JP4820098B2 - ダイキャスト用水性離型剤組成物及びその使用方法並びにそれを用いたダイキャスト方法及び成形品の製造方法 - Google Patents
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Description
1.離型成分と、
分散剤成分としての第1界面活性剤と、
起泡性物質としての上記第1界面活性剤以外の第2界面活性剤と、を含むダイキャスト用水性離型剤組成物であって、
上記起泡性物質としての第2界面活性剤が、ラウリルジメチルアミンオキシド、ナトリウム高級アルコールサルフェート、ラウリン酸ジエタノールアミド、及びアルキルスルホン酸塩のうちの少なくとも1種であり、
本ダイキャスト用水性離型剤組成物は、100℃以上の成形型との接触後に起泡することを特徴とするダイキャスト用水性離型剤組成物。
2.上記起泡性物質の含有量が、上記離型成分を100質量部とした場合に0.1〜20質量部である上記1に記載のダイキャスト用水性離型剤組成物。
3.上記起泡性物質の含有量が、本ダイキャスト用離型剤組成物を100質量%とした場合に0.001〜5質量%である上記1又は2に記載のダイキャスト用水性離型剤組成物。
4.上記離型成分が、シリコーン化合物、ワックス類、鉱油、油脂類及び合成油のうちの少なくとも1種である上記1乃至3のいずれかに記載のダイキャスト用水性離型剤組成物。
5.上記分散剤成分としての第1界面活性剤が、ポリオキシアルキレングリコール、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレンアリルエーテル、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレート、脂肪酸石けん及びアルキル/アリルスルホネートのうちの少なくとも1種である上記1乃至4のいずれかに記載のダイキャスト用水性離型剤組成物。
6.上記1乃至5のいずれかに記載のダイキャスト用水性離型剤組成物を少なくとも水を含有する水系溶媒で希釈することにより、希釈液全量を100質量%とした場合に、起泡性物質の含有量が0.001〜0.01質量%である希釈液を調整し、該希釈液を成形型に塗布することを特徴とするダイキャスト用水性離型剤組成物の使用方法。
7.上記1乃至5のいずれかに記載のダイキャスト用水性離型剤組成物を用いることを特徴とするダイキャスト方法。
8.上記1乃至5のいずれかに記載のダイキャスト用水性離型剤組成物を用いてダイキャスト方法により被加工材を成形することを特徴とする成形品の製造方法。
また、上記起泡性物質が特定の物質であるため、乾燥性能に優れ、水分を速やかに蒸発させることができ、且つ十分な付着性能を有するダイキャスト用水性離型剤組成物とすることができる。
更に、上記起泡性物質の含有量が特定の範囲である場合には、乾燥性能に優れ、水分を速やかに蒸発させることができ、且つ十分な付着性能を有するダイキャスト用水性離型剤組成物とすることができる。
本発明のダイキャスト用水性離型剤組成物の使用方法によれば、離型剤組成物中の起泡性物質の量を適度な範囲とすることにより、鋳造物における離型剤組成物の残留水分などに起因する鋳巣等の欠陥を低減させ、生産効率を向上させることができる。
本発明のダイキャスト方法によれば、上記ダイキャスト用水性離型剤組成物を用いるため、鋳造物における離型剤組成物の残留水分などに起因する鋳巣等の欠陥を低減させ、生産効率を向上させることができる。
本発明の成形品の製造方法によれば、内部欠陥(鋳巣)の少ない高品質な製品を得ることができる。
本発明のダイキャスト用水性離型剤組成物は、離型成分と、分散剤成分としての第1界面活性剤と、起泡性物質としての上記第1界面活性剤以外の第2界面活性剤と、を含むことを特徴とする。
上記離型成分は、単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。
これらの分散剤成分は、単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。
上記起泡性物質としては、ラウリルジメチルアミンオキシド、ナトリウム高級アルコールサルフェート、ラウリン酸ジエタノールアミド、アルキルスルホン酸塩が用いられる。この場合、乾燥性能に優れ、水分を速やかに蒸発させることができ、且つ十分な付着性能を有するダイキャスト用水性離型剤組成物を得ることができる。尚、上記起泡性物質は、単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。
本発明のダイキャスト用水性離型剤組成物の使用方法は、本発明のダイキャスト用水性離型剤組成物を少なくとも水を含有する水系溶媒で希釈することにより、希釈液全量を100質量%とした場合に、起泡性物質の含有量が0.001〜0.01質量%である希釈液を調整し、該希釈液を成形型に塗布することを特徴とする。
本発明のダイキャスト用水性離型剤組成物は、少なくとも水を含有する水系溶媒に乳化・分散させ、組成物全量を100質量%とした場合に、起泡性物質の含有量が0.001〜0.01質量%であるエマルション組成物に調整し、この組成物を成形型に塗布して使用することができる。
本発明のダイキャスト方法は、本発明のダイキャスト用水性離型剤組成物を用いることを特徴とする。上記ダイキャスト用水性離型剤組成物を用いることで、鋳造物における離型剤組成物の残留水分などに起因する鋳巣等の欠陥を低減させることができ、生産効率を向上させることができる。
本発明の成形品の製造方法は、本発明のダイキャスト用水性離型剤組成物を用いてダイキャスト方法により被加工材を成形することを特徴とする。
本発明の被加工材及び成形品の材質、形状及び種類については特に限定はない。例えば、上記被加工材としては、例えば、アルミニウム、マグネシウム、亜鉛又はそれらの合金等が挙げられる。また、上記被加工材の形状は、シリンダーブロックなどの自動車部品から携帯電話などの電化製品の筐体等まで多岐にわたる。
[1]ダイキャスト用水性離型剤組成物の調製
