JP2015169800A - 電子写真感光体 - Google Patents
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Abstract
Description
以下、積層型感光層を備える積層型電子写真感光体について、図1を参照して説明する。積層型電子写真感光体10は、図1(a)に示すように、基体11上に、電荷発生層13及び電荷輸送層14がこの順で積層された積層型感光層12を備えた構成を有する。電荷輸送層14を最表面に設けることにより、優れた電気的特性を維持しつつ、耐摩耗性及び耐オイルクラック性を向上させることができる。
以下、単層型感光層を備える単層型電子写真感光体について、図2を参照して説明する。単層型電子写真感光体20は、図2(a)に示すように、基体21と、単層型感光層22とを備える。単層型感光層22は、基体21上に設けられる。単層型感光層22は、電荷発生剤、電荷輸送剤、バインダー樹脂、及びシリカ粒子を含有する。
以下、単層型電子写真感光体及び積層型電子写真感光体を構成する各部分、並びに単層型電子写真感光体及び積層型電子写真感光体に含まれる成分について詳細に説明する。
本実施形態において、基体は、少なくとも表面部が導電性を有するものであれば、特に限定されない。具体的には、基体は、導電性を有する材料から構成されるものであってもよい。又は、プラスチック材料若しくはガラスの表面を、導電性を有する材料で被覆若しくは蒸着した構成を有するものであってもよい。ここで、導電性を有する材料としては、例えば、アルミニウム、鉄、銅、錫、白金、銀、バナジウム、モリブデン、クロム、カドニウム、チタン、ニッケル、パラジウム、インジウム、ステンレス鋼若しくは真鍮のような金属、又はこれらの金属の合金が挙げられる。これらの導電性を有する材料を、1種単独で用いてもよいし、2種以上組み合わせて用いてもよい。
電荷発生剤は、電子写真感光体用の電荷発生剤であれば、特に限定されない。電荷発生剤としては、例えば、X型無金属フタロシアニン(x−H2Pc)、Y型チタニルフタロシアニン(Y−TiOPc)、ペリレン顔料、ビスアゾ顔料、ジチオケトピロロピロール顔料、無金属ナフタロシアニン顔料、金属ナフタロシアニン顔料、スクアライン顔料、トリスアゾ顔料、インジゴ顔料、アズレニウム顔料、シアニン顔料、セレン、セレン−テルル、セレン−ヒ素、硫化カドミウム、アモルファスシリコンのような無機光導電材料の粉末、ピリリウム塩、アンサンスロン系顔料、トリフェニルメタン系顔料、スレン系顔料、トルイジン系顔料、ピラゾリン系顔料、又はキナクリドン系顔料が挙げられる。
本実施形態においては、感光層が電荷輸送剤を含有することを必須とする。電荷輸送剤は、特に、正孔輸送剤である。
(正孔輸送剤)
本実施形態に用いられる正孔輸送剤は、2以上のスチリル基と、1以上のアリール基とを有する化合物を含むことが好ましい。具体的には、正孔輸送剤は、下記式(6)〜(9)で示される化合物を含むことがより好ましい。
感光層は、必要に応じて、電子アクセプター化合物を含有してもよい。電子アクセプター化合物を含有することで、特に単層型電子写真感光体の単層型感光層においては、電子を輸送することができ、これによりバイポーラー(両極性)の特性を付与できる。一方、積層型電子写真感光体の積層型感光層は、電子アクセプター化合物を含有することにより、正孔輸送剤の正孔輸送能を向上させることができる。
(ベース樹脂)
積層型感光層に含まれる電荷発生層は、ベース樹脂(電荷発生層用ベース樹脂)を含む。
バインダー樹脂は、単層型電子写真感光体の単層型感光層、又は積層型電子写真感光体の電荷輸送層に用いられる。バインダー樹脂は、式(1)で表されるポリカーボネート樹脂を含有する。式(1)で表されるポリカーボネート樹脂は、式(1−1)で表される繰返し構造単位と式(1−2)で表される繰返し構造単位とからなるポリカーボネート共重合体である。
本実施形態の電子写真感光体において、感光層の耐摩耗性の向上のために、積層型感光層の電荷輸送層、及び単層型感光層はシリカ粒子を含有する。つまり、感光層の最表面層にシリカ微粒子が含有される。本実施形態において、シリカ粒子は、特にシリカ微粒子をいう。シリカ微粒子は、シリカ微粒子以外の微粒子(例えば、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化スズ、酸化アンチモン、酸化インジウム、酸化ビスマス、スズをドープした酸化インジウム、アンチモン若しくはタンタルをドープした酸化スズ、又は酸化ジルコニウム)と比較すると、感光層の耐摩耗性を良好に向上できる。更に、シリカ微粒子は、容易に表面処理がなされるとともに、製造コストに優れ、粒子径の調整が容易であるという利点もある。
