JP2003205346A - 金型冷却方法 - Google Patents

金型冷却方法

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JP2003205346A JP2002004561A JP2002004561A JP2003205346A JP 2003205346 A JP2003205346 A JP 2003205346A JP 2002004561 A JP2002004561 A JP 2002004561A JP 2002004561 A JP2002004561 A JP 2002004561A JP 2003205346 A JP2003205346 A JP 2003205346A
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秀貴 島
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智史 大津
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 鋳造加工時に、高温となった金型を効果的に
冷却できる方法を提供すること。 【解決手段】 鋳造加工において、鋳造品を取り出した
後であって金型表面に離型剤を塗布する前に、金型を冷
却する方法において、水溶性高分子を水に溶解してなる
冷却水を、金型表面に塗布することを特徴としている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、鋳造加工時に、高
温となった金型を効果的に冷却する方法に関するもので
ある。
【0002】
【従来技術及びその課題】鋳造加工時に、高温となった
金型を所望の温度まで冷却するための一般的方法は、単
なる水である冷却水(以下、「従来冷却水」と称する)
を金型表面に塗布することであった。ところで、清浄な
金属表面は一般に水に対して親和性を示すので、金型表
面が清浄である場合には、従来冷却水が金型表面の冷却
に最適であると解されている。例えば、酸化安定性の高
い特殊ステンレス鋼であるSKD鋼は、かなり高温とな
っても、表面に酸化膜が殆ど形成されず、表面が清浄で
ある。それ故、SKD鋼からなる金型の冷却には、従来
冷却水が用いられていた。
【0003】しかしながら、金型表面には、たとえ金型
がSKD鋼からなっていたとしても、空気酸化によっ
て、徐々に酸化膜が形成されていく。その酸化膜は、多
くの場合、疎水性に変化する。従って、金型表面は、結
果として疎水化される。一方、金属加工においては、通
常、焼付き防止剤、離型剤等の、加工用油類が使用され
ている。そして、その油類が、高温となった金型の表面
に残存して皮膜を形成し、金型表面を疎水化する。
【0004】このような疎水化された金型表面に、従来
冷却水を塗布しても、疎水面による弾き現象と、膜沸騰
による熱伝達効率の低下とによって、冷却水の沸騰・蒸
発による冷却能力が低下し、金型を効率よく冷却できな
かった。ちなみに、疎水化された金型表面においては、
水は200℃以下でも膜沸騰するため、従来冷却水によ
る冷却効率は著しく低い。従って、従来冷却水を塗布す
る従来の一般的方法では、金型を迅速に冷却できず、生
産性が悪く、又は、金型の冷却が不十分となり、不良鋳
造品が発生するという問題があった。
【0005】そこで、その解決策として、従来冷却水を
高圧でスプレーしたり、従来冷却水を大量に使用したり
する方法が採られてきた。しかし、高圧スプレー方法で
は、次のような問題があった。 高圧スプレー力によって、冷却水が一瞬だけ金型表面
に接触して多少の熱を奪うが、冷却水は、金型表面の疎
水性物質の残渣や膜沸騰によって、濡れ広がりを阻止さ
れ、沸騰蒸発することなく垂れ落ちてしまう。そのた
め、冷却効率が悪い。 高圧のスプレー力が加わった限られた範囲のみの熱が
奪われるだけであり、金型全体が均一に冷却されない。 また、大量使用方法では、生産性が悪くなるだけでな
