて本発明を更に具体的に説明する。なお、本発明は実施例の範囲に何ら限定されるものではない。
積層型電子写真感光体の製造
[感光体A−1の製造]
以下、実施例1に係る感光体A−1の製造について説明する。感光体A−1は積層型電子写真感光体である。
(中間層の形成)
はじめに、表面処理された酸化チタン(テイカ株式会社製、「試作品SMT−A」、数平均一次粒子径10nm)を準備した。詳しくは、アルミナとシリカとを用いて表面処理し、更に、表面処理された酸化チタンを湿式分散しながらメチルハイドロジェンポリシロキサンを用いて表面処理したものを準備した。次いで、表面処理された酸化チタン(2質量部)と、ポリアミド樹脂アミラン(登録商標)(東レ株式会社製、品番:CM8000)(ポリアミド6,ポリアミド12,ポリアミド66,及びポリアミド610の四元共重合ポリアミド樹脂)(1質量部)とを、メタノール(10質量部)、ブタノール(1質量部)及びトルエン(1質量部)を含む溶剤に対して添加した。これらをビーズミルを用いて5時間混合し、溶剤中に材料を分散させた。これにより、中間層用塗布液を調製した。
得られた中間層用塗布液を、目開き5μmのフィルターを用いてろ過した。その後、基体としてのアルミニウム製のドラム状支持体(直径30mm、全長246mm)の表面に、中間層用塗布液をディップコート法を用いて塗布した。続いて、塗布した塗布液を130℃で30分間乾燥させて、基体(ドラム状支持体)上に中間層(膜厚1μm)を形成した。
(電荷発生層の形成)
Cu−Kα特性X線回折スペクトルにおいて、ブラッグ角2θ±0.2°=27.2°に1つのピークを有するチタニルフタロシアニン(1.5質量部)と、ベース樹脂としてのポリビニルアセタール樹脂(積水化学工業株式会社製、「エスレックBX-5」)(1質量部)とを、プロピレングリコールモノメチルエーテル(40質量部)及びテトラヒドロフラン(40質量部)を含む溶剤に対して添加した。これらをビーズミルを用いて2時間混合し、溶剤中に材料を分散させて、第二の塗布液を作製した。得られた第二の塗布液を、目開き3μmのフィルターを用いてろ過した。次いで、得られたろ過液を、上述のようにして形成された中間層上にディップコート法を用いて塗布し、50℃で5分間乾燥させた。これにより、中間層上に電荷発生層(膜厚0.3μm)を形成した。
(電荷輸送層の形成)
正孔輸送剤としての上記のCTM−1(42質量部)と、添加剤としてのヒンダードフェノール系酸化防止剤(チバ・ジャパン株式会社製、「イルガノックス1010」)(2質量部)と、バインダー樹脂としてのポリカーボネート樹脂(Resin−1、粘度平均分子量52,500)(100質量部)と、ヘキサメチルジシラザンで表面処理されたシリカ微粒子(日本アエロジル株式会社製、「アエロジル(登録商標)RX200」)(数平均一次粒径12nm)(5質量部)とを、テトラヒドロフラン(350質量部)及びトルエン(350質量部)を含む溶剤に対して添加した。これらを循環型超音波分散装置を用いて12時間混合し、溶剤中に材料を分散させて、第三の塗布液を調製した。
第二の塗布液と同様の操作により、第三の塗布液を電荷発生層上に塗布した。その後、120℃で40分間乾燥させて、電荷発生層上に電荷輸送層(膜厚30μm)を形成した。その結果、感光体A−1(積層型電子写真感光体)が得られた。感光体A−1は、基体上に、中間層、電荷発生層、及び電荷輸送層が、この順で積層された構成を有していた。
[感光体A−2]
正孔輸送剤として、CTM−1の代わりに上記のCTM−2を用いた以外は、感光体A−1と同様の手法により、感光体A−2を作製した。
[感光体A−3]
正孔輸送剤として、CTM−1の代わりに上記のCTM−3を用いた以外は、感光体A−1と同様の手法により、感光体A−3を作製した。
[感光体A−4]
正孔輸送剤として、CTM−1の代わりに上記のCTM−4を用いた以外は、感光体A−1と同様の手法により、感光体A−4を作製した。
[感光体A−5]
正孔輸送剤として、CTM−1の代わりに上記のCTM−5を用いた以外は、感光体A−1と同様の手法により、感光体A−5を作製した。
[感光体A−6]
正孔輸送剤として、CTM−1の代わりに上記のCTM−6を用いた以外は、感光体A−1と同様の手法により、感光体A−6を作製した。
[感光体A−7]
正孔輸送剤として、CTM−1の代わりに上記のCTM−7を用いた以外は、感光体A−1と同様の手法により、感光体A−7を作製した。
[感光体A−8]
正孔輸送剤として、CTM−1の代わりに上記のCTM−8を用いた以外は、感光体A−1と同様の手法により、感光体A−8を作製した。
[感光体A−9]
正孔輸送剤として、CTM−1の代わりに上記のCTM−9を用いた以外は、感光体A−1と同様の手法により、感光体A−9を作製した。
[感光体A−10]
