JP2015147350A - 積層フィルム - Google Patents

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Abstract

【課題】床表層材に適した耐摩耗性と柔軟性とが両立し、且つ、良好な印刷明瞭性を担保する透明性を有する積層フィルムを提供する。【解決手段】本発明の積層フィルム100は、少なくとも、ポリオレフィン系樹脂層130と、ポリオレフィン系樹脂層130上に接着層120を介して積層されたポリアミド系樹脂層110とを含む。さらに、ポリオレフィン系樹脂は、オレフィン単独重合樹脂、オレフィン共重合樹脂、またはオレフィン単独重合樹脂とオレフィン共重合樹脂との混合樹脂である。【選択図】図1

Description

本発明は、積層フィルムに関する。より具体的には、本発明は、ラミネートホモジニアス床材の表層材に用いられる積層フィルムに関する。
一般的に実用されているラミネートホモジニアス床材は、床材表層が透明の塩化ビニル層であり、当該床材表層がバッカー層に積層されたプリント層を覆うように構成された床材である。
一方、耐摩耗性を目的として、表層に塩化ビニルを用いない床材の開発も行われている。たとえば、特開2000−103022号公報(特許文献1)には、少なくとも、ポリアミド樹脂とエチレン系重合体との共押出フィルムからなる表層(1)、および、無機充填材を含有する接着性樹脂からなる樹脂層(2)から構成される積層シート、積層フィルムまたは積層タイルが開示されている。
特開2000−103022号公報
しかしながら、ポリアミドを用いた床材は耐摩耗性を有する一方、床材自体の柔軟性に欠けるという問題がある。さらに、ポリアミドを用いた床材において、良好な印刷明瞭性を担保する透明性を有するものは知られていない。
そこで、本発明の目的は、床表層材に適した耐摩耗性と柔軟性とが両立し、且つ、良好な印刷明瞭性を担保する透明性を有する積層フィルムを提供することにある。
(1)
一局面に従う積層フィルムは、床表層材に用いられる積層フィルムであって、少なくとも、ポリオレフィン系樹脂の層と、ポリオレフィン系樹脂の層上に接着層を介して積層されたポリアミド系樹脂の層とを含む。さらに、ポリオレフィン系樹脂は、オレフィン単独重合樹脂、オレフィン共重合樹脂、またはオレフィン単独重合樹脂とオレフィン共重合樹脂との混合樹脂である。
この場合、ポリアミド系樹脂とポリオレフィン系樹脂とが積層されているため、床表層材に適した耐摩耗性と柔軟性との両方を付与することができ、摩擦および曲げに対して強い床表層材として用いることができる。
ポリオレフィン系樹脂層がオレフィン単独重合樹脂とオレフィン共重合樹脂との混合樹脂である場合、機械的強度を保持しつつ透明性を付与することができ、ポリオレフィン系樹脂層に印刷を行った場合に、ポリアミド系樹脂層から印刷を視認した場合の明瞭性により優れる床表層材として用いることができる。
ポリアミド系樹脂は、本発明においては、通常、最表層を構成する。
接着層は、無機充填材を実質的に含まないものであってもよい。この場合、無機充填材を実質的に含まないとは、無機充填材を全く含まないか、または、0重量%超10重量%未満、好ましくは0重量%超5重量%以下の範囲で含むことを許容する意である。
接着層を構成する樹脂のビカット軟化点は、80℃以上120℃以下である事が好ましい。これによって、高温高湿下においても安定した接着力が保持される。
(2)
本発明の積層フィルムは、40℃、相対湿度90%環境下で7日保管した場合の寸法変化率が±1.1%以下であることが好ましい。
この場合、カール抑制効果に優れた床表層材として用いることができる。
(3)
本発明の積層フィルムにおいては、ポリアミド系樹脂の吸水率は、好ましくは8.0wt%以下、より好ましくは4.0w%以下、さらに好ましくは1.5wt%以下、さらに好ましくは0.5wt%以下である。これによって、カール抑制効果により優れた床表層材として用いることができる。
なお、吸水率は、ISO62(23℃水中、24時間条件、試験厚み1mm)に準拠した試験法に基づいて取得される値である。
(4)
本発明の積層フィルムにおいては、ポリアミド系樹脂が、11−ナイロンおよび12−ナイロンから選択されることが好ましい。
これによって、カール抑制効果により優れた床表層材として用いることができる。
(5)
本発明の積層フィルムにおいては、ポリアミド系樹脂の層、接着層およびポリオレフィン系樹脂の層の総層厚に対し、ポリアミド系樹脂の層の厚みが10%以上90%以下であってよい。
これによって、積層フィルムに、ポリアミド系樹脂が有する耐摩耗性を好ましく付与することができる。
ポリアミド系樹脂の層厚は16%以上であること、さらには20%以上であることが好ましい。
ポリアミド樹脂層の表面の濡れ指数は、好ましくは30ダイン以上45ダイン以下、より好ましくは35ダイン以上40ダイン以下である。これによって、ポリアミド樹脂の表面において良好な滑り性が得られる。
(6)
本発明の積層フィルムにおいては、ポリアミド系樹脂の層、接着層およびポリオレフィン系樹脂の層の総層厚に対し、ポリオレフィン系樹脂の層の厚みが10%以上90%以下であってよい。
これによって、積層フィルムに、ポリオレフィン系樹脂が有する柔軟性を好ましく付与することができる。
(7)
本発明の積層フィルムは、曇度が8%以下であることが好ましい。
これによって、積層フィルムが透明性により優れる。
なお、曇度は、JIS K7136に基づいて取得される値である。
(8)
本発明の積層フィルムは、ヤング率が300MPa以上800MPa以下であってよい。
これによって、好ましい柔軟性を有する床表層材として用いることができる。
なお、ヤング率は、JIS K7127に準拠した試験法に基づいて取得される値である。
(9)
本発明の積層フィルムは、引張強度が30MPa以上70MPa以下であってよい。
これによって、好ましい柔軟性を有する床表層材として用いることができる。
なお、引張強度は、JIS Z1702に準拠した試験法に基づいて取得される値である。
(10)
本発明の積層フィルムは、伸び率が350%以上500%以下であってよい。
これによって、好ましい柔軟性を有する床表層材として用いることができる。
なお、伸び率は、JIS Z1702に準拠した試験法に基づいて取得される値である。
(11)
本発明の積層フィルムにおいては、ポリアミド系樹脂の融点が160℃以上270℃以下であってよい。
これによって、ポリアミド系樹脂として、汎用性のあるエンジニアリングプラスチックを選択しやすい。
(12)
本発明の積層フィルムにおいては、ポリオレフィン系樹脂の層の、接着層と反対側の面は、親水化処理されていてよい。
この場合、積層フィルムの裏面が親水化されるため、当該面に印刷層を設けることができる。
(13)
本発明の積層フィルムにおけるポリオレフィン系樹脂層が親水化処理される場合、親水化処理された面の濡れ指数は、35ダイン以上55ダイン以下であることが好ましい。
これによって、積層フィルム表面において良好な滑り性が得られるため、印刷がしやすい。
