JP2012152809A - 離型剤の塗布装置及び塗布方法 - Google Patents

離型剤の塗布装置及び塗布方法 Download PDF

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Abstract

【課題】金型の表面に離型剤を効率よく塗布する技術を提供する。
【解決手段】塗布装置10は、離型剤を間欠的に噴霧することができるノズル12と、ロボットアーム14とコントローラ18を備える。ノズル12は、ロボットアーム14の先端に取り付けられている。コントローラ18は、間欠噴霧の周期Tに対する噴霧時間tの割合t/Tを制御することができる。コントローラ18は、金型表面の単位面積に単位時間当たりに噴霧される離型剤の運動エネルギが予め定められた上限値以下となるように割合t/Tを制御する。
【選択図】図1

Description

本発明は、離型剤を金型に効率よく塗布する技術に関する。
鋳造用の金型には、成形された製品を金型から取り出し易くするため、離型剤が塗布される。離型剤を無駄なく塗布する工夫が例えば特許文献1や特許文献2に提案されている。特許文献1と特許文献2のいずれも、離型剤を間欠的に噴霧することを提案している。特許文献1では、複数のノズルから連続的に離型剤を噴霧すると、異なるノズルから噴霧された離型剤同士が相互干渉し、多くの離型剤が飛散して金型に届かなくなってしまうことを抑制する目的で、離型剤を間欠的に噴霧することが提案されている。特許文献2では、高温の金型に離型剤を噴霧すると、先に金型に到達した離型剤が蒸発して金型表面付近に蒸気膜を形成し、後続の離型剤の金型への到達を阻害してしまうことを防止する目的で間欠的に噴霧することが提案されている。
特開昭59−189031号公報 特開2005−7420号公報
特許文献1や特許文献2では、離型剤を間欠的に噴霧することがよいといっても、具体的にどのような指標に基づいてどの程度に間欠的に噴霧すればよいのかの指針は示されていない。本明細書は、間欠的に噴霧することが効果的であることの理由を考察し、その結果に基づき、従来にない新たな指標を導入して離型剤を効率よく塗布する技術を提供する。
発明者らの考察によると、離型剤を連続的に噴霧すると、先に金型表面に到達した離型剤の一部が跳ね返ることにより、後続の離型剤の金型表面への到達が阻害されると推察される。従って跳ね返りを抑制することが、離型剤の効率的な塗布に寄与すると考えられる。一つの考え方として、噴霧された離型剤の粒の大きさ(粒径)を小さくすれば、跳ね返りを抑制できる。また、別の考え方として、噴霧速度を遅くしても跳ね返りを抑制できる。これらのことから、発明者らは、粒の大きさと噴霧速度とに依存するパラメータとして、金型表面の単位面積に単位時間当たりに噴霧される離型剤の運動エネルギに着目した。運動エネルギは、質量と速度の二乗の積であり、粒の大きさは質量に依存するから、運動エネルギは噴霧速度と粒の大きさに依存する。従って、離型剤を金型表面に効率よく塗布するための噴霧状態を、離型剤の運動エネルギという一つの指標に基づいて特定できる。即ち、金型表面の単位面積に単位時間当たりに噴霧される離型剤の運動エネルギが予め定められた上限値以下となるように制限することによって、効率的な塗布が達成される。
本明細書が開示する塗布装置の一態様は、離型剤を間欠的に噴霧することができるノズルと、間欠噴霧の周期をTとし、周期Tのうちの噴霧時間tの割合t/Tを制御するコントローラを備える。コントローラは、ノズルから噴霧される離型剤が有する運動エネルギであって金型表面の単位面積に単位時間当たりに噴霧される運動エネルギが予め定められた上限値以下となるように割合t/Tを制御することを特徴とする。以下、簡単のため、「ノズルから噴霧される離型剤が有する運動エネルギであって金型表面の単位面積に単位時間当たりに噴霧される運動エネルギ」を「単位噴霧エネルギ」と称することにする。なお、離型剤は、水性、油性のいずれであってもよい。あるいは離型剤は、エマルジョン(分散質、分散媒が共に液体である分散系溶液)であってもよい。