正孔輸送剤として、CTM−1の代わりに上記のCTM−10を用いた以外は、感光体A−1と同様の手法により、感光体A−10を作製した。
[感光体A−11]
正孔輸送剤として、CTM−1の代わりに上記のCTM−11を用いた以外は、感光体A−1と同様の手法により、感光体A−11を作製した。
[感光体A−12]
正孔輸送剤として、CTM−1の代わりに上記のCTM−12を用いた以外は、感光体A−1と同様の手法により、感光体A−12を作製した。
[感光体A−13]
バインダー樹脂として、Resin−1の代わりにResin−2(粘度平均分子量49,000)を用いた以外は、感光体A−1と同様の手法により、感光体A−13を作製した。
[感光体A−14]
バインダー樹脂として、Resin−1の代わりにResin−3(粘度平均分子量48,500)を用いた以外は、感光体A−1と同様の手法により、感光体A−14を作製した。
[感光体A−15]
バインダー樹脂として、Resin−1の代わりにResin−4(粘度平均分子量51,000)を用いた以外は、感光体A−1と同様の手法により、感光体A−15を作製した。
[感光体A−16]
バインダー樹脂として、Resin−1の代わりにResin−5(粘度平均分子量50,500)を用いた以外は、感光体A−1と同様の手法により、感光体A−16を作製した。
[感光体A−17]
バインダー樹脂として、Resin−1の代わりにResin−6(粘度平均分子量50,700)を用いた以外は、感光体A−1と同様の手法により、感光体A−17を作製した。
[感光体A−18]
バインダー樹脂として、Resin−1の代わりにResin−7(粘度平均分子量51,000)を用いた以外は、感光体A−1と同様の手法により、感光体18を作製した。
[感光体A−19]
バインダー樹脂としてのResin−1の粘度平均分子量を40,000に調整した以外は、感光体A−1と同様の手法により、感光体A−19を作製した。
[感光体A−20]
バインダー樹脂としてのResin−1の粘度平均分子量を31,000に調整した以外は、感光体A−1と同様の手法により、感光体A−20(積層型電子写真感光体)を作製した。
[感光体A−21]
シリカ微粒子として、「アエロジルRX200」に代えて、ヘキサメチルジシラザンで表面処理されたシリカ微粒子(日本アエロジル株式会社製、「アエロジルRX300」)(数平均一次粒径7nm)を用いた以外は、感光体A−1と同様の手法により、感光体A−21を作製した。
[感光体A−22]
シリカ微粒子として、「アエロジルRX200」に代えて、ヘキサメチルジシラザンで表面処理されたシリカ微粒子(日本アエロジル株式会社製、「アエロジルNAX50」)(数平均一次粒径50nm)を用いた以外は、感光体A−1と同様の手法により、感光体A−22を作製した。
[感光体A−23]
シリカ微粒子として、「アエロジルRX200」に代えて、ジメチルジクロロジシラザンで表面処理されたシリカ微粒子(日本アエロジル株式会社製、「アエロジルR974」)(数平均一次粒径12nm)を用いた以外は、感光体A−1と同様の手法により、感光体A−23を作製した。
[感光体A−24]
シリカ微粒子として、「アエロジルRX200」に代えて、ポリジメチルシロキサン(PDMP)で表面処理されたシリカ微粒子(日本アエロジル株式会社製、「アエロジルRY200」)(数平均一次粒径12nm)を用いた以外は、感光体A−1と同様の手法により、感光体A−24を作製した。
[感光体A−25]
シリカ微粒子としての「アエロジルRX200」の含有量を、バインダー樹脂100質量部に対して0.5質量部とした以外は、感光体A−1と同様の手法により、感光体A−25を作製した。
[感光体A−26]
シリカ微粒子としての「アエロジルRX200」の含有量を、バインダー樹脂100質量部に対して2.0質量部とした以外は、感光体A−1と同様の手法により、感光体A−26を作製した。
[感光体A−27]
シリカ微粒子としての「アエロジルRX200」の含有量を、バインダー樹脂100質量部に対して10質量部とした以外は、感光体A−1と同様の手法により、感光体A−27を作製した。
[感光体A−28]
シリカ微粒子としての「アエロジルRX200」の含有量を、バインダー樹脂100質量部に対して15質量部とした以外は、感光体A−1と同様の手法により、感光体A−28を作製した。
[感光体B−1]
バインダー樹脂として、Resin−1の代わりにResin−8(粘度平均分子量50,000)を用いた以外は、感光体A−1と同様の手法により、感光体B−1を作製した。なお、Resin−8の組成は、下記式(25)により示される。
Figure 2015169800
[感光体B−2]
シリカ微粒子を用いなかった以外は、感光体A−1と同様の手法により、感光体B−2(積層型電子写真感光体)を作製した。
[感光体B−3]