濡れ指数は、さらには、35ダイン以上45ダイン以下であることが好ましい。
なお、濡れ指数は、JIS K6768に準拠した試験法に基づいて取得される値である。
(14)
本発明の積層フィルムは、親水化処理された面に印刷層をさらに含んでよい。
これによって、多様な意匠性を実現することができる。
(15)
他の局面に従う床材は、(14)に記載の積層フィルムと、ポリオレフィン系樹脂の層の側に積層されたバッカー層とを含む。
これによって、耐摩耗性と柔軟性とが両立し、且つ、良好な印刷明瞭性を担保する透明性を有する積層フィルムが床表層材として設けられた、実用性および意匠性の高い床材とすることができる。
本発明によって、床表層材に適した耐摩耗性と柔軟性とが両立し、且つ、良好な印刷明瞭性を担保する透明性を有する積層フィルムを提供することができる。
第1実施形態にかかる積層フィルムの一例を示す模式的断面図である。 第2実施形態にかかる積層フィルムの一例を示す模式的断面図である。 図1の積層フィルムを床表層材として用いた床材の一例を示す模式的断面図である。 実施例10で得られた、本発明にかかる積層フィルムの寸法安定性を示す実験結果である。 実施例10で得られた、本発明にかかる積層フィルムの寸法安定性を示す実験結果である。 実施例10で得られた、本発明にかかる積層フィルムの寸法安定性を示す実験結果である。 実施例12で得られた、本発明にかかる積層フィルムの寸法安定性を示す実験結果である。 実施例12で得られた、本発明にかかる積層フィルムの寸法安定性を示す実験結果である。 実施例12で得られた、本発明にかかる積層フィルムの寸法安定性を示す実験結果である。
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明する。以下の説明では、同一の要素には同一の符号を付しており、それらの名称および機能も同じである。したがって、それらについての詳細な説明は繰り返さない。
[第1実施形態]
図1は、第1実施形態にかかる積層フィルムの一例を示す模式的断面図である。なお、以下において、説明の便宜上、図1の上側への方向を上、下側への方向を下と記載する場合がある。
積層フィルム100は、ポリアミド系樹脂層110と、接着層120と、ポリオレフィン系樹脂層130とを含む。ポリアミド系樹脂層110は、ポリオレフィン系樹脂層130上に接触して設けられた接着層120を直接的に介して設けられる。
[ポリアミド系樹脂層]
ポリアミド系樹脂層110を構成するポリアミド系樹脂は、ラクタムまたはアミノカルボン酸の重合、もしくは、ジアミンとジカルボン酸との重縮合によって得られるポリマーである。ポリアミド系樹脂は、単独重合体であってもよいし、共重合体であってもよい。さらに、ポリアミド系樹脂は、1種単独または複数種の混合態様で用いられてよい。ポリアミド系樹脂層110にポリアミド系樹脂を用いることで、床材に適用された場合に、床材に適切な耐摩耗性を付与することができる。
ラクタムとしては、たとえば、ブチロラクタム、ピバロラクタム、ε−カプロラクタム、カプリロラクタム、エナントラクタム、ウンデカノラクタム、及びラウロラクタム(ドデカノラクタム)などが挙げられる。
アミノカルボン酸としては、たとえば、上述のラクタムが開環した化合物であるω−アミノカルボン酸およびα,ω−アミノ酸などが挙げられる。また、アミノカルボン酸としては、ω位がアミノ基で置換された直鎖又は分岐の飽和脂肪族カルボン酸であってよく、たとえば、6−アミノカプロン酸、11−アミノウンデカン酸、及び12−アミノドデカン酸などが挙げられる。さらに、アミノカルボン酸としては、芳香族アミノカルボン酸であってよく、たとえば、パラアミノメチル安息香酸などが挙げられる。
ジアミンとしては、脂肪族ジアミンおよび芳香族ジアミンが挙げられる。
脂肪族ジアミンとしては、たとえば、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ペンタメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ヘプタメチレンジアミン、オクタメチレンジアミン、ノナメチレンジアミン、デカメチレンジアミン、ウンデカメチレンジアミン、ドデカメチレンジアミン、及びトリデカメチレンジアミンなどの直鎖脂肪族ジアミン、2−メチルペンタメチレンジアミン、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジアミン、2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジアミン、2−メチルオクタメチレンジアミン、及び2,4−ジメチルオクタメチレンジアミンなどの分岐状脂肪族ジアミンなどが挙げられる。さらに、1,4−シクロヘキサンジアミン、1,3−シクロヘキサンジアミン、及び1,3−シクロペンタンジアミンなどの脂環式ジアミンも挙げられる。
芳香族ジアミンとしては、芳香族を含有するジアミンであり、たとえば、メタキシリレンジアミン、オルトキシリレンジアミン、パラキシリレンジアミンなどが挙げられる。
ジカルボン酸としては、脂肪族ジカルボン酸および芳香族ジカルボン酸が挙げられる。
脂肪族ジカルボン酸としては、たとえば、マロン酸、ジメチルマロン酸、コハク酸、2,2−ジメチルコハク酸、2,3−ジメチルグルタル酸、2,2−ジエチルコハク酸、2,3−ジエチルグルタル酸、グルタル酸、2,2−ジメチルグルタル酸、アジピン酸、2−メチルアジピン酸、トリメチルアジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン二酸、テトラデカン二酸、ヘキサデカン二酸、オクタデカン二酸、エイコサン二酸、及びジグリコール酸などの炭素数3〜20の直鎖又は分岐状脂肪族ジカルボン酸などが挙げられる。
芳香族ジカルボン酸としては、たとえば、テレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、2−クロロテレフタル酸、2−メチルテレフタル酸、5−メチルイソフタル酸、及び5−ナトリウムスルホイソフタル酸などの無置換又は種々の置換基で置換された炭素数8〜20の芳香族ジカルボン酸などが挙げられる。
なお、ジカルボン酸としては、上述のジカルボン酸化合物のみならず、上述のジカルボン酸と等価な化合物も含まれる。ジカルボン酸と等価な化合物としては、上述のジカルボン酸に由来するジカルボン酸構造と同様のジカルボン酸構造となり得る化合物であれば特に限定されるものではなく、たとえば、ジカルボン酸の無水物及びハロゲン化物などが挙げられる。
ポリアミド系樹脂を構成する主たるモノマー成分(ラクタム、アミノカルボン酸、または、ジアミンおよびジカルボン酸の少なくとも一方)は、炭素数10以上の脂肪族炭化水素鎖を有することがより好ましい。当該炭素数の上限は特に限定されないが、たとえば20である。
あるいは、ポリアミド系樹脂中の、アミド基数に対する炭素数の比(炭素数/アミド基数)が、たとえば8以上、好ましくは9以上、より好ましくは10以上、さらに好ましくは11以上である。当該比の範囲の上限は特に限定されないが、たとえば20である。