定性的には、ノズルと金型表面との距離(塗布距離)が小さくなるほど、塗布面積が小さくなるから、ノズルと金型表面との間の距離が所定距離以下の場合に、コントローラは、塗布距離が小さくなるに従って割合t/Tを小さくすることが好ましい。
発明者らの検討によると、単位噴霧エネルギの上限値は、具体的には、3000×103[g・(cm/sec)2/(cm)2/sec]が好ましいことが判明した。なお、単位噴霧エネルギが低すぎると、金型に到達しない離型剤の割合が多くなるため、単位噴霧エネルギの下限値を設定することも好ましい。発明者らの検討によると、下限値は70×103[g・(cm/sec)2/(cm)2/sec]が好ましいことが判明した。即ち、塗布装置は、単位噴霧エネルギが上記の上限値と下限値の間の範囲となるように割合t/Tを制御することが好ましい。
「離型剤を間欠的に噴霧する」とは、離型剤をパルス状に噴霧すると換言できる。従って、上記の塗布装置は、別言すれば、離型剤をパルス状に噴霧することができるノズルと、噴霧の周期をTとし、パルス幅tとしたときのt/Tを制御するコントローラを備える。また、このことから、「間欠噴霧の周期Tに対する噴霧時間tの割合t/T」は、いわゆるデューティ比に相当する。上記の範囲で好適な塗布が得られることは、実施例にて具体的に説明する。
金型の表面に離型剤を塗布するには、ノズルを移動させながら噴霧するのがよい。従って上記の塗布装置は、ノズルを移動する駆動手段を備えていることが好ましい。このときコントローラは、金型に対してノズルを相対的に移動させながら、単位噴霧エネルギが上記した上限値と下限値の間となるように割合t/Tを制御することが好ましい。
駆動手段は、例えばロボットアームである。ここで、離型剤のノズルからの噴霧速度(射出速度)、噴霧角度、ノズルの移動速度(金型の移動速度であってもよい)、及び、ノズルから金型までの距離などのパラメータは予め設定できる。また、単位噴霧エネルギは、それらのパラメータから決定される。従って、単位噴霧エネルギが上記範囲内となるように、噴霧速度、噴霧角度、及び、アーム先端の軌道(即ち、ノズルの移動速度、及び、ノズルと金型との間の距離)を予め設定し、その設定に沿ってアームとノズルを動作させればよい。
本明細書が開示する技術は、離型剤の塗布方法にも具現化される。その方法は、ノズルから噴霧される離型剤の単位噴霧エネルギが予め定められた上限値以下となるように、周期をTとし、周期Tのうちの噴霧時間をtとしたときの割合t/Tを定めて離型剤を間欠的に噴霧することである。さらには、単位噴霧エネルギが上記した上限値と下限値の間となるように間欠的に噴霧することが好ましい。
本発明によれば、金型の表面に離型剤を効率よく噴霧することができる。
塗布装置の模式図である。 塗布範囲とノズル移動速度の関係を説明する図である(1)。 塗布範囲とノズル移動速度の関係を説明する図である(2)。 単位噴霧エネルギを説明する図である。 単位噴霧エネルギの計算結果を示す図である。 塗布距離とノズルの種類による塗布量ムダへの影響を示す表である。 塗布距離と塗布量ムダとの関係を示す図である。 応答性と塗布量ムダとの関係を示すグラフである。 塗布距離と単位噴霧エネルギとの関係を示すグラフである。 離型抵抗試験の結果を示すグラフである(1)。 離型抵抗試験の結果を示すグラフである(2)。 実施例の塗布装置(塗布方法)のその他の利点を示す表である。