シリカ微粒子を用いなかった以外は、感光体B−1と同様の手法により、感光体B−3(積層型電子写真感光体)を作製した。
[電子写真感光体の性能評価]
(電気的特性評価)
感光体A−1〜A−28及び感光体B−1〜B−3の何れかを、ドラム感度試験機(ジェンテック株式会社製)を用いて、回転数を31rpmとし、−800Vになるように帯電させた。次いで、単色光(波長:780nm、露光量:1.0μJ/cm2)をハロゲンランプの光からハンドパルスフィルターを用いて取り出し、電子写真感光体の表面に照射した。単色光の照射後、50msecが経過した後の表面電位を測定し、この表面電位を残留電位(VL)とした。測定環境は、温度23℃、かつ湿度50%RHとした。
(耐オイルクラック性評価)
感光体A−1〜A−28及び感光体B−1〜B−3の何れかの表面における油脂(オレイン酸トリグリセリド)を付着させて、2日間放置した。その後、光学顕微鏡を用いて観察し、クラックの発生具合を確認した。下記基準に従って、耐オイルクラック性を評価した。
◎:クラック発生箇所が0箇所である。
○:クラック発生箇所が1箇所以上3箇所以下である。
△:クラック発生箇所が4箇所以上10箇所以下である。
×:クラック発生箇所が11箇所以上である。
(耐摩耗性評価)
感光体A−1〜A−28及び感光体B−1〜B−3の何れかの製造において調製した電荷輸送層用塗布液を、アルミパイプ(直径:78mm)に巻きつけたポリプロピレンシート(厚さ0.3mm)に塗布した。これを、120℃で40分乾燥し、膜厚30μmの電荷輸送層が形成された摩耗評価試験用のシートを作製した。
このポリプロピレンシートから電荷輸送層を剥離し、ウィールS−36(テーバー社製)に貼り付け、サンプルを作製した。作製したサンプルをロータリーアブレージョンテスター(株式会社東洋精機製作所製)にセットし、摩耗輪CS−10(テーバー社製)を用い、荷重500gfかつ回転速度60rpmの条件で1000回転させ、摩耗評価試験を実施した。摩耗評価試験前後のサンプルの質量変化である摩耗減量(mg/1000回転)を測定し、この摩耗減量に基づいて、耐摩耗性を評価した。
表1は、感光体A−1〜A−28及び感光体B−1〜B−3の電荷輸送層に含有される各材料を示す。表2は、感光体A−1〜A−28及び感光体B−1〜B−3の性能評価結果を示す。
Figure 2015169800
Figure 2015169800
表1及び表2から明らかなように、本発明の電子写真感光体は、電気的特性評価において残留電位が低く、オイル付着に起因するクラックの発生が抑制されており、加えて耐摩耗試験において摩耗減量が少なかった。従って、本発明に係る電子写真感光体によれば、優れた電気的特性を維持しつつ、耐摩耗性及び耐オイルクラック性が向上することが明らかである。
本発明に係る電子写真感光体は、複合機のような画像形成装置に利用できる。
10 積層型電子写真感光体
11 基体
12 積層型感光層
13 電荷発生層
14 電荷輸送層
15 中間層
20 単層型電子写真感光体
21 基体
22 単層型感光層
23 中間層

Claims (5)

  1. 感光層を備える電子写真感光体であって、
    前記感光層は、
    電荷発生剤を含有する電荷発生層と、電荷輸送剤、バインダー樹脂、及びシリカ粒子を含有する電荷輸送層とが積層され、前記電荷輸送層が最表面に配置される積層型感光層、又は、
    電荷発生剤、電荷輸送剤、バインダー樹脂及びシリカ粒子を含有する単層型感光層であり、
    前記シリカ粒子の含有量は前記バインダー樹脂100質量部に対して0.5質量部以上15質量部以下であり、
    前記バインダー樹脂が一般式(1)で示されるポリカーボネート樹脂を含む、電子写真感光体。
    Figure 2015169800
    (前記一般式(1)中、R1及びR2は、それぞれ独立して、水素原子、又は、置換若しくは無置換のアルキル基を示し、R3及びR4は、それぞれ独立して、水素原子、置換若しくは無置換のアルキル基、又は、置換若しくは無置換のアリール基を示す。R3とR4とは連結してシクロアルキリデン基になってもよい。pの値は0より大きく100以下である。)
  2. 前記一般式(1)中、pの値が25以上50以下である、請求項1に記載の電子写真感光体。
  3. 前記シリカ粒子がヘキサメチルジシラザンで表面処理されたシリカ粒子である、請求項1又は2に記載の電子写真感光体。
  4. 前記電荷輸送剤が、2以上のスチリル基と1以上のアリール基とを有する化合物を含む、請求項1〜3の何れか1項に記載の電子写真感光体。
  5. 前記バインダー樹脂の粘度平均分子量が40,000以上である、請求項1〜4の何れか1項に記載の電子写真感光体。
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