実験例1〜5(実験例1は参考例であり、実験例2〜5は本発明の実施例である。)
アルキル/アラルキル変性シリコーン(離型成分)15質量%、酸化ポリエチレンワックス(離型成分)3質量%、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル(分散剤成分)3.4質量%、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレート(分散剤成分)2.15質量%、水76質量%、防錆剤(チアゾリン系)0.05質量%及び防腐剤(カルボン酸アミン塩)0.1質量%を含む組成物に対して、表1に示す各起泡性物質0.3質量%を配合して離型剤組成物を調整した後、更に水で70倍に希釈し、実験例1〜5のダイキャスト用水性離型剤組成物を得た(起泡性物質の含有量は、離型剤100質量部に対して2質量部であり、組成物全量を100質量%とした場合に約0.0043質量%である。)。
上記起泡性物質を配合しないこと以外は、上記各実験例と同様にして比較例1のダイキャスト用水性離型剤組成物を調製した。
上記[1]で調製したダイキャスト用水性離型剤組成物について、下記の各性能評価及び実機試験を行った。
(1)乾燥性能
図1に示すように、表面温度を100〜150℃に調整した金型(形状は図1参照)にシリンジを用いてダイキャスト用水性離型剤組成物を20μL滴下し、水分が蒸発して乾燥するまでの時間を計測し、乾燥性能を評価した。この結果を表2に示す。尚、表2に示す乾燥時間は、同一操作を3回繰り返して測定された時間の平均値である。
図2に示すように、ダイキャスト用水性離型剤組成物を加圧タンクに入れて圧力を3kg/cm2に調整し、その後、ヒーター上に鋼板(「SPCC−SB」、100mm×100mm×2mm)を設置し、設定温度に達したところで鋼板上に離型剤組成物40ccをスプレー塗布(ノズル−鋼板間距離200mm、噴霧時間2秒間、吐出圧力5kg/cm2)し、次いで、エアブローを行って十分に風乾する。その後、鋼板に付着した成分の重量を測定し、付着性能を評価した。この結果を表3に示す。尚、離型剤組成物の噴霧は、鋼板温度が100℃から400℃までの100℃毎に行い、同一操作を3回繰り返して得た値を付着量とした。また、この測定は、実験例1及び比較例1のみを用いて行った。
型締め力350tのダイキャストマシン(東洋機械金属株式会社製)を用いて実機試験を行った。尚、鋳造物はハウジング部品である。
ダイキャスト用金型[可動型・固定型、温度分布;100〜400℃(金型部位によって異なる)]にダイキャスト用水性離型剤組成物1Lをスプレー塗布(約5秒間)し、その後、約8秒間エアブローを行い、ハウジング部品を300個鋳造した。そして、鋳巣の発生による不良率を求めた。この結果を表4に示す。尚、この測定は、実験例1及び比較例1のみを用いて行った。また、実験例1及び比較例1の各離型剤組成物を用いた際に発生した各々の鋳巣の直径の平均をX線CT装置により測定し、比較した。
表2によれば、100〜150℃の各温度において、起泡性物質を含有していない比較例1の離型剤組成物の乾燥時間に対して、各種の起泡性物質を含有する実験例1〜5の離型剤組成物の乾燥時間は約11.1〜47.8%も短縮されていることが分かった。このことから、実験例1〜5の各離型剤組成物は優れた乾燥性能を有することが分かる。
また、実験例1の離型剤組成物を用いた場合に発生した鋳巣の直径の平均は、比較例1の離型剤組成物を用いた場合に発生したものより20〜30%小径化していたことからも、残留水分が減少していると考えられる。
Claims (8)
- 離型成分と、
分散剤成分としての第1界面活性剤と、
起泡性物質としての上記第1界面活性剤以外の第2界面活性剤と、を含むダイキャスト用水性離型剤組成物であって、
上記起泡性物質としての第2界面活性剤が、ラウリルジメチルアミンオキシド、ナトリウム高級アルコールサルフェート、ラウリン酸ジエタノールアミド、及びアルキルスルホン酸塩のうちの少なくとも1種であり、
本ダイキャスト用水性離型剤組成物は、100℃以上の成形型との接触後に起泡することを特徴とするダイキャスト用水性離型剤組成物。 - 上記起泡性物質の含有量が、上記離型成分を100質量部とした場合に0.1〜20質量部である請求項1に記載のダイキャスト用水性離型剤組成物。
- 上記起泡性物質の含有量が、本ダイキャスト用離型剤組成物全量を100質量%とした場合に0.001〜5質量%である請求項1又は2に記載のダイキャスト用水性離型剤組成物。
- 上記離型成分が、シリコーン化合物、ワックス類、鉱油、油脂類及び合成油のうちの少なくとも1種である請求項1乃至3のいずれかに記載のダイキャスト用水性離型剤組成物。
- 上記分散剤成分としての第1界面活性剤が、ポリオキシアルキレングリコール、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレンアリルエーテル、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレート、脂肪酸石けん及びアルキル/アリルスルホネートのうちの少なくとも1種である請求項1乃至4のいずれかに記載のダイキャスト用水性離型剤組成物。
- 請求項1乃至5のいずれかに記載のダイキャスト用水性離型剤組成物を少なくとも水を含有する水系溶媒で希釈することにより、希釈液全量を100質量%とした場合に、起泡性物質の含有量が0.001〜0.01質量%である希釈液を調整し、該希釈液を成形型に塗布することを特徴とするダイキャスト用水性離型剤組成物の使用方法。
- 請求項1乃至5のいずれかに記載のダイキャスト用水性離型剤組成物を用いることを特徴とするダイキャスト方法。
- 請求項1乃至5のいずれかに記載のダイキャスト用水性離型剤組成物を用いてダイキャスト方法により被加工材を成形することを特徴とする成形品の製造方法。
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