図1に、塗布装置10の模式図を示す。塗布装置10は、先端にノズル12を取り付けたロボットアーム14、ノズル12に離型剤を供給する供給装置16、及び、コントローラ18を備える。なお、図1に示す符号55は、離型剤を噴霧する対象の金型を示しており、符号55aは、離型剤を噴霧すべき金型表面を示している。金型表面55aは、典型的にはキャビティ面である。
通常、鋳造に使用された高温の金型に離型剤を塗布する。即ち、離型剤は金型の冷却の役割も兼ねている。離型剤を塗布する際の金型の温度は、100度以上である。
供給装置16は、ノズル12に送る離型剤の液圧を制御することができる。ノズル12は、供給装置16から送られる液状の離型剤を噴霧、即ち、霧状に射出することができる。また、ノズル12は、離型剤を間欠噴霧することができる。ノズル12は、ロボットアーム14によって、金型55に対して移動する。離型剤の液圧、間欠噴霧のデューティ比(後述)、ロボットアーム先端の移動経路と移動速度は、コントローラ18によって制御される。
ノズル12は、1流体を噴霧するタイプと、2流体を噴霧するタイプに交換可能である。ここで、「2流体を噴霧するタイプ」とは、異なる2種類の流体(例えば油と空気)を混合して噴出するタイプを意味する。
「間欠的に噴霧する」とは、パルス状に周期的離散的に噴霧することである。すなわち、t[sec(秒)]だけ離型剤を連続的に噴霧した後、T−t[sec]だけ噴霧しないことを繰り返すことである。別言すれば、周期T[sec]、デューティ比t/Tで離型剤をパルス状に噴霧する、と表現できる。なお、以下では、「t」を噴霧時間、「T−t」を無噴霧時間と称することがある。
ノズル12を移動させながら離型剤を間欠噴霧する場合、ノズルの移動速度が速すぎると、或いは、無噴霧時間(T−t)が長すぎると、塗布にムラが生じてしまう。ムラは、塗布範囲にも依存する。そこで、噴霧範囲とノズル移動速度、及び、間欠塗布の周期Tとの関係を次に説明する。
図2に、塗布範囲とノズル移動速度の関係を示す。ここで、ノズルが静止している状態での噴霧によって離型剤が金型表面に吹き付けられる範囲を塗布範囲と称する。塗布範囲は円形であると仮定する。図2のC1とC2が塗布範囲を示す。塗布範囲C1、C2の直径を符号DLで表す。塗布範囲C1は、ある一瞬に離型剤が塗布された範囲を示す。離型剤を周期T、塗布時間tで間欠噴霧している場合、ある一瞬に塗布範囲C1に噴霧した後に、距離dVだけずれた位置に次回の噴霧による塗布範囲C2が形成される。ノズルが金型表面に平行に速度Vsで移動していると仮定すると、2つの塗布範囲C1、C2の中心間の距離dVは、dV=Vs×(T−t)となる。ここで、(T−t)は前述したとおり無塗布時間である。経験的に、隣接する2つの塗布範囲C1とC2の重複部分(図2のLAPが示す距離)が、塗布範囲の直径DLの半分以上となるようにすれば、塗布ムラをなくすことができる。そうすると、図2より、dV=LAP=DL/2となるときが、塗布ムラをなくすことができる限界であることがわかる。他方、無塗布時間の上限値は周期Tであると考えることができるから、周期T、ノズル移動速度Vs、塗布範囲直径DLには、図3に示す関係があることがわかる。図3は、周期T=0.05[sec]を最大無塗布時間と仮定したときの、LAP=DL/2を満たす塗布範囲直径DLとノズル移動速度Vsの関係を示すグラフである。例えば、ノズル移動速度Vsが1000[mm/sec]の場合、最大無塗布時間(周期T)=0.05[sec]におけるノズル移動量dVは50[mm]である。DL=LAP=2dVであるから、塗布範囲の直径DLが100[mm]以上であれば、塗布範囲C1とC2の重複部分LAPが、塗布範囲の直径DLの半分以上となる。即ち、図3のグラフよりも上側の領域となるようにノズル移動速度Vsと塗布範囲直径DLを設定すれば塗布ムラをなくすことができる。例えば、間欠噴霧の周期T=0.05[sec]のノズルを使用し、塗布範囲直径DLが100[mm]となるように金型表面に離型剤を吹き付ける場合、ノズルの移動速度(金型表面に平行な方向の移動速度)Vsを1000[m/sec]以下とすれば塗布ムラを防止することができる。