く、面倒な排水処理が必要となるという問題があった。
【0006】一方、特開平11−300410号には、
高分子溶液を用いた冷却方法が示されている。この冷却
方法は、熱延鋼板の仕上圧延終了後において、高温鋼板
の表面に、高分子溶液を塗布して高分子皮膜を一様に形
成し、その後、水冷却するものである。この冷却方法
は、鋼板表面が疎水化されるのを、高分子皮膜を形成す
ることによって防止し、それによって、水による冷却効
果を高めている。しかしながら、この冷却方法は、疎水
化された金属表面に対しては有効ではない。
【0007】本発明は、鋳造加工時に、高温となった金
型を効果的に冷却できる方法を提供することを目的とす
る。
【0008】
【課題を解決するための手段】請求項1記載の発明は、
鋳造加工において、鋳造品を取り出した後であって金型
表面に離型剤を塗布する前に、金型を冷却する方法にお
いて、水溶性高分子を水に溶解してなる冷却水を、金型
表面に塗布することを特徴としている。
【0009】請求項1記載の発明において、水溶性高分
子を水に溶解してなる冷却水を、金型表面に塗布する
と、次のような現象が起こると考えられる。 (1)水溶性高分子中の親水性官能基が金型表面の清浄
な金属面の金属原子の空軌道と配位結合するとともに、
当該高分子中の疎水性骨格が金型表面の疎水性基と相互
作用し、結果として、当該高分子が金型表面に吸着され
る。ところで、金型表面が疎水化されている場合でも、
疎水面は不均一に形成されているために、金型表面には
清浄な金属面が散在している。なお、金型表面が疎水化
されていない場合には、金型表面は清浄な金属面であ
る。従って、金型表面が疎水化されていない場合はもち
ろん、疎水化されている場合でも、前述した高分子の吸
着は多数箇所で起こり、結果として、金型表面には高分
子膜が形成される。高分子膜は、親水性官能基を有する
高分子からなっているので、親水性を有している。それ
故、冷却水中の水分が、高分子膜に保持されて金型表面
に濡れ広がり、親水性官能基と金属面との結合箇所を中
心に、核沸騰する。従って、本発明の冷却水によれば、
水分の核沸騰により、大きな冷却効果が得られるととも
に金型が均一に冷却される。
【0010】ちなみに、親水性基と疎水性基の両方を分
子内に有する化合物である界面活性剤を含む水溶液を、
疎水化された金型表面に室温で塗布した場合には、金型
表面を水溶液で濡らすことはできるが、該水溶液が20
0℃以下でも膜沸騰するため、核沸騰による冷却効果は
認められなかった。これは、金型表面に付着した界面活
性剤が水蒸気の飛散力によって脱離するために、安定し
た付着膜が形成されないからである、と考えられる。こ
れに対し、本発明においては、一分子中に多数の親水性
官能基を有する水溶性高分子を用いることにより、該高
分子が、多数の官能基が共有結合で連結した状態で金型
表面に吸着するので、水や水蒸気による撹乱に耐え得る
安定した高分子膜が形成され、核沸騰による冷却効果が
得られる。
【0011】(2)金型表面が疎水化されている場合に
おいては、水溶性高分子が、金型表面の疎水性付着物を
脱離させるよう機能する。これは、水溶性高分子が疎水
性化合物の水分散安定剤として機能することに基づくも
のである。従って、疎水化された金型表面は、水溶性高
分子によって清浄化される。金型表面において、清浄な
金属面が増せば、金型表面に吸着される高分子の数が増
し、水の核沸騰が増大する。従って、この点からも、本
発明の冷却水によって、大きな冷却効果が得られる。
【0012】請求項1記載の発明によれば、上記(1)
及び(2)で述べたように、表面が疎水化されていても
又はいなくても、金型を効果的に且つ均一に冷却するこ
とができる。従って、金型温度を、離型剤の最適な塗布
温度まで短時間で冷却できる。それ故、鋳造加工におけ
る冷却作業ひいては鋳造作業全体の生産性を向上でき
る。
【0013】水溶性高分子としては、例えば、次のもの
