JP2005007420A - 水溶性離型剤の塗布方法、水溶性潤滑剤の塗布方法、及び、塗布制御機構 - Google Patents

水溶性離型剤の塗布方法、水溶性潤滑剤の塗布方法、及び、塗布制御機構 Download PDF

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Abstract

【課題】従来に比して少量の水溶性離型剤を塗布するだけで金型内面における離型剤被膜の不足を充分に解消できる塗布方法を提供すること。
【解決手段】金型内面に水溶性離型剤を第1所定時間だけ連続して所定スプレー圧で1回だけスプレーした場合には、一定以上の離型効果を得るために第1所定量の水溶性離型剤が必要である場合において、水溶性離型剤を間欠的に上記所定スプレー圧で2回以上スプレーするものであり、1回当りのスプレー量とスプレー回数とを、両者の積である全スプレー量が第1所定量の3/10〜8/10の範囲内となるように設定したことを特徴としている。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ダイカスト作業において金型内面に水溶性離型剤を塗布する方法、及び、ダイカスト作業においてプランジャー機構の潤滑部に水溶性潤滑剤を塗布する方法、更には、それらの塗布を制御する塗布制御機構、に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ダイカスト作業は、プランジャーチップとスリーブとで構成されるプランジャー機構によって、溶融金属(以下、溶湯と称する)を金型内に高圧で射出して、金型のキャビティ内で溶湯を所定形状のダイカスト製品に成形するものであるが、高品質の製品を得るため及び作業の円滑を図るために、次のような塗布作業を施している。
(1)プランジャー機構の潤滑部に、潤滑の円滑を図るために、潤滑剤を塗布する。
(2)ダイカスト製品の金型からの型離れを良くするために、金型内に溶湯が射出される前に、金型内面に離型剤を塗布する。
【0003】
上記塗布作業では、必要な部位に適切な量の離型剤被膜及び潤滑剤被膜が形成される必要がある。何故なら、被膜が不足している場合には、溶湯の焼付や潤滑部の磨耗が発生し、被膜が過剰である場合には、製品に着色や鋳巣という不良が発生するからである。
【0004】
ところで、水溶性離型剤は、金型が高温になるほど付着性が低下するという特性を有している。このような特性は、ライデンフロスト現象によるものと理解されている。ライデンフロスト現象とは、水溶性離型剤のスプレー液滴が金型から熱を受けて蒸発して蒸気膜を形成し、この蒸気膜が後続のスプレー液滴の金型への接触を阻害するというものである。蒸気膜は金型が高温であるほど強度が高くなる。水溶性潤滑剤も、同様の現象により、スリーブが高温になるほど付着性が低下するという特性を有している。水溶性離型剤及び水溶性潤滑剤の付着性が低下すると、上記被膜不足が生じ、上述したような問題が発生する。
【0005】
上述したライデンフロスト現象を打開するために、従来では、次のような方法を実施していた。
(a)水溶性離型剤等を高温部位に長時間又は多量にスプレーして該部位の表面温度を下げることにより、蒸気膜を消滅させたり弱めたりする。
(b)スプレー圧力を高くすることにより、スプレー液滴を蒸気膜に打ち勝たせて金型等に接触させる。
【0006】
【非特許文献1】
古川、「離型剤のミスト化による高奪熱、高付着化スプレーの開発」
、鋳造工学会、ダイカスト研究部会、2001年12月7日
【非特許文献2】
S.Chhabra 他、「水溶性離型剤のスプレーによるダイカスト金型の冷却と離型に関する研究」、DIE CASTING ENGINEER、1993年1月、
2月、24頁
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
上記(a)の方法では、水溶性離型剤等の多くが、実質的には冷却のために使用されることとなり、離型剤等としては使用されないまま廃棄されてしまい、非経済的である。しかも、廃液の回収・処理の設備が必要となり、コスト高となる。
【0008】
また、低温部位の温度まで必要以上に降下させてしまい、水残りによる鋳巣の発生、湯回り不良、油じわ等の不具合が発生する恐れがある。
【0009】