次に、図4を参照して、単位噴霧エネルギについて説明する。前述したように、「単位噴霧エネルギ」とは、ノズル12から噴霧される離型剤が有する運動エネルギであって金型表面55aの単位面積に単位時間当たりに噴霧される運動エネルギのことである。図4に示すように、ノズル12と金型表面55aとの間の距離(塗布距離)を符号Lsで表す。また、ノズル12の噴霧角度を2θsで表す。このとき、塗布範囲の半径DL/2は、Ls・tan(θs)で表せる。即ち、塗布面積S={Ls・tan(θs)}2・π[cm2]となる。離型剤の1秒当たりの噴霧量をM[g/sec]、噴霧粒子の速度をv[cm/sec]で表すと、単位噴霧エネルギEsは、次の(数1)で表すことができる。
Figure 2012152809
図5に、周期T=50、100、200[msec]の場合の塗布距離(図4のLs)と単位噴霧エネルギEsの関係を示す。図5は、ノズルから実際に離型剤を噴霧し、そのときの離型剤液滴の射出速度をレーザー流速計で測定した結果に基づいて、数1により算出した結果である。図の縦軸は対数スケールであることに留意されたい。塗布距離が短くなるほど、単位噴霧エネルギが漸増することがわかる。なお、図5には、1流体の場合と2流体の場合の結果を示してある。
ノズル12を移動させずに離型剤を噴霧した場合、ノズル12から先に噴霧された離型剤が金型表面で跳ね返り、後続する離型剤に影響を与える。塗布距離Lsやノズルの種類による影響を実験にて調べた結果を図6に示す。図6において、「粒速度」は、噴霧された離型剤の液滴の速度である。粒速度は、レーザー流速計にて測定した。「跳ね返り無し時間」とは、ノズルから噴霧された離型剤が金型に到達するまでの時間を意味する。「応答性」とは、間欠塗布の周期Tに相当する。「跳ね返り有り時間」とは、跳ね返りの影響を受ける時間を意味し、「応答時間−液滴到達時間」に相当する。「影響塗布量」とは、20[ml(ミリリットル)]の離型剤を塗布したときに、金型表面からの跳ね返りの影響を受ける塗布量を意味する。図6〜図8は、シミュレーションにより得られた結果である。図6の表の上7行は、2流体を噴霧するノズルを用いたときの計算結果であり、下7行は、1流体を噴霧するノズルを用いたときの計算結果である。
シミュレーションの結果から得られるノズル選定手法について説明する。具体的には、影響塗布量(20[ml(ミリリットル)]の離型剤を塗布したときに、金型表面からの跳ね返りの影響を受ける塗布量)をムダな塗布量とみなし、ムダな塗布量を減らすために必要なノズル応答性について説明する。シミュレーションの結果、応答性(間欠噴霧周期T)が500[msec]の場合、いずれのノズルおよび塗布距離であっても噴霧した離型剤のおよそ50%はムダとなることが判る。一方、応答性(間欠噴霧周期T)を10[msec]とした場合、ほとんどムダが生じないことが判る。具体的には、応答性を10[msec]とした場合、ムダとなった離型剤は、噴霧した離型剤の量(20[ml])の1%以下となる。例えば塗布量ムダの上限を噴霧量の2%とした場合、20[ml/sec]で離型剤を噴霧するノズルを使用するなら塗布量ムダは2[ml]以内に抑える必要がある。図6から、間欠噴霧の周期Tは、少なくとも10[msec]以下が好ましいと言える。
図7に、さらに幾つかの応答性について、塗布距離と塗布量ムダの関係を示す。図7は、20[ml/sec]の塗布量を有するノズルを用い、流速=50[mm/sec]で離型剤を塗布した場合の影響塗布量(跳ね返りの影響を受ける塗布量)と距離の関係をノズル応答性で導いたものである。図7より、影響塗布量を例えば10%に抑えるために必要な応答性を導くことができる。
