JP2015129389A - 水門設備の作動連動装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】緊急・災害時などの電源喪失時や点検運転時などにおいて、左右の水門開閉装置の自重降下装置を連動して扉体を確実に降下させる作動連動装置を備えた水門設備を提供する。【解決手段】水門設備1の作動連動装置20は、ブレーキ装置11の解放レバー28に連動自在に連結された一方向回転クラッチ26を備えており、ブレーキ装置11の解放レバー28を解放するためのトルクを取り出す滑車15aの回転方向が、ブレーキ装置11を制動する方向に回動させる方向であったとしても、一方向回転クラッチ26が空転するため、滑車15aの回転トルクがブレーキ装置11を再制動させて扉体の自重降下が停止することがなく、扉体を確実に降下させることができる。【選択図】図2

Description

本発明は、緊急・災害時などに電源を喪失した場合または点検運転をする場合に、左右の水門開閉装置の自重降下装置を連動して作動させる水門設備の作動連動装置に関するものである。
ダム用水門設備または河川などに適用されるような径間が大きく、かつ、開閉操作時の荷重が大きい水門では、扉体の両側に位置して扉体の昇降動作を案内する各門柱に、電動機及びワイヤロープ巻取ドラムを有する水門開閉装置を設置した水門設備が使用されている。
水門設備の従来技術として、自重降下装置を備えると共に電動機及びワイヤロープ巻取ドラムを備えた左右の水門開閉装置により扉体を昇降させて水門を開閉する水門設備において、左右の水門開閉装置それぞれに、一方の水門開閉装置を作動させることにより他方の水門開閉装置の自重降下装置を作動させる作動連動機構を設け、緊急・災害時などに電源を喪失した場合でも、左右の水門開閉装置の自重降下装置を連動させて扉体を自重降下させることができる水門設備がある。
従来技術における水門設備の作動連動機構は、左右の水門開閉装置の自重降下装置を連動させて扉体を自重降下させるために、一方の水門開閉装置のワイヤロープにより回転される滑車の回転トルクを、他方の水門開閉装置の自重降下装置をロックしているブレーキ装置を解放する操作レバーに伝達する滑車回転伝達装置を備えている。しかしながら、この滑車回転伝達装置は、ワイヤロープの掛け数、設置位置、または自重降下状況により回転方向が一様でないので、トルクを取り出す滑車の回転方向が作動連動機構の作動中にブレーキ装置を解放する方向から制動する方向へ変わり、ブレーキを再制動させて扉体を所定の速度で閉鎖できないおそれがある。また、扉体重量が大きくなると、ブレーキ装置が複数台必要となるため、緊急時において、ブレーキ装置の手動による同時解放が容易に行えない。さらに、水門開閉装置に無停電電源装置を備えていても、ブレーキを解放する機構がないため、自重降下が行えない。
本発明は、上述したような従来の水門設備が有する課題に鑑みてなされたものであり、緊急・災害時などの電源喪失時や点検運転時などにおいて、左右の水門開閉装置の自重降下装置を連動して扉体を確実に降下させる作動連動装置を備えた水門設備を提供することを目的とする。
上述した課題を解決するために、請求項1の水門設備の作動連動装置に係る発明は、電動機及びワイヤロープ巻取ドラムを有し、ワイヤロープによって扉体を昇降させて水門を開閉する左右の水門開閉装置と、左右の水門開閉装置のそれぞれに装備され前記ワイヤロープ巻取ドラムを解放して前記扉体を自重により降下させる自重降下装置とを備えた水門設備において、左右の前記水門開閉装置の間に設けられて、一方の前記水門開閉装置の自重降下装置を作動させることにより、他方の前記水門開閉装置の自重降下装置を作動させる作動連動装置であって、前記水門設備は、一端が一方の前記水門開閉装置のワイヤロープ巻取ドラムに掛止されて他端が他方の前記水門開閉装置のワイヤロープ巻取ドラムに掛止された一対の前記ワイヤロープを有し、一対の前記ワイヤロープの一方は、一方の前記水門開閉装置側に設けられた一方の定滑車及び前記扉体側に設けられた一方の動滑車を経由し、他方は、他方の前記水門開閉装置側に設けられた他方の定滑車及び前記扉体側に設けられた他方の動滑車を経由してワイヤリングされており、前記作動連動装置は、一方の前記定滑車の回転により一方の前記水門開閉装置の自重降下装置を作動させ、他方の前記定滑車の回転により他方の前記水門開閉装置の自重降下装置を作動させる滑車回転伝達装置を備え、該滑車回転伝達装置には、前記定滑車の前記自重降下装置を作動させる方向の回転を伝達し、その反対方向の回転を遮断する一方向回転クラッチが設けられていることを特徴とする。
請求項2の水門設備の作動連動装置に係る発明は、請求項1の発明において、前記滑車回転伝達装置には、さらに、トルクリミッタが設けられていることを特徴とする。
請求項3の水門設備の作動連動装置に係る発明は、請求項1または2の発明において、前記滑車回転伝達装置には、さらに、通電時に切り離される電磁クラッチが設けられていることを特徴とする。