が挙げられる。 ・ポリアクリルアミド ・ポリアクリルアミド共重合体…例えば、アクリル酸、
メタクリル酸、無水マレイン酸、イタコン酸、ビニール
ピリジン、ビニールスルホン酸などと、アクリルアミド
との、共重合体 ・ポリアクリルアミド誘導体…例えば、N−メチロール
アクリルアミド、N−スルホアクリルアミド、N−ジメ
チルアミノメチルアクリルアミドなどのホフマン縮合物 ・ポリビニールピロリドン ・ポリビニールピロリドン共重合体 ・アクリル酸重合体及びアクリル酸共重合体 ・メタクリル酸重合体及びメタクリル酸共重合体 ・ヒドロキシエチルアクリレート共重合体…例えば、硫
酸、リン酸エステル塩などと、ヒドロキシエチルアクリ
ル酸との、共重合体 ・セルロース誘導体…例えば、メチルセルロース、エチ
ルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキ
シメチルセルロース、セルロースエーテルなど ・キサンタン、ヒアルロン酸、アルギン酸、及びキトサ
ン ・でんぷん ・でんぷん誘導体…例えば、エーテル化でんぷんなど ・天然ゴム ・天然ゴム誘導体 ・水溶性蛋白…例えば、コラーゲン、セリシン、大豆蛋
白など ・ポリエチレンオキシド ・ポリエチレンオキシド誘導体…例えば、ポリエチレン
アルキルエーテル、ポリプロピレンオキシド共重合体 ・ポリグリセリン
【0014】請求項2記載の発明は、請求項1記載の発
明において、冷却水を塗布する前の金型表面が、酸化や
離型剤によって、疎水化されているものである。
【0015】本発明は、前述したように、金型表面が疎
水化されている場合に、特に有用である。
【0016】請求項3記載の発明は、請求項1記載の発
明において、水溶性高分子が、アミド基、アミノ基、イ
ミノ基、スルホン基、水酸基、エーテル基、リン酸基、
及びカルボキシル基の内の1種以上を有するモノマー
を、1種以上重合してなるものである。
【0017】請求項3記載の発明において、列挙してい
るアミド基などの官能基は、水素結合及び双極子相互作
用により、水に対して親和性を示す。それ故、これらの
官能基は、清浄な金属面の金属原子の空軌道と配位結合
し、その結合箇所は、水の核沸騰の中心となる。
【0018】ちなみに、水溶性高分子を構成する疎水性
骨格としては、例えば、次のものが挙げられる。 ・メチル基 ・糖類のピラン環又はフラン環 ・メラミン樹脂のトリアジン環
【0019】請求項4記載の発明は、請求項1記載の発
明において、水溶性高分子が、冷却水中の水分が沸騰蒸
発した後でも、親水性を維持するものである。
【0020】水溶性高分子を水に溶解してなる冷却水
を、金型表面に塗布すると、前述したように、金型表面
には親水性の高分子膜が形成され、それ故に水の核沸騰
が起こり、金型が効果的に冷却される。ところで、水の
核沸騰が終了した後でも、高分子膜は金型表面に残留す
る。水溶性高分子が、冷却水中の水分が沸騰蒸発した後
でも、親水性を維持するものであれば、金型表面に残留
した高分子膜は親水性を維持する。それ故、冷却作業後
に、水系又はエマルジョン系の離型剤が塗布されると、
その水分が離型剤を伴って高分子膜に保持され、水分の
みが核沸騰して消失し、離型剤が高分子膜に保持された
状態で残る。従って、請求項4記載の発明によれば、金
型表面に対する離型剤の付着率が向上する。
【0021】請求項5記載の発明は、請求項1記載の発
明において、冷却水における水溶性高分子の含有濃度が
0.01〜0.1重量%である。
【0022】水溶性高分子の含有濃度が0.01重量%
より小さいと、前述した請求項1記載の発明の作用効果
が十分に発揮されない恐れがある。具体的には、冷却速
度の10%以上の向上を達成できない恐れがある。ま
た、0.1重量%より大きいと、排水処理及びコスト面
の観点から好ましくない。
【0023】請求項6記載の発明は、請求項1記載の発
明において、水溶性高分子の分子量が3300〜480
0000である。
【0024】水溶性高分子の分子量が3300より小さ