本発明において、上述のように比較的長い炭化水素鎖を有するポリアミド系樹脂を用いることで、ポリアミド系樹脂層110を、吸湿性の低い樹脂で構成することができる。なお、ポリアミド系樹脂の吸水率は、好ましくは8.0wt%以下、より好ましくは4.0wt%以下、さらに好ましくは1.5wt%以下、さらに好ましくは0.5wt%以下である。また、ポリアミド系樹脂は、融点が160℃以上270℃以下であってよい。これにより、ポリアミド系樹脂として、汎用性のあるエンジニアリングプラスチックを選択しやすい。
より具体的には、ポリアミド系樹脂として、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン46、ナイロン10、ナイロン610、ナイロン612、ナイロン1010、ナイロン11、ナイロン12、メタキシリレンジアミンとアジピン酸との共重合体(ナイロンMXD6)、ナイロン66/6共重合体、パラアミノメチル安息香酸とε−カプロラクタムとの共重合体(ナイロンAHBA)、2,2,4−/2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジアミン・テレフタル酸塩を主成分とするポリアミド(ナイロンTHDT、THDT/6I)などが用いられてよい。低吸湿性を考慮した場合、上述の例示の中では、ナイロン10、ナイロン610、ナイロン612、ナイロン1010、ナイロン11、ナイロン12を用いることが好ましい。
ポリアミド系樹脂層110には、添加材が含まれてよい。添加剤は、積層フィルム100の製造工程および/または後述の床材への適用を考慮し、当業者が適宜決定することができる。添加剤としては、たとえば、紫外線吸収剤、光安定化剤、酸化防止剤、帯電防止剤、滑剤、難燃材、アンチブロッキング剤(シリカ、アルミノケイ酸塩などの無機粒子)、充填材(炭酸カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、酸化チタンなどの無機充填材、および、ポリマービーズなどの有機充填材など)などが挙げられる。
ポリアミド系樹脂層110の層厚は、積層フィルム100全体の厚さに対し、たとえば10%以上、15%超、または20%以上であり、かつ90%以下であってよい。上記範囲を下回ると、積層フィルム100の耐摩耗性の確保が困難になる傾向にある。上記範囲を上回ると、積層フィルム100の柔軟性の確保が困難になる傾向にある。
[接着層]
接着層120を構成する接着性樹脂としては、上述のポリアミド系樹脂層110と後述のポリオレフィン系樹脂層130とを接着させる樹脂が用いられる。
たとえば、不飽和カルボン酸又は酸誘導体で変性された変性ポリオレフィン系樹脂、ならびに当該変性ポリオレフィン系樹脂とポリオレフィン系樹脂との重合体および混合物が挙げられる。
変性ポリオレフィン系樹脂は、主成分であるオレフィンモノマーと、不飽和カルボン酸または酸誘導体との共重合体である。たとえば、ポリオレフィンを主鎖とし、不飽和カルボン酸または酸誘導体がグラフトした構造を有してよい。
ポリオレフィン主鎖としては、たとえば炭素数2以上8以下のα−オレフィンまたはプロピレンの重合体または共重合体が挙げられる。共重合体の場合、共重合様式としては、交互共重合、ランダム共重合およびブロック共重合を問わない。たとえば、ポリオレフィン主鎖としては、ポリエチレン系樹脂またはポリプロピレン系樹脂と、他のα−オレフィンと、のランダムおよび/またはブロック共重合体、具体的にはポリプロピレン−エチレン共重合体、プロピレン−1−ヘキセン共重合体、プロピレン−4−メチル−1ペンテン共重合体、及びポリ4−メチル−1−ペンテン、ポリブテン−1などが挙げられる。これらの樹脂は、単独で、または複数種の組み合わせで用いることができる。
ポリエチレン系樹脂としては、高密度タイプ(HDPE)、中密度タイプ(MDPE)、低密度タイプ(LDPE)、および直鎖低密度タイプ(L−LDPE)のポリエチレン、ならびにエチレン−αオレフィン共重合体、およびエチレン−酢酸ビニル共重合体などが挙げられる。これらの樹脂は、単独で、または複数種の組み合わせで用いることができる。
ポリプロピレン系樹脂としては、アイソタクチックポリプロピレンまたはプロピレンと、他の少量のα−オレフィンと、のランダムおよび/またはブロック共重合体、具体的にはプロピレン−エチレン共重合体、プロピレン−1−ヘキセン共重合体、及びポリ4−メチル−1−ペンテン、ポリブテン−1などが挙げられる。耐熱性の観点からは、ポリプロピレン構造であることが好ましい。これらの樹脂は、単独で、または複数種の組み合わせで用いることができる。
不飽和カルボン酸としては、二塩基性不飽和脂肪酸およびその無水物が挙げられる。より具体的には、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、クロトン酸、イタコン酸、シトラコン酸などが挙げられる。
酸誘導体としては、無水物、アミド、およびエステルが挙げられ、より具体的には、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル、メタクリル酸ブチル、酢酸ビニル、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、アクリルアミド、メタクリルアミド、アクリル酸ナトリウムなどが挙げられる。
これらの酸化合物は、単独で、または複数種の組み合わせで用いることができる。
上記の変性ポリオレフィン系樹脂にさらに重合または混合させてよいポリオレフィン系樹脂としては、たとえば炭素数2以上8以下のα−オレフィンの重合体が挙げられる。
接着層120を構成する樹脂のビカット軟化点は、80℃以上であることが好ましい。当該範囲を下回ると、高温高湿条件下において接着力の保持が不安定になる傾向にある。当該範囲内の上限値は特に限定されるものではないが、例えば120℃である。
接着層120は、無機充填材を実質的に含まないものであってもよい。この場合、無機充填材を実質的に含まないとは、無機充填材を全く含まないか、または、0重量%超10重量%未満、好ましくは0重量%超5重量%以下の範囲で含むことを許容する意である。ここで、無機充填材は、炭酸カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、酸化チタンその他の任意の無機充填材をいう。
接着層120の層厚は、積層フィルム100全体の厚さに対し、たとえば2%以上20%以下、好ましくは4以上15%以下であってよい。これによって、ポリアミド系樹脂層110とポリオレフィン系樹脂層130との接着性を確保しつつ、両者の特性を活かすことができる。
また、接着層120は、積層フィルム100が、上述のポリアミド系樹脂層110と後述のポリオレフィン系樹脂層130とをそれぞれ作成しておき、両層の間に接着剤を塗布して貼り合わせるドライラミネートによって製造される場合に、当該接着剤によって構成されたものであってもよい。この場合、接着剤としては、たとえばイソシアネート系、ウレタン系、イミン系、チタネート系などの接着剤が挙げられる。
