JP2015142938A - ダイカスト方法、ダイカスト製品の製造方法、及びダイカスト用水性離型剤 - Google Patents
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Abstract
【課題】金型や製品の焼付きを防止できるとともに、水性離型剤の最大のメリットである冷却効果を得つつ、廃液の発生を抑制することも可能なダイカスト方法を提供する。
【解決手段】スプレーノズルを介して水性離型剤を金型へと塗布する工程を備えるダイカスト方法において、水性離型剤として水溶性高分子を含むものを用い、水性離型剤の塗布量を0.05ml/cm2以上0.5ml/cm2以下とする。
【選択図】なし
【解決手段】スプレーノズルを介して水性離型剤を金型へと塗布する工程を備えるダイカスト方法において、水性離型剤として水溶性高分子を含むものを用い、水性離型剤の塗布量を0.05ml/cm2以上0.5ml/cm2以下とする。
【選択図】なし
Description
本発明は、金型に水性離型剤を塗布することで、十分な冷却効果および製品の離型性を得つつ、離型剤の廃液を低減できる新規ダイカスト方法に関する。
ダイカスト用離型剤は、従来から水性離型剤が使用され、部品の形状等により、数十ccから数Lをスプレーや銅パイプで金型に噴霧している。ダイカスト用離型剤は、ダイカスト製品が金型から離型する時の抵抗を軽減させ、金型と材質(例えばアルミニウム合金)との反応(焼付き)を防止する他、金型温度の過度な上昇を防ぐための冷却効果を得るために使用するものである。
金型の内冷技術の向上と共にダイカスト用離型剤として油性離型剤も徐々に使用されており、使用量を従来の水性離型剤と比較して1/10〜1/1000程度まで減少させることも可能となってきた。このため、油性離型剤を用いたダイカスト方法にあっては、廃液を発生させない方法も既に実現している。
しかしながら、油性離型剤には火災等のリスクがあり、これを回避する観点から、油性離型剤と同じような使用方法で水性離型剤を塗布することも徐々に実用化されつつある。しかし、こうした塗布方法を実現させるためには、スプレー制御技術や金型の内冷強化が不可欠である。また、金型温度が高い(300〜400℃)と水性離型剤は、油性離型剤に比べて離型剤の付着効率が劣るため、十分な被膜形成が困難であり金型温度や塗布条件に左右されるのが現状である。
以上のように、一般化されている希釈液を多量に塗布する方法では廃液が大量に発生し環境負荷が高いのに対して、油性離型剤は塗布量が極めて少ないため廃液の問題はないが、火災リスクや有機溶剤の蒸気が屋内に蔓延するなど作業環境上好ましくない。
水性離型剤を用いたダイカスト方法に関し、例えば特許文献1には、高濃度の水性離型剤を油性離型剤と同様に少量塗布する方法が提案されている。しかしながら、特許文献1に開示された技術にあっては、水性離型剤のメリットである冷却効果が全く得られず、連続鋳造時の金型温度の上昇により被膜形成が困難となり、離型効果が発揮されない虞があった。
すなわち、高濃度の水性離型剤を少量塗布する方法は高温金型では十分な離型被膜が形成されないため離型効果が発揮されにくい。一方、多量に塗布すると冷却効果は得られても、過度に冷却される金型部分に残る水の巻き込みによる品質不良や廃液の問題が生じる。
そこで本発明は、金型や製品の焼付きを防止できるとともに、水性離型剤の最大のメリットである冷却効果を得つつ、廃液の発生を抑制することも可能なダイカスト方法を提供することを課題とする。
上記課題に鑑み本発明者らが鋭意研究を重ねた結果、以下の知見を得た。
(1)水性離型剤を「中量塗布」することで、金型の冷却効果を得つつも廃液を低減することができ、且つ、展延性を向上させることができる。すなわち、水性離型剤を「少量塗布」した場合では対応できない複雑形状にも対応可能となる一方、水性離型剤を「大量塗布」した場合に生じる廃液の問題を解消することができる。
(2)「中量塗布」の場合、「大量塗布」の場合ほどの冷却効果は得られないため、何らかの工夫が必要となる。
(3)水性離型剤中に水溶性高分子を添加することで、金型上に水性離型剤が長時間に亘って存在することができる。すなわち、高分子中の親水基が水と結びつき水和が起こるため、金型上に長時間に亘って水を存在させることができる。これにより、冷却効果を増大させることができる。水性離型剤中に水溶性高分子を添加することで、「中量塗布」の場合でも「大量塗布」と同等の冷却効果を得ることができる。
(4)水性離型剤の塗布距離を工夫することによっても、冷却性を向上させることができる。
(5)水性離型剤を金型にパルス方式で吹き付けることによって、金型への離型剤の付着量を落とすことなく廃液の低減が可能となり、且つ、冷却性を向上させることができる。
(6)さらに水性離型剤中に起泡剤となり得る界面活性剤を添加することで、金型上での水分の揮発が促進される。すなわち、金型から奪われる気化熱が多くなる。これにより、冷却効果を増大させることができる。
(1)水性離型剤を「中量塗布」することで、金型の冷却効果を得つつも廃液を低減することができ、且つ、展延性を向上させることができる。すなわち、水性離型剤を「少量塗布」した場合では対応できない複雑形状にも対応可能となる一方、水性離型剤を「大量塗布」した場合に生じる廃液の問題を解消することができる。