請求項4の水門設備の作動連動装置に係る発明は、請求項1乃至3のいずれかの発明において、前記自重降下装置の停止及び作動を手動操作する手動操作手段を備えていることを特徴とする。
請求項5の水門設備の作動連動装置に係る発明は、請求項1乃至4のいずれかの発明において、無停電電源装置によって駆動される単相モータを備えることを特徴とする。
請求項6の水門設備の作動連動装置に係る発明は、請求項1乃至5のいずれかの発明において、自重降下装置は複数のブレーキ装置を備え、各ブレーキ装置に所定の範囲のトルクを伝達して自重降下装置を作動させる一定トルク制御器を備えていることを特徴とする。
請求項7の水門設備の作動連動装置に係る発明は、請求項1の発明において、前記滑車回転伝達装置は、前記ワイヤロープの移動によって回転する滑車またはローラの回転により、前記水門開閉装置の自重降下装置を作動させることを特徴とする。
請求項1の水門設備の作動連動装置に係る発明によれば、一方の水門開閉装置の自重降下装置の作動に連動して他方の自重降下装置が作動したとき、一方向回転クラッチにより、自重降下装置を作動させる方向の回転のみが伝達されるので、定滑車の回転が自重降下装置を停止させて扉体の自重降下が停止することがない。これにより、扉体を確実に自重降下させることができる。
請求項2の水門設備の作動連動装置に係る発明によれば、トルクリミッタによって自重降下装置のブレーキ装置に作用するトルクを制限することができる。
請求項3の水門設備の作動連動装置に係る発明によれば、水門開閉装置の電動操作時には、電磁クラッチが切離されることにより、作動連動装置を作動させないようにすることができる。
請求項4の水門設備の作動連動装置に係る発明によれば、手動操作手段を用いて、自重降下装置を手動操作することができる。
請求項5の水門設備の作動連動装置に係る発明によれば、緊急・災害時などに主電源を喪失した場合でも、無停電電源装置により単相モータを駆動して自重降下装置を作動させることができる。
請求項6の水門設備の作動連動装置に係る発明によれば、一定トルク制御器により、複数のブレーキ装置に伝達されるトルクを調整して、複数のブレーキ装置を同期して解放/制動させることができる。
請求項7の水門設備の作動連動装置に係る発明によれば、ワイヤロープの移動によって回転する滑車またはローラの回転により、水門開閉装置の自重降下装置を作動させることができる。
図1は、本発明の実施の形態に係る水門設備を示す図である。 図2(a),(b),及び(c)は、本発明の実施の形態に係る水門設備の作動連動装置の組立平面図,正面図,及び側面図である。 図3(a),(b),及び(c)は、本発明の実施の形態に係る水門設備の作動連動装置のクラッチボックスの組立平面図,正面図,及び正面断面図である。 図4は、図3(b)の電磁クラッチ解放レバー及びトルクリミッタのトリップ復帰レバーの回転軸を示す拡大概略図である。 図5(a),(b),及び(c)は、本発明の実施の形態に係る水門設備の作動連動装置のクラッチボックスの断面図,トルクリミッタの復帰ハンドルを示す拡大断面図,及び側断面図である。 図6は、滑車回転伝達装置の他の実施形態を示す概略図である。 図7(a)及び(b)は、本発明における1つの実施形態において、水門設備の右側または左側の一方のワイヤロープ巻取ドラムが固定された状態で、他方のワイヤロープ巻取ドラムのみが解放されている場合において、扉体が降下している状態を一対のワイヤロープの其々に分けて示した図である。 図8(a)は、図7の実施形態において、水門設備の作動連動装置により、水門設備の左右両側のワイヤロープ巻取ドラムが解放された場合において、扉体が降下している状態を一対のワイヤロープの其々に分けて示した図である。図8(b)は図7(a),(b)及び図8(a)の実施形態に係る水門設備の概略斜視図である。 図9(a)及び(b)は、本発明における1つの実施形態において、水門設備の右側または左側の一方のワイヤロープ巻取ドラムが固定された状態で、他方のワイヤロープ巻取ドラムのみが解放されている場合において、扉体が降下している状態を一対のワイヤロープの其々に分けて示した図である。 図10(a)は、図9の実施形態において、水門設備の作動連動装置により、水門設備の左右両側のワイヤロープ巻取ドラムが解放された場合において、扉体が降下している状態を一対のワイヤロープの其々に分けて示した図である。図10(b)は図9(a),(b)及び図10(a)の実施形態に係る水門設備の概略斜視図である。 図11(a)及び(b)は、本発明における1つの実施形態において、水門設備の右側または左側の一方のワイヤロープ巻取ドラムが固定された状態で、他方のワイヤロープ巻取ドラムのみが解放されている場合において、扉体が降下している状態を一対のワイヤロープの其々に分けて示した図である。 図12(a)は、図11の実施形態において、水門設備の作動連動装置により、水門設備の左右両側のワイヤロープ巻取ドラムが解放された場合において、扉体が降下している状態を一対のワイヤロープの其々に関して示した図である。図12(b)は図11(a),(b)及び図12(a)の実施形態に係る水門設備の概略斜視図である。