いと、前述した請求項1記載の発明の作用効果が十分に
発揮されない恐れがある。また、4800000より大
きいと、高濃度の場合に高粘度となり、作業性が低下す
る恐れがある。
【0025】なお、多くの水溶性高分子では、分子量が
50万程度で冷却効果が最大となり、それ以上では冷却
効果は平準化する。ポリアクリルアミドの場合には、分
子量300万も100万も、冷却効果は同等であるが、
作業性の点で後者が優れている。
【0026】
【発明の実施の形態】まず、実機において、本発明の冷
却方法を実施した。 [実機試験] (1)冷却効果について 実機における一連の鋳造作業の中で本発明の冷却水を用
いた場合において、金型表面の温度変化を測定した。な
お、鋳造作業は、次の(a)〜(f)の工程からなるサ
イクルの繰り返しであり、冷却水を用いた冷却工程は工
程(b)である。(a)鋳造品取り出し、(b)冷却水
塗布、(c)離型剤希釈液塗布、(d)型閉め、(e)
溶湯の射出、(f)型開き。
【0027】更に、比較のため、従来冷却水(単なる水
である冷却水)を用いた場合についても、同様に調べ
た。また、冷却水を用いない場合、即ち、冷却工程
(b)を行わない場合についても、調べた。
【0028】(本発明の冷却水)本発明の冷却水として
は、次の2種類A,Bを用いた。 ・冷却水A 水溶性高分子: 商品名「メトローズ60SH−50」(信越化学工業株
式会社製) 組成:メチルセルロース 含有濃度:0.1重量% ・冷却水B 水溶性高分子: 商品名「ホープロン500B」(三井東圧化学株式会社
製) 組成:ポリアクリルアミドホフマン縮合物 含有濃度:0.1重量%
【0029】(鋳造条件) 実機における鋳造条件は、次の通りである。 ・実機…ダイカストマシン:商品名「UBE350G」
(宇部興産株式会社製) ・離型剤希釈液 ・離型剤:商品名「TX−2」(花野商事株式会社製) ・希釈倍率:100倍 ・塗布時間:1.2秒 なお、商品名「TX−2」なる離型剤は、アルキル変性
シリコンオイルである極圧添加剤を主成分としている。 ・冷却水…塗布時間:1.0秒 ショット数:30ショット
【0030】(試験順) 1.冷却水を用いない場合 2.従来冷却水を用いた場合 3.冷却水Aを用いた場合 4.冷却水Bを用いた場合
【0031】実機試験の結果を表1に示す。なお、工程
(a)である鋳造品取り出し直後の金型温度は、ダイカ
スト材料に依存するが、一般には、300〜500℃で
あり、ここでは、400℃程度である。表1からわかる
ように、本発明の冷却水A,Bを用いた場合は、従来冷
却水を用いた場合に比して、金型表面の温度が30℃以
上も低くなっている。従って、本発明の冷却方法によれ
ば、従来に比して、大きな冷却効果が得られる。
【0032】
【表1】
【0033】前述したように、本発明の冷却方法によれ
ば、大きな冷却効果が得られるので、工程(b)である
冷却水塗布工程の作業時間を、従来に比して、短縮でき
る。これは、具体的には、次のような検証を行って確か
めた。即ち、従来冷却水を1秒塗布した場合の工程
(b)直後の金型表面温度T1を求めた。一方、冷却水
Aを種々の塗布時間で塗布した場合の工程(b)直後の
金型表面温度T2を求めた。その結果を表2に示す。表
2からわかるように、T2がT1と同等となる塗布時間
は0.8秒であった。従って、冷却水Aを用いた場合
は、従来冷却水を用いた場合に比して、塗布時間を20
%削減できる。
【0034】
【表2】
【0035】(2)離型剤の付着率向上効果について 一連の鋳造作業を行って、工程(a)における鋳造品取
り出しに必要な力(押出し抵抗値)を測定した。その結
果を表3に示す。
【0036】
【表3】
【0037】冷却水A,Bを用いた本発明の冷却方法に
よれば、従来冷却水を用いた場合や冷却を行わなかった
場合に比して、押出し抵抗値がかなり低くなっている。
この理由は次のように考えられる。即ち、本発明の冷
却方法によれば、冷却効果が大きいので、金型温度を押