(2)「中量塗布」の場合、「大量塗布」の場合ほどの冷却効果は得られないため、何らかの工夫が必要となる。
(3)水性離型剤中に水溶性高分子を添加することで、金型上に水性離型剤が長時間に亘って存在することができる。すなわち、高分子中の親水基が水と結びつき水和が起こるため、金型上に長時間に亘って水を存在させることができる。これにより、冷却効果を増大させることができる。水性離型剤中に水溶性高分子を添加することで、「中量塗布」の場合でも「大量塗布」と同等の冷却効果を得ることができる。
(4)水性離型剤の塗布距離を工夫することによっても、冷却性を向上させることができる。
(5)水性離型剤を金型にパルス方式で吹き付けることによって、金型への離型剤の付着量を落とすことなく廃液の低減が可能となり、且つ、冷却性を向上させることができる。
(6)さらに水性離型剤中に起泡剤となり得る界面活性剤を添加することで、金型上での水分の揮発が促進される。すなわち、金型から奪われる気化熱が多くなる。これにより、冷却効果を増大させることができる。
本発明は上記知見に基づいてなされたものである。すなわち、
本発明は、スプレーノズルを介して水性離型剤を金型へと塗布する工程を備え、水性離型剤は水溶性高分子を含むものであり、水性離型剤の塗布量を0.05ml/cm2以上0.5ml/cm2以下とする、ダイカスト方法である。
本発明は、スプレーノズルを介して水性離型剤を金型へと塗布する工程を備え、水性離型剤は水溶性高分子を含むものであり、水性離型剤の塗布量を0.05ml/cm2以上0.5ml/cm2以下とする、ダイカスト方法である。
本発明において「水溶性高分子」とは、親水基を有して水に対して溶解性を示す高分子であり、冷却性を有するものである。
本発明において、水溶性高分子がグリコール類もしくはセルロース類からなる群から選ばれる少なくとも1種以上であることが好ましい。金型の冷却性が一層向上するためである。
本発明において「グリコール類」は水溶性高分子として機能し得るものであれば良い。特に、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリオキシエチレングリコールモノエーテル、ポリプロピレングリコールモノエーテル、ポリオキシエチレンプロピレングリコールモノエーテル、のいずれかが好ましい。また、「セルロース類」についても水溶性高分子として機能し得るものであれば良い。特に、メチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシプロピルセルロース、のいずれかが好ましい。
本発明において「グリコール類」は水溶性高分子として機能し得るものであれば良い。特に、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリオキシエチレングリコールモノエーテル、ポリプロピレングリコールモノエーテル、ポリオキシエチレンプロピレングリコールモノエーテル、のいずれかが好ましい。また、「セルロース類」についても水溶性高分子として機能し得るものであれば良い。特に、メチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシプロピルセルロース、のいずれかが好ましい。
本発明において、水性離型剤には、水溶性高分子が0.1質量%以上10量%以下含まれることが好ましい。金型の冷却性が一層向上するためである。
本発明において、スプレーノズルからの水性離型剤のミスト径を0.1μm以上50μm以下とすることが好ましい。金型の冷却性が一層向上するためである。
本発明において、金型の単位面積(cm2)に供給される、スプレーノズルからの水性離型剤の単位時間(s)あたりの量(ml)を、0.01ml/(cm2・s)以上0.5ml/(cm2・s)以下とすることが好ましい。金型の冷却性が一層向上するためである。
本発明において、ミキシングエアの噴霧圧は0.03MPa以上0.3MPa以下とすることが好ましい。金型からはじかれて廃液となる液量が減るためである。
尚、「ミキシングエア」とは、スプレーノズルから離型剤を噴霧させる際に離型剤に混入させる空気のことをいう。
尚、「ミキシングエア」とは、スプレーノズルから離型剤を噴霧させる際に離型剤に混入させる空気のことをいう。
本発明において、水性離型剤には、水溶性高分子以外に、離型成分が2質量%以上15質量%以下含まれることが好ましい。金型への離型成分の付着量が一層好適なものとなるためである。
本発明において、スプレーノズルと金型との距離を100mm以上300mm以下とすることが好ましい。廃液が一層低減される他、金型への離型成分の付着性および金型の冷却性が一層向上するためである。
本発明において、スプレーノズルを介して水性離型剤をパルス方式で噴霧することが好ましい。金型への離型剤の付着量を落とすことなく廃液のさらなる低減が可能となり、且つ、冷却性を一層向上させることができるためである。
本発明において、水性離型剤には、水溶性高分子以外に、起泡剤が0.01質量%以上1質量%以下含まれることが好ましい。「起泡剤」とは、起泡剤となり得る界面活性剤をいう。例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸ナトリウム塩、ラウリルジメチルアミンオキシド、ナトリウム高級アルコールサルフェート、ラウリン酸ジエタノールアミド、アルキルスルホン酸塩のいずれか1種以上が好ましい。