上記(b)の方法では、スプレー圧を高めるための装置に費用がかかる。また、スプレー圧を高くしすぎると、スプレーポイント以外への離型剤等の飛散が激しくなり、作業環境が悪化する。
【0010】
更に、上記(a),(b)の方法は、いずれも、離型剤等を連続して1回だけスプレーするものであるが、未だ、上記被膜不足を充分には解消できていなかった。また、非特許文献1、2における提案は具体性に乏しかった。
【0011】
本発明は、従来に比して少量の水溶性離型剤及び水溶性潤滑剤を塗布するだけで上記被膜不足を充分に解消できる、塗布方法を提供すること、及び、該塗布方法を実施するための塗布制御機構を提供すること、を目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の発明は、ダイカスト作業において、金型内面に水溶性離型剤を塗布する方法であって、金型内面に水溶性離型剤を第1所定時間だけ連続して所定スプレー圧で1回だけスプレーした場合には、一定以上の離型効果を得るために第1所定量の水溶性離型剤が必要である場合において、水溶性離型剤を間欠的に上記所定スプレー圧で2回以上スプレーするものであり、1回当りのスプレー量とスプレー回数とを、両者の積である全スプレー量が第1所定量の同等以下となるように設定したことを特徴としている。
【0013】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明において、1回当りのスプレー量とスプレー回数とを、両者の積である全スプレー量が第1所定量の3/10〜8/10の範囲内となるように設定したものである。
【0014】
請求項3記載の発明は、請求項1記載の発明において、水溶性離型剤のスプレーとスプレーとの間の休止期間に、金型内面にエアーを吹付けるようにしたものである。
【0015】
請求項4記載の発明は、ダイカスト作業において、プランジャー機構の潤滑部に水溶性潤滑剤を塗布する方法であって、潤滑部に水溶性潤滑剤を第1所定時間だけ連続して所定スプレー圧で1回だけスプレーした場合には、一定以上の潤滑効果を得るために第1所定量の水溶性潤滑剤が必要である場合において、水溶性潤滑剤を間欠的に上記所定スプレー圧で2回以上スプレーするものであり、1回当りのスプレー量とスプレー回数とを、両者の積である全スプレー量が第1所定量の同等以下となるように設定したことを特徴としている。
【0016】
請求項5記載の発明は、請求項4記載の発明において、1回当りのスプレー量とスプレー回数とを、両者の積である全スプレー量が第1所定量の6/10〜8/10の範囲内となるように設定したものである。
【0017】
請求項6記載の発明は、請求項4記載の発明において、水溶性潤滑剤のスプレーとスプレーとの間の休止期間に、潤滑部へエアーを吹付けるようにしたものである。
【0018】
請求項7記載の発明は、ダイカスト作業において、水溶性離型剤又は水溶性潤滑剤を間欠的に2回以上スプレーさせる、塗布制御機構であって、水溶性離型剤又は水溶性潤滑剤をエアーと混合してミスト化してエアーと共に噴出させるスプレーヘッドに、第1開閉手段、第2開閉手段、及び、開閉制御手段を設けて構成されており、第1開閉手段が水溶性離型剤又は水溶性潤滑剤の流路の上流に設けられており、第2開閉手段がエアーの流路の上流に設けられており、開閉制御手段が、第1開閉手段を開閉作動するよう且つ第2開閉手段を開状態に維持するよう制御し、又は、第1開閉手段及び第2開閉手段を同期させて開閉作動するよう制御するようになっていることを特徴としている。
【0019】
ちなみに、従来方法による水溶性離型剤等の付着機構は、次の(i)〜(vii)の工程を経るものと考えられる。
(i)離型剤等が、スプレー液滴となって、金型等に接近する。
(ii)蒸気膜は未だ存在していないので、スプレー液滴はそのまま金型等に衝突する。
(iii)スプレー液滴は、衝突直後に金型等から熱を受け、一部が蒸発して、離型剤等の被膜を形成する。それとともに、蒸気膜が発生する。
(iv)金型等がかなりの高温である場合には、蒸気膜の強度が高いため、後続のスプレー液滴の金型等への接触が蒸気膜によって妨げられる。
(v)その結果、後続のスプレー液滴と金型等との熱交換が不充分となり、該スプレー液滴は離型剤等の被膜を形成しないまま飛散する。
(vi)しかながら、熱交換が不充分な状態であっても、金型等の表面温度は時間の経過とともに徐々に低下するので、表面温度が離型剤等の濡れ温度になると、熱交換が起こるようになり、スプレー液滴により離型剤等の被膜が形成される。