以下、本発明の好適な実施の形態を添付した図面に基づいて詳細に説明する。ここで、同一の構成要素または相当する構成要素については、同一の符号で示し、適宜その説明を省略する。また、本発明は以下に示した例示的な実施形態に過度に限定されない。
図1に示すように、本発明の実施の形態に係る水門設備1は、径間が大きく、開閉操作時の荷重が大きな水門設備に使用される水門開閉装置4であり、水路を開閉する扉体3を昇降自在に案内する左右の門柱2,2には、電動機5及びワイヤロープ巻取ドラム7を有する水門開閉装置4がそれぞれ設置されている。なお、以下の説明では、左右の門柱2,2に設置される左右の水門開閉装置4の構造は同様の構造であるので、一方の水門開閉装置4(図1において左側に示す水門開閉装置4)を中心に説明する。
図1に示すように、水門開閉装置4は、電動機5と、自重降下装置6と、電動機5により回転駆動されるワイヤロープ巻取ドラム7と、このワイヤロープ巻取ドラム7に一端が掛止されるワイヤロープ8aと、を備えている。なお、ワイヤロープ8aの他端は、他方の水門開閉装置4のワイヤロープ巻取ドラム7に掛止される。
また、電動機5と自重降下装置6は、電動・自重降下切替装置9を介してワイヤロープ巻取ドラム7に連結されており、電動操作時には、電動・自重降下切替装置9を介して電動機5をワイヤロープ巻取ドラム7に連結して、ワイヤロープ8aにより扉体3を昇降操作すると共に、自重降下操作時には、電動・自重降下切替装置9を介して自重降下装置6をワイヤロープ巻取ドラム7に連結して、ワイヤロープ8aにより扉体3を自重降下させる。
さらに、電動機5と電動・自重降下切替装置9との間に油圧押し上げ式ブレーキ(ブレーキ装置)10が設けられると共に、自重降下装置6と電動・自重降下切替装置9との間に油圧押し上げ式ブレーキ(ブレーキ装置)11が設けられている。電動・自重降下切替装置9は差動歯車装置であり、電動機5又は自重降下装置6の一方を固定することにより他方の回転をワイヤロープ巻取ドラム7に伝達するようになっている。そして、電動操作時には、ブレーキ装置10を電動操作により解放して、電動機5の駆動力をワイヤロープ巻取ドラム7に伝達する。また、自重降下操作時には、ブレーキ装置11を手動または後述する作動連動装置20により解放して、自重降下装置6に連結されたワイヤロープ巻取ドラム7の回転速度を調整して、扉体3を所定の降下速度で自重降下させる。大型の水門設備の扉体を自重降下させる場合、ブレーキ装置11は1台ないし複数台必要とされ、2台以上のときはブレーキ装置11,11をほぼ同時に解放させる必要がある。
図2は2台のブレーキ装置を使用した事例を示している。
なお、自重降下装置6は遠心ブレーキ等(図示省略)を備えており、扉体3の自重降下操作時に、扉体3の自重降下速度を所定の降下速度に制限している。
また、図1に示すように、左右の水門開閉装置4の各ワイヤロープ巻取ドラム7に一端を掛止したワイヤロープ8a,8bは、以下のようにワイヤリングされている。
まず、一方の水門開閉装置4のワイヤロープ巻取ドラム7に一端を掛止した一方のワイヤロープ8aは、扉体3に回転自在に設置した滑車13a,14a,16a(動滑車)と、他方の門柱2に設置した滑車15a(定滑車)にそれぞれ巻回された後、その他端が他方の水門開閉装置4のワイヤロープ巻取ドラム7に掛止されている。また、他方の水門開閉装置4のワイヤロープ巻取ドラム7に一端を掛止した他方のワイヤロープ8bは、扉体3に回転自在に設置した他方の滑車13b,14b,16b(動滑車)と、一方の門柱2に設置した滑車15b(定滑車)にそれぞれ巻回された後、その他端が一方の水門開閉装置4のワイヤロープ巻取ドラム7に掛止されている。
そして、一対のワイヤロープ8a,8bは以上のようにワイヤリングされているため、左右の電動機5,5を正転または逆転させて、一対のワイヤロープ8a,8bを同時に巻き取りまたは巻き戻しすることにより、扉体3を左右の門柱2,2に沿って平衡状態を保持した状態で昇降させて水門を開閉することができる。なお、一対のワイヤロープ8a,8bの内、いずれか一方のワイヤロープ巻取ドラム7を回転させることにより、常時の1/2の開閉速度で扉体3を開閉操作することができる。
また、本実施の形態に係る水門設備1では、扉体3の自重降下操作時には、一方の水門開閉装置4の自重降下装置6を作動させる(ブレーキ11を解放する)ことにより他方の水門開閉装置4の自重降下装置6を機械的に連動させて作動させることができる作動連動装置20を備えている。
図2及び図3に示すように、本実施の形態に係る水門設備1の作動連動装置20は、伝動軸23と、伝動軸23に連結された電磁クラッチ24と、トルクリミッタ(過回転遮断装置)25と、電磁クラッチ24とトルクリミッタ25との間に設けた一方向回転クラッチ26と、これらを内部に収容したクラッチボックス33と、伝動軸23のトルクを直交方向に変換して取り出す2台のギアボックス(出力方向変換ギア)34,34’と、を備えている。伝動軸23は、ギアボックス34,34’を介して各ブレーキ装置11,11の解放レバー軸12,12に連結されている。そして、各解放レバー軸12,12には、各ブレーキ装置11,11の解放レバー28,28が連結されている。また、手動ハンドル29及び単相モータ30が、2台のギアボックス34,34’を介して、各ブレーキ装置11,11の解放レバー軸12,12に連結されている。ギアボックス34,34’と各ブレーキ装置11,11の解放レバー28,28との間には、各ブレーキ装置11,11の解放レバー28,28を同期して解放/制動させるための一定トルク制御器35が設けられている。