本実施形態に係る電子写真感光体においては、積層型感光層(電荷発生層及び電荷輸送層)、単層型感光層、及び中間層のうちの少なくとも一つが、電子写真特性に悪影響を与えない範囲で、各種の添加剤を含有してもよい。添加剤としては、例えば、劣化防止剤(酸化防止剤、ラジカル捕捉剤、1重項クエンチャー、又は紫外線吸収剤)、軟化剤、表面改質剤、増量剤、増粘剤、分散安定剤、ワックス、アクセプタ、ドナー、界面活性剤、又はレベリング剤が挙げられる。酸化防止剤としては、例えば、ヒンダードフェノール、ヒンダードアミン、パラフェニレンジアミン、アリールアルカン、ハイドロキノン、スピロクロマン、スピロインダノン若しくはこれらの誘導体、有機硫黄化合物、又は有機燐化合物が挙げられる。
本実施形態に係る電子写真感光体は、中間層(例えば、下引き層)を有してもよい。単層型電子写真感光体において、中間層は、基体と感光層との間に位置する。積層型電子写真感光体において、中間層は、基体と電荷発生層との間に介在する。中間層は、例えば、無機粒子、及び中間層に用いられる樹脂(中間層用樹脂)を含有する。中間層を介在させると、リーク発生を抑制し得る程度の絶縁状態を維持しつつ、電子写真感光体を露光した時に発生する電流の流れを円滑にして、抵抗の上昇を抑えることができる。
単層型電子写真感光体の製造方法について説明する。
単層型電子写真感光体は、単層型感光層用塗布液(第一の塗布液)を基体上に塗布し、乾燥することによって製造される。第一の塗布液は、電荷発生剤、電荷輸送剤(正孔輸送剤)、バインダー樹脂、シリカ微粒子、及び必要に応じて電子アクセプター化合物若しくは各種添加剤を、溶剤に溶解又は分散させることにより調製される。
具体的には、まず、電荷発生層用塗布液(第二の塗布液)、及び電荷輸送層用塗布液(第三の塗布液)を調製する。第二の塗布液を基体上に塗布し、適宜な方法で乾燥することによって、電荷発生層を形成する。その後、第三の塗布液を電荷発生層に塗布し、続いて乾燥することによって電荷輸送層を形成し、積層型電子写真感光体を製造することができる。
[感光体A−1の製造]
以下、実施例1に係る感光体A−1の製造について説明する。感光体A−1は積層型電子写真感光体である。
(中間層の形成)
はじめに、表面処理された酸化チタン(テイカ株式会社製、「試作品SMT−A」、数平均一次粒子径10nm)を準備した。詳しくは、アルミナとシリカとを用いて表面処理し、更に、表面処理された酸化チタンを湿式分散しながらメチルハイドロジェンポリシロキサンを用いて表面処理したものを準備した。次いで、表面処理された酸化チタン(2質量部)と、ポリアミド樹脂アミラン(登録商標)(東レ株式会社製、品番:CM8000)(ポリアミド6,ポリアミド12,ポリアミド66,及びポリアミド610の四元共重合ポリアミド樹脂)(1質量部)とを、メタノール(10質量部)、ブタノール(1質量部)及びトルエン(1質量部)を含む溶剤に対して添加した。これらをビーズミルを用いて5時間混合し、溶剤中に材料を分散させた。これにより、中間層用塗布液を調製した。
Cu−Kα特性X線回折スペクトルにおいて、ブラッグ角2θ±0.2°=27.2°に1つのピークを有するチタニルフタロシアニン(1.5質量部)と、ベース樹脂としてのポリビニルアセタール樹脂(積水化学工業株式会社製、「エスレックBX-5」)(1質量部)とを、プロピレングリコールモノメチルエーテル(40質量部)及びテトラヒドロフラン(40質量部)を含む溶剤に対して添加した。これらをビーズミルを用いて2時間混合し、溶剤中に材料を分散させて、第二の塗布液を作製した。得られた第二の塗布液を、目開き3μmのフィルターを用いてろ過した。次いで、得られたろ過液を、上述のようにして形成された中間層上にディップコート法を用いて塗布し、50℃で5分間乾燥させた。これにより、中間層上に電荷発生層(膜厚0.3μm)を形成した。