[ポリオレフィン系樹脂層]
ポリオレフィン系樹脂層130は、オレフィン単独重合樹脂、オレフィン共重合樹脂、またはオレフィン単独重合樹脂とオレフィン共重合樹脂との混合物である。ポリオレフィン系樹脂層130にこのような樹脂を用いることにより、床材に適用された場合に、床材に適切な柔軟性を付与することができる。さらに、オレフィン単独重合樹脂とオレフィン共重合樹脂とを混合して用いる場合は、機械的強度を保持しつつ透明性を付与することができる。
オレフィン単独重合樹脂は、実質的にオレフィンモノマーのみから構成される分岐状ポリオレフィンである。オレフィンモノマーとしては、たとえば炭素数2以上8以下のα−オレフィンが挙げられる。オレフィン単独重合体樹脂は、柔軟性の観点から、ポリエチレン、ポリプロピレンであることが好ましい。特にポリエチレンの場合、透明性の観点から、エチレン単独重合樹脂の密度は、910kg/m以上930kg/m未満であることが好ましい。このような分岐状ポリエチレンの好ましい例として、低密度ポリエチレン(LDPE)が挙げられる。
オレフィン共重合樹脂は、オレフィンモノマーと、その他のコモノマーとから構成される樹脂である。共重合様式としては、交互共重合、ランダム共重合およびブロック共重合を問わないが、好ましくは、ポリオレフィンの直鎖を主鎖として、コモノマーに由来する側鎖を有する直鎖系オレフィン共重合樹脂である。また、オレフィン共重合樹脂は、下記の樹脂を単独でまたは複数種の混合態様で用いてもよい。
オレフィン共重合樹脂のコモノマーとしては、他のα−オレフィン、ビニル化合物、およびアクリルアミド系化合物の少なくともいずれかが挙げられる。
コモノマーとしてのα−オレフィンは、炭素数3以上20以下、好ましくは3以上12以下、より好ましくは4以上8以下である。より具体的には、例えばプロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセン、1−ドデセン、4−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ヘキセン等が挙げられる。これらα−オレフィンは、1種または2種以上が組み合わされて用いられてよい。
α−オレフィンをコモノマーとするエチレン共重合樹脂のより具体的な例としては、直鎖低密度ポリエチレン(L−LDPE) 、中密度ポリエチレン(MDPE)および高密度ポリエチレン(HDPE)が挙げられる。
コモノマーとしてのビニル化合物は、たとえば、酢酸ビニル、(メタ)アクリル酸メチルなどの不飽和カルボン酸、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、ブチルビニルエーテルなどの不飽和エーテルなどであってよい。これらビニル化合物は、1種または2種以上が組み合わされて用いられてよい。ビニル化合物の共重合割合は、透明性確保の観点から、たとえば60重量%以下、好ましくは50重量%以下である。
コモノマーとしてのアクリルアミド系化合物は、たとえば、N−アルキルアクリルアミド、N,N−ジアルキルアクリルアミド、N−アルキルメタアクリルアミド、N,N−ジアルキルメタアクリルアミドなどであってよい。具体的には、N−エチルアクリルアミド、N−n−プロピルアクリルアミド、N−イソプロピルアクリルアミド、N−n−ブチルアクリルアミド、N−イソブチルアクリルアミド、N−t−ブチルアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジエチルアクリルアミド、N−エチルメタクリルアミド、N−n−プロピルメタクリルアミド、N−t−ブチルメタクリルアミド、N,N−ジメチルメタクリルアミド、N,N−ジエチルメタクリルアミド、N−メチル−N−エチルアクリルアミドなどが挙げられる。これらアクリルアミド系化合物は、1種または2種以上が組み合わされて用いられてよい。アクリルアミド系化合物の共重合割合は、透明性確保の観点および機械強度確保の観点から、たとえば0.01重量%以上50重量%以下であり、好ましくは0.05重量%以上45重量%以下である。
オレフィン単独重合樹脂に対するオレフィン共重合樹脂の混合比(オレフィン共重合樹脂/オレフィン単独重合樹脂)は、重量基準でたとえば1以上35以下である。当該混合比は、1以上19以下、1.5以上9以下、または2以上5.5以下、一例として4であってもよい。当該混合比を上記範囲とすることにより、機械的強度が良好且つ曇度が低い積層フィルムとなる。
ポリオレフィン系樹脂には、添加剤が用いられてよい。添加剤としては、たとえば、透明性向上剤(たとえば炭酸リチウム)、光安定剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、滑剤、およびアンチブロッキング剤(すなわちAB剤)が挙げられる。
ポリオレフィン系樹脂層130の層厚は、積層フィルム100全体の厚さに対し、たとえば10%以上、16%以上、または20%以上であり、かつ90%以下であってよい。上記範囲を下回ると、積層フィルム100の柔軟性の確保が困難になる傾向にある。上記範囲を上回ると、積層フィルム100の耐摩耗性の確保が困難になる傾向にある。
あるいは、ポリオレフィン系樹脂層130の層厚は、上述のポリアミド系樹脂層110の層厚に対し(すなわち、ポリオレフィン系樹脂層130の層厚/ポリアミド系樹脂層110の層厚の比が)、たとえば0.1以上9以下、好ましくは0.3以上7以下である。上記範囲を下回ると、柔軟性の発現が相対的に小さくなる傾向にある。上記範囲を上回ると、耐摩耗性の発現が相対的に小さくなる傾向にある。
[積層フィルム100の特性]
積層フィルム100は、ポリアミド系樹脂層110とポリオレフィン系樹脂層130とが積層されているため、床材に適した耐摩耗性と柔軟性との両方を付与することができ、摩擦および曲げに対して強い床用表層材として用いることができる。さらに、ポリオレフィン系樹脂層130において、オレフィン単独重合樹脂とオレフィン共重合樹脂とが混合されて用いられているため、機械的強度が保持されつつ透明性も高い床用表層材として用いることができる。
積層フィルム100は、曇度(JIS K7136)がたとえば8以下、好ましくは7以下である。このような低い曇度により、積層フィルム100は、ポリオレフィン系樹脂層130に印刷を行った場合に、ポリアミド系樹脂層110から当該印刷を視認した場合の明瞭性に優れる。
また、積層フィルム100は、寸法変化率が小さいことから、カール抑制効果に優れる。具体的には、40℃、相対湿度90%以下、7日保管における寸法変化率がたとえば±1.1%以下、好ましくは±0.5%以下、より好ましくは±0.2%以下である。つまりこの場合、相対湿度90%程度の湿潤条件下および相対湿度4%程度の乾燥条件下のいずれにおいても、ほとんど寸法が変化しない。