水門設備1の作動連動装置20は、一方の水門開閉装置4のワイヤロープ8aの移動、すなわち、ワイヤロープ8aにより回転される滑車15aの回転トルク(入力1)、2台のブレーキ装置11,11の各解放レバー28,28に連結された手動操作手段である手動ハンドル29による回転トルク(入力2)、または、単相モータ30による回転トルク(入力3)を、選択的に、他方の水門開閉装置4の自重降下装置6をロックしている2台のブレーキ装置11,11を解放する手動操作レバー軸12,12(出力)に伝達するように構成されている。
水門設備1の作動連動装置20の入力1による2台のブレーキ装置11,11の解放操作について説明する。
図2(a)(b)に示すように、滑車回転伝達装置31は、滑車15aとスプロケット22との間に巻回したチェーン21と、スプロケット22と伝動軸23との間に取り付けられた伝達軸32及び変速ギア27から構成されている。なお、水門設備1の水門開閉装置4が備える滑車回転伝達装置31は、回転運動伝達手段としてチェーン,スプロケット,伝達軸,及び変速ギアを使用しているが、滑車15aの回転運動を伝動軸23に伝達することができるものであれば、フレキシブルシャフト及びワイヤ等を適宜使用することができる。
図6は、滑車回転伝達装置31の他の実施形態を示す概略図である。この図に示されているように、滑車回転伝達装置31’は、さらに、ワイヤロープ8aを挟み、かつ、ワイヤロープ8aの移動に対して、従動回転するように設置された一対のローラ45,45を含む。この一対のローラ45,45は、適当な位置に設置可能であり、設置場所によっては、水平方向に配置されたワイヤロープ8aを、上下に挟むことも可能である。
これにより、いずれか一方のワイヤロープ巻取ドラム7を回転させることによるワイヤロープ8aの移動に伴って回転する一対のローラ45,45のいずれか一方の回転トルク(入力1’)を、滑車回転伝達装置31の滑車15aの回転トルク(入力1)の代わりに用いることができる。
一方(図1において左側)のワイヤロープ巻取ドラム7を解放した場合、滑車回転伝達装置31は、一方のワイヤロープ8aが移動することにより滑車15aが回転(正転)すると、滑車15aに巻回されたチェーン21を介してスプロケット22に回転運動が伝達され、スプロケット22が回転することにより伝達軸32も回転する。さらに、伝達軸32の回転が、変速ギア27を介して、作動連動装置20の伝動軸23を回転させる。
伝動軸23の回転は、2台のギアボックス34,34’を介して、2台のブレーキ装置11,11の各解放レバー28,28に伝達され、各解放レバー28,28と連結した各解放レバー軸12,12が回動して、各解放レバー28,28が矢印の方向に移動してストッパー(図示せず)に当接すると、他方の水門開閉装置4の自重降下装置6の動作をロックしている2台のブレーキ装置11,11が解放される。
この滑車15aの正転,逆転は、左右の水門開閉装置4,4の自重降下装置6,6を連動させた扉体3の自重降下が定常的になるまで、ワイヤロープの掛け数、滑車の設置位置、または自重降下状況によって決まるため、滑車15aの回転数及び回転方向は一様でない。この滑車15aの回転については、図7〜12を参照して後述する。
ここで、伝動軸23の回転トルクは、各ブレーキ装置11,11の各解放レバー28,28を解放する方向においては、クラッチボックス33内に収容されている一方向回転クラッチ26が共転することにより、各解放レバー軸12,12に伝達され、また、各解放レバー28,28を制動する方向においては、一方向回転クラッチ26が空転することにより、各解放レバー軸12,12に伝達されない。従って、入力1が各ブレーキ装置11,11の各解放レバー28,28を再制動させて、水門設備1の他方の水門開閉装置4の自重降下を止めることがないため、扉体3を確実に自重降下させることができる。
また、これらのブレーキ装置11,11は、各ブレーキ装置11,11内部のコイルバネを押し縮めることにより各ブレーキ装置11,11内部のブレーキ機構を解放する構造であり(図示せず)、このコイルバネのバネ定数には個体差がある。2台のブレーキ装置11,11を必要とする大型水門に適用する本実施の形態に係る水門装置1においては、2台のブレーキ装置11,11をほぼ同時に解放/制動する必要がある。従って、図2(c)のように、水門設備1の作動連動装置20は、各ブレーキ装置11,11の各解放レバー軸12,12と連動する、所定の範囲においてトルクを伝達する一定トルク制御器35,35を設けることにより、各ブレーキ装置11,11のコイルバネのバネ定数における個体差を吸収して、2台のブレーキ装置11,11の解放動作の同期をとるようにしている。