正孔輸送剤としての上記のCTM−1(42質量部)と、添加剤としてのヒンダードフェノール系酸化防止剤(チバ・ジャパン株式会社製、「イルガノックス1010」)(2質量部)と、バインダー樹脂としてのポリカーボネート樹脂(Resin−1、粘度平均分子量52,500)(100質量部)と、ヘキサメチルジシラザンで表面処理されたシリカ微粒子(日本アエロジル株式会社製、「アエロジル(登録商標)RX200」)(数平均一次粒径12nm)(5質量部)とを、テトラヒドロフラン(350質量部)及びトルエン(350質量部)を含む溶剤に対して添加した。これらを循環型超音波分散装置を用いて12時間混合し、溶剤中に材料を分散させて、第三の塗布液を調製した。
正孔輸送剤として、CTM−1の代わりに上記のCTM−2を用いた以外は、感光体A−1と同様の手法により、感光体A−2を作製した。
正孔輸送剤として、CTM−1の代わりに上記のCTM−3を用いた以外は、感光体A−1と同様の手法により、感光体A−3を作製した。
正孔輸送剤として、CTM−1の代わりに上記のCTM−4を用いた以外は、感光体A−1と同様の手法により、感光体A−4を作製した。
正孔輸送剤として、CTM−1の代わりに上記のCTM−5を用いた以外は、感光体A−1と同様の手法により、感光体A−5を作製した。
正孔輸送剤として、CTM−1の代わりに上記のCTM−6を用いた以外は、感光体A−1と同様の手法により、感光体A−6を作製した。
正孔輸送剤として、CTM−1の代わりに上記のCTM−7を用いた以外は、感光体A−1と同様の手法により、感光体A−7を作製した。
正孔輸送剤として、CTM−1の代わりに上記のCTM−8を用いた以外は、感光体A−1と同様の手法により、感光体A−8を作製した。
正孔輸送剤として、CTM−1の代わりに上記のCTM−9を用いた以外は、感光体A−1と同様の手法により、感光体A−9を作製した。
正孔輸送剤として、CTM−1の代わりに上記のCTM−10を用いた以外は、感光体A−1と同様の手法により、感光体A−10を作製した。
正孔輸送剤として、CTM−1の代わりに上記のCTM−11を用いた以外は、感光体A−1と同様の手法により、感光体A−11を作製した。
正孔輸送剤として、CTM−1の代わりに上記のCTM−12を用いた以外は、感光体A−1と同様の手法により、感光体A−12を作製した。
バインダー樹脂として、Resin−1の代わりにResin−2(粘度平均分子量49,000)を用いた以外は、感光体A−1と同様の手法により、感光体A−13を作製した。
バインダー樹脂として、Resin−1の代わりにResin−3(粘度平均分子量48,500)を用いた以外は、感光体A−1と同様の手法により、感光体A−14を作製した。
バインダー樹脂として、Resin−1の代わりにResin−4(粘度平均分子量51,000)を用いた以外は、感光体A−1と同様の手法により、感光体A−15を作製した。
バインダー樹脂として、Resin−1の代わりにResin−5(粘度平均分子量50,500)を用いた以外は、感光体A−1と同様の手法により、感光体A−16を作製した。
バインダー樹脂として、Resin−1の代わりにResin−6(粘度平均分子量50,700)を用いた以外は、感光体A−1と同様の手法により、感光体A−17を作製した。
バインダー樹脂として、Resin−1の代わりにResin−7(粘度平均分子量51,000)を用いた以外は、感光体A−1と同様の手法により、感光体18を作製した。
バインダー樹脂としてのResin−1の粘度平均分子量を40,000に調整した以外は、感光体A−1と同様の手法により、感光体A−19を作製した。
バインダー樹脂としてのResin−1の粘度平均分子量を31,000に調整した以外は、感光体A−1と同様の手法により、感光体A−20(積層型電子写真感光体)を作製した。
シリカ微粒子として、「アエロジルRX200」に代えて、ヘキサメチルジシラザンで表面処理されたシリカ微粒子(日本アエロジル株式会社製、「アエロジルRX300」)(数平均一次粒径7nm)を用いた以外は、感光体A−1と同様の手法により、感光体A−21を作製した。
シリカ微粒子として、「アエロジルRX200」に代えて、ヘキサメチルジシラザンで表面処理されたシリカ微粒子(日本アエロジル株式会社製、「アエロジルNAX50」)(数平均一次粒径50nm)を用いた以外は、感光体A−1と同様の手法により、感光体A−22を作製した。
シリカ微粒子として、「アエロジルRX200」に代えて、ジメチルジクロロジシラザンで表面処理されたシリカ微粒子(日本アエロジル株式会社製、「アエロジルR974」)(数平均一次粒径12nm)を用いた以外は、感光体A−1と同様の手法により、感光体A−23を作製した。