尚、本発明はダイカスト製品の製造方法としての側面も有する。すなわち、上記の方法を用いて金型に水性離型剤を塗布した後、該金型に溶融金属を注入し、金型内で該溶融金属を凝固させ、ダイカスト製品として取り出す工程を備える、ダイカスト製品の製造方法である。「溶融金属」としてはアルミニウム合金、マグネシウム合金、亜鉛合金、錫合金等のダイカストにおいて従来から用いられてきた金属を溶融させたものをいう。
また、本発明はダイカスト用離型剤としての側面も有する。すなわち、離型成分と水溶性高分子とを含有する、ダイカスト用水性離型剤である。この場合においても、水溶性高分子が、グリコール類もしくはセルロース類からなる群から選ばれる少なくとも1種以上であることが好ましい。「グリコール類」、「セルロース類」としては上記したようなものが好ましい。また、水溶性高分子が0.01質量%以上10質量%以下含まれることが好ましく、離型成分が2質量%以上15質量%以下含まれることが好ましい。
さらに起泡剤が0.01質量%以上1質量%以下含まれることが好ましい。
さらに起泡剤が0.01質量%以上1質量%以下含まれることが好ましい。
本発明に係るダイカスト方法によれば、金型や製品の焼付きを防止できるとともに、水性離型剤の最大のメリットである冷却効果を得つつ、廃液の発生を抑制することも可能である。
従来技術である油性離型剤の少量塗布については、作業環境上、以下の問題点があった。
・引火点を有する(危険物に該当)
・発火の恐れ
・蒸発した溶剤等による機械周辺の油汚れ
・引火点を有する(危険物に該当)
・発火の恐れ
・蒸発した溶剤等による機械周辺の油汚れ
一方、水性離型剤を少量塗布した場合では以下の点で油性タイプに劣ることが判明している。
・高温の付着効率が低い
・濡れ性に劣るため複雑な製品形状に対応できない(展延性が劣る)
・高温の付着効率が低い
・濡れ性に劣るため複雑な製品形状に対応できない(展延性が劣る)
また、いずれの離型剤でも、少量塗布での金型の冷却性が殆どないため、大量塗布と比べると金型温度は上昇する傾向にある。このような問題を抱えながら少量塗布化が進む理由は以下のメリットがあるためである。
・廃液レス
・エアブローレス(離型剤残りが減る)
・サイクルタイムの短縮
・金型寿命向上(ヒートクラックが少なくなる)
・廃液レス
・エアブローレス(離型剤残りが減る)
・サイクルタイムの短縮
・金型寿命向上(ヒートクラックが少なくなる)
特に、離型剤の大量塗布では、殆どが廃液となるため、廃液処理のコストは膨大となる。よって少量塗布まで塗布量と減らさなくても、廃液が減らせればメリットとなる。そこで、本発明者らは、水性離型剤を中量塗布することを考えた。中量塗布には以下のメリットがあると考えられる。
・金型の冷却効果がある
・廃液が殆ど出ない
・展延性の向上(水性タイプの少量塗布では対応できない複雑形状への対応)
・金型の冷却効果がある
・廃液が殆ど出ない
・展延性の向上(水性タイプの少量塗布では対応できない複雑形状への対応)
しかしながら、単に水性離型剤を中量塗布したのみでは、大量塗布した場合ほどは金型の冷却効果が得られず、水性離型剤を用いることによるメリットが十分に奏されない。そこで本発明者らは、中量塗布の場合であっても大量塗布した場合と同等の冷却効果が得られるように、金型表面において水性離型剤を長時間に亘って存在させることができるような条件について鋭意研究を進めたところ、水性離型剤中に水溶性高分子を添加することで、金型上に水性離型剤を長時間に亘って存在させることができることを見出した。すなわち、高分子中の親水基が水と結びつき水和が起こるため、金型上に長時間に亘って水を存在させることができ、中量塗布の場合でも大量塗布の場合と同等の冷却効果を得ることができることが分かった。
以上より、本発明に係るダイカスト方法は、スプレーノズルを介して水性離型剤を金型へと塗布する工程を備え、
(1)水性離型剤は水溶性高分子を含むものであり、
(2)水性離型剤の塗布量を0.05ml/cm2以上0.5ml/cm2とする
ことを特徴とする。
(1)水性離型剤は水溶性高分子を含むものであり、
(2)水性離型剤の塗布量を0.05ml/cm2以上0.5ml/cm2とする
ことを特徴とする。
本発明に係るダイカスト方法においては、水性離型剤が水溶性高分子を含んでいる点に特徴を有する。水溶性高分子とは親水基を有して水に対して溶解性を示す高分子をいう。本発明において水溶性高分子としては、ポリアクリル酸ナトリウム等のアクリル系高分子;ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリビニルアルコール、ポリオキシエチレングリコールモノエーテル、ポリプロピレングリコールモノエーテル、ポリオキシエチレンプロピレングリコールモノエーテル等のアルコール系高分子;メチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシプロピルセルロース等のセルロース類;カゼイン、アルギン酸ナトリウム等のアルギン酸塩;ポリメタクリレート;デンプン;アラビアゴム;ゼラチン;多糖類からなる群から選ばれる少なくとも1種以上を用いることが好ましく、この中でもアルコール系高分子もしくはセルロース類が好ましく、特にグリコール類もしくはセルロース類が好ましい。グリコール類としては上記したものが挙げられ、すなわち、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリオキシエチレングリコールモノエーテル、ポリプロピレングリコールモノエーテル、ポリオキシエチレンプロピレングリコールモノエーテルから選ばれるいずれか1種以上を用いることが好ましい。
