JP2017090629A - 積層型電子写真感光体、及び画像形成装置 - Google Patents

積層型電子写真感光体、及び画像形成装置 Download PDF

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Abstract

【課題】耐摩耗性及び電気特性の両立可能な積層型電子写真感光体を提供する。【解決手段】積層型電子写真感光体は、感光層を備える。感光層は、電荷発生層と、電荷輸送層とを備える。電荷発生層は、電荷発生剤を含有する。電荷輸送層は、正孔輸送剤及びバインダー樹脂を含有する。正孔輸送剤は、一般式(1)で表されるトリアリールアミン誘導体などのトリアリールアミン誘導体のうちの1種以上を含む。正孔輸送剤の含有量は、バインダー樹脂100質量部に対して30質量部以上55質量部以下である。【選択図】なし

Description

本発明は、積層型電子写真感光体、及び画像形成装置に関する。
電子写真感光体は、像担持体として電子写真方式の画像形成装置(例えば、プリンター、又は複合機)に用いられる。一般に、電子写真感光体は、感光層を備える。感光層は、電荷発生剤、電荷輸送剤(例えば、正孔輸送剤及び電子輸送剤)、及びこれらを結着させる樹脂(バインダー樹脂)を含有することができる。また、感光層は、電荷発生の機能を有する電荷発生層と、電荷輸送の機能を有する電荷輸送層とを含むことができる。このような電子写真感光体は、積層型電子写真感光体と呼ばれる。
電子写真感光体に使用可能な正孔輸送剤として、例えば、アミンスチルベン誘導体が知られている(特許文献1)。
特開平07−36203号公報
しかしながら、特許文献1に記載のアミンスチルベン誘導体を用いたとしても、耐摩耗性及び電気特性を両立させることは困難である。
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、耐摩耗性及び電気特性の両立可能な積層型電子写真感光体を提供することである。また、このような積層型電子写真感光体を備えることで、画像不良の発生を抑制する画像形成装置を提供することである。
本発明の積層型電子写真感光体は、感光層を備える。前記感光層は、電荷発生層と電荷輸送層とを有する。前記電荷発生層は、電荷発生剤を含有する。前記電荷輸送層は、正孔輸送剤及びバインダー樹脂を含有する。前記正孔輸送剤は、一般式(1)で表されるトリアリールアミン誘導体、及び一般式(2)で表されるトリアリールアミン誘導体のうちの1種以上を含む。前記正孔輸送剤の含有量は、前記バインダー樹脂100質量部に対して30質量部以上55質量部以下である。
Figure 2017090629
前記一般式(1)中、R1及びR2は、各々独立に、ハロゲン原子、置換基を有してもよい炭素原子数1以上6以下のアルキル基、置換基を有してもよい炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基、又は置換基を有してもよい炭素原子数6以上14以下のアリール基を表す。k及びlは、各々独立に、0以上4以下の整数を表す。mは、1以上3以下の整数を表す。
Figure 2017090629
前記一般式(2)中、R3及びR4は、各々独立に、ハロゲン原子、置換基を有してもよい炭素原子数1以上6以下のアルキル基、置換基を有してもよい炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基、又は置換基を有してもよい炭素原子数6以上14以下のアリール基を表す。p及びqは、各々独立に、0以上4以下の整数を表す。r及びsは、各々独立に、1以上3以下の整数を表す。
本発明の画像形成装置は、像担持体と、帯電部と、露光部と、現像部と、転写部とを備える。前記帯電部は、前記像担持体の表面を帯電する。前記露光部は、前記像担持体の前記表面に静電潜像を形成する。前記現像部は、前記静電潜像をトナー像として現像する。前記転写部は、前記トナー像を前記像担持体から被転写体へ転写する。前記帯電部の帯電極性は、負極性である。前記像担持体は、上述の積層型電子写真感光体である。
本発明の積層型電子写真感光体によれば、耐摩耗性及び電気特性を両立することができる。また、本発明の画像形成装置によれば、上述の積層型電子写真感光体を備えることで、画像不良の発生を抑制することができる。
(a)、(b)、及び(c)は、各々、第一実施形態に係る積層型電子写真感光体の構造を示す概略断面図である。 式(HTM−1)で表されるトリアリールアミン誘導体の1H−NMRスペクトルである。 式(HTM−2)で表されるトリアリールアミン誘導体の1H−NMRスペクトルである。 式(HTM−3)で表されるトリアリールアミン誘導体の1H−NMRスペクトルである。 式(HTM−4)で表されるトリアリールアミン誘導体の1H−NMRスペクトルである。 式(HTM−5)で表されるトリアリールアミン誘導体の1H−NMRスペクトルである。 式(HTM−6)で表されるトリアリールアミン誘導体の1H−NMRスペクトルである。 第二実施形態に係る画像形成装置の一態様の構成を示す概略図である。
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。しかし、本発明は、以下の実施形態に何ら限定されない。本発明は、本発明の目的の範囲内で、適宜変更を加えて実施できる。なお、説明が重複する箇所については、適宜説明を省略する場合があるが、発明の要旨を限定するものではない。
以下、炭素原子数1以上6以下のアルキル基、炭素原子数1以上4以下のアルキル基、炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基、及び炭素原子数6以上14以下のアリール基は、各々、次の意味である。
炭素原子数1以上6以下のアルキル基は、直鎖状又は分枝鎖状で非置換の炭素原子数1以上6以下のアルキル基である。炭素原子数1以上6以下のアルキル基の例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、又はヘキシル基が挙げられる。
炭素原子数1以上4以下のアルキル基は、直鎖状又は分枝鎖状で非置換の炭素原子数1以上4以下のアルキル基である。炭素原子数1以上4以下のアルキル基の例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、s−ブチル基、又はt−ブチル基が挙げられる。
炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基は、直鎖状又は分枝鎖状で非置換の炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基である。炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基の例としては、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、s−ブトキシ基、t−ブトキシ基、ペンチルオキシ基、イソペンチルオキシ基、ネオペンチルオキシ基、又はヘキシルオキシ基が挙げられる。
炭素原子数6以上14以下のアリール基は、例えば、炭素原子数6以上14以下の非置換の芳香族単環炭化水素基、炭素原子数6以上14以下の非置換の芳香族縮合二環炭化水素基、又は炭素原子数6以上14以下の非置換の芳香族縮合三環炭化水素基である。炭素原子数6以上14以下のアリール基の例としては、フェニル基、ナフチル基、アントリル基、又はフェナントリル基が挙げられる。
<第一実施形態:積層型電子写真感光体>
第一実施形態は、積層型電子写真感光体(以下、感光体と記載することがある)に関する。以下、図1を参照して、第一実施形態の感光体1について説明する。図1は、第一実施形態に係る感光体1の構造を示す概略断面図である。
感光体1は、例えば、図1(a)に示すように、導電性基体2と、感光層3とを備える。感光層3は、例えば、図1(a)に示すように、導電性基体2上に直接設けられてもよい。感光層3は、電荷発生層3aと、電荷輸送層3bとを含む。感光体1においては、図1(a)に示すように導電性基体2上に電荷発生層3aが設けられ、電荷発生層3aの上に電荷輸送層3bが設けられてもよい。図1(b)に示すように導電性基体2上に電荷輸送層3bが設けられ、電荷輸送層3b上に電荷発生層3aが設けられてもよい。ただし、一般に電荷輸送層3bの膜厚は、電荷発生層3aの膜厚に比べ厚いため、電荷輸送層3bは、電荷発生層3aに比べ破損しにくい。このため、感光体1では、図1(a)に示すように、電荷発生層3a上に電荷輸送層3bが設けられることが好ましい。
第一実施形態に係る感光体1は、耐摩耗性及び電気特性を両立することができる。その理由は、以下のように推測される。感光層3は、電荷発生剤を含有する電荷発生層3aと、正孔輸送剤及びバインダー樹脂を含有する電荷輸送層3bとを有する。また、電荷輸送層3bは、正孔輸送剤として、一般式(1)で表されるトリアリールアミン誘導体、及び一般式(2)で表されるトリアリールアミン誘導体のうちの1種以上を含む。このようなトリアリールアミン誘導体には、各々、2個の窒素原子の間に二重結合が存在している。このような構造を有する一般式(1)又は(2)で表されるトリアリールアミン誘導体は、正孔輸送能に優れる傾向にある。
一般式(1)又は(2)で表されるトリアリールアミン誘導体は、特定の構造を有することにより、溶剤への溶解性が優れる傾向にある。一般式(1)又は(2)で表されるトリアリールアミン誘導体とバインダー樹脂との相溶性が優れる傾向にある。このため、一般式(1)又は(2)で表されるトリアリールアミン誘導体が均一に分散する電荷輸送層用塗布液を調製でき、一般式(1)又は(2)で表されるトリアリールアミン誘導体を電荷輸送層3b中で均一に分散できると考えられる。したがって、第一実施形態に係る感光体1は、電気特性(感度特性)に優れると考えられる。
また、上述したように電荷輸送層3bは、バインダー樹脂と特定の構造を有する正孔輸送剤を含有する。電荷輸送層3bは、正孔輸送剤を、バインダー樹脂100質量部に対して30質量部以上55質量部以下含む。一般式(1)又は(2)で表されるトリアリールアミン誘導体と、バインダー樹脂とは電荷輸送層3b中でスタッキング構造を形成し易いため、電荷輸送層3bの層密度が高まり電荷輸送層3bの膜強度が向上すると考えられる。
更に、一般式(1)又は(2)で表されるトリアリールアミン誘導体は優れた正孔輸送能を有するため、電荷輸送層3bでの正孔輸送剤の含有量を低減できる。一方、正孔輸送剤の含有量が多すぎると、正孔輸送剤は可塑剤として機能する。このため、正孔輸送剤の含有量を低減することにより、感光体1の耐摩耗性の低下を抑制する傾向にある。したがって、第一実施形態に係る感光体1は、耐摩耗性に優れると考えられる。
また、正孔輸送剤の含有量が多いと、電荷輸送層3bの電荷輸送能は向上する。第一実施形態に係る感光体1では、正孔輸送剤の含有量が30質量部以上55質量部以下であるため、トレードオフの関係にある耐摩耗性及び電気特性を両立することができる。
引き続き、感光体1について説明する。感光層3は、導電性基体2上に間接的に設けられてもよい。例えば、図1(c)に示すように、導電性基体2と感光層3との間に中間層4が適宜に設けられていてもよい。また、図1(a)及び図1(b)に示すように、感光層3が最外層として露出していてもよい。あるいは、感光層3上に保護層5が適宜に備えられていてもよい。
感光層3の厚さは、感光層として充分に作用することができる限り、特に限定されない。感光層3の厚さは、例えば、5μm以上100μm以下であり、10μm以上50μm以下であることが好ましい。
以上、図1を参照して、第一実施形態に係る感光体1の構造を説明した。続いて、第一実施形態に係る感光体の要素(導電性基体2、感光層3、及び中間層4)を説明する。更に、感光体の製造方法も説明する。
[1.導電性基体]
導電性基体は、感光体の導電性基体として用いることができる限り、特に限定されない。導電性基体としては、例えば、少なくとも表面部が導電性を有する材料で構成される導電性基体を用いることができる。導電性基体としては、例えば、全体的に導電性材料から構成される導電性基体、又は部分的に導電性材料から構成される導電性基体(より具体的には、導電性材料で被覆された導電性基体)が挙げられる。例えば、絶縁性材料(例えば、プラスチック材料又はガラス)の表面が導電性材料(例えば、ヨウ化アルミニウム、アルマイト、酸化スズ、又は酸化インジウム)で被覆(例えば、蒸着、又はラミネート)された導電性基体を用いてもよい。導電性材料としては、例えば、金属(より具体的には、アルミニウム、鉄、アルミニウム、銅、スズ、白金、銀、バナジウム、モリブデン、クロム、カドミウム、チタン、ニッケル、パラジウム、又はインジウム等)、又は合金(より具体的には、ステンレス鋼、又は真鍮等)が挙げられる。これらの導電性を有する材料のうち、1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて(例えば、合金として)用いてもよい。これらの導電性を有する材料の中でも、感光層から導電性基体への電荷の移動が良好であり、より好適な画像を形成し易いことから、アルミニウム又はアルミニウム合金が好ましい。