図8に、応答性と影響塗布量の関係を示す。図8より、例えば、塗布距離50mmにおいて影響塗布量を2[ml]以内(総塗布量20[ml]の10%)に抑えるためには、応答性は約100[msec]以下に設定する必要があることが判る。塗布距離350mmにおいて影響塗布量を2[ml]以内に抑えるためには、応答性は約130[msec]以下に設定する必要があることが判る。
次に、離型剤を効率よく塗布するための単位噴霧エネルギの範囲について説明する。図9は、1流体、2流体の夫々における単位噴霧エネルギと塗布距離との関係を示したグラフである。グラフにおける上限値と下限値は、LubテスターU(株式会社メックインタナショナル製のアルミダイキャスト用自動引っ張り試験機)にて試験を行い、導いたものである。上限値とは、噴霧される離型剤の運動エネルギが大きく、溶媒により溶質(有効成分)が流されてしまい、塗布後の離型剤が薄膜化してしまう限界を表す。上限値は、具体的には、3000×103[g・(cm/sec)2/(cm)2/sec]である。下限値とは、噴出される離型剤の運動エネルギが小さく、ノズルから噴霧されても金型表面に届かない限界を表している。下限値は、具体的には、70×103[g・(cm/sec)2/(cm)2/sec]である。図9における四角形のマーカは、単位噴霧エネルギを上限値以下に制限した場合の結果(2流体の場合)を示す。上限値と下限値は、図11から得られる。あるノズルで連続塗布したときの離型抵抗は、エネルギ500×103[g・(cm/sec)2/(cm)2/sec]で最小となる。このときの離型抵抗を基準にして、離型抵抗が20%を超えて悪化すると、経験則上製品品質が顕著に悪化する。これより、上限値:3000×103[g・(cm/sec)2/(cm)2/sec]と下限値:70×103[g・(cm/sec)2/(cm)2/sec]が定まる。
また、LubテスターUにて、離型抵抗試験を実施した。その結果を図10と図11に示す。試験の条件は次の通りです。離型剤を噴霧するノズルには2流体用のノズルを用いた。塗布条件は、20[ml/sec]で1秒間だけ連続噴霧した(間欠噴霧ではない)。塗布対象(金型を模擬した金属体)の温度は100度である。噴霧する離型剤としては、油性原液タイプのものを用いた。図10のグラフは、塗布距離200[mm]の位置に変曲点を有しており、この点を境に塗布距離が遠くても近くても離型抵抗は増加する。図11に、連続塗布した場合と間欠塗布した場合との比較を示す。×印のマーカが、間欠塗布した場合を示す。間欠塗布では、単位噴霧エネルギが前記した上限値、即ち、3000×103[g・(cm/sec)2/(cm)2/sec]を超えないようにデューティ比を制御した。前述したように、ここでいうディーティ比とは、連続塗布時の塗布時間=Tとしたときのデューティ比を意味する。図10のグラフが示すように、連続塗布では、塗布距離が小さくなるほど塗布面積が小さくなり単位噴霧エネルギが増加する。間欠噴霧では、単位噴霧エネルギを一定に維持すべく、塗布距離が小さくなるほど、ディーティ比を小さくしている。即ち、塗布距離が200[mm]以下の場合、コントローラ18は、塗布距離が小さくなるに従ってディーティ比を小さくする。別言すれば、コントローラ18は、ノズル12と金型表面55aとの間の距離(塗布距離Ls)が所定距離以下の場合に(本実施例では200[mm]以下の場合に)、塗布距離Lsが小さくなるに従ってデューティ比を小さくする。なお、この試験では、塗布距離が近くなってエネルギが上昇して500×103[g・(cm/sec)2/(cm)2/sec]を超えたところから、連続噴霧から間欠噴霧/デューティ比制御に切り換えている。なお、離型抵抗20%悪化まで許容できるとすると、エネルギが3000×103[g・(cm/sec)2/(cm)2/sec]を超えてから間欠噴霧に切り換えてもよい。