シリカ微粒子として、「アエロジルRX200」に代えて、ポリジメチルシロキサン(PDMP)で表面処理されたシリカ微粒子(日本アエロジル株式会社製、「アエロジルRY200」)(数平均一次粒径12nm)を用いた以外は、感光体A−1と同様の手法により、感光体A−24を作製した。
シリカ微粒子としての「アエロジルRX200」の含有量を、バインダー樹脂100質量部に対して0.5質量部とした以外は、感光体A−1と同様の手法により、感光体A−25を作製した。
シリカ微粒子としての「アエロジルRX200」の含有量を、バインダー樹脂100質量部に対して2.0質量部とした以外は、感光体A−1と同様の手法により、感光体A−26を作製した。
シリカ微粒子としての「アエロジルRX200」の含有量を、バインダー樹脂100質量部に対して10質量部とした以外は、感光体A−1と同様の手法により、感光体A−27を作製した。
シリカ微粒子としての「アエロジルRX200」の含有量を、バインダー樹脂100質量部に対して15質量部とした以外は、感光体A−1と同様の手法により、感光体A−28を作製した。
バインダー樹脂として、Resin−1の代わりにResin−8(粘度平均分子量50,000)を用いた以外は、感光体A−1と同様の手法により、感光体B−1を作製した。なお、Resin−8の組成は、下記式(25)により示される。
シリカ微粒子を用いなかった以外は、感光体A−1と同様の手法により、感光体B−2(積層型電子写真感光体)を作製した。
シリカ微粒子を用いなかった以外は、感光体B−1と同様の手法により、感光体B−3(積層型電子写真感光体)を作製した。
(電気的特性評価)
感光体A−1〜A−28及び感光体B−1〜B−3の何れかを、ドラム感度試験機(ジェンテック株式会社製)を用いて、回転数を31rpmとし、−800Vになるように帯電させた。次いで、単色光(波長:780nm、露光量:1.0μJ/cm2)をハロゲンランプの光からハンドパルスフィルターを用いて取り出し、電子写真感光体の表面に照射した。単色光の照射後、50msecが経過した後の表面電位を測定し、この表面電位を残留電位(VL)とした。測定環境は、温度23℃、かつ湿度50%RHとした。
感光体A−1〜A−28及び感光体B−1〜B−3の何れかの表面における油脂(オレイン酸トリグリセリド)を付着させて、2日間放置した。その後、光学顕微鏡を用いて観察し、クラックの発生具合を確認した。下記基準に従って、耐オイルクラック性を評価した。
◎:クラック発生箇所が0箇所である。
○:クラック発生箇所が1箇所以上3箇所以下である。
△:クラック発生箇所が4箇所以上10箇所以下である。
×:クラック発生箇所が11箇所以上である。
感光体A−1〜A−28及び感光体B−1〜B−3の何れかの製造において調製した電荷輸送層用塗布液を、アルミパイプ(直径:78mm)に巻きつけたポリプロピレンシート(厚さ0.3mm)に塗布した。これを、120℃で40分乾燥し、膜厚30μmの電荷輸送層が形成された摩耗評価試験用のシートを作製した。
11 基体
12 積層型感光層
13 電荷発生層
14 電荷輸送層
15 中間層
20 単層型電子写真感光体
21 基体
22 単層型感光層
23 中間層
Claims (5)
- 感光層を備える電子写真感光体であって、
前記感光層は、
電荷発生剤を含有する電荷発生層と、電荷輸送剤、バインダー樹脂、及びシリカ粒子を含有する電荷輸送層とが積層され、前記電荷輸送層が最表面に配置される積層型感光層、又は、
電荷発生剤、電荷輸送剤、バインダー樹脂及びシリカ粒子を含有する単層型感光層であり、
前記シリカ粒子の含有量は前記バインダー樹脂100質量部に対して0.5質量部以上15質量部以下であり、
前記バインダー樹脂が一般式(1)で示されるポリカーボネート樹脂を含む、電子写真感光体。
- 前記一般式(1)中、pの値が25以上50以下である、請求項1に記載の電子写真感光体。
- 前記シリカ粒子がヘキサメチルジシラザンで表面処理されたシリカ粒子である、請求項1又は2に記載の電子写真感光体。
- 前記電荷輸送剤が、2以上のスチリル基と1以上のアリール基とを有する化合物を含む、請求項1〜3の何れか1項に記載の電子写真感光体。
- 前記バインダー樹脂の粘度平均分子量が40,000以上である、請求項1〜4の何れか1項に記載の電子写真感光体。
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