導電性基体の形状は、特に限定されない。例えば、使用する画像形成装置の構造に合わせて適宜選択することができる。より具体的には、シート状の導電性基体、又はドラム状の導電性基体を使用することができる。また、導電性基体の厚みは、導電性基体の形状に応じて、適宜選択することができる。ただし、導電性基体は、使用に際して、十分な機械的強度を有することが好ましい。
[2.感光層]
既に上述したように、感光層は、電荷発生層と電荷輸送層とを有する。感光層は、添加剤を更に含有してもよい。以下、電荷発生層及び電荷輸送層を説明する。また、感光層に必要に応じて含まれてもよい添加剤について説明する。
[2−1.電荷発生層]
電荷発生層は、例えば、電荷発生剤、及び電荷発生層用バインダー樹脂(以下、ベース樹脂と記載することがある)を含む。電荷発生層の膜厚は、電荷発生層として十分に作用することができれば、特に限定されない。電荷発生層の膜厚は、具体的には、0.1μm以上5μm以下であることが好ましく、0.1μm以上3μm以下であることがより好ましい。以下、電荷発生剤、及びベース樹脂について説明する。
[2−1−1.電荷発生剤]
電荷発生剤は、感光体用の電荷発生剤である限り、特に限定されない。電荷発生剤としては、例えば、フタロシアニン系顔料、ペリレン顔料、ビスアゾ顔料、ジチオケトピロロピロール顔料、無金属ナフタロシアニン顔料、金属ナフタロシアニン顔料、スクアライン顔料、トリスアゾ顔料、インジゴ顔料、アズレニウム顔料、シアニン顔料、無機光導電材料(例えば、セレン、セレン−テルル、セレン−ヒ素、硫化カドミウム、又はアモルファスシリコン)の粉末、ピリリウム塩、アンサンスロン系顔料、トリフェニルメタン系顔料、スレン系顔料、トルイジン系顔料、ピラゾリン系顔料、又はキナクリドン系顔料が挙げられる。フタロシアニン系顔料としては、例えば、式(H2Pc)で表される無金属フタロシアニン、又は金属フタロシアニンが挙げられる。金属フタロシアニンとしては、例えば、式(TiOPc)で表されるチタニルフタロシアニン、又は酸化チタン以外の金属が配位したフタロシアニン(例えば、V型ヒドロキシガリウムフタロシアニン)が挙げられる。無金属フタロシアニン、又は金属フタロシアニンは、誘導体化して使用されてもよい。
Figure 2017090629
Figure 2017090629
無金属フタロシアニンは、結晶であってもよい。無金属フタロシアニンの結晶としては、例えば、X型無金属フタロシアニンが挙げられる。また、チタニルフタロシアニンは、結晶であってもよい。チタニルフタロシアニンの結晶としては、例えば、α型チタニルフタロシアニン、β型チタニルフタロシアニン、又はY型チタニルフタロシアニンが挙げられる。
これらの電荷発生剤のうち、フタロシアニン系顔料が好ましく、X型無金属フタロシアニン又はY型チタニルフタロシアニンがより好ましい。電荷発生剤は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
所望の領域に吸収波長を有する電荷発生剤を単独で用いてもよいし、2種以上の電荷発生剤を組み合わせて用いてもよい。更に、例えば、デジタル光学系の画像形成装置(例えば、半導体レーザーのような光源を使用したレーザービームプリンター、又はファクシミリ)には、700nm以上の波長領域に感度を有する感光体を用いることが好ましい。そのため、例えば、フタロシアニン系顔料(例えば、X型無金属フタロシアニン、又はY型チタニルフタロシアニン)が好適に用いられる。フタロシアニン系顔料の結晶形状(例えば、α型、β型、又はY型)については特に限定されず、種々の結晶形状を有するフタロシアニン系顔料が使用される。
短波長レーザー光源(例えば、350nm以上550nm以下程度の波長を有するレーザー光源)を用いた画像形成装置に適用される感光体には、電荷発生剤として、アンサンスロン系顔料、又はペリレン系顔料が好適に用いられる。
電荷発生剤の含有量は、感光層においてバインダー樹脂100質量部に対して、0.1質量部以上50質量部以下であることが好ましく、0.5質量部以上30質量部以下であることがより好ましい。
[2−1−2.ベース樹脂]
ベース樹脂は、電荷発生層用の樹脂であれば、特に限定されない。ベース樹脂としては、例えば、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、アクリル共重合体、スチレン−アクリル酸共重合体、ポリエチレン樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体、塩素化ポリエチレン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリプロピレン樹脂、アイオノマー樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、アルキド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリスルホン樹脂、ジアリルフタレート樹脂、ケトン樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリエーテル樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、エポキシ−アクリル酸系樹脂、又はウレタン−アクリル酸系樹脂が挙げられる。ベース樹脂としては、ポリビニルブチラール樹脂、又はポリビニルアセタール樹脂が好適に使用される。これらのベース樹脂は、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
ベース樹脂は、後述するバインダー樹脂と同様の樹脂も例示されているが、同一の感光体においては、通常、バインダー樹脂と異なる樹脂が選択される。これは、以下の理由による。感光体を製造する際、通常、電荷発生層を形成した後に電荷発生層上に電荷輸送層を形成する。そのため、電荷発生層に、電荷輸送層用塗布液を塗布することになる。電荷輸送層を形成する際に、電荷発生層のベース樹脂が電荷輸送層用塗布液の溶剤に溶解しないことが求められるからである。そこで、ベース樹脂は、同一の感光体においては、バインダー樹脂とは異なる樹脂であることが好ましい。
[2−2.電荷輸送層]
電荷輸送層は、正孔輸送剤、及びバインダー樹脂を含有する。電荷輸送層の膜厚は、電荷輸送層として十分に作用することができれば、特に限定されない。電荷輸送層の膜厚は、具体的には、2μm以上100μm以下であることが好ましく、5μm以上50μm以下であることがより好ましい。以下、正孔輸送剤、及びバインダー樹脂について説明する。
[2−2−1.正孔輸送剤]
感光層には、正孔輸送剤として、一般式(1)で表されるトリアリールアミン誘導体(以下、トリアリールアミン誘導体(1)と記載することがある)及び一般式(2)で表されるトリアリールアミン誘導体(以下、トリアリールアミン誘導体(2)と記載することがある)のうちの1種以上が含有される。
Figure 2017090629
一般式(1)中、R1及びR2は、各々独立に、ハロゲン原子、置換基を有してもよい炭素原子数1以上6以下のアルキル基、置換基を有してもよい炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基、又は置換基を有してもよい炭素原子数6以上14以下のアリール基を表す。k及びlは、各々独立に、0以上4以下の整数を表す。mは、1以上3以下の整数を表す。
Figure 2017090629
一般式(2)中、R3及びR4は、各々独立に、ハロゲン原子、置換基を有してもよい炭素原子数1以上6以下のアルキル基、置換基を有してもよい炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基、又は置換基を有してもよい炭素原子数6以上14以下のアリール基を表す。p及びqは、各々独立に、0以上4以下の整数を表す。r及びsは、各々独立に、1以上3以下の整数を表す。
一般式(1)及び(2)中、R1、R2、R3、及びR4の表す炭素原子数1以上6以下のアルキル基、炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基、又は炭素原子数6以上14以下のアリール基は、置換基を有してもよい。R1、R2、R3、及びR4が置換基を有する炭素原子数1以上6以下のアルキル基、又は置換基を有する炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基を表す場合、置換基としては、例えば、炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基、又は炭素原子数6以上14以下のアリール基が挙げられる。R1、R2、R3、及びR4が置換基を有する炭素原子数6以上12以下のアリール基である場合、置換基としては、例えば、炭素原子数1以上6以下のアルキル基、炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基、又は炭素原子数6以上14以下のアリール基が挙げられる。
一般式(1)及び(2)中、R1、R2、R3、及びR4の置換位置は特に限定されない。例えば、R1は、R1を有するフェニル基が結合する窒素原子に対して、オルト位(o位)、メタ位(m位)、及びパラ位(p位)の何れにも位置することができる。
一般式(1)及び(2)中、k、l、p、及びqが各々2以上の整数を表す場合、同一のベンゼン環に存在する複数のR1、複数のR2、複数のR3、及び複数のR4は各々同一であっても異なっていてもよい。以下、一般式(1−1)及び(2−1)を参照しながら詳細に説明する。一般式(1−1)及び(2−1)は、各々、一般式(1)及び(2)に対応する。
Figure 2017090629
一般式(1−1)中、R1a、R1b、R1c、R1d、R1e、R2a、R2b、R2c、R2d、及びR2eは、各々独立に、水素原子、ハロゲン原子、置換基を有してもよい炭素原子数1以上6以下のアルキル基、置換基を有してもよい炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基、及び置換基を有してもよい炭素原子数6以上12以下のアリール基を表す。ただし、R1a、R1b、R1c、R1d、及びR1eから選択されるk個の基は、水素原子ではない。また、R2a、R2b、R2c、R2d、及びR2eから選択されるl個の基は、水素原子ではない。k及びlは、各々独立に、0以上4以下の整数を表す。mは、1以上3以下の整数を表す。
Figure 2017090629
一般式(2−1)中、R3a、R3b、R3c、R3d、R3e、R4a、R4b、R4c、R4d、及びR4eは、各々独立に、ハロゲン原子、置換基を有してもよい炭素原子数1以上6以下のアルキル基、置換基を有してもよい炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基、又は置換基を有してもよい炭素原子数6以上14以下のアリール基を表す。ただし、R3a、R3b、R3c、R3d、及びR3eから選択されるp個の基は、水素原子ではない。また、R4a、R4b、R4c、R4d、及びR4eから選択されるq個の基は、水素原子ではない。p及びqは、各々独立に、0以上4以下の整数を表す。r及びsは、各々独立に、1以上3以下の整数を表す。
例えば、一般式(1)中、kが2以上の整数を表す場合、同一のベンゼン環に存在する複数のR1が同一であっても異なっていてもよいとは、以下を意味する。一般式(1−1)のベンゼン環(A)に存在するR1a、R1b、R1c、R1d、及びR1eは、各々、同一の基であっても、異なる基であってもよい。ただし、ベンゼン環(A)に存在するR1cと、ベンゼン環(B)に存在するR1cとは同一の基である。
一般式(1)中、lが2以上の整数を表す場合、一般式(1−1)のベンゼン環(C)に存在するR2a、R2b、R2c、R2d、及びR2eと、ベンゼン環(D)に存在するR2a、R2b、R2c、R2d、及びR2eとの関係は、一般式(1−1)のベンゼン環(A)に存在するR1a、R1b、R1c、R1d、及びR1eと、ベンゼン環(B)に存在するR1a、R1b、R1c、R1d、及びR1eとの関係と同様である。
一般式(2)中、pが2以上の整数を表す場合、一般式(2−1)のベンゼン環(E)に存在するR3a、R3b、R3c、R3d、及びR3eと、ベンゼン環(F)に存在するR3a、R3b、R3c、R3d、及びR3eとの関係は、一般式(1−1)のベンゼン環(A)に存在するR1a、R1b、R1c、R1d、及びR1eと、ベンゼン環(B)に存在するR1a、R1b、R1c、R1d、及びR1eとの関係と同様である。
一般式(2)中、qが2以上の整数を表す場合、一般式(2−1)のベンゼン環(G)に存在するR4a、R4b、R4c、R4d、及びR4eと、ベンゼン環(H)に存在するR4a、R4b、R4c、R4d、及びR4eとの関係は、一般式(1−1)のベンゼン環(A)に存在するR1a、R1b、R1c、R1d、及びR1eと、ベンゼン環(B)に存在するR1a、R1b、R1c、R1d、及びR1eとの関係と同様である。
以上、一般式(1)及び(2)中、k、l、p、及びqが2以上の整数を表す場合について説明した。引き続き、一般式(1)及び(2)について説明する。
耐摩耗性及び電気特性を両立するという観点から、一般式(1)及び(2)中、R1、R2及びR4は、各々独立に、炭素原子数1以上6以下のアルキル基を表すことが好ましく、メチル基、又はエチル基を表すことがより好ましい。