水性離型剤における水溶性高分子の含有量は、下限が好ましくは0.01質量%以上、より好ましくは0.1質量%以上、さらに好ましくは1質量%以上であり、上限が好ましくは10質量%以下、より好ましくは8質量%以下、さらに好ましくは5質量%以下である。水溶性高分子の含有量をこのような範囲とすることで、金型の冷却性がさらに向上する。
水性離型剤には、上記した水溶性高分子の他に、一般的な水性離型剤に含まれる離型成分や分散剤成分、さらにはその他添加成分が含まれていてもよい。水性離型剤の残部は水により構成される。
離型成分としては、シリコーン化合物、ワックス類、鉱油、油脂類および合成油等が挙げられる。上記シリコーン化合物としては、シリコーンオイル、シリコーンワックス、アルキル基、アラルキル基、カルボキシルアルキル基、カルボン酸アルキル基、ヒドロキシアルキル基またはアミノアルキル基等で一部或いは全体が変性されたオルガノポリシロキサン等が挙げられる。上記ワックス類としては、パラフィンワックス、オレフィンワックス、ポリエチレンワックス、およびポリプロピレンワックス等の石油系ワックス、酸化ポリエチレンワックスおよび酸化ポリプロピレン等の酸化ワックス、並びに蜜ろう、カルナバワックス、およびモンタンワックス等の天然ワックス等が挙げられる。上記油脂類としては、動物油および植物油等が挙げられる。上記合成油としては、ポリブテンおよびポリエステル等が挙げられる。さらには、これら以外にも、ステアリン酸およびフタル酸等のカルボン酸、脂肪酸アミドおよび脂肪酸アルカノールアミド等のカルボン酸アミド、石油樹脂、レジンおよび合成樹脂等の樹脂類等を用いることもできる。これら離型成分は、単独で用いてもよいし2種以上を混合して用いてもよい。
水性離型剤において、上記離型成分の含有量は特に限定されるものではないが、2質量%以上15質量%以下が好ましい。
分散剤成分としては、上記離型成分を水中に乳化分散させることが可能な成分であればよく、例えば、ノニオン界面活性剤、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤および両性界面活性剤等が用いられる。これらの中でも、ノニオン界面活性剤およびアニオン界面活性剤のうちの少なくとも1種であることが好ましい。上記ノニオン界面活性剤としては、例えば、ポリオキシアルキレングリコール、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレンアリルエーテルおよびポリオキシエチレンソルビタンモノオレート等が挙げられる。また、上記アニオン界面活性剤としては、例えば、脂肪酸石けん、アルキル/アリルスルホネート等が挙げられる。これらの分散剤成分は、単独で用いてもよいし2種以上を混合して用いてもよい。
水性離型剤において、分散剤成分の含有量は、上記離型成分を水中に乳化分散させることができる限り特に限定されず適宜調整できる。例えば、上記離型成分100質量部に対し、分散剤成分を1〜20質量部、好ましくは5〜20質量部、より好ましくは10〜15質量部とする。
その他の添加成分としては、消泡剤/起泡剤、腐食防止剤、防腐剤、防錆剤、増粘剤、酸化防止剤等が挙げられる。
本発明者らは、中量塗布の場合であっても十分な冷却効果が得られるように、金型上での水分の揮発が促進される条件について鋭意研究を進めたところ、水性離型剤中に起泡剤を添加することで、金型から奪われる気化熱が多くなり、冷却効果を増大させることができることが分かった。
すなわち、より優れた冷却性能を発揮させる観点からは、水性離型剤に起泡剤を含ませることが好ましい。具体的には、起泡剤となり得る界面活性剤を含ませると良い。例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸ナトリウム塩、ラウリルジメチルアミンオキシド、ナトリウム高級アルコールサルフェート、ラウリン酸ジエタノールアミド、アルキルスルホン酸塩のいずれかが好ましい。これにより、金型上での水分の揮発が促進される。すなわち、金型から奪われる気化熱が多くなる。これにより、冷却効果を増大させることができる。水性離型剤中に起泡剤を添加することで、「中量塗布」の場合でも一定の冷却効果を得ることができる。
尚、水性離型剤においては、上記の水溶性高分子と起泡剤とを併用することが好ましいが、水溶性高分子に替えて起泡剤を用いた場合であっても一定の冷却効果を得ることが可能である。
尚、水性離型剤においては、上記の水溶性高分子と起泡剤とを併用することが好ましいが、水溶性高分子に替えて起泡剤を用いた場合であっても一定の冷却効果を得ることが可能である。
本発明において、水性離型剤に起泡剤を添加する場合、起泡剤は0.01質量%以上1質量%以下含まれることが好ましい。金型の冷却性が一層向上するためである。