出し抵抗に有効な温度まで十分に低下させることができ
る。冷却水A,Bを用いた場合には、冷却水中の水分
が沸騰蒸発した後でも、金型表面に残留した高分子膜が
親水性を維持しているので、水系の離型剤の蒸発性を向
上でき、離型剤の有効成分を効率的に金型へ移行させる
ことができ、即ち、金型表面に対する離型剤の付着率を
向上させることができる。
【0038】[実験室試験] (1)冷却効果について 従来冷却水と本発明の種々の冷却水とについて、実験室
レベルで、蒸発性を調べた。何故なら、蒸発性が良好で
あれば、蒸発熱が多く奪取されるため、冷却効果が大き
いと考えられるからである。具体的には、次のような試
験方法及び試験条件で行った。
【0039】(試験方法)図1に示すような中央縦断面
形状を有する金属試験片1をホットプレートにより所定
温度まで加熱し、中央の凹部11に冷却水を滴下して蒸
発させ、蒸発時間を測定した。即ち、所謂「簡易型蒸発
性測定方法」を行った。なお、金属試験片1の寸法は、
次の通りである。W1=100mm、W2=60mm、
W3=18mm、D1=20mm、D2=16mm。
【0040】(試験条件) ・上記所定温度:250℃ ・冷却水の滴下量:2ml なお、金属試験片の表面は、一度サンドペーパーで研磨
した後に油膜を形成することによって、疎水化された金
型表面に擬している。また、金属試験片の材質はSKD
鋼である。
【0041】(冷却水)表4に示す冷却水1〜11を用
いた。なお、水溶性高分子の含有濃度は0.1重量%と
した。また、比較のため、従来冷却水も用いた。更に、
冷却水12として、シリカゾル(触媒化成工業株式会社
製、商品名「キャタロイドSI−50」)を水に0.1
重量%添加したものも用いた。
【0042】(蒸発性の評価方法)蒸発時間によって、
次のように評価した。なお、蒸発時間とは、冷却水の全
量が、金属試験片1に滴下されてから核沸騰して消失す
るまでに要した時間である。結果を表4に示す。 〇:15秒未満 △:15秒以上 ×:蒸発が停止
【0043】(2)離型剤の付着率向上効果について 上記冷却効果の試験終了後、高分子膜が金属試験片1表
面に残存した状態で、再び上記所定温度まで金属試験片
1を加熱し、中央の凹部11に離型剤希釈液を滴下して
蒸発させ、蒸発時間を測定した。何故なら、離型剤希釈
液の蒸発性が良好であれば、離型剤の付着率も良好であ
る、と考えられるからである。評価方法は、上記冷却効
果の試験と同じである。結果を表4に示す。
【0044】(離型剤希釈液) ・離型剤:商品名「TX−2」(花野商事株式会社製) ・希釈倍率:100倍 ・塗布液量:2ml
【0045】
【表4】
【0046】表4における冷却水1,2は実機試験で用
いた冷却水A,Bと同じである。そして、冷却水1,2
を用いた場合は、実機試験においても、実験室試験にお
いても、共に、良好な冷却効果及び離型剤付着率向上効
果が得られている。このことから、実験室試験は実機試
験に相当するものとみなすことができる。
【0047】表4からわかるように、本発明の冷却水1
〜11を用いた場合には、水分が核沸騰するので、良好
な冷却効果が得られた。特に、冷却水1〜7は、離型剤
の付着率向上効果があるので、有用である。従来冷却水
及び冷却水12を用いた場合には、冷却効果及び離型剤
付着率向上効果が共に「×」であった。
【0048】(3)その他の検証 核沸騰可能温度領域について 本発明の冷却水及び従来冷却水が核沸騰によって蒸発す
る温度領域を測定した。試験方法は上記冷却効果の試験
と同様に行った。なお、本発明の冷却水としては、表4
の冷却水1を用いた。結果を表5に示す。
【0049】
【表5】
【0050】表5からわかるように、冷却水1の核沸騰
可能温度領域の上限は300℃であった。冷却水1は、
従来冷却水に比して、核沸騰から膜沸騰に移行する温度
が100℃以上高かった。
【0051】最適含有濃度について 表4の冷却水3を用い、水溶性高分子の含有濃度と蒸発