耐摩耗性及び電気特性を両立するという観点から、一般式(1)中、kが0を表しlが0を表すこと、又はkが1を表しlが0を表すことが好ましい。kが1を表す場合、R1は、R1を有するフェニル基が結合する窒素原子に対してパラ位に存在することが好ましい。lが1を表す場合、R2は、R2を有するフェニル基が結合する窒素原子に対してパラ位に存在することが好ましい。
耐摩耗性及び電気特性を両立するという観点から、一般式(2)中、pは0を表すことが好ましく、qは2であることが好ましい。
qが2を表す場合、同一のベンゼン環に存在する2個のR4は何れも、R4を有するフェニル基が結合する窒素原子に対してオルト位に存在することが好ましい。同一のベンゼン環に存在する2個のR4は同一でも異なっていてもよい。
同一のベンゼン環に存在する2個のR4は同一でも異なっていてもよいとは、以下を意味する。一般式(2−1)において、ベンゼン環(G)に存在するR4a、R4b、R4c、R4d、及びR4eのうちの2個の基は、ハロゲン原子、置換基を有してもよい炭素原子数1以上6以下のアルキル基、置換基を有してもよい炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基、及び置換基を有してもよい炭素原子数6以上14以下のアリール基からなる群から選択される、同一又は異なる基である。ベンゼン環(G)に存在するR4a、R4b、R4c、R4d、及びR4eのうちの2個以外の基は、水素原子である。ただし、ベンゼン環(G)に存在するR4cと、ベンゼン環(H)に存在するR4cとは同一の基である。
耐摩耗性及び電気特性を両立するという観点から、一般式(2)中、rは2を表し、sは2を表すことが好ましい。
耐摩耗性及び電気特性を両立するという観点から、トリアリールアミン誘導体(1)及び(2)のなかでも、トリアリールアミン誘導体(2)を使用することが好ましい。
感光層には、正孔輸送剤として、トリアリールアミン誘導体(1)及び(2)のうちの2種以上を含むことができる。トリアリールアミン誘導体(1)及び(2)のうちの2種以上が含まれる場合、トリアリールアミン誘導体(1)のうちの1種以上と、トリアリールアミン誘導体(2)のうちの1種以上とを、併用してもよい。あるいは、トリアリールアミン誘導体(1)のうちの2種以上を使用してもよい。あるいは、トリアリールアミン誘導体(2)のうちの2種以上を使用してもよい。
トリアリールアミン誘導体(1)及び(2)のうちの1種以上に加えて、トリアリールアミン誘導体(1)及び(2)以外の別の正孔輸送剤を組み合わせて用いてもよい。別の正孔輸送剤は、公知の正孔輸送剤から適宜選択できる。
正孔輸送剤の合計含有量は、感光層においてバインダー樹脂100質量部に対して、10質量部以上200質量部以下であることが好ましく、10質量部以上100質量部以下であることがより好ましい。
トリアリールアミン誘導体(1)及び(2)の具体例としては、式(HTM−1)〜(HTM−7)で表されるトリアリールアミン誘導体が挙げられる。以下、式(HTM−1)〜(HTM−7)で表されるトリアリールアミン誘導体を、各々、トリアリールアミン誘導体(HTM−1)〜(HTM−7)と記載することがある。
Figure 2017090629
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トリアリールアミン誘導体(HTM−1)〜(HTM−7)のうち、トリアリールアミン誘導体(HTM−1)〜(HTM−6)の1H−NMRチャートを、それぞれ図2〜図7に示す。
トリアリールアミン誘導体(1)及び(2)は、例えば、以下のような工程を含む製造方法で製造できる。詳しくは、トリアリールアミン誘導体(1)の製造方法は、反応式(R−1)及び(R−2)にて表される反応を行う工程を含む。
Figure 2017090629
また、トリアリールアミン誘導体(2)の製造方法は、反応式(R−3)及び(R−4)にて表される反応を行う工程を含む。
Figure 2017090629
反応式(R−1)〜(R−4)中、R1、R2、R3及びR4は、各々独立に、ハロゲン原子、置換基を有してもよい炭素原子数1以上6以下のアルキル基、置換基を有してもよい炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基、及び置換基を有してもよい炭素原子数6以上14以下のアリール基からなる群から選択される。k、l、p及びqは、各々独立に、0以上4以下の整数を表す。m、r、及びsは、各々独立に、1以上3以下の整数を表す。Xは、ハロゲン原子を表す。
なお、反応式(R−1)〜(R−4)で表される反応は、カップリング反応である。
反応式(R−1)で表される反応では、一般式(3)で表される化合物(以下、アニリン誘導体(3)と記載することがある)と、一般式(4)で表される化合物(以下、ベンゼン誘導体(4)と記載することがある)とを反応させて、一般式(5)で表される化合物(トリアリールアミン誘導体(1)の中間体。以下、中間体(5)と記載することがある)を得る。
アニリン誘導体(3)と、ベンゼン誘導体(4)との反応比率は、(アニリン誘導体(3))/(ベンゼン誘導体(4))のモル比率が1/2以上2/1以下であることが好ましい。ベンゼン誘導体(4)の反応比率が過小であると、中間体(5)の収率が過度に低くなることがある。一方、ベンゼン誘導体(4)の反応比率が過大であると、過剰となったベンゼン誘導体(4)が未反応のまま過度に残留することがある。
反応式(R−1)で表される反応に関し、反応温度は80℃以上140℃以下であることが好ましい。反応時間は2時間以上10時間以下であることが好ましい。
反応式(R−1)で表される反応においては、触媒としてパラジウム化合物を用いることが好ましい。触媒としてパラジウム化合物を用いることにより、反応式(R−1)で表される反応においては、活性化エネルギーが効果的に低下する。その結果、中間体(5)の収率を向上させることができる。
パラジウム化合物の具体例としては、四価パラジウム化合物類、二価パラジウム化合物類、又はその他のパラジウム化合物類が挙げられる。四価パラジウム化合物類としては、例えば、ヘキサクロルパラジウム(IV)酸ナトリウム四水和物、又はヘキサクロルパラジウム(IV)酸カリウム四水和物が挙げられる。二価パラジウム化合物類としては、例えば、塩化パラジウム(II)、臭化パラジウム(II)、酢酸パラジウム(II)、パラジウムアセチルアセテート(II)、ジクロロビス(ベンゾニトリル)パラジウム(II)、ジクロルビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)、ジクロロテトラミンパラジウム(II)、又はジクロロ(シクロオクタ−1,5−ジエン)パラジウム(II)が挙げられる。その他のパラジウム化合物類としては、例えば、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウムクロロホルム錯体(0)又はテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)が挙げられる。また、パラジウム化合物は1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
パラジウム化合物の添加量は、アニリン誘導体(3)1モルに対して、0.0005モル以上20モル以下であることが好ましく、0.001モル以上1モル以下であることがより好ましい。
また、反応式(R−1)で表される反応は、塩基の存在下で実行されることが好ましい。
反応式(R−1)で表される反応を塩基の存在下で実行することにより、反応系中で発生するハロゲン化水素が速やかに中和され、触媒活性が向上する。その結果、中間体(5)の収率を向上させることができる。
塩基は、無機塩基であってもよいし、有機塩基であってもよい。有機塩基としては、特に限定されないが、例えば、アルカリ金属アルコシド(ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、カリウムメトキシド、カリウムエトキシド、リチウム−tert−ブトキシド、ナトリウム−tert−ブトキシド、又はカリウム−tert−ブトキシド)が好ましく、ナトリウム−tert−ブトキシドがより好ましい。また、無機塩基としては、リン酸三カリウム、又はフッ化セシウムが挙げられる。
アニリン誘導体(3)1モルに対して、パラジウム化合物0.005モルを加えた場合、塩基の添加量は1モル以上10モル以下であることが好ましく、1モル以上5モル以下であることがより好ましい。
反応式(R−1)で表される反応は、溶剤中で行うことができる。溶剤としては、例えば、キシレン(o−、m−、又はp−)、トルエン、テトラヒドロフラン、又はジメチルホルムアミドが挙げられる。
次に、反応式(R−2)で表される反応について説明する。反応式(R−2)においては、中間体(5)と、一般式(6)で表される化合物(以下、スチルベン誘導体(6)と記載することがある)とを反応させて、トリアリールアミン誘導体(1)を得る。
反応式(R−2)で表される反応において、中間体(5)とスチルベン誘導体(6)との反応比率は、(中間体(5))/(スチルベン誘導体(6))のモル比率が1/2.5以上1/1以下であることが好ましい。スチルベン誘導体(6)の反応比率が過小であると、トリアリールアミン誘導体(1)の収率が過度に低下する場合がある。一方、スチルベン誘導体(6)の反応比率が過大であると、反応後に未反応のスチルベン誘導体(6)が過度に残留し、トリアリールアミン誘導体(1)の精製が困難となることがある。
反応式(R−2)で表される反応に関し、反応温度は80℃以上140℃以下であることが好ましい。反応時間は2時間以上10時間以下であることが好ましい。
反応式(R−2)で表される反応は触媒の存在下にて行うことができる。用いられる触媒としては、例えば、ナトリウムアルコキシド(ナトリウムメトキシド、又はナトリウムエトキシド)、金属水素化物(水素化ナトリウム、又は水素化カリウム)、又は金属塩(例えば、n−ブチルリチウム)が挙げられる。これらの触媒は1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。こうした触媒の添加量は、スチルベン誘導体(6)の合計1モルに対して、1モル以上2モル以下であることが好ましい。こうした触媒の添加量が過少であると、中間体(5)とスチルベン誘導体(6)との反応性が著しく低下することがある。一方、こうした触媒の添加量が過多であると、反応の制御が困難になることがある。
反応式(R−2)で表される反応においては、触媒としてパラジウム化合物を用いることが好ましい。触媒としてパラジウム化合物を用いることにより、反応式(R−2)で表される反応における活性化エネルギーが効果的に低下する。その結果、トリアリールアミン誘導体(1)の収率を向上させることができる。
パラジウム化合物の具体例としては、四価パラジウム化合物類、二価パラジウム化合物類、又はその他のパラジウム化合物類が挙げられる。四価パラジウム化合物類としては、例えば、ヘキサクロルパラジウム(IV)酸ナトリウム四水和物、又はヘキサクロルパラジウム(IV)酸カリウム四水和物が挙げられる。二価パラジウム化合物類としては、例えば、塩化パラジウム(II)、臭化パラジウム(II)、酢酸パラジウム(II)、パラジウムアセチルアセテート(II)、ジクロロビス(ベンゾニトリル)パラジウム(II)、ジクロルビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)、ジクロロテトラミンパラジウム(II)、又はジクロロ(シクロオクタ−1,5−ジエン)パラジウム(II)が挙げられる。その他のパラジウム化合物類としては、例えば、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウムクロロホルム錯体(0)、又はテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)が挙げられる。また、パラジウム化合物は1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
パラジウム化合物の添加量は、中間体(5)1モルに対して、0.0005モル以上20モル以下であることが好ましく、0.001モル以上1モル以下であることがより好ましい。
また、反応式(R−2)で表される反応は、塩基の存在下で実行されることが好ましい。
反応式(R−2)で表される反応を塩基の存在下で実行することにより、反応系中で発生するハロゲン化水素が速やかに中和され、触媒活性が向上する。その結果、トリアリールアミン誘導体(1)の収率を向上させることができる。
塩基は、無機塩基であってもよいし、有機塩基であってもよい。有機塩基としては、特に限定されないが、例えば、アルカリ金属アルコシド(ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、カリウムメトキシド、カリウムエトキシド、リチウム−tert−ブトキシド、ナトリウム−tert−ブトキシド、又はカリウム−tert−ブトキシド)が好ましく、ナトリウム−tert−ブトキシドがより好ましい。また、無機塩基としては、リン酸三カリウム、又はフッ化セシウムが挙げられる。
中間体(5)1モルに対して、パラジウム化合物0.005モルを加えた場合、塩基の添加量は1モル以上10モル以下であることが好ましく、1モル以上5モル以下であることがより好ましい。