本発明に係るダイカスト方法においては、スプレーノズルを介して金型に上記したような水性離型剤を「中量塗布」することにもう一つの特徴を有する。具体的には、水性離型剤の塗布量を「0.05ml/cm2以上0.5ml/cm2」とする。
水性離型剤の塗布量は、下限が好ましくは0.08ml/cm2以上であり、上限が好ましくは0.3ml/cm2以下である。本発明では、このように水性離型剤を金型に「中量塗布」することで、金型の冷却効果を得つつも廃液を低減することができ、且つ、展延性を向上させることができる。すなわち、水性離型剤の塗布量を「少量」(例えば0.05ml/cm2未満)とした場合では対応できない複雑形状にも対応可能となる一方、水性離型剤の塗布量を「大量」(例えば1ml/cm2以上)とした場合に生じる廃液の問題を解消することができる。また、上述のように、本発明に係るダイカスト方法においては水溶性高分子が含まれた水性離型剤が用いられる。これにより、金型上に水性離型剤が長時間に亘って存在することができる。すなわち、高分子中の親水基が水と結びつき水和が起こるため、金型上に長時間に亘って水を存在させることができ、冷却効果を増大させることができる。
本発明に係るダイカスト方法においては、水溶性高分子を含む水性離型剤を上記したような中量塗布にて金型に塗布するものであれば、その他の条件については特に限定されるものではないが、本発明の効果が一層顕著となる観点から、以下の条件とすることが一層好ましい。
スプレーノズルからの水性離型剤のミスト径を0.1μm以上50μm以下とすることが好ましい。より好ましくはミスト径を1μm以上30μm以下とする。これにより、金型の冷却性を一層向上させることができる。
金型の単位面積(cm2)に供給される、スプレーノズルからの水性離型剤の単位時間(s)あたりの量(ml)を、0.01ml/(cm2・s)以上0.5ml/(cm2・s)以下とすることが好ましい。下限がより好ましくは0.05ml/(cm2・s)以上、さらに好ましくは0.06ml/(cm2・s)以上、特に好ましくは0.1ml/(cm2・s)以上であり、上限がより好ましくは0.4ml/(cm2・s)以下、さらに好ましくは0.3ml/(cm2・s)以下である。これにより、金型の冷却性を一層向上させることができる。
尚、塗布時間(噴霧時間)については特に限定されるものではない。鋳型形状やダイカスト製品の大きさ等にもよるが、水性離型剤はスプレーノズルから0.1〜2秒噴霧する。好ましくは0.2〜1.5秒、より好ましくは0.5〜1.0秒である。
尚、後述するパルス方式の場合は、塗布開始から塗布終了までの間の待機時間と塗布時間との繰り返し全体を含んだ合計時間(最初の噴霧から最後の噴霧までの間の全体時間)を塗布時間とする。この場合は、塗布時間を0.1〜3秒とするとよい。好ましくは0.2〜2.5秒、より好ましくは0.5〜2.0秒である。
尚、後述するパルス方式の場合は、塗布開始から塗布終了までの間の待機時間と塗布時間との繰り返し全体を含んだ合計時間(最初の噴霧から最後の噴霧までの間の全体時間)を塗布時間とする。この場合は、塗布時間を0.1〜3秒とするとよい。好ましくは0.2〜2.5秒、より好ましくは0.5〜2.0秒である。
ミキシングエア(噴霧エア)の圧力は0.3MPa以下であることが好ましい。より好ましくは0.03MPa以上0.2MPa以下である。これにより、金型から跳ね返る液量が減少するため、廃液が一層低減する。
スプレーノズルと金型との距離を100mm以上300mm以下とすることが好ましい。より好ましくは100mm以上200mm以下である。これにより、廃液が一層低減する他、金型への離型成分の付着性および金型の冷却性を一層向上させることができる。
スプレーノズルを介して水性離型剤をパルス方式で噴霧することが好ましい。例えば、待機時間を0.01〜0.1秒、噴霧時間を0.01〜0.05秒とするとよい。好ましくは待機時間0.025〜0.075秒、噴霧時間0.02〜0.04秒とする。これにより、廃液が一層低減する他、金型への離型成分の付着性および金型の冷却性を一層向上させることができる。
本発明にて用いられるスプレーノズルを含むスプレーマシンや金型については、ダイカストにおいて一般的に用いられるものを適宜採用することができる。本発明に係るダイカスト方法においては、上記したような水溶性高分子を含む水性離型剤を中量塗布する工程を備えていればよく、それ以外の工程については一般的な工程を採用すればよい。すなわち、本発明に係るダイカスト方法により金型に水性離型剤を塗布した後、被加工材(アルミニウム合金、マグネシウム合金、亜鉛合金、錫合金等)を金型に注入し、凝固させ、取り出すことで種々のダイカスト製品を製造可能である。特に本発明においては、水性離型剤の中量塗布により展延性を向上させることができるため、水性離型剤を「少量塗布」した場合では対応できない複雑な形状を有する製品も製造可能である。
以下、実施例に基づいて、本発明についてさらに詳述する。
まず、一般の水性希釈タイプの離型剤を従来の使用倍率よりも濃く使用して、塗布量を減らした場合のデータを示す。各離型剤の使用倍率と塗布量を以下の表に示す。
使用離型剤の原液組成は以下の通りである。尚、SRT531Wについては、原液塗布用油剤であり、希釈して使用することはできない。
AZ7150W(ユシロ化学工業社製):シリコーン、エステル、水等