積層フィルム100は、ヤング率(JIS K7127)が300MPa以上800MPa以下、好ましくは300MPa以上450MPa以下であってよい。また、引張強度(JIS Z1702)が30MPa以上70MPa以下、好ましくは30MPa以上60MPa以下であってよい。さらに、伸び率(JIS Z1702)が350%以上500%以下、好ましくは400%以上500%以下であってよい。これによって、好ましい柔軟性を有する床用表層材として用いることができる。これらの物性は、すくなくともいずれかが満たされていればよいが、全てを満たしていることがより好ましい。好ましい柔軟性を満たすことにより、床材に適用された場合に、程良いクッション性を確保することができ、剛性が適度で、不所望な変形を防止することができる。
床材に適用された場合に上述の特性を確保する観点から、積層フィルム100の厚さは、たとえば50μm以上500μm以下、好ましくは100μm以上200μm以下である。
[第2実施形態]
図2は、第2実施形態にかかる積層フィルムの一例を示す模式的断面図である。
図2に示す積層フィルム100aは、ポリアミド系樹脂層110aが2層であることを除いて、第1実施形態にかかる積層フィルム100と同様である。
積層フィルム100aにおけるポリアミド系樹脂層110aは、異なる2種類のポリアミド系樹脂層111,112から構成される。ポリアミド系樹脂層111とポリアミド系樹脂層112とは、互いに吸湿性が異なる樹脂および/または互いに耐摩耗性が異なる樹脂で構成されることが好ましい。
たとえば、最表層を構成するポリアミド系樹脂層111を、下層のポリアミド系樹脂層112よりも吸湿性が低いポリアミド系樹脂で構成することができる。すなわち、外部環境に直接触れる最表層のみに耐吸湿性に優れたポリアミド系樹脂を用いることができる。これによって、ポリアミド系樹脂層110aを、所望の耐吸湿性を確保するとともに、低コストで製造することができる。
また、最表層を構成するポリアミド系樹脂層111を、下層のポリアミド系樹脂層112よりも耐摩耗性が高いポリアミド系樹脂で構成することができる。すなわち、外部の衝撃を直接受ける最表層のみに耐摩耗性が高いポリアミド系樹脂を用いることができる。これによって、ポリアミド系樹脂層110aを、所望の耐摩耗性を確保するとともに、低コストで製造することができる。
さらに、ポリアミド系樹脂層111とポリアミド系樹脂層112を、それぞれ、耐吸湿性、耐摩耗性、融点、その他の特性が異なるポリアミド系樹脂で構成することで、ポリアミド系樹脂層110aを多機能化することができる。より具体的には、たとえば、表面に近いポリアミド系樹脂層111をより融点が高いポリアミド系樹脂で構成することで、摩擦による溶けへの耐性が強くなる。
ポリアミド系樹脂層111とポリアミド系樹脂層112との総層厚は、第1実施形態におけるポリアミド系樹脂層110と同様である。ポリアミド系樹脂層111の層厚は、ポリアミド系樹脂層110aの層厚に対し、たとえば10%以上90%以下、好ましくは20%以上80%以下である。
[他の例]
本発明においては、積層フィルム100,100aの例に限らず、ポリアミド系樹脂層と、接着層と、混合ポリオレフィン系樹脂層との積層態様であり、かつ、所望の耐摩耗性、柔軟性および透明性が保証される限り、任意の変更が加えられてよい。
たとえば、積層フィルム100,100aを構成するいずれかの層がさらに複層となってもよい。たとえば、ポリオレフィン系樹脂層130が、組成が異なる混合ポリオレフィン系樹脂の層が積層された複層として構成されてもよい。また、積層フィルム100aのポリアミド系樹脂層110aを構成する層数が3以上であってもよい。
また、積層フィルム100,100aを構成する一部の層が繰り返し積層されてもよい。
さらに、積層フィルム100は、エンボス加工が施されていてもよい。
[製膜方法]
本発明の積層フィルムを製膜する方法としては公知の方法であれば特に限定されないが、たとえば複数層を一度に溶融製膜する共押出法が挙げられる。共押出法としては、Tダイによる共押出法およびインフレーションによる共押出法が挙げられる。たとえば1層のポリアミド系樹脂層が比較的厚い場合が想定される積層フィルム100を製膜する場合は、Tダイによる共押出法の方が製膜容易性の観点から好ましい。その他、それぞれの層を逐次積層するドライラミネート法を用いてもよい。
[第3実施形態]
図3は、図1の積層フィルム100を用いた床材の一例を示す。なお、以下において、説明の便宜上、図3の上側への方向を上、下側への方向を下と記載する場合がある。
図3に示すように、床材500は、積層フィルム100と、印刷層200と、プライマー層300と、バッカー層400とを含む。積層フィルム100は、ポリアミド系樹脂層110を最表層とし、ポリオレフィン系樹脂層130側に印刷層200が形成されるように配置される。
床材500は、積層フィルム100の透明性が高いため、表側(つまり積層フィルム100のポリアミド系樹脂層110側)から印刷層200を視認した場合の明瞭性に優れる。また、床材500は、積層フィルム100の寸法安定性が高いため、高湿条件下における上反り(つまりポリアミド系樹脂層110側に積層フィルム100が反り上がる)による変形および/または剥れがほとんどなく、かつ、乾燥条件下における下反り(つまりポリオレフィン系樹脂層130側に積層フィルム100が反り下がる)による変形および/または剥れもほとんどない。
床材500において、積層フィルム100のポリオレフィン系樹脂層130の下面は、表面処理として親水化処理がなされている。親水化処理の具体例としては、コロナ放電処理、プラズマ処理、火炎(フレーム)処理、紫外線照射処理、燃焼化学気相蒸着処理が挙げられる。これによって、印刷層200の付与を容易にすることができる。
親水化処理されたポリオレフィン系樹脂層130の面の濡れ指数(JIS K6768)は、たとえば35ダイン以上55ダイン以下、好ましくは35ダイン以上45ダイン以下である。上記範囲を下回ると、着色剤を付与しにくい傾向があり、また、滑り性が悪くなる傾向もある。前記範囲を上回ると、付与された着色剤に滲みが生じる傾向がある。
印刷層200は、所望の意匠が施された、少なくとも着色剤を含む層である。意匠としては、たとえば、木目模様、石目模様、砂目模様、布目模様、タイル貼模様、煉瓦積模様、皮絞模様、幾何学図形、抽象模様、文字、記号などが挙げられる。
印刷層200は、たとえば、公知の染料を結着剤樹脂とともに溶剤中に溶解して得られるインキ、または、公知の顔料を結着剤樹脂とともに分散媒中に分散して得られるインキを用いた印刷法により、ポリオレフィン系樹脂層130表面に形成することができる。印刷法としては、たとえば、グラビア印刷法、オフセット印刷法、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法、静電印刷法、インクジェット印刷法等が挙げられる。また、印刷層200を全面ベタ状の着色隠蔽層として形成する場合には、たとえば、ロールコート法、ナイフコート法、エアーナイフコート法、ダイコート法、リップコート法、コンマコート法、キスコート法、フローコート法、ディップコート法等の各種コーティング法も挙げられる。
床材500における印刷層200の厚みは特に限定されないが、たとえば、3μm以下である。