(vii)更に、金型等の表面温度が低下すると、スプレー液滴の水分は蒸発しなくなり、離型剤等の被膜は形成されないこととなり、離型剤等の付着性は大きく低下する。
このように、従来方法においては、離型剤等の付着効果を悪くする原因となる(iv)及び(v)の段階が存在していた。
【0020】
本発明の塗布方法においては、離型剤等を間欠的に2回以上スプレーしているので、スプレーとスプレーとの間に離型剤等をスプレーしない休止期間が存在している。そのため、休止期間において、(iii)で発生した蒸気膜の拡散が進行する。即ち、休止期間において、蒸気膜が弱まり又は消滅する。従って、(iv)における蒸気膜による接触妨害は、弱まり又は解消する。よって、後続のスプレーによるスプレー液滴が金型等に充分に接触し、離型剤等の被膜が順調に形成されていく。即ち、離型剤等の付着効果が向上する。
【0021】
【発明の実施の形態】
まず、本発明の実験例を示す。
(本実験例1〜10及び比較実験例1)
実験は図1に示す実験装置10を用いて行った。装置10は、希釈された水溶性離型剤をエアーと混合してミスト化してエアーと共にテストピース1表面に向けて噴出させるスプレーヘッド2と、テストピース1を任意の温度に加熱するヒーター3と、を備えている。スプレーヘッド2におけるエアーは、水溶性離型剤をミスト化すること、及び、該ミストをテストピース1表面に運ぶこと、に使用される。スプレーヘッド2とテストピース1との間は所定距離Lだけ離されている。
【0022】
実験は次のように行った。即ち、比較実験例1として、第1所定量の水溶性離型剤を、スプレーヘッド2からテストピース1に向けて、第1所定時間だけ連続して所定スプレー圧で1回だけスプレーした。これは、従来方法である。一方、本実験例1〜10として、水溶性離型剤を、スプレーヘッド2からテストピース1に向けて、間欠的に上記所定スプレー圧で2回以上スプレーした。ここで、「間欠的に」スプレーするとは、スプレーとスプレーとの間にスプレーしない休止期間を置きながらスプレーを繰り返すことを意味する。なお、本実験例においては、1回当りのスプレー量とスプレー回数とを、両者の積である全スプレー量が第1所定量の3/10〜8/10の範囲内となるように設定した。また、本実験例においては、全スプレー作業中におけるエアーの吹付けを2種類に設定した。即ち、エアーの吹付けをスプレー時のみ行う場合(即ち、上記休止期間にはエアーを吹付けない場合)と、スプレー時だけでなく上記休止期間もエアーを吹付ける場合と、である。
【0023】
具体的条件は、下記の通りである。
[具体的条件]
・実験装置10…縦型付着重量測定装置
(プレックスエンジニアリング株式会社製)
・スプレーヘッド2…製品名「GRSH−22」
(プレックスエンジニアリング株式会社製)
・テストピース1…SUS304(寸法:100×100×1.5mm)
・距離L…200mm
・水溶性離型剤…製品名「グラフェースTX−2」(花野商事株式会社製)
・希釈倍率…50倍
・スプレー作業
・スプレー圧…0.12MPa
・エアー圧…0.2MPa
・その他…表1に示す通り。
【0024】
【表1】
Figure 2005007420
【0025】
表1の内容は、次の通りである。
比較実験例1においては、希釈された水溶性離型剤40.0mlを6.0秒間連続して1回スプレーしている。従って、全スプレー量は40.0mlである。連続してスプレーしているから、当然に休止期間は無い。従って、全スプレー作業時間は6.0秒間である。そして、付着率を、テストピース1の設定温度別に求めており、例えば200℃では3.4%となっている。なお、設定温度は、200℃、250℃、300℃、350℃とした。
【0026】
本実験例1においては、希釈された水溶性離型剤4.0mlを0.2秒間の休止期間を置きながら8回スプレーしている。その際、休止期間にはエアーを吹付けないこととしている。1回当りのスプレー時間は0.6秒間である。従って、本実験例1における全スプレー作業時間は、0.6秒間×8+0.2秒間×7=6.2秒間であり、全スプレー量は32mlである。
【0027】
本実験例2〜5は、本実験例1と同様に理解される。但し、本実験例1〜5では、休止期間にエアーを吹付けていない。本実験例6〜10は、休止期間にもエアーを吹付けることとしており、その他は本実験例1〜5とそれぞれ同じである。
【0028】