SRT531W(ユシロ化学工業社製):シリコーン、鉱物油、水等
SRT210 (ユシロ化学工業社製):シリコーン、エステル等
AZ7150W(ユシロ化学工業社製):シリコーン、エステル、水等
SRT531W(ユシロ化学工業社製):シリコーン、鉱物油、水等
SRT210 (ユシロ化学工業社製):シリコーン、エステル等
各条件での最大冷却温度、廃液率、付着面積、付着量にて比較を行った。各評価は以下の方法に基づいて行った。
<冷却性の評価>
図1に示す装置を用いて、下記表2に示す試験条件にて、金型(鋼板)の冷却性を評価した。尚、離型剤噴霧時に鋼板温度が示した下限値を最大冷却温度とした。
(1)熱電対を内蔵した鋼板(熱電対は表面下2mmに設置)を所定の初期温度に加熱した。
(2)加熱完了後に離型剤を塗布し、その時に熱電対が示す温度変化を確認した。
図1に示す装置を用いて、下記表2に示す試験条件にて、金型(鋼板)の冷却性を評価した。尚、離型剤噴霧時に鋼板温度が示した下限値を最大冷却温度とした。
(1)熱電対を内蔵した鋼板(熱電対は表面下2mmに設置)を所定の初期温度に加熱した。
(2)加熱完了後に離型剤を塗布し、その時に熱電対が示す温度変化を確認した。
<評価結果>
冷却性試験の結果を下記表3に示す。
冷却性試験の結果を下記表3に示す。
表3に示す結果から明らかなように、比較例1のような大量塗布では、液量が多いため金型から奪う熱量が多く、最も冷却性に優れていた。これに対して、比較例2、3の塗布方法(少量塗布)では金型から奪う熱量が少なく、ほぼ初期設定温度という結果であった。この金型温度差により、少量塗布が焼付きやすい状況を生み出していると考えられる。
これに対して参考例1の塗布方法(中量塗布)では、比較例1と比べると、冷却効果は小さいものの、比較例2、3と比較すると、大きな冷却作用があることが分かる。つまり廃液率に問題がなければ参考例1のような中量塗布のほうが焼付きの観点から優れた条件といえる。
これに対して参考例1の塗布方法(中量塗布)では、比較例1と比べると、冷却効果は小さいものの、比較例2、3と比較すると、大きな冷却作用があることが分かる。つまり廃液率に問題がなければ参考例1のような中量塗布のほうが焼付きの観点から優れた条件といえる。
<廃液率の評価>
図2に示すように鋼板の垂直面に対し、表1、2の条件にて離型剤の塗布を50回繰り返し、離型剤の塗布量に対して、鋼板表面に付着せずに装置周辺に溜まった液量の割合を調べた。
図2に示すように鋼板の垂直面に対し、表1、2の条件にて離型剤の塗布を50回繰り返し、離型剤の塗布量に対して、鋼板表面に付着せずに装置周辺に溜まった液量の割合を調べた。
<評価結果>
廃液率調査の結果を下記表4に示す。
廃液率調査の結果を下記表4に示す。
表4に示す結果から明らかなように、比較例1のような大量塗布では、塗布液の殆どが廃液となるのに対して、比較例2、3のような少量塗布では廃液はほぼ発生しない。これに対して参考例1のような中量塗布にあっては、比較例2、3と比較して廃液率がわずかながら劣るものの、比較例1の数分の1の廃液率となり、十分に廃液を低減できることが分かった。
続いて、比較例2(水性少量)のデメリットである展延性について、参考例1(水性中量)の方法で改善可能か評価した。
<付着面積および付着量の評価>
表1、2の条件で所定温度に加熱した鋼板に離型剤を塗布し、鋼板上に付着した被膜の面積および付着量を測定した。
表1、2の条件で所定温度に加熱した鋼板に離型剤を塗布し、鋼板上に付着した被膜の面積および付着量を測定した。
<評価結果>
付着面積および付着量の評価結果を下記表5、6に示す。
付着面積および付着量の評価結果を下記表5、6に示す。
表5に示す結果から明らかなように、200℃においては比較例1〜3、参考例1の間で付着面積に差は見られない。この試験温度では、いずれもライデンフロストの影響をほぼ受けないためと考えられる。
一方、300℃になると比較例2のみ面積が極端に狭くなる。離型剤のライデンフロスト温度よりも鋼板の温度が高くなったためと考えられる。また、比較例1と参考例1とでは鋼板の初期温度は、比較例2と同様にライデンフロスト温度以上であるが、冷却作用があるため、付着面積の縮小までには至らない。つまり参考例1(水性中量)の条件で塗布することで、比較例2(水性少量)で問題となる高温の展延性不足を解消することができることが分かった。
また、表5、6を見比べると、鋼板温度300℃において、比較例2と参考例1の付着量の差は小さいが、面積は比較例2のほうが小さい。つまり、比較例2にあっては、離型剤が鋼板表面に局所的に付着しているともいえる。これはダイカスト製品が着色する原因となる。また、表6の通り、比較例2、3(少量塗布)では、200℃以下の温度で離型剤が付着しすぎる傾向にある。これも製品の外観に悪影響を及ぼすものと考えられる。
以上の結果から、水性離型剤の少量塗布方法は非効率であり、水性離型剤の最大の利点である冷却効果を活かしきれていないといえる。これに対し、参考例1のような水性離型剤の中量塗布方法であれば、ダイカスト製品をより効率的に製造可能である。
<塗布距離の検討>
しかしながら、中量塗布の場合は、大量塗布の場合と比べると冷却性に劣る。この点を塗布距離に着目して改善可能か検討した。尚、距離の影響による廃液率および付着性への影響についても同時に評価した。試験条件を下記表7に示す。