プライマー層300は、印刷層200、または印刷層200およびポリオレフィン系樹脂層130と、バッカー層400とを接着可能な樹脂で構成される。プライマー層300に用いる樹脂としては、エステル系樹脂、ウレタン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリビニルブチラール系樹脂、ニトロセルロース系樹脂等を挙げることができ、これらの樹脂は単独又は混合して使用できる。プライマー層300の形成は、ロールコート法やグラビア印刷法等の適宜の塗布手段を用いて行える。
バッカー層400は、床材500において衝撃吸収等を目的とした緩衝層である。バッカー層400を構成する材料としては、たとえば、ポリ塩化ビニル、ポリプロピレン、エチレン−ビニルアルコール共重合体、ポリメチレン、ポリメチルペンテン、ポリエチレンテレフタレート、耐熱性の高いポリアルキレンテレフタレート(たとえば、エチレングリコールの一部を1,4−シクロヘキサンジメタノールまたはジエチレングリコール等で置換したポリエチレンテレフタレート)、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリエチレンナフタレート−イソフタレート共重合体、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリイミド、ポリスチレン、ポリアミド、ABS等が挙げられる。これらの樹脂は、単独または2種以上の組み合わせで使用できる。バッカー層400の層厚は、たとえば2mm以上10mm以下である。
床材500は、積層フィルム100のポリオレフィン系樹脂層130に親水化処理を施し、印刷層200を設け、プライマー層300を塗布し、さらにバッカー層400を重ねて熱ラミネートすることによって製造することができる。ラミネートの際には積層フィルム100側に傷つき防止のためのエンボス加工を行ってもよい。
床材500は、置敷きタイル(たとえば一辺が450mm以上500mm以下の角型タイル)であってもよいし、幅広長尺のシートであってもよい。
[他の例]
バッカー層400の中には、ガラス繊維等の補強材が層状に挿入されていてよい。ガラス繊維が用いられる場合、ガラス繊維は、バッカー層400を構成する樹脂に含浸された態様であってよい。
以下に実施例を示し、本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に制限されるものではない。
[実施例1]
ナイロン6(6Ny)(宇部興産製 宇部ナイロン 1022B)、マレイン酸変性LLDPE(AD)(三井化学製 アドマー NF308)、および直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE プライムポリマー製 ネオゼックス 2540R)と分岐状低密度ポリエチレン(LDPE 宇部丸善ポリエチレン製 ウベポリエチレン F522)との混合樹脂を、Tダイによる共押出法によって溶融製膜し、6Ny/AD/LLDPE+LDPEの順で積層された総厚150μmの積層フィルムを得た。LDPEに対するLLDPEの混合比(LLDPE/LDPE)は、97/3(重量基準)とした。
製膜後の6Ny層の層厚は52.5μm、AD層の層厚は15μm、LLDPE及びLDPEの混合樹脂層の層厚は82.5μmであった。
[実施例2]
ナイロン6(6Ny)(宇部興産製 宇部ナイロン 1022B)、マレイン酸変性LLDPE(AD)(三井化学製 アドマー NF308)、および直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE プライムポリマー製 ネオゼックス 2540R)と分岐状低密度ポリエチレン(LDPE 宇部丸善ポリエチレン製 ウベポリエチレン F522)との混合樹脂を、Tダイによる共押出法によって溶融製膜し、6Ny/AD/LLDPE+LDPEの順で積層された総厚150μmの積層フィルムを得た。LDPEに対するLLDPEの混合比(LLDPE/LDPE)は、80/20(重量基準)とした。
製膜後の6Ny層の層厚は37.5μm、AD層の層厚は15μm、LLDPE及びLDPEの混合樹脂層の層厚は97.5μmであった。
[実施例3]
ナイロン12(12Ny)(宇部興産製 宇部ナイロン 3030U)、マレイン酸変性LLDPE(AD)(三井化学製 アドマー NF518)、および直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE 住友化学製 スミカセン L211)と分岐状低密度ポリエチレン(LDPE 宇部丸善ポリエチレン製 ウベポリエチレン F522)との混合樹脂を、Tダイによる共押出法によって溶融製膜し、12Ny/AD/LLDPE+LDPEの順で積層された総厚150μmの積層フィルムを得た。LDPEに対するLLDPEの混合比(LLDPE/LDPE)は、80/20(重量基準)とした。
製膜後の12Ny層の層厚は120μm、AD層の層厚は7.5μm、LLDPE及びLDPEの混合樹脂層の層厚は22.5μmであった。
[実施例4]
ナイロン12(12Ny)(宇部興産製 宇部ナイロン 3030U)、マレイン酸変性LLDPE(AD)(三井化学製 アドマー NF518)、および直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE 住友化学製 スミカセン L211)と分岐状低密度ポリエチレン(LDPE 宇部丸善ポリエチレン製 ウベポリエチレン F522)との混合樹脂を、Tダイによる共押出法によって溶融製膜し、12Ny/AD/LLDPE+LDPEの順で積層された総厚150μmの積層フィルムを得た。LDPEに対するLLDPEの混合比(LLDPE/LDPE)は、80/20(重量基準)とした。
製膜後の12Ny層の層厚は45μm、AD層の層厚は7.5μm、LLDPE及びLDPEの混合樹脂層の層厚は97.5μmであった。
[機械的物性の評価]
実施例1から実施例4について、機械的特性に関する下記の諸物性を測定した。測定結果を表1に示す。
(柔軟性)
JIS Z1702に準拠した試験法に基づいて引張強度を測定した。
JIS Z1702に準拠した試験法に基づいて延び率を測定した。
JIS K7127に準拠した試験法に基づいてヤング率を測定した。
(耐摩耗性)
JIS A1453に準拠した試験法に基づいて摩耗試験を行った。2000回転実施し耐性があったサンプルについて○と評価した。
[実施例5]
ナイロン12(12Ny 宇部興産製UBESTA 3030U)、マレイン酸変性LLDPE(AD)(三井化学製 アドマーNF518)、および直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE 住友化学製スミカセンL211)と分岐状低密度ポリエチレン(LDPE宇部丸善ポリエチレンF522)との混合樹脂を、Tダイによる共押出法によって溶融製膜し、12Ny/AD/LLDPE+LDPEの順で積層された積層フィルムを得た。製膜後の12Ny層の層厚は50μm、AD層の層厚は10μm、LLDPE及びLDPEの混合樹脂層の層厚は90μmであった。