反応式(R−2)で表される反応は、例えば溶剤中で実行される。溶剤としては、例えば、キシレン(o−、m−、又はp−)、トルエン、テトラヒドロフラン、又はジメチルホルムアミドが挙げられる。
次いで、トリアリールアミン誘導体(2)を製造する方法について述べる。トリアリールアミン誘導体(2)の製造方法は、例えば、反応式(R−3)及び反応式(R−4)で表される反応を行う工程を含む。
反応式(R−3)で表される反応では、アニリン誘導体(3)と、一般式(7)で表される化合物(以下、ベンゼン誘導体(7)と記載することがある)とを反応させて、一般式(8)で表される化合物(トリアリールアミン誘導体(2)の中間体。以下、中間体(8)と記載することがある)を得る。
アニリン誘導体(3)と、ベンゼン誘導体(7)との反応比率は、モル比率(アニリン誘導体(3)/ベンゼン誘導体(7))が1/2以上2/1以下であることが好ましい。ベンゼン誘導体(7)の反応比率が過小であると、中間体(8)の収率が過度に低くなることがある。一方、ベンゼン誘導体(7)の反応比率が過大であると、過剰となったベンゼン誘導体(7)が未反応のまま過度に残留することがある。
反応式(R−3)で表される反応に関し、反応温度は80℃以上140℃以下であることが好ましい。反応時間は2時間以上10時間以下であることが好ましい。
反応式(R−3)で表される反応においては、触媒としてパラジウム化合物を用いることが好ましい。触媒としてパラジウム化合物を用いることにより、反応式(R−3)で表される反応における活性化エネルギーが効果的に低下する。その結果、中間体(8)の収率を向上させることができる。
パラジウム化合物の具体例としては、四価パラジウム化合物類、二価パラジウム化合物類、又はその他のパラジウム化合物類が挙げられる。四価パラジウム化合物類としては、例えば、ヘキサクロルパラジウム(IV)酸ナトリウム四水和物、又はヘキサクロルパラジウム(IV)酸カリウム四水和物が挙げられる。二価パラジウム化合物類としては、例えば、塩化パラジウム(II)、臭化パラジウム(II)、酢酸パラジウム(II)、パラジウムアセチルアセテート(II)、ジクロロビス(ベンゾニトリル)パラジウム(II)、ジクロルビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)、ジクロロテトラミンパラジウム(II)、又はジクロロ(シクロオクタ−1,5−ジエン)パラジウム(II)が挙げられる。その他のパラジウム化合物類としては、例えば、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウムクロロホルム錯体(0)又はテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)が挙げられる。また、パラジウム化合物は1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
パラジウム化合物の添加量は、アニリン誘導体(3)1モルに対して、0.0005モル以上20モル以下であることが好ましく、0.001モル以上1モル以下であることがより好ましい。
また、反応式(R−3)で表される反応は、塩基の存在下で実行されることが好ましい。
反応式(R−3)で表される反応を塩基の存在下で実行することにより、反応系中で発生するハロゲン化水素が速やかに中和され、触媒活性が向上する。その結果、中間体(8)の収率を向上させることができる。
塩基は、無機塩基であってもよいし、有機塩基であってもよい。有機塩基としては、特に限定されないが、例えば、アルカリ金属アルコシド(ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、カリウムメトキシド、カリウムエトキシド、リチウム−tert−ブトキシド、ナトリウム−tert−ブトキシド、又はカリウム−tert−ブトキシド)が好ましく、ナトリウム−tert−ブトキシドがより好ましい。また、無機塩基としては、リン酸三カリウム、又はフッ化セシウムが挙げられる。
一般式(7)で表されるスチルベン誘導体1モルに対して、パラジウム化合物0.005モルを加えた場合、塩基の添加量は1モル以上10モル以下であることが好ましく、1モル以上5モル以下であることがより好ましい。
反応式(R−3)で表される反応は、溶剤中で行うことができる。溶剤としては、例えば、キシレン(o−、m−、又はp−)、トルエン、テトラヒドロフラン、又はジメチルホルムアミドが挙げられる。
次に、反応式(R−4)で表される反応について説明する。
反応式(R−4)においては、中間体(8)と、スチルベン誘導体(6)とを反応させて、トリアリールアミン誘導体(2)を得る。
反応式(R−4)で表される反応において、中間体(8)とスチルベン誘導体(6)との反応比率は、モル比率(中間体(8)/スチルベン誘導体(6))が1/2.5以上1/1以下であることが好ましい。スチルベン誘導体(6)の反応比率が過小であると、トリアリールアミン誘導体(2)の収率が過度に低下する場合がある。一方、スチルベン誘導体(6)の反応比率が過大であると、反応後に未反応のスチルベン誘導体(6)が過度に残留し、トリアリールアミン誘導体(2)の精製が困難となることがある。
反応式(R−4)で表される反応に関し、反応温度は80℃以上140℃以下であることが好ましい。反応時間は2時間以上10時間以下であることが好ましい。
反応式(R−4)で表される反応は触媒の存在下にて行うことができる。用いられる触媒としては、例えば、ナトリウムアルコキシド(ナトリウムメトキシド、又はナトリウムエトキシド)、金属水素化物(水素化ナトリウム、又は水素化カリウム)、又は金属塩(例えば、n−ブチルリチウム)が挙げられる。これらの触媒は1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。こうした触媒の添加量は、スチルベン誘導体(6)の合計1モルに対して、1モル以上2モル以下であることが好ましい。こうした触媒の添加量が過少であると、中間体(8)とスチルベン誘導体(6)との反応性が著しく低下することがある。一方、こうした触媒の添加量が過多であると、反応の制御が困難になることがある。
反応式(R−4)で表される反応においては、触媒としてパラジウム化合物を用いることが好ましい。触媒としてパラジウム化合物を用いることにより、反応式(R−4)で表される反応における活性化エネルギーが効果的に低下する。その結果、トリアリールアミン誘導体(2)の収率を向上させることができる。
パラジウム化合物の具体例としては、四価パラジウム化合物類、二価のパラジウム化合物類、又はその他のパラジウム化合物類が挙げられる。四価パラジウム化合物類としては、例えば、ヘキサクロルパラジウム(IV)酸ナトリウム四水和物、又はヘキサクロルパラジウム(IV)酸カリウム四水和物が挙げられる。二価のパラジウム化合物類としては、例えば、塩化パラジウム(II)、臭化パラジウム(II)、酢酸パラジウム(II)、パラジウムアセチルアセテート(II)、ジクロロビス(ベンゾニトリル)パラジウム(II)、ジクロルビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)、ジクロロテトラミンパラジウム(II)、又はジクロロ(シクロオクタ−1,5−ジエン)パラジウム(II)が挙げられる。その他のパラジウム化合物類としては、例えば、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウムクロロホルム錯体(0)、又はテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)が挙げられる。また、パラジウム化合物は1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
パラジウム化合物の添加量は、中間体(8)1モルに対して、0.0005モル以上20モル以下であることが好ましく、0.001モル以上1モル以下であることがより好ましい。
また、反応式(R−4)で表される反応は、塩基の存在下で実行されることが好ましい。
反応式(R−4)で表される反応を塩基の存在下で実行することにより、反応系中で発生するハロゲン化水素が速やかに中和され、触媒活性が向上する。その結果、トリアリールアミン誘導体(2)の収率を向上させることができる。
塩基は、無機塩基であってもよいし、有機塩基であってもよい。有機塩基としては、特に限定されないが、例えば、アルカリ金属アルコシド(ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、カリウムメトキシド、カリウムエトキシド、リチウム−tert−ブトキシド、ナトリウム−tert−ブトキシド、又はカリウム−tert−ブトキシド)が好ましく、ナトリウム−tert−ブトキシドがより好ましい。また、無機塩基としては、リン酸三カリウム、又はフッ化セシウムが挙げられる。
中間体(8)1モルに対して、パラジウム化合物0.005モルを加えた場合、塩基の添加量は1モル以上10モル以下であることが好ましく、1モル以上5モル以下であることがより好ましい。
反応式(R−4)で表される反応は、例えば溶剤中で実行される。溶剤としては、例えば、キシレン(o−、m−、又はp−)、トルエン、テトラヒドロフラン、又はジメチルホルムアミドが挙げられる。
トリアリールアミン誘導体(1)及び(2)の製造方法では、反応式(R−1)及び(R−2)で表される反応、又は反応式(R−3)及び(R−4)で表される反応を行う工程以外に、必要に応じて適宜な工程を含んでいてもよい。
[2−2−2.バインダー樹脂]
第一実施形態に用いられるバインダー樹脂としては、例えば、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、又は光硬化性樹脂が挙げられる。熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリカーボネート樹脂、スチレン系樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−アクリル酸共重合体、アクリル共重合体、ポリエチレン樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体、塩素化ポリエチレン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリプロピレン樹脂、アイオノマー、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、アルキド樹脂、ポリアミド樹脂、ウレタン樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリスルホン樹脂、ジアリルフタレート樹脂、ケトン樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリエーテル樹脂、又はポリエステル樹脂が挙げられる。熱硬化性樹脂としては、例えば、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、又はその他架橋性の熱硬化性樹脂が挙げられる。光硬化性樹脂としては、例えば、エポキシ−アクリル酸系樹脂、又はウレタン−アクリル酸系樹脂が挙げられる。これらは1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。これらのバインダー樹脂のうち、一般式(I)で表されるポリカーボネート樹脂が好ましい。
バインダー樹脂は、一般式(I)で表されるポリカーボネート樹脂(ポリカーボネート樹脂(I)と記載することがある)を含有することができる。
Figure 2017090629
一般式(I)中、R5、R6、R7及びR8は、各々独立に、水素原子、アルキル基、又はアリール基を表す。ただし、R7及びR8は、互いに結合してシクロアルキリデン基を形成してもよい。t+u=1.00であり、0.35≦t<0.70である。
一般式(I)中、R5及びR6の表すアルキル基としては、例えば、炭素原子数1以上6以下のアルキル基が挙げられ、炭素原子数1以上4以下のアルキル基であることが好ましく、メチル基であることがより好ましい。R5及びR6の表すアルキル基は、無置換であってもよいし、置換基を有してもよい。このような置換基としては、例えば、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、炭素数1以上4以下のアルコキシ基、又はシアノ基が挙げられる。
一般式(I)中、R7及びR8の表すアルキル基としては、例えば、炭素原子数1以上6以下のアルキル基が挙げられる。R7及びR8の表すアルキル基は、無置換であっても、置換基を有してもよい。このような置換基としては、R5及びR6の表すアルキル基の有してもよい置換基と同義である。R7とR8とが互いに結合して環を形成するシクロアルキリデン基としては、炭素原子数5以上7以下のシクロアルキリデン基であることが好ましく、シクロヘキシリデン基であることがより好ましい。
一般式(I)中、R5、R6、R7及びR8の表すアリール基は、例えば、炭素原子数6以上14以下のアリール基が挙げられる。R5、R6、R7及びR8の表すアリール基は、無置換であってもよいし、置換基を有してもよい。このような置換基としては、例えば、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、炭素数1以上4以下のアルキル基、炭素数1以上4以下のアルコキシ基、ニトロ基、又はシアノ基が挙げられる。