しかしながら、中量塗布の場合は、大量塗布の場合と比べると冷却性に劣る。この点を塗布距離に着目して改善可能か検討した。尚、距離の影響による廃液率および付着性への影響についても同時に評価した。試験条件を下記表7に示す。
<評価結果>
評価結果を下記表8〜11に示す。尚、下記表8〜11に記載した距離であれば、単位面積当たりの塗布量に変化はなく、いずれも表7に示した試験条件となる。
評価結果を下記表8〜11に示す。尚、下記表8〜11に記載した距離であれば、単位面積当たりの塗布量に変化はなく、いずれも表7に示した試験条件となる。
表8〜11に示す結果から明らかなように、塗布距離を100〜300mmとした場合に、廃液率、付着効率、冷却性がともに改善された。特に塗布距離100〜200mmが良好であった。ただし、大量塗布に匹敵するほどの冷却性向上効果は得られなかった。そこで、離型剤成分の面から冷却性の向上を目指した。
<水溶性高分子化合物の添加>
高分子化合物中の親水基が水と結びつき水和が起こる。この現象を利用して、金型(鋼鈑)上に長時間に亘って水を存在させることを着想した。金型(鋼鈑)上に長時間に亘って水を存在させることができれば、金型から奪われる熱量が多くなるものと考えられる。検討に用いた水性離型剤の組成を下記表12に示す。
高分子化合物中の親水基が水と結びつき水和が起こる。この現象を利用して、金型(鋼鈑)上に長時間に亘って水を存在させることを着想した。金型(鋼鈑)上に長時間に亘って水を存在させることができれば、金型から奪われる熱量が多くなるものと考えられる。検討に用いた水性離型剤の組成を下記表12に示す。
上記表12における各成分の詳細は以下の通りである。
・活性剤:ノニオン系界面活性剤
・油性向上剤:合成エステル
・水溶性高分子A:ヒドロキシメチルセルロース
・水溶性高分子B:ポリオキシエチレンプロピレングリコールモノエーテル
・活性剤:ノニオン系界面活性剤
・油性向上剤:合成エステル
・水溶性高分子A:ヒドロキシメチルセルロース
・水溶性高分子B:ポリオキシエチレンプロピレングリコールモノエーテル
作製した各水性離型剤を用い、下記表13に示すような試験条件にて冷却性試験を行った。
<評価結果>
評価結果を下記表14に示す
評価結果を下記表14に示す
表14に示す結果から明らかなように、水溶性高分子を添加した実施例1、2は参考例2と比べて冷却能力が大幅に向上し、上記表3に示す比較例1の条件とほぼ同等となった。以上の通り、ダイカスト方法において、金型や製品の焼付きを防止しながらも、水性離型剤の最大のメリットである冷却効果を得つつ、廃液の発生を抑制するためには(1)水溶性高分子を含む水性離型剤を、(2)金型に中量塗布することが極めて有効であることが分かった。
<起泡剤の添加>
起泡剤の添加により水分の気化が促進される。この現象を利用して、金型(鋼鈑)より気化熱を奪うことを着想した。検討に用いた水性離型剤の組成を下記表24に示す。
起泡剤の添加により水分の気化が促進される。この現象を利用して、金型(鋼鈑)より気化熱を奪うことを着想した。検討に用いた水性離型剤の組成を下記表24に示す。
上記表15における各成分の詳細は以下の通りである。
・活性剤:ノニオン系界面活性剤
・油性向上剤:合成エステル
・起泡剤A:ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸ナトリウム塩
・起泡剤B:ラウリルジメチルアミンオキシド
・起泡剤C:ナトリウム高級アルコール硫酸塩
・起泡剤D:ラウリン酸ジエタノールアミド
・起泡剤E:アルキルスルホン酸塩
・活性剤:ノニオン系界面活性剤
・油性向上剤:合成エステル
・起泡剤A:ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸ナトリウム塩
・起泡剤B:ラウリルジメチルアミンオキシド
・起泡剤C:ナトリウム高級アルコール硫酸塩
・起泡剤D:ラウリン酸ジエタノールアミド
・起泡剤E:アルキルスルホン酸塩
作製した各水性離型剤を用い、下記表16に示すような試験条件にて冷却性試験を行った。
<評価結果>
評価結果を下記表17に示す
評価結果を下記表17に示す
表17に示す結果から明らかなように、起泡剤を添加した参考例4〜8は参考例3と比べて冷却能力が大幅に向上し、上記表3に示す比較例1の条件とほぼ同等となった。以上の通り、ダイカスト方法において、金型や製品の焼付きを防止しながらも、水性離型剤の最大のメリットである冷却効果を得つつ、廃液の発生を抑制するためには(1)起泡剤を含む水性離型剤を、(2)金型に中量塗布することが極めて有効であることが分かった。特に、水溶性高分子と起泡剤とを併用することにより、さらに高性能な水性離型剤とすることができることが分かった。
<追加実験:塗布方法のさらなる検討>
塗布方法に関し、さらに検討を行った。具体的には、水性離型剤を連続的に塗布する場合とパルス方式で塗布する場合とで、離型剤の付着効率や金型の冷却性を評価した。
塗布方法に関し、さらに検討を行った。具体的には、水性離型剤を連続的に塗布する場合とパルス方式で塗布する場合とで、離型剤の付着効率や金型の冷却性を評価した。
付着性試験の条件は下記表18の通りとし、冷却性試験の条件は下記表19の通りとした。
<評価結果>