付着率とは、テストピース1に実際に付着した水溶性離型剤の有効成分の量を全スプレー量に含まれる水溶性離型剤の有効成分の量で除して求められたものであり、%で表わしている。
【0029】
表1からわかるように、本実験例1〜10では、全スプレー量が比較実験例1の場合に比して少量であるにも拘わらず、付着率が全ての設定温度にて向上している。従って、本発明によれば、水溶性離型剤の使用量を低減できるとともに、従来以上の付着効果を得ることができる。
【0030】
しかも、本実験例2〜5、7〜10では、全スプレー作業時間が比較実験例1の場合に比して短くなっている。従って、本発明によれば、全スプレー作業時間を従来に比して短縮でき、ひいては、ダイカスト作業時間全体を短縮できる。
【0031】
更に、本実験例1〜5と本実験例6〜10とを比較してみると、本実験例6〜10の方が付着率が高くなっている。即ち、休止期間にエアーを吹付けた場合の方が、吹付けない場合に比して、付着率が高くなっている。従って、本発明によれば、休止期間にエアーを吹付けることにより、付着率をより高めることができる。
【0032】
次に、本発明の実施例を示す。
(実施例1,2及び比較例1)
実機であるダイカストマシンにおいて、本発明の水溶性離型剤の塗布方法を実施した。比較例1は比較実験例1と同様の方法で行い、実施例1、2は実験例6〜10と同様の方法で行った。具体的条件は、次の通りである。
[具体的条件]
・ダイカストマシン…宇部製ダイカストマシン(型締圧力350トン)
・金型…No.6テスト型
・ダイカスト製品…図2に示す形状のものである。(a)は正面図、(b)は側面図である。
・溶湯温度…680℃
・水溶性離型剤…製品名「グラフェースTX−2」(花野商事株式会社製)
・希釈倍率…100倍
・スプレー作業
・スプレー圧…2.7kg
・エアー圧…4.0kg
・その他…表2に示す通り。
【0033】
【表2】
Figure 2005007420
【0034】
[評価方法]
ダイカスト製品の押出し力と、入れ子ピンの焼付状態とで、評価した。
押出し力は、次のようにして測定した。即ち、表2に示す比較例1の条件で50ショットのダイカストを行い、それによって金型温度を安定化させ、その後、表2に示す比較例1及び実施例1、2の条件でそれぞれ30ショットのダイカストを行い、比較例1及び実施例1、2についてそれぞれ21〜30ショットの押出し力を測定してその平均を求めた。押出し力の測定は、図3に示す押出し力測定機構により行った。この測定機構は、可動金型41を貫通している押出しピン42を押出し板43で押すことによりダイカスト製品44を型離れさせる際の押出し力をロードセル45で測定するようになっている。
【0035】
表2において、入れ子ピンの焼付状態の評価は、◎:優、○:良、△:可で示した。表2からわかるように、実施例1、2では、押出し力が比較例1に比してかなり小さい。また、入れ子ピンの焼付状態も、比較例1に比して良好である。
それ故、実施例1、2では、比較例1に比して、離型効果が優れている。従って、本発明によれば、実機においても実験例と同様の効果を得ることができる。
【0036】
(本実験例11〜14及び比較実験例2)
実験装置10を用いて、本実験例1〜10及び比較実験例1で述べた水溶性離型剤の場合と同様に、水溶性潤滑剤についても、実験を行った。なお、本実験例では、全スプレー量が第1所定量の6/10〜8/10の範囲内となるよう設定した。具体的条件は、次の通りである。
【0037】
[具体的条件]
・実験装置10…縦型付着重量測定装置
(プレックスエンジニアリング株式会社製)
・スプレーヘッド2…製品名「HGSV」
(なお、ノズルとして製品名「CT−1」を使用)
(プレックスエンジニアリング株式会社製)
・テストピース1…SUS304(寸法:100×100×3mm)
・距離L…210mm
・水溶性潤滑剤…グラフェースSP−35(花野商事株式会社製)。
原液使用。
・スプレー作業
・スプレー圧…0.20MPa
・エアー圧…0.15MPa
・その他…表3に示す通り。
【0038】
【表3】
Figure 2005007420
【0039】
表3の内容は、次の通りである。
比較実験例2においては、水溶性潤滑剤2.0mlを2.0秒間連続して1回スプレーしている。従って、全スプレー量は2.0mlである。連続してスプレーしているから、当然に休止期間は無い。従って、全スプレー作業時間は2.0秒間である。そして、付着率を、テストピース1の設定温度別に求めており、例えば200℃では37.5%となっている。なお、設定温度は、200℃、250℃、300℃とした。