一般式(I)中、R5及びR6は、各々独立に、水素原子又は炭素原子数1以上4以下のアルキル基を表すことが好ましく、水素原子又はメチル基を表すことがより好ましい。R7及びR8は、互いに結合して炭素原子数5以上7以下のシクロアルキリデン基を表すことが好ましく、互いに結合してシクロヘキシリデン基を表すことがより好ましい。
ポリカーボネート樹脂(I)は、一般式(I−1)で表される繰返し構造単位(以下、繰返し単位(I−1)と記載することがある)と一般式(I−2)で表される繰返し構造単位(以下、繰返し単位(I−2)と記載することがある)とを含むポリカーボネート樹脂である。なお、一般式(I−1)中のR5は、各々一般式(I)中のR5と同義である。一般式(I−2)中のR6、R7、及びR8は、各々一般式(I)中のR6、R7、及びR8と同義である。
Figure 2017090629
Figure 2017090629
繰返し単位(I−2)における2つのフェニレン基の間には第四級炭素が存在し得る。この第四級炭素がアルキル基で置換されると、第二級炭素が存在する繰返し単位を有するポリカーボネート樹脂と比べて、繰返し単位自体として、相対的に低極性の箇所が部分的に存在する。これにより、正孔輸送剤は、ポリカーボネート樹脂(I)の繰返し単位の近傍に集まりやすくなる。その結果、電荷輸送層中の正孔輸送剤の分散性が高まって、安定した光感度を達成することができる。
一般式(I)中、t及びuに関し、t+u=1.00であり、0.35≦t<0.70である。tは、ポリカーボネート樹脂(I)における繰返し単位(I−1)と繰返し単位(I−2)との合計物質量(モル)に対する、繰返し単位(I−1)の物質量(モル)の比率(モル比率)を表す。uは、ポリカーボネート樹脂(I)における繰返し単位(I−1)と繰返し単位(I−2)との合計物質量(モル)に対する、繰返し単位(I−2)の物質量(モル)の比率(モル比率)を表す。バインダー樹脂として、このようなポリカーボネート樹脂(I)を用いることで、感光体の耐摩耗性及び電気特性が向上し易い。
tの値が0.35以上0.75未満を表す場合、感光体の電気特性及び耐摩耗性が向上する。更に感光体の感度を向上させるためには、tの値は0.35以上0.55以下を表すことがより好ましい。
ポリカーボネート樹脂(I)は、例えば、繰返し単位(I−1)と繰返し単位(I−2)とがランダムに共重合したランダム共重合体であってもよい。又は、例えば、繰返し単位(I−1)と繰返し単位(I−2)とが交互に共重合した交互共重合体であってもよい。又は、1以上の繰返し単位(I−1)と、1以上の繰返し単位(I−2)とが周期的に共重合した周期的共重合体であってもよい。又は、複数の繰返し単位(I−1)からなるブロックと、複数の繰返し単位(I−2)からなるブロックとが共重合したブロック共重合体であってもよい。
バインダー樹脂の分子量は、粘度平均分子量で40,000以上であることが好ましく、40,000以上52,500以下であることがより好ましい。バインダー樹脂の粘度平均分子量が40,000以上である場合、バインダー樹脂の耐摩耗性を十分に高めることができ、電荷輸送層が更に摩耗しにくくなる。また、バインダー樹脂の粘度平均分子量が40,000以上であると、感光体の耐摩耗性に加え、感光体の耐オイルクラック性を向上させ易くなる。一方、バインダー樹脂の分子量が52,500以下である場合、電荷輸送層の形成時に、バインダー樹脂が溶剤に溶解し易くなり、電荷輸送層の形成が容易になる傾向がある。
ポリカーボネート樹脂(I)の製造方法は、特に限定されない。これらの製造方法として、例えば、ポリカーボネート樹脂の繰返し単位を構成するためのジオール化合物とホスゲンとを界面縮重合させる方法(いわゆる、ホスゲン法)、又は、ジオール化合物とジフェニルカーボネートとをエステル交換反応させる方法が挙げられる。より具体的には、例えば、一般式(I−3)で表されるジオール化合物及び一般式(I−4)で表されるジオール化合物を混合して得た混合物と、ホスゲンとを、一般式(I−3)で表されるジオール化合物が存在するように、界面縮重合させる方法が挙げられる。なお、一般式(I−3)中のR5は、一般式(I)中のR5と同義である。一般式(I−4)中のR6、R7及びR8は、各々一般式(I)中のR6、R7及びR8と同義である。
Figure 2017090629
Figure 2017090629
一般式(I)で表されるポリカーボネート樹脂としては、例えば、式(Resin−1)〜(Resin−4)で表されるポリカーボネート樹脂(以下、ポリカーボネート樹脂(Resin−1)〜(Resin−4)と記載することがある)が挙げられる。
Figure 2017090629
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バインダー樹脂の分子量は、粘度平均分子量で40,000以上であることが好ましく、40,000以上52,500以下であることがより好ましい。バインダー樹脂の粘度平均分子量が40,000以上であると、バインダー樹脂の耐摩耗性を十分に高めることができ、感光層が摩耗し難くなる。また、バインダー樹脂の分子量が52,500以下であると、感光層の形成時にバインダー樹脂が溶剤に溶解し易くなり、感光層用塗布液の粘度が高くなり過ぎない。その結果、感光層を形成し易くなる。
[2−3.添加剤]
感光体の電子写真特性に悪影響を与えない範囲で、感光層は各種の添加剤を含有してもよい。添加剤としては、例えば、劣化防止剤(より具体的には、酸化防止剤、ラジカル捕捉剤、消光剤、又は紫外線吸収剤等)、軟化剤、表面改質剤、増量剤、増粘剤、分散安定剤、ワックス、アクセプター(より具体的には、電子輸送剤等)、ドナー、界面活性剤、可塑剤、増感剤、又はレベリング剤が挙げられる。酸化防止剤としては、例えば、ヒンダードフェノール、ヒンダードアミン、パラフェニレンジアミン、アリールアルカン、ハイドロキノン、スピロクロマン、スピロインダノン若しくはこれらの誘導体、有機硫黄化合物、又は有機燐化合物が挙げられる。以下、可塑剤、及び電子輸送剤を説明する。
[2−3−1.可塑剤]
可塑剤としては、例えば、式(BP−1)〜(BP−20)で表されるビフェニル誘導体が挙げられる。これらのうち、可塑剤としては、式(BP−3)で表されるビフェニル誘導体(メタターフェニル)が好ましい。
Figure 2017090629
[2−3−2.電子輸送剤]
既に述べたように、電荷輸送層は、電子輸送剤を含有してもよい。
電子輸送剤としては、例えば、キノン系化合物、ヒドラゾン系化合物、マロノニトリル系化合物、チオピラン系化合物、トリニトロチオキサントン系化合物、3,4,5,7−テトラニトロ−9−フルオレノン系化合物、ジニトロアントラセン系化合物、ジニトロアクリジン系化合物、テトラシアノエチレン、2,4,8−トリニトロチオキサントン、ジニトロベンゼン、ジニトロアントラセン、ジニトロアクリジン、無水コハク酸、無水マレイン酸、又はジブロモ無水マレイン酸が挙げられる。キノン系化合物としては、例えば、ナフトキノン系化合物、ジフェノキノン系化合物、アントラキノン系化合物、アゾキノン系化合物、ニトロアントラキノン系化合物、又はジニトロアントラキノン系化合物が挙げられる。これらの電子輸送剤は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
[3.中間層]
感光体において、中間層(特に、下引き層)は、導電性基体と感光層との間に位置することができる。中間層は、例えば、無機粒子、及び中間層に用いられる樹脂(中間層用樹脂)を含有する。中間層の存在により、リーク発生を抑制し得る程度の絶縁状態を維持しつつ、感光体を露光した時に発生する電流の流れを円滑にして、抵抗の上昇を抑えることができる。
無機粒子としては、例えば、金属(例えば、アルミニウム、鉄、又は銅)、金属酸化物(例えば、酸化チタン、アルミナ、酸化ジルコニウム、酸化スズ、又は酸化亜鉛)の粒子、又は非金属酸化物(例えば、シリカ)の粒子が挙げられる。これらの無機粒子は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
中間層用樹脂としては、中間層を形成する樹脂として用いることができる樹脂である限り、特に限定されない。
中間層は、感光体の電子写真特性に悪影響を与えない範囲で、各種の添加剤を含有してもよい。添加剤は、感光層の添加剤と同様である。
[4.感光体の製造方法]
次に、図1を参照して、感光体1の製造方法について説明する。感光体1の製造方法は、例えば、感光層形成工程を有する。感光層形成工程は、電荷発生層形成工程と、電荷輸送層形成工程とを有する。
[4−1.電荷発生層形成工程]
電荷発生層形成工程では、電荷発生層用塗布液を、導電性基体2上に塗布し、塗布した電荷発生層用塗布液に含まれる溶剤を除去して電荷発生層3aを形成する。電荷発生層用塗布液は、例えば、電荷発生剤と、ベース樹脂と、溶剤とを含む。電荷発生層用塗布液は、電荷発生剤及びベース樹脂を、溶剤に溶解又は分散させることにより調製することができる。電荷発生層用塗布液は、必要に応じて各種添加剤を加えてもよい。
[4−2.電荷輸送層形成工程]
電荷輸送層形成工程では、電荷輸送層形成用塗布液を、電荷発生層3a上に塗布し、塗布した電荷輸送層形成用塗布液に含まれる溶剤の少なくとも一部を除去して電荷輸送層3bを形成する。電荷輸送層形成用塗布液は、例えば、正孔輸送剤としてトリアリールアミン誘導体(1)又は(2)と、バインダー樹脂としてポリカーボネート樹脂(I)と、溶剤とを含む。電荷発生層用塗布液は、例えば、トリアリールアミン誘導体(1)又は(2)、及びポリカーボネート樹脂(I)を溶剤に溶解又は分散させることにより調製することができる。電荷輸送層形成用塗布液には、必要に応じて各種添加剤を加えてもよい。
以下、電荷発生層形成工程及び電荷輸送層形成工程を例に挙げ、感光層形成工程の詳細を説明する。
電荷発生層用塗布液及び電荷輸送層用塗布液に含有される溶剤は、電荷発生層用塗布液及び電荷輸送層用塗布液に含まれる各成分を溶解又は分散できる限り、特に限定されない。溶剤としては、例えば、アルコール類(より具体的には、メタノール、エタノール、イソプロパノール、又はブタノール等)、脂肪族系炭化水素(より具体的には、n−ヘキサン、オクタン、又はシクロヘキサン等)、芳香族炭化水素(より具体的には、ベンゼン、トルエン、又はキシレン等)、ハロゲン化炭化水素(より具体的には、ジクロロメタン、ジクロロエタン、四塩化炭素、又はクロロベンゼン等)、エーテル類(より具体的には、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、エチレングリコールジメチルエーテル、又はジエチレングリコールジメチルエーテル等)、ケトン類(より具体的には、アセトン、メチルエチルケトン、又はシクロヘキサノン等)、エステル類(より具体的には、酢酸エチル、又は酢酸メチル等)、ジメチルホルムアルデヒド、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、又はジメチルスルホキシドが挙げられる。これらの溶剤は、単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。電荷発生層用塗布液及び電荷輸送層用塗布液に含有する溶剤としては、これらの溶剤のうち、非ハロゲン系溶剤が好ましい。
電荷輸送層用塗布液に含まれる溶剤は、トリアリールアミン誘導体(1)又は(2)と、ポリカーボネート樹脂(I)とを均一に溶解又は分散させ易くするため、テトラヒドロフラン(THF)及びトルエンの混合溶媒が好ましい。この混合溶剤に対して、トリアリールアミン誘導体(1)又は(2)と、ポリカーボネート樹脂(I)とは分散性が優れる。このため、トリアリールアミン誘導体(1)又は(2)が均一に分散した電荷輸送層形成用塗布液を調製し易い。そして、このような電荷輸送層形成用塗布液を用いて電荷輸送層を形成すると、トリアリールアミン誘導体(1)又は(2)が均一に分散した電荷輸送層が形成され易い。THFとトルエンの混合比は、8/2(=THF/トルエン(質量比))であることが好ましい。
更に、電荷輸送層形成用塗布液に含有される溶剤は、電荷発生層用塗布液に含有される溶剤と、異なることが好ましい。感光体1を製造する際、通常、電荷発生層3a、電荷輸送層3bの順に形成するため、電荷発生層3a上に、電荷輸送層形成用塗布液を塗布することになる。電荷輸送層形成時に、電荷発生層3aは、電荷輸送層形成用塗布液の溶剤に溶解しないことが求められるからである。
電荷発生層用塗布液及び電荷輸送層用塗布液は、各成分を混合し、溶剤に分散することにより調製される。混合又は分散には、例えば、ビーズミル、ロールミル、ボールミル、アトライター、ペイントシェーカー、又は超音波分散器を用いることができる。
電荷発生層用塗布液及び電荷輸送層用塗布液は、各成分の分散性、又は形成される各々の層の表面平滑性を向上させるために、例えば、界面活性剤又はレベリング剤を含有してもよい。
電荷発生層用塗布液及び電荷輸送層用塗布液を塗布する方法としては、例えば、導電性基体2上に均一に電荷発生層用塗布液及び電荷輸送層用塗布液を塗布できる方法である限り、特に限定されない。塗布方法としては、例えば、ディップコート法、スプレーコート法、スピンコート法、又はバーコート法が挙げられる。