なお、連続塗布の場合、塗布距離が200[mm]以下で離型抵抗が増加するのは以下の理由であると推定される。油性の離型剤を用いた場合は、(a)離型剤の運動エネルギが大きすぎて溶媒により溶質(有効成分)が洗い流され、薄膜化してしまうこと、及び、(b)溶質が堆積し、溶湯の熱で激しくガス化し、鋳造界面が真空化してしまうこと、を原因として離型抵抗が増大するものと推定される。水溶性離型剤を用いた場合は、堆積は問題にならないが、上記(a)の要因及び気化が阻害されるため、同様に離型抵抗が増大するものと推定される。
図12に、実施例の塗布装置(塗布方法)のその他の利点を示す。
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示に過ぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組合せに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成し得るものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
10:塗布装置
12:ノズル
14:ロボットアーム
16:供給装置
18:コントローラ
55:金型

Claims (10)

  1. 離型剤を金型表面へ塗布するための塗布装置であり、
    離型剤を間欠的に噴霧することができるノズルと、
    間欠噴霧の周期をTとし、周期Tのうちの噴霧時間をtとしたときの割合t/Tを制御するコントローラと、
    を備えており、コントローラは、
    金型表面の単位面積に単位時間当たりに噴霧される離型剤の運動エネルギが予め定められた上限値以下となるように割合t/Tを制御することを特徴とする離型剤の塗布装置。
  2. ノズルと金型表面との間の距離が所定距離以下の場合に、コントローラは、当該距離が小さくなるに従って前記割合を小さくすることを特徴とする請求項1に記載の塗布装置。
  3. 前記上限値は、3000×10[g・(cm/sec)/(cm)/sec]であることを特徴とする請求項1または2に記載の塗布装置。
  4. コントローラは、前記運動エネルギが下限値の70×10[g・(cm/sec)/(cm)/sec]以上となるように割合t/Tを制御することを特徴とする請求項3に記載の塗布装置。
  5. ノズルを移動させる駆動手段を備えており、コントローラは、金型に対してノズルを相対的に移動させながら、前記運動エネルギが前記上限値と前記下限値の間となるように割合t/Tを制御することを特徴とする請求項4に記載の塗布装置。
  6. 離型剤を金型表面へ塗布する方法であり、
    ノズルから噴霧される離型剤の運動エネルギであって金型表面の単位面積に単位時間当たりに噴霧される離型剤の運動エネルギが予め定められた上限値以下となるように、周期をTとし、周期Tのうちの噴霧時間をtとしたときの割合t/Tを定めて離型剤を間欠的に噴霧することを特徴とする塗布方法。
  7. ノズルと金型表面との間の距離が所定距離以下の場合に、当該距離が小さくなるに従って前記割合を小さくすることを特徴とする請求項6に記載の塗布方法。
  8. 前記上限値は、3000×10[g・(cm/sec)/(cm)/sec]であることを特徴とする請求項6または7に記載の塗布方法。
  9. 前記運動エネルギが下限値の70×10[g・(cm/sec)/(cm)/sec]以上となるように離型剤を間欠的に噴霧することを特徴とする請求項8に記載の塗布方法。
  10. 金型に対してノズルを相対的に移動させながら、前記運動エネルギが前記上限値と前記下限値の間となるように離型剤を間欠的に噴霧することを特徴とする請求項9に記載の塗布方法。
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