また、滑車15aの回転は、解放レバー軸12がブレーキ解放側に回転された後も扉体3が着床するまで継続する。そこで、各ブレーキ装置11,11の各解放レバー軸12,12の必要以上の回転を遮断するために、水門設備1の作動連動装置20は、クラッチボックス33内に機械式のトルクリミッタ(過回転遮断装置)25を備えており、このトルクリミッタ25は、各解放レバー28,28がストッパー(図示せず)により回転を拘束された場合に、伝動軸23に生じる必要以上の回転トルクを遮断するように機能する。
さらに、クラッチボックス33内に介装した電磁クラッチ24が、水門開閉装置4の電動操作時に滑車回転伝達装置31の作動を阻止するために備えられており、電動操作時、すなわち、電源ON時には電磁クラッチ24を切り離して、伝動軸23の回転を遮断して、伝動軸23の回転を2台のブレーキ装置11,11の各解放レバー軸12,12に伝達させないように構成されている。
なお、各解放レバー28,28のブレーキ作動側への復帰は、通常、各ブレーキ装置11,11の各解放レバー28,28を手動でブレーキ作動位置に移動させることにより行われる。この場合、伝動軸32の回転が拘束されていたとしても、トルクリミッタ25がスリップするので、各手動操作レバー28,28をブレーキ作動側に容易に復帰させることができる。
水門設備1の作動連動装置20の入力2によるブレーキ装置11,11の解放操作について説明する。
図2(a)(b)に示すように、手動ハンドル29が、変速ギア27’及び回転軸方向を変換する2台のギアボックス34,34’を介して、2台のブレーキ装置11,11の各解放レバー28,28に連結されており、作業員がこの手動ハンドル29を、各ブレーキ装置11,11の各解放レバー軸12,12が解放される方向に回すことによる回転トルク(入力2)によって、水門開閉装置4の自重降下装置6の動作をロックしている2台のブレーキ装置11,11の各解放レバー軸12,12は解放される。
ここで、クラッチボックス33内に収容されている一方向回転クラッチ26は、手動ハンドル29が2台の油圧押し上げブレーキ11,11の各解放レバー28,28を解放させる方向に回転される場合、空転するように設定されているため、電磁クラッチ24やトルクリミッタ25が切り離されていなくても、作業員が手動ハンドル29を回転させることができる。従って、手動ハンドル29を用いて水門設備1の扉体3を自重降下させること(入力2)は、緊急時(例えば単相モータ30を駆動させることができない状況)や点検運転時には有効な解放手段となる。そして、入力2によって一方の水門開閉装置4のブレーキ装置11,11が解放されることにより、他方の作動連動装置20を入力1により作動させることができるので、左右両方の水門開閉装置4の自重降下装置6を連動して作動させることができる。
また、自重降下装置6が作動した後、作業員が手動ハンドル29を、2台のブレーキ装置11,11の各解放レバー28,28を制動する方向に回転させようとしても、クラッチボックス33内に収容されている一方向回転クラッチ26が共転するため、手動ハンドル29を回転させることはできない。手動ハンドル29を用いて2台のブレーキ装置11,11の各解放レバー28,28を制動操作する必要がある場合は、手動ハンドル29と入力1側の滑車15aが連結されないように、解放レバー36(後述)により電磁クラッチ24を切り離した上で、手動ハンドル29を回転させて2台のブレーキ装置11,11の各解放レバー28,28を操作する。
水門設備1の作動連動装置20の入力3によるブレーキ装置11,11の解放操作について説明する。
図2(a)(b)に示すように、水門設備1の作動連動装置20は、無停電電源装置(図示せず)によって駆動される単相モータ30が手動ハンドル29と別の駆動軸において2台のブレーキ装置11,11の各解放レバー軸12,12に連結して備えられており、2台のギアボックス34,34’を介して単相モータ30の回転トルクを、各解放レバー28,28を介して、2台のブレーキ装置11,11を解放する手動操作レバー軸12,12に伝達する。無停電電源装置で作動する単相モータ30は、緊急・災害時などに電源を喪失した場合または点検運転を行う場合、左右の水門開閉装置4,4の自重降下装置6,6を連動させて扉体3を自重降下させるためのもう一つの解放手段となる。また、単相モータ30は、多相モータと比較して低コストで汎用性があるため、交換が容易である。そして、入力2の場合と同様、一方の水門開閉装置4の油圧押し上げブレーキ11,11が解放されることにより、他方の作動連動装置20を入力1により作動させることができるので、左右両方の水門開閉装置4の自重降下装置6を連動して作動させることができる。
図3(b)に示すように、電磁クラッチ24とトルクリミッタ25は解放レバー36とトリップ復帰レバー37を各々有する。水門設備1の作動連動装置20は、クラッチボックス33に、電磁クラッチ24が切り離されたこと、及び、過負荷によりトルクリミッタ25が切り離されたことを容易に検知するための機械的検知スイッチ38,39が各々設置されている。