本実施例においては、LDPEに対するLLDPEの比(LLDPE/LDPE)を90/10とした。なお、当該比は、重量を基準とする。
製膜された積層フィルムについて、JIS K7136に準拠した方法によって、曇度を測定した。より具体的には、積層フィルムの曇度(Haze値)は、JIS K7136(2000年)に準拠して、ヘーズメーター(日本電色工業株式会社製、NDH2000、D65光源)を用い、積層フィルムの表面側から入光させて行った。積層フィルムの曇度が8以下である場合、透明性に優れるため印刷層の意匠を充分に目視することができ、7以下である場合、さらに良好に意匠を目視することができる。
[実施例6]
LDPEに対するLLDPEの比(LLDPE/LDPE)を80/20としたことを除いて、実施例5と同様に製膜および曇度の測定を行った。
[実施例7]
LDPEに対するLLDPEの比(LLDPE/LDPE)を60/40としたことを除いて、実施例5と同様に製膜および曇度の測定を行った。
[実施例8]
LDPEを用いなかったことを除いて、実施例5と同様に製膜および曇度の測定を行った。
[実施例9]
LLDPEを用いなかったことを除いて、実施例5と同様に製膜および曇度の測定を行った。
[曇度の評価]
実施例5から実施例9について、測定された曇度を表2に示した。表2が示すように、全ての実施例において、曇度が小さい積層フィルムが得られた。したがって、実施例5から実施例9により、透明性に優れた積層フィルムが得られた。
特に、LLDPEとLDPEとを混合させて用いた実施例5から実施例7により、曇度がより小さい積層フィルムが得られた。したがって、実施例5から実施例7により、透明性に特に優れた積層フィルムが得られた。
[実施例10]
以下の4種のサンプルT021,T022,T023,T024を作成した。
(サンプルT021)
ナイロン6(6Ny)(宇部興産製 宇部ナイロン 1022B)、マレイン酸変性LLDPE(AD)(三井化学製 アドマー NF518)、および直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE 住友化学製スミカセンL211)と分岐状低密度ポリエチレン(LDPE宇部丸善ポリエチレン ウベポリエチレン F522)との混合樹脂(PE)を、Tダイによる共押出法によって溶融製膜し、6Ny/AD/PEの順で積層された積層フィルムサンプルT021を得た。LDPEに対するLLDPEの混合比(LLDPE/LDPE)は、60/40(重量基準)とした。6Nyの層厚は105μm、ADの層厚は22μm、PEの層厚は32μmであった。
(サンプルT022)
ナイロン6系樹脂(改変6Ny)(宇部興産製 1022FDX99)、(AD)マレイン酸変性LLDPE(三井化学製 アドマー NF518)、および直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE 住友化学製スミカセンL211)と分岐状低密度ポリエチレン(LDPE宇部丸善ポリエチレン ウベポリエチレン F522)との混合樹脂(PE)を、Tダイによる共押出法によって溶融製膜し、改変6Ny/AD/PEの順で積層された積層フィルムサンプルT022を得た。LDPEに対するLLDPEの混合比(LLDPE/LDPE)は、60/40(重量基準)とした。改変6Nyの層厚は100μm、ADの層厚は20μm、PEの層厚は29μmであった。
(サンプルT023)
ナイロン12(12Ny)(宇部興産製UBESTA 3030U)、マレイン酸変性LLDPE(AD)(三井化学製 アドマー NF518)、および直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE 住友化学製スミカセンL211)と分岐状低密度ポリエチレン(LDPE宇部丸善ポリエチレン ウベポリエチレン F522)との混合樹脂(PE)を、Tダイによる共押出法によって溶融製膜し、12Ny/AD/PEの順で積層された積層フィルムサンプルT023を得た。LDPEに対するLLDPEの混合比(LLDPE/LDPE)は、60/40(重量基準)とした。12Nyの層厚は101μm、ADの層厚は20μm、PEの層厚は30μmであった。
(サンプルT024)
ナイロン6(6Ny)(宇部興産製 宇部ナイロン 1022B)、酸変性LLLDPE(改変AD)(三井化学製 アドマー NF587 ビカット軟化点65℃)、および直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE 住友化学製スミカセンL211)と分岐状低密度ポリエチレン(LDPE宇部丸善ポリエチレン ウベポリエチレン F522)との混合樹脂(PE)を、Tダイによる共押出法によって溶融製膜し、6Ny/改変AD/PEの順で積層された積層フィルムサンプルT024を得た。LDPEに対するLLDPEの混合比(LLDPE/LDPE)は、60/40(重量基準)とした。6Nyの層厚は99μm、改変ADの層厚は20μm、PEの層厚は31μmであった。
[寸法変化率の評価]
サンプルT021,T022,T023,T024を製膜直後にアルミ袋に防湿保管(5日間)し、その後、サンプル毎に3片のサンプル片に切断して寸法を測定し、それぞれ基準寸法を求めた。
さらに、基準寸法を求めたサンプル片を、(i)40℃、相対湿度4%、7日間、(ii)40℃、相対湿度60%、7日間、および(iii)40℃、相対湿度90%、7日間、の条件下で保管した。その後、寸法と水分率(エー・アンド・デイ株式会社製 加熱乾燥式水分計MS−70 120℃)とを測定した。さらに、実測寸法から、基準寸法に基づいて、伸縮率(%)を求めた。なお、収縮率は、実測寸法が基準寸法より伸長した場合は+、実測寸法が基準寸法より収縮した場合は−で表した。
上記(i)40℃、相対湿度4%、7日間の条件下で保管した場合の、水分率(横軸)および収縮率(縦軸)を、図4に示し、上記(ii)40℃、相対湿度60%、7日間の条件下で保管した場合の、水分率(横軸)および収縮率(縦軸)を、図5に示し、上記(iii)40℃、相対湿度90%、7日間、の条件下で保管した場合の、水分率(横軸)および収縮率(縦軸)を、図6に示す。
図4から図6に示されるように、サンプル片はいずれも、伸縮率が±1.1%(長さ基準)以下にとどまっており、良好な寸法安定性が示された。特に、ナイロン12を用いたサンプルT023の場合は、伸縮率が+0.2%にとどまっており、ほとんど寸法が変化しないことが証明された。また、ナイロン12は、条件(iii)のように高湿条件下のみならず、条件(i)のように乾燥条件下においても、極めて優れた寸法安定性を示した。
[実施例11]
ナイロン6(6Ny)(宇部興産製 宇部ナイロン 1022B)、マレイン酸変性LLDPE(AD)(三井化学製 アドマーNF518)、およびエチレン−メタクリル酸共重合体(EMAA)(三井・デュポン製 ニュクレルAN4213C)を、Tダイによる共押出法によって溶融製膜し、6Ny/AD/EMAAの順で積層された積層フィルムを得た。ADのビカット軟化点は85℃であった、6Nyの層厚は110μm、ADの層厚は20μm、EMAAの層厚は30μmであった。