【0040】
本実験例11においては、水溶性潤滑剤0.2mlを0.1秒間の休止期間を置きながら8回スプレーしている。その際、休止期間にはエアーを吹付けないこととしている。1回当りのスプレー時間は0.2秒間である。従って、本実験例11における全スプレー作業時間は、0.2秒間×8+0.1秒間×7=2.3秒間であり、全スプレー量は1.6mlである。
【0041】
本実験例12〜14は、本実験例11と同様に理解される。但し、本実験例13、14は、休止期間にもエアーを吹付けることとしている。
【0042】
付着率とは、テストピース1に実際に付着した水溶性潤滑剤の有効成分の量を全スプレー量に含まれる水溶性潤滑剤の有効成分の量で除して求められたものであり、%で表わしている。
【0043】
表3からわかるように、本実験例11〜14では、全スプレー量が比較実験例2の場合に比して少量であるにも拘わらず、付着率が全ての設定温度にて向上している。従って、本発明によれば、水溶性潤滑剤の使用量を低減できるとともに、従来以上の付着効果を得ることができる。
【0044】
しかも、本実験例12、14では、全スプレー作業時間が比較実験例2の場合に比して短くなっている。従って、本発明によれば、全スプレー作業時間を従来に比して短縮でき、ひいては、ダイカスト作業時間全体を短縮できる。
【0045】
更に、本実験例11、12と本実験例13、14とを比較してみると、本実験例13、14の方が付着率が高くなっている。即ち、休止期間にエアーを吹付けた場合の方が、吹付けない場合に比して、付着率が高くなっている。従って、本発明によれば、休止期間にエアーを吹付けることにより、付着率をより高めることができる。
【0046】
(塗布制御機構)
本発明の塗布方法は、公知のスプレーヘッドに塗布制御機構を設けることによって実施される。塗布制御機構は、例えば水溶性離型剤を塗布する場合には、次のようになっている。即ち、実験例で用いたようなスプレーヘッドに、第1開閉手段、第2開閉手段、及び、開閉制御手段を設けて構成されており、第1開閉手段が水溶性離型剤の流路の上流に設けられており、第2開閉手段がエアーの流路の上流に設けられており、開閉制御手段が、(a)第1開閉手段を開閉作動するよう且つ第2開閉手段を開状態に維持するよう制御し、又は、(b)第1開閉手段及び第2開閉手段を同期させて開閉作動するよう制御するようになっている。
【0047】
第1、第2開閉手段としては、電磁弁を使用できる。その他にも、貫通孔を有する円柱体を回転させることにより開閉を行う機構を使用できる。しかし、これらに限るものではない。
【0048】
開閉制御手段が、上記(a)のように制御を行うと、エアーが常時噴出されると共に、該エアーに水溶性離型剤が間欠的に混合されて噴出されることとなるので、本実験例6〜10、13、14が実行される。即ち、休止期間にもエアーが吹付けられる。
【0049】
一方、開閉制御手段が、上記(b)のように制御を行うと、エアー及び該エアー混合された水溶性離型剤が間欠的に噴出されることとなるので、本実験例1〜5、11、12が実行される。即ち、休止期間にはエアーは吹付けられない。
【0050】
(別の実施例)
(1)水溶性離型剤の場合では、実機においても実験例と同様の効果を得ることができたが、水溶性潤滑剤の場合でも、同様に、実機においても実験例と同様の効果を得ることができる。従って、本発明によれば、水溶性潤滑剤の使用量を低減できるとともに、従来以上の付着効果を得ることができ、よって、従来以上の潤滑効果を得ることができる。
【0051】
(2)実施例1、2では、休止期間のエアー吹付けが「有」となっているが、「無」であっても、比較例1よりは良好な離型効果を得ることができる。このことは、本実験例1〜5から明らかである。
【0052】
(3)休止期間におけるエアーの吹付けを、別のノズルから行うようにしてもよい。
【0053】
(4)本実験例1〜14では全スプレー量が第1所定量より少なく設定されているが、全スプレー量が第1所定量と同等であっても、同様の効果が得られる。
【0054】
【発明の効果】
請求項1記載の発明によれば、水溶性離型剤の使用量を従来よりも増すことなく、従来以上の付着効果を得ることができ、従って、従来以上の離型効果を得ることができる。