図4(a)(b)に示すように、電磁クラッチ24の解放レバー36とトルクリミッタ25のトリップ復帰レバー37は、回転軸のキー40とキー溝41との間に隙間Mを有する。図4(c)に示すように、この隙間Mがあるため、電磁クラッチ24の解放レバー36及びトルクリミッタ25のトリップ復帰レバー37は、電磁クラッチ24の電動切り離し時、及び、過負荷によってトルクリミッタ25が切り離された時において、2つのレバー36,37の回転軸だけが回転し、レバー36,37が動作しない安全構造に形成されている。
図5(a)に示すように、水門設備1の作動連動装置20は、クラッチボックス33にトルクリミッタ25のトリップ状態を復帰させるための復帰ハンドル42を有する。図5(c)に示すように、この復帰ハンドル42は、復帰ハンドル42と連動するスプロケット43、及び、スプロケット43とトルクリミッタ25との間に巻回したチェーン44を介してトルクリミッタ25を回転させてトルクリミッタ25を復帰させる。図5(a)(b)に示すように、復帰ハンドル42の左端部と、スプロケット43に当接する回転軸Rの右端部には、作業員が復帰ハンドル42を水平方向に押す/引くことによって必要なときのみに互いにかみ合う/切り離されるようにスプライン構造Sが形成されており、安全性と操作性が向上している。なお、本実施の形態に係る水門設備1の水門開閉装置4が備える復帰ハンドル42は、回転運動伝達手段としてチェーンとスプロケットを使用しているが、復帰ハンドル42の回転運動をトルクリミッタ25に伝達することができるものであれば、ギア及びベルト等を適宜使用することができる。
上記したように、本実施の形態に係る水門設備1の水門開閉装置4は、作動連動装置20を備えているので、扉体3の自重降下操作時に一方の水門開閉装置4の自重降下装置6を作動させると他方の水門開閉装置4の自重降下装置6も機械的に連動して作動させることが可能となる。従って、左右の水門開閉装置4を利用して扉体3の自重降下を開始することができるため、所定の降下速度(片側作動時の2倍の速度)を得ることができる。これにより、緊急・災害時などの電源喪失時における扉体3の自重降下操作においても左右の水門開閉装置4,4にそれぞれ操作員を配置して操作を行う必要がなく、一人の操作員だけで入力1または2により一方の水門開閉装置4の自重降下装置6を作動させることにより、左右の水門開閉装置4,4を連動させて適切に操作することが可能となる。さらに、遠隔操作で扉体3の自重降下操作を行っている場合、左右の水門開閉装置4,4のいずれか一方の制御線が喪失されたとしても、残りの制御線を利用して、両方の水門開閉装置4の自重降下装置6を連動して作動させることができ、所定の降下速度で扉体3の自重降下操作を行うことができる。
次に、図7〜12を参照して、作動連動装置20を実際に水門設備に設置する場合のワイヤリングを説明する。これらの図に示されているように、水門設備1の左右両側の定滑車は、実際にはワイヤロープ8aまたは8bから1つの定滑車へかかる負荷を軽減するために、複数個必要となる。また、これらの図には、ワイヤロープ8a,8bのロープの移動量、及び、複数設置される定滑車と動滑車の回転方向及び回転数を模式的に示している。
図7(a)の上図と下図の其々は、右側のワイヤロープ巻取ドラム7がロックされた状態で、左側のワイヤロープ巻取ドラム7のみが解放されて、左側のワイヤロープ巻取ドラム7に巻き取られた一対のワイヤロープ8a,8bがリリースされ、扉体3が降下している状態を示している。
この図において、5つの定滑車((c,e,g,i,k)及び(o,q,s,u,v))と、7つの動滑車((a,b,d,f,h,j,l)及び(m,n,p,r,t,v,x))に、ワイヤロープ8b,8aが其々掛けられている。また、1つの動滑車a(または動滑車m)が水門設備1の右側(または左側)に設置され、残りの定滑車及び動滑車はその逆側に設置されている(図8(b)参照)。図7(a)において、ワイヤロープ8a,8bに並行した直線矢印に隣接して記述されている数値(例えば+12,+10など)は、扉体3が降下しているときのワイヤロープ8a,8bの例示的な移動量を示している。この移動量は、扉体3が降下することにより全ての動滑車が下方へ移動することに伴って動滑車lからa(または動滑車mからx)に向かって減少している。このワイヤロープ8a,8bの移動量の変化に関連して、一対の5つの定滑車と7つの動滑車は、図における各滑車に隣接した湾曲矢印によって示されている方向(時計回りを正とした)、及び、この矢印に隣接した例示的な回転量(例えば−12,−10など)で回転することになる。
また、図7(b)並びに図8〜12における、ワイヤロープ8a,8bの移動量及び滑車の回転方向と回転量の定義は、図7(a)の定義と同様である。