性との関係を調べた。試験方法は上記冷却効果の試験と
同様に行った。結果を表6に示す。
【0052】
【表6】
【0053】表6からわかるように、良好な冷却効果を
得るためには、0.01〜0.1重量%の含有濃度が適
している。含有濃度が0.01重量%未満の場合には、
十分な冷却効果が得られない。含有濃度が0.1重量%
より大きい場合には、十分な冷却効果は得られるが、環
境面やコスト面で不都合の生じる恐れがある。
【0054】最適分子量について 表4の冷却水11を用い、水溶性高分子の分子量と蒸発
性との関係を調べた。試験方法は上記冷却効果の試験と
同様に行った。結果を表7に示す。
【0055】
【表7】
【0056】表7からわかるように、良好な冷却効果を
得るためには、3300〜4800000の分子量が適
している。分子量が3300より小さいと、十分な冷却
効果が得られない。
【0057】
【発明の効果】請求項1記載の発明によれば、表面が疎
水化されていても又はいなくても、金型を効果的に且つ
均一に冷却することができる。従って、金型温度を、離
型剤の最適な塗布温度まで短時間で冷却できる。それ
故、鋳造加工における冷却作業ひいては鋳造作業全体の
生産性を向上できる。
【0058】請求項2記載の発明によれば、表面が疎水
化されている金型を、効果的に且つ均一に冷却すること
ができるので、極めて有用である。
【0059】請求項3記載の発明によれば、請求項1記
載の発明の効果を確実に発揮できる。
【0060】請求項4記載の発明によれば、金型表面に
対する離型剤の付着率を向上できる。
【0061】請求項5記載の発明によれば、金型に対す
る冷却効果を良好に発揮できるとともに、排水処理やコ
スト面の不都合を解消できる。
【0062】請求項6記載の発明によれば、金型に対す
る冷却効果を良好に発揮できるとともに、良好な作業性
を維持できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実験室試験で用いる金属試験片の中央縦断面
図である。
【符号の説明】
1 金属試験片 11 凹部
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 大津 智史 兵庫県神戸市西区高塚台3丁目2番地45 花野商事株式会社内 (72)発明者 濱田 雄貴 兵庫県神戸市西区高塚台3丁目2番地45 花野商事株式会社内 Fターム(参考) 4E092 AA42 AA43 AA44 AA60 DA02 GA10 4E093 NA01 NA02 NB05

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 鋳造加工において、鋳造品を取り出した
    後であって金型表面に離型剤を塗布する前に、金型を冷
    却する方法において、 水溶性高分子を水に溶解してなる冷却水を、金型表面に
    塗布することを特徴とする金型冷却方法。
  2. 【請求項2】 冷却水を塗布する前の金型表面が、酸化
    や離型剤によって、疎水化されている、請求項1記載の
    金型冷却方法。
  3. 【請求項3】 水溶性高分子が、アミド基、アミノ基、
    イミノ基、スルホン基、水酸基、エーテル基、リン酸
    基、及びカルボキシル基の内の1種以上を有するモノマ
    ーを、1種以上重合してなるものである、請求項1記載
    の金型冷却方法。
  4. 【請求項4】 水溶性高分子が、冷却水中の水分が沸騰
    蒸発した後でも、親水性を維持するものである、請求項
    1記載の金型冷却方法。
  5. 【請求項5】 冷却水における水溶性高分子の含有濃度
    が0.01〜0.1重量%である、請求項1記載の金型
    冷却方法。
  6. 【請求項6】 水溶性高分子の分子量が3300〜48
    00000である、請求項1記載の金型冷却方法。
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