【0055】
請求項2記載の発明によれば、従来に比して少量の水溶性離型剤によって従来以上の付着効果を得ることができ、従って、水溶性離型剤の使用量を低減できるとともに従来以上の離型効果を得ることができる。
【0056】
請求項3記載の発明によれば、休止期間にエアーを吹付けることにより、付着率をより高めることができ、より優れた付着効果を得ることができる。
【0057】
請求項4記載の発明によれば、水溶性潤滑剤の使用量を従来よりも増すことなく、従来以上の付着効果を得ることができ、従って、従来以上の潤滑効果を得ることができる。
【0058】
請求項5記載の発明によれば、従来に比して少量の水溶性潤滑剤によって従来以上の付着効果を得ることができ、従って、水溶性潤滑剤の使用量を低減できるとともに従来以上の潤滑効果を得ることができる。
【0059】
請求項6記載の発明によれば、休止期間にエアーを吹付けることにより、付着率をより高めることができ、より優れた付着効果を得ることができる。
【0060】
請求項7記載の発明によれば、水溶性離型剤又は水溶性潤滑剤を間欠的にスプレーすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の塗布方法に用いる実験装置を示す正面略図である。
【図2】本発明の水溶性離型剤の塗布方法を採用してダイカストマシンで製作されるダイカスト製品を示す図であり、(a)は正面図、(b)は側面図である。
【図3】金型からのダイカスト製品の押出し力を測定する機構を示す縦断面略図である。
【符号の説明】
2 スプレーヘッド

Claims (7)

  1. ダイカスト作業において、金型内面に水溶性離型剤を塗布する方法であって、
    金型内面に水溶性離型剤を第1所定時間だけ連続して所定スプレー圧で1回だけスプレーした場合には、一定以上の離型効果を得るために第1所定量の水溶性離型剤が必要である場合において、
    水溶性離型剤を間欠的に上記所定スプレー圧で2回以上スプレーするものであり、1回当りのスプレー量とスプレー回数とを、両者の積である全スプレー量が第1所定量の同等以下となるように設定したことを特徴とする水溶性離型剤の塗布方法。
  2. 1回当りのスプレー量とスプレー回数とを、両者の積である全スプレー量が第1所定量の3/10〜8/10の範囲内となるように設定した、請求項1記載の水溶性離型剤の塗布方法。
  3. 水溶性離型剤のスプレーとスプレーとの間の休止期間に、金型内面にエアーを吹付けるようにした、請求項1記載の水溶性離型剤の塗布方法。
  4. ダイカスト作業において、プランジャー機構の潤滑部に水溶性潤滑剤を塗布する方法であって、
    潤滑部に水溶性潤滑剤を第1所定時間だけ連続して所定スプレー圧で1回だけスプレーした場合には、一定以上の潤滑効果を得るために第1所定量の水溶性潤滑剤が必要である場合において、
    水溶性潤滑剤を間欠的に上記所定スプレー圧で2回以上スプレーするものであり、1回当りのスプレー量とスプレー回数とを、両者の積である全スプレー量が第1所定量の同等以下となるように設定したことを特徴とする水溶性潤滑剤の塗布方法。
  5. 1回当りのスプレー量とスプレー回数とを、両者の積である全スプレー量が第1所定量の6/10〜8/10の範囲内となるように設定した、請求項4記載の水溶性潤滑剤の塗布方法。
  6. 水溶性潤滑剤のスプレーとスプレーとの間の休止期間に、潤滑部へエアーを吹付けるようにした、請求項4記載の水溶性潤滑剤の塗布方法。
  7. ダイカスト作業において、水溶性離型剤又は水溶性潤滑剤を間欠的に2回以上スプレーさせる、塗布制御機構であって、
    水溶性離型剤又は水溶性潤滑剤をエアーと混合してミスト化してエアーと共に噴出させるスプレーヘッドに、第1開閉手段、第2開閉手段、及び、開閉制御手段を設けて構成されており、
    第1開閉手段が水溶性離型剤又は水溶性潤滑剤の流路の上流に設けられており、第2開閉手段がエアーの流路の上流に設けられており、
    開閉制御手段が、第1開閉手段を開閉作動するよう且つ第2開閉手段を開状態に維持するよう制御し、又は、第1開閉手段及び第2開閉手段を同期させて開閉作動するよう制御するようになっていることを特徴とする塗布制御機構。
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