電荷発生層用塗布液及び電荷輸送層用塗布液に含まれる溶剤を除去する方法は、電荷発生層用塗布液及び電荷輸送層用塗布液中の溶剤を除去(例えば、蒸発)させ得る方法である限り、特に限定されない。溶剤を除去する方法としては、例えば、加熱、減圧、又は加熱と減圧との併用が挙げられる。より具体的には、高温乾燥機、又は減圧乾燥機を用いて、熱処理(熱風乾燥)する方法が挙げられる。熱処理条件は、例えば、40℃以上150℃以下の温度、かつ3分間以上120分間以下の時間である。
なお、感光体1の製造方法は、必要に応じて、中間層4を形成する工程、及び/又は保護層5を形成する工程を更に含んでいてもよい。中間層4を形成する工程、及び保護層5を形成する工程では、公知の方法を適宜選択することができる。
以上、図1を参照して、第一実施形態に係る感光体1を説明した。第一実施形態に係る感光体1によれば、耐摩耗性及び電気特性を両立することができる。
<第二実施形態:画像形成装置>
第二実施形態は、画像形成装置に関する。以下、図8を参照して、第二実施形態に係る画像形成装置6の一態様について説明する。図8は、第二実施形態に係る画像形成装置6の一態様の構成を示す概略図である。
以下、画像形成装置6が中間転写方式を採用する場合を例に挙げて、説明する。なお、画像形成装置6が直接転写方式を採用する場合については後述する。
画像形成装置6は、感光体に相当する像担持体1と、帯電装置に対応する帯電部27と、露光装置に対応する露光部28と、現像装置に対応する現像部29と、転写部とを備える。帯電部27は像担持体1の表面を負極性に帯電する。露光部28は、帯電された像担持体1の表面を露光して、像担持体1の表面に静電潜像を形成する。現像部29は、静電潜像をトナー像として現像する。転写部は、像担持体1から被転写体(中間転写ベルト20)へトナー像を転写する。画像形成装置6が中間転写方式を採用する場合、転写部は、一次転写ローラー33に相当する。被転写体は、中間転写ベルト20に相当する。像担持体1として、第一実施形態に係る感光体1が備えられる。
画像形成装置6は、電子写真方式の画像形成装置である限り、特に限定されない。画像形成装置6は、例えば、モノクロ画像形成装置であってもよいし、カラー画像形成装置であってもよい。異なる色のトナーによる各色のトナー像を形成するために、画像形成装置6は、タンデム方式のカラー画像形成装置であってもよい。
以下、タンデム方式のカラー画像形成装置を例に挙げて、画像形成装置6を説明する。画像形成装置6は、所定方向に並設された複数の感光体1と、複数の現像部29とを備える。複数の現像部29は、各々、感光体1に対向して配置される。複数の現像部29は、各々、現像ローラーを備える。現像ローラーは、トナーを担持して搬送し、対応する像担持体1の表面にトナーを供給する。
図8に示すように、画像形成装置6は、箱型の機器筺体7を更に備える。機器筺体7内には、給紙部8、画像形成部9、及び定着部10が設けられる。給紙部8は、用紙Pを給紙する。画像形成部9は、給紙部8から給紙された用紙Pを搬送しながら、用紙Pに画像データに基づくトナー像を転写する。定着部10は、画像形成部9で用紙P上に転写された未定着のトナー像を、用紙Pに定着させる。更に、機器筺体7の上面には、排紙部11が設けられる。排紙部11は、定着部10で定着処理された用紙Pを排紙する。
給紙部8には、給紙カセット12と、第一ピックアップローラー13と、給紙ローラー14、15、及び16と、レジストローラー対17とが備えられる。給紙カセット12は、機器筺体7から挿脱可能に設けられる。給紙カセット12には、各種サイズの用紙Pが貯留される。第一ピックアップローラー13は、給紙カセット12の左上方位置に設けられる。第一ピックアップローラー13は、給紙カセット12に貯留されている用紙Pを1枚ずつ取り出す。給紙ローラー14〜16は、第一ピックアップローラー13によって取り出された用紙Pを搬送する。レジストローラー対17は、給紙ローラー14〜16によって搬送された用紙Pを、一時待機させた後に、所定のタイミングで画像形成部9に供給する。
また、給紙部8は、手差しトレイ(不図示)と、第二ピックアップローラー18とを更に備えている。手差しトレイは、機器筺体7の左側面に取り付けられる。第二ピックアップローラー18は、手差しトレイに載置された用紙Pを取り出す。第二ピックアップローラー18によって取り出された用紙Pは、給紙ローラー14〜16によって搬送され、レジストローラー対17によって、所定のタイミングで画像形成部9に供給される。
画像形成部9には、画像形成ユニット19、中間転写ベルト20、及び二次転写ローラー21が備えられる。中間転写ベルト20には、画像形成ユニット19によって、中間転写ベルト20の周面(像担持体1の表面との接触面)に、トナー像が一次転写される。なお、一次転写されるトナー像は、コンピューターのような上位装置から伝送された画像データに基づいて形成される。二次転写ローラー21は、中間転写ベルト20上のトナー像を、給紙カセット12から送り込まれた用紙Pに二次転写する。
画像形成ユニット19は、イエロートナー供給用ユニット25と、マゼンタトナー供給用ユニット24と、シアントナー供給用ユニット23と、ブラックトナー供給用ユニット22とを備える。画像形成ユニット19には、イエロートナー供給用ユニット25を基準として中間転写ベルト20の回転方向の上流側(図8では右側)から下流側に向けて、イエロートナー供給用ユニット25、マゼンタトナー供給用ユニット24、シアントナー供給用ユニット23、及びブラックトナー供給用ユニット22が順次配設されている。ユニット22〜25には、各ユニットの中央位置に、感光体1が配設されている。感光体1は、矢符(時計回り)方向に回転可能に配設されている。なお、ユニット22〜25は、画像形成装置6本体に対して脱着される後述のプロセスカートリッジであってもよい。
そして、各像担持体1の周囲には、帯電部27、露光部28、現像部29が、帯電部27を基準として各像担持体1の回転方向の上流側から順に配置されている。
像担持体1の回転方向における帯電部27の上流側には、除電器(不図示)、及びクリーニング装置(不図示)が設けられてもよい。除電器は、中間転写ベルト20へのトナー像の一次転写が終了した後、像担持体1の周面を除電する。クリーニング装置及び除電器によって清掃及び除電された像担持体1の周面は、帯電部27へ送られ、新たに帯電処理される。画像形成装置6がクリーニング装置及び/又は除電器を備える場合、各像担持体1の回転方向の上流側から帯電部27を基準として、帯電部27、露光部28、現像部29、一次転写ローラー33、クリーニング装置、及び除電器の順で配置される。
既に述べたように、帯電部27は、像担持体1の表面を帯電する。具体的には、帯電部27は、像担持体1の周面を均一に負極性に帯電する。帯電部27は、像担持体1の表面を均一に帯電できる限り、特に制限されない。帯電部27は、非接触方式の帯電部であってもよいし、接触方式の帯電部であってもよい。このような接触方式の帯電部27としては、例えば、帯電ローラー又は帯電ブラシが挙げられる。帯電部27としては、接触方式の帯電部(より具体的には、帯電ローラー、又は帯電ブラシ等)が好ましい。接触方式の帯電部27を使用することにより、帯電部27から発生する活性ガス(例えば、オゾン、又は窒素酸化物)の排出を抑えることができる。その結果、活性ガスによる感光層の劣化が抑制されるとともに、オフィス環境に配慮した設計が達成できる。
帯電部27が接触方式の帯電ローラーを備える場合、帯電ローラーは、像担持体1と接触したまま、像担持体1の表面を帯電する。このような帯電ローラーとしては、例えば、像担持体1の表面と接触したまま、像担持体1の回転に従属して回転する帯電ローラーが挙げられる。また、帯電ローラーとしては、例えば、少なくとも表面部が樹脂で構成された帯電ローラーが挙げられる。具体的には、帯電ローラーは、回転可能に軸支された芯金と、芯金上に形成された樹脂層と、芯金に電圧を印加する電圧印加部とを備える。このような帯電ローラーを備えた帯電部27は、電圧印加部が芯金に電圧を印加することによって、樹脂層を介して接触する感光体1の表面を帯電させることができる。
帯電ローラーの樹脂層を構成する樹脂は、像担持体1の周面を良好に帯電させることができる限り特に限定されない。樹脂層を構成する樹脂の具体例としては、シリコーン樹脂、ウレタン樹脂、又はシリコーン変性樹脂が挙げられる。樹脂層には、無機充填材を含有させてもよい。
上述のような接触方式の帯電部27を使用することにより、帯電部27から発生する活性ガス(例えば、オゾン、又は窒素酸化物)の排出を抑えることができると考えられる。その結果、活性ガスによる感光層の劣化が抑制されるとともに、オフィス環境に配慮した設計が可能になると考えられる。
帯電部27が印加する電圧は、特に限定されない。しかし、帯電部27が交流電圧を印加すること、又は直流電圧に交流電圧を重畳した重畳電圧を印加することよりも、帯電部27が直流電圧のみを印加することが好ましい。帯電部27が直流電圧のみを印加すると、像担持体1に印加される電圧値が一定であるため、像担持体1の表面を一様に一定電位まで帯電させ易い。また、帯電部27が直流電圧のみを印加すると、感光層の磨耗量が減少する傾向がある。その結果、好適な画像を形成することができる。帯電部27が感光体1に印加する直流電圧は、1,000V以上2000V以下であることが好ましく、1,200V以上1,800V以下であることがより好ましく、1,400V以上1,600V以下であることが特に好ましい。
露光部28としては、例えば、露光装置が挙げられ、より具体的には、レーザー走査ユニットが挙げられる。露光部28は、帯電された像担持体1の表面を露光して、像担持体1の表面に静電潜像を形成する。具体的には、露光部28は、帯電部27によって均一に帯電された像担持体1の周面に、パーソナルコンピューターのような上位装置から入力された画像データに基づくレーザー光を照射する。これにより、像担持体1の周面に、画像データに基づく静電潜像が形成される。
既に述べたように、現像部29は、静電潜像をトナー像として現像する。現像部29としては、例えば、現像装置が挙げられる。具体的には、現像部29は、静電潜像が形成された像担持体1の周面にトナーを供給し、画像データに基づくトナー像を形成する。そして、形成されたトナー像が中間転写ベルト20に一次転写される。なお、トナーの帯電極性は負極性である。
中間転写ベルト20は、無端状のベルト回転体である。中間転写ベルト20は、駆動ローラー30、従動ローラー31、バックアップローラー32、及び複数の一次転写ローラー33に架け渡されている。複数の像担持体1の周面が、各々、中間転写ベルト20の表面(接触面)に当接するように、中間転写ベルト20は配置されている。
また、中間転写ベルト20は、各像担持体1に対向して配置される一次転写ローラー33によって、像担持体1に押圧される。押圧された状態で、中間転写ベルト20は、複数の駆動ローラー30によって矢符(反時計回り)方向に無端回転する。駆動ローラー30は、ステッピングモーターなどの駆動源によって回転駆動し、中間転写ベルト20を無端回転させるための駆動力を与える。従動ローラー31、バックアップローラー32、及び複数の一次転写ローラー33は、回転自在に設けられる。従動ローラー31、バックアップローラー32、及び一次転写ローラー33は、駆動ローラー30による中間転写ベルト20の無端回転に伴って、従動回転する。従動ローラー31、バックアップローラー32、及び一次転写ローラー33は、駆動ローラー30の主動回転に応じて中間転写ベルト20を介して従動回転するとともに、中間転写ベルト20を支持する。
一次転写ローラー33は、像担持体1の表面に形成されたトナー像を中間転写ベルト20に転写する。一次転写ローラー33は、一次転写バイアス(具体的には、トナーの帯電極性と逆極性のバイアス)を中間転写ベルト20に印加する。その結果、各像担持体1上に形成されたトナー像は、各像担持体1と一次転写ローラー33との間で、周回する中間転写ベルト20に対して、順次転写(一次転写)される。なお、トナーの帯電極性は負極性である。
二次転写ローラー21は、二次転写バイアス(具体的には、トナーの帯電極性と逆極性のバイアス)を用紙Pに印加する。その結果、中間転写ベルト20上に一次転写されたトナー像は、二次転写ローラー21とバックアップローラー32との間で用紙Pに転写される。これにより、未定着のトナー像が用紙Pに転写される。
定着部10は、画像形成部9で用紙Pに転写された未定着トナー像を定着させる。定着部10は、加熱ローラー34と、加圧ローラー35とを備えている。加熱ローラー34は、通電発熱体により加熱される。加圧ローラー35は、加熱ローラー34に対向配置され、加圧ローラー35の周面が加熱ローラー34の周面に押圧される。
画像形成部9で二次転写ローラー21により用紙Pに転写された転写画像は、用紙Pが加熱ローラー34と加圧ローラー35との間を通過する際の加熱による定着処理により用紙Pに定着される。そして、定着処理の施された用紙Pは、排紙部11へ排紙される。また、定着部10と排紙部11との間の適所に、複数の搬送ローラー36が配設されている。
排紙部11は、機器筺体7の頂部が凹没されることによって形成される。凹没した凹部の底部に、排紙された用紙Pを受ける排紙トレイ37が設けられる。以上、図8を参照して、第二実施形態の一態様の画像形成装置6について説明した。