製膜した積層フィルムをステンレス板へラミネートした。ラミネート条件は、温度120℃、圧力0.5MPa、速度20mm/秒であった。ラミネートした後、積層物を60℃、相対湿度90%、1日の条件下で保管した。本実施例では、当該条件における保管後であっても、剥離が起こることなく、ADが安定した接着力を保持することが示された。
[実施例12]
以下の2種のサンプルT025,T026を作成した。
(サンプルT025)
ナイロン12(12Ny)(宇部興産製 UBESTA 3030U)、ナイロン6(6Ny)(宇部興産製 宇部ナイロン 1022B)、マレイン酸変性LLDPE(AD)(三井化学製 アドマー NF518)、および直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE 住友化学製スミカセンL211)と分岐状低密度ポリエチレン(LDPE宇部丸善ポリエチレン ウベポリエチレン F522)との混合樹脂(PE)を、Tダイによる共押出法によって溶融製膜し、12Ny/6Ny/AD/PEの順で積層された積層フィルムサンプルT025を得た。LDPEに対するLLDPEの混合比(LLDPE/LDPE)は、60/40(重量基準)とした。12Nyの層厚は30μm、6Nyの層厚は80μm、ADとPEとの合計層厚は40μmであった。
(サンプルT026)
ナイロン12(12Ny)(宇部興産製 UBESTA 3030U)、ナイロン6(6Ny)(宇部興産製 宇部ナイロン 1022B)、マレイン酸変性LLDPE(AD)(三井化学製 アドマー NF518)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE 住友化学製スミカセンL211)と分岐状低密度ポリエチレン(LDPE宇部丸善ポリエチレン ウベポリエチレン F522)との混合樹脂(PE)を、Tダイによる共押出法によって溶融製膜し、12Ny/6Ny/AD/PEの順で積層された積層フィルムサンプルT026を得た。LDPEに対するLLDPEの混合比(LLDPE/LDPE)は、60/40(重量基準)とした。12Nyの層厚は50μm、6Nyの層厚は60μm、ADとPEとの合計層厚は40μmであった。
[寸法変化率の評価1]
サンプルT025,T026を製膜直後にアルミ袋に防湿保管(5日間)し、その後、寸法を測定し、それぞれ基準寸法を求めた。
さらに、基準寸法を求めたサンプルを、40℃、相対湿度90%、10日間の条件下で保管した。その後、寸法と水分率(エー・アンド・デイ株式会社製 加熱乾燥式水分計MS−70 120℃)とを測定した。さらに、実測寸法から、基準寸法に基づいて、伸縮率(%)を求めた。なお、収縮率は、実測寸法が基準寸法より伸長した場合は+、実測寸法が基準寸法より収縮した場合は−で表した。
上記条件下で保管した場合の、水分率(横軸)および収縮率(縦軸)を、図7に示す。
実施例10よりも厳しい条件であったにもかかわらず、図7に示されるように、サンプル片はいずれも、伸縮率が±1.1%以下にとどまっており、良好な寸法安定性が示された。また、ポリアミド系樹脂層にナイロン6層を含むサンプルT25,T26では、ナイロン12層の層厚が積層されることにより、ポリアミド系樹脂層にナイロン6層のみを含むサンプルTO21よりも、良好な寸法安定性が得られた。さらに、ポリアミド系樹脂層全体に対するナイロン12層の層厚が大きいほど、良好な寸法安定性が得られる傾向がみられた。
[寸法変化率の評価2]
サンプルT025,T026を上述のように40℃、相対湿度90%、10日間の条件下で保管した後、当該条件下から解放し、23℃、50%RH環境下で4時間放置した。図8および図9に、それぞれ、放置後のサンプルT025,T026の写真を示す。図8および図9に示されるように、サンプルT025,T026には、反りも寸法変化も生じなかった。
本発明の好ましい実施形態は上記の通りであるが、本発明はそれらのみに限定されるものではなく、本発明の趣旨と範囲とから逸脱することのない様々な実施形態が他になされる。さらに、本実施形態において述べられる作用および効果は一例であり、本発明を限定するものではない。
100,100a 積層フィルム
110,110a ポリアミド系樹脂層
120 接着層
130 ポリオレフィン系樹脂層
200 印刷層
300 プライマー層
400 バッカー層
500 床材

Claims (15)

  1. 床表層材に用いられる積層フィルムであって、
    少なくとも、ポリオレフィン系樹脂の層と、前記ポリオレフィン系樹脂の層上に接着層を介して積層されたポリアミド系樹脂の層とを含み、
    前記ポリオレフィン系樹脂層は、オレフィン単独重合樹脂、オレフィン共重合樹脂、またはオレフィン単独重合樹脂とオレフィン共重合樹脂との混合樹脂である、積層フィルム。
  2. 40℃、相対湿度90%環境下で7日保管した場合の寸法変化率が±1.1%以下である、請求項1に記載の積層フィルム。
  3. 前記ポリアミド系樹脂の吸水率が、8wt%以下である、請求項1または2に記載の積層フィルム。
  4. 前記ポリアミド系樹脂が、11−ナイロンおよび12−ナイロンから選択される、請求項1から3のいずれか1項に記載の積層フィルム。
  5. 前記ポリアミド系樹脂の層、前記接着層および前記ポリオレフィン系樹脂の層の総層厚に対し、前記ポリアミド系樹脂の層の厚みが10%以上90%以下である、請求項1から4のいずれか1項に記載の積層フィルム。
  6. 前記ポリアミド系樹脂の層、前記接着層および前記ポリオレフィン系樹脂の層の総層厚に対し、前記ポリオレフィン系樹脂の層の厚みが10%以上90%以下である、請求項1から5のいずれか1項に記載の積層フィルム。
  7. 曇度が8%以下である、請求項1から6のいずれか1項に記載の積層フィルム。
  8. ヤング率が300MPa以上800MPa以下である、請求項1から7のいずれか1項に記載の積層フィルム。
  9. 引張強度が30MPa以上70MPa以下である、請求項1から8のいずれか1項に記載の積層フィルム。
  10. 伸び率が350%以上500%以下である、請求項1から9のいずれか1項に記載の積層フィルム。
  11. 前記ポリアミド系樹脂の融点が160℃以上270℃以下である、請求項1から3および5から10のいずれか1項に記載の積層フィルム。
  12. 前記ポリオレフィン系樹脂の層の、前記接着層と反対側の面が親水化処理されている、請求項1から11のいずれか1項に記載の積層フィルム。
  13. 前記反対側の面の濡れ指数が、35ダイン以上55ダイン以下である、請求項12に記載の積層フィルム。
  14. 前記反対側の面に印刷層をさらに含む、請求項12または13に記載の積層フィルム。
  15. 請求項14に記載の積層フィルムと、前記ポリオレフィン系樹脂の層の側に積層されたバッカー層と、を含む床材。
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