ここで、水門設備1の右側に設置される定滑車oの反時計まわりの回転が作動連動装置20を作動させるための連動検出部Gとなるように、定滑車oは、図2の定滑車15aに代わって、作動連動装置20の変速ギア27に連結されている(図示せず)。従って、右側の定滑車oの反時計まわりの回転が、水門設備1の右側に設置された作動連動装置20を作動させて水門設備1の右側のワイヤロープ巻取ドラム7を解放することが可能となる。
図7(b)は、水門設備1の左側のワイヤロープ巻取ドラム7が固定された状態で、水門設備1の右側のワイヤロープ巻取ドラム7のみが解放されている場合を示しており、図7(a)と比較してワイヤロープ巻取ドラム7,7が固定/解放される左右が入れ替わっているだけである。従って、上述した図7(a)の説明とほぼ同様の内容となるため、図7(b)の説明を省略する。この場合、水門設備1の左側に設置された定滑車cの時計まわりの回転が、水門設備1の左側の作動連動装置20を作動させて左側のワイヤロープ巻取ドラム7を解放する。
図8(a)は、図7(a)または(b)の片側のワイヤロープ巻取ドラム7のみのリリース状態に対して、作動連動装置20により左右両方のワイヤロープ巻取ドラム7,7が回転し、扉体3が定常的に降下している状態を示している。
この状態において、左右のワイヤロープ巻取ドラム7,7の一方の回転による定滑車または動滑車の回転は、左右のワイヤロープ巻取ドラム7,7の他方の回転によって、相互に打ち消し合う。故に、この滑車の設置条件下では、滑車g,sが回転しなくなり、さらに、ワイヤロープ8a,8bの連動検出部Gに相当する滑車c,oは+8,−8の回転方向及び回転量に収束する。ここで、上述したようにトルクリミッタ25が機能し、伝動軸23、つまり各ブレーキ装置11,11の解放レバー28,28、に生じる必要以上の回転トルクを遮断する。
また、このときに連動検出部Gに相当する滑車c,oを滑車g,sに変更した場合、扉体3の定常降下状態において連動検出部Gに相当する滑車が回転しなくなる。これにより、滑車g,sを連動検出部Gに相当させると、連動検出部Gに相当する滑車が、図1の実施形態に係る水門設備1の定滑車15aと同様に、扉体3の定常降下状態において回転しなくなり、扉体3の定常降下状態における作動連動装置20の再制動を防ぎ、左右の水門開閉装置4,4の自重降下装置20,20を連動して扉体3を確実に降下させることができる。
図8(b)は、図7(a),(b)及び図8(a)の実施形態に係る水門設備1の概略斜視図である。
この図に示されているように、一方のワイヤロープに掛けられる滑車が、この実施形態において合計12個あるため、ワイヤロープ8a,8bの滑車への掛け数は、一方のワイヤロープにおいて12本掛けの、一対のワイヤロープ8a,8bにおいて合計24本掛けとなる。さらに、一方のワイヤロープにおいて、水門設備1の左側と右側(または右側と左側)に設置される滑車の個数の比率は1:11である。
図9及び10の実施形態に係る水門設備1は、図7及び8の実施形態に係る水門設備1と比較して、ワイヤロープ8a,8bの一方において、3つの滑車a,b,c(または滑車m,n,o)が水門設備1の右側(または左側)に設置され、残りの定滑車及び動滑車はその逆側に設置されていることが異なるが、図7(a),(b)及び8(a)を参照しながら説明した上述内容と同様に図9(a),(b)及び図10(a)の各図の扉体3が降下する。
この場合、図9(a),(b)に示されている連動検出部Gは、滑車pまたは滑車eの逆転または正転となり、図10(a)の扉体3の定常降下状態において、滑車g,sが回転しなくなり、さらに、ワイヤロープ8a,8bの連動検出部Gに相当する滑車e,pは+4,−4の回転方向及び回転量に収束する。ここで、図7,8の実施形態に係る水門設備1と同様にトルクリミッタ25が機能し、伝動軸23、つまり各ブレーキ装置11,11の解放レバー28,28、に生じる必要以上の回転トルクを遮断する。
さらに図7,8の実施形態に係る水門設備1と同様に、滑車g,sを連動検出部Gに相当させると、連動検出部Gに相当する滑車が、図1の実施形態に係る水門設備1の定滑車15aと同様に、扉体3の定常降下状態において回転しなくなる。これにより、扉体3の定常降下状態における作動連動装置20の再制動を防ぎ、左右の水門開閉装置4,4の自重降下装置20,20を連動して扉体3を確実に降下させることができる。
図10(b)は、図9(a),(b)及び図10(a)の実施形態に係る水門設備1の概略斜視図である。図8(b)と同様に、ワイヤロープ8a,8bの滑車への掛け数は、一方のワイヤロープにおいて12本掛けの、一対のワイヤロープ8a,8bにおいて合計24本掛けである。またここでは、一方のワイヤロープにおいて、水門設備1の左側と右側(または右側と左側)に設置される滑車の個数の比率は3:9(つまり1:3)となる。
図11及び12の実施形態に係る水門設備1は、図7の実施形態に係る水門設備1と比較して、ワイヤロープ8a,8bの一方において、5つの滑車a〜e(または滑車m〜q)が水門設備1の右側(または左側)に設置され、残りの定滑車及び動滑車はその逆側に設置されていることが異なるが、図7(a),(b)及び図8(a)を参照しながら説明した上述内容と同様に図11(a),(b)及び図12(a)の各図の扉体3が降下する。