図8を参照して中間転写方式を採用する画像形成装置6を説明したが、第二実施形態に係る画像形成装置6は、別の態様として、直接転写方式を採用することもできる。この場合、被転写体は、記録媒体(例えば、用紙P)に相当する。また、転写部は、転写ローラーに相当する。転写ローラーは、対向する像担持体1との間に記録媒体が通るように配置される。
図8を参照して説明したように、第二実施形態に係る画像形成装置6は、像担持体として、電気的特性及び耐摩耗性に優れる第一実施形態に係る感光体1を備えている。このような感光体1を備えることで、第二実施形態に係る画像形成装置6は、画像不良の発生を抑制することができる。
以下、実施例を用いて本発明を更に具体的に説明する。なお、本発明は実施例の範囲に何ら限定されない。
[1.材料の調製]
電荷発生剤、正孔輸送剤、及びバインダー樹脂を用いて、感光体(A−1)〜(A−16)、及び(B−1)〜(B−4)を作製した。
[1−1.電荷発生剤の調製]
感光体(A−1)〜(A−16)、及び感光体(B−1)〜(B−4)の作製には、Y型チタニルフタロシアニン(以下、電荷発生剤(Y−TiOPc)と記載することがある)を用いた。
[1−2.正孔輸送剤の調製]
感光体(A−1)〜(A−16)、及び感光体(B−2)〜(B−4)の作製には、正孔輸送剤として第一実施形態で上述したトリアリールアミン誘導体(HTM−1)〜(HTM−7)の何れかを用いた。これらのトリアリールアミン誘導体の合成方法については後述する。また、感光体(B−1)の作製には、式(HTM−8)で表される正孔輸送剤(以下、正孔輸送剤(HTM−8)と記載することがある)を用いた。
Figure 2017090629
[1−2−1.トリアリールアミン誘導体(HTM−1)の調製]
反応式(R−5)〜(R−10)で表される反応を行って、トリアリールアミン誘導体(HTM−1)を合成した。
Figure 2017090629
Figure 2017090629
Figure 2017090629
まず、反応式(R−5)で表される反応を行った。詳しくは、200mL容のフラスコに式(9)で表されるベンゼン誘導体16.1g(0.1モル)と、式(10)で表される亜リン酸トリエチル25g(0.15モル)とを投入した。これを、180℃で加熱しながら8時間攪拌した。次いで、室温まで冷却した後、過剰な亜リン酸トリエチルを減圧留去して、式(11)で表されるホスホナート誘導体(白色液体)24.1g(収率:92%)を得た。
そして、反応式(R−6)で表される反応を行った。詳しくは、内温を0℃に調節した500mLの2口フラスコに、式(11)で表されるホスホナート誘導体13.0g(0.05モル)を投入し、アルゴンガス置換を行った。ここに、乾燥させたテトラヒドロフラン(THF)100mLと、ナトリウムメトキシドのメタノール溶液(濃度28質量%)9.3g(0.05モル)とを加え、0℃で30分間攪拌した。この反応液に混合液を投入し、室温で12時間攪拌した。混合液は、式(12)で表されるシンナムアルデヒド6.2g(0.05モル)を乾燥THF300mLに溶解させて調製した。
その後、反応液をイオン交換水に注ぎ、トルエンにて抽出して有機相(トルエン相)を得た。この有機相をイオン交換水にて5回洗浄した。次いで、有機相を無水硫酸ナトリウムで乾燥させた後、溶剤を留去して残渣を得た。その後、残渣を溶剤(トルエン20mLとメタノール100mLとの混合溶剤)で再結晶させることにより精製し、式(13)で表されるスチルベン誘導体(白色結晶)10g(収率:92%)を得た。
次いで、反応式(R−7)で表される反応を行った。具体的には、200mL容のフラスコに式(14)で表されるジブロモブテン16.1g(0.075モル)と、式(10)で表される亜リン酸トリエチル25g(0.15モル)とを投入した。これを、180℃で加熱しながら8時間攪拌した。次いで、室温まで冷却した後、過剰な亜リン酸トリエチルを減圧留去して、式(15)で表されるホスホナート誘導体(無色液体)22.5g(収率:91%)を得た。
次いで、反応式(R−8)で表される反応を行った。詳しくは、内温を0℃に調節した500mLの2口フラスコに、式(15)で表されるホスホナート誘導体8.0g(0.024モル)を投入し、アルゴンガス置換を行った。ここに、乾燥させたテトラヒドロフラン(THF)100mLと、ナトリウムメトキシドのメタノール溶液(濃度28質量%)9.3g(0.05モル)とを加え、0℃で30分間攪拌した。この反応液に、式(16)で表されるクロロベンズアルデヒド7.0g(0.05モル)を乾燥THF300mLに溶解させた混合液を投入し、室温で12時間攪拌した。
その後、反応液をイオン交換水に注ぎ、トルエンにて抽出して有機相(トルエン相)を得た。この有機相をイオン交換水にて5回洗浄した。次いで、有機相を無水硫酸ナトリウムで乾燥させた後、溶剤を留去して残渣を得た。その後、残渣を溶剤(トルエン20mLとメタノール100mLとの混合溶剤)で再結晶させることにより精製し、式(17)で表されるスチルベン誘導体(白色結晶)2.0g(収率:27%)を得た。
次いで、反応式(R−9)にて表される反応を行った。詳しくは、2L容の3口のフラスコに、式(18)で表されるアニリン誘導体2.7g(0.02モル)と、式(19)で表されるスチルベン誘導体4.9g(0.02モル)と、トリシクロヘキシルホスフィン(Pcy3)0.072g(0.002049モル)と、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(Pd2(dba)3)0.047g(0.00005123モル)とナトリウム−tert−ブトキシド(t−BuONa)2g(0.021モル)とを投入した。更に、蒸留したo−キシレンを100mL加えた。その後、アルゴンガス置換を行い、120℃で攪拌しつつ5時間反応を行った。
次に、反応液(反応生成物とo−キシレンとを含む溶液)を室温まで冷却し、有機相を得た。この有機相をイオン交換水を用いて3回洗浄した。更に、有機相に対し、無水硫酸ナトリウム及び活性白土を用いて、乾燥及び吸着処理を行った。その後、o−キシレンを減圧留去し残渣を得た。
得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:クロロホルムとヘキサンとの混合溶媒)を用いて精製し、式(20)で表される中間体6.1g(収率:86%)を得た。
次いで、反応式(R−10)で表される反応を行った。詳しくは、3口フラスコに、式(20)で表される中間体3.3g(0.01モル)と、トリシクロヘキシルホスフィン0.035g(0.00009967モル)と、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム0.046g(0.00004983モル)と、ナトリウム−tert−ブトキシド(t−BuONa)1.0g(0.01モル)と、式(17)で表されるスチルベン誘導体1.5g(0.05モル)とを投入した。更に、蒸留したo−キシレン200mLを加えた。その後、アルゴンガス置換を行い、120℃で攪拌しつつ5時間反応を行った。
次いで、反応液を室温まで冷却し有機相を得た。得られた有機相をイオン交換水で3回洗浄し、更に、無水硫酸ナトリウム及び活性白土を用いて乾燥及び吸着処理を行った。その後、o−キシレンを減圧留去し残渣を得た。
得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:クロロホルムとヘキサンとの混合溶媒)を用いて精製し、トリアリールアミン誘導体(HTM−1)3.4gを得た(収率:75%)。
トリアリールアミン誘導体(HTM−1)をプロトン核磁気共鳴分光計(1H−NMR、300MHz)によって測定した。溶媒として重水素化クロロホルム(CDCl3)を用いた。内部標準物質としてテトラメチルシラン(TMS)を用いた。得られたトリアリールアミン誘導体(HTM−1)の1H−NMRスペクトルを図2に示す。1H−NMRスペクトルによりトリアリールアミン誘導体(HTM−1)が式(HTM−1)で表される構造を有することを確認した。
[1−2−2.トリアリールアミン誘導体(HTM−2)の合成]
反応式(R−11)及び(R−12)で表される反応を行って、トリアリールアミン誘導体(HTM−2)を合成した。
Figure 2017090629
詳しくは、式(19)で表されるスチルベン誘導体に代えて式(22)で表されるベンゼン誘導体を用い、更に式(18)で表されるアニリン誘導体に代えて式(21)で表されるアニリン誘導体を用い、反応式(R−9)に代えて反応式(R−11)で表される反応を行った。その結果、式(23)にて表される中間体を得た(収率:85%)。次いで、式(17)で表されるスチルベン誘導体を用いて反応式(R−10)で表される反応と同様にして、反応式(R−12)で表される反応を行った。その結果、トリアリールアミン誘導体(HTM−2)を得た(収率:77%)。トリアリールアミン誘導体(HTM−2)の1H−NMRスペクトル(溶媒:CDCl3、内部標準物質:TMS)を図4に示す。1H−NMRスペクトルによりトリアリールアミン誘導体(HTM−2)が式(HTM−2)で表される構造を有することを確認した。
[1−2−3.トリアリールアミン誘導体(HTM−3)の合成]
反応式(R−13)〜(R−16)で表される反応を行って、トリアリールアミン誘導体(HTM−3)を合成した。
Figure 2017090629
Figure 2017090629
まず、反応式(R−5)で表される反応と同様の手法により式(R−13)で表される反応を実行した。次いで、式(12)で表されるベンズアルデヒドに代えて式(12−2)で表されるシンナムアルデヒド誘導体を用い、反応式(R−6)に代えて反応式(R−14)で表される反応を行った。その結果、式(24)で表されるスチルベン誘導体を得た(収率:70%)。
次いで、反応式(R−9)で表される反応と同様の手法により、反応式(R−15)で表される反応を行った。その結果、式(20)で表される中間体を得た(収率:85%)。次いで、式(17)で表されるスチルベン誘導体に代えて式(24)で表されるスチルベン誘導体を用い、反応式(R−10)に代えて反応式(R−16)で表される反応を行った。その結果、トリアリールアミン誘導体(HTM−3)を合成した(収率:80%)。トリアリールアミン誘導体(HTM−3)の1H−NMRスぺクトル(溶媒:CDCl3、内部標準物質:TMS)を図5に示す。1H−NMRスペクトルによりトリアリールアミン誘導体(HTM−3)が式(HTM−3)で表される構造を有することを確認した。
[1−2−4.トリアリールアミン誘導体(HTM−4)の合成]
反応式(R−17)及び(R−18)で表される反応を行って、トリアリールアミン誘導体(HTM−4)を合成した。
Figure 2017090629
まず、反応式(R−9)と同様の手法により反応式(R−17)で表される反応を行った。その結果、式(20)で表される中間体(20)を得た(収率:80%)。次いで、式(17)で表されるスチルベン誘導体に代えて式(24)で表されるスチルベン誘導体を用い、反応式(R−10)に代えて反応式(R−18)で表される反応を行った。その結果、トリアリールアミン誘導体(HTM−4)を合成した(収率:80%)。トリアリールアミン誘導体(HTM−4)の1H−NMRスペクトル(溶媒:CDCl3、内部標準物質:TMS)を図6に示す。1H−NMRスペクトルによりトリアリールアミン誘導体(HTM−4)が式(HTM−4)で表される構造を有することを確認した。
[1−2−5.トリアリールアミン誘導体(HTM−5)の合成]
反応式(R−19)〜(R−22)で表される反応を行って、式(HTM−5)を合成した。
Figure 2017090629
Figure 2017090629
まず、反応式(R−5)で表される反応と同様にして反応式(R−19)で表される反応を行った。その結果、式(11)で表されるホスホナート誘導体を得た。次いで、式(12)で表されるアルデヒド誘導体に代えて式(16)で表されるアルデヒド誘導体を用い、反応式(R−6)に代えて反応式(R−20)で表される反応を行った。その結果、式(25)で表されるスチルベン誘導体を得た(収率:75%)。
次いで、反応式(R−9)で表される反応に代えて式(R−21)で表される反応を行った。その結果、式(20)で表される中間体を得た(収率:85%)。その後、式(17)で表されるスチルベン誘導体に代えて式(25)で表されるスチルベン誘導体を用い、反応式(R−10)に代えて反応式(R−22)で表される反応を行った。その結果、トリアリールアミン誘導体(HTM−5)を合成した(収率:85%)。トリアリールアミン誘導体(HTM−5)の1H−NMRスペクトル(溶媒:CDCl3、内部標準物質:TMS)を図7に示す。1H−NMRスペクトルによりトリアリールアミン誘導体(HTM−5)が式(HTM−5)で表される構造を有することを確認した。
[1−2−6.トリアリールアミン誘導体(HTM−6)の合成]
反応式(R−23)及び(R−24)で表される反応を行って、トリアリールアミン誘導体(HTM−6)を合成した。
Figure 2017090629