付着性試験の結果を図3、4に、冷却性試験の結果を図5に示す。図3〜5に示す結果から明らかなように、パルス方式を用いることで付着量を落とすことなく廃液量の削減が可能であることが分かった。また、連続方式と比較してパルス方式を用いることで冷却効率が向上することも分かった。
付着性試験の結果を図3、4に、冷却性試験の結果を図5に示す。図3〜5に示す結果から明らかなように、パルス方式を用いることで付着量を落とすことなく廃液量の削減が可能であることが分かった。また、連続方式と比較してパルス方式を用いることで冷却効率が向上することも分かった。
水性離型剤を連続的に塗布する場合とパルス方式で塗布する場合との比較について、塗布量を変更してさらに検討を行った。
付着性試験の条件は下記表20の通りとし、冷却性試験の条件は下記表21の通りとした。
<評価結果>
付着性試験の結果を図6、7に、冷却性試験の結果を図8に示す。図6〜8に示す結果から明らかなように、パルス方式を用いることで付着量を落とすことなく廃液量の削減が可能であることが分かった。また、連続方式と比較してパルス方式を用いることで冷却効率が向上することも分かった。
さらには、図3、4と図6、7とを比較すると、中量塗布の場合のほうが付着効率に優れることが分かった。また、図5と図8とを比較すると、中量塗布の場合でも十分な冷却性が得られることが分かった。
付着性試験の結果を図6、7に、冷却性試験の結果を図8に示す。図6〜8に示す結果から明らかなように、パルス方式を用いることで付着量を落とすことなく廃液量の削減が可能であることが分かった。また、連続方式と比較してパルス方式を用いることで冷却効率が向上することも分かった。
さらには、図3、4と図6、7とを比較すると、中量塗布の場合のほうが付着効率に優れることが分かった。また、図5と図8とを比較すると、中量塗布の場合でも十分な冷却性が得られることが分かった。
以上、現時点において、最も実践的であり、且つ、好ましいと思われる実施形態に関連して本発明を説明したが、本発明は、本願明細書中に開示された実施形態に限定されるものではなく、請求の範囲および明細書全体から読み取れる発明の要旨或いは思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴うダイカスト方法もまた本発明の技術範囲に包含されるものとして理解されなければならない。
本発明は、従来のダイカスト方法よりも金型や製品の焼付きを防止できるとともに、水性離型剤の最大のメリットである冷却効果を得つつ、離型剤廃液の発生を抑制することも可能である。本発明に係るダイカスト方法は、特殊なスプレー制御技術の必要がなく、内冷強化も不要であり、資本力差等の影響を受けずに広く普及し得る有用な技術である。
Claims (16)
- スプレーノズルを介して水性離型剤を金型へと塗布する工程を備え、
前記水性離型剤は水溶性高分子を含むものであり、
前記水性離型剤の塗布量を0.05ml/cm2以上0.5ml/cm2以下とする、
ダイカスト方法。 - 前記水溶性高分子が、グリコール類もしくはセルロース類からなる群から選ばれる少なくとも1種以上である、請求項1に記載の方法。
- 前記水性離型剤には、前記水溶性高分子が0.01質量%以上10質量%以下含まれる、請求項1又は2に記載の方法。
- 前記スプレーノズルからの前記水性離型剤のミスト径を0.1μm以上50μm以下とする、請求項1〜3のいずれかに記載の方法。
- 前記金型の単位面積(cm2)に供給される、前記スプレーノズルからの前記水性離型剤の単位時間(s)あたりの量(ml)を、0.01ml/(cm2・s)以上0.5ml/(cm2・s)以下とする、請求項1〜4のいずれかに記載の方法。
- ミキシングエアの噴霧圧を0.03MPa以上0.3MPa以下とする、請求項1〜5のいずれかに記載の方法。
- 前記水性離型剤には、前記水溶性高分子以外に、離型成分が2質量%以上15質量%以下含まれる、請求項1〜6のいずれかに記載の方法。
- 前記スプレーノズルと前記金型との距離を100mm以上300mm以下とする、請求項1〜7のいずれかに記載の方法。
- 前記スプレーノズルを介して前記水性離型剤をパルス方式で噴霧する、請求項1〜8のいずれかに記載の方法。
- 前記水性離型剤には、前記水溶性高分子以外に、起泡剤が0.01質量%以上1質量%以下含まれる、請求項1〜9のいずれかに記載の方法。
- 請求項1〜10のいずれかに記載の方法を用いて金型に水性離型剤を塗布した後、該金型に溶融金属を注入し、金型内で該溶融金属を凝固させ、ダイカスト製品として取り出す工程を備える、ダイカスト製品の製造方法。
- 離型成分と水溶性高分子とを含有する、ダイカスト用水性離型剤。
- 前記水溶性高分子が、グリコール類もしくはセルロース類からなる群から選ばれる少なくとも1種以上である、請求項12に記載のダイカスト用水性離型剤。
- 前記水溶性高分子が0.01質量%以上10質量%以下含まれる、請求項12又は13に記載のダイカスト用水性離型剤。
- 前記離型成分が2質量%以上15質量%以下含まれる、請求項12〜14のいずれかに記載のダイカスト用水性離型剤。
- さらに起泡剤が0.01質量%以上1質量%以下含まれる、請求項12〜15のいずれかに記載のダイカスト用水性離型剤。
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