この場合、図11(a),(b)に示されている連動検出部Gは、滑車sまたは滑車gの逆転または正転となり、さらに、図12(a)の扉体3の定常降下状態においては、この滑車g,sが回転しなくなる。これにより、扉体3の定常降下状態における作動連動装置20の再制動を防ぎ、左右の水門開閉装置4,4の自重降下装置20,20を連動して扉体3を確実に降下させることができる。
図12(b)は、図11(a),(b)及び図12(a)の実施形態に係る水門設備1の概略斜視図である。図8(b)と同様に、ワイヤロープ8a,8bの滑車への掛け数は、一方のワイヤロープにおいて12本掛けの、一対のワイヤロープ8a,8bにおいて合計24本掛けである。ここでは、一方のワイヤロープにおいて、水門設備1の左側と右側(または右側と左側)に設置される滑車の個数の比率は5:7となる。
図8(b),図10(b),または図12(b)のように、滑車の設置位置が異なる、換言すると、水門設備1の左側と右側に設置される滑車の個数の比率が異なることにより、其々の滑車の回転方向及び回転数が異なってくる。また、連動検出部Gに相当する滑車が扉体3の定常降下状態において回転しないように設定した場合、扉体3の定常降下状態における作動連動装置20の再制動を防ぎ、左右の水門開閉装置4,4の自重降下装置20,20を連動して扉体3を確実に降下させることができる。
1…水門設備、 3…扉体、 4…水門開閉装置、 5…電動機、
6…自重降下装置、 7…ワイヤロープ巻取ドラム、 8a,8b…ワイヤロープ、
11…油圧押し上げ式ブレーキ(ブレーキ装置)、
13a,13b,14a,14b,15a,15b,16a,16b…滑車、
20…作動連動装置、 24…電磁クラッチ、
25…トルクリミッタ(過回転遮断装置)、
26…一方向回転クラッチ、 29…手動ハンドル(手動操作手段)、
30…単相モータ、 31…滑車回転伝達装置、 35…一定トルク制御器

Claims (7)

  1. 電動機及びワイヤロープ巻取ドラムを有し、ワイヤロープによって扉体を昇降させて水門を開閉する左右の水門開閉装置と、左右の水門開閉装置のそれぞれに装備され前記ワイヤロープ巻取ドラムを解放して前記扉体を自重により降下させる自重降下装置とを備えた水門設備において、左右の前記水門開閉装置の間に設けられて、一方の前記水門開閉装置の自重降下装置を作動させることにより、他方の前記水門開閉装置の自重降下装置を作動させる作動連動装置であって、
    前記水門設備は、一端が一方の前記水門開閉装置のワイヤロープ巻取ドラムに掛止されて他端が他方の前記水門開閉装置のワイヤロープ巻取ドラムに掛止された一対の前記ワイヤロープを有し、
    一対の前記ワイヤロープの一方は、一方の前記水門開閉装置側に設けられた一方の定滑車及び前記扉体側に設けられた一方の動滑車を経由し、他方は、他方の前記水門開閉装置側に設けられた他方の定滑車及び前記扉体側に設けられた他方の動滑車を経由してワイヤリングされており、
    前記作動連動装置は、一方の前記定滑車に巻装された前記ワイヤロープの移動により一方の前記水門開閉装置の自重降下装置を作動させ、他方の前記定滑車に巻装された前記ワイヤロープの移動により他方の前記水門開閉装置の自重降下装置を作動させる滑車回転伝達装置を備え、該滑車回転伝達装置には、前記定滑車の前記自重降下装置を作動させる方向の回転を伝達し、その反対方向の回転を遮断する一方向回転クラッチが設けられていることを特徴とする水門設備の作動連動装置。
  2. 前記滑車回転伝達装置には、さらに、トルクリミッタが設けられていることを特徴とする請求項1に記載の水門設備の作動連動装置。
  3. 前記滑車回転伝達装置には、さらに、通電時に切り離される電磁クラッチが設けられていることを特徴とする請求項1または2に記載の水門設備の作動連動装置。
  4. 前記自重降下装置の停止及び作動を手動操作する手動操作手段を備えていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の水門設備の作動連動装置。
  5. 無停電電源装置によって駆動される単相モータを備えることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の水門設備の作動連動装置。
  6. 自重降下装置は複数のブレーキ装置を備え、各ブレーキ装置に所定の範囲のトルクを伝達して自重降下装置を作動させる一定トルク制御器を備えていることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の水門設備の作動連動装置。
  7. 前記滑車回転伝達装置は、前記ワイヤロープの移動によって回転する滑車またはローラの回転により、前記水門開閉装置の自重降下装置を作動させることを特徴とする請求項1に記載の水門設備の作動連動装置。
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