反応式(R−9)で表される反応と同様にして、反応式(R−23)で表される反応を行った。その結果、式(20)で表される中間体を得た(収率:83%)。次いで、式(17)で表されるスチルベン誘導体に代えて式(25)で表されるスチルベン誘導体を用い、反応式(R−10)に代えて反応式(R−24)で表される反応を行った。その結果、トリアリールアミン誘導体(HTM−6)を合成した(収率:85%)。トリアリールアミン誘導体(HTM−6)の1H−NMRスペクトル(溶媒:CDCl3、内部標準物質:TMS)を図8に示す。1H−NMRスペクトルによりトリアリールアミン誘導体(HTM−6)が式(HTM−6)で表される構造を有することを確認した。
[1−2−7.トリアリールアミン誘導体(HTM−7)の合成]
反応式(R−25)〜(R−28)で表される反応を行って、トリアリールアミン誘導体(HTM−7)を合成した。
Figure 2017090629
Figure 2017090629
式(9)で表されるベンゼン誘導体に代えて式(26)で表されるベンゼン誘導体を用い、反応式(R−9)に代えて反応式(R−25)で表される反応を行った。その結果、式(27)で表されるホスホナート誘導体を得た。
次いで、式(12)で表されるベンズアルデヒドに代えて式(12−2)で表されるシンナムアルデヒドを用い、反応式(R−6)に代えて反応式(R−26)で表される反応を行った。その結果、式(28)で表されるスチルベン誘導体を得た。
次いで、式(19)で表されるスチルベン誘導体に代えて式(28)で表されるスチルベン誘導体を用い、反応式(R−9)に代えて反応式(R−27)で表される反応を行った。その結果、式(29)で表される中間体を得た(収率:75%)。次いで、式(17)で表されるスチルベン誘導体に代えて式(24)で表されるスチルベン誘導体を用い、反応式(R−10)で表される反応に代えて反応式(R−28)で表される反応を行った。その結果、トリアリールアミン誘導体(HTM−7)を合成した(収率:73%)。
[1−3.バインダー樹脂の調製]
感光体(A−1)〜(A−16)及び(B−1)〜(B−4)の調製には、バインダー樹脂として、ポリカーボネート樹脂(Resin−1)〜(Resin−8)の何れかを用いた。
[2.感光体の作製]
[2−1.感光体(A−1)の製造]
(2−1−1.下引き層の形成)
始めに、下引き層用塗布液を調製した。具体的には、アルミナとシリカで表面処理後、湿式分散しながらメチルハイドロジェンポリシロキサンにて表面処理した酸化チタン(テイカ株式会社製「試作品SMT−A」、数平均一次粒径10nm)(2質量部)と、6,12,66,610四元共重合ポリアミド樹脂(東レ株式会社製「アミラン(登録商標)CM8000」)(1質量部)とをメタノール(10質量部)、ブタノール(1質量部)及びトルエン(1質量部)からなる混合溶剤にビーズミルを用いて混合して5時間分散させた。その結果、下引き層用塗布液を得た。
次に、下引き層を形成した。具体的には、得られた下引き層用塗布液を5μmのフィルターにてろ過後、導電性基体としてのアルミニウム製のドラム状支持体(直径30mm、全長246mm)にディップコート法にて塗布した。130℃で30分間熱処理し、膜厚0.5μmの下引き層を形成した。
(2−1−2.電荷発生層の形成)
次に、電荷発生層用塗布液を調製した。具体的には、容器内に、電荷発生剤(Y−TiOPc)1.5質量部と、ベース樹脂としてのポリビニルアセタール樹脂(積水化学工業株式会社製「エスレックBX−5」)1質量部と、分散媒としてのプロピレングリコールモノメチルエーテル40質量部と、テトラヒドロフラン40質量部とを混合し、ビーズミルにて2時間分散させた。その結果、電荷発生層用塗布液を得た。次に、得られた電荷発生層用塗布液を3μmのフィルターにてろ過後、上記で作製した下引き層上にディップコート法にて塗布し、50℃で10分間乾燥させて、膜厚0.3μmの電荷発生層を形成した。
(2−1−3.電荷輸送層の形成)
次に、電荷輸送層形成用塗布液を調製した。具体的には、正孔輸送剤としてのトリアリールアミン誘導体(HTM−1)45質量部と、添加剤としてのメタターフェニル13質量部と、バインダー樹脂(Resin−1)(粘度平均分子量50,100)100質量部と、溶剤としての混合溶媒630質量部とを投入した。混合溶媒は、テトラヒドロフラン(THF)504質量部及びトルエン126質量部の混合溶媒であった。混合溶媒における各溶媒の比率(THF/トルエン(質量比))は、504質量部/126質量部、すなわち8/2であった。ボールミルを用いて、これらを混合して分散し、電荷輸送層用塗布液を調製した。
ディップコート法を用いて、上記で作製した電荷発生層上に電荷輸送層用塗布液を塗布し、電荷発生層上に塗布膜を形成した。続いて、110℃で60分間乾燥した。これにより、電荷発生層上に膜厚20μmの電荷輸送層を形成した。その結果、導電性基体上に下引き層、電荷発生層、及び電荷輸送層を備える感光体(A−1)を得た。
[2−2.感光体(A−2)〜(A−16)及び(B−1)〜(B−4)の調製]
以下の点を変更した以外は、感光体(A−1)の調製と同様の方法で、感光体(A−2)〜(A−16)及び(B−1)〜(B−4)を調製した。感光体(A−1)の調製に用いたトリアリールアミン誘導体(HTM−1)、トリアリールアミン誘導体(HTM−1)の含有量、及びバインダー樹脂(Resin−1)に代えて、各々、後述の表1及び表2に示す種類の正孔輸送剤、表1及び表2に示す含有量の正孔輸送剤、及び表1及び表2に示す種類のバインダー樹脂を用いた。
[3.感光体の性能評価]
感光体(A−1)〜(A−16)及び(B−1)〜(B−4)の何れかに対し、下記のような評価を行った。
[3−1.感光体の耐摩耗性の評価]
感光体(A−1)〜(A−16)及び感光体(B−1)〜(B−4)のうちの何れかの作製にて調製した電荷輸送層用塗布液を、アルミパイプ(直径:78mm)に巻きつけたポリプロピレンシート(厚さ:0.3mm)に塗布した。これを、120℃で40分間乾燥した。これにより、膜厚30μmの電荷輸送層が形成された摩耗評価試験用のシートを作製した。
このポリプロピレンシートから、電荷輸送層を剥離した。剥離した電荷輸送層を、ウィールS−36(テーバー社製)に貼り付け、サンプルを作製した。作製したサンプルをロータリーアブレージョンテスタ(株式会社東洋精機製作所製)にセットし、摩耗輪CS−10(テーバー社製)を用いて、荷重500gfかつ回転速度60rpmの条件で1,000回転させ、耐摩耗性評価試験を実施した。耐摩耗性評価試験前後のサンプルの質量変化である摩耗減量を測定した。得られた摩耗減量に基づいて、感光体の耐摩耗性を評価した。摩耗減量が9.0mgを超えると、感光体の耐摩耗性が不十分であったが、摩耗減量が9.0mg以下であると、感光体の耐摩耗性が良好であった。
[3−2.感光体の電気特性(感度特性)の評価]
感光体(A−1)〜(A−16)及び感光体(B−1)〜(B−4)のうちの何れかを、ドラム感度試験機(ジェンテック株式会社製)を用いて、表面電位V0が−450Vになるように感光体の表面を帯電させた。次いで、単色光(波長:780nm、露光量:0.20μJ/cm2)をハロゲンランプの光からバンドパスフェルターを用いて取り出し、感光体の表面に照射した。単色光の照射後から40ミリ秒が経過した後の明部電位を測定した。得られた明部電位を感度電位VLとした。測定環境は、温度10℃かつ湿度10%RHとした。
得られた感度電位VLに基づいて、感光体の感度特性を評価した。感度電位VLが−100Vより小さい場合は、感光体の感度特性が不十分であり、感度電位が−100V以上である場合は、感光体の感度特性が良好であった。
表1中「質量の比率」は、電荷輸送層におけるバインダー樹脂100質量部に対する正孔輸送剤の含有量(質量部)の比率を示す。
Figure 2017090629
Figure 2017090629
表1に示すように、感光体(A−1)〜(A−16)では、電荷輸送層が正孔輸送剤としてトリアリールアミン誘導体(HTM−1)〜(HTM−7)の何れかが含有されていた。電荷輸送層は、バインダー樹脂としてポリカーボネート樹脂(Resin−1)〜(Resin−8)の何れかを含有していた。正孔輸送剤の含有量は、電荷輸送層においてバインダー樹脂100質量部に対して35質量部以上55質量部以下であった。表2に示すように、摩耗減量は5.2mg以上8.7mg以下であった。感度電位VLは、−98V以上−60V以下であった。
表1に示すように、感光体(B−1)では、電荷輸送層は正孔輸送剤としてトリアリールアミン誘導体(HTM−8)を含有していた。トリアリールアミン誘導体(HTM−8)は、一般式(1)又は(2)で表されるトリアリールアミン誘導体ではなかった。感光体(B−2)、(B−3)及び(B−4)では、正孔輸送層の含有量は、それぞれバインダー樹脂100質量部に対して65質量部、80質量部、及び28質量部であった。表2に示すように、感光体(B−1)及び(B−4)では、感度電位VLはそれぞれ−105V及び−120Vであった。感光体(B−2)及び(B−3)では、それぞれ摩耗減量は10.1mg及び12.1mg以下であった。
以上から、感光体(A−1)〜(A−16)は、感光体(B−1)〜(B−4)に比べ、耐摩耗性及び電気特性を両立していた。なお、感光体(A−4)、(A−8)、及び(A−9)では、正孔輸送剤の含有量が減少するにつれ耐摩耗性が向上し、正孔輸送剤の含有量が増加するにつれ電気特性が向上する傾向が見られた。
以上から、本発明に係る感光体は、耐摩耗性及び電気特性を両立できることが示された。
本発明に係る感光体は、電子写真感光体として好適に使用できる。
1 積層型電子写真感光体(像担持体)
3 感光層
3a 電荷発生層
3b 電荷輸送層

Claims (7)

  1. 電荷発生剤を含有する電荷発生層と、正孔輸送剤及びバインダー樹脂を含有する電荷輸送層とを有する感光層を備え、
    前記正孔輸送剤は、一般式(1)で表されるトリアリールアミン誘導体、及び一般式(2)で表されるトリアリールアミン誘導体のうちの1種以上を含み、
    前記正孔輸送剤の含有量は、前記バインダー樹脂100質量部に対して30質量部以上55質量部以下である、積層型電子写真感光体。
    Figure 2017090629
    前記一般式(1)中、
    1及びR2は、各々独立に、ハロゲン原子、置換基を有してもよい炭素原子数1以上6以下のアルキル基、置換基を有してもよい炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基、又は置換基を有してもよい炭素原子数6以上14以下のアリール基を表し、
    k及びlは、各々独立に、0以上4以下の整数を表し、
    mは、1以上3以下の整数を表す。
    Figure 2017090629
    前記一般式(2)中、
    3及びR4は、各々独立に、ハロゲン原子、置換基を有してもよい炭素原子数1以上6以下のアルキル基、置換基を有してもよい炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基、又は置換基を有してもよい炭素原子数6以上14以下のアリール基を表し、
    p及びqは、各々独立に、0以上4以下の整数を表し、
    r及びsは、各々独立に、1以上3以下の整数を表す。
  2. 前記バインダー樹脂は、一般式(I)で表されるポリカーボネート樹脂を含む、請求項1に記載の積層型電子写真感光体。
    Figure 2017090629
    前記一般式(I)中、
    5、R6、R7及びR8は、各々独立に、水素原子、アルキル基、又はアリール基を表す。ただし、R7及びR8は、互いに結合してシクロアルキリデン基を形成してもよい。
    t+u=1.00であり、0.35≦t<0.70である。
  3. 前記一般式(1)中、
    1及びR2は、各々独立に、炭素原子数1以上6以下のアルキル基を表し、
    前記一般式(2)中、
    3及びR4は、各々独立に、炭素原子数1以上6以下のアルキル基を表す、請求項1又は2に記載の積層型電子写真感光体。
  4. 前記一般式(1)中、
    kは0を表し、lは1を表し、R2は、R2を有するベンゼン環が結合する窒素原子に対してパラ位に存在し、
    前記一般式(2)中、
    pは0を表し、qは2を表し、
    同一のベンゼン環に存在する2個のR4は何れも、R4を有するベンゼン環が結合する窒素原子に対してオルト位に存在し、前記2個のR4は同一でも異なっていてもよい、請求項1〜3の何れか一項に記載の積層型電子写真感光体。
  5. 前記正孔輸送剤は、前記一般式(2)で表されるトリアリールアミン誘導体のうちの1種以上であり、
    前記一般式(2)中、rは2を表し、sは2を表す、請求項1〜4の何れか一項に記載の積層型電子写真感光体。
  6. 前記一般式(I)中、
    5及びR6は、各々独立に、水素原子、又は炭素原子数1以上4以下のアルキル基を表し、
    7及びR8は、互いに結合して炭素原子数5以上7以下のシクロアルキリデン基を表す、請求項1〜5の何れか一項に記載の積層型電子写真感光体。
  7. 像担持体と、
    前記像担持体の表面を帯電する帯電部と、
    前記像担持体の前記表面に静電潜像を形成する露光部と、
    前記静電潜像をトナー像として現像する現像部と、
    前記トナー像を前記像担持体から被転写体へ転写する転写部と
    を備える画像形成装置であって、
    前記像担持体は、請求項1〜5の何れか一項に記載の積層型電子写真感光体である、